1 :1 ◆RPjlOvKrTo :2007/09/13(木) 22:54:43.05 ID:cDp2WNxh0
〜4月26日(火)〜

 まぁ、何だやってしまった。
 特に朝何かあったわけでもなく。
 普通に仕事の為朝6時に家を出た。
 まさか、こんな事態になるとは思ってもなかった。
 今俺とクーは俺の実家へと向かう電車の中だ。
 少しずつ、状況を思い出していこうと思う。
4 :1 ◆RPjlOvKrTo :2007/09/13(木) 23:01:52.75 ID:cDp2WNxh0
 11時ごろ、ジョルジュと(ryさんが配送を終えて店に戻ってきた。
 (ryさんは次の配送の準備、ジョルジュは地下でワインやらなんやらを整理していた。
 俺はというと事務所の中で伝票と睨み合っていた。

('A`)「なんでこうも忙しいかねここは・・・」

 伝票の多さに少し嫌気がさしてきた、いつものことなのだが。

(゚Д゚)「出前にきましたー!」
('A`)「あぁ、はいはい」

 事務所の外に出前の人が立っていた。
 ここでの昼食は大体出前か、各々で適当に食べるかだ。
 今日は俺と下に居る2人、あとレジに1人居るだけなので出前にしたということ。
 昼時に人が居なければコンビニ弁当なりなんなりといった感じ。
 俺は事務所を出るとジョルジュと(ryさんに飯のことを伝えた。

( ゚∀゚)「めっしー、めっしー♪」
( ><)「いただくんです!」

 2人が事務所へ向かった事を確認してから俺は店に出る。
 レジに居るバイトの子に昼を取っていいよと伝え、レジに入る。

('A`)「さて、今日も早く帰りたいしさっさと仕事済ませるか」

 そんな感じでレジの裏でも伝票と睨み合っていた。
5 :1 ◆RPjlOvKrTo :2007/09/13(木) 23:06:53.27 ID:cDp2WNxh0
 と、誰かが事務所から降りてくる音がする。

( ゚∀゚)「ドクオ、お前の奥さんから電話だぞ」
(;'A`)「ちょ、違ッ」

 とりあえずジョルジュの顔面に右フックをかましたあと事務所へ向かう。
 電話に出るとクーの声が聞こえる。

('A`)「どうした?」
川 ゚ -゚)「今こっちに電話が来たんだが、落ち着いて聞いてくれ」

 クーの声は少し暗かった。

川 ゚ -゚)「ドクオのお母さんが倒れたそうだ」
('A`)「はい?」

 どういうことだ?
 カーチャンが倒れた・・・?

('A`)「何でクーの所に?」
川 ゚ -゚)「ドクオのお父さんから聞いたんだが、ドクオに何度電話をかけても通じなかったそうだ」
('A`)「何時ごろからだ?」
川 ゚ -゚)「さぁ、倒れたのは10時半ごろだと言っていたからさっきからじゃないかな・・・?」

 急いで携帯を見ると20件ほど履歴がある。
 どうやら俺が店に出ている間に携帯にかかって来たみたいだな・・・。
23 :1 ◆RPjlOvKrTo :2007/09/13(木) 23:13:52.04 ID:cDp2WNxh0
川 ゚ -゚)「それで、どうするんだ?」
('A`)「どうするって・・・」

 カーチャンが倒れた、俺をここまで育ててくれたカーチャンが。
 倒れたっていうなら行くしかないだろ・・・。

('A`)「社長に言ってみる、クーも行けるだけの準備をしておいてくれ」
川 ゚ -゚)「分かった」

 そこで電話を切る、そしてそのままショボンさんの居る本社へと電話をかける。
 3回ほどコール音が鳴り電話に女性が出る。

从'ー'从「はい〜、バーボンハウスです」
('A`)「本店のドクオです、ショボン社長に取り次いで貰えますか」
从'ー'从「分かりました〜」

 そして保留音、しばらく後ショボンさんが電話に出る。

(´・ω・`)「やぁ、そっちから連絡が来るのは久しぶりだね」
('A`)「そうですね、とりあえず用件だけ早急に話します」

 そして、ショボンさんにカーチャンが倒れたという事を伝え、休みを貰えないかと聞く。

(´・ω・`)「分かった、今日の仕事はいいからすぐに行きなさい」
('A`)「ありがとうございます! でも店の方は・・・」
(´・ω・`)「ジョルジュ君に任せておいてくれ、今から僕がすぐに行くから」
('A`)「ショボンさん・・・」
(´・ω・`)「ほら、いいから早くお母さんの所に行ってあげなさい」
26 :1 ◆RPjlOvKrTo :2007/09/13(木) 23:19:51.17 ID:cDp2WNxh0
 その後、すぐに家に帰り、そのまま実家へ向かう電車に乗った。
 そして今に至ると言うわけだ。

('A`)「カーチャン・・・」
川 ゚ -゚)「ドクオ、何もすぐにお母さんが死んでしまうというわけでもあるまい」
('A`)「そうだよな・・・」

 だが、倒れたと聞いて余り落ち着いていられるわけでも無い。
 内心、心配で胸が張り裂けそうなぐらいだ。

('A`)「早く・・・」

 電車に乗っているにも関わらず、それが遅く感じる。
 一刻も早くカーチャンに会いたい、何かあってからでは遅い。

川 ゚ -゚)「・・・」

 クーが心配そうな顔で俺の横顔を見つめる。
 ふと電車の窓を見ると死人のような表情の自分が見える。

川 ゚ -゚)「ドクオ・・・」

 クーが俺の頭を抱きしめる。

川 ゚ -゚)「大丈夫だ、きっと大丈夫だよドクオ・・・」

 クーの胸の中で俺は涙を流した。
31 :1 ◆RPjlOvKrTo :2007/09/13(木) 23:24:31.29 ID:cDp2WNxh0
〜4月27日(水)〜

 電車の中で夜が明ける。
 朝の9時ごろになりようやく地元へと辿り着く。

('A`)「2年ぶりだな・・・」

 この2年、狂ったように働き詰めだったので正月にも家に帰ることは無かった。
 そして、その結果がこれだ。

('A`)「タクシー拾って行くか」
川 ゚ -゚)「あぁ」

 駅の付近でタクシーを拾い、カーチャンが入院している病院へ向かう。
 20分ほどで病院には着き、カーチャンの病室へと向かう。
 そして、病室を見つける、ドア横のプレートにはカーチャンの名前が書いてある。

('A`)「・・・」

 無言でドアを開ける。
 部屋の中にはカーチャンとトーチャンが居た。

J( 'ー`)し「あら、ドクオ・・・お見舞いに来てくれたの?」
('A`)「カーチャン・・・!」
36 :1 ◆RPjlOvKrTo :2007/09/13(木) 23:30:30.03 ID:cDp2WNxh0
('A`)「カーチャン、大丈夫なのか!?」
J( 'ー`)し「えぇ、ちょっと疲れちゃったのかしらね、心配かけてごめんね」

 カーチャンの顔を見ると少しやつれている様にも見える。
 だが、その姿は2年前と変わらない、柔らかい笑顔のカーチャンだった。

('A`)「ごめん、2年も家に帰らなくて・・・」
J( 'ー`)し「いいのよ、ドクオもお仕事頑張ってるんでしょ? 毎月お金を送ってくれてありがとうね・・・」

 ふとカーチャンの顔がクーの方を向く。

J( 'ー`)し「初めまして、貴方がクーちゃんね、ドクオから何度か話は聞いていたわ」
川 ゚ -゚)「初めましてお母さん」
J( 'ー`)し「ふふっ、ホントドクオが言ってた通り美人で良い子みたいね」
川 ///)「いえ、そんな・・・」

 クーが少し頬を赤らめてうつむく。
 カーチャンはクスクスと笑い話を続ける。

J( 'ー`)し「ドクオも幸せね、こんな良いお嫁さんを見つけるんだから」
('A`)「待て、まだ結婚してな」
J( 'ー`)し「同居してるんでしょ? ほとんど同じよ、私とお父さんもそんな感じだったから」
('A`)「マジカヨ・・・」

 やべえ、素が出始めてる。
43 :1 ◆RPjlOvKrTo :2007/09/13(木) 23:35:25.12 ID:cDp2WNxh0
 ふと気づくとトーチャンが病室から居なくなっていた。

('A`)「ちょっとトーチャン探してくる」
J( 'ー`)し「はいはい」

 カーチャンとクーを病室に残しトーチャンを探す。
 しばらくしたあと病院の庭にトーチャンを見つける。

('A`)「どうしたんだよ、急に病室から居なくなって」

 返事は無い。

('A`)「トーチャン?」
 _、_
( ,_ノ` )「カーチャンはな、もう長くない・・・」

 いきなりだった。
 突然過ぎて返事も出来ない、いや考えることも出来なかった。

('A`)「どういうことだよ・・・」
 _、_
( ,_ノ` )「長くなるぞ、そして辛くなるぞ、それでもいいか・・・?」
('A`)「聞かせてくれ」

 トーチャンから事の次第を聞くことになった・・・。
49 :1 ◆RPjlOvKrTo :2007/09/13(木) 23:43:54.56 ID:cDp2WNxh0
〜難しい話苦手なので割愛〜

('A`)「癌・・・」
 _、_
( ,_ノ` )「脳に出来てる、その上もうかなり転移して摘出は無理だと」
('A`)「カーチャンが・・・」

 あの優しかったカーチャンが・・・。
 癌で、長くない・・・。
 嘘だ・・・嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!
 _、_
( ,_ノ` )「ドクオ・・・」
('A`)「カーチャンが、カーチャンが死ぬなんてありえるはずねーだろ!」

 周りに人が居ないとはいえ、これだけの大声を出せば誰か気づくだろう。
 トーチャンが目の前に近づいてきて俺を殴り飛ばす。

('A`)「がっ・・・!?」

 地面に倒れたがすぐのトーチャンを睨みつける。
 しかし、トーチャンの顔に見えたのは怒りの表情ではなく悲しみの表情。
 _、_
( ,_ノ` )「俺だってな・・・、変われるもんなら変わってやりてえんだよ!」
('A`)「トーチャン・・・」
53 :1 ◆RPjlOvKrTo :2007/09/13(木) 23:49:09.09 ID:cDp2WNxh0
 手術はしないとのこと、いやできないらしい。
 発見が遅かった、もっと早く、いやもう少しでも早く気づいていれば・・・。
 その日はトーチャンが病院に残り、俺とクーは俺の実家へと向かった。

('A`)「・・・」
川 ゚ -゚)「どうしたドクオ・・・?」
('A`)「いや、なんでもない」

 クーにはまだ伝えていない。
 このことを知っているのは俺とトーチャンだけ。
 家へ向かう道は、俺が家を出た5年前と変わりは無く。
 所々閉じた店があるくらいだった。

('A`)「着いたぜ」

 家の鍵を開ける。
 家の中も変わりは無く、昔のままだった。
 少し家の中を探ると、俺の部屋も残っていた。

川 ゚ -゚)「ここが、ドクオの実家か・・・」
('A`)「こんなときじゃなければな・・・」

 もっと、ちゃんとした時に来たかった。
 カーチャンにクーを紹介して、昔の話をして笑いあって。
 でも・・・、それが今後出来るかどうかはわからなくなってしまった・・・。
61 :1 ◆RPjlOvKrTo :2007/09/13(木) 23:55:48.45 ID:cDp2WNxh0
 晩飯を食べてないと思い、台所へ向かう。
 ふと、コンロの上に鍋が置いてあることに気づいた。

('A`)「カーチャンが何か作ったのかな・・・」

 鍋の蓋を開けるとカレーが見えた。
 ご飯は炊いてあったのでカレーを温めなおしそれを食べた。

('A`)「・・・美味い」
川 ゚ -゚)「本当だ、凄く美味しい」

 今思うと、俺はこんな美味い料理をずっと食べさせて貰っていたんだなと気づく。
 でも、考えが悪い方悪い方へと向かってしまう。

川 ゚ -゚)「ドクオ・・・?」
('A`)「どうした?」
川 ゚ -゚)「何で泣いてるんだ?」

 自分でも気づかなかった、鏡を見ると涙に頬を濡らしている自分の顔。
 無意識に泣いていた、カーチャンが死んでしまうかもという事実に・・・。

川 ゚ -゚)「お母さんに何かあったのか・・・?」
('A`)「聞いてくれるのか・・・?」
川 ゚ -゚)「あぁ、遠くない未来で私のお母さんにもなる人だからな・・・」
('A`)「そっか」
 
 クーの言葉に後押しされ、俺はクーに俺が聞いたこと全てを伝えた。
67 :1 ◆RPjlOvKrTo :2007/09/14(金) 00:04:31.21 ID:ZuSCyIJZ0
〜割愛〜

川 ゚ -゚)「・・・」
('A`)「俺は、カーチャンに何かしてやりたい、いやしなきゃいけない」
川 ゚ -゚)「あぁ、私も協力する」

 時計を見ると深夜1時、早く寝て明日カーチャンのところへ向かわないと。

川 ゚ -゚)「何処で寝るんだ?」
('A`)「俺の部屋に布団敷くよ」

 俺は自分の部屋に布団を運び込みそれを敷いた。
 一組しか敷いてないのは無かったからじゃなくクーが一つでいいと言ったから。

('A`)「それじゃ、おやすみ」
川 ゚ -゚)「あぁ・・・」

 クーが布団の中で俺の手をギュッと握る。
 俺もそれに答えるように手を握り返す。
 そして、そのまま眠りに着いた・・・・。

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