- 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/02(水) 21:53:55.49 ID:h2lOInqu0
- 数日前からクーの様子がおかしい。
何か隠し事をしているみたいな、俺に言えないことがあるようで・・・。
ただ、無理に問いただす気は無い、でも気になって仕方が無い。
('A`)「クー」
川 ゚ -゚)「・・・」
テレビを見ているクーを呼ぶが返事が無い。
何か上の空のようで、俺の声が届いてないようで・・・。
('A`)「クー」
川 ゚ -゚)「ん、なんだ?」
('A`)「どうした、最近変だぞ・・・?」
川 ゚ -゚)「そうか、別にそんなつもりは無いんだが・・・」
やっぱり、変だ。
あと1週間で高校の卒業式だ。
今更だが、俺はクーの進路をまったく聞いていない。
ブーンやツンは知っているのだが、クーだけがまったく分からない。
ブーン達に聞いても、適当に流されて終わる。
俺だけが知らない・・・。
別に、クーがどういう進路を歩もうと良いことなのだが。
どうも様子がおかしい。
まるで、俺を避けているみたいな感じがする。
- 4 :\(^o^)/ ◆RPjlOvKrTo :2007/05/02(水) 22:01:36.10 ID:h2lOInqu0
- 1週間の間に何度もクー、ブーン、ツンから真実を聞き出そうとした。
だが、結局何も分からないまま卒業式を迎えてしまった。
/ ,' 3「卒業生の皆が、社会人として一層活躍することを祈って」
校長の話が終わる。
あと1時間ちょっとでこの学校ともお別れになる。
3年間、俺は何かを得られたのだろうか・・・。
いや、得られたんだと思う。
この学校に来なければブーンやツン、そしてクーに出会うことも無かった。
友人と好きな人、2つも大きなものを手に入れたじゃないか。
(`;ω;´)「お前達が全員卒業できて、俺は嬉しいぞ!!」
教室に戻るとシャキン先生が泣きながら笑っている。
正直気持ち悪い、いや、でもそれがシャキン先生の良いとこなんだが。
生徒の為に一生懸命で、それでいて生徒のことを信頼している。
先生のおかげで何度助けられたことか。
最初はDQNも多かったクラスだが、今じゃほとんど居ない。
それもこれもシャキン先生の努力のおかげだろう・・・。
(`・ω・´)「じゃ、最後は笑ってお前たちを送り出すからな!!」
そんなわけで、この学校での生活が終わった。
- 5 :\(^o^)/ ◆RPjlOvKrTo :2007/05/02(水) 22:06:54.13 ID:h2lOInqu0
- 荷物をまとめる。
といっても、今日貰った卒業証書ぐらいしか荷物が無いのだが。
手提げ鞄にそれを投げ込み教室を出る。
下駄箱から出て校門の所に行くとブーン達が居た。
( ^ω^)「ドクオ来たお」
ξ゚听)ξ「まったく、何してたのよ!」
('A`)「いや、別に、何も・・・」
ξ゚听)ξ「ほら、卒業記念で写真撮るんだからこっち来なさい!」
('A`)「写真は嫌いだと(ry」
( ^ω^)「逃がさないお」
ブーンに後ろから羽交い絞めにされ連れて行かれる。
ヤメロ、俺は写真を撮られることが大嫌いなんだ!!
('A`)「ギャー!!」
( ^ω^)「諦めるお」
ξ゚听)ξ「さ、このバカが逃げないうちに撮りましょ」
川 ゚ -゚)「そうだな」
ツンがそこら辺の生徒にカメラを押し付ける。
その生徒はかなり戸惑っている。
いや、そりゃそうだろ、学園1,2を争う美人が俺たちみたいなのと居るんだからな。
とか何とか思いつつも結局写真は撮られてしまった。
- 7 :\(^o^)/ ◆RPjlOvKrTo :2007/05/02(水) 22:15:28.82 ID:h2lOInqu0
- で、写真を撮ったあと帰路に着いた。
なんていうか、これからもあのテンションで付き合うのかと思うと気が滅入る。
そして、家に着く。
制服を着替えベッドに座る。
今更だが、本人に直接聞こうと思う。
クーの進路を、何に進むのかということを。
('A`)「クーちょっと話があるんだ」
川 ゚ -゚)「ん、私も話があるんだが・・・」
('A`)「ならクーから」
川 ゚ -゚)「いや、ドクオからでいい」
謙虚というのか、なんというのか・・・。
まぁ良い、どちらにせよ聞くんだ。
('A`)「クーの進路って何なんだ?」
川 ゚ -゚)「そのことか、私もそのことで話をしようと思っていたんだ」
('A`)「そうだったのか・・・」
ややクーの表情が曇る。
やはり、何か隠しているのだろうか・・・。
川 ゚ -゚)「話が長くなりそうだから飲み物入れてくるよ」
('A`)「あぁ・・・」
- 8 :\(^o^)/ ◆RPjlOvKrTo :2007/05/02(水) 22:19:37.60 ID:h2lOInqu0
- クーがコーヒーを置く。
それを取って自分の方へ寄せる、まだ飲まない。
川 ゚ -゚)「ずっと黙ってて悪かったんだが・・・」
('A`)「・・・」
川 ゚ -゚)「私は留学するんだ・・・」
('A`)「そっか、留学するのか」
クーは驚いた表情を見せる。
俺も自分で思うが、なんでこんなに冷静なんだろうか。
先に覚悟が出来ていたからかな・・・。
川 ゚ -゚)「驚かないのか・・・?」
('A`)「大体予想はついてた、クーに変な心配もかけたくないしな」
川 ゚ -゚)「でも、あっちに行ったら数年は会えなくなるんだぞ・・・」
('A`)「会えないなら会えないなりに出来ることはあるだろ?」
電話でも、手紙でも、連絡を取る手段は幾らでもある。
ただ、目の前に、本人が居ないだけだ・・・。
川 ゚ -゚)「ドクオは・・・、私が居なくなってもいいのか・・・?」
('A`)「そんなわけ無い」
川 ゚ -゚)「ならどうして・・・」
('A`)「クーの決めた道だろ、それをとやかく言う気は無いし、止めたくも無い」
- 9 :\(^o^)/ ◆RPjlOvKrTo :2007/05/02(水) 22:24:57.07 ID:h2lOInqu0
- だが、内心は違った。
クーに行って欲しくない、ずっと一緒に居て欲しい。
それだけがずっと俺の心の中にあった。
でも、クーは留学するという道を決めた、止める道理は無い。
川 ゚ -゚)「そう・・・か・・・」
('A`)「いつ出発するんだ?」
川 ゚ -゚)「今日の・・・、17時8分発の飛行機だ・・・」
('A`)「あと3時間か・・・」
机に置かれたコーヒーを飲む。
苦いものが俺の口を、そして喉を通りすぎる。
川 ゚ -゚)「すまなかった、こんなギリギリまで言わなくて・・・」
('A`)「いや、言いにくいことだってのは分かってるさ・・・」
そこから言葉が出ない。
何を言っていいのか、何を伝えればいいのかまったく分からなくなった。
ずっと、一生会えないわけじゃないと考えると何だか頭がおかしくなってきた。
どうすればいいんだろうか、こんなときに限って言葉が出なくなる。
('A`)「うっ・・・」
急に眠気が襲ってくる、酷い睡魔だ・・・。
- 11 :\(^o^)/ ◆RPjlOvKrTo :2007/05/02(水) 22:32:07.25 ID:h2lOInqu0
- 〜こっからクー視点〜
ドクオがバタリと床に突っ伏す。
コーヒーに入れた睡眠薬の効果が出たようだ。
あらかじめツンに貰っておいたものだが、自分でも思う、私は卑怯だ。
ドクオに涙を見られたくない、別れる時にドクオに会いたくないという思いでドクオを眠らせた。
時間を見るとあと2時間で飛行機の時間だ、準備はもう出来ている。
ブーンとツンは見送りをしてくれると行っている、ただドクオだけには来て欲しくなかった。
だから眠らせた、自分が会いたくないと言う自分勝手な理由で。
そうしないと、決心が揺らいでしまいそうだったから。
私の留学先はイギリス、行ってしまえ最低2年は戻れない。
両親に無理を言い、今まで自分が溜めてきた貯金を使い果たしてでも行くイギリス。
正直、何故自分が留学と言う道を選んだのか分からない。
でも、やりたいことがそこにあるからという気持ちで選んだのだ。
だが、何度も留学とドクオを天秤にかけた。
幾度も決心が揺らぎそうになったこともあった。
だから、ドクオの優しさが辛かった、ドクオの思いが辛かった。
川 ゚ -゚)「ドクオ・・・」
床に突っ伏して寝ているドクオを起こす。
そして、壁に背をつけさせ座らせる。
川 ゚ -゚)「本当に・・・、ごめんなさい・・・」
眠るドクオの口にキスをした。
- 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/02(水) 22:36:26.32 ID:h2lOInqu0
- ドクオの家から出てツンの家へ向かう。
ツンが私を空港まで送ってくれるというので頼んだ。
ツンの家に行くとブーンとツンが家の前に立っていた。
ξ゚听)ξ「クー、ドクオは?」
川 ゚ -゚)「眠らせてきた、すまなかったな」
ξ゚听)ξ「アナタ、それで本当にいいの・・・?」
川 ゚ -゚)「あぁ、私が決めたことなんだ・・・」
( ^ω^)「ドクオきっと怒るお・・・」
川 ゚ -゚)「それも覚悟の上だ・・・」
そういって荒巻さんが運転する車に乗る。
荷物を裏に乗せ荒巻さんが運転席に座る。
ξ゚听)ξ「いいわよ、出して頂戴」
/ ,' 3「はいお嬢様」
そして、車が動き出す。
私の住んだ町が、ツンの家が、ドクオの家が段々と遠ざかっていく。
たった2年だ、それさえ我慢すればここに戻ることが出来る。
そのときは・・・、ドクオに伝えないといけない。
今日私がやったことを謝り、そして・・・。
川 ゚ -゚)「さよなら・・・」
- 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/02(水) 22:41:42.55 ID:h2lOInqu0
- 〜こっからドクオ視点〜
(*゚−゚)「あれ、お兄ちゃんなんでそんなところで寝てるの?」
肩を誰かに揺すられる、ハッと目が覚めた。
目の前を見ると仕事から帰ってきたしぃが居た。
(*゚−゚)「どうしたのおにいちゃん?」
('A`)「あれ・・・、俺なんで・・・クーは!?」
(*゚−゚)「お姉ちゃんは居ないよ?」
('A`)「クソッ!」
時計を見ると4時10分。
ここから空港まで車で30分かかる、自転車で間に合うか!?
いや、考えてる余裕なんか無い、すぐに出ないと!
('A`)「しぃ、ちょっと出かけてくるから留守頼むぞ!」
(*゚−゚)「う、うん・・・」
そういって俺は家を飛び出した。
自転車に跨り空港までの道を大急ぎで走り出す。
あと58分、それまでに空港にたどり着いてクーと話さないと!
俺だけ見送れないなんてそんなことさせない。
何が何だろうと空港までたどり着いてやる・・・!
- 16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/02(水) 22:47:16.90 ID:h2lOInqu0
- 〜ここからクー〜
時間は16次45分、あと20分程度で行かなければならない。
ドクオが居るはずも無く、見送りに居るのはブーンとツンだけだ。
ξ゚听)ξ「クー、気をつけてね・・・」
( ^ω^)「ブーン達も連絡するお」
川 ゚ -゚)「あぁ、ありがとう・・・」
刻一刻と時間は迫ってくる。
本当に、私のしたことは正しかったのだろうか・・・。
ただの独りよがりでドクオの気持ちを考えていなかったんじゃないだろうか・・・。
だが、今更公開しても遅いだろう。
私のしたことが間違っていたとしても、それはもう取り戻せないことだ。
ξ゚听)ξ「クー?」
川 ゚ -゚)「ん・・・?」
ξ゚听)ξ「やっぱり、ドクオのこと・・・」
川 ゚ -゚)「いいんだ、私だって悪いと思っているが・・・」
ξ゚听)ξ「今からでも連絡したら?」
川 ゚ -゚)「いや、それはダメだ、そうしたら私は留学をやめてここに留まってしまう」
そう、今ドクオに会えば私の決心は壊れる。
留学という道を自分自身で崩してしまうことになる。
- 18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/02(水) 22:55:14.21 ID:h2lOInqu0
- 〜またドクオか〜
なんとか空港まで着いた。
時間は16時56分、あと12分しか時間が無い。
空港の中へと入りクーを探す。
だが、人の多さと搭乗口の多さで場所が全く分からない。
17時8分発の飛行機がどこか分かれば・・・。
電光掲示板を見る、17時8分発は一本だけだ。
イギリス行きの飛行機、搭乗口は2番。
すぐに走り出した。
そして、しばらく走ると2番の文字が見える。
周りを見回す、そしてブーンとツンの姿を見つけた。
( ^ω^)「ドクオだお!」
ξ゚听)ξ「アンタ、来てたの!?」
('A`)「クーは!?」
ξ゚听)ξ「クーならそこに」
ツンが指差した方を見るとクーが居た。
クーの近くまで歩みよる、そしてクーの肩を叩く。
川 ゚ -゚)「ドクオ・・・!?」
('A`)「遅くなったな、見送りに来たぜ・・・」
川 ゚ -゚)「バカ・・・、来て欲しくないから眠らせたというのに・・・」
- 24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/02(水) 23:18:30.69 ID:h2lOInqu0
- クーの顔を見たらまた言葉が出なくなった。
でも、ここまで来たんだ、言うしかないだろ。
('A`)「クー」
川 ゚ -゚)「何だ・・・」
('A`)「俺、ずっと待ってるからな」
川 ゚ -゚)「ドクオ・・・」
クーが急に泣き出す。
ダメだ、女の涙ってのは卑怯すぎる。
('A`)「な、泣くなよ」
川 ゚ -゚)「嬉しいんだ、ドクオがそういってくれて・・・」
('A`)「そうなのか?」
川 ゚ -゚)「うん・・・、私も、絶対戻ってくるからな・・・」
('A`)「あぁ、2年なんてあっという間だ」
川 ゚ -゚)「うん・・・」
そういうとクーは俺の頬にキスをした。
そして、涙ぐんだ目のまま俺のほうを見て笑う。
川 ゚ ー゚)「じゃあ、行って来ます」
('A`)「行ってらっしゃい・・・」
まるで、家から少し出かけるような気持ちで。
俺は、遠くへ行くクーを見送った。
- 28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/02(水) 23:26:08.85 ID:h2lOInqu0
- ξ゚听)ξ「ドクオ・・・」
( ^ω^)「ドクオ・・・」
2人に呼ばれて振り向く。
( ^ω^)「・・・」
ξ゚听)ξ「くすくす・・・」
2人が俺の顔を見て笑い出す。
俺の顔何か変だろうか・・・?
ξ゚听)ξ「アンタ、涙と鼻水でグシャグシャよ!」
( ^ω^)「これは酷い」
('A`)「まじか」
ξ゚听)ξ「これ貸してあげるから拭きなさい」
ツンにハンカチを渡される。
それで涙と鼻水を拭いて顔を離す。
ξ゚听)ξ「あーあ、汚くなっちゃったからもういらないわね」
ツンはそれをゴミ箱に捨てた。
何気に酷くないか・・・、それ・・・?
('A`)「さて、帰るか・・・」
- 29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/02(水) 23:30:51.39 ID:h2lOInqu0
- クーは遠くへ行ってしまったが俺の心に未練はない。
むしろ、遠くへ行くクーを祝福する気持ちのほうが大きかった。
ξ゚听)ξ「ほら、アンタの自転車積んであげたから一緒に帰るわよ!」
( ^ω^)「ブーンお腹空いたお・・・」
ξ゚听)ξ「仕方ないわね、途中で何か食べさせてあげるわよ」
( ^ω^)「やったお、ツン大好きだお!」
ξ///)ξ「な、何よ、別に全然嬉しくなんかないんだから!!」
まったく、夫婦漫才かあいつらは・・・。
クーの乗った飛行機が空へ飛んでいく。
クーから俺たちは見えているのだろうか・・・。
2年後、俺はどうなっているのだろうか。
そして、クーは・・・。
('A`)「また、2年後にな・・・」
そういってクーの乗った飛行機に手を振る。
段々と遠ざかり見えなくなった飛行機。
あとに残ったのは飛行機雲だけだった。
('A`)「ずっと、待ってるからな・・・クー・・・」
そうして、俺の高校生活は終わりを告げた。
('A`)の青春は皆と共にあるよふです END
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