150 : 農業(愛知県) :2007/03/14(水) 11:48:41.97 ID:WHoIjnpn0
 日曜日の朝。
 やることもなくベッドの中をもぞもぞと這い回る。

('A`)「もう、10時か・・・」

 ベッドからノロノロと起き出し、PCの前に座る。
 電源を付け、ニュースやらなんやらを見始める。

('A`)「えーっと・・・火事があったのか、ご愁傷様だな」

 地域ニュースを見ていると、結構遠くないところで火事があったらしい。
 不審火ということもあって、放火などを念頭に入れて調べているみたいだ。

('A`)「怖い世の中だな、うちのアパートなんて火つけられたら全焼だろうな」

 木造2階、合計6部屋のボロアパート。
 家賃の安さだけで選んだが、もうちょっと考えるべきだったか。

('A`)「まぁ、カーチャンたちにそんな無理はさせれないしな」

 早く就職して、一人立ちできるようになりたい。
 そしてカーチャンたちを楽にさせてやりたい。
 そんな気持ちで過ごしている高校3年の夏。
 ピンポーンと突然家のベルがなる。

('A`)「はいはーい」

 ドアを開けるとクーが居た。
152 : 農業(愛知県) :2007/03/14(水) 11:53:50.68 ID:WHoIjnpn0
('A`)「・・・」
川 ゚ -゚)「やぁ、元気にしてたか」
('A`)「昨日会ったばかりじゃないですか」

 クーはジャージに旅行用かばんのようなものを持って立っていた。

川 ゚ -゚)「とりあえず入れてもらえないか?」
('A`)「あぁ、どーぞどーぞ、何も無い部屋ですが」

 そんなことを言ってクーを家に上げる。

('A`)「で、こんな休日の朝っぱらからそんな大荷物でどうしたんだ」
川 ゚ -゚)「実はな、うちが火事になってしまったんだ」
('A`)「ほぉ、それはご愁傷様・・・って、なにぃ!?」

 さっきのニュースはクーの家だったのか!?
 途中までしか送ってないから全然気づかなかった。

('A`)「それで、その大荷物と」
川 ゚ -゚)「まぁ、そういうわけだな」

 こりゃご愁傷様とか言ってる場合じゃないだろ。

('A`)「どーするんだよ、これから」
川 ゚ -゚)「うん、それなんだが」
川 ゚ -゚)「しばらくここに住まわせてくれないか?」

 ザ・ワールド!時よ止まれ!
154 : 農業(愛知県) :2007/03/14(水) 12:01:48.52 ID:WHoIjnpn0
('A`)「what?」
川 ゚ -゚)「日本語でおk」
('A`)「いやいやいやいや、まてまてまてまて、ごっすんごっすんごすんくぎ」
川;゚ -゚)「大丈夫か・・・?」

 クーが俺の家に住む?
 いや、同年代の女の人が俺の家に?
 これなんてエロゲ?

('A`)「これなんてエロゲ」
川 ゚ -゚)「口に出てるぞ」

 いや、凄くうれしいことなんだろうが、いやな、世間の目が。
 それに気になることもある。

('A`)「親御さんたちはどうしたんだよ」
川 ゚ -゚)「母方の実家に戻っているらしい、私は学校があるから残った」
('A`)「そして、なぜ俺の家」
川 ゚ -゚)「いや、知り合いで一人暮らしで学校に行ける場所がここしかなかったんだ」
('A`)「いや、でもな、こういうのは世間の目があるし、それにもし俺が獣になったらどうするんだ」
川 ゚ -゚)「大丈夫だ、君にそんな度胸があるとは思えない」
('A`)「あたりです」
157 : 農業(愛知県) :2007/03/14(水) 12:11:42.26 ID:WHoIjnpn0
('A`)「・・・」
川 ゚ -゚)「・・・」

 何となく気まずい空気が流れる。

('A`)「その話はさ」
川 ゚ -゚)「あぁ」
('A`)「親御さん許してくれてるのか?」
川 ゚ -゚)「一応はな」
 
 あぁ、そうですか、親御さんの承認済みですか。
 俺逃げようがないじゃないか。

川 ゚ -゚)「で、どうなんだ?」
('A`)「どうなんだといわれても・・・」
川 ゚ -゚)「とめてくれるなら3食うまいものを作ってやる」
('A`)「おk、把握した」

 まぁ、ここで追い返すのもかわいそうだ。
 どうせ、何か手違いが起こるわけでもないし。
 学校では内緒にしておけばいいだろう、うまい飯も食えるしな」

川 ゚ -゚)「ありがとうドクオ、君ならそういってくれると思ってたよ」
('A`)「それはありがたいことで」

158 : 農業(愛知県) :2007/03/14(水) 12:19:17.37 ID:WHoIjnpn0
 まぁ、結局は人が一人増えたってだけで特に日常が変わるわけでもない。
 クーはベッドの上で漫画を見て、俺はパソコンの前でだらだらと2ちゃんを徘徊している。

('A`)「・・・」
川 ゚ -゚)「・・・」

 会話が無い、というか俺から話し辛い。
 昨日あんなこと言われたばっかだっていうのに、今は同棲状態。
 何かね、俺は死亡フラグたてまくりなんじゃないか。
 そういえば、今日はブーンの家の行くつもりだったが。
 この状態であのエロ本を持って家を出る自信が無い。
 というか、留守の間にエロ本やらエロゲを見られたら言い逃れ出来ないだろう。

川 ゚ -゚)「ドクオ・・・」
('A`)「んぁ?」

 間の抜けた声で返事をする。

川 ゚ -゚)「私が来たのは、その、迷惑だったか・・・?」
('A`)「いや、別に」

 むしろ大歓迎です、俺の部屋に一輪だけ花が咲いてるようなもんだ。

川 ゚ -゚)「そうか、それなら良かった」
('A`)「あんま気にスンナって、困ったときはお互い様だろ」
160 : 農業(愛知県) :2007/03/14(水) 12:29:35.47 ID:WHoIjnpn0
 時計を見るともう12時だった。

('A`)「そろそろ飯食うかな」
川 ゚ -゚)「私が作ってやろう」
('A`)「いや、でも冷蔵庫の中ろくなもの無いぞ」
川 ゚ -゚)「ふふふ、私を甘く見るな」

 そういってキッチンに向かったクーは冷蔵庫の中を見回した。
 そして、適当に材料を取ると、料理を始めた。

('A`)「・・・」

 なんだか、後姿がカーチャンに似てるな、とか思った。
 もともと、カーチャンたちに負担をかけたくないから、という理由で、こんな遠い場所の学校を受けた。
 近くに居れば何かと甘えてしまう、そんな感じがしたから。
 何とか勉強をがんばり、ギリギリで奨学生になることもできた。
 だから、今カーチャンたちにやってもらっているのはこの家の家賃だけ。
 それ以外の生活は全部一人でやっている。
 いや、でも今ではやっていたになるのだろうか。
 今俺の部屋にはクーがいる、クーがいるだけだが雰囲気が変わった。

('A`)「俺、寂しかったのかな・・・」

 そんなことも思ったりした。

161 : 農業(愛知県) :2007/03/14(水) 12:39:26.93 ID:WHoIjnpn0
川 ゚ -゚)「お粗末さまでした」
('A`)「ごちそうさまっと」

 昼飯を食べ終え、食器を流しに置く。
 ベッドの上に座ると、横にクーが座った。

('A`)「・・・」
川 ゚ -゚)「・・・」

 なんだかなぁ。
 最初はゲーセンで出会っただけだったのに。
 気づけば好意だとか、惹かれるとかそんな話になってる。
 正直、今まで女の人と話したことなんてカーチャンぐらいしかない俺にとっては新鮮すぎる出来事だ。
 ましてや、今横には美人で優等生、そしてゲームが好きなクーが座っている。
 普通の男なら押し倒すだろ、いや、やらないが。
 ふと、家の外から階段を駆け上がる騒々しい音がする。

('A`)「まさか」

 ドアがバンと開けられ、ブーンが叫びながら飛び込んできた。

( ^ω^)「きしめええええええええええええん!!!!」

 バカでした。

162 : 農業(愛知県) :2007/03/14(水) 12:46:17.01 ID:WHoIjnpn0
( ^ω^)「お?なんでクーがいるんだお?」
('A`)「いやな、これにはふかーいわけが」

 とか話してる後ろで息を切らせたツンが現れた。

ξ゚听)ξ「まったく、ブーンたら先に言っちゃうんだから」
('A`)「おーう、お前らはデートか?」
ξ///)ξ「べ、べつに私が行きたいって言ったんじゃないからね!」
ξ゚听)ξ「あれ?」
川 ゚ -゚)「やぁツン」
ξ゚听)ξ「なんでクーがここにいるの?」
('A`)「事情はなすから、とりあえず入れ、狭いgが」

 ベッドの上にツンとクーが座り、俺はパソコンの椅子、ブーンは床に座っている。
 俺とクーで大まかな事情を話し終えると、ツンが話し始めた。

ξ゚听)ξ「いつの間にそんな仲になったのよ」
('A`)「いつの間にって、ゲーセン行ってる間になぁ」
川 ゚ -゚)「まぁ、そんな感じだ」
( ^ω^)「ブーンも行ってたお!」

 なんというか、騒がしい。
 だが、不思議と気分は晴れやかだった。
164 : 農業(愛知県) :2007/03/14(水) 12:57:12.49 ID:WHoIjnpn0
川 ゚ -゚)「まぁ、そんなわけで居候中ってことだ」
ξ゚听)ξ「へぇー、ドクオ、クーに手出したら沈めるからね」
('A`)「沈められたくないのでやりません」
( ^ω^)「おっおっおっ」

 俺の部屋にブーン以外が来るのって初めてだよな。
 ましてや、学校で1,2を争う美人の二人が。

('A`)「それより、お前らデート中じゃなかったのか?」
( ^ω^)「お」
ξ゚听)ξ「それもそうね、ブーン行くわよ!」
( ^ω^)「おっ!ドクオ、また明日学校でだおー」
('A`)ノシ「おーう、じゃーなー」

 ツンにずるずると引きずられながら出て行くブーンに手を振りドアを閉める。

川 ゚ -゚)「なかなかいいことするじゃないか」
('A`)「まぁ、あのままじゃいつまでもここに居ただろうからな」

 デートの邪魔なんかしたら、ツンに沈められてしまう。
 現に一回アイアンメイデンの刑を食らった、あのときは死ぬかと思ったぜ。

('A`)「なんか、急に静かになったな」
川 ゚ -゚)「そうだな」

 でもって、満腹のせいか、眠気も襲ってきた。
168 : 農業(愛知県) :2007/03/14(水) 13:06:25.14 ID:WHoIjnpn0
('A`)「ハッ」

 やばい、あの後寝てたのか、全然気が付かなかった。
 うーん、と寝返りを打つと、目の前に見慣れた顔。

('A`)「・・・」
川 - -)「・・・」

 あれ、目の前にクーがいる。
 あれ、これベッドの中だよね、うんベッドの中だ。
 あれ、これって添い寝してるってことか・・・?

('A`)「くぁwせdrftgyふじこlp;@」

 ベッドから豪快に転げ落ちた。
 なぜ俺がクーと添い寝をしている。
 なんでだ、なんでだろー!?

川 ゚ -゚)「ん・・・起きたのか?」
('A`)「俺は何もやってない、俺は無実だ!」
川;゚ -゚)「何を言っているんだ?」

 そのあと、俺が混乱で暴走しているのをクーがとめていた。
 凄く悪かったと思う。
172 : 農業(愛知県) :2007/03/14(水) 13:20:31.13 ID:WHoIjnpn0
川 ゚ -゚)「それにしても、添い寝ぐらいで驚いてどうする、今夜寝れなくなるぞ」
('A`)「今夜って、まさかまた添い寝するつもりですか?」
川 ゚ -゚)「そうじゃないと寝れないだろ」
(;'A`)「いやいやいやいや、もうひとつ布団あるから、俺下に敷いて寝るから」
川 ゚ -゚)「普通逆じゃないか?」
('A`)「女に苦労かけさせるわけにはいかんだろ」

 うは、俺くせえええ。

川 ゚ -゚)「その発言はいただけないが、まぁドクオのやさしさは受け取っておこう」
('A`)「あざーす」

 時計を見ると4時を指していた。

('A`)「晩飯の材料でも買いに行くか」
川 ゚ -゚)「私も付き合おう」

 学校のやつらに見つかると面倒なので学校とは正反対のスーパーへ向かう。
 スーパーにつき、自転車を止めると、クーがかごを持って待っていた。

川 ゚ -゚)「ドクオは何が食べたいんだ?」
('A`)「あー、さっぱりしたものがいいな」
川 ゚ -゚)「もう夏バテか?」
('A`)「普段からこんなんだよ」

 そんなたわいも無い会話をしながら買い物を続けていた。
177 : 農業(愛知県) :2007/03/14(水) 13:30:31.31 ID:WHoIjnpn0
('A`)「まぁ、こんなもんか」
川 ゚ -゚)「ドクオ、もうちょっと考えて物は買ったほうがいいぞ」
('A`)「サーセン」

 レジへ付くと見慣れた顔が二つあった。

( ><)「合計1920円なんです!ありがとうございましたなんです!」
(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ、ちんぽっぽ、ちんぽぽちんぽちんぽっぽ」
('A`)「・・・」

 あの二人、こんなとこでもバイトしてたのか。
 目を合わせないように他のレジへと向かった。

(・∀・)「合計3060円になります」
('A`)「はい」

 財布から3000円と100円を出して置く。

(・∀・)「40円のお返しでーす」

 お釣りを受け取るとクーが買い物袋を持って待っていた。

('A`)「早いんだな」
川 ゚ -゚)「慣れてるからな」

 そんなこんなで帰路へと着いた。

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