86 : わさび栽培(愛知県):2007/03/15(木) 18:22:33.96 ID:oF87w8iE0
 いつの間にか奇妙な顔のクースレになったんです><

川 - -)「ううん・・・」

 目を開けるとコンロの前にドクオが立っている。

川 ゚ -゚)「あれ、ドクオ、今日は早起きだね」
('A`)「たまにはそんな日もあるさ」

 何か、奇妙な感じがする。
 何か隠しているのか、ドクオは・・・?

('A`)「あー、洗濯物干さないとな」
川 ゚ -゚)「私がやっておこう」
('A`)「頼んだ」

 ドクオからかごを渡され家の外の洗濯機を開ける。
 洗い終えたものをかごに入れると家の中に戻った。
 洗濯物を干していると、ドクオが学校へ行く準備をしている。

川 ゚ -゚)「洗濯物干し終わったよ」
('A`)「dクス」
川 ゚ -゚)「君は定期的に変な喋り方をするな」
('A`)「くs」
川 ゚ -゚)「直せ」
('A`)「はい」
89 : わさび栽培(愛知県):2007/03/15(木) 18:29:24.97 ID:oF87w8iE0
('A`)「じゃあ、俺は行くわ」
川 ゚ -゚)「あぁ、いってらっしゃい」
('A`)「いってきますっと」

 ドクオが家を出る、それだけでこの部屋はガランとしてしまう。
 ドクオも、ずっと同じ気持ちだったのだろうか。

川 ゚ -゚)「私も準備しないと」

 制服に着替え、カバンに荷物を詰める。
 そして、家を出て鍵をかける。

川 ゚ -゚)「・・・」

 私は、ドクオに依存しているんじゃないんだろうか。
 やはり、優しさに甘えすぎてしまってるんじゃないだろうか。

川 ゚ -゚)「ドクオ」

 でも、そんな考えもすぐにできなくなった。
 このあと、自分に降りかかる出来事なんて想像もできなかった。
 そして、ドクオからあんなことを言われるとも思わなかった。
92 : わさび栽培(愛知県):2007/03/15(木) 18:34:36.02 ID:oF87w8iE0
川 ゚ -゚)「暑いな」

 いつもの道を通る途中ツンに出会った。

ξ゚听)ξ「あら、クーおはよう」
川 ゚ -゚)「ん、おはよう」

 大通りを二人で歩いていく。
 なんだか、今日は気分がすぐれない・・・。

ξ゚听)ξ「クー大丈夫?ふらふらしてるけど」
川 ゚ -゚)「大丈夫、多分寝起きだからだ」

 強がりなんだが。
 風邪でもひいてしまったのだろうか。
 でも、ドクオにもツンにも心配をかけるわけにはいかないし・・・。
 あぁ、頭がボンヤリと・・・。

ξ;゚听)ξ「クー!危ない!!」
川 ゚ -゚)「え?」

 気づいたら目の前に車があった。
 運転手は携帯を手にして気づいていない。
 もう、間に合わない。

ξ;゚听)ξ「クーッ!!!」

 

 

97 : わさび栽培(愛知県):2007/03/15(木) 18:40:09.71 ID:oF87w8iE0
('A`)「ぶるぁ」

 もうすぐ予鈴が鳴る。
 そういえば、いつも早いクーとツンがまだ来ていない。
 何かあったのだろうか。

( ^ω^)「お?携帯がブルブルしてるお」
('A`)「あ、俺の方もだ」

 メールはツンからだった。
 メールを開くと、そこには信じられないことが書いてあった。

ξ;凵G)ξ『クーが、クーが事故に!!』

(;'A`)「なんだってー!?」
(;^ω^)「クーが事故にあったお!?」

 俺は携帯をポケットに突っ込むとカバンも持たず走り出した。

(;^ω^)「先生に事情話してからブーンは行くお!」
(;'A`)「頼んだ!」

 自転車置き場に向かう。
 ちくしょう、ほかの自転車にはさまって出せねえ。

(;'A`)「しかたねえ!!」

 俺はそのまま走り出した。
102 : わさび栽培(愛知県):2007/03/15(木) 18:44:15.14 ID:oF87w8iE0
川 ゚ -゚)「私は、どうなってしまったのだ・・・?」

 周りは真っ暗で、何も見えない。
 怖い、心が押しつぶされそうだ。

川 ゚ -゚)「ドクオ・・・ドクオ・・・」

 呼んでみても返事は無い。
 その声が真っ暗な闇に吸い込まれるだけだった。

川 ゚ -゚)「怖いよ、ここは凄く怖い」

 体が段々と寒くなっていく。
 意識もボンヤリと薄れていく。

川 ゚ -゚)「ドクオ・・・私は、どうなるんだ・・・?」

 ドクオの顔が頭に浮かぶ。
 走馬灯のように浮かんでは消えていく。
 ツン・・・ブーン・・・ドクオ・・・。

川 ゚ -゚)「嫌、だ、私は、まだ死にたくない・・・」

 頭の中が真っ白になった。
109 : わさび栽培(愛知県):2007/03/15(木) 18:49:02.05 ID:oF87w8iE0
(;'A`)「クー!!」

 病室のドアを開け、中に飛び込む。
 そこには椅子に座って泣いているツンと医者らしき人物がいた。

(;'A`)「クー!大丈夫かクー!」
/ ,' 3「少し静かにしなさい、彼女に君の声は聞こえていない!」

 医者に静止させられ、落ち着くとまでは行かないが、混乱は収まった。
 
/ ,' 3「体で目立った外傷は右足の骨折だけだ、しかし頭を打ったのか意識が戻らない」
(;'A`)「クーは、クーは大丈夫なんですか!?」
/ ,' 3「命には何ら問題は無い、だが、下手をするとこのまま意識が戻らないかもしれない・・・」
(;'A`)「・・・」

 それを聞いて愕然とした。
 クーが、もう意識が戻らないかもしれない?
 まだ、人生これからだって言うクーが?

('A`)「ツン・・・」
ξ;凵G)ξ「・・・」

 ツンの顔は泣きじゃくり、グシャグシャになっていた。
 俺だって泣きたい、でも涙が出ない。
113 : わさび栽培(愛知県):2007/03/15(木) 18:53:38.66 ID:oF87w8iE0
 クーの両親は二日後にしか来れないらしい。
 さっき、電話でそう聞いた。
 馬鹿野郎、自分の娘がもう目覚めないかもしれないんだぞ。

ξ゚听)ξ「ドクオ・・・」
('A`)「ん・・・」

 ツンはさっき泣いていたのが嘘のようにいつもの顔をしている。
 でも、その表情は凄く暗く、重かった。

ξ゚听)ξ「クー、どうなっちゃうんだろ・・・」
('A`)「・・・」

 なんていえばいいんだろうか。
 嘘でも絶対治る、とでも言えばいいのだろうか。
 でも、そんな上っ面の嘘じゃどうにもならない。
 クーが戻ってくるわけでもない・・・。

('A`)「クーは・・・」
ξ゚听)ξ「・・・」
('A`)「・・・」

 言葉が出ない、吐き出しそうなくらい気持ち悪い。
 心の鎖がキリキリと締め付けられる。
 痛い、この痛みは何なんだろうか・・・。
133 : わさび栽培(愛知県):2007/03/15(木) 19:34:02.64 ID:oF87w8iE0
(;^ω^)「きたお!」

 病室のドアを開けて、ブーンが入ってきた。

(;^ω^)「シャキン先生に事情は言ってきたお!クーはどうなったんだお!?」
('A`)「・・・」
ξ゚听)ξ「・・・」

 汗をかいているブーンを落ち着かせ、医者から聞いた話しを伝える。

( ^ω^)「クー、もう目を覚まさないのかお・・・」
(#'A`)「ッ・・・!」

 ブーンの胸倉を掴み病室の壁に叩き付けた。

(;^ω^)「ドクオ!?」
(#'A`)「馬鹿野郎!クーが、クーが目を覚まさないはずないだろ!」
(#'A`)「お前も書いただろ!一生友達だって!一人でも欠けちゃ駄目なんだ!」
(;^ω^)「ドクオ・・・」

 ちくしょう!ちくしょう、ちくしょう!
 何で、何でこんなときに限って俺は何も出来ないんだ!
 すぐそこには、いつもと変わらぬ顔で寝ているクーが居るって言うのに・・・。

('A`)「俺たちは・・・結局無力な子供なのかよ・・・」

 悔しかった、ここまで言って泣けない俺を憎く思った。
141 : わさび栽培(愛知県):2007/03/15(木) 19:44:27.80 ID:oF87w8iE0
 寒い。
 真っ暗な闇の中で私はうずくまっている。
 寒さから逃れるように体を丸めて。
 怖いほどの暗闇と心まで凍らされてしまうような寒さ。
 怖いよ、怖いよ。
 生まれて、今までこんな恐怖を味わったことが無い。

川 ゚ -゚)「ドク・・・オ・・・」

 ドクオ・・・?
 誰だっけ、それは。
 ツン、ブーン、名前は浮かぶが顔が思い出せない。
 誰なんだろう・・・。
 とても、大切な人だったはずなのに。
 思い出せない。
 この寒さが私の記憶を削り取っていく。
 削り取られた記憶は闇の中へと消えていく。

川 ゚ -゚)「私は・・・何なんだろう・・・?」

 考えることが苦しくなった。
 苦しむことが辛くなった。
 辛いことが悲しくなった。
 悲しみが・・・無くなった。
147 : わさび栽培(愛知県):2007/03/15(木) 19:53:05.53 ID:oF87w8iE0
 カチコチと病室の時計が時を刻んでいく。
 時計は15時を回っている、学校も終わる時間だ。

('A`)「・・・」
( ^ω^)「・・・」
ξ゚听)ξ「・・・」

 俺たちはずっと無言で病室に居た。
 ツンはクーが横たわるベッドの傍で椅子に座り。
 ブーンはその横に座っている。
 そして、俺は壁に背を預け床に座っている。

ξ゚听)ξ「クー、目を覚まして」

 ツンがお願いしても、クーは目を覚ましてくれない。

( ^ω^)「皆、待ってるお」

 ブーンが言っても、クーは静かに横たわったままだ。

('A`)「・・・」

 そして、俺は何も言葉が出ない。
 まるで口が俺のものでは無いように動かなくなってしまっている。
157 : わさび栽培(愛知県):2007/03/15(木) 20:03:10.38 ID:oF87w8iE0
 時計が21時を回った。
 いつもなら、昨日までならクーと漫画を読みながら喋っていた。
 ゲームをやって楽しく笑っていた。
 でも、そのクーは今、目の前で静かに目を閉じている。

('A`)「クー・・・」

 ブーンとツンは親が心配すると言うので帰っていった。
 俺は、どうせ帰っても一人きりなんだ、だからクーに付き添っている。

('A`)「クー、俺さ、ずっと思ってたんだよ」

 眠るクーの横でなんとか言葉を紡ぎ出していく。

('A`)「俺、クーが家に来てからずっと楽しかった」

 返事は無い。

('A`)「一緒に喋ったりゲームしたりしてるのが凄く嬉しかった」

 返事は無い。

('A`)「クー、俺はお前が居てくれれば良かったんだ」

 返事は・・・無い。
162 : わさび栽培(愛知県):2007/03/15(木) 20:08:15.81 ID:oF87w8iE0
('A`)「もうすぐ、夏休みだろ」

 クーは静かに眠ったまま。

('A`)「皆で、海に行ったりしようとか思ってたんだ」

 俺の話を聞き続ける。

('A`)「夏祭りとか、花火大会とか色々考えてたんだ」

 その顔は安らかで。

('A`)「でも、無理なのかな・・・」

 暖かくて。

('A`)「クーが居なかったら、楽しくないよ」

 柔らかくて。

('A`)「クー、お願いだ」

 普段と変わらない姿で。

('A`)「戻ってきてくれ・・・」

 手をギュっと握った。 
171 : わさび栽培(愛知県):2007/03/15(木) 20:15:59.24 ID:oF87w8iE0
('A`)「クー・・・」

 夏だと言うのに冷たい手を握り続ける。

('A`)「俺は」

 今までずっと言えなかった言葉を伝える。

('A`)「クー、お前のことが好きだ」

 ずっと、悩んでいた。
 拒否されるかもしれないと言う恐怖。
 それから言うのを拒んでいた。

('A`)「でも、今ならはっきり言えるよ」

 失いそうになってから初めて分かる大切なもの。
 その大切なものが目の前にある。
 失いたくない、絶対に、この手から放したくない。

('A`)「こんなことするの、卑怯かもしれないけど」

 俺は、椅子からすっと立ち上がり。
 クーの唇にキスをした。
175 : わさび栽培(愛知県):2007/03/15(木) 20:20:26.59 ID:oF87w8iE0
 暗い、狭い、殻の中に閉じ込められた。
 もう、何も、考えられない・・・。

「クー」

 誰・・・?
 私の名前を呼ぶのは・・・?

「クー、好きだ」

 とても、暖かい言葉・・・。
 何度も聞いたことがある、優しく、大きな言葉。

「ド・・・クオ・・・?」

 そうだ・・・。
 絶対に、忘れてはいけない名前だ。
 私の、一番大切な人。

('A`)「俺の大切な人」

 暖かい光が、私を包む殻を壊してくれる。
 暖かい言葉が、私の心を暖めてくれる。

 大切な人が、私の帰りを待っている・・・!

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