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名前:1
◆RPjlOvKrTo :2007/10/26(金)
22:01:48.28 ID:WE2Fb+u70
- 注:今回は番外編です
既存の青春の雰囲気を壊したくない人は自粛したほうがいいかもしれません
バーボンハウス本社。
ものの数年で小さな店舗が超有名企業となった。
社長はショボンというごく普通の青年。
そして、それを影ながら支えていたのは一人の少女だった。
(´・ω・`)「今日もお疲れ、ホント君を連れてきたのは正解だったよ」
(*゚ー゚)「ありがとうございます、じゃあ今日は上がらせて貰いますね」
そういうと少女はショボンに頭を下げ部屋を出る。
ここは社長室、バーボンハウスのトップであるショボンの為の部屋。
だが、使われることはほとんど無い、何故ならショボンが普段から店先に出ているから。
社長といえば事務的なことをやってる印象があるだろう。
だがショボンは自ら率先して現場に立つ。
そして、それを支えるのがしぃという少女。
彼女は様々な環境を乗り越えた末、今バーボンハウストップであるショボンの秘書と言う立場に立っている。
しかし、その秘書というのも肩書きだけで、実際は店の事務系統を一括に担っている。
(*゚ー゚)「さーて、帰ってご飯作らないと」
今回はそんな少女の話。
- 5
名前:1
◆RPjlOvKrTo :2007/10/26(金)
22:07:16.42 ID:WE2Fb+u70
- 少女は暗い部屋に居た。
部屋にはベッドが置いてあるだけである。
それ以外には一切何も無い、あとは用をたす為の穴だけ。
まるで牢屋、少女自身はそこに居る理由は分からない。
気づけばそこに居た、そして日々生かされている。
ふと、鉄格子が開き一人の男性が入ってくる。
<ヽ`∀´>「試験体04、着いて来るニダ」
(*゚−゚)「はい・・・」
逆らうことは出来ない。
逆らえばまた傷が増える、また拷問を受ける。
何度も見た、逆らい死んでいった人達を。
だから逆らわない、逆らわなければ生きていることは出来る。
- 9
名前:1
◆RPjlOvKrTo :2007/10/26(金)
22:15:06.44 ID:WE2Fb+u70
- ある部屋に連れて行かれ、そしていつものように体を椅子に固定される。
大人たちが実験と称し幾度と無く注射を繰り返す。
ただ打たれるだけ、体に何も変化は無い。
そして反応を見ては、それをメモに書き留めていく。
少女にはもう反応する力も無い。
ただ毎日を生きているだけ、理由なんて無い。
何故自分がそこにいるかも覚えては居ない。
何故自分がこんなことをされるかも考えていない。
<ヽ`∀´>「今日はこれで終わりニダ、体を休めるニダ」
(*゚−゚)「・・・」
いつも同じことを繰り返すだけ。
そこに意味は無い。
少女は思っている。
自分は人形、大人たちにいいようにされる操り人形だと。
(*゚−゚)「私は・・・」
日の光も当たらない暗い暗い部屋。
ベッドの上に倒れこみ目を閉じる。
このときだけが唯一解放される時間である。
ただ、目を開けた時はまた辛い現実。
- 10
名前:1
◆RPjlOvKrTo :2007/10/26(金)
22:19:45.33 ID:WE2Fb+u70
- 注:ここに出てくるキャラクターは
既存のキャラクターとは一切関係ありません
カツンカツンと冷たい床の上を歩く音。
その音に少女は目を覚ます。
川 ゚ -゚)「起きているか」
いつもの声とは違う女性の声。
扉の方へと目を向けると見知らぬ女性が立っている。
川 ゚ -゚)「今日から君の担当になった者だ」
(*゚−゚)「・・・」
返事は無い、出来ないのだ。
素性も何も知らぬ人間、それこそ下手なことを言えば何をされるか分からない。
その恐怖が少女の口を閉ざす。
川 ゚ -゚)「どうやら第一印象は余り良くないみたいだな」
女性は扉の鍵を開ける。
川 ゚ -゚)「実験体04、着いてきなさい」
逆らうことはしない。
逆らわなければ何もされない。
- 12
名前:1
◆RPjlOvKrTo :2007/10/26(金)
22:27:03.19 ID:WE2Fb+u70
- 少女が見たのはいつもと違う部屋。
いつものような手術室のような部屋ではなく、普通の休憩室のようなところ。
川 ゚ -゚)「さて、これも仕事だからね」
女性は椅子に座る。
少女は呆然とした表情で女性を見つめる。
川 ゚ -゚)「どうした? 座っていいよ」
女性に促されるままに少女は椅子に着く。
今までこんなことは無かった。
いつも注射を打たれては部屋に戻される毎日だった。
それが今、見知らぬ女性と向き合って座っている。
川 ゚ -゚)「そんなに硬くならなくていいよ、私は君と話しに来ただけだから」
(*゚−゚)「私と・・・話す・・・?」
少女にとってそれは衝撃的な出来事。
何時からかわから無いが、ここに来てから会話するということは一度も無かった。
だが、今少女の目の前にいる女性は会話をしようと言っているのだ。
川 ゚ -゚)「とりあえず、自己紹介からだね」
そういうと女性は淡々と話し始めた。
- 13
名前:1
◆RPjlOvKrTo :2007/10/26(金)
22:34:44.14 ID:WE2Fb+u70
- 一日ずつ、少しずつだが少女は女性と話せるようになっていった。
取りとめも無い、まるで学生同士が話すかのように。
川 ゚ -゚)「私も、ここに連れて来られたんだ」
(*゚−゚)「そうなんですか・・・」
次第に少女は女性に心を開いていった。
川 ゚ -゚)「そういえば、ずっと君と言うのもなんだか悪いな」
(*゚−゚)「いえ・・・別にそんなこと・・・」
川 ゚ -゚)「そうだ、実験体04・・・ってこれから取るのも何だか悪い気がするけど、しぃってのはどう?」
(*゚−゚)「しぃ・・・」
その日少女に名前が与えられた。
ある日女性が何かの籠を持ってくる。
(*゚−゚)「これは・・・?」
川 ゚ -゚)「しぃへのプレゼントだ」
しぃが籠にかけられた布を取ると、中には一匹の鳥が居た。
(*゚−゚)「これを・・・私に・・・?」
川 ゚ -゚)「あの狭い部屋に一人きりじゃ寂しいだろうと思ってね・・・」
(*゚−゚)「あ・・・ありがと・・・」
しぃは女性を信頼していた。
彼女なら心を許せると。
- 14
名前:1
◆RPjlOvKrTo :2007/10/26(金)
22:42:11.57 ID:WE2Fb+u70
- しばらくして、女性から定期健診だと言われ一通り検査を受けた。
そのとき、初めて自分以外に少年少女がたくさん居ることを知った。
そして、そこから三日後の夜だった・・・。
(*゚−゚)「おいで・・・」
しぃが呼びかけると小さな鳥がしぃの手に飛び乗る。
黒い瞳を開いてしぃの顔を見ている。
ふと、遠くで何かが弾ける音がする。
(*゚−゚)「・・・?」
そして、しばらく後しぃの居る部屋へ誰かが歩いてくる音がする。
そこに現れたのはいつも話していた女性、しかし様子がおかしい。
(*゚−゚)「どうしたの・・・?」
部屋の外の通路は暗く、女性の表情を見ることは出来ない。
扉が開かれ、女性が中に入ってくる。
川 ゚ -゚)「・・・」
(*゚−゚)「な・・・何・・・?」
しぃは気づいた、女性の異様な雰囲気に。
そして、血の臭いに。
- 15
名前:1
◆RPjlOvKrTo :2007/10/26(金)
22:47:38.26 ID:WE2Fb+u70
- 女性の胸についている通信機から声が漏れる。
<ヽ`∀´>『B棟の実験体は全部処分したニダ、A棟はどうなってるニダ?』
川 ゚ -゚)「あぁ、これで最後だ、すぐそちらに向かう」
<ヽ`∀´>『分かった二ダ、C棟とD棟は一箇所に集めてガスで処分したからそっちで終わりニダ』
川 ゚ -゚)「了解」
女性は通信機を胸に戻す。
(*゚−゚)「処分って・・・どういうこと・・・?」
しぃは女性に尋ねる。
女性はしぃの顔を見る。
ふと、小さな鳥が女性の足元に近づいた。
女性はそれを見るなり小さな鳥を踏み潰した。
(*゚−゚)「え・・・!?」
川 ゚ -゚)「こういうことだよ、君たちは要らなくなった、だから処分されるんだ」
女性は拳銃を取り出し、銃口をしぃへと向ける。
川 ゚ -゚)「証拠は残しちゃいけないんでね、ここは私たちが去ったあと完全に焼却される」
それは女性からしぃへ対しての裏切りの言葉だった。
- 16
名前:1
◆RPjlOvKrTo :2007/10/26(金)
22:53:05.96 ID:WE2Fb+u70
- しぃはすぐに悟った。
自分は殺されると。
だが、抵抗する手段は無い。
(*゚−゚)「なんで・・・」
川 ゚ -゚)「ん?」
(*゚−゚)「なんで・・・、貴方もここに連れて来られたんでしょ・・・?」
しぃは涙を溜めた目で女性を見つめる。
だが女性はそれを聞くなり笑い出す。
川 ゚ -゚)「そうだよ、私は連れて来られたよ、だけどそれは自分の意思で来たことだからね!」
(*゚−゚)「嘘・・・」
川 ゚ -゚)「本当だよ、さていつまでもモタモタしてられないからさ、さっさと死んでもらうよ」
しぃは思った。
裏切られた、騙されていたんだと。
そして、激しい憎悪が浮かんだ。
自分と同じように連れてこられ、何も分からぬまま死んでいった少年少女達が居ること。
それを行った目の前の人間たち。
しぃはそこで何も考えられなくなった。
川 ゚ -゚)「なっ!?」
それは一瞬。
目の前の女性の顔に長く鋭利な物が突き刺さっていた。
- 18
名前:1
◆RPjlOvKrTo :2007/10/26(金)
23:00:28.36 ID:WE2Fb+u70
- しぃは走った。
目の前に立ちふさがる下種な人間を殺して走っていった。
大人たちに混ざり倒れている少年少女達。
それに目もくれず走り、そして殺した。
少女の目は青く光り、体は返り血で真っ赤に染まっていった。
もう止めることは出来なかった。
数時間後、その施設の残っていた全ての人間は死亡。
少年少女達も全員死に絶え、残ったのはしぃだけ。
しぃは施設から逃げ出し、そして山中を走り続けた。
どれだけ走ったか分からないぐらいに走り続けた。
そして朝日が出るころ、しぃはようやく走るのをやめた。
(*゚−゚)「・・・」
しぃはうつむき泣いた。
彼女には何も残されていない。
彼女に残されたのはその異質な体だけ。
(*゚−゚)「・・・行こう」
しぃはまた歩き出した。
その時のしぃは既に殺人鬼と化していた。
何も考えず、あの女性に似た人を襲うだけの殺人鬼。
そんなしぃがドクオ達と出会うのはそれから数日後の出来事だった・・・。
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