135 : 農業(愛知県) :2007/03/14(水) 11:02:37.65 ID:WHoIjnpn0
番外編
ξ゚听)ξと川 ゚ -゚)は友達なようです。

 クーは始めて見た時から何か、私たちと違うオーラがあった。
 優等生のオーラなのか、それともトップに立つ人間のようなオーラなのか。
 中学を出るまで皆に頼られて、皆を引っ張って生きてきた私には少なからず劣等感があった。

ξ゚听)ξ「休日って、やることが無いから暇ねぇ」

 高校に入ってからの1ヶ月余りはそんな感じだった。
 友達も出来たが、何か違和感があるような、そんな感じ。

ξ゚听)ξ「バイトでもしようかしら」

 なら、求人誌を手に入れないといけない。
 近くに求人誌がおいてあるコンビニがあったはずだ。
 私はそれを取りにいく、ついでに買い物。

ξ゚听)ξ「ホント、暇ってのは最高の贅沢だけど最低の生活よね」

 独り言をぶつぶついいながら住宅街を歩いていた。
 休日だからか、人通りも少なく、車などが走っている様子も無い。

ξ゚听)ξ「静かね・・・」

 ツンの周りだけが死んだように静かだった。

136 : 農業(愛知県) :2007/03/14(水) 11:07:07.53 ID:WHoIjnpn0
 コンビニに着くと入り口の横に求人誌の棚があった。

ξ゚听)ξ「まぁ、買い物が終わってからでいいわよね」

 店内をフラフラと物色しながらまだ食べてない朝食を手に取る。
 一通り見終わりレジで買い物を済ませると求人誌の棚へと向かう。
 そしてひとつの求人誌に手を伸ばしたときもうひとつの手が横から入ってきた。

ξ゚听)ξ「・・・」
川 ゚ -゚)「・・・」

 クーだった。

川 ゚ -゚)「君は、ツンだったか」
ξ゚听)ξ「え、えぇ」

 なんというか、喋り辛い。
 クーの雰囲気なのか、周りの空気が凄く重たく感じる。

川 ゚ -゚)「・・・」
ξ゚听)ξ「・・・」

 会話が続かない。
 というか、喋れない。

137 : 農業(愛知県) :2007/03/14(水) 11:12:06.31 ID:WHoIjnpn0
川 ゚ -゚)「君もバイトを探してるのか?」
ξ゚听)ξ「えぇ、まぁ」

 あっちが喋ってくれれば返答は出来る、だがこちらから話すことが出来ない。

川 ゚ -゚)「君はいいとこのお嬢様だろ、そこまでお金に困ることは無いんじゃないか?」
川;゚ -゚)「あ・・・」

 その言葉に私はカチンときてしまった。

ξ#゚听)ξ「別にアナタには関係無いでしょ!」

 コンビニの中だというのにやってしまった。
 私の悪い癖だ。
 気に食わないことがあるとすぐに怒鳴ってしまう。
 それが私の悪癖。

川;゚ -゚)「すまなかった、今のは言葉が悪かった」
ξ゚听)ξ「・・・」

 私はそのまま求人誌をひとつ取ると何も言わずに店から出た。
 クーが後ろで何かを言っていた気がするが聞こえなかった、聞きたくなかった。

138 : 農業(愛知県) :2007/03/14(水) 11:17:48.75 ID:WHoIjnpn0
 帰り道。
 さっきクーに言った言葉が胸にズキンと来た。
 確かに、私は世間一般からみたらお嬢様だ。
 でも、それが苦痛だったこともある。
 ツンちゃんはお金持ちでいいね、とか。
 私もツンちゃんみたいなお嬢様になりたかった、とか。
 告白されたことも何度もある。
 でも、そんなの上っ面だけ、ほしいのは私の裏にあるお金。
 私だってお嬢様に生まれたくて生まれたわけじゃない。
 誰かは言った、子供は親を選んで生まれてくるって。
 そんなの大嘘、子供は親を選べない。
 別に両親が嫌いなわけじゃない、境遇が嫌いなのだ。
 あぁ、だからか。
 なんでクーに劣等感を感じていたのか。
 クーはお嬢様でもなければお金持ちでもない。
 本当なら劣等感を感じるのは逆の立場だろう。
 でもそれを乗り越えているクーがうらやましいのだ。

ξ゚听)ξ「また、学校であったら謝らなきゃ」

 そう呟いて、一人アスファルトの道路を歩いていった。
140 : 農業(愛知県) :2007/03/14(水) 11:23:28.60 ID:WHoIjnpn0
 月曜日、学校に着くとクーと目があった。
 でも、そのときは話せなかった。

( ^ω^)「おっおっおっ、昼飯の時間だおー」
('A`)「よし、購買という名の戦場へ赴くぞブラザー」
( ^ω^)「いくおー!」

 ざわつく教室の中でクーの机の前に向かった。

川 ゚ -゚)「あ・・・」
ξ゚听)ξ「・・・」

 やはり、クーの前に立つと喋りづらかった。
 胸の辺りがキュンとすぼむような感じがする。

ξ゚听)ξ「えっと・・・」
川 ゚ -゚)「・・・」

 謝らないと、そう思いながらも口は動いてくれない。
 ふと、クーが震える私の手を握ってくれた。

川 ゚ -゚)「・・・」
ξ゚听)ξ「・・・」

 不思議と、心が落ち着いた。
142 : 農業(愛知県) :2007/03/14(水) 11:29:37.45 ID:WHoIjnpn0
 そこから、言葉を紡ぎ出すのは簡単なことだった。

ξ゚听)ξ「あのときは・・・」
川 ゚ -゚)「うん」
ξ;凵G)ξ「ごめんね、あんなふうに怒鳴っちゃって」

 やっといえた。
 ごめんねと、クーに。

川 ゚ -゚)「私も悪かったんだ、別にツンが謝ることじゃないよ」
ξ゚听)ξ「でも、お願い、謝らないと私の気が済まないの」

 それから何度もごめんねといった。
 そして、気づいたことがあった。
 私がクーに抱いていたのは劣等感じゃなかった。
 クーは私に無いものを持っている、逆もまた同じだ。
 こうやって、普通に話せること、それが欲しかった。
 クーはそれを私に与えてくれた。
 お嬢様としての私じゃなく、ツンという私自身に。

ξ゚听)ξ「ありがと、クー」
川 ゚ -゚)「あぁ」

 私が欲しかったものをくれるクー。
 クーが欲しかったものをあげれる私。
 やっと、友達というものに出会えたのだ。
144 : 農業(愛知県) :2007/03/14(水) 11:35:45.86 ID:WHoIjnpn0
('A`)「ほぉ、二人にそんな経緯があったとはな」

 カラオケ屋樹海で今、俺、ブーン、ツン、クーで歌っている。

( ^ω^)「おっおっおっ」
川 ゚ -゚)「まぁ、君たちの友情譚も聞かしてもらったからな」
ξ゚听)ξ「今では親友よ、私とクーは」

 まぁ、意外というか、なんというか。
 正反対の二人の馴れ初めがこんなんだったとはね。
 もっと普通に友達になったのかと思ってたぜ。

ξ゚听)ξ「そういえば、さっきからドクオ全然歌ってないじゃない」
川 ゚ -゚)「そうだぞ、せっかくカラオケにきてるんだから、何か歌え」
( ^ω^)「そうだおー」
('A`)「あいよ」

 そのときドアが開いた。

\(^o^)/「フライドポテトおもちしたよー!」
 
 オワタ店長がフライドポテトを机において、ドアにぶつかった。

◎「ティウンティウンティウン」

('A`)( ^ω^)川 ゚ -゚)ξ゚听)ξ「・・・」 

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