3 名前: ◆X5HsMAMEOw 投稿日:2006/09/17(日) 19:36:07.59 ID:VuC41SJj0
第五話「暗流の鼓動」


「…で、その女の人の詳細を聞かせてもらおうかな」

ショボが机のランプに止まる蛾を見ながら言った。
部屋の明かりはそのランプだけで、ぼうと薄暗い。
蛾は開け放ってある窓から入ってきたらしい。その風景は、何か季節を感じさせた。

エルを倒したことで街の人全てがブーンたちを英雄と扱っていた。
宿屋の主人も同じく。そのおかげで、ブーンは無料で宿を取ることが出来た。
現在はドクオは闘いの傷を癒すために寝ている。勿論、ツンも別室のベッドに寝かせてある。
ツンの表情はエルとの戦いの後から蒼白であったが、ショボの快癒が今になって効いたのか、今では顔色はいい。

ショボが気になっている事はツンの事だけではなく、もう一つ。
リスボン崩壊の事である。リスボンは、彼にとっても故郷であるのだ。
その街が消えた。流石に動揺しないわけにはいかなかった。
だが、ショボには自制心がある。ここで憤慨していても仕方ないと悟り、ツンの事を少しでも知る事にしたのだ。

4 名前: ◆X5HsMAMEOw 投稿日:2006/09/17(日) 19:37:17.01 ID:VuC41SJj0
「ツンさんは、リスボンの街から逃げてきたらしいお。でも、それしか知らないんだお。
 気になることといえば、ツンさんの所為でリスボンが滅んだとか何とか……って感じだったかお」
「ん。つまり、あのエルという女がツンさんの命を狙っていて、彼女のいたリスボンもろとも破壊したと」
「………まあ、そういう事になるんじゃないかお」

ショボの握った拳は、机の下に隠してあった。
それに僅かだが力が入った。一瞬だけ、彼はツンに憎悪の感情を抱いたのだ。
だがすぐにショボは首を横に振ると、ブーンに向き直った。

「それよりもショボ。ツンさんの術を見たかお?」
「え? ああ、うん。術ね。確かに凄かったね」

虚ろになりながらショボはツンの術を思い出し、不思議に思う。
ツンの術の威力は、平均的な人間の力を遥かに超えていたのだ。
そもそも、教会の術士でもない者が術を使うこと自体が怪しい事でもある。
自分の術の素質に気付き、独学でそれを学び、破壊行為に使用する者も現実にいる。
いや、それとは違う様な気がする。ショボはまた深く考え出した。

「あの威力は異常だ。何か彼女の術で気付いた事ない?」
「お? そう言えば、彼女の杖の宝玉を見たことがなかったお。確か、銀色だったお」
「銀色の宝玉……? そして強大な術力……か。なるほど」

ショボが暗かった顔を上げる。
それはランプの光に薄暗く反射し、不気味さを醸し出す。

蛾は既に空へ飛んでいた。
ランプの光も、先程より小さくなっていた。

5 名前: ◆X5HsMAMEOw 投稿日:2006/09/17(日) 19:38:49.93 ID:VuC41SJj0
「恐らくツンさんの杖についているのは退魔銀。そして、ツンさんは単に潜在的な術力が高いだけ、だろうね」
「退魔銀?」

聞きなれない単語に、ブーンが鸚鵡返しした。

「退魔銀というのは伝説上の鉱物とまで言われるほど貴重なんだ。
 別名をミスリルと言ってね、トリーシャ様がお守りに付けていた事からこの名前がついたらしいよ。
 ちなみに今じゃ、世界中何処を探しても採れないんだ。つまるところ、それだけ術力増幅の効果があったって事さ」
「教会では使われていないのかお? そんな凄い鉱物……」

ショボが首を縦に振る。

「勿論、上層部のそのまた上層部では使われているよ。大司祭や大神官とか、その辺りの位がね。
 オルミア様やミルナ様のような唯の神官の位では、持つ事は許されない代物さ。だから僕達のような修士が見られるものじゃない」
「おったまげた鉱物だお」

感心するブーンをよそおいて、ショボは淡々と話していた。
やはり先程から目は虚ろで、ランプの光をじっと見ている。
そのランプの光、まるで儚げに散っていく命の様。油を消費する度、その光は消えていく。
ランプに止まっていた蛾は傍観者。その命を慈しみ、見ているだけの存在。
光が消える事は阻止できない。だから光を見る。
言うなれば、人生。生まれた時から人間は死へと向っている。
命こそがランプの光、油は時の流れ。そして蛾は他人。
だが、この蛾は消えかかった光を助ける事が出来る。それが、本物のランプと人生のランプの違い。

ショボはリスボン崩壊、そしてツンの事を未だに思い浮かべていた。
ツンという名のランプがリスボンで消える事、それが運命だったのではないか。
どちらにしろリスボンは滅んでいただろうが、ツンと言う憎悪の対象さえいなければ……とショボは思い、ハッとして表情を濁らせる。

6 名前: ◆X5HsMAMEOw 投稿日:2006/09/17(日) 19:40:31.21 ID:VuC41SJj0
いや、ツンが悪いのではない。
一番悪いのはエルという女だ。それは理解している。
だが、エルはもういない。だから、この怒りをぶつけることが出来ない。
そしてその怒りはツンに向っていく。自然な事だが、自分勝手なことであった。
おそらく、ツンにとってのエルは畏怖の対象となっているだろう。
が、自分にとってのツンとエルは憎むべき者。複雑だった。
それを悟ったのか、ブーンは席を立ち上がると、ショボに一声かけて部屋を出た。

後に残った部屋にはショボとランプの光しかなかった。
ショボは机の上にあったグラスにワインを注ぎ、口にそれを押し入れる。
ほろ苦い味が広がり、ますますやるせない気持ちになった。
そのままショボは机にうな垂れ、眠りについた。

煌々とするランプは先程よりも光の大きさを失っていたが、その存在を誇示するようにやはり光っていた。

また、蛾が一匹、それに止まった。






7 名前: ◆X5HsMAMEOw 投稿日:2006/09/17(日) 19:42:23.62 ID:VuC41SJj0
「う……ん」
「目は覚めたかい」

ツンが目覚めると、目前に男がいた。
釣り下がった眉が特徴的な、ローブを羽織った男。ショボだった。

「あれ、私は……?」
「術の使いすぎだ。眠っていたよ」

時刻は太陽が昇る頃だった。
朝焼けが窓辺から差し込み、それが部屋を照らしている。
ショボは窓辺に立ち、外の方を見ていた。右手に、並々と注がれたワインのグラスを持って。
そのグラスが光を反射し、ツンの目を少し眩ませる。

「……貴方は、何故私を助けたの?」

少女の突然の問いかけに、ショボはツンの方を向き直る。
その表情は、一瞬だけ鬼のようなものとなっていた。が、グラスに反射する光でツンはそれを確認できなかった。
ショボはやがて窓の方に向き直ると、ワインをクイと口に運び、淡々と語りだした。

「僕が助けたんじゃない。ブーンが助けたんだ」
「ブーン……? あの細目の男の人?」
「そうだ。だから僕に感謝されても困るね」

ショボが再度向き直り、冷たい視線をツンに向ける。
日の光は、雲に遮られた。ショボの露になった表情を見、ツンが一瞬身震いする。

8 名前: ◆X5HsMAMEOw 投稿日:2006/09/17(日) 19:44:31.51 ID:VuC41SJj0
「ご、ごめんなさい。貴方達、リスボンに用事があったんですってね……」

ツンが俯き、言う。
ショボは、それが気に食わなかった。言い知れない感情が湧き出てきた。
気付いた時、ショボは右手の握力でグラスを割っていた。
ガラスの破片はショボの右腕を傷つけ、真っ赤な鮮血を吹き出させた。
だが、ショボは痛みを感じない。それ以上に、怒りを感じている。

「君が…」
「……え?」
「君がいたから、リスボンは滅んだ!」

ショボはガラスの残る右腕を握り締めて言った。
やはり痛い。でも、この痛みよりもリスボンを壊された痛みの方が大きい。
嗚咽を漏らすツンに、ショボは容赦しなかった。
全ての責任を、やり場のない怒りをツンにぶつけた。

「僕の故郷はリスボンだ。僕がリスボンへ行く目的は教会のお使いだけじゃない。
 貧しいのに、必死に働いて僕を修道院へ行かせてくれた母さん達に会いたかった…!」

ショボは再度窓を向き直る。
雲が通り過ぎ、光が差し込む。
ショボの目筋が、少し光っているように見えた。

「ごめんなさい………」

ツンの嗚咽が大きくなっていく。
ベッドのシーツは、彼女の涙でぐっしょりと濡れてしまっていた。

ショボも何時の間にか平静を取り戻し、窓辺で一人空を見ていた。

9 名前: ◆X5HsMAMEOw 投稿日:2006/09/17(日) 19:46:22.05 ID:VuC41SJj0
「君は……なぜ、命を狙われていた?」
「え?」
「君が命を狙われている理由を知りたい」

ツンは少しきょとんとしていたが、慌てて思い出す。
だが、命を狙われた理由は全く分からない。
自分はリスボンから出たこともない。悪行もしたことがない。
ただ毎日、子供達を眺めていただけ。
ツンは、それをショボに話した。

「そう」

ショボは先程までの覇気はない声で、言った。

「僕が思い当たる節は君の術力だ。その強大な術力を狙おうとしている人がいる。それが、エル」
「私の術力…。でも、私は教会の人間じゃない…」
「だからさ」

ショボはツンの方を真っ直ぐ見据えた。
視線に憎悪はない。決意があった。

「君が教会に束縛されない白の術士だからこそ、狙われたんだ。
 おそらく、君………もしくは、君の杖を使ってエル達の一味は何かをしようとしている」

「その通り。ご名答」

突然、聞き知れない男の声。
ハッとして窓の方を振り向けば、その外に男が一人立っていた。
炯々とした赤の瞳が此方を睨む。ショボは一瞬だけ、その美しさに吸い込まれていた。

10 名前: ◆X5HsMAMEOw 投稿日:2006/09/17(日) 19:48:14.72 ID:VuC41SJj0
「誰だ、お前は」
「俺か? 俺はジョルジュ。お前は?」
「僕はショボだ」

ショボは左の手で杖を持ち、身構えた。
恐らく、ジョルジュはエルたちの一派。ならば目的はツン。
ここでツンを攫われれば、リスボンが崩壊した意味がない。
だからショボはツンを守る。その為に、ジョルジュと戦う事を決意した。
だが、ジョルジュは右手を前に突き出すと、

「俺はお前たちとやりあうつもりは無い。ただ、警告しに来た」
「警告…だと?」
「そう、警告だ」

ジョルジュが黒髪をかきあげ、マントを翻す。
光が消える。ジョルジュのマントが、太陽を遮っていた。
そして次の瞬間、ジョルジュの真っ赤な瞳が煮えたぎるような紅となった。
ショボもツンも、恐怖を一瞬覚えた。

「エルは死んだ」

ジョルジュの拳が震えていた。
その形相も、先程のショボと似ていた。
大切なものを、奪われたときの怒り。

「殺さなければ、街は崩壊していた」

ショボも言い返す。
ジョルジュは握った拳を開き、腕を組む。

11 名前: ◆X5HsMAMEOw 投稿日:2006/09/17(日) 19:50:04.83 ID:VuC41SJj0
「エルがお前に敗れたと言う事はもう過ぎたことだ。だから、俺はお前に一つ言っておく」
「何だ」
「これ以上首を突っ込むなよ。俺たちのことにお前が探りを入れるようなら……命はないと思え」

ジョルジュは何時の間にその手中におさまっていたのか、紅い剣の刃先をショボの突きつけながら行った。
だが、ショボは臆しない。ジョルジュに自分の杖の先端を突きつけ、言った。
マントに隠れていた光がやがて現れ、ショボの杖の宝玉が輝く。それは、ジョルジュの黒い姿を照らしていた。

「悪いけど、僕は諦めないよ。お前たちには、リスボンを壊されたと言う借りがあるからね」
「フッ……面白い」

ジョルジュは剣を腰におさめる。

「精々足掻け。蟻が動いた所で象はそれを気にもかけぬ」
「毒蟻は、象をも噛み殺すけど?」
「ならば毒を蓄えておくんだな。今お前たちを処分しない事には理由があるだけだ」

ジョルジュはそう言うと、背中を見せて立ち去って行った。
その背中が、何故かとても寂しいものに見えたのは、ツンだけだったのかも知れない。







12 名前: ◆X5HsMAMEOw 投稿日:2006/09/17(日) 19:51:58.65 ID:VuC41SJj0
「それで、これからどうするんだ?」
「さあ、どうしようか」

宿屋の小さな部屋で、ブーン達は今後の進路を話し合っていた。
ショボは勿論、ドクオとツンも何故かその場にいた。

リスボンが崩壊した現在、このままリスボンに向っても意味はない。
先にあるマドリアドという街までいけばお守りを買うことは出来るだろうが、その金はリスボンの道具屋に振り込んでしまってある。
よって、マドリアドまで行っても何も得をする事はない。
ならば、山の修道院に向おうと。ショボとドクオはそう提案していた。
だが、ブーンだけは嫌だった。元々これは自分に与えられた罰であり、それを放棄する事はオルミアの怒りを買うことになる。
まして退学になるくらいなら、如何にかしてでもお守りを手に入れたいと。それがブーンの言い分だった。

「そんなわけで僕としては、マドリアドに行きたいんだけどお」
「だから言っても仕方ないっての。俺がオルミアとかいう人には事情を説明してやるからさ」

ドクオがそう言うが、ブーンはやはり引き下がれない。
必死に反抗するブーンだったが、それをショボが沈黙させる。

「ねえ、ブーン。何かおかしいと思わない?」
「は? 何がだお」
「まあ、事がこうも早く進んでしまったならもう言ってもいい頃かな。
 オルミア様……いや、様なんてつける必要ないかな。オルミアの計画、知らない……よね」
「ど、どうしたおショボ」

ブーンは驚愕した。
ショボはオルミアを尊敬していた。
毎日のように挨拶だってしていたし、トリーシャの事だって崇拝している。
そのショボが、オルミアを悪の様に言っているのだから。

13 名前: ◆X5HsMAMEOw 投稿日:2006/09/17(日) 19:54:15.52 ID:VuC41SJj0
「エルっていただろ? 古文書で読んだことがあるんだ。ヴァンパイアって言う吸血鬼。
 双対の翼を持ち、大空を飛び回る人間。と言っても、トリーシャ様並に架空の存在だけどね」
「ショボ、どういうことだ?」

ドクオも黙ってはいられない。
まるでショボは、前々からエルという存在が来る事を知っていた様だからだ。

「最初に計画に気付いたのはギコ先生が襲ってきた時だ。
 腕を掴んだ時、術力が体を流れていなかった。つまり、あの時ギコ先生は死んでいた」
「は……!?」
「オルミアが僕とブーンをお使いと称して修道院を出したのは、邪魔だから。
 恐らく、チンポッポに僕達を殺させるつもりだったんだろう。でも、チンポッポが負けたのでエル達が動き始めた…ってのが多分正解」
「邪魔だからって、何がだお!」

ショボの言葉には、ツンまでもが動揺していた。
エルの動き始めた理由のそもそもは、ショボ達だといっているのだから。
朝のあの態度に疑問がわくが、それはショボが故郷を滅ぼされるとは思ってもなかったことの証明。
つまり、ショボも何処までが真実かも分かっていないのだ。

「ブーン、君はミルナ様から何かを教えられているはずだよ。それが僕達が邪魔な理由さ」
「…何のことだお?」

ショボは一呼吸置いて、言った。

「退魔銀の剣の事。ミスリルの剣と言われているかも知れない。聞き覚え、あるだろ」

ブーンの目が見開いていた。
それは、何かを思い出したかのようだ。

14 名前: ◆X5HsMAMEOw 投稿日:2006/09/17(日) 19:56:08.65 ID:VuC41SJj0
「銀の剣のことだお! ミルナ様に言われたことがあるお。
 紅き森の中に眠るとか何とかだお。でも、その退魔銀の剣がどうかしたのかお?」
「退魔銀は伝説上の魔族……つまり、ヴァンパイアなどに効果がある。
 ヴァンパイアは退魔銀に触れると灰になるとまで言われている。おそらくエルが消えたのは、退魔銀を媒介とした術の所為。
 エルは逃げたんじゃなく、灰になったんだ。今朝僕のところに来たジョルジュとかいう男も、そう言っていたしね。エルは死んだのさ」
「ジョルジュ!? 誰だ、そりゃ!」

ドクオが声を上げる。
ショボはツンの方を少し見ながら話し出した。

「今朝、僕のところに来た男だ。
 エルの死を悔やんでいた所から見ると、ヴァンパイアのようだね」
「良く無事だったなお。復讐されなかったのかお?」
「したかっただろうね。でも、出来なかったのさ。これの所為で」

ショボはそういうと、自分の腕に嵌めている金色のブレスレットを出した。
忘れもしない、山の修道院のふもとの村で買ったあのブレスレットだ。
鍍金はやはり少しはげていて、下地の銀がのぞいている。
その銀はさび付かず、美しいものだった。むしろ、鍍金を剥がした方が美しいと言えるのではないかと思うほどの、銀。

「鍍金は関係ない。下地の銀は退魔銀だ」
「おっ、おま! じゃあもしかして僕のブレスレットも!?」
「退魔銀製だ。闇市では退魔銀のことなど知らずに売る人が殆どだ。
 だから、とても安く買うことが出来た。と言っても、退魔銀と普通の銀を区別できるのは相当の術士だけだがね」

ショボは虚勢を張るでもなく、淡々と言った。
いつものブーンならショボに驕り高ぶっていると言うのだが、今回は言える雰囲気ではなかった。

15 名前: ◆X5HsMAMEOw 投稿日:2006/09/17(日) 19:57:20.30 ID:VuC41SJj0
「ジョルジュが僕を殺せなかったのは退魔銀を警戒していたからだ。
 触れたら消滅しちゃうからね。そこで、退魔銀の剣が必要になってくる」
「なるほど。その剣でヴァンパイアを斬れば、消滅させられるってか」

ドクオが頷き、ショボも静かに頷いた。

「そこでドクオ。君に一つ相談があるんだが」
「あ? 何だよ。まあ、見当はつくけどさ」

ドクオが苦笑いすると、ショボが初めてニッと笑った。
それは不敵な笑みだった。ブーンは思わず、背筋がゾクッとしてしまった。

「世界を救う……英雄になってみない?」

ショボの言葉に場の空気は一瞬固まった。
世界を救う英雄など、何処の誰かの妄想話と過ぎないと普通の人間は思うだろう。
だが、今回は違う。話しが真剣みを帯びている。
だから、ドクオもニッと笑い返した。不敵な、笑みで。

「いいだろう。俺がその剣で、世界を救う英雄とやらになってやろうじゃないか」

ドクオは席を立ち上がり、ショボに人差し指を突きつけてそう言った。


第五話:完
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