1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 10:43:06 ID:7qSciyYiO
( ^ω^)「もう…潮時だお」
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 10:55:45 ID:7qSciyYiO
( ^ω^)僕はVIPとさよならするんだお
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 11:00:08 ID:7qSciyYiO

クリスマス色に染まった街。

それに感化された、聖夜に予定のないニート達が今日もVIPに集い、馬鹿騒ぎを続けている。

僕は内藤ホライゾン。

VIPに生きる、AAだ。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 11:02:19 ID:7qSciyYiO
VIPの人達は優しい。

何だかんだ言って、自殺スレが立てば必死で止めるし…暇人の集まりだからだろう。

僕はそんなVIPが大好きだ。
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 11:06:27 ID:7qSciyYiO
( ^ω^)「…今日は寒いお」

どこかでは大雪が降っているらしい。

僕はここから出たことがないから雪を実際に見たことがないが、いくつもの雪の映像がうpされている。

( ^ω^)「見るからに寒いけど…凄く綺麗だお」

これを愛しい人…ツンと見れたら良いのに。

僕は、AAの体に虚しさを感じた。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 11:11:26 ID:7qSciyYiO
(;^ω^)「…何だか鬱になってきたお。こういう時は走るお!」

僕は得意の⊂二二( ^ω^)二⊃ブーンをする。

何よりも早く、通信の中を駆け巡る。

ブーンをしていれば、嫌なことなどなくなる。全て忘れてしまう。

何より人々が笑顔になってくれる。

僕は勇んで走り出した。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 11:12:12 ID:7qSciyYiO
はぁはぁ
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 11:15:48 ID:7qSciyYiO

『見ろよ、ブーンだ』

( ^ω^)「ブーン ⊂二二( ^ω^)二⊃」

『誰だよ今時こんなの使ってんの』

(;^ω^)「ブー…え?」
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 11:21:08 ID:7qSciyYiO
それは何でもない、厨の煽りだった。

周りのVIPPER達もそれに乗る。

『もう古いだろ』
『いい加減秋田』
『俺達で違うの考えようぜ。
>>50


(;^ω^)「…」

VIPPER達はノリが良い。
分かっているんだ。
だけど…


僕はたまらず走り、逃げた。別の人達の擁護の声も聞こえない。


――
>>50をげとしたのはブーンのAAだった。

『やっぱり俺達にはブーンが一番だな』

去ったブーンには届かない。
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 11:25:44 ID:7qSciyYiO
(;^ω^)「何でだお、みんなひどいお」

(;^ω^)「僕が一体…何をしたお」

( ;ω;)「僕は…どうすれば良いんだお」


VIPPERは飽きやすい。
だから、だから、だから。

僕も飽きられてしまったんだ。

ブーンするだけのAAだから。

ブーンさえしていれば良いと思っていたから。


…今日は煽りがつらい。

僕はとぼとぼと、近くにあった一桁スレに入り、小さくなっていた。
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 11:30:21 ID:7qSciyYiO
( ―ω―)「…ん」


僕はいつの間にか眠っていたらしい。

改めてそのスレを見る。

DAT落ち寸前のそこには人がおらず、自分の存在に誰も気付いていないようだった。

( ^ω^)「…」

三桁スレの多い中、僕はそこがひどく居心地が良いように感じた。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 11:34:31 ID:7qSciyYiO
( ^ω^)「今日は…ここで休むお」


DAT落ちしそうになったら他のところに行けば良い。

僕は座り込んだまま、頬を伝う涙を感じていた。


( ^ω^)「VIPPER達に嫌われたら…僕はどうしていけば良いんだお」

…本格的に鬱だ。
絶望しか感じなかった。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 11:39:22 ID:7qSciyYiO
( ^ω^)「…そろそろ移動するお」

気付けば、ずいぶん長いことここに居たらしい。

僕は外に出て、また似たようなスレに潜り込む。

時間が時間だし、落ちるにはまだまだある…


僕はVIPにいて、初めて今1人でゆっくりと考えていた。

自分というものを、その存在を。
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 11:41:32 ID:7qSciyYiO
( ^ω^)「…結局僕はただのAAなんだお。何も考えなければ良いんだお」

そうすれば、煽りを気にすることもない。



『…そんな悲しいこと言うなよ』

誰かがsageで入ってきた。
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 11:44:56 ID:7qSciyYiO
(;^ω^)「だっ…誰だお!?」


僕は狼狽する。自分1人だと思っていたからだ。

…IDを見ると、どうやらそのスレの1であるようだった。


『ブーン、何かあったのか?』

その人はゆっくりとタイプしてきた。
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 11:52:35 ID:7qSciyYiO
( ^ω^)「…どうもこうもないお。VIPPERがひどいお」

僕は愚痴った。
いつも必死に走ってきた僕にとって、人とちゃんと話すのは初めてだった。

『…はは、それがVIPPERだろう』

その人はPCなのにレスが遅い。短文を打つだけなのに。
半ば苛々しながら僕は言う。

( ^ω^)「僕はVIPPER達のために走ってきたお。VIPPERが大好きだから、喜んで欲しくて頑張ったお」

(#^ω^)「でもその末の暴言だお!どうしてだお!」


返事がない。
僕は自虐的な気分になった。
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 11:57:20 ID:7qSciyYiO

『VIPには沢山の人が居る。大勢が居れば中身が大人の奴も子供の奴も居る。
今はリア厨も多いし、まぁ暴言や煽りはヌルーしかないんじゃね』

( ^ω^)「…」

僕のレスから10分後の返事だった。

( ^ω^)「…何でそんなに遅いお」

はぐらかすように僕は言う。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 12:01:50 ID:7qSciyYiO
『ん?遅いか?すまない。仕事中なんでな』

(;^ω^)「は、働けお」

『ブーンが落ち込んでたからついな』

(;^ω^)「その前にVIPやるなお」

『ヌルー』

(;^ω^)「キメェwwww」


そうだ、VIPPERは1人ではない。こんな人もいる。
僕は元気が出てきた。
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 12:49:16 ID:7qSciyYiO
( ^ω^)「じゃあ僕はひとっ走りしてくるお!
元気出たお、ありがとうだお!」

『気にするな。じゃあ俺は仕事に戻るよ』

( ^ω^)「お仕事頑張れお!」

僕らはそこを離れた。

そうだ、ああいうVIPPERも居るんだ、煽るだけの厨ではなく…

僕は感謝して、そこの1へのお礼代わりに、精一杯のブーンをした。


( ^ω^)「もう煽りなんかに負けないお!」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 12:55:19 ID:7qSciyYiO

その日、僕は深夜に眠りについた。

そして夢を見た。

僕のブーンをみんなが見ている。

人々は煽ったり、もっと走れと僕に笑いかける。

多くの人のレスをかわしながら僕は駆け抜ける。


その先に何かがあった気がした。


『内藤、よくやった』


(;^ω^)「…!!」


(;^ω^)「…夢かお…」


AAの見る夢に、どんな意味があるのだろう。

久しぶりに見た夢を、僕は不思議に思っていた。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 13:01:29 ID:7qSciyYiO

( ^ω^)「今日は何だか寒いお」

連日貼られる大雪の画像。

寒くなるのだから見なければ良いのに、何故かそれを開いてしまう。

( ^ω^)「外は…綺麗だお」

どうしてこんなに切なくなるのだろう。

届かないものを望む気持ちは、きっと誰もが一緒で。

でも人間にはその腕がある。
夢を掴んだVIPPER達をこの細い目で見た。
それは、彼女を作るとか、童貞を捨てたとか、そんなものばかりだったけど。

( ^ω^)「…AAには何があるお?」

僕は自分の手を見下ろした。

雪。

それに触れることすらできない腕。
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 13:06:49 ID:7qSciyYiO
(;^ω^)「か、考えたって無理なものは無理なんだお!
ブーンは自分らしくブーンしてればそれで良いんだお!」

冬だからか、何かとへこんでしまう。

僕は今日も走り出す。

すると、


昨夜見た夢がフラッシュバックした。


(;^ω^)「!!!」


思わず足を止める。


(;^ω^)「何なんだお…」
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 20:13:13 ID:7qSciyYiO

妙な夢を見ると1日気分が悪い。

今日はリアルだった分余計ひどい…


(;^ω^)「…きっと休めば治るお。
昨日の今日だから気が滅入ってるんだお…」

突撃厨の応援要請をよそに、僕は今日も一桁スレに潜り込む。

( ^ω^)「ここなら…誰も来ないお」
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 20:22:37 ID:7qSciyYiO
( ^ω^)「こうして見ると、VIPも狭いお…」

寝ころんで上を見上げる。

活気のあるスレが遙か上で盛り上がっている。それはまるで、外で言えば雲のように遠い。

( ^ω^)「…でも、そういえば雲も見たことないお」

僕の外の知識は、VIPPERのうpした画像しかないのだ。

( ^ω^)「…」

女神系スレではジョルジュが今日も腕を振り、バーボンスレでは今日もマスターがテキーラを出している。

変わらぬ光景。
AA達は元気に自分の仕事をする。

では、

おっぱいを求めないジョルジュは、
人にときめきを与えないマスターは、
素直なツンは、


…走らない僕は、


( ^ω^)「一体何になってしまうのかお…」

僕は目をつぶった。

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 20:36:57 ID:7qSciyYiO
『…』

『…ン』

( ―ω―)(…ん)


『…ブーン』

( ―ω―)(うるさいお。眠いお…)


『ブーン』


( ―ω―)(しつこいお…)


『落ちるぞ』


( ^ω^)「!!!」


僕は飛び起きて、スレを抜け出した。
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 20:48:25 ID:7qSciyYiO
>>105の続き

危機一髪だった。僕が今までいたそこは、DAT落ちして沈んでいった。

(;^ω^)「あ…危なかったお」

誰かが起こしてくれた気がした。

しかし、沈んだスレを僕は確認する術を持たない。

( ^ω^)「きっと…昨日の1さんだお」



110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 20:49:29 ID:7qSciyYiO
>>109の続き

(*^ω^)「きっとまた仕事サボってたんだおwwwうはwww」

二回も会えたのだから、きっとまた会える。

胸が温かくなる。それはきっと小さな幸せ。

僕を心配して、見ていてくれる人が居る。

僕は一気に嬉しくなった。
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 21:24:13 ID:7qSciyYiO
(*^ω^)「ブーン ⊂二二( ^ω^)二⊃」


僕はいつもより元気にVIPを走り回る。

厨房を煽っていた人も、
全レスしていた人も、
太ももを見たがっていた人も、
カップル版を覗いて鬱になっていた人も、

誰もが少し手を止めた。

僕の走りを見ていた。
119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 21:27:21 ID:7qSciyYiO
(*^ω^)「今日は何だか気分が良くなったお!
休んでた分までブーンするお!」


僕が走れば、誰かが喜んでくれる。

そう、信じていたから。


VIPPER達が僕を走らせる。

その時僕らは一つになるのだ。

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 21:43:28 ID:7qSciyYiO

その日の夜。

沢山ブーンをして気持ちよく疲れた僕は、休むための場所を探していた。

( ^ω^)「…?」


見渡したVIP全体に、激しい違和感。
これは…


(;^ω^)「…ほとんどのスレが1000まで行ってるお」

原因はすぐに分かった。
スクリプト厨だ。

(;^ω^)「暇人の中の暇人だお…」

一桁スレは、見当たらなかった。
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/22(木) 22:32:31 ID:7qSciyYiO
( ^ω^)「今日は…あの1さんとは会えないのかお」

約束をしたわけでもない。

第一、向こうからアクションがあるまで僕には分からない。

それでも、一桁スレに居れば、

何だか近い気がしたから。

(#^ω^)「…」


今日ほどスクリプト厨を恨めしく思ったことはなかった。
140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 00:08:00 ID:DDxjnR/EO
( ^ω^)「…スクリプト、飽きずによくやるお…」

僕はVIP中を走り回ったが、どうやらパートスレの多くが被害にあったりしているようだった。

糞スレを探したが、乱立も相まって僕には居心地が悪そうだった。

( ^ω^)「今日は、ここで寝るお」

僕は見慣れたスレに飛び込んだ。
142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 00:12:50 ID:DDxjnR/EO
(´・ω・`)「やぁ。久しぶりだねブーン」

( ^ω^)「久しぶりだお。元気かお?」

(´・ω・`)「うん、変わりなしさ。
閉店はしたけど、これはサービスだ」

彼はホットミルクを差し出す。

僕は礼を言って受け取った。


僕は普段、人が減ったAAのスレで眠りについていた。

VIPPERとは画面越しの付き合いだが、AAなら顔を見て話ができる。それが、落ち着く。

僕は眠くなるまで、彼と雑談をしていた。
144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 00:18:24 ID:DDxjnR/EO
(´・ω・`)「ところで、ここ最近はどこで寝ていたんだい?」

( ^ω^)「DAT落ちギリギリのスレを巡っていたお」

(;´・ω・`)「えっ…。危ないなぁ、気を付けるんだよ」

( ^ω^)「ありがとだお。
…最近、ブーン変な夢を見たお。何だか心が晴れないんだお…」

僕が告げると、マスターは首を傾げた。

(´・ω・`)「夢…?君、夢なんて見るのかい?」

( ^ω^)「え…?」

(´・ω・`)「私は見たことがないな。他のAA達は見るのだろうか?
興味深いね」

(;^ω^)「…」

何故だか僕は不安を覚えた。
148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 00:29:37 ID:DDxjnR/EO

(;^ω^)「今日は、疲れたから…もう寝るお」

(´・ω・`)「うん、そうすると良い。カップはそこに置いていてくれ。お疲れさま。」

僕はふらふらとカウンターを離れる。

――もし、僕だけが他のAAと違っていたとしたら。

(;^ω^)「寝るのが…怖いお」

夜はどうしてこんなに不安になるのだろう。




それから僕は、胸の辺りに嫌悪感を感じながら、睡魔と夜明けを待ち望んでいた。

 

189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 10:00:12 ID:DDxjnR/EO

(;^ω^)「…朝だお」

結局、ほとんど眠れなかった。

うとうとしただけで時間は過ぎていく。

夢が、怖いなんて…

(;^ω^)「ま、まだ僕だけが見ると決まったわけじゃないお!他のAAに訊いてみるお!」

僕は、開店準備をするマスターに別れを告げ、スレから飛び出した。
194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 10:09:29 ID:DDxjnR/EO

僕は、てっぺんに向かって ブーン ⊂二二( ^ω^)二⊃する。

この不安感を早く払拭したくて。

必死、とはこの状態か、と笑いがこみ上げてくる。

ふと、

( ^ω^)「…明日はイブかお…」

視界に入る、クリスマス関連のスレの多さ。

( ^ω^)「…」

僕は気が変わり、手前の1つに潜り込んだ。

195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 10:15:39 ID:DDxjnR/EO

みんなは明日はどう過ごすの?と書かれたスレタイ。

前夜祭で盛り上がり杉だろうが、と書かれた1文目。

(;^ω^)「そういえば前夜祭だお」

恋人がいる人はセクロス祭になるらしい日。

喪男はその日もVIPに張り付くのだろうか。

('A`)「…」

(;^ω^)「ド、ドクオ!居たのかお、びっくりさせないでくれお!」

気付けば、スレの中はドクオの足跡だらけだった。

…まぁ、当然と言えば当然なのだろう。
197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 10:19:09 ID:DDxjnR/EO

('A`)「メズラシイナ オマエガコンナトコロニ」

(;^ω^)「ブ、ブーンだってたまには来るお」

('A`)「…」

(;^ω^)「…」

('A`)「ウツダシノウ」

(;;^ω^)「早まるなお!!!」

何故ドクオは苦しくなるのにこんなスレに生息するのだろう。

僕は彼が哀れになった。
199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 10:25:06 ID:DDxjnR/EO

( ^ω^)「ド…ドクオ」

('A`)「ン」

(;^ω^)「ドクオは…夢を」

その先が訊けない。

心臓があるわけでもないのに、

僕は胸を抑えた。


('A`)「ユメ?…アルヨ」

(;^ω^)「!!!」

('A`*)「カーチャンニ 親孝行スルンダ」

(;^ω^)「そ…そっちかお」

('A`)「?」

(;^ω^)「何でもないお。カーチャンきっと喜んでくれるお!」

('A`*)「…」
202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 10:29:14 ID:DDxjnR/EO

( ^ω^)「具体的に何するんだお?」

('A`*)「クリスマスプレゼント…オレアゲタコトナカッタカラ」

(*^ω^)「それは良いお!」

('A`*)「…サンキュウ」


ドクオが、生き生きして見えた。

きっと人は誰かのために輝けるんだ。

それはAAも一緒だ。
203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 10:32:51 ID:DDxjnR/EO

何だか僕まで嬉しくなった。

ドクオからこんな気持ちをもらう日がくるとは思わなかった。

僕はドクオに礼を言い、そのスレから出た。

ドクオは礼を言われたことに対して首を傾げていた。

なんとなく悩んでいる自分が、小さく見えた。

(*^ω^)「僕も…誰かの為に頑張りたいお!」

204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 10:40:31 ID:DDxjnR/EO

クリスマス、クリスマス、クリスマス。

VIPも街角と変わりない。イベントがあればそれの話題ばかりだ。

クリスマス関連のAAが増え、僕に帽子をくれたスレもあった。


(*^ω^)「あったかいおー」
207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 10:44:06 ID:DDxjnR/EO

帽子のぬくもりを感じながら、ブーンする。

僕はクリスマススレ巡りをすることにした。


(;^ω^)「ドクオ…足跡だらけだお」

208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 10:51:37 ID:DDxjnR/EO

( ^ω^)「今年のクリスマスはみんな何をするのかお…」

VIPに張り付いていると言う人が多かったが、

VIPPERでも恋人持ちは多いから当てにならない。


(*^ω^)「…そうだお!閃いたお!」

僕は、普段僕を使ってくれるVIPPER達に、クリスマスプレゼントをあげようと思った。

決戦は――明後日だ。

(*^ω^)「ブーンサンタだおー」
212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 11:29:04 ID:DDxjnR/EO

僕はそれから、わくわくして明後日が待ち遠しかった。

何をしよう。
何ならVIPPERは喜んでくれるだろう。

アイデアが浮かんでは消え、僕はじっとしていられなかった。


『今日はブーンがよく貼られるな』
『誰だか知らんが気合い十分だな』
214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 11:32:55 ID:DDxjnR/EO

口々に、VIPPER達が呟く。

僕は慌てて気持ちを抑えた。

(;^ω^)「あ、あんまりワクテカしてたらバレちゃうお…」


もどかしい。
ブーンしたい。
でもサプライズがしたい。

僕は我慢した。

(*^ω^)「…そうだ、プレゼントはあれにするお!」
219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 11:45:24 ID:DDxjnR/EO

プレゼントは決めた。

すると、余計クリスマスが待ちきれなくなってしまった。

(;^ω^)「我慢できないお〜〜…」

もじもじしてどうにかこらえる。

僕はふと気付いて、もらった帽子をそっとしまった。

(*^ω^)「…明後日まで封印だお」

外では今日も雪が降っている。
224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 12:06:11 ID:DDxjnR/EO

『ブーン』

( ^ω^)「何だお?」

『人の命には限りがあるよな』

( ^ω^)「…残念だけど、そうだお」

『AAにはあるのか?』

( ^ω^)「…え?」

『俺はな、AAは使われなくなったら終わりだと思っていた。
…けど、本当にそうなのか?』

(;^ω^)「な、何が言いたいんだお…」

『ブーン』

『お前の寿命は、お前が気付いていないだけで、もうすぐなんじゃないのか?』



( ;ω;)「…!!!」

(つω;)「う、うたた寝してたみたいだお…」
226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 12:11:58 ID:DDxjnR/EO

( ;ω;)「何なんだおー。もう眠りたくないおー」

怖い。
言いようのない不安感。

寿命?
AAである僕に?

…聞いた事がない、AAが死ぬだなんて…

( ⊃ω⊂)"「…」

( ^ω^)「ブーンは…死なないお」

227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 12:20:34 ID:DDxjnR/EO

大丈夫。
大丈夫だ。
僕はブーン。AAだ。
人とは違うんだ。
人には…なれないんだ。

( ^ω^)「…」

僕は走る。
僕は眠る。
僕は夢を見る。
僕は恋をする。
僕は泣く。
僕は悩む。
僕には、感情がある。

( ^ω^)「僕は…人と何が違うんだお?」

外に生きるか、ここに生きるか。

違いはそれだけじゃないのか?
229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 12:25:01 ID:DDxjnR/EO
(;^ω^)「…悩んでもつらいだけだお。夢は夢だお…しっかりするお!」

ブーンしたい。

切実に思った。

この気持ちが晴れるのなら、僕は。

いくらでも走り続ける。
250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 13:43:37 ID:DDxjnR/EO

今日と明日、僕は眠らない決心をした。

変な夢を見て気が滅入ったら、とてもクリスマスなんて気分じゃなくなるかもしれないから…

( ^ω^)「一生懸命準備するお」

怖いことに対して、僕は見て見ぬ振りを決め込むことにした。

251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 13:48:37 ID:DDxjnR/EO

(*^ω^)「クリスマス♪クリスマス♪」

『ブーン何かやってるぞ』
『何だあの動きwwwキメェwww』

(#^ω^)「み、見るなお!秘密だお!」

僕は浮かれて、VIPの上のほうを歩いてしまっていた。

――サプライズなんだから、僕からプレゼントがあるってことは秘密裏に。

今日も僕は一桁スレを探した。

( ^ω^)「あそこにするお」

252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 13:53:58 ID:DDxjnR/EO

僕は糞スレに侵入する。

そして何かを感じた。

( ^ω^)「…?」

不思議な感じだ。

懐かしいような…それでいて心がざわつくような。

(;^ω^)「ここは…何だお?」

僕は1からゆっくり読んでみることにした。

253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 14:02:19 ID:DDxjnR/EO

( ^ω^)「…特に代わり映えない糞スレだお」

(;^ω^)「…僕はどうかしたのかお?」

まるで、幼い日を思い出してノスタルジーに浸るような。

こんなスレなど記憶にないのに、心地が良い。

それが気味が悪い。

(;^ω^)「で、出るお!気持ち悪いお…」

(;^ω^)「…」

体が動かなかった。

どこかで僕は、この空気を求めている。
258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 14:15:09 ID:DDxjnR/EO

(;^ω^)「…」

僕は、もしかしたら、と思い立つ。

(;^ω^)「誰か…居るのかお?」

スレの中に木霊する、僕の声。

しばらく経ち、タイプ音が聞こえてきた。

『…居るよ』
261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 14:18:56 ID:DDxjnR/EO

(;^ω^)「誰だお!?僕を知っているのかお!?」

『そりゃ知ってるさ、VIPPERだからな』

『どうした、今日は情緒不安定だな?』

(;^ω^)「…誰、だお?」

『しがない1VIPPERさ』

2度目以降のタイプは早い。

…あの1さんではないのだろうか。

262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 14:23:06 ID:DDxjnR/EO

( ^ω^)「このスレは…あんたが立てたのかお?」

『いや、暇つぶしに覗いてたのさ。そしたらブーンが来てたから、見てた』

( ^ω^)「…そうかお」

未だ、不思議な感覚は僕にまとわりついている。

この人と話しても、変わらず。

263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 14:29:18 ID:DDxjnR/EO

『さて、じゃあ俺はそろそろ移動しようかな』

( ^ω^)「そうかお」

『じゃあな、ブーン。今日は前よりは元気みたいで良かったよ。三連休は有意義にな』

( ^ω^)「!!!」


その人が去った。

空気が変わった。

そこはただの糞スレになってしまった。


( ^ω^)「あの1さん…だったのかお?」

仕事が休みなら、タイプも早いということか…
265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 14:32:46 ID:DDxjnR/EO

僕はその人の後を追いかけた。

しかし、呆れるほど入り乱れたVIPでは、たった1人を探すのは困難だ。

(;^ω^)「あの人は何者なんだお?僕にとって、一体何なんだお?」

( ^ω^)「…」

(;^ω^)「う…?」

急に、強烈な眠気を感じた。
267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 14:36:27 ID:DDxjnR/EO

(;^ω^)「い、嫌だお…今日は寝ないって決めたんだお…」

(;^ω^)「…う……」

(;^ω^)「……………」


僕は眠りに落ちた。
277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 14:52:51 ID:DDxjnR/EO

(;^ω^)「…ここはどこだお」

ゆっくりと辺りを見渡す。

真っ白で何もない。

そこは、まるで…

(;^ω^)「何もない…VIP?」

『よく判ったね』

(;^ω^)「!!!」

声は、上から降ってきた。
280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 14:56:40 ID:DDxjnR/EO

(;^ω^)「…」

『警戒するなよww別に、いずれこうなるとかそんなんじゃない』

『ただのイメージさ…』

僕は、姿が見えない声の主を見上げ、声を荒げた。

(;^ω^)「最近変な夢ばかり見るお!お前のせいかお!?」

返事は、まだ来ない。
283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 15:01:47 ID:DDxjnR/EO

『俺のせいじゃない。夢を見ているのはお前だろう』

ようやく返ってきた答えは、何とも拍子抜けするものだった。

(;^ω^)「な…」

『俺だって、ここだって、お前が作り出したイメージだ』

僕は押し黙る。

確かに、夢なんてそれ以上でも以下でもない。

けれど僕は怖いんだ。

それはつまり、

(;^ω^)「僕は、僕自身に怯えている…?」

相手も静かになった。
286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 15:10:33 ID:DDxjnR/EO
『お前の』

沈黙は相手によって破られる。

(;^ω^)「なん…だお」

『お前の心の深い所じゃ、全部分かってるんじゃないのか?』

声が出ない。
喉が渇く。
何を…言いたいんだ?

『普通のAAは夢を見ない』

『自分の存在に悩みすらしない』

『第一、お前は誕生したばかりの時睡眠を必要としていたか?』

『何故そんなに人に近付いた』

『お前はもう、一介のAAじゃないほど成長してしまった』


やめてくれ…


『お前の寿命はもうすぐ尽きる』


(;^ω^)「うわぁあああぁああぁぁあ!!!!」
291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 15:17:11 ID:DDxjnR/EO

( ;ω;)「あぁああ!!」

( ;ω;)「嫌だお…嫌だお…夢、夢だおあんなの…」

( ⊃ω⊂)「僕が何をしたんだお…」

泣き叫びながら起きた僕は、そのままふらふらとDAT落ち寸前のスレをさ迷う。

――それはさながら死に場所を探す獣のようで。

それに気付いた僕は、また泣いた。
294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 15:27:55 ID:DDxjnR/EO
( ⊃ω⊂)「ヒック…グズッ…」

( ⊃ω⊂)「……」

( ;ω;)「今…何時だお…?」

時刻を確認する。【12/24 01:28】の表示。

どうやら、眠っていた間もあったが、泣いている間に日にちが変わってしまったようだった。

( ;ω;)「…イブだお」

( ⊃ω⊂)「…」

( ⊃ω⊂)「…僕はサンタさんになるんだお」

( ^ω^)「泣いてちゃ駄目なんだお!」

腫れた目を擦り、奮起する。

本当に死ぬのかは分からない。不安がいっぱいだ。

けれど、

僕は内藤ホライゾン。

泣きながら死にたくはない。

最期まで僕は走り続ける。
298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 15:32:56 ID:DDxjnR/EO


決行は今日の11時。

すぐには終わらせない。

日にちをまたいで僕はやる。

( ^ω^)「それまでは…絶対に死なないお」

VIPPER達への感謝の全て。

僕は、帽子を引っ張り出した。

299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 15:37:02 ID:DDxjnR/EO

( ^ω^)「…ずいぶん時間があるお」

(#^ω^)「どうせもう怖いものはないお!また寝るお!」

僕は目を瞑った。

興奮していたせいもあってか、なかなか眠れない。

ようやく眠れたのはそれから2時間後のことだった。

皮肉なことに、夢は見なかった。
302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 15:45:30 ID:DDxjnR/EO

(´・ω・`)「やぁ。こんな時間に珍しいね?」

('A`)「ナンダヨキュウニ
俺ハカーチャントコ イクンダカライソガシインダヨ」

( ゚∀゚)o彡「おっぱい?おっぱい?」

僕は知り合いのAAの元を巡り、告げる。

( ^ω^)「今夜11時、スレの外を見て欲しいお!」
305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 15:49:44 ID:DDxjnR/EO

そして、僕は、一番会いたいあの子に会うのを躊躇っていた。

( ^ω^)「…ツン」

( ^ω^)「…」

(#^ω^)「こ、これでさよならなんかじゃないお!今日あれを見せて、明日はツンと遊ぶんだお!」

別れは言いたくないから。

僕はプレゼントをあげるだけなんだ――


自らを納得させ、ツンの元へと急いだ。
308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 15:58:31 ID:DDxjnR/EO

ξ゚听)ξ「ブーンじゃないの。何よ急に?」

( ^ω^)「ツン…」

何故だかツンの顔を見ていたら、何も言葉が出なくなった。

怖い。嫌だ。死にたくない。

僕は、僕は――…

ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっとあんた泣いてんの!?何なのよ一体!」

( ⊃ω;)「な、何でもないお。ごめんお」

ツンが、何なのよ全く、と呟くのが聞こえた。



309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 15:59:05 ID:DDxjnR/EO
( ^ω^)「…今晩11時、スレの外を見て欲しいお」

ξ゚听)ξ「え?」

( ^ω^)「見せたいものがあるお。…それだけだお!」

ちょっと、とかツンが叫ぶのが聞こえる。

僕はそれを無視して走り去った。


――決心が鈍りそうだったから。

最期まで、ツンと居たいと思ってしまったから…

( ^ω^)「ごめんお…ツン」
315 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 16:10:53 ID:DDxjnR/EO
僕はそれから、時間の許す限りVIPの隅々まで巡った。

目に焼き付けておきたかったから。

VIPPER達の全てを。

けれど、心とは裏腹に、

視界が滲んで見えなくなっていく。


( ;ω;)「見たいんだお…止まれお、涙…」

どんなスレに行っても、涙は溢れるばかりだった。
317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 16:13:59 ID:DDxjnR/EO

( ;ω;)「…あ」

( ;ω;)「もう10時半だお…」


時間はあっという間に過ぎていった。

まだ他のスレに、ギリギリ行ける時間だ。

( ;ω;)「…」

僕は迷わず一桁スレに入った。
320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 16:18:33 ID:DDxjnR/EO
( ;ω;)「…」

( ⊃ω;)「…はは、そりゃそうだお…そう都合よくはいかないお」

そこは普通の糞スレだった。

あの時感じた懐かしさは無かった。

( ^ω^)「…でも」

( ^ω^)「…きっとあの人なら、ここを覗いてくれる筈だお」

僕はスレを引っかく。

あの人にお礼を言いたいから。

せめて、置き手紙だけでも。


僕は、時間直前までそこで壁を引っかき続けていた。
323 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 16:28:09 ID:DDxjnR/EO
(´・ω・`)「…やぁ、ドクオ。君も?」
('A`)「内藤ガヨビヤガルカラ…マンドクセ」
( ゚∀゚)o彡「おっぱい?おっぱい?」
('A`)「ウルセ」


――11時。

彼らは頬に冷たい風を感じた。

(´・ω・`)「これは…」
('A`)「ユキ?」

風に紛れて白いものがふわふわと舞う。

手の上で、それは消えてなくなった。

雪のAAなどよく見かける。

だが、それはあまりにリアルな感触。

周りのVIPPER達もざわめき始める。

『何か…何となく、画面冷たくないか?』
『俺漏れも。温度は変わりない筈なのに、何となく…』
327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 16:31:24 ID:DDxjnR/EO

それは、ブーンの命の結晶だった。

ブーンはVIPの頂点でブーンをし続ける。

(*^ω^)「雪だおー。ホワイトクリスマスだおー」


掲げた雪のAAは、ブーンの体に有り余る。

だけど、ブーンに出来ることなどたかが知れている。

だから、せめて。
330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 16:36:15 ID:DDxjnR/EO

(;^ω^)「…う、腕が重いお…
でも頑張るお!」

僕からのクリスマスプレゼントは、VIPに降らせる雪だった。

ふわふわと舞い落ちる様は、本当に綺麗で。

(*^ω^)「AAだけど…満足だお!」

悲鳴を上げ始めた足を引きずりながら、僕は走る。

走らない僕など僕ではない。








ξ゚听)ξ「…何よこれ、雪…?」

ξ゚听)ξ「綺麗…だけど」

ξ;;)ξ「あいつ何無茶してんのよ、馬鹿…」
333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 16:41:44 ID:DDxjnR/EO

(ヽ^ω^)「今…何時だお…?」

時計は12時を告げていた。

どうやら1時間、僕はブーンをしっぱなしだったようだ。

(ヽ^ω^)「…今日はオールでやるお!頑張るお!」

気合いを入れる。

突然、回る視界。

(ヽ^ω^)「あ…あれ?」

体が動かない。

そのまま僕は、VIPの底まで落ちていった。
339 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 16:48:02 ID:DDxjnR/EO
ぼすっ。

着地した底は、思ったほど痛くない。

(ヽ^ω^)「あ…雪だお」

大分積もったようだ。

頑張ったなぁ、と自画自賛する。

(ヽ^ω^)「でも…変だお」

(ヽ^ω^)「…何だかあったかいお…」

(ヽ^ω^)「フフ…雪、冷たい筈なのに…」

(ヽ^ω^)「…変…だ、お………」

目が開かない。
指先すら動かせない。
なのに変に心地いい。

意識が遠のいていく。

もう、変な夢に悩まされることもないのだろう。




345 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 16:50:46 ID:DDxjnR/EO

「…あー、休日出勤とか有り得ないしよ。せっかくのイブなのに…」

俺は家に帰り、今着いた、と彼女に電話する。
完璧に拗ねている。
なだめながら、PCに向かった。


「VIPは…ん?」

開いた瞬間、ひんやりとした。

「…何だこれ?」
349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 16:53:24 ID:DDxjnR/EO
「…変だな。まぁ良いさ…」

雪のAAがブーンと共に沢山貼られている。

まぁイブだしな、とそれを横目に、俺は一桁スレを探す。

最近はそれが日課になっていた。

やたらションボリしたブーンのAAを見つけて以来、一桁スレには居る気がして、気になっていたのだ。

350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 16:56:04 ID:DDxjnR/EO

いくつか巡り、ようやく目的のブーンを発見する。

「…ん?」

『( ^ω^)あの時の1さんにお礼が言いたいお』

ブーンからのメッセージがある。

まさか、俺に?

『( ^ω^)DAT落ちする前に見てくれるか分からないけど、書いておくお』

俺は読み進めた。
353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 17:00:24 ID:DDxjnR/EO

『( ^ω^)ブーンはVIPが大好きだお』

『( ^ω^)色んな人が居て活気があって、本当に大好きなんだお』

『( ^ω^)だけどあの時は滅入っていて、励ましてくれなきゃずっと落ち込んでいたと思うお。ありがとうだお』

『( ^ω^)何だかブーンには時間がないみたいだから、言えることは少ないけど、』

『( ^ω^)あの雪は僕からのプレゼントだお。楽しんで欲しいお!』

『( ^ω^)…それじゃあ』




『( ^ω^)さよなら』
359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 17:03:24 ID:DDxjnR/EO
「…は、何言ってんだこいつ…」

俺は他のスレを見る。

どこのスレにも、帽子をかぶったブーンが居る。

それは、凄く嬉しそうで。

なのに俺の目には涙が滲む。

「どういうことだよ畜生!出て来いよブーン!!!」

どんなにブーンにレスをしても、返事が来ることは無かった。
366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/23(金) 17:10:18 ID:DDxjnR/EO
その日は、せっかく彼女が来てくれたのに俺は泣いてばかりで、彼女は怒って帰ってしまった。


俺はと言えば、

あれからブーンのAA見かけてはレスをしてみたりするが、ブーンからのレスはなく、

俺はたまらずブーンのAAを貼り続けた。

どこか気の抜けたAA。




「さよなら…か」

信じたくないが、本当なのかもしれない。

俺は、今貼ろうとしていたブーンを、これで最後にしようと決めた。

「…さよなら、ブーン」

 ブーン /⌒ヽ
⊂二二( ^ω^)二⊃
   |  /
    ( ヽノ
   ノ>ノ
 三 レレ
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