127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 15:54:04.01 ID:8ORNDpRu0


('A`)「やめろって!」

(´<_` )「どけよ」



玄関の前に立ち塞がり、弟者の進行を妨げる。
しかし、屈強な弟者を貧弱なドクオが止められるはずもない。




(´<_` )「大体から、何で止めるんだよ」




玄関から数歩歩き、弟者は振り向く。
いつもの蔑んだ色は見えない。
131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 15:57:08.29 ID:8ORNDpRu0


('A`)「何でって、オレはお前のこと頼まれたんだよ」

(´<_` )「頼まれた?」

('A`)「昨日、弟者を頼むって。兄者に」


兄者と口にした途端、暗い色が浮かび上がる。
怒りと嫌悪の色だとドクオは知っている。

黙って歯を食いしばっているのは、
自分より劣っていると思っていた者に心配されているという
屈辱からなのだろう。


('A`)「オレ、やっぱりあんた嫌いだわ」


始めて会ったときから、弟者の色は黒かった。
兄者という友人が貶されていなくとも、
ドクオは弟者のことを好意的に思うことはなかっただろう。


(´<_` )「そりゃどうも」

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:00:48.56 ID:8ORNDpRu0


再び足を進め始めた弟者の腕をドクオが掴む。
力は弱いが、簡単に振り払えるものでもなかった。


(´<_` )「離せ」

('A`)「無理だ」

(´<_` )「……燃え上がる炎よ、
       我の腕を掴みし者に熱を与えよ」


小さな呟きは炎を生み、炎は弟者を掴んでいるドクオに襲いかかった。


(;゚A゚)「アッツ!
    いでよ氷!」


燃えている腕を地面に押し付けながら、ドクオも呪文を唱える。
すぐに大きな氷が現れ、ドクオは腕を押し付ける。


(´<_` )「ああ、そうか」

('A`)「オレは、氷系と風系が使えるんだぜ」

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:03:40.28 ID:8ORNDpRu0

兄者は一種類しか使えないから劣等生と呼ばれている。
ドクオは家系の中で劣等な者と判断を下された。

普通の家庭に生まれていたならば、ドクオは一般的な魔術師なのだ。


(´<_` )「でも、オレは七種類の魔法を使う男だぞ」


片手を上げ、ドクオに手のひらを向ける。
どのような魔法が繰り出されるのかと、腰を低くして構える。


(´<_` )「……邪魔するな」


上げていた手を下げ、再び歩き出す。
邪魔をするなと言われても、簡単に引き下がれるわけもない。


('A`)「何で行くんだよ!」


じりじりと痛む腕を抑えながらドクオが叫んだ。

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:06:41.88 ID:8ORNDpRu0


(´<_` )「兄者なんかに借りを作りたくない」


答えながらも足は止めない。
ドクオは弟者の背中を追いかける。


(;'A`)「借りって……。
    行ったら死ぬかもしれないんだぞ!」


弟者の足が止まる。



( <_  )「なら」



ゆっくりと弟者が振り向く。


141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:09:02.31 ID:8ORNDpRu0








(´<_` )「お前、兄者を見捨てんの?」







144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:12:37.56 ID:8ORNDpRu0



('A`)


何か言わなければと思った。
だが、何も出てこなかった。


(´<_` )「友達なんだろ?
       でも、嫌いなオレの命心配して、
       兄者のことは心配しないんだろ」


色は何も浮かんでいない。
冷たい目がドクオを刺す。



(´<_` )「ああ、わかった」




(´<_` )「お前、自分の命が惜しいだけだろ」


148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:15:10.04 ID:8ORNDpRu0


友情も大切だ。しかし、一番大切なのは命だ。


('A`)「……そうだよ」

(´<_` )「じゃ、見逃せよ」


これ以上引き止めるのならば、持てる全ての力を使ってでも
ドクオを殺してみせると弟者は暗に言う。


('A`)「お前は命、惜しくないのかよ」


あれほど毛嫌いしていた兄弟のために、
命を投げ出せるような人間には見えなかった。


(´<_` )「オレは命よりもプライドの方が大切なんでね」


幼いころからつちかってきたプライドは、
弟者の中であまりにも大きくなりすぎた。

見下している者に助けられたくないと思うほど。


150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:18:44.48 ID:8ORNDpRu0


(´<_` )「それに、お前の話を信じたわけじゃないし」


可能性の中にドクオの言葉は入っている。
同じくらい、城では平然とエリートが生産されている
可能性も弟者の中には考えられていた。


(´<_` )「じゃあな」


ドクオは弟者の後ろで俯いていた。
弟者の背中が見えなくなるまで、顔を上げることはできなかった。


('A`)「…………」


顔を上げ、空を見上げる。
高い空は忌々しいほど綺麗で、ドクオは自分が汚く感じた。


兄者のことを見捨てたいわけではない。
兄者との約束を違えたいわけでもない。


153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:20:49.96 ID:8ORNDpRu0


ドクオは走り出した。
一人で住んでいる家はろくに掃除もされていない。

汚い家の中の奥、より一層埃を被っている部屋がある。
そこへ入り、一つの絨毯を手にとった。


('A`)「オレだって、一つくらいは守るさ」


絨毯を広げる。
埃が光に晒され、キラキラと舞った。


156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:23:17.10 ID:8ORNDpRu0

弟者は真っ直ぐ町を抜けた。
何度か知りあいに会ったが、声はかけなかった。

相手の方は屈強な体をした弟者を見て、驚いた顔をしていた。
今、町に残っているのは貧弱な兄者の方だと思っているのだから
その反応は当然のものだ。

自分と兄者の区別がつかないのかと苛立ったが、
全ての原因が兄者だと思うと、一刻も早く城へ行きたかった。


(´<_` )「確か、城はこの方角だったな」


弟者のいる町から城は見えない。
城など本の中でしかみたことがなかった。

賑わいのある城下町を夢見ていた。
騎士がやってきたとき、ようやくチャンスが巡ってきたのだと
心が歓喜に撃ち震えていた。


(´<_` )「ちっ」


考えれば考えるほど、兄者のことが憎らしく思える。

160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:25:36.42 ID:8ORNDpRu0


「お前、歩いて行くのかよ」


不意に聞こえた声に、弟者は視線を彷徨わせる。
しかし、どの方向を向いても声の主はいない。


('A`)「ここだよ」

(´<_`; )「お、お前……」


声につられ、上を見た。


 ('A`)
/ ゚、。 /


そこには絨毯のような生物に乗ったドクオがいた。
布には目や口が見える。本当に絨毯なのかわからない。


164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:28:13.51 ID:8ORNDpRu0

(´<_` )「何だよ、その……生物?」

('A`)「これは『ダイオード』
    一種のキメラみたいなもんだ」


ふわふわと宙に浮いている様子は、
ただの布にしか見えなかった。


('A`)「城までどれだけかかると思ってんだよ」

(´<_` )「お前には関係ないだろ」

('A`)「あるさ」


ダイオードに乗ったドクオが地面に降り、
弟者と視線をあわせる。


('A`)「オレだって、一つくらいは守りたい」


166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:30:50.79 ID:8ORNDpRu0


兄者との約束でもいい。
大切な友人でもいい。

どちらか一つくらいは守ってみたかった。


('A`)「乗れよ。明日の昼にはつく」


ダイオードを見てみる。


/ ゚、。 /


とてもではないが、男二人が乗れるようには見えない。
ドクオのような小柄で、貧弱な体型ならばともかく、
弟者は体格もいい。薄い絨毯が支えられるようには見えない。


('A`)「大丈夫だって。
    あいつ、うちにいるお手伝いさんを
    十人くらい乗せてたし」

171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:33:15.50 ID:8ORNDpRu0

ドクオが本当に千里家の人間だとすれば、
実家に何人もの使用人がいても不思議ではない。

今、疑問に思うべきことは一つだ。


(´<_` )「よく劣等性にこんないいものくれたな」


やはり名家ともなれば、劣等性を追い出すのにも
金をかけてくれるのだろうか。


('A`)「いや、追い出されたときに盗ってきた」

(´<_` )「盗みかよ……」

('A`)「でも、元々実家だし。ダイオードもオレのこと
    気に入ってくれてたみたいだし。問題ないって」


千里家の方は何も言ってきていないようだ。

彼らにとってダイオードがそれほど大切な物でなかったか、
ドクオと縁が切れるのならば安いものと思っているかのどちらかなのだろう。


174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:36:41.38 ID:8ORNDpRu0


('A`)「のんびり歩いてたら、兄者に借りを返す暇もなくなるぞ」

(´<_` )「…………」


ドクオの言い分ももっともだ。
本当に城で殺しあいがなされているとすれば、
歩いている間に兄者が死んでしまっても不思議ではない。


(´<_` )「わかった」


弟者はダイオードへ近づき、そっと手をつく。
不安定な絨毯の感触に不安を覚えた。


('A`)「大丈夫だって」

(´<_`; )「お、おう」


恐る恐る腰を降ろしてみると、
ダイオードは意外なほどしっかりと弟者の体を支える。


177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:39:20.42 ID:8ORNDpRu0


('A`)「じゃあ行きますか」


ドクオも乗り、ダイオードが空高く舞い上がる。


(´<_`; )「うおっ!」


突然の上昇に、弟者は思わずダイオードを掴む。
ドクオは慣れているのか、平然とした顔をしていた。


上昇が終わり、城の方角へ進んで行く。
空は青く、地上から見る風景とはずいぶん違っていた。


('A`)「あー。やっぱ高いとこは綺麗だよな」

(´<_` )「煙と何とかは高いとこが好きってか」

('A`)「頭は悪くねーよ。たぶん」


180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:41:46.59 ID:8ORNDpRu0

風を受けながら、真っ直ぐ飛ぶ。
下の方に湖や森が見えるが、今の彼らにそんなものは関係ない。


('A`)「兄者はいいよなー」

(´<_` )「はあ?」

('A`)「だってさ、兄者はその気になればここまでこれるんだぜ」


唯一使える魔法に長けた兄者は、他の者よりも高く昇ることができた。
また、自分以外のものもある程度ならば浮遊させることができる。


('A`)「お前とかは兄者のこと劣等生って言うけどさ、
    兄者は卒業後にこないか? って結構誘われてるんだぞ」



兄者は劣等生だ。
あくまでも、魔術師としては。

185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:44:06.37 ID:8ORNDpRu0

一般人からしてみれば、たった一つでも魔法が使えるというのは、
素晴らしいことであり有能である。

多くの能力を持っていることだけが優秀ではない。
学校という小さな世界から出てみれば、
一つのことに特化している方が有利な場合がいくらでもある。


('A`)「空を飛べるって便利だよな。
    高いとこの仕事とかできるし、配達もできる。
    兄者なら引越しとかも楽にできるんだろうな」

(´<_` )「『その程度のこと』しかできないんだろ」


弟者の目はただただ冷たい。


(´<_` )「多くの魔法が使えれば、合成魔法の研究もできる。
       回復の魔法が使えれば、簡単に医療へ携わることができる」


事実を淡々というその様子は、
自分の能力をひけらかす姿以上にプライドを感じた。


188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:47:32.43 ID:8ORNDpRu0


('A`)「ああ、確かにあんたは優秀だよ」


優秀な人間に周りは従う。
能力がものをいう魔術師社会では当然のことだ。


('A`)「でもな、だからって兄者を毛嫌いするのはおかしいじゃねーか」

(´<_` )「アレは汚点だ」

('A`)「双子の兄弟なんだろ」

(´<_` )「虫唾が走るね」


ドクオは静かに眉をひそめた。
見える色はあまりにも歪んでいる。



(´<_` )「ま、嫌いな理由はそれだけじゃないけど」



190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:50:52.61 ID:8ORNDpRu0


('A`)「他の理由ってなんだよ」

(´<_` )「お前さ、兄者の友達なんだろ?」

('A`)「当たり前だ」


弟者は口元を歪ませる。


(´<_` )「劣等性でよかったな」

('A`)「何言ってんだ」


(´<_` )「兄者はさ、優秀な人間を殺すから」


194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:53:57.73 ID:8ORNDpRu0

何を言っているのか理解ができなかった。

もしも兄者が優秀な人間で、弟者が劣等性だったならば、
今の発言はただの嫉妬に聞こえただろう。
だが、現実には兄者は劣等性だ。


(´<_` )「オレの背中にはでかい傷があるんだ。
       町の近くにある森で魔物にやられた傷」

('A`)「魔物にやられた傷が、何で兄者に関係すんだよ」

(´<_` )「そのときの記憶はないんだが、兄者がオレを連れて行ったらしい。
       当時、凶暴な魔物がいて危険だと言われていた森へだ」


幼いころ、まだ魔法もろくに使えなかったころの話だそうだ。


(´<_` )「オレは回復系を宿していたから、一命を取りとめた。
       そのすぐ後くらいからオレ達は魔法を使い始めた」

('A`)「何で笑ってんの?」

(´<_` )「兄者は見抜いて、嫉妬したんじゃないの」



195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:56:44.22 ID:8ORNDpRu0

幼いときの話。
それも、本人は魔物に襲われたときの記憶がないという。
根拠も何もない話だ。第三者から見れば、
それで兄弟を嫌うというのは理解できない。


('A`)「そんなの……」


しかし、ドクオは強く反論することができなかった。


彼の目に映っていた確かな『罪悪感』の色が忘れられない。


昔の過ちに罪を感じていたのだろうか。
弟からの冷たい言葉や態度にも耐えていたのは、
罪を逃れるためなのかもしれない。


(´<_` )「何だ。反論しないのか?」


得意気に笑うその顔が気に入らなかった。


('A`)「あんたと兄者。どっちを信じるかなんて決まってるだろ」


198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 16:59:40.34 ID:8ORNDpRu0


(´<_` )「そりゃそうだ」


口を開け、ケラケラと笑う。


(´<_` )「兄者は友達。オレはいじめっ子」


ドクオの細い肩を弟者が強く叩く。
予想以上の力に、思わずバランスを崩す。


('A`)「うおっ」

(´<_` )「っと。落ちんなよ。城についてねぇんだし」

('A`)「……なんかさ、態度違わなくね?」


今までの弟者と今の弟者は明らかに違う。


(´<_` )「お前の目にはどう映ってる?」


201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 17:03:07.05 ID:8ORNDpRu0


目に映る色は相変わらず嫌悪の色だ。
その中にわずかに見えるのは恐怖の色。


('A`)「怖い?」

(´<_` )「ふーん。千里家ってのマジなんだ」


千里家が恐れられているのは、その目に宿る力だけではない。
彼らは呪いを扱う家系でもあるのだ。


(´<_` )「劣等性とはいえ、呪われるのは嫌だしな」

('A`)「そんなことしねーよ」

(´<_` )「どうだか」


恐怖の色を浮かべたまま笑う。
その様子を滑稽だとは思わない。



202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 17:06:26.43 ID:8ORNDpRu0


('A`)「オレが始めてあの町にきたときのこと覚えてるか?」

(´<_` )「暗かった。鬱陶しかった。
       劣等性っての抜きにしても近くにいたくはない人間だった」

(;'A`)「Oh……。予想外のボディーブローだぜ」

(´<_` )「で、それがどうしたんだよ」

('A`)「いや、オレが負の感情を見えるって、
    親とかは知らないんだよ。でも、実際は見えるわけだから、
    イラネって思われてんのは知ってたんだよな」


周りの人間が笑っているのを見ながら、
邪魔だと嫌悪する色だけは見えていた。
汚い人間ばかりだと思っていた。周りも、自分も嫌いだった。


('A`)「妹が優秀だってわかって、こっちへ追い出されたときは嬉しかった」


それでも周りを信じることはできなかった。

206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 17:08:30.88 ID:8ORNDpRu0


('A`)「でもさ、兄者を見たときは驚いたよ」

(´<_` )「何で」

('A`)「表面的に見ても嫌悪むき出しにされてるのに、
    兄者は怒りや憎しみが浮かんでないんだぜ。
    変な人間だと思ったよ」


能天気な馬鹿かと思った。
けれど、罪悪感という色は脳天気とはかけ離れていた。


('A`)「気づいたら仲良くなってたよ」

(´<_` )「丁度いいんじゃね」

('A`)「劣等性同士か?」

(´<_` )「いや、嫌われ者同士」

('A`)「兄者が嫌われてるのは十中八九お前のせいだろ」

(´<_` )「身に覚えがないな」

211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 17:11:22.77 ID:8ORNDpRu0


(´<_` )「嫉妬とかしないのか」

('A`)「誰に」

(´<_` )「妹」


妹が生まれ、ドクオは家を追い出された。
それを幸運と思っていたとしても、
自分より後に生まれた者が優秀だったならば嫉妬くらいはするだろう。


('A`)「うちの家系は魔法の力が開花するのが早いから。
    アイツは今ごろ十歳。別に大した思い出もないから嫉妬も何もない」

(´<_` )「今十歳ってことは、三歳のときには能力が開花するのか……」


一般的に魔法の力が開花するのは六歳から七歳とされている。
言葉がなくとも使える魔法は開花が早いと聞いていたが、
ここまでの差ができるとは思っていなかった。


213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/24(土) 17:14:15.97 ID:8ORNDpRu0


こんなことでもなければ、弟者と言葉を交わすことなどなかっただろう。
楽しいといえるような会話ではなかったが、新鮮な気持ちだった。


('A`)「城がヤベェって思ったら引き返すからな」

(´<_` )「お前一人でな」

('A`)「いや、お前もだよ」

(´<_` )「いやいや。オレは行くよ」

('A`)「いやいやいや」




どれか一つくらいは守らせて欲しいものだと思った。






第二話 完

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