- 870 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 20:34:35 ID:yFZJ5VOk0
ζ(゚ー゚*ζ 久しぶり。老けたね、あんた
最終話その八「月下」
( ФωФ) ひ、久しぶり
- 871 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 20:37:03 ID:yFZJ5VOk0
( ;ФωФ) て、え、えっ!?オサム、くんじゃないぞ。母者さん?
ζ(゚ー゚*ζ それ以外の誰かに見えるのかい
( ФωФ) あ、あの、どうしてここに…
ζ(゚ー゚*ζ 使いを出してもよかったんだけど
どうしてもあたしから言いたいことがあってね
ていうか、元気してた?
( ФωФ) あ〜、うん。元気。母者さんは?
ζ(゚ー゚*ζ あたしが言うのもなんだけど、お前落ち着き過ぎだろ
- 872 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 20:38:59 ID:yFZJ5VOk0
( ФωФ) あ、そうか。敵だから落ち着いてちゃ駄目だった
ζ(゚ー゚*ζ 変わってねーのな、お前
( ФωФ) ワシだって日々成長しとるんよ。ニンジン食べられるようになったし
ζ(゚ー゚;ζ はいはい。そりゃ大成長だ
ζ(゚ー゚*ζ 魔王軍さー、楽しい?
( ФωФ) あ、あ〜、うん、結構
- 873 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 20:42:04 ID:yFZJ5VOk0
( ФωФ) 母者さんは楽しくなかったの?
ζ(゚ー゚*ζ それなりに楽しかったよ
( ФωФ) じゃあどうして魔王軍を辞めたんだ
ζ(゚ー゚*ζ それなりは、それなり。それも最初の内だけだったしな
( ФωФ) そう…
( ФωФ) じゃあ別の質問なんだけど、どうしてテロ組織なんか立ち上げたの?
- 875 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 20:45:45 ID:yFZJ5VOk0
夕闇の中で微笑む母者は、妖しく、美しかった。
ζ(゚、゚*ζ まだわかってなかったんだ
母者の表情には種々の感情が混ざり合っていて、読み取るのが難しい。
それらの中で、「悲しみ」だけはすくい取ることができた。
ζ(゚ー゚*ζ あたしの孤独を理解できるのは、あんただけだと思ってたのに
( ФωФ) ご、ごめん
- 876 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 20:48:23 ID:yFZJ5VOk0
歯車王たちのことをふいに思い浮かべた。
彼らも、孤独だったのだろうか。
( ФωФ) 母者さん「も」、戦いが好きなのか
ζ(゚ー゚*ζ 好きだ
( ФωФ) 戦いが無いと、生きられないのか?
ζ(゚ー゚*ζ それは違う
( ФωФ) え?
- 877 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 20:50:28 ID:yFZJ5VOk0
ζ(゚ー゚*ζ 歯車王たちのことを考えているんだろ?
( ФωФ) 知っているのか
ζ(゚ー゚*ζ そっちの情報は大体筒抜けだったからな
( ФωФ) 姉者さんか
ζ(゚ー゚*ζ 優秀な娘だろ?魔力を抑えるのが上手いんだよ
お前でも気がつかなかったらしいな
( ФωФ) ああ、強いのは昔から知ってたけど
ζ(゚ー゚;ζ は?
- 878 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 20:52:21 ID:yFZJ5VOk0
ζ(゚ー゚*ζ じゃ、じゃあ怪しいと思うだろ?
( ФωФ) その考えまでには至らなかった…恥ずかしがり屋なんかなって思ってた
横堀さんのことを考えると、申し訳無くなる
ζ(゚ー゚*ζ お前が気に病むことはない。どうせ…
( ФωФ) …?
ζ(゚ー゚*ζ いや、まあ、どうでもいいや
戦いが好きかどうか、だったっけ?
( ФωФ) あ、うん
- 879 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 20:55:32 ID:yFZJ5VOk0
ζ(゚−゚*ζ 好きだ。でも組織を立ち上げたのは、そんな陳腐な理由ではない
( ФωФ) どうして…
ζ(゚ー゚*ζ テメーで考えることだな。あたしからの宿題
( ФωФ) もう辞めてくれ
ζ(゚−゚*ζ
( ФωФ) 頼む。もう戦争なんて辞めてくれ
ζ(゚−゚*ζ お前…
- 880 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 21:03:06 ID:yFZJ5VOk0
( ФωФ) ワシは戦争が嫌いだ。誰とも戦いたくない。戦って欲しくもない
誰かが死ぬと、辛いよ。本当に辛い
怖いから、魔界大戦のときに友達を作ろうとはしなかった
今は違う。ワシの側近は下らん雑談に付き合ってくれるし
ナンバーズの隊員はみんないい人だし。人間の友達も出来た
なんかあいつ最近リア充ぶってるからいつか酔ったフリしてぶん殴ろうと思ってるけど
オサムくんだってたまに遊びに来るし。冥王とたまに飲むし。あさぴーくんからゲーム借りて…
ζ( − *ζ もういい
( ФωФ) ζ(
− *ζ
- 881 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 21:07:03 ID:yFZJ5VOk0
ζ( − *ζ あんただけは、わかってくれると思ってた
( ФωФ)
ζ( − *ζ あたしの勘違いだったみたいだ
( ФωФ) ごめん…
ζ(゚ー゚*ζ
ζ(゚∀゚*ζ 陽の当たる場所は、どんな居心地だったんだい?
( ФωФ) 母者さん…
- 882 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 21:09:32 ID:yFZJ5VOk0
ζ(゚ー゚*ζ 何処に行っても闇の中だった。せっかく見つけた光にも見放された
( ФωФ) し、詩人だね
ζ(゚ー゚*ζ もう終わりにしよう
( ФωФ) 終わりにって…
ζ(゚ー゚*ζ あたし、オサムのこと殺した
( ФωФ)
- 883 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 21:17:20 ID:yFZJ5VOk0
―――「月下の暁」本部
∬´_ゝ`) もうすぐ終わるわね。この戦争も
l从・∀・ノ!リ人 まさかここまで母者の思い通りになるとは思わなかったのじゃ
∬´_ゝ`) 何だかんだで母さんは優しいからね
だって――――――――――――――の為に戦争を起こそうなんて
誰も思いつかないわよ
(な、なんだって…!?それじゃあ、俺たちはただ利用されただけ、なのか!)
- 884 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 21:19:26 ID:yFZJ5VOk0
(クソッ、俺たちゃただのピエロだったって訳か!エクストに教えなければ!)
∬´_ゝ`) だから、あんたみたいなのがいると迷惑なのよ
l从・∀・ノ!リ人 お前も消えてもらうのじゃ
(え?)
- 885 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 21:21:04 ID:yFZJ5VOk0
∬´_ゝ`) |;(●), 、(●)、| l从・∀・ノ!リ人
|;(●), 、(●)、| ま、待ってくれ!誰にも言わない!約束するから!
∬´_ゝ`) だーめ
l从・∀・ノ!リ人 今までお疲れさんだったのじゃ
|:(●), 、(●)、| やめてくれ、やめてくれえええええええ!
- 886 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 21:24:27 ID:yFZJ5VOk0
―――「月下の暁」屋上
(´<_` ) そろそろこの茶番も終わりそうだな
( ´_ゝ`) ああ。インドア派の俺たちにとっては辛い戦いだったな
(´<_` ) お前は最後まで戦場に出てなかっただろ
( ´,_ゝ`) やっていたさ。エロゲーという名の戦を、な
(´<_` ) 言うと思ってたけどそんなドヤ顔で言われるとは予想してなかった
- 887 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 21:27:08 ID:yFZJ5VOk0
( ´_ゝ`) それにしても、まさかここまで母者の思い通りになるとはな
(´<_` ) 何だかんだでやっぱ、母は強しだな
( ´_ゝ`) 最強過ぎるわ。何せ―――――――――――――――の為に
わざわざ魔界巻き込んで戦争起こしてんだぞ
誰にもできねえよ
(´<_` ) 歴史に俺たちの名前って乗るのかな…
( ´_ゝ`) 正直俺は、ちょっと嬉しい
(´<_` ) うん…w俺もちょびっと嬉しい
- 888 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 21:29:20 ID:yFZJ5VOk0
( ФωФ) ζ(゚ー゚*ζ
ζ(゚ー゚*ζ あたしのこと、殺したくなったかい?
( ФωФ)
ζ(゚ー゚*ζ 次の満月の夜、全てを終わらせよう
あたしは全軍を動員して「全ての始まりの場所」で待ってる
暁を迎えるのは、あたしかな、お前かな?
- 891 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 21:33:10 ID:yFZJ5VOk0
夕陽の名残が空を血のように染めていた。
残り火のような拙い光が、極彩色のステンドグラスから差し込みロマネスクを照らし、
母者はその影になった闇の中で、また妖艶に笑っていた。
( ФωФ) 安心したよ
ζ(゚−゚*ζ ……?
( ФωФ) 母者さん、何も変わってないみたいで、安心した
薄暗い闇の中で、母者の頬が薄く染まった。
沈んだ夕陽のせいではないだろう。
- 892 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 21:37:38 ID:yFZJ5VOk0
ζ(゚ー゚*ζ 馬鹿だね、あんた
ゆっくりと近づいてくる母者に、ロマネスクは警戒する素振りも見せなかった。
すぐ目の前までお互いが近づくと、身長差がよくわかる。
母者の頭の位置が、ちょうどロマネスクの胸の辺りだった。
俯いた母者は、こつんと頭を彼の胸にぶつけた。
ζ( ー *ζ ありがと
- 893 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/24(日) 21:44:09 ID:yFZJ5VOk0
( ФωФ) うん
ζ( ー *ζ じゃあ、また
( ФωФ) うん。また
急速に深まる闇の中で、二人だけは時間が止まったように動かない。
しかしいつの間にか、胸にかかっていた圧力が消え、母者の姿も無くなっていた。
( ФωФ) 全てが終わる始まりの場所へ
呪文のように呟いたとき、ロマネスクはあの日のことを思い出していた。
to be continued…
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