4 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 18:25:51 ID:dRBUavnk0

 セクタ0は広大な荒野で、植物が生えないので動物もいない。

 魔王軍、月下の暁、両軍の総勢七十八万の兵士たちが
 セクタ0の中心にある巨大なクレーターを挟んで向かい合っていた。



 空高く昇った満月の光が、青白い光で両者を照らしている。

 月の祝福を受けるのは、暁を迎えることができるのは、果たしてどちらか。

5 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 18:26:18 ID:dRBUavnk0






   最終話・終章


     「暁」




.

6 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 18:28:51 ID:dRBUavnk0


 ざわめく暁の兵士たちの中から、人混みをかき分けて母者が進み出た。

 彼女の後ろには鎖で繋がれている二人の男たちが見える。


ζ(゚ー゚*ζ ロマネスク!これが見えるかい?


 _、_
( _ノ` )

( ゚∋゚)

( ФωФ) 渋澤くん!クックルくん!

川;゚ 々゚) 渋澤!

7 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 18:31:40 ID:dRBUavnk0


ζ(゚ー゚*ζ 人質という訳ではないが、こいつはあたしたちが預かっている
       そちらに引き渡す訳にはいかない
       全てが終わったあと返してやるよ

( ФωФ) 全てが終わったあと、か。ああ!わかった!




 母者に返事をすると、ロマネスクは設置された高台に立ち、
 魔王軍を振り返った。


( ФωФ) みんな、一つ聞いて欲しいことがある
9 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 18:37:15 ID:dRBUavnk0

 地上を埋め尽くす魔王軍の兵士たちが、口をつぐんでロマネスクを見上げる。


( ФωФ) いいか、これからおそらく予想だにしないことが起きるに違いない
        何があっても慌てず、押さず、走らず、喋らずだ!


< それは火事のときの注意事項です


( ФωФ) ん?


 声のした方に目を向けた。

 人混みの中で彼を見つけるのは、不思議と難しくはなかった。

10 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 18:39:38 ID:dRBUavnk0

 一拍間をおいて、たっぷりと息を吸い込んでから、ロマネスクは続けた。


( ФωФ) みんな、今まで魔王軍に多大な貢献をしてくれてありがとう
       モナー様から魔王を任命されたとき、え、僕が!?とか
       親戚にハガキ送らないと!とか慌ててたワシに
       今までよくついてきてくれたと思う

从 ゚∀从 (オレもそう思う)

( ФωФ) それもおそらく、今日で終わる
        だからみんなには、後悔のない選択をして欲しい

11 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 18:43:31 ID:dRBUavnk0

(´・ω・`) え?

/ ,' 3 それ、どういう意味で―――





 _、_
( _ノ` )


 ――――

 ―――――――――

 ―――――――――――――――

12 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 18:45:00 ID:dRBUavnk0


 ―――決戦前日・亜空間内


|(●),  、(●)、| ということを、姉者と妹者が話していたのだ

【+  】ゞ゚) なるほど。それが母者の本当の目的、ですか
 _、_
( ,_ノ` )y━・~ へっ。やられたぜ

|(●),  、(●)、| 俺も驚いた。そこでどうだ?
            母者の企みを知っている俺たちで、第三の勢力を立ち上げて…
 _、_
( ,_ノ` )y━・~ 断る

【+  】ゞ゚) 嫌です

13 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 18:46:27 ID:dRBUavnk0

( ゚∋゚)

【+  】ゞ゚) 鳥さんも嫌と言っている気がします

|(●),  、(●)、| チッ。じゃあもう、全部手遅れってことかよ
15 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 18:47:38 ID:dRBUavnk0

 ―――――――――――――――

 ―――――――――

 ――――


 _、_
( ,_ノ` ) (さて、俺は傍観を決め込んでおくかね)

( ゚∋゚)



 巨大なクレーターを挟んでにらみ合っている両軍に、
 ぴりぴりとした緊張感が漂い始めた。

 戦いが始まる気配がどこからとも無く立ちこめてくる。

16 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 18:49:26 ID:dRBUavnk0


川;д川 あ、あ、あの、魔王様………
      先ほどの、その、発言はどういう意味なのですか………?

( ФωФ) それは今にわかる




ζ(゚ー゚*ζ ロマネスク!



 同じく設置された高台から、大声でロマネスクに呼びかける。

 ロマネスクと母者は満月の下、互いの背中に昂ぶった魔族たちを従えて、向かい合った。

17 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 18:54:31 ID:dRBUavnk0


ζ(゚ー゚*ζ お前に提案がある







∬´_ゝ`) (来た!やっぱり母さんはこの流れで行くのね!)

18 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 18:55:37 ID:dRBUavnk0


 【よい子にも悪い子にもわかる!
  姉者の想像した母者の平和大作戦!】パチパチパチ(拍手)

∬´_ゝ`) アホにもわかるわよ!


魔王軍を抜ける
   ↓
戦争の火種となる好戦的な魔族を集める
   ↓
魔王軍と戦争を起こす(ただし被害を最小限に止める)←ここ重要!
   ↓
二大勢力間の緊張が高まったところで総力戦を仕掛ける
   ↓
負けた方が勝った方の部隊に入るという約束を交わす
   ↓
母者は「わざと」負け、月下の暁は魔王軍に吸収される(わー画期的!抱いて!)
   ↓
魔王軍は強化され、かつ戦争を起こす者はいなくなる
   ↓
平和(ピースなり〜マコっちゃぁ〜ん)
21 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 18:59:41 ID:dRBUavnk0


∬*´_ゝ`)(私たちは影のピースメーカーとなって歴史には残らないヒーローになるの!)

∬*´_ゝ`) これから母さんは負けたら魔王軍に入るっていう約束をするはずよ
       クライマックスよ!目に焼き付けるのよ妹者!

l从・∀・ノ!リ人 ていうか、母者がこっち向いてるんだけど

∬´_ゝ`) え





ζ(゚ー゚*ζ とそのまえに、まずお前らの方に言っておくことがあるな

∬´_ゝ`) …?
23 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:00:51 ID:dRBUavnk0










ζ(゚ー゚*ζ 「月下の暁」解散!!!!!!








.
26 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:02:39 ID:dRBUavnk0

∬´_ゝ`) は?

l从・∀・ノ!リ人 はい?
 _、_
( ,_ノ` ) え?

( <●><●>) え?

( ><) え

(*'ω' *) はい?

( ´ー`) ?

<_プー゚)フ あ?

N| "゚'` {"゚`lリ え?



(゚A゚* ) え?

(´・ω・`) は?

( `ー´) あ?

/ ,' 3 え?

川 ゚ 々゚) え?

川д川 え

lw´‐ _‐ノv 心で理解した!(嘘)

27 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:03:36 ID:dRBUavnk0





  「「「「「「「「「「ええええええええええええええ!!!!!!!!???????」」」」」」」」」」




.

28 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:04:27 ID:dRBUavnk0



 「ちょっと待って下さいよ!」   「何で!?」  「何か問題でもあったのか!」
    「今更怖じ気づいたのかよ!」    「いやいやいや待って!!」

               ζ(゚ー゚*ζ

  「ふざけんじゃねーぞ!!!」   「何言ってんだよあんた!!」
     「何の為にここまでやってきたんだ!!」  「嘘だろ!?」

29 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:05:48 ID:dRBUavnk0

ζ(゚ー゚*ζ 静かにしろ

 「黙ってられるかよ!!」
     「説明しろ!」

 「ふざけんなー!!!」



ζ(゚Д゚#ζ じゃかましぃわクソ雑魚共がぁ―――!!!!!!!


 母者が手を振り抜くと、延長線上の大地が爆発と同時に切り裂かれ、
 余波によって、数百人の「月下の暁」が舞い散る粉塵と共に空を飛んでいった。

 騒がしかった場が水を打ったように静まりかえる。
36 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:08:34 ID:dRBUavnk0


ζ(゚ー゚*ζ ロマネスク、ここが何の場所かわかるかい?



( ФωФ) ああ。「全ての始まりの場所」
        つまり、ワシと君が初めて出会った場所だ



爪;'ー`)y‐ あ、そうか!
  _
( ;゚∀゚) ここは魔王軍の入隊試験があった場所だ!
     そこのクレーターは、魔王様と母者があのとき戦った会場の跡だ!!

(,,゚Д゚) 出番があってよかったっすね!
  _
( ;゚∀゚) 心の底からそう思う!

37 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:10:17 ID:dRBUavnk0


从 ゚∀从 そうか、そういや試験会場ってここだったな。懐かしいな〜

( ^ω^) 結局、お前の目的って何だお?



∬;´_ゝ`) そ、そうよ母者!平和の為に魔王軍を抜けて組織を立ち上げたのよね!?
      私たちってピースメーカーでしょ!?違うの!?

ζ(゚、゚*ζ え

∬;´_ゝ`) ああああああ違うわこれええええ!!!
39 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:11:29 ID:dRBUavnk0


 _、_
( ,_ノ` ) あ、わかったかもしれん。あいつの目的


∬´_ゝ`) な、なんであなたがわかるのよ
 _、_
( ,_ノ` )y━・~ ふん。俺も昔、同じことをしたからな

40 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:12:29 ID:dRBUavnk0



从;゚∀从 も、もしかしてお前



ζ(゚ー゚*ζ で、だ。ロマネスク、提案がある。私と本気で戦え
       魔界で一番強いのは誰か、決めようじゃないか!


ζ*゚ー゚)ζ 「月下の暁」!今までよく働いてくれた
       その褒美としてお前たちは最前列で最強の戦いを見せてやろう


ζ(゚ー゚*ζ 魔王軍もだ!


( ;`ー´) た、タイマンする為だけに戦争してたってのかよ!んだそりゃあ!!

41 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:13:05 ID:dRBUavnk0


( ´_ゝ`) わーい俺の予想的中

(´<_` ) やっぱ惨劇だったな



(;'e') あのときの…入隊試験の決勝戦をもう一度やる気か!
     でもそれなら、わざわざ戦争なんてけしかける理由が無いじゃないか!

(´・ω・`) 出番があってよかったですね

(;'e') 感無量だよ!
45 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:15:52 ID:dRBUavnk0


ζ(゚ー゚*ζ 「月下の暁」はここで解散する!!
       でもな、お前たちの孤独は、全てあたしが引き受けよう


( <●><●>) 孤独…?



ζ(゚ー゚*ζ あたしは魔族だ!そこのお前も、お前も、お前もな!

( ^ω^) あ、自分勇者っすwwww

从;゚∀从 シッ!

46 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:16:35 ID:dRBUavnk0


ζ(゚ー゚*ζ だがただの魔族ではない。戦う理由を持ってしまった。だから戦う
       自らの一族を護るために


( ´ー`)

o川*゚−゚)o



ζ(゚ー゚*ζ 自分に正直に生きるために



N| "゚'` {"゚`lリ

47 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:16:51 ID:dRBUavnk0


ζ(゚ー゚*ζ 野望を達成するために



<_プ−゚)フ



ζ(゚ー゚*ζ 平和の為に



∬´_ゝ`)

l从・∀・ノ!リ人

48 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:17:54 ID:dRBUavnk0


ζ(゚ー゚*ζ より強くなる為に



( <●><●>)

( ><)

(*‘ω‘ *)




ζ( ー *ζ 孤独を消し去るために―――

49 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:23:58 ID:dRBUavnk0

ζ(゚ー゚*ζ 孤独だったろう。「普通」の範疇から外れた者は孤独だ。孤独は魔族を殺す
       でもお前らみたいな外れ者は周りとなれ合うことができない
       少数で群れたところで争うしかない。殺すしかない。死ぬしかない
       死と殺しの螺旋の中でもがき苦しむしかない

ζ(゚−゚*ζ 孤独だ。孤独は心を歪め、世界はお前たちを拒絶する
       排除する圧力が生まれる。それに耐えられない者は消えて無くなるしかない

ζ( − *ζ あたしが救いになるんだ。安心しただろう。狂った暗闇の中で見つけた平穏がここだ
       端から見れば狂っているのはあたし達だが、あたし達自身にとってはエデンだったはずだ

ζ(゚−゚*ζ 現にお前たちは、もう孤独ではなくなった
       お前たちはもう一人ではない!「月下の暁」としてあたしたちは繋がった!
       「月下の暁」が無くなっても、この繋がりは永遠に消えない。繋がりの力は何よりも強い



ζ(゚ー゚*ζ たとえか細い月明かりの下でも、あたしたちは暁を迎えられる

50 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:31:56 ID:dRBUavnk0




N| "゚'` {"゚`lリ 俺たちを救ったというのか。そんなもの…



o川*゚−゚)o でも…


o川*゚ー゚)o 私は、楽しかったよ

∬´_ゝ`) キューちゃん…
52 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:33:06 ID:dRBUavnk0

ζ( ー *ζ あたしは小さい頃から―――――


 母者は小さい頃から迫害を受け続けて育った。



 あまりにも強力な力を持つ彼女を恐れ、親からは捨てられ、どこの街に行っても
 最後には気味悪がられ、恐怖の対象として拒絶され、誰もが彼女から離れていく。


 彼女がこのような環境で育ったのは運が悪かったせいもあるが、
 およそ完全な人格が形成される第二次性徴までの間に、彼女の心は閉じてしまった。

53 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:33:46 ID:dRBUavnk0


 強者は孤独である。


 魔族は本能的に戦闘能力で上下関係を考える習性を持っている。

 桁外れの力を持った彼女は、誰とも繋がることなく暗闇の世界で生きていた。



 そんな中で見つけた小さな光が、ロマネスクだった。


 ―――へ〜こういう人もいるんだね

54 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:34:28 ID:dRBUavnk0

 初めて出会った自分と対等な存在に、彼女は恋とは別の胸のときめきを覚えた。



 しかし彼女はこのあと再び孤独の闇に襲われる。



 ―――よくわからんけど、どうして殺す必要があるんだ!

 ―――ロマネスク。仕方ないよ。これは戦争なんだから
 ―――誰も優しいままじゃいられないの

 ―――よくわからん…戦争はわからんよ

55 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:36:34 ID:dRBUavnk0

 自分と対等な存在というのは、あくまで戦闘能力での話だった。


 ロマネスクは自分のような「異常者」ではない。
 歪んだままの母者は、彼が眩しくて仕方なかった。

 この男と自分は決して交じることのない線上にいる。



 決定的な違いをまざまざと見せられた彼女だったが、
 魔王軍の内乱により、モナー魔王が誘拐される事件が起こってから、
 一つの考えが母者に生まれる。



 敵になればいい。
57 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:37:37 ID:dRBUavnk0

 ロマネスクの敵になってしまえば、戦いの中で繋がり合うことができる。

 じゃあどうすればいいのか。
 「自分と本気で戦って欲しい」と言えば戦えるのか。



 あり得ない。



 単なる敵対では彼が本気を出して戦うことは無い。

 入隊試験のとき、彼は決して本気を出さなかったではないか。

58 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:38:11 ID:dRBUavnk0

 あの試験のとき、実は試合としては母者が勝っていた。

 しかしそれはロマネスクが手加減したからだというのを母者は知っていた。


 もっと深刻な事態にならなければ彼を本気にさせることは出来ない。



 この思考はその頃起こっていた血で血を洗う魔界大戦の存在によって
 一つの形に膨れあがることになる。

59 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:38:35 ID:dRBUavnk0


 孤独を抱えた者は世界に溢れていた。


 「普通」が「普通」でない者にとって、この世界はあまりにも狂気に満ちている。


 このような者は必ずある思考へとたどり着く。



 「どうしてこの世界に生まれたのだろうか」

60 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:38:52 ID:dRBUavnk0










  |::━◎┥ [ Д`] /▽▽ (十) /◎ ) =| )








.
62 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:41:48 ID:dRBUavnk0

 例え一時でも心を静めることが出来る場所があれば、
 あるいは繋がりを持つことが出来れば、
 世界を受け入れ、また世界からも受け入れられるのではないか。





 母者は魔王軍を辞め、アウトサイダーのカリスマとなった。



 最初は自分の救済の為に。


 しかし今は世界に充ち満ちた孤独を消し去るために。

63 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:45:52 ID:dRBUavnk0














 というのは全部嘘で実際は両雄のタイマンという漫画みたいな展開で
 魔界最強と戦ったらすんげー楽しいだろうなーという発想から全てが始まったので
 救済がどうのとか孤独がどうのとかっていうのは先週くらいに母者が鼻ほじりながら
 適当に作った理由です。

 ζ(^∀^*ζ< みんなには内緒だよー(てへぺろ)
69 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:48:31 ID:dRBUavnk0


∬;_ゝ;) うっ、ううっ、まさか母さんがそこまで考えて行動してたなんて…!

l从;∀;ノ!リ人 外れ者を救う為に戦争まで起こしたなんて!涙が止まらないのじゃ!



ζ(゚∀゚*ζ+シャキーン



( ;´_ゝ`)(嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!あの目は自分の欲望の為に動いているときの目だ!)

(´<_` ) まあ、何でもいいんだけどな

( ´_ゝ`) 弟者?
71 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:51:24 ID:dRBUavnk0

(´<_` ) 結局のところ、母者のおかげで起こっていただろう紛争は無くなる
      暁たちは全員救われる。いいこと尽くめだ
      例え本当の狙いが別にあったとしても、どうでもいいじゃないか

( ´_ゝ`) あー、まあ、そうだな



(´<_` ) それに俺は今、すげーワクワクしてるよ

( ´_ゝ`) ああ。俺もだ
73 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:53:15 ID:dRBUavnk0

N| "゚'` {"゚`lリ だったら勝て!勝つんだ!俺たちの証を歴史に刻むのだ!

( <●><●>) 頼みましたよ母者!私たちの思いを託します

<_プー゚)フ どうせ勝っても何もねーんだろー?まあでも、勝てよ。どうせなら

( ><) いけー!母者ー!僕らのアイドルはーはーじゃー!

(*‘ω‘ *) 応援してるっぽ!

( ´ー`) 一族の為ではない。戦ってくれ。俺たちの為に

o川*゚ー゚)o 頑張ってー!最後まであなたの血が吸えなかったの残念だけどさ!

∬´_ゝ`) ファイトよ母者!正義は私たちにあるのよー!

l从・∀・ノ!リ人 ぶちかましてくるのじゃー!

(´<_` ) 母者!俺たちがテストで零点を取ったときみたいに戦うんだ!

( ;´_ゝ`) ひぃーよせ!思いだしちまった!

74 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:54:17 ID:dRBUavnk0

(゚A゚# ) フザけんなゴルァー!救済やら孤独やら知らんけども
     横堀ちゃんの仇討ちやでー!やったって下さい冷血非道!

(´・ω・`) これに勝てば最強は完全に魔王軍のものだ。是非、勝利を

( `ー´) やったれええええええええええええ!!!

/ ,' 3 信じておりますぞ、魔王様
 _、_
( ,_ノ` )y━・~ 最強同士の戦いなんてこれ以上の酒の肴は無いぜ!誰か酒くれ!

川#゚ 々゚) 殺せー!

( ・∀メ) 頑張って下さい!

('_L') お気を付けて

▼;・ェ・▼ 使われなかった脇役たちの為にも勝って下さい!

(;・(エ)・) 時々でいいから―――思い出してあげて下さい!

从*゚∀从*^ω^) ロマネスク!!ロマネスク!!ロマネスク!!ロマネスク!!
77 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:56:45 ID:dRBUavnk0



 「ふふ、ふふふふふ」



(*´・_ゝ・) あは、はははははは!




(´・_ゝ・`) みーんな、わがままばっかりですね

78 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:57:56 ID:dRBUavnk0



 「母者!!」 「母者!!」 「母者!!」 「母者!!」 「母者!!」 
  「母者!!」 「母者!!」 「母者!!」 「母者!!」 

            ζ(゚ー゚*ζ

「母者!!」 「母者!!」 「母者!!」 「母者!!」 「母者!!」 
  「母者!!」 「母者!!」 「母者!!」 「母者!!」 





 「ロマネスク!!」 「ロマネスク!!」 「ロマネスク!!」 「ロマネスク!!」 
「ロマネスク!!」 「ロマネスク!!」 「ロマネスク!!」 「ロマネスク!!」 

            ( ФωФ)

  「ロマネスク!!」 「ロマネスク!!」 「ロマネスク!!」 「ロマネスク!!」 
  「ロマネスク!!」 「ロマネスク!!」 「ロマネスク!!」 「ロマネスク!!」
80 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 19:59:57 ID:dRBUavnk0

     「母者!!」    「ぶっ殺せー!!」

ζ(゚ー゚*ζ さあ、どうするロマネスク。逃げるかい?あのときと同じように

    「ロマネスクさーん!!」      「ひゃっはー!!」

( ФωФ) 逃げないよ。ワシはもう逃げない



 二人はクレーターに降り立ち、中心部分で対峙した。



ζ(゚ー゚*ζ ここまでお膳立てしてやったんだ。本気で来いよ

         「行けー冷血非道!!」
82 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 20:01:25 ID:dRBUavnk0

( ФωФ) 母者さんもね。あのときは本気を出してくれなかったから

     「殺せー!!」     「いてもうたれー!!」

ζ(゚−゚*ζ え?じゃあ、もしあたしが本気だったら、本気を出したのか?

( ФωФ) もちろん

ζ(゚、゚;ζ えーなんだそれ!?

  「母者ああああああ!!!」

      「魔王様!!がんばってー!!」

83 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 20:03:17 ID:dRBUavnk0

( ФωФ) あーそれと、オサムくんって何処にいるの?

ζ(゚ー゚*ζ あれ、知ってたの?

( ФωФ) 殺したっていうのは嘘だってわかったよ
        母者さんは昔から嘘をつくの下手だから

ζ(゚−゚*ζ チッ。怒りで三段階くらい変身するかと思ったのに

( ФωФ) ワシはフ○ーザか
85 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 20:05:42 ID:dRBUavnk0

ζ(゚ー゚*ζ あーそれと横堀って奴のことだけど

( ФωФ) それも知ってる

ζ(゚、゚*ζ はー?なんで知ってんの


( ФωФ) あさぴーくんが教えてくれた。循環器系のシステムを破壊せずにしといて
        時間さえかければ直るようにしてくれたんでしょ?

ζ(゚ー゚*ζ それだけじゃない。時限装置を仕掛けた。時間が経てば何もしなくても直る

( ;ФωФ) それは凄い!君の能力かい

ζ(゚ー゚*ζ 娘の力だ。私の指示じゃないけどさ

( ФωФ) 用意周到だなー

ζ(゚ー゚*ζ 全てはこの夜、この瞬間のためよ

86 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 20:07:48 ID:dRBUavnk0



ζ(゚ー゚*ζ 妹者!オサムとダディを外に出してやりな
       それと姉者は結界で全員を護ること

∬´_ゝ`) わかったわ!



( ФωФ) 貞子さん!シュールさん!魔王軍にも結界を頼む

川ヮ川 はい!

lw´‐ _‐ノv またつまらぬものを護ってしまうようだ…

87 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 20:10:29 ID:dRBUavnk0


( ФωФ) でも母者さん。いくら誰かを救うためといっても、今回のはやり過ぎだよ

ζ(゚ー゚*ζ だろうね

( ФωФ) 許してあげるから、ワシの頼みを訊いてくれないか?

ζ(゚ー゚*ζ 何?

( ФωФ) ―――――――――――――――――だ



ζ(゚−゚*ζ 本気?

88 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 20:13:25 ID:dRBUavnk0

( ФωФ) ああ。彼らは絵空事と言ったけど、ワシはそれを現実に描きたい
        頼まれてくれるかい

ζ(゚−゚*ζ まあ―――いいよ。一応ちったぁ反省してるし

( ФωФ) ありがとう






ζ(゚ー゚*ζ じゃあそろそろ、この体ともおさらばするかね
91 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 20:15:34 ID:dRBUavnk0




(゚A゚; ) なっ…

(;´・ω・) 何だ、あれは!
 _、_
(;,_ノ` )y━・~ あれが、やつの正体か




<_プー゚)フ え、えげつねえ

N| "゚'` {"゚`lリ なるほどね。確かにこりゃあ迫害したくなるわ

(。><) こええええええええ!

92 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 20:17:17 ID:dRBUavnk0




( ФωФ) それが君の本当の姿かい

< 怖じ気づいたか?

( ФωФ) いや、予想より可愛かった

< あんたって本当に、喰えない男だねえ
94 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/25(月) 20:18:19 ID:dRBUavnk0






( ФωФ) さあ、終わらせよう。いや―――これはきっと始まりになる





 一度は収まった喧噪だったが、誰かの一声をきっかけに爆発する。

 大音量の掛け合いの中、

 星々だけが、彼らを静かに見守っていた。


 その夜の満月は、太陽よりも明るく、力強い光を発していた。




エピローグ へ続く

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