15 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 21:18:03.67 ID:gyWxbD5M0
 
 太陽が沈んだ空に、光の道が伸びている。
 道の終着点は、世界の驚異“アンノウン”が待つ居城。
 道を行くのは、異世界から召喚された戦士達と、この世界の勇者達。
 
爪 W〉《……来るか》
 
 目を閉じた闇の中、“アンノウン”は呟いた。
 異世界からの来訪者達の存在は、この世界に彼らが現れた時から既に察知していたのだ。
 その証拠に主人公格として相応しいかどうかを見極める為に、幾らかの手を下していた。
 
 それらをはね除け、彼らは決戦の地へ集う。
 
爪 ゚W〉《聖剣よ。お前が選んだ希望達がどれほどの物か、もう少し楽しませてもらうとしようか》
 
 聖剣を突き立て、立ち上がる。
 突き立てたように見える、が正しい。
 聖剣の切っ先は、アンノウンの影に沈むようにして立っていた。
 
爪 ゚W〉《……その前に奴等の絶望を味わうのも、一興か》
 
 くく、と嘲るように笑んだ。
 その笑みが、意図するものは。
 
22 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 21:21:16.76 ID:gyWxbD5M0
 
 
 異世界の戦士達だけが、それを知らない。
 この世界の勇者達は、それを知っていた。
 
 聖剣と語ったあの時、彼らは既に覚悟を終えた。
 それはもう、定められていたことなのだから。
 
 
爪 ゚W〉《クク……早く来い。我はここにいる》
 
 
 道は交わり、光が集う。
 
 
 同じ意思の元、彼らは最後の戦いに臨む。
 
 
 何も知らずに。
 
 
 何も、知らずに────
 
 
25 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 21:22:04.59 ID:gyWxbD5M0
 
 
 
 
                 
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物語のページが( ^ω^)´・ω・)゚听)ξ 川 ゚ -゚)応えるようです
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30 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 21:25:21.37 ID:gyWxbD5M0
 

 
 
 かつて、この地には魔王がいた。
 
 人間を滅ぼし、魔族の世界を創ろうとした魔王がいた。
 人間側の、シースルー=インビジブルを筆頭に、四人の勇者が魔王に挑んだ。
 魔王は滅び、勇者の一人がその地に城を造り、国を興した。
 
 リーダーであったシースルーの名を借り、その城はインビジブル城と名付けられる。
 千年前は栄光の下に在ったその城も、今や“全世界”の脅威が居座る場所だ。
 
 皮肉。
 そう言わざるを得ないであろう。
 
 新たな城主である“アンノウン”は、闇のヘドロであった時に、千年前の死闘を見ていた。
 過去の勇者ら、魔王たち主人公格が演じた物語を、見ていたのだ。
 
 彼らの遺産を蹂躙し、現代の主人公格をも滅する場として、利用している。
 謎深き破壊者にとって、それは悦楽以外の何物でもない。
 
 歴史を、繰り返すように。
 
 再びそこへと、勇者たちが集結しようとしている。
 
33 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 21:29:57.00 ID:gyWxbD5M0
 
 インビジブル城内、王の間へと続く石畳の廊下。
 王の間へと伸びる回廊の終着点には、重く閉ざされた鉄の扉が構えている。
 ここは、そう。この世界の勇者、ツン=ヴィラートが戦いの保険をかけた場所だ。
 
 即ち、光の道が交わる場所。
 
 廊下の中間辺り、何もない空間が突如として歪みだした。
 歪みの中心からは大きな四つの光が生まれ、広がり、その周辺へと降り立っていく。
 
 光は輝きを溶かし、球体だった形を徐々に変えていく。
 一つの光から生まれたのは、人二人分のシルエットだ。
 
 即ち、光に包まれ現れたのはこの世界の勇者たちと、異世界の戦士たち。
 
 二組は手を繋ぎ、一組は巨大な機械─BLACK DOG─に搭乗し、もう一組は地に伏せていた。
 
川 ゚ -゚)「ム、おいショボン、着いたぞ」
 
 悪魔を使役するデビルサマナー、クーが、横たわるショボンに声をかける。
 彼はフォックスとの戦いで深刻なダメージを負っていた。
 
(;^ω^)「ショボン!? 大丈夫かお!?」
 
(´・ω・`)「ッ……」
 
38 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 21:33:33.82 ID:gyWxbD5M0
 
 ショボンの姿を見て声を上げたのは、この世界のブーンだった。
 名を呼ばれ、異世界のショボンが一瞬、反応しかけたが、
 
(´・ω・`)(“こちらの世界”の俺、か。全く、ややこしいな)
 
 状況を見て、即座にそう理解する。
 元の世界の常識では考えられないことだったが、これまでの事象が順応させたようだ。
 
ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと……大丈夫なの!?」
 
 変わり果てた仲間の姿に驚き、この世界のブーン達がショボンの周囲を囲んだ。
 彼に元から付き添っている異世界のクー以外の三名は、立ったまま様子を窺っている。
 やはり気になるのだろうか、自分達の世界に現れたブーン達と対峙した時のような違和感を覚えていた。
 
 しかし、事態を把握できている事が手伝い、混乱することはなかったようだ。
 
(;^ω^)(異世界のショボン……僕の世界のショボンよりガチムチだお……)
 
 彼の世界でのショボンは、彼と同じ機械の体である。
 その彼を凌駕する逞しい体格をしたショボンと、普通の体格をしたショボンを交互に見る。
 もう驚くまいと思っていたブーンだったが、やはり目の当たりにするとそうはいかなかったようだ。
 
46 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 21:37:25.00 ID:gyWxbD5M0
 
ξ;゚听)ξ「大丈夫?」
 
 異世界のツンも駆け寄り、横たわるショボンを見る。
 クーを救う為に負った火傷は、早急に処置を施さねば危険な程、甚大であった。
 この世界の彼らが賢明に治癒魔法を施すも、あまり効果がないようだ。
 
ξ゚听)ξ『ペルソナ』
 
(´・ω・`)「!!」
 
(;^ω^)「ッ!」
 
川 ゚ -゚)「……ほう」
 
 名を紡ぎ、現れたのは異世界のツンの力、“ペルソナ”だ。
 突如現れた甲冑纏う女神の姿に、全員が目を奪われた。
 
ξ゚听)ξ『ディアラハン』
 
 気に留めず、治癒の言霊を紡ぐ。
 ここへ訪れる前にもブーンを癒した白の光が、ショボンの体を包み込んだ。
 
川 ゚ -゚)(この力、私と良く似ているな。別世界のツン、か)
 
 デビルサマナーである彼女が、ショボンの手を握りながらそんなことを思う。
 神や悪魔を身に宿し力を行使するツンの力には、確かに似た物があった。
 
53 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 21:40:44.48 ID:gyWxbD5M0
 
 傷は瞬時に癒える、はずだった。
 
ξ;゚听)ξ「……あれ?」
 
 どういうわけか、致命傷を負ったブーンですら瞬く間に快復させた癒しの力が。
 アルテミスよりも劣るペルソナ、スアデラ程の効力に留まっていた。
 
ξ;゚听)ξ(なんで……)
 
(;´-ω-)「ありがとう。……だけどいいんだ、もう」
 
( ^ω^)「……」
 
ξ゚听)ξ「……」
 
川 ゚ -゚)「……」
 
 横たわるショボンが言った後、この世界の彼らが少し、沈黙した後────
 
( ^ω^)「異世界の僕達! 絶対に“アンノウン”を倒してくれお!」
 
(;´-ω-)「この世界を……頼んだよ。クー」
 
ξ゚ー゚)ξ「負けたら承知しないんだからね!」
 
川 ゚ -゚)「君達になら安心して任せられる。頑張ってくれ」
 
59 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 21:43:55.93 ID:gyWxbD5M0
 
 
( ^ω^)「巻き込んでしまって、ごめんお」
 
 
ξ゚听)ξ「私達も覚悟の上で、この方法を選んだの。だから……」
 
 
(;´-ω-)「必ず、勝ってくれ」
 
 
川 ゚ -゚)「“アンノウン”はあの扉の向こうにいる」
 
 
 す、とクーが指を向ける。
 異世界のブーン達が一瞬、そちらを見やるも。
 
 彼らの言葉が、いまいち理解できずにいた。
 
 
 しかしすぐに、その言葉の意味を知る事となった。
 
 
 
64 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 21:46:20.77 ID:gyWxbD5M0
 
(;^ω^)「……お?」
 
(´・ω・`)「待て、どういうことだ?」
 
ξ;゚听)ξ「ど、どうしたの?」
 
川 ゚ -゚)「────……」 
 
 それぞれが抱いた違和感を、投げ掛けた。
 
 だが。
 
 それを受け止めるはずの、この世界のブーン達は。
 
 
 忽然と、姿を消してしまった。
 
 
(;^ω^)「え……?」
 
ξ;゚听)ξ「そんな……どうして……」
 
(´・ω・`)「…………」
 
川 ゚ -゚)「ショボン……」
71 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 21:50:13.26 ID:gyWxbD5M0
 
(;^ω^)「まさか……“アンノウン”?」
 
(´・ω・`)「…………」
 
 ブーンの台詞に、一同は周囲に注意を払う。
 
 しかし、ブーンのセンサーには何も反応はなく。
 ショボンの研ぎ澄まされた感覚に捉えられた気配もない。
 ツンとクーも、異能の力を感じたということはなかった。
 
(´・ω・`)「あの口調、まるでこうなると分かっていたかのようだが……何か聞いていないか?」
 
ξ;゚听)ξ「私は、何も……」
 
(;^ω^)「…………」
 
川 ゚ -゚)「ショボンは……、何かを覚悟していた」
 
 クーが重い口を開く。
 彼女は短い時間しかショボンと共に過ごしていなかった。
 その間、何度か悲し気な表情をしていたショボンに気付いていたのだ。
 
ξ;゚听)ξ(そういえば……おばさんと別れる時の、あの雰囲気は……)
 
75 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 21:54:37.45 ID:gyWxbD5M0
 
 それぞれが感じたことがあった。
 具体的には述べていないが、この事象を匂わせる言葉を、雰囲気を放っていたことに。
 最も色濃く覚えていたのは、ブーンだった。
 
 『リボン、ずっと持っててよね。アタシが生きていた証だから』
 
 自身の左腕に巻かれた紅いリボンを見つめ、彼女の言葉を思い出した。
 どう考えてもこうなると分かっていたとしか、思えない。
 
(#^ω^)「そんな……ふざけんなお! せっかくここまで頑張ってきたのに……こんな……!」
 
 声を荒げると同時、左肩の切断面に紫電が奔る。
 誰も彼らが消えた理由は解らないが、姿を消した事は事実だ。
 そしてそれを、この世界の彼らは明らかに予兆していた。
 
 戦いに身を置いてきた彼────彼らだからこそ、解るのだ。
 消える前に見た、覚悟と、決意に染まった瞳の色が。
 何か、何か別の手があったのではないのかと、現状を受け入れられずにブーンは激昂していた。
 
(#^ω^)「アンノウン……アイツの仕業かお……!」
 
(´・ω・`)(……どうだろうな。そうとは思えんが……)
 
(#゚ω゚)「ぶっ殺してやる……アンノウン……!」
 
83 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 21:58:54.72 ID:gyWxbD5M0
 
 尋常ならざる怒りがブーンの心を支配しつつあった。
 ほうっておけば一人で突貫してしまいそうだ。
 そんな彼を落ち着かせようとする者が、一人。
 
(´・ω・`)「落ち着け。ここで怒気を撒いても、何も始まらん」
 
(#^ω^)「……!」
 
(´・ω・`)「あいつらがこうなると解っていたとすれば、俺達はそれに応えるべきだ。違うか?」
 
 諭すように、ショボンはそう言った。
 彼の言葉を聞き、次に口を開いたのはブーンではなかった。
 
川 ゚ -゚)「ショボンは……!!」
 
(#^ω^)「……!」

川 ゚ -゚)「私を呼んだショボンは……アンノウンを倒し、 全ての世界に平和が訪れる事を望んでいた 」
  
( ^ω^)「……」
 
川 ゚ -゚)「……そいつの言う通りだ。私も、ショボンの目指したものを叶える……応えなければいけない」
 
88 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 22:01:29.50 ID:gyWxbD5M0
 
( ^ω^)「……」
 
(´・ω・`)「……俺を呼んだクーも、堅固な志を持っていた。それすらも、俺達に託したんだ」
 
(´・ω・`)「短くとも同じ時を過ごしたのなら、お前達も、思い当たる節はあるだろう?」
 
ξ゚听)ξ「……」
 
川 ゚ -゚)「……」
 
( ^ω^)「……」
 
(´・ω・`)「それを忘れるな。怒りで心を見失うな。あいつらの事を思うなら、尚更だ」
 
 少年の頃から、戦争という過酷な世界を生きてきた。
 決して己の道を見失わずに、信念を貫き続けてきた。
 そしてそれは、これからも、変わらない。
 
 猛将、ショボン=ルージアルだからこそ、そう言えたのだった。
 彼の真言は確かに、一同の胸懐にまで届いたようだ。
 
( ^ω^)「……取り乱して、悪かったお」
 
(´・ω・`)「気にするな」
 
100 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 22:05:16.76 ID:gyWxbD5M0
 
川 ゚ -゚)「“アンノウン”とやらをブチ倒せば、何か解るかもしれん。前向きに行こうぜ」
 
( ^ω^)「……それもそうだお」
 
(´・ω・`)「まぁ、そうするしかないだろう。どうせ、他に道はない」
 
 四名は顔を見合わせ、静かに頷いた。
 “アンノウン”の脅威は突如消えた彼らから伝えられている。
 ショボンの言葉通り、“アンノウン”を倒すしか道はないのだ。
 
 そんな重く、硬い空気に押されてか、
 
ξ゚听)ξ「……あ」
 
( ^ω^)「おっ」
 
 ブーンの右腕からはらりと、一枚の布が滑り落ちた。
 足元に流れた布をツンが拾い上げ、ブーンがそれを受け取る。
 
( ^ω^)「ありがとうだお」
 
ξ゚听)ξ「ううん」
 
 ブーンの服装にミスマッチとも思える赤いリボン。
 それは何か、と彼女は尋ねなかった。
 形見のようなものだとしたら、心を抉ってしまうかもしれないからだ。
 

109 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 22:10:12.71 ID:gyWxbD5M0
 
 それに加え。
 
ξ゚听)ξ(……なんだろう、この感じ……)
 
 リボンに触れた時、言い知れぬ違和感がツンの中を駆けたからだった。
 
 ブーンはツンから受け取ったリボンを少しの間見つめ、困った様な表情を浮かべる。
 この世界のツンに結んでもらったのだが、片腕がない状態では右腕に結ぶことはできないからだ。
 そんな彼を見兼ねたツンが、
 
ξ゚听)ξ「大丈夫? 結びましょうか?」
 
(;^ω^)「おっ……すまないお」
 
ξ゚ー゚)ξ「気にしないで」
 
(;^ω^)(こっちのツンは……ちょっと優しいのかお?)
 
 これまで出会った二人のツンと異なる様子に少し戸惑いつつも。
 
( ^ω^)(……)
 
 腕にリボンを結びつけてくれている異世界のツンの姿は。
 同じ事をしてくれたこの世界のツンと、彼の目には重なり映っていた。
 
115 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 22:13:23.33 ID:gyWxbD5M0
 
ξ゚ー゚)ξ「これでよしっと」
 
( ^ω^)「……ありがとう、だお」
 
 二度目の、感謝。それは二人のツンに向けられたものだったが、
 
ξ゚ー゚)ξ「いいんですよ、これくらい」
 
 当然そんなことは、彼女が知る由もない。
 
ξ;゚听)ξ(ところで左腕がないけど、大丈夫なのかな……痛そうにはしてないよ、ね……)
 
 これも聞かない方が良いのだろうかと、結び終えてからツンはそう考えていた。
 そんなやり取りを二人がしている間、こちらの二人も。
 
川 ゚ -゚)「……」
 
(´・ω・`)「なんだ?」
 
川 ゚ -゚)「お前は……ショボンか?」
 
(´・ω・`)「ショボン=ルージアルだ。まぁ、好きに呼んでもらって構わない」
 
川 ゚ -゚)「……エラいマッチョだな」
 
(´・ω・`)「そっちの言葉は知らんが、そう思うならそうなんだろう」
 
川 ゚ -゚)「私のショボンさまとは全然違うな。顔はもっとイケメンだし。
     筋肉の付き具合もサイコーだ。やはり流石は私のご主人様と言わざるを得ん」
123 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 22:16:51.64 ID:gyWxbD5M0
 
(´・ω・`)「イケメン……? よくわからんが、そういうお前は、クーだな?」
 
川 ゚ -゚)「私の名は葛葉ライドウだ。これは世襲で、クーと呼んでくれていい」
 
(´・ω・`)「主人というと、そっちの俺もお前を侍女にでもしているのか」
 
川#゚ -゚)「侍女だと? 言い直せ。誰もが羨む最高のカップルだ」
 
(´・ω・`)「……そうか。気を悪くさせたなら、すまなかった」
 
(´・ω・`)(やれやれ……言葉が分からないのも厄介だが、意味に多少の齟齬があるのはそれ以上だな)
 
川 ゚ -゚)「待て。『そっちの俺も』と言ったな? お前はお前の世界の私を侍女にしているのか?」
 
(´・ω・`)「正確には少し違うが、俺に仕えているという意味ではそうだな」
 
川 ゚ -゚)「ヒドイことをしていないだろうな?」
 
(´・ω・`)「それがどんなことを指しているのかは知らんが、俺の世界のクーは優秀な部下だ。寧ろ助けられているくらいだな」
 
川 ゚ -゚)「フム……お前の部下というのが気に食わんが……流石私ということにしておいてやろう」
 
(´・ω・`)(……お前とは正反対だ、とは言わない方がよさそうだな)
 
129 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 22:20:25.90 ID:gyWxbD5M0
 
川 ゚ -゚)「なかなかうちのショボンはシャイでな。そこがまたかわいいんだが……。
     お前はだめだ。マッチョは好みじゃねぇ」
 
ξ;゚听)ξ「ま、まぁまぁ……これから一緒に戦う仲間じゃないですか……」
 
(´・ω・`)(言ってやってもよかった気がしてきたが……まぁ、無駄に揉めるのも面倒か)
 
川 ゚ -゚)「お前らは、ブーンとツンだな?」
 
( ^ω^)「そうだお」
 
ξ;゚听)ξ「は、はい」
 
川 ゚ -゚)「フームフム、その服、ツンは女子高生か?」
 
ξ;゚听)ξ「そうです」
 
川 ゚ -゚)「私の世界のツンと同じだな。それとタメ口でいいぞ」
 
ξ゚听)ξ「あ、ありが……とう」
 
川 ゚ -゚)「うむ。せっかくだし、フレンドリーにいこうじゃないか」
 
ξ;゚听)ξ(ショボンさんにはあんなこと言ってたのに……)
 

134 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 22:23:39.92 ID:gyWxbD5M0
 
( ^ω^)「えと、クーさん?」
 
川 ゚ -゚)「なんだ? というかお前片腕ねぇぞ大丈夫かwwwwww」
 
ξ;゚听)ξ(わ……直球投げた)
 
( ^ω^)「僕の体の八割は機械でできてるんだお。痛みはないから問題ないお」
 
ξ;゚听)ξ(サ、サイボーグ?)
 
川 ゚ -゚)「キカイダーだと!?」
 
( ^ω^)「まあそんなとこだお。ええと、僕はクーという人を見た事はあるけど直接話した事は無いんだお」
 
川 ゚ -゚)「なんだと? でも超絶ヒロインなんだろ?」

(;^ω^)「さあ……有名っちゃ有名なのかな。とある美人コンテストでアンタを見たドクオは、
      余りの美しさに発狂してたけど」
 
川 ゚ -゚)「うむ……! どの世界においても超絶美貌を持つ存在。それが私だ。私の事はクーでいい」

(;^ω^)「はあ……僕はブーンでいいお。よろしくだお」

 
 多少食い違う点はあっても、異世界の人間には全員が一度会っている。
 それぞれの眼前にいる者たちが、仲間だということも伝えられているのだ。
 事前の情報、事象が手伝い、全員の理解は早かった。
 
 そして、自己紹介の頃合いを見計り、思考を戦いへと切り替えた者がいた。
139 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 22:27:20.92 ID:gyWxbD5M0
 
(´・ω・`)「戦う前に、一つ確認をしておきたいことがある」
 
( ^ω^)「お?」
 
(´・ω・`)「俺達の目的は同じだ。必然的に、協力して戦うことになる。
       連携をとりやすいように、互いの武器を知っておきたい」
 
 ショボンはこの世界に来て、自身の世界とかけ離れた異世界の力に、何度か驚かされていた。
 味方ですらどんな攻め方をするのか分からないようでは、呼吸が乱れ、策を講じる事が出来ない。
 それを懸念しての、発言だった。
 
( ^ω^)「なるほど」
 
川 ゚ -゚)「それは名案だな。微妙に好感度アップだぞ」
 
 戦いの中に生きる彼らも、ショボンの言葉にある意図に気がついたようだ。
 言いだしっぺが、というクーの発言を受け、ショボンが一歩、前に出た。
 
(´・ω・`)「……俺の武器は、これだ」

 長躯のショボン=ルージアルが高々と掲げた武器は、まさに空から落ちる雷のようだった。

(´・ω・`)「アルファベットZだ」

 二振りの剣は、刃が途中で曲折しており、とても鞘に収められそうにはない。
 仮に収めて背に負ったとしても、ショボンの背丈を凌駕する長さの剣を抜くことは困難だろう。
 
145 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 22:30:27.28 ID:gyWxbD5M0
 
ξ;゚听)ξ(でっかいなぁ……)
 
( ^ω^)「そっちの背中のは?」
 
(´・ω・`)「Wと呼んでいる。弓と言えば分かりやすいか」
 
 背中に生えた翼のようなWも、Zと同じように全体が曲折している。
 また、Zと同じように大型の武器だった。
 
川 ゚ -゚)「こんなに長い弦、引き絞れるのか?」
 
(´・ω・`)「扱えん武器を持って戦うやつがいるか?」
 
 Wを左手で掴み、矢として使うFを右手に持った。
 そしてショボンは一瞬にしてFを番え、全力で引き絞る。
 ただ、Fを放つことはせず、そのまま構えを解いた。
 
(´・ω・`)「まぁ、自分の武器は見たままだ。隠れた特殊な力がある、ということはない」
 
(´・ω・`)「ただ、俺以外がこの武器を扱うことはできない。そこは気をつけてくれ」
 
 例え窮余の策を思いついたとしても、この武器を使うことを勘定に入れるな。
 ショボンは、そう言っているのだった。

ξ゚听)ξ「扱うことはできない、って……絶対に?」
 
(´・ω・`)「まぁ、そうだな。段階を踏んで徐々に扱い慣れていかないと、無理だろう」
 
151 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 22:33:46.63 ID:gyWxbD5M0
 
(´・ω・`)「細かく説明するのも面倒だ。実際、触ってみるのが早い」
 
 そう言ってショボンは、側にいたツンにアルファベットFを差し出した。
 最も下位のアルファベットを渡した理由は、可能性を考慮したためだ。
 
 ZとWは、例えどれほどアルファベットの才覚を持っていたとしても、いきなり掴めるようにはならない。
 だが、Fならば――――
 
ξ;゚听)ξ「あつっ!」
 
 Fに指先が触れた瞬間、ツンは手を引っ込めた。

(´・ω・`)(Fでもダメか……まぁ、そうだろうな)

ξ;゚听)ξ「な、なにこれ……! すっごく熱い……!」
 
(´・ω・`)「力量が足りていない場合、アルファベット側に拒否されるんだ」
 
川 ゚ -゚)「随分と偉そうな武器だな」
 
(´・ω・`)「お前に言われてはアルファベットが可哀想だな」
 
 ショボンは軽口を叩いて、アルファベットFを今度はブーンに向けた。
 ブーンは一瞬、驚いたような顔を見せる。
 
(´・ω・`)「触ってみてくれ。この中ではお前に一番可能性がありそうだ」
 
155 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 22:36:15.15 ID:gyWxbD5M0
 
( ^ω^)「分かったお」
 
 アルファベットに向けて、ブーンはゆっくり手を伸ばす。
 そして、Fに触れ――――軽く掴んだ。
 
( ^ω^)「おっ……! 掴めたお!」
 
(´・ω・`)「……こっちも触ってみてくれ」
 
 今度は、最上位アルファベットである、Zを渡した。
 Fと引き換えに、ブーンはZを受け取る。
 
( ^ω^)「おぉ、これも掴めるお!」
 
(´・ω・`)「いや、恐らく……試しに、これを斬ってみてくれないか?」
 
 ショボンが、自分の右腕から手甲を外した。
 
(´・ω・`)「もしアルファベットを扱えるようになっていれば、軽く振るだけでもこれくらいは斬れるはずだ」
 
 ブーンが頷く。
 ショボンは手甲を下に落として、ブーンから離れた。
 
 軽くZを振りあげ、重量に任せて振り下ろす。
 それでも、風を斬る音は聞こえた。
 
 ただ、振り下ろした先の手甲は、形を保ったままだった。
 
163 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 22:38:16.93 ID:gyWxbD5M0
 
(;^ω^)「おっ……」
 
(´・ω・`)「やはり、そうか」
 
 ブーンからZを受け取ったショボンは、獣を模った石像に近づく。
 そして、大して勢いもつけずに、Zを振るった。
 
 雄々しい表情の獣は、一瞬にしてその頭を失っていた。
 
( ^ω^)「おぉ……! 凄い切れ味だお!」
 
(´・ω・`)「さっき、身体の八割は機械じかけだ、と言っていたな?」
 
( ^ω^)「そうだお」
 
(´・ω・`)「アルファベットは人にしか反応しない。恐らく、全身すべて人間でなければ拒否されるんだろう」
 
川 ゚ -゚)「ややこしい武器だな、面倒くさい」
 
(´・ω・`)「まぁ、俺が使えればそれでいいさ」
 
(´・ω・`)「それと……もう一つ。これは、俺の武器とは関係ないことだが」
 

164 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 22:39:18.03 ID:gyWxbD5M0
 
( ^ω^)「?」
 
(´・ω・`)「さっきも言ったとおり、俺の武器に隠された力はない。だからここでの説明にも不利益はない」
 
(´・ω・`)「ただ、この会話をアンノウンが聞いている可能性は充分にある」
 
ξ;゚听)ξ「あっ……!」
 
(´・ω・`)「俺は、例え敵が聞いていたとしても、ここで互いのことを知っておいたほうが有利だ、と思う」
 
(´・ω・`)「下手を打てば同士討ちしかねない。手の内は、できる限り知っておいたほうがいい」
 
(´・ω・`)「ただ、それでも隠しておくべきだ、と思うことがあるなら、それは伏せておいてくれ」
 
(´・ω・`)「今の俺の言葉を念頭に置いたうえで、自分の武器について説明してもらえると助かる」
 
川 ゚ -゚)「…………」
 
 ショボンが一歩下がり、隣に立つツンの顔を一瞥した。
 ツンは軽く頷き、一歩前に出る。
 

172 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 22:42:08.83 ID:gyWxbD5M0
 
ξ゚听)ξ「私は、ペルソナっていう力で……」
 
川 ゚ -゚)「どこか私と、似た物を感じるな」
 
ξ゚听)ξ「実は自分でもよくわかってないんだけど……ペルソナを使って色々な力を扱えるの」
 
(´・ω・`)「さっきのあれは、何をしようとしていたんだ?」
 
ξ゚听)ξ「傷を治そうとしたんですけど……何故かあまり効かなかったんです……」
 
(´・ω・`)「どの程度の傷なら治せるんだ? あいつの傷は、相当酷かったが」
 
 フォックスの術式を強引に止めた際に負った、この世界のショボンの傷。
 辛うじて一命を取り留めている。一目見ただけでそう判断してしまうほどの、重傷だった。
 そんな状態に陥っていた男に回復を試みようとしていたのだから、効力はそれなりにあるのだろうと、ショボンは考えていた。
 
ξ゚听)ξ「外傷なら、かなり酷くても完治できると思います。少なくとも、あの人くらいだったら……」
 
(´・ω・`)「なるほど、大したものだな。しかし、万能ではないと言う事か」
 
ξ;゚听)ξ「は、はい」
 
 『外傷なら』の一言で、ショボンは全てを理解していた。
 傷は治る。しかし例えば、外傷によって流れた血は元通りにはならない。
 完全に傷が塞がろうが、出血が多ければ死に至ることは充分に有り得るということだ。
 
(´・ω・`)(さっき、期待通りの効果が得られなかったのは、その事が関連しているのか……。
      だが、あいつらが消えたことも関係しているのかもしれん。これは、推測の域を出ないな)
 
176 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 22:45:17.27 ID:gyWxbD5M0
 
( ^ω^)「回復以外には、何ができるんだお?」
 
ξ゚听)ξ「一応、えっと、遠距離攻撃? みたいなこともできるかな」
 
( ^ω^)「回復もできて、攻撃もできる……これは期待できるお!」
 
川 ゚ -゚)「しかし、ツン自身はあまり戦いに慣れていないようだな」
 
ξ;゚听)ξ「……」
 
(´・ω・`)(ほう……)
 
川 ゚ -゚)「ウチはご苦労な事に、昔っから化け物相手に戦ってきた一族だ。
     今の立ち振る舞い、体つきを見ているだけで、それはわかる」
 
(´・ω・`)「…………」
 
川 ゚ -゚)「加えて、治癒能力。“アンノウン”とやらが馬鹿じゃなければ、真っ先にツンを狙うだろうな。
     そうじゃなかったら馬鹿だな。もしこの会話が聞かれていた時の為にもう一度言っておこう。バーカバーカ」
 
(´・ω・`)(この女……口は悪いが、選ばれただけのことはある、ということか)
 
 クーが言ったことと全く同じ結論に、ショボンも辿り着いていた。
 “アンノウン”がこの事に気が付いていようがいまいが、関係のないことだ。
 実際の効果を目の当たりにしたわけではないが、治癒能力は非常に有用である。
 
(´・ω・`)(ツンを意識して戦うことに、違いはない。逆にわかっていられた方が、対処しやすいというものだ)
 
182 : ◆FnO7DEzKDs :2010/12/05(日) 22:48:52.54 ID:/dUw6pm20

川 ゚ -゚)「で、回復に遠距離攻撃、つまり……」
 
(´・ω・`)「接近戦には向いていない、か」
 
川 ゚ -゚)「それについては心配いらん。優秀なボディガードをつけてやる」

ξ゚听)ξ「ボディガード……?」
 
クーが付いてくれるのか、とも思ったがどうもそうではないらしい。
妙に余裕のある表情だ。
 
川 ゚ -゚)「では次は、私のを見せよう。
     まずはこっちだな 」
 
 クーは左手に納刀された赤光葛葉を目の高さまで持ち上げて見せた。
 そして外套から出てきた右手には、コルトライニングが握られている。
 
川 ゚ -゚)「どちらも古い物だが、長年魔を打ち滅ぼし、降伏させてきた武器だ。
     不思議な力を持っている 」
 
 そういうとクーはショボンに刀を差し出した。
 抜いて見ろ、表情がそう言っている。
 
(´・ω・`)「……ほう……」
 
185 : ◆FnO7DEzKDs :2010/12/05(日) 22:50:45.09 ID:/dUw6pm20
 
 一息で抜刀したショボンは、抜いた刀身を見て僅かに高揚した。
 戦の中に身を置き、数多くのアルファベットを手にし、そして今は最高位に到達した。
 大いに武器に精通するショボンが、クーの刀から何かを感じ取る。
 
( ^ω^)「サムライソード!!
       でもそれって芸術性が高いだけで実践には向いてないんじゃねーの?
       銃も小っせーし、そんなので戦えるのかお? 」
 
 それを横目に見ながらショボンは丁寧に納刀した。
 
 ショボンは呟く。
 
(´・ω・`)「お前の体には金属の部分が多くあるんだったな?」
 
 刀を返すショボンと受け取るクー。
 そしてショボンは言った。
 
(´・ω・`)「お前の体、両断出来るかもな 」
 
(;^ω^)「え……」
 
 何も言いはしないが、当然だと言わんばかりの顔をするクー。
 敢えてショボンに刀を渡したのは、武人然とした彼に見せれば多くを語る必要がないと判断したから。
 クーのその予感は正しかった。
 
190 : ◆FnO7DEzKDs :2010/12/05(日) 22:52:23.02 ID:/dUw6pm20
 
( ^ω^)「その銃は?」
 
川 ゚ -゚)「コレか?」
 
(;^ω^)「見たところ口径も小さいし、それじゃ雑魚のセカンドにも太刀打ちできな───」
 
 ブーンがところでオレのガンを見てくれ、こいつをどう思うと言い出さんばかりに自身の黒い銃器(深い意味はない)に手を掛けた。
 クーは面倒臭かったので適当に地面に向かって発砲する。
 
(;^ω^)「ちょっ!! いきなり何すんだ……お……?」
 
 ブーンの視界に映し出される様々なデータ。
 クーの銃弾が抉った地面のポイントで、温度データが急激にマイナスに振れた。
 それを裏付けるかのように、氷が地面に張り付いていた。
 
川 ゚ -゚)「氷結弾だ。
     他には火炎弾、電撃弾、疾風弾を持っている。
     名前を言えば、何が起こるか一々見せる必要もないだろう 」
 
( ^ω^)「前言撤回。それ欲しいかも……」
 
 ブーンの脳裏に浮かぶのは、氷漬けにして無力化したセカンドの姿。
 凶暴なセカンドの動きを止めることができたら……。
 ブーンは切にそう思った。


199 : ◆FnO7DEzKDs :2010/12/05(日) 22:55:02.75 ID:/dUw6pm20
川 ゚ -゚)「そうかそうか。私の偉大さが分かったか。
     大サービスだ。火炎弾も見せてやる 」

 クーは慣れた手つきで弾丸を入れ替えると、先程凍らせた地面を撃つ。
 銃声と共に氷が砕け、次の瞬間蒸発。
 更に石の床が赤熱し、ドロッと融解した。

(;^ω^)「えっ? なになに?
      その弾にこの熱量が? おかしくね? おかしいよね?」
 
川 ゚ -゚)「世の中には、科学で解明されないことがたくさんあるのだよ。
     ちゃんとハードディスクに保存しとけ 」

 ブーンの記憶媒体がHDかどうかは定かではないが、このリアクションはクーの満足する所となった。
 クーが黙って火炎弾を一発ブーンに渡す。
 ブーンはそれを歓喜の表情で受け取った。
 
 余談だがブーンとツンは、クーが銃を出した瞬間からそれがどういう武器か理解している。
 だがショボンは別だ。 
 未知の武器を興味を示していたショボンは、感慨深げに息を吐いた。

(´・ω・`)(想像していた通りだが、異能の力以外にも、異世界には特殊な武器もあるようだ)

(´・ω・`)(しかし、不思議なものばかりだ……もし俺の世界でも使えたら、策の幅も広がるだろうな) 

208 : ◆FnO7DEzKDs :2010/12/05(日) 22:58:12.56 ID:/dUw6pm20
川 ゚ -゚)「言っとくけどあげないよ」
 
(´・ω・`)「…………」
 
ξ;゚听)ξ。o ○(心無しかショボンさんがしょんぼりしてる……?) 
 
川 ゚ -゚)「これは葛葉伝来の、言わば家宝みたいなもんだ。
     褒めるなら構わんが、欲しがられたら困るからな。
     いやごめん。困る以前にお断りだ。門前払い」

(´・ω・`)「…………」
 
川 ゚ -゚)「まぁ、私の武器の素晴らしさは充分に理解できただろう」
 
(´・ω・`)「…………」

ξ;゚听)ξ。o ○(なんだろう……気のせいかな……?)
 
 黙りこくった一同を余所に、クーは話を次に進めた。


215 : ◆FnO7DEzKDs :2010/12/05(日) 23:00:28.72 ID:/dUw6pm20
 
川 ゚ -゚)「前座はこの辺にしておこうか 」
 
ξ゚听)ξ「前座?」
 
(´・ω・`)「?」
 
 クーは銃を外套の中に戻す。
 その手が次に出てきたとき、代わりに銀の筒が一本握られていた。
 試験管程度の大きさだが、口から淡いグリーンの光が洩れる。
 
川 ゚ -゚)「メインイベントだ。
     私はデビルサマナー。
     その境地とはこういうことにある 」
 
 クーが銀の筒に対して何事かを語りかける。
 三人は知りもしないが、この筒はクーの頼もしい仲魔が封印されている封魔管。
 猛々しい彼らは、主の呼び掛けをこの中でじっと待っている。
 
(;^ω^)「生体エネルギー反応が……!?」
 
 ───跳ね上がる……。
 無だった所からから馬鹿げたエネルギーが放出されている。
 それに呼応するかのように緑の光は強度を増した。
 

224 : ◆FnO7DEzKDs :2010/12/05(日) 23:02:33.15 ID:/dUw6pm20
 
 光が収束する。
 代わりに残ったのは、荒々しい獣気、猛々しい筋肉の鳴動。
 
(´・ω・`)( ^ω^)「っ!?」
 
 ξ゚听)ξ「あれは……」
 
 ショボンは即座に身構える。
 ブーンはブBlueMachingunに手をかけた。
 
川 ゚ -゚)「コイツが一番分かりやすいだろう。
     私が使役しているのは……」
 
 馬鹿げたサイズの犬のような獣。
 その頭は二つ。
∧_∧  ∧_∧
(叉)゚,, >|<,,゚(叉)「「カロロロロロロ……」」
 
川 ゚ -゚)「『魔』だ 」
 
 双頭の魔犬オルトロス。
 二つの口からは、炎のような硫黄の息が漏れている。
 
(#^ω^)「セカンド!!」
 
 ブーンは弾ける様にBlueMachingunを抜くと、オルトロスに照準を定めた。
 頭二つの犬など尋常な生物ではない。
 セカンドウィルスがもたらした異常進化だと結論付ける。

232 : ◆FnO7DEzKDs :2010/12/05(日) 23:04:23.10 ID:/dUw6pm20
 
(#^ω^)「殺す!!」
 
 今まさに引き金を絞らんとすると
 
ξ゚听)ξ「止めて!!」
 
 ツンが銃身に手を掛け、それを下げる。
 
ξ゚ー゚)ξ「『オルトロス』ね 」
 
 見たことあるのか?と聞くクーに対して、ちょっと友達がね、と答えるツン。
 鼻の頭に皺をよせ、物凄い形相で牙を剥いているオルトロス。
 ツンはその頭に恐る恐る手を伸ばす。
 
ξ゚ー゚)ξ「……温かい。というより熱いくらいね 」
 
 鬣に触れるツンをオルトロスは受け入れた。
∧_∧  ∧_∧
(叉)゚,, >|<,,゚(叉)「オ前 良イ匂イスルナ。
          喜ベ。食ワナイデヤル 」
 
237 : ◆FnO7DEzKDs :2010/12/05(日) 23:07:27.58 ID:/dUw6pm20
 
 先ほどまでの態度とは打って変わって目を細める魔獣。
 こうして見ると、頭は二つあるがただのデカイ犬だ。
 ブーンもおっかなびっくり手を出そうとすると。
∧_∧  ∧_∧
(叉)゚,, >|<,,゚(叉)「オ前、鉄ト油ノ臭イガ 酷過ギル。
          臭ッセ臭ッセ。サワルナ。丸齧リスルゾ 」
 
(#゚ω゚)「………。
      クーさん。ペットの躾がなってねーお 」
 
川 ゚ -゚)「ペットではない。仲魔だ。
     神話の中の生き物だぞ。
     気位が高いから言葉には気を付けろ 」
 
 低い声で警告するクー。
 その向こうではオルトロスが仰向けになって、ツンに腹を掻かせているが……。
 
(´・ω・`)「見た所……」
 
 じっと観察していたショボンが口を開いた。
 
(´・ω・`)「戦に特化した獣のようだな。
       戦力としては十分だろう。それに……」
 
 ショボンはクーの胸を指さす。
 
(´・ω・`)「他にこういうのを四体連れている、と考えていいんだな 」
 

244 : ◆FnO7DEzKDs :2010/12/05(日) 23:10:01.66 ID:/dUw6pm20
 
 ショボンが指し示している外套の内側には、封魔管が別に四本ストックしてある。
 先ほどオルトロスの魔封管を引き抜いたときに、ちらりと見えたのを見逃さなかったのだ。
 
川 ゚ -゚)「皆こういう魔獣ではないがな。
     私達と変わらない姿をしている者もいる。
     お前よりデカくて、お前の剣よりゴツい剣を小枝のように振り回すのもいるぞ 」
 
(´・ω・`)「ふむ…… 」
 
川 ゚ -゚)「まぁ、このオルトロスなら一目で分かるだろう?」
 
 自分が尋常ならざる者を引き連れているのは──とクーは締めた。
 
( ^ω^)「よし、じゃ次は僕の───」
 
川 ゚ -゚)「あ、そうそう。
     今言ったデカいヤツ、お前のガードに付けてやる。
     私の仲魔の中で一番強いんだぞ? 安心していいぞ、ツン 」
 
ξ゚ー゚)ξ「あ……、ありがと 」
 
 盛大に舌打ちするブーンを全くシカト。
 クーは言うことを言い切ったのでもう満足した。
 ブーンに次はお前だぞさっさとやれよ、と促す。

251 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 23:13:26.06 ID:gyWxbD5M0
 
 
(#^ω^)カチッ シュボッ!

(#^ω^)y-~~「ふー」

ξ;゚听)ξ(あ、この人……っていうか、サイボーグって煙草吸うんだ)

川 ゚ -゚)「え? 何? 煙草がお前の武器なの? 煙たいだけだから早く引っ込めてくれ」

(#゚ω゚)(なわけねーだろ……さっきから何なの、この女……)

ξ;゚听)ξ(さすがに言いすぎ……でも私も早めに引っ込めて欲しい)

川 ゚ -゚)「悪かった悪かった。ほれ、ふてくされてないで
     お前さんの未来のドッキリアイテムを紹介してくれよ」

(´・ω・`)「クー、冗談も程ほどにしておけ。連携の乱れは命取りに成り得る。
      ブーン、お前もだ。お前達三人はどうやら共通点の多い世界からやって来たと見るが……。
      ここで競り合っても仕方あるまい」

(´・ω・`)(まぁ、武人として扱える武器に優劣を付けたがるのは、理解出来なくもないが……)


265 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 23:17:37.84 ID:gyWxbD5M0

(#^ω^)「……BLACK DOG、武器庫開けお」

 床に捨てた煙草を踏んで火を消し、面倒そうにブーンは始めた。
 主人の呼ぶ声に応え、BLACK DOGはゆっくりとホイールを回転させる。
 気が乗らない主人を慰めるようにブーンの前につくと、
 全員をアッと驚かせようと一気に武器庫を展開した。

(´・ω・`)「物がひとりでに動いた……? これは、何だ? 金属の塊なのか?」

ξ;゚听)ξ「わっ!? す、凄い。SF映画の機械みたい」

川 ゚ -゚)「確かにSF映画チックで凄いけどさ、私の封魔管の方が凄くね?
     こんな小さい筒に身長2メートルの巨漢が入ってるんだぞ? やばくね?」

 すると一人を除き、目を丸くして驚いた。
 BLACK DOGにAIは搭載されていない。派手に展開するのはあくまで仕様。
 しかし予想外にも異世界の人間が各々関心しているのを見て、機嫌を良くしたブーンは 
 得意気にBLACK DOGの黒いボディを撫でた。

( ^ω^)「こいつはBLACK DOG。空陸両用可変型バイクだお。
      僕の大事な相棒なんだお! ね、BLACK DOG?」
274 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 23:19:59.23 ID:gyWxbD5M0

川 ゚ -゚)「ほう、犬か。ツンよ、オルトロスとどっちが可愛い?」

ξ゚听)ξ「……オルトロス、かな」

ξ;゚听)ξ「はっ!」

(#^ω^)カチッ シュボッ!

(#^ω^)y-~~「ふー」

ξ;゚听)ξ「あ! いや! オルトロスは動物でしょ!?
       ぺ、ペットみたいでさ。でもBLACK DOGも偉いわ!
       ちゃんとご主人様の言う事を聞いてくれるもの!」

( ^ω^)「だおー? ふふっ! ドクオが聞いたら喜ぶお!」

川 ゚ -゚)「だからペットじゃねえって! 神聖な存在って説明したろ?
     オルトロスが聞いたらへそ曲げるぞ」

ξ;--)ξ(はあ……やだなぁ、このポジション)

(´・ω・`)「武器庫兼移動手段、という訳か。それでお前の武器とは?」

 クーが機嫌を損ねているのを見て再び気を良くしたブーンは、
 その手の話では馬が合いそうなショボンに対し、笑顔で答える。

283 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 23:22:47.98 ID:gyWxbD5M0

( ^ω^)「色々あるけど、BlueBlazeBladeとBlueBulletGunを例に紹介するお。
      ショボンが分かりやすいように説明すると、剣と弓矢ってとこだお」
 
 BBBladeを手に取り、グリップを握りこんで蒼い光で刃を作る。
 アルファベッドIやUを髣髴させるシルエットが、ショボンにそれが剣と納得させるが、

(´・ω・`)「剣は分かるが……それが弓なのか? その妙な筒が?」

 SF映画を知るクーとツンは、ショボンが怪訝に尋ねる様子が堪らなくおかしい。
 しかしツンは見るからに屈強な武将という風貌の彼を笑う事は恐れ多く、
 口を手で覆って含みを隠していた。
 一方でクーは「ホントにマッチョは何も知らないんだな」と率直に漏らす。

( ^ω^)「撃って見たほうが分かりやすいお」

 BBBladeのエネルギー放出を切り、右腿のホルダーに仕舞う。
 武器庫からBlueBulletGunを取って、回廊に立ち並ぶ石像の一つに銃口を向けて引き金を絞る。
 45cm大の蒼い弾丸は同色の緒を一瞬描き、石像の首を破砕する。
 その破砕音と同時に、銃の発射音が回廊に木霊した。

 胴体から離れた石造の頭は宙を舞い、ブーンの頭上に降下する。
 BlueBulletGunを武器庫に置き、ホルダーからBBBladeを取り出し、石像の頭目掛け振るう。
 構えも無ければ斬り方も無く、単純に刃を振るっただけだが、
 石像の頭は見事真っ二つにスライスされ、床に落ちた。

288 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 23:24:59.91 ID:gyWxbD5M0

( ^ω^)「ただし、僕の武器には使用回数が限られてるお。
      弓矢の矢の本数に限りがあるのと同じだお。
      矢は多く用意してあるから安心していいと思うお」

 そう補足し、最後にスライスした石像の一部を右足で粉々に踏み潰して見せた。

ξ;゚听)ξ「……凄い、ホントに映画見てるみたい」

(´・ω・`)「なるほどな。武器もさることながら、お前自身も強力なのか」

川 ゚ -゚)「ウチのノーマンもそのくらい訳無いから。
     あ、さっき言ってた封魔管で身を潜めてる巨漢ってのがノーマ――」

( ^ω^)「あとBLACK DOGは僕の鎧にもなるんだお」

(´・ω・`)「鎧? これがか? 今一つ想像つかんが……」

川#゚ -゚)「ほう、やってみろよ」イライライライラ

( ^ω^)(ふん、気味の悪い女め。ちょっとビックリさせてやる)

( ゚ω゚)「アーマーシステム!」

301 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 23:27:25.12 ID:gyWxbD5M0


         //
        //
 _,,-‐'"ヽ.//       ィ'トー-ィ
 ノ \ ヽ ト、       以,[l゚疲i7 「コオオオォォォォォォ…………」
{ 、 ヽ. ヽ_(⌒)  _,,.. -‐'"ノ /ノ >‐个 、._
 ヽー'.ー' `7⌒/'フ  >,ノ--―‐‐' ̄ ⌒`ヽ、          ξ;゚听)ξ (´・ω・`) 川 ゚ -゚)
   ∀ ー {  ∨    ∨   >ミ λ二ヽ、_ )ヽ__       \从_,_,_从_,_,_从_,_,_从_,_,_从_,_,_从_,/
   \  〉ー {     {     __ミ∧__,,.-''`ヽ `ヽ     ノ                    て
     ー―-ヽ、  ノ  _,,.. ‐'"´彡 'Y   `ヽ i  ̄ヽ、 `)  ひ 、 ヒ ロ ー イ ! ! (
          { ̄´》丶 ー- <ノ__\     {  / ∧  `)                    (´
             { 7⌒/⌒ー-' ノ彡/∨ ノ >、._ノ  ,'  _∩ /W'^'W'^'W'^'W'^'W'^'W'^'W''^'W'^'W'\ 
          !〉ー、―-、,ゝ┴ン ノ/ ノ  { レ ´ ヽi
          {ヽ.__,、___  '  / (´_ /  _,,..×   ヘ〈 ハ |
             /ヽ Y    '/´´    }  (_,,..、_ハ   , ノ }
          〉ミミと=‐- ┴―――〈      > ノ / .!
         ノノ  ', ̄ ̄ ̄ 不TT7´     ゝク´ ,  /
        / ' ∧   彡=  ′ ハ     ⊂´_ノ  /
         ノ   ハ   / ′     λ     `ー‐-'′
      /    {   、/        ハ




313 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 23:30:00.44 ID:gyWxbD5M0

(´・ω・`)「――はっ、俺は今、何を口走ったんだ……?」

ξ;゚听)ξ(なんだか、あの姿を見た瞬間、ヒローイと叫びたくなって……つい……)

川 ゚ -゚)「こええなバカwwwwwwww」

ィ'トー-ィ、
以,[l゚疲i7「あれ……? これ、カッコよくない?」

ξ;゚听)ξ「え、えっと、うん! カッコいい!」

 鎧化したBLACK DOGがブーンの身体からパージされ、元のバイクの形に戻る。
 最後に頭部の兜が解体されると、満足そうな笑みを浮かべたブーンの顔が現れた。

( ^ω^)「だおー?」

ξ;゚听)ξ「う、うん」

川 ゚ -゚)「だせえよwwwwwww」

( ^ω^)「アンタには聞いてないお」


(´・ω・`)「俺は……一体、何を……」
 
328 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 23:33:26.44 ID:gyWxbD5M0
 
 ショボンがはっと顔を上げて、一つ咳払いをした。
 
(´・ω・`)「……みんな、ありがとう。よく分かった」
 
 ショボンが言い終えた後に、一同を静寂が包み込む。
 話を振り返るように互いの武器を見つめ、それぞれが何かを思考しているようだ。
 クーなどは「プッ……ククッ……」などと時折吹き出している。
 
 だがそれもすぐに終わり────
 
 最終的に互いの顔を見合わせた後、この世界のクーが指差した扉へと視線を移す。
 ついに始まる決戦に、緊張が張り詰めた。
 

335 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 23:37:04.18 ID:gyWxbD5M0
 
 その時だ。
 
 
(;^ω^)「ッ!」
 
川 ゚ -゚)「!」
 
(´・ω・`)「!!」
 
ξ;゚听)ξ「きゃあッ!」
 
 突然、彼らの足元に“黒い円”が生まれた。
 ツン以外の三人は、異を感じた瞬間に飛び退いていた、が、ツンは一歩遅れてしまっていた。
 大人一人程が潜れるように広がった円は、“穴”と表現した方が正しいかもしれない。
 
 避け、着地した後三人はツンを見る。
 既にツンの体は、“穴”に下半身まで飲み込まれていた。
 
(´・ω・`)「ッ────!」
 
 最も近くにいたショボンが、ツンの手を掴んだ。
 しかし、勢いは衰えない。それどころかショボンをも飲み込まんと。
 “穴”から黒い波が伸び、二人の体を包み込んだ。
 
 ただの黒い塊となり、それが消え去った後。
 
 二人の姿も、消えていた────
 
354 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 23:41:20.66 ID:gyWxbD5M0
 

 
 
爪 ゚W〉《二人、か》
 
 相も変わらぬ、主を亡くした“王の間”で、“アンノウン”が呟いた。
 ツンとショボンを飲み込んだ黒い穴は、彼が仕掛けた罠であった。
 彼らがここへ到着した時から、“アンノウン”は全てを見ていたのだ。
 
爪 ゚W〉《“矛盾”のことは、どうやら伝えていなかったようだな》
 
 矛盾。
 
 それこそが、この世界のブーン達が姿を消した理由。
 だがそれを、異世界のブーン達が知る術は無い。
 
爪 ゚W〉《少々、拍子抜けしたが……さて》
 
 “アンノウン”の眼前に二つのヴィジョンが浮かぶ。
 片方は、ショボンとツン。もう片方には、ブーンとクーの姿が映っている。
 
爪 ゚W〉《一人ずつ楽しみたかったが、まあいいだろう。
     聖剣の力と成り得るか、見極めさせてもらうぞ》
 
 それこそが、狙い。
 分断し、異世界の彼ら個人の力を計ろうと、手を打ったのであった。
 
366 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 23:47:00.07 ID:gyWxbD5M0
 
爪 ゚W〉《残る二人は……あそこだな》
 
 聖剣が抗い、この世界のブーン達が命を賭して喚び寄せた戦士達。
 その集結を見ても、“アンノウン”は何ら戸惑う事はなく。
 
 完全に、楽しんでいた。
 
 たとえ飛ばした先で力尽きようが、聖剣さえ突き立てれば力は剣に送られる。
 “主人公格”としての力は、彼らが障害を突破すれば多く、できなければ少なく。
 ただ、それだけの違い。次の世界へ飛び立つ程度の力は、充分に聖剣へ補充されるのだ。
 
 過程がどうであれ、己の力に絶対的な自信を持つ彼は、勝利を確信していた。
 ならば、楽しもうではないか。純粋にそう思っているだけなのだ。
 
爪 ゚W〉《────よし》
 
 ブーンとクーが映るヴィジョンに手をかざし、何かを唱え始めた。
 彼らもどこかへ飛ばそうとしてやろうと。
 
 彼らにとっては災難であり、“アンノウン”にとっては興趣を添えただけである。
 はたしてそれが、どのような結果をもたらすのか。
 
 打破するか、否か。
 
 聖剣は静かに、星光を漆黒の刃に映していた。
 
                                【Cross part:Weapon⇒END】
 
                                【Next⇒Cross part:???】

 

 

 

382 : ◆iAiA/QCRIM :2010/12/05(日) 23:53:27.53 ID:gyWxbD5M0
 
 アンノウンの手によって、異世界の戦士たちは分断されてしまった。
 
 果たして、彼らを待ち受けるものとは……。
 
 
 
 
 次回────
 
 
 
 物語のページが( ^ω^)´・ω・)゚听)ξ 川 ゚ -゚)応えるようです
 
 
 
            【Cross part:Sublation】
 
 
 
 
                       ────12月11日(土) 開始

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