- 1
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /21(金) 23:38:12.90 ID:TXYVxEb40
託された、想い。
────巻き込んでしまって、ごめんお。
────私達も覚悟の上で、この方法を選んだの。だから……。
────必ず、勝ってくれ。
────君達になら安心して任せられる。頑張ってくれ。
物語のページが集い、想いに応える。
- 2
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお
送りします:2010/05/21(金)
23:40:01.81 ID:TXYVxEb40
-
【はたしてそれは、生まれ出でる運命だったのだろうか】
輝くは数百の星々。それは終わりを告げた世界。
煌くは数千の星々。それは今も生き続ける世界。
生きるは命。降り立った世界の中で、懸命に生き、証を残す。
広がるは、無限の宇宙。満たされぬ為に、世界を生み出す為に。
気が付けば私はここにいた。
世界を見るために。世界を読むために。
生まれた世界は、生まれた命は、そのどれもが、美しいものだった。
そして、それが叶わぬ命も在った。
一つ、一つと積もりゆく。
あの世界の塵のように。あの世界の雪のように。
繋がり、重なり、蟠り、少しずつ、少しずつ。
世界に降り立つことが、世界に羽ばたく事が叶わなかった、悲しき命達が。
- 5
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /21(金) 23:43:43.26 ID:TXYVxEb40
-
いつしかそれは蠢く闇と成り、宇宙を泳いだ。
遠くで輝く命達を、静かに見つめながら。
全ての世界を舐めるように、無限の宇宙を漂っていた。
私はそれを、じっと見ていた。
私には見ることしかできないからだ。
私はここを動く事はできないからだ。
それがこの世の、世界の“掟”
私がこの世に在った時、いや、それ以前からの、摂理。
世界が創造された時から定められている、大いなる意思なのだ。
私が私である事を自覚した時、既にそれを理解していた。
逆に言えば、自身については未だ“それしか知らない”のだ。
この空間自体が私なのか、あの星々や闇と同じく、ただ浮遊している物体なのか。
自身の形態すらも、知らないのだ。
ただただ役目の為だけに。ただただ世界を構成する為に。
その為だけに私は、ここに“在る”のだから。
それを成す事に、己の姿など知る必要はない。
- 8
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05 /21(金) 23:48:05.88 ID:TXYVxEb40
-
気が付けば、闇は私のすぐ傍に在った。
それに至るは数瞬か、幾星霜か。どちらかは、わからない。
“時”という概念があの星々にある事は知っている。
しかし私には、“時”を感じる事も計る事もできない。
数多ある世界を覗き見、そこで表現されている“時”と言う言葉を借りているだけだ。
今こうして思考を巡らせている言語も、幾多の星々で使われている言葉なのだ。
あの世界達を、そう、言葉を借りるとするならばそれは───“読む”、事によって。
私は知識を得、感覚を得、感情を得て、ここに在るのだ。
闇が、私に、触れる。
どこに触れられたのかはわからない。己の形態を知らないからだ。
悲しみが降り積もり生まれた闇。はたしてその感情は、悲哀ではなかった。
闇の奥底。包まれたその中に在ったもの。
またも彼らの言葉を借りるとすれば…………。
輝きの裏に在る、深淵に燃ゆる黒き感情。
- 12
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし
ます:2010/05/21(金) 23:52:43.87
ID:TXYVxEb40
-
───それは憤怒。
《何故、自分達はこのような暗き闇の中にいるのだ》
《何故、あの者達はああも眩く、煌びやかに輝いているのか》
《我は同じ可能性の下、等しい存在として在ったのではないのか》
───それは嫉妬。
《幾千もの輝く世界に、何故、我だけがこのような場所にいるのか》
《妬ましや。己が足で大地を踏み行くあの者達》
《妬ましや。光を浴びて駆け抜けるあの者達》
───それは強欲。
《我は望む。己が手足を、己が肉体を》
《立ち、歩き、走り、掴み、振るい、喰い、犯し》
《己を満たす為に。ただそれだけの為に、我は望む》
嫉妬は憤怒を生み、欲は更なる強欲を求める。
それらを助長させるのは、最も大きな意思。
- 16
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし
ます:2010/05/21(金) 23:56:32.06
ID:TXYVxEb40
-
───それは、殺意。
絡みつく、細かな闇の粒子達。
私を覆うように、私を、握るように。
《──√レ────》
何かが、聞こえた。 ……聞こ、え…………た?
……そう、これは、聞くと言う事。
世界を“読んで”、それを知っていた。
聞くとは即ち、誰かが声を発したということ。
そういうものだと、私は覚えている。
だがこれは、違う。
闇の奥底、深淵に揺らめく感情を“読んだ”ように。
これは、私の意思に直接、響いている声だ。
《……──ぁ──v√レw───》
- 21
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし
ます:2010/05/22(土) 00:00:20.80
ID:DYutVOow0
-
黒き闇の声が、確かに“聞こえ”た。
いや、最早それは闇と表現するにはあまりに“異”。
私に触れる事で、粒子が集い、塵は形を成していく。
自身が“握られて”いるという感触に、私は私の姿を認識する。
どこかの世界に存在していた姿。
“人”の手によって振るわれ、時には“力”の象徴として掲げられ。
見、読んだ世界の“人”と同じ様に、闇だったものは私を掴む。
私を───柄を、強く握り締めた。
痛みはない。そもそも私は、痛みというものを知らない。
知識としては持ち得ても、どうやら私には“痛覚”がないようだ。
しかし、闇から生まれた腕に持たれた“感触”は、紛れも無く───
私は、そう。“剣”の姿をしているのだ。
私に触れ、纏う事で、私の“力”が闇に吸われて行く。
この世界を保ち、構成する力が、闇に呑まれて行く。
形を成した腕で触れた事により、それがより速く、急激に。
闇は更に集い、腕よりも深い箇所を次々と形成して行く。
自身の姿は“剣”であるのに、はっきりとそれが視覚できる。
いや、思えば世界を“読む”という行為も、この姿では違和感を覚えるか。
- 24
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし
ます:2010/05/22(土) 00:03:36.94
ID:DYutVOow0
-
しかし私は、現に持たれているという感覚を認識し。
力を吸い取られているという現実を感じ得ている。
数多の世界に存在し、私が知り得る“剣”とは、やはり異なる物なのだろう。
自分が一番わかっている事だった。
世界を支え、世界の流れを円滑にする存在。それが私なのだ。
形状こそは“剣”のそれであろうとも、込めたる力は全くの異質。
その力が。
世界を維持するべく力が。
掴まれた腕から流れ出て、闇だったものの力に変換されつつあった。
しかと握り締める手とその先に伸びる腕は、周囲の黒よりも漆黒に輝き。
未だ土の感触を知らぬ足は大地を求めるように、強健な双柱と成る。
四肢の次に生まれるは、屈強な肉体。それもまた、黒き肌に覆われて。
最後に現れたのは、鬼神の如き憤怒の表情。
ありとあらゆる恨みを、嫉妬を、殺意を、その表情に浮かべていた。
《───実に、心地良い気分だ───》
しかし聞こえた言葉は、その表情とは真逆。
私と同じく多種多様な世界を“読む”事によって学んだのか。
それとも私から知識を得てしまったのか。どちらかはわからない。
- 28
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし
ます:2010/05/22(土) 00:06:27.76
ID:DYutVOow0
-
言葉は思念となり、私に流れ込んでくる。
私の思考は、この“闇だったもの”には伝わっていないようだ。
だが、私がどういった存在であるかは、理解しているようだった。
《この世に生まれ、生を打ち立てる。それのなんと、充実した事か》
“闇だった者”は、噛み締める。
誕生の喜びを。肉体を得た悦びを。“力”を得た、歓びを。
それらは全て、一つの信念に繋がる。
《何も出来ずに、ただただ見つめ続けていた》
《同じ可能性の下、“我”だけが躍動する事叶わずに》
《……しかし、“我”は手に入れた! 力を! 肉体を!》
“私”が、振り上げられる。
“闇だった者”によって、高く、高く。
ある世界では、その動作は人を殺めるために。
ある世界では、自らの力を他に誇示するために。
この一振りは、そのどれとも違う一薙ぎ。
- 30
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし
ます:2010/05/22(土) 00:10:28.55
ID:DYutVOow0
-
袈裟斬り。たしか、そんな名称だった。
頭上から斜め下へと、“私”を振り下ろす。
それを以て、この者は真の誕生を果たした。
爪 ゚W〉
纏うは、黒衣。足まで伸びた漆黒の帯をたなびかせ。
波立つは黒の長髪。その顔の半面は仮面によって覆われていた。
仮面の紋様が、世界のどこかで見た数字のように見えた。
覗く瞳の色は真紅。それは滾る血か、はたまた憤怒の火の色か。
ふと、気付く。
“私”を振るう映像を、客観的に見ている事に。
それが意味するものは、意思の分断。
あの者の意思に、侵食されている。
いけない。私がここから動く事は、それは───……
- 34
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし
ます:2010/05/22(土) 00:14:22.60
ID:DYutVOow0
-
この者も私に触れた時に、それを理解しているはずだ。
だが、私が動く事で起こり得る事象は、この者にとっては望むべき事なのか。
私に触れ、私を理解をしたように、私もこの者を少しずつ理解していく。
爪 ゚W〉《…………》
───v──√レvv──√\/ ̄レww───…………
思考に費やすは数瞬の刻。導かれた答えは、同じくして短き言の葉。
爪 ゚W〉《……足りぬ》
足りぬ。
これだけでは、足りぬ。
私をここから動かす事で生まれる異変だけでは、足りぬ。
それでは飽く迄、間接的であるからだ。
この者が満たされるには、直接的でなくてはならぬのだ。
爪 ゚W〉《この手で、全てを───……》
- 35
名前:以下、名無しにかわりましてVIP
がお送りします:2010/05/22(土)
00:17:34.36 ID:DYutVOow0
-
己が手で、全ての破壊と抹殺を。
それこそがこの者の糧。
それこそがこの者の理。
その為だけに、生まれたのだから。
決して現れることのなかった存在達。
彼らは漂い、他の世界を“読む”事で、黒き感情を確実に育んでいた。
そして、私に触れ、遂に彼は生まれたのだ。
爪 ゚W〉《先ずは……あそこか》
見据えるは、一つの星。ここから最も近い星。
あの星は、既に読んでいる。争いのない、平和な星だった。
この者は、そこへと向かう。破壊への第一歩として。
今この瞬間から、危機が訪れた。
全ての世界に。
全てのAA達に。
- 39
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし
ます:2010/05/22(土) 00:20:21.47
ID:DYutVOow0
-
全ての破壊を望む名も無き者。
後に人は、彼をこう呼ぶこととなる。
謎深き破壊者、“アンノウン”
この者は、危険だ。
私の知り得る世界達の中に、対抗出来る者は…………。
────在るとすれば、
異世界の力の、集結────
- 40
名前:以下、名無しにかわりましてVIP
がお送りします:2010/05/22(土)
00:23:10.81 ID:DYutVOow0
-
───歯車は回り出す。
今はまだ、孤立無援の螺旋なれど───
───舞台となるは、未だ見ぬ未開の世界。
迫り来る驚異に、彼らは救い手と成り得るのか───
───剣の力は絶大であり、同時に無力であった。
使役者に奇跡を与える聖剣は、悪しき者の手に堕ちた───
───螺旋を導く、未開の住民。
全ては“彼ら”と、“彼らと同義である存在”達───
- 43
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし
ます:2010/05/22(土) 00:27:01.90
ID:DYutVOow0
-
【( ^ω^)はペルソナ能力を与えられたようです】
───撃ちつけろ。
心の海に揺蕩いし、神の力を現世に以て。
【( ^ω^)は街で狩りをするようです】
───解き放て。
機械の体に秘められし、熱き想いとその力を。
【( ^ω^)ブーンは退魔師稼業のようです━╋RETURNS━━】
───喚び熾せ。
悪魔を滅する“異”なる能力の、根元まで。
【( ^ω^)ブーンがアルファベットを武器に戦うようです】
───斬りつけろ。
信念を力に変えて、肉体と想いに応えるその武器で。
- 47
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし
ます:2010/05/22(土) 00:31:30.35
ID:DYutVOow0
-
“アンノウン”と“聖剣”の力とは。
“アンノウン”が向かった地には、何があるのか。
徐々に支配されていく中、“聖剣”は何を思うのか。
全ての世界が繋がる場所で、幕は下りた。
力が集う、その日は近い。
はたして、生き残るのは────
〜to
be continued
- 49
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りし
ます:2010/05/22(土) 00:41:00.19
ID:DYutVOow0
- 支援ありがとうございました
以上の投下を以て、
物語のページが( ^ω^)´・ω・)゚听)ξ
川 ゚ -゚)応えるようです
の予告とさせていただきました
お察しの通り、作中の4作品を扱った合作です
本編の投下予定日は、7月を目標にしています
かみんぐすーんということでよろしくお願いします
何か質問あれば答えられる範囲でお返事します
なければこのままDATの海へ〜
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