30 名前: ◆Ciy/3xg8GY :2007/09/12(水) 23:00:12.70 ID:0zBPPdMK0
五日目


目が覚めてからも、昨日から気分は沈んだままだった。

気分転換に公園に行くことにした。

あそこにはいい思い出はないが、何でもいいから気を紛らわせたかった。

気持ちの晴れないまま、公園へと歩を進めた。

31 名前: ◆Ciy/3xg8GY :2007/09/12(水) 23:01:19.27 ID:0zBPPdMK0
早朝なだけあって、公園は閑散としていた。

体に纏わりつく朝霧を心地よく感じつつ、適当な場所に座り込んだ。

気持ちを整理しようとすればするほど、絡まる糸のように余計に複雑になった。

諦めてぼうっとただ前を見つめていると、霧の向こうから声が聞こえてきた。

33 名前: ◆Ciy/3xg8GY :2007/09/12(水) 23:01:49.08 ID:0zBPPdMK0
(*゚ー゚)「朝は気持ちいいね。ギコ君どこか行きたいところある?」

(,,-Д-)「・・・」


なんだ、あの時のカップルか。朝からイチャイチャしやがって。

今の自分の立場もあり、軽い嫉妬を覚えた。

しかしすぐにおかしなことに気がついた。
36 名前: ◆Ciy/3xg8GY :2007/09/12(水) 23:03:03.27 ID:0zBPPdMK0
(*゚ー゚)「湖は昨日行ったし・・・他のところにしようよ」

(,,-Д-)「・・・」

女が一方的に話しかけていた。

それに対して男の反応はない。いや反応できないのだ。

ブーンは全てを悟った。それと同時に酷い吐き気を催し、その場に嘔吐した。

頭痛がする。少し横になろう。


湖に戻ろうと決めた頃には、陽は頭上に昇っていた。
38 名前: ◆Ciy/3xg8GY :2007/09/12(水) 23:04:12.60 ID:0zBPPdMK0
湖で顔を洗うと、幾分気持ちが楽になった。
自分の顔を思い切り叩いた。

絡まっていた糸がすうっと解けた。

揺るがぬ決心を胸に抱き立ち上がる。

湖面には今までとはどこか違う顔が映っている。

分かっている。

自分に残された時間が少ないことを。


                     五日目終了

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