13 名前: ◆Ciy/3xg8GY :2007/09/12(水) 22:39:16.32 ID:0zBPPdMK0
三日目


湖面を伝う少し冷たい、心地よい風が頬をくすぐる。
昨日に比べると随分とすっきりとした目覚め。
ふと湖に目をやる。
朝陽が湖面に反射して、幻想的な雰囲気を醸し出していた。

感傷に浸っている時、湖のほとりに動く何かを見つけた。

14 名前: ◆Ciy/3xg8GY :2007/09/12(水) 22:40:15.31 ID:0zBPPdMK0
美しい。

それが第一印象だった。
ブーンはその女性の体に、完全に意識を奪われていた。
いつまでも眺めていたいと思った。そこに卑しい気持ちはない、といえば嘘になるが、
それだけではないことは確かだった。
暫く見惚れているうちに、不意にその女性と目が合った。

15 名前: ◆Ciy/3xg8GY :2007/09/12(水) 22:43:34.39 ID:0zBPPdMK0
ξ゚听)ξ「・・・」

まずい。
女性は表情を変えないまま、どんどんと近づいてきた。
逃げなければ危険なことは分かっていた。
しかし体を見てしまったという罪悪感からか、体は言うことを聞かない。
彼女はみるみるうちに近づいてきた。

今まで楽しかったな。
初めて話をしたのは変人だったし、朝起きたら変人が乗っかってたり。
もし生まれ変わったなら、次こそまともな人生に。

勝手な考えを巡らせている彼に向け、女性の口が動かした。

16 名前: ◆Ciy/3xg8GY :2007/09/12(水) 22:44:26.99 ID:0zBPPdMK0
ξ゚听)ξ「見た?」

ずばり言われた。
嘘をついても、誤魔化しきれる状況ではなかった。
正直に言おう。

( ^ω^)「・・・見ましたお。すみませんお」

怖い。
次の瞬間どんな罵声を浴びせられるのか、考えただけで心が折れそうだ。

しかし次に彼女の口から出た言葉は意外なものだった。

17 名前: ◆Ciy/3xg8GY :2007/09/12(水) 22:45:30.60 ID:0zBPPdMK0
ξ゚听)ξ「なんとも思わないの?私の体を見て・・・」

それは思いますよ、とても美しいです。
と返すと、そういうことじゃなくて、と彼女は続けようとしたが、

ξ゚听)ξ「見えなかったのかな・・・」

小さくつぶやき自分の中で納得したのか、それ以上問い詰めようとはしなかった。
それはこちらとしても好都合だったため、深く詮索しないことにした。

その後少しだけ他愛なのい話をして別れた。
名前を教えてもらった。ツンというらしい。それだけでお近づきになれた気がして嬉しかった。

18 名前: ◆Ciy/3xg8GY :2007/09/12(水) 22:49:38.24 ID:0zBPPdMK0
さっきまで心の隅にあったある感情が、確信へと変わった。
彼はやっと生きる目標を見つけた。


彼女のことを思っているうちに、あたりは徐々に暗闇が滲んでいた。



                     三日目終了

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