17 名前:ここから一話目となります:2010/09/26(日) 18:22:45.80 ID:VBgadrkxO
お邪魔した藁置き小屋に光りが漏れる。

VIP国の内政部署からの通達により、
南のキジョ州から西北西に街道を下り続けて三日目となる朝だ。

( ^ω^) 「ふぁー、良い天気だおー」
明かり取りの窓から漏れる光りに、機嫌を良くした僕は、藁小屋の主に御礼を言いに行く事にした。

小屋から出ると偶然にも、小屋の主の若夫婦の娘が小屋に向かって来ていた。



18 名前:改行エラー……だと……?:2010/09/26(日) 18:27:42.71 ID:VBgadrkxO
*(‘‘)* 「あっ旅人さん! おかーさんにご飯が出来たから旅人さんを呼んで来てって言われたの!」

( ^ω^)「ご飯かおー! 有り難いお」

ここ数日は乾物ばかりなので、暖かい物が食べられる。

それに釣られて

−−ぐー

っと僕のお腹はなってしまう。

*(‘‘)*「あはは! 旅人さんお腹空いてたんだね〜」

( ^ω^)「そんなに笑うなお〜、それにお腹が空くのは元気の印だお!」

*(^^)*「なにそれ〜? 変なの〜」

( ^ω^)「へんじゃないお〜」


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 18:29:42.71 ID:VBgadrkxO
五、六歳ぐらいの少女はころころと、笑い続ける。

そのまま少女は僕の手を掴み、とててと走りだす。

*(‘‘)*「さぁ早くいこ!」

なんとも可愛らしい。

断じて性的な意味ではない。

( ^ω^)は落ちこぼれのようです

第一話

「長閑な旅路」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 18:33:39.27 ID:VBgadrkxO
朝ご飯を頂いて、少女の母親にお礼を述べると−−

リハ´∀`ノゝ「気にしなくて良いわよ〜。しかし若い内から旅暮しは辛いでしょ?」

( ^ω^)「そうでも無いですお? 元々旅暮しが夢でもあったんですお」

リハ´∀`ノゝ「そうなの? 身体には気を付けなさいね?」

( ^ω^)「ありがとうございますお」

リハ´∀`ノゝ「そういえば旅は急ぐの?」

( ^ω^)「はい……、昼前には出発しようかと思いますお」

リハ´∀`ノゝ「じゃあそれまで、ヘリカルに旅の話を聞かして上げてくれないかしら?」

( ^ω^)「構いませんお!」

リハ´∀`ノゝ「ありがとう。ごめんなさいね。疲れてるでしょうに」

( ^ω^)「いえいえ、せめてものお礼ですお」

リハ´∀`ノゝ「ヘリカルー! 旅人さんがお話してくれるってー!」

*(‘‘)*「えっ? ホントー!」

僕はヘリカルちゃんに、旅の話を聞かせてあげる事にした。

最近の事だと米狂いの、幼なじみの話になってしまうのだけどね。
25 名前:>>21 避難所投下前提でながらで改行しようとして計算してない俺涙目w:2010/09/26(日) 18:38:22.84 ID:VBgadrkxO
*(‘‘)*「へぇー南の領主様って変わってるんだね〜」

( ^ω^)「そうだお〜。一に米、二に米、三四が無くて、五に米とか言う米狂いだおw」

*(^^)*「あはは、ホントにおかしぃー!」
リハ´∀`ノゝ「旅人さん、そろそろ出た方が良いんじゃないかしら〜?」

台所から、母親が出てくる。

確かにもう十一時を回っている。

*(‘‘)*「えーもう行っちゃうの〜?」

( ^ω^)「ごめんお〜また帰りに寄るから待ってて欲しいお」

*(‘‘)*「ホントに? 絶対だよ!」

( ^ω^)「約束するお!」

旅で出会う人々は、楽しい時間を過ごさしてくれる。

これもまた、旅の醍醐味だ。

僕はヘリカルの言葉に、じーんと感じ入り胸が暖かくなった。

けして僕が少女趣味と言う訳ではない。
断じて違う。
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 18:42:18.13 ID:VBgadrkxO
僕は一宿一飯のお礼に、薬草を煎じた風邪薬を置いていき、ヘリカル達親子に別れを告げた。

*(‘‘)*ノ「旅人さーん気を付けてねー」

( ^ω^)ノ「ヘリカルも元気でおー」

お父さんの方は、野良仕事で結局会えなかった。

挨拶は出来なかったが、また来た時にお礼をしようと決めた。

また会えば良い。

こう言う考え方も有りだろう。

僕が立ち止まらなければ、路は続いて行くのだ。
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 18:48:15.06 ID:VBgadrkxO
僕は街道を歩き出す。

この時点で、今回の旅路も半分を切っていたのだが、やはり一人になるのは少し寂しく感じる。

少し前までは幼馴染みでキジョの地の領主、

−−シュール・ライズサン・スナオ−−

の元に身を寄せて居た僕に、中央から勅令が下った。

そのため三日前から、西の果てピンク州に向かっている。

その際、幼なじみから−−

lw´‐ _‐ノv「米神さまのお導きだよ」

−−と訳の解らぬ激励?を頂いた。

しかし何故、居場所がバレたのだろう?

ここ半年は定期連絡以外して居ないから、足取りは捕まれないと思ったが……。

友人を疑いたくは無いが、僕は売られたのだろうか?

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 18:53:38.54 ID:VBgadrkxO
−−ちなみに後日、中央に行った際に解った事だが単純に寒い時は、春まで南の暖かい場所に居るだろうと陛下に読まれて居たらしい−−

「僕は渡り鳥か何かか?」と陛下に尋ねると「害虫の間違いじゃないか?」と辛辣な言葉を返された。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 18:55:48.15 ID:VBgadrkxO
−−閑話休題。

今回は明後日迄には、領主への謁見を済ませなければならない。

そのためどうしても、早足気味の旅になってしまっている。

ここから先の街道には、村や街がピンクに入る迄はない。

これでは少々気が滅入てしまう。

それでもめげずに歩く事で気を紛らすと、次の日の夕方にはピンクの入り口に街に着いた−−

街の名はAV 

−−アップルヴァレイ−− 

僕は早速宿に、向かう事にした。
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:00:26.07 ID:VBgadrkxO
宿で数日分の疲れを癒し、お風呂に入ってから夕餉を頂く事にした。

この調子なら明日の昼には、西部の領主邸があるテデベイアに着くだろう。

夕食を食べた後、僕はリビングのソファーで休む事にした。

( ^ω^)「ふぅー喰った喰ったお〜」

J( 'ー`)し 「お粗末さまだね」

宿の女主人が話かけてくる。

( ^ω^)「美味しかったですお〜」

J( 'ー`)し「お口に合ってなによりだよ」

宿の女主人は、口元を綻ばせる。

( *^ω^)「南から来たけど、デザートから何から負けないぐらい美味しかったですお」

J( 'ー`)し「へぇ、あんた南の出かい? あっちは砂糖きびの栽培が盛んだよね?」

( ^ω^)「出身は違いますお。 仕事であちらに居たんですお」

J( 'ー`)し「へぇお客さんは商人には見えないけど、なんの仕事だい?」

( ;^ω^)「えーと、仲買人なんですお。 先に現地で交渉を済ましてから、荷物は後から来るキャラバン隊に任せるんですお」
36 名前:>>35ミラ様の生足ペロペロしたいお(U ^ω^):2010/09/26(日) 19:05:14.08 ID:VBgadrkxO
僕は咄嗟に嘘を着いた。

公式な査察とは言え、おおっぴらにやれば動きづらいのだ。

J( 'ー`)し「あぁそうなのかい? なんか根掘り葉掘り聞いて悪いねぇ」

( ^ω^)「気にしないで下さいお。 でも最近は南でも、魔術汚染で砂糖が高騰してるのに、随分豪勢なデザートでしたお〜」

J( 'ー`)し「貿易で、隣のメガミ国から安定して供給されてるからね。この辺りは」

( ^ω^)「……そうなんですかお?」

J( 'ー`)し「わたしゃあまり、流通には詳しくないんだけどねぇ」

( ^ω^)「良ければ少し教えて下さいお」

J( 'ー`)し「商売人だねぇ、まぁ噂だけど」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:07:59.10 ID:VBgadrkxO
と、前置きして女主人が話を始めた。

しかしこの主人は、中々に話好きなようだ。

こう言う世間話から、いろいろヒントを貰う事があるので大いに助かる。

J( 'ー`)し「なんでも、中枢とは別口の貿易路を領主様は持っているらしいのよ?」

( ^ω^)「それが闇市に流れてるのかお?」

闇市はご法度だ。

庶民間ならまだしも、一領主が絡むとなれば国家への反逆としては十分な行為となる。

J( 'ー`)し「まぁ多分そうだねぇ。しかも魔族が絡んでいるらしくてね」

( ゚ω゚)「魔族? こんな西側にですかお!」

僕は驚きを隠せず声が上擦る。

J( 'ー`)し「あくまで噂だけどねぇ」


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 19:11:23.66 ID:VBgadrkxO
魔族。

−−僕ら人間とは違うが良く似た者達、魔力を精製して魔法として使う人間に対して、大元の魔力を直接扱う長命、残忍な種族−−

この国と海を挟んで東側に、大きな領土を持つ彼等は歴史の中で何度も人間と敵対して来た。

直近では、16年前の大戦が記憶に新しい。

西側の人間による連合軍と、東側の魔王軍がお互いに支配権を巡って戦った。

その時は両軍に多数の死者が出たが、人間の英雄が魔王モララーを討った事による終結した。

ただ、戦争の勝敗はなんとか引き分けと言った所で、未だに睨みあいが続いている。

しかし東側に住む魔族が何故?

ここはVIPの西端に位置する。

地理的には不自然だ、海を介すにしてもメガミ国を経由しなければならない。

メガミ国は人間側の国家だし、経由したとは考え難い。


39 名前:1話此処まで、割りとスムーズに投下出来たので30分まで小休止します:2010/09/26(日) 19:16:16.76 ID:VBgadrkxO
J( 'ー`)し「どうしたんだい? 随分顔が怖いよ?」

( ゚ω゚)「え?」

僕は考えに耽っていた事に気付き、慌てて取り繕う。

( ;^ω^)「あっいや、魔族って言葉にびっくりしちゃったんですお」

J( 'ー`)し「ははは! 噂だからね? あまり気にしないことさ」

女主人は豪快に笑うと、台所に引き込んでいった。

( ^ω^)(魔族かお……)

魔族。

闇市。

別口の貿易路。

残されたブーンは、今回の査察に胸騒ぎを感じるのであった。

第一話
「長閑な旅路」


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