- 389 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 10:12:15.37 ID:JrjYigTBO
よにんめ:お喋りな猫
- 390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 10:27:41.13 ID:JrjYigTBO
ミセ*゚ー゚)リ「あれ、ゼアちゃん、今日はツンについていかなかったの?」
( ∴)「うん。おかえり」
お昼。
買い物から帰ってきたミセリは、
テーブルの上でメモ帳に落書きをしていた僕に声をかけてきた。
今日は、家で過ごしたい気分だった。
ミセ*゚ー゚)リ「お昼ご飯、何がいい?」
( ∴)「ふりかけのおにぎり!」
ふりかけを混ぜたおにぎりは美味しい。
わかめご飯も最高だ。
ミセ*゚ー゚)リ「のりたま?」
( ∴)「のりたま」
ミセ*゚ー゚)リ「すき焼き味のふりかけも買ってきたけど」
( ∴)「う……」
僕が迷っていると、ミセリはくすくす笑って「両方ね」と言った。
- 391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 10:41:26.21 ID:JrjYigTBO
お昼ご飯。
ミセリも僕も、メニューはふりかけおにぎり。
(*∴)) ムグムグ
ミセ*゚ー゚)リ パクパク
ほんのり甘くて、ほんのりしょっぱい。
美味しいなあ。おにぎり大好き。
ミセ*゚ー゚)リ「あれ」
ふと、ミセリが顔を上げて窓の方を見た。
つられて僕も窓を見る。
(,,゚Д゚)
猫が一匹、そこに座っていた。
ミセ*゚ー゚)リ「ギコちゃん」
名前だろうか、ミセリが呟く。
ん? ギコ、って何か聞き覚えがあるな。
- 396 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 12:28:04.12 ID:JrjYigTBO
ミセリが窓を開ける。
ギコと呼ばれた猫は、するりと中に入ってきた。
ミセ*゚ー゚)リ「待っててねー」
ギコはテーブルから少し離れた所で、お行儀良く座っている。
僕をじっと見つめているが、まさか僕を食べる気じゃあるまいな。
キッチンに引っ込んだミセリ。
少しして戻ってきた彼女は、缶詰を持っていた。
キャットフードみたいだ。
ぱきん、と小気味のいい音を立て、缶詰を開ける。
(,,゚Д゚) ゴルァー
ミセ*゚ー゚)リ「はいはい」
急かすようにミセリの足へ擦り寄るギコに微笑み、
ミセリはギコの前に缶詰を置いた。
- 397 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 12:48:54.92 ID:JrjYigTBO
(,,゚Д゚) モチャモチャ
必死に食べてる。
美味しいのかなあ。
(,,-Д-)=3 ケプ
(*∴)=3 ケプ
ギコがキャットフードを、僕がおにぎりを食べ終えたのは同時だった。
( ∴)「ごちそうさま」
ミセ*゚ー゚)リ「おそまつさま」
( ∴)「……ねえ、ミセリ、あのギコって……」
ミセ*゚ー゚)リ「ツンのクラスメートの子が飼ってる猫ちゃんだよ。
お昼になると、ご近所さんに行ってご飯ねだるの。
今日は、うちで食べる気分だったのね」
――あ。
なるほど、しぃの家の猫か。
- 399 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 13:27:09.94 ID:JrjYigTBO
(,,゚Д゚)「――ふぅ。美味かった。ごっつぉさん」
( ∴)
わあ。喋った。
ミセ*゚ー゚)リ「おそまつさまー」
(,,゚Д゚)「……見ねえ顔だな。ガキが言ってた、『ゼア』って奴か?」
( ∴)「うん。ゼアフォー」
(,,゚Д゚)「ほーん」
渋い声だなあ。
何歳なんだろう。
ギコは耳の後ろを足で掻いて、欠伸を一つ漏らす。
(,,゚Д゚)「……あーあ。そんじゃな、奥さん」
ミセ*゚ー゚)リ「またね」
開けっ放しの窓辺に飛び乗り、ギコは振り返った。
……気になる。
( ∴)「……ねえ」
(,,゚Д゚)「あん?」
- 400 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 13:33:12.25 ID:JrjYigTBO
( ∴)「どこに行くの?」
(,,゚Д゚)「その辺散歩するだけだ」
( ∴)「ついてっていい?」
(,,゚Д゚)「……ああ?」
( ∴)「君と遊びたい」
(,,-Д゚)「……」
(,,゚Д゚)「ま、いいか」
乗れ、とギコが背を向ける。
ミセリが僕を抱え、ギコの背中に乗せてくれた。
(,,゚Д゚)「しっかり掴めよ」
( ∴)「うん」
ミセ*゚ー゚)リ「気を付けてねー」
- 401 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 13:48:48.13 ID:JrjYigTBO
たん、と、ギコは窓辺を蹴った。
(;∴)「――ちょぉおおおおおっ!?」
迫る地面。浮遊感。
それもほんの一瞬で、ギコは難無く着地する。
ギコの、舌打ちする音がした。
(,,゚Д゚)「うるせえよ」
(;∴)「ご、ごめん……びっくりしたから」
(,,゚Д゚)「ったく」
あからさまに溜め息をついて、ゆっくり歩み始めた。
*****
ギコは僕が乗っているのを考慮してか、人気のない所を進んでいった。
ふわふわな背中が心地良い。
- 404 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 14:01:03.24 ID:JrjYigTBO
<_プー゚)フ「おー、ギコ」
(,,゚Д゚)「よう」
( ∴)「あ」
<_プー゚)フ「あ」
すれ違いざま、ギコに挨拶をしていったもの。
真ん丸で半透明なおばけ。エクストだ。
<_プー゚)フ「ゼアフォーだ」
( ∴)「こんにちは、エクスト」
つい数日前から、エクストは家に来なくなった。
ジョルジュを狙っていた「あいつ」が、ようやく諦めたのだそうだ。
<_プー゚)フ「ギコと友達なのか?」
(,,゚Д゚)「さっき会ったばっかだ」
<_プー゚)フ「ふーん、友達でもないのに背中に乗せるなんて珍しい」
(,,゚Д゚)「美味い飯食って機嫌良いからな」
- 406 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 14:11:33.89 ID:JrjYigTBO
エクストとギコは知り合いなのか。
結構親しげだ。
<_プー゚)フ「そんじゃーなー」
(,,゚Д゚)「ああ」
いくらか雑談をして、一区切りついたところでエクストはどこかへ行ってしまった。
( ∴)「ギコ、エクストと仲良いの?」
(,,゚Д゚)「まあな。――この辺の奴らとは大体知り合いだ」
( ∴)「……ギコって何者なの……」
(,,゚Д゚)「たかだか50年生きてるだけの、普通の猫さ」
( ∴)
まじか。
- 408 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 14:24:27.66 ID:JrjYigTBO
( ∴)「……50年って普通なの?」
(,,゚Д゚)「さあなあ。――多分、人間共は、俺みたいなのを猫又って呼ぶんだろうさ」
( ∴)「ふうん……」
じゃあ、ギコは、ジョルジュや先生より年上なんだ。
みんなより小さいのに、何か、凄い。
( ∴)「ギコって、昔からしぃに飼われてたの?」
(,,゚Д゚)「いや、飼われたのは最近だ。2、3年ぐらい前だな」
狭い道を進む。
いや、道とも呼べないような、何と言うか草むらみたいな所だ。
――しばらく行くと、草むらが途切れた。
古めかしい、赤い何かが現れる。
- 410 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 14:31:17.46 ID:JrjYigTBO
( ∴)「何、これ」
(,,゚Д゚)「鳥居っつーやつだ」
( ∴)「とりい?」
トリイとかいうものの下を潜る。
すると、大きな建物が正面にあった。
( ∴)「あれは? お家?」
(,,゚Д゚)「神社。神様が居る」
( ∴)「神様……フォックスみたいなの?」
(,,゚Д゚)「何だ、フォックス知ってんのか」
( ∴)「うん」
(,,゚Д゚)「そういや最近会ってねえな……泣き虫なのは治ったのかね」
( ∴)「すぐ泣くよ」
(,,゚Д゚)「はは、そうかい」
- 413 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 14:46:06.63 ID:JrjYigTBO
平らな石で出来た道。
ギコはその道の端っこを歩く。
そして、適当な場所で足を止めると、その場に丸くなった。
(,,-Д-)「どっこいせっと」
おじさんくさっ。
(,,-Д-)「あー……きもちいい」
( ∴)「そうなの?」
(,,-Д-)「神社でするひなたぼっこは最高だよ」
( ∴)「ふうん……」
僕からすれば、ギコの上はもふもふで暖かいし、それだけで気持ちいいから
神社がどうとか、あまり関係ない。
たしん。
ギコの尻尾が一度、地面を軽く叩いた。
- 416 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 14:54:48.71 ID:JrjYigTBO
とくとく、ギコの心臓の音が聞こえる。
あったかいなあ。
静かだなあ。
(,,-Д-)
( ∴)
眠たくなる。
寝ちゃおうかな。
でも、昼寝したら、夜に眠れなくなるかも。
どうしようかな――
(,,-Д-)「……俺はよ」
沈みかけた意識が、ギコの声によって浮上する。
( ∴)「ん?」
(,,-Д-)「生まれたときは野良だった」
( ∴)「……うん」
- 418 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 15:06:20.17 ID:JrjYigTBO
(,,-Д-)「大人になっても野良だった。
野良のまま生きて、歳くって、よぼよぼになって」
(,,-Д-)「ある日、ぱったり倒れたまんま、起き上がれなくなった。
死んじまうんだろうなって思った」
(,,-Д-)「――そこに、女のガキが来た」
(,,-Д-)「俺を抱えて、家に連れ帰った」
(,,-Д-)「ろくに動けねえ俺に、なんとかして飯食わせようとしてた。
あんまりにも必死だったからよ、一口だけ食ってやったよ」
( ∴)「……それから、どうしたの?」
(,,-Д-)「その一口のせいかなあ。一日だけ、持ちこたえた」
(,,-Д-)「でも、やっぱり、次の日には意識が無くなっちまったんだ」
( ∴)「死んじゃったの?」
だけど、ギコはこうして生きてるし、心臓も動いてる。
何があったんだろう。
- 421 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 15:22:13.15 ID:JrjYigTBO
(,,-Д-)「目を覚ましたら、この神社の前に居た。
体が、若いときみたいに軽くて、頭も冴えきってて。
何が何だか分かんなかったよ」
(,,-Д-)「しばらく町をぶらついてたら、知り合いの猫に会った。
話を聞きゃあ、どうにも、俺の意識が無くなってから
数ヶ月経っていたらしい」
(,,-Д-)「ますます混乱した。
知り合いも、俺が若々しくなってんのに気付いて驚いてたな」
( ∴)「それは――生き延びたってこと?」
(,,-Д-)「俺も分かんねえや。
何ヶ月も気絶して、奇跡的に生きていられたのか、
一度死んでから生き返ったのか――。
分かるのは、現在進行形で生きてるってことだけさ」
(,,-Д-)「……そんで、俺を拾ったガキのことを思い出した。
礼だの何だのがしたかったわけじゃねえ。
ただ気になったから、見に行ったんだ」
( ∴)「見付かったの?」
(,,-Д-)「うんにゃ。……引っ越したらしかった。
俺が目を覚ます、ほんの数日前に」
- 424 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 15:39:17.83 ID:JrjYigTBO
(,,-Д-)「何なんだろうなあ。寂しいんだか知らないが、変な気持ちになった」
(,,-Д-)「それから何年も町をぶらぶらしてる内に
俺を拾おうとする人間が数人いたが
……あのガキのことを考えると、どうにも、関わる気になれなかった」
(,,-Д-)「まあ、一匹きりだろうと、何十年も生きれるもんだ。
言葉も覚えた。物事を知った。
何でも出来るようになった」
(,,-Д-)「ただ、あのガキに会うことだけは、どうしても出来なかった」
(,,-Д-)「――そして、一昨年だったか、それより前だったか。
しぃってガキに会った」
昔俺を拾ったガキに、どこか似てるんだ」
(,,-Д-)「この俺が……自分から、拾ってくれるよう頼んだ。
一緒にいたかったのさ」
- 425 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 15:51:51.79 ID:JrjYigTBO
(,,-Д-)「そしたら――なあ、信じられるか、お前。
あのガキに会えたんだよ」
( ∴)「あの、って……」
(,,-Д-)「昔俺を拾ったガキさ。歳はとってたが……。
しぃの母親だったんだ。
何でも、最近になって、またここに戻ってきたんだと」
(,,-Д-)「そいつは俺を見て、『昔見た猫に似てる』って背中を撫でた。
……いてもたってもいられなくてよ、『それは俺だ』って言っちまった」
(,,-Д-)「当然みんな驚いてたが、それでも、みんな俺を受け入れてくれた」
( ∴)「凄いね。何十年越しに再会したんだ」
(,,-Д-)「ああ。こんなこともあるんだぜ」
- 430 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 16:09:13.09 ID:JrjYigTBO
(,,-Д-)「ゼアフォー。縁って、大事なもんだ。
一度でも会って仲良くなれたなら、その相手との記憶を大切に持ってろ。
たとえ何年も何十年も会えなくても、毎日一緒にいても、
相手への想いは忘れずにいろ」
(,,-Д-)「縁があって、また会えたとき。
そのときに抱えている想いが強ければ強いほど、
想いは、また大きくなる」
( ∴)「……ごめん、よく分かんない……」
(,,゚Д-)「――要するに、家族でも友達でも、好きな奴らへの気持ちは
大切にしろってこった」
( ∴)「うーん……」
(,,-Д-)「分かんなきゃ分かんないでいいさ」
( ∴)「難しいけど……分かったこともあるよ。
ギコは、しぃのお母さんが好きなんだね」
(,,゚Д゚)
(,,゚Д゚)「ばっ」
(*;,゚Д゚)「ばっ……!」
- 434 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 16:22:06.26 ID:JrjYigTBO
( ∴)「? そういうことじゃないの?」
だって、ギコの言うことがギコ自身の体験から学んだことなら、
ギコの「好きな奴」は、しぃのお母さんってことじゃないか。
(,,//Д//)「ばばばっばっばばっ」
(;∴)「ぎ、ギコ?」
がばりと身を起こし、ギコは足に力を入れた。
尻尾がぶんぶん振られ、心臓も激しく鳴っている。
そして――
(;∴)「ぅうっ、うっわぁあああっ!?」
ギコは、全力かと思える速度で走り出した。
(,,//Д//)「ばばばバーカ!! そんなんじゃねえんだよ!
ただ、貸し、貸し作っちまった気がして、なんか気持ち悪いから
探してただけだ!! わざわざ会いたかったわけじゃねえ!!」
(;∴)「ギコ、ギコ! 落ち着いて! ねえってば!」
速い。速い。がくがく揺れる。
僕、飛んでいっちゃいそうで恐いよ、ギコ。
- 438 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 16:37:24.40 ID:JrjYigTBO
(,,//Д//)「別に、別に、あんな人間なんか何とも思ってねえよ!!
日中は父親もしぃも出掛けるから家は俺とあいつの2人きりになるけど、
それが何だか気恥ずかしいからって毎日外に出歩いてるわけじゃねえ!!
あいつと一緒に飯食うのが恥ずかしいから他所で貰ってるわけじゃねえええ!」
(;∴)「何の話!? どうしちゃったの、ギ――」
あ。
(;∴)「――!」
必死に掴んでいたギコの背中。
そこから、僕の手が、離れた。
- 439 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 16:49:20.33 ID:JrjYigTBO
(;∴)「いったあ……」
地面に打ち付けた体が痛む。
立ち上がり、辺りを見渡した。
道路かな。近くには家も何も無いし、人もいない。
歩道の隣には山か林があるみたいだ。
……どこだろう、ここ。
ギコは見当たらない。僕が飛ばされたのには、気付かなかったか。
( ∴)「……んん」
とりあえず、歩こう。
頑張れば帰れるかもしれない。
*****
- 441 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 17:01:51.81 ID:JrjYigTBO
(;∴)「うええ……」
だいぶ歩いた。へとへとだ。
周囲の風景はすっかり変わっている。
薄暗くて、何だか狭苦しい道。
……僕、帰れるかな。
ツン達に、会えるかな。
(;∴)「ううう」
ナァゴ
(;∴)「……ん?」
鳴き声?
俯かせていた顔を上げて――ちょっと、驚いた。
( ・∀・) ニァア
ミ,,゚Д゚彡 ニャオ
猫が2匹、僕の前に佇んでいたのだ。
ギコと同じか、それよりちょっと大きいくらいの猫。
何を言ってるのかは分からないけど、嫌な予感はする。
- 442 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 17:12:39.27 ID:JrjYigTBO
じりじり、2匹は近付いてくる。
(;∴)「……こ、来ないで……」
( ・∀・) クルルルル
(;∴)「っ、あ!」
片方の猫が、前足で僕を叩いた。
その拍子に倒れてしまった僕を、足で押さえつける。
ミ,,゚Д゚彡 ミアッ
もう片方の猫が爪を立ててきた。
頬っぺたが僅かに裂ける。
痛い、痛いよ。
(;メ∴)「やめて! やめてってば!」
叫んでも、2匹には通じない。
また、爪が僕に傷を付けた。今度は体だ。
(;メ∴)「放して――」
僕がもがけばもがくほど、彼らは楽しみを覚えるらしい。
叩いて、引っ掻いて、踏みつける。
- 445 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 17:23:51.93 ID:JrjYigTBO
痛い。
恐い。
辛い。
苦しい。
嫌だ、こんなの。
(;メメ∴)
声も出なくなる。
息をすると、傷口が痛む。
( ・∀・) ナァアン
猫が。
大きく口を開いて、僕の頭に牙を突き刺そうと、顔を下ろした。
- 447 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 17:38:18.50 ID:JrjYigTBO
「ゴォオオオルァアアアアアッ!!!!!」
(;・∀・)そ ミ;,゚Д゚彡 そ ブニャァアッ!?
(;メメ∴)「……!?」
怒鳴り声。
何か、ぶつかる音。
僕の上から重みが消える。
(#,゚Д゚)「調子に乗んじゃねえぞ糞ガキ共ォオオオオオ!!」
あ。
ギコだ。
<_フ;゚ー゚)フ「ゼアフォー!!」
エクストも。
何でここに?
- 451 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 17:53:10.09 ID:JrjYigTBO
<_フ;゚ー゚)フ「大丈夫か!?」
エクストが僕を抱える。
柔らかい。優しい感触。
(#,゚Д゚)「てめぇらァアアア! 何でもかんでも甚振って遊ぶなって前に言ったろうが!
――やっぱり、やられる側になんなきゃ分かんねぇか? ああ!?」
毛を逆立たせて喚くギコ。
大きな口から覗く牙が、逞しい前足の先の爪が、
今以上に凶悪な形に肥大し、歪んでいく。
――そこまで見届けたところで、僕は気を失った。
*****
- 454 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 18:09:11.93 ID:JrjYigTBO
(□∴)
ξ;;)ξ
目を覚ますと、ツンの顔が視界一杯に広がった。
ξ;;)ξ「ゼア!!」
(□∴)「ツン……」
傷口に、ガーゼや絆創膏が貼られている。
誰が手当てしたのかな。
あ、ツンが居るってことは、ここは家か。
それならミセリがやってくれたんだろう。
ξ;;)ξ「ゼアぁ!」
ツンは僕を抱え、わんわん泣いた。
あんまり力を入れられると、痛いんだけど。
- 472 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 20:06:51.74 ID:JrjYigTBO
(□∴)「ツン、痛い痛い」
ξ;;)ξ「ひぐう」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、起きた?」
ぱたぱた、ミセリがやって来る。
ツンから解放されてようやく気付いたけれど、ここ、ツンの部屋だ。
<_プー゚)フ「ゼアフォー」
(,,゚Д゚) ゴルァー
ミセリの後について、エクストとギコも現れた。
ギコは、普通の猫の姿をしている。
牙も爪も、大きくなんかなっていない。
(,,゚Д゚)「……すまんな、俺がお前を落としちまったから」
(□∴)「平気」
まだ、ずきずきするけど。
- 475 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 20:20:58.06 ID:JrjYigTBO
――なんでも、騒ぎながら走っているギコを見付けたエクストが、
ギコを落ち着かせたとか。
僕がいないことをエクストが指摘して、ギコはようやく気付いたらしい。
そして2人で僕を探し回り、2匹の猫に虐められているところを発見した、と。
ξ;;)ξ「ゼア、死なない? 大丈夫?」
(□∴)「死なないよ」
ツンは泣きじゃくりながら僕の頭を撫でる。
こんなに心配してくれるなんて、嬉しい。
(□∴)「……2人共、ありがとう」
<_プー゚)フ「おーう」
お礼を言うと、エクストはくるんと回転して返事をしたけれど、ギコは欠伸をしていた。
それを見てエクストが苦笑いを漏らす。
(□∴)「ギコ、ありがとう」
改めてお礼を言うと、
- 476 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 20:23:51.09 ID:JrjYigTBO
(,,゚Д゚)「……おー」
お喋りな猫は小さな声で返して、照れ臭そうにそっぽを向いた。
*****
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