167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 07:52:14.74 ID:oCXz0maLO










          ふたりめ:真ん丸なおばけ











172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 08:02:56.47 ID:oCXz0maLO

  _
( ;∀;)「んにゃあああああああああぎゃあああああああああああ!!!!!」

 夜。
 泣き叫びながら、ジョルジュが家に帰ってきた。

ミセ*゚ー゚)リ「どうしたの、お父さん。
      また夜道で真っ黒くてひょろ長いのに追い掛けられたの?」

 怖いよ。ちょくちょくそんなのに追い掛けられてるのかよ。
  _
( ;∀;)「今日は違う! 何か! 丸かった!」

ミセ*゚ー゚)リ「可愛いじゃない」
  _
( ;∀;)「可愛いわけないだろ! 絶対人魂系だって!
     取り殺される系だって!!」

ミセ*゚ー゚)リ「人魂ってそんなに怖いかしら」


174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 08:11:41.71 ID:oCXz0maLO

( ∴)「人魂って、丸いの?」

ミセ*゚ー゚)リ「丸く描かれるのが多いかな」

( ∴)「どれぐらいの大きさ?」

ミセ*゚ー゚)リ「ものによるんじゃない?」

( ∴)「たとえば、人間の顔ぐらいの大きさ?」

ミセ*゚ー゚)リ「それぐらいのもいるかもね」

( ∴)σ「じゃあ、あんな感じ?」


( ∴)σ     <_プー゚)フ

  _
( ;∀;)

ミセ*゚ー゚)リ

                     _
( ;∀;)「ついてきたぁああああああ!!!!!!」


ミセ*゚ー゚)リ「お父さん眉毛が!」


179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 08:24:53.64 ID:oCXz0maLO

<_プー゚)フ「人魂じゃないよ、おばけだよ」

 丸っこくて半透明なソイツは、ジョルジュの言葉を否定した。
  _
( ;∀;)「あばばばばばばばばばばば」

ミセ*゚ー゚)リ「人魂とおばけは違うのかしら」

<_プー゚)フ「こういう形のおばけなんだもん」

 うーん、ジョルジュが怖がるほどのものじゃないと思うんだけど。
 何か気さくな感じだし、見た目もぬいぐるみみたい。

( ∴)「君、誰?」

<_プー゚)フ「エクスト!」

 エクスト。
 元気なおばけだなあ。



180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 08:32:38.25 ID:oCXz0maLO

ミセ*゚ー゚)リ「まあまあ、とりあえずお上がりになって。
      ツンがお腹空かせて待ってるから」

<_プー゚)フ「わーい!」
  _
( ;∀;)「上がっちゃったよ! 俺今日は外食する!!」

ミセ*゚ー゚)リ「すき焼きなのに」
  _
( ;∀;)「……ぐぐぅう……っ」


*****


ξ゚听)ξ「エクスト、すき焼き食べる?」

<_プー゚)フ「食えないからお供えして!」

 ツンは始めこそ驚いていたものの、すっかりエクストに慣れてしまったようだ。
 ミセリの子なだけある。

 エクストの前に肉や野菜を乗せたお皿を差し出すと、
 何やら満足そうな顔で「ありがとう」と言っていた。
 あんなので食べたことになるのか。

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 08:40:04.59 ID:oCXz0maLO

(*∴)) モショモショ

 僕のご飯は、すき焼きのお肉に包まれたおにぎり。

 ミセリが「肉巻きおにぎり」と命名して、
 ジョルジュに「これは違うだろ」とつっこまれていた。
 よく分からないが、美味しいものは美味しいから気にしない。



ξ゚听)ξ「エクスト、何でお父さんについてきたの?」

<_プー゚)フ「あ、そうだ、それだ!」

 ツンが何気なく問うと、エクストは、はっとした顔でジョルジュを見た。
 もそもそ体を動かし始める。
  _
(;゚∀゚)「え、な、何……」

190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 08:55:32.71 ID:oCXz0maLO

<_プー゚)フ「これ!」

 そして、手……のような部分をジョルジュの顔に向けた。
 そこに握られている、携帯電話。

<_プー゚)フ「落としてたぞ」
  _
(;゚∀゚)「え――……あ、俺の携帯」

ミセ*゚ー゚)リ「落とし物を渡したかったの?」

<_プー゚)フ「うん。でも声かけたら逃げられた」

ミセ*゚ー゚)リ「エクストちゃん、いい子じゃない。
      お父さんったら失礼なんだから」

ξ゚听)ξ「お父さん失礼!」
  _
(;゚∀゚)「ご、ごめん……ありがとう」

<_プー゚)フ「おう。じゃ、用事済んだから帰る!」

ミセ*゚ー゚)リ「あ」

 エクストはくるりと後ろを向くと、窓に突進していき――

 そのまま窓を擦り抜けて、どこかへ行ってしまった。


195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 10:33:50.50 ID:oCXz0maLO



 ――翌日の夜も。

 エクストは、ジョルジュについてきた。


<_プー゚)フ「鞄落としてた」
  _
(;゚∀゚)「おわっ! 本当だ!」

ξ;゚听)ξ「どうやったら落とすの、そんなの」


 ジョルジュに鞄を渡して、エクストは帰る。





196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 10:36:37.66 ID:oCXz0maLO



 ――その翌日も。


<_プー゚)フ「スーツの上着落としてた」
  _
(;゚∀゚)「道理で寒いと思った」

ミセ*゚ー゚)リ「もう、どうせまた部長さんとお酒飲んだんでしょう」
  _
(;゚∀゚)「いやあ、素面なんだけど……おかしいなあ」


 ジョルジュに上着を渡して、エクストは帰る。





197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 10:39:29.16 ID:oCXz0maLO



 翌日も。
 その翌日も。

 毎日、毎日。

 ジョルジュは何かを落として、エクストが届けに来る。

 毎日、毎日。

 普通は落としそうにないものも。

 毎日、毎日。

 それを渡して、エクストは帰る。



201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 10:46:36.73 ID:oCXz0maLO

 初日は、ジョルジュがエクストに怯えて逃げ出したから
 エクストは家までやって来た。

 でも、2日目から先は、ジョルジュが帰宅してからエクストが現れる。

 もうジョルジュはエクストに慣れているんだから、
 拾ったときに声をかけて、渡せばいいのに。

 黙って、ずっと家までついてきてるのかな。
 何か、変じゃないかな。

  _
( ゚∀゚)「おー、ありがとう」


 ジョルジュは、もう疑問なんか持っていないのか、
 お礼を言って、落とし物を受け取っている。

 やっぱり、変だよ。


<_プー゚)フ「じゃあなー」


 変だ。


214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 12:19:39.37 ID:oCXz0maLO


( ∴)「ジョルジュ……」
  _
( ゚∀゚)「んー?」

( ∴)「エクスト、どう思う?」
  _
( ゚∀゚)「いい奴じゃねえかなあ」

( ∴)「……」

 どうしよう。
 どうしたらいいんだろう――





*****





ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ、ゼアちゃんついていってみてよ」

 ミセリに相談すると、にこにこ笑いながら、そう言われた。

216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 12:32:35.51 ID:oCXz0maLO

( ∴)「ついてくって?」

ミセ*゚ー゚)リ「明日、お父さんと一緒に会社に行ってみてよ」

(;∴)「……ジョルジュに?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!」

 簡単に言うなあ。



*****


  _
(;゚∀゚)「ええ……ついてくんの?」

( ∴)「お仕事中は、鞄から出ないから」
  _
(;゚∀゚)「……本当、頼むぜ、そこは」

ξ゚听)ξ「私もゼア学校に連れていきたいのに」

ミセ*゚ー゚)リ「ツンは、また明日ね」

 翌朝。
 なんとかジョルジュに頼んで、連れていってもらうことになった。
 まさかお許しが出るとは思わなかった。
219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 12:47:43.94 ID:oCXz0maLO
  _
( ゚∀゚)「きついだろうけど我慢してくれよ」

( ∴)「うん」

 鞄に入る。
 辺りが暗くなった。

 ジョルジュが動く度、かたかた、鞄の中が揺れる。
 ペンケースが頭にぶつかった。

(;∴)(痛い……)

 ジョルジュの職場は、結構遠いらしい。
 ……到着するまで、無事に済むかな。





*****


221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 13:05:05.99 ID:oCXz0maLO



 ――時間を飛ばして。

 ジョルジュが仕事を終わらせた辺りまで進めよう。


  _
( ゚∀゚)「ゼア、大丈夫か?」

(;∴)) コクン

 会社を出たところで、ジョルジュは鞄を開けて僕に声をかけた。
 ちょっと苦しいけど、平気。
  _
( ゚∀゚)「しっかし、何で会社になんかついてきたがったんだか」

( ∴)「……ちょっと、ジョルジュがどんなことしてるか気になっただけ」
  _
( ゚∀゚)「ふうん……さ、後は帰るだけだ。もうちょっとの辛抱な」

 鞄が閉まる。
 真っ暗。

 少し歩いて、電車で移動。
 駅で降りたら、家に歩いて向かうだけ。



222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 13:20:15.22 ID:oCXz0maLO


 がたがた。電車に揺られ、
 てくてく。家路を歩く。

 ……あれー。
 もう、普通に家に着いちゃうんじゃないか?

( ∴)「……」

 今日は、エクスト、来ないのかな。

 鞄を内側から押しやると、ぱちん、と留め具が外れる音がした。
 こっそり顔を出す。
 夜だし、人の気配もしないから、多分大丈夫だろう。

( ∴)

 とっぷり日も暮れて、辺りは真っ暗だ。
 明かりは街灯ぐらい。

( ∴)

 ジョルジュが歩き、街灯が遠ざかる。



 その明かりの下を、何かが通り過ぎた。

224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 13:35:06.90 ID:oCXz0maLO

(;∴)「!?」

 ちらりと見えただけ。
 でも、その一瞬でも、あの黒いのが街頭よりも背が高いのは理解出来た。

(;∴)「……っ!」

 僕が固まっていると、急に強い明かりが降り注いだ。
 ジョルジュが、街灯の下を通ったらしい。

 少しするとまた周りが暗くなって、街灯が遠ざかり始める。

 目をこらした。
 街灯は、ただ道を照らしている。

(;∴)

 さっきのは錯覚だ。そうであってほしい――

(;∴)「――あ……!」

 また、何かが通った。

 真っ黒で、背が高いと言うより、ひょろりと細長い何か。

 ざわざわ、嫌な予感がする。
 あれは、多分、触れてはいけないものだ。

231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 15:28:29.67 ID:oCXz0maLO

(;∴)「ジョルジュ!」

 叫ぶ。
 でも、何の反応も返ってこない。

 鞄から這い出して、ジョルジュの手にしがみついた。

(;∴)「ジョルジュってば――」

  _
(  ∀ )


(;∴)「――……!?」

 僕の声なんか何も聞こえちゃいないみたいに、
 ジョルジュは前を向いたまま、ひたすら歩き続けている。

(;∴)「ねえ、ジョルジュ!!」

 止まらない。こっちを見てくれない。
 どうして?



232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 15:35:21.01 ID:oCXz0maLO

 逃げて、ジョルジュ。
 もしもあれに捕まったら、どうなっちゃうか。

 ……そういえば、あいつは、今どの辺にいるんだろう。


(;∴)


 確認するために振り返ろうとしたけれど、
 僕は、動けなくなってしまった。





 ひゅうひゅう、と。


 か細い息が、すぐ真後ろから、聞こえたから。



234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 15:46:15.40 ID:oCXz0maLO


 どうしよう、どうしよう。
 ああ。怖い。
 どうしよう――

  _
(  ∀ )

(;∴)「じょる……」



      「――何でもいいから投げろ! 早く!」



 ――そのとき。

 聞き覚えのある声が、隣から聞こえた。



239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 16:37:54.26 ID:oCXz0maLO

(;∴)「え――」


<_プд゚)フ「鞄に入ってるもんでいいから、何か向こうに投げんだよ!」


 真ん丸な半透明。
 エクスト。


 鞄?

 言われるがままに、ジョルジュの手から離れ、鞄に戻った。
 視界に真っ黒いものが映ったけど、気にしない。
 気にしたら怖じけづいてしまいそうだから。

(;∴)(投げる、投げる――)

 がむしゃらに、鞄の中から適当に物を引っ掴む。

 掴み取った、それ――ペンケースを、目一杯、
 ジョルジュからすれば後方、僕からすれば前方へぶん投げた。



241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 16:49:34.61 ID:oCXz0maLO

 視界の隅で、黒い何かが蠢いた。
 のそのそ、移動しているようだ。

 ジョルジュの歩みに伴って、距離が開いていく。

<_プー゚)フ「よくやった!」

(;∴)「え、エクスト……」

 僕らと何かの間に浮かび、エクストが満面の笑みを浮かべた。
 状況が把握出来ない。

<_プー゚)フ「説明は後な!」

 エクストに話を聞きたいのに、ジョルジュは止まってくれない。

 どういうことなんだよ、もう。







*****




242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 16:59:39.90 ID:oCXz0maLO



  _
( ゚∀゚)「んお。ぼーっとしてた」

 家の前に着いたとき、ようやくジョルジュは我に返った。
 独り言を呟きながらドアを開け、中に入る。

ミセ*゚ー゚)リ「おかえり」
  _
( ゚∀゚)「ただいまー」

ξ゚听)ξ「ゼア!」

 玄関でミセリとツンが出迎えた。
 ツンは、鞄から僕を引っ張り出して、頭を撫でてくれる。

ξ゚听)ξ「おかえり、ゼア」

( ∴)「ただいま」
  _
( ゚∀゚)「ツンちゃん、パパにもおかえりって言おっか」

      スリスリ
「んー」ξ*--)ξ)∴)
  _
( ゚∀゚)「ほう……無視ですか……」



243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 17:07:54.64 ID:oCXz0maLO

<_プー゚)フ「俺参上!」
  _
(;゚∀゚)「おわっ、エクスト! 何だ、俺また落とし物したか?」

 開けっ放しだったドアからエクストが飛び込んできた。
 その手には、ペンケース。

<_プー゚)フ「ほらよっ」

ξ゚听)ξ「お父さん落としすぎじゃない?」
  _
( ゚∀゚)「我ながら驚いている」

( ∴)「……」

 エクストと、目が合う。

<_プー゚)フ「……ちょっと、こいつ借りるぞ」

ξ゚听)ξ「ちゃんと返してね」

<_プー゚)フ「勿論」

 ツンの手からエクストの上へと移動する。
 あ、エクストやわらかい。クッションみたいで気持ちいい。


245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 17:21:55.25 ID:oCXz0maLO



<_プー゚)フ「――あいつ、何か色々引き付けやすいみたいだ」

 屋根の上。
 エクストは、ちょっと面倒臭そうな声で言った。

( ∴)「あいつって、ジョルジュ?」

<_プー゚)フ「うん。
       おばけに好かれやすいっぽい」

( ∴)「へえ……」

 怖がりなのに、それは不憫な。

<_プー゚)フ「特に、あの黒いやつに大層気に入られちまったらしくてなー。
       何か放っとくのも忍びないから、助けてやろうと思ったんだ」

( ∴)「それが、あの落とし物?」

<_プー゚)フ「おう」


248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 17:35:32.24 ID:oCXz0maLO

<_プー゚)フ「あいつが普段使ってるものを囮にするんだ」

( ∴)「――じゃあ、今までの落とし物って」

<_プー゚)フ「俺が勝手に奪って囮にしたやつ」

 なるほど。

<_プー゚)フ「最初はな、『何か不必要なものでも放り投げろ』って、
       本人に直接アドバイスしたんだけど」

( ∴)「うん」

<_プー゚)フ「あいつ、俺見た瞬間に泣き始めた……」

( ∴)「怖がりなんだよ……」

<_プー゚)フ「だから、ポケットから携帯電話取って、俺がぶん投げた」

( ∴)「ふんふん」

<_プー゚)フ「で、次の日からは妙なパニック起こさせないように、
       ちょっと意識いじって、適当にあいつの私物使わせてもらった」

 ジョルジュが僕の呼び掛けに気付いてくれなかったのは、
 どうやらエクストの仕業によるものだったようだ。
 凄いなエクスト。


250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 17:58:04.59 ID:oCXz0maLO

( ∴)「つまり、ここ最近、ずっとエクストが守ってあげてたんだね」

<_プー゚)フ「そんな立派なもんじゃないけど」

 笑って、エクストはそっぽを向いた。
 照れてるのかもしれない。

<_プー゚)フ「……多分、あと何回か繰り返したら、黒いやつも諦めると思うよ」

( ∴)「そっか」

 それなら、良かった。

( ∴)「ありがとう」

<_プー゚)フ「何でお前が礼言うんだよ」

( ∴)「……何でだろ」

 何となく出てきた言葉に、自分でも疑問を覚える。
 でも、やっぱりお礼を言いたい。
 ジョルジュを守ってくれていたのが、僕にとっても嬉しいことのように思えるから。


252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 18:05:06.92 ID:oCXz0maLO

( ∴)「……そうだ」

 ふと、言わなきゃいけないことがあるのに気が付いた。

( ∴)「エクスト」

<_プー゚)フ「ん?」

( ∴)「……ごめんね」

<_プー゚)フ「おお、何だ何だ?」

( ∴)「僕、もしかしたらエクストは悪い人なんじゃないかと思ってたんだ」

<_プー゚)フ「失礼な奴だなー」

( ∴)「だから、ごめん」

 本当に失礼だった。
 寧ろ、エクストはとてもいい人だ。

 ぺこり、頭を下げる。

254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 18:08:38.07 ID:oCXz0maLO

<_プー゚)フ「ぜーんぜん、怒ってないよ」


 真ん丸なおばけは、とっても優しい。










*****




戻る

inserted by FC2 system