110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 21:37:27.15 ID:l1FSQ+Od0

 ( ・∀メ)七把一絡げのようです*(‘‘)*


最終話




ξ;゚听)ξ はぁ…はぁ…はぁっ!

モララーのアパートまで、駅を使えば二十分ほどだが、
公共交通機関を使うのは危ないと考え、走っていくことにした。

それでも一時間以上はゆうにかかる。


たどり着いたからといって、ジョルジュに会える保証は全く無い。
しかし警察に頼れない今、助けを求められる人物は彼しかいなかった。

弟者はもういない。


ξ )ξ …うっ

泣きたくなるのをこらえ、なおも駆ける。

どういう結末を迎えるにしても、今は走らなくてはと思った。
116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 21:39:56.76 ID:l1FSQ+Od0





( ゚∋゚) おい



<_プー゚)フ え?

( "ゞ) ん?

携帯ゲーム機に夢中になっていたエクストは、
突然クックルに声をかけられたことで、慌てて電源を切って聞き返した。

<_プー゚)フ 何です?

( ゚∋゚) 部屋の中はどうなっている

<_プー゚)フ あー…はいはい


集音マイクのヘッドホンを被り、中の物音を探る。
微かな物音が聞こえるだけで、何をやっているかはわからない。

<_プー゚)フ なんも聞こえないっすよー

( ゚∋゚) 声もか?
120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 21:42:42.36 ID:l1FSQ+Od0

<_プー゚)フ 声もっす

( ゚∋゚) ………


( "ゞ) あ…!出てきたっぽい

( `ー´) マジ?弁当届けるの遅かったかな

<_プー゚)フ マジかよ。まだ買ってきてねーし

( ゚∋゚) デルタ

( "ゞ) あ、はい

( ゚∋゚) お前、行け


クックルはアパートから出てきたモララーをじっと見ていた。
ニット帽を目深に被り、下ろした前髪で顔がよく見えない。

( "ゞ) あー、はい。わかりました

車から出ると、デルタはモララーの元へ向かった。
126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 21:46:16.52 ID:l1FSQ+Od0

( "ゞ)(なんだっつーんだよ、たく)

お気に入りのアニメ声優のラジオを聞いていた所で、
お使いなど行きたくなかった。


( ・∀ ) ん…

( "ゞ) あー、モララーさ…あー、まあ誰かわかないけどさ

( ・∀ ) どう…したの?

( "ゞ) わかってますよね?今は危ないんで。なるべく家にいてもらえます?
     そっちの方が面倒ないんで。ね?わかるっしょ?

( ・∀ ) 面倒?

( "ゞ) だからさー、狙われてるかもってことなんだよ

( ・∀ ) ああ…ヘリカルが襲われたから、次は私が…ってことね

( "ゞ) そーそー。えっと、キュー…?キュートさんだっけ?
     今はさ…あれ?ていうかその目どうしたのおおべおほべべおべおおぼぼぼぼぼぼ?
133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 21:50:56.38 ID:l1FSQ+Od0

( ・∀メ) 目?自分でえぐったんだけど

( "ゞ) ぼぼぼべぼぼ…?ぼべ?ぼ……?


言葉が喋られなくなり、のど元に異様な痒みを感じる。

デルタは手で首をかきむしった。
生暖かい感触がする。
指を引っかけられる部分があった。
首輪なんてしてたっけ?なんて考えながら、デルタは意識を失った。

後ろ側に倒れ、階段を転がり落ちていく。
その衝撃で切り裂かれた首から漏れるおびただしい量の血が、
アパートの階段そこかしこに飛び散っていった。




<_プー゚)フ あいつ、何やってんだ?

暗がりの中で突然転んだように見えたデルタを見てエクストが呟く。

( ゚∋゚) エクスト。ネーノ

( `ー´) はい?
137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 21:54:44.22 ID:l1FSQ+Od0

( ゚∋゚) 三人がかりでやるぞ。殺す気でやれ

<_プー゚)フ はあ!?んなことしたらショボンさんに…

( ゚∋゚) デルタが殺された

( ;`ー´) …っ…え?

( ゚∋゚) おそらくペニサス。刃物を持っているのが一瞬だけ見えた
     人間業では無いスピードだ。油断するな


とても冗談を言っている風には見えず、またこのような場で冗談を
言うようなタイプではないことをエクストたちは重々知っていた。

またどのような状況でも冷静なクックルが焦っていることもわかった。
エクストたちは先ほどまでとは打って変わって、引き締まった表情になる。

殺し屋の顔になった。


( ゚∋゚) 俺が前に出る。二人は横から

<_プ−゚)フ はい

( `ー´) はい!
139 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 21:57:44.19 ID:l1FSQ+Od0


( ・∀メ) …!



( ゚∋゚)

<_プー゚)フ

( `ー´)


アパートの前でクックルたちがペニサスを待ち構える。

三人ともデルタとは違い、既に戦闘態勢になっているのがペニサスにもわかった。

( ・∀メ) 自由になるって…凄く怖いことなんだって…モララーが言ってた

( ゚∋゚) 行くぞ…!

<_プー゚)フ うす!

( ・∀メ) でも私の考えは違う。本当に怖いのは、自由を知らないこと…そう思わない?


三人はペニサスを中心にして取り囲んだ。
ペニサスは隠すことなく右手にナイフを構えている。
144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 22:00:51.30 ID:l1FSQ+Od0

( ・∀メ)


( ゚∋゚)

<_プー゚)フ

( `ー´) …!


最初に動いたのはネーノだった。

彼はペニサスの左手側におり、ナイフとは反対方向なので攻撃を仕掛けやすいと判断した。
またペニサスは左手をコートの左ポケットに入れている。


( ゚∋゚) 待て!

クックルの静止の声が聞こえたが、もうネーノは止まれなかった。
友人であるデルタを殺されたことで、怒りで頭に血が上っていたということもあった。


( `−´) あっ…

( ・∀メ)

( `−´) あ……あ〜〜〜〜〜〜〜
150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 22:06:28.21 ID:l1FSQ+Od0

走馬燈が見える。

( `−´) あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

胸に深々と刺さった包丁は、ペニサスの左手に続いている。
いつも家で使っている、よく磨がれた包丁だった。
磨いでいたのは、キュートだ。

(;;`−´) あ〜〜…あぁ……あ――――――――

事切れた瞬間は、何ともあっけなかった。



( ゚∋゚)(やはり武器は一つではなかった!)

<_#プー゚)フ てめえええええ!!!

( ゚∋゚) よせ!


猪突猛進に向かっていったエクストも、瞬く間に血を吹き出した。
一瞬だけ見えたのはナイフの刃が首の辺りを通過する瞬間だけである。



( ・∀メ)

( ゚∋゚) …なるほど。ショボンが恐れていたのは、やはり、こいつか
155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 22:10:50.14 ID:l1FSQ+Od0

瞬く間に仲間たちが殺されていった。
興味深かったのは、既に死んだ死体に何の気も抱いていないペニサスの表情だ。

シリアルを食べるように人を殺すのがシリアルキラーであれば、
空気を吸うように、心臓が鼓動するように、そんな当然なことのように人を殺してみせる
この者は何と言えばいいのだろう、クックルはそんなことを考えていた。


( ゚∋゚) 自分の命すら…省みない。いや、今すぐ無くなっても問題ないとさえ思っている
     だからこそ人の命を奪うことに対して一切の罪悪感を抱かない
     今まで多くの人殺しを見てきたが、お前みたいなのは初めてだ

( ・∀メ) ショボンはどこ?

( ゚∋゚) 言わん

( ・∀メ) そう…

( ゚∋゚) どうしてショボンを?

( ・∀メ) 殺そうかなって

( ゚∋゚) だろうな。何故?

( ・∀メ) 本能かな?

( ゚∋゚) なるほど。わからん
160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 22:14:50.38 ID:l1FSQ+Od0

ペニサスの武器は今一つになっている。
包丁はネーノの胸に刺さったままだ。

( ゚∋゚)(ナイフ以外の武器はないはずだ。
     あれにさえ注意すれば最悪相打ちには出来る)


二人はじりじりと間合いを詰め、機会を狙っていた。

クックルは精神を一点にまで張り詰めさせていたが、ペニサスはあくまで
散歩に行くような気持ちでのびのびと殺し合いをしていた。





(゚、゚;トソン あの〜…さっきから何をなさっているんですか?

( ・∀メ) え?

( ゚∋゚)(今だ!)

周りのことに対する注意を全て捨てていたため、不意にやってきたトソンに対し
反応しなかったクックルが先に攻撃を仕掛けた。

( ・∀メ) あ

(゚、゚;トソン キャー!何!?
167 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 22:18:23.71 ID:l1FSQ+Od0

クックルの前蹴りがペニサスの右手に辺り、ナイフが宙を舞う。
隙を逃すまいとすかさずタックルを入れ、マウントを取った。

( ・∀メ)

( ゚∋゚)(殺す!今殺す!こいつは危険だ!)

首を両手で締め上げる。
窒息ではなく、首の骨を折るつもりで力を入れた。


(゚、゚;トソン 誰か!誰か警察を!


 「ちょ、ちょっと!何してんのよ!」

(゚、゚;トソン え!?

( ゚∋゚) !?

トソンの声とも違う、さらに別の者の声が聞こえたが、そちらに構っている暇は無かった。
今殺さなければ自分がやられるとクックルは思った。



ξ;゚听)ξ モララー!ヘリカルちゃんを助けて!
170 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 22:23:32.24 ID:l1FSQ+Od0

( ・∀メ)

一瞬だけ時が止まったように感じた。

( ゚∋゚) …!?

( ・∀メ)

( ;゚∋゚)(う…おおおおお!?)


マウントしていた体勢からブリッジで体が浮いた。
体重150キロを越えるクックルを上に乗せたうえでの話だ。

首を絞めていた両手を掴まれる。
尋常でない握力で締め付けられ、腕がねじ切られそうになった。

( ;゚∋゚) ぐお…!

手が首から離され、体ごと投げ飛ばされる。
すぐに受け身を取り防御の態勢を取ろうとするが、寸での所で先に立ち上がっていた
相手の拳が顔面に届いた。
176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 22:26:37.66 ID:l1FSQ+Od0

鼻が潰れ、頭蓋骨を突き破り、脳まで拳が到達する感触を覚える。

( ; ∋ )(ぬかった………―――――――――クソ――――――――――――)

クックルが最期に思ったのは、どうせならポテチじゃなくて、
もっといいものを食べておけばよかった、ということだった。



(゚、゚;トソン はわわわわわわ…!


ξ;゚听)ξ モララー!いや…あなたは……?

( ・∀メ)

( ;・∀メ)) う…

ξ;゚听)ξ しっかり…!お願い!手を貸して!今ヘリカルちゃんが大事なら!

( ;・∀メ)) ヘリ…カル……

ξ;゚听)ξ 私はヘリカルちゃんの場所を知ってる!だから…お願い!


(  ∀メ) ……ふぅ

ξ;゚听)ξ ……?
184 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 22:32:03.43 ID:l1FSQ+Od0

( ・∀メ) 邪魔なのよ…おまえら全員。大人しく眠ってろ

ξ゚听)ξ あなた…誰?

( ・∀メ) ヘリカルの場所、知ってるのね。連れてってよ
       そこにショボンも来るんだろ?

ξ;゚听)ξ っ!


いつの間にか地面に落ちていたナイフを拾われ、
それが今ツンのあご先に突きつけられていた。

ξ;゚听)ξ ヘリカルを…救えるなら、教えるわ

( ・∀メ) あの子に元から興味ないのよね…どうでもいいの
      その場の気分?ふふふふ。今確実なのは、断ればあんたの耳を切るってこと
      次は鼻。次は舌。次は指。でも…面倒だから、断らないでよ
      時間もないんでしょう?

ξ゚听)ξ あんた…ペニサス!?

( ・∀メ) 早く、連れていってよ


最も恐ろしい人格だと言われていたペニサスが覚醒していたことで、
思惑通りにいく自信が無くなってきたツンは躊躇する。
189 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 22:37:32.65 ID:l1FSQ+Od0

ξ; )ξ(でも…こうなったら仕方ない…もしもとなったら、私が)

彼女のコートの内側に兄者から渡された拳銃がある。
使うまいと思っていたし、いざ銃撃戦になったとき常に銃を携帯している
兄者に適うとも思っていたなかったが、今は状況が異なる。

いざとなったらペニサスを囮にし、自分でヘリカルを救出するしかない。


出来ればヘリカルの兄であるモララーも連れて逃げたいが、
それはペニサス以外の人格に切り替わってからの話として…。


( ・∀メ) 色々と考えてるみたいだけど…大丈夫

ξ;゚听)ξ え…?

( ・∀メ) どうせみんな死ぬんだから


ショボンはおそらく取引場所のアパートにやってくる。

そのときどうすれば最良の結果となるか。


ξ; )ξ(あの子だけは助ける…私がさらったんだ。私がカタをつける)
192 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 22:39:49.39 ID:l1FSQ+Od0

ξ;゚听)ξ わかった…連れてく。でも約束して
       誰も殺さないって

( ・∀メ) 無理

ξ;゚听)ξ ぐ…わかったよ!勝手にしなさい!


彼女が明確に殺意を表しているのはおそらくショボンのみだと考える。
その場合、ショボンが死ねば兄者は狂気から目を覚ますだろうし、
人格も入れ替わるかも知れない。



ξ;゚听)ξ(そうならなかったら…その時はその時考える!)

出たとこ勝負が一番面白いんだぜ。

弟者がいつも言っていた言葉を思いだした。
197 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 22:44:56.00 ID:l1FSQ+Od0





 『―――で、十五分後だ。軽の車一台で来い。必ず一人だ。以上』


 ツー ツー ツー


(´・ω・`)

|(●),  、(●)、| 今動かせる奴らを周りにいくつか配置させます
連中が逃げ出せないようにして、取引のあと連中を一網打尽にしましょう

(´・ω・`) 軽はすぐに用意できるか?

|(●),  、(●)、| あ…私の車がラパンなので、それでいきましょう

(´・ω・`) ふん…似合わない車に乗ってるな

|(●),  、(●)、| す、すみません…


駐車場に向かっているとき、ショボンはずっとあることを考えていた。

今回のことが起こったのは誰のせいなのかと。
199 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 22:49:05.88 ID:l1FSQ+Od0


(´・ω・`)(デレが…原因か。それとも彼女を知りながら止めなかった私が原因か…)


デレと出会ってしまったことが原因か。
彼女に恋をしてしまったことが原因か。
息子よりも彼女を愛していたことが原因か。


(´・ω・`)(何にせよ…私のせいだ。私がモララーを狂わせ、ヘリカルを傷つけた)


|(●),  、(●)、| 車の運転はお願いします。私は他の者たちと周りで待機しています

(´・ω・`) 駄目だ。運転してくれ

|(●),  、(●)、| しかし…

(´・ω・`) 免許無いんだよ、僕

|(●),  、(●)、| は、はあ?


ダディは呑気なことを言っている場合ではないと思ったが、
ATでも運転できないレベルであればそれもそれでゆゆしき事態だ。
204 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 22:53:09.57 ID:l1FSQ+Od0

(´・ω・`) それと…人は呼ばなくていい。近くにいるのはお前だけで十分だ

|(●),  、(●)、| ですが…それだと逃げられる可能性があります

(´・ω・`) 誰も逃げないよ


駐車場につくと、高級車が一列に並んでいる中に、
不似合いなラパンがちょこんと鎮座しているのが見えた。


(´・ω・`) 逃げ続けた結果、来るところまで来てしまったんだから

|(●),  、(●)、| ……………………ショボンさん

(´・ω・`) 何だ

|(●),  、(●)、| 私は結構…あなたのことを尊敬しているのです
そりゃあちょっと性格に難ありとかボーナス安いとかありますけど…
出来れば失いたくない。死ぬつもりでしたら少しは部下のことを考えてもらいたい


全く人徳の無い人生を送っていると思っていたショボンは、
思わぬ不意打ちに自然な笑みがこぼれた。
206 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 22:58:02.84 ID:l1FSQ+Od0

(´・ω・`) 死ぬつもりはないさ。とにかく車を出してくれ

|(●),  、(●)、| しかし…一人で来いと

(´・ω・`) 問題ない。むしろ堂々と二人で来たほうが逆に怪しくないってもんだ

|(●),  、(●)、| そ、それは楽観視し過ぎでは…

(´・ω・`) いいんだ。いいから、出してくれ。頼む。時間が無い


部下に連絡を取ろうと思っていたダディは、携帯をしまい、
運転席に乗り込んだ。



(´・ω・`) 悪いな。他人の家庭の事情に付き合わしてしまって

|(●),  、(●)、| いえ…

(´・ω・`) それも今夜で、終わると思う


車が発進し、地下駐車場から外へ出るとき、月はもう斜め向こうの空で輝いていた。
都会とは思えないくらい、美しい空だった。
208 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 23:01:12.67 ID:l1FSQ+Od0




通話を終えると、携帯電話を部屋の隅に投げつけた。

本体と画面が壊れて切り離れ、それぞれ別の方向に飛んでいった。


( ´_ゝ`) あ……壊れちゃった。まあいいか。新しいの欲しかったし…


*(  )*

( ´_ゝ`) いつまで寝てんだよ

ぐったりとしたヘリカルの体に蹴りを入れる。
肉がへこむ感触と共に、小さなうめき声が漏れた。


( ´_ゝ`) あ…起きてたんだ

*(  )* ……

( ´_ゝ`) おはよう。もう夜だ

電気が通っていないので、天井から懐中電灯をぶら下げていた。

青く変色したヘリカルの体を白い光が照らす。
214 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 23:06:55.06 ID:l1FSQ+Od0

( ´_ゝ`) お前も災難だったな

*(  )*

( ´_ゝ`) やつの娘だったってだけで、こんなことされて


銃口でヘリカルの乳首をまさぐる。

手は少しずつ下に下がり、やがて下腹部の下に銃口が届いた。

( ´_ゝ`) 文字通り一発やっとくか?


陰毛に覆われた敏感な部分に銃をあてがった。
肉の溝にあわせてマズル部分で乱暴に擦る。

銃が動く度にヘリカルの小さな体が震えた。


( ´_ゝ`) デレが殺されたとき、お前は父親に何を言われた

*(  )* …………

( ´_ゝ`) 誰が彼女を殺したか、お前は知っているんだな

*(  )* ……………………
218 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 23:11:04.94 ID:l1FSQ+Od0


( ´_ゝ`) いつもそうだ。力が大きいやつに対して法律は無力だ
      俺たち市民は無力なんだ。平等がいいって訳じゃない
      どちらにしろ、努力が報われない世界じゃいけないってことだ
      正しいことをしている人間から殺されていく世界に何の価値がある


*(  )* あ……なた……は………た…だし……い………の?

( ´_ゝ`) ……あ?

*(  )* …あな……た…は……せ…いぎ……?



( ´_ゝ`) いいや、巨悪だろうな


かびたソファーに腰を下ろし、銃口についた液を袖でぬぐった。

( ´_ゝ`) もうすぐお前の父親が来る

*(  )* ……………

( ´_ゝ`) 力をはぎ取った、今のお前みたいな丸裸の状態でな
223 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 23:14:42.83 ID:l1FSQ+Od0


そのとき、ふと人の気配を感じ、兄者は外に注意を向けた。


( ´_ゝ`) …?

ショボンが来るには早すぎる。


銃を構え、そっと玄関に忍び寄り、物音を探る。
階段を上る音が聞こえた。


( ´_ゝ`) …………………………………………




足音は部屋の前で止まる。
間もなく四回のノックの音が聞こえた。

 「なっぱいちからげ。兄者さん、ツンです。開けて下さい」

( ´_ゝ`) 今まで何処に行っていた

扉に鍵をかけたまま、扉越しで質問をかける。
227 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 23:18:11.92 ID:l1FSQ+Od0

覗き穴が無いため、ツンの様子を目で確かめることは出来なかった。


 「ちょっと…買い物に。あの、実は生理で…」


( ´_ゝ`) そうか。わかった。


兄者は無表情のまま扉に銃を向け、迷うことなく発砲した。








ξ;゚听)ξ !?


発砲音と共に扉に穴が空いたことで、自分に向かって銃が撃たれたのだとすぐに理解した。

立て続けに三発の発砲音が聞こえる。
無我夢中で部屋の前から飛び退き、廊下に寝そべって頭を抱えた。

幸い弾はツンには当たらず、怪我は無かった。

ξ;゚听)ξ(ど…どうして!?)
234 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 23:23:05.57 ID:l1FSQ+Od0

薄い金属の扉に発砲音の数だけ穴が空いている。

位置的にも、確実にツンを狙って撃っていることがわかる。


扉が開き、兄者が姿を見せた。


ξ;゚听)ξ 私です!ツンです!

( ´_ゝ`) 知ってる


廊下に倒れているツンに向かって、間髪入れずに銃を発砲する。

足を狙って撃たれた弾は、正確にツンのふくらはぎを貫いた。

ξ; )ξ ―――――っ!!!あああああ――――――!あ――――!

すぐに灼熱の熱さと痛みを覚える。
全身に油汗が浮き上がり、血液の流れを如実に感じ取れるほど神経が敏感になった。


( ´_ゝ`) ほら、やっぱりいた


( ・∀メ) あらら、ばれてた?
239 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 23:28:24.74 ID:l1FSQ+Od0

( ´_ゝ`) そこの階段、すげえ響くから歩くときは気をつけた方がいい

( ・∀メ) へーそうなんだ。知らなかった

( ´_ゝ`) ばいばい


銃がペニサスに向けられたのと同時に銃口が火を噴いた。
弾が腹に当たると体がくの字に曲がり、廊下の鉄柵に体をぶつけながら倒れていく。

(  ∀メ) あちゃ……失敗したあ


( ´_ゝ`) ツン、それと合い言葉間違えてる。ひとからげだ

ξ;凵G)ξ ああ――――!!いっ、痛い……っ!!痛い―――!!!

( ´_ゝ`) 七人の人格が一緒になっているから七把一絡げ…ちゃんと説明したろ?

ξ;凵G)ξ ぐ…あああ―――――!!血が!ふっ…あぁ――――!!!

( ´_ゝ`) 中に入れよ。もうすぐショボンが来る。結末を楽しもうぜ


泣き叫ぶツンの髪をわしづかみにし、ずるずると部屋の中へ引きずっていった。

ツンを引きずっていった所に血の跡が続いていく。
241 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 23:32:31.54 ID:l1FSQ+Od0

ξ;凵G)ξ あああああああ――――!!足…足が――――っ!!

( ´_ゝ`) あんまりうるさいと、殺しちゃうぞー


部屋の中に引きずり込まれていくツンに、もはや考えるほどの思考力はなかった。
ただ痛みに泣き叫ぶことだけしかできない。





|(●),  、(●)、| 銃の音だ…!

(´・ω・`) ああ。僕にも聞こえたなあ

|(●),  、(●)、| やはり今からでも人を集めましょう!

(´・ω・`) それはいいさ

|(●),  、(●)、| だったらせめて、ショボンさんも銃を

(´・ω・`) それもいらない

|(●),  、(●)、| ……………………………わかりました

アパート前のラパンから降りた所で、ショボンはダディと別れて
指定された棟へと向かった。
250 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 23:39:00.30 ID:l1FSQ+Od0


(´・ω・`)(最後になるかもしれない夜…月がきれいでよかった)


指定されたアパートは建ち並ぶアパート群の一番奥の棟だった。

ぼろぼろの螺旋階段を上がりながら、彼は今までの人生を振り返っていた。

ただ階段を上りきるだけの時間で振り返ることができる程度の人生だった
というのがわかっただけで、空しくなるだけだった。


(´・ω・`) ……!


(  ∀メ)

(;´・ω・) モララー!

階にたどり着き、指定の部屋番号を探しているとき、思わぬものを見せられパニックとなる。

血だらけのモララーが力なく横たわっている。
何が起こったのか全くわからない。

感情のままに彼を抱き寄せ、心臓に耳を当てた。
258 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 23:42:58.23 ID:l1FSQ+Od0

(;´・ω・) ………………………

(;´ ω ) なんてことを…


彼をそっと廊下に戻し、後ろを振り返ったとき、視界のほとんどを黒い穴が覆った。


( ´_ゝ`) おにさん、みっけ

(;´・ω・)

銃口を突きつけられているのだとわかっても、
モララーのことで頭がいっぱいになっていた。

( ´_ゝ`) 部屋に入りなよ。あんたはゲストなんだから。みんな待ってるよ

(;´・ω・) 私を殺して済むのなら今やってくれ…

( ´_ゝ`) 済まないよ…そんなんじゃ。そりゃあ最終的には殺すよ
      でも…駄目だ。死ぬ理由をちゃんと理解してからじゃないとさ

(;´・ω・) ヘリカルだけは助けてくれ…

( ´_ゝ`) あんた次第だな。個人的にはあの子を殺してからお前を殺したい
      あの子を殺したときのお前の反応を見たいんだ

(;´・ω・) 頼む…頼みます…ヘリカルだけは……
260 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 23:45:00.14 ID:l1FSQ+Od0

( ´_ゝ`) いいから入れよ

(;´・ω・) …………………


愚直に従う他なかった。


ヘリカルがまだ生きているというのが最後の望みだった。




(;´・ω・) あ…!

*(  )*

(;´・ω・) ヘリカル!


椅子に縛り付けられ、明らかに拷問を付けた痕のある娘を前に、
感情を抑えられるはずが無かった。

( ´_ゝ`) 動くな


兄者の静止も耳に入らない。
ショボンはヘリカルに駆け寄っていた。
262 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 23:47:26.26 ID:l1FSQ+Od0

(;´・ω・) ぐっ!

( ´_ゝ`) だーから動くなって



ふくらはぎを弾丸が貫通し、派手に床に転ぶ。



(;´・ω・) !


ξ;凵G)ξ ふっ……うっ……うっ……――――!


部屋の隅で血だらけになって震えているツンと目が合った。


(;´・ω・) ……何だ、私に、どうして欲しいというんだ

( ´_ゝ`) 訊きたいことがあるんだ

(;´・ω・) 答える。何でも答える。だからヘリカルを…

( ´_ゝ`) 最初の質問だ。俺の顔に見覚えが無いか?

(´・ω・`) え……?
265 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 23:49:59.89 ID:l1FSQ+Od0

( ´_ゝ`)


(;´・ω・) き、君は……兄者。警察だ。デレが殺された事件で…

( ´_ゝ`) 違う

(;´・ω・) ………?

( ´_ゝ`) もっと……ずっとずっと前だ

(;´・ω・) 馬鹿な!君と出会ったのはあれが最初のはず……


(;´゚ω゚) ぐぅ―――――!


撃たれていない方のふくらはぎを撃たれ、激痛に床を転げ回る。


( ´_ゝ`) 覚えていないんだな。これだからお偉いさんは困る

(;´・ω・) 何の…何のことだ!……くぅ………!
270 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 23:54:15.76 ID:l1FSQ+Od0

( ´_ゝ`) あのとき俺と弟者は高校生で、彼女は小学生だった

(;´ ω ) ふぅっ…!くっ……ふぅ……!


( ´_ゝ`) あれ以来、俺たちはお互い違う道を選びながらも、
      一つの目的について行動することを選んだ
      覚えていないなら、次はヘリカルを撃とうか


(;´ ω ) 待ってくれ……!


ヘリカルに銃口が向けられると、血みどろになりながらショボンは抵抗した。


( ´_ゝ`) 法律で裁けない野郎を、俺たちの手で裁くと決めた

(;´・ω・) ……………………………………妹者…確か、妹者という名前の……



兄者の動きがぴたりと止まった。

荒い呼吸をしながら、ショボンはじっと兄者の目を見つめている。
279 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/04(日) 23:58:26.45 ID:l1FSQ+Od0


( ´_ゝ`) ……ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜……せいかーーーい!



(;´・ω・)

( ´_ゝ`) 正解者には…弾丸をプレゼント!

(;´゚ω゚) ――――――ッッ!!!がぁあああ――――――――!!!


同じ箇所をもう一度撃たれ、血が床に飛び散る。
既に両足の感覚がほとんど無くなっていた。



( ´_ゝ`) その通り!あの日お前がひき殺した俺の妹だ。忘れるなよ

(#´_ゝ`) 忘れてんじゃねえぞ!俺は二十四時間片時だって忘れていなかった!

(;´・ω・)

(#´_ゝ`) ずっとずっとずっとずっとずっとずっと忘れていなかった!
       お前は法律で裁いてやるって決めていたんだ!
       だがそれも…もう終わりだ!!誰も裁けないなら俺が裁いてやる!!!

(;´ ω ) くっ…………
287 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 00:03:58.16 ID:NRRfbHxV0

( ´_ゝ`) 痛みで喋られなくなったか?

(;´ ω ) あの日は…酷い雨だった。視界が無くなるほどの…

( ´_ゝ`) 言い訳か。遺言にならないように気をつけろよ


(;´ ω ) 急いでいた…大事な会議があった。会議は何よりも大事だと思っていた
      横から飛び出して来た女の子をひいてしまったとき…焦った
      僕には息子も娘もいたんだ…家庭を壊したくなかった…………

( ´_ゝ`) 俺にも弟と妹が“いた”ぜ


(;´・ω・) ………提案したのは、彼女だったか


( ´_ゝ`) ……あ?

(;´・ω・) いや…責任逃れではない…ただ、思いだしただけだ
      あのとき気がついておくべきだった
      それから僕は人の道を踏み外し……ここまで来た。自業自得だな

( ´_ゝ`) 彼女って……誰だ


(;´・ω・) デレだ。あのとき彼女は…僕の愛人だった
297 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 00:09:24.06 ID:NRRfbHxV0

( ´_ゝ`) デレ………殺されたお前の後妻か。あいつを殺したのはモララーだろ

(;´・ω・) いや違う

( ´_ゝ`) …じゃあ、一体


(;´・ω・) 僕だ


兄者は初めて動揺の顔を見せた。

今までモララーが殺したとばかり思っていた。
しかし、嘘をつく理由もない。


( ;´_ゝ`) …何故!

(´・ω・`) ……………

( ;´_ゝ`) ……あの女は、モララーに何をした。モララーに何が起こった?
      あの女は何者だ?どうしてお前はあの女を殺した?


(´・ω・`) とても…魅力的な女性だったよ


血が流れすぎて、体が冷たくなっていくのを感じた。
305 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 00:17:56.43 ID:NRRfbHxV0

(´・ω・`) そりゃあ…顔が綺麗とか、性格がいいとか…色々と好きになる要素はあった
      でも…違う。彼女の魅力は底の見えない悪魔的な何か………
      僕はとてもそそられたんだ。彼女の一挙一動が好きでたまらなくなった


( ´_ゝ`) なら何故…殺した


(´・ω・`) あれはね…あの女は…悪魔…悪魔だった……

( ;´_ゝ`) ……はぁ?

(´・ω・`) 彼女は言ったんだ………みんなが幸せになれればいいな…って
      僕は彼女を信じていた……日に日にモララーの傷が増えて…
      痩せていって……それを嬉しそうに語る彼女を見て、どういう訳か…幸せだった

( ;´_ゝ`) ……何だ、おまえら……それ。おかしいぜ…
      お前、それって実の子供が虐待されてたってことだろ…?
      どうしてそれが…幸せになるんだ………?



険しかったショボンの顔が、好々爺のように穏やかなそれに変わっていく。

昔を懐かしんで楽しんでいる風にも見えた。
309 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 00:24:40.72 ID:NRRfbHxV0

(´・ω・`) 彼女は僕の前妻を…モララーたちの実の母親を殺してる……

( ;´_ゝ`) ……っ!?………何だ、それ……?

(´・ω・`) 言ったんだ…彼女が…こうすればみんな一緒に生活できる……
      それが…最良の選択…………そう言ったんだ……

( ;´_ゝ`) 全く…理解できん!何だ…その女……

(´・ω・`) 彼女がモララーに対して何をしたか……僕は具体的には知らない……
      …でも、彼女は他人の苦痛に対してオーガズムを覚える性質を持っていた………
      彼女なりのセックスを……楽しんでいたのかもしれない
      今となっては……誰も…わからない………


(´・ω・`) 僕は……悪魔に恋をしてしまった


( ;´_ゝ`) …狂ってる

(´・ω・`) 妻の遺骨を食べながら……微笑む彼女を見て……
      殺さなきゃって思った…だから…締めた……
      このままだと…………いつかヘリカルたちも殺されると…思って……

( ;´_ゝ`) そんな女が…本当にいたっていうのか!?作り話も大概にしろよ!!


(´・ω・`) 兄者くん。人はね……誰もが心に悪魔を飼っているんだ。僕も君も、例外なく………
317 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 00:29:11.91 ID:NRRfbHxV0


( ;´_ゝ`) 黙れ!


(´・ω・`) 誰もが一枚岩ではない…いくつもの欲求を抱え込みながら生きてる
      それが溢れてしまったとき……人は狂気にかられる。ただ、それだけ――――


( ;゚_ゝ゚) ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!



ショボンに向けた銃を何度も撃った。
何度も何度も。

体に穴が空き、そこからの返り血を浴びようと、何度も、何度も。

感じているものは恐怖。

ただし何に対してなのかはわからない。
ともすればそれは、自分の中にある――――――――――――。


( ;゚_ゝ゚) 何が…悪魔だ!殺人鬼め!

弾がつき、空になった銃の引き金をなおを引く。
懐に手を入れ、予備の弾をリロードし、またショボンに向けた。
323 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 00:33:05.58 ID:NRRfbHxV0

( ;゚_ゝ゚) !


ショボンは既に事切れているが、ヘリカルはまだ生きている。


( ;゚_ゝ゚) お前にも…悪魔の血が流れてるってのか!


銃口をショボンからヘリカルに向け直し、引き金に力を入れようとした。


( ;゚_ゝ゚) ぐっ……!

胸にとてつもない衝撃を覚える。

視界が大きく歪み床が目の前に迫ってきた。



ξ;凵G)ξ はぁ――――――!はぁ――――――――!



回る視界の中で、泣きながらこちらに銃を向けているツンと目が合う。
意識が朦朧となり、深い闇の中に体ごと吸い込まれていく感覚を覚える。
332 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 00:37:00.68 ID:NRRfbHxV0


( ;゚_ゝ゚) か―――――はぁ―――っ……―――――――


ツンに向かって銃を向けようとするも、途中で腕がぼとりと床に落ちる。


ξ;凵G)ξ ヘリカル……ちゃん……!


血が流れ出る足を引きずりながら、四つん這いでヘリカルに近づく。

震える手で彼女の自由を奪っている縄を解く。


*(;  )*

ξ;凵G)ξ だ……だい…じょぶ……さあ……おうちに……かえ……ろ?

*(;‘‘)* ……………


憔悴しきっているヘリカルで、歩ける状態ではなかったが、
ツンと共に這いつくばって玄関を目指す。

発砲音が聞こえていれば、もしかしたら警察が来るかもしれない。

とにかく生きてさえいればまだ望みがある。
336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 00:41:10.94 ID:NRRfbHxV0

玄関の取っ手に手を伸ばし、力を振り絞って廊下に這い出る。




ξ; )ξ あっ――――――――――

*(;‘‘)* ………………え?


突然ツンが床に伏せた。
先ほどまで必死になっていた彼女が、人形のように動きを止めて固まっている。


よく見ると、背中の心臓の位置に穴が空いていた。

そこからコートに赤い血が急速ににじみ始め、
床に当たっている胸からは血溜まりの輪が広がっていった。


( ;゚_ゝ゚) 何処に……行く………?


*(;‘‘)* あ………あ…………っ


暗い部屋の中に光る瞳が二つ見える。
よろよろとゾンビのようにヘリカルへ向かって来ていた。
347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 00:44:56.39 ID:NRRfbHxV0

( ;゚_ゝ゚) 誰も……逃がさない……!


*(;‘‘)* うう……ううぅうぅ………!


ツンをゆすっても反応しない。

彼女を乗り越えて、廊下の先へ進もうとした。
そこには真新しい血溜まりがあり、四つん這いでその上を越えてさらに奥へ進もうとする。


( ;゚_ゝ゚) 悪魔……悪魔め………!


兄者はすぐ後ろにまで迫っていた。

照準がゆっくりとヘリカルに向かって合わせられる。

全てがスロウに見えた。



*(‘‘)* おにい……ちゃん………………


353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 00:47:50.06 ID:NRRfbHxV0


( ;゚_ゝ゚) おごっ…?



兄者の体がぴくんと跳ねた。



( ;゚_ゝ゚)



壊れた人形のような動きで後ろを振り返る。


扉の影に立っていた人物を見つけると、兄者は即座に引き金を引いた。


それから自分の背中にナイフが突き立てられていることを感じ、


もう一度その人物に向かって引き金を引く。

もう一度。

そして…………もう一度引き金を引く前に、兄者は絶命した。
361 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 00:50:31.45 ID:NRRfbHxV0









*(‘‘)*              (・∀メ;;;;)







完全に静止した世界だった。
音も感覚も全て置き去りにし、二人だけがこの世界に立っていた。



(;;;;・∀メ)



その者はヘリカルに近寄ると、彼女の傍に膝をつき、頬に向かってそっと手を伸ばした。
365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 00:53:13.34 ID:NRRfbHxV0



暖かく、大きな手だった。



*(‘‘)* あなたは………誰?


(;;;;・∀メ)


*(‘‘)*




二人は数十秒の間見つめ合っていた。

会話など無意味だった。


その後、その者は大量の血を流しながら、ヘリカルの前で息を引き取った。
最後の最期まで、一言も喋らなかった。


*(‘‘)* ………ありがとう
371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 00:55:25.22 ID:NRRfbHxV0




*(  )* 本当に……ありが……………




体力の尽きたヘリカルは、その者に折り重なるようにして廊下に倒れた。



 「ショボンさん!大丈夫ですか!ショボンさん!」



階段を上ってくる足音と、男の声が聞こえた。

それが気を失う前の、最後の感覚だった。






379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 00:58:23.73 ID:NRRfbHxV0




   三ヶ月後






 ―――――デミタス総合病院



川 ゚ -゚) お久しぶりです

(´・_ゝ・`) やあ。三ヶ月ぶりか

川 ゚ -゚) ご無沙汰しております

(´・_ゝ・`) そっちの病院はどうだい?

川 ゚ -゚) こことあまり変わりありませんよ

(´・_ゝ・`) まあ、そうだろうね
387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 01:03:31.31 ID:NRRfbHxV0

川 ゚ -゚) それにしても、聞きましたよ。ヘリカルさんのこと


モララーたちのことの顛末を聞かされたのは、
彼女が他の病院に移ってからであった。


(´・_ゝ・`) ちょうど事件が起こった頃に、君が転勤になったからね
      でも私だってあとから色々と人づてで聞いたことばかりなんだ

川 ゚ -゚) やっぱりショボンさんたちのこと、ニュースにはならなかったですね

(´・_ゝ・`) 新しく会社の社長になった…ダディだったか?彼の仕業らしい
      これも興味深くてね。ショボンが密かに書いていた遺書に
      社長就任のことが書かれていて、そこに何故か彼の名前が…

川 ゚ -゚) ああ、知っています。それとヘリカルさんの養父にもなっているんですよね

(´・_ゝ・`) 登録上ね。他に何か、聞きたいことでもあるか?

川 ゚ -゚) 私が聞きたいのは、ヘリカルさんのその後だけです

(´・_ゝ・`) まあ…そうだろうね
391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 01:06:25.92 ID:NRRfbHxV0

川 ゚ -゚) 聞きましたよ。ここの病院に入院したって

(´・_ゝ・`) つい先月の話だよ。隠していた訳じゃない


二人は歩きながら話を続けた。


川 ゚ -゚) 何処に向かっているんです?

(´・_ゝ・`) すぐにわかる

川 ゚ -゚) 彼女の怪我は大丈夫なんですか?

(´・_ゝ・`) 外傷は完治した。打撲傷が酷かったが、骨は折れていないし
      通常の入院ですぐに完治することが出来たよ。外傷について後遺症もない

川 ゚ -゚) では……お聞きしますが、どうしてここに?

(´・_ゝ・`) それはね――――――――
399 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 01:09:06.57 ID:NRRfbHxV0














爪'ー`)y‐ だからよー!お前引きが良すぎるんだよ!

(-@∀@) 違うね。あくまでもこれは僕の論理的な作戦が功を奏しているからであって…

o川;゚ー゚)o もぉー二人とも喧嘩しないの!

( ・∀・) おまえらはいっつもそれだな。大富豪くらい楽しくやろうよ
  _
( ゚∀゚) おい……次のやつ早く出せ

*(;‘‘)* ちょ…ちょちょちょっとたんま!これってイレブンバックは無いの?

('、`*川 ローカルルールはやめなさい。ていうか最初に言いなさい

( ´∀`) またヘリカルの負けモナー
403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 01:11:59.43 ID:NRRfbHxV0

*(‘‘)* もー嫌!こんなだっさいゲームやってらんないわ!

o川;゚ー゚)o えぇー!ヘリカルちゃんがやろうって言い出したのにー!

爪'ー`)y‐ 大体こんなせめぇー場所に閉じ込めやがったやつがわりぃんだよ!

( ;・∀・) ひ、人を非難しても仕方ないだろー

('、`*川 ねえ、誰か来たみたい

( ´∀`) デミタス先生モナー!
  _
( ゚∀゚) …検診の時間は……まだだが





*(‘‘)* やあ先生。こんな時間にどうしたんだい?

鉄格子のついたドアの窓からヘリカルが顔を覗かせる。
いつもの彼女のような快活な表情ではなく、とても理知的なものに見えた。


(´・_ゝ・`) いや、どんな調子かなと思って見に来ただけだよ


川;゚ -゚)(…これは……!)
411 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 01:14:46.81 ID:NRRfbHxV0

*(‘‘)* おや、そこにいるのはクー先生か。久しぶりだな

*(‘‘)* クー先生久しぶりモナー!

*(‘‘)* よお!なんで今日はいんだよ。てか煙草の差し入れまだか?

*(‘‘)* あんたねえ、少しは私の肌も気遣いなさいよ!


(´・_ゝ・`) ……ああ、煙草か。すまない。また、今度な

*(‘‘)* 頼むぜ先生よおー!

川;゚ -゚)



しばらく雑談したあと、デミタスたちは扉の前から離れた。

デミタスとヘリカルが話している最中、クーはずっと口を閉ざしたままだった。


(´・_ゝ・`) わかったかな

川;゚ -゚) ………人格が転移した

(´・_ゝ・`) 違う。あれは転移ではなく、正確には発症したんだ
417 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 01:18:24.29 ID:NRRfbHxV0

川;゚ -゚) どうして…!

(´・_ゝ・`) さあ?

川;゚ -゚) さあって…


(´・_ゝ・`) 人が人の狂気を理解できるなら、精神科医なんて流行らないんだよ


川;゚ -゚) ………モララーさんが死んだことで、全ての人格が死んだ
     その損失を受け止めきれず、自らが人格を作ることで補おうと…

(´・_ゝ・`) 考えても答えが出ない問題は忘れるのが賢さだ



立ち止まって必死に思考するクーを、あざ笑うかのようにデミタスは一人で歩いて行く。


(´・_ゝ・`) 狂気と正常の境目なんて存在しない


彼が捨て台詞のように残していった言葉が、クーの頭の中でぐるぐると回り始めた。

 

 

 

 

 

 

422 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/05(月) 01:19:20.44 ID:NRRfbHxV0
終わりです!遅い時間まで本当にお疲れ様でした
こんなに長くなるなんて思ってなかったです。今まで読んでくれてありがとうございました

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