4 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 18:45:31.78 ID:Av5v0hh30

【 第34会 『 終末への戦い(序) 』 】



(;´・ω・`)「……は?」


ようやく戻った俺を見て、ショボンは絶句したように固まり、珍しく呆然としていた。

更には、その背後に並ぶエッダの人たちも同様に、困惑が広がっていく。
それもそのはず、なにせ俺の背後には、これまたずらりと人の群れが続いているのだから。

「ざわ・・・ざわ・・・」

しかし、当初こそ迎え撃たれそうな雰囲気もあったものの、こちらに敵意が無い事を察したのか、
未だ混乱のどよめきは上がりながらも、やがて疑問符が広がり、静まっていく。

(;´・ω・`)「これは、どういう事なのドクオ」

(;'A`)「え、ええと…何から話したらいいのかな」

6 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 18:47:19.96 ID:Av5v0hh30

俺とショボンはまるで、お互いに人々を率いるように向かい合う、
と、そこで片手を挙げる見知った顔を見つけたのだろう、驚きに目を見開いた。
 _、_
( ,_ノ` )「おう、お前さんも無事だったかい」

(;´・ω・`)「確か…渋沢さんと、カービィさん…?」

<_フ;゚ー゚)フ「カービィじゃねえよ……」

ξ゚听)ξ「どっちにしても似たような物だ、それよりも」

<_フ;゚Д゚)フ「だから見た感じで物を言うな!!」

 _,
ξ゚听)ξ「…煩い、黙れ、どうでもいいから話を進めろ」

(;'A`)「あ、はい…」

<_フ#゚ー゚)フ(くそぉ…吸い込んだろか……)



7 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 18:50:24.09 ID:Av5v0hh30

とにかく、それで俺は事のあらましをショボンに伝えたんだ。
危ないところを助けられた事、どうやら味方になってくれるらしい事等を。

(´・ω・`)「……本気なんですか?」

ξ-听)ξ「そう言った筈だが?」

(´・ω・`)「理由は?」

ξ゚听)ξ「それを語るのは構わんが、この状況下で長々と話をする気には無れんな」

(´・ω・`)「じゃあ、はっきり言いますけど、信用できません」

ξ゚听)ξ「だろうな、理由知らずの裏切り者をあっさり信じるような奴のほうがどうかしている」


(;'A`)(……なんか今、一斉にこっち見られたような)


ξ--)ξ「だが、現実問題として、お前たちに取捨選択している余裕はあるのか?」

(´・ω・`)「………それを言うなら、そちらこそどうなんです、
      ここで受け入れられなければ、狙われるばかりか行く場さえも無いのでは?」


8 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 18:52:31.77 ID:Av5v0hh30

(;'A`)「ちょ、ショボン…!」

ξ゚ー゚)ξ「ほう? なんだそれは、頭でも下げろといいたいのか?」

(;'A`)「っ!」

腕が粟立つような、冷ややかな空気が流れた。
まさに一触即発な空気、俺はもう気が気じゃなかった。

が。

それでも、ショボンは表情を一切崩さなくて、しばしの沈黙があった。
緊張感が伝染したのか、どよめきも少し遠くなっていく。

と、そこで更にもう一呼吸の間を置いてから、ショボンは表情を和らげ、
どこか貼り付けたような笑みを浮かべると、

(´・ω・`)「とんでもないです、試すような真似してすみません、
      僕も信じますよ、貴方達の事を」

10 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 18:54:34.33 ID:Av5v0hh30

<_プд゚)フ(うわぁ……いやな子っ)
 _、_
( ,_ノ` )(心にもねぇ事を……)

(´・ω・`)「いえいえ本当ですよ、あ、でも一つだけ、
      こちらに合流するのは一週間ほど待ってもらえませんかね?
      流石にこれだけの数、色々と準備しないといけないので」

<_フ;゚ー゚)フ(え、なに、心読まれた?)

ξ゚听)ξ「長い、三日だ」

(´・ω・`)「じゃあ四日で、この先に村跡がありますので、そこを使ってください」

とか何とか、更に細かなやりとりを経てから一区切りすると、
ショボンは皆に退却を指示して背を向けた。

咄嗟に制止の声を叫ぶが、それに応える素振りも無く、
ショボンはそのまま群集にまみれて、やがて見えなくなった。


11 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 18:57:09.15 ID:Av5v0hh30

その隙間を覆うように居たエッダの人たちも、その後を追い、続々と背を向けていく。

思わずその場で立ち尽くしてしまった。


(; A )(……なんで、こんな)

なぜこんなに殺伐としてるのか、この時は理解できなかった。

なぜなら、あの人の手を取った時、俺、うれしかったんだ。
助けられた事実もあって、味方が増えたって安心感もあった。

そしてそれは同時に、ショボンも楽になるだろうって、そう思ったんだ。
だから、喜んで受け入れられて、それで…って、うまく行く事しか考えなかった。

なのにこれは、どうして?
自分が連れ立って来ただけに、居た堪れない思いだった。

15 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:00:19.07 ID:Av5v0hh30

位置的にも見送る側だった俺は、状況さえも忘れてその姿を見つめていた。
と、そんな時、誰かに背中を押され、ふと我に返った。
 _、_
( ,_ノ` )「ほれ、何してんだ?」

(;'A`)「あ、で、でも……」

おそるおそるツンさんの方を見る。
きっと、怒っているだろうと思ったから。

だけどそんな憂いとは裏腹に。
いざ見てみれば……。


<_プд゚)フ「うへ…じゃあ下手すりゃしばらく野宿ぅ?」

ξ゚听)ξ「我慢しろ」

「だなぁ…つーか、なんも準備とかしてないんだけど」

18 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:02:08.37 ID:Av5v0hh30

「飯どうするよ…」

「山登ればなんかあるんじゃね? 土地柄的に」

「そういえば、豊穣の地って言うくらいだもんな」

ξ゚ー゚)ξ「ふむ、私は釣りには自信があるぞ」


(;'A`)「…………」

ξ゚听)ξ「……ん? どうした、行かないのか?」

そんな視線に気付いた彼の表情は、
陰りどころか、むしろ晴れてすら見えて。

ついには、こんな事まで言い出した。

ξ--)ξ「あれは間違った事は言っていない、それに対して腹を立てるのは筋違いだ
     そもそも、ここで諸手を振れる方が普通ならよほど信用できんがな」


19 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:05:09.67 ID:Av5v0hh30

それに、と繋ぎ。

ξ゚听)ξ「それでも信じようとはしている分、充分すぎる程にお人好しの範疇だ、
     ……だから、誰を、誰の為に信じようとしているのかくらいは察してやれ、仲間ならな」


こうまで言われて、ようやく気付いた。

浮かれていた俺と違って、冷静に考えれば疑うのは当たり前の事だ、
なのに、それでもショボンは村跡、つまり拠点を貸すと言ったんだ。


それは、これ以上ない証だったんじゃないか。


そうした要因は何なのか、それはまるで疑おうとしなかった俺の為。

…自分の愚かさと、情けなさが浮き彫りになって恥ずかしささえも覚える。



20 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:07:42.95 ID:Av5v0hh30

そんな帰りの道ゆく最中、同時に思い起こされる出来事が胸を締め付けた。

(  ∀ )

俺がもっと、疑うことを知っていれば。
みんな…俺の、




……いけない、これ以上はだめだ。

気付けば俺は、唇をかみ締め嗚咽を堪えていた。
いくら一人だからと言って、女々しすぎる自分が嫌だ。

( A )「……でも」

俺、こんなに涙もろかったかなぁ……と。

いつしか滲んでいた目尻を拭いながら、そんな自分を不思議にも思った。


……。




21 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:10:16.98 ID:Av5v0hh30

川 ゚ー゚)「そうだな、私も馬鹿だと思うぞ」

その夜。

同じベッドに腰掛けながら、クーは笑顔でそう言った。
とうとう追い討ちまでかけられ、もうため息すら出ない。

川 ゚ -゚)「……人は、何かを信じる事のほうが難しいんだぞ、
     なのにお前はそれを弱さだと言う、それを馬鹿と言わずに何と言うんだ」

と、クーは少し目を伏せた。

そして、そのまま近寄り、頭をこちらの肩に乗せ、体を預けてきた。
だから顔は見えない、どんな表情をしているのかも分からない。

けど、声が少し、震えていて、
名を呼ぶとやがてぽつりと言った。


川  - )「私はね、ほんとはまだお前の事、信じられないよ」



22 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:11:48.24 ID:Av5v0hh30

川  - )「……怖いんだ、ほんとはお前を見送るたびに、足が震えてしょうがない、
     もしも……って、そう考えるのさえも嫌なのに、それでも怖くて仕方ないんだ、
     だから、どうしても信じられない、そこにどんな約束があっても姿がないと不安で……」


何も、言えなかった。
何も言えずに、俺は天井を見上げた。


川  - )「でも……それ以上に、大きな後悔が二つある」

川  - )「その一つは、そのせいで大切な人を失ったこと」

川  - )「もう一つは、そのせいで大好きな人を苦しめたこと」

( A )「……」

川  - )「だから私は……もう、誰も縛りたくないんだ、
     そんなのじゃなくて、本当の信頼でありたいって、そう願ってる」



23 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:13:40.80 ID:Av5v0hh30

だから、と言ってクーは身体を起こした。
そして顔を上げると、少しだけ悲しそうに微笑んで、

川 ゚ー゚)「私は、これだけの要素と覚悟で、ようやく信じようとしてるだけ、
     それが無ければ、私は弱いから…できないと思う」

誰かを信じると言う事は、それほどに特別なのだと。
とても哀しい強さをもって教えてくれた。

( A )「…………」

今すぐ顔を向けて、抱きしめたい衝動に駆られるけれど、
それはむしろ、俺自身の逃げでしかない気がして、

( A )「……」

26 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:16:05.95 ID:Av5v0hh30

どうしたらいいのか、どうするべきなのか、

分からなくて。
どうすることもできなくて。

ただ一言。

( A )「ありがとう……」

クーは小さく頷いた。

それだけで、精一杯だった。




…………。





27 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:18:55.27 ID:Av5v0hh30

早いもので、あれから3週間が過ぎた。


ツンさん達の合流も、多少のいざこざはあれど無事に済んで、
今ではすっかり打ち解け始めている。

<_プー゚)フ「つまりな、驚いた時に寿命が縮んだあ! とか言うのは、
       昔の人は心臓の鼓動する回数は決まってると思ってたからなんだよ」

「「なぁるほどなー」」

  _,
ξ;゚听)ξ「む、無駄な知識がまた一つ……」
  _、_
(;,_ノ` )「そう言う割にはしっかり聞いてんじゃねぇか大将」

それにツンさんが率いる彼らは皆、やはりというべきか、個々の錬度がある。
鍛錬だけを見てても動きや、そして纏う空気さえも違うのが分かった。

そういった中で行う物は、自然と集中力を高め、その士気さえも上げていく。

31 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:22:31.19 ID:Av5v0hh30

(´・ω・`)「……まあ、いい刺激になるんじゃないかな」

ショボンが言った。

実際、少なくとも群れとしての形は整ってきた感じがする。

そして、向こうの状況についても、色々なことを聞かされた。
中でも重要だったのは、現在、世界中の神具が集められている事。

そして、ルファウスと言う国の、その王の存在だ。
俺はその王の名を耳にして、思わず聞き返してしまった。

(;'A`)「え、それって、もしかして、こう、目のとこに傷がある…?」

ξ--)ξ「…傷か……確かにそう見えないことも無かったが……」

ξ゚听)ξ「いや、あれはむしろ……」

33 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:24:09.31 ID:Av5v0hh30

ツンさんは、片手を上げると額に指を当て、まぶたの上からゆっくりと下げていく。
そこに傷とも痣とも取れる大きな線があったと、そう言った。


王の名はロマネスクと言った。

それは、まだ日陽の国に居たころ、一度だけ対峙した事がある、
あの変な人間と同じ名前で、そして同じ特徴を持っていた。


思えば、確かに妙に偉そうだったけど……そういう事なのか?

その辺りについても尋ねてはみたが、
どうやら遠目に見かけた事しかないため、わからないそうだ。

なんとも間抜けな結論だが、他に思い当たる節もない、やはりあの変人がそうなのだろうか。
俺はそのことを皆に話して、様子見だったのだろうかと結論付けた。
35 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:26:35.23 ID:Av5v0hh30













付けた、けど。


思えば……この時に気付いておくべきだったのだろう。
さっきの説明と、俺の思っている人物像には、大きな違いがあった事に……。

36 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:28:30.87 ID:Av5v0hh30


…………。

……。

…。


そして、全ては始まった。


…。

……。

…………。




37 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:29:28.45 ID:Av5v0hh30



ただ、時間だけが流れていく。

とうとう最初に期限とした三ヶ月も間近となった。

ブーン達は未だに帰ってこない、どうなっているのかも、分からない。

だけど、それまでにも襲撃は幾度もあって、その度にたくさんの被害を受けた。

いかなる策を講じても、単純な数の前では劣勢が続いた。
それによって起きる被害は、人の生き死にだけじゃなくて単純な疲労も大きい。

当然、こうなってしまえば俺も前に出て戦うようになった。

だけど、この頃になると向こうも戦い方に戦略が生まれ始め、
管理者との戦いを避けるように戦線を敷くようになっていった。


それが、何を意味するか。

たとえば。


39 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:33:13.62 ID:Av5v0hh30





「   !!」

(; A )「………」

見知った人が、俺の目の前で死んだ。
あまりにあっけない最後だった。



また誰かは、俺を庇って死んでいった。

だけど、その誰かに駆け寄ることは許されなかった。





41 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:35:18.94 ID:Av5v0hh30





ξ#゚听)ξ「何をしている!!」


嘆く暇もなく、許容もなく、慈悲もなく。
涙を流すことさえ、視界を塞ぐ障害になってしまう。





何とかしようと思っていた。
何とかしてみせると思っていた。

何とかしようとしても、間に合わない事のほうが多かった。

どうして一瞬とは、あんなに短いのだろう。

あんな小さな火の玉なんか、容易くはじき返すことができるのに、
気付くのがたった一秒遅かっただけで、その誰かにはもう二度と会えない。



42 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:38:12.39 ID:Av5v0hh30






いつしか、悲しさなんかよりも、怒りが勝るようになった。
いつしか、誰かの死に際が、


             よくも、という叫びに変わった。









そして、それ以上に、誰かの断末魔を聞いた。


匂いに慣れて、空気に慣れて、代わりに空っぽになっていく。



43 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:40:10.53 ID:Av5v0hh30

焼き払われた大地の上で。
そんな自分に気付いて一人。
本当に久しぶりに涙がこぼれて。


戦うな、と言った。
とある友人の優しさが身にしみて、泣き笑う。




( A )「…は、ァハハ……ハッ」




そんな様を見ていた。

分かってはいた。



44 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:44:00.41 ID:Av5v0hh30

あの神具は人の命をあまりに軽くすると。
なにせ、ただ、振るうだけでいいのだ。

まるで魔法の杖のように、それだけで全てを済ませてしまう。
だから、そこに感触が伴わない。
ゆえに、何も残らない。

実感の無い人殺しに、伴うものは何も無い。

優しい人間なら、苦しむ姿に手をかけた事を苦しむ。
快楽殺人者とて、苦しむ姿に手をかける事で喜べる。

だが、それらが無ければ。
それが、どれほど心を空ろにさせるだろう。

あるいは、無心に続ける事を、狂気と呼ぶのだろうか。

回り続ける状況の中では、誰もそれを止められない。
それが他を圧倒し得る力である以上、誰も。

私とて、同じだった。



……。


47 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:47:31.69 ID:Av5v0hh30



そんな時、一つの報せが届く。
内容はかの文明都市DEN王への侵攻。

あの国は、珠を他国に提供する代わりとして、
不可侵の条約が結ばれている場所だ。

そんな場所を落とすような真似をすれば、どうなるか理解していないのか。
それとも、理解した上での行為なのか、それすらも分からぬまま。

私たちはそれの防衛と、反抗の為にあらゆる戦力を集わせ、エッダの地を出た。



……。



50 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:50:29.07 ID:Av5v0hh30



数の差から、逆に移動速度はこちらのが勝っていた。

そして、決戦の舞台はDEN王へと続く街道の彼方にある山岳地帯。

切り立った山々と、いくつもの崖が連なる中に存在する荒野となった。

ここを抜かれれば最後、あとは泥沼の戦いとなってしまう。
この戦いは、そういう戦いだった。

そんな決戦の火蓋が降りたのは、まだ日が頂点にも届かぬ頃。

ほぼ同時に、いくつもの雄叫びが響き。
大気が震え、踏み連ねられた足音が地を揺るがす。

ξ゚听)ξ「我に続け!!」

多重に重なる応えと共に、私もそんな戦場を駆けた。

52 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:52:36.09 ID:Av5v0hh30

だが、そんな煙の中を雷光が貫き、風が吹き飛ばし、あるいは火によって爆ぜる。

ふお、と犬のような唸り声を荒げ、目の前を大きな男が立ちはだかった。
獲物は槍のような物で、狙いは正面からの突き下ろし、

合わせて、地を蹴り。
その槍を足場に一度だけ大きく跳躍。身を捻り。

首を叩き折りながら斬り裂く。

着地すると空には黒い飛沫の雲が広がった。
その雲からはすぐに赤い雨が降り、周囲を汚していく。

その音は、屋根越しに聞く雨の音のように、どこか遠く響いた。

更に目前では、数人がこちらを待ち構えるように展開している。

54 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:54:47.61 ID:Av5v0hh30

神具の発動を念じる、大き目の刃の生成が始まり、
浮かび上がるまでに要した時間は一秒。

その間に、距離はほぼ無くなった。

発生させた数は3、正面には5人、それぞれ獲物を振り上げている。

この刃は、発生させればさせるほどこちらの強度を下げていく物だ。

時間と共にそれは回復していくが、それを待っている時間が無い。

こんな所であまり余分にはできない、ゆえに。

浮かばせた刃を空中で叩き割る。

甲高い音が、三つ連なった。
55 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:57:11.39 ID:Av5v0hh30

砕けた欠片はすぐに消え、既にさしたる殺傷力も存在しない。

だが、多少の切り傷を恐れ、反射的に相手は怯み、自ら目を閉じる。

その間に、二人の手首を切り落とし。
続けざまにもう一人、更にもう一人、とした途中で、

連続した中の緩みによって、飛ばし損ねた首に剣が残ってしまった。

ξ;-听)ξ「っ…」

まだ意識の残る男は暴れ、血が噴出し、飛沫が顔に飛ぶ、
更に骨に食い込んでいるらしく、引き抜けない。

そこへ、残ったもう一人が迫る。



不味い――――。


58 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 19:59:54.16 ID:Av5v0hh30

と、思うのもほんの一瞬であった。

 _、_
( ,_ノ` )「危ねえなあ!おい!!」

やや遅れて飛び込んできた渋沢が、その男の腕を切り落とした。
こちらに狙いを定めて振り上げた両手は、そのまま地面に落ちていく。

だが、男が斬られた事に気付いたのは、
振りおろした自分の腕に、肘から先が無いのを確認してからだった。

 _、_
( ,_ノ` )「先行すんならしっかりしろや! 大将!」

衣服を血に濡らしながら、渋沢が叫ぶ。

ξ゚听)ξ「判った、なら"しっかり"着いてこい!!」


目線だけで姿を確認すると、ツンは袖で顔に付着した液体を拭い、
引き抜いた水晶剣に着いた血肉を振るい落とし、再び地を蹴る。


60 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 20:02:19.23 ID:Av5v0hh30

辺りには隙間無く斬り合う者が存在し。

幾人もの、数え切れない群れの隙間を、まさに縫うように駆けていく。
もはや振り返る余裕はない、意識は常に前方、あるいは視野の広がる限りに。

そして彼等が通り過ぎた後には、敵も味方も関係なく、死体が連なっていく。


そこへ。

ξ;゚听)ξ「!?」

輝く光点が貫き、咄嗟に身を避けたツンの髪を千切りながら、光線となって通り過ぎた。
そして通り過ぎた光は、その先に居た人間の頭に当たり、骨の中身をぶち撒けた。

ξ;゚听)ξ(何だ今のは!?)

思わずその場で足を止め、飛んできた光の方向を見る。

ξ;゚听)ξ「お前…」

从'ー'从「あれれ〜はずれちゃったよ〜?」

ξ;゚听)ξ「ワタナベ…!?」

62 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 20:05:09.71 ID:Av5v0hh30

その先に居たのは、瞳を潤ませ、半開きの口で笑顔を浮かべた女だった。

そしてツンは、彼女を知っていた、それは、まだ語られていない同盟の集いの最中、
ほんの短い間だったが、自分にしつこく付きまとっていた女だ。

从'ー'从「わ、うれしい〜ちゃんとおぼえててくれた〜」

ξ゚听)ξ「……」

从'ー'从「ねえツン〜ひどいよ〜なんでわたしをおいていくのかなぁ〜」

ξ#゚听)ξ「相変わらず訳のわからない事を…」

从'ー'从「……ねえ、うそだよね〜? わたしをうらぎったなんて、ねえ?
     ねえ?ねえ?そういって?ねえ、うそだっていってよ〜?」

白眼が覗く目を開き、ワタナベはツンだけを見据え、独り言のように呟き。
その手には、変わった形状の槍を携えている。

刃はUの字に折れ曲がり、その中心には黒い穴が穿たれ、
そこから円筒が伸びるように、槍にしては短めの柄が存在した。

ワタナベは、まるで大剣を構えるように切っ先をツンへと向ける。



63 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 20:07:32.09 ID:Av5v0hh30

<_フ;゚ー゚)フ「ありゃ、なんか良くないふいんき」

ξ゚听)ξ「……お前たちは行け、こいつは」

<_フ;゚ー゚)フ「管理者だろ? ああ、そうさせてもらうよ……ほら、どうせ俺らが居てもあれじゃん?
        な、なんだとぉおおおあああ!とか言うだけの役って言うかさぁ、ねえ?」

 _、_
( ,_ノ` )「あるある」

<_プー゚)フ「ですよね」


ξ#゚听)ξ「喧しい! とっとと行け!!」


<わー!


从'ー'从「こいつら……なに、わたしのツンとなかよくしてるのかな〜」

ワタナベが駆けて行くエクスト達へと槍を向け、
それと同時に、ツンが斬りかかった。


64 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 20:10:12.88 ID:Av5v0hh30

まず金属音が鈍く響き。
続けて今度は甲高く鳴り響く。

从'ー'从「あれれ〜? なんでじゃまするの〜?」

ξ゚听)ξ「お前の相手は私だ、ワタナベ」

从'ー'从「もうツンってば〜そうだね〜ちょっとおしおきしないとわかってくれないんだね〜」

ξ#゚ー゚)ξ「悪いが、私は今多忙でな……お前のくだらない戯言に付き合うつもりは無い!!」

ツンは一度、剣を横に薙ぎ払う。

するとワタナベの背後にて、浮き上がった刃がその背をめがけて滑空した。

遠距離生成の刃は、発生位置から刃先を向けた直線にしか飛ばせない、
ゆえに動いてる相手にはまず当てられないが、相手が棒立ちならば完全に死角をつける。

現にワタナベは、今のツンの動作を不思議がるばかりで気付いた素振りもない。


だが、その刃は彼女の後方にて、炸裂音を伴い砕け散った。



65 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 20:13:07.95 ID:Av5v0hh30

ξ゚听)ξ「……!」

从'ー'从「あれれ〜? いまなにかへんなおとがしたよ〜?」

ξ゚听)ξ(……何かが防いだ?)

从'ー'从「なにかしたのかな〜やだな〜ツンってばもう」

ξ゚听)ξ「今のも神具か」

从'ー'从「うん〜? ああこれのこと〜?」

从^ー^从「ダンソウ、ブリューナクっていうんだよ〜いいでしょ〜」


ξ゚听)ξ(……断槍?)

そう読むのかは定かではないが、
この通りなのだとすれば、中々厄介そうな名を冠している。

ツンは剣は正面に構えたまま、距離を測るように一歩左へ。

67 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 20:15:27.01 ID:Av5v0hh30

从'ー'从「さ、それじゃあおしおきしようかな〜」

ワタナベはその後を追うように、躊躇い無く前進。
と、そこで、刃先に反射した光が揺らぎ。

次の瞬間には、槍を突き出すワタナベと、
それを弾きつつ受け流すツン、という結果が残った。

ワタナベはそこで再び姿勢を戻し、狙いを定めるように再び制止した。

しばしの沈黙、辺りでは相変わらず怒号が響くが、ツンの耳には既に喧騒は遠く、
ただ、意識を細く、ねじるように集中させていく。

ξ゚ -゚)ξ「………」

从'ー'从「……あは〜、やっぱりあたらなかった」

从'ー'从「あのときもそうだったね〜ねえおぼえてる? あのときツンがいったこと
     わたしはよ〜くおぼえてるよ〜〜」
70 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 20:18:28.48 ID:Av5v0hh30

从*'ー'从「あのときのツン、ほんとに……かっこよかったよ〜
     だからわたしあなたをいっしょうあいし」

ξ゚ー゚)ξ「ベラベラとよく喋る……そんなに独り言が好きなら壁に話していたらどうだ?」

从 ー 从「………」

そして、再びワタナベの槍に映りこむ光が急速に流れる。
軽く弾かれるような音が響くが、今度の動作はそこで止まらない。

流れるような連続突き。

再び金属音、今度も甲高く。

それと似通った音が、更に続けざまに4度かち鳴る。
ワタナベは攻撃しながら微妙に後退、自身の間合いへと持ち込んでいく。
73 :激しく訂正 ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 20:23:04.82 ID:Av5v0hh30

ツンがそれを追うように姿勢を下げた。
そんな姿へ向けて、今度は横一線、それも大振りである。

ξ゚听)ξ(……)

先までの突き動作から比べて、それは随分と遅いものであった。

ツンは更に身を屈め、薙ぎ払いを頭上で通過させつつ、続けざまに距離を詰める。

と、同時に踏ん張りをきかせて急停止、続けて進行方向から右へ回転。
その直後、風鳴りと共に、背を向けた側の空間を槍の柄が貫いた。


だが、その回転は止まらずそのまま遠心力をかけた剣戟が、
切っ先側を自分へと向けていた槍によって阻まれ、音が弾けた。

ξ )ξ「ぅ――――」

从'ー'从「ざんねん〜」



74 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 20:24:58.44 ID:Av5v0hh30

それはどちらに対して言ったのか、ワタナベの、


 同時に、二人のやや上に一枚の銀刃が発生。
 続けて数を増やしつつ、横へと展開していく。


間延びした言葉が終わるよりも先に。

ξ#゚听)ξ「――穿て!!」

放たれたのは4枚の飛刃。
小さく風切り音を上げてワタナベへと迫る。

だが、そこで先と同じ現象が起きた。
再び4回、ガラスの割れ音が連なる。


ξ;゚听)ξ(何だというんだ…!)

無理な体勢から斬りかかったツンは、そこで体制を崩し、一度地面に手をついた。
76 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 20:27:09.91 ID:Av5v0hh30

そして身を起こしかけた所で、ワタナベが既に身を起こす先に向けて切っ先を走らせている。

あえて腕の力を抜き、寝転ぶことでそれを回避。

自分の真上を再び線が通過する。

その突き出された瞬間を狙い、前転するように身を起こす反動で槍を弾き、更に距離を詰める。

続けざまに斬りかかる、が、座り込んだ状態では力も込められず、容易く受け止められた。
だが、まだ近距離、いくら短めでも、この位置関係では槍の取り回しは遅れてしまう。

更に追撃、一度、二度、小さく火花が散る。

ワタナベはそこでついに表情を苦悶のそれに変えた。

そして後退しつつ、今までと全く同じ突きの動作を繰り出す。

だが、既に体制を立て直していたツンは、
あろうことかその点による攻撃を、真上から叩き落とした。


垂直の衝撃によって、軌道が完全にそれた槍は地に突き立ち。
振りぬかれた剣と地面の上で交差し、×字を描く。

78 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 20:30:15.94 ID:Av5v0hh30

コンマ数秒、時が止まる。

从;'ー'从(うそっ)

そして両者、同時に持ち上げた獲物が中心で衝突。
何かの合図のように響いた金属音に合わせて距離を取った。


ξ゚ー゚)ξ(……よし、段々見えてきた)

从'ー'从「ふええ〜〜ぜんぜんあたらないよ〜さすがツンだね〜」

ξ゚听)ξ(……だが、さっきの防いだあれは一体…それに、最初の光も)

从'ー'从「でも〜さっきからツンばっかりずるいよ〜」

ξ--)ξ(……いや、深くは考えまい)

从'ー'从「こんどはこっちのばんだよね〜」

ξ゚听)ξ(次で決める)


距離を置いたまま、二人は制止する。
80 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 20:33:09.01 ID:Av5v0hh30

そして、すぐ近くで争っていた男の断末魔が響き、
空中に弾かれた男の剣が、地面に突き立つと同時にそれは解かれた。

二度目の攻防、まず動いたのはワタナベだった。

ツンは剣を居合いのように構え、迎え撃つ姿勢を取る。


距離はすぐに消え。

ワタナベはやはり、今までと同じ動作を持って槍を突き出す。
ツンもそれをはっきりと視認し、ワタナベより早く剣を振るっていた。

狙いは切っ先、ここを叩けば小さな力でも軌道はそれる。

タイミングも合っている、軌道の差はあってもこちらの方が早い、
このまま弾き、切り伏せて終わりだ。

そう、ツンが確信した時。

自分に向かう槍の切っ先が、突如として淡い光を放った。
82 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 20:36:20.67 ID:Av5v0hh30
正確には、光が刃全体を包んでいる。

ξ;゚听)ξ「!!」

この現象が何なのか、それを考える間も、疑問に思う暇すらなく。
発光する槍は、ツンの降りぬいた剣を"なぞる様にすり抜けて"わき腹を貫いた。








从'ー'从「……あれれ〜?」

ξ; )ξ「づっ―――――」

かに見えたが、ツンは咄嗟に身を捻り、貫通だけはどうにか避けていた。
だが輝く槍はたしかに皮膚を削り、ツンは苦痛に顔を歪めた。

ξ;-听)ξ「ッあ…!」

たたらを踏みつつ後退、激しい痛みの原因に触れる。
すると指を赤い血が濡らした。
見れば、見事なまでの切り口がそこに刻まれている。
84 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 20:39:10.61 ID:Av5v0hh30

从*'ー'从「やったぁ〜〜!! はじめてあたったよ!!」

ξ;-听)ξ「……実態の無い、光刃化……それが、その神具の真価か」

从*^ー^从「うん〜正解〜〜よくできました〜〜〜」


ξ;-听)ξ(……だが)

从'ー'从「わあ〜ツンの血…きれえ〜」

ワタナベはツンの脇が赤く染まるのを見て、喉を鳴らした。
そんな仕草に嫌悪感をむき出しに、ツンは立ち上がる。

从*'ー'从「もっと…それで、わたしがなめてきれいにしてあげるよ〜
     ううん、もちろんからぢゅうぜんぶだから、だいじょうぶだよ〜〜」

ξ;--)ξ「………」

从*'ー'从「ねえいたい?いたい?いたいならそういって、それでごめんなさいして?
     わたしを…ちがった、わたしだけをあいしてるっていったらゆるしてあげるよ〜」


86 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 20:42:14.42 ID:Av5v0hh30

ξ゚听)ξ「……おい、独り言は壁にでも話していろと言ったはずだぞ」

从#'ー'从「……!! どうして! そうやってすぐつよがるかなぁ〜〜!?」

ξ--)ξ「強がりかどうか、試してみればいい……」

从'ー'从「………」

从 ー 从「………ソッカ、ソウダヨネヤッパリチョットオシオキシテモワカンナイモンネ、チャントソウ、シツケナイトワカンナインダヨネソッカソウダヨネ」

ワタナベは何かを呟きながら、撫でる様に槍をなぞっていく。

すると、先は刃だけを包んでいた光が広がり、
ついには手で触れる部分以外、全てが光刃化された。

从'ー'从「ツン、わかる? これぜんぶさっきのだよ? こんどはほんとにしんじゃうよ?」

ξ--)ξ「………」

从#'ー'从「ツン!! きいてるの!? なんで!? あなたのためなのに!!!!!」

  _,
ξ--)ξ「煩い、黙れ」

ξ-听)ξ「……ごちゃごちゃ言ってないでとっとと来い、同じ手は二度も通じんぞ」


87 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 20:45:46.37 ID:Av5v0hh30

从#'Д'从「ツン!!!!!!」

ワタナベは、半狂乱気味に声を荒げ、光槍をまっすぐに駆ける。

対するツンはさして何をするでもなく、静かに息を吐き、水晶剣を斜めに構えた。


ξ゚听)ξ(さっきの……確か"貫通"ではなく、ただ"すり抜けた")


ξ#゚听)ξ「ならば…!!」


从#'Д'从「ンンンアアアアッーーーーーーーーーーー」

距離が詰まり、輝く刃はまっすぐにツンの胸部へと伸びていく。
だが、その間を遮る様に、三つの刃が浮かび上がり、小さなプレート状になった。

次いで、光刃が銀のプレートに触れ、そのまま、溶け込むように沈んでいく。
プレートの表面で反射するその光は、反対側には届かない。


と、なれば。
 
88 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 20:48:12.88 ID:Av5v0hh30


从;'Д'从


ξ--)ξ


遮られた実態のない光は、ただ吸い込まれるように消え、
手の部分の、実体化された箇所だけが、ガンと鈍い音を立てて衝突。

ツンは、自分へと突っ込んでくるワタナベを身体ごと避け。


ξ--)ξ


从;'Д'从「待っ」

ξ゚听)ξ


と言う叫びは。


91 :斬。                    :2009/08/23(日) 20:50:15.86 ID:Av5v0hh30



という刃音に掻き消された。



ワタナベの身体が、ゆっくりと前のめりに倒れていく。
対するツンは、その姿をふりかえる事無く、剣に付着した血を払う。


ややあって。


从li Д 从「ぃやあああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!!
      お、おながが、いだい、いだいいいいいいい!!」

ξ゚听)ξ「よくも人の脇腹掻っ切ってくれたな、そのお返し……いや」

ξ゚ー゚)ξ「これでおそろいだな、ワタナベ」

从li;Д;从「い、い、ぃぃいいい、くも、よくもおおおおお!!!!」

93 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 20:52:42.32 ID:Av5v0hh30

ヒステリックに叫び続けるワタナベだったが、
やがてツンを憎々しげに睨みつけると、怨念めいた事を叫び始め。

从li;Д;从「しんじゃえ!!しね!!しね!!しね!!しね!!しね!!しねえ!!」

ξ;-听)ξ「あれだけ深く斬られておいて……本当にしつこい奴だ」

だが、ワタナベは血まみれの手で、尚も神具を握り締めたまま、
やがて震えた声色で、言う。

从li;Д;从「だ、だん、そ」

ξ゚听)ξ「む……まだ何か」

从li:Д:从「いころせ、だ、"弾槍"ブリュン、タスラム!!!!」

その手にした槍の先端に、再び光が灯る。
だが、先ほどとは少し違っていた。

覆う光ではなく、あの、Uの字の中心に開いた穴から漏れ出すような。

95 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 20:54:38.98 ID:Av5v0hh30

ツンがそう認識した瞬間。

ξ;゚听)ξ「!」

いくつもの光点が空中に生まれ、その一つが飛来。
ツンは咄嗟に浮かぶ刃を盾代わりに展開。

だが。

起きたのは、割れ音、ガラスに似た音を伴って、砕け散る刃の姿。
更に剣でどうにか弾くも、物理的な衝撃が手を痺れさせ、
弾かれた光点はそのまま地面にまでめり込んだ。

ξ;゚听)ξ「これは……石か?」

砂煙を噴く穴ぼこの中心には、丸い小さな石が沈んでいる。

そして、再び顔をあげた先には、おびただしい数の光点であった。



96 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 21:00:10.27 ID:Av5v0hh30



これが恐らく、最初に誰かの頭を吹き飛ばしたあの光。
それが今、ツンの眼前を埋め尽くさんばかりに広がっている。

ξ゚听)ξ「……」

从li;Д;从「もういい!もう嫌いだ!!もう顔も見たくない!!」

ξ--)ξ「……」

このうちの一つでも直撃を受ければ、それだけでも大怪我だ。
避けようにも、あの速度は避けられない。
防ごうにも、あの威力は防ぎようがない。

一見して手詰まりの状況だったが。

ツンはただ、ワタナベを見据え、


言った。



97 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 21:01:06.38 ID:Av5v0hh30










          【 次回予告 】ゴールヨーリーツギーノスタートラインメザーセー











98 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 21:02:20.51 ID:Av5v0hh30
ミ,,゚Д゚彡「ゲストお願いします?>>99
99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/23(日) 21:03:12.66 ID:v2ZN/dNT0
   _
   /;;;人
.  /;;/ハヽヽ  わしはこんなとこ
 /;;ノ´・ω・)ゞ きとうはなかった!
 /////yミミ
   し─J
102 : ◆6Ugj38o7Xg :2009/08/23(日) 21:11:54.74 ID:Av5v0hh30
ミ,,゚Д゚彡「さーて次回のおはな………」
   _
   /;;;人
.  /;;/ハヽヽ  わしはこんなとこ
 /;;ノ´・ω・)ゞ きとうはなかった!
 /////yミミ
   し─J

ミ,, Д 彡(ほんとに誰ーーーーーーーーー!!)

  ( ^ω^)「僕にも…問われても折れない正義ができたお、それは…!」

ミ;゚Д゚彡「じゃあ何で来たのさ…」

 /;;ノ´・ω・)ゞ「しいて言うなら、ニュージェネレーションの香りを感じたからじゃ」

  ('A`)「俺の、俺が戦う理由は…!」

ミ,,゚Д゚彡『てな訳で、次会!! 異世界でもう一度 最終会かも 「消えていく光」 』

ミ,,゚Д゚彡『読んでくれなきゃ…………』

ミ;゚Д゚彡『……え、最終回?』

ミ;゚Д゚彡『ゲェーーーッ!よりによって最後の予告がこれぇえええ!?』
ミ;゚Д゚彡『オイオイオイ、おいしすぎないかこれ!』
ミ;゚Д゚彡ノシ『え、えええ、と、とにかく……ば、ばいばああああああい!!』
                                 つづく、、、I

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