3 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 21:52:06.63 ID:UfRtrXAt0
第26会 「萃夢想」




( ゚∀゚)「そうか……神教国の管理者が、死んだか…」

(´・ω・`) 「はい」

( ゚∀゚)「んで、しかも殺ったのは、あの大将の姉ちゃん…と」

(´・ω・`) 「…………はい」

あれから、無事に帰ってきた二人を待って、僕らは村長の家に集まった。

まず話すべくは、神教の管理者、セントジョーンズについて。
ドクオはその名を聞くなり、食い入るように聞いていたが、
死んだという事を知ると、何故か呆然としてしまった。


(;'A`)「死んだ……あの人が」

(;^ω^)「え、もしかして…知り合いだったり…?」

('A`)「……いや、そうじゃない、けど…」

( ^ω^)「……けど?」
5 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 21:54:21.45 ID:UfRtrXAt0
('A`)(俺………結局、顔をあわせる事さえ無かった…)

( A )(………ギコさん…俺…)

大事な人たちが、あんな酷い目に会ったのは、あいつらのせいだ。
みんな、あいつ等が元凶だ、全てを壊したんだ、奴等が。

だから俺が、仇を討たなきゃいけない。
俺は、みんなの意思を背負うのだから、俺がやらなきゃいけない。

…そう思っていた、思っていたのに。現実は…これだ。


('A`)(俺の、勝手な使命感、だったのかな)

世の中は何時だって、俺の居ない場所でも、平気で時間を進めてしまう。

そこには、ドラマなんていう、都合のいい物は存在しなくて。
いつも俺は、自分の不甲斐なさを悔やむばかりだ…。
11 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 21:58:01.78 ID:UfRtrXAt0
あっさりと、本当に拍子抜けするくらい、敵討ちの一つは終わりを告げて。
よく聞く、正義も悪もない、立場が違うだけというのが見に沁みる思いだった。


('A`)(けど……これが、戦争をしているってことか)

なら、俺のしている事は何なのだろう。

そもそも、俺が戦うことを決めたのは、クーの為だった。
あの、出会った頃とはまるで違う、弱々しい彼女を見て、俺は思ったから。

このままじゃ、いけないって。

このままじゃ、クーはいつかきっと、今を後悔する。
だから俺は……俺も、変えたいと願ったんだ…この世界を。


そうしたら、また、いつかの様に笑って。

そして、いつの日か、もう一度……。


思い返すのは、通りを行く彼女と、次々に挨拶を交わす人々の姿。
失くしてしまった、今は懐かしき、あの情景。
13 :>>9 ('A`)トーチャン・・・ ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 22:01:38.05 ID:UfRtrXAt0
('A`)(……)


( ^ω^)「…どうしたんだお?」

('A`)「……ブーンはさ」

(;^ω^)「お?」


('A`)「……仇討ちって、どう思う…?」

(;^ω^)「ど、どうって………うーーーん……」


(;'A`)「…いや、ごめん、やっぱいいや、忘れてくれ」

(;^ω^)「……お、そうかお?」

('A`)(……)

何となく、ブーンが言いあぐねた理由が、わかる気がした。

多分だけど、そんな事はやめた方がいい、と思っているんだろう。
だけど、事情を知っていながら、そんな気安いことは言えなくて、躊躇した。

14 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 22:03:19.19 ID:UfRtrXAt0
それは分かる、わかってはいるんだ……だけど。

今でも、鮮明に思い出せる、あの日々が。
短かったけど、色々な事があった、あの国で過ごした時間が。
今でも、気が遠くなるくらい、忘れられない……。


( A )(だから俺、これを越えなきゃ……前に進めない)

そうして溜め込んだのは、やり場のない憤り。
自分でも気付かぬまま、もう一人の仇への思いばかりを、募らせていった。



……。




16 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 22:06:48.28 ID:UfRtrXAt0
( ^ω^)「じゃあ、結局ショボも接続者だったのかお?」

(´・ω・`) 「そうだったみたい」

(;^ω^)「だったみたいて」

話は続き、やがて本題である、ショボと神具についての話になった。
まず聞いたのは、ショボは次元接続者であるという事。

ちなみに次元接続とは、僕らをこの世界に召喚した、接続能力のことで。
聖剣…つまりフレイの管理者となる条件が、それであると言うのだ。


( ゚∀゚)「なら、例の勇者さんも、そうだったってのか?」

(´・ω・`) 「だと思います」

この村の生活形態は、僕らの世界とよく似ている。

そして、それを伝えたのはシャキンという人だ……ならば。

と言っても、果たして彼が、僕らと同じ世界から来たのか、
はたまた、次元接続によって知ったのかは、わからない。

だけど、そう考えるのが、一番つじつまが合う気がした。
8 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 22:09:27.32 ID:UfRtrXAt0
ζ(゚ー゚*ζ「けど、確かに…最初から変だな、とは思ってたんです」

/ ,' 3 「そうじゃな……確かに、今までを省みれば、
    知っていなければできぬ行動を、お主は取っていたのぅ」

(;^ω^)「やっぱりこう、未来が見えていたのかお?」

(´・ω・`) 「そういう感じでは無いかな……こう、断片的な映像があって、
       気付くと、それが記憶に混ざっていて……」

(´・ω・`) 「そう、デジャヴみたいに、ふと思い浮かぶ感じ」

次元接続は、いわば、世界そのものに接続する代物だ。
そこには膨大なまでの情報があり、ショボはその一部を視ていた。


けどそれは、正確には未来予知の類じゃあない。

今、こうしている間にも流れていく、世界の状況を知るという事は、
そこから導き出される予想、言うなれば未来予測を視ていた、という訳だ。


( ^^ω)(まあ……お前に話しても無駄か…)

(;^ω^)(し、失敬な……まあ、日本語でおkですけども……)

19 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 22:12:15.32 ID:UfRtrXAt0
( ^ω^)「…でも…」

以前、ドクオが一度もとの世界に戻った際、接続が使えなかったように、
向こうの世界では、接続の力は使えない。

ならば、今の瀬川の説明もおかしくなるんじゃ…。


ζ(゚‐ ゚*ζ「それで…これは多分、なんですけど……」

ζ(゚‐ ゚;ζ「ショボンさんが接続を行使した時……
       私はこう、なんというか、酷いノイズみたいなのを感じたんです」

从 ゚∀从「ノイズ……か、なるほど、接続に歪ができちまったんだな?」

(;^ω^)(ひずみ……? ひずみさん…? 誰だ……)


ζ(゚‐ ゚*ζ「そして、それはきっと、向こうの世界に居る時にも……干渉します」

(´・ω・`) 「……ああ、そうか…そういうことか」

(;^ω^)「え、どういうこと?」

20 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 22:15:34.90 ID:UfRtrXAt0
从 ゚∀从「要は、お前らが来るより以前にも、次元接続は行われていて、
     んでその度に、一時的にとはいえ、世界が繋がっていた」

从 ゚∀从「その結果、不完全ながらも接続の力が発現しちゃった、と」


(´-ω-`) (そういえば……一番最初に変なのが見えちゃったのも、
      確かちょうど、7年前くらい…だったかな……)


( ^ω^)「なら、今でも見えてるのかお?」

(´・ω・`) 「いや、もう見えないよ…今はもう、剣と完全に接続しちゃってるからね」

(;^ω^)「ああ、フレイかお? ていうか、あれも何なんだお?
       神具の能力を無効化、みたいなこと言ってたけど……」


(´・ω・`) 「んー……まあ、話すとちょっとややこしいんだけどね」


21 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 22:18:15.48 ID:UfRtrXAt0
まず、神具が与える能力にも、大まかにいくつかの種類がある。


一つは。

レーヴァテイン…ドクオが持つ、あの炎の剣のように、
神具そのものが特殊な力を持っているタイプ。


( ^^ω)(ツンって奴が使ってた剣も、これだな)

(;^ω^)(ああ、あの刃が増えるやつかお……)



次に、ガラティンなど、ブーンが持つ神具のように、
管理者の身体能力を上昇させるタイプ。

( ^^ω)(モララーの剣も、これに当てはまるな)


( ^^ω)(そして最後に、契約型だ)

(;^ω^)(契約型?)

22 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 22:20:27.70 ID:UfRtrXAt0
( ^^ω)(そうだ、まあ呪いとか、奇跡、または概念武装とも言えるな)

かつて存在した、黄金の神具、エクスカリバーと、その鞘が良い例だ。

あの二つには、それぞれ。

剣を持ったものは、疲れることを知らない。
鞘を持ったものは、決して血を流さない。

といった、呪いめいた契約がかけられていて、
文字通り、それを振るう管理者は、まさに不死者となって戦っていた。


ζ(゚ー゚;ζ「今はもうありませんけど……ミストルテイン、
      私が持っていた、神具殺しの木もそれになります」

あれには、"この木で攻撃した神具を破壊できる"という契約がかけられていた。
しかし、その条件を果たさなければ、神具もただの木に成り下がり、
……いとも容易く、打ち砕かれるという結果に終わった。


(;^ω^)「って、その条件って、なんかむちゃくちゃじゃないかお?」

ζ(゚‐ ゚*ζ「…はい、どこからこっちの攻撃と見なされるか、とても曖昧なんです、
      ですから、相手が止まっている状態じゃないと使えない物でした」

24 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 22:22:23.93 ID:UfRtrXAt0
(;^ω^)「じゃあ、戦ってる最中には到底……」


ζ(-、-;ζ「ええ、でもまあ、問答無用で神具を破壊できちゃうわけですから、
      それくらいのリスクは、しょうがないのですけどね…」


(;^ω^)「それは…確かに」

ζ(゚ー゚*ζ「けど、フレイは……その中でも、特別みたいです」

(;^ω^)「お? ていうと…」

(´・ω・`) 「…まあ、分かりやすく言えば、今話した契約の無効化だよ」


( ^ω^)「じゃあ、わかりづらく言うと…?」

(;´・ω・`) 「うーん…詳しくは聞かないほうがいいと思うよ?」

(;^ω^)「ま、まあ一応……今もこれほら、おさらいですし」

(;´・ω・`) 「じゃあ、一応……おさらいじゃ、しょうがないね」


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 22:23:43.53 ID:UfRtrXAt0
(´・ω・`) 「この剣にかけられた契約は、勝利、なんだけど、
       そんな定義は人それぞれだし、凄まじい曖昧さでしょ?」

(;^ω^)「うん……で、それがどうして無効化に…?」

(´・ω・`) 「どうやら、これ曖昧な分、あらゆる事象に対応しちゃうみたいでさ」

例えば、向こうが必中の契約を持っていたとする。
しかしこっちは、勝利、という契約があるため、概念同士がぶつかる事になる。

その結果、双方の効果が薄まることになり、無効化現象が起きる、のだそうな。


(;^ω^)「つまり…図にすると…」


三(必中の心)(負けない心)三


(;^ω^)「んでこれが、ぶつかりあって、ティウンティウン、と…?」

(;´・ω・`) 「まあ、間違っちゃいないけど…相変わらず凄い例えをするね…」

26 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 22:25:26.36 ID:UfRtrXAt0
(´・ω・`) 「ってことで、そんな所かな…わかった?」

( ^ω^)「あまり」

(´・ω・`) 「ぶち殺すぞ」

川#д川「そうじゃそうじゃ! シャキンさまを困らせるでないぞ!」


(;^ω^)「って村長さん…いつのまに…」

(;´・ω・`) 「だから、僕はシャキンじゃないってば…」

川*д川「何を仰いますやら、フレイを従えるあなたこそ、
    まさにシャキン様の再来じゃ!」

そう、村長ふくめ村の人たちは、管理者になったショボを見て、
すっかり、勇者の再来だと舞い上がってしまったのだ。


川*д川「さささ、祭りの支度は済んでますゆえ、外の方へ!」

(;´・ω・`) 「わ、と、行きます、行きますから引っ張らないで」
28 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 22:27:40.87 ID:UfRtrXAt0
川 ゚ -゚)「このあいだもやっていたのに、またやるのか」

从 ゚∀从「いんじゃん? 楽しそうだから……って」


ζ(゚ー゚*ζ「ブーン様、私たちも行きましょう」

( ^ω^)「おっお、そうしよ」

从#゚∀从「まてまてぇーーーい!! 抜け駆けはゆるさーーーん!!」

ζ(゚ー゚#ζ「ちぃ!!」

(;^ω^)「何でただ外出るだけなのに張り合うんだお……」

こうして、皆、村長の家から出て、楽しげな声が響く中に混じっていった。
壁を挟んで聞こえてくる喧騒は、どこか遠く聞こえる。

30 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 22:30:12.09 ID:UfRtrXAt0
そんな中、荒巻は椅子に腰掛けたまま、目を閉じ思い馳せ。
ジョルジュは壁際で腕を組み、ただ静かにそこへ佇んでいた。


/ ,' 3 「……混ざってこんのか?」

( ゚∀゚)「じじいこそ、何してんだよ」

/ ,' 3 「わしはもう歳じゃからのぅ、傍観じゃ」
 _,
( -∀-)「……はっ、んなタマかよ」

どちらも、互いを見ることなく、ぶっきらぼうに言葉を投げると、
それきり黙り込み、聞こえ始めた音楽に身を任せた。


/ ,' 3 「……あの子らは、変わったのぅ……」
  _,
( -∀-)「……」

( ゚∀゚)「そうかもな…」

/ ,' 3 「日陽の一件、まだ、そう癒えてもなかろうに…」
33 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 22:33:25.85 ID:UfRtrXAt0
それでも、そんな素振りすら見せず、
今もこうして、前を向いて生きている。

きっと、自覚はないだろう。

しかし、ここまでの旅を続けてきたからこそ、
戦いの強さではなく、人として、芯の強さを得た。

今は流されてばかりでも、やがては。


/ ,' 3 「いつの間にか、頼るべき仲間となったか」


/ ,' 3 (……あの子らがこの世界へ来たのも…運命じゃったのかもしれんのぅ)

特別な存在である、という事を、意識せずには居られない。
しかし、今はただ……彼らが歩む明日に、幸ある事を願うばかりなのだった。


……。




34 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 22:37:20.62 ID:UfRtrXAt0
………。




夜の隙間を埋める、沢山のちいさな光点。
満点の星空、とはよく言ったものだ。



その時、流星が夜空を裂いた。

しかし、流星は空を横切ることなく、地上へと向かった。


やがて、光が山の彼方に落ちると、一際強い光を放ち、
浮かぶ雲までも照らし、すぐさま消え去った。




そして、光が消えた先には―――――。




……。
36 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 22:41:52.80 ID:UfRtrXAt0
翌日、僕らは朝もはよから村長さんに呼び出された。

なんでも、急に思い出したそうなのだが、
この地には、もう一つ、神具が眠っているとか何とか。


(´・ω・`) (賢者の石、か……)

( ^ω^)「んで、その場所って遠いのかお?」

川д川「いんや、歩いても半日程度じゃないかの」

( ゚∀゚)「ふーん……じゃあ、ちょっと見に行ってみるか?」

('A`)「そうですね、気になりますし」

( ゚∀゚)「うし、決まりだな!」


そして、あまりぞろぞろ連れ立ってもしょうがないし。
何より危険かもしれない、というわけで、早速、僕らだけで向かうことになった。

だが、この時の僕らはまだ、気付いてはいなかった。

半日程度、なんていうのは全くのでたらめだった事と、
その会話を、こっそりと盗み聞きしていた、デレの存在に……。
38 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 22:44:25.04 ID:UfRtrXAt0
,









wwヘ√レvv〜──wwヘ√レvv〜─wwヘ──────────・・・・・・……















42 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 22:50:25.52 ID:UfRtrXAt0
という感じで>>2に入りますね、何と言うか、もうあれです
当時との構想の違いというものを見つけてニヤニヤしてくだちい、ついでにちょっと

    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 きゅーけい!きゅーけい!
  (  ⊂彡
   |   |
   し ⌒J
2 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 21:51:32.35 ID:UfRtrXAt0
あ、あと一応、今回に限ってはこっちも・・・

http://hebiya.blog40.fc2.com/blog-entry-3723.html
http://booooonovel.web.fc2.com/allstar/roundworld3.html
50 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 23:30:15.62 ID:UfRtrXAt0
遠い空から、柔らかな日差しが辺りを照らして、
そんな輝きの中に溶けるように、小さな光の粒がひらひら落ちていく。


( ゚∀゚)「やれやれ、行っちまったな」

(´・ω・`) 「……そうですね」

('A`)「探し物、見つかるといいけど」

( ^ω^)「きっと大丈夫だお」

光が消え去ったのを確認して、ジョルジュさんが呟いた。
僕らもそれぞれ、感慨深い思いで、それに応えた。

  _,
( -∀゚)「しっかし、内藤よぉ……お前も言うようになったじゃねえか」

(;^ω^)「え……いや、あれはその…」

(´・ω・`) 「まあ、ブーンが臭いこと言うのは、昔からだけどね」

(;^ω^)「……」
55 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 23:33:42.83 ID:UfRtrXAt0
('A`)「……でも、俺も、その通りだと思うよ」

(;^ω^)「臭いのが!?」

(;'A`)「いや、そっちじゃなくて」


('A`)「自分を犠牲にしたんじゃ、駄目だって言うのが…さ」

(;^ω^)「うん……けど、あれは、ある人の受け売りなんだお」

がむしゃらにやれ、と教えてくれた、あの人たちの。

そして、ずっと考えてきた、英雄の在り方。

自分を犠牲にしてでも、僕らを助けようとしたジョルジュさん。
その姿は、確かに、英雄と呼ぶに相応しかったかもしれない。

だけど……もしあのまま、死なせてしまっていたら、
僕はきっと、自分を許せなかっただろう。

だから、やっぱり、そんなのは間違ってる、今は迷わずそう思える。
少しわかってきた気がする、誰かを救うっていうのが、どういう事なのか。
58 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 23:37:10.23 ID:UfRtrXAt0
自分の目指したいもの。

守る事と、救う事、似て非なる、その違いを。
忘れぬよう、僕は拳をにぎって、あの日のように強くねがった。


……。


(´・ω・`) 「ところで、その腕、ほんとに平気なんですか?」

( ゚∀゚)o彡゜「ん? ほれ、もうこの通りだ」

(;'A`)「…でも、もうあんな真似しないでくださいよ」

(;^ω^)「そうだお、ていうか次は絶対にとめるお」

  _,
( ゚∀゚)「はいはい…けどまあ、その心配には、及ばないんだなこれが」

そう言って笑うと、ジョルジュさんはおもむろに、
懐から何か、金属的なものを取り出した。
60 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 23:38:42.62 ID:UfRtrXAt0
(;^ω^)「え、これって……」

(;'A`)「手甲……? もしかして、盗まれていたっていう、あれですか?」

( ゚∀゚)「ああ、モララーの野郎が落としていきやがった」

(;´・ω・`) 「ああ、倒したから……」

(;^ω^)「ドラクエかよ……」

とにかく、この手甲があれば、神具使用時の衝撃にも耐えられる。
それはつまり、あの凄い技だって、使い放題ってことになるわけで…。


ジョルジュはレベルがあがった! テテテッ テッテッ テーーン!

ぼうぎょ が 5 あがった!

神雷 をおぼえた!


ってな感じで、何にせよ、頼もしい限りだ。

61 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 23:42:39.61 ID:UfRtrXAt0
それから、ふたたび陸船に揺られること、数時間。
ようやく皆が待つ、エッダへと無事に帰還したのだ。


だが。


('A`)「……あれ?」

(;゚∀゚)「なんだぁ? 出迎えか?」

村が見えてくると、何だか、人だかりが出来ていることに気がついた。
しかし、どうも様子がおかしい、待っているというより、あれは…。


ζ(゚Δ゚liζ「お兄ちゃん!! 大変、大変なの!!」

船を停めると、駆け込んできたデレが、ジョルジュさんにしがみついた。


(;゚∀゚)「うお!? な、なんだ! どうした!?」

ζ(>Δ<liζ「だから大変なの!!」
 _,
(;゚∀゚)「おい落ち着け、マジで、何があった」
65 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 23:47:51.91 ID:UfRtrXAt0
(;^ω^)(何だろう……いい予感はしないけど……)

( ^ω^)(って……あれ?)


从 −从


(;^ω^)(ハイン……?)

珍しいな、こういう状況だと、いつもなら一緒になって騒いでいるのに。
とか思ってたら、険しい表情でクーが一歩前にでて、その重い口を開いた。


川 ゚ -゚)「……つい先ほど、報せが届いた」

(;'A`)「報せって…どこから?」

川 ゚ -゚)「わからない、けど、世界中に触れ回っているらしい」
  _,
( ゚∀゚)「んで、内容は?」

川 ゚ -゚)「それがな……」


川 ゚ -゚)「……日陽、湖鏡、神教、そしてルファウス
     これら4つの国からなる統一国家、その設立の宣言だ」
67 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 23:50:19.40 ID:UfRtrXAt0
 _,
(;゚∀゚)「……なっ!?」

(;'A`)「え……ええっ!?」


(;^ω^)「えーと、統一…? それって、一つになるってこと?」

(´・ω・`) 「そうだね、ひとまず表面上では」

(;^ω^)「日陽の国も……」

ちょっと待って、それって……もう、完全に敵になる、ってこと?

あの人たちも、みんな?

 _,
(;゚∀゚)「いや待てよ…つーか、だいたい何で神教国までそこに入ってるんだよ」

川;゚ -゚)「それは……」

(´・ω・`) 「多分…あの管理者と戦ったとき、かな…」

フレイを狙ってきた、セントジョーンズと戦い、そして彼が殺されたあの日。
思えば、モララーは神具を回収すると、とっとと逃げてしまった。


(´・ω・`) 「最初から、神具…アスカロンの回収だけが目的だったとしたら」

68 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 23:54:50.19 ID:UfRtrXAt0
( ^ω^ω)「『そして、その神具を手土産に、協定を結んだか』」


川 ゚ -゚)「…それと、続きがある」

川 ゚ -゚)「……DEN王国が隠し持つ神具と、その管理者の引渡し
     それを受け入れない場合……武力行使を行う、といった物だ」


(;^ω^)「!?」

(;'A`)「それって…俺たちのこと?」

川 ゚ -゚)「だろうな、それに理由もきちんと用意されているよ」

川 ゚ -゚)「日陽の巫女惨殺と、神教の管理者の討伐、という大義名分がな」

(;^ω^)「え…だって、どっちもやったのは…」
 _,
(;゚∀゚)「無駄さ、すでに認識されちまってる」

(´・ω・`) 「むしろ、神具を持ち帰った英雄状態じゃないかな」
  _,
(  ∀ )「完全に……やられたな、こいつはちっと不味いかもしれねぇ」

70 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/24(月) 23:57:27.11 ID:UfRtrXAt0
(li^ω^)「……そ、そんな」

今まで、どうにかこうにか撃退して、何とかなったと喜んでいたのに、
結局は手のひらの上、追いつめられてしまっている。


川 ゚ -゚)「DEN王側も……流石に、その要求を突っぱねることは…」

/ ,' 3 「できない、じゃろうな……」

(;^ω^)(……こ、これって…もしかして)

さりげなく、絶体絶命ってやつですか……?


(;^ω^)(どどど、どうしよう…どうなるのこれ…)

(;^^ω)(…むぅ……)


(´・ω・`) 「となると、もう…ここに留まっている訳にも…」

ショボンは、横目に村長さんたちの方を盗み見る、
あっちはあっちで、今回のことが騒ぎになっているようだ。

もしかして、追い出すべきだ、とかそんな……。
とか不安を感じながら、こっそりと視線を向けると。
72 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/25(火) 00:00:37.19 ID:hIrS/CoZ0
川д川「みなのしゅう、いまこそわれら、たちあがるときぞ!!」

「おおーーーーーーーーーーーーー!!」



川#д川「シャキン様に仇なすおろか者に、呪いあれーーー!!」

「うおーーーーーーーーー! 呪ますぞこらーーーーーー!!!」



川#д川「ニューヨークへ! 行きたいかーーーーー!!」

「いやっほおおおおおおおおおおおおおおおおおう!!!!」



(;´・ω・`) 「……えーと」

川*д川「ああシャキンさまぁ、安心してたもれ、不埒な輩はゴートゥヘルじゃよ」

(;´・ω・`) 「ど、どうも……」

もの凄いベクトルの方向に、熱く盛り上がっていた。
何ていうか、ノリ重視だなぁ、ここの村の人たちは……。

76 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/25(火) 00:05:46.89 ID:hIrS/CoZ0
ζ(゚ー゚*ζ「……ありがとうございます」

「いいって事よ、あんたらが悪い奴じゃないのは、わかってんだ」

けど、おかげで不安にまみれた僕らも、ひとまずは落ち着けた気がする。
とは言えども、落ち着いてばかりも居られない、不味い状況なのは事実なんだから。


(;'A`)「これから…どうするんですか?」
  _,
( ゚∀゚)「そうだな……とりあえず、まわりの状況が見えない事にはな…」

川д川「おお、そうくると思ってのぅ、すでに色々調べておいたんじゃよー」

(;゚∀゚)「どんだけ協力的なんだよ……」

川д川「シャキンさまのためなら…」


(´・ω・`) 「うん…村長さんも、本当にありがとう」

Σノノノ*゚д川ズキュウウン


78 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/25(火) 00:11:36.10 ID:hIrS/CoZ0
( ゚∀゚)「それで、何かわかったのか?」

川д川「今、各国の首脳や、部隊がそろって、ルファウスに集結しているそうじゃよ」

川 ゚ -゚)「顔合わせ……か」

川д川「うむ、先日も、日陽の兵達を見かけたそうじゃ」

となると、思えば、あの神具、アゾットをめぐる戦いの際。
ペニサスさんが、日陽の兵を連れていたのも、その道中だったのだろうか。


(´・ω・`) 「となると…動き出すのは、まだ先になるのかな」

川 ゚ -゚)「恐らくな…こうまで突然な統一だ、しばらく混乱は収まらんだろう」
  _,
( ゚∀゚)「何にしろ動くなら、その前に…………―――」



(;^ω^)(……むう…)ポカーン

さてどうした物か、なんだか難しい話がぽんぽん飛び交っていて、
いよいよ着いて行けなくなってきた、このままでは口の中に埃が積もる。


と、その時。
82 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/25(火) 00:29:18.48 ID:hIrS/CoZ0
三从 -(;^ω^))「お?」

僕の背中に、たいあたりをかます人が居た、ていうかハインだ。
しかし、よく見れば僕にしがみついて、顔を埋めながら……震えていた。

思わず辺りを見回せば、デレと一度、目があった。
しかし、意外にもデレは、すぐに目をそらし、静かに俯いてしまった。


(; ω )(…あ……そうか)

::从 −从::「………」

考えてみたら、この報せを受けた事によって、一番苦しんでいるのは……。


::从 −从::「ど、どうしよう……私……」

(;^ω^)「……」

今回ばかりは、答えられなかった。

何も言葉が浮かばない、何も、言えない。
83 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/25(火) 00:32:11.15 ID:hIrS/CoZ0
やがて、ただ唇をかみ締めるしかできない僕に、
ハインは、震えた声で、たどたどしく言葉をなげた。


「あいつ……弟者は、きっと、要求をのまないよ」

(;^ω^)「…え」

「自分と、あの国を危険にさらしても、きっと、私をかばおうとする」

(; ω )「……っ」

「そしたら……」


从 ;∀从「そしたら……あの国は、私のせいで皆が!!」


(; ω )「………」


从 ;∀从「そんな事になったら、私は……わたしは……っ」

84 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/25(火) 00:34:39.33 ID:hIrS/CoZ0
从 ;∀从「こんなじゃ駄目なのはわかってる、辛くても、進まなきゃいけないのも」


从 ;∀从「だけど…内藤ぉ………」





「………たす、けて…」




( -ω-)「……」


( ^ω^)

消え入りそうな、声だった。
僕ができる返事なんて、一つしか無かった。


…………。


88 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/25(火) 00:43:33.85 ID:hIrS/CoZ0
まどろみに沈んだ意識。

目を開くと、頭が痛んで、次に全身に痺れるような痛みが走る。


「う…」

呻き声をもらして、それでも、どうにか身を起こす。

「ここ…は……?」


「……僕は…なんでここに居るんだ、モナ?」

ぼんやりとした頭は、やがて、徐々に記憶の蓋を開けていく。

「……あ、あ、ああ……」


(;メ∀・)「僕は……僕は……」


( メ∀;)「う                      」


「                            」

慟哭、あるいは絶叫か。

気が狂ったような雄叫びは、むしろ、悲鳴に似ていた。

89 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/25(火) 00:45:39.64 ID:hIrS/CoZ0
,





             【次回予告】アノヒボクノ ココーロハー オトーモーナーク クズーレサッター






90 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/25(火) 00:47:36.84 ID:hIrS/CoZ0
ミ;゚Д゚彡「え、ながら? ながらって何のことですか……?」

ミ;゚Д゚彡「知らない、知らない、全然知らないよ」

ミ,,゚Д゚彡「というわけで…ゲスト安価とか、お願いできたらな、と…思いまして」

>>91
91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/25(火) 00:48:03.33 ID:5J/p4Wv1O
あぁ……。終わってしまった…………

支援
92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/25(火) 00:48:09.94 ID:A8fuxrd60
从 ゚∀从
93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/25(火) 00:48:10.97 ID:R6whEHXLO
(主^ω^)
96 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/25(火) 00:51:02.66 ID:hIrS/CoZ0
ミ,,゚Д゚彡「ハイン把握!」

ミ;゚Д゚彡「ていうか
>>93はやばいって! 使ったら怒られるよ!」
103 : ◆6Ugj38o7Xg :2008/11/25(火) 01:15:03.29 ID:hIrS/CoZ0
从 ゚∀从『さて、次回のお話は、俺のお願いなら何でも聞いちゃうブーンのお話』

ミ,,;Д;彡『やな話だなー』


( ^ω^)「言ったじゃないかお、ハインの夢は、僕が叶えてみせるって」

从*゚∀从ノシ『うひゃーーーーーー!!! おい聞いた?聞いたか今の!!』バシバシ

ミ;゚Д゚彡『いたっ、いたいいたい! ちょ、暴力反対!!』

从 ゚∀从『はっはっはーー! まあ、安心しろ、式には呼んでやるからさ』

 _,
(#゚∀゚)「てめえ……何のつもりだ」

( メ∀・)「まあ、ヒントくらいはあげようかとね……気まぐれさ」

ミ;゚Д゚彡『しかし……さっきまで私、なんて言って震えてたのに…別人のようだ』

从;-∀从『いや、あれは………わ、忘れてくれ…』

ミ,,゚Д゚彡『だが断る、そんなわけで次回!!」

从;゚∀从『忘れろって、異世界でもう一度、第27会 「孤独の誓い」 』

ミ,,゚Д゚彡『やだ、読んでくれなきゃ!』
从#゚∀从『泣かせんぞこらあ!!』

ミ;゚Д゚彡『ひいい!!』                     つづく、、、I

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