4 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 02:48:57.92 ID:c815CLOu0


ミ,,゚Д゚彡「うぉおおおおおおう」

ミ,,;Д;彡「うおおおおおおおおおおん!!!」


(,,゚Д゚)「…なんの真似だ」

ミ,,゚Д゚彡「ドラゴン」

(,,゚Д゚)「…殴るぞ」

ミ,,;Д;彡「げ、現在進行形…」


ミ,メ゚Д゚彡「そ、それでは…!」


ミ,メ゚Д゚彡コウハン カイシ

(,♯゚Д゚)「…」



「ギャーーー!」




5 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 02:49:58.72 ID:c815CLOu0



……。



(;´・ω・)「はあっ、はあっ……!」

('、`*川「もう限界?」

(;´・ω・)「ま、まだまだ…っ」

('、`*川「うん、いい気合ね、でも一度休憩」

(;´・ω・)(…ほっ)

('、`*川「くす、ほっとした?」

(;´・ω・)「そ、そんな事ないですよ」


握っていた木刀を置き、夜が訪れ始めたうすい暗闇の中
口では強がりつつ、崩れるように座り込んだ。
7 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 02:51:04.59 ID:c815CLOu0

明朝、まだ暗い内からの体力作りと。
昼間、行われている訓練に混じって基本を学び。
夕方、辺りが見えなくなるまで実践的な物を、体で教え込まれる。

これが、ここ最近のショボンの日常だった
どう考えてもオーバーゼニス的なそれに、もう毎日、動くだけでも必死であろう
だがそれでも逃げる事もせず、ペニサスと共に鍛錬は続いた。


('、`*川「それで、いい加減話してみない?」

(´・ω・`)「…? 何をです?」

('、`*川「どうして、そうまで必死になって強くなろうとするの?
    それも友達には知られずに、なんて…」

(;´・ω・)「……それは、その」

('、`*川「…なんとなくは分かるよ、私も、結局は神具に選ばれなかった
     けど、周りはどんどん変わっていく…そして自分は」

(;´・ω・)「あ、違う、違うんです…そうじゃなくて」

('、`*川「…?」

(´・ω・`)「…何かに打ち込んでないと、不安で」


8 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 02:51:57.99 ID:c815CLOu0

それは、今しがた彼女が言おうとした
置いていかれる、疎外感から来る物にしか聞こえない言葉。

そうして、ショボンは疑問の表情を浮かべる彼女から視線を外し
遠くを見つめたまま、ぽつりと語りはじめた。


(´・ω・`)「その、僕って、昔からそうなんですけど…
      たまに余計な事にまで気付いちゃう事があるんです」

('、`*川「余計な事…?」


(´・ω・`)「はい、人を見てたり、話を聞いてると…
      なんかそれだけで あ、なんか隠してるな って感じで…」


('、`;川「んー、それは…凄く良い事なんじゃないかな、と思うけど」


それはきっと、本心からの言葉だった
人を見抜く力があるというのは凄い事だから。

けれど、ショボンは首を横に振り否定を示し。皮肉げに笑った。


9 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 02:52:18.61 ID:c815CLOu0

(´・ω・`)「良い事なんか、何も無いですよ……」

(´-ω-`)「ただ、人に気味が悪いと言われるだけで…なにも…」

('、`*川「…」

(´・ω・`)「これは、昔の事です」


気付いてしまった『一言』のせいで壊れた物を思い、そう呟いた
それは一度気にかけた事を、一人胸に仕舞っておくには、まだ幼すぎた頃の事。


最初に壊してしまった物は、家庭だった。


それでなくても、誰かと話をすれば、親しくなればなるほど
自然と内部に触れてしまう。つい、口に吐いてしまう。

もう何度も、その度に人はそんなショボンを拒否した。近づく事を恐れた。

そうやって色々な物を失いかけ、やがて彼もまた他人を拒否し、本心を隠すようになった。

11 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 02:53:18.32 ID:c815CLOu0

けれど、そんな日々にも一つの転機が訪れる。
ドクオとブーンに出会った事だ。

ドクオに対して妙に気遣っていたのは、他人の本心に脅える
自分と、真逆の思いを秘めていると気付いたからだった。
そんな彼と居る限り、自分も自制できると、そう思い。

そして、ブーンにはその自由さ、奔放さに嫉妬し
何度拒否しても離れず、さらには否定された自分を知って尚
それでも友達であろうとし続けた事から生まれた。


一つの、信頼だった。


けれど、今…自分でも気付いている。この世界に来てからと言うもの…
そんな自分が、嫌いな自分が酷く全面に出てきている
そればかりか悪化しているとしか思えない。


(´-ω-`)「怖いんだ…僕は…」


ようやく、変われたと、そう思っていたのに…。


12 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 02:54:40.67 ID:c815CLOu0

('、`*川「……ねえ、ショボン君?」

(´・ω・`)「…?」

('、`*川「これ、見て?」


そんな言葉に、俯いていた顔を上げると
隣に座るペニサスは、引き抜いた真剣を。はい、と手渡し
ショボンは困惑した様子でそれを受け取ると、微かな光を反射する銀色の刀身を眺めた。

何処も、特におかしな所があるとは思えないが
よく見れば柄の部分に、何かの形にも見える印が描かれている。


(;´・ω・)「……??」

('、`*川「なにか、わかった?」

(;´・ω・)「いえ…これが、何か?」

('、`*川「何にもわからないでしょ?」

(;´・ω・)「そりゃあ…」

('ー`*川「なら平気よ、君は普通の男の子」

(;´・ω・`)「…ぇ」
14 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 02:55:57.03 ID:c815CLOu0

にっこりと笑って、ペニサスは言った
どう返したものかと反応に困っていると
彼女は「む」と表情を変え、言葉を続けた。


('、`;川「……て、いうのじゃ、やっぱ駄目かな?」


(:´・ω・)「……?」

('、`;川「…」


そして、しばしの間を置いて。


(´・ω・`)「……ぷっ、なんですかそれw」

('、`;川「あはは、き、気休めくらいにはなるかなー、と思ったんだけど…」

('、`*川「あ…そうだ、あげるよそれ」

(;´・ω・`)「へ?」

('、`*川「その剣、ショボン君にあげる」

16 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 02:56:54.50 ID:c815CLOu0

(;´・ω・)「いいんですか?」

('、`*川「うん、それほど使い込んでもないし、まだまだ使えると思うよ」

(´・ω・`)「……ありがとうございます」

('ー`*川「いえいえ、どう致しまして」


銀色の剣を見つめたまま、ショボンは呟き
ペニサスは座ったまま、丁寧な言葉遣いで深々とお辞儀をした。


('、`*川「で…それ、柄に印が彫ってあるでしょ?」

(´・ω・`)「ああ、はい、ありますね…なんです?」

('、`*川「それはね、願掛けなの」

(´・ω・`)「願掛け…?」

('、`*川「そう、願いを込めて刻む事で、それを叶えようっていう…おまじない
     ショボン君もそれに好きな事を願うといいよ」

(´・ω・`)「…」


17 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 02:57:48.02 ID:c815CLOu0

('、`*川「それで、もし…どうしても不安になったらそれを見て、思い出してほしい、かな」

(´・ω・`)「……ちなみに…元は、なんて願いを?」

('、`*川「え? うん、まあ…ありきたりなんだけど、持つ者に希望と…」







    「 勝利を与えますように 」







19 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 02:59:19.10 ID:c815CLOu0


………。


そして、流れる日々はやがて何かに塞がれ
せき止められ、枝分かれしていく。


あの襲撃の日から、実に1ヶ月あまりが過ぎた頃
不気味なまでに沈黙を続けていた湖鏡が、再び日陽を襲った。

それも、今回も少数による襲撃。

とある理由と、油断…もあったのだろう、敵は既に国内へと侵入し…。



('、`;川「状況はどうなってるの?」

兵「は、はい! それが…」

 _,
(;゚∀゚)「三つに…分散してるってか?」

23 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:04:29.24 ID:c815CLOu0

敵は、今居る神殿を中心に、分けた部隊で三方向からこちらへ向かっているという。

('、`;川「既に各所、迎撃には向かわせましたが…
     中には管理者も確認されています、恐らく…足止めも時間の問題かと」

 _,
(;゚∀゚)「だろうな、つーか…なんで今まで気付かなかったんだ!?」

('、`;川「…今の今まで、何の通達は無く、そして遠方にて監視に置いていた兵からも
     以前連絡がない…これは既に、全員殺されていると考えられます」
    
 _,
(;゚∀゚)「…お、おいおい…じゃあなにか、つまりむ」

(;^ω^)「…どういう事だお?」
  _
(;゚∀゚)「こう、ああ! 話の腰を折るな!」

(;^ω^)「ご、ごめんなさい!」


(;´・ω・)「……向こうは、もう戦いを仕掛ける気はない
       完全にこの国を滅ぼすつもりで来ている…って事ですか?」

('、`;川「…」

(;゚ω゚)「へ…」
(;'A`)「…」

24 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:05:30.26 ID:c815CLOu0

何故急に、こうまでなりふり構わない行動に出たのかは分からない
けれど非常にまずい事態になっているのだけは間違いなかった。

 _,
( ゚∀゚)「…なんにせよ、こんな所で考えててもしょうがねぇ」

('、`;川「そうですね、すぐに迎撃を」
 _,
( ゚∀゚)「ああ、そこで頼みがある…大将は、ここに残っててくれ」

('、`;川「え!?」
 _,
( ゚∀゚)「……すまねぇが、敵が管理者ならあんたには荷が重い
     加えてこの状況…分かるだろ、最悪の場合は…」

('、`;川「…そう、ですね……国外へと一時退避も必要になるかもしれません
     巫女のお二人と、あなた方のお仲間の無事を優先させなくては…」

 _,
( ゚∀゚)「…そういうこった、理解が早くて助かるぜ」
 _,
( ゚∀゚)「したら…」
 _,
(;-∀-)「……っ」


(;'A`)(li^ω^)「「…?」」


25 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:06:49.49 ID:c815CLOu0

そうして、ジョルジュさんは僕等へと視線を向けると黙り込み
苦虫を噛み潰したように表情を歪ませ、何かを考え込んでいる。

(;'A`) (^ω^;)「……」

気付けば、僕等は互いに顔を合わせ
強く頷き合っていた。


(;^ω^)「…行くお」

(;'A`)「…行けます」

 _,
(;゚∀゚)「…すまねぇ、それしか…手はねぇんだ
     だが危なくなったら何を差し置いても逃げろ、いいな?」

(;'A`)「…はい」

(;^ω^)「逃げるのは得意だお」
 _,
( ゚∀゚)「よし…それで、管理者の特徴は?」

兵「ええと…」


……。

27 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:08:04.66 ID:c815CLOu0
 _,
( ゚∀゚)「ドクオ、言っておくが…くれぐれも無理すんじゃねーぞ?
     とりあえずは足止めする程度の考えでいいんだ」

('A`)「…はい」
 _,
( ゚∀゚)「内藤、お前もな」

(;^ω^)「…お」

(;^ω^ω)「『こっちは心配いらない、むしろそういう自分こそ気をつけた方がいいホマ』」
 _,
( -∀-)「…へっ、言うじゃねーか」

(li^ω^)「ぼぼ、僕じゃないお!?」


そうして、どうにもならない時は中央に連絡し一時撤退だ、との言葉を胸に

黒剣を持つ管理者が居たとされる場所へはドクオが

槍を持つ管理者が居たという場所へはジョルジュさんが

そして…。

(;^ω^)(湖鏡の将ツン、あの時の…かお)

( ^^ω)(だろうな…)


28 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:09:00.72 ID:c815CLOu0

神具を握り、恩恵たる強化の力を全身に感じながら
僕は敵が居るという場所へ向け、走った。


(;^ω^)(…うぅ、やっぱちょっと怖いお…)

(;^^ω)(また情けない事を…)

(;^ω^)(だ、だって…っ)

( ^^ω)(ほれ、ここの所ずっとやってた特訓の成果、見せてみろホマ)

( ^ω^)(特訓…)

そう言われ思い返すのは…
散々しごかれ、散々怒られた事ばかり。

(li^ω^)(…なんか、やっぱり駄目だ気がしてきた)

(;^^ω)(…お前、よりへたれになってないか?)

(;^ω^)(う゛……て、いやいや、違うんだお)

( ^^ω)(…違う?)


(;^ω^)(その……)

31 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:10:36.36 ID:c815CLOu0


……。


(li ω )「……っ」


辿り着いた先で見たのは、沢山の血溜まり
無惨に切り刻まれた人間と、鼻を突く異臭。

中央には、その体に汚れ一つ無いまま、静かに立つ者の姿があった
それは、いつか見た、透けて煌く剣を握る…

ξ゚听)ξ「……来たか」

そいつは、視線だけで軽く僕を一瞥すると、ぼそりと呟いた。


(;`ω´)「…ツンだったお? 聞い」

ξ--)ξ「気安いな」

(;゚ω゚)「っ!?」


そう言うや否や、ふっ、と剣を振るい
同時に浮かび上がった刀身が、瞬時に僕へ向け飛来した。

33 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:11:46.37 ID:c815CLOu0

(;`ω´)「くっ…!」

咄嗟に反応し、弾かれ響く金属音
どうにか間に合ったが、あまりに突然の事に背筋を冷たい物が走る。

けど、負けてられない、今は…あの時は違うのだから。


ξ゚听)ξ「まあいい、先日の借り…ここで返させてもらうぞ」

(;`ω´)「ちょ、ちょっと待てお! 話聞けお!!」

ξ゚听)ξ「…?」

(;`ω´)「ツン、退いてくれお、僕はできれば…戦いたくない」

ξ )ξ「…なに?」

(; ω )(…う)


僕がそう言った瞬間、ツンはなんか凄い目で睨みつけてきた
ただでさえピリピリとしていた空気に、さらに亀裂が走った気がした。



34 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:13:11.14 ID:c815CLOu0

ξ゚ー゚)ξ「貴様……馬鹿にしているのか?」

(;`ω´)「ちち、違う! そうじゃないお!! ただ僕はもう誰も」

ξ゚听)ξ「いや、もういい、言いたい事は…死ぬ時にでも地へ囁け…」

(;`ω´)「だから聞けと言うとるに!」

ξ゚听)ξ「問答は不要!」

ツンは僕へと向きなおし、剣を構えると
同時に具現し、空中に浮かび上がり、展開されたのは5本の刃

ξ゚听)ξ「覚悟!!」

そして横一線、剣が空を斬り。
代わり、その全ての刃が、弾丸の如く放たれた。

(;゚ω゚)「う、わわ!!」

慌て、がむしゃらに剣を振り回す。
数があるのは厄介だが、その一つ一つにはそう重みは無い為
どうにか目で追いきれるそれを、弾き、止め、返した。


35 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:14:29.25 ID:c815CLOu0

(;^^ω)(だから、止めようなんざ無理だと)

(;`ω´)(う、うっさい!)

(;`ω´ω)「『って、来るぞ!!』」

ξ゚听)ξ「ふっ!!」


次いで、先の発射と同時に駆け出したのか
ツンは既に距離を詰め、横薙ぎに斬りかかってきた。

それを寸での所で受け止めた瞬間


(;`ω´ω)「『左だ!』」


逆方向から降りかかる刃、それを認識するよりも早く
自分の口から放たれた言葉そのものが、状況をそのまま理解させた。

ξ゚听)ξ「…!」

それを弾けば、更に真逆から迫る剣
すぐさま片手に持ち替え、柄で受け、逸らす。
38 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:16:56.56 ID:c815CLOu0

( `´ω)(そのまま真上に切り払え!)

言葉どおり、強引に腕を引き上げれば、二つ澄んだ金属音が鳴る
そこには既に発射された刃が存在し、それを確認するよりも早く

( `ω´)「…おおっ!!」

ξ゚听)ξ「はあ…っ!!」

続けざまに振り上げた剣を打ち下ろし、下方から斬りかかる剣と衝突
火花散る烈音と共に、そこで両者の動きが一度静止し。


(;゚ω゚)「…!!!!」

息つく暇なく自分の置かれている状況に気付いた
見れば、円を描くようにずらりと並ぶ、無数の刃に取り囲まれていた。


(;`ω´)「っ、エアロバリア…!」

ξ゚听)ξ「遅い、散れ」



39 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:18:12.44 ID:c815CLOu0

言葉と共に、それらが一斉に切っ先を向け。

同時に強烈な風が渦を作り、大量の砂煙を巻き上げ身を隠すように覆い始めるが
もはやお構い無しに放たれた刃が雨のように降り注ぐと
濁音が連なり、巻き起こった烈風が轟と消え去る。


一つ、間を置き。


残ったそよ風が視界を覆った煙を晴らし、見れば
大量に地面へと突き立った刃が甲高い音を鳴らし砕け散った。


ξ゚听)ξ「…」


だが、そこにブーンの姿は無く、残ったのは小さなクレーターと、大量に穿たれた穴のみだった
ツンはそれに対し、特に思う所も無い様子で、今度は姿勢を低く、空を見上げながら剣を構え直すと


( `ω´)「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

ξ゚听)ξ「はあああああああああああ!!!」


空から降る、一陣の風を迎え撃った。

40 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:19:49.13 ID:c815CLOu0

だが。

ξ;--)ξ「ぐっ…!!!??」

全体重と、重力加速を込めた剣は受け止める事適わず
更には突風が全身を襲い、ツンは体ごと大きく吹き飛ばされた。

そして、いったいどれほど高所まで飛び上がったのか
着地どころか受身もとれず、鈍い音を立て地に落ちた。


(;^^ω)(…おい、生きてるか?)

(li ω )「…」

(;^^ω)(こら!起きろ!!)

(li^ω^)(……か、からだがしびれ)

(;^^ω)(アホかお前は…)


ξ;-听)ξ「…っ」


とその時、しばし離れた場所で
腕を抑えながら膝をつく、そんな姿が見えた。


41 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:21:23.65 ID:c815CLOu0

(;^^ω)(げっ…)

(;`´ω)(は、早く起きろ!!!)

(li^ω^)(え、ちょっとまっ)

(;`´ω)(待ってられるか!!)

(li^ω^)(だ、だってまだ痛くて)

(;`´ω)(ええい…)


(li゚ω゚ω)「ぎゃーー『いいから立てえ!!!』ーーー!!」


(li゚ω゚)「あだだっ、てか今何したんだお!? 体が勝手に!?」

(;`´ω)(んな話は後だ! 前見ろ前!)

(li^ω^)「…ん」


そう促され、見ればそこには、既に立ち上がり
平然とこちらを睨みつける姿があった。

43 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:23:50.04 ID:c815CLOu0

ξ゚听)ξ「成る程な…貴様の中には、もう一人居るのか」

(;^ω^)「へ」

ξ゚听)ξ「…前回の時からおかしいとは感じていたが、そういう事か」

(;^ω^)「…そ、それがなんだお」

ξ゚听)ξ「ふん…痴れた事を、突如として視界の外に刃を発生させるこの神具の力…
     そうでもなければ、受けきれるはずも無いだろう」

(;^ω^)「…あー」


…言われてみれば、確かに先の攻防は、瀬川が逐一誘導してくれていなければ
僕は気付く間もなく斬られて、終わっていたかもしれない。

そう思えたのは、先程感じた感覚から来た物だった。

まるで…瀬川が言おうとしている事が、考えている事が
僕自身から生まれた物であるような…そんな錯覚。


44 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:25:02.47 ID:c815CLOu0


( ^ω^)「でも少し違うお、僕の中に居るんじゃなくて
      この剣に入ってるみたいなんだお、んでそれが話しかてくるんだお」

ξ゚听)ξ「…神具に…? それが太陽の剣の特性か…?」

( ^ω^)「いや、それと」

(;^^ω)(…なに普通に話し始めてるんだ)

(;^ω^)「はっ!」

ξ゚听)ξ「む?」

(;^ω^ω)「『おいお前、さっきまで聞く耳持たずだったくせに、どういう心変わりだ』」

ξ゚听)ξ「ほう…もう一人か」

(;^ω^ω)「『…何を企んでる?』」

ξ--)ξ「何も、貴様は気に食わんが……腕だけは認めようと思ってな
     それにちょうど、このような嫌な形で攻め入る事にうんざりしていた所だ」

( ^ω^)「…?」

46 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:26:54.27 ID:c815CLOu0

ξ゚听)ξ「ならば、せめて今この場だけでも、
     少しは楽しませて貰いたい、それだけの事だ」

(;^ω^)「ちょ、ちょっと待てお? うんざりって、どういう意味だお?」

ξ--)ξ「この現状の事だ、こそこそと一方的に攻め入り
     そして管理者の力を以ってして破壊行動をするなど」

ξ゚听)ξ「このような決着は、私の主義に反する」


言っている事がいまいち理解できない
つまり何か? ツンは嫌々ここに居るって事なのか?


(;^ω^)「なんで…だお? だってお前等この国を本気で潰す為に来たんじゃないのかお?
       理由は知らないけど、嫌ならなんでここに居るんだお?」


ふとした違和感、何かがおかしい。

そんな直感にも似た思いが胸を焦がし
気付けば僕は問いかけていた。


ξ--)ξ「……貴様が、それを言うか……」


47 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:27:57.98 ID:c815CLOu0

(;^ω^)「へ?」

ξ゚听)ξ「とぼけるな、我が国の神具を盗み出しておいて…よくも言う!」


盗み出した…?

そういえば以前にもツンはそんな事を言っていた…。

けれど。


(;^ω^)「いや、ていうか…我が国の神具って…自分で持ってるじゃないかお」


僕にしてみれば、いたって当然の疑問だった
しかし、対するツンは怒りをあらわにし、叫ぶように言った。


ξ゚听)ξ「何を言っている…!? 我が国の神具の名は破滅!」

(;`´ω)(!?)

ξ゚听)ξ「持ち主に、死のみを与えると伝えられ、禁忌とされた忌まわしき魔剣だ!」

(;゚ω゚)「は…?」


48 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:29:56.92 ID:c815CLOu0

ぐらり、と何かに気付きそうになった頭が混乱し
軽い眩暈にも似た感覚が襲う。


ξ゚听)ξ「本来なら…この月鏡を貰い受ける代わりとし、ルファウスに差し出すはずだった
     それを…貴様等が盗み出したおかげで…!」

(;`ω´)「いやいや! 待てお!! 何言ってるんだお!?」

(;`ω´ω)「『あれはお前等が勝手に落としていったのだろうが!』」

ξ♯゚听)ξ「……貴様、どこまで人を馬鹿に」


(;`ω´ω)「『違う、聞け! あの神具はお前が最初に攻めて来た時よりも前!
       モララーとか言う輩が連れて来た、お前の所の兵が持ってたんだぞ!?』」


ξ;゚听)ξ「…何?」

(;`ω´)「モララーと、手を組んでるんじゃない…のかお?」

ξ゚听)ξ「モララー…あのルファウスの使者とやらか?」

(;`ω´)「ルファウスからの…?」

(;`ω´ω)「『そうなのか…? 奴は双国にも、VIP国崩壊時にも居たと聞くぞ?』」

(;`ω´)「いやそれ以前に…あれ?」
52 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:31:41.35 ID:c815CLOu0

ξ;゚听)ξ「…………まさか…」

ξ--)ξ「……………………」


どうにも何かが引っかかって言葉に出来ない
そんな悶々とした思いに悩んでいると、ツンが静かに握っていた剣を鞘へと戻した。


(;^ω^)「…?」


ξ゚听)ξ「………太陽、一ついいか?」

(;^ω^)「お?」

ξ゚听)ξ「どうにもきな臭い事がある……今回の事を発案してきたのはそのモララーと言う男で
     そして、そいつは今、こちらを陽動に中央へ向かっている」

(;^ω^)「えーと、つまり?」


ξ--)ξ「…私がここに居る事も、わざわざ三つに分けたのも、全ては囮
     そしてその隙に奴が日陽の中央へ攻め込み、破滅と、そして巫女を殺し決着をつける」

ξ゚听)ξ「これが今日、行われようとしている計画だ」

54 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:34:08.84 ID:c815CLOu0

(;゚ω゚)「な…で、でもちゃんと三つとも、僕の友達が向かって」

ξ゚听)ξ「黒い剣を持つ管理者が居る、とでも聞いてか?」

(;゚ω゚)「…まさか」

ξ゚听)ξ「そういう事だ、そして…もしも貴様が言った先の事が事実なら
     奴にもう一度破滅を手にさせる訳にはいかん…」



ξ゚听)ξ「一時休戦だ、手を貸せ」




………。




57 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:36:59.61 ID:c815CLOu0



「う…ぐ…」


蹴り飛ばされた腹部が、猛烈な痛みを訴える
もう出せる物なんかないのに、喉は吐き気を繰り返す。


「ごほっ…げほっ…ぜっ、ぜぇ…」


それでも必死になって息を整える
立ち上がらなくては、寝てる場合じゃないのだから。


「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


聞こえてくる、泣き声。

言葉になれない、悲痛な音。


「あーもう、うるさいなぁ…」


煩わしそうに言い放つ、男の足元には何故か何も無かった。

59 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:38:42.11 ID:c815CLOu0

そこには赤と、白と、鮮やかな色をした得体の知れない物をはみ出させ
切断された、小さな女の子の四肢が転がるばかりで、僅かに跳ね飛んだ液体が染みを作るだけで
やはり何も無い、濡れていない、何も零れていない。

血が、流れていない。

あまりに不気味な映像は、ここが現実であるのかどうかを麻痺させた

だからだろう。


(♯´ ω )「その足をどけろおおおおお!!!!」


僕は恐怖する事さえ忘れて


( ・∀・)「お、いいねー」


殴られようと、蹴られようと、ただ…


(♯` ω )「!!!!!!」

( ・∀・)「ざんねーん、でもさー…」

61 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:39:31.63 ID:c815CLOu0

笑顔のままで、踏みつける足をどけたくて。

僕を庇って貫かれる事になった、あの剣をどけたくて。


( ・∀・)「これもう死んでるのに、よくがんばるねー」


男が横たわる身体を蹴った。

頭が、ごろんと回って、顔がこっちを向いた。


( 、 川


蒼白の表情、目も口も半開きのまま。
まるでそこだけ時間が止まってしまった様に見えた。

だから余計に、信じられなくて。


どうして動かないのか

どうして笑わないのか


62 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:40:35.93 ID:c815CLOu0

自問して。


もう、ここには居ないから?


自答した。



気が狂いそうだった、何もかもがグチャグチャで
叫ぼうにも、喉は声の出し方を忘れたように痙攣を繰り返すばかり
自分でも気持ちの悪い呼吸音だけが喉から響いてくる。


( ・∀・)「あはは、なーんか放っといても死んじゃいそうだねー」


そんな僕を見て、男は何か閃いた様子で言った。


( ・∀・)「…そうだ!面白い事思いついたー!」


そして、本当に嬉しそうに笑うと。

余程それが楽しみなのだろう、何度も含み笑いを浮かべながら言葉を続ける。


63 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:44:50.87 ID:c815CLOu0

( ・∀・)「流石にねー、これはやりたくないんだけどー、君があまりに必死だからー」

( ・∀・)「僕からのプレゼントー!」


何を思ったか、男は寝転ぶ彼女に突き立てた剣を引き抜き
あくまでも軽い動作で、黒色の剣を自分の腕に突き刺した。


痛そうだ、当たり前だ、意味が分からない。

どこかで、女の子の悲鳴が上がった。


そして男は、今度は辛そうな表情で。


(;・∀・)「吸血鬼…って知ってるかなー?」


僕を見つめながら問いかけた
答える気は無いが、そもそも聞く気も無いのか
そのまま言葉はすらすらと続いて行き。


(;・∀・)「そう化物の一種だねー、それでさ…こんなの聞いた事無い?」


65 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:45:33.08 ID:c815CLOu0

嫌な予感がした。
嫌な確信があった。


男は腕から剣を引き抜くと、腕と、剣に赤黒い血が滴る


(;・∀・)「噛まれて、血を吸われた者は…」



やめろ、やめろ…。

声が、出ない、叫べない。



( ・∀・)「吸血鬼の、しもべとなると言う」


男は、振りかざした剣を強く、突き刺した
二度目のそれを受けても、彼女は何の反応も示さない。


そう、何の反応も示さずに、静かに立ち上がった。


(゚、゚ 川「…」

66 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:46:54.08 ID:c815CLOu0

(;・∀・)「ふぅーうまくいったー…」

(゚、゚ 川「……」

( ・∀・)「じゃ、はい、これ持ってねー」


何の意思も感じられない表情で、虚空を見つめたままの彼女に
男が何かを手渡した、それは細長く、銀色に輝いている。

と、そこへ。

一人の女の子が、彼女へ向けて涙を流し駆け寄った
もう、状況の判断がついていないのだろう。

「……ぁ…ぺ、に…さす…?」


鮮血が飛び散り、肩口から斬り裂かれ
そのまま名を呼んだ彼女に向けて、倒れこんだ。



頭の中は、もう真っ白で



67 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:47:22.07 ID:c815CLOu0



返り血を浴びて、紅く染まる彼女が僕へ向きなおし。

一歩、一歩ゆっくりと近寄る姿を。




何も考えられない




ただ、見つめている事しか…できなかった。





68 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:50:06.95 ID:c815CLOu0





     
         【 次回予告 】






71 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:52:13.01 ID:c815CLOu0



 


  次回 第22会 「訪れた限界」




73 名前: ◆6Ugj38o7Xg :2007/10/10(水) 03:56:15.78 ID:c815CLOu0



ミ,,゚Д゚彡「空気を読んで、簡潔にしてみました
     いえ、決して作者取材の為予告は休みとかそういうのじゃなく」

(*゚ー゚)「…その発言で台無しにしてると思う」

ミ,;゚Д゚彡「!?」

(*゚∀゚)「読んでくれなきゃ、泣いちゃうぜー」
                         つづく、、、I

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