27 名前: ◆piEfblYWC. :2006/12/11(月) 00:35:21.99 ID:/yAHjX5c0
ξ゚听)ξ 「タカシ・・・」

从'ー'从「おう・・・久しぶりだなツン」

一時間後、ツンはタクシーに乗って荒巻のログハウスまでやってきた。
ツンは一目タカシを見るなり唇を震わせ、静かに涙を流し始めた。

从;'ー'从「お、おい、なにも泣かなくてもいいじゃねえかよ・・・」

ξ;凵G)ξ「バカッ!心配してたんだからね!」

从;'ー'从「いやホントすまねえ、でもなアーティストたるもの思いついたら即行動しちまうからさ・・つい」

ξ;凵G)ξ「ついじゃない!あの約束信じてわたしずっと待ってたの!」

28 名前: ◆piEfblYWC. :2006/12/11(月) 00:36:12.45 ID:/yAHjX5c0

从'ー'从 「ああ、だからその約束を果たすために旅に出たんだ」

ξ゚听)ξ 「え・・・?」

从'ー'从「やっと自分の道を見つけたんだ。俺は世界一のからくり職人になる。からくり人形の素晴らしさを世界中に伝えてやる」

ξ゚听)ξ 「・・・」

从'ー'从「あの時は自分に自信がなくて、言えなかったけど、今なら言える」

ξ*゚听)ξ 「うん・・・」

从'ー'从「俺と結婚してくれ」

29 名前: ◆piEfblYWC. :2006/12/11(月) 00:36:42.90 ID:/yAHjX5c0
( ^ω^)「・・・・・」

(´・ω・`)「・・・・・・」

川*゚ -゚)「・・・・・・・」

(*‘ω‘ *)「・・・・・」


/ ,' 3「フォッフォッフォ。世界一のからくり職人はワシじゃよ・・・」


30 名前: ◆piEfblYWC. :2006/12/11(月) 00:37:32.17 ID:/yAHjX5c0
( ´∀`)「あのやんちゃ坊主だったタカシさんもとうとう・・・」

(●・`д・)「嫁さんができるってか!そいつはめでたいぜ!」

(=゚ω゚)「しかも相手はなかなかの美人だよう」

( ><)「美男美女カップルです!」


('A`)「ダッハハうひーまだ笑いがとまらねー誰か助けてー」

(`;ω;´)「ひどいや・・・ツンちゃん、今なにしてるんだろ・・・」

34 名前: ◆piEfblYWC. :2006/12/11(月) 00:38:35.87 ID:/yAHjX5c0
/ ,' 3「ところでお二人さん、邪魔するようで悪いんじゃが、積もる話は後にして本来の目的を果たしてしまわんかの」

ξ*゚听)ξ「あ・・・そうだった何しに来たんだっけ・・?」

从'ー'从「お、そうそうこれだこれ」

タカシは作業台の上に置かれているギコ猫を指差した。

ξ゚听)ξ 「あっ・・・ギコちゃん・・・どうしてここに?」

从'ー'从「まったくだ。こっちが聞きたいくらいだよ」

/ ,' 3「道端に落ち取ったらしいんじゃが・・・」

从'ー'从「ん?爺さんが拾ったんじゃねーの?」


35 名前: ◆piEfblYWC. :2006/12/11(月) 00:39:21.17 ID:/yAHjX5c0
/ ,' 3「いや、見つけてここまで運んだのは人形達じゃよ」

从'ー'从「ふーん、またか。アイツらも暇なんだな」

ξ゚听)ξ 「え・・・ちょっと人形が運んだってどういうこと?」

从'ー'从「ん、いやまあ話すと長くなるんだがな」

/ ,' 3「つまりじゃな」

荒巻はからくり人形達が陳列されてるケースのほうを見ながら言った。
37 名前: ◆piEfblYWC. :2006/12/11(月) 00:40:35.72 ID:/yAHjX5c0
/ ,' 3「人間は誰でも生きてる限りエネルギーを放射しておる。君もワシも、タカシも例外なく」

ξ゚听)ξ 「はあ」

/ ,' 3「まあ日々の生活に疲れてなかなか放射できん奴らもおるがの」

从'ー'从「ま、この社会に出てるほとんどの人間がそうだけどな。金か夢かわからない暮らしってヤツさ」

/ ,' 3「で、まあワシみたいな尋常ではないエネルギーを持った人間がモノを創るとな」

从'ー'从「そのエネルギーが作品に宿り始めるってやつだろ?耳タコだぜ」

ξ゚听)ξ 「?????」
39 名前: ◆piEfblYWC. :2006/12/11(月) 00:41:23.65 ID:/yAHjX5c0
/ ,' 3「まあ別にからくり人形に限ったことではなくてな、例えば小説なんかもそうじゃ」

从'ー'从「ツンも感動した小説や映画や音楽のひとつくらいあるだろ?」

ξ゚听)ξ 「そりゃあ・・・まあ、あるけど・・・」

/ ,' 3「優れた作品には作り手の燃えるようなエネルギーが込められとる。その作品に宿ったエネルギーは人を泣かせたり笑わせたり、人の感情を揺さぶることができるんじゃ」

从'ー'从「作品に宿ったエネルギーと、読み手のエネルギーがぶつかり合うのさ」

ξ゚听)ξ 「うん・・・」

40 名前: ◆piEfblYWC. :2006/12/11(月) 00:42:11.74 ID:/yAHjX5c0
/ ,' 3「作り手と読み手、魂と魂のぶつかり合いじゃ。互いの持つエネルギーが多ければ多いほど、激しくぶつかり合う」

从'ー'从「つまりより感情が揺さぶられる」

/ ,' 3「まあエネルギーでも色んな波長があるからの。人によって合う合わないはあるがの」

从'ー'从「ようするに好き嫌いだな」

/ ,' 3「で、まあその作り手のエネルギーが込められたモノは、そのモノ本来の仕事を忠実にこなすようになる」

从'ー'从「それが作り手の願いだからな」

/ ,' 3「例えばその腕時計」
42 名前: ◆piEfblYWC. :2006/12/11(月) 00:43:16.51 ID:/yAHjX5c0
(´・ω・`)「・・・・・!」

ξ゚听)ξ 「あっ、この腕時計・・・どうしてここに!?」

/ ,' 3「これもお前さんのか?ちょうどいいわい直しといてやったから、はめてみなされ」

ξ゚听)ξ 「はい・・・でも、少し違うような・・・」

/ ,' 3「ワシがはめるつもりじゃったから、少しワシ好みに改良したが、まあ悪くはなかろう」

ξ゚听)ξ 「はい・・・でもレトロ調で前よりオシャレかも・・」

ツンは腕時計を手に取るとそっと腕にはめた。


43 名前: ◆piEfblYWC. :2006/12/11(月) 00:43:45.60 ID:/yAHjX5c0
(´・ω・`)「ツンちゃんの腕だ・・・・夢じゃないよね・・・」

( ^ω^)「よかったお。腕時計とっても嬉しそうだお」

川*゚ -゚)「しまらない顔しやがって」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽっぽ」

44 名前: ◆piEfblYWC. :2006/12/11(月) 00:44:23.37 ID:/yAHjX5c0
/ ,' 3「モノだけじゃないぞ。人にだってその人にしかできない本来の仕事がある」

ξ゚听)ξ 「えっ・・・」

从'ー'从「俺の仕事は世界一のからくり職人になって、世界中の人を楽しませたり驚かせたりすることだ」

/ ,' 3「フォッフォッフォ。ツンさん、君の仕事はなにかね?」

ξ゚听)ξ 「私の仕事・・・・」

/ ,' 3「君の作り手は誰じゃ?」

ξ゚听)ξ 「私の作り手?」

从'ー'从「お前は誰から生まれてきた?」
46 名前: ◆piEfblYWC. :2006/12/11(月) 00:44:56.90 ID:/yAHjX5c0
ξ゚听)ξ 「お母さん・・・」

/ ,' 3「君には君の作り手であるご両親の願いがこめられとる」

ξ゚听)ξ 「あっ・・・」

从'ー'从「人は皆、幸せになるっていう仕事を持って生まれてくる」

/ ,' 3「それが作り手の一番の願いじゃからな」

ξ゚听)ξ 「そっか・・・」


47 名前: ◆piEfblYWC. :2006/12/11(月) 00:45:27.84 ID:/yAHjX5c0
/ ,' 3「まあ、幸せになる方法は千差万別じゃからの。皆それで悩む」

从'ー'从「なかなか見つけられるもんでもないしな」

ξ゚听)ξ 「そうだよね・・・」

从'ー'从「恋愛だってそうだぜ。魂と魂のぶつかり合いさ」

/ ,' 3「互いの持つエネルギーが多ければ多いほど、合えば合うほど激しくぶつかり合う」

ξ゚听)ξ 「うん・・・」
49 名前: ◆piEfblYWC. :2006/12/11(月) 00:46:17.36 ID:/yAHjX5c0
( ^ω^)「なんか話が盛り上がってるお」

川*゚ -゚)「早くギコを直してほしんだがな」

(´・ω・`)「ツンちゃんの腕・・・とってもあたたかいなり・・・」

(*‘ω‘ *)「しょうがないっぽ。先に直してもらうっぽ」

柱時計は再び大きく振り子を鳴らした。低く優しい音は深夜のログハウスにゆっくりと響き渡る。
51 名前: ◆piEfblYWC. :2006/12/11(月) 00:47:22.31 ID:/yAHjX5c0
/ ,' 3「おっと、いかんいかん。このからくり猫を直してやらにゃ」

从'ー'从「おっとまた脱線しちまったか。すぐ直してやるからな。ちょっと見せてくれよ」

タカシは作業台に座ると、ライトを付けギコ猫を直し始めた。

/ ,' 3「ほうほう。そこはそうなっとるんか。なるほどな」

从'ー'从「ここはカムを色々改造してあるから、部品が特殊なんだ。ヤスリ貸してくれ」

/ ,' 3(ほほお・・・こやついつのまにこんな難しい技術を・・・これは世界一も夢じゃないかものう・・・)
53 名前: ◆piEfblYWC. :2006/12/11(月) 00:48:04.84 ID:/yAHjX5c0
ξ゚听)ξ 「あれ・・・この目覚まし時計?」

( ^ω^)「おっ!おっ!ツンちゃん!ここだお!」

ξ゚听)ξ 「砂時計も?」

川*゚ -゚)「ふん、ようやく気付いたか」

ξ゚听)ξ 「おっかしいなあ・・・途中で荷物落っことしたんだろうなあきっと」

川*゚ -゚)「ホントは盗まれたんだがな」

( ^ω^)「過去のことはどうでもいいお!結果オーライだお!」

ξ゚听)ξ 「あの引越し業者に文句いってやらないと・・・」


54 名前: ◆piEfblYWC. :2006/12/11(月) 00:48:41.65 ID:/yAHjX5c0
(*‘ω‘ *)「深夜3時をお知らせするっぽ。ボーンボーンボーン」


( ´∀`)「あのからくり猫直ったのかモナー?」

(●・`д・)「タカシさんがきたんだろ!?もう直ったも同然だぜ!」

(=゚ω゚)「あっ動き出したみたいだよう!」

( ><)「しかも前より動きがキレてます!」


55 名前: ◆piEfblYWC. :2006/12/11(月) 00:49:18.70 ID:/yAHjX5c0
ミ,,゚Д゚彡「うわあああああ轢かれるうううう!!!・・・・・って・・ん?・・あれ・・?」

( ^ω^)「ギコ!」

川*゚ -゚)「・・・おかえり」

(´・ω・`)「ツンちゃんの腕・・・とっても暖かいなり・・・」

ミ,,゚Д゚彡「おお!?ここはどこだ?」
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