1 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:22:46.13 ID:sMM/0qe70
( ^ω^)「ジリリリリリリリ!!!!」

ξ゚听)ξ「うーん・・・うるさい・・・」

ベッドのふとんの中からツンの手がにゅっと飛び出し、ベルの停止ボタンを押した。

( ^ω^)「・・・・・」

―5分後―

( ^ω^)「ジリリリリリリ!!!!」

ξ゚听)ξ「ああ、もう昨日は部長がなかなか帰してくんなくて、全然寝たりないのに・・・」

ツンはブツブツとぼやきなら、起き上がった。

( ^ω^)「リリリリリ!!!!」

ξ゚听)ξ「るっさいっての!!!!」

パシッ!

( ^ω^)(いたいお・・・・)

ξ゚听)ξ「あっ、もうこんな時間だ! いそがなきゃ!」

ツンはあわててベッドから飛び出すと、素早く顔を洗い、着替えと化粧を済ますとバタバタと出掛けて行った。

2 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:23:27.50 ID:sMM/0qe70
('A`)「・・・・・」

( ^ω^)「・・・・」

('A`)「・・・おい目覚まし時計」

( ^ω^)「・・・・なんだお、壁時計」

('A`)「お前も毎朝毎朝、大変だな・・・・」

( ^ω^)「・・・別にこれが僕の仕事だからいいんだお」

3 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:24:16.60 ID:sMM/0qe70
('A`)「そうか・・・お前はエライよな・・・」

( ^ω^)「なにがだお?」

('A`)「俺なんかおめえ、ただ壁にぶら下がってるだけなのによ・・・」

( ^ω^)「お?」

('A`)「お前は毎朝パシパシ叩かれながら、頑張ってるじゃねえか」

( ^ω^)「そう言われると、そんな気もするお。やっぱ壁にぶら下がってりゃいいだけの奴とは違うんだお」

('A`)(ヒドイ・・・一番気にしてることを・・・)

4 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:24:48.77 ID:sMM/0qe70
(´・ω・`)「・・・・・」

( ^ω^)「・・・・・」

('A`) 「おい・・・・・」

( ^ω^)「また何か用かお? 壁時計」

('A`)「お前じゃねえよ、目覚まし時計。俺はそっちの腕時計に話しかけてんだ」

(´・ω・`)「・・・・何だい?」

5 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:26:06.30 ID:sMM/0qe70
('A`)「おめえ、いつもツンちゃんの腕にくっついて一緒に出掛けるのに、なんで今日はいるんだ?」

(´・ω・`)「ツンちゃんはあわてんぼさんだからね、今日みたいな慌ただしい朝は、たまに僕を着け忘れたりするんだ」

('A`)「ふうん・・・・」

( ^ω^)「お・・・? よく見ると腕時計、レンズにキズがついてるお?」

(´・ω・`)「ああ・・・これは昨日ビアホールでツンちゃんが酔っ払って、転んだときについた傷さ。すぐに新しい部品と取り替えてくれるよ」

6 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:26:51.72 ID:sMM/0qe70
('A`)「・・・楽しそうだな。色んなとこ行けてよ」

(´・ω・`)「そうでもないよ。これでも結構大変なんだ。電車に置き忘れられたり、地面に叩き付けられたり、コーヒーこぼされたり」

( ^ω^)「それに比べたら、僕なんかまだマシだお・・・」

('A`)「いいよなあ・・・俺も一回でいいから外の世界を見てみたいなあ」


7 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:27:12.75 ID:sMM/0qe70
川*゚ -゚)「・・・・・・」

( ^ω^)「・・・・・・・」

(´・ω・`)「・・・・・・」

('A`)「・・・・・おい砂時計」

川*゚ -゚)「・・・・・・・・」

('A`)「・・・おいってば」

川*゚ -゚)「・・・何だ壁」

8 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:27:34.53 ID:sMM/0qe70
('A`)「壁ってゆうなよ・・・ただの壁みたいじゃんか・・・」

( ^ω^)(似たようなもんだろがお)

川*゚ -゚)「うるさい何だ」

('A`)「・・・お前の仕事って何かあるのか?」

川*゚ -゚)「お前には関係ない」

('A`)「そんなこと言わずに教えてくれよ・・・」

9 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:28:13.80 ID:sMM/0qe70
(´・ω・`)「たぶん、名前の通り、砂で時間を計ることだと思う」

川*゚ -゚)「それだけじゃない、私はインテリアとしても役立っている」

( ^ω^)「かっちょいいお」

('A`)「インテリアって何・・・・?」

(´・ω・`)「つまり室内をおしゃれに飾るための道具だね。ただそこにいるだけで、仕事をこなしてるってわけさ」

('A`)「つまり系統としては俺と一緒ってことか」

川*゚ -゚)「どういうことだ」

11 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:28:44.60 ID:sMM/0qe70
('A`)「ただそこにいるだけで、存在自体が役に立っているってことさ」

(´・ω・`)「僕と目覚まし時計のように、本来の役目プラスの付属価値はないけどね」

川*゚ -゚)「私は底に付いてるボタンを押せば、ピカピカ光るんだぞ」

( ^ω^)「すげえお!」

(´・ω・`)「へー今度見てみたいな」

('A`)「・・・・・・」

( ^ω^)(壁時計は自分のアイデンティティーに悩んでるんだお・・・なんかかわいそうだお)

13 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:29:26.88 ID:sMM/0qe70
('A`)「おい・・・目覚まし時計・・・」

( ^ω^)「さっきから一体なんの用だお?」

('A`)「俺の上にたまってるほこりが限界を超えそうなんだ・・・このままだと故障しそうなんだが・・・」

( ^ω^)「きちゃいないお」

('A`)「しょうがないだろ! 俺はお前らと違って動かしにくい場所に付いてるんだから・・・」

( ^ω^)「でも僕にはどうすることもできないお」


19 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:30:43.64 ID:sMM/0qe70
(´・ω・`)「まあ暮れの大掃除まで待つことだね」

川*゚ -゚)「果たして今年は大掃除してくれるだろうか」

( ^ω^)「去年もおととしもしなかったお。今年も無理かもお」

('A`)「おい! それじゃ俺死んじゃうよ!」

( ^ω^)「宿命とかいてさだめと読むやつだお」

(´・ω・`)「あきらめなよ、ハハハ」

川*゚ -゚)「眠い」

('A`)「お前らそれでも時計かよ・・・」

21 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:32:25.51 ID:sMM/0qe70
( ^ω^)「しょうがねえお。まったく、世話のかかる時計だお。ちょっと待ってお」

そう言うと目覚まし時計はベルを鳴らして体を振動させ始めた。

( ^ω^)「ジリリリリリリリ!!!!!」

(´・ω・`)「お、ちょっとずつだが振動で動いてる」

川*゚ -゚)「やるな」

('A`)「恩に着るぜ!」

23 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:33:38.28 ID:sMM/0qe70
目覚まし時計は体を震わせ、壁時計の真下まで移動した。

( ^ω^)「こっからが大変だお」

目覚まし時計は全体を壁に密着させると、こんどはより激しくベルを鳴らした。

( ^ω^)「ジリリリリリリリリ!!!!」

振動は壁を伝い、やがて壁時計まで伝わった。

('A`)「お・・・ブルブルする・・・こりゃ肩こりにいいな・・・」



25 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:34:26.57 ID:sMM/0qe70
( ^ω^)「ジリリリリリリリ!!!!!」

('A`)「しかし、ほこりもここまで積もると、なかなか落ちんな・・・」

( ^ω^)「ジリリリリ!!!!!」

目覚ましは時計頑張ってベルを鳴らし続けた。

そして、10分が過ぎようとした頃・・・。

26 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:35:54.88 ID:sMM/0qe70
<#ヽ`∀´>「さっきからうるせーニダ!!!!さっさと起きて目覚まし止めろニダ!!!」

と隣の部屋の住人が怒鳴り、壁越しにドンと蹴りを入れてきた。

その衝撃で壁時計の止め具が外れ、壁時計は目覚まし時計めがけて真っ逆さまに落ちてきた。


27 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:36:22.07 ID:sMM/0qe70
(;'A`)「逃げてええええええ!!!!」

(;^ω^)「うわああああああ急には無理だお!!!!」

ガッシャーン!!

28 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:37:49.59 ID:sMM/0qe70
´・ω・`)「ああ・・・」

川*゚ -゚)「南無」

( ^ω^)「・・・・お?」

(´・ω・`)「大丈夫か? どこか壊れたとこはないか?」

( ^ω^)「平気みたいだお・・・お? 壁時計?」

('A`)「・・・・・・・」

29 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:40:08.60 ID:sMM/0qe70
川*゚ -゚)「衝撃で電池が外れたみたいだぞ」

(´・ω・`)「ほんとだ。まあついでにほこりも取れたし、よかったんじゃないかな」

川*゚ -゚)「一件落着だな」

( ^ω^)「じゃあ元の場所に戻るお」

(´・ω・`)「お疲れ」

( ^ω^)「ジリリリリリリリ!!!!」

<#ヽ`∀´>「うっせえつってるだろがニダ!!!」

32 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:41:10.24 ID:sMM/0qe70
( ^ω^)「ふう、壁時計も静かになったし、これで少しは落ち着け・・・・」

(;´・ω・)「うわあああああ!!!ゴキブリだ!!!!」

川*゚ -゚)「こっちくんな」

(;^ω^)「あっ!!僕の方へくるお!!!」

(;´・ω・)「ベルを鳴らして追っ払うんだ!!」

(;^ω^)「了解だお!!!ジリリリリリリリ!!!」


34 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:42:55.29 ID:sMM/0qe70
川*゚ -゚)「動きを止めたぞ」

(;^ω^)「ジリリリリリリ!!!!!」

(;´・ω・)「戸惑ってるぞ! もう少しだ!」

(;^ω^)「ジリリリリリリ!!!!!」

<#ヽ`∀´>「あああああ!!!!さっきから何なんだニダ!!!気になってゲームに集中できないニダ!!」

ドスドスと壁を蹴る音が響き、部屋全体が揺れた。


36 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:43:40.51 ID:sMM/0qe70
(;´・ω・)「隣の住人がファビョり始めた・・・」

川*゚ -゚)「放っておけ」

(;^ω^)「ジリリリリリリ!!!!!」

(;´・ω・)「あっ進路を変えた!」

川*゚ -゚)「壁時計のほうへ言ったぞ」

38 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:45:02.09 ID:sMM/0qe70
(´・ω・)「・・・なんか壁時計のこと気に入ったみたいだ・・・ずっと止まったまま動かないや」

川*゚ -゚)「ほこりまみれだしね」

( ^ω^)「ふう・・・助かったお・・・」

<ヽ`∀´>「まったくいい迷惑ニダ。人の迷惑考えない奴は最悪ニダ。今度会ったら注意してやるニダ。あっ・・・全滅したニダ・・・・」


39 名前:◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 02:46:26.15 ID:sMM/0qe70
( ^ω^)「ゴキブリの野郎、壁時計から離れないお」

(´・ω・`)「よっぽど気に入ったんだね」

川*゚ -゚)「また動かれても嫌だし、このままでいいんじゃない」

( ^ω^)「壁時計の電池が外れて、意識が飛んでてよかったお・・・」
65 名前:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 03:35:41.80 ID:fV/bhU2V0
ξ゚听)ξ「まったく、なんなのよ隣の奴・・・」

ツンが勢いよくドアを開けて、帰ってきた。
ゴキブリは物音に気付くと、壁時計から離れ、さっと冷蔵庫の下にもぐりこんだ。

ξ゚听)ξ「ずっと目覚ましが鳴ってうるさいだなんて、あたしいつもすぐに止めてるわよ。頭おかしいんじゃないの」

ツンはブツブツと言いながら、冷蔵庫からビールを取り出し、プシュっと開けると、トクトクとコップに注ぎ始めた。

66 名前:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 03:36:47.96 ID:fV/bhU2V0
ξ゚听)ξ「あーあ、今日も疲れた。どっこいしょっと」

コンビニの袋からつまみを取り出して口に入れ、ビールで流し込む。

ξ゚听)ξ「タカシにメール打っても返ってこないし・・・あーあ自然消滅狙ってんのかなあ、アイツ・・・」

ξ゚听)ξ「あ、そうだ! さっき買ってきた新しい腕時計してみよっと!」

ツンはそう言うなり、紙袋から小さな箱を取り出した。
綺麗に包装されている箱を開けると、中からはいかにも高価そうな腕時計が出てきた。

ツンは鏡の前へ立ち、その腕時計を付けると、嬉しそうにポーズを取った。

67 名前:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 03:38:11.54 ID:X/khzA2M0
ξ゚听)ξ「やっぱ高かったけど、買ってよかったな。前のキズが付いちゃったし」

ξ゚听)ξ「さてと、お風呂は入ってこよっと」

腕時計を外してテーブルの上へ置く。

ξ゚听)ξ「あれ? 壁時計が落ちてる・・・なんでだろ?」

ツンはベッドの上に落ちた乾電池を拾い上げ、壁時計に差し込むと、元の位置に戻した。

ξ゚听)ξ「時間を合わせて・・・これでよし、と。さ、お風呂は入ってこよっと」

68 名前:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 03:40:50.48 ID:X/khzA2M0
('A`)「ん・・・・・?」

( ^ω^)「おかえりだお」

('A`)「なんか6時と7時のあたりがズキズキ痛むな・・・」

(´・ω・`)「君の止め具が衝撃で外れて、落ちたことは覚えてるだろ?それで電池が外れたんだ。それからゴキブ・・・おっと」

( ^ω^)「いろいろ大変だったんだお」

川*゚ -゚)「だが望みどおりほこりはとれたぞ」

69 名前:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 03:41:21.51 ID:X/khzA2M0
('A`)「そうか・・・迷惑をかけてすまなかった・・・」

(´・ω・`)「まあ無事でなによりさ」

('A`)「それと、なんか体中がギトギトするんだが・・・?」

(;^ω^)「・・・き、気のせいだお!」

('A`)「そうか」

川*゚ -゚)「・・・・・・・・」

70 名前:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 03:42:14.10 ID:X/khzA2M0
(´・ω・`)「・・・ハッ! そんなことより・・・・おいお前! テーブルの上のお前だよ!!」

(`・ω・´)「ん?」

('A`)「おっ新参か! いつのまに・・・」

川*゚ -゚)「壁が気絶してた間に来たんだ」

( ^ω^)「オサレな腕時計だお」

71 名前:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 03:43:29.12 ID:X/khzA2M0
(`・ω・´)「おっ、お前、目覚まし時計の割にはなかなか見る目あるな。俺の舎弟にしてやろう」

( ^ω^)「おっ?」

(#´・ω・)「おい! それが新参の口の利き方か!!」

(`・ω・´)「うっせえなあ・・・キズもんがガタガタ抜かすなや」

(#´・ω・)「ちょっと来い!! 体でわからせてやる!!」

川*゚ -゚)(面白い展開になってきた)

74 名前:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 03:48:34.68 ID:X/khzA2M0
('A`)「まあまあお二人さん・・同じ腕時計なんだし、仲良くしようぜ・・・な?」

(`・ω・´)「ふん・・・まあこれからは俺がツンちゃんのナンバー1腕時計だからな。ナンバー2はおとなしく引っ込んでな」

(#´・ω・)「なんだと!!!誰がそんなこと決めたんだ!!俺とツンちゃんにはな、切っても切れない信頼関係があるんだ!!」

(`・ω・´)「ははは!信頼だってよ!面白すぎて、へそで茶が沸かせるぜ!」

(#´・ω・)「お前にへそなんて高貴なもんはないだろうが・・・!」

76 名前:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/11(金) 03:51:01.37 ID:X/khzA2M0
('A`)「まあまあ、そう熱くなるなよ・・・おっと、ツンちゃんが戻ってきたぜ」

ツンがバスタオルを巻いて風呂から戻ってきたので、時計たちは一斉に口をつぐむ。

ξ゚听)ξ「ふあ〜あ、眠い。明日も早いから今日はもう寝ようっと」

ツンは大きなあくびをすると、目覚まし時計をセットして、布団にもぐりこんだ。

(´・ω・`)(見てろよ・・・明日の朝、ツンちゃんの腕に巻かれるのは、僕のほうだ・・・)

ツンの寝息が、かすかに聞こえてきた。
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