52 :作者 :2007/02/06(火) 00:27:36.83 ID:0Sy+KWQe0
第2話



(・ω・)ノ「いやぁ〜、今日も頑張ったよ、俺」


すっかり暗くなった住宅街を歩くこの男の名前はッパ。ブーンの父である。
ッパはこの国の犯罪を取り締まる「セレクト隊」に勤めている、ごく普通の
一般人である。そんなッパの前に突如として変態が現れた!!

_
( ○▽○)「………とうっ!!」


奇妙な掛け声と共に民家の屋根からッパの前に飛び降りてきた変態。必死に足を押さえている。
そりゃ痛いに決まってる。セレクト隊の仕事には当然「変質者を捕まえる事」も
含まれているが、こうも目の前に変態がいるのだと思うとッパの体は硬直した。

56 :作者 :2007/02/06(火) 00:28:29.51 ID:0Sy+KWQe0
  _
( ○▽○)「彩りましょう 食卓を」
  _
( ○▽○)「みんなで防ごうつまみ食い」
  _
( ○▽○)「常温保存で愛を包み込む」
  _
( ○▽○)「カレーなるメダロッター『快盗レトルト』参上!!」

(;・ω・)ノ「……解凍…レトルト…?」


変態だ。こいつは真性の変態だ。ッパの体中の細胞がそれを感じ取る。
ッパに迫る変態。タキシードを着込んで、なんか手品師みたいな帽子を被って、
マントを羽織って、挙句の果てには金田一少年の事件簿に出てくる容疑者がつけてそうな仮面をして
「レトルト」とか名乗りだす変態だ。その変態が右手を空中でにぎにぎさせながら
ッパに近寄ってくる。ッパはヘビに睨まれたカエルのように一歩も動く事ができない。

  _
( ○▽○)「…これをどうぞ」

59 :作者 :2007/02/06(火) 00:29:29.32 ID:0Sy+KWQe0
(;・ω・)ノ「………?」


にぎにぎされえいた右手からッパに手渡されたのは一枚の正六角形状の金貨のようなもの…


メダルだった。


  _
( ○▽○)「そのメダルをお子さんにあげるとよいでしょう。それではさらばだ!!」

「はーーーっはっはっはっはっ!!!!」


不気味な笑い声を上げて走り去っていったレトルト。屋根に飛び上ることはできなかったようだ。
その後姿はまさしく変態であった。


(・ω・)ノ「なんだったんだあの変態は…まぁいいや、忘れよう」


.....
62 :作者 :2007/02/06(火) 00:30:19.67 ID:0Sy+KWQe0
(・ω・)ノ「ただいまー」

J('ー`)し「おかえりなさい」

( ^ω^)「おかえりだお、とーちゃん!」

(・ω・)ノ「お、今日はカレーか。久し振りだなぁ」

( ^ω^)「ハフッ!ハムハムッ!ハフッ!」

J('ー`)し「きめぇwwwwwww」

(・ω・)ノ「ブーン、もうちょっと静かに食べれるようにならなくちゃダメだぞ」

( ^ω^)「はーい、だお」

J('ー`)し「もう…パパはいつもブーンに甘いんだから」

(・ω・)ノ「そんなこと言うなよ、ママ。俺たちの子じゃないか」

J('ー`)し「パパ…」

(・ω・)ノ「ママ…」

(;^ω^)「…ごちそうさまだおー…」

66 :作者 :2007/02/06(火) 00:31:20.98 ID:0Sy+KWQe0
ブーンの部屋


( ^ω^)「気まずさMAXだお……いい年こいていちゃいちゃするもんじゃないおね…」


ブーンが学習机の鍵つき引き出しに隠しておいたメダロッチを色々といじくりまわしているうちに、
階段を登る足音が聞こえてきた。ブーンはメダロッチをいじるのに夢中でその音に
全く気付いていない。


( ^ω^)(せっかくだしもう一回転送してみるおwwメダロットかっこよかったおw)

( ^ω^)「メダロット転送!だお」


光と共にブーンの部屋にメダルの入っていないメダロットが転送されるのと、
ブーンの部屋の扉が開かれるのはほぼ同時だった。


(・ω・)ノ「……ん?」

(;;^ω^)「とっとととととっとーちゃんかかかkおおおおおっ!!のの、のののの
     ノックくらいしてくれお!!!」

(・ω・)ノ「一応ノックはしたんだがな…返事がなかったから開けたんだが…
     もしかしてママに内緒でメダロット買ったのか?」

68 :作者 :2007/02/06(火) 00:32:44.83 ID:0Sy+KWQe0
( ´ω`)「あうあう…コンビニの兄ちゃんに強制的に売りつけられたようなもんなんだお…」

(・ω・)ノ「それは災難だったなぁ。…ん?メダルが入ってないじゃないか、このメダロット」


ッパはそういって床に座り込んでうなだれるメタルビートルの背中に取り付けられている
フタを開いてメダルをはめ込み、フタを閉めた!!


( ^ω^)「と…とーちゃん…?」

(・ω・)ノ「プレゼントだよ。ブーンもよく我慢したな。そろそろメダロットを持っても
     いい頃だろう。ママはとーちゃんが説得しておいてやるから安心しなさい」

( ;ω;)「とーちゃん!ありがとうだお!」

(・ω・)ノ「はっはっはっ、勉強もしっかりやるんだぞ?それじゃ、おやすみ」


扉が閉まり、階段を降りていく足音が聞こえなくなった頃、ブーンは小さく
ガッツポーズをとった。そして、超絶wktkしながらメダロッチに向かって言った。
でもね、ブーン。そのメダルはお父さんが知らないおじさんからもらってきたメダルなんだよ。
70 :作者 :2007/02/06(火) 00:33:58.70 ID:0Sy+KWQe0




( ^ω^)「カマン、マイパートナーーーーーー!!!」






71 :作者 :2007/02/06(火) 00:34:20.11 ID:0Sy+KWQe0





         |     
          |     
          |  ……ん?   
        ('A`) 
       ノ(へへ────────────────
      /
    /
  /




76 :作者 :2007/02/06(火) 00:35:28.23 ID:0Sy+KWQe0
( ^ω^)「……あのー…」

('A`)「……なに?」

( ^ω^)「マ…マスターのブーンですお。よろしくですお」

('A`)「………あぁ、」

('A`)「どうも……」

(;^ω^)(ちょ…調子狂うお…メダロットって皆こんなやつばっかなのかお…?)

('A`)「……マンドクセ」

( ^ω^)「も…もしかして機嫌悪いかお?」

('A`)「……別に」

( ^ω^)「そ…そうかお……」

('A`)「うん」

( ^ω^)「………」

('A`)「………」
82 :作者 :2007/02/06(火) 00:36:33.76 ID:0Sy+KWQe0
(;^ω^)「………」

('A`)「………」

(;^ω^)「な…何か話さないかお?」 

('A`)「…いいけど」

( ^ω^)「………」

('A`)「………」

(;^ω^)(話題Neeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!)

( ^ω^)「…あ!!」

('A`)「……?」

( ^ω^)「名前だお!!」

('A`)「…名前?」

( ^ω^)「君の名前だお!!僕の大事なパートナーなんだお!かっこいい名前つけてあげたいお!
     一緒に考えるお!!」

('A`)「マンドクセ」

( ^ω^)「ちょwwwなら僕が勝手に決めちゃうお?いいのかお?」

('A`)「うん」
88 :作者 :2007/02/06(火) 00:37:43.11 ID:0Sy+KWQe0
( ^ω^)「ホントにホントにいいのかお?僕は本気だお??」

('A`)「うん」

( ^ω^)「じゃあ…ちょっと考えるから待っててくれお!!ヒマだったらマンガとか読んでていいお!!」

('A`)「まんこ……」 

( ^ω^)(ブラックカイザー、とか…いかん、もろ厨二病だお。桃太郎…これはないお。
     うーん…何かないかお…?)


メダロットにつける名前を、まるで子供につける名前を必死に考える親のように考え込むブーン。
いい案が浮かばなかったのか、おもむろに部屋のテレビをつけた。


「今日未明、メダロポリスの高層マンションから37歳独身男性が飛び降り自殺をした事件ですが……」


( ^ω^)「君の名前はドクオだお」
98 :作者 :2007/02/06(火) 00:40:12.28 ID:0Sy+KWQe0
なんという決定力の早さ…こいつは間違いなく早漏。


('∀`)「………」

( ^ω^)「おっww気に入ってくれたかお?www」

('∀`)「……うん」

( ^ω^)「おっおっwwwwやっと笑ってもらえたおwwwこれからよろしくだお、ドクオwww」
101 :作者 :2007/02/06(火) 00:40:44.83 ID:0Sy+KWQe0
翌日



(;・ω・)ノ「やばい、寝坊したっ…ママ、どうして起こしてくれなかったんだい!遅刻しちゃうじゃないか!!」

J('ー`)し「何回も起こしたのに完全に熟睡してたみたいで起きなかったパパが悪いんじゃない」

(・ω・)ノ「まったく…仕事のある日はエッチなしって約束してたじゃないか…!」

J('ー`)し「誘ってきたのはパパじゃないの、もうww」

(・ω・)ノ「はは…そうだったな。すまない、今日は朝ごはんを食べている余裕はなさそうだ!」

J('ー`)し「はいはい、わかったわよ。それじゃあ行ってらっしゃい」

(・ω・)ノ「行ってきます。ブーンも学校遅れないようにな!」

( ^ω^)「わかってるおwww行ってらっしゃいだお!!」

103 :作者 :2007/02/06(火) 00:41:37.48 ID:0Sy+KWQe0
( ^ω^)「…さて、僕もそろそろ行くとするお!」

J('ー`)し「相変わらずいつも出発が早いわね、ブーンは。二人の朝が早いから私まで早起きしなくちゃ
     いけないじゃないの」

( ^ω^)「朝の静かな教室じゃないと勉強がはかどらないんだお!!」

J('ー`)し「この前の中間考査みたいな成績は勘弁しておくれよ。しっかり勉強しといで」

( ^ω^)「はいだお!行ってきますおー!!」
107 :作者 :2007/02/06(火) 00:42:34.38 ID:0Sy+KWQe0
両手を広げて自宅を飛び出したブーンは、制服のポケットに隠しておいた(念のために)メダロッチを
取り出し、歩きながらそれをうっとりと眺め、左腕に装着した。


(*^ω^)「うはwwwwかっこよすぎwwwww」


ブーンはいつも、自宅から徒歩5分圏内にある駅から電車に乗ってVIP高校へと通っている。
電車に乗っている時間は20分足らずなのだが、電車の中で座席に座りながらとうとう手に入れた
念願のメダロットとメダロッチを何度も何度も見つめていた。ちなみに公共の場ではむやみに
メダロットを連れ歩かないのがマナーだ。そして……


(;^ω^)「ちょwwwwめちゃくちゃ乗り過ごしてるおwwwwここどこだおwwww」

114 :作者 :2007/02/06(火) 00:44:59.16 ID:0Sy+KWQe0
メダロッチを眺める事に夢中で、電車がVIP高校の最寄り駅に到着していた事に気付かなかったブーンは、
数駅先の初めて聞いた駅名のアナウンスを聞いてようやく現実に引き戻された。すぐに次の駅で慌てて
電車を降り、反対側のホームから再びVIP高校の最寄り駅へと向かう。
大幅な時間ロスによって、ブーンがVIP高校に到着したのはいつもよりも約1時間遅れ、他の生徒達が
仲良し数人でグループを作って登校しているような時間であった。


( ^ω^)(間に合ってよかったお)


朝の挨拶を交し合う生徒たち。ブーンはそんな彼らを尻目に、下足箱でさっさとスニーカーから学校指定の
上履きへと履き替える。そして自分の教室へ向かおうとした時だった。

118 :作者 :2007/02/06(火) 00:46:15.78 ID:0Sy+KWQe0
「あ、ブーンだ!おはよう」

( ^ω^)「お、おはようだお!」


ブーンに声を掛けてきたのはクラスメイトの男子。昨日、ブーンにメダロットに関する相談を持ちかけてきた
男子生徒だった。
男子生徒はすぐにブーンの左腕にはめられている白いメダロッチに気がついたらしく、


「あ、今日はブーンもメダロッチしてきてるな!初めて見たかもしれんね」

(;^ω^)「そ…そそ、そうかお?これまでも時々ははめてきていたお?」

「あれー、そうだっけ?まぁいっか。ブーンはどんなメダロット使ってるんだ?ちょっとだけでいいから
見せてくれよwww」


( ^ω^)「学校はロボトルどころかメダロットの転送すら禁止だおwww先生に怒られるおwww
     一応教えておくと、KBT型のメタルビートルを使ってるお」

「メタルビートルって…旧式KBT型の!?すごいな、さすがブーンだよ!渋いなwww」

( ^ω^)「おっおっwwwそうかお?wwww」
120 :作者 :2007/02/06(火) 00:48:02.76 ID:0Sy+KWQe0
昨日初めてメダロットを手に入れたやからが何を抜かす、と言わんばかりにブーンは昨日ネットで
入手した、自分のメダロットに関する情報を男子生徒に一気に話した。


「ブーンはホントにメダロットに詳しいよなぁ…やっぱりロボトルも強いの?」


ここまでの会話で2度ほど出てきた『ロボトル』という単語は『ロボットバトル』の略称である。
もう容易に想像できるだろうが、メダロット同士を戦わせる遊びが『ロボトル』と呼ばれている。
しかしロボトルは単なるお遊びではなく、大きな大会も幾度となく開催されており、争いごとの解決にも
ロボトルが使われている。
斬の世界での一騎打ちが刀ではなくメダロットになったと思えばいい(←センター試験頻出)。
喧嘩になった時やメロンパンの取り合いになった時などもロボトルで勝負して、勝ったほうが
より大きな発言力を得る事が出来るのだ。もちろん、昨日メダロッターデビューを果たしたばかりの
ブーンにはロボトル経験などあるはずがないのだが…


( ^ω^)「ま、そこそこってとこかお」


堂々とふかしをこいた。だからピザは嫌なんだよ
124 :作者 :2007/02/06(火) 00:49:45.46 ID:0Sy+KWQe0
ところがどっこい、この発言がブーンを絶体絶命の窮地に追い込むことになった。


「じゃ…じゃあもしかしたら『スクリューズ』の連中にも勝てちゃうかもなwww」


スクリューズ。
校内でのメダロット転送やロボトルを禁じている以外は比較的校則の緩いVIP高校を束ねる
3人組のDQN集団である。ブーンはこういった連中が大の苦手でいつも関わることのないよう、
自らへ及ぶ被害が最小限のものに留まるよう注意深く行動していたのだが、メダロットを手に入れたことによって
有頂天だったブーンはそのとき、まともな判断をする事ができなかった。


( ^ω^)「あんなDQN共なら楽勝だおwwwww『プチッ』だお、『プチッ』wwwww」

「面白いこと言ってくれるじゃなぁーい?そこのピザ!」

(;^ω^)(こ…この声は…確か……)
126 :作者 :2007/02/06(火) 00:50:41.23 ID:0Sy+KWQe0
今の自分の発言を聞かれていたのだろうか。うん、間違いなく聞かれていた。そうでなければ
あんな言葉はかけられない。ブーンは背中から冷や汗がどっと吹き出るのを感じながら首を機械的に
声がしたほうへと振り向けた。


(*゚∀゚)「スクリューズを『プチッ』…かぁ…面白いこと言うじゃないのこのピザ。ねぇ、ニダー?」

<ヽ`∀´>「ホルホルホルホルwwww名誉毀損ニダwwww謝罪と賠償を(ry」

( ´∀`)「お洋服汚れちゃうモナ」


最悪の状況がそこにあった。スクリューズのメンバーの3人がそこにいた。
ヒョロヒョロでチョンのニダーに、ぷっくりぽっちゃりで実はキレイ好きとの噂もあるモナー。
そして……


(*゚∀゚)「あんたみたいなピザにナm、エられてちゃアタシ達もおしまいだねぇ…どうしてやろうか」


スクリューズのリーダー、つー。
これまであらゆる状況をネットからの情報によって回避し続けてきたブーンだったが、どうあがいても
逃れられない状況へと追い詰められていた。



第2話 おしまい

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