1 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:09:55.63 ID:c2lP6iqh0

 〜 魔法道具屋サンライズ 2階 キッチン 〜


( ^ω^)「さあ、遠慮せず食えお。朝はちゃんと取らないと駄目だお」

川 ゚ -゚)「すまん、醤油とってくれ」

( ^ω^)つ[]「はいお」

ξ゚听)ξ「……」

川 ゚ -゚)「これはブーンにあげるよ」

( ^ω^)「ピーマンもちゃんと食えお。特に好き嫌いないって言ってたお?」

ξ゚听)ξ「……」

川 ゚ -゚)「世の中にこんな苦い食べ物があるなんて知らなかったんだ」

( ^ω^)「ピーマンぐらいどこの世界にもあるだろうがお」

ξ゚听)ξ「……」

川 ゚ -゚)「あれだ、このピーマンは私の故郷と味が違う」

3 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:11:19.40 ID:c2lP6iqh0

( ^ω^)「んなわけねえお。ピーマンは全国共通の味だお」

ξ゚听)ξ「……」

川 ゚ -゚)「うるさいな。苦手なものは苦手なんだ」

( ^ω^)「子供かお。ちゃんと何でも食べなきゃ駄目だお」

ξ゚听)ξ「……」

( ^ω^)「……ていうか、ツン、さっきから無言でどうしたお?」

ξ゚−゚)ξ「……ゆうべは ずいぶん おたのしみ でしたね」

(;^ω^)「何の話だお!」

(∪^ω^)「わんわんお!」



     第七話 魔法の銀鉱石を探せ




4 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:12:42.97 ID:c2lP6iqh0

 〜 魔法道具屋サンライズ 午前 〜


( ^ω^)「……という訳だお」

僕の名前はブーン。
ヴィップの町で魔法道具屋サンライズを営む魔法使いだ。

ξ*゚听)ξ「なるほどねー。そうだったのー!」

彼女の名はツン。
隣の武術道場の娘で、いわゆる幼馴染というやつだ。

川 ゚ -゚)「厄介ごとに巻き込んですまなかった」

彼女の名前はクー。
僕に解呪の依頼を持ち込んだ冒険者見習いで、色々と訳有りな人だ。

(∪^ω^)「わんわんお!」

この子の名前はわんわんお。
僕のペットというか家族で、見た目は子犬だが実は元竜だ。
7 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:14:05.94 ID:c2lP6iqh0

食事が終わり、朝から妙に態度のおかしかったツンに僕とクーは昨夜の事を話した。
勿論、クーと相談の上での事だ。

クーはツンとだいぶ打ち解けていたようだし、僕がツンに上手く隠す事は出来ないだろうからと、
僕がクーについて知っている事は全てツンにも話してくれた。

ξ゚听)ξ「……それは構わないとは言えないけど、あんたにも事情があるのはわかったわ」

川 ゚ -゚)「うん……」

ξ--)ξ「まあ、でも、依頼を受けたのはブーンだし、私がとやかくいう話じゃないからね」

川 ゚ -゚)「すまない……」

ξ゚听)ξ「何度も謝らなくていいわよ。それに、元はといえばブーンが馬鹿やらかして早とちりしたのが原因だし」

(;^ω^)「馬鹿で悪かったおね」

反論はしたものの、実際馬鹿やらかしたと思って反省しているのであまり責めないで欲しいと思う。
王族だから勝手に僕とじいちゃんの関係性を知っていると思い込んでしまったのは、完全に僕のミスである。
極秘であるはずの僕の出自を簡単にバラしてしまうとは、我ながら軽率だった。


8 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:16:02.10 ID:c2lP6iqh0

普段から王族に対する悪口をドクオさんから聞かされていた為、王族なら平気でそんな事をしてくると、
心のどこかで決め付けてかかっていた所為かもしれない。

という事は、今回の失敗は間接的にはドクオさんの所為ではなかろうかと僕は思うのであった。

川 ゚ー゚)「そのお陰で、私は依頼を受けてもらえたし、ブーン達とも打ち解けられたから幸いだったんだがな」

ξ゚ー゚)ξ「まあ、そういう事にしておきましょうか」

(∪^ω^)「わんわんおー」

(;^ω^)「そういう事にしといてくださいお」

僕は話を打ち切り、開店準備に取り掛かる。
解呪の依頼は受けたが、通常業務も並行して行うつもりだ。

川 ゚ -゚)「進捗状況はどうなのだ?」

( ^ω^)「ペンダント自体の調査は取り敢えずもういいから、店にはいなくてもいいお」

かかってる魔法に関してのじいちゃんの残した書物が見付かったお陰で、思ったよりも調査の状況は捗っている。
この分ならクーにはもう、ここに泊まって貰う必要もない。


9 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:18:04.30 ID:c2lP6iqh0

川 ゚ -゚)「いや、宿としては使わせてもらうがな」

( ^ω^)「今日からは宿代も請求するお?」

川 ゚ -゚)「必要経費に盛り込んでおいてくれ」

もう1泊させてしまったし、またペンダントを調べる事になる可能性もあるから強くは突っぱねる事は出来ず、
僕は渋々ながら頷いた。

川 ゚ -゚)「それじゃあ、私は出かける事にするよ」

( ^ω^)「どこに行くのかお?」

一応、居場所は把握しておこうと思って聞いてみたが、クーはツンの家、というか道場に行くらしい。

川 ゚ -゚)「ツンが稽古を付けてくれると言うんでな」

(;^ω^)「ツン、わかってると思うけど、ちゃんと手加減するお?」

ξ゚听)ξ「わかってるわよ。でも、クーもそこそこやるみたいよ?」

12 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:20:07.04 ID:c2lP6iqh0

( ^ω^)「お? そうなのかお?」

クーの話では、護身術として剣術や武術を学ぶのは王族の嗜みだという話である。
しかしそれは男性の場合の嗜みな気がするのだが、実際に学んでいるのは確かなようだ。

ξ゚听)ξ「だから、稽古を付けるというよりは手合わせみたいなものよ」

川 ゚ -゚)「いや、流石に師範代には及ばないだろうからな。胸を借りに行くよ」

( ^ω^)「ツンに貸す胸はないと思うけど、ケガしないように気を付けるお?」

ξ#゚听)ξ∩;;「あ? 今何つった?」

川;゚ -゚)「うむ、気を付けるよ。……そうならんようにな」

(#)ω^)ノシ「いってらっさい」

ツンとクーを送り出し、店を開ける。
店を開けてもすぐには来客はないと思うので、書庫から持ち出していた解呪に関する書物を調べる事にした。

(∪^ω^)「わんわんお!」

( ^ω^)「散歩行きたいのかお? お昼まで待ってお」
14 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:22:06.85 ID:c2lP6iqh0

わんわんおもだいぶこの町には慣れたが、まだ1人で好き勝手に歩き回らせるのは避けている。
本来の目的もあるが、子犬だし1人では危険が危ない事もあるだろう。

若干僕の過保護かもしれないが。

(;^ω^)「すぐ拉致って、ご飯沢山あげそうな人達もいるしね」

(∪^ω^)「わんお!」

僕の言葉に納得したのかどうかわからないが、わんわんおは大人しくカウンターの上に寝そべる。
調査の邪魔をしないでくれるのは有り難い。

( ^ω^)「えーっと、術式の変更にはと……」

僕は昨夜見つけたじいちゃんの書物を読み進める。
難解な箇所も多かったが、何とか書かれてある事の意味は理解出来た。

( ^ω^)「意味は理解出来たけど、ひょっとしたらこれ、素材がないかもしれんお」

ペンダントに掛かっている魔法の術式を変更するため、ペンダントの周りの銀を一部削り、一部足す必要がある。
削る部分と足す部分が等量であればまだ良かったが、もう一方の魔法は維持する必要があるので恐らく足す方が多い。
更にこのペンダントに使われている銀は、少々特殊な銀である。


15 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:24:08.84 ID:c2lP6iqh0

( ^ω^)「倉庫にあったかおね……」

僕はわんわんおに店番を任せ、店の奥の倉庫に向かう。
ここには書物の他に、店の品物やじいちゃんが集めた僕には理解不能のガラクタが仕舞ってある。

本当はすごい道具もあるのかもしれないが、用途がわからなければただのガラクタだ。
時間がある時に調べたりしているが、未だによくわからないものばかりだ。

物が物だけに僕とじいちゃんの関係性を疑われる事も考えると、迂闊には他人には見せられないので、
いつかは自分で全部解き明かしたいと思っている。

(;^ω^)「ないっぽいおね。てか、鉱石のストックがほとんどない件」

薬草と違い、ヴィップの町周辺では鉱石はあまり手に入らない。
入っても鉄や銅などありふれたものばかりである。

それもカコログ山の方まで足を伸ばさなければならず、危険な割には実入りが少ないのでこの辺りで採掘は盛んではない。

( ^ω^)「行くとしたら、カコログ山の先のニゲット山辺りまで足を伸ばさないと無理っぽいおね」

ヴィップの町の北西にあるカコログ山は、いくつもの山が連なった中の一部で、全体ではヴィップ山脈と呼ばれている。
ヴィップ山脈はヴィップの町の北西に大きく伸び、丁度その真ん中辺りにあるニゲット山は、
昔から良質な鉱石が取れる事で有名だ。

17 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:26:30.54 ID:c2lP6iqh0

ただ、良質な鉱石の産地でありながらも、それを中心とした町が出来なかった事を見れば想像が付く通り、
あの辺りはカコログ山と同様にモンスターも多い。

( ^ω^)「麓周辺でちょっと採掘するくらいなら行けるかおね……」

そんな事を考えていると、わんわんおの鳴き声が聞こえて来た。
どうやら来客らしいので、僕は急いで店の方に戻った。

( ^ω^)「お待たせしました、いらっしゃいませですお」
  _
( ゚∀゚)ノ「よっ、なかなか優秀な店番じゃねえか」

(∪*^ω^)

店に戻ると、わんわんおの頭を撫でているジョルジュさんの姿があった。
わんわんおはジョルジュさんと既に何度か会っている事もあってか、嬉しそうにそれに応じている。

というか、わんわんおは初対面の相手でも特に物怖じする事はない。
わんわんおが初対面で攻撃的な行動を取ったのはドクオさんぐらいだ。
少々警戒心がなさ過ぎる気もするが、その人懐っこさは町の皆に好評である。

ドクオさんはまあ、ドクオさんだから仕方がないのかもしれない。


18 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:28:13.33 ID:c2lP6iqh0

( ^ω^)「助かってますお。今日は何をお探しですかお?」
  _
( ゚∀゚)「いや、今日は買い物じゃなくてだな……」

( ^ω^)「お?」

ジョルジュさんが用もなく店に来る事は珍しい。
わんわんお目当てに店に来る冒険者の人は増えたが、ジョルジュさんはそこまでわんわんおに興味は持っていなかった。

軽い物言いが多い人だが、多分根は真面目な人だろうから、
用も無しに来るのは僕の仕事の邪魔をする様で悪いとでも思ってくれているのだろう。
  _
( ゚∀゚)「お前んとこに、謎の美女が来てるって話を聞いたんだが、本当か?」

(;^ω^)「謎の美女……ですかお」

ジョルジュさんが言っているのは、恐らくクーの事だろう。
ここに来るまでに町の誰かがクーの姿を見ている可能性もあるし、
ひょっとしたらクーがバーボンハウス辺りでこの店の場所を尋ねたりしたのかもしれない。

そう考えると、ジョルジュさんがクーの事を知っていてもおかしくはない。
20 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:30:06.44 ID:c2lP6iqh0

しかし、わざわざそんな事を尋ねに来るとは、ジョルジュさんもだいぶ暇を持て余しているのだろうか。
竜騒動が一段落付いたし、きっと今はめぼしいクエストが来てないのだと思われる。

( ^ω^)「確かに来てはいますが……」

来てはいるが、ジョルジュさんの言葉に僕は1つ気になる点があった。
ジョルジュさんは美女と言ったが、クーはフードで顔を隠していたはずだ。
クーの立場を考えると、大っぴらに顔を出して歩いていたとは考え難い。
  _
( ゚∀゚)「そんなもん、見ればわかるっつーの」

(;^ω^)「はあ、そうなんですかお……」
  _
(*゚∀゚)「あれはC、いや、Dは固いな」

(;^ω^)「何の話ですかお」
  _
(*゚∀゚)「何って、決まってるだろ? おっぱいだよ、おっぱい」

(;^ω^)「はあ……」
22 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:32:09.32 ID:c2lP6iqh0
  _
(*゚∀゚)「マントに隠されていたが俺の目は誤魔化せねえ! あの膨らみ、張りは極上なおっぱいだ!」

(;^ω^)「そ、そうですかお……」

尚もクーの胸に関する考察を並べて行くジョルジュさん。
その熱弁ぶりに僕の中で真面目で爽やかな好青年だったジョルジュさんのイメージが、
ガラガラと音を立てて崩れて行く。
  _
(*゚∀゚)「いいか、ブーン! ライフ イズ おっぱい! ワールド イズ おっぱいだ!」
  _
(*゚∀゚)o彡゚「おっぱい! おっぱい!」

ジョルジュさんの勢いは止まる事を知らず、カウンターの上に登って仁王立ちで腕を降り始めた。
長身のジョルジュさんがカウンターの上に乗ると、その頭は天井ギリギリの所まで届いている。
ひょっとしてこの人酔っ払っているのかなあと思ったが、酒臭さは一切しない。

(∪*^ω^)「わんわんお!」

何故かわんわんおがそれを楽しげに見ているが、変に影響受けたりしないで欲しいと願う。
そろそろ止めるべきなんだろうけど、どうやって止めようかと悩んでいると、店のドアが勢いよく開き、
何かが飛んで来た。

25 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:34:21.73 ID:c2lP6iqh0
   _
=●)д゚)o彡゚「おっぷぉっ!?」

飛んで来たそれは、ジョルジュさんの横っ面に見事にヒットし、ジョルジュさんはカウンターから崩れ落ちる。
こちらに倒れこんで来たのに思わず避けてしまったが、僕にジョルジュさんを支え切れるとは思わないので、
仕方のない事だろう。
  _
(  ∀ )o゚「お……ぱ……」

(;^ω^)「おー……」

気絶したらしいジョルジュさんから視線をドアの方に向けると、そこには1人の男性が立っている。
ジョルジュさんよりは少し背が低く、体型はだいぶごついその人は僕の知った顔であった。

( ゚д゚)「すまんな、馬鹿が迷惑をかけた」

(;^ω^)「いや、まあ、迷惑というほどでは……」

開口一番謝罪する男性の名はミルナさん。
ミルナさんはジョルジュさんのパーティーメンバーの1人で、寡黙な人というイメージを僕は持っていた。

ミルナさんはジョルジュさんにぶつけた物、鎖に繋がれた鉄球を回収し、ついでにジョルジュさんも引きずって行く。
その様子からミルナさんがかなりの腕力の持ち主だというのはよくわかる。

27 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:36:13.90 ID:c2lP6iqh0

(;^ω^)「ていうか、それ、大丈夫ですかお?」

僕は気絶しているジョルジュさんを指差し、ミルナさんに尋ねる。

( ゚д゚)「うむ、頭の具合が大丈夫じゃないからこうやって迷惑をかけてるな」

(;^ω^)「そうじゃなくて、鉄球は流石にやり過ぎじゃないですかお?」

( ゚д゚)「ああ、そっちか。大丈夫、手加減はしている」

鉄球をぶつけるのに手加減とかあるのかと思ったら、
よく見るとミルナさんの手にある鎖鉄球、いつものモーニングスターの先には棘のない鉄球が付いていた。

確かにその部分は手加減しているようだが、こうやってジョルジュさんは気絶してるんだし、
結構な威力があったように見えた。

( ゚д゚)「こいつも鍛えてはいるからな。このくらいじゃくたばりはせん」

( ^ω^)「はあ……」

( ゚д゚)「それより迷惑かけたな。店の修理代とかあとで払いに来よう」


28 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:38:12.24 ID:c2lP6iqh0

( ^ω^)「いや、物が散らばっただけで別に壊れたものはないんで必要ないですお」

( ゚д゚)「そうか? しかし、実際に迷惑はかけたわけだし、何もしないというのも悪いな」

( ^ω^)「お得意様ですし、気にしないでくださいお」

実際、大した被害はないのだから気にしないで欲しいのだが、ミルナさんは申し訳なさそうな顔で謝罪を続ける。
ミルナさんはかなり義理堅い性格らしい。
そういえば以前、ハインさんがミルナさんの事を、あいつは装甲も堅いが頭も固いと評してた覚えがある。

この様子だと、何かしてもらわない事にはミルナさんの気がすまないようだ。
どうすべきかと考えていたら、僕の頭にある考えが閃いた。

( ^ω^)「……でしたら、ちょっと聞きたい事があるんですけど」

( ゚д゚ )「何だ? 俺に答えられる事だったら何でも聞いてくれ」

そう言いながらミルナさんは引きずっていたジョルジュさんを店の外に放り投げ、カウンターの方に寄って来る。
わんわんおがジョルジュさんを追って外に飛び出して行ったが、ジョルジュさんの周りをぐるぐる回っているだけなので、
放っておいてもいいだろう。

31 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:40:22.10 ID:c2lP6iqh0

ミルナさんはカウンターに両手を着いて身を乗り出すようにして僕と向かい合う。

厳つい顔の上、眼光の鋭さが半端じゃないミルナさんに、僕は若干後退ってしまった。
その僕の態度で気付いたのか、それとも既に自覚していたのかミルナさんは僕から少し視線を逸らしてくれる。

(;^ω^)「ミ、ミルナさんはニゲット山を知ってますかお?」

( ゚д゚)「ニゲット山? ……いや、知らないな、すまん」

( ^ω^)「んじゃ、カコログ山はどうですかお?」

( ゚д゚)「そっちは知っている。この町の北西のにある山だな?」

僕はミルナさんにニゲット山の事を説明する。
カコログ山の事を聞いたのは、関連させて説明した方がわかりやすいかと思ったからだ。

( ゚д゚)「なるほど、ニゲット山はカコログ山の先か。隣接するという事は、モンスターの生息域も似通うだろうな」

( ^ω^)「だと思いますお。それで、ミルナさん達はカコログ山の手応えはどうでしたかお?」

僕はミルナさん達のパーティーならカコログ山のどの辺りまで行けそうか質問した。
実際はモンスターの出現状況で運不運はあると思うが、実際に行った事があるミルナさんなら、
体感的に何となくはわかるのではと思う。


32 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:42:30.51 ID:c2lP6iqh0

( ゚д゚)「そうだな……実際に深く踏み入ったのは数度しかないが、中腹ぐらいまでなら多分行けそうだと思う」

( ^ω^)「ならニゲット山も大丈夫そうですかおね」

( ゚д゚)「カコログ山と似たような状況ならな。そのニゲット山がどんな山か教えてもらってもいいか?」

僕はニゲット山に付いてミルナさんに説明し、ついでに僕がこんな事を聞いた理由も話した。
結論を言えば、僕が聞きたかったのはニゲット山での採掘というクエストがこの町で出せるかという事である。

( ゚д゚)「いくつか条件があるが、恐らく受けられると思う」

( ^ω^)「その条件とは何ですかお?」

( ゚д゚)「まずはニゲット山のどこまで登る必要があるかという事だな」

カコログ山と同程度なら、先も言った様に中腹までは行けるだろうというのがミルナさんの推測だ。
もう1人か2人魔法使いがパーティーに加われば、また話は違って来るだろうとの事だ。

( ゚д゚)「どういう仕組みかは知らんが、山は登るほどモンスターは強力になって来るからな」

麓の方は力押しのモンスターが多いから何とかなるが、魔法を使ってくるような強力なモンスターが出て来ると、
力押しパーティーでは厳しいとミルナさんは言う。

34 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:44:49.57 ID:c2lP6iqh0

(;^ω^)「一応、その事は理解してたんですね」

( ゚д゚)「まあな」

若干失礼とも聞こえる事を言ってしまったが、ミルナさんは別段気にした様子もない。
顎に手を当て、深く頷いている。

( ゚д゚)「それでこの町に来る前、何人か魔法使いをパーティーに誘ったんだが、どいつもこいつも根性が無くてな」

結局ミルナさん達に付いて来れず、パーティーを抜けて行ったらしい。
何があったのか少し気になったが、今は関係ない事なので流しておく事にした。

( ゚д゚)「この町に来た目的の1つは、この付近にいる賢者殿を仲間に誘いたいというのもあったんだ」

( ^ω^)「賢者……ああ、ドクオさんですかお」

そういえばそんな話をミルさん達がこの町に来た当初に聞いた覚えがある。
あの時は僕が仲介をしてミルナさん達をドクオさんに会わせたが、話し合いは上手くいかなかった。

( ゚д゚)「……あの時はすまなかったな」

( ^ω^)「いや、まあ、仕方ないですお、ドクオさんですし」

38 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:46:19.45 ID:c2lP6iqh0

話し合いが上手く行く行かない以前に、ドクオさんの顔を見るなりハインさんがチェンジと言い放ったのだ。
四六時中見ていられる顔じゃないというその理由は、至極真っ当なものだと思う。

( ゚д゚)「俺は腕が確かなら構わなかったんだがな」

( ^ω^)「あの人、色々気難しいし無駄にプライドあったりで、取っ付き辛いからあれで良かったと思いますお」

ドクオさんは基本的に集団行動に向いてない人だから、あの結果で僕は良かったと思っている。

( ゚д゚)「少し話が逸れてしまったな。それでもう1つの条件だが……」

ミルナさんが述べたもう1つの条件は、採掘に当る人間も一緒に山に入ることだ。
僕の目的である鉱石を見分けられる人間が必要だろうから、これは当然の条件である。

( ゚д゚)「適当に掘って戻っては時間が掛かるし、運任せ過ぎるだろうからな」

( ^ω^)「ですおね。この場合は僕が同行して、その護衛という形でクエストを出した方が良さそうですおね」

僕はそう結論付け、ミルナさんに礼を述べた。
ミルナさんはこれが謝罪代わりになったのなら良かったと快活に笑う。

40 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:48:49.71 ID:c2lP6iqh0

( ゚д゚)「クエストを出すなら俺達に声をかけてくれ。俺達が請け負うからな」

( ^ω^)「ミルナさん達のパーティー前提で聞いておいて、今更遠慮するのも変なお話ですおね」

( ^ω^)「その時はよろしくお願いしますお」

とはいえ、他の2人の意見を聞かずに話を進めていいのかと危惧もしたが、
今は暇をしているから大丈夫だとミルナさんは言ってくれる。

( ゚д゚)「それに普段世話になってるブーンの頼みだ。聞かないわけにはいかないだろ?」

( ^ω^)「僕は普通に商売してるだけですお。でも、そう言ってもらえるのは素直に嬉しいですお」

僕はにこやかに微笑み、バーボンハウスに戻るというミルナさんを送り出す。
ミルナさんはまた片手でジョルジュさんを引きずり、反対の肩にモーニングスターを引っ掛け、
わんわんおを小脇に抱えて歩いて行った。

( ^ω^)「……あれ?」

気の所為か、何か去って行くミルナさんに気になる点があったような気がする。
僕は去り行くミルナさんをじっと見詰め、その違和感の出所にようやく気付いた。

( ^ω^)「……ミルナさん?」

( ゚д゚)「何だ?」

42 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:50:54.26 ID:c2lP6iqh0

( ^ω^)σ

僕は振り向いたミルナさんの右の手、抱えられたわんわんおを無言で指差した。

(* ゚д゚)「そろそろ昼飯時だから、お腹が空いてるんじゃないかと思ってだな……」
つ∪^ω^)

( ^ω^)「……」

(* ゚д゚)「……駄目?」
つ∪^ω^)

( ^ω^)「ご飯食べさせたらちゃんと連れて来てくださいお?」

(* ゚д゚)「うん!」
つ∪^ω^)「わんわんお!」

この人も犬好きだったのかと若干の眩暈を覚えつつも、純粋な子供のような笑みで頷くミルナさんに、
苦いながらも僕も微笑まざるを得なかった。

( ^ω^)「まあ、ミルナさんと一緒なら危険はないだろうけども」

バーボンハウスに行ったら行ったで、別の意味で危険がありそうだが、まあ仕方がない。
あとで自分で迎えに行こうと決め、僕は先の騒動で散らばった商品を片付け始めた。

45 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:52:49.41 ID:c2lP6iqh0

 〜 魔法道具屋サンライズ 閉店後 〜


川 ゚ -゚)「なるほど、鉱石か……」

( ^ω^)「残念ながら現状はストックがないから、どうにかして手に入れるしかないお」

その日の閉店後、僕は店に戻って来たツンとクーに現在の調査の進捗状況を説明していた。
ミルナさんと採掘に関しての話はしたが、鉱石を手に入れられる手段は他にもある。
大きな町に出向いて、売りに出てないか探すというものだ。

( ^ω^)「ただ、結構特殊な銀だし需要は多いからあんまり店頭に出る事はないんだお」

どちらかといえば装備品に使われることが多く、鉱石自体がそのまま売りに出される事は少ない。
知り合いに武器職人でもいれば何とかなったかもしれないが、この町には武器を扱っている店はあれど、
作っている人はいない。

( ^ω^)「場合によっては大陸中を回るか、デカい町にしばらく逗留する必要が出て来るかもしれんお」

川 ゚ -゚)「正直な所を言えば、大きな町にはあまり長居はしたくないな」

クーの現在の立場からすればそうなるだろうが、別に仕入れについて来てもらう必要はない。
ただ、僕自身が何日も店を閉めて仕入れに出向くのもちょっと考え物である。


46 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:54:26.10 ID:c2lP6iqh0

ξ゚听)ξ「あんまりいい手じゃなさそうね」

(∪^ω^)「わんわんおー」

( ^ω^)「運が良ければあっさり手に入る可能性もあるんだけどね。確実性には欠けるお」

ξ゚听)ξ「ちなみに何て鉱石なの?」

( ^ω^)「ニスリル銀だお」

ξ゚听)ξ「ミスリル銀?」

( ^ω^)「違うお、“ニ”スリル銀だお」
  _,
ξ゚听)ξ「何そのニセモノ臭い名前は?」

( ^ω^)「失礼な事言うなお。一応ちゃんとした魔法鉱石だお」

この世界でもっとも有名で貴重な銀鉱石はツンが言ったミスリル銀だ。
ミスリル銀で作った武器屋防具は高価な値段で取引され、性能もその値段に見合ったものが期待出来る。

49 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:57:12.89 ID:c2lP6iqh0

ただ、かなりレアな部類の鉱石なので産出量は少ない。
故に、その代用品的な位置付けで使われるようになったのがニスリル銀である。
代用品といっても、全く別の鉱石というわけでなく、魔法純度の低いミスリル銀がニスリル銀なのだ。

ミスリル銀よりも加工がやさしい分、一流の武器職人じゃなくても扱えるし、強度はともかく、
魔法の伝導率に関してはミスリル銀と遜色ないので人気の高い素材である。

ξ゚听)ξ「そもそも、魔法鉱石って何なのよ?」

(;^ω^)「そこからかお」

魔法鉱石とは簡単に言うと、鉱石に魔力を染み込ませた物だ。

ξ゚听)ξ「それ、簡単に言ってる様で実際はわけわかんないわよね?」

( ^ω^)「そうなんだおね。クーはその辺理解してるかお?」

川 ゚ -゚)「ほぼ書物の知識を暗記しただけだが、一応は理解してるつもりだ」

魔法鉱石の話ともなると、一般常識からは少し離れてくるので、ツンが知らなくても仕方がない話ではある。
流石と言うべきかクーはその事も学習しているらしい。
王宮にいた頃はかなり真面目に暮らしていたのだろう。

その反動で今に至ってたりするのだけども。

51 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 22:59:53.89 ID:c2lP6iqh0

( ^ω^)「魔法鉱石はその鉱石に長い年月をかけて魔力を浸透させて作るんだお」

元々、魔法鉱石は自然界には存在しない。
自然界にある鉱石が、魔力の影響を受けて変質して偶然出来たものが魔法鉱石と呼ばれているのだ。
そういった意味では自然界に存在する事になりそうなのだが、言葉遊びをしていても仕方がないので突っ込まないように。

ξ゚听)ξ「つまり、魔力を放出する何かが石の側にある必要があるのね」

( ^ω^)「そうだお。特殊な植物とか動物とか、色々だけど1番多いのはモンスターだお」

人間と違い、モンスターは持って生まれた魔力がかなり多い。
魔法が使えない知性の低いモンスターでも、魔力が高いのはざらである。

( ^ω^)「人間は意図しなければ魔力の放出はほとんどないんだお」

( ^ω^)「でも、モンスターは呼吸をするように魔力を放出してたりするんだお」

これに関しては、何故と聞かれても、生物としての作りが違うからとしか答えようがない。
そういうものだと理解するしかないのだ。

常に魔力を放出しているという事は、魔法に対する抵抗が高いという事でもあるから、
過酷な生存競争を生き残る為にそういう風に進化したと考えるのが通説である。


52 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 23:01:10.57 ID:c2lP6iqh0

( ^ω^)「で、魔法鉱石は魔力によって作られるわけだから……」

川 ゚ -゚)「当然、魔力の強いモンスターのいる場所に質の良い魔法鉱石があるというわけか」

( ^ω^)「そういう事だお」

本当はただ高いだけでも駄目で、強過ぎたり時間が長過ぎたりすると鉱石自体が崩壊してしまったりと問題もあるのだが、
今は話に関係ないので置いておく。

ξ゚听)ξ「てことは、他の有名な魔法鉱石は他の鉱石が変化しちゃったものなの?」

( ^ω^)「だおだお」

(∪^ω^)「わんおわんお」

ξ゚听)ξ「なるほどね。……あ、そうだ。魔法鉱石って、魔法使いが作ってたりしないの?」

ツンが魔力によって作られるなら魔法使いが研究してても良さそうじゃないかと、なかなか鋭い質問を浴びせて来る。
確かに、研究している魔法使いはいるが、如何せん魔力も時間もかなり必要となるので、個人研究は盛んではないし、
実用的な段階には至ってない。

54 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 23:04:08.74 ID:c2lP6iqh0

有用な研究ではあるが、どちらかといえばこの研究を進めたいと思っているのは国であろう。
実用化出来れば、軍事力が武器の質という点で高まる事になる。

クーにその手の質問を振る事は出来るが、あまり関わるべきではない話だ。
この説明でツンも納得してくれた様なのでこれ以上言う必要はないだろう。

ξ゚听)ξ「研究はやってないにしても、名の知れた魔法使いなら持ってる可能性もあるんじゃない?」

( ^ω^)「この辺で名の知れた魔法使いといえば、ドクオさんぐらいしかいないおね」

結界魔法が得意なドクオさんなら持っている可能性もゼロではないが、
僕としてはこの件にドクオさんは関わらせたくない。

理由は至って簡単で、クーが王家の人間だからである。
ドクオさんの王族嫌いは相当なものだし、クーが王族だとばれたらドクオさんがどういった行動に出るかわからない。
いきなり攻撃しかけてきたりはしないだろうけど、クーを王都に送り返すぐらいはしそうである。

故にドクオさんの所に行く流れは避けたいのだが、それを馬鹿正直に言うのもクーに悪い。
ドクオさんが王家を憎んでいたとしても、恐らくそれはクーぐらいの年齢の人には関係のない話のはずだ。

( ^ω^)「あの人は駄目だお」

ξ゚听)ξ「どうして?」


55 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 23:05:25.13 ID:c2lP6iqh0

( ^ω^)「あの人に美人を会わせるとか、どう考えてもよろしくないお」

ξ゚听)ξ「それもそうね。クーもあんなの見たくないでしょうしね」

すごく適当だが一番納得してもらえそうな理由を述べ、上手くこの話を終わらせる事が出来た。
魔法鉱石の話はこのくらいにしておこう。

ξ゚听)ξ「そういえば少し気になってたんだけど」

川 ゚ -゚)「何だ?」

ξ゚听)ξ「クーの目的が自由に旅する事なら、ペンダント手放しちゃった方が早いんじゃないの?」

新たに装飾するのは別の店に頼むか、宝石だけ売るかすればいいんじゃないかとツンは言う。
僕も装飾出来るのに、何故別の店に頼む必要があるのか疑問はあるが、確かにその方が手っ取り早い。

僕としては、じいちゃんが魔法を込めたという事は、この装飾もじいちゃんがしたのだろうから、
壊すのは忍びなくはあるのだが。

川 ゚ -゚)「これはなるべくそのままの形で残したいんだ。形見なんでな」

ξ;゚−゚)ξ「あ、ごめん。ちょっと無神経だったわね」

57 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 23:09:14.88 ID:c2lP6iqh0

川 ゚ -゚)「いや、構わないよ。私も言ってなかったしな」

これは元々自分の母親の持ち物だったのを、譲り受けたのだとクーは言う。
10年ほど前、まだ子供だった頃に貰った大切なものなのだと。

ξ゚听)ξ「そういえばその頃ブーンのおじいさん、しばらく家を空けてた事あったわね」

( ^ω^)「そうだったけかお?」

ξ゚听)ξ「そうだったわよ。その間あんたしばらくうちで預かってたでしょ?」

僕としてはあまり覚えていないのだが、恐らくその時にじいちゃんが王都に出向いて、
ペンダントに持ち主の変更の術式を施したのかもしれない。

よくよく思い出してみると、じいちゃんは時々何日か家を空ける事があった。
じいちゃんの立場を考えれば仕方ないことだし、多分その内のどれかの時に王都に行ったのだろう。

何にせよ、クーの気持ちを考えるとあまり外見を変えないように術式を変更する方向で考える事にする。

川 ゚ -゚)「すまない、手間をかける」

( ^ω^)「それが仕事だお。気にする必要はないお」

59 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 23:10:29.42 ID:c2lP6iqh0

ξ゚ー゚)ξ「そうそう。お金払って依頼するんだから、精々こき使ってあげなさいよ」

川 ゚ー゚)「それもそうだな」

(;^ω^)「お手柔らかに頼むお」

僕は話を変え、ニスリル銀があるであろうと思しき場所、ニゲット山の事や既にミルナさんに相談した事も伝える。

ξ゚听)ξ「ニゲット山ね。ちょっと遠いわね」

川 ゚ -゚)「ここから何日ぐらい掛かるんだ?」

( ^ω^)「麓までは歩いて4日半ぐらいだお」

行くなら馬車か馬かを使って行く方がいいかと思っているが、それだと麓で番をする人が必要になってくるので、
少し考え物である。

そうなると僕とあと2人でニゲット山に踏み入る事になり、戦力的には少し厳しい。
  _,
ξ゚听)ξ「2人?」

( ^ω^)「僕とミルナさん達3人だから、計算上でそうなるお?」


60 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 23:12:09.20 ID:c2lP6iqh0

ξ゚听)ξ「何で私が数に入ってないのよ?」

(;^ω^)「何でツンも付いて行くって話になってんだお?」

今回は本格的なクエストだ。
本職の冒険者に頼む物で、普段の薬草採集なんかとはわけが違う。

ξ゚听)ξ∩「何よ? 私の腕に不満があるとでも?」

(;^ω^)「そういうわけじゃないけど……」

ツンの戦闘力は身を持って知っているが、ミルナさん達本職の冒険者との連携を考えると、少し不安である。
かと言って、馬の番として山の麓に1人残しておくのも心配だ。

僕としては、ミルナさん達以外のバーボンハウスにいる冒険者をあと1人か2人雇いたいと考えている。

ξ゚听)ξ「私でいいじゃない?」

(;^ω^)「だから、今度行くとこは今までより危険なんだってば」

ξ゚听)ξ「私より弱いあんたがその危険な場所に行くんだから、私が行っちゃ駄目って道理はないわよ」

(;^ω^)「僕は護衛される側だからいいんだお。それに魔法使えるからモンスターの対応は臨機応変に出来るお」


61 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 23:14:12.41 ID:c2lP6iqh0

いくら説得してもツンは全く譲る気はない。
このままだと押し切られるのが常なので、僕はクーの方に目配せをする。

一応僕が採掘クエストの依頼主になるが、大元の依頼主はクーである。
必要経費が増えるなら、全体の予算との兼ね合いを考えなければならない。

川 ゚ -゚)「そうだな。予算はまあ、いくらでも良かったが雇うのはその3人だけでいいだろう」

ξ#゚听)ξ「ちょっと、クー!」

僕の意を汲んでくれたクーの決定に、ツンは不服を申し立てる。
僕はその決定を不動のものにする為、話のまとめに入る事にした。

( ^ω^)「それで徒歩で行って、4人で山に入るのが妥当だおね」

川 ゚ -゚)「うん? 時間もかかるし馬車を借りてもいいんじゃいないか?」

( ^ω^)「お? そうすると番をする人が必要で、戦力的に厳しくなるって言ったお?」

川 ゚ -゚)∂「金の掛からん冒険者を雇えばいいじゃないか」

( ^ω^)「……いや、だから危険なんだと言ってるお?」

63 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 23:16:10.20 ID:c2lP6iqh0

自分を指差し、頭数に入れようとするクーから目を逸らし、今度はツンの方を見る。

ξ゚听)ξ「筋は悪くなかったわよ。圧倒的に経験不足だろうけど」

だからこそ他の冒険者のクエストに付き添うのはいい考えだと、さらさらクーを止める気はないツン。
当然、金の掛からない冒険者に自分の事も勘定に入れたのだろう。
さっきよりも更に話の流れが不利になってしまった僕は、最後の可能性に望みを託す事にした。

(;^ω^)「ツンは冒険者じゃないだろうと言いたいとこだけど、まあ、仕方ないお」

ξ*゚听)ξ「それじゃあ、付いていってもいいの?」

( ^ω^)「いや、それはミルナさん達に聞いてからだお」

今回のクエストは、そこそこ難易度の高いクエストである。
そこに初心者を抱え込むという事は、更に難易度を高めかねない。

生命の危険も有る仕事だ。
メンバーに納得がいかないままクエストに向かう事は出来ない。

川 ゚ -゚)「正論だな」

ξ゚听)ξ「うん、そこは聞いてみないと流石に悪いわね」

65 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 23:18:24.90 ID:c2lP6iqh0

( ^ω^)「わかってくれて助かるお」

僕は大きな溜め息を1つ吐き、わんわんおの方に手を伸ばす。
そろそろ晩ご飯をあげないといけないだろう。

( ^ω^)「というわけでそろそろ食事の支度を……」
つ∪^ω^)「わんわんお!」

ξ゚听)ξ「何言ってんのよ。バーボンハウスに行くわよ?」

川 ゚ -゚)「うむ、善は急げだな」

(;^ω^)「ちょ、明日でいいお?」
つ∪^ω^)「わんお?」

僕とわんわんおの主張は無視され、半ば引きずられるように店から引っ張り出される。
一時は早く片付けたいと思ってはいたが、今はそうでもないのでそこまで急ぐ理由はないのだが、
どうやらツンもクーも本格的なクエストに胸を踊らせているのかもしれない。

片方は踊れそうな胸もないのだけど。
  _,
ξ゚听)ξ∩;;「何かしら? 急にあんたの事殴りたくなったんだけど?」

(#)ω^)「殴ってから言うなお」

僕達4人はすっかり日の落ちた町中をバーボンハウスに向かって歩いて行った。

67 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 23:20:19.43 ID:c2lP6iqh0

 〜 バーボンハウス 〜

  _
(*゚∀゚)「俺は一向に構わない! いや、むしろ一向におっぱい!」

从 ゚∀从「俺もかまわねえぜ」

( ゚д゚)「2人が了承したなら、俺も構わんぞ」

(;^ω^)「ソウデスカ……」

バーボンハウスにはタイミングのいい事に、ミルナさん達は3人とも揃って食事中で、すぐに話す事が出来た。
しかしながら結果は見事に僕の最後の可能性が消え去る事となった。

川 ゚ -゚)「そうか、不束者だが足を引っ張らぬよう全力は尽くそう」
  _
(*゚∀゚)b「おう、任せな、俺がちゃんと冒険者としてのいろはをその胸に叩き込んでやる」

若干セクハラ気味の発言をかますジョルジュさん。
朝の流れを考えれば、クーを連れて行ったらこうなる事は見えていたのにね、僕は馬鹿かと。


68 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 23:22:09.66 ID:c2lP6iqh0

ξ*゚听)ξ「ありがとね、ハイン」

从 ゚∀从「言ったろ、お前ならいつでも大歓迎だって。いっそこのまま冒険者になっちまえよ」

同じく、常日頃からツンを冒険者に誘っているハインさんがツンの頼みを断るわけがないのだ。
これも見えていた事なのにね、僕はやっぱり馬鹿である。

(* ゚д゚)「ほら、これ食べるか? 美味いぞ」
つ∪*^ω^)「わんわんお!」

ミルナさんは……うん、これも予測出来た流れだよね。
とはいえ、よっぽどの事がなければミルナさんは常に2人の決定に従っているみたいなので、
これも仕方のない事だ。

結局僕の見通しの甘さが敗因である。

(`・ω・´)「今日は賑やかだな」

( ^ω^)「どうもですお。今日のディナーは何ですかお?」

僕はツンとクー、それとわんわんおがミルナさん達のテーブルに着くのを確認し、1人カウンターに向かう。
折角なので晩ご飯はここで食べて行く事にする。


69 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 23:24:03.11 ID:c2lP6iqh0

(`・ω・´)「肉焼いたやつだよ」

( ^ω^)「適当ですおね」

(`・ω・´)「本当は色々と手を加えて料理してるんだが、ここに来る客はそれ説明しても無駄なやつばっかだからな」

( ^ω^)「なるほど、じゃあ、それ1つ……ツンもクーも晩飯ここでいいおね? おk、3つお願いしますお」

(`・ω・´)「毎度あり、すぐ作るから待ってろよ」

( ^ω^)「あ……、あとわんわんおの分も何か適当にお願い出来ますかお」

(*`・ω・´)「当たり前だ! 適当なんて言わずスペシャルなやつ用意してやるからな」

(;^ω^)「いや、普通でいいんで……」

僕は調理中のシャキンさんに、クエストを出す事になった経緯を、勿論クーの素性とかは伏せてだが、説明し、
ついでに今後の予定も相談した。
会話中にちらちらとミルナさんの方、というよりわんわんおの方を見ていた気もするが見なかった事にする。

(`・ω・´)「クエスト票は俺の方で書いておくか?」

( ^ω^)「頼みますお。若干特殊ですけど」
71 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 23:26:19.44 ID:c2lP6iqh0

クエスト票は、個人がクエストの依頼をギルドに出す時に記述して提出する書面の事だ。
シャキンさんはツンとクーの事や依頼主が同行する事も把握して、人数と報酬はぼかしておくと言ってくれた。
ギルド的にそれでいいのかと思いもしたが、詳細まではそこまで重要じゃないらしい。

(`・ω・´)「知り合いにクエストを受けてもらう場合とか、報酬が正規より安いクエストなんてよくある話だからな」

誰がどんなクエストに行って成功したかどうかぐらいはギルドもデータとしては欲しがっているようだが、
それ以上は必要ないとの事だ。
冒険者の戦績を把握しておいて、ギルドがクエストを出す際に指名する判断材料として使われるらしい。

( ^ω^)「指名制のクエストなんて、この辺じゃまずないですおね」

(`・ω・´)「そうだな。緊急に討伐が必要なモンスターが出て来た時や、政治的にまずい情勢になった時ぐらいだからな」

ついでに馬車の手配も頼むと、今は暇らしく明日の朝にでも用意は出来るらしい。
流石にそれは早過ぎるかと思ったが、ミルナさん達もツン達もそれで構わない様だったので、
明日の朝クエストに出る事に決めた。

( ^ω^)「馬車なら2日ぐらいですかおね」

(`・ω・´)「普通に行けばそんなものだろうな。馬の代えはないし、あまり飛ばせないだろうし」

73 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 23:28:24.37 ID:c2lP6iqh0

ニゲット山へ行く途中には村などは一切ない。
ほとんど森の中だが、道があるだけマシである。

(`・ω・´)「まあ、街道沿いならモンスターはほとんど出て来ないだろうから、道中は楽だろ」

そう言いながらシャキンさんは、僕の前に肉やら野菜やら大量に乗った大振りの皿を差し出す。
その横にスープとご飯の装われた器も置かれる。

(*^ω^)「美味そうですお」

(`・ω・´)「いい香辛料が手に入ったんで、それのお試し料理ってとこだな」

僕は早速熱々の肉にかぶりつく。
香ばしい匂いと肉の旨味が口いっぱいに広がり、程よい辛味が食欲を増進する。

(*^ω^)「これは……ハム、ハフ……美味いですお!」

(`・ω・´)「だろ? この香辛料、臭みを抑えるだけじゃなくていい感じに味が膨らむんだよ」

確かに、これまでここで食べた肉料理とは一風変わった味であるが、かなり美味い。
香辛料1つでここまで変わるとは、料理とは奥深いものである。


74 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 23:30:22.68 ID:c2lP6iqh0

( ^ω^)「香辛料か……。僕も色々試してみようかお」

未だ僕の店に新商品を並べるという目標は達成されていない。
この香辛料に、何らかの新商品のヒントが隠されてはいないだろうか。

( ^ω^)「薬草に様々な味を加え、薬草七味にするとか……」

そうすれば何にでもかけて食べられ、味の方は好きにアレンジ出来るのではないだろうか。
問題は、1度に使う量が少ないので大量に取らなくてはならない点だ。

( ^ω^)「ちょっと厳しいか……いや、しかしこのアイデアは捨てるには惜しいお」

(∪^ω^)「わんわんお!」

( ^ω^)「お? わんお、どうしたお?」

いつの間にかわんわんおが僕の足元に来ていた。
僕はわんわんおを隣の椅子に座らせ、ミルナさん達の方のテーブルを振り返る。

どうやらシャキンさんとミルナさんの間で、どちらがわんわんおにご飯を食べさせるか口論になっている様だ。
その隙にわんわんおは抜け出して来たらしい。

(;^ω^)「好かれ過ぎるのも考え物だおね」

75 :ローカルルール・名前欄変更議論中@自治スレ:2012/01/17(火) 23:34:01.80 ID:c2lP6iqh0

(∪^ω^)「わんおー?」

僕は肉を一切れ、わんわんおの前に差し出す。
犬が食べるには少し香辛料がきき過ぎてるかとも思ったが、わんわんおはそれを美味しそうに食べる。

( ^ω^)「何だか、なし崩し的に色々と話が決まっちゃったおねー」

(∪^ω^)}) ハムハフ

僕は一心に肉を食べるわんわんおに話し掛ける。
クーが来てからまだ1日ちょっとしか経ってないというのに、あれよという間にクエストが決まってしまった。
それ自体は僕が決めた様なものだし、別にいいのだが、色々と予定外の事が重なってしまったので若干の不安もある。

温厚で我慢強い事に定評のある僕でも、たまには愚痴だって言いたくなる時もあるってものだ。
その相手が犬というのは、少し悲しいものがあるけれど。

( ^ω^)「まあ、決まっちゃったものはしょうがないお。無事クエスト終わらせて帰って来るからお留守番頼むお!」

(∪*^ω^)「わんお!」

僕はわんわんおの頭をやさしく撫で、のんびりと晩ご飯を楽しんだ。



     第七話 魔法の銀鉱石を探せ 終

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