905 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:08:22 ID:yhn9yTzA0

 〜 メシューマの町 ??? 〜


(;^ω^)「クッ、ちょっとは手加減しやがれお!」

【+  】ゞ゚)『おいおい、さっきまでの威勢はどうしたんだ?』

( ^ω^)「って、隙有り! ウインド……」

【+  】ゞ゚)『やらせるかよ!』

(;^ω^)「うおっ!? 危ね!」

【+  】ゞ゚)『オマケだ』

(;^ω^)「だああああッ!!!」



     第五十二話 白き翼


907 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:09:55 ID:yhn9yTzA0

(;^ω^)「セーフ。何とかかわしたお」

僕の名前はブーン。
ヴィップの町で魔法道具屋サンライズを営む魔法使いだ。

【+  】ゞ゚)『おうおう、やるねえ。それじゃ、こいつはどうだ?』

奴の名前はオサム。
灰衣の男ことデミタスが召喚した悪魔で、デミタスの身体を乗っ取って僕らに襲い掛かって来た。

(;^ω^)(まだあんなに魔力弾が生み出せるって事は、やっぱ魔力切れを待つのは厳しいかお)

デミタスの周りに今までよりも更に多い黒い魔力の弾が出現した。
デミタスが左腕を前に突き出すと、魔力弾は一斉に僕とツンの方に向かって来る。

(;^ω^)「だああああッ」

ξ;゚听)ξ「クッ!」

避けるのに精一杯で、反撃の隙など有りはしない。
このままこれを繰り返していてもジリ貧になる一方で、活路が開ける気がしない。

908 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:11:14 ID:yhn9yTzA0

【+  】ゞ゚)『ヒャッヒャッヒャ、踊れ踊れ』

転がり回る僕らの姿を、オサムは笑いながら見ている。
一見すると隙だらけだが、その目に油断の色はない。
むしろ、僕らの状況をつぶさに観察し、見極めている風にも見える。

僕らの力を軽んじてもいなければ、自分の力を過信もしていないのだろう。
思ったよりは慎重な性格なのかもしれない。

(;^ω^)(何とかして隙を作りたいけど……ぶっちゃけ、難しいおね)

今のこの状況で何とか攻撃を仕掛けられても、恐らくは簡単にかわされてしまうだろう。
何かしら、相手が予想だにもしない何かを挟まないと、あの転移の力で逃げられる。

(;^ω^)(どうするかお? 目くらましは一度使っちゃったし、ブーン・クラッシュもデミタスには見せたお)

(;^ω^)(他に何か意外性のある攻撃は……)

ξ;゚听)ξ「ブーン!」

(;^ω^)「やば──!?」

909 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:13:16 ID:yhn9yTzA0

考える事に気を取られ過ぎ、回避が一瞬遅れてしまった。
それでも何とか飛び退く僕の肩を魔力弾がかすめていく。

(;^ω^)「ぐっ……」

鈍い痛みが肩から響いて来る。
直撃こそ免れたものの、左肩がどす黒く変色していた。

【+  】ゞ゚)『クゥクック、だいぶお疲れの様だな』

(;^ω^)「まだまだ余裕だお」

強がって立ち上がってはみたものの、それが虚勢だというのはバレバレだろう。
あと何回オサムの攻撃をかわせるかはわからない。

一か八か、攻撃を仕掛けるしか僕に道は残されていない様だ。

( ^ω^)「ツン」

ξ゚听)ξ「……私が先行するわ」

ツンも状況をは理解しているらしく、僕の言わんとせん事を察してくれた。
僕はオサムに向かって走るツンの背後に付き、呪文の詠唱を始める。
912 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:14:45 ID:yhn9yTzA0

【+  】ゞ゚)『自棄になったか? 無謀が過ぎるぜ』

ξ゚听)ξ「ハッ!」

オサムの手から撃ち出された魔力弾をツンは大きく跳躍してかわす。
その時には僕も既にツンの背後から離れ、オサムを挟み込むようにツンと反対側に回っていた。

【+  】ゞ゚)『あめえよ』

オサムの全身を包むように魔力弾が出現し、全方位に向かって放たれる。
全く狙いは付けていないのだろうが、これだけの数の弾幕をかわしてオサムに接近するのは至難の業だ。
僕もツンも回避に専念せざるを得ない。

ξ;゚听)ξ「クッ、このッ!」」

【+  】ゞ゚)『まずはお前からだ』

オサムの姿が消えたと思った瞬間、その身は既にツンの背後にあった。
回避で体勢を崩していたツンに向け、魔力を纏ったオサムの左腕が振り上げられる。

(#^ω^)「やらせるかお!」
914 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:16:19 ID:yhn9yTzA0

魔力弾を回避し、地面に膝を付いたまま、僕は唱えていた呪文を解き放とうとオサムに手を向けた。

【+  】ゞ゚)『そう来ると思ったぜ』

(;^ω^)「しまっ──」

再度転移し、今度はオサムは僕の背後に姿を現した。
必死に魔法を撃とうとしていた腕をオサムの方に向けようとするが、このタイミングでは間に合わない。

【+  】ゞ゚)『そろそろ死んどけよ』

(;゚ω゚)「うおおおおおッ!」

【+  】ゞ゚)『──!?』

振り下ろされようとしたオサムの左腕が何故か急に動きを止めた。
僕はその理由を考える暇もなく、ただ一心にオサムに向け魔法を放つ。

(;^ω^)「ファイヤー・シュートォッ!」

僕の手から撃ち出された火球がオサムにぶち当たり、爆ぜる。
原因はわからないが、何かに虚を突かれたらしいオサムは転移出来ずに僕の魔法の直撃を受けた。

915 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:18:02 ID:yhn9yTzA0

(;^ω^)「これなら!」

【+  】ゞ゚)∩『……やってくれんじゃねえか』

(;^ω^)「クッ、止めやがったお」

直撃したかに見えた僕の魔法はオサムの左腕によって全て防がれていた。
多少はダメージもあるのかもしれないが、有効打には至っていないだろう。

( ^ω^)「けど──」

オサムは何故か転移せずに僕の魔法を受け止めた。
理由はわからないがチャンスには変わらない。
僕は距離を詰めるべく、踏み込もうとしたがオサムの上げた左足を見て今度は僕が思わず動きを止めてしまった。

(∪#`ω´) ウゥー!

(;^ω^)「わんお!?」

ξ;゚听)ξ「いつの間に!?」

【+  】ゞ゚)『ったく、いきなり飛び出して来て何をするかと思えば……』

916 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:19:44 ID:yhn9yTzA0

どうやらオサムが動きを止めたのは、わんわんおが足に噛み付いたかららしい。
痛がっている様子もない事からダメージはないようだが、予想外の事だったのだろう。

(∪#`ω´) ウゥー!

【+  】ゞ゚)『おいたが過ぎるぜ、犬っころ』

オサムが足を更に高く上げる。
それでもわんわんおは口を離そうとはしない。

(;^ω^)「何やってんだお、わんお! いいから逃げるんだお!」

このままではわんわんおが危険である。
しかし、僕の頭の中に、これはチャンスでもあるという考えが一瞬過ぎった。

これはわんわんおが作ってくれた隙だ。
恐らく、オサムはわんわんおに攻撃を加えるだろうからその隙にこちらも攻撃を加える事が……

(#^ω^)「やらせるかお!」

僕は馬鹿げた考えを振り払い、わんわんおを救うべくオサムに突進する。
一瞬でもそんな事を考えた僕はどうかしていた。
わんわんおを犠牲にして勝利してなんになるというのだ。

917 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:21:19 ID:yhn9yTzA0

【+  】ゞ゚)『ククッ……くたばりな』

(∪#`ω´) フーッ!

(;^ω^)「わんお!」

ξ;゚听)ξ「逃げてえええッ!」

僕とツンが無我夢中でオサムに飛び付こうとするのをあざ笑うかのように、オサムは上げた足を一度下げ、
大きく蹴り上げた。

(∪;^ω^)!?

(;^ω^)「え!?」

オサムはわんわんおを地面に叩き付けるような事はせず、空中に飛ばした。
無論、手心を加えたわけではない。
これが罠だと頭のどこかで理解しつつも、僕もツンもわんわんおを拾うべくそちらへ飛んでいた。

【+  】ゞ゚)『折角なんでまとめてくたばって貰うぜ』

空中で重なり合う僕らに、オサムの手が向けられる。
そこから、これまでにないほど数多くの魔力弾が僕らに向けて放たれた。

918 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:22:34 ID:yhn9yTzA0

 〜 メシューマの町 中央付近  <シブサワ> 〜


ミ∬οVV) ゴァッ!
  _、_
( ,_ノ` )「おせえよ! トリアングルム!」

虚空にナイフで三角形を描き、Gデーモンの放った魔力弾を防ぐ。
防御魔法は得意ではないが、このくらいの芸当ぐらいは出来る。
今となっては使い手がほぼいなくなった、古代の悪魔祓いの技だ。
  _、_
( ,_ノ` )「アルクス!」

両手のナイフを交差させるように振り下ろし、2筋の弧状の光の魔法をGデーモンに飛ばす。
しかし、上空にいるGデーモンはそれを難なくかわした。
  _、_
( ,_ノ` )「ったく、簡単に避けてくれる」

回避力もさることながら、たとえ当たったとしても、今の攻撃で有効なダメージを与えられるかは難しい所だ。
物理攻撃に対しても、魔法攻撃に対してもそれなりに耐性は高そうである。
同じ攻撃を撃つにしても、威力を落とさない為にもう少し距離は詰めたい。

919 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:23:39 ID:yhn9yTzA0
  _、_
( ,_ノ` )「やっぱ引きずり降ろさねえとどうにもならんか」

加えて、頭を完全に抑えられた状態での戦いは極めて不利だ。
そう多くもなかった遮蔽物も、上空からの攻撃でほとんどが用を成さなくなっている。
  _、_
( ,_ノ` )「やはり遠距離攻撃はどうも苦手だわ」

( ゚∋゚) ブンッ!
   ∪彡

ミ∬οw) シャギャッ!

クックルの方もこちらと状況は似たり寄ったりで、攻めあぐねて防戦一方といった様子だ。
最初の攻防以降、こちらの実力を認めてくれたのか、接近戦はほぼ仕掛けて来なくなった。
そのお陰でこちらも持ち堪えてはいるが、このままずるずると戦いが長引くのは望む所ではない。
  _、_
( ,_ノ` )「……どうするかね」

俺は煙草を取り出したい欲求をぐっと堪え、上空のGデーモンを警戒しつつクックルに声が届く距離まで近付く。
お互い戦い馴れもしていれば、戦い方も違うので意図的に1対1になるような位置取りをしていたが、
それでは道はこじ開けられそうにない。

920 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:25:05 ID:yhn9yTzA0

何かしら変化が欲しい局面に、俺はクックルに短く告げた。

( ゚∋゚)" コクッ

クックルは一切表情を変えることなく、無言で頷く。
今の短い言葉だけで、こちらの完璧に意図を理解するのは無理な話だが、やるべき事をやってくれればそれでいい。
  _、_
( ,_ノ` )「さて、それじゃあ行くかね」

上空のGデーモンがこちらに向け、数発の魔力弾を撃って来る。
俺はそれを跳んでかわし、崩れかけた建物を足場に更に上空に跳んだ。
  _、_
( ,_ノ` )「叩き落してやるぜ」

そのままGデーモン目掛けて直進するが、これでは格好の的だ。
Gデーモンもそれがわかっているのか、慌てる事無くこちらに魔力弾を飛ばす。
  _、_
( ,_ノ` )「トリアングルム!」

こちらもGデーモンの魔力弾を難無く防ぎはするものの、それ以上近付く事は出来ず、重力に任せて落下するしかない。
  _、_
( ,_ノ` )「チッ、駄目か」

921 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:26:06 ID:yhn9yTzA0

着地の隙を狙って放たれた魔力弾をかわし悪態を吐く。
悪魔がそこまで人の心の機微を理解しているのかはわからないが、
今のを陽動だと悟らせない為にはそのくらいの演技は入れておくべきだろう。

ミ∬οw) グァッ!
  _、_
( ,_ノ` )「いつまでも調子に乗ってんじゃねえぞ」

そこから何度か上空へ跳び、攻撃を仕掛けては打ち落とされるという流れを繰り返した。
防がれるのが目的とはいえ、あまり単調になり過ぎるとそこを狙われかねないから、
ある程度の変化は付けたし手も抜いていない。

お陰で少し疲れて来たが、餌はもう、十分に撒けただろう。
  _、_
( ,_ノ` )「クソッ、いい加減降りて来いよ!」

ミ∬οw) ガァッ!

俺の苛立った口調に対し、どこか楽しげな吠え方をするGデーモン。
本当は無感情に吠えているだけかもしれないが、俺にはそう聞こえた。

922 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:27:40 ID:yhn9yTzA0
  _、_
( ,_ノ` )「この野郎!」

また俺に向けて放たれた魔力弾をかわし、左に大きく跳躍する。
同じくGデーモンと交戦中のクックルとすれ違い、俺は上空へ跳んだ。

( ゚∋゚)∩ スッ……

俺の跳ぶタイミングに合わせ、クックルはもう1匹のGデーモンを狙うかのようにその盾を上空に飛ばした。
どうやら俺の意図は正しく理解してくれていたようだ。
  _、_
( ,_ノ` )「トリアングルム!」

またも俺に向けて放たれる魔力弾を、これまでと同じ様に空中で防ぐ。
そこから何度となく繰り返した展開と同じく、俺は重力に負けて落下していった……かの様に見せた。
  _、_
( ,_ノ` )「油断したな、悪魔野郎」

ミ∬οw) !?

俺は空中で動きを止め、再びGデーモンに向けて跳躍する。
無論、空を蹴ったわけではない。
一旦足場、クックルの盾に着地し、そこからまた跳んだのだ。

( ゚∋゚)∩ グッ

923 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:29:34 ID:yhn9yTzA0

予期せぬ俺の動きにGデーモンは反応出来なかったのか、至近距離まで一気に肉薄する。
  _、_
( ,_ノ` )「もらったぜ! アングルス!」

ミ∬οW) ゴァッ!

それでもGデーモンは何とか対応しようとしたのか、俺に向けて横殴りに右手を払う。
俺は身を捻り、攻撃をかわしてその背に一撃を加えた。

ミ∬οw) グワッ!?
  _、_
( ,_ノ` )「チッ、やっぱ予想通り固いな。だが!」

俺は力を込め、Gデーモンに刺さったナイフを更に押しやる。
Gデーモンの背からは、鮮血とは言い難いどす黒い液体が噴出した。

ミ∬οW) グガァァァァッ!
  _、_
(;,_ノ` )「クッ……」

痛みの為か、両腕を振り回して暴れ出すGデーモン。
避け切れず、俺は空に投げ出された。
925 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:31:48 ID:yhn9yTzA0
  _、_
(;,_ノ` )「チィ、だが手応えはあったぜ」

俺は姿勢を制御しつつ、上空に残るGデーモンを見る。
ほぼ左右対称だったシルエットが歪んでいた。

ミ∬οW) グオォォォォッ!

Gデーモンは一声大きく吠えると、そのままゆっくりと落下していく。
どうやら上手い事羽にダメージを与える事は出来たらしい。
  _、_
( ,_ノ` )「さて、ここから仕切り直しと行くか」

何とかGデーモンの1匹を地上に引きずり落とすことが出来た。
これで戦況はだいぶマシになるだろう。
  _、_
( ,_ノ` )「……とまあ、そう簡単には行かんか」

(メ゚∋゚)
  _、_
( ,_ノ` )「何でそう律儀に仕事をこなしてくれるかね」

926 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:33:19 ID:yhn9yTzA0

視線の先には手傷を負ったクックルの姿がある。
状況から考えるに、俺の足場を維持する為、敢えてもう1匹のGデーモンの攻撃を避けずにその場を維持したのだろう。
  _、_
( ,_ノ` )「俺の事より回避を優先しろよ。駄目ならまた次の手を打つだけなんだし」

(((メ-∋-))) フルフル……
  _、_
( ,_ノ` )「……オーライ、お互いのんびりしてられないのは同じだ。……借りはいつか返すぜ」

クックルが言わんとせん事もわかる話なので、俺はそれ以上追求も謝罪もせず地上に落としたGデーモンの方に向かう。
自己犠牲なんて綺麗事を語る口は持たないが、均衡を崩す為に危険な手を打つなんて事は俺も散々やって来た事だ。

(メ゚∋゚)" コクッ

頷き、もう1匹のGデーモンに向かうクックルの足取りは、平素と変わらぬ確かなものだ。
耐え切れる自信があったからこそ、Gデーモンの攻撃を受けてまで俺の足場を維持したのだろう。
  _、_
( ,_ノ` )(やっぱ敵に回したくねえ相手だ……今後も含めてな)

俺は一瞬浮かんだ考えに自嘲の笑みを浮かべ、それを振り払う。
今やるべき事は今現在の敵の戦力を削ぐ事で、将来の敵の戦力を削ぐ事ではない。

927 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:34:09 ID:yhn9yTzA0
  _、_
( ,_ノ` )「さて、お仕事と行きますかね」

ミ∬#οw) ガァァァッ!

俺は猛り狂うGデーモンの出鱈目な攻撃をかわし、接近を図る。
肝の冷える攻撃が身をかすめるも、上空に留まられるよりは何倍も戦いやすい。
  _、_
( ,_ノ` )「キルクルス!」

俺は一旦距離を空け、ナイフで中空に円を描いた。
ナイフが辿った軌跡に、白い光が宿る。
  _、_
( ,_ノ` )「食らえ!」

ナイフを逆手に持ち直し、光の円を切り払う。
光の円はナイフに撃ち出されてGデーモンに向かって飛んだ。

ミ∬#οW) ゴァァッ!?

光の円はGデーモンの皮膚を切り裂き、どす黒い血を吹き出させる。
この位で致命傷に至る相手ではないとしても、ダメージはあるはずだ。
  _、_
( ,_ノ` )「もう一丁!」

928 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:35:08 ID:yhn9yTzA0

次々と光の円を打ち出し、Gデーモンの身を削っていく。
Gデーモンも反撃してくるが狙いは甘い。
俺はそれを掻い潜り、再びGデーモンに最接近する。
  _、_
( ,_ノ` )「デクスクラ! シニストラ!」

両のナイフでGデーモンの首を挟みこむように切り付ける。
硬い皮膚の所為で首を刎ね飛ばす事は出来なかったが、かなりのダメージは与えられた。

ミ∬#οW) グボァァァァッ!

吹き出す血と共に、Gデーモンの口から黒い魔力の帯が俺に向けて放たれる。
狙いなどない反射のような攻撃ではあるが、当たれば即戦闘不能に陥るであろう威力は未だ健在だ。
  _、_
( ,_ノ` )「っと、危ねえな……」

向こうさんに付き合って、こちらまで無闇に攻め続ける必要はない。
ここまでくれば確実に仕留め切るのを優先させる。

ミ∬#οW) グガッ!?
  _、_
( ,_ノ` )「!?」

そう考え、攻撃の手を緩めた矢先にGデーモンが何かに弾かれた様にびくりと震え、前のめりに倒れ込む。
倒れたGデーモンの向こうに、1人の奇天烈なポーズを取った優男の姿が見えた。

ヽ( ・∀・)ゝ
930 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:36:45 ID:yhn9yTzA0

 〜 メシューマの町 中央付近  <フィレンクト> 〜

  _
(#゚∀゚)「でえええりゃあああッ!」

从∀ 从ト「ルォォォォォォォォォォォォ……」

騎士団の者達でも、真っ向から受け止め切れる者はわずかだったジョルジュの渾身の一撃を、
ハインは造作もなく両の剣で受け止め、弾いてみせる。

ハインの剣の腕は確かだったが、腕力はジョルジュやミルナに比べると数段劣っていたはずだ。
それがここまで強化されるとは、改めてマルタスニムの研究の恐ろしさが窺い知れる。

私は斧を弾かれ、体勢を崩したジョルジュに襲い掛かるハイン目掛けて小石を飛ばす。

从∀ 从ト「ルォッ」

ハインはそれを苦も無くかわし、大きく左に跳んで私からもジョルジュからも距離を取った。
私はハインの急襲を警戒しつつジョルジュに近付き、声を掛ける。

931 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:38:16 ID:yhn9yTzA0

(‘_L’)「正面からだけでは厳しいようですね」
  _
( ゚∀゚)「……」

ジョルジュは憮然とした顔をしつつも、素直に頷いた。
助けられた事を恥じているとかそういうわけでなく、未だハインを敵として見る事に抵抗があるのだろう。
付き合いの長さによる度合いの違いはあれど、それは私も同じではある。

(‘_L’)「とはいえ、恐ろしく勘がいいですからね」

しばらく刃を合わせてみてわかった事だが、今のハインの戦い方は何というか滅茶苦茶である。
型やセオリーなどは無視で、本能のままに戦っているという感じだ。
どこか野生の獣と戦っている様な錯覚すら覚える。

元々そういう戦い方をするきらいはあったとはいえ、今は極端に野性的過ぎる。

(‘_L’)「下駄な小細工は通じなさそうです」

仮に策を講じても、気付かれずに仕掛けるのは至難の技だ。
更に言えば、その隙も与えてくれないだろう。
  _
( ゚∀゚)「来るぜ、おっさん」

932 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:39:40 ID:yhn9yTzA0

熟考しかけていた私に、ジョルジュが注意を促してくる。
言い方はあれだが彼の戦況を見る目は確かで、いずれ騎士団に正式にスカウトしたいと考えてもいた。
騎士団長の職を辞した今となってはもう、叶わぬ願いではあるが。

从∀ 从ト「ルォ……」

川lii゚ 々゚)「グァッ」

いつの間にか合流していたクルゥが、ハインに促されるようにして我々に襲い掛かって来る。
ハインとクルゥの間には、何やら奇妙な上下関係が出来ているようであった。
どういう理由かは不明だが、クルゥはハインに従っているように見える。

川lii゚ 々゚)「グォァー」

こちらに向かって来るクルゥの顔は、どこか怯えた風でもある。
報告によると、彼女に憑いている精霊は恐怖の精霊との事だったので、そこに起因するのかもしれない。

(‘_L’)(クルゥに憑いている物が恐怖の精霊だとすると、ハインに憑いているのは……)

思考を中断し、迫り来るクルゥに剣を向ける。
先ほどまで離れた場所でクルゥと戦っていたミルナも合流し、私達は3人がかりでクルゥの足を止めようとした。

933 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:40:26 ID:yhn9yTzA0

川lii゚ 々゚)「グァッ」
  _
(#゚∀゚)「ちょこまかと!」

ハインとは違って、クルゥはこちらの攻撃を受けようとはせず、回避しつつ攻撃を仕掛けて来る。
速さだけなら恐らくハインより上だろう。

( ゚д゚)「そこだ!」

川lii゚ 々゚)「グァー」

対してこちらは、速さ、手数よりも一撃の重さを重視する戦い方をする者ばかりだ。
それは差であって、本来どちらが上というわけでもないのだが、この規格外の速さの相手をするとなると、
若干不利である事は否めない。

(‘_L’)「ハッ!」

川lii゚ 々゚)「グァッ」

ジョルジュとミルナ、2人の攻撃をかわしてこちらに跳んで来たクルゥに向けて剣を振るう。
クルゥの身体を捉えたかに見えた私の剣は、クルゥの手にあるナイフによって弾かれていた。

934 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:41:46 ID:yhn9yTzA0

(‘_L’)「シッ!」

川lii゚ 々゚)「グァグァッ」

すぐさま剣を引き、2撃目を放つもクルゥの身は跳び退った後だ。
更に追撃を加えようにも、自分の足では到底追い付けはしない。

(‘_L’)「……私が向こうに残るべきでしたかね」

思わず口を吐いていた私の呟きは2人には聞こえなかったようだ。
こちらには見向きもせず、クルゥの追撃に備えている。

ここで愚痴を述べても仕方ないのだが、彼、シブサワならクルゥの動きに付いていけただろう。
ただ、彼は1度ナカノヒトでクルゥに後れを取ったと聞いている。

どこか調子でも悪かったのか、それとも油断したかは定かではないが、彼の実力がそんなものではない事は、
実際に刃を交えた事のある自分自身がよく知っている。

(‘_L’)(とはいえ、お互い年を取りましたからね……)

もう全盛期のような強さは失われている事は否めない。
だが、それを補って余りある戦いの経験は積んで来た。

935 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:42:30 ID:yhn9yTzA0

(‘_L’)(故に、ここで突破口を見付けるのが私の役目ですね……)

まだ若い2人に、この状況を打破する術を探せというのは難しい話であろう。
相手が身内という事で、その刃も鈍ってしまっている。
本人達にそんなつもりはなくとも、迷いを完全には断ち切れていないはずだ。

从∀ 从ト「ルォォォォォォォォォォォォ……」

川lii゚ 々゚)「グァー」

ハインの遠吠えに背を押されるように、またもクルゥがこちらに向かって来る。
今度はハインもクルゥに続いて走り出した。

(‘_L’)「……やはり分断するしかないでしょうね」

クルゥとハイン、2人の波状攻撃を防戦一方で凌ぎながら策を練る。
策と呼べるほどの質のものではないが、まとめて相手をするのは得策ではない。
  _
( ゚∀゚)「だな。……つっても、さっきはそれに失敗したわけだが」

( ゚д゚)「……次は上手くやってみせよう」

936 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:43:59 ID:yhn9yTzA0

1度そういう結論に達し、ミルナがクルゥを引き受けるという手はずで戦場を分けようとしたのだが、
敢え無く合流されてしまった。

言葉も通じなければ行動も読めないあれをずっと引き付けておけというのは難解な事ではあるので、
ミルナを責めるような話ではないが。

(‘_L’)「いえ、今度は私が1人で引き受けます」
  _
( ゚∀゚)「やれんのか?」

(‘_L’)「やらなければ遠からず全滅は免れませんしね」

( ゚д゚)「だがそう簡単にはいかんぞ?」

(‘_L’)「ハインを私が引き受けます。その間に2人はクルゥの戦闘力を奪ってください」

色々な点を考慮すると、こうするのが一番いいと結論付けたのだが、ジョルジュが一瞬眉をひそめた。
しかし、ジョルジュが危惧している事はわかっているつもりだ。

(‘_L’)「正直、1対1で勝てるとは思えません。何とか持ち堪えますから、手早く願いますよ?」

( ゚д゚)「わかった。ジョルジュ」
  _
( ゚∀゚)「……ああ、ハインを頼むぜ、フィレンクト」

937 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:45:28 ID:yhn9yTzA0

多くを語らずとも、私の言いたい事はわかってくれただろう。
まだそれほど長い期間を共に過ごしたわけではないが、密度の高い付き合いであった。

私は彼らがハインの事を大切に思っている事はよく知っている。
そして彼らは、私が仲間を見捨てない事も知ってくれているはずだ。

(‘_L’)「行きますよ?」

私は2人の返事は待たず、クルゥに接近すると見せかけて体をかわし、ハインの方へ向い横薙ぎに剣を振るった。
背後では私をブラインドにしたミルナの鉄球が、クルゥに襲い掛かる。

川lii゚ 々゚)「グァッ」

从∀ 从ト「ルォッ」

そのまま私は後方に跳んだハインに体当たりを仕掛ける。

ノ从∀ 从ト「ルォォ……」

(‘_L’)「そう来るのは読めています」

938 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:46:37 ID:yhn9yTzA0

跳躍して振り下ろされる2刀を、剣を背負うようにして防いだ。
弾いた勢いそのまま、剣の柄をハイン目掛けて打ち下ろす。

ノ从∀ 从ト「ォォ……」

更に下がるハインに詰め寄り、距離を無くしつつクルゥとの分断を図る。
間合いを見誤れば逆に距離を詰められ、一気に私の生命を刈り取る躊躇いなき斬撃をハインは打つだろう。

1つ間違えば死ぬ。
そんな久しく感じていなかった極度の緊張感に、私は不本意ながらも若干高揚している事に気付いていた。

(‘_L’)(私もまだ、武人というわけですかね……)

口の端が緩みそうになるのを堪え、上段からまっすぐに剣を振り下ろす。
ハインはそれを紙一重で避け、すぐさま踏み込んで横薙ぎで首を狙って来た。

(‘_L’)「セヤッ!」

从∀ 从ト「ルォッ」

振り下ろした剣を跳ね上げ、カウンターを狙ったがハインはいち早くそれを察して身を捻り、回転しつつ横にかわした。
避けられるのは想定範囲内としても、その勘の良さには舌を巻く他ない。

939 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:48:00 ID:yhn9yTzA0

(‘_L’)「……そうこなくては」

感嘆と高揚で緩む口元を今度は隠す事はせず、ハインを真っ向から見据える。
武人としてこの戦いで果てるのも本望かもしれないが、私には彼らを巻き込んだ責任がある。
何としてもハインを取り戻さなければならない。

(‘_L’)「このまま真っ向から打ち合いたい所ではありますが……」

小石を飛ばし、ハインが避ける方向を誘導しつつ合間に剣を振るう。
今は時間を稼ぎ、ジョルジュ達が2人掛でクルゥを捕らえるのを待つ事が肝要だ。

从∀ 从ト「ルォォォォォォォォォォォォ……」

幸いにも、ハインは離脱してクルゥと合流する素振りは見せず、私の動向を伺っている様に見える。
このまま膠着状態に持ち込めれば御の字だが、そうはならないだろう。

わずかでも隙を見せれば、ハインは容赦なく私の生命を奪いに襲い来る。
今の彼女はそんな目をしていた。

(‘_L’)「さあ、気を引き締めて掛かりましょう」

私は剣の切っ先をハインに向け、その目をまっすぐに見詰めた。

940 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:50:33 ID:yhn9yTzA0

 〜 メシューマの町 ???  <???> 〜


その瞬間、感じるはずの痛みはなかった。
何かが覆いかぶさり、地面を転がったのは覚えている。

転がる内に投げ出され、地面にぶつかった衝撃で意識が飛んでいたみたいだけど、ほんのちょっとの時間だと思う。
段々と色んな感覚が戻って来た。

何とも言えない嫌な臭いがまず鼻をつく。
これまで嗅いだ事もない、気持ちの悪い臭いだ。

次にいくつかの音が耳に届いた。
風が耳をかすめる音、何かが燃えるような音。

そして開いた目の前に、よく見知った顔が見えた。

(;´ω`)ξ;--)ξ

大地に横たわる、いつも一緒にいた2人の顔が見えた。

941 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:52:02 ID:yhn9yTzA0

少し離れた場所から、誰かの声が聞こえる。
ひどく耳障りで、嫌な気持ちになる声が。

【+  】ゞ゚)

その声に応じるように、立ち上がり、僕の前に立ちはだかる影がある。

(;-ω^)

背を曲げ、足を引きずる様子は、いつもの元気な姿じゃない。
それを見て、僕はとても悲しくなった。

思わず漏れてしまった僕の声に、その人は大丈夫だと言わんばかりにこちらに笑顔を向けてくれる。

(^ω^ )

いつものやさしい笑顔を。
一緒にいると、心が安らぐ笑顔を。

僕は知っている。
いつも一緒にいるあの人の事を何と呼ぶのか。

942 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:52:45 ID:yhn9yTzA0

それは家族。

あの人は僕の家族。

(;^ω^)

あの人が、嫌な声の方に向かう。
その肩を、もう1人の僕の家族が支える。

ξ;゚听)ξ(;^ω^)

けれど、その身に力はなく、その背に悲しい思いがある。

何とかしたい。
僕は強くそう願う。

けれど僕には力がない。


僕には……

943 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:54:20 ID:yhn9yTzA0

不意に、背を押された気がした。
ここの所、背中が変な感じになる事があったけど、それが今はっきりとした何かに変わった。

この感じは、だいぶ前に感じた事がある。
あの時確か、こう言われた気がする。

おまじないだと。

僕は押されるままに立ち上がる。
けれど、これではまだ足りない気がする。

きっかけにはなるけど、まだ力が足りないと。

それでも歩き出した僕の足に、何かがぶつかった。
これはあの人が持っていた棒だ。

僕はそれをじっと見詰める。
何故だか僕は、それをずっと以前にも見た気がする。

よくわからないけど、僕はそれを知っている。

あの人の顔に、よく似た別の誰かの顔が重なった。
とても懐かしく、あの人と同じやさしい笑みが僕を包んだ。
その人が、僕に何をすればいいのか教えてくれた気がする。

僕は、導かれるままにその棒の先にある石に噛み付いた。

944 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:55:26 ID:yhn9yTzA0

 〜 メシューマの町 ???  <ブーン> 〜


【+  】ゞ゚)『おいおい、まだ立てるのか? 当たる直前、ギリギリ防いだってとこかよ』

(;-ω^)「見ての通りだお。お前の攻撃なんかきかねえお」

無論それは強がりだ。
実際は奴の攻撃を全ては防ぎ切れてはおらず、何発かは被弾している。

奴もそれには気付いているだろう。
強がった所で、満身創痍といわんばかりのふらふらな様子は隠し切れない。

(∪;^ω^)「わんおー……」

(^ω^ )「大丈夫だお。そこで休んでるんだお」

何とかわんわんおは守り切れたようだ。
見た所、ケガをしている様子もない。
実際はまだこの状況で守り切れたとは言い切れないのだが、取り敢えずは安心出来た。

945 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:56:24 ID:yhn9yTzA0

【+  】ゞ゚)『いい加減あきらめて楽になれよ。お前、頭は悪い方じゃないだろ?』

【+  】ゞ゚)『ここからお前に逆転の手が打てるかどうか、もうわかってるはずだぜ?』

ξ;-听)ξ「余計なお世話よ、三下悪魔。やれるもんならやってみなさいよ」

悪態を吐きながらツンが立ち上がり、僕の肩を支えてくれる。
本当の所、残念ながら奴の言う事の方が正しくはあるのだが、この期に及んで強がれるツンの姿は頼もしく思う。

ξ;゚听)ξ(;^ω^)

【+  】ゞ゚)『言うじゃねえか。ならご希望通りに殺してやるよ』

その言葉と同時に、オサムの周囲に大量の魔力弾が出現する。
どう考えても今の僕に防ぎ切れる量ではなく、避け切れるほどの体力も残っていない。
万事休すという状況だ

【+  】ゞ゚)∩『これで仕舞いだ。じゃあな』

オサムが振り上げた左の手を下ろすと、魔力弾が一斉に僕達の方へ飛んで来た。
先の攻撃で杖を落としてしまっていた僕は、両の手を重ね、防御魔法を張るが既に結果は見えている。

到底防ぎ切れるものではない。
947 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:57:57 ID:yhn9yTzA0

僕は片方の手をツンの方に伸ばす。
ツンはその手を力強く握り返してくれた。

そして僕達は目を閉じ、静かにその時を待った。

ξ;--)ξ(;-ω-)

静寂が世界を包む。
それは死を間際に控えたという極限の状況が引き起こす錯覚だと思っていた。
1秒後にも僕らは意識を刈り取られ、その生命に終わりを告げる。

そうなるものだと覚悟していた。

しかし、一向にその時は訪れない。

(;^ω^)

恐る恐る目を空けた僕の視界には、変わらぬ終わりの光景が広がっていた。
視界を覆いつくす黒い魔力弾。
だが、それは、微動だにしていない。

そしてその合間に、何故か驚愕の表情を浮かべるオサムの顔が見えた。

【+  】ゞ゚;)

948 名前:名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 22:59:35 ID:yhn9yTzA0

(;^ω^)「お……?」

僕はオサムの視線を追い、目を僕達の頭上に向ける。
そこに見えたのは白く丸い体躯。

その背にあるのは白き翼。


           ./\'\
          /彡彡(U^ω^)
          /彡彡,,/ ⊃ ⊃
          |彡,/c(  _ /
          ""  ∪ ∪


(;^ω^)「わん……お……?」

ξ;゚听)ξ「ウソ、何で……?」

白き翼を広げ、宙に浮かぶわんわんお。
その姿は、あの日見た古の竜を思い起こさせた。



     第五十二話 白き翼 終

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