( ^ω^)どうやらブーンが兵士になったようです

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 16:45:39 ID:SAlSbqkL0
(  ^ω^)「僕もいよいよニュウソクの兵士になったお…。入団できたのが不思議だけど………でも…」
壁にかけてある銃を見つめるブーン。
(  ´ω`)「やっぱり明日から僕はこの銃で、人を殺してしまうんだお…」

ブーンには病気の母がいた。
ブーンには、どうしてもお金が必要だったのだ。
しかし、不景気な世の中では、このような危険な仕事にしか就職できなかったのだ。

(  ´ω`)「でも…こうでもしなきゃお金が稼げないんだお…。僕みたいなのはいい仕事に就職も出来ないし…」
(´・ω・`)「おいお前、早く寝ろ。明日は早いんだからな」
(  ^ω^)「あ、隊長! わ、分かりましたお!」
(´・ω・`)「そうか」

ブーンの前から去る隊長。
しかし、その背中を見た時、ブーンは言い表せない「何か」を感じていた。

(  ´ω`)「………もう考えるのも疲れたお。とっとと寝るお」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 16:48:39 ID:SAlSbqkL0
(´・ω・`)「よし、十八番隊は全員整列しろ」

僕が所属するのは十八番隊だった。
隊の数字は、簡単に言って隊の強さだ。
百戦錬磨の集う一番隊から、かなりの数がある。
僕の十八番隊は、並みの下、あたりだ。

(´・ω・`)「全員いるな。われわれ十八番隊は、本日国境東の山岳から敵国に攻め入る。陽動となるのだ。何か質問はあるか?」
('A`)「あ、あの…すいません」

一人の少年が挙手した。
彼は、部隊で僕と同じ年の少年だった。

('A`)「その……敵兵は、いるんですよね?」
(#´・ω・`)「当たり前のことを言うな! 重要な任務なのだ! 向かってきた者は、殺せ!」
('A`;)「……はい」

あぁ、やはり人を殺さなければならないのか。
やるせない気持ちがこみ上げてくる。

(´・ω・`)「それからそこのお前!」
(  ^ω^)「は、はい! なんですかお!?」
(#´・ω・`)「腑抜け面してんじゃねえ。ぶち殺すぞ」
( ;^ω^)「は、はいだお!」

隊長は、昨日とは人が違っていた。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 17:00:28 ID:SAlSbqkL0
陽動、とは簡単に言って、オトリみたいなものだ。
敵の注意をそちらにひきつけさせ、別の部隊がその隙に攻め込む。
十二番隊から十八番隊が、この任務に当たるらしい。

(´・ω・`)「よし、上の隊の指示があるまで、ここで待機していろ」
国境付近の山岳に着き、隊長が指令が出された。
僕は、岩の後ろで一人、空を見上げていた。

('A`)「なあ…そこの君…」
先程の少年が僕に話しかけてきた。

(  ^ω^)「なんだお?」
('A`)「その…同い年、だったよな」
(  ^ω^)「そうだお…。まさか、こんな若いうちから手を血で汚すとは思わなかったお」
('A`)「…俺、今は後悔してるんだ。無色な自分が嫌で、カッコつけるためにこんな仕事について…」
(  ^ω^)「似たものどうしだお。僕も、どうしてもお金が欲しくて…」
('A`)「兵力が少ない国だからな…。簡単に入団できたけど、実際はつらいもんだ」

その後も、僕たちは少ない時間で愚痴を言い合った。
彼とは、戦場で会わなければ良い友達になれただろう。

(´・ω・`)「十八番隊! 集合だ! 早く集まらないとぶち殺すぞ」
ふと、隊長の怒鳴る声が聞こえる。

―――戦う時間が、来たのだ―――

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 17:08:22 ID:SAlSbqkL0
(  ^ω^)「もういかなきゃだお! 君も急ぐお!」
('A`)「あ、ああ…。最後に、名前聞いていいか?」
(  ^ω^)「僕は、内藤ホライゾンだお。君は?」
('A`)「俺は……毒男。縁があったら、また会おうぜ」


(´・ω・`)「よし、そろったな! 我々はこれより、二つの隊と協力し、国境付近の町を襲撃する。遅れずについて来い!」
(  ^ω^)「………!!」

陽動のために、罪のない町の人々を襲うというのか…。
戦争というものの恐ろしさを、改めて知った。

町のそばにつくのに、それほど時間もかからなかった。
町まではまだ少し距離があるが、双眼鏡から無邪気に走り回る子供達の姿などが見える。
罪悪感が、込み上げ、僕はぐっと涙をこらえた。
毒男も、やるせない表情だ。


そのうち、十六番隊が、町に向かって特攻した。


町は、一瞬で火の海と化した。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 17:19:59 ID:SAlSbqkL0
(  ´ω`)「…………」
(´・ω・`)「よし! 我々はやってくる敵兵に奇襲をかける! 身を潜めろ!」


町が、イキナリ襲われた。
だが、それだけでは敵兵のよこす兵はあまり多くはないだろう。
……まあ、今は流れに身を任せるしかないか。

――――――――

( ´ひ`)「宰相殿」
( ゚Д゚)「…なんだろうか」
( ´ひ`)「敵国が、国境付近の村を襲ったようです」
( ゚Д゚)「…迂闊に手出しは出来ん。小隊を送り込め」
( ´ひ`)「はっ」

( ゚Д゚)「……奇襲とは、見下げたものだな。陽動か……?」
( ´ひ`)「その可能性も否定は出来ませんね」
( ゚Д゚)「兵に呼びかけ、いつでも出撃できるように準備をさせておけ」
( ´ひ`)「了解しました」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 17:26:33 ID:SAlSbqkL0
そのうち、敵国の勲章をつけた鎧を着た兵士がやってきた。
どうやら、人数はあまり多くないようだ。

(´・ω・`)「よし、部隊が町に入ったところで、我々は後ろより奇襲をかける! 挟み撃ちにするのだ!」
(  ´ω`)「……了解しました」


やがて、敵兵が町へと入っていく。
その途端、導火線に火がついたように、街中に身を潜めていた二つの隊が奇襲をかける。
銃声が響き、人のうめき声が聞こえる。
戦いが、始まったのだ。

(´・ω・`)「我々も応戦するぞ! 続け!」

そして、十八番隊も隊長を先頭に、町へと向かった。

正直、僕は足が震えていた。
人なんか殺したくないし、自分が死ぬのも怖い。

('A`lll)「………」

毒男も、青い顔をしている。
戦争とは汚いものだ……。

自分が言えた立場じゃないけど…。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 17:32:24 ID:SAlSbqkL0
僕たちは、岩陰に身を潜めながら狙撃を始めた。
僕も銃を撃ちはしたが、手が震えてうまく撃てない。
その震えは、恐怖よりも罪悪感のせいだ。

(  ^ω^)「はぁ…はぁ………!?」

パァン!

その銃声で、僕は一番の恐怖を覚えた。
僕の肩を、銃弾が貫いたのだ。
敵兵の銃弾か、流れ弾かは分からないが、どちらにせよ僕の肩を…っ。


(  ^ω^)「…っ!!」
銃をまともにもてない。
僕は、銃を持ち替え、近くの民家に身を潜めた。


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 17:40:01 ID:SAlSbqkL0
(  ^ω^)「……っ」
その民家は、ひどいものだった。
料理をしていたのであろう。まな板の上に、血にまみれた野菜が放置されている。
そして、その傍には包丁を持った女性の死体と、それにすがり付いている子供の死体。
どちらも、刃物で刺されて死んだようであった。

(  ^ω^)「とりあえず…応急処置を…っ」
家の奥に、大きい置石があった。
とりあえず、そこにもたれ掛け、応急処置をすることにした。

と、そのときだ。
ゴッ、と音がして、置石が自分の腰掛けている方と逆の方向に動き出した。
あわてて身を引き、そこを見る。


どうやら、置石の下には地下室への階段があったらしい。
僕は、そこから上がってきた男と対峙した。
そしてその男は、剣を持っている!

このままでは……殺される………!!


( ;;゚ω゚)「う、うわああっっ!!!」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 17:47:43 ID:SAlSbqkL0
パァアァァァン!

空虚に、銃声が響いた。
その銃声は外の銃声と紛れ、あまり大きい音には聞こえなかった…気がした。


僕の目の前には、腹部から血を流して倒れた男の姿。
そして、僕の右手には………にわかに、煙をあげる銃。

(  ゚ω゚)「……あ…ぁ…ぁあ…」


認めることを否定するな。
僕の中の悪魔が、そうささやく。
いや…。でも……この人は……僕が……っ!?

( ;;;゚ω゚)「うわああぁあぁぁあっ!!!」


僕は無我夢中で、家の外へ駆け出した。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 17:53:26 ID:SAlSbqkL0
もはや、肩の痛みなど感じていなかった。
そんなことより、緊張感、罪悪感……さまざまな感情が、心を押しつぶそうとしていた。

( ;;;゚ω゚)「うわあああっ!!!」
バカみたいに、銃を乱射する。
その銃弾に当たったもので、死んだものがいたかどうかは分からない。

だが、僕の行動は非常に間抜けだった。
興奮していたとはいえ、これでは格好の餌食だっ!

しかし、それに気づくには、もはや遅すぎたようだ……った…。


(  -ω-)「あっ……う…」


お腹が……妬けるように熱い……。
不思議と、痛みは感じないけど……眠くなってくる。


僕は……死ぬのか…?
考える暇もなく、僕の意識は……薄れていった。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 18:01:19 ID:SAlSbqkL0
(  ^ω^)「…?」

気がつくと、僕は暗い所にいた。
前も、後ろも、上も下も真っ暗だ。
地面も、黒いのか暗いのか、見ることが出来ない。
だが、不思議な事に、自分の手足は普通に見ることが出来る。
ここは、どこだろうか?


とりあえず、歩いてみる。
どの方角に進んでいるのかはまったくわからないが、それ以外にすることもない。
ただ、不思議な事に、足が疲れる事もない。


その時、直感した。これは夢なんだと。
ならば、覚めなくて良い。起きたなら、そこは戦場………?

あれ? 僕は……確か、お腹に……。


えっ? 僕は死んだのか?
そしてここは…まさか。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 18:11:40 ID:SAlSbqkL0
(  ^ω^)「っ!!」

次に視界に広がってきたのは、見慣れぬ風景だった。
どうやら…レンガ造りの部屋のようだ。
しかし、どこか湿っぽくて、とにかく寒い。
そばには暖炉もあるが、薪が少ないのか、炎の勢いがとても弱い。

お腹や肩のキズには、包帯が巻かれていた。
痛みも、だいぶひいている。医者でも近くにいるのだろうか?
それより、ここは一体何処なんだろう?

ξ゚听)ξ「あ、気がついたのね」

と、突然誰かがこちらにやって来た。
どうやら、女の子のようだ。武器は持っていな。

(  ^ω^)「!? き、君は?ここは一体!?」
ξ゚听)ξ「そんなことはどうでもいいの。貴方に、聞かなければいけないことがあるの」
(  ^ω^)「聞かなければならない事…?」
ξ゚听)ξ「そう。正直に答えてね。でないと…」

そこまで言うと、女の子はふところから何かを取り出した。
それは……僕の銃だった。

(  ^ω^)「…分かったお。正直に答えるお」

どうなってんだ、こりゃ。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 18:22:17 ID:SAlSbqkL0
ξ゚听)ξ「あなた、ニュウソク国の兵士ね?」
(  ^ω^)「その通りだお」
ニュウソク国と言うのは、僕の部隊が所属している国。
対立しているニイト国は、少数勢力の集まりからなる国だ。彼女は、ニイト国の民か。

ξ゚听)ξ「国境の近くにある…村を、襲った?」
(  ^ω^)「…襲ったお」
ξ#゚-゚)ξ「っ!!」
少女は怒っているようだ。
村の住民……だったのか。

ξ゚听)ξ「人を……殺した?」
(  ^ω^)「………人は、殺していないお。ずっと逃げ回っていたお」
相手は、興奮している。
下手な事を言えば、殺されかねない。そう思って、とっさに嘘をついた。

ξ゚听)ξ「本当に?」
(  ^ω^)「嘘は、ついていないお」
少女は少し落ち着いたらしい。
おそらく、身内でも殺されたのだろう。

トッ、トッ、トッ…
足音がする。どうやら、また誰かが来るようだ。

( ,' 3 )「ツンちゃん。もういいだろう。後は私がやろう

服装から見るに、医者…のようだ。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 18:33:45 ID:SAlSbqkL0
ξ゚听)ξ「! 荒巻先生!」
( ,' 3 )「君はまだいささか幼すぎる。後は私がやろう」

荒巻と呼ばれた医者がそういうと、ツンと呼ばれた少女は僕の視界から消えた。
その時、彼女はかみ締めた表情で僕を睨んでいた。怖かった。

( ,' 3 )「すまないね。彼女、ついさっき兄を殺されてしまって」
(  ^ω^)「…それは、僕たちの部隊にですか?」
( ,' 3 )「その通りだ。君を憎むのは、仕方ないと思ってくれたまえ」
( ;´ω`)「…はい」

荒巻は、タバコをふかしながら僕に話しかけてくる。
その内容は、ごくごく簡単なものだった。

( ,' 3 )「なるほど。入団したは良いが、怖くて何も出来なかったと」
(  ^ω^)「はい」
( ,' 3 )「人は殺していない?」
(  ^ω^)「……いえ、実は無我夢中で一人だけ」
( ,' 3 )「先程は殺していないといっていたが?」
(  ^ω^)「彼女の、身内かもしれません。興奮していましたし、隠す事にしました」
( ,' 3 )「ふむ、賢いな」

荒巻は、ここで一回タバコの煙を大きく吐く。
僕はタバコが嫌いなので、非常に迷惑だ。

( ,' 3 )「彼女の兄から摘出した弾丸と、君の銃の線条痕が一致した。分かるね?」
(  ^ω^)「……はい」

一つ分かったのは、僕が殺したのは先程の、ツンと言う少女の兄だと言う事だった。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 18:39:56 ID:SAlSbqkL0
( ,' 3 )「何をするか分からない。彼女には黙っておこう」
(  ^ω^)「…わかりましたお」
( ,' 3 )「とりあえず、喋りすぎると腹の傷に障る。しばらく横になっていなさい」
(  ^ω^)「あの…最後に一つ」

どうしても不思議な事があった。
なんとなくどうしてかは分かるが、不思議な事だ。

(  ^ω^)「なぜ、僕を助けたのですか?」
( ,' 3 )「君には私たちの捕虜となってもらう。君の知っている情報は、後で聞くことにしよう」
( ;^ω^)「…その後、僕は殺すのですか?」
( ,' 3 )「場合によっては、だな」

荒巻はそういい残し、僕の前から去っていった。

僕の心には、ただ虚しい気持ちが残るばかりだった。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 18:44:00 ID:SAlSbqkL0
*線条痕は、銃の指紋みたいなものです
 弾丸についた線条痕を見れば、どの銃から発射された弾かが分かります

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 18:50:35 ID:SAlSbqkL0
ξ゚听)ξ「荒巻先生、あの人だったの!?」
( ,' 3 )「いや、本当に違うようだったよ」
ξ゚-゚)ξ「そう…」
( ,' 3 )「兄が殺されて悔しいのは分かるが。あまり興奮してはいけないよ」
ξ゚-゚)ξ「分かっていますよ。こ、子供じゃないんですから!」
( ,' 3 )「まだまだ子供だよ、君はね」

荒巻先生は、そう言うと部屋から出て行った。
私は、とりあえず先程の兵士に謝りに行くことにした。

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 18:59:34 ID:SAlSbqkL0
(  ^ω^)「あ…」
その人は、私に気づくと、申し訳なさそうな顔をした。
疑ってしまったのは悪いけど、敵国の兵士である事に変わりはないのよね。

ξ゚听)ξ「さ、さっきはごめんなさいね。疑ったりして」
(  ^ω^)「いや…。僕の部隊が貴方の兄を殺したのは事実だお。連帯責任ってやつだお」
ξ゚听)ξ「べ、別にあんただけを責めてるんじゃないんだからね!」
(  ^ω^)「……なんだか、情けないお」

彼は、遠くを見るような目で俯いていた。
どう言葉をかけていいのか、よくわからない。

ξ゚听)ξ「名前、なんていうの?」
(  ^ω^)「僕は内藤ホライゾンだお。君は…ツンさんでいいのかお?」
ξ゚听)ξ「あ、名前知ってたんだ」
(  ^ω^)「荒巻先生が君の事そういってたからお」

二人して笑いあう。
なんで、私は兄を殺した部隊の兵士を相手にしているのに、笑っていられるんだろう。


(  ^ω^)「あまり喋ると傷に障るらしいお。死ぬなら捕虜の仕事を終えてからにしたいからお。そろそろお引取り願うお」
ξ゚-゚)ξ「…そう」

私は、彼の望んだとおりに、部屋から出た。

彼は、これから自分が殺されると思ってる。
でも…私は彼の部隊に兄を殺された。嬉しい事のはずなのに…。

どうして、こんなにも心が痛むんだろう。

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 19:04:25 ID:SAlSbqkL0
( ^ω^)「とりあえず、もう寝るお」


色々ありすぎて、よく分からない。
結局、これじゃ戦死扱いか。

お金なんか稼げなかった。ならいっそ、こんなことしない方がよかった。


頬を、涙が伝う。
毒男は、生き残れただろうか? 外はどうなっているのだろうか。

そして、ここはどこなんだろうか。


深く考えるのは止め、とりあえず眠る事にした。

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 19:13:19 ID:SAlSbqkL0
( ^ω^)「ん…」

朝…なのだろうか?
いかんせん、窓がないので外の状況がまったく分からない。

ξ゚听)ξ「あ、起きたのね」
( ^ω^)「あ、ツンさん」
ξ゚听)ξ「…ツンでいいわよ。はい、朝ごはん」

彼女はどうやら、朝食を運んでくれたようだ。
と、言ってもお椀にはスープが盛り付けられているだけだったが。

ξ゚听)ξ「…捕虜にいい物を食わせるなって言われてちゃって。まだ、貴方をよく思わない人がいるから。」
( ^ω^)「ここは、どこなんだお? 食糧も結構ありそうだけど」
ξ゚听)ξ「ここは、貴方達が襲撃した村の地下よ。食料は、何かあった時の為に上の村から蓄えていたの」
( ^ω^)「…そうだったのかお」


つまり、あの置石の下なのか。
なんだか、変な感じだな。

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 19:54:23 ID:SAlSbqkL0
( ^ω^)「僕たちは元々陽動の部隊だったお。ニイト城はだいじょうぶかお?」
ξ゚听)ξ「さあ…ここからじゃ情報は分からないわ。でも、知将ともいわれるギコ宰相なら、何とかしたかもしれないわ」
( ^ω^)「ギコ宰相? うわさに聞いたことがあるお。武術に優れ、頭もよく、民からも愛されているお方だとか…」
ξ゚听)ξ「へぇ。ニイト国のこと、結構知っているのね」
( ^ω^)「いや…そんなことないお」

やがて、僕はスープを食べ終えると、見知らぬ部屋につれてこられた。
部屋の中には、椅子があるだけだった。そりゃそうだ、拷問されるわけではないのだ。
その部屋の椅子の傍には、荒巻もいた。

( ,' 3 )「やあ、内藤君。とりあえず、そこに腰掛けて欲しい」
( ^ω^)「はい」

( ,' 3 )「さて、これから君にいくつか質問するよ。私の指示があるとき以外は、はいかいいえで答えるように」
( ^ω^)「はい」


正直、怖い

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 20:03:21 ID:SAlSbqkL0
( ,' 3 )「君は、ニイト国を何故ニュウソク国が攻めるか知っているかい?」

一瞬心の中で、質問を不思議に思った。
貴方達が知らないはず、ないだろう。だが、それを尋ねることはできない。

( ^ω^)「はい」
( ,' 3 )「聞かせてくれたまえ」
( ^ω^)「領地を奪うのが目的と聞いています。我が国は作物も中々実らず、人口もあまり多くはないので」
( ,' 3 )「なるほど。では、続けようか」

( ,' 3 )「君は、何故兵士に志願したのかな? 理由を聞かせてくれ」
( ^ω^)「母親が病気なんです。僕みたいなニートはろくな仕事に就けないので…」
( ,' 3 )「だから、人を殺すような仕事にすがり付いた、と?」
( ^ω^)「そ……っ、、はい」
( ,' 3 )「ふむ」

( ,' 3 )「君は、死ぬのが怖いかね?」
( ^ω^)「…はい」
( ,' 3 )「君は、私たちの同胞を殺した。この後、殺されても文句は言わないか?」

…直球すぎる。
遠まわしに、この質問の後にお前を殺すといっているようなものじゃないか。

僕の心は、不安で押しつぶされそうだった。

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 20:09:02 ID:SAlSbqkL0
( ^ω^)「…はい」
( ,' 3 )「そうか」

荒巻は、懐から僕の銃を取り出した。
そして、銃口を僕の額に当てる。

( ,' 3 )「今更置いておく意味もないのでな。君をよく思わない連中もいる」
( ^ω^)「は、はい…」

僕は、仕方ないか、と思い、目を瞑る。

( ,' 3 )「怖くないのかい?」
( ;^ω^)「…いいえ」
( ,' 3 )「そうか」


そして、荒巻が、静かに、引き金を引いた。
その、カチャリという音が、僕の心臓の鼓動を、さらに跳ね上げた。

最後に、母さんに会いたかった。

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 20:18:33 ID:SAlSbqkL0
……静寂が、その場をしばらく支配していた。
銃口からは……銃弾は発射されなかった?

暫くして、その静寂を打ち破ったのは、僕の荒い吐息だった。

( ;^ω^)「はぁっ、はぁっ、はぁっ……。あなた、銃弾を入れていませんでしたね?」
( ,' 3 )「あの状況で騒ぎもしないとは。……中々肝の据わった男だ。君なら、信用できるな」
まだ、額に銃口を当てながら荒巻が言う。

( ^ω^)「…信用?」
( ,' 3 )「死にたくないのなら、君も私達の組織に加わる事だ」
( ^ω^)「……それで、いいのですか?」
( ,' 3 )「君はニュウソクの兵士だ。下手なスパイよりも、よほど役立つだろう」

ここで、彼らの仲間になると言う事はニュウソクを裏切ると言う事だ。
そうなれば、母さんを助ける事は出来ない。

しかし、今更ニュウソクに戻った所で、僕が受け入れられるのか。
どちらにせよ、荒巻の要求を断れば、僕は殺される。

道は、一つしかなかった。


( ^ω^)「分かりました…。改めてよろしくお願いします」
( ,' 3 )「よろしくな、内藤ホライズン君」

ぼくは、荒巻と握手をした。

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 20:30:07 ID:SAlSbqkL0
僕は、荒巻に連れられて、住居区のような場所につれてこられた。
あまり人数は多くないものの、そこには何人かの生存者がいた。

( ,' 3 )「今より、我ら【レジスタンス】の一員となる、内藤ホライゾン君だ」
( ^ω^)「よ、よろしくお願いしますだお」

……あまり、喜ばしい声は聞こえなかった。
むしろ、陰で僕の事を悪く言う声のほうが多い。仕方ないことなのは承知だが、心苦しい。

ξ゚听)ξ「みんな、仲間が増えるのよ? 喜ばなきゃ」
と、そうやって切り出したのはツンだった。
でも

( ∵)「ツン、お前は兄貴を殺されたのに…」
ξ゚听)ξ「…そんな事いつまでも気にしていちゃいけないでしょ。いまから内藤は私達の仲間なんだから、ちゃんと迎え入れてあげなさいよ」
( ∵)「……そうだな。ようこそ、内藤。俺の名前はビコーズだ」
( ^ω^)「こちらこそ、よろしくだお」

ビコーズをはじめ、次々と団員が僕と握手をしてくれた。
ツンは、いい子だな。と、改めて思った。



∵=なぜならば=Because
だからビコーズ


82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 20:38:50 ID:SAlSbqkL0
挨拶を終え、僕は荒巻の部屋に戻ってきた。
ツンも一緒だ。

( ^ω^)「この組織は、具体的に何をしているんですかお?」
( ,' 3 )「ここは国境に近い。敵国の監視、スパイをすることもある」
( ^ω^)「…なるほど」

ξ゚听)ξ「私の兄は、外の様子を少し見に行っただけだったの。でも、不運だったのよね。出た途端に兵士にあっちゃったらしくて…」
( ,' 3 )「まあ、その兵士がここの事を報告とかしてくれないで助かったものだけどね」
( ´ω`)「……そうでしたかお」

( ,' 3 )「上の村が襲われた事で、レジスタンスの勢力が減ってしまった。そこで、我々は別のレジスタンスのアジトへ移る事にした」
( ^ω^)「しかし、外に出るのは危険ですお」
ξ゚听)ξ「だから、今地下トンネルを掘っているのよ。男の人が足りなくてね、内藤も手伝ってくれる?」
( ^ω^)「僕でよければ」


レジスタンス…か。
この組織が僕の運命を変えるとは、まだ知る由もなかった。

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/12/03(土) 20:52:40 ID:SAlSbqkL0
( ^ω^)「ふう…」

男手が少ないも、何もなかった。
生き残った男は、僕を含めて4人だけだった。
荒巻は、老体なので仕事をしないらしい。

( ^ω^)「しかし、地下にこれくらいの空洞があるのに、何故上の村に?」
( ∵)「地下はいい設備があまりない。だから、本来は料理や家畜の世話などは、上で行っていたんだ」
( ^ω^)「ビコーズと…そっちの、君はええと」
( ゚∀゚)「ジョルジュ長岡だ」
( ^ω^)「その、ビコーズとジョルジュ君は何でその日、地下に?」
( ∵)「俺と長岡はその日、今までの報告書を書き上げていたんだ。本国に渡すためのな」
( ^ω^)「…なるほど。それで、偶然にも助かったと」
( ゚∀゚)「結局、ぬけぬけと俺たちは生きちまってる。だから、今はできる事を精一杯したいからな」
( ^ω^)「……」

僕は、汗を拭いながらまたつるはしを振り下ろす。
レジスタンスには、結構いい奴が多いみたいだ。

99 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/03(土) 21:19:33 ID:SAlSbqkL0
( ;^ω^)「はぁ、はぁ…」
(;∵)「ふう」
( ;゚∀゚)「だいぶ掘り進んだな。この調子でいけば、後数日でつくだろう」

外の景色は見えないが、体内時計というもので大体の時間は把握できる。
そろそろ、夕方から夜に差し掛かる頃だ。

( ^ω^)「しかし……これは」

僕は、つるはしの傍にあるバケツを見た。
中には、…掘っている途中に出てきたミミズや、モグラなどを捕まえてあった。
用途は……もう分かっている。

( ゚∀゚)「食い物も、たっぷりあるわけじゃないからな。結構美味いぞ」
(ll^ω^)「そうでうすかお」
( ∵)「向こうのレジスタンスのアジトに行けば、食い物にありつける。それまでは我慢してくれ」
( ^ω^)「はいだお」


その晩、僕はミミズ料理を思い切って食った。
意外と、美味いもんだった。

105 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/03(土) 21:32:17 ID:SAlSbqkL0
ξ゚听)ξ「………」
兄さんの死体は、燃やす事も出来ず、ただ棺の中で腐っていくだけだった。
何で、こんな事になってしまったのだろう。

そうだ。こんな時は、あの歌を歌おう。

ξ゚听)ξ「光る風を〜♪ 追い越したら〜♪♪

私は、悲しい時にはこの歌を歌う。
この歌は、いろいろな所で私の心を癒してくれた。

( ^ω^)「ツン? ツーン」
ξ゚听)ξ「な、内藤! イキナリ来ないでよ! びっくりするじゃない!」
( ;^ω^)「す、すまんお」

最近は、内藤にも親近感をもててきた。
同じレジスタンスという立場になったからかな?

( ^ω^)「ツン、歌うまいお! その歌は、どういうあれだお?」
ξ゚听)ξ「…この歌は、兄さんが歌ってくれたの。私が泣いたりしたとき、歌ってくれたわ」
( ;^ω^)「あ…っ。す、すまんお」
ξ゚听)ξ「別にいいわよ。私は、そんなに弱くないから」
( ^ω^)「…なんていう歌なんだお?」
ξ゚听)ξ「私たち、両親に捨てられたの。それを、レジスタンスが拾って育ててくれたのよ。この歌は、物心ついた時に兄さんが歌っていたの」
( ^ω^)「そうだったのかお…」


ツンは、つらい過去を持っている。
その兄を自分が奪ったとは……まだ、言えない。

108 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/03(土) 21:38:15 ID:SAlSbqkL0
( ∵)「ふうっ、今日はこの辺にしようか」
( ^ω^)「分かったお。お疲れ様だお」

トンネル掘りも順調に進んできている。
この調子でいけば、明日には東のレジスタンスにつくという。もう少し頑張ろう。

( ∵)「じゃあ、俺は部屋に戻って寝るよ。おやすみ」
( ^ω^)「おやすみだお!さて、僕は…」
( ゚∀゚)「あ、内藤。よかったら、少し俺に付き合ってくれないか?」

ジョルジュが、僕を誘ってきた。
なんだろう?

( ^ω^)「何をするんだお?」
( ゚∀゚)「剣の稽古さ。鈍っちまったからな」

( ;^ω^)「け、剣の稽古!?」



AAとかマジスゴスwwww

111 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/03(土) 21:48:22 ID:SAlSbqkL0
剣、といっても模擬刀だ。
殺傷能力はない。まあ、稽古用だ。

( ゚∀゚)「…いつでも銃で戦えるとは限らないからな。最近は、魔法使いなんかもいるようだし」
( ^ω^)「魔法使いかお。たしかに、リーチが自由な魔法使いと銃で戦うのはやりにくいお」
( ゚∀゚)「兵士なら剣の訓練くらいはした事あるんだろう? 少し付き合ってくれ」
( ^ω^)「あ、あうあうあう」
仕方無しに、剣を取る。
ぶっちゃけ、やったことなんてない。

( ゚∀゚)「よし、いくぜっ!」
ジョルジュが剣を構えて走りこむ。
その剣が下から振り上げられる瞬間に、剣で剣をはじく。

( ゚∀゚)「やるじゃないか!」
( ;^ω^)「う、うむ」
ジョルジュ長岡…。何故、今、目で追えたのかは分からないが。
恐ろしく………速い!

( ゚∀゚)「まだまだこれからだぜ!」
ジョルジュは、素早い動きで、僕の後ろに回りこむ。
僕も即座に後ろを向くが、すでにそこにはジョルジュの姿はない。

振り向けば、僕の喉には模擬刀が突きつけられていた。

( ;^ω^)「速すぎだお」
( ゚∀゚)「まあ、鍛えてたからな」

レジスタンスの団員は、それなりに強いようだ。
僕の居た、十八番隊とは比較にならないほどに…。

117 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/03(土) 21:57:55 ID:SAlSbqkL0
( ^ω^)「!!」

その一振りは、今までと違った手ごたえだった。
何か、硬いものを叩くような感じ。

( ゚∀゚)「お、これはアタリだ。よし、壊すぞ!」

カン、カン、カン。
金属を叩く音が、トンネル内にこだまする。
やがて、それに亀裂の入る音がする。

( ∵)「よし、もう少しだ」
ビコーズが、最後の一振り。
その瞬間、鈍い音とともに、目の前の壁が崩れ落ちた。

( ゚@゚)「!? レジスタンスの方々か!」
( ∵)「はい。先日、村が襲われ…」
( ゚@゚)「話は聞いている。ようこそ、同胞達よ!」


僕たちは、どうやら無事に東レジスタンスに付いたらしい。

119 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/03(土) 22:11:14 ID:SAlSbqkL0
( ^ω^)「ふう」

今、僕たちの居る東のレジスタンスは、支部である。    
レジスタンスのアジトは、東西南北にそれぞれ数箇所あり、前の村は北レジスタンスの一部であった。
本部(セントラル)と呼ばれるものは、ニイト城にあるという。
支部はとりわけ大きく、施設も十分であった。
ただ、その存在を隠すため、全てが地下に作られているようであった。

ξ゚听)ξ「内藤、お疲れ様」
( ;^ω^)「ここ数日はミミズ料理ばかりで困ったお! でも、今日から良いメシにありつけるお」
ξ゚听)ξ「私のミミズ料理、美味しくなかった?」
( ^ω^)「はい! とても美味しかったです!」

( ゚∀゚)「ふふ、仲がいいじゃないか」
ξ゚听)ξ「あっ、ジョルジュ…」
( ゚∀゚)「内藤、お前に用がある。少し来てくれ」
( ^ω^)「僕にかお?」

言われるがままに、僕はジョルジュについて行った。


( ^ω^)「なんだお?」
( ゚∀゚)「支部からの指令だ。近の砦に、ニュウソク国の残党が篭城しているらしい。殲滅せよとのことだ」
( ;^ω^)「せ、殲滅? 殺すのかお…?」
( ゚∀゚)「そりゃ、まあな」
( ^ω^)「…」



132 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/03(土) 22:22:44 ID:SAlSbqkL0
ニュウソクの残党…。つまり、陽動したものの、攻めるのには失敗したという事か。
砦に篭城しているのは、おそらく六番隊当たりの勢力だろう。
殺すのは…嫌だ。しかし、拒否すれば僕は殺される。

( ^ω^)「…わかったお」
( ゚∀゚)「そうか。俺と、お前と、ビコーズと荒巻の爺さんの四人で行く。準備が出来たら、外に来てくれ」
( ;^ω^)「ちょ…! 少なすぎないかお!?」
( ゚∀゚)「大丈夫さ。残党は小隊らしいし、何より、こちらには魔法使いが居るからな」
( ;^ω^)「ま、魔法使い!? 誰だお!」
( ,' 3 )「私だよ」
( ^ω^)「……!!」

それは、魔女の血を受け継ぐものを称して呼ばれる。
魔女は、昔にあった【魔女狩り】で、ほぼ絶滅していた。
しかし、ごくわずかだが、その血を引くものが現世にも居る。それが、魔法使いだ。

( ゚∀゚)「それだけじゃない。荒巻の爺さんの孫のビコーズは純系の魔法使いだ。熟練すれば荒巻の爺さんを超えるだろう」
( ^ω^)「ビコーズって荒巻さんの孫だったのかお」

純系とは、両親ともが魔法使いの者を指して言う。
これこそ数が少なく、世界中を探しても指で数えるほどしかいないのだ。

( ゚∀゚)「まあ、準備が出来たら外に来てくれ。好きな武器をもって来い」
( ^ω^)「…うん」

138 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/03(土) 22:39:47 ID:SAlSbqkL0
( ゚∀゚)「はっ!」
ジョルジュが、目で追えぬような剣速で、敵を一閃する。
それに続き、荒巻とビコーズが炎の魔法を放つ。
そんな中、僕は何も出来ないでいた。

( ^ω^)「……」
とりあえず銃を持ったが、実際に撃ってはいない。
もとい、撃つ気にもれなかった。
残党、といっても、その数は本当に少なかった。
精々、十数人といったところだろう。ここまでやる必要があるのだろうか?
この兵たちにも、家族がいるだろうに…。

( ゚∀゚)「あらかた片付いたな。さて、あとはお前だけか」
( ^Д^)「…舐められたものです」
最後には、残党の首領と思われる人物が姿を現した。
あれは……六番隊の、プギャー隊長だ。
人望が薄い事で有名だ…。だが、六番隊の隊長を任されているのだ。実力はあるだろう。

( ゚∀゚)「いくぜっ!」
ジョルジュの剣が空を切り、プギャーに振り下ろされる。
だが、そこにプギャーの姿はない。

( ^Д^)「魔法使いは厄介だ。こちらから仕留めさせてもらう」
その言葉の刹那、ビコーズと荒巻がわき腹から鮮血を出して倒れこむ。

( ゚∀゚)「…速いな。お前も、VIPの民か」
( ^Д^)「VIP…。懐かしいな、貴様もそうか」
( ゚∀゚)「内藤、二人の応急処置を頼むぞ」

言葉を交わした後、二人の剣が、交わる音がした。

143 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/03(土) 22:49:40 ID:SAlSbqkL0
ジョルジュの剣が、プギャーの首へ向かって振り下ろされる。
だが、プギャーはそれを受け、流し、反撃に転ずる。
一瞬体勢を崩したジョルジュを、プギャーの剣が横から狙う。
ジョルジュは姿勢を低くしてそれを回避するも、腕に傷を負った。

( ゚∀゚)「くっ…。これで六番隊長かよ」
( ^Д^)「私以上の将などいくらでもいる。私がここで倒れようとも、貴様らに勝ち目などはない」

その後も、剣と剣の重なる音や、二人の鍔迫り合いが続いた。

( ^ω^)「応急処置は…これでよしっと。止血もしたし、動かなければ大丈夫」

ふと、ジョルジュの方に目をやる。
双方、互角に戦っていた。体に多少の傷を負いながらも、その表情は笑みを浮かべている。
戦いを、楽しんでいる。

しかし、一見してすぐに分かる。ジョルジュは、全身に脂汗を浮かべている。ジョルジュは、残党をほとんど一人で対処していた。
いい加減に、疲れが出てきているのだ。

( ^ω^)「…僕は、このまま見ているだけでいいのかお? そうしたら、ジョルジュは…」

途端、金属音が。
見れば、とうとう、ジョルジュの剣はプギャーの剣に跳ね飛ばされていた。
( ゚∀゚)「くっ!」
( ^Д^)「ハァ、ハァ。ふっ、これで貴様も終わりだな」

147 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/03(土) 22:57:19 ID:SAlSbqkL0
( ^Д^)「死ねっ!」

プギャーが…丸腰のジョルジュをめがけて、剣を振りかぶる。


しかし、ドォン! と、轟音!
その剣は、鈍い音とともに、空を切りながら、砦の外へ落ちていく。

その一瞬を、ジョルジュは逃さなかった。
形勢は逆転! すぐさま、己の剣を拾い、丸腰のプギャーの腹をめがけて突き刺すっ!

( ^Д^)「がっ……」
そこからは、真っ赤な鮮血があふれ、血だまりを作る。
ジョルジュの、勝ちであった。

( ;^ω^)「………はぁ、はぁ」
(;゚∀゚)「有難う、内藤。お前の援護のおかげで勝てた。俺も少し、ニュウソクを舐めていたらしいな…」


僕は今、正しい事をしたのかな?
…でも、これで完全に、僕はニュウソクを裏切った。
もう…戻る事は出来ない。ごめんよ、母さん……毒男…。

157 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/03(土) 23:11:15 ID:SAlSbqkL0
ξ゚听)ξ「じょ、ジョルジュ!? それに荒巻さんたちも…酷い怪我じゃない!」

支部に帰り、ジョルジュ達を治療室へ運ぶ。
幸い、たいした怪我ではないようだが、それでもジョルジュは特につらそうだった。

僕は、ことの経緯をツンに説明した。

ξ゚听)ξ「…ニュウソクの隊って、そんなに強いの?」
( ^ω^)「僕も最近入団したばかりで詳しい事は分からないお。でも……」

プギャーの実力は、この目で見た。
あのジョルジュと互角にやりあうのだ。強いなんてものではない。
強すぎる。

ξ゚听)ξ「でも?」
( ^ω^)「ニュウソクの将軍は……おそらく、とても強いお。それは、レジスタンスが束になってもかなうか分からないくらいに」
ξ゚-゚)ξ「……そう。でも、私たちにはニイト城の騎士団や、ギコ宰相も付いているわ。きっとなんとかなるわよ!」
( ^ω^)「そうだねだお。前向きに、考えなくてはだお!」」


でも、分かってるんだ。口だけで言ってるって。
実際に見たから分かる。あれで六番隊なんだ。

一番隊なんて……化け物ではないのか?

232 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 07:38:59 ID:ksB4L6wR0
( ,' 3 )「ニュウソクの我が国に対する攻撃の手勢が急になくなったようだ。しばらくはゆっくり出来るだろう」
( ゚∀゚)「いや…そう安心も出来ないぞ。これを見てくれ」

ジョルジュが取り出したのは、手紙だった。
その手紙は、ニイト国とは同盟国にあたる、VIP国からの手紙だ。
手紙の文面によると、ニュウソクの手勢は全てがニイトに向かい、王都が陥落させられたとのことだ。

( ∵)「なるほど。ジョルジュ、お前はVIPの民でもあったな」
( ゚∀゚)「…それだけでなく、同盟国の危機だ。俺たちは傷が癒え次第、VIPのレジスタン支部へと移動する」
( ^ω^)「わかりましたお」


ξ゚听)ξ「内藤? ちょっといいかしら」
( ^ω^)「なんだお」
ξ゚听)ξ「これ…、お守り。昔、兄さんが私にくれたものなんだけど。貴方が持ってて」
( ;^ω^)「そんな大事なもの受け取れないお!」
ξ゚-゚)ξ「…べ、別に貴方に持っていて欲しいわけじゃないけどっ。その、無事に帰ってこられるように」
( ^ω^)「…すまないお。ありがたく借りておくお」

僕は、お守り…首飾りを受け取った。
その首飾りは、群青色に鈍く光る宝石のはめられた、とても綺麗なものだった。

236 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 07:52:23 ID:ksB4L6wR0
――――ニイト城 軍事会議室――――

( ゚Д゚)「よし、我が城の隊もVIP国の援護に向かうぞ」
( ´ひ`)「宰相殿、その隙をついて、ニュウソクが我が国に進行する場合もありますぞ」
( ゚Д゚)「うむ。第4騎士団から第10騎士団までを向かわせる。レジスタンスと連携し、拠点を制圧させよう」
( ´ひ`)「了解しました。残りの隊はいかがしましょう」
( ゚Д゚)「国境付近、および我が城や町々の警備につかせてくれ」
( ´ひ`)「はっ」

( ゚Д゚)「それから…、あいつも向かわせてくれ」
( ´ひ`)「え、よ、よろしいのですか?」
( ゚Д゚)「いつまでも引きこもられていては、あいつの天賦の才も活かす機会がなかろう」
(;´ひ`)「しかし、私が言った所で聞く耳は持ちませんぞ」
( ゚Д゚)「これをあいつに見せれば、何とかなるだろう」

おもむろに腰帯から巨大な斧を取り出すギコ。

( ´ひ`)「…! これは…。了解いたしました」
( ゚Д゚)「うむ。東レジスタン支部が既に彼の地へ向かおうとしている。我が隊は先発し、その部隊とともに行動をする」
( ´ひ`)「了解しました。では、私は彼を呼んできます」
( ゚Д゚)「うむ」

239 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 08:05:19 ID:ksB4L6wR0
こんな感じ?
ttp://sakots.pekori.jp/cgi/sn/src/up39242.png


ちょいとご飯食ってきます

240 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 08:06:05 ID:ksB4L6wR0
北レジスタンスはもう少し左だったかも

247 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 08:33:00 ID:ksB4L6wR0
( ゚∀゚)「城の隊と連携しての攻略となる。部隊を二つに分けることになった。
我が北レジスタンスからは、北西から向かう部隊に、爺さんと俺。このまま北から攻める部隊には、ビコーズと内藤がそれぞれ向かう」
( ^ω^)「了解しましたお」
( ゚∀゚)「城からの援軍が来るまでは待機だ。それまでは何をしていても良い」

僕は、ビコーズと、各地のレジスタンスの仲間、そして城の兵達と北からそのままVIPに向かう事になっている。
ジョルジュたちは、北西。つまり、ニイトとの国境付近から攻め込む。
ニ部隊が手分けをして、各地の町々を制圧していくとのことだった
僕は、足手まといにならぬよう、少しの間だけジョルジュに稽古をつけてもらっていた。


( ゚∀゚)「ほらほら、甘いぞ!」
( ^ω^)「うっ」
ジョルジュは、まだ利き腕を少し痛めているとはいえ、その強さは変わっていなかった。
ジョルジュたち、VIPの民は、その俊敏性で知られる。幼い頃から馬とともに生きている所為らしい。

( ^ω^)「はぁ、はぁ」
ジョルジュの動きは、目でやっと追える程度。
ここ数日の稽古で、動体視力はよくなったようだ。
まあ、勿論、剣の腕はそんなに上がっていないわけだけど…。

( ゚∀゚)「内藤、お前は素質があるぞ! 鍛えれば、強くなれる」
( ^ω^)「ほ、本当かお! 有難うだお」


???「いんや……、お前、ぜんぜんダメじゃね?」
( ^ω^)「!?」

255 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 08:47:24 ID:ksB4L6wR0
( ゚д゚ )「お前、下手すぎだな。無駄な動きが多すぎる」
突然、男が現れた。
その男は、じっとこちらを見つめている。

( ゚∀゚)「な、何だお前。こっち見んなよ」
( ゚д゚ )「…まただ、また俺に向かってこっち見んなって。みんなみんなそうだ。何で俺はブツブツブツブツ」
( ;^ω^)「……なんだお、こいつ」

( ゚д゚ )「私は王国の宰相、ギコの息子である、コッチミルナである」
( ^ω^)(名前そのまんまじゃねえかwww)
( ゚∀゚)「えー、、。それでその、コッチミルナ氏はなz」
(#゚д゚#)「またこっち見んなって言いやがったな!! ぶち殺すぞ!」

…こっちみるな こっちみんな などの言葉に、過剰に反応するようだ。
ジョルジュも扱いづらそうだ。

(;゚∀゚)「ええと、じゃあ…。ミルナ氏。何をしにここへ?」
( ゚д゚ )「親父からの命令でな。レジスタンス支部とともに、VIP国の拠点制圧に力を貸せ。とのことだ」
( ゚∀゚)「つまり、仲間か。俺は長岡ジョルジュ。こっちは内藤ホライゾンだ。よろしく」
( ゚д゚ )「……まあ、本当はこんな事したくないんだがな。本当は部屋でゲームしてたいんだけどな。今回は特別なんだからな」
( ;^ω^)(ヒッキーかお! こいつこれで大丈夫なのかお?)

( ゚д゚ )「しかしそこのお前…、内藤か。貴様では、足手まといになるぞ」
( ^ω^)「…ごめんなさいだお。でも、やれるだけはやりますお」
( ゚д゚ )「戦場は甘くない。一瞬の隙が命取りとなる。特にお前のような未熟者では、危険すぎる」
( ´ω`)「………」

259 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 08:59:33 ID:ksB4L6wR0
( ゚∀゚)「お、おい。言いすぎでは?」
( ゚д゚ )「…貴様もこいつに稽古をつけていて分かるだろう? こいつに剣の形はあっていない」
(;゚∀゚)「しかし…」
( ゚д゚ )「これを持ってみろ。武器の形を持たぬ人間には扱いやすいように作ってある」

ミルナが取り出したのは、一振りの槍であった。
この時代、槍というのは王国に忠誠を誓う騎士にしか与えられぬ、とても高価なものであった。
槍を持つと言う事、それは名誉な事なのだ。

( ;;^ω^)「こここここれは!! 槍!?」
(;゚∀゚)「ななな、こここんな高価なものを何故!?」
( ゚д゚ )「騎士団に与えられるものではない。殺傷能力より扱い易さを設計して作られている、細身の槍だ。自分の身を守る程度に使え」
( ^ω^)「しかし、槍とは忠誠の証。僕にこれを持つ資格は…」
( ゚д゚ )「私は、そういった身分が嫌いだ。誰がどんな武器を持とうと、良いではないか」
( ゚∀゚)「………」
( ゚д゚ )「どれ、私がしばらく稽古をつけてやろう」


やはり、知将と呼ばれるギコ宰相の息子だ。
彼は、将来、父親と同じように民に愛されるだろうと、僕は感じた。

264 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 09:13:35 ID:ksB4L6wR0
( ;^ω^)「はぁ、はぁ」
( ゚д゚ )「どうした、もう息が切れたか?」
( ゚∀゚)「………」

口だけは生意気な男だった。だが、実力は本物だ。
奴の持っていた大振りの斧を見るからに、奴は斧を扱う重騎士。
だが、まったく形の違う槍を持っても、動体視力を鍛えた内藤を押している。
内藤も、受け止めるのが精一杯のようだ。斧を持つだけあるのか、力が凄い。

( ゚д゚ )「お前は、剣より槍の方がしっくりと形がはまっている。行軍中に私が少し鍛えてやろう」
( ^ω^)「はいだお…」

僕は正直、銃で戦えばいいと思っていた。
敵に近づいて戦うより、銃で戦った方が安全だ。

( ゚д゚ )「それから、銃にはあまり頼るな。異国から伝わって、まだ余り時間がたたぬ。」
( ^ω^)「え? でも、ニュウソクでは銃を支給されましたお」
( ゚д゚ )「ニュウソクの兵士は銃に頼っているのか。だが、あれは良い改良もされず、使い勝手が悪い。どうせなら、弓の方が役に立つぞ」

289 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 09:44:15 ID:ksB4L6wR0
( ゚д゚ )「さて、私の部隊は、これから北に向かって行軍する。私とくる者はどちらか?」
( ^ω^)「はい、僕です」
( ∵)「北レジスタンスからは、俺と内藤が行きます」
( ゚д゚ )「…ふむ。精々、足手まといにならないようにな」
( ∵)「はっ」


( ゚∀゚)「じゃあ、しばらくお別れだな、内藤」
( ^ω^)「うん。ジョルジュと荒巻さんも、どうかご無事で」
( ,' 3 )「君達もな。健闘を祈っているよ」
( ∵)「爺ちゃん、魔法使いって言ってももう年なんだから、あんまり無理するなよ」

そう言い、僕とビコーズは荒巻さん達を見送った。

( ゚д゚ )「それでは、行こうか」
ξ゚听)ξ「ま、待ってください」
( ゚д゚ )「…? なんだね」
ξ゚听)ξ「その……私も、ご一緒させてもらえないでしょうか?」
( ^ω^)「ツ、ツン!」

294 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 09:52:23 ID:ksB4L6wR0
( ゚д゚ )「……君は女性だ。戦場に出るものではないよ」
ξ゚听)ξ「私…、このままここにいるなんて悔しいんです! 私は……兄を、ニュウソクに殺されました。
私だってレジスタンスなんです! 私だけ何もしないなんて、嫌です!」
( -д- )「…戦いに、余計な私情は挟まないほうがいい」
ξ゚-゚)ξ「………」
( ゚д゚ )「と、言いたい所だが。ついてくるだけなら構わないよ。だが、間違っても前線で戦おうとは思わないように」
ξ゚听)ξ「は、はい! 有難うございます!」


( ^ω^)「ツン…何で…?」
ξ゚听)ξ「自分でもなんでか分からない。でも、私だってもう子供じゃないわ」
( ^ω^)「…戦おうとしてはいけないお。君が死んだら、悲しむ人がいるお」
ξ゚-゚)ξ「内藤だって…」
( ^ω^)「…僕はもう、家を出てから随分経つお。きっともう、母さんは他界している。僕が死んでも、悲しむ人はいないお」
ξ゚听)ξ「内藤…」

( -д- )「…………」
ミルナは、その会話を近くで聞いていた。

( ゚д゚ )「…私も、甘くなったものだな」

313 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 10:24:18 ID:ksB4L6wR0
僕達の部隊は、先発隊だ。
東レジスタンスから、北のウホ村をまず、制圧。そして、シン村を制圧していくという形だ。

一方、ジョルジュたちは湖を越えた向こう、VIP国の西側から行軍、エル村から制圧を開始していく。

二つの部隊は最終的には合流し、共にVIP王国を制圧する、という形だ。

その間の国の事は、ギコ宰相とその部下が取り持つらしい。


ttp://sakots.pekori.jp/cgi/sn/src/up39247.png


340 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 10:41:42 ID:ksB4L6wR0
―――VIP城―――

( ><)「あ、あの、ちんぽっぽ大将!」
( *’ω’*)「ちんぽっぽ?」

( ><)「どうやら、ニイトの軍がVIPを奪還しに攻め込んできたようです。いかがいたしましょう」
(#*’ω’*)「ちんぽっぽ! ちんぽっぽっぽ!!!」
(;><)「わかんないですっ!」

ちんぽっぽは紙を取り出し、そこに文字を書いた。

( ><)「…ふむ。城からは兵を出さないのですか?」

カキカキカキ

( ><)「…あの山賊ども、しくじらなければいいですが」


―――ウホ村―――

( ^w^)「親分! 大変だ! ニイトの連中が攻め込んできた!」
( 。〜。)「な、何! くそっ、敵の数はどのくらいだ!?」
( ^w^)「へい! たいしたことはないようでやす!」
( 。〜。)「へ、へっ! 驚かせやがって! よし、仲間を呼べ! ぶち殺してやるぜ!」

350 名前:豆男 ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 10:49:02 ID:ksB4L6wR0
( ^ω^)「あそこがウホ村かお」
( ゚д゚ )「ああ。住民はニュウソクの弾圧の元で苦しんでいる。それに、あそこを支配しているのは蛮族だと聞く」
( ∵)「蛮族? 軍の管轄のものに任せているのではないのか?」
( ゚д゚ )「うむ…。どうやら、手勢をブーン国にまで伸ばし始めたらしい。現在、交戦中とのことだ」
ξ゚听)ξ「ニュウソク国、ここ最近、イキナリ強くなり始めてるわ。何かが…ありそうね」

ヒュッ!
途端、空を切る音。

( ゚д゚ )「ぬっ!」
ミルナが、その瞬間に飛んできた矢を巨大な斧で叩き落す。

( ゚д゚ )「敵には戦意があるようだ! われらはこれよりウホ村の制圧にかかる!」
( ^ω^)「い、いよいよ戦いかお! 怖いお…」


364 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 10:59:08 ID:ksB4L6wR0
( ゚д゚ )「私と内藤、それからビコーズは正面から攻め入る! お前達は、左右から攻めるんだ! それから君は、ここで輸送隊達と待っていてくれたまえ」
ξ゚听)ξ「は、はい」
( ;^ω^)「ちょ! 三人だけで正面からは無謀すぎではないかお!?」
( ゚д゚ )「ふふふ、この斧を見くびってもらっては困る」

ミルナが持っているのは巨大な斧だ。
いくらなんでも、振り下ろした時には隙が出来てしまうだろう。
その隙を補うのが、槍もろくに扱えない僕と、魔法使いのビコーズ。
何とかなるのか!?

( ∵)「話している暇はないぞ!」
と、ビコーズが氷の呪文を放つ。
こちらに向かってきた矢は、氷付けにされ、その威力を失って地面に落ちた。

( ゚д゚ )「内藤! お前は後ろに下がっていてもいいぞ! ビコーズ! 私の援護を頼む」
( ∵)「はっ」

ミルナとビコーズが、村の中へと足を進めていく。

( ^ω^)「ま、まってくれお!」

僕も、遅れて村に足を踏み入れた

391 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 11:17:52 ID:ksB4L6wR0
次に飛んでくるのは矢ではなかった。
蛮族たちの投げる、手斧だ!
幸い、ミルナとビコーズがなぎ払ってくれているが、僕の細身の槍ではとても受け止められない!

( ^ω^)「ミ、ミルナさん! そんなでかい斧じゃやっぱり無理がありますお!」
( ∵)「…内藤、あの斧を知らないのか?」
( ^ω^)「え? 何か曰くつきなのかお?」

( ゚д゚ )「…これはマルチーズといってな。我がニイトの初代の宰相は、蛮族からなったという。
その時の宰相が使っていた斧を、天の神が祝福したといわれている。それがこの、マルチーズだ」
( ^ω^)「…凄いのはわかったお。でも…」
( ゚ー゚ )「まあ見ていろ」

ミルナが意識を集中させ、斧に気をこめる。
そして、カッと目を見開き、斧を一閃!
途端に轟音! 斧の刃から衝撃波が巻き起こり、敵兵の体を、切り刻み、吹き飛ばす!
立ち込める砂塵がなくなるころには、敵の姿はほとんどなくなっていた。

( ^Д^)「……」
( ゚д゚ )「ふっ、まあ、こんなものだろう」

…すさまじい。大振りの隙をカバーするかのごとく、敵に手出しをされないほどの風を起こす。
これが…マルチーズ!

( ∵)「…しかし、民家まで吹き飛ばしてどうするのだ」
(;゚д゚;)「つ、使い勝手が悪いからな。広い場所でしか使えないのだ」

……こういう場所では、鉄の斧で戦って欲しいものだ。

395 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 11:20:18 ID:ksB4L6wR0
( ゚д゚ )        (^ω^)         (∵)

武器レベル    武器レベル     武器レベル
斧 ☆        槍 D          炎 D
剣 D         剣 E          風 D
                         氷D

431 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 12:05:17 ID:ksB4L6wR0
( ゚д゚ )「さて、あらかた片付いたかな?」

ミルナは、辺りを見回す。それにつられて、僕も辺りを見回す。
どうやら、敵は殆ど殲滅したらしい。

( ∵)「ミルナ氏の斧のおかげだな。さすがはマルチーズだ」
( ^ω^)「ほんとだお! マルチーズさまさまだお!」
( ゚д゚ )「なんだ、その俺はマルチーズが本体みたいな言い方」

そうやって、僕たちは落ち着いた気分になっていた。
だが、それが命取りとなった。ここは、戦場だったのだ!


ヒュッ

突然、空を切る音。
それと同時にして、ミルナの肩がえぐられ、鮮血が飛びちる。

(;゚д゚ )「ぐっ、、!?」
( ∵)「!?」

ふと見れば、そこには巨大な体格の蛮族が。
おそらく、蛮族の首領だ。


( 。〜。)「よくも…やってくれやがったなぁ!」

しまった…、奴が狙っているのは、僕だ!

436 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 12:13:04 ID:ksB4L6wR0
( ^ω^)「う、うわっ!」
咄嗟に、細身の槍を構える。
だが、その斧の軌道は突然変わり、ビコーズの方へと向けられた。

( ∵)「ぐぅっ、、ぁ、、」
それを回避しようとしたビコーズに、その斧は背中にだが、しっかりと傷を与える。
ビコーズは、背中から血を流し、その場にうなだれた。

( 。〜。)「フン! 見たところお前が一番ひょろそうだ! お前から苦しめて殺してやる!」
( ^ω^)「ひっ!」

僕は咄嗟に、細身の槍で、鋼の斧の攻撃を受け止める。
だが、細身の槍は柄の部分が木で出来ている! 鋼の斧に、その柄は折られてしまった!

( ;^ω^)「く…くそっ!」
( 。ー。)「はは、丸腰だな! じゃあ、死ねよ!!」

蛮族の斧が、僕の頭をめがけて振り下ろされた。

442 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 12:20:03 ID:ksB4L6wR0
カンッ!


……鈍く、金属と金属のぶつかり合う音がする。

ふと、目をあければ、そこには斧を構えたまま動きを止めた山賊と、不自然に地面に突き刺さる一本の槍。

どうやら、こちらに向かって投げられた槍が、斧をはじいたらしい。
しかし、一体誰が…?

( 。ー。)「この…女がぁっ!!」

蛮族が、槍の飛んできたであろう方向に走り出す。
そのさきにいるのは……ツン!?

ξ゚听)ξ「あ…ぁ…」
( 。ー。)「死ねぇっ!」

蛮族が、走りながら手斧をツンに向かって投げつける。


今、僕がここで走っても、もう間に合わないのは明確だった。

だけど………走らずにいられるわけがない!!!

492 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 13:16:01 ID:ksB4L6wR0
( ^ω^)「……」
(;。ー。)「……な」
ξ;゚-゚)ξ「え……」

何が起こったか、一瞬自分でも分からなかった。
ただ……何かが、僕を包んだような感じがした。


そして……どうなった?


( 。〜。)「ば…か……な…?」

蛮族が、手に持った斧を地面に落とす。
そして次に、蛮族自身が、その身を地面に落とした。

( ^ω^)「…う」

そのまま、僕自身も地面に身を打ち、倒れた。
僕の意識は、段々と薄れていった。

525 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 13:43:34 ID:ksB4L6wR0
……。
ここは…、どこだ。
前も、後ろも、左も右も上も下も真っ暗だ。

あれ? そういえば、前もこんな場所に来た事がなかったっけ?
そう、それは確か……レジスタンスのアジトに来る前。戦場で気を失った時だ。

あの時は…どうやってここから出たんだっけ?
早くしなきゃ……ツンが…。


あれ? ツンは確か…。

529 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 13:49:14 ID:ksB4L6wR0
とりあえず、この空間を歩き出す。
前に進んでいるのかも分からないが、何もしないよりはましだ。


何分経ったろう。未だに、景色は変わらない。足も疲れない。
この間見た夢と、まったく同じである。

あ、そうか。これは夢なんだっけ。
なら、僕が覚めろと願えば、覚める事が出来るだろうか?


…そう、都合よくいくわけではないようだ。この不気味な夢からは、覚める事が出来なかった。


ヒュッ


と、突然、何かが僕に飛んできた。
それは、僕に当たると、カラカラと音を立てて地面に落ちた。

たぶん石ころか何かだ。
どこから飛んできたんだろう?

532 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 13:51:30 ID:ksB4L6wR0
( ^ω^)「……」

誰が投げたのか? どこから飛んできたのか?
全く分からない。


だがおかしい。疲れはしないのに、痛みは感じた。
これは…本当に夢?それとも別の…?


わからない……わからない……。

ここは………どこなんだ!?

536 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 13:57:10 ID:ksB4L6wR0
ξ゚听)ξ「内藤! 内藤!」
( ^ω^)「う……ん…?」

次にまぶたを開くと、そこには心配そうな顔をしたツンの姿があった。
あの夢からは…覚めたようだ。

ξ゚听)ξ「よ、よかった…。凄く、うなされてた…」
( ^ω^)「心配ないお。それより……」

僕は、町の方を見る。
町に、もう蛮族の姿はない。
先程、ツンを狙っていた首領もいないし、ツンも無事だ。
…一体、何が起こったのだろうか?


( ^ω^)「…あの、でかい蛮族はどうしたお?」
ξ゚-゚)ξ「え…? 覚えてないの、内藤?」

540 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 14:03:47 ID:ksB4L6wR0
( ゚д゚ )「…内藤。蛮族の手斧を叩き落し、槍をその巨体に突き刺したのは…お前だ」
近くにいたミルナが、僕たちの会話に割り込んできた。
しかし、その言葉は実に信じられないものであった。

( ^ω^)「!? な、そんなバカな事がありますかお!?」
ξ゚听)ξ「私に手斧が投げられた瞬間…貴方は、槍を持ったかと思うと、両腕を広げて走り出したの」
( ゚д゚ )「私にさえ目で追えぬ速さだった。君は、ツン君の前にたち、手斧を叩き落し、蛮族を仕留めたのだ」
( ;^ω^)「そんな、都合のいい…ことが…」


否定したかった。それは、自分が人を殺した事ではない。

僕が本当に否定したいのは……、僕の、奇妙な力のことだった。


そう、何年か前にも、こんなことがあったんだ。

559 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 14:13:12 ID:ksB4L6wR0
あれは…十ニ年前だ。
僕は、弱虫で、いつもいじめられていたんだ。

( ^ω^)「か、返してお! ママが一生懸命働いて買ってくれたんだお!」
( ・∀・)「やーだーよ! ハハハ! 返してほしかったら、力ずくで取ってみろよ!」

そいつは、名前をモララーといった。
頭が良く、喧嘩も強く、いわゆるガキ大将という奴だった。


( ・∀・)「さあ、速く奪ってみろよ! そうしないと、ママが買ってくれたこれ、ぶち壊すぞ! ハハ」
( ::::ω:::)「………さない」
( ・∀・)「あ?」
( ::::ω:::)「ゆるさない!!」

一瞬、僕の意識がなくなって。
次に気づいた時には、モララーが大怪我をして倒れていた。

周りにいたモララーの子分達は、僕が腕を広げると、僕の姿が消え、いきなりモララーが倒れたといっていた。

…僕が危機に陥ると、いつもこんな事が起こる。
そのとき決まって僕は……腕を広げるらしい。

今回の事と……同じなのか?

567 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 14:21:15 ID:ksB4L6wR0
( ^ω^)「……とりあえず、僕がやったというのは事実なのは、分かったお」
( ゚д゚ )「うむ。それと、ツン君だが…」

( -д- )「前線に出てくるなと、いっておいただろう?」
ξ゚听)ξ「ご、ごめんなさい! でも、ああしなきゃ内藤が…」
( ゚д゚ )「余計な私情を挟むな、と前にも言ったはずだ。戦場では、常に死と隣りあわせなのだ」
ξ゚-゚)ξ「……はい」

ミルナの言う事はもっともだ。
だが、ツンがいなければ、僕たちは死んでいたかもしれない。
ならば、もう少し感謝しても良いのではないだろうか?


( ゚д゚ )「…しかしまぁ、私たちがツン君に助けられたのは事実である。今回は良かったが、いつも助かるとは限らない。以後、注意するように」
ξ゚听)ξ「は、はい!」


その後、僕は木陰で、ミルナの独り言を聞いた。

( ゚д゚ )「……はぁ。私も父上に似たな。常に人望だけを求め続けている。恥ずべき甘さだ」

…ミルナはやはり、いい奴だ。

 
607 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 14:57:52 ID:ksB4L6wR0
僕達、東部隊は順調にウホ、シンを制圧。
VIP国東の拠点である、ウェンズ城を奪還しようとしていた。

時を同じくして、ジョルジュ達の西部隊は、エル、アー、イズの村をそれぞれ制圧。
西の拠点である、マース城の制圧にかかろうとしていた。

だが、それを見かねたニュウソク国大将ちんぽっぽが、ニュウソクとVIPの正規兵を投入。
さらに、湖を沿い、ニイト国にも侵略を開始したとのことだった。

ニイト国にはギコ宰相や、騎士団がいる。


しかし、ニュウソクの将の強さは尋常でない。
そしてこのウェンズ城には、ニュウソク軍八番隊が常駐しているとのことだった。


ttp://sakots.pekori.jp/cgi/sn/src/up39256.png


616 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 15:11:55 ID:ksB4L6wR0
僕達の部隊は、ニイト国の第九、第十騎士隊と合流し、町々を制圧。
いまは、東の拠点である、ウェンズの城まで来た。

( ゚д゚ )「捕虜からの情報では、この城にはニュウソク国の八番隊が常駐しているとのことだ。内藤、何か分かるか?」

八番隊…。聞いた事は、ある。

( ^ω^)「はい。良い隊長を持つ部隊で、まとまった動きをしているそうです。その団結力は、隊の中でも屈指とか」
( ゚д゚ )「ふむ。ならば、城の正面から攻める陽動部隊、そして、その間に裏門から攻め入る部隊に分かれよう」

その後、ミルナの指示で、裏門から攻め入るのは僕、ビコーズ、ミルナの三人となった。
数が少なすぎる気もするが、相手のまとまった動き、そして数の多さから、正面の陽動に多くの兵が集まると予測してだ。

僕はあの後、ツンからもらった鉄の槍で戦いを続けてきた。
戦の中で、僕は、人を何人か殺めた。

でも、もう覚悟は決めた。戦う事で、戦争を終わらせる事が出来るなら、僕は戦うと。

槍の腕も少しは上がったはずだ。
もう、足手まといにはならない。

622 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 15:19:12 ID:ksB4L6wR0
―――VIP城―――

( *’ω’*)「ちんぽっぽ?」
( ><)「…わかんないです」

カキカキカキ

( ><)「…了解しました。マースとウェンズに援軍を出します。あそこが制圧されては、我が国の支配も弱まります」

カキカキカキ

( ><)「はい。この城の警備も強化をしておきます」
( *’ω’*)「……ちんぽっぽ」

625 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 15:25:38 ID:ksB4L6wR0
―――ウェンズ城―――

( x_x)「隊長、ニイトの使者が面会を求めております」
( :::∀:::)「通せ」

( ー_ー)「我が軍は無駄な戦いはしたくない。降伏をすれば、命は保証する」
( :::-:::)「…すまないな。我々も軍人、降伏したては名が立たないのだ」
( ー_ー)「残念です…。では」


――――城門前――――

( ー_ー)「ミルナ様。降伏は出来ぬとのことです」
( ゚д゚ )「…そうか。では、私と内藤、それにビコーズ君は裏門へと回る。君達は、派手に戦ってくれたまえ」
( ー_ー)「はっ」

( ゚д゚ )「では、私たちもいくぞ」

635 名前: ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 15:32:12 ID:ksB4L6wR0
( ゚∀゚)「…この城に常駐しているのは、VIP軍だという。彼らには直接的な戦意はない。あまり殺さないように頼む」
( ,' 3 )「……」

ジョルジュは、この城にいるのがVIP軍だという事に、安堵感を持っていた。
それは、相手がニュウソク軍ではないからである。

この前剣を交えた六番隊長、プギャー。
いくらVIPの民だとは言え、その剣の速さには何か別のものがあった。

だが、東のウェンズ城にはニュウソクの部隊が常駐していると聞いた。
内藤達は大丈夫だろうか?

ジョルジュは、心配をしながらも、戦の準備を始めた。

692 名前:1の友達 ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 16:40:48 ID:VZRaxoAr0
スマン。再起してた。

( ^ω^)「…敵はぜんぜんいないみたいだお」
( ゚д゚ )「おそらく、手勢は全て正面に行っているのだろう。こちらとしては算段どおりだ」

裏門からは、階段を上れば、直接王室へいける。
だが、不気味だ。いくらまとまって動くとはいえ、裏門に全く兵を配置しないとは。
まるで、誘い込まれているようではないか。

( ∵)「しかしここまで兵がいないとは・・・。不気味だな」
( ^ω^)「…敵にも何か考えがあるのかもしれないお。気をつけていくお」
( ゚д゚ )「いや…、もう深く考える必要はなさそうだ」


目の前に、王室への扉が見える。
だが、その前には巨大な剣を持った男が、立ちはだかっていた。

( ^ω^)「………お前は」

僕は、その顔に嫌と言うほど、見覚えがあった。

699 名前:1の友達 ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 16:45:39 ID:VZRaxoAr0
( ・∀・)「私が六番隊長、モララーだ」
( ^ω^)「……!!!」

モララー…。
モララーと言えば、昔僕をいじめていた奴ではないか!!

( ^ω^)「モララー…。君は、ブーン公国のモララーか?」
( ・∀・)「おや? 君は私を知っている?」
( ^ω^)「…僕の顔、忘れたかお?」
( ・∀・)「………すまんね、思い出せないよ」
( ^ω^)「そうかお」

怒りより、虚しさが立ち込めた。
僕はこいつを憎んでいた。でも、奴は僕を覚えていない。
非常に、虚しかった。

( ・∀・)「さて、ここまで来られた事は褒めてあげよう。だが、ここまでだ」

モララーが、指笛を吹く。
その途端、後ろの階段を、六番隊の騎士達が物凄い勢いであがってきた。

707 名前:1のdj ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 16:49:02 ID:VZRaxoAr0
( ゚д゚ )「くっ! 挟み撃ちか!?」
( ・∀・)「ふふふ…」
( ∵)「そう焦る事もない。階段からではやりにくいだろう。ミルナ氏、あなたは援軍の相手を頼む」
( ゚д゚ )「…君と内藤は?」
( ∵)「指揮官を倒す。指揮官を失えば、手勢も止まるだろう」
( ;^ω^)「ミルナさん! ひ、一人でこれだけを相手にするのかお!? 無茶だお!」
( ゚д゚ )「焦る事はない。私にはマルチーズが付いている」

そう言い、ミルナは後ろの援軍と戦いを始める。

そして僕とビコーズは、モララーと対峙した。


お茶飲もうか
(´・ω・)っ旦旦旦旦旦旦旦~~~

745 名前:1のdj ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 17:13:54 ID:VZRaxoAr0
キタコレ


( ・∀・)「…魔法使いか。それに、半熟の槍使い」
( ∵)「魔法使いと騎士では相性が悪い。やめておけ」
( -∀-)「私は軍人だ。その名が廃るような事はしない」
( ^ω^)「プライドの高い男だお」
( ・∀・)「君は本当に良いのかい? 気味程度の腕では、殺されてしまうよ」
( ^ω^)「…一度僕に負けたことがあるくせに、調子に乗るなお」
( -∀-)「………」

モララーは、昔見たときとは別人のようだ。
何か特別なオーラを放っているが、それはすぐに殺気へと変わった。

( ・∀・)「行くぞ!」

モララーの声で、戦闘が始まる!

759 名前:1のdj ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 17:24:58 ID:VZRaxoAr0
またキタコレ


モララーは、先にビコーズを狙ってきた。
魔法使いがいる場合、剣でしか戦えない騎士は圧倒的に不利になる。
だが、魔法を唱えるには【詠唱】が必要だ。
ぼくは、その時間稼ぎの要になる。

( ^ω^)「はっ!」
モララーの剣を、槍の長い柄で受け止める。
力は………互角。


( ・∀・)「僕はこんな地位にいるけど、あまり力がなくてね。まあ、その代わり…」
鍔迫り合いをしていた剣を、モララーは僕の力の方向とは真逆に受け流す。
そして、僕の喉元をめがけて剣を突き出す……! 

だが、その剣は切っ先を喉に触れさえる程度で終わった。
ビコーズの氷の魔法が、モララーの手を凍らせていた。

( ・∀・)「む。そういえば、魔法使いもいたんだっけね」
( ∵)「その腕はもう使えまい。降伏したまえ」

( ・∀・)「……そういうわけには、いかないな」

775 名前:1のdj ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 17:35:25 ID:VZRaxoAr0
投下〜

モララーは、剣を持ち替え、氷付けの右腕にそれを振り下ろす。
そして、自分の右腕を砕いたのだ!

( ^ω^)「なっ…」
( ・∀・)「…私は力の変わりに、その技で地位をつかんだ。たとえ右腕が消えようとも、その地位をここで失うわけにはいかない」

モララーが、左手に剣を持ち、走りこんでくる!
右腕を失い、バランスをあまり取れないはずなのに、その動きは速すぎる!

( ^ω^)「ぐっ!」
すれ違いざまに、槍で剣をうけ、返す槍でモララーの左腕に斬撃を与える。
やはり、右腕を失い、バランスがあまり取れないようだ。

(;・∀・)「まだだ! まだ私は負けることは出来ない!」
( ^ω^)「……」

こいつは、昔と変わってない。
必ず、何があっても自分は勝ちたがる。
それが、どんな状況であろうとも…だ。

前に、ミルナが戦場に私欲を持ち出すな、と言っていた。

確かに、それは命取りとなる。

783 名前:1のdj ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 17:47:39 ID:VZRaxoAr0
おk新作

( ・∀・)「ぐっ……!」
( ^ω^)「君の、負けだお」

僕は、槍の先端を、モララーの喉元に当ててそういった。
ビコーズも、後ろでいつでも呪文ができる状態にある。
将棋でいうなれば、【詰み】である。

(;・∀・)「くそ! 何故だ! 何故私はこんなに努力までしたのに…!!」
( ^ω^)「…モララー。君はいつも、そうだったお。君は、勝つ事だけにこだわっていた。勉学でも、喧嘩でも。
何故、そんなに勝ちにこだわるんだお?時には、負けることも必要だお…」
( ・∀・)「うるさい…。貴様に何が分かる!!」

モララーが、再び剣を構える。
僕はそれに呼応し、槍を構えなおす。


だが、その剣は、すぐに、血を浴びていた。
剣を持つ、モララー自身の、血を。


( ∵)「…自害したか。よほど、負けたのなら死ぬというのか」
( ^ω^)「僕には分からないお…。何故、そこまでして勝ちにこだわるのかが」
( ∵)「プライドが高すぎるんだな。周りの人に、認めてもらいたいだけだったんだろう
だが、それが行き過ぎてしまったのだ」


なんとなく、モララーの気持ちが分かったような気もした。

792 名前:1のdj ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 17:58:11 ID:VZRaxoAr0
はい投下〜

( ゚д゚ )「こちらは片付いたが?」
( ∵)「こちらも大丈夫だ」
( ゚д゚ )「よし、城内、外の兵に呼びかけ、投降させてくれ」
( ∵)「了解」

( ^ω^)「………」

僕は、モララーの遺体を見つめていた。
モララーの表情は、本当に悔しそうなものだった。

799 名前:1のdj ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 18:07:28 ID:VZRaxoAr0
―――マース城

( ゚∀゚)「さあ、観念してくれ」
( l_l)「ぐっ…」

ジョルジュが、常駐している軍の隊長に剣をむけて言う。
隊長は剣を落とし、両手を挙げて降伏した。

( ゚∀゚)「よし、マースまでは順調に制圧できたな」
( ,' 3 )「だが、これからだ。我々の軍にも被害が出ていないわけではない。
じき、東軍と協力してVIP城を攻めるのだ。それまでは、持ちこたえねばな」
( ゚∀゚)「ああ」


―――ウェンズ城

ξ゚听)ξ「内藤! お疲れ様!」
( ^ω^)「! ツン!」

最近は、ツンと仲が良くなった。
彼の兄を殺してしまったことはまだ隠しているだけあって、心が少し痛む。

ξ゚听)ξ「…次の村を制圧したら、いよいよ西軍と合流してVIP城を攻めるのね?」
( ^ω^)「僕達の進路から、多分ちんぽっぽ大将も必然的に僕たちが城へ行くのは分かっていると思うお。気は抜けないお」

…戦いは、いつまで続くんだろう。

819 名前:1のdj ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 18:31:35 ID:VZRaxoAr0
東西の拠点を制圧した軍は、その後も順調に進軍を続けた。

西軍は、湖畔の村イズを制圧。そこに少しとどまった後、ボップの村で、東軍と合流する予定である。

一方、東軍は、ボップの村の制圧にかかろうとしていた。

ここまでくれば、王都もあと一息である。

幸い、兵のいくつかはブーン公国、ニイト国に出ているため、戻そうにも、戻ってきた時には既に交戦中、あるいは戦いは終わっているかだ。


風のうわさで聞けば、ニイト国は順調に戦闘をしており、ニュウソクの部隊を殆ど捕らえたとのことだ。


僕たちも、がんばらなければ。


ttp://sakots.pekori.jp/cgi/sn/src/up39266.png


825 名前:1のdj ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 18:46:14 ID:VZRaxoAr0
( ゚д゚ )「…よし、この村で最後だな」

僕たちはあの後、ウェンズを制圧。そして、今は王都に最も近いボップ村を制圧し終えた。
ニイトの騎士団や、ミルナのマルチーズは、本当に強かった。
良い指揮官。そして、信頼のおける部下達。ニイトは、強いな。

僕たちは、ジョルジュ達西軍が到着するまで、村でくつろぐ事になった。


―――VIP城

( ><)「ちんぽっぽ大将! 敵がすぐ傍まで!!」
( *’ω’*)「……ちんぽっぽ」
(;><)「あの、大将。普通に喋る事は出来ないのですか?」
( *’ω’*)「むずかしいぽっぽ」
(#><)(………)

( *’ω’*)「状況は把握してるっぽ。奴らは、この後城に攻め入るつもりだぽっぽ」
( ><)「どうしましょうか?」
( *’ω’*)「だいじょぶぽっぽ。奴らは、必ずここから近いボップの村で体制を取り直すはずぽっぽ」
( ><)「それが何か?」
( *’ω’*)「……ちんぽっぽ」

っ旦旦旦~~~

830 名前:1のdj ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 18:58:16 ID:VZRaxoAr0
( ゚д゚ )「くっ…、油断していた!」
( ∵)「ちんぽっぽ大将…。出来る男だ」

休憩していた僕達を、突然、外から山賊の大群が襲ってきた。
気を抜いていたため、武器などは殆ど輸送隊に預けてしまっている。
ニュウソクお得意の、【奇襲】だ。

( ゚д゚ )「くそっ! 人数が多すぎる! マルチーズさえあれば…!!」
( ^ω^)「何でいつも持ち歩いてないんだお」
( ゚д゚ )「重いんだよ!! 話してる暇があったら目の前の敵に集中しろ!」

幸い、僕は稽古をしていたので、鋼の槍を持っていた。
ビコーズも、魔法使いなので、武器を気にせず戦えるし、ミルナも鋼の斧で満足に戦っている。

だが、相手の手勢は多すぎる! こちらの二、いや、三倍はいるのではないだろうか!?
おそらく、VIP国中の山賊たちを、金で雇ったのだろう。


確実に、僕たちの軍が押されている。
ツンたちには地下に隠れてもらっているから良いが、部隊が全滅したらツンたちまで殺される!


くそっ、早く来てくれ……ジョルジュ!!!



飯逝ってくる

865 名前:1のdj ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 20:04:07 ID:VZRaxoAr0
キタキタ

( ゚∀゚)「ふう…。湖が見えてきた。もうボップの村は近いな」
( ,' 3 )「…ん? ジョルジュ、あれが見えるか?」

荒巻は、ボップの村のほうを指差して言った。
見れば、そこには、山賊たちが何人も押し寄せていた。
村を、襲っている!?


(;゚∀゚)「しまった! 読まれていたのか! 急ごう!」
( ,' 3 )「…心配ない。魔法使いの力を、見せてあげよう」
( ゚∀゚)「!?」

875 名前:1のdj ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 20:13:50 ID:VZRaxoAr0
( ゚д゚ )「ぐっ…」
( ∵)「はぁ…はぁ…」

ミルナも、ビコーズも、僕も疲労が限界まで達していた。
体力の消耗が激しい。なのに、敵は増え続けるばかり。
…くそっ! どうすればいいんだ!?


と、思っていた矢先だった。
突然、空に黒雲が立ち込める。

刹那、雲を裂き、轟音と共に蒼い雷が地面に叩き落ちる!
その蒼い閃光は、確実に、敵兵の体をめがけて落ちていく!

( ゚д゚ )「な、なんだ!?」
( ∵)「これは…。爺ちゃんか?」

蒼い閃光は、勢いを留めずに止む事はない。
次々と、連鎖するように山賊の身を焦がしていく。


やがて、空が晴れた頃。
そこには、無数の死体が散らばっていた。

889 名前:1のdj ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 20:26:36 ID:VZRaxoAr0
北北北北


( ∵)「……今のは、まさか」
( ゚д゚ )「な、な、な…!? 今の魔法は一体!?」
( ∵)「…今の魔法は禁術と呼ばれるものだ。禁術を使うには……、代償が必要だ。それくらい威力のある魔法だ」
( ^ω^)「い、今の禁術は一体誰が!?」
( ∵)「…爺ちゃんしか居ないだろう」


その後、ぐったりとした荒巻をおぶったジョルジュとその部隊が、ボップの村にやってきた。
荒巻さんは、量目から溢れるほどの血を流していた。おそらく、失明している。


( ゚∀゚)「…町が襲われているのが遠くから見えた。沢山の山賊がいたからな、お前達が苦戦しているのは見ずとも分かった」
( ゚д゚ )「しかし…。それなら、普通に歩いてここまで来て援護をしてくれれば良かったものを…」
( ゚∀゚)「とても間に合わない距離だった。だが、爺さんが…、いきなり自分で両目を潰して……」
( ∵)「禁術の【代償】だ…。視力、か」

荒巻は、そのまましばらく気を失っていた。
無理をさせるわけにも行かず、荒巻はツンたちに任せ、VIP城の攻略は僕たちで行う事にした。


ビコーズは、陰で泣いていた。

941 名前:1代理 ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 21:23:03 ID:lpETgJy90
―――VIP城内

(;><)「…大将、山賊たちが全滅したとのことです」
(;*’ω’*)「そ…そんな馬鹿なっぽ。こちらの持ち駒は敵の数倍はいたぽっぽ…」
(;><)「敵兵の使者がやってまいりました…」
(;*’ω’*)「と、とりあえず、通すっぽ」


( ー_ー)「我が軍は無駄な戦いは望まぬ。降伏すれば、命の保証はするが?」
( *’ω’*)「……ふざけるなっぽ。おい、始末しろっぽ!!」
( ><)「は、はい!」
(;ー_ー)「なっ!?」


―――VIP城下町

( ゚д゚ )「…使いに出した者が戻ってこんな」
( ∵)「…どうやら、始末されたようだな」

ビコーズが言うと同時に、大きな音が。
それと共に城門が開き、城下町にVIPとニュウソクの正規兵が現れた。

( ゚д゚ )「…ふむ」

954 名前:1代理 ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 21:38:26 ID:lpETgJy90
>>946
ふ、伏線にきまってるだろ!!!111

こんなの描いてみた
ttp://sakots.pekori.jp/cgi/sn/src/up39270.png


957 名前:1代理 ◆X5HsMAMEOw :2005/12/04(日) 21:43:50 ID:lpETgJy90
>>1はとりあえず次スレに行くようです

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