- 132 名前:
◆fkFC0hkKyQ :2009/04/28(火)
01:14:04.77 ID:J7Ds1PffO
- epilogue
━━ビルの谷間を吹き抜ける風が、長い髪を弄ぶ。
(*゚∀゚)「ちぇっ…肝心な時にこれだもんにゃあ…」
スコープから目を離し、弾詰まりを起こした狙撃銃を床に叩き付ける。
ニュークローム素材で頑強な筈のそれは、まるで玩具か何かのように呆気なくバラバラになってへし折れた。
(*゚∀゚)「ちょっとぉ、どういうことにゃのよぉ。あんたまさか、ワザとガラクタ売りつけた訳じゃないわよね」
眼光に怒りを込めて振り返る背後。
月明かりの無いビルの屋上。その隅。闇のわだかまりの中で、自称“死の商人”は気だるげな溜め息をついた。
( )「あんたが一番安いのをって言ったんでしょお?あたしはただ求められたものを、求められた値段で提供したまでよん」
(*゚∀゚)「でも、ジャムるなんて聞いてないっつうの!」
( )「だってあーた、“ジャムらない銃が欲しい”なんて言わなかったじゃなぁい」
(#゚∀゚)「むぅぅ…」
ああ言えばこう言う。つくづく、腹の立つ男だ。
- 136 名前:
◆fkFC0hkKyQ :2009/04/28(火)
01:16:03.22 ID:J7Ds1PffO
- (#゚∀゚)「つうかさぁ…なんなの、そのオカマ口調。あんたの職場ってゲイバーだっけ?」
( )「あらあら、流石のつーちゃんでも、その発言だけは許せないわねん」
(*゚∀゚)「止めなって。きめぇっつぅの」
( )「はんっ!“化け物”に言われたくないわね!」
しばしの睨み合い。殺意と殺意の応酬。
あーあームカつくなぁ。コイツも殺しちゃおうかなぁ。
( )「っとぅ。それよりもあんた、アイツはいいのん?ねぇ?」
言われて、本来の目的を思い出す。
振り返り、目を凝らす闇。瞳孔の中に形成された人工タペタムによって手に入れた猫並みの夜目で、先に狙撃したビルの一室を睨んだ。
(#゚∀゚)「……あーあー、あんたがムカつくから逃しちゃったじゃあん!」
( )「あたしは関係ないでしょう?そんなに殺したいなら、直接自分の手で始末したら?ねぇ、“屠殺屋つー”ちゃん?」
反射的に腕が動く。
風切り音と、断裁音。
( )「…あんたさぁ、そういうキャラ付けしか無いわけぇ?ワンパターンだってぇのよ」
“闇”は依然“闇”のまま、そこにわだかまっていた。
- 137 名前:
◆fkFC0hkKyQ :2009/04/28(火)
01:18:36.40 ID:J7Ds1PffO
- (*゚∀゚)「あんたも何時か、その腐れたチンポちょん切ってやるよ」
( )「そりゃどぉも。手術代が浮いて助かるわん」
どうせ切ったところでまた生えて来るのだろう。
コイツもまた、私と同じクスリを飲んでるんだから。
(#゚∀゚)「あームカつく。マジでムカつく。殺す。絶対殺すわぁ」
懐の小瓶から取り出す、八角錠。
“ウェイク・アップ・ザ・デッド”
起きたら死体。いや、死者を起き上がらせろ、か。
(*゚∀゚)「許せないよねー。絶対に許さないよねー。私より幸せな奴は絶対に許しちゃいけないよねー」
八角錠を三つ、口に入れ、噛み砕き、飲み下す。
クリアになっていく思考と、高鳴る胸の鼓動。
(*゚∀゚)「なぁにが“どっくん”だよ。頭がいかれてんじゃねぇの?おめでたいったらねぇわな」
どいつもこいつも、調子に乗りやがって。
“こないだ言ってたじゃん!街で会った人に一目惚れしたってさ。ねぇ、どうなの?”
(*゚∀゚)「何も…知らないで…いけしゃあしゃあと……」
“これこそ運命の出逢いだって言ってたじゃん!ねぇねぇ!どうなのよ!”
- 140 名前:
◆fkFC0hkKyQ :2009/04/28(火)
01:20:36.70 ID:J7Ds1PffO
- (*゚∀゚)「白馬の王子様なんていねぇんだよ、糞ビッチが。そんなもんは何処を探したっていねぇんだよ」
何故なら。
(*゚∀゚)「何故なら私がぶっ殺したからなぁ!あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」
恋?愛?そんなものが何だと言うのだ。
そんなものいらない。私が願っても叶わないものなんて。私が望んでも手に入らないものなんて。
要らない。
(*゚∀゚)「殺す!全員殺す!みんなみんなみぃぃいんな、チンポ切り落として殺してやるんだ!」
憎い。憎い。男が憎い。
憎い。憎い。恋人達が憎い。
憎い。憎い。私をこんな体にした、“あいつら”が憎い。
(*゚∀゚)「だから綾瀬の奴らも殺してやった!皆仲良く首ちょんぱ!あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」
( )「……」
ざまぁみろ!こんなに気持ちの良いことはない!私の幸せを奪うような奴に生きてる価値なんて無い!死んで当然!死すら生温い!
- 143 名前:
◆fkFC0hkKyQ :2009/04/28(火)
01:22:45.68 ID:J7Ds1PffO
- (#゚∀゚)「ドクオォオ!ツゥウン!次はあんたらだ!次はあんたらの腐れチンポを切り落として、腐れマンコを抉りだしてやる!」
私を差し置いて、二人だけ幸せになることなんか許さない。
地の果てまでも追い詰めて、八つ裂きにしてやる。
( )「……さて、と。じゃあ書類も取り戻したし、小憎たらしいヤクザも壊滅したし。あたしはこれで失礼するわぁん。また何かビジネスのお話があったら連絡頂戴ね。チャオ」
溶けるようにして消える“闇”。
振り返る事もなく、私は夜に叫ぶ。
「るるるぅしゃあああぁぁあ!!」
響き渡るは獣の咆哮。
夜は続く。どこまでも。永遠に。永遠に。
-fin-
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