6 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/02/28(土) 21:15:02.66 ID:9AyGUOaLO
blank disc T-0. Like the one bullet



“私は自分と恋に落ちるつもりはないし、他に恋に落ちるべき相手はもう何処にも居ない”



……F・スコット・フィッツジェラルド
8 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/02/28(土) 21:17:28.87 ID:9AyGUOaLO
prologue

━━ガンパウダーを匙で掬い、薬莢に流し込む。
鉛の弾頭で蓋をして、頬を拭う。

ξ゚听)ξ「……嫌な臭い」

安物のANNA SUIの香水と火薬の混合したそれは、酷く鼻をつく。
何年もの間に積み重ねられ、身に染み着いたそれはしかし、未だに慣れることの出来ないものだった。

ξ゚听)ξ「……そっか。香水、つけなきゃいいんだ」

何時もそう呟いて、結局は惰性で実行出来ない。

私もまだ、女のつもりなのだろうか。
11 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/02/28(土) 21:18:58.46 ID:9AyGUOaLO
ξ゚听)ξ「笑えるわね。今更……」

未練がましい。自分でもそう思う。

化粧をして、香水をつけて、パーマをかけて。

恋する乙女、なんて柄じゃ無いだろう。

ξ゚听)ξ「……」

では何故、私は未だにANNA SUIの香水をつけている?

では何故、私は未だにブラッディーメアリーなどを愛飲している?

ξ゚听)ξ「白馬の王子様なんて…居ないのよ」

出来上がった銃弾を摘み、マガジンに装填する。

ξ゚听)ξ「そんなのが居るなら…」

この銃弾で撃ち殺してやろう。

それは、悲しいまでに滑稽な嫉妬だった。

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