4 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:10:11.71 ID:0qBX01uwO
〜track-γ〜

━━チャットルームの扉を開けると、そこには何時もの顔触れが揃っていた。

ノパ听)「おぉブーン、体調の方はもういいのか?」

(’e’)「おーっす、女とのデートはもういいのか?」

(#゚;;-゚)「こんばん…は」

lw´‐ _‐ノv「ドブリー・ブェチェル」

それぞれに挨拶を投げてよこす皆の視線を黙殺し、僕は環状に並んだ彼らの中心へと歩いていく。

(’e’)「おい、どうした?振られたのか?」

lw´‐ _‐ノv「あ、ドブリー・ブェチェルってのはチェコ国立語で“こんばんは”って意味ね」

5 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:12:11.96 ID:0qBX01uwO
明らかに何時もと様子の違う僕に、皆は戸惑っているみたいだ。

ノハ;゚听)「おい、何だよそんな気持ち悪い顔して……」

lw´‐ _‐ノv「あれ?それともこんにちはだったかな?」

怪訝な顔の皆の真ん中まで来ると、僕は歩みを止めて一同の顔を見渡す。

(;’e’)「なんだなんだ……」

(#゚;;-゚)「どう…したんですか…?」

lw´‐ _‐ノv「ザワ…ザワ……」

こいつはどうしたんだろう。一体何を始めるんだろう。
奇異の眼差しの集中放火の中、僕は意を決して口を開いた。
7 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:13:11.36 ID:0qBX01uwO
( ^ω^)「みんな、力を貸してくれお!」

瞬間、チャットルームの中を水を打ったような静寂が覆い。やがて。

(’e’)「力を貸してくれって……」

ノパ听)「何を……」

(#゚;;-゚)「唐突に……」

皆は訝しげに、疑問を返してきた。
確かにこれでは主語が不足している。
やっぱり、僕は随分と一人だけで突っ走って来たんだなと反省しながら、改めて口を開いた。

( ^ω^)「こないだ話してた荒巻屋の件で、皆に力を貸して欲しいんだお」

荒巻屋。
予想できていたとは言え、その単語が出た途端皆の僕を見る目が、一気に胡散臭いものを見る目に変わった。

(’e’)「…なぁブーン、言っただろ?どんなに世話になったからって、オレ達が首を突っ込むような事じゃないんだよ」

ノパ听)「……世話焼きと詮索屋はこの世界じゃ早死にするって、わかってんだろ?」

(#゚;;-゚)「何を…言うかと思えば…馬鹿馬鹿しい……」

(=゚ω゚)「……」

皆の口から出る言葉はどれも辛辣。
さて、これをどう説得するかだが。不思議と、不安は無かった。

8 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:14:29.68 ID:0qBX01uwO
( ^ω^)「……皆の意見はごもっともだお。この問題は、結局のところ荒巻のじっちゃんと陳龍の間だけのもの。本来なら、僕たちが関わるべきものじゃないってのも正論だお」

(’e’)「わかってんなら話は早ぇや。いつまでも駄々こねて無いで、現実を受け入れようぜ。その話はあまりしたくないんだ」

ノパ听)「ジョーンズの言うとおりだぜ。私も、荒巻屋の事はあまり話したくねぇ」

(#゚;;-゚)「右に…同じく……」

苛立たしげに、諦観の籠もった言葉を吐く一同。
ここで、僕は一つの賭けに出る。

( ^ω^)「……ふぅ。予想していたとは言え、やっぱり情けないお」

あからさまに肩をすくめ、手で顔を覆う。いかにも、“情けない”といった感じで、だ。

ノパ听)「あぁん?」

(’e’)「どういう意味だよ」

よし、食い付いた。

( ^ω^)「そのままの意味だお、ジョーンズ。僕は皆の事が情けなくて仕方ないんだお」

再び肩をすくめ、首を振る。

( ^ω^)「たかが、華僑のゴロツキ相手にビビっちまって……それでも、お前らはハッカーかお?」
10 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:15:59.08 ID:0qBX01uwO
(#’e’)「おい…てめぇ…そりゃどういう……」

( ^ω^)「ハッカーハッカーってこれ見よがしに言ってるけど、結局は権力だとか組織だとかが怖くて仕方ない、口先だけのガキの集まりでしかないのかお?」

(#゚;;-゚)「……あなたの意図が…わかりません…私達を…怒らせたいのですか…?」

一触即発。皆の怒気は、爆発寸前。
後一押しと言ったところか。
さぁ、ではトドメの一押しといこう。

( ^ω^)「そこらの企業の防壁を破っては悦に入る事しか出来ない、口先だけの臆病者なのかお?」

(#゚;;-゚)ノハ#゚听)(#’e’)「「「てめぇ喧嘩売ってんのか!?あぁ!?」」」

フィッシュ!

( *^ω^)σ「そう!その反骨精神だお!」

手を叩き、皆の顔を見渡す僕の顔には満面の笑みが浮かんでいただろう。

ノハ#゚听)「あぁ!?」

( ^ω^)「“ムカつく奴にはウイルスを送り付けてやろう”。“偉そうにふんぞり返りやがって。いつか蹴落としてやるからな”」

(#’e’)「……はぁ?」

( ^ω^)「僕たちは、そういった反抗心を長い事忘れちまってたんじゃないかお?」
12 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:17:14.31 ID:0qBX01uwO
(#゚;;-゚)「……反抗…心」

( ^ω^)「みんなの履歴書なんか見た事ないから、どんな事情が有るのかは知らないけど……みんな、何かしら社会に不満が有るんじゃないかお?こんなとこでハックをしてるんだから、少なからずはそういったものは有るはずだお」

(’e’)「……」

ノパ听)「……」

一様に黙り込むハッカー達。

( ^ω^)「“いつか見返してやる”。そんな想いが、ある筈だお。なんとなくだけど、わかるお。僕らの共通点は、そういう所にあるんじゃないかって」

(=゚ω゚)「……」

( ^ω^)「でも最近はどうだお?あれだけ夢中になってたハックもしないで、毎日毎日このチャットルームに籠もっては下らない馬鹿話ばっかりして……」

ノパ听)「……」

( ^ω^)「勿論、僕だってここで馬鹿話してるのは嫌いじゃないお。むしろ、好きだお。でも、僕たちの本来の“遊び”が何だったかまで、忘れるつもりは無いお」

(’e’)「……本来の、“遊び”…」

( ^ω^)「忘れたのかお?みんなで渡辺重工のデータバンクにアバタークラッシャーを仕掛けた時の事を!」
14 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:18:33.47 ID:0qBX01uwO
(=゚ω゚)「……」

( ^ω^)「S&Kインダストリーの構造体(ストラクチャ)のサーバーをダウンさせた時の、高揚感を!」

( ^ω^)「あの、病みつきになるほどのスリルを忘れちまったのかお!」

(#゚;;-゚)「……」

( ^ω^)「ここで喧嘩を売る相手は、本当に僕なのかお?もう一度、考え直してみて欲しいお」

沈黙。黙して語る者は非ず。歯を噛みしめ、皆は俯いている。
やがて、ヒートがポツリと呟いた。

ノパ听)「……勝算は、有るのかよ」

( ^ω^)「それだったら、任せて欲しいお。シュール先輩が、とっておきの作戦を考えてくれたお」

ノパ听)「……それは、信頼出来るのか?」

( ^ω^)「ノープロブレム、だお」

ノパ听)「……」

正直、シュール先輩の考えた“策”がどんなものかは僕にも未だにわからない。
だが、今重要なのはそういう事じゃないんだ。

みんなが、力を合わせて何かをする。

青臭いとは言われればそれまでだが、僕にはそれが一番大事な事なのだ。
17 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:19:54.77 ID:0qBX01uwO
ノパ听)「……いいだろうよ。てめぇの挑発、乗ってやるぜ」

(;’e’)「お、おいヒート!」

ノパ听)「言われてみりゃあ、最近の私達は弛んでた。ここらで一つ、パーッとド派手な花火を打ち上げてみるのも悪かねぇやな」

( ^ω^)「有難うだお、ヒート。ヒートのとっさの機転は、今回の作戦には外せないところだから、参加してくれて助かるお」

ノパ听)「へっ、あれだけ焚き付けてくれたんだ。主役級のポジション、寄越せよな?」

へへへ、と不敵に笑ってヒートは僕を見つめる。

(#゚;;-゚)「あの…シュールさんが…作戦を用意してるって…本当ですか?」

lw;´‐ _‐ノv「え?あ、あぁ…う、うん」

( ;^ω^)「もっと堂々としてて下さいお……」

(#゚;;-゚)「それなら…私も…参加させて…貰いますね。……シュールさんの考えた策なら…信頼出来ると思いますし……」

(;’e’)「でぃちゃんまで……」

( ^ω^)「でぃちゃん、有難うだお」

(#゚;;-゚)「勘違い…しないで下さいね…シュールさんが、どんな策を用意したのか…それが、気になっただけ…です」
19 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:21:26.42 ID:0qBX01uwO
(;’e’)「お、おいお前らちょっと待てよ。ま、マジでやんのか?そんなん現実的じゃねぇよ。なぁ、ぃょぅ?」

狼狽えた様子で、セントジョーンズは隣に座っていたぃょぅを振り返る。

(=゚ω゚)「……」

今まで話の中に加わらずに黙して静観していた彼は、セントジョーンズの言葉にゆっくりと腰を上げた。

(;’e’)「お、おいぃょぅ?」

無言のまま彼はみんなの間を横切り、僕の前まで来るとその足を止める。

( ^ω^)「……」

(=゚ω゚)「……」

見つめ合う僕達。
ぃょぅは僕の顔を見据えたまま、言った。

20 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:23:00.61 ID:0qBX01uwO
(=゚ω゚)「…スパッツ」

( ^ω^)「…スパッツ」

(*=゚ω゚)人(^ω^* )「「スパッツ大好き!!」」

ノパ听)「……」

(#゚;;-゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「……ブルマだろ、jk」

(;’e’)「……」

唖然とする皆を振り返り、ぃょぅは大きく頷くと意味深に呟く。

(=゚ω゚)「つまりそういう事だ」

こいつと一緒なら、負ける気がしない。
改めて、そう思った。

21 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:24:58.39 ID:0qBX01uwO
 ※ ※ ※ ※

━━携帯端末を閉じると、僕は目の前の背中に語りかける。

( ^ω^)「電脳パペットはでぃちゃんが用意出来るらしいお」

(=゚ω゚)「おk、これで後はオレ達だけだな」

頷き、腕時計を確認する。
目の前にそびえ立つ塗炭壁のシルエットは、こないだ僕が潜入に失敗したスクラップ処理場。

( ^ω^)「隊長、突入の合図を」

(=゚ω゚)「おk……レディ……」

人影が居ないのを確かめ、僕達は腰を上げ。

ノハ*^竸)「おぉぉっす!」

(;=゚ω゚)( ;゚ω゚)「「ぎゃぁぁぁあ」」

後ろから唐突にかけられた声に、腰を抜かした。
23 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:26:17.55 ID:0qBX01uwO
ノハ;゚听)「な、なんだよおめぇら。まるで怪獣を見たみてぇによ……」

( ;^ω^)「な、なんだヒートかお……いきなり話しかけんなお」

(;=゚ω゚)「ったく……アナルにつららぶっさされたかと思ったぜ…」

ノパ听)「わりぃわりぃ。でもよ、水臭ぇじゃねぇか。私に何も告げないでよ……」

( ;^ω^)「って…ヒート…なのかお?」

ノパ听)「そう…だけど…?」

(=゚ω゚)「おいおい…マジ、かよ……」

24 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:27:49.24 ID:0qBX01uwO
目の前の、ヒートを名乗る少女をまじまじと見つめる。
赤いタンクトップに太ももまで切り詰めたジーンズ。
小麦色に日焼けした顔と、背中まであろうかという赤毛をポニーテールにした彼女は、スラムを根城にする健康不良優良少女といった感じだ。

ノパ听)「そういや、リアルで会うのは初めてだったなぁ。んでも、お前らがアバターどうりで助かったよ。見つからなかったら、どうしようかと思ってたんだぜ」

ぶっちゃけ、そんな彼女を不覚にも可愛いと思った自分に少し腹が立った。

( ;^ω^)「それより、どうしてここが?」

ノパ听)「あぁ、シュールさんに聞いてよ。買い出しの方はジョーンズとでぃが殆ど済ませちまったみたいだし、私も何かやれる事はねぇかと思ってさ」

一昨日のチャットルームでの僕のおちゃらけた演説で、僕達六人は本格的に荒巻屋救済計画に乗り出す事になった。

作戦名は「オペレーション・ホーンテッド」。

あの後、作戦の概要をシュール先輩から聞かされた僕らは、取り敢えず「お使い班」と「実働班」に別れる事にした。

25 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:29:18.29 ID:0qBX01uwO
「お使い班」は、作戦に必要な物資…つまるところ、僕が先日にシュール先輩から渡されていたメモの内約を揃え、それを作戦に相応しい形に加工する係として。
「実働班」は、実際に荒巻屋へと赴いて荒巻屋の内部構造を把握し、作戦の地理的な骨幹をすりあわせる係としてそれぞれに行動した。

僕とぃょぅは、リアルで一度会った事が有るという事で、「実働班」に任命された。
荒巻屋の内部構造をちゃっちゃと調べ上げ、打ち込んだデータをシュール先輩に送った僕達は、この作戦で唯一まだ揃っていない最後のファクターを入手する為、こうして再びここを訪れていたのだったが。

( ;^ω^)「手伝える事って…いったって…」

これから僕達が行おうとしている事は、極力少人数である事が好ましい。
そりゃそうだ。どこの世界に、一個師団を率いたスパイが居るだろう。

ノパ听)「何だよ…私が邪魔だって言うのかよ?」

はいそうです。

( ;^ω^)「……とは口が裂けても言えないお……」

ノパ听)「そうか…私、要らないのか……」
27 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:33:46.99 ID:0qBX01uwO
( ;^ω^)「え?あ、いや、その…え、と……」

ノパ听)「…そうだよな…私みたいな落ち着きが無い奴なんか、居ても邪魔になるだけだしな……」

( ;^ω^)「えーと……」

ノハ- ー-)「……ふっ、お節介焼きのヒートはクールに去るぜ……」

(=゚ω゚)「まぁまぁまぁ、そう早合点すんなよ。いいじゃねぇか、別にヒートが居たってよ。な?」

( ;^ω^)「え、あの…」

(=゚ω゚)「な?」

( ;^ω^)「うん!ヒートさん大歓迎!是非ともヒート先生のお力を貸して欲しいぐらいでございますお!」

足の小指を踏まれたら、こう言わざるを得ない。

ノハ*^竸)「へ、へへっ…馬鹿野郎!そんな…当然の事とはいえ…照れるべ……」

( ;^ω^)「……はぁ」

なんだか釈然としないが、まぁいいか。

(=゚ω゚)「なぁよ、ちょっと面白い事考えたんだけど、聞いてくれないか?」

( ;^ω^)「いや、さっさとしないとイイ男が帰ってきちまうお」

それだけは何としても避けなければならない。
再びアレに遭遇してしまったら、今度こそ僕は自らのアスタリスクの純潔を守りきる自信が無かった。

28 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:35:26.24 ID:0qBX01uwO
ノパ听)「いいじゃねぇかぁぁあっ!聞いてみようぜ?」

( ^ω^)「……はい」

でもやっぱり、結局は勢いに流されるんですけどね。

(=゚ω゚)「あんな、オレ達って実は結構長い付き合いじゃないか?」

まぁ、ネットで出会ってからこの二人とは一年近く一緒に連んでいる。
一期一会の電脳空間では、これは珍しい事だ。

(=゚ω゚)「お互い、今までリアルで会う事は無かったとはいえ…オレ達は今じゃ、なかなかナイスな関係にあると思うが…異論は有るかね?」

ノパ听)「異議なーし」

( ^ω^)「おっおっおっ」

(=゚ω゚)「長い事、お互いに“干渉”しないで今までやって来たオレ達だが、色々あって今日、初めてリアルで顔を合わせた。
これは、何だか記念すべき第一歩を踏み出したと思えるのだが、異論は有るかね?」

ノパ听)「……」

( ^ω^)「……」

(=゚ω゚)「沈黙は肯定と受け取ろう。……そこで、だ。その記念すべき第一歩を踏み出した証として、何か儀式の一つでも執り行いたいと思うのだが……」

29 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:37:10.43 ID:0qBX01uwO
異論は無いかね?

その言葉を飲み込み、ぃょぅは僕達二人の顔を代わる代わるに覗く。

ノパ听)「……儀式、ね」

( ^ω^)「……まぁ取り敢えず最後まで言ってみたまえ」

(=゚ω゚)「宜しい。……えー、あー、おほん。そうだな、これからはオレ達三人はお互いに“干渉”しないという暗黙の掟を排除し、お互いにお互いの助力を拒まない……」

( #^ω^)「あーもう、長ったらしいお!詰まるところ何が言いたいんだお?」

(;=゚ω゚)「あー、つまり!つまりだな!」

( ^ω^)ノパ听)「「つまり?」」

(=゚ω゚)「義兄弟の契りを、結ばないか?」
31 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:38:13.78 ID:0qBX01uwO
( ^ω^)「義兄弟の……」

ノパ听)「契り……」

僕とヒートは、顔を見合わせる。
義兄弟、か。うん、その響きは悪くない。

( ^ω^)「……ふむ、ぃょぅ君にしてはなかなか面白い趣向だお」

ノパ听)「しぶいねぇ…全くおたく、しぶいぜ」

(=゚ω゚)「よぉぉっし!じゃあお前ら、右手を出せ!」

勢い良く、拳を握って突き出す。
三人、輪となり突き出した右手が重なるのを見届けたぃょぅは、高らかに声を張り上げた。

32 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:40:23.37 ID:0qBX01uwO
(=゚ω゚)つ「いいか、いくぞ。お前らオレに合わせろよ?」

ノパ听)つ「おkおk」

( ^ω^)つ「さっさと始めるお」

気恥ずかしいのか。顔を真っ赤にしながら、ぃょぅは口を開く。

(=゚ω゚)つ「我ら三人!」

ノパ听)つ「生まれた時は違えども!」

( ^ω^)つ「願わくば!」

(=゚ω゚)つ「同年同月同時刻に!」

ノパ听)(^ω^)(゚ω゚=)「「「電子の海で果てる事を誓う!!!」」」

燦然と輝く太陽の下。
桃の木など、この荒廃した大地には何処にも見当たらないけれど。
34 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:42:42.93 ID:0qBX01uwO
(=゚ω゚)つ「オレ達は、義兄弟だ!」

それは間違い無く、桃園の誓いだった。

( *^ω^)つ「……」

ノハ*^竸)つ「へ、へへ……」

(*=゚ω゚)「へへへ……」

嗚呼、なんだろう。無性にこそばゆい。畜生、めちゃくちゃ恥ずかしいじゃないか。

N| "゚'` {"゚`lリ「ん、お前ら……」

二度あることは三度有る、とはよく言ったものだ。
だが。

( ^ω^)「今なら、負ける気がしねぇお」

N| "゚'` {"゚`lリ「なんだ、今日は相手をしてくれるってぇのかい?嬉しいじゃないの」
36 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:44:05.76 ID:0qBX01uwO
(=゚ω゚)「へへ、お生憎様だけどよぉ……」

ノパ听)「私が、囮になる。ここは私に任せて……」

( ^ω^)「バーカ。死亡フラグなんて格好良いもん、お前一人だけに立てさせるかお」

(=゚ω゚)「あぁ、今誓ったばかりだろう?オレ達は……」

ノパ听)「わりぃわりぃ…へへ、そうだったな」

N|;"゚'` {"゚`lリ「な、なんだ?三人一辺にか?おいおい、オレの肉棒は一本だけだ。そんなに焦らなくても……」

( ^ω^)「そうだお。僕達は……」

N|;"゚'` {"゚`lリ「お、おいちょっと待て。その前に、こいつを見てくれ。こいつを見て……」

ノハ#゚听)( #^ω^)(#=゚ω゚)「「「義兄弟だ!」」」

N|;"゚'` {"゚`lリ「アッー!」

記録的な日本晴れの空の下。
一つの菊の木が、その雄々しい花びらを散らせた。
38 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:53:14.78 ID:0qBX01uwO
 ※ ※ ※ ※

━━熱気。熱気だ。そこには、熱気が満ちていた。

<ヽ`∀´>「ホルホルホル……この肌を刺激して止まない空気、興奮を喚起せんと漂う匂い…」

今宵、それらは爆ぜて一つの渦を作る。

<ヽ`∀´>「たまらん…全く持ってたまらんニダねぇ……」

場内を見回す。
ドームの中に溢れんばかりに押し込められた戦士たちは、今まさにその欲望を爆発せんばかりに血気立っていた。

(-_-)「へへへ…兄貴、あっしはゾクゾクしてきましたよ」

傍らに立つひょうろく玉が、体格には不釣り合いな獰猛な笑みを浮かべる。
おそらく、自分も今は同じような面構えをしているのだろう。

<ヽ`∀´>「……この日を、どれだけ待ちわびたことか。思えば長い間、ウリたちは苦汁を飲まされ続けてきたニダ……」

思い返すだけで、血管が破裂してしまわんばかりの、雪辱の日々。
だが、それも今夜で終わる。

<ヽ`∀´>「今日こそは、憎き奴らをなぎ倒し!我等の頭上に勝利の華を咲かせてみせようぞ!」

39 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:54:45.01 ID:0qBX01uwO
高らかに突き上げる拳。
握るは、夢を掴むための一枚の切符。

(-_-)「兄貴……」

<ヽ`∀´>「ヒッキー……」

(-_-)「やっぱ、メジロステイツの一点張りなんすね……」

<ヽ#`∀´>「こぉのうつけものぉぉお!」

(;-_-)「ひぃぃぃい!すんません!すんません!すんませぇん!」

<ヽ`∀´>「奴はな、今日こそはやってくれる。……今日こそはな!」

(;-_-)「それ、先月の天皇杯でも言ってませんでしたっk」

<ヽ#`∀´>「愛の指導ぉぉお!」

(#)3-)「ぶぅぉっちゅ!?」

40 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:56:00.42 ID:0qBX01uwO
我が鉄拳が、愛すべき弟分の頬にめり込み、その身を吹き飛ばす。

<ヽ#`∀´>「漢なら、一度信じたものには全てを捧げねばならない!全身全霊をかけて、その“仁”を貫き通さねばならぬのだぁ!」

(;-_-)「は、はいっ!兄貴!」

<ヽ#`∀´>「例えそれが、万年最下位で安楽死寸前の、駄目競走馬だとしても!一度信じると決めたものは、絶対に曲げてはならぬ!曲げてはならぬのだっ!」

(*-_-)「兄貴……」

<ヽ`∀´>「ヒッキー……」
42 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 18:59:08.62 ID:0qBX01uwO
交錯する視線。
重なる想い。

(*-_-)「オレ…間違ってました……」

<ヽ`∀´>「いいニダ。いいニダ、ヒッキー。若さとは、時として過ちを犯すもの……それを克服し、正しき道を見つける事こそが、若者の使命なのだから!」

(*-_-)「兄貴ぃぃい!」

<ヽ`∀´>「ヒッキィィイ!」

抱擁。嗚呼、なんと美しい言葉だろうか。
今まさに、我々は肉体という枷を超えて、一つに……。

<ヽ`∀´>「ん?」

振動する胸ポケット。何事かと、つまみ出せばそれは呼び出しを告げる携帯端末。

<ヽ`∀´>「師弟の触れ合いを邪魔するとは、全く無粋ニダね……はい、もしもしニダーニダ」

( `ハ´)『ニダーニダ…ね。またく笑えないジョークよ』

<ヽ;`∀´>「し、シナー香主!」

掌の上に展開されたホロに映し出されていたのは、我等が陳龍の誉れ高き大香主、シナーその人であった。

( `ハ´)『……やれやれ、ね。どこで油売てるかと思えば、また競馬場か』

<ヽ;`∀´>「こ、これには訳が……」

43 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 19:00:47.34 ID:0qBX01uwO
( `ハ´)『典型的な言い訳は聞きたくないね。さっさとあの偏屈爺のとこに行って、ショバダイの50万円、耳を揃えて回収してくるね』

<ヽ;`∀´>「りょ、了解!」

( `ハ´)『いいか、先方がまだ拒む場合は、遠慮はいらないね。爺の店を薪に、綺麗なキャンプファイヤーでも見せてやるよろし』

<ヽ;`∀´>「はっ!承知しましたニダ!」

ぷつり。そこでホロは途切れる。

(;-_-)「あ、兄貴……」

愛すべき弟分が、我の顔を見つめる。

(;-_-)「もう、レース始まっちゃいますよ……」

44 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 19:02:00.28 ID:0qBX01uwO
<ヽ`∀´>「ヒッキー……」

(;-_-)「な、なんですか兄貴?」

<ヽ`∀´>「漢は…時として、抗えない運命の渦というものの中に投げ出される事がある」

(;-_-)「は、はぁ……」

<ヽ`∀´>「だが……だがな。それは、漢ならば必ずいつかは超えねばならないものニダ」

(;-_-)「超えねばならない…もの……」

<ヽ`∀´>「ウリ達は、今まさにその渦中に居るといえよう。ならば、する事は一つだけニダ」

(;-_-)「……ごくり」
46 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木) 19:03:09.10 ID:0qBX01uwO
<ヽ`∀´>「この運命の渦を!我等が熱き魂の血潮で持って、見事泳ぎきる事!ただ、一つ!」

(*-_-)「兄貴!」

<ヽ`∀´>「往くぞヒッキー!この運命の渦を見事に渡りきり、必ずやここに帰って来るニダ!」

待っていろ、メジロステイツ。
必ず。必ずやまたここに戻ってきて、お前の戦いを見届けてやる。



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