- 119 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木)
21:50:55.39 ID:0qBX01uwO
- epilogue
/ ,'3「しっかし、お前さんがいきなり店に押し掛けてきてわしを縛り上げた時は、遂にお前さんも堕ちるとこまで墜ちたかと思ったわい」
( ;^ω^)「あ、あれはいちいちじっちゃんに説明してる暇が無かったから仕方なく……」
/ ,'3「ふぇっ、よく言うわ。お前さんにこそ真のドン・キホーテよ」
( ;^ω^)「まぁまぁ、結果オーライだお。結果オーライ」
/ ,'3「運良く解決出来ただけじゃろうが」
( ;^ω^)「いやぁ、あの時は本当に奇跡が起きたようなもんだったお」
荒巻屋の粗末なカウンターにもたれかかり、僕は懐かしい思い出の終幕を締めくくった。
/ ,'3「奇跡……か。若いもんはすぐに奇麗事で片付けたがるからいかん」
あの日以来、メジロステイツはもう二度と一位の栄誉を得る事もなく、再び最下位を舐めるように独走した後、一昨年の春に一部のファンに惜しまれながら天へと旅立った。
走る為に生を受けながら駄馬の烙印を押された彼は、その苦しい生涯の中で一度だけ“奇跡”を起こした競走馬として、競馬界に名を残したとかなんとか。
- 122 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木)
21:54:00.33 ID:0qBX01uwO
- そして僕達の活躍がネット中に知れ渡った結果、荒巻屋の存在が多くの人に知られる事となり、店の売上は少しずつ伸びていき、今でもなんとかこうして商売を続けられているというわけだ。
/ ,'3「いいか、現実ってのはな、そう上手くは……」
説教を始める荒巻老を尻目に、僕は再び思考の渦に埋没していく。
“奇跡”
それに回数制限が有るとしたら、それを使い切ってしまった僕は、もう二度とあの日々には戻れないのだろうか。
( ^ω^)「……いや」
どこかで聞いた言葉を、思い出す。
- 123 : ◆cnH487U/EY :2008/11/20(木)
21:55:35.41 ID:0qBX01uwO
- ( ^ω^)「あの頃は楽しかった、じゃなく……」
“あの頃も楽しかった”
そんな風に、人生を振り返る事が出来たなら。
/ ,'3「…であるからしてじゃな…っておい、聞いとるのか?」
( ^ω^)「あーはいはい、聞いてます。聞いてますおー」
今はただ、いつの日かそう言える為に毎日を生きよう。
この下らなくも愛おしい、毎日を。
-fin-
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