13 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:25:57.85 ID:uEgxo2EVO
〜track-α〜

ノパ听)「だからよぉ、言っただろう?ハックは理性じゃねぇ、インスピレーションだってよぉ!勢いと直感が大切なんだよ!」

(#゚;;-゚)「…ヒートさん、そう言ってこないだもアバタークラッシャー…踏みそうになったじゃないですか」

ノハ;゚听)「バッカおめぇ、ありゃあ向こうがわりぃんだよ!あんなん、落とし穴を飛び越えた先にトラバサミ仕掛けとくようなもんだって!」

(=゚ω゚)「だったら飛び越える前に向こう側をちゃんと確認しろよ」

( ^ω^)「石橋を叩いて叩いて叩き壊すぐらいの慎重さがなきゃ、すぐにあぼんだお」

ノハ#゚听)「バカ野郎!一秒一秒が生死を分けるこの業界で、そんなまどろっこしい事やってられっか!」

┓(^ω^)┏「だからって何も考えずに飛び込むのはドン・キホーテのする事ですお」

ノハ#゚听)「ブーンてめぇ、今何つった?」

( ;^ω^)「いえ、何も……」

ノパ听)「ドン・キホーテ。てめぇ、今そう言ったな?聞こえた人ー?」

lw´‐ _‐ノvノ(#゚;;-゚)ノ(=゚ω゚)ノ「「「はーい」」」

( ;^ω^)「てめぇら小学生かお……」
15 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:27:45.92 ID:uEgxo2EVO
ノパ听)「……まぁいいや」

(=゚ω゚)「おぉ、今日は意外と大人しいな」

ノパ听)「私が今噛みつくべきはブーンじゃねぇからな」

( ^ω^)「おぉ!珍しくヒートが冷静だお」

lw´‐ _‐ノv「素直クールに銘替えね」

lw´‐ _‐ノv「……あれ?」

ノパ听)「私が言いたいのはだな、でぃ……」

(#゚;;-゚)「…シュールさん、それは無いんじゃ…ないでしょうか」

lw´‐ _‐ノv「そっか。やっぱり。違和感があったからさ」

ノハ#゚听)「人の話を聞けぇぇぇえ!」
17 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:28:31.71 ID:uEgxo2EVO
無限とすら思えるネットの海。その片隅、置き忘れられたようにして存在するチャットルーム。
何時もの馬鹿で無駄でぐだぐだした会話に興じる僕ら。

(*=゚ω゚)「おっほ!キレたキレた!」

( ^ω^)「ドン・キホーテさんがキレますたーwww相手は風車ですwwwwww」

ノハ#゚听)「てめぇブーン!どさくさに紛れてまたぁぁあ!」

(#゚;;-゚)「あの…シュールさん…ドン・キホーテって…?」

lw´‐ _‐ノv「スラング。俗語、邪語、卑語。砕けた言い回し」
19 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:30:13.73 ID:uEgxo2EVO
(#゚;;-゚)「えっと…1から解説して頂けるのは…嬉しい…ですが…」

(=゚ω゚)「蛮勇。猪突猛進。又は見えない敵と戦う気の毒な奴」

( ^ω^)「つまりヒートの事だお」

ノハ#゚听)「だぁぁぁあ!てめぇら全員そこに直れ!まとめて修正してやる!」

今日も今日とて暇を持て余した僕達は、誰からともなくふらふらとこのチャットルームに集まっていた。

寝ても覚めてもハックか馬鹿話か。する事も無く、ただ、無目的に“面白そうなもの”を探して歩く僕達は、似た者同士というものか。

いつからこの面子が出来上がっていたのだろう。
はっきりとは覚えていないが、気付けば僕達はこのチャットルームを根城に、一緒に連んではハックを繰り返すような仲になっていた。

ノハ#゚听)「いいか、私が言いたいのはだな……」

さっきから一人熱弁を振るっている彼女はヒート。
ムードメーカーと言えば聞こえはいいが、用はやかましいの一言に尽きる。
今日みたいに、いつも空回りしてるもんだから、みんなからはドン・キホーテと呼ばれているのだ。
この中では、二番目に僕と付き合いが長い。
21 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:31:46.01 ID:uEgxo2EVO
ノハ#゚听)「つまり、でぃ、おめぇはここぞという時の決断力と行動力に欠けてるって事だよ!」

(#゚;;-゚)「わたし…?」

そして、この大人しそうな子がでぃ。

このチャットルームに出入りするようになったのはつい最近だが、ハックの腕は僕達の中でも恐らく1、2を争う程の実力だ。

今、こうしてヒートが彼女に噛みついているのも、体育会系のノリでいくところの「新人いびり」に近い…のか。

ノハ#゚听)「そうだよおめぇだよ!おめぇ、ハックを舐めてるだろ?今日みたいに、アラートががなってる最中に防壁の前で突っ立ってっと、いつかフラットラインしちまうぞ!」

( ^ω^)「でも、でぃちゃんのおかげでアバタークラッシャーが有るのが分かったんだおー」

(*゚;;-゚)「…そんな…わたし…別に……」

(=゚ω゚)「謙遜するなよ。あの時の冷静な判断はなかなかだったぜ。どっかの直情馬鹿に見習わせたいぐらいだ」

(#//;;-//)「……」

ノハ#゚听)「〜っ!だぁぁあ!あめぇ!あめぇよてめぇら!何甘やかしっちゃってんの!」

22 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:33:19.81 ID:uEgxo2EVO
まぁ、ここまでアレだと「新人いびり」の体を成してすらいないのだけど。

lw´‐ _‐ノv「米は百回噛めば甘くなる」

話の輪から一歩離れて、米とか呟いているのはシュール先輩。
僕の通う高校の一個上の先輩で、この中で唯一僕がリアルで会った事が有る人物だ。
ご覧の通り、何を考えているかさっぱり分からない人で、集団の中では常に一人浮いている。

(=゚ω゚)「まぁ、なんだ、今日のところはお前の負けだ。うん。分が悪すぎだろ」

涼しげな顔で肩を竦めるこの似非伊達男は、ぃょぅ。
僕がネットの海に潜るようになってから、一番最初に知り合ったハッカーだ。
いつだったか、一緒にネトゲサーバーの構造体(ストラクチャ)にハックを仕掛けて以来、馬が合いずるずると連んでは悪戯を働いている。

ノハ#゚听)「分が悪いとか関係ねぇぇえ!私は!私の!言いたい事を!」

僕を含めたこの五人に後一人を加えた六人。小さな小さなコミュニティの中、僕は十代の内で一番大切な時間を過ごしていた。
24 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:34:53.19 ID:uEgxo2EVO
(’e’)「こ〜んば〜んわ〜ぁ夜ですねぇ〜♪」

そしてその最後の一人が今、鼻歌混じりにチャットルームの扉を開いた。

( ^ω^)ノ「おっおっ、お晩ですぅ〜♪」

(=゚ω゚)ノ「ぃよう、ジョーンズ。遅かったじゃねぇか」

(’e’)「ちょっと余所で厨房煽ってたわwww」

へらへらと軽薄そうな笑いを浮かべる彼は、セントジョーンズ。
三度の飯より“釣り”が好きという呆れた性癖の持ち主だ。
なんでも、美少女からイケメンまで幾つものアバターを駆使しては、あちこちのチャットルームで哀れな子羊達を騙くらかしているらしい。

25 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:35:54.09 ID:uEgxo2EVO
ノパ听)「まぁった下らねぇ事やって。そのうち逆ギレされてDOS喰らってもしらねぇぞ」

(’e’)「だぁいじょぶダイジョブ。ちゃんと相手見てっから!」

けせらけせらと笑う彼の姿も、本人はこれがリアルに忠実なアバターと言ってはいるが怪しいものである。

(’e’)「それよりさ、みんなはもう聞いたか?」

(=゚ω゚)「シラネ」

( ^ω^)「シラネ」

(#゚;;-゚)「興味…ありません」

ノパ听)「お断りだ」

lw´‐ _‐ノv「おこわ割りだ」
27 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:39:52.57 ID:uEgxo2EVO
(;’e’)ノシ「ちょwwwまだ何も言ってないないwwww」

(#゚;;-゚)「どうせ…ろくな話じゃ…ありませんし…」

(;’e’)「ひどっ!でぃちゃんひどっ!」

(=゚ω゚)「んだんだ。お前が持ってくるのなんて、ネトアのスリーサイズとかD級ネトゲのチートコードぐらいだろ」

( ^ω^)「んだんだ。しょーもなすぎて欠伸が出ますお」

lw´‐ _‐ノv「んだんだ。無駄無駄」

(;’e’)「みんな…よってたかって…ジョーンズ、いじけちゃうぞ……」

ぶぅたれた顔で座り込み、グリッドの床に「の」の字を書き始めるセントジョーンズ。

ノパ听)「ふぅ。はいはい。……で、何があったんだ?」

(*’e’)「うわぁぁあんヒートォォオ!愛してりゅぅぅぅう!」

ノハ;゚听)「き、きめぇから引っ付くなぁぁぁぁあ!」
29 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:41:31.83 ID:uEgxo2EVO
 ※ ※ ※ ※

━━閑話休題。

( ^ω^)「あの」

(=゚ω゚)「荒巻屋が」

ノパ听)「ショバダイ払わないで」

(#゚;;-゚)「ヤクザと…悶着起こしてる…」

(’e’)「そゆこと〜」

セントジョーンズが持ってきたネタは、少なからず僕たちの間に衝撃もたらした。

lw´‐ _‐ノv「つまり、米騒動と言うわけだ」

(#゚;;-゚)「シュールさん…それは…ちょっと違うかと……」

lw´‐ _‐ノv「じゃあ、シビリアン・コントロール?」

( ;^ω^)「先輩、シビリアン・コントロール言いたいだけじゃないですかお……」

30 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:42:22.72 ID:uEgxo2EVO
lw´‐ _‐ノv「……」

( ;^ω^)「……」

lw´‐ _‐ノv「赤の手先め……」

わけわからん。

(=゚ω゚)「へぇ、あの荒巻屋がねぇ……」

「荒巻屋」というのは、僕たちが良く利用する違法ソフトウェアショップだ。

僕の住んでいるニューソク区から、一駅離れたニーソク区。
欲望の街VIPを象徴するかのような無法地帯に店を構える都合上、「荒巻屋」も俗に言う“ショバダイ”を収めているものだとばかり思っていたが。
34 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:44:17.91 ID:uEgxo2EVO
ノパ听)「ま、あのじじいらしいっちゃらしいか」

(=゚ω゚)「荒巻の爺さん、偏屈だからな」

ノハ'ω')「“わしゃユーラシアが植民地になる前からこの街で商売してるんだ。お前さん方みたいなひよっこにガタガタ言われる筋合いは無いわ!”」

(=゚ω゚)「うはwww言いそうww」

(’e’)「いやぁ…それがさ、どうも相手のヤクザってのが…あの“陳龍”みたいなんだよ」

( ;^ω^)「陳龍?何で、華僑の連中が?」

陳龍。移民期からこの街に根を下ろしている中華系マフィアの中でも、中堅どころの組だ。
ニューソク区の中華街をメインに麻薬関係のシマを取り仕切っているという噂だったが、まさかニーソクにまで手を伸ばし始めたとは。

(=゚ω゚)「あぁ、オレも解せんな。確か、荒巻の爺さんとこは昔から西村組のシマだと思ってたんだが」

(’e’)「それなんだけどよ、西村組の組長が暗殺されたみてぇなんだわ」

(#゚;;-゚)「暗殺…穏やかじゃ…ないですね…」

(;’e’)「そいで、組自体が無くなっちまったらしい」

35 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:46:33.01 ID:uEgxo2EVO
( ;^ω^)「な…」

lw´‐ _‐ノvノハ;゚听)(;=゚ω゚)「なんだってー!?」

西村組と言えば、ユーラシア遠征以前から綾瀬会と対を成し、ニーソクの裏社会を二分していた古参中の古参の極道だ。
テキ屋系で昔気質な彼等は、勢力ですら大規模なものでは無いが、地元の住民にとっては昔からの世話役的な面も有る故、その存在は大きい。

(;’e’)「なんでも、綾瀬会の奴らがニーソクにシマを持ちてぇっつう陳龍と手を組んで、西村の組長を殺ったらしい」

(=゚ω゚)「…んで、西村のシマだったとこを仲良く半分こ…ってか?」

(’e’)「そゆこった」

昔から、西村組と綾瀬会の仲は良いものでは無かった。
昔気質の任侠道を西村組が掲げる一方、綾瀬会は売春宿や偽札製造、麻薬などの売上を生業とする経済ヤクザとして活動していた。
互いに対極に有る組同士は、ニーソク区という小さな区画の中で長年水面下でいがみ合い、それでも街の秩序の為に表立って争う事は無かったのだが。

ノパ听)「こりゃ、近いうちに荒れるぜ……」
38 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:49:44.49 ID:uEgxo2EVO
ヒートの言うとおりだ。
僕もあまり詳しい方では無いが、昔からニーソクで商売をしていた「荒巻屋」みたいな奴らが、新参者である陳龍を認めるものだろうか。

( ;^ω^)「……うーん」

(’e’)「荒巻の爺さんはさ、西村のとこと昔から仲が良かったみたいでさ、どうもショバダイを免除して貰ってたみたいなんだ。
つうか、あんなマニアしか寄り付かない店、ショバダイなんか払ってたら潰れちまうもんな」

(=゚ω゚)「ショバダイを免除ね。そいつは初耳だ。……で、新しく入ってきた陳龍の奴らがショバダイを出せ、と」

(’e’)「んだ。それに荒巻の爺さんは、“わしゃ昔っからここで商売をやって来た。
新参者のひよっこに文句を言われる筋合いは無い。それに、払いたくても払う金なんぞ無いわ!”って啖呵切ったらしいよ」

lw´‐ _‐ノv「男らしいな。正直惚れた」

(#゚;;-゚)「お金が無いのは…ちょっとカッコ悪いですけど…」

(’e’)「で、それに陳龍もブチ切れてよ。次に集金に来たときにショバダイを払わなかったら、見せしめに店を焼き払うって言っていったらしいよ」

39 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:51:00.83 ID:uEgxo2EVO
(=゚ω゚)「あちゃぁ……」

ノパ听)「荒巻屋終わったな」

lw´‐ _‐ノv「さようなら、私の初恋……」

(#゚;;-゚)「始まってから、終わるまで…14秒…」

( ;^ω^)「……」

荒巻屋終了のお知らせ。
セントジョーンズの話は、まさしく荒巻屋の終わりを告げていた。

(=゚ω゚)「いい店、だったんだがな」

ノパ听)「あたしも、結構世話になってたなぁ。あのじじいの作るファイアウォールぐらいだぜ、三ヶ月も保つの」

(#゚;;-゚)「それ…ヒートさんが…ウィルスの群れに突っ込んでるだけ…」

ノハ#゚听)「あぁん!?何か文句あんのかぁぁぁあ?」

(’e’)「オレっちも、アバターは荒巻屋でオーダーメイドしてもらってたからなぁ……困ったもんだねぇ……」

みんなの例に漏れず、僕も荒巻屋には世話になっている。
今僕が使っているハッキングツールだって、全部が全部荒巻の翁さんの手製のものだ。
あそこが無くなったら、何処で僕はハッキングツールを買えばいいというのか。

( ;^ω^)「どうにか…ならないかお……」

40 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:53:26.63 ID:uEgxo2EVO
(’e’)「はい?」

( ;^ω^)「どうにかして、荒巻屋を助ける方法は無いかお?」

(=゚ω゚)「助けるって、オレらが?」

( ;^ω^)「え?あ、うん…」

その言葉に、一同が一斉に沈黙した。

( ;^ω^)「あのー……」

気まずげに周囲を見渡す。

ノパ听)「助ける…ったって…」

(’e’)「ねぇ?」

(#゚;;-゚)「……私達に…何が出来るのでしょう…」

lw´‐ _‐ノv「愛の募金?」

(=゚ω゚)「いや、募金でショバダイが払えるなら苦労はしないっすよ…」

lw´‐ _‐ノv「じゃあ米か。米なのか!?米なんだな!?」

(=゚ω゚)「何でそんなに米に自信有るんすか……」
42 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:54:30.33 ID:uEgxo2EVO
( ;^ω^)「えーと、その、僕たちも伊達にハックをしてきたわけじゃないお。だから、僕たちの力で……」

(’e’)「いやいやいやwwwちょっと待ってww話が見えないwww」

(=゚ω゚)「ハックでどう荒巻の爺さんを助けるんだ?」

( ;^ω^)「えと…ドロイドを操って、戦う…とか?」

再びの沈黙。そして。

(#゚;;-゚)「ドロイドで…戦う…?」
44 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:56:01.55 ID:uEgxo2EVO
(’e’)「ぶひゃひゃひゃひゃwwwちょっwwブーンwwwおまっww止めてwww腹ww痛いwwwww」

ノパ听)「おめぇさぁ、散々私のことドン・キホーテとか言ってくれたけど、流石にそれは……なぁ?」

( ;^ω^)「え?え?」

(=゚ω゚)「相手は陳龍だぜ?そいつはあまりにも無茶だろう」

lw´‐ _‐ノv「ちゃーらー!無茶だー!」

突き付けられた現実。

( ;^ω^)「た、確かにドロイドを操るってのは無茶かも知れないお!それでも、みんなで知恵を振り絞れば……」
46 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:57:23.51 ID:uEgxo2EVO
(’e’)「…あのさぁ、ブーン。残念だけど仕方ない事なんだよ。荒巻屋はショバダイを払えない。もう潰れるしかない。そういう事なんだよ」

( ;^ω^)「そんな!ジョーンズだって荒巻屋に世話になったお?そんな簡単に……」

(’e’)「そりゃあ世話になったさ。なったけど、それとこれとは話が別なんだよブーン。よく行く店だからって、そこがヤクザと悶着を起こしちまったのを助けてやる義理はねぇんだ」

( ;^ω^)「そんな…み、見損なったお、ジョーンズ!」
48 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 21:58:58.64 ID:uEgxo2EVO
(=゚ω゚)「落ち着け、ブーン。ジョーンズはそういう事言ってるんじゃねぇよ」

( ;^ω^)「じゃ、じゃあどういう……」

(=゚ω゚)「オレ達だって、お前と同じく助けられるのなら荒巻の爺さんを助けてやりたいさ。
だけどよ、オレ達にだって生活が有るんだ。荒巻の爺さんを助ける為に、陳龍に喧嘩を売ってみろ。オレ達はどうなる?」

( ;^ω^)「そ、それは……」

(=゚ω゚)「誰だって、自分の身が一番大事なんだ。そこんとこ、よーくわかってやれや」

( ;^ω^)「……」
50 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 22:00:07.78 ID:uEgxo2EVO
自分の身が一番大事。それは分かっている。
それでも、何か僕たちに出来る事は無いのか?
きっと有るはずだ。何か、僕に出来る事が必ず。

( ^ω^)「きっと…有るはずだお……」

考えろ。考えるんだブーン。

(;’e’)「……あー、その、なんだ、来て早々にアレだけど今日はオレもう落ちるわ」

考えろ…考えろ。

(#゚;;-゚)「あの…私も…今日は、これで…」

ノパ听)「……あー、そういやぁ明日テストだっけなぁ。私も勉強しなきゃな」
53 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 22:02:20.32 ID:uEgxo2EVO
何か…何か無いか。

(=゚ω゚)「…じゃ、オレも戻るか。ブーン、お前はどうする?」

何か、僕たちで出来る事……。

(=゚ω゚)「……やれやれ、だな」

( ;^ω^)「うーん…うーん……」

ダメだ。全く思い付かない。

( ^ω^)「おーい、みんなは何かいい案……」

顔を上げ、チャットルームを見渡し、そこで初めて僕以外のみんなが退出している事に気付いた。

( ;^ω^)「なんて薄情な奴らだお……」

誰も、協力しようという奴は居ないのか。

( #^ω^)「だ、だったら僕一人でも何とかしてやるお!」

54 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 22:03:33.34 ID:uEgxo2EVO
さて、そうなると作戦を一から立て直さなければならない訳だが……。

( ^ω^)「……」

一人で、何が出来るのか。そもそも、人が居たところで有効な作戦も思い浮かばないこの現状。

( ;^ω^)「やっぱり……諦めるしか……」

ないのか。

「策なら有るさ」

( ;^ω^)「のわっ!?」

背後からの唐突な声。
振り返れば、そこにはシュール先輩の姿。

lw´‐ _‐ノv「策ならば、私が用意しよう」

( ;^ω^)「えと……」
56 : ◆cnH487U/EY :2008/11/13(木) 22:05:21.95 ID:uEgxo2EVO
たじろぐ僕に、シュール先輩は何時もとは違うシリアスな顔で迫る。

lw´‐ _‐ノv「しかし策を用意するのは私だが、それを実行するのは全て君だ」

( ;^ω^)「は、はぁ……」

lw´‐ _‐ノv「その約束が、守れるなら……知恵を貸してやってもいいぞ、少年」

( ^ω^)「……」

ぶっちゃけ、このまま僕が悩み続けたところで何かいい妙案が浮かぶとは思えない。
ならば、ここは藁にも縋る思いでシュール先輩に頼ってみるしかないのではないか。

( ^ω^)「……聞かせて、下さいお。その、“策”というのを」

lw´‐ _‐ノv「うむ。宜しい。いいか、先ずは……」

これで、荒巻屋を助ける事が出来るのなら。
僕は確かな覚悟と共に、シュール先輩の言葉に耳を傾けた。



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