- 103 名前:
◆fkFC0hkKyQ :2009/09/12(土)
00:00:54.07 ID:h/uKFX8mO
- epilogue
──ディスプレイに映し出された『送信完了』の文字を確認して、オレは携帯端末を閉じる。
全ての仕事をやり終えた後に残ったのは、何とも言えない虚しさだった。
('A`)「結局、何が正しいことなんだろうな」
溜め息と共に一人ごちる。
从 ゚∀从「どうした?厨二病がまだ完治してないのか?」
耳敏く聞いていた相棒が、即座に突っ込んできやがった。
('A`)「確かに厨二病かもしれねぇけどよ。何つうか、こう、今、自分がやってることが本当に正しいことなのか…改めて考えると不安になったりするわけですよ」
ソファーに寝転がり、自室の天井を見上げる。
柄にもなくおセンチが入っているのは、きっと長い時間没入していたことによる疲れからだろう。そう思いたい。
从 ゚∀从「先ず、貴様の存在そのものが間違いだと気付こうじゃないか」
<('A`)>「……君は、どう思う」
从 ゚∀从「何がだ?」
<('A`)>「あの、自称代弁者の最後だよ」
- 104 名前:
◆fkFC0hkKyQ :2009/09/12(土)
00:02:54.54 ID:h/uKFX8mO
- <('A`)>「……あいつは、テロリストだった。その事実は変わらない。けどよ、自分たちの信じる正義のために命を張ったんだ」
そして、その結果、ワタナベに裏切られ、死んだ。
<('A`)>「オレには、そうまでして自分が“正しい”と思えるものが無いんだ」
从 ゚∀从「……」
<('A`)>「何か、間違っているところは無いか。本当にこれは正しいことなのか?って思ってしまう。
それは、自分の意志を持っていないからなんじゃないかって…さ……」
オレの独白に、相棒はしばらくの間オレの顔を見つめると、顔を逸らして何時ものような平坦な声で言った。
从 ゚∀从「それは、貴様が決めることだ。私は助言してやることも出来ない」
<('A`)>「だよなー」
从 ゚∀从「だが、貴様がその“正しいもの”を見つけるまでは、隣で貴様の尻拭いをしてやるから安心しろ」
その言葉に、彼女が、自らの活動期間をあと二年と言った事を思い出した。
- 106 名前:
◆fkFC0hkKyQ :2009/09/12(土)
00:05:50.15 ID:N2kHFABtO
- <('A`)>「遠回しに、早く一人前になれって言ってますよねそれ」
嫌みったらしく吐き捨て、横目で相棒を伺う。
ベッドに腰掛けた鋼鉄の処女は、しかし、俯いていて。
从 ∀从「……そう…だな」
こいつには感情など無いはずなのに、何故だか泣き出しそうに見えた。
('A`)「まぁ、なんだ、そんなオレでも一つだけ正しいと分かるもんがある」
何となく居心地が悪くなって、立ち上がる。
从 ゚∀从「……何だ?」
('A`)「オレは今、猛烈に腹が減っているということだ」
从 ゚∀从「長期間の籠城生活で食材の備蓄はとうに底を尽きている」
('A`)「そういうわけでコンビニへ行くざます。あと、その籠城生活ってそこはかとなく皮肉が利いてるね」
何時ものことだ、と言いながら部屋を出て行く相棒の背中を見つめながら、オレは胸中で呟く。
その“何時ものこと”が、オレは、堪らなく愛おしいんだ。
- 109 名前:
◆fkFC0hkKyQ :2009/09/12(土)
00:09:10.77 ID:h/uKFX8mO
- 从 ゚∀从「おい、何をしている。コンビニに行くんだろう?」
だが、そんなことは口が裂けても言えない。
('A`)「あぁ、はいはい今行きますよ」
オレは、“何時も通り”のこの日常が好きなのだから。
あぁ、一つ分かった。
オレは、この日常を守りたい。それが、オレの“正義”なんだ。
だから今、ここに誓おう。
もう、何処にも逃げ出さないと。
-fin-
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