11 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:19:34.54 ID:O3VOGLgGO
〜track-ε〜

━━ブルーからブラックへ。

晴天から曇天へ。

(;'A`)「……」

即席の栄光は、呆気なく崩れた。

ξ゚听)ξ「ねぇ、カードとにらめっこするのの何が楽しいの?」

金鎖の如きツインテールにオッドアイ。ほっそりとした肢体を覆う、純白のイブニングドレス。

何故。

どうして“コイツ”がここに居る?
  _
( ゚∀゚)「まぁそう言いなさるな。君もやってみればわかるよ。ひょっとすると、カードが君に笑いかけてくるかも知れない」

ξ゚听)ξ「遠慮するわ。私、不確実なことは嫌いなの」

12 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:20:12.55 ID:O3VOGLgGO
(;'A`)「……」

チップを握る手が震える。
知らず噛み締めていた唇から、うっすらと血が滲み始める。

(・∠@=)「それでは、ゲームを再開しましょう」

ディーラーがカードの山を卓上に置いた事で我に返る。

落ち着け。冷静になれ。

“ヤツ”がどうしてここに居るのかは取りあえずどうでもいい。

今は勝負に集中することだけを考えるんだ。
15 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:21:27.52 ID:O3VOGLgGO
  _
( ゚∀゚)「レイズ」

オレが深呼吸をする合間に、ジョルジュはブラインドベッドを済ませていた。

何とはなしにポットを見やりその黄色いチップを目にしたオレは、心臓を鷲掴みにされるような錯覚を覚えた。

(;゚A゚)「えっ……?」

黄色いコインの周りを黒と赤が縁取っているそれは、1000ドルチップ。

オレの現在の手持ちは十万ドルとちょっと。

初っ端から最終ラウンドのゴングを鳴らしてきた。
18 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:23:36.14 ID:O3VOGLgGO
(;'A`)「こ、コール……」

震える手で1000ドルチップを掴むとポットに置く。
  _
( ゚∀゚)「どうした?さっきはあんなに乗り気だったじゃないか」

鮫のように笑うジョルジュ。

(;'A`)「は、ははは…やっぱり、いざ大きなチップを握ってみるとちょっと……」

それにオレが何とか苦笑いを返したところで、ディーラーがコミュニティーカードをオープンする。

ハートの3、ハートの10、スペードの7。
  _
( ゚∀゚)「レイズ」

1000ドルチップを三枚ポットに放り、ジョルジュはオレを見る。
  _
( ゚∀゚)「……ところで、君は自分の手札は見たのかい?」
20 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:25:08.72 ID:O3VOGLgGO
(;゚A゚)「━━っ!」

彼に指摘されて、初めてオレは自分の手元のカードに気付いた。慌てて手札を捲る。

クラブの7と8。

落ち着け。落ち着けオレ。ブラインドベッドで本当に何も見ないでベッドするなど愚の骨頂だ。

(;'A`)「こ、コール」

取り繕うようなコール。
それを嘲笑うように、ジョルジュの背後に立った“ヤツ”はこちらを見ると。

ξ゚ー゚)ξ「ねぇ、あなたの手札当ててみせましょうか」

(;'A`)「……は?」

ξ゚ー゚)ξ「7と8。両方ともクラブでしょ。違う?」

小首を傾げてそう言った。

(;゚A゚)「なっ━━!」
25 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:27:40.02 ID:O3VOGLgGO
何故?何故?何故?分かるのか?分かってるのか?見えたのか?

ξ゚ー゚)ξ「……なぁんてね。ちょっとした占い師ごっこよ。そんなに怖い顔しないで?」
  _
( ゚∀゚)「こらこら、ツン。これは真剣勝負なんだ。あまり茶化さないでくれ」

ジョルジュのたしなめる声が、遠い。

占い師ごっこ?

オレのことを知っている“ヤツ”が、そんな馬鹿げた理由でこんな言葉を口にする筈がない。

偶然というのも考えられない。
28 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:29:34.83 ID:O3VOGLgGO
イカサマだ。

どうやってかはわからないが、確実にイカサマをしている。

(;'A`)「……」

だとしたら、どうする?

イカサマをしていることが分かった以上、この勝負にオレが自力で勝てる可能性は限りなくゼロに近い。

かといって、ゲームがノーリミットである以上、イカサマを見破るまでこのテーブルで粘れるのは殆ど無理というもの。
  _
( ゚∀゚)「レイズ」

積みだ。

己の力量を過信した報いが今、ダイレクトにオレを雁字搦めにしている。
33 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:31:05.74 ID:O3VOGLgGO
思えば、先の連勝もカジノが仕組んだものだったのだろう。

じれてきたオレに勝利の味を堪能させ、断頭台への階段を自ら歩ませる。

分かりやすい。そう、今でこそは。

こんな単純な心理誘導に引っかかった自分が情けない。

ハインの言うことを聞いて大人しくしていれば、こうはならなかったのに。
  _
( ゚∀゚)「さぁ、君の番だよドクオ君」

いや、後悔していてもしょうがない。

こうなった以上、是が非でもイカサマを見破るしか無いのか。
36 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:32:52.35 ID:O3VOGLgGO
  _
( ゚∀゚)「ドクオ君?」

(;'A`)「え?」
  _
( ゚∀゚)「君の番だ」

口の端に笑みをたたえたジョルジュの声に、ポットを見やる。

彼のベッド額は5000ドル。

最早この勝負で一息に潰すと宣言するようなものだ。
これに乗れば、また一歩オレは断頭台の階段を登ることになる。
だが、イカサマを見破ろうにもオレは彼らの動きをよく見ていなかった。
フォールドし続けるとしたら、余計にだ。
39 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:34:11.74 ID:O3VOGLgGO
(;'A`)「……コール」

コールするしか無い。

万が一でも、この勝負のうちに彼らのイカサマを見破れる可能性が無いとも限らない。

今はただ、流れに沿うしか……。

(・∠@=)「ベッド成立です」

ディーラーは相変わらず淡々とコミュニティーカードをオープンする。その手つきをオレは穴を空ける気概で睨む。

(;'A`)「……」

カードを掴む手。カードを捲る指先。開かれたカード。

クラブの4。

駄目だ。わからない。

やはりオレにはイカサマを見破るなど無理だ。
42 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:36:08.71 ID:O3VOGLgGO
  _
( ゚∀゚)「うーん……」

しかめ面を作るジョルジュ。
  _
( ゚∀゚)「チェック…かな」

ここに来て自信を無くしたのか。
オレの出方を見るようなその言動に、オレは一つの推論を導き出した。

つまり、彼らのイカサマというのは「相手の手札に何が有るのかを知る」ものなのでは無いか、ということ。

ツンがオレの手札を見事当てて見せたのは、そのイカサマの存在を明確にしオレに「これ以上この場に留まるようなら容赦はしない」という脅しのようなものだろう。

43 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:37:45.50 ID:O3VOGLgGO
逆に言えば、彼らのイカサマは「相手の手札を知る」、その一つだけなのかも知れない。

これはまだ確定は出来ないが、ジョルジュの反応から見て信憑性は高い。

彼は今オレがワンペアを持っていることを知っている。

知ってはいるが、それ以上のカードを持っていないからチェックに回るしかない。

そういうことでは無いのだろうか。

ならば、オレがやるべきは一つ。

('A`)「レイズ」

緑色の5000ドルチップを一枚ポットに置く。

方針変更。否、形勢逆転。叩き潰せるなら、一撃で。
48 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:39:14.46 ID:O3VOGLgGO
  _
( ゚∀゚)「……」

ジョルジュは無言でこちらを見つめている。オレの意図が読めたのか。
  _
( ゚∀゚)「ふぅ……コール」

溜め息をつきながら5000ドルチップを場に置く彼は、今どんな気持ちなのだろうか。
オレには想像もつかない。

(・∠@=)「ベッド成立です」

ディーラーはあくまでも冷静に最後のコミュニティーカードを捲る。

スペードの6。

さて、ここが見極め時だ。
ここでジョルジュがフォールド以外の手段に出て来た場合、それはオレの負けを示している。
50 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:40:34.00 ID:O3VOGLgGO
  _
( -∀-)「……なぁ、ドクオ君」

彼の出方を伺うオレに、ジョルジュは目を閉じ語りかけて来た。

('A`)「はい?」
  _
( -∀-)「少し、昔話をしようか」

何を突然言い出すのか。彼の真意を計りかねるオレにも構わす、彼は滔々と語り始める。
  _
( ゚∀゚)「僕はね、丁度君ぐらいの歳にベガスへ渡ったんだ」

('A`)「……はぁ」
  _
( ゚∀゚)「実家が貧乏でね。何時までも惨めな暮らしはしていたくない。そんな、若さ故の反発心があったんだろう」
56 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:43:29.22 ID:O3VOGLgGO
  _
( ゚∀゚)「自分で言うのも何だが、地元じゃポーカーで負け知らずだった。それがベガスでも通るか試してみようってのも半分」
  _
( ゚∀゚)「結果から言えば、僕はベガスでも負け無しだった。どこまでも勝てたよ」
  _
( ゚∀゚)「欲しいものは何でも手に入れることが出来た。金、女、車、酒、高級マンションだって」
  _
( -∀-)「世界が輝いて見えた。自分が稀代のスーパーヒーローになったように思えた。負ける気がしない。そう、本気で思っていた」

そこで彼は言葉を切ると、宙を仰ぎ。
  _
( ゚∀゚)「でもね、世の中には“楯突いちゃいけないもの”があるんだ」

10000ドルチップを一枚、ポットに放った。
  _
( ゚∀゚)「レイズ」

(;'A`)「なっ…!」

言葉が漏れるのを止められない。
  _
( ゚∀゚)「さよならだ、ドクオ君。もう少し賢い男だと思っていたが、残念だよ」

ジョルジュはベッドも成立していないうちから、手札を開く。

ダイヤの4とスペードの10。

ツーペアが、オレを嘲笑うようにそこにあった。

57 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:45:26.80 ID:O3VOGLgGO
 ※ ※ ※ ※

━━グラスを一気に呷る。苦い味が口の中に広がった。

('A`)「……」

ゲームの席を抜け出し、重たい足を引きずって辿り着いたバーカウンター。
敗北の後のモスコミュールは、どこか不味く感じた。

('A`)「……畜生」

全て、計算された勝負だった。

いや、勝負なんかじゃない。

最初から、オレは釈迦の手のひらの上で踊らされていたに過ぎない。

“ルサールカ”。水の妖精。

犠牲者を笑顔のままに引きずり込んでいく妖精は、ついにその牙を剥き出しにした。
60 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:47:25.24 ID:O3VOGLgGO
ジョルジュがショーダウンを待たずに公開した手札はダイヤの4とスペードの10。

四枚目のコミュニティーカードの開示の時点で、オレは完全に負けていた。

彼がショーダウン前に手札を公開したというのは、すなわちオレに対する明確な「宣戦布告」。

これ以上嗅ぎ回るようなら、全力を持って潰すという警告だ。

(;'A`)「……くそっ」

背筋に冷たい汗が滲む。足が震える。

(;A;)「くそっ…!」

気付けば、涙が溢れていた。
62 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:49:09.19 ID:O3VOGLgGO
(;A;)「……ハイン」

切り捨てた筈の彼女の名前が口をつく。

後悔するには遅すぎた。

彼女の姿は最早何処にも無く、彼女の言葉を聞かなかったオレは見事なしっぺ返しを受けてこの様だ。

(;A;)「オレ一人じゃ…何も出来ねぇのかよ……」

無様で、無力で、そのくせ傲慢で。どうしようもなく救いようの無い自分に、腹が立った。
これじゃあ彼女に愛想を尽かされてもおかしくないなと、どこか冷めた部分で自嘲する。

ξ゚ー゚)ξ「ごきげんよう、ミスタドクオ」

神経を逆撫でするような声に振り向けば、“ヤツ”の姿。
65 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:50:37.57 ID:O3VOGLgGO
(うA;)「てめっ……!」

慌てて涙を拭い、怒りの仮面で虚勢を張る。

ξ゚ー゚)ξ「別に無理しなくていいのよ。あなたが弱いのは、充分にわかっているから」

嘲りの笑みを口に貼り付けたまま、“ヤツ”はオレの隣に腰を下ろした。

(#'A`)「……何で、てめぇがここに居るんだよ」

ξ゚ー゚)ξ「あら、前にも同じ台詞を聞いたわね」

(#'A`)「……」

ξ゚ー゚)ξ「そう邪険にしないで。一度は唇を重ねた仲でしょう?」

(#'A`)「てめぇっ!」
68 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:52:00.32 ID:O3VOGLgGO
思わず立ち上がりかけたオレに、周囲の視線が注がれる。
ぎりぎりのところで踏みとどまり、オレは再び椅子に沈んだ。

ξ゚ー゚)ξ「相変わらず余裕の無い人ね。安心して。今日はただ接待に来ただけ。あなたを殺しに来たんじゃないの」

彼女はドレスの裾をたくしあげ、太ももを見せる。

ξ゚ー゚)ξ「この通り、武器も無いしね」

('A`)「……」

ξ゚ー゚)ξ「最も、武器があれば今すぐあなたのその負け犬面を整形してあげてるところだけど」

(#'A`)「そりゃオレの台詞だよ」

ξ゚ー゚)ξ「あらあら、虚勢を張るのがお好きね。あなたに私が殺せるの?あなたみたいな、肉体的にも精神的にも弱い“雑魚”が?」

雑魚。

コイツの口から出た言葉とはいえ…いや、コイツの口から出た言葉だからこそ、それは真に迫っている。

('A`)「……雑魚」

ξ゚ー゚)ξ「例えるなら、安い映画に出て来るチンピラよ。ヒーローの噛ませ犬の役。あなたはまさしくそれ」

そこで彼女はバーテンを呼ぶと、早口で何事か注文しまたオレに向き直った。
71 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:54:05.94 ID:O3VOGLgGO
ξ゚听)ξ「そのくせでしゃばりで分をわきまえない。本当に最低ね。どうやったらこんなクズが出来上がるのか、その製造過程が気になるわ」

('A`)「……」

ξ゚听)ξ「本当のことを言われるとぐうの音も出ないでしょ?それでベッドに潜ってめそめそ泣くのよね。自分の弱さを肯定する為に」

(#'A`)「てめっ!」

ξ゚听)ξ「都合が悪くなるとそうやって怒って誤魔化す。それとも怒れば強くなるなんて、大昔の格闘漫画のセオリーをまだ盲信してるのかしら?だとしたら面白いわね」

(;'A`)「……っ」

ξ゚听)ξ「はっきり言うわ。あなたみたいな肥だめの住人がここで勝とうなんて、天がひっくり返ったって無理なのよ。
さっさとケツ捲って逃げなさい。そういうのは一番得意でしょ?」

彼女は言い終わると、バーテンから差し出された赤い液体の入ったグラスを受け取りそれを一気に喉に流し込む。

ξ゚ー゚)ξ「最も、私としてはあなたがジョルジュに完膚なきまでに叩き潰されるのを見てみたいものだけれどね」
74 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:56:25.75 ID:O3VOGLgGO
最後に蛇のように笑うと、彼女は席を立つ。
その背中を見送ることもせず、オレは自分のグラスの底を見つめていた。

('A`)「……ケツ捲って逃げろ」

逃げる。それは簡単だ。誰にでも出来るお手軽な処世術の一つだ。

もう嫌だ。やってられるか。

そうやってオレは今まで、様々なことから逃げ続け、その結果多くのものを失った。

ツンも、ヘリカルも、そのうちの一つだ。

そうして今オレは、その逃げて、忘れた…忘れようとしたものから、また逃げている。
78 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 21:58:42.52 ID:O3VOGLgGO
('A`)「……それでいいのか?」

自問の答えは何時も同じ。

忘れろ。何もかも。目を閉じろ。耳を塞げ。何も考えるな。

甘美な誘惑にオレは抗おうともせず、朦朧とした足取りで人の道から一歩外れた獣道を歩き。

('A`)「……それで、本当に、いいのか?」

ここで再び逃げ出したとする。

今度失うものは何だ?

('A`)「ハイン……」

毒舌で、口うるさくて、無慈悲な機械人形。

それでも唯一、オレの隣に居てくれる頼れる相棒。

オレは彼女を失っていいのか?
82 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:01:24.39 ID:O3VOGLgGO
('A`)「たかが、機械だろ……」

言って、自分がその「機械」にどれだけ入れ込んでいたかが如実にわかった。

だって、彼女が居ない事務所の光景を想像したら。

(;A;)「そんなん…無理だろ……」

涙が滲む。胸の中で何かよくわからないモノが暴れ回っている。

(うA;)「逃げるわけにゃ…いかねぇよ……」

目をこする。グラスの底を見つめる。モスコミュールが少しばかり残っている。
それがオレの心の中に残った僅かばかりの意地のように見えて、グラスを逆さまにして飲み干した。

('A`)「もう、逃げるわけにゃいかねぇ」

立ち上がり、バーテンにチップを払う。

チップの残りは九万とちょっと。

イカサマを見破れる確信は無い。ジョルジュに勝てる自信も無い。何が正しくて、何が間違っているのかもわからない。

それでもオレは、行かねばならない。

('A`)「……いっちょ、腹ぁ決めますか」

それが、オレの決めたやり方だから。
86 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:03:12.48 ID:O3VOGLgGO
 ※ ※ ※ ※

━━椅子を引く。腰を下ろす。ディーラーがぬらりと視線を寄越す。
  _
( ゚∀゚)「……やぁ、もう来ないかと思っていたよ」

ジョルジュは元居た席かから変わらずに、オレへと何時ものしまらない笑いを投げかけてきた。

('A`)「そのつもりだったが事情が変わった」
  _
( ゚∀゚)「へぇ…どう事情が変わったかは知らないけど、僕としてはまた君と勝負が出来て嬉しいよ」

ξ゚听)ξ「あら、さっきの人じゃない。またやられに来たの?」

“ヤツ”が何かを言ってくるが、そんなものは今はどうだっていい。

見極めるべきものは一つ。

一つだからこそ、それ以外に気を払っている余裕は無い。

('A`)「ディーラー、ノーリミットをもう一度遊びたい」
  _
( ゚∀゚)「おや、またノーリミットか。チップの残りは大丈夫なのかい?」

('A`)「背水の陣ってやつですよ。もう、とろとろと逃げ回るのは止めにしたんです」
  _
( ゚∀゚)「……ほぅ。ハラキリってやつかな?サムライだね」

('A`)「ちょっと違いますけど……」
88 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:04:43.96 ID:O3VOGLgGO
  _
( ゚∀゚)「うん、いいだろう。僕もノーリミットで構わないよ。ディーラー、カードを配ってくれ」

(・∠@=)「かしこまりました」

ジョルジュの一声で、ディーラーがシャッフルの手を止める。
配られて来るカードを受け取りながら、オレはこのテーブル全体に目を走らせた。

('A`)「……」

ディーラーの手つきやジョルジュ達の仕草は、今までに嫌という程観察してきた。
そこにイカサマの種が無いことはわかっている。
ならば次に疑うべきは、このテーブルとカードに仕掛けが無いかだ。
例えば、何かわかるような目印をつけているとか、そういった類の。

(・∠@=)「それではブラインドベッドをどうぞ」

オレはゲームの流れに気を配りながらも、じっくりとテーブルの隅から隅までを観察していく。
  _
( ゚∀゚)「レイズ」

('A`)「コール」

1000ドルチップを放りながら考える。
先にツンはオレの手札を当てて見せた。

どうやって当てたか。

目印か?違う。一つ一つのカードに目印をつけるなど、不毛で、尚且つ手口がバレやすい。
そんなちゃちなものじゃないハズだ。
91 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:07:09.48 ID:O3VOGLgGO
(・∠@=)「ベッド成立です」

オープンされていくコミュニティーカードに目を移す。
今度はディーラーでは無く、カード自体へ。

('A`)「……違う」

何も、変哲は無い。
相変わらずカードの抜き方に違和感は無いし、カードに目印が付いているわけでも無い。
  _
( ゚∀゚)「レイズ」

('A`)「コール」

(・∠@=)「ベッド成立です」

淡々と、一種冷徹にディーラーはカードをオープンしていく。
  _
( ゚∀゚)「チェック」

('A`)「レイズ」
  _
( ゚∀゚)「コール」

(・∠@=)「ベッド成立です」
93 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:08:50.96 ID:O3VOGLgGO
ハイン以上に機械的なディーラーの態度。

機械。アンドロイド。電気羊。くだらない連想ゲーム。

('A`)「ん?」

ちょっと待て。そういえば、前にチップを掴もうとして静電気が走ったような気がする。

あれはチップに仕掛けがされていたと考えられないか?

('A`)「違う……」

あれはチップから走った静電気じゃない。
じゃあ何だ?オレはあの時チップ以外に何に触れていた?
96 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:11:04.88 ID:O3VOGLgGO
テーブル…か…?
  _
( ゚∀゚)「レイズ」

テーブルなのか?

('A`)「…コール」

(・∠@=)「ベッド成立です。ショーダウンをお願いします」

ノーハンドとフラッシュ。

言うまでもなくオレの負け。

だが、何かが掴めそうな気がした。
  _
( ゚∀゚)「君を勝たせるつもりはもう無い。僕は案外に容赦が無いんだ」

ジョルジュが冷ややかな笑みを浮かべる。

(・∠@=)「次のゲームまでしばしお待ちを」
98 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:13:02.69 ID:O3VOGLgGO
('A`)「……」

オレは無言でテーブルを見詰める。

電気。テーブル。電気。機械。テーブル。機械。

機械?

もしかしたら。

('A`)『ハイン、聞いてるか』

オレは、長い間閉じていた脳核回線を開くと彼女へ繋ぐ。

『……』

やはりというか、返事は無い。あれだけのことをしたんだ。今更彼女に助力を乞うのは虫が良すぎる。
それでも、今は彼女の力が必要だった。

('A`)『先のことは反省している。君に謝ったところでそれはお門違いだろうが…今はとにかく、聞いてくれ』
101 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:14:46.17 ID:O3VOGLgGO
『……』

('A`)『君の力が必要だ。今から言うことを……』

『……遅い』

('A`)『……は?』

『気付くのが遅いと言ったのだ脳縮小』

('A`)『えぇと…』

『まぁいい。“彼女”にやりこめられていたようだからな。今回は説教を免除だ』

(;'A`)『ちょ!見てたのかよ!』

『……で、何をすればいい?』

色々と言いたいことは有るが、取りあえずはまだ見捨てられていないようで安心した。
正直、また涙が零れそうだ。

('A`)『えぇと、その……』
103 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:16:34.39 ID:O3VOGLgGO
『はっきりしろ。胸を張れ。貴様は私の主であろう?』

その言葉に、オレは今度こそ涙をこらえられなかった。

(うA`)『あぁ……そうだな……』

『全く…手の掛かる主だ』

('A`)『すまんな、本当に。……それで、だ。君には……』

こいつが相棒で良かった。
溢れ出る嬉しさを胸に押し込めて、オレは彼女にこのゲームを終わらせる計画を伝えた。
107 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:18:24.52 ID:O3VOGLgGO
 ※ ※ ※ ※

('A`)「レイズ」
  _
( ゚∀゚)「コール」

(・∠@=)「ショーダウン」

負けは続く。
容赦なく、慈悲もなく、オレのチップを抉り削っていく。
  _
( ゚∀゚)「……さっきからどうしたんだい。テーブルばっかり見つめて。可愛い小人さんでも居たかい?」

('A`)「あんたをぶちのめすいい作戦がここに書いてあるんだよ」
  _
( ゚∀゚)「ほう、面白い。それじゃあその作戦をお聞かせ願おうか」

('A`)「それを言ったら勝てなくなっちまう」
  _
( ゚∀゚)「その通りだ」

108 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:19:50.29 ID:O3VOGLgGO
レイズ。コール。ショーダウン。
負けは続く。リズミカルに、断続的に。
そのたびにオレのチップは音を立てて引き潮のように浚われて。

保ってあと一回。いよいよ背中に崖の端が見えてきた。

だが、不思議と焦りは無い。

あれだけの揺さぶりをかけられたことでこの雰囲気に慣れたのか。

心は昼下がりの湖畔のような静けさを保っていた。
113 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:21:49.89 ID:O3VOGLgGO
('A`)『ハイン、準備は整ったか?』

脳核回線を開き、頼れる相棒に繋ぐ。

从゚∀从『あぁ。問題ない。セキュリティーがなかなか手強かったが、疑似IDでなんとかなった』

相棒は何時も通りの仏頂面で答える。
その能面のような顔を回線越しとはいえ再び見れたことに、オレは心から喜びを感じた。

('A`)『ご苦労さん。この仕事が終わったら、新しい装備を買ってやるよ』

从゚∀从『そうか。期待はしない』

勝利への確信に頬を緩め、回線を切る。

手はずは整った。

後は、今まで貯めに貯めた汚名を返上するだけだ。

(・∠@=)「コミュニティーカードをオープンします」

最終ゲームの始まり。
オープンされたカードはダイヤの7、スペードの3、スペードのK。
  _
( ゚∀゚)「さて…チップを見る限りじゃ君はこれが最後の勝負になりそうだが?」

ジョルジュが無表情にオレのチップを顎でさす。
彼の言うとおり、オレのチップは残り12000ドル。
ブラインドベッドで1000ドルを賭けているから、実質11000ドルだ。
118 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:24:42.66 ID:O3VOGLgGO
('A`)「“オレが負ければ”、これが最後の勝負になりますね」
  _
( ゚∀゚)「君が負ければ…か。確かにポーカーはギャンブルだ。絶対は無い。或いはポーカーなら君が勝つかも知れない」

そこで彼は目を細めると。
  _
( ゚∀゚)「だがこれはもうポーカーじゃない。それは君もわかっているだろう?」

彼には似つかわしくない酷薄な笑みを浮かべる。

('A`)「えぇ、そうですね。これはもうポーカーじゃない。いえ、最初からポーカーなんかじゃなかった」

最早イカサマの事実を否定すらしないジョルジュ。
その潔さが、今は酷く虚ろなものに見えた。

('A`)「残念です。あなたとは、一度でいいから本当の勝負をしたかった。本当に…残念です」

それは心からそう思ったからこそ口にした言葉。
ジョルジュが初めからオレを破滅させるつもりで接触してきたのかはわからない。
それでも、彼と勝負したいというあの時の気持ちは嘘じゃ無かった。
  _
( ゚∀゚)「あぁ、残念だ。だが仕方のないことさ。それが、社会だ」
122 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:26:46.84 ID:O3VOGLgGO
彼は5000ドルチップをポットに置くと、それきり口を噤む。

('A`)「コール」

(・∠@=)「ベッド成立です」

ディーラーの無機質な声が、終局へ向けて走る列車のアナウンスがごとく耳に染み込んだ。

次ラウンド。オープンされたコミュニティーカードはクラブのA。
  _
( ゚∀゚)「レイズ」

再び5000ドルチップを放るジョルジュ。

('A`)「コール」

オレが最後の一枚となった5000ドルチップでそれに応え、ゲームは最終ラウンドへ。
124 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:28:20.42 ID:O3VOGLgGO
(・∠@=)「コミュニティーカードをオープンします」

ディーラーが開示したのはダイヤのK。

ジョルジュが1000ドルチップを掴む。

('A`)「ちょっと待った」
  _
( ゚∀゚)「……何だい?最後の勝負なんだろう?君の全財産を賭けて問題でも?」

('A`)「あんた、本当にこれでいいのか?」
  _
( ゚∀゚)「……何を指して“これ”と?」

('A`)「本当に、そんなに賭けていいのかって聞いてるんだ。負けたら、凄いことになる」
  _
( ゚∀゚)「何を言うかと思えば……」

彼は鼻で笑うと、表情を消した。
129 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:30:28.90 ID:O3VOGLgGO
  _
( ゚ ー゚)「万が一でも僕が負けることは無い。そう、決まっているんだよドクオ君。それが、社会の決めたルールだ。それは絶対だ」

('A`)「……そうですか。わかりました。もう何も言いません」

オレは1000ドルチップを掴み、ゆっくりとポットに置く。

(・∠@=)「ベッド成立です。ショーダウンを」

ディーラーの最終宣告。

ジョルジュが手札を開く。
  _
( ゚∀゚)「スリーカード」

彼の手札はハートの7とクラブの7。
  _
( ゚∀゚)「ラッキーセブン、スリーセブン。グロリアスナンバーだ」

栄光の数字。なるほどこれまた縁起のいい数字を揃えたものだ。
133 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:32:09.50 ID:O3VOGLgGO
('A`)「ならオレは、もっと上を出すだけです」

肩をすくめ、開く手札。クラブのKとダイヤのK。
  _
( ;゚∀゚)「……っ!」

息を呑むジョルジュ。

('A`)「キングのフォーカード。栄光の数字と言うならこっちの方がしっくりくる」

(・∠@=#)「そんなバカな!?」

激昂するディーラー。
139 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:33:51.28 ID:O3VOGLgGO
('A`)「馬鹿なもんかい。ここにフォーカードが揃ってるんだ。何に文句が有る?」

(・∠@=;)「そんな筈は……そんな筈は……」

初めて見るディーラーの動揺。
今までの超然的とすら言える無感動さが、嘘のようで可笑しかった。

('A`)「それともネタばらしが必要か?それはマズいだろ?だって、それを言ったらあんたらの首がいっぺんに吹っ飛ぶもんな」

(・∠@=;)「そんな…そんな…そんな…」

壊れたラジオのように「そんな」を連呼するディーラー。
“そんな”彼の様子に異常を感じ取ったのか、周囲の客達が訝しげにこちらを見ている。
147 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:35:43.43 ID:O3VOGLgGO
('A`)「しかし便利だよな、このテーブル。注文次第でどんなカードも出せるなんてよ。まるでドラえもんだわな」

言いながら、オレは手元のカードをつまみ上げ。

('A`)「でも最後までこれの正体には気付かなかったよ」

思いきり引き裂く。

するとどうだろう。千切れたカードの断面からぱらぱらと零れてくる、赤と黒の砂粒のようなもの。

('A`)「まさか、砂鉄が入ってるなんてな」
155 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:40:08.44 ID:O3VOGLgGO
(・∠@=;)「あぁ…あぅぉ……あぁ……」

赤と黒の正体は砂鉄。それがカードの中に仕込まれ、絵柄を形作っていたというわけだ。

('A`)「テーブルに仕込んだ磁石でカードの中の砂鉄を動かし、どんな数字も即席で。あまりに大胆過ぎてわからなかったよ」

静電気と関連付けて、テーブルに何か仕掛けが有ることまでは分かった。
それでもどんな仕掛けか分からなかったので、ハインにテーブルに仕掛けられた装置へのハッキングを頼んだらばこの通り。
なるほど、それなら手札だって当ててみせれるわけだ。
正直その発想は無かった。特許取れるだろこれ。

('A`)「これを監査委員会のお偉いさんが知ったらどうなるかなぁ?いやはや、同情するよ。マジで」

(・∠@=;)「貴様…貴様…貴様…貴様…貴様…」

ξ゚听)ξ「……」
  _
( ゚∀゚)「……」

半狂乱になりながら、頭をかきむしるディーラー。
無表情でオレを見つめるジョルジュとツン。

('A`)「さて、と…。そんなところで、今日はお暇させて貰おうかな」

オレは、それら“乗り越えて来たもの”達へ背を向け歩き出す。
そのこめかみに、何か堅いものが押し付けられた。
162 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:42:09.94 ID:O3VOGLgGO
ノ从パーナル「今晩は、黄色いお隣さん」

('A`)「えっと……」

目だけ動かし横を見れば、そこにあったのは鳶色の隻眼。
“氷の暴君”の、ゾッとするほど冷たい笑顔だった。

('A`)「あの…すいませんけど、それ、どけて貰えませんかね?これじゃ、帰るに帰られないんで」

オレは両手を上げながら、顎で突きつけられたトカレフ2100モデルを示す。

ノ从パーナル「あら、そんなつれないこと言わないで。もうちょっと遊んでいってちょうだい。今度はとびきり刺激的なゲームを用意するわ」

トカレフのセーフティーを外しながら、彼女は言う。

ノ从パーナル「心臓が破裂するくらい刺激的なゲームをね」

オブラートに包んでも尚明確な脅し。

“シベリア”直営のカジノなら、最後はこうなるだろうことは予測出来ていた。

だから、準備は万端。

(;'∀`)「申し訳ないんだけど、間に合ってるんで。それはまた今度の機会ということで」

困ったような愛想笑いを作り、ごめんなさい。

同時、遠くで巻き起こる悲鳴と轟音。
168 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:44:51.81 ID:O3VOGLgGO
ノ从パ-ナル「!?」

スロットマシーンやポーカーテーブル、ルーレット。
それら全てを薙ぎ倒しながらこちらへ向かってくるのは、一台のリムジン。
運転席には我らが愛すべき鬼畜機械娘。

从#゚∀从「死にたくなくばそこをどけえぃっ!無免許運転であるぞっ!」

カジノは一瞬にして混沌の渦の中。

悲鳴を上げて逃げ惑う貴婦人。腰が抜けて立てない老紳士。
それを、むちゃくちゃな運転ながらもハインの運転するリムジンは紙一重で避けていく。

ノ从ハ;゚-ナル「……っ!」

その余りの荒唐無稽さにパーナルが気を取られている隙に、オレはリムジンへと走る。
吹き飛ぶ椅子に頭を下げ、倒れたルーレットテーブルを飛び越え、手をかける助手席のドア。

('A`)「ナイスタイミング!」

乗り込み、ドアを閉めようとして、ふと、テーブルに着いたままの“彼”と目が合う。
  _
( ゚∀゚)「……」

混乱の坩堝の中で一人、泰然とした出で立ちで腰を落ち着けたジョルジュは今、何を思っているのか。
172 : ◆cnH487U/EY :2009/01/24(土) 22:46:54.01 ID:O3VOGLgGO
  _
( ゚∀゚)「どうやら仲直りは済ませみたいだね、ドクオ君」

彼は立ち上がり、クールをくわえると火をつけた。
  _
( ゚∀゚)y-~「つまり僕は真実の愛を前に不躾なことをしていたわけだ。いやはや、面目ない」

愛?いやいやちょっと待て。オレはそんな……。

从゚∀从「おいタンパク質の塊、何をしている早くドアを閉めろ」

異を唱えようにも、隣のバイオレンスゴスロリレディがそれを許してくれそうも無い。

だからオレは、ドアを閉める寸前に顔だけを出し。

('A`)「あなたには色々教えて貰いました。感謝しています。次こそは、真剣な勝負をしましょう!」

それだけを叫ぶとドアを一気に閉めた。

从゚∀从「飛ばすぞ!シートベルトの用意を!」

アクセルを全開で踏み込むハイン。
カジノの正面出口へ向かって急発進するリムジン。
  _
( ^∀^)y-~

去り行くカジノという名の戦場の中、確かにジョルジュは笑っていた。

少年のように、朗らかに。

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