- 133 : ◆cnH487U/EY :2008/12/03(水)
23:14:11.97 ID:jVbD2HRfO
- epilogue
━━太陽は燦々。久し振りに出番が回ってきて嬉しいのか、彼は嫌という程の紫外線をオレ達の頭上に落としてくる。
('A`)「違うよ?カップルじゃないよ?」
微かなデジャヴュ。何だろう、僕は次の突っ込みも予想出来る気がするよ。
从゚∀从「……」
あれ?おかしいな。
('A`)「もしもし亀よ亀さんよ〜世界のうちでお前ほど〜皮を被るモノは無い♪」
从゚∀从「……はぁ」
あぁ、ママン。怖いよママン。何だか、嫌な予感がするよ。
- 134 : ◆cnH487U/EY :2008/12/03(水)
23:15:11.49 ID:jVbD2HRfO
- ('A`)「あぁー……」
取りあえず、隣の殺人機械に反応が無いので、オレはマルボロに火を点ける。
('A`)y-~「ふぅ…今日も、いい天気ですね!」
ニューソク区の表通り。行き着けのオープンカフェ。
猛威を振るっていた台風が過ぎ去り、やっとこさ訪れたお出掛け日和。
頑張った自分へのご褒美に、オレはイチゴパフェをパクついていた。
('A`)y-~「スイーツとタバコって、相性悪いんだよね」
こないだの案件では久方振りに頭をフルに回転させたので、灰色の脳細胞は糖分を欲している。
- 135 : ◆cnH487U/EY :2008/12/03(水)
23:16:42.51 ID:jVbD2HRfO
- ('A`)y-~「スイーツ探偵ドクオ、ヘヴィメタルストーカー事件を振り返るの巻き」
パペットマスターの女性ヴォーカル、シャロン・シャマナ嬢の護衛任務から1ヶ月。
あの件でご用となったまっくんは、絶賛服役中。
何年お勤めしなきゃいけないかは分からないが、S&Kインダストリーの力を考えるとそう長い話では無さそうだ。
('A`)y-~「やだねぇ、やだねぇ。ホント、これだから勝ち組は……」
……で、肝心のフェスの方は残念ながらあの後駆けつけた国家権力によって、中止された。
野外音楽堂の管理システムがハッキングされ、照明器具が落ちてきたのだ。
区役所の公務員さん方は、セキュリティー面の見直しだとかでてんやわんやだったそうだ。ざまぁ。
('A`)y-~「公務員の怠慢か!?野外音楽堂、セキュリティー破られるっ!」
そんな文句が二面記事に載った事を記憶している。
卑屈根性フルスロットルなオレは、その新聞を読んで小躍りし、その間から落ちた一葉の葉書を見て胸の奥が少し温かくなったのも覚えている。
('A`)y-~「電脳社会で葉書なんて、マメな事だよね」
- 138 : ◆cnH487U/EY :2008/12/03(水)
23:18:46.65 ID:jVbD2HRfO
- 葉書の差出人は、シャロン嬢から。
同封されたホロには、ライブハウスをバックにモナーと並んだ彼女の、眩いばかりの笑顔が写っていた。
('A`)y-~「喪男を代表して、祝辞を述べさせていただく。痛みに耐えてよく頑張った!感動した!」
あのどさくさの中、落ちる照明器具から身をていしてハインを庇ったモナーは、彼女がシャロンじゃないと知るや悔し涙を流しながら、ステージの裏に消えたという。
だが、後日ハインのアイカメラに記録された事件の一部始終を見たシャロン嬢が、モナーの雄志に今のオレ同様に感動。
とんとん拍子に話は進み、ついこないだ正式に交際する事が決定したという。
葉書は、それを報せる為に彼女がわざわざオレに送って寄越したものだ。
('A`)y-~「モナー……君は、グロメンでも頑張れば報われるということを証明した勇者だよ」
パペットマスターは、マルタスニムPのプロデュースにより、先週めでたくワタナベミュージックエンターテイメントからメジャーデビューした。
- 140 : ◆cnH487U/EY :2008/12/03(水)
23:20:44.01 ID:jVbD2HRfO
- 日本の音楽業界を牽引する大御所から、メタルバンドがデビューするなんて異色の事件。
ホロテレビで放映された彼らの記者会見は、オレも観ていた。
会場に出席したマルタスニムPが、終始シャロン嬢と目を合わせようとしなかったのが印象的だった。
('A`)y-~「何か、ビクついてるようにも見えたな……」
そんなこんなで、全ては収まるところに収まり、オレの財布に報酬も収まり、一件落着と言ったところか。
('A`)y-~「ただ一つ解せないのは……」
隣の彼女は、相変わらず何を考えているのか分からない無表情で、道行く人々を見つめている。
('A`)「なぁ、ハインさん。どうしたの。不満があるなら言ってみなさい。できる限りで善処しようじゃないか」
政治家並みに当てにならない言動のオレ、ダメ人間。それがオレの持ち味だと思うけど、どうよ?
从゚∀从「……ならば、言わせてもらおうか」
ようやく反応を示したアンニュイ機械化娘に、内心で嬉しがるオレ。
さ、寂しくなんかないんだからねっ!
- 142 : ◆cnH487U/EY :2008/12/03(水)
23:23:04.32 ID:jVbD2HRfO
- ('A`)「何でも言ってみたまい!これでもアナルと懐の大きさには自信が有るんだぞぅ!」
从゚∀从「……貴様は、もう少しカッコイい所を私に見せてくれてもいいと思う」
俯き加減で何かとても傷付く事を言ってくれる鬼畜ガイノイド。
ドクオ・ザ・グラスハートの繊細な心に、小さな罅が入った。
('A`)「ははは、何を言い出すかと思えばマイハニー……ぼかぁ、充分カッコイいだろう。まだ足りないっていうのかい?」
- 143 : ◆cnH487U/EY :2008/12/03(水)
23:24:11.44 ID:jVbD2HRfO
- ……っと。ちょい待ち。何?カッコイい所?そんなん見て、コイツはどうするつもりなんだ?
('A`)「…ワッツ?」
从゚∀从「いや、いい。今のは忘れてくれ」
急に視線を逸らす彼女に、オレの灰色の脳細胞がフル回転で推理を開始する。
(;'A`)「ねぇ、カッコイい所見てどうすんのよ?」
从;゚∀从「忘れろと言っただろう。それ以上の追求は拒否させてもらう」
(;'A`)「ねぇ?どういう意味?ねぇ?」
尚も食い下がるオレ。
そっぽを向き、だんまりを決め込む機械人形。
押し問答の決着は、つきそうに無い。
-fin-
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