491 名前:執筆チーム ◆fkFC0hkKyQ:2012/09/18(火) 18:10:19 ID:xtON.OOM0

Epilogue


――『爆破テロか!?VIP地下下水処理施設、謎の大崩落』。

携帯端末に表示されたニューステロップから顔を上げて、頭上を仰ぐ。
通勤ラッシュでごった返すニーソク駅前のロータリー。
ビルの壁面に埋め込まれた街頭テレビの中では、GMN(グローバル・メディア・ネットワーク)の新人女子アナウンサーが、
神妙な顔で原稿を読み上げていた。

「昨夜未明、突如として起こったこの崩落の原因は未だ不明――坑内の支柱に爆弾が仕掛けられていた疑いが――
 死傷者の数も不明ですが、地上では今の所怪我人は見られま――」

('A`)「……」

溜息が、知らず口から漏れる。
隣を歩くキュートが、それを目敏く見咎めた。

o川*゚ー゚)o「……ほぉら、どっくん!ぼーっとしてると置いてくよ!」

意地悪そうな表情を作り、キュートは努めて明るい声音で言う。
彼女もまた、割り切った訳ではない。
優しい彼女は、それでも俺を気遣う事を優先してくれる。
その気遣いが、とても痛かった。

492 名前:執筆チーム ◆fkFC0hkKyQ:2012/09/18(火) 18:11:50 ID:xtON.OOM0
('A`)「んん、ああ、すまんこ、すまんこ」

o川#゚ー゚)o「ちょっとぉ!朝からそういうの止めてくれるう!?」

('A`)「ほっほっほ。おぬしもまだまだうぶよのぉ。
   そんな事では、我が毒尾流の秘儀を授けるのは何時の日になる事やら……」

o川#゚ー゚)o「けっ!こう!ですっ!」

さくらんぼのように頬を真っ赤に染めると、キュートはそっぽを向いて歩きだす。
デニム地の短いジャケットの背中に聞こえないよう、俺はそっと謝った。

从 ゚∀从「……結末が、気になるか」

何時の間にか追いついていたハインが、右隣に並ぶ。
血のように真っ赤な双眸は、俺では無く、前だけを見つめていた。
答えは予測できたが、ふと気になって聞いてみた。

('A`)「――君は、どうだ。気になるか?」

鋼鉄の処女は、だが、以外にも直ぐには答えなかった。
ちらりと俺を横目で見てから、彼女は再び目の前を行く人混みの中へと視線を戻した。
ヒトの形をしたヒトならざるその瞳は、ここでは無い何処かを睨みつけているようだった。

从 ゚∀从「……復讐は、神が行うものだ。それは、人間の領分ではない」

一陣の風が、彼女の銀糸の髪をなびかせる。
この世ならざる美貌が、一瞬隠れる。

493 名前:執筆チーム ◆fkFC0hkKyQ:2012/09/18(火) 18:13:00 ID:xtON.OOM0
从 ゚∀从「人の怒りは。怒りによる報復の裁きは、人が下して良いものではない。
それは本来、神と神の法に任せるべきものだ」

どういう意味だ?
尋ねようとして、彼女の視線が上向いているのに気付いた。

从 ゚∀从「宗教の垂れる戯言だが、今回ばかりは的を射ていたようだな」

視線を辿ったその先。
摩天楼の屋上看板の上に立つ黒い影。
豆粒ほどにしか見えないその影が、俺には咆哮したように見えた。

从 ゚∀从「復讐を遂げるのならば、ヒトでは居られない。だが、ヒトは神にはなれない」

瞬きをした次の瞬間には、その黒い影は看板の上から姿を消していた。
風に乗って微かに聞こえて来た咆哮の残響が、俺の眼が確かだった事を保障した。

从 ゚∀从「では、彼らは何処へ向かえばいい?」

('A`)「……」

俺は、束の間目を閉じ、耳をすませた。
その咆哮は、泣いているようにも聞こえた。

494 名前:執筆チーム ◆fkFC0hkKyQ:2012/09/18(火) 18:15:49 ID:xtON.OOM0

 

 

       从 ゚∀从は鋼鉄の処女のようです

         Disc11.No. of the beast

           ///the end/// 

 

 
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