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( ^ω^)は魔法道具屋さんのようです

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:22:26.12 ID:TW9eXcus0

 〜 魔法道具屋サンライズ 2階 自室 〜


( -ω-) zzz

(∪-ω-) zzz

< ドンドンドン

( -ω-) zzz

(∪-ω-) zzz

< ドンドンドン

( うω-)「お……?」

(∪うω-)「わんお……?」

< ドンドンドン ドンドンドン

( ^ω^)「店のドアが叩かれてるのかお……」

( ^ω^)「今何時……って、まだ5時前じゃねえか」


2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:23:39.04 ID:pn3gsNK30
来たか!支援

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:23:47.30 ID:TW9eXcus0

(∪=ω=)「わんおー?」

( ^ω^)「わんおはまだ寝てていいお」

(;^ω^)「一体どこのどいつだお、全く……」

< ドンドンドン ドンドンドン

(;^ω^)「はいはい、ちょっとお待ちくださいおっと」

ガチャ
(*`・ω・´)「やあ、ブーン、おはよう。いや、偶然通りかかってさ、それでほら、折角だから朝ご飯でも……」

(;^ω^)「……」



     第六話 魔法のペンダントと麗しき剣士


 まとめさん
 ブーン文丸新聞さん
 ttp://boonbunmaru.web.fc2.com/rensai/magic_item/magic_item.htm
 前スレ(5話)
 ttp://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324733502/


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:24:19.91 ID:kZgbuJDp0
きたー!
今日投下多い

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:25:12.24 ID:TW9eXcus0

 〜 魔法道具屋サンライズ 午後 〜


( ^ω^)「……てな事があったんだお」

僕の名前はブーン。
ヴィップの町で魔法道具屋サンライズを営む魔法使いだ。

(;´・ω・`)「それは何というか……取り敢えず僕は君にごめんしないといけないね」

彼の名前はショボン。
僕の親友で、バーボンハウスという酒場で父であるシャキンさんの手伝いをしている。

(∪^ω^)「わんわんお!」

この子の名前はわんわんお。
僕の家族で、子犬の姿をしているが実は竜族の中でも最強を誇る天空竜の生まれ変わりなのだ。

時刻は昼をゆうに過ぎ、世のお母さん方が晩ご飯の支度に取りかかろうかという時間である。
まあ、僕はまだ絶賛仕事中ではあったのだが、そんな僕の元に配達の帰りに立ち寄ったとショボンが顔を見せに来た。


6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:26:59.68 ID:/b9C90l80
まとめられてないのか
5話読めないなー
もっとまとめ活発にならんかな

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:27:08.31 ID:TW9eXcus0

いや、正しくは顔を見せに来たというよりは、顔を見に来たといった方が正しいのかもしれない。

(´・ω・`)「全く……早朝から押しかけるなんて父さんも非常識な事を」
つ∪^ω^)

( ^ω^)「偶然立ち寄った割には、モーニングセット一式揃ってたお」

お陰で朝から豪勢な食事ではあったのだが、流石に5時前に起こされるのはきついものがある。
目が覚めたので2度寝はせずに早くから店を開けていたし、今日は早めに店仕舞いしようかと思う。

(;´・ω・`)「父さんにも困ったものだね……。帰ったらよく言って聞かせておくから」
つ∪^ω^)

( ^ω^)「まあ、シャキンさんも悪気があるわけじゃないし、その時間帯しか暇がないのもわかってるお」

そんなシャキンさんがない暇を費やしてそんな時間に来た理由を考えれば、怒るに怒れない部分もあるのだ。

(∪^ω^)「わんおー?」

(*´・ω・`)「うん? わんおちゃん、お腹空いたのかな? ねえ、ブーン、わんおちゃんにご飯あげてもいいかな?」

(:^ω^)「お前が来た時におやつあげたばっかだお」

(´・ω・`) ショボーン


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:28:00.71 ID:kZgbuJDp0
>>6
ログで読めるから困らんだろ

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:28:08.18 ID:rI/gyoURO
今日も来たか
支援

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:29:10.32 ID:TW9eXcus0

(:^ω^)「全く……やっぱお前ら親子だおね」

ショボンとシャキンさん、2人の親子は最近頻繁に僕の店を訪れるようになった。
目的は僕に会いに、ではなく、わんわんおに会う為だ。

(*´・ω・`)「じゃあ、ちょっと散歩に連れてっても……」

( ^ω^)「今日はもう、2回行っててバテるから駄目だお」

(´・ω・`) ショボーン

(;^ω^)「ハァ……。お前がバーボンハウスに戻る時、わんおと一緒に送ってってやるお」

(*´・ω・`)「ありがとう、ブーン! じゃあ、早速僕は帰るよ! さあ、行こうか」

早々にわんわんおを抱え、店を出るショボンに向かって、僕はまた大きな溜め息を吐いた。
まさかショボンやシャキンさんがこうも犬好きだったとは思いもしなかった。

( ^ω^)「忙しかっただろうし、動物は飼えなかった反動かおね」

わんわんおがうちに来て約2週間、わんわんおはもうすっかりうちにもこの町にも馴染んでいる。
というか馴染み過ぎだ。


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:30:52.52 ID:DxWKN0Uc0
わんお可愛いなw

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:31:11.87 ID:TW9eXcus0

ショボンやシャキンさんは勿論の事、わんわんお目当てに冒険者の人達も前よりこの店を訪れる回数が増えてたりする。
ショボン達ほどではないが、皆わんわんおを気に入ってもらえてるようでありがたい事だ。

ただ、癒されるという声はいいのだが、時々ブサかわいいという声を耳にするのが若干気になる所ではあるが。
何にせよ、わんわんおは招き猫ならぬ招き犬として、この店での確固たる地位を築きつつある。

( ^ω^)「さてと、ショボン、お待たせ……」

店を出て、ドアに鍵をかけてショボンの姿を探すが、そこには既に誰もいない。
どうやら先に行ったらしい。

(;^ω^)「……バーボンハウスに行くかお」

僕は若干頭痛を覚えつつも、バーボンハウスに向けて歩き出した。
ショボンがわんわんおを連れてバーボンハウスに入ったら、また色々と食べさせられそうである。
このペースで食べさせられると将来のピザ化が深刻だ。

(;^ω^)「姿変わらないといっても太りはするんだお。また運動させないとだおね」

僕はそんな事を考えつつ、のんびりとバーボンハウスに向かった。


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:32:23.20 ID:rI/gyoURO
わんわんおいいな

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:33:19.21 ID:TW9eXcus0

 〜 魔法道具屋サンライズ 翌日 〜


( ^ω^)「暇だおー」

(∪^ω^)「わんおー」

翌日、僕は普段通りサンライズで店番をしていた。
ここ最近では珍しい事に、昼を回ったこの時間でも今日はまだ1人も客が訪れていない。

客以外も誰も来てないのは本当に珍しい事かもしれない。

( ^ω^)「まあ、昨日の今日で、流石にショボン達も自重するおね」

(∪^ω^)「わんおー?」

僕の言葉に相槌を打ってくれるわんわんおだが、理解しているとは言い難い顔ではある。

ショボンもシャキンさんも基本的には忙しい人だし、昨日ショボンには話したので、
今日は朝っぱらから叩き起こされる事はなかった。


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:34:01.88 ID:pn3gsNK30
しししし

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:35:05.30 ID:TW9eXcus0

それでごく普通に平和な1日を送れているのだが、逆に平和過ぎて退屈である。
退屈以前に、全く客が来ないこの状況は店主として大いに嘆くべき状況ではあるのだが。

そんな僕の嘆きが天に通じたのか、今朝から微動だにしなかったドアのベルが歓迎の音を奏でる。

( ^ω^)「お?」

(∪^ω^)「わんお?」

| / -゚)「……」

開かれたドアからゆっくりと左右を窺いながら入店して来た客は、初めて見る顔だった。
初めて見る顔と言ったが、目深に被ったフードの所為で顔ははっきりとは見えないので多分ではあるが。
客商売をしている兼ね合いで、人の顔を覚えるのは得意な方なので、その判断は間違ってはいないと思う。

( ^ω^)「いらっしゃいませですお。何かお探しですかお?」

| / -゚)「……」

気さくに声を掛けてみたが、敢え無く無視されてしまう。
とはいえ、客が皆フレンドリーに接してくれるわけではないので、特に気にはしない。
その客は陳列された商品をしげしげと眺めている。


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:35:11.59 ID:5ukSp5meO
きてるー支援!

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:37:09.70 ID:TW9eXcus0

( ^ω^)「……」
つ∪^ω^)つ"

僕は客の邪魔をしないようにわんわんおをしっかりと抱えて、無言で客の様子を観察していた。
フード付きのマントで全身を覆い隠しているが、腰の辺りに帯剣しているらしい事から、多分冒険者なのだろう。
ただ、マントの汚れの状態や全体の雰囲気からも、まだ旅慣れていないというか、駆け出しの冒険者ではと想像する。

その客は一通り商品を見終わるとカウンターに向かって歩いて来た。
大して商品の種類はないから、客が店内に入って来てからそんなに時間は経ってない。

| / -゚)「君が店主か?」

(∪^ω^)「わんおわんお!」

| / -゚)「む……そちらが店主だったか」

(;^ω^)「いや、僕が店主ですお」

客の質問に僕が答えるより早くわんわんおが反応したが、普通それでわんわんおを店主だと思うだろうか。
だいぶ変わった客のようだ。

| / -゚)「そうか。では店主、ここが魔法道具屋サンライズで間違いないな?」

( ^ω^)「間違いないですお。それと、店主ではなくブーンで結構ですお」


19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:38:19.83 ID:rI/gyoURO
新キャラか

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:39:01.95 ID:RM2fiE3m0
わんわんお可愛い

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:39:20.33 ID:TW9eXcus0

(∪^ω^)「わんおわんお!」

( ^ω^)「こっちはわんわんおですお」

| / -゚)「そうか。ならばブーンに頼みたい事があるのだが」

( ^ω^)「頼みですかお? それは仕事の依頼って事ですかお?」

| / -゚)「そうだ。この店は道具の鑑定や解呪もやっていると聞いたのだが、本当か?」

( ^ω^)「受け付けてますお」

道具の鑑定は、用途のわからない道具の効果を調べる事で、解呪は道具に掛かっている呪文の効果を解くことだ。

鑑定はわかるとしても、わざわざかけてある魔法を解くのもおかしな話だと思うかもしれないが、
道具の中には使用者に害を与える事を前提として魔法をかけられたものもある。

財宝と一緒にそういった道具を保管し、それを盗もうとした人を殺す為だったりと、ある種の罠の様な物だ。
この手の魔法は呪いとも言われるが、本質的には魔法と変わりない。

古い遺跡なんかで見付けた道具の鑑定依頼がたまに僕の所にも来る事はあるが、解呪の方は滅多にない。
どちらの依頼にせよ、まずは品を見てみないことには何とも言えないものがある。


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:39:42.94 ID:kZgbuJDp0
くー?

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:41:06.64 ID:TW9eXcus0

| / -゚)「こいつの解呪を頼みたいのだが」

そう言って客はペンダントを懐から取り出した。
紙が巻かれた鎖の反対側に銀で縁取られた青い石が付いていて、一見してなかなかの値打ち物に見える。

( ^ω^)「ちょっと拝見しても?」

| / -゚)「構わん」

僕はペンダントを受け取り、まずは全体を確認する。
紙は何かの呪符のようなものを巻きつけてあるようだ。
それ自体が何かの魔法を発動しているのがわかる。

恐らくこれが解呪対象なのだろうが、ひとまず置いておく。
次に宝石を観察する為、ルーペを取り出しじっくりと見てみる。

( ^ω○)、「お……」

青い石はサファイアのようだ。
周りを囲む銀の縁取りも精巧で、手が込んでいる所を見るとやはり高価なものだと思われる。


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:42:40.65 ID:TW9eXcus0

( ^ω○)、「てか、これって……」

銀の縁取りのある部分に気になる紋を見付けた。
この紋がここにあるという事は、これの出自にきな臭い物を感じる。

( ^ω○)、「ん……?」

更に詳しく見ていると、宝石の方からも魔力の反応がある。
正確には縁取りに使われている銀の方からの様だが、この小さい部分に魔法を込めるとなると、相応の腕が必要だ。

(;^ω○)、「これ、いくつ魔法かかかってんだお?」

| / -゚)「ほう……」

思わず漏れた僕の言葉に、客が感嘆したように呟いた。
調べた結果、呪符と宝石で合計3種類の魔法がかかっているのではないかと思われる。
ただ、何かおかしいというか、その内2つは相殺しあってるような気がする。

| / -゚)「正解だ。流石だな」

( ^ω^)∩○、「そりゃどうも……って、知ってるなら先に言ってくださいお」

そうすれば関係ないとこまで調べる手間は省けたのにと思う。


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:43:30.70 ID:PH1c33tG0
しえん

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:44:20.72 ID:TW9eXcus0

| / -゚)「すまない。だがこれはテストも兼ねていたのでな」

( ^ω^)「テスト?」

| / -゚)「この依頼を任せられるかどうかのな。その位簡単に見抜けなければ、これの解呪は無理だ」

( ^ω^)「って事は、僕は合格って事でいいんですかおね?」

| / -゚)「ああ、合格だ」

客はそう言ってくれたが、テストに合格した事は魔法道具屋としては嬉しいとしても、
依頼を受けるかどうかはまた別の話だ。

( ^ω^)「……」

僕は客の方を改めてじっくりと観察する。
性別は女性、年の頃は僕より少し上ぐらいだろうか。
フードに隠された顔はよくわからないが、多分美人なのではと全体の雰囲気がそう思わせてくれる。

逆に言えば、何もしなくてもそう思わせてくれるくらいの所作が随所に見て取れるのだが、
それの意味する所と先の紋の件で嫌な予感は当たりかもしれない。


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:44:52.80 ID:kZgbuJDp0
ふむ

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:46:09.74 ID:TW9eXcus0

| / -゚)「どうした? 私の顔に何か付いているか?」

( ^ω^)「……一応、断っておきますけど、僕は盗品は扱いませんお」

一応言っただけだと念を押し、客の表情を盗み見る。
これを盗品と決め付けているわけではないが、むしろ盗品であった方が気は楽だったかもしれない。
どっちにせよ、厄介な事になりそうなので依頼としては面白いのだが断るべきかと僕は考えていた。

| / -)「……君はなかなか目がいいようだね」

彼女はそう呟き、目深に被っていたフードを脱いだ。

川 ゚ -゚)「申し遅れたが、私の名はクー=スナオ。大丈夫、それが盗品ではない事は保証するよ」

フードを取った客は思った通りの綺麗な人であった。
端正な顔立ちに長い黒髪が艶めいて、誰が見ても美人と判断するのではなかろうか。

だが、その名には聞き覚えがなかった。
初対面なのだから当然なのだが、先の危惧を加味すると偽名の可能性も考慮するべきだろう。

川 ゚ -゚)「気軽にクーと呼んでくれ」


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:47:25.33 ID:rI/gyoURO
クーか

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:47:51.47 ID:kZgbuJDp0
やっぱクーか

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:48:16.80 ID:TW9eXcus0

( ^ω^)「じゃあ、クーさん、質問ですけど──」

川 ゚ -゚)「クーと呼んでくれといってるだろ? 敬語もいらん」

( ^ω^)「お客様相手にそこまでフランクに出来ませんお」

川 ゚ -゚)「なに、君と私の仲じゃないか。気にするな」

(;^ω^)「いや、今日初めて会ったばかりですお? どんな仲ですかお」

そんな具合に抵抗はしたものの、結局押し切られ、僕は彼女をクーと呼ぶ事になった。
しかし、そんな事は些細な事である。
話によってはもう2度と会うこともないだろうし。

川 ゚ -゚)「断るつもりか?」

( ^ω^)「申し訳ないけど、僕の手に負えそうにないお」

川 ゚ -゚)「謙遜する必要はない。君はこれまで会った道具屋の中では一番の目をしている」

( ^ω^)「ありがたいお言葉だけど、目は良くても腕の方が付いて来ないお」

川 ゚ -゚)「ふむ……しかし、これを聞けばどうかな」


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:49:55.11 ID:kZgbuJDp0
話が動くな

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:50:07.85 ID:TW9eXcus0

(;^ω^)「お?」

クーがカウンターに身を乗り出し、僕の方に顔を寄せて来る。
綺麗な顔が眼前に迫り、一瞬戸惑ったが、クーがしようとした事を察し、踏み止まる。
クーは口元に手を当て、そっと耳打ちをした。

川 ゚ -゚)「このペンダントに魔法をかけたのは、彼の大賢者バーン=ホライゾンだ」

( ^ω^)「……」

告げられた言葉に、僕は表情が一切消えた顔でクーを見詰める。
その言葉の意味する所はきっとそういう事なのだろう。

やれやれ、厄介事はごめんだというのに、僕はこの依頼を受けざるを得ないようである。

ξ゚听)ξ「こんにち……」

ξ;゚д゚)ξ「は?」

そんな事を考えていると、店のドアを開かれ、ツンが入って来た。
しかし、何故かツンドアに手をかけた姿勢のまま、微動だにせずにこちらを凝視している。


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:50:11.53 ID:xEPtq+KG0
支援

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:52:10.91 ID:DxWKN0Uc0
支援

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:52:16.84 ID:TW9eXcus0

( ^ω^)「あ、ツン」

川 ゚ -゚)「おっと、客か」

カウンターに身を乗り出したクーの姿とそれに応じる僕は、背後から見たらどの様に見えていただろうか。
その答えが出るより早く、硬直から解かれたツンの顔がカウンター越しに目の前にあった。

ξ#゚听)ξ「仕事サボって何やってんのよ!」

(;^ω^)「いや、仕事ですけど……」

僕はツンとクー、それぞれにそれぞれの事を紹介した。

ξ;゚ー゚)ξ「ああ、そうなの依頼の話だったのね……」

( ^ω^)「そうだお。つーかお店で客と話してんだから仕事の話しかないお?」

ξ;゚听)ξ「うるさいわね。ちょっとあんた達が……」

( ^ω^)「僕達が……何だお?」

ξ#゚听)ξ「何でもないわよ! いいから仕事の話続けなさいよ」


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:53:53.29 ID:rI/gyoURO
支援

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:54:21.63 ID:TW9eXcus0

自分はわんわんおと遊んでるからと、何故か切れられて話を打ち切られてしまった。
僕がサボってるように見えて実はサボってなかったと知って、間違って怒った事がそんなに恥ずかしかったのだろうか。

ξ#゚听)ξ「よーしよしよしよしよし」
つ∪;^ω^)つ"「わんわんお!?」

(;^ω^)「そんな煙が出そうな勢いで頭撫でるなお!」

川 ゚ -゚)「……で、話を続けていいのかな?」

(;^ω^)「ああ、すまんお。つーか受けるからこれ、しばらく預かっていいかお?」

川 ゚ -゚)「おお、受けてくれるか。それは助かる」

こちらが受けざるを得ない事を知っているくせに白々しいものだ。
気に入らないが、さっさと依頼を片付けてお引取り願う事にしようと思う。

( ^ω^)「まず、かかってる魔法の詳細を調査をするから、知ってる事があるなら先に教えておいてくれお」

川 ゚ -゚)「かかっている魔法ならわかっている」

( ^ω^)「そりゃ助かるお。それで、どれの魔法がわかってるんだお?」


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:56:09.83 ID:TW9eXcus0

川 ゚ -゚)「3つとも、全部だ」

(;^ω^)「は……、全部かお? それはどこかで既に鑑定したって話かお?」

川 ゚ -゚)「いや、それを譲り受けた時に聞いた話だ」

(;^ω^)「えっと……、クーはこれが害意のある魔法がかかってるってわかって受け取ったのかお?」

川 ゚ -゚)「害意? いや、魔法自体に害意はないんだが」

自分にとってはある意味害意なのだがと続けるクーだが、どうにも話が見えてこない。
それがわかってて受け取ったのなら、転売目的という事だろうか。
いや、この紋がある事から察するに、それはないはずだと思うのだが。

川 ゚ -゚)「そうだな……本来これにかかっていた魔法は2種類だったんだが、今は意図的に足してある」

( ^ω^)「なるほど、それで違和感があったのかお」

最初に調べた時に感じたおかしな点、魔法が相殺しあってると感じたのはその所為のようだ。
恐らく呪符にかかっている魔法が、宝石側の魔法の1つを押さえつけていると僕は見た。


40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:57:24.45 ID:RM2fiE3m0
支援

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:58:18.56 ID:TW9eXcus0

( ^ω^)「その押さえつけてる魔法の効果って何なんだお?」

川 ゚ -゚)「探査の魔法だ」

探査の魔法とは読んで字の如く、何かを探したりする時に使われる魔法だ。
方角など簡単なものから、特定の成分を記憶させたりして同じ成分の鉱石を探すとか、
調査を始め採集採掘に役立つ魔法である。

( ^ω^)「探査って、何でそんなものを使えないように封じてるんだお?」

川 ゚ -゚)「探査とは言ったが、これ自体が何かを探査する為のものではなくてだな……」

クーの話によると、これと対になる魔法のかかった鏡というものが存在するらしく、
そちらでこのペンダントの位置を探査出来るという話だ。

( ^ω^)「つまりこれの位置は常に特定出来るという事かお」

現在はそれを封じているから特定されていないというわけだ。
それの意味する事を考えれば、あまりよろしくない経緯が思い浮かぶが、僕は敢えてそれを黙殺した。

川 ゚ -゚)「そうだ。そして依頼はその探査の魔法を解呪して欲しいのだ」

( ^ω^)「お? これをかお? もう1つの方はいいのかお? それに、こっちは呪符で封じれてるお?」


42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 21:59:11.99 ID:/b9C90l80
>>8
●ないんよ

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:00:09.43 ID:TW9eXcus0

川 ゚ -゚)「1度に聞かれても困るのだが、取り敢えず順を追って説明しようか」

僕はクーの言葉に頷き、まずはもう1つの魔法の事を聞く事にする。

川 ゚ -゚)「もう1つの魔法は、位置付け的には守護の魔法になるのだが、かなり特殊なものだ」

守護と言ったが、持ち主を守る効果ではなく、持ち主から離れない様にする為の魔法らしい。
効果としては持ち主からある一定距離を離れると、瞬時に持ち主の元に戻って来るものだ。

( ^ω^)「そりゃなかなか高度な魔法だおね。ちょっと試してみていいかお?」

川 ゚ -゚)「構わんぞ」

僕はクーの了承を得、ペンダントを手に店を出る。
わんわんおも一緒に飛び出そうとしてたみたいだが、ツンに押さえ付けられていた。

そのまま数歩、店から2メートルも離れない内に手の中のペンダントが一瞬で消えてしまった。
何らかの魔法が発動したのはわかったが、早過ぎてよくわからなかった。

川 ゚ -゚)「おかえり」


44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:00:16.61 ID:kZgbuJDp0
>>42
ログ速にあると思うよ


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:00:36.79 ID:HwCX+3dt0
スレタイで惹かれた

久しぶりに期待できるブーン系小説

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:02:02.13 ID:kZgbuJDp0
>>42
http://sp.logsoku.com/thread/engawa.2ch.net/news4vip/1324733502/

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:02:18.62 ID:TW9eXcus0

店内に戻った僕を、ペンダントを指に引っ掛けて見せびらかしながらクーが出迎えてくれた。
ペンダントにも店にも傷1つない所を見ると、やはり相当高度な魔法のようだ。
クーは守護の魔法と言ったが、これは転移の魔法の部類に入るかもしれない。

( ^ω^)「これを解けって言われたらお断りするしかないと思うお」

川 ゚ -゚)「安心しろ。これはそのままでも構わん」

やはりクーはこれを転売目的で解呪しようとしているわけではなさそうだ。
売却後、即、魔法で取り返すという詐欺を働く事も出来そうだが、それをやるには距離が近過ぎるだろうし、
品物が特徴的過ぎて、何度かやっているとバレるだろう。

川 ゚ -゚)「で、探査の魔法の方だが、こちらは呪符で封じているが、ずっと封じていられるわけでもない」

あくまでこの措置は一時的なものだし、このままでは身に着ける事も出来ないので、呪符に頼らずに済む様、
解呪したいという事だ。

( ^ω^)「うーん……、こっちもこっちで相当高度な魔法っぽいおね……」

川 ゚ -゚)「解呪は難しいか?」


48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:03:12.79 ID:hlDiut7b0
ブーン系久しぶりだな

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:03:17.59 ID:rI/gyoURO
しえーん

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:04:16.85 ID:TW9eXcus0

( ^ω^)「うん、難しいのは難しいけど、もう1個の方に比べたらまだなんとかなりそうではあるお」

完全に解呪は出来ないかもしれないが、これ自体が発する魔法を拡散したりして、
鏡の方から受信出来なくするぐらいなら出来るかもしれない。

川 ゚ -゚)「ああ、それで構わない。よろしく頼む」

( ^ω^)「わかったお。それで……」

川 ゚ -゚)「依頼料なら心配するな。そちらの言い値で構わない」

( ^ω^)「いや、料金は手間賃と使う素材代程度でいいお」

どうせ受けざるを得ない仕事だし、さっさと厄介払いしたいので値段はどうでもいい。
僕が言いたいのは、多少の時間が欲しいという事なのだ。

( ^ω^)「これの解呪手段の調査に数日掛かると思うお。で、実際の解呪にも多分1日ぐらいはかかるかも」

川 ゚ -゚)「ふむ、意外と掛かるのだな」

( ^ω^)「店との兼ね合いもあるんだお。でも、最短コースなら1日で終わるけど」

川 ゚ -゚)「最短コース?」


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:06:24.86 ID:TW9eXcus0

( ^ω^)「ぶっ壊して石だけ取り出すコースだお」

川;゚ -゚)「それはちょっと……出来れば元の形をあまり崩さずに解呪して欲しい」

( ^ω^)「だろうと思ったお。だから、調査に数日くれお」

恐らくこれに掛かっている魔法は、この宝石を囲っている銀細工の配置が術式の役割をしているはずだ。
簡単に解呪するなら、これ自体を壊してしまって石だけを別の枠に取りつけるのが1番手っ取り早い。
それをやらないなら、術式の構成を読み解いて別のものに組み替える必要がある。

ξ゚听)ξ∩「私も、壊して新しく作るのは止めといた方がいいと思うわよ。別の店で作るならともかく」

(;^ω^)「どういう意味だお?」

それまで黙って僕とクーのやり取りを見守っていたツンが口を開く。
センスの塊のような僕に向かって何て事を言うのだろうか。

ξ゚听)ξ「あんたがデザインした装飾品なんて、どんなダサいものになるか知れたものじゃないわよ」

(;^ω^)「そんな事ねえお。僕のハイセンスな装飾術を見たらきっと誰もが腰を抜かすお」

川 ゚ -゚)「……仕方あるまい。しばらく預ける事にするよ」


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:07:41.93 ID:kZgbuJDp0
ふむ

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:08:12.42 ID:TW9eXcus0

ξ゚听)ξ「それがいいと思うわ」

(;^ω^)「別に僕はどっちでもいいけど、そうしてくれるなら取り敢えず調査してみるお」

(∪^ω^)「わんおわんお!」

僕は改めてクーからペンダントを受け取り、預り証を書こうとしたのだが、
そんなものはいらないとクーに止められてしまった。

川 ゚ -゚)「ここは信用ある店なんだろ? それにしばらく厄介になるんだし、構わんよ」

( ^ω^)「そりゃどうも……って、厄介になるって何の事だお?」

川 ゚ -゚)「何の事って、そのペンダントにかかってる魔法を忘れたのか?」

( ^ω^)「魔法? ……あ」

僕はようやくクーが言わんとせん事に気付いた。
ペンダントにかかっている魔法、持ち主の元に戻る魔法がかかっているという事は、
調査の間もクーに側にいてもらわないといけないという事だ。

それはつまり……


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:08:59.10 ID:rI/gyoURO
お?

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:10:10.44 ID:TW9eXcus0

川 ゚ -゚)「空き部屋はあるのか? 別に寝られるなら同じ部屋でも構わんが」

(;^ω^)「一応客間が……てか、ここに泊まるつもりかお?」

ξ;゚听)ξ「へ……? 泊まるって、どういう事!?」

事態が飲み込めていないらしいツンに、僕は魔法の所為でクーにいてもらわなければならない事を説明する。
ツンは説明には納得してくれたようだが、クーがここに泊まることには反対した。

ξ;゚听)ξ「うら若き男女が同じ屋根の下に泊まるなんて駄目に決まってるじゃない!」

川 ゚ -゚)「普通の宿屋も同じ屋根の下だとは思うが」

ξ;゚听)ξ「それは比喩よ比喩。そうじゃなくて、そんな近い距離で男女が……」

(;^ω^)「ツン、クーは客だし、依頼受けちゃったし、そうするしかないなら仕方ないお」

何故か強硬にクーがここに泊まる事に反対するツン。
僕だってあまり気が進まないし、反対したいのだが、日中に通って来てもらう事になると通常業務との兼ね合いもあるし、
だいぶ時間が掛かる事になってしまう。

僕としてはこの件は早いとこ片付けたいのだ。


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:12:11.39 ID:TW9eXcus0

ξ;゚听)ξ「わかったわ。じゃあ、私も泊まるから」

(;^ω^)「何でそうなるんだお。客間は1つしかないお?」

この店は今いる店舗スペース以外に、1階は倉庫兼書庫兼僕の研究室と風呂、トイレが存在する。
二回が居住スペースで、リビングキッチンの他に僕の部屋と客間があるだけだ。
客間は昔じいちゃんの部屋だったのだが、元々物はあまりなく、あった物も今は倉庫に仕舞ってある。

川 ゚ー゚)「私は別に相部屋でも構わないが……」

ξ;゚听)ξ「じゃあ、それで決まりね! 私、1度家に帰って準備して来るから!」

そう言うなりツンは、僕の了承を得てもいないというのに決定事項として脱兎の如く店から出て行く。
そのあまりの速さに、僕は呆然と見送る事しか出来なかった。

(;^ω^)「一体何だったんだお?」

川 ゚ー゚)「フフ、かわいいものじゃないか。君の恋人なのか?」

(;^ω^)「いや、ただの幼馴染ですお。といっても、僕は家族同然に思ってますけど」

川 ゚ -゚)「ふむ……なるほど。君は存外鈍いのだな」


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:14:11.87 ID:TW9eXcus0

(;^ω^)「どういう事ですかお?」

川 ゚ -゚)「いや、気にするな。それより、その客間とやらに案内してもらっていいかな? 荷物を下ろしたい」

なし崩し的にクーが泊まる事も決定事項になってしまったが仕方がない。
これも数日間の我慢だと割り切ろう。

僕は店番にわんわんおを残し、クーを店の奥に招き入れる。
そして2階に上がり、手前の部屋に案内した。

( ^ω^)「何もない部屋だけど自由に使ってくれて構わないお。風呂やトイレは1階だお」

川 ゚ -゚)「了解した。食事は何時ごろだ?」

(;^ω^)「いや、それは自分で何とかしろお。ここは宿屋じゃないんだお」

川 ゚ -゚)「何と……サービスの悪い宿だな」

(;^ω^)「だったら食事代払えお」

川 ゚ -゚)「必要経費として解呪代に盛り込んでおいてくれ」


58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:14:34.23 ID:PH1c33tG0
支援

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:16:19.77 ID:TW9eXcus0

どうやら食事の用意もしなければならない羽目になりそうである。
ツンの分も合わせると4人分だ。
これは本格的に早いとこ仕事を片付けるべきだろう。

( ^ω^)「多分、高さは大丈夫だと思うし、僕がこの家の中央辺りにいればペンダントが飛ぶ事ないと思うお」

外出する時だけ教えてくれとクーに伝え、店に戻る。
今日会ったばかりの素性の知れぬものを1人残しておくのは無用心にも思えるかもしれないが、
クーが窃盗の類を働くとは僕は思っていない。

それに、素性の検討はこれまでの流れで大体付いていた。

( ^ω^)「店番ご苦労様だお」

(∪^ω^)「わんおわんお!」

実際にわんわんおに店番が出来るわけではないが、誰か来たら鳴く位はしてくれるのでそれで十分だ。
僕はわんわんおの頭を撫で、早速ペンダントの調査に取り掛かる。

( ^ω○)、「見れば見るほど精巧な作りだおね……」

(∪^ω^)「わんおわんおー?」


60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:18:06.32 ID:TW9eXcus0

( ^ω○)、「うん、これ組み替えるのは時間が掛かりそうだお」

(∪^ω^)「わんおー」

( ^ω○)、「だおね、まずはこの細工の1つ1つがどんな術式を意味してるのか調べて行くかお」

(∪^ω^)「わんおわんお!」

川 ゚ -゚)「君は犬と会話出来るのか?」

( ^ω^)∩○、「お、クー」

いつの間にか降りて来ていたクーがそんな事を聞いて来る。
気付けば思ったより時間が経っていて、とっくに閉店時間は過ぎていた。
随分と調査に没頭していたようだ。

クーが言うには、わんわんおの合いの手のタイミングといい、それに応じるように話す僕の様子といい、
如何にも会話が出来ている様に見えたらしい。

( ^ω^)「出来たら楽しいだろうけど、残念ながら出来ないお」
つ∪^ω^)


61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:19:41.39 ID:rI/gyoURO
魔法道具屋っぽい話になってきたな

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:20:19.89 ID:TW9eXcus0

川 ゚ -゚)「そうか。それは残念だ。……触ってもいいか?」

( ^ω^)「お、どうぞだお」
つ∪^ω^)

僕が差し出したわんわんおを、クーはおっかなびっくり抱き止める。
どうやら犬の扱いは慣れていない様である。

川;゚ -゚)「思ったより重いな……」
つ(^ω^∪)

( ^ω^)「そうかお? まあ、見た目よりは重く感じるかもしれないお」

抱き慣れてない所為か、わんわんおの体勢が安定せず、クーの胸に顔を押し付ける様になってしまっている。
先ほどまでとは違い、来ていたマントを脱いでラフな服装に着替えたクーは、
その女性らしい身体のラインがはっきり見て取れる。

川;゚ -゚)「こ、これで安定したか?」
つ)>ω^;∪)ノシ

(;^ω^)「いや、せめて逆向きにしてあげてお。わんおがもがいてるお」


63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:22:04.60 ID:PH1c33tG0
わんわんお可愛い

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:22:21.32 ID:TW9eXcus0

川;゚ -゚)「これで大丈夫だな」
つ(∪^ω^)

まだ若干覚束ない手つきではあるが、何とかクーはわんわんおを抱き上げる。
僕はそれでいいと告げ、ペンダントの調査に戻る。

川 ゚ -゚)「なあ、ブーン……」
つ(∪^ω^)

( ^ω○)、「何だお? 晩ご飯ならもう少し待ってくれお」

川 ゚ -゚)「いや、そうじゃなくてだな……」

( ^ω○)、「お?」

それまでずばずばと言いたい放題であったクーが、何故か言い辛そうな様子で僕を見ている。
僕は作業の手を止め、クーの方に向き合い再度用件を尋ねた。

川 ゚ -゚)「その、すまなかったな、無理矢理依頼を受けさせたみたいで……」

( ^ω^)∩○、「……別に、受ける事を決めたのは僕だお。気にしなくていいお」


65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:22:22.86 ID:VJHTTL1PI
わんお俺と替われ

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:24:14.81 ID:RM2fiE3m0
じゃあクー俺とかわれ

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:24:24.18 ID:TW9eXcus0

謝罪するぐらいなら最初からじいちゃんの名前を持ち出さなければいいのにと思いつつも、
僕は素っ気無くそれを受け流す。
気は進まなかったが、受けてしまったからには手を抜かずにちゃんと仕事はするから安心して欲しい。

川 ゚ -゚)「だが、お前は怒ってるだろ?」

( ^ω^)「別に怒っては……」

いないと言えば嘘になる。
じいちゃんの名前をそういう使われ方されたら、というか受けなければバラすという遠回しな脅しに近いそれに、
気分を害さないはずがない。

( ^ω^)「……うん、ちょっと怒ってるお」

川 ゚ -゚)「やはりそうか。良ければ何で君が気分を害したのか教えてもらえないか?」

(;^ω^)「は?」

川 - -)「いや、私はどうもそういった人の心の機微に疎い様でな……。知らず知らず人を怒らせる事がよくあるのだ」

そんな事を言うクーだが、先ほどは僕が理解出来なかったツンの態度を理解していた風であった気がする。
その事を指摘すると、あれは女の子にとっては別腹の様な物で、女性なら誰でもわかるものだと、
わけのわからない答えを頂いた。


68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:26:40.96 ID:TW9eXcus0

川 ゚ -゚)「実際、私は君を怒らせているのだろう? 出来ればその理由を教えてくれないか」

( ^ω^)「……それはクー自身が悪いわけではないお。だから気にしないでくれお」

フランクに接してはいるが、クーは客なのだ。
馬鹿正直にお前が悪いなんて言い方はしない。
実際、それを当然の権利と思って、クーは悪いと思っていない可能性もあるのだ。

川;゚ -゚)「いや、しかし……」

( ^ω^)「さあ、そろそろ晩ご飯の支度をするからこの話はお仕舞いだお。クーは好き嫌いあるかお?」

川;゚ -゚)「え、いや、特にはないが……」

( ^ω^)「じゃあ、僕特製の薬草炒飯作ってやるお」

(∪*^ω^)「わんわんお!」

( ^ω^)「わかってるお。ちゃんとわんおの分も作るから安心しろお!」

(∪*^ω^)「わんお!」


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:28:41.90 ID:DxWKN0Uc0
薬草炒飯www

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:28:57.30 ID:TW9eXcus0

僕はクーの腕から逃れ、僕の方に駆け寄ってきたわんわんおを抱き上げる。
そういえば今日は散歩に連れて行ってあげていなかった。
食後の運動がてらに連れて行く事にするか。

川 ゚ -゚)「……」

僕はまだ何か言いたげなクーを余所にキッチンに向かう。

これ以上、僕の方からは言う事はないのだ。

クーが仕事を依頼し、僕が仕事を受けた。
ただそれだけの事である。

それ以上詳しく知る必要はないのだ。

( ^ω^)「今日は特製スープもあるから期待するお!」

(∪*^ω^)「わんわんお!」

僕はわんわんおを連れ、2階への階段を登った。


71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:29:44.76 ID:rI/gyoURO
支援

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:30:27.12 ID:TW9eXcus0

 〜 魔法道具屋サンライズ 研究室 深夜 〜


( ^ω^)「あったお。この辺の記述がそれっぽいおね」

時刻は既に日付を跨ごうというくらいだろうか。
僕は夕食後、わんわんおを散歩に連れて行って以降、ずっとペンダントを調べていた。

そのわんわんおはツンとクーと一緒に眠っているはずだ。
いつもは僕と寝ているのだが、番犬代わりに置いて来た。
確実に番犬にはならないと思うけど、まあ、何かしら危険があったら鳴いてくれるだろう。

僕は今はペンダントの自体の調査に大体の目処を付け、じいちゃんが残した書物に似た記述がないか探していた所だ。
僕の目論見は当り、術式の解説が載った書物を見付ける事が出来た。

( ^ω^)「これなら意外に早く片付きそうだおね」

今日の調査はこれくらいで切り上げて、明日に備えて休むべきかもしれない。
解呪の依頼を受けている最中とはいえ、店を閉めっ放しにしておくわけにもいかないだろう。
以降の調査は、日中の客がいない時間にでもやればいい。


73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:32:06.93 ID:TW9eXcus0

( ^ω^)「じゃあ、この辺で……お?」

川 ゚ -゚)「……邪魔したか?」

( ^ω^)「クーかお。どうしたのかお?」

背後に人の気配がすると思ったら、もう眠っていると思っていたクーの姿がそこにあった。
慣れぬ環境の所為で眠れないのだろうか。

川 ゚ -゚)「いや、その……」

( ^ω^)「トイレかお?」

川 ゚ -゚)「それを女性に聞くのはデリカシーがなさ過ぎると言わざるを得んな」

(;^ω^)「お、すまんお。トイレはこの部屋出て階段の裏側だお」

川;゚ -゚)「いや、だからトイレじゃなくてだな……」

( ^ω^)「お?」


74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:33:21.59 ID:PH1c33tG0
支援

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:34:16.82 ID:TW9eXcus0

川 ゚ -゚)「少し話がしたいんだが、いいか?」

( ^ω^)「まあ、少しなら……」

僕は立ち上がり、部屋の奥から椅子をもう1脚引っ張り出して来てクーに座るよう勧める。

( ^ω^)「茶もいるかお?」

川 ゚ -゚)「いや、いい……」

クーは椅子に座り、僕の方をじっと見詰める。
僕はクーが話を切り出すのを待っていたが、クーは何度も何か言おうとしては言い淀んでしまう。

僕は仕方なく、まずは僕から話を切り出す事にした。

( ^ω^)「ツンはもう眠ってるのかお?」

川 ゚ -゚)「ああ、ぐっすり眠ってたな」

( ^ω^)「何かすまんおね、相部屋にさせちゃって」


76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:34:33.46 ID:RM2fiE3m0
支援

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:36:16.84 ID:TW9eXcus0

川 ゚ -゚)「いや、それは別に構わないよ。私も暇を潰せて助かった」

クーとツンは意外にも既に打ち解けていた様だった。
年も近そうだし、話も合ったのだろう。

( ^ω^)「それは良かったお。ツンが妙に怒ってたから、クーに迷惑かけないか心配だったお」

川 ゚ -゚)「それは仕方ない部分もあるさ。というか君は完全に保護者目線だな」

( ^ω^)「クーは客だし、友達が迷惑をかけないか心配ぐらいはするお?」

川 ゚ -゚)「……まあ、そういう事にしておこうか」

クーの態度は相変わらず、何か喉に物がつかえているような印象を受ける。
恐らく、何か話したい事があるのだろうが、どう言うべきなのか迷っているのかもしれない。

あまり話を長引かせるのは僕としては本意ではないので、多分本題に繋がるであろう話を持ち出す事にした。

( ^ω^)「……1つ聞いていいかお?」

川 ゚ -゚)「何だ?」

( ^ω^)「クーはニューソク王家の人間なんだおね?」


78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:36:24.37 ID:/b9C90l80
おー、ログありがとー

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:36:38.98 ID:PH1c33tG0
支援

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:38:08.31 ID:TW9eXcus0

川 - -)「……やはり気付いていたか」

( ^ω^)「ペンダントに、小さいけど王家の紋章があったお」

川 ゚ -゚)「やはり目がいいな。それに気付いたのは君が初めてだ」

僕が王家の紋章に気付いたのは詳しく調査したからで、見付けられればほとんどの道具屋が気付く類のものだ。
それほど難しい事ではない。

他の道具屋が気付かなかったのは、じっくり調査してないからなだけであろう。
多分、先のテストに合格しなかった時点でクーが依頼を取り下げたりしただけのはずだ。

川 ゚ -゚)「しかし、君はテストの段階で気付いたのだろう?」

( ^ω^)「たまたまだお。たまたまあの部分を見たから、それに気付いただけで運が良かったんだお」

川 ゚ -゚)「運も実力のうちさ。謙遜するな」

本当に運が良かっただけなのだが、解呪の目処が付きそうな現状では、
何を言っても褒められるだけだろうからその話は流す事にした。


81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:38:48.74 ID:rI/gyoURO
wktk

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:40:06.72 ID:DxWKN0Uc0
ほうほう

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:40:11.06 ID:TW9eXcus0

( ^ω^)「まあ、見付からなかったのはクーにとっても運が良かったと思うお」

川 ゚ -゚)「うん?」

ここに来る前に、他の店でそれが見付かっていたらどうなっていたか。
恐らくは僕と同じ判断、関わらない様にするか、王国と連絡を取る等の、
クーにとっては好ましくない行動が取られる事請け合いだ。

まだクーの事情は聞かせてもらってないが、この解呪の依頼から判断するに、
クーの行動は王国にとってはあまり好ましくない事だろうと判断出来た。

川 ゚ -゚)「なるほどな……」

( ^ω^)「何をやろうとしてるのかは知らないけど、一人旅は危険だし、大人しく帰った方がいいと思うお」

これ以上聞いて、どっぷりと関わってしまうのは避けるべきだと僕は考える。
解呪する事事態、場合によっては国家反逆罪クラスの罪を負ってしまうかもしれないのだ。

クーは恐らくそんな事までは理解せずに依頼を出したのだろう。
もしもの時は僕も王家絡みとは知らなかったで通すしかない。

川 ゚ -゚)「……」


84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:41:43.69 ID:PH1c33tG0
支援

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:42:06.08 ID:TW9eXcus0

僕は無言のクーから目を逸らし、机の上に出しっ放しだった書物を片付ける。
それが話はもう終わりという意思表示であったのだが、残念ながらクーには伝わらなかった様だ。

川 ゚ -゚)「私が身分を隠していた事が君を怒らせた原因なのか?」

( ^ω^)「違うお。そこは別にどうでもいいお」

本当はどうでもよくはないが、事情があって貴人がお忍びで市井を訪れる事なんてよく聞く話だ。
まあ、僕の店には今までそんな事なくて、書物の中の話だけども。

川 ゚ -゚)「では、偽名を使ってたことか?」

( ^ω^)「それも違うお。てか、身分の話と大差ないお」

川;゚ -゚)「じゃあ、何なんだ? 何が君を怒らせたのだ?」

( ^ω^)「……」

クーは自分が人の心の機微に疎いと言っていたが、確かにそうなのかもしれない。
どうやらクーは本当に自分の何が悪かったのか気付いていない様だ。

少し苛ついて来た僕は、はっきりとその理由を述べてやる事にした。


86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:43:30.37 ID:ZRfHchHnO
支援

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:44:07.18 ID:TW9eXcus0

( ^ω^)「クーが、僕を脅迫したからだお」

川;゚ -゚)「は? え、いや、私はそんな事してないぞ? どういう事だ?」

(#^ω^)「どうもこうも、クーはこのペンダントに魔法を施したのはバーン=ホライゾンだって言ったお?」

川;゚ -゚)「ああ、確かに言ったが……」

(#^ω^)「じいちゃんの名前持ち出されたら、僕は受けるしかないお!」

川;゚ -゚)「……え? じいちゃん?」

( ^ω^)「……ん?」

川;゚ -゚)「いや、じいちゃんって、その、君は大賢者バーン=ホライゾンの孫なのか?」

(;^ω^)「そっちから名前持ち出しておいて、何で今更とぼけるんだお?」

川;゚ -゚)「い、いや、私はその、ビ……じゃない……」

川;゚ -゚)「このペンダントに呪符を付けて貰った人に、そう言えと言われただけなんだが……」

(;^ω^)「……へ?」


88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:44:13.65 ID:DxWKN0Uc0
支援

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:44:50.57 ID:l3HUTFyD0
ビ・・・?

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:45:08.14 ID:kZgbuJDp0
ん?

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:45:41.59 ID:RM2fiE3m0
ビコーズ?
ビロード?


92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:45:49.52 ID:DxWKN0Uc0
お?

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:46:08.91 ID:TW9eXcus0

クーの話を聞くと、バーン=ホライゾンの件は解呪の依頼に相手が渋ったら、
その名前を持ち出せば受けてくれると言われただけの様だ。
大賢者と名高いバーンの魔法道具に興味を抱かない道具屋や魔法使いはいないだろうからと。

川;゚ -゚)「まさか君が大賢者バーンの孫だとは……」

(;^ω^)「……あれ、これ、ひょっとして僕やらかしちゃったかお?」

詳しく話を聞いてみると、やはりクーは僕とじいちゃんの関係を知らないようだった。
僕は話してしまった事は仕方がないから、じいちゃんと王家の関係、僕がそれを脅迫と受け取った理由も説明する事にした。

川;゚ -゚)「確かにそれは脅迫に聞こえるな……。すまなかった」

(;^ω^)「いや、知らなかったらなしょうがないお。こっちこそごめんお」

何の事はない、僕の勝手な思い込みだった様だ。
この慌て様を見ても、クーの言葉に嘘はないように見える。
もっとも、クーにそう言うように伝えた人間はこの事を知っていたかも知れないが。

どちらにしろ、僕は軽率な事をしてしまった様だ。


94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:47:55.69 ID:VJHTTL1PI
ビーンかもな

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:48:08.99 ID:TW9eXcus0

( ^ω^)「その呪符付けた人って誰なんだお?」

川 ゚ -゚)「すまないがそれは言えない」

自分が王宮を抜け出す手引きをした事が知られれば、その人も立場的にまずい事になるから、
その人の名前は誰にも話さない事にしたのだとすまなそうに言うクー。
賢明な判断だと思うが、それならば依頼受ける僕の立場も考えて欲しいものである。

川;゚ -゚)「そう言われてみればそうだな。すまない、この依頼は今からでも断ってくれても構わない」

( ^ω^)「いや、もういいお。ちゃんと受ける事に決めたから」

クーの意図がどうであれ、これがじいちゃんが作った魔法道具である事には変わりないのだ。
僕としては、じいちゃんの魔法道具自体には興味は多々あるのだし。

( ^ω^)b「何かあっても、僕は知りませんでしたと言い逃れるお」

だからそれ以上クー自身の事は話さなくていいと僕はクーに言う。
クーはすまなそうな顔で、しかし了承したと頷いてくれた。

( ^ω^)「でも、これだけは聞いておくお」


96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:48:56.14 ID:PH1c33tG0
支援

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:49:10.50 ID:rI/gyoURO
支援

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:50:19.15 ID:TW9eXcus0

川 ゚ -゚)「何なりと」

( ^ω^)「クーはこれから、良からぬ事をするわけではないおね?」

川 ゚ -゚)「うむ、勿論だ。王家に仇なすとか、市井を騒がせる事はしない。私はただ、自由が欲しかっただけさ」

( ^ω^)「自由?」

川 ゚ -゚)「既に大体察しは付いている様だが、私は王宮以外の生活をよく知らぬ」

このまま王宮で生活を続け、国の安寧の為にその身を費やすのも確かに王族としての務めであるとは思うのだが、
それをするにしても、世の事を知らねば真に民の為になるとは思えないとクーは言う。

( ^ω^)「なるほど……」

川 ゚ -゚)「……というのが建前の理由で」

(;^ω^)「え?」

川 ゚ -゚)b「ホントは堅苦しい王宮を抜け出して、適当にぶらぶら世界を見てみたいってのが本音だよ」

(;^ω^)「随分と軽い理由だな、おい」

川 ゚ー゚)「なに、君も色々打ち明けてくれたんだ。私もちゃんと本音を話さないと申し訳ないだろ?」


99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:52:26.30 ID:rI/gyoURO
しえーん

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:52:29.53 ID:TW9eXcus0

(;^ω^)「打ち明けたくて打ち明けたんじゃねえお」

まあ、何にせよ、現在の王家のご子息の状況を考えるに、クーがいなくても今すぐ困る事はないのは想像が付く。
ニュー即王家には第1王子と第2王子がいたはずだ。
そしてその下に、第1王女がいたのだが、それから先は考えない事にした。

このペンダントに呪符を施してくれた人の事も考えると、そう深刻にならなくてもいいのだと判断出来る。

川 ゚ー゚)「まあ、とにかく、話せて良かったよ」

( ^ω^)「僕もすっきりしたお。誤解しててすまんかったお」

川 ゚ -゚)「あれは私も悪いのだから気にしないでくれ。こちらこそすまなかったな」

お互い何度も神妙に謝りあう滑稽さに、僕は思わず吹き出してしまった。
クーもそれに釣られて笑っている様だった。

川 ゚ -゚)つ「それじゃあ、よろしく頼むよ」

( ^ω^)つ「おk、解呪は任せろお」

僕はクーと固い握手を交わし、その日は晴々とした気持ちで床に着く事が出来た。



     第六話 魔法のペンダントと麗しき剣士 終


101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:53:12.54 ID:kZgbuJDp0
今後は王国の話になるのかな
乙!

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:53:58.70 ID:RM2fiE3m0
乙!


103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:54:49.81 ID:DxWKN0Uc0
クーいいよクー
乙!

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:54:57.30 ID:PH1c33tG0
投下絶倫だな


105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:55:51.07 ID:rI/gyoURO
乙乙
新展開楽しみだ

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:55:51.55 ID:l3HUTFyD0
連投期待

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 22:56:20.94 ID:ZRfHchHnO
乙!

108 名前: ◆5rua49HN2. :2011/12/25(日) 22:57:17.00 ID:TW9eXcus0

六話は以上です
新シリーズ的なお話です
予定では3話ほどでまとめたかったのですが、今の書いてる感じだともう1話ぐらい増えそうかな?
上手くまとまれば3話で済むかも

次回は……いつにするかは決めてません
書き上がってはいますが、年末年始は今の所予定が未定ですので

支援とか感謝です


109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 23:03:59.25 ID:rI/gyoURO
年末年始に期待してる

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 23:04:34.43 ID:Qr99zqkR0
おつでし

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 23:06:42.08 ID:5ukSp5meO
乙!


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