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ζ(゚ー゚*ζ あな素晴らしや、生きた本 のようです

1 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/29(土) 20:43:03 ID:7KP.TRzkO
まとめ様

ブーン芸さん http://boonsoldier.web.fc2.com/ikitahon.htm

ちょいといっぷくさん http://boon.choitoippuku.com/

前スレ http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1314437739/


最終話後編&エピローグ、前スレ>>835から

2 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:44:32 ID:oG5oKFOE0
おつそして支援

3 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:54:13 ID:20xrrgC6O
前スレ>>1000よくやった

4 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:55:26 ID:7KP.TRzkO

( ^ν^)「……で。何のつもりだ。いきなり本の中にぶち込みやがって」

( ゚∋゚)「すまん。人間がここまで来るなんて滅多にないもんだから、
     この機を逃すわけにはいかないと思ってな。
     ――終わらせる条件を知られてしまった以上、もう何をしても無駄か」

 クックルの瞳がぎょろりと動き、キュートへ向けられた。
 デレはキュートを庇うように抱き締め、後ずさる。

ζ(゚、゚;ζ「……きゅ、キュートちゃん、本の中に入っちゃったら、
      すぐに相手の人にキスして。そしたら出られるから」

o川;*゚ー゚)o「キスですか」

ζ(゚、゚;ζ「キスです。場所は口じゃなくてもいいみたい」

( ゚∋゚)「そんなに警戒しなくても、何もしないぞ。説得力がないかもしれんが」

 近くにあった花瓶の傍に本を置き、クックルが両手を振った。
 容赦はないくせに、諦めがいい司書だ。

 駄目押しとばかりにデレ達と距離をとる。

5 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:56:02 ID:bPt9G4yw0

ニュッ君も罪なやつですなあ

6 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:57:09 ID:7KP.TRzkO

( ^ν^)「なら、俺らはここを出てもいいんだな」

( ゚∋゚)「いい。が、その前に」

( ^ν^)「……今度は何だよ」

( ゚∋゚)「1人、残ってほしい」

 ――またか。

 キュートと共に、デレはニュッの背後に回った。

( ^ν^)「何のために」

( ゚∋゚)「一つ頼まれてもらいたいんだ。
     いや、難しいことじゃない。ちょっと来てくれ」

 クックルが絨毯の上を歩き出す。
 ニュッは警戒していたようだったが、クックルが止まらずに進み続けるので、
 仕方なしに後を追った。

 デレとキュートもついていく。

 4人共無言で、花の匂いが漂う館内の奥へ、奥へ。

 扉が見えてくる。
 まさかこのまま6号館を出るのではあるまいなと思ったデレの期待を裏切り、
 クックルはニュッ達を留め、1人だけ右側へと逸れた。

 本棚の前に行き、手近な場所にあった梯子を立て掛ける。
 それを上ると、本を探し始めた。

7 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:57:12 ID:V52Kz6tM0
うへへぇ

8 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:59:34 ID:7KP.TRzkO

( ^ν^)「……誰が残る?」

 クックルに聞こえぬよう、小声で――普通の声量で話しても聞こえなさそうな距離だが――
 ニュッがデレ達に訊ねる。

ζ(゚、゚;ζ「ぜ、絶対に残らなきゃいけないんでしょうか、やっぱり」

o川*゚ー゚)o「おとなしく従っておけば、さっさと次に行けるでしょ。
      下手にごねて無駄に時間かけるよりはマシだよ。遮木さんのこともあるし」

ζ(゚、゚;ζ「それはそうだけど……」

( ^ν^)「まあ言うこと聞いたところで、本当に行かせてくれるか分かんねえけどな」

o川*゚ー゚)o「クックルさんは嘘つきません」ζ(゚、゚*ζ

 きっぱり、2人同時に言い切る。

 現実のクックルはそうだろうけど、と反論したニュッだったが、
 最後まで続けずに、呆れたように溜め息をつくと腕を組んだ。

 そこへクックルが戻る。
 3冊ほどの本を抱えていた。

( ^ν^)「……その本が何なんだよ」

( ゚∋゚)「数百年もの間、誰にも選ばれなかった奴らだ」

 「本にもモテない奴がいるもんだな」。クックルが苦笑する。
 それよりデレは、数百年という数字の大きさの方に驚いた。
 何とまあ、壮大な。

9 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:01:23 ID:7KP.TRzkO

( ゚∋゚)「可哀想じゃないか。
     だから、そろそろ誰かに、こいつらの中に入ってほしいと思ったんだ」

( ^ν^)「中にって」

( ゚∋゚)「俺が外から、本に取り込まれないようにする。約束しよう」

 ニュッが睨む。
 クックルは真摯な眼差しで返し、信じてくれと言葉を付け足した。

 ――何にせよ、こちらは時間がない。
 言い合いする暇もない。

ζ(゚、゚*ζ「私が――」

 今度こそ自分が残るべきだと、デレは口を開いた。

 しかし、「残ります」と続けようとした言葉はキュートに阻まれる。

o川*゚ー゚)o「それって全部主人公は女なの?」

( ゚∋゚)「いや。一冊は男が主人公だ」

o川*゚ー゚)o「その本の中に女の子が入ったらどうなる?」

( ゚∋゚)「主人公の相手役になる。男女逆でも同じだ」

o川*゚ー゚)o「そう」

10 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:04:35 ID:7KP.TRzkO

 ――嫌な予感。


o川*゚ー゚)o「じゃあ、私がやってあげる」


 キュートは腰に手を当て、偉そうに言い放った。

 デレが瞠目する。

ζ(゚、゚;ζ「駄目!」

o川*゚ー゚)o「何で?」

 彼女までいなくなってしまうのは、駄目だ。
 だってそうしたら――きっと、この先、ニュッだけが頼りになる。
 キュートがニュッについていった方がいい。

 それに、クックルのことは信用しているが、手違いが起こる可能性だってある。
 もし、そんなことになったら。

11 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:06:04 ID:V52Kz6tM0
ラストってフンイキがががががが

12 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:06:49 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚;ζ「何でって、だって」

 自分の考えを説明したいのに、整然とした文章が口から出てこない。
 泡を食うデレに微笑んで、キュートはデレの手を一度握り、すぐに離した。

o川*゚ー゚)o「大丈夫、クッ……じゃないや、司書の人が何とかしてくれるんだし。
      より可愛い子の方が、本も喜ぶでしょ。
      ――さ、決まり決まり」

ζ(゚、゚;ζ「……」

o川*゚ー゚)o「まだぐだぐだ騒ぐつもりなら本気で怒るよ。
      デレちゃんの無駄な我が侭聞く暇ないんだから。
      ほらニュッ君さん、連れてって」

( ^ν^)「キュートさんってばイケメンですこと」

o川#゚ー゚)o「イケメンじゃなくて美少女でしょうが!!」

( ^ν^)「はいはい美少女美少女。……任せたぞ」

o川*゚ー゚)o「任されました」

13 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:08:49 ID:V52Kz6tM0
美少女やでぇ

14 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:10:57 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚;ζ「あっ」

 ニュッがデレの襟を掴み、扉へ向かう。
 首が絞まって苦しい。

 躓きそうになりながら歩いて、デレは何度もキュートを見た。

( ゚∋゚)「いいのか」

o川*゚ー゚)o「問題なし」

ζ(゚、゚;ζ「……キュートちゃん、ごめん」

o川*゚ー゚)o「何を謝ってんの」

 上部に花の装飾がある取っ手を、ニュッが乱暴に押す。
 一層強い力で外に出され、デレは首を押さえながら、叫ぶように言った。

ζ(゚、゚;ζ「――ちゃんと終わらせるから、待っててね!」

 キュートが手を挙げる。
 それをデレが確認した直後、扉は、閉じた。



*****

15 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:12:25 ID:3F/uDnRQO
キュートちゃんマジ美少女

16 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:12:56 ID:7KP.TRzkO


 出口をしばらく見つめていたキュートは、クックルへ向き直った。

( ゚∋゚)「残ってくれてありがとうな」

o川*゚ー゚)o「ふん。……ねえ」

( ゚∋゚)「何だ?」

o川*゚ー゚)o「ちょっと、頭触らせて」

( ゚∋゚)「何のために」

o川*゚ー゚)o「いいから」

( ゚∋゚)「……まあ、構わないが」

 クックルが屈み、頭をキュートに向ける。
 キュートは、おっかなびっくりといった様子で触れた。

 所々で力を込めながら手を移動させる。

o川*゚ー゚)o「痛いところない?」

( ゚∋゚)「ない」

o川*゚ー゚)o「そう」

 見たところ、傷もない。
 昨日の事故現場の光景がフラッシュバックする。

17 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:14:17 ID:UxqyD.KgO
風呂場から支援

18 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:14:43 ID:4m/j.SzU0
しえ

19 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:14:56 ID:7KP.TRzkO

 クックルは何者なのだろう。
 ツンもだ。彼女も怪しい。

 内藤が「青年」のモデルになっているし、ニュッは「昔」に読んだきりだと言っていたし。
 この物語が書かれたのは、結構前のことだと推測される。
 自分と同年代に見えるツンが、そんな昔に、こういった話を書けるだろうか。

 考えれば考えるほど疑問が沸く。
 だが、不思議と恐怖感はない。

 彼女や彼が何者であれ――クックルは悪人ではないのだから。

 ともかく、早く内藤から説明を受けるためにも、デレ達には急いで演じ終わらせてほしい。

o川*゚ー゚)o「……あ、そうだ」

 肩に掛けた鞄の口を開け、中に手を突っ込む。
 目当てのものを見付けると、それを引っ張り出した。

20 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:17:18 ID:7KP.TRzkO

o川*゚ー゚)o「あげる」

( ゚∋゚)「?」

 紺色の紙に包まれた、小さな長方形の箱をクックルに押しつける。
 昨日渡し損ねたプレゼントだ。

 却って、この状況は良かったかもしれない。
 今のクックルは、キュートに関する記憶がない、半分別人のようなものである。
 これがいつものクックルだったら、恥ずかしすぎて、結局渡せずにいただろう。

o川*゚ー゚)o「プレゼント」

( ゚∋゚)「何で俺に?」

o川*゚ー゚)o「どうだっていいでしょ。
      あとね、ケーキ、美味しかった。多分。
      混乱しながら食べたから、ろくに味は分かんなかったけど。後でもう一回作って」

 一方的に言葉をぶつける。
 不審そうな顔をしながらも、クックルは頷き、箱を受け取った。

o川*゚ー゚)o「じゃ、やりますか」

( ゚∋゚)「ああ……すまん、手が塞がった。これの、一番上の本を取ってくれ」

o川*゚ー゚)o「はい」

 クックルが右腕に抱えている本を言われた通りに取り上げ、それを見下ろした。
 目が眩む。花の匂いが増す。

21 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:20:12 ID:7KP.TRzkO

o川*゚ー゚)o「どれくらいで終わるの」

( ゚∋゚)「その本なら……こっちの世界では、30分くらいだな。
     向こうの世界では、体感――半日だと思う」

o川*゚ー゚)o「半日って長いなあ。短く出来ない?」

( ゚∋゚)「主要な場面だけを抜き出しての時間だ、我慢してくれ。
     ストーリー通りの日数だと1年かかってしまうから」

o川*゚ー゚)o「そ。じゃあ我慢する」

( ゚∋゚)「……ところで、さっきのあいつらみたいに、
     さっさとキスして終わらせるようなことはしないでくれるか。
     それじゃあ本が可哀想だ」

o川*- -)o「分かりましたよっと」

 瞼を下ろす。

 デレ達には強がってみせたが、恐くないわけがない。
 下手をすれば二度と戻ってこれないという危険が付きまとっている。
 何ならクックルの言いつけを破って、すぐにでも終わらせてやりたい。


 ――だが、彼やこの本には悪いが、どれだけ経とうと、自分は結末を迎えはしないだろう。

 誰が好きでもない男にキスなどさせてやるものか。
 こちらからするなど以ての外。

 「可愛い女の子」の唇は、そう安くはないのだ。



*****

22 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:20:53 ID:8hNYzghIO
こういうふいんき切ないっすね たまんない支援

23 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:21:06 ID:crAQsfS20
おぉぉ初遭遇!しえん

24 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:21:16 ID:/k2VmDE.0
言い回しがかっこいい支援

25 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:21:29 ID:HMSTpvHc0
恋する乙女は強くて愛らしくて切ないな

26 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:23:06 ID:7KP.TRzkO


川д川『――あの子、デレちゃんっていったわよねえ……。また会えるかしらあ……――』


( ゚∋゚)『――面白い奴だな、あいつ。長岡デレ。ニュッ君が楽しそうだ――』


ハハ*ロ -ロ)ハ『――さっき、デレがネ、ワタシのセイじゃないッテ言ってくれたノ。
      ニュッ君のタメに書いたんだカラ、ッテ――』


(*・∀・)『――デレちゃんっていい子だね。もっと話したいなあ――』


(#゚;;-゚)ノシ

(*゚ー゚)『――デレちゃんの体エロい、私が男だったらめちゃくちゃにしてやりたい、と
     でぃちゃんが言ってるね。うんうん、私も同感だ!』

(;゚;;-゚) イッテナイ


(´・_ゝ・`)『――デレさん、大丈夫かな。あんな事件に巻き込まれて。
        トラウマにならなきゃいいけど……――』



( ^ν^)『――今日は来てねえのか』

ξ゚听)ξ『誰が?』

( ^ν^)『あの阿呆』

(*^ω^)『何だお何だお、デレちゃんが恋しいかお』

( ^ν^)『死ね』

(*^ω^)『僕もデレちゃん恋しいおー。可愛いおね、あの子――』



#####

27 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:24:12 ID:7KP.TRzkO


川д川『――全部知られちゃったんだあ……離れないでいてくれるかしらあ……』

( ;∀;)『恐がるに決まってんじゃん! 嫌われたかな、もう来ないのかなあ!!』

( ゚∋゚)『館長が言うには、恐がってなかったらしいじゃないか』

( ^ω^)『恐くない、嫌じゃないとは言ってくれたお』

(*゚ー゚)『あのデレちゃんだしねえ。本当に気にしてなさそう』

(#゚;;-゚)) コクコク

ハハ ロ -ロ)ハ『デレなら有り得マス』

(´・_ゝ・`)『また来てくれたらいいね。……ニュッ君、どこ行くの?』

( ^ν^)『……ちょっと電話――』



.

28 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:25:26 ID:7KP.TRzkO


   ζ(゚ー゚*ζ

 長岡デレ。
 初めは、いつもの、本の標的にされた哀れな被害者でしかなかった。

 けれど、図書館に出入りするようになって、作家達と交流していって。
 いつしか、随分と大きな存在になっていた。

 彼女の性格やら何やらと、この図書館の住人達との相性が良かったのかもしれない。

 それは別にいい。
 ツンだって、デレは嫌いではない。

 けれど。


( ^ω^)『――本当に、いい子だお』


 皆の話題にデレが挙がる頻度が増えるにつれ。
 デレとの関係が深くなるにつれ。

 内藤も、デレの名を出す頻度が増えて、デレとの関係を深くしていった。

ξ゚听)ξ

 今まで感じてきたのより、さらに激しい嫉妬がじりじりと燃え上がる。

 内藤が自分に向ける「可愛い」「好き」という言葉と、
 デレに向けるそれとの間に、何か差があるように思えてならなかった。



*****

29 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:27:46 ID:cSGrQ.WM0
支援だ!

30 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:27:48 ID:7KP.TRzkO


( ^ω^)「……本棚が、ないお」

 内藤の目が覚めるのも、これで7度目だ。
 ツンは、本棚の色や形状を訊ねた。

( ^ω^)「5段で、ええと、戸棚と同じような色だお。同じ木で作られたから。
       図鑑や童話や、色んな本が詰め込まれてるお。
       あれは、とっても大切なものだお。あれがないなら僕の部屋じゃないお」

ξ゚听)ξ「なるほどね。ちょっと、目を閉じてごらん」

( ‐ω‐)「お?」

 ペンを下から上へ動かす。

 戸棚の隣に、件の本棚――に似せたもの――が現れた。

31 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:28:57 ID:cEBJBayg0
やっと追いついた支援

32 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:30:24 ID:7KP.TRzkO

ξ゚听)ξ「目を開けて。……あれのこと?」

( ^ω^)「あ……ごめんなさいお、気付かなかったみたいだお。
       まさしく、あれが僕の本棚だお」

ξ゚听)ξ「でしょう。だから、あなたの部屋なのよ」

( ^ω^)「そうなのかお」

ξ゚听)ξ「安心出来た? もう一度、眠っていいのよ」

( ^ω^)「んん、眠気、飛んできたお……」

ξ゚听)ξ「……眠って」


 もう一度。
 もう一度だけ。


 内藤の目の上に、手を翳す。
 一呼吸置いて、声は出さず、頭の中で3つ数えた。

 ――いち。
 に。
 さん。



*****

33 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:32:14 ID:7KP.TRzkO


ζ(゚、゚*ζ「ニュッさん、あんな……さっぱりしてるっていうか、薄情な人でしたっけ」

 とぼとぼと渡り廊下を歩きながら、ニュッの隣でデレが呟いた。
 人聞きの悪い。

( ^ν^)「何で」

ζ(゚、゚*ζ「ショボンさんとキュートちゃんが引き受けたら、あっさり置いてっちゃうし」

( ^ν^)「あの2人、俺が何言ったって聞かねえだろ」

ζ(゚、゚;ζ「……ですね」

( ^ν^)「……まあ、まったく心配してないわけでもねえけど」

 本当は、不安だ。

 言ってしまえば、これは、身内間でのごたごたである。
 ショボンやキュート、デレなど、巻き込まれた不運な部外者以外の何物でもない。

 彼らを危険な目に遭わせるのは不本意だし、申し訳なく思う。
 だが、自分が主人公である以上5号館や6号館に残ることは不可能なわけで、
 仮に残れたとしても、それはそれで3人に責任を丸投げする形になってしまう。

 自分がするべきなのは、ショボンとキュートの無事を祈り、
 一刻も早く物語を終わらせることだ。

 改めて決意を固めたニュッがデレへ顔を向けると、悲しそうな表情をした彼女と目が合った。

34 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:32:54 ID:7KP.TRzkO

( ^ν^)「……何だよ」

ζ(゚、゚*ζ「ごめんなさい……ニュッさんも、そりゃあ、心配してますよね。
      優しいですもんね」

( ^"ν^)

ζ(゚、゚;ζ「て、照れなくていいじゃないですか!
      あっ、ニュッさん、ニュッさん!」

( ^ν^)「あ?」

ζ(゚、゚*ζ「次の、あの、あれ、何なんでしょう」

 抓ろうとするニュッの手を躱しながら、デレが正面を指差す。

 今まで以上に長い廊下。
 ちゃんと近付けているのか判別出来ないほど遠くに扉がある。

( ^ν^)「さあ」

ζ(゚、゚*ζ「本が置かれてるわけじゃないんですよね?
      何でしょう……パソコンがあるとか?」

( ^ν^)「だとしたら雰囲気台無しだな」

ζ(゚、゚*ζ「雰囲気なんて今更って気もしますけどね」

35 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:34:18 ID:7KP.TRzkO

 ニュッは、柄にもなく怯えていた。

 結末が近い。
 どんな終わり方だったろう。

 このまま進んでいって――自分に、ツンをどうにか出来るだろうか。

 ツン。

( ^ν^)(……ツン)

 先のことを考えなければならないのに、ニュッの思考は、過去へと遡っていった。
 7年前。
 あのとき。

 自分が見たことを、正直に内藤達に話していれば。
 もしかしたら、ツンは、昔のまま、明るくいられたかもしれない。

36 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:35:01 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚*ζ「ニュッさん、足止まってますよ」

( ^ν^)「……ん」

 我に返る。

 そもそも、ツンの目的が心中だと決まったわけでもない。
 ここで後込みしても仕様がないことである。



*****

37 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:36:19 ID:7KP.TRzkO


ζ(-、-;ζ「はあ……」

 疲れた。
 扉に凭れ掛かり、デレは息をついた。

 思えば、ずっと歩き通しだ。
 隣で、ニュッも扉へ身を預けて休憩している。

ζ(゚、゚;ζ「ニュッさん大丈夫ですか」

( ^ν^)「……は?」

ζ(゚、゚;ζ「だって貧弱じゃないですか……。足、痛くありません?」

( ^"ν^)

ζ(゚、゚;ζ「痛い痛いいたたたたた足踏まないで踏まないで、私の足が痛い!!」

 束の間の休息を終え、デレは扉から離れた。
 取っ手を見下ろす。

 この先に、ツンがいる?

 作家達は全員出尽くしたし、残るはツンと内藤だ。
 すぐ向こうにツンがいるとしたら――はて、自分はどうしたらいいのだろう。

 説得など出来るか?
 出来たとして、どうやって終わらせればいいのだ。

38 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:40:03 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚;ζ「……」

( ^ν^)「……開けるぞ」

ζ(゚、゚;ζ「あ。……は。は、はいっ!!」

 デレは、ごくりと喉を鳴らし、ニュッと扉を凝視した。
 ニュッが、慎重に、ゆるゆると扉を開く。


 開ききって。
 その先の光景に、デレもニュッも、一瞬、思考が停止した。


 普通の部屋に見えた。
 天井の高さも、明るさも、内装も。

 広さは、学校の一般的な教室ほど。だと思う。
 壁に、ずらりと、普通の大きさの本棚が並んでいる。
 床一面に絨毯が敷かれていた。

 部屋の中央に、机が一つ。
 書類や本が積まれた机で、1人の人間が本を読んでいた。

39 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:40:47 ID:7KP.TRzkO

 その人はデレ達に気付くと、本を閉じ、老眼鏡を外した。

 知っている。
 この人の顔を、デレは、写真で見たことがある。
 この人の話を、デレは、聞いたことがある。



( ´∀`)「――いらっしゃい」


 内藤モナー。

 ニュッ達の、祖父。
 数年前に――死亡した男。



.

40 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:43:44 ID:ooYA4N3Q0
じ、じいちゃん…

41 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:44:23 ID:0uUuZJcY0
ここでモナーか!

42 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:45:00 ID:VCIK8OQAO
追いついた、キュートのプレゼントの 
伏線回収細かいな 
あい変わらす読みやすい文章だ 
支援

43 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:45:13 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚;ζ

ζ(゚、゚;ζ「な、あ、……お、おじいさ……」

( ^ν^)「……祖父ちゃん」

 ニュッが、ぽつりとモナーを呼んだ。
 彼が間違える筈がない。ならば、やはりあの老人はモナーだ。

( ´∀`)「どちら様モナ? ああ、どうぞ入って」

 促され、2人は戸惑いながら入室した。
 ニュッが扉を静かに閉める。

 デレは、ニュッの腕を掴んだ。

ζ(゚、゚;ζ「これって……」

 はっとして、ニュッが俯いた。
 呼吸を二度三度する程度の時間をあけ、顔を上げる。

( ^ν^)「……『本』が作り出したんだ」

ζ(゚、゚;ζ「……じゃあ、本物のお祖父さんじゃないんですね」

( ^ν^)「当たり前だろ。祖父ちゃんは間違いなく死んでんだから」

 ――デレが最初に巻き込まれた事件と同じようなものだ。
 ここにいるモナーは、あのときの女のように、「本」の中から出てきた、純正の登場人物。

44 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:47:02 ID:TCjl4TG20
じっちゃん!

45 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:47:35 ID:7KP.TRzkO

 ツンは図書館の住人達をモデルにしていたらしいから――このモナーは、
 あくまで、モナーをモデルとして作られたキャラクターということになる。

 混乱していた頭が落ち着いてきて、デレは意味もなく頷いた。

ζ(゚、゚;ζ「でも、あれじゃ、本人そのものじゃないですか」

( ^ν^)「『本』が記憶の中から引っ張ってきたんだろ。でなきゃ説明つかねえ」

ζ(゚、゚;ζ「ああ……」

( ´∀`)「2人でこそこそして、どうしたモナ?」

( ^ν^)「いや。……ここは何の部屋だ」

( ´∀`)「館長室モナ。
       もしや、そちらは例の、人間のお客様モナか」

ζ(゚、゚*ζ「は、はい、そうです」

( ´∀`)「よく御無事で。それで、僕に何用モナ」

 モナーは――便宜上モナーと呼ぶ――首を傾げ、机の上で手を組んだ。
 貼りついたような笑みが、彼の思考を欠片も覗かせてくれない。
 声は、どこか突き放すような鋭さを含んでいる。

 デレは実際に会ったことも話したこともないが、内藤から聞いた通りの人だと思った。

46 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:49:25 ID:7KP.TRzkO

( ^ν^)「俺の家族を探してる。魔女に、ここへ連れ去られたんだ」

 たとえそっくりだろうと別人であると割り切っているのか、
 ニュッは、モナーに向かって用件だけを口にする。
 しかし多少とも動揺はしているらしく、モナーを真っ直ぐ見ようとはしなかった。

( ´∀`)「君の家族とやらは、男モナ?」

( ^ν^)「ああ」

( ´∀`)「なら、少し前に来たモナね。
       望む本が見付からない、他に何かないか、とか言ってたモナ」

ζ(゚、゚;ζ「その人達、それからどうしたんですか!」

( ´∀`)「上に行ったモナ」

 モナーが天井を指差す。
 そこには明かりがぶら下がっているだけだ。

ζ(゚、゚*ζ「上?」

( ´∀`)「本がないなら、自分で書いてしまえばいいとアドバイスしたモナよ。
       そしたら乗り気だったから、上の部屋を貸してやったんだモナ」

( ^ν^)「……どうやって行けばいい」

( ´∀`)「そっちに出れば、階段があるモナ」

 モナーの指先が、今度は、デレ達がいるのとは反対側の壁を示す。
 そちらにも扉があった。

47 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:50:37 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚*ζ「行ってもいいですか?」

( ´∀`)「いいけど、行ってどうするモナ」

ζ(゚、゚*ζ「止めるんです」

 沈黙。

 モナーは表情を変えぬまま、ふ、と息を漏らした。

( ´∀`)「――君達が、そんなことをしても許される道理があるモナ?」

ζ(゚、゚;ζ「どっ、道理ですか?」

( ´∀`)「幸せになれそうな者の邪魔をする権利が、どこにあるモナ。
       どうせ彼女が魔女である以上、この世界にいる限り人間と結ばれることはないし。
       ならば本の世界に旅立たせてやるのが、彼女のためじゃないモナか」

ζ(゚、゚;ζ「……」

 ――ツンの幸せだけを考えれば、たしかに、モナーの言う通りである。
 この物語の世界にしても、現実世界にしても。

 だからこそ、デレ達は焦っているわけで。

48 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:52:42 ID:7KP.TRzkO

( ^ν^)「そんなもん、幸せなのは魔女だけじゃねえか」

( ´∀`)「でも彼女の邪魔をすれば彼女は幸せになれない」

( ^ν^)「そいつを優先させたら、俺の家族や、……俺が幸せになれねえ」

( ´∀`)「はは、得てしてそういうものモナね。
       丸く収まって全員ハッピーエンド、なんてフィクションの中だけモナ」

 モナーは、積まれた本をぽんぽんと叩いた。
 ニュッが彼の手元を睨みつける。

( ´∀`)「逆に、君達の幸せを優先させたところで、
       願い通りの結果になるとも限らんモナよ」

( ´∀`)「僕だって、自身の経験で痛感してるモナ。
       よかれと思って人のためにした行動が、
       結局、後々に悪い方へ転がったことがあるモナからね」

 モナーの声音が心持ち下がった。
 からかいや煽りより、何かを訴えかけているような。

 違和感。

49 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:54:09 ID:7KP.TRzkO

( ´∀`)「改めて考えてみて、君は、どちらを選ぶモナ?
       魔女1人の幸せと、君や家族の幸せ――」

 モナーとニュッが黙し、静寂が訪れた。

 「本」の設定からすれば、ニュッ――主人公が魔女に肩入れする必要はない。
 けれども、ニュッはニュッだ。
 ツンも内藤も、彼の家族である。

( ^ν^)「……」

 演じているだけなのだから、本来の台詞通りであろう「家族」、内藤だと答えればいい。
 しかしニュッは答えない。

 彼の心情は、デレにも辛うじて察しがついた。

 ここでツンを見捨て、内藤を選ぶと断言してしまうのが嫌なのだろう。
 たとえ演技であっても。

50 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 21:58:12 ID:7KP.TRzkO

( ´∀`)「……どうしたモナ? こうしている内にも魔女は2階で話を書き進めているモナ。
       もしかしたら、もう書き終えているかもしれないけど」

 急かされる。

 デレは気付かぬ内に唇を噛み締めていた。

 早く答えなければいけない。
 けれど――答えてほしくない。

 ニュッの口から、ツンを、あるいは内藤を見放す発言が出てくるのは、何だか、嫌だ。

 そもそもどちらかしか選べないのがおかしい。
 どちらかは諦めなければならないのがおかしい。

 デレが。
 デレが望むのは――

51 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:00:52 ID:7KP.TRzkO

( ^ν^)「俺は」

ζ(゚、゚;ζ「――どっちもです!!」

 ようやく口を開いたニュッの答えは、デレの怒鳴り声めいた叫びに妨害された。

 モナーの笑みに何かが混じり、変化する。
 それがどんな感情を表しているのか、デレには分からなかった。

( ^ν^)「……おい」

ζ(゚、゚;ζ「どっちも、し、幸せになれるように、します」

( ´∀`)「……僕は言ったモナよ。全員が幸せになるのは無理な話だと」

 冷然とした反論に、デレの頭が、かっと熱くなる。

 「本」の中の魔女と青年にしろ。
 現実世界でのツンと内藤にしろ。
 どうして、当人も周りも、悲観的な考え方しか出来ないのだろう。

 考えすぎではないか。

 もっと――もっと。
 子供くさく、馬鹿らしく、単純に考えられないのか。

52 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:01:42 ID:bPt9G4yw0
ここで主人公か

53 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:03:07 ID:ooYA4N3Q0
流石のデレちゃん

54 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:03:41 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚*ζ「何で無理なんです?」

( ´∀`)「魔法使いと人間は、見た目は似ていようと、根本的に違う生き物モナ。
       そんな2人が、どうして幸せになれるモナ」

ζ(゚、゚*ζ「……どっちも、一緒じゃないですか……」

 「どこが」。
 そう問い掛けるモナーの声は、デレの答えを待ち侘びているようだった。

ζ(゚、゚*ζ「ご飯、食べるし……好きな食べ物とかあるし、寝るし、
      いっぱい動いたら疲れるし、いいことも悪いこともするし……」

( ´∀`)「……魔法使いの生死は少し変わっているモナ。
       生まれ方や死に方すら人間と違っていても、一緒モナ?」

ζ(゚、゚*ζ「最初と最後が違うだけじゃないですか」


 生き方は同じだ。

 始まりの一瞬と終わりの一瞬だけが違ったところで、何だというのだ。
 それよりも遥かに長い時間、「作家」もツンも、人間と同じように生きるではないか。

55 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:04:02 ID:/k2VmDE.0
こういうときの馬鹿はかっこいいし強いよね

56 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:05:59 ID:Cpy0ze9.0
支援

57 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:06:41 ID:7KP.TRzkO

 一部に差異があっても大部分が一緒なら、結局、何ら変わりない。

 そんな考え方でいい。
 頭の悪い結論でいい。


( ^ν^)「……――」

 同意を求めてニュッに視線を遣ると、何とも言えぬ顔をしていた。
 途端、デレの自信が小さくなっていく。

ζ(゚、゚;ζ「ま、間違ってますか? やっぱり駄目なんですか?」

( ^ν^)「いや……」

 そこへ笑い声が降ってきた。
 モナーだ。

 席を立ち、扉の方へ歩き出す。

( ´∀`)「みんな、それくらい頭が悪けりゃ良かったモナね」

 モナーは何の飾りもない取っ手を引き、扉を開け放した。

 向こうには、大理石のような、斑紋の美しい階段がある。
 あれを上れば、今度こそツンがいる。

58 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:06:54 ID:V52Kz6tM0
ええなあ

59 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:08:13 ID:7KP.TRzkO

( ´∀`)「行くといいモナ。
       くれぐれも、あの魔女の動向には気を付けるモナよ」

ζ(゚、゚*ζ「どう気を付ければいいんですか……」

( ´∀`)「あの子は青年が大好きモナ。
       ……自分の幸せなんて簡単に捨て去ってしまえるくらいに」

 声を低めた最後の一言。

 それを聞いた途端、

( ^ν^)「……!」

ζ(゚、゚;ζ「あっ……ニュッさん!?」

 ニュッが駆け出した。

 一目散に出口を抜け、階段を上る。
 あまりにも唐突だったために固まってしまったデレも、慌てて後に続いた。

 扉の隣に立っているモナーへ一礼し、彼の前を通り過ぎる。

ζ(゚、゚;ζ「し、失礼します!」

( ´∀`)「行ってらっしゃい」

60 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:09:11 ID:7KP.TRzkO





( ´∀`)「うちの孫達と、その家族を、よろしく頼むモナ」





ζ(゚、゚*ζ



 振り返る。
 それと同時に、扉は閉まってしまった。

61 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:09:24 ID:ooYA4N3Q0
いい子だなあ、本当に

62 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:10:48 ID:eVwBBFOA0
本物のじいちゃん?

63 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:11:47 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚*ζ「……」

 空耳。気のせい。――それとも。

 しばし扉を見つめていたデレは、ニュッを思い出し、階段へ意識を向け直した。

( ^ν^)

ζ(゚、゚;ζ「……何してんですかニュッさん」

 踊り場でニュッが膝をついている。

 彼のもとへ追いついてみると、ニュッは僅かに息を切らしていた。

 階段を駆け上って疲れたらしい。
 どれだけ貧弱なのか。

ζ(゚、゚;ζ「ニュッさん、これ終わったら、もう少し体鍛えましょ?」

( ^ν^)「本が読める程度の筋力さえあればいい……」

ζ(゚、゚;ζ「それは……」

 今以上に弱くなられても困る。
 ニュッの息が整うのを待って、2人は早足気味に階段を上がり始めた。



*****

64 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:12:52 ID:7KP.TRzkO
10分ほど休憩しま

65 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:13:04 ID:37lYifdcO
ニュッ君はやっぱりニュッ君だったか…www

66 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:13:51 ID:2sNhYqS2O
うおおおおあああああああ…
なんだこの気持ち寂しい

67 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:14:01 ID:ooYA4N3Q0
了解、ゆっくりやすんでいってね!

68 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:14:18 ID:AtcWULWM0
もう終わっちゃうのかあぁぁぁぁ
しえええええん

69 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:14:37 ID:FQtehczg0
面白いなぁ
無理せず投下してくれ

70 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:14:45 ID:Y2hE.ayo0
一旦乙。
最後まで見届けてみせる

71 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:15:36 ID:V52Kz6tM0
わくわくがとまらん

72 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:15:46 ID:eVwBBFOA0
ニュッ君貧弱すぎるw
一応二十歳くらいなんだよな?

73 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:17:00 ID:VaUCiwp20
ぐおおおおお
続きが気になるが終わってほしくない…

74 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:19:56 ID:90NHMKTY0
ニュッくん体力無さすぎだろ……そんなんじゃいざ本番ってときにすぐに全精力使い果たすぞ
あ、本番ってのはもちろんせkk
うわなにをするやm

75 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:20:59 ID:VCIK8OQAO
おばかのキャラをこんな場面で使うなんて 
やっぱ書ける人はすげぇや 
支援

76 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:21:13 ID:3F/uDnRQO
おうおうゆっくり休んでくれ

77 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:21:35 ID:h/QSgF2g0
かっこつかない主人公とかっこいいバカw

78 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:22:25 ID:ywu2Dg9oO
いいなあ。
このモナー、いいなあ。

79 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:22:51 ID:7KP.TRzkO
>>72
( ^ν^) ←21歳の立派な成人男性です

再開しま

80 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:23:15 ID:/k2VmDE.0
デレかわいいよデレ
馬鹿万歳

81 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:24:00 ID:bPt9G4yw0
やっぱりモナーは全部お見通しってことか

82 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:24:32 ID:7KP.TRzkO


 ツンのペンが止まる。
 内藤が唸り、瞼を持ち上げる。

( ^ω^)「……」

ξ゚听)ξ「……おはよう」

( ^ω^)「魔女さん……」

ξ゚听)ξ「ん?」

 内藤が、か細い声でツンを呼んだ。

 あちこち確認するように視線を彷徨わせ、最後に、ツンを見る。

( ^ω^)「本棚で、思い出したんだけど……」

ξ゚听)ξ「今度は何がないの?」

 次に内藤が何を言うか、ツンは知っている。
 それにより「魔女」が何を思うかも知っている。


( ^ω^)「――僕の家族がいないお」


 これが、最後の問答。


.

83 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:24:43 ID:h/QSgF2g0
ニュッくんと同い年だたw
うれ支援

84 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:26:13 ID:V52Kz6tM0
ごくり

85 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:28:10 ID:7KP.TRzkO

ξ゚听)ξ「……」

( ^ω^)「歳が離れてて……弟みたいなもんなんだお。
       本が好きで、照れ屋で素直じゃないけど、いい子なんだお。
       あの子がいないなら、やっぱり――」

ξ゚听)ξ「……私が一緒じゃ、駄目?」

 内藤は上体を起こし、困ったように笑った。
 ゆるりと首を振る。

( ^ω^)「魔女さんのことは嫌いじゃないけど、あの子と違うお」

ξ゚听)ξ「私が――ずっと一緒にいるって言っても?
      その子はいずれ自立して、あなたから離れるのよ。
      だけど私は、いつまでもあなたの傍にいるわ」

( ^ω^)「あの子が自立するまで、……自立しても見守っていたいお。
       家族なんだから」

ξ゚听)ξ「私とは家族になってくれないの?」

( ^ω^)「僕と魔女さんは、家族になれないお。人間と魔法使いは一緒にいられないお」

 そう言うと、内藤は、ツンの頬に手を伸ばした。
 何かを拭うように、指先が目尻をなぞる。

86 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:30:12 ID:7KP.TRzkO

( ^ω^)「どうして泣くんだお、魔女さん」

ξ゚听)ξ「……」

 ツンは泣いていない。

 彼女が何を言おうと何をしようと――本来とは違う行動に出ようと、
 内藤だけは台本通りに動かすように、「本」に言いつけておいた。

 ツンが実際には泣いていなかろうが、内藤は涙を拭う仕草をするし、
 ツンが実際とは異なる言葉を吐こうが、内藤は決められた台詞を口にする。

ξ゚听)ξ「ブーン」

( ^ω^)「泣かないでくれお、魔女さん」

ξ゚听)ξ「ブーン、好きよ」

( ^ω^)「そうだ、美味しいものでも食べれば泣き止むお」

ξ゚听)ξ「好きなの」

( ^ω^)「魔女さん、クッキーは嫌いかお?
       とっても美味しいクッキーを売ってるお店があるんだお」

ξ゚听)ξ「私ね、どうしたらブーンと一緒にいられるか、いつも考えてたの。昔ね。
      それで――この話を書いたのよ。答えを出したくて」

( ^ω^)「そうそう、お祭りにも出てた、あのお店だお。行ってみないかお?
       お店じゃなくても、外を散歩すれば気分が晴れるかもしれないお」

87 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:31:08 ID:eVwBBFOA0
何かシュールだ

88 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:31:26 ID:V52Kz6tM0
うああ

89 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:33:18 ID:7KP.TRzkO

ξ゚听)ξ「でも出てこなかった。幸せに一緒にいられる方法なんて、何も思い浮かばなかったの。
      ブーンは人間で、私は人間じゃないもの。
      ……そもそもモナーさんが死ねば私も死ぬ運命だしね。初めから無理な話だったわ」

(;^ω^)「ああ、泣き止まないおー。一体どうしたんだお、魔女さん」

ξ゚听)ξ「なのに、いざモナーさんが亡くなってみれば、私ってば生き残っちゃったのよ。
      ブーンが信じてくれるか分からないけれど、私、モナーさんには脅迫も何もしてないわ。
      彼自ら、本に何か書き込んでたの」

(;^ω^)「よ、よしよし、泣いちゃ駄目だお」

ξ゚听)ξ「多分……みんなの世話をするように、私の寿命を延ばしてくれたのね。
      死亡の条件はニュッ君に合わせてるんじゃないかしら」

 噛み合わない会話。

 ずるい。
 こうでもなければ弁明する勇気も出ない自分は、小心者だ。

ξ゚听)ξ「おかげで形だけはブーンの傍にいられるようになった。
      けれど、もう駄目だわ。限界だわ。
      取り返しがつかないのよ」

ξ゚听)ξ「これ以上待ってても、いつか完璧に崩れてしまうだけだわ。きっと。
      だって、解決出来るタイミングを全て逃してしまったんだもの」

ξ゚听)ξ「だから、いっそ――」



*****

90 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:34:08 ID:VCIK8OQAO
偽り終わったし、あとはこれ一本だ 
支援

91 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:34:51 ID:h/QSgF2g0
だめだぁあ

92 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:35:07 ID:7KP.TRzkO


( ^ν^)「思い出した」

 どうして先程は急に走り出したのか、というデレの問いに、ニュッは上記のように返した。
 それだけでは満足に理解出来ない。

ζ(゚、゚*ζ「何をですか?」

( ^ν^)「結末」

ζ(゚、゚;ζ「……ええっ!! それを早く言ってくださいよ!」

 4つ目の踊り場を通過する。
 いつ上階に辿り着くだろう。まだまだ階段は長そうだ。
 あまり長いと、またニュッがばててしまいそうなので勘弁してほしい。

ζ(゚、゚;ζ「で、どんなオチなんです?」

 彼が慌てるくらいだから、やはりそれ相応に、おめでたいものではなかろう。
 質問への答えは、デレの想像通りのものだった。
 想像通りといっても、半分だけ。

( ^ν^)「やっぱり死人が出る」

ζ(゚、゚;ζ「……うう……」

( ^ν^)「ただ――」

93 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:36:03 ID:bPt9G4yw0
やっぱりツンは……

94 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:36:06 ID:7KP.TRzkO



( ^ν^)「死ぬのは、魔女1人だ」



*****

95 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:36:43 ID:37lYifdcO
うああ

96 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:36:49 ID:7KP.TRzkO


ξ゚听)ξ



 いっそ、自分がいなくなってしまえ。





.

97 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:37:26 ID:UxqyD.KgO
支援

98 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:37:41 ID:i8RoXdZs0
(´;ω;`)ブワッ

99 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:37:42 ID:7KP.TRzkO


#####


 『 魔女は悲しくなってしまいました。 』

 『 青年を本の中に連れていっても、そこに彼の家族がいなければ、
   彼は幸せになってくれません。 』

 『 こればっかりは、偽物なんかでは誤魔化せないでしょう。 』

 『 ならば彼の家族諸共連れていってはどうだろう。
   いいえ、それでは意味がありません。 』


 『 結局、二人が結ばれることは、叶わない夢だったのです。 』


#####


.

100 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:38:19 ID:UioBVaio0
馬鹿野郎...。

101 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:39:10 ID:Y2hE.ayo0
それは駄目じゃん

102 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:39:22 ID:7KP.TRzkO


 ツンは先程まで書き込んでいたノートを閉じた。
 ペンでつつくと、ぱちんと軽やかな音を立ててノートが消える。

( ^ω^)「……魔女さん、どうしたお?」

 時計、テーブル、椅子――歩き回りながら、それらも同様に消していく。
 ついに、元の、真っ白な空間に戻ってしまった。

 最後に机を突く。
 すっと床に溶けるように崩れ、何もかも、なくなった。

ξ゚听)ξ「今までごめんなさい、ブーン。
      結局あなたが私をどう思っていたのかは分からなかったけれど、
      でも、……少なくともあなたの重荷になっていたのは確かだわ」

ξ゚听)ξ「もう、解放してあげる」



 賭けだ。

 自分の「本」を燃やさず、ニュッの死を待つこともなく。
 自分1人だけ、この世から消えられる――かもしれない、賭け。

103 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:41:46 ID:jQJM7mNg0
oh...

104 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:43:55 ID:crAQsfS20
(´;ω;`)ウッウッ

105 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:44:49 ID:7KP.TRzkO

 物語の中で、魔女は死ぬ。

 「演じている」のではなく「演じさせられている」状況、
 しかも、これほど現実と本の世界が混ざり合っている今ならば。

 魔女の――ツンの死が、現実にも反映される見込みはある。


 そうすれば。
 自分の命を司る本は残るから、多分、また新たな「ツン」が生み出されるだろう。

 その「ツン」は、内藤やニュッのことを知らない。
 モナーを見殺しにしたこともない。

 昔通りの、「ツン」だ。

 みんなの世話は、そいつに任せよう。
 それがいい。


( ^ω^)「魔女さん?」

ξ゚听)ξ「もう、来るかしら」


 いやはや、過去の自分に感謝だ。
 内藤との幸せを考えるために書いて、結局上手くいかなくて、
 やけくそになって書いた結末が――今こうして役立つとは。

106 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:46:38 ID:7KP.TRzkO



 そのとき。
 背後のドアが、開かれた。



 ――やっと来た。





*****

107 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:47:38 ID:VCIK8OQAO
支援

108 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:47:50 ID:7KP.TRzkO



 長い長い階段を上り終え、デレとニュッは、ようやくドアの前に到着した。
 今まで見てきた扉と違い、そう大きくはない白いドア。

 疲れた。足が怠い。
 だが、もはや休む暇はない。

 デレは、ニュッよりも先にノブに手を伸ばし、勢いよくドアを開けた。


ζ(゚、゚;ζ「つ、ツン、ちゃん!」

ξ゚听)ξ「……こんにちは、デレ」


 いた。

 何もない真っ白な部屋。
 どこが壁か、どこが床かの区別もつかない。

 そこに、ツンと内藤はいた。
 内藤は座り、ツンは立ち尽くしている。

109 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:50:40 ID:eVwBBFOA0
さあどうなる

110 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:51:08 ID:7KP.TRzkO

( ^ν^)「……兄ちゃん、ツン」

( ^ω^)「あ……。魔女さん魔女さん、あいつが僕の家族だお」

 気の抜けた笑顔で内藤が言う。
 彼も作家達のように、キャラクターになりきっているようだ。

 デレ達は部屋に入り、ドアを閉めた。
 ツンとの間合いをとる。
 立っているんだか浮いているんだか、よく分からない。

ξ゚听)ξ「お疲れ様。ニュッ君とデレが残ったのね。
      『本』の通りだったら、ニュッ君とショボンだった筈だけれど」

( ^ν^)「……ショボンは5号館だ」

ξ゚听)ξ「そう。まあ、その辺は『本』には細かく指定しなかったからね。
      あ、もう1人は誰が演じてたの?」

( ^ν^)「キュート」

ξ゚听)ξ「ああ、キュート……6号館にいるのね。
      ……彼らのためにも、早く終わらせなきゃ」

ζ(゚、゚;ζ「……!」

 終わらせる。
 ――ツンが、死ぬ。

111 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:53:08 ID:bPt9G4yw0
がんばれ主人公

112 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:54:15 ID:7KP.TRzkO

ξ゚听)ξ「そういえば、モナーさん見た? びっくりしちゃった。本物そっくり――」

ζ(゚、゚;ζ「何で! ツンちゃん、何で、こんなことするの!」

ξ゚听)ξ「……こんなことって?」

ζ(゚、゚;ζ「……し、死んじゃうんでしょ?
      どうして……。……内藤さん、ツンちゃんのこと好きだよ。
      嫌ってなんかないよ!」

ξ゚听)ξ「分からないじゃない」

ζ(゚、゚;ζ「……分かるもん」

( ^ν^)「好きでもねえ奴に、あんだけ可愛い可愛い言うかよ」

ξ゚听)ξ「言うでしょ、ブーンは」

ζ(゚、゚;ζ「言、……う、ね」

( ^ν^)「……言うな」

 言う。言いまくる。
 満場一致だ。

 この女好きめ。
 デレは、ぼうっとしている内藤を睨んだ。
 内藤が初めからツンにだけアピールしていれば、ややこしくなんかならなかったものを。

113 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:55:48 ID:UxqyD.KgO
布団から支援

114 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:56:14 ID:ZDH.9AVEO
ブーンwwwww

115 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:57:57 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚;ζ「でもツンちゃんが一番可愛いとも言って……」

ξ゚听)ξ「本気かどうか証明出来るの?」

ζ(゚、゚;ζ「そっ……そんな風に言われたらどうしようもないよ!」

ξ゚听)ξ「そうね。こっちも、どうしようもないわ」

 ツンが内藤を見遣る。
 彼女の瞳からは、相変わらず感情が読めない。

ξ゚听)ξ「辛いの。苦しいの。この先ずっと、ずっと――こんな思いをするなら、
      もう、いなくなっちゃいたい」

( ^ν^)「それで本まで持ち出して、こんな騒ぎにしてくれたのか」

ξ゚听)ξ「ええ」

ζ(゚、゚;ζ「何が辛いの? ……何が苦しいの」

( ^ν^)「……祖父ちゃんのこと、まだ気にしてんのか」

ξ゚听)ξ「実はね、そのこと、昔ほどは悩まなくなったの。後悔はたくさんしてるけれど。
      私が悪いんだっていう結論から、その先に進展しないんだもの」

ζ(゚、゚;ζ「じゃあ」

ξ゚听)ξ「ただ、ブーンの傍にいるのが嫌になっちゃったわ。
      ……語弊があるかしら。
      ブーンの傍にいても、もう、仕方がないって思ったの」

116 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 22:58:34 ID:AtcWULWM0
F5連打

117 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:00:15 ID:0uUuZJcY0
しえんしえん

118 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:01:43 ID:7KP.TRzkO

 ニュッが怪訝そうに眉を顰める。
 デレも似たような表情をした。

( ^ν^)「仕方ないって、何が」

ξ゚听)ξ「ブーンには好きになってもらえないし……私は嫉妬するばっかりだし」

ζ(゚、゚;ζ「……だからっ、内藤さんはツンちゃんのこと好きだってば!
      証明は出来ないけど……」

ξ゚听)ξ「誰が私を好きになるのよ」

ζ(゚、゚;ζ「え」

 ツンの眼光が鋭くなったように思えた。
 突き刺さるような、という表現がよくあるが、まさにそれである。

ξ゚听)ξ「何年も何十年も外見が変わらなくて気味が悪いし、
      モナーさんを見殺しにしたし、嫉妬深いし、……性格だって最悪よ」

( ^ν^)「見殺しってな、お前……」

ζ(゚、゚;ζ「内藤さんは、ツンちゃん悪くないって言ったよ。
      ……や、八つ当たりで、あんな……酷いこと、言っちゃったみたいだけど」

ξ゚听)ξ「……そう。でもブーンの言ったことは正しかったわ。
      ――何だ、八つ当たりだったの。良かった、最後に知れて」

ζ(゚皿゚;ζ「だぁあっから……! 死ぬ必要ないっつってるでしょうが!
      最後とか言うな! 苛々してきた!! 分からず屋!」

( ^ν^)「デレ。顔。顔」

119 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:03:42 ID:eVwBBFOA0
エクストの回以来の表情だなw

120 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:05:17 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚皿゚;ζ「何か言ってよ、内藤さん!!」

( ^ω^)「……」

 内藤は先程から何も喋らず、にこにこしながらツンを見つめている。
 物語の展開上、ここでは内藤の台詞がないのだろうか。

 いつもの内藤に戻って、昨日デレに話したことをツンにも話してほしい。
 でなければ、きっとツンは納得しない。
 だが、内藤を正常にするには、この現状を何とかしなければいけないのである。

ζ(゚皿゚;ζ「……外見が変わらないから何さ!
      世の中にゃ年食っても見た目だけは若い人だっているじゃん!
      そんでもってツンちゃんのどこが性格悪いの!? いい子のくせに!!」

ξ゚听)ξ

ζ(゚皿゚;ζ「……うっ」

 ツンが放つ気配が、嫌な冷気を孕む。

 ぞくり、肌が粟立った。

ξ゚听)ξ「悪いわよ」

ζ(゚、゚;ζ「悪くない……」

ξ゚听)ξ「悪いわ」

 ツンの瞳が、デレの足に向けられた。
 ニュッとデレも、つい視線を追う。

121 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:07:10 ID:7KP.TRzkO

ξ゚听)ξ「若菜家で一緒にお風呂に入ったわね」

ζ(゚、゚;ζ「う、うん」

 若菜家。ショボンが大暴れ、もとい活躍した殺人事件の舞台となった家だ。

 そこに一泊するということになった折、ツンとデレは共に若菜家の風呂を借りた。
 そういえば、あのとき、ツンが妙な反応をしていた。
 彼女にしては珍しく、顔を不快そうに歪め、突然「ごめんなさい」などと謝ったのだ。

ξ゚听)ξ「デレの傷跡を見て、私、何を思ったか分かる?」

ζ(゚、゚*ζ「……さあ」

ξ゚听)ξ「――何て醜いんだろうと思ったわ」

 落ちた言葉。
 デレの胸に、小さな痛みが生じた。
 傷跡のことを気にしてはいないつもりだったが、そんな風に言われるのは、やはり、悲しい。

 ニュッがデレの肩に手を乗せる。
 何か言おうとしたようだったが、そのまま手を下ろした。

122 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:07:36 ID:bPt9G4yw0
結局ブーンをなんとかしないとツンは曲がらないなこりゃ

123 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:08:42 ID:7KP.TRzkO

ξ゚听)ξ「同時に優越感を覚えたの。
      デレの傷跡はずっと残るけれど、私はどんな怪我をしたってすぐに消える。
      ブーンの前で、常に綺麗なままでいられるんだ、って」

ξ゚听)ξ「……すぐに我に返って、絶望したわ。醜いのは私の方じゃない。
      どんなに見た目が綺麗でも、こんな――内面が醜かったら、
      誰からも好かれる筈がないわ」

ζ(゚、゚;ζ「でも、……ほら、嫉妬なんて誰でもするでしょ?
      ツンちゃんだけ特別に悪いわけじゃないし」

ξ゚听)ξ「……デレは、私のために必死になってくれてるのね」

ζ(゚、゚;ζ「そりゃ……」

ξ゚听)ξ「――ますます苦しくなるわ。デレみたいになりたかった」

ζ(゚、゚;ζ「……」

 そんなことを言われては、もう、何も出来なくなってしまう。
 説得が逆効果だなんて、堪ったものではない。

124 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:09:51 ID:7KP.TRzkO

( ^ν^)「……いい加減にしろ」

ξ゚听)ξ「ん?」

( ^ν^)「俺らが何でお前を止めてるか分かんねえのか。
       お前に死んでほしくないから止めてるんじゃねえか。
       ――……嫌いじゃないから止めてんだろうが」

ζ(゚、゚;ζ「……! そ、そう! そう!! 私ツンちゃん好きだよ!!」

 ニュッの言葉に、何度も頷いてみせる。

 酷いことを言われようと、彼女の本音を知ろうと、嫌いにはなれない。
 彼女がいなくなるのを、寂しいと思う。

ξ゚听)ξ「……嬉しいけれど、それじゃあ、足りないわ」

ζ(゚、゚;ζ「内藤さんだってツンちゃん好き……あああっ、もう! 何回言わせるの!!」

 何か物でも持っていたら、思い切り地面に叩きつけているところだ。
 いや、下手をすればツンに投げつけている。

 とにかく腹が立って腹が立って仕方がない。
 少しくらい、こちらの言い分について考えてくれたっていいではないか。

125 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:11:38 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚#ζ「ツンちゃんの馬鹿! ばーか!!」

ξ゚听)ξ「どこの小学生よ」

( ^ν^)「今時の小学生の方がマシだわ」

ζ(゚、゚#ζ「皮肉言ってる暇ありますかニュッさん!!」

 ニュッにまで噛みつくデレ。
 ツンは溜め息を漏らすと、金色のペンを持っている右手を挙げ、素早く振り下ろした。
 それから2人に背を向け、何歩か前進する。

ζ(゚、゚*ζ「……ツンちゃん?」

( ^ν^)「ツン」

 どこに行くの、という疑問を含めたデレの声とは対称的に、
 ニュッの声は、ツンの目的を知った上で、それを咎めるような色があった。

 ニュッが身じろぎする。
 足元を見下ろし、顔を顰めた。

( ^ν^)「動かねえ……」

ζ(゚、゚;ζ「えっ、あ、やだっ、うわっ! ツンちゃん何したの!!」

 ぎょっとする。
 太ももから下が、凍りついたように動かない。

126 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:13:13 ID:3Jlk/zNEO
ツンちゃんマンドクセwwwww

127 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:15:10 ID:7KP.TRzkO

ξ゚听)ξ「――2人共、大事なことを忘れているようだけれど」

 ツンが、先程のペンを再び振り上げた。
 何もない空間に、四角形を描くように腕を動かす。

 すると、入口のものによく似たドアが出現した。

ξ゚听)ξ「私の気が変わったとして、それからどうするつもり?
      私が死ななければ終わらないのよ」

ζ(゚、゚;ζ「……それは、……あのう……結末、書き足せば」

ξ゚听)ξ「そっか。それもそうね。
      ――じゃあ、気が変わらない内に終わらせなきゃ」

 ドアを開ける。

 途端、びゅうびゅうと音が聞こえるほどに激しい風が入り込んだ。
 デレの髪が風に揺れる。

 向こう側は、外だ。

 デレは、自分とニュッが上ってきた階段の長さを思い返し、青ざめた。


 ここは――地上から、離れすぎている。



*****

128 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:16:57 ID:7KP.TRzkO


(´・ω・`)「……」

(´・_ゝ・`)「徐々に解答にかける時間が長くなってきたね」

(´・ω・`)「ぶっ通しで考え続けりゃ、そりゃあね」

 5号館。
 ショボンは指を折り、いち、に、と呟いた。

 これで20問目だ。
 疲労と頭痛は増すばかり。頭の回転だって鈍りもしよう。

 机の上、妙に大きな砂時計の砂が全て落ちきった。
 デミタスが砂時計を引っくり返す。

(´・_ゝ・`)「さあ、あと2回砂が落ちきったら時間切れだ」

(´・ω・`)「分かってるよ。
      ……せめてメモでもとれりゃ、考えやすいんだけど」

(´・_ゝ・`)「手首のベルトは外してあげられないよ」

(´-ω-`)「くそったれ」

 目を伏せる。
 糖分が欲しい。
 こんなことなら、デレのケーキをもっと食べてくれば良かった。

129 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:17:52 ID:7KP.TRzkO

(´-ω-`)(……やっべえなあ……)

 思考がまとまらない。
 そろそろ――本格的に、死を意識しなければならないだろうか。



*****

130 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:18:55 ID:V52Kz6tM0
ショボンさんマジ固湯で

131 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:20:07 ID:7KP.TRzkO


( ゚∋゚)「……」

 クックルは、箱の中から取り出したものを頭上に翳した。

 万年筆。
 自分の大きな手に丁度いいサイズだ。

( ゚∋゚)(何で俺にくれたんだ……?)

 これをくれた少女の顔を思い浮かべる。

 彼女を、前から知っている。気がする。何となく。
 会ったことなどある筈がないのだが。

 丁寧に箱にしまい、花瓶の隣に置く。

 それから、例の少女が入っていった本を拾い上げた。

( ゚∋゚)(遅いな)

 30分は、とうに過ぎている。
 いくら自分がコントロールしているといっても、長時間篭っていれば、
 いずれ本に食われてしまう。

 まあ、そうなったらそうなったで、自分にとっても本にとっても、悪いことではない。

( ゚∋゚)(――……)



*****

132 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:23:25 ID:7KP.TRzkO



( ^ω^)「魔女さん、どこに行くんだお?」

ξ゚听)ξ「ちょっとね、空を飛んでくるわ」

(*^ω^)「おおー、さすが魔女さんだお」

ζ(゚、゚#ζ「呑気に拍手してる場合じゃないって内藤さん!」

(;^ν^)「ツン!!」

 ばさばさ、ツンの髪や服が風に吹かれている。
 彼女が掴んでいるドア枠を離せば、その瞬間落ちていってしまうだろう。

 ニュッの叫びに、ツンは、背後を見返った。

ξ゚听)ξ「じゃあね。私が落ちても、下を見ちゃ駄目よ。
      酷い姿になってそうだから」

ζ(゚、゚;ζ「そっ……そういう気遣いするくらいならやめてよ!」

ξ゚听)ξ「デレ、さっきまでの私の話聞いてた?」

ζ(゚、゚;ζ「……つ、ツンちゃん死ぬの、やだ……」

ξ゚听)ξ「……なら、せいぜい、私が奇跡的に死なないよう願ってて」

133 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:23:41 ID:jQJM7mNg0
支援支援

134 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:25:07 ID:7KP.TRzkO

 彼女の生死を握る本は2冊。

 この物語の本と、ツン自身について記された本。

 結末を迎えれば、互いに矛盾が生じる。
 その矛盾がどう解消されるのか分からない。

 ツンが生き残るのか死ぬのか、分からない。

ζ( 、 ;ζ(どっち? ……物語の方が勝っちゃったら、ツンちゃん、死んじゃう)

 一か八かなんて嫌だ。

 絶対にツンを止めなければならない。

 ああ。ツンが外を眺めている。
 一歩、踏み出そうとしている。

 止めなければ。

 どうやって?

 ニュッが、再び怒鳴るようにツンを呼ぶ。

 駄目だ。
 彼女に何を言っても、彼女を何度呼んでも、ツンは聞く耳を持たない。

 もっと確実に、確実にツンを止められる方法でないと。

135 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:25:53 ID:bPt9G4yw0
大ピンチ

136 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:26:52 ID:7KP.TRzkO

 何がある。何が出来る。

 早く早く早く。

 どうして自分は馬鹿なのだろう。
 やっぱりショボンがいれば。キュートがいれば。
 彼らなら、何か、ひらめいていたかもしれない。

 祈るしかないのか。
 ツンが生き残るように。

 何に祈ればいいのだろう。神か。
 神様。
 神様に例えられた人の話を、最近聞いた気がする。

 ええと。モナーだ。
 内藤が書いた鍵小説の出だしだった。

 どうして神様に例えられたんだっけ。
 命を、本に命を与えるから。たしか。





 本。



.

137 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:27:10 ID:bPt9G4yw0
内藤でないとう止められないんだな
と思ったらニュッ君も内藤やった

138 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:28:19 ID:7KP.TRzkO


   『本には、それぞれにそれぞれの性格がある』



   『まあ、自分の「山場」は自分で見届けたいでしょうから』



   『同情だってするし、誰かを愛することだって、あるんだお』



   『あんまりにも思い通りにいかないから、見限ったんじゃないかなあ』



   『まあニュッ君がキツく言い聞かせてあるし、演じさせられることはない筈だけど』



.

139 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:28:54 ID:7KP.TRzkO





 本だ。





.

140 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:30:39 ID:V52Kz6tM0
支援

141 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:31:02 ID:7KP.TRzkO



ζ( д ;ζ「――いるんでしょ!?」





 声を張り上げる。

 ツンが微かに肩を跳ねさせた。
 枠から離しかけた手にもう一度力を込め、デレへ振り向く。

142 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:31:48 ID:eVwBBFOA0
デレが馬鹿じゃない・・・

143 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:32:26 ID:7KP.TRzkO

(;^ν^)「……どうした、デレ」

ζ( д ;ζ「どっかで見て聞いてるんだよね? ねえ!?」

ξ゚听)ξ「……?」

ζ( д ;ζ「ツンちゃん死んじゃうんだよ!
      『あなた』の生みの親みたいなもんじゃない!!」



 「本」には意思がある。
 愛情すら持ち得る。
 命令も聞く。

 それならば、じゃあ。



.

144 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:35:10 ID:7KP.TRzkO

ζ( д ;ζ「意思を持ってて、感情もあって、人の言うこと聞けるなら、理解出来るでしょうが!
      ……ツンちゃんが死ぬの、嫌じゃないの?
      私達がどんなに嫌がってるかも分からない!?」

 喉が痛む。
 風の音も聞こえないほどの声量で、デレは叫んだ。

 言葉で表しきれぬ激情が、涙になって零れる。


 お願いだから。
 子供くさく、馬鹿らしく、単純に。
 ただひたすら単純に、考えてほしい。

145 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:36:02 ID:7KP.TRzkO

ζ( д ;ζ「分かんないわけないじゃん!
      だ、だって、あなただって、……っい、」


 だって。



ζ(;д;*ζ「――生きてるんでしょ!!?」



.

146 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:37:26 ID:7KP.TRzkO



ξ゚听)ξ「……」

 ――何を言い出したのだ、急に。
 ツンは訝りながら、ぜえぜえと掠れた呼吸を繰り返すデレを見つめた。

 もしや「本」に語りかけているつもりか。

ξ゚听)ξ(……まさかね)

 捻っていた首を前に正す。

 風が顔にぶつかった。
 デレになど構っていられない。

 ツンは、今度こそ落下するべく、足を伸ばした。
 枠を手離す。

 これで、おしまい。

147 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:39:00 ID:7KP.TRzkO










      「待ってくれお、ツン」


 大好きなクッキーみたいな。

 甘い匂いが、した。

148 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:40:13 ID:7KP.TRzkO

ξ゚听)ξ「え――」

 視界が揺れる。
 体が揺れる。
 外の光景が遠ざかる。

 背中と腹に温かいものが触れて、僅かに圧迫感。

 倒れ込む。視界に白色が広がる。
 ばたり、ドアが閉まる音が聞こえて、風が止んだ。

149 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:40:43 ID:7KP.TRzkO

 邪魔された。

 誰かに引っ張られて、邪魔された。
 誰だ。
 デレもニュッも、動けない筈。

 その「誰か」が、ツンの顔を上から覗き込んだ。


(;^ω^)「……ちょっとさ……ちゃんと、話し合おうじゃないかお……」

ξ゚听)ξ

ξ゚听)ξ「ブーン」

150 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:41:56 ID:7KP.TRzkO

(;^ω^)「ずっと……何年も放ったらかしてたのは悪かったお。
       僕も、まともに向き合うのが恐かったんだお。ツン」

 ツン、って。

 呼んだ。

ξ゚听)ξ「……何で……」

 内藤に抱え起こされる。
 ころり、金色のペンが転がり、消えた。

151 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:45:22 ID:.QgyfHQAO
すげぇ

152 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:45:25 ID:oNKpB5QQO
ヒーローは遅れてやってくるしえん

153 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:46:05 ID:7KP.TRzkO

ζ(;、;*ζ「……な、内藤、さん?」

(;^ν^)「兄ちゃ……っうお」

 ニュッが転ぶ。
 それを見たデレが足を動かした。

 動いている。何故だ。

 飛び降りようとしたドアへ視線を移すと、既にそこには何もなかった。

ξ゚听)ξ「あ……」

 嘘だ。
 まさか。


 本が、諦めた。



 ――その瞬間、意識が飛んだ。





*****

154 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:46:34 ID:V52Kz6tM0
支援支援

155 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:46:46 ID:7KP.TRzkO










.

156 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:47:34 ID:IwOY0Q0U0
支援

157 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:48:08 ID:7KP.TRzkO










ζ(-、-*ζ

ζ(-、-*ζ

ζ(-、゚*ζ

ζ(゚、゚*ζ

158 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:49:01 ID:iUsY0NIQ0
支援

159 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:49:20 ID:90NHMKTY0
クライマックスに向かっていくな……

160 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:49:39 ID:7KP.TRzkO

 顔に、冷たく、硬い感触がある。
 どこかの床だ。多分。

 デレは、目覚めたばかりでぼうっとする頭を一生懸命働かせ、状況を確認した。

 暗い。静まり返っている。

 こつり、足音がした。
 こつこつ、それはデレの傍を横切り、遠ざかっていく。

 続いて、かちり、とボタンを押すような音が響いた。

ζ(>、<;ζ「んっ」

 光が注がれる。
 眩しい。

     「ほら起きた起きた」

 そこらを歩いて回る足音と、男の声が聞こえる。
 この声は。

161 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:52:11 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚;ζ「――ショボンさん?」

(´・ω・`)「はいおはよう。寝惚け顔だね。僕も今さっき起きたとこだけど」

 ショボンだ。
 デレが身を起こすと、見慣れた光景があった。

 蛍光灯の明かりに照らされる、カウンター、テーブル、本棚。

 VIP図書館。

ζ(゚、゚;ζ「あれ? え?」

 見知った面々が椅子に座らされ、テーブルに突っ伏している。
 貞子、モララー、ハローに、椎出姉妹とデミタス、クックル。
 クックルの向かいにはキュートがいた。

 それから横を見る。
 床に座り込んだデレの隣で倒れているニュッ。
 反対側を見ると、カウンターの前に内藤とツンが横たわっている。

 さらに、近くにはデレやキュート達の荷物がきちんと並べられていた。

 間をあけて、皆が続々と起き始める。

162 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:53:41 ID:7KP.TRzkO

川д川「……あらあ……?」

ハハ ロ -ロ)ハ「ンー……オハヨウゴザイマス……ン?」

( ぅ∀・)「ふあーあ……」

(´・_ゝ・`)「……あれ、何でこんなところに」

(´・ω・`)「おら起きろっつの」

(;´・_ゝ・`)「痛いっ! あれ? あ、ショボン君?
        何で今叩いたの? 起きてたでしょ僕?」

(´・ω・`)「あんたに殺されかけて腹立ってんだ」

(;´・_ゝ・`)「ええっ!?」

(*゚ー゚)「おお、何だ何だ、喧嘩かい」

(;゚;;-゚) アワアワ

( ゚∋-)「む……?」

 どうして図書館に。
 どうしてみんなまで。

 デレは記憶を辿り――思い出した。

163 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:53:44 ID:V52Kz6tM0
約束

164 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:54:55 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚;ζ「あ、ああっ!」

 「本」に演じさせられていて、
 ツンがとんでもないことをやらかそうとして、
 けれど、内藤が止めて。

 その後に何が起こったか知らない。
 気付けば、ここに倒れていたのだ。

 辺りを窺うと、皆も思い出してきたようだった。

(*゚ー゚)「……ありゃりゃ。さっきのって何だったん?」

(;・∀・)「夢? じゃないよね?」

川д川「……本の仕業かしらあ……? やあだ、不覚……完全になりきってたわあ……」

(;´・_ゝ・`)「……あ。うわ。ああ。ごめん」

(´・ω・`)「この地味親父が」

( ^ν^)「……」

ζ(゚、゚;ζ「! にゅ、ニュッさん!」

 ぬっと起き上がるニュッ。
 彼の体の下に、本があった。
 白色。

165 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:55:53 ID:.QgyfHQAO
地味タス

166 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:56:12 ID:zcTUemEsO
しぃ約束覚えてるな

167 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:56:17 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚;ζ「……これですか?」

( ^ν^)「あ? あー……? ……」

 不可思議そうに周りを見渡していたニュッは、本を見下ろして沈黙し、
 少し経ってからようやく頷いた。

 そして未だ目覚めぬ内藤とツンを見付けると、彼らを凝視した。
 数秒。
 不意に、ニュッが、ほっと息をつく。

 安心したような顔。

( ゚∋゚)「キュート、起きろ。……キュート」

o川*- ゚)o「ふぁい……?」

o川*- ゚)o

o川;*゚д゚)o「ぎょわあああっ!?」

( ゚∋゚)「……悪かった。それと、ありがとう」

o川;*゚ー゚)o「え!? は!? クック、クックルさ、クックルルルッ」

o川;*゚ー゚)o「……ん? ……クックルさん……。……図書館。……本!!」

 キュートが物凄い勢いでデレに振り向いた。
 どうなったの、と叫ぶ。

168 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:58:41 ID:7KP.TRzkO

(´・ω・`)「そうだよ、どうなったのさ」

ζ(゚、゚;ζ「お、終わった……ん、だと、思います。
      内藤さんもツンちゃんも、多分無事……? どうだろ、えっと。
      ――わ」

 どうなったかなんて、こっちが訊きたいくらいだ。
 しどろもどろになりながらデレが答えていると、突然、ニュッの手がデレの頭に乗せられた。

 ぐしゃぐしゃ、髪が掻き混ぜられる。

ζ(゚、゚;ζ「なっ、何ですかっ、ニュッさ……っ」

( ^ν^)「……本を説得した奴、初めてだ」

(´・ω・`)「セットク?」

 ショボンが素っ頓狂な声をあげた。
 呆れたように嘆息する。

(´・ω・`)「そんなんで良かったわけ? マジ? じゃあ初めからやれば良かったじゃん」

( ^ν^)「あの状況だったから効いたんだと思う。……えらいな、デレ」

ζ(゚、゚*;ζ(褒め……っ)

 ニュッに褒められた。
 しかも、ちょっと優しげに微笑まれた。
 誰だこいつ。

169 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:59:36 ID:2sNhYqS2O
誰だこいつてwwww

170 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 23:59:40 ID:yC/elR4o0
支援

171 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:00:14 ID:NFrqbv6MO
誰だこいつwww

172 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:00:20 ID:J3hGkSXcO

ハハ ロ -ロ)ハ「……ヨク分からないケド、デレ、お手柄デスカ?」

(´・ω・`)「そうみたいだね」

ハハ*ロ -ロ)ハ「スゴイ! ヨク分かんないケド!」

 ハローが席を立ち、デレに駆け寄る。
 全力で抱き締められた。

ζ(゚、゚;ζ「あの、すみません、苦しいです」

ハハ*ロ -ロ)ハ「約束通り、いっぱいオ話ししましょうネ」

ζ(゚、゚;ζ「あ、は、はあ」

(*゚ー゚)「約束!!」

 しぃまでもが立ち上がる。
 ぎらぎらとした目でデレを舐め回すように見つめながら、何かを揉みしだくような動きをした。
 ちょっとした恐怖映像である。

(;*゚ー゚)「おい……ニュッちゃん、あれは本気で……?」

( ^ν^)「……言った手前……」

ζ(゚、゚;ζ「いやいや、あんなの! あんなっ、違うでしょ、何か……何か違うでしょ!?
      嘘も方言……暴言?」

川д川「方便……」

(;*゚ー゚)「何ならキュートちゃんが代理でもいいんだぜへいへい!」

o川*゚ー゚)o「モララーさん代理でお願いします」

(;・∀・)「え、何が!? 嫌な予感しかしない!!」

(;゚;;-゚)ノシ

(*゚ー゚)「……でぃちゃんがそこまで言うなら……」

(;´・_ゝ・`)「何か言ったの? 今でぃ何か言ったの?」

 デレの頬が緩む。
 いつもの作家達だ。

 さて、残る問題は――

173 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:00:31 ID:D2Fbe9760
誰だこいつひどいwww

174 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:03:03 ID:J3hGkSXcO

( ‐ω^)「お……」

ξ゚-)ξ「……」


 ――この2人だ。


 しばらく呻いていた内藤は、ようやく思い至ったのか、がばと起き上がった。
 一方、ツンは緩慢に身を起こす。

( ^ω^)「……ツン、大丈夫かお?」

ξ゚听)ξ「……特に異常はないけれど」

 2人はその場に対座した。

 ツンとデレの視線が絡む。
 デレが彼女の目的を阻害したようなものだ。
 恨まれているだろうか。

 けれど、ツンは何も言わずに床へ目を落とした。

 どうかしたの、と、モララーと貞子が囁き合っている。
 重苦しい空気を察したか、2人はすぐに押し黙った。

175 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:03:49 ID:J3hGkSXcO

( ^ω^)「――えっと」

ξ゚听)ξ「何?」

( ^ω^)「その」

ξ゚听)ξ「……」

( ^ω^)「……」

ξ゚听)ξ「……」

( ^ω^)「……」

(#´゚ω゚`)「欠伸出るわ!!」

ζ(゚、゚;ζ「ショボンさん空気読んで!!」

176 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:04:41 ID:LTvTkYjw0
ショボンwww

177 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:05:10 ID:T9k63PmI0
ショボン通常運行ワロタ

178 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:06:21 ID:YTUf6D4.0
追い付いてしまった

もう最後なんだね…

179 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:08:30 ID:MaozR4BUO
エンディングが読みたくて仕方ないのに終わって欲しくないな…

180 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:08:57 ID:J3hGkSXcO

 ショボンは絶叫と共に近くのテーブルを叩いた。
 クックルとキュートがショボンを椅子に座らせる。

(#´゚ω゚`)「お見合いか! こちとら面倒くっせえ痴情の縺れに散々付き合わされたんだぞ!
      さっさと和解なり何なりして、きちっとカタつけろやああ!!」

(#゚ω゚)「うるせえええええ!!
      7年間引きずってきたもん吐き出すこっちの身にもなれお!!」

 7年という数字に、ぴんときたのだろうか。
 作家達の間から、ぴんと張り詰めた気配が一瞬だけ発せられた。

 ショボンに怒鳴り返した内藤は、気力を削がれたらしく、溜め息をついて肩を竦めた。

(;^ω^)「……ツン。ごめんお」

(´・ω・`)「何に対しての『ごめん』なんですかー」

(;^ω^)「あのさあ、やめてくれる!?」

o川;゚ー゚)o「すっごい割り込むじゃん。すっごい割り込んでくじゃんこの人」

(;゚∋゚)「ショボン、お前なりに話を進めさせてやろうとしてるのは分かるが、
     さすがに今は黙ってろ」

 ショボンを挟むように座り直したキュートとクックルが、ショボンの肩を押さえる。
 果たして本当に、クックルの言うような親切心なのやら。
 ただ単に苛ついて茶化しているだけだと思うのだが。

 ショボンを黙らせておけと目で訴え、内藤は咳払いをして気を取り直した。

181 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:10:58 ID:J3hGkSXcO

( ^ω^)「――救急車、すぐに呼ばなかったせいなんて言って、本当にごめんなさいお」

ξ゚听)ξ「……」

( ^ω^)「あれは僕が悪いお。何度も何度も後悔したお」

ξ゚听)ξ「間違ってなかったわ」

( ^ω^)「間違ってるお」

(*゚ー゚)「館長が悪い」

(#゚;;-゚)) コクリ

ハハ ロ -ロ)ハ「しぃに同意デス」

(;^ω^)「う。……ほら、みんなも、こう言うし……」

ξ゚听)ξ「でも」

ξ゚听)ξ「……でも」

 ツンの声が、震えた。

( ^ω^)「……僕が、嫌なことから逃げたせいだおね。
       改めて話し合うのが恐くて、考えるのが恐くて――僕が何も言わないでいたから、
       ツン、いっぱい悩んじゃったんだお」

( ^ω^)「いっぱい悩んで、いっぱい、自分のこと責めたんじゃないかお」

 内藤が手を伸ばす。
 その手がツンの肩に触れると、ツンは、びくりと体を揺らした。

182 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:11:26 ID:WKmnG2mQO
安心と信頼のショボン

183 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:11:27 ID:6Id0FcCw0
しえん

184 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:12:18 ID:J3hGkSXcO

( ^ω^)「……ツンは、僕のこと、嫌いにならなかったのかお」

ξ゚听)ξ「なん、で」

( ^ω^)「僕は酷い奴だお」

ξ゚听)ξ「優しいじゃない。……嫌いになんかなるわけないでしょ……」

( ^ω^)「……でも、僕は、ツンが僕のこと嫌いになったんじゃないかと思ったんだお」

 ツンが顔を上げる。
 真っ直ぐに内藤を見つめながら、彼女は唇を噛み締めた。

ξ゚听)ξ「どうしたらそんな風に考えられるのよ」

( ・∀・)「そうだよ。館長が他の女の子に構ったら、
      ツン、すっごく分かりやすく嫉妬してたじゃん」

ξ゚听)ξ「黙って」

( ;∀;)「ごめんなさい」

( ^ω^)「……嫉妬っていうか……。
       僕が楽しそうにするのが、ツンは気に食わないのかなって。
       だから殴るのかなって思ってたお」

ξ゚听)ξ

ζ(゚、゚;ζ(……えええ……)

 何てことだ。

 内藤もツンも、捻くれすぎと言うより他にない。
 相手からの好意を素直に受け取れていなさすぎる。

185 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:13:23 ID:YTUf6D4.0
内藤wwwww

186 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:13:32 ID:qD/gbJb.0
風邪気味で頭ガンガンするけど支援

187 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:14:08 ID:ps4wqwmwO
モララーwwwwww

188 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:14:21 ID:2k4mgUpsO
支援 
モナーの書き加えた内容知りたい

189 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:14:29 ID:cP6kdBGc0
紫煙

190 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:14:37 ID:dwel2gC.0
>>186
後は俺が読んどいてやる、任せて安心して寝ていいぞ

191 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:14:43 ID:J3hGkSXcO

ξ゚听)ξ「……ブーンが、嫌な気分になったら叩けって言ったんじゃない……」

(;^ω^)「だってツン、何も言ってくれないし顔にも出さないから。
       それなら、ああやって意思表示された方がマシだお。
       あれだお、体は正直……やだ言い方いやらしいわ」

(;^ω^)「で、大抵僕が調子に乗ってるときに殴ってきてたおね?
       だから……」

ξ゚听)ξ「たまに『嫉妬かお』なんて言ってからかってきてたのは?
      分かってて言ったんじゃないの?」

(;^ω^)「軽口じゃないかお。ジョークっていうか。
       本当に嫉妬だったら嬉しいなあとは思ってたけど」

ξ゚听)ξ「……」

 ツンは拳を握り締め、右腕を上げた。
 力を込めすぎているのか、ぶるぶる震えている。

 内藤が青ざめると、結局、その拳は静かに下ろされた。

ξ゚听)ξ「そうね。そういう人よね。ブーンは昔から鈍かったわ。
      ……鈍いというか、他人の気持ちを深くまで考えないのよ」

(;^ω^)「ぼっ、僕から言わせてもらえば、みんなが分かりづらすぎるんだお!
       デレちゃんみたいに分かりやすいぐらいが丁度いいお!」

ζ(゚、゚;ζ「えっ……何この流れ弾……」

( ^ν^)「こいつは馬鹿すぎて逆に何考えてるか分かんねえだろ……」

ζ(゚、゚;ζ「何なんですか。何で関係ない私が傷付く流れなんですか」

192 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:16:44 ID:9SjRubycO

終わらないでくれ早く読みたいじれんまー

193 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:17:31 ID:qD/gbJb.0
>>190
後は頼んだ

194 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:17:48 ID:J3hGkSXcO

ξ゚听)ξ「分からないのはブーンの方じゃない」

(;^ω^)「……何が」

ξ゚听)ξ「あんなことがあったのに、私を許すとも許さないとも言わないで、
      すぐにいつもの調子に戻るし」

(;^ω^)「何も言わなかったのは僕が逃げてたからで、
       いつもの調子だったのは、……ツンに、いつも通りになってほしかったからだお」

ξ゚听)ξ「……分からなかったわよ。全然。
      人が、ブーンに嫌われたかどうか悩んでるっていうのに
      ブーンだけにこにこにこにこ……」

(;^ω^)「嫌われたって何で!?
       ツンのこと好きだって腐るほど言ってきただろうがお!!」

川д川「腐るほど言ってきたからじゃないかしらあ……」

(´・_ゝ・`)「他の子にも言うしね。信憑性ゼロだよ」

(;^ω^)「嘘!! ツンが一番だって言ったじゃん!」

ξ゚听)ξ「誰が信じるのよ」

(;^ω^)「……あうあう」

 内藤が、デレとキュートに視線を寄越す。
 デレは両腕でバツ印を作り、キュートは首を横に振った。
 典型的な「日頃の行いが悪い」例だ。

195 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:18:03 ID:cP6kdBGc0
何気にζ(゚ー゚*ζの扱いが酷いな
頑張ったのにww

196 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:18:17 ID:YTUf6D4.0
>>193
おやすみ

197 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:19:30 ID:7lttErJY0
>>193
無理すんなよ
おやすみ

198 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:20:16 ID:D2Fbe9760
>>193
お大事に

199 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:20:19 ID:J3hGkSXcO

(;^ω^)「……嫌いじゃないお」

ξ゚听)ξ「この間、寝起きのブーンに突き飛ばされたわ」

(;^ω^)「あれは、昔の……祖父ちゃんが死んだときの夢見たせいで気分が悪くて。
       それで目が覚めたらいきなりツンが間近にいたから。
       本当、わけ分かんなくて、咄嗟に手が。……ごめんお」

ξ゚听)ξ「……」

(;^ω^)「まだ疑うかお」

ξ゚听)ξ「……嫌いになったことは、あるでしょ」

(;^ω^)「え?」

ξ゚听)ξ「一日なり、一秒なり……愛想尽かしたことくらいは、あるでしょう?」

(;^ω^)「……ないお」

ξ゚听)ξ「あるわよ、きっと。
      ブーンが好きなのは私の顔か――昔の私だもの」

 内藤が表情を歪ませた。
 ショックを受けたように。

 ツンが目を逸らす。

200 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:21:31 ID:J3hGkSXcO

( ^ν^)「……」

ζ(゚、゚*ζ「……?」

 ニュッから、大きく息を吸い込む音がした。
 口を動かし、閉じる。

 何か言いたげだ。

 デレは、小声で問い掛けた。

ζ(゚、゚*ζ「ニュッさん、言いたいことあるんですか?」

( ^ν^)「……いや」

ζ(゚、゚*ζ「……はっきりしませんねえ」

ハハ ロ -ロ)ハ「ナニかあるナラ、言ってみたらどうデス。
      館長ー! ニュッ君から発表がありマース!!」

( ^ν^)「何、そういう感じでいっちゃうの?」

 ハローがニュッの腕を掴み、思い切り挙手させた。
 全員の目がニュッに向かう。

201 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:22:32 ID:YTUf6D4.0
7年もお互いに騙しあい、ごまかしあいしてたって辛いね

202 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:23:25 ID:J3hGkSXcO

( ^ω^)「このタイミングで何だお」

( ^ν^)「……つ、」

ξ゚听)ξ「つ?」

(´・ω・`)「もじもじしてんじゃねえぞ」

 ショボンを睨むように一瞥し、ニュッは長い溜め息をついた。
 頭を掻く。

 やがて、内藤達を見ないままに口を開いた。

( ^ν^)「ツンの本。……ああ、こっちじゃなくて」

 「こっち」、足元の本を指先で叩く。

 それではないのなら、デレがニュッの部屋で見付けた、血に汚れた本の方だろう。
 ニュッは一呼吸置き、ゆっくりと言い聞かせるように、告げた。


( ^ν^)「あれの最後のページ。……あの内容、知ってるんだ」


 静寂が場を満たす。

 キュートだけが、首を傾げていた。

203 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:25:38 ID:9SjRubycO
ニュッ君…

204 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:26:11 ID:J3hGkSXcO

( ^ω^)「……どうして」

( ^ν^)「祖父ちゃんがあのページに血を吐く直前に見た」

(*゚ー゚)「ニュッちゃん、それ、かなり大事なことだよ。
     どうして黙ってたの」

 しぃが咎める。
 でぃは困ったような顔でしぃを宥めた。
 ぴりぴりとした空気に、クックルが左手を振る。

( ゚∋゚)「……まあ。まあ、でも、内容は大体想像つくじゃないか。
     俺らと同じようなもんが書き加えられてたんだろうって。なあ」

(*゚ー゚)「でも想像は想像だよ。
     正解が分からなきゃツンだって不安になるに決まってるじゃん」

 それ以上フォローすることなく、クックルは黙った。
 困惑するキュートに、気にするなと誤魔化す。誤魔化せてはいないだろうが。

( ^ν^)「あれを話せば――兄ちゃんが、変なこと考えるんじゃないかって思った」

(´・ω・`)「変なことって、どんな」

( ^ν^)「お前が考えたようなことだよ」

(´・ω・`)「僕?」

( ^ν^)「……まず先に結論から言う」

205 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:28:05 ID:J3hGkSXcO


 ニュッが見たもの。
 最後、ツンが死亡する条件が記されたページ。

 元は、簡素な一文しかなかった。
 「ツンが死ぬ(消える)のは、本が燃えたときか、内藤モナーが死んだとき」。
 それだけ。

 しかしモナーが息絶える寸前、そこには、震えた、乱れきった字が書き足されていた。



 ――内藤ホライゾンが彼女を不要と判断する、内藤ホライゾンが死亡する。

 上記の条件、いずれか二つ以上が成立したときである。――



.

206 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:28:37 ID:7lttErJY0
(;゚д゚)ゴクリ…

207 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:29:17 ID:J3hGkSXcO

 作家達の本に書かれたものを、ニュッでもモナーでもなく、内藤主体に変えて。

 そして――「二つ以上」と定めることで、モナーと共に死んでしまうのを回避した。


 猿知恵とさえ言える。
 みっともない足掻きだ。

 彼は、「家族」に甘かった。
 ニュッにも、内藤にも、ツンにも。

 自分が残していく者達に、甘かった。

208 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:30:41 ID:J3hGkSXcO

 ニュッが話し終える。
 デレの頭の中に色々な感情や言葉が浮かび、めちゃくちゃに駆け巡った。
 必死に、言うべきものを掴み取って繋ぎ合わせていく。

 ようやく声になった内容は、結局、しぃが先程言ったのと似たり寄ったりであったが。

ζ(゚、゚;ζ「……何で、そんな大事なことを……」

(;・∀・)「いや、ほんと……何で?」

 それを黙っている理由が分からない。
 隠さねばならないほど、とんでもないことが書かれているのかと思ったのに。

 しかしニュッの中では、秘密にするべきだと判断するに充分なものであったらしい。

( ^ν^)「あそこに書かれた名前が兄ちゃんじゃなくて俺だったら、正直に話してた」

 正直。そう、「正直」。

 この騒動は、元を正せば、
 内藤とツン――ニュッも、正直に全てを話さなかったが故に起きたのだ。
 誰が悪いとは言いたくないが、敢えて言うなら、みんなが悪い。

209 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:31:54 ID:NFrqbv6MO
じぃちゃん…。

210 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:31:55 ID:UxBWc.WY0
支援

211 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:32:57 ID:UxBWc.WY0
荒らしがいないって素晴らしいな

212 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:33:54 ID:J3hGkSXcO

ハハ ロ -ロ)ハ「ドウシテ館長の名前だと駄目ナノ」

( ^ν^)「……誤解するんじゃないかと思ったんだ」

ζ(゚、゚*ζ「何を?」

 そこに、ショボンが手を打つ音が響いた。
 合点がいった、とばかりに清々しい音だった。

(´・ω・`)「ニュッ君は当時中坊だったけど、下手に頭が回るというか、小賢しいガキだった。
      おかげで、いらないことまで考えが回ったわけだ。
      浅薄なブーンとは真逆にね」

(;^ω^)「はあ?」

(´・ω・`)「昔、僕がブーンに話したのと同じだ。
      ――ツンが、死にかけの爺さんに命令して書き加えさせた。
      そんな風にブーンが考えてしまうんじゃないかと、ニュッ君は不安に思ったのさ」

(´・ω・`)「爺さんの余計な気遣いのせいだよね。
      ニュッ君の名前だったらともかく、ブーンの名前を使ったもんだから、
      ますます怪しくなっちゃったんだよ」

( ^ν^)「実際――俺は、少しだけ……本当に少しだけ、ツンを疑った」

ξ゚听)ξ「……」

( ^ν^)「今は祖父ちゃんの独断だったって確信してるけど。……ごめん」

 ニュッが項垂れる。
 ハローがデレの右手を持ち上げ、その手でニュッの頭を小突いた。
 反撃も何もない。本気で反省しているようだった。

川д川「……モナーさん、ツンに説明しなかったの……?」

ξ゚听)ξ「聞いてない……」

(´・_ゝ・`)「ツンに言ったら、止められそうだったからじゃないかな」

213 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:35:30 ID:J3hGkSXcO

 内藤とツンが顔を見合わせる。
 ツンの瞳が横へ逸れた瞬間、内藤は、ツンを抱き締めた。

ξ゚听)ξ「……ブーン?」

( ^ω^)「一度でも、一瞬でも、お前が消えたことがあるかお。
       一度でも一瞬でも――僕がお前を不要だと思ったことがあるかお」

 ツンが、目を瞠った。
 内藤の腕に力が篭る。

( ^ω^)「嫌いになったことなんかないお。
       ずっと好きだったお」

ζ(゚、゚*;ζ(おうふ)

 こっちが恥ずかしい。
 デレはハローの後ろに隠れ、彼女の肩越しに2人を見守った。

214 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:35:40 ID:9SjRubycO
>>211
それほどの超大作だからだね

215 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:37:19 ID:WKmnG2mQO
ツンよかったね

216 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:37:27 ID:J3hGkSXcO

( ^ω^)「僕にはツンが必要なんだお。……ずっとずっと必要だお」

 内藤が唾を飲み込む音が、デレにまで聞こえた。

 ツンが、震える腕で、内藤を抱き返す。

ξ゚听)ξ「私、ブーンと違う……」

( ^ω^)「何がだお」

ξ゚听)ξ「……人間じゃない」

( ^ω^)「どこが。見た目は完全に人間じゃないかお」

ξ゚听)ξ「本から生まれたわ」

( ^ω^)「……素敵な親御さんだお」

 ツンの一言一言に、内藤が返す。
 その返事は、たった今手探りして拾い上げたものを、恐々と口にしているかのようだった。

 ツン1人では出せなかった「答え」を、内藤が与えてやっている。

 2人で、答えを確認している。

217 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:39:07 ID:qJvLJAY20
掛け合いが良いな

218 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:40:06 ID:J3hGkSXcO

ξ゚听)ξ「……怪我してもすぐに治るし」

( ^ω^)「生涯健康体なら、こっちとしても心配事が減ってくれてありがたいお。
       第一、そんなの今更だし、ツンに限った話じゃないお。
       ここには他に7人も同じ境遇の奴らがいるお」

ξ゚听)ξ「ブーンだけじゃないわ。みんなとも違うの」

( ^ω^)「たとえば?」

ξ゚听)ξ「私、ずっと成長しないのよ」

( ^ω^)「……若くていいじゃないかお。
       16年間見てきたけど、全然飽きないお」

219 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:43:11 ID:dg84sMyk0
ツン可愛いよツン

220 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:43:28 ID:J3hGkSXcO

ξ゚听)ξ「……でも」

( ^ω^)「まだ何かあるのかお?」

ξ゚听)ξ「わ、私、小説書けないし……苗字、ないし」

 ツンの手が、声が、震えて、揺らぐ。

 内藤に受け入れられるのが恐いのだろうか。
 ツンは、手当たり次第、思いついたことを口走っているように見えた。

(;^ω^)「ニュッ君じゃあるまいし、小説書けるかどうかなんて関係ないお。
       それに、苗字なら、とっておきのをくれてやるお」

ξ゚听)ξ「……とっておきって?」

( ^ω^)「『内藤』だお。内藤ツン。どうだお」

ξ゚听)ξ「な、いと……」

( ^ω^)「ねえツン。この際だお」



( ^ω^)「――僕と結婚してくれお」



.

221 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:43:46 ID:tlCjGUdkO
追いついた
ニヤニヤと目汁が止まらない

222 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:44:48 ID:wAGGEuis0
おめでとうございます!

223 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:45:07 ID:WKmnG2mQO
キスして終わりなんかじゃあない

224 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:45:22 ID:J3hGkSXcO

ζ(゚、゚*;ζ「け」

( ^ν^)「けっこん」

川д川「あらまあ……」

(*゚;;-゚) ポッ

(*・∀・)「……プロポーズだよね?」

o川;*゚д゚)o

 唐突に落下してきた爆弾に、それぞれがそれぞれの反応を示した。

 今、それを、ここで言うか。

 一番驚いているのは――間違いなく、ツンだ。

ξ゚听)ξ

ξ゚听)ξ「で、でも。でも、でも」

( ^ω^)「はいはい、ここまで来たら全部答えてやるお」

225 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:45:25 ID:UxBWc.WY0
うえへええ

226 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:45:26 ID:qJvLJAY20
ニヤニヤ

227 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:46:24 ID:s5NFCf2Q0
ニヤニヤ

228 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:46:48 ID:dwel2gC.0
ヤニヤニ

229 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:47:22 ID:J3hGkSXcO

ξ゚听)ξ「籍、とか」

( ^ω^)「どうとでもなるお。何なら事実婚ってやつでも構わないし。
       僕はツンと一緒ならそれで……あれ、でもそしたら『内藤ツン』になれないかお?
       ……まあいいお、雰囲気雰囲気」

ξ゚听)ξ「私、子供生めない……」

( ^ω^)「ツンがいてくれればいいお」

ξ゚听)ξ「成長、しないし」

( ^ω^)「それはさっき聞いた」

ξ゚;)ξ「嫉妬深いし、叩くし」

( ^ω^)「まあ……力はね、もうちょっと加減してくれていいおね」

ξ;;)ξ「ひょ、表情、なかなか変えられないし。笑えないし、怒れないし、泣けないし……」

( ^ω^)「……今僕の首元に落ちた水は何だろうかね」

ξ*;;)ξ「今は楽観視してても、いつか何か問題出てくる……」

( ^ω^)「そのとき考えて解決すればいいお」

230 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:47:34 ID:AyfQfYnw0
膠膠

231 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:47:39 ID:7lttErJY0
畜生…末永く爆ぜろ……

232 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:48:15 ID:4hg8WquA0
ブーン達には設定を変更できる力は無いのだろうか

233 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:49:08 ID:ps4wqwmwO
おめでtリア充爆発しrうああああおめでtまじリア充死n末永く爆発sぐあああああ落ち着け俺の脳みそぐああああああ

234 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:49:16 ID:MaozR4BUO
爆発し……なくてもいいぞ

235 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:49:18 ID:qJvLJAY20
設定なんて変更しなくてもこのブーンなら

236 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:50:04 ID:J3hGkSXcO

 内藤は、そっとツンを離した。
 真正面から、力強く見つめる。

 そして、いつもの、気の抜けた笑みを浮かべた。

( ^ω^)「……他に、差し当たっての問題はあるかお?」

ξ*;;)ξ

ξ*;;)ξ「……ないです……」

 いつもの白い頬を、真っ赤に染めて。
 眉間に皺を寄せ、鼻水まで垂らしながら。
 とても、綺麗とは言えない泣き顔で、ツンは、答えた。

237 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:50:28 ID:7lttErJY0
>>232
多分命を与えられた本は作者以外が設定変えてもダメなんじゃね
「ツン」を書いたのはモナーだからモナーが書かないと無効とか

238 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:50:29 ID:2k4mgUpsO
掛け合いのところ 
セカチュードラマ版の 
空港のシーン思いだした

239 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:50:35 ID:EqJADzso0
俺は今! モーレツに感動している!!!

240 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:50:51 ID:564Ux4fwO
ニヤニヤが止まらないわ
二人とも幸せになれ!!

241 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:51:22 ID:WKmnG2mQO
(´゚ω゚`)

242 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:51:59 ID:UxBWc.WY0
やーのっ!

243 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:52:00 ID:4hg8WquA0
おいおいお前ら
デレとニュッ君の事を忘れたのかい?

244 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:52:04 ID:EIfvQKR2O
最高のハッピーエンドじゃないか爆発しろ

245 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:52:21 ID:J3hGkSXcO

(*^ω^)「ツン」

ξ*;;)ξ「ぶっ、ぶ、ブーン……」

 内藤がツンの頬に手を当てて、顔を近付ける。
 ツンが目を閉じた――瞬間。



(;゚ω゚)「ノックスッ!!」

(´・ω・`)「調子乗りすぎだろ」

 ショボンの投げた靴が、内藤の頬にめり込んだ。



 その衝撃で内藤がカウンターに頭を打ちつける。
 そして白目をむき、彼はずるずると床に倒れていった。

ξぅ;)ξ「……ぶ、ブーン? ブーン!」

ハハ*ロ -ロ)ハ「エーット、エット、オメデトー!」

ξぅ;)ξ「あっ」

 デレから離れ、ハローはツンへ飛び掛かった。もとい、抱きついた。

 しぃやモララーも、おめでとうと言いながらツンに駆け寄る。
 他の作家達も続いた。
 皆、嬉しそうに微笑んでいる。

246 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:53:53 ID:dg84sMyk0
おめでとう!!!!

247 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:54:18 ID:J3hGkSXcO

o川;*゚ー゚)o「初めて生でプロポーズ見ちゃった……しかも知り合いの……。
       遮木さんのせいで酷いオチになったけど」

(´・ω・`)「『2人の世界』って、ああも鬱陶しいものなんだね。
      気付いたら手が勝手に靴を。
      ……はいはいおめでとうおめでとう」

 ショボンが無表情で拍手する。
 それに合わせ、デレも手を叩いた。

ζ(゚ー゚*ζ「一応、ハッピーエンドでしょうか」

( ^ν^)「……そういうことで」

 失神した内藤が、ツンにすら放置されているが、まあ、良しとしよう。
 最後まで締まらない。
 それも、この図書館らしいと思えた。

248 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:54:19 ID:iMNIvH4w0
代行、俺の部屋の壁盛大にぶち抜いてくれ!!!

249 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:55:32 ID:vjGotgU6O
なんとか追い付いた!!
ブーン爆ぜろ

250 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:55:35 ID:EqJADzso0
ショボンの抜群の安定感

251 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:56:52 ID:J3hGkSXcO

ξ;;)ξ「……みんな、へ、変なことに巻き込んでごめんなさい……。
      デレがいなかったら、ブーンのこと、もっと傷付けた……」

ζ(゚ー゚*ζ「へ」

 急に名前を出され、デレはその場で姿勢を正した。
 ありがとう、とツンが涙声で礼を言う。

ζ(゚ー゚*ζ「……んっと。どういたしまして」

ξ;;)ξ「私、デレに酷いこと言った……」

ζ(^ー^*ζ「いいよ。
      発言はともかく、やらかしたことにはちょっと怒ってるから後で叱らせてもらうけど。
      軽くね。軽く」

ξ;;)ξ「……う、うん……」

o川;゚ー゚)o(デレちゃんが珍しいことを……)

 下手をすればショボンとキュート、ツンの命がなかったのだ。
 いくらデレといえど、さすがに怒る。

 とはいえ、ちゃんとした説教などデレには恐らく無理である。
 ニュッにも手伝ってもらおうと思いながら、ふと、「本」に目を落とした。

252 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 00:58:01 ID:J3hGkSXcO

 デレのおかげだとツンは言うが、実際のところ、
 最終的にツンを救ったのは「本」だ。

 彼――あるいは彼女――が、デレの言うことを聞いてくれたからに他ならない。

ζ(゚ー゚*ζ「……ありがとう」

 表紙のタイトルを指先で撫で、呟く。
 当然ながら本からのリアクションはなかったが、聞こえてはいるだろう。

 はたと、デレは顔を上げた。
 辺りを見回す。

 内藤、ツン、作家、ニュッとショボン、キュート。そしてデレ。
 「本」に演じさせられた面々。

253 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:00:16 ID:J3hGkSXcO

 他には誰もいない。
 「彼」は、いない。
 いる筈がない。

ζ(゚、゚*ζ「――ねえ、ニュッさん」

( ^ν^)「ん?」

ζ(゚、゚*ζ「……いえ。ごめんなさい、何でもないです」

 わざわざ言う必要もないか。

 デレは、首を振った。





*****

254 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:01:48 ID:J3hGkSXcO



 「飯食わせろ」とは、ショボン。

 あの直後に気付いたのだが、時刻は既に午後9時を回っていた。
 ニュッを始めとする主人公とその仲間達の疲れが、安堵と共に一気にのし掛かる。

 今から車を運転して帰って1人で食事の準備をするのも怠い、と漏らしたショボンは、
 気絶から目覚めた内藤に、夕飯を寄越せとお願い――命令――したのであった。

.

255 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:03:19 ID:J3hGkSXcO

( ^ω^)「何か、すごく嫌だ……」

ξ゚听)ξ「……私のせいだし、ショボンの我が侭、聞いてあげて」

( ^ω^)「是非食べていくといいお」

(´・ω・`)「やったね。10品以上出せよ。酒も準備しろ」

( ^ω^)「やっぱ帰れ。帰って二度と我が家に来るな」

ハハ*ロ -ロ)ハ「デレとキュートも食べてく?」

(*・∀・)「あ、そうしようそうしよう、話したいこともあるし!
      俺らのこと嫌いになってないんだよね? ね!?」

ζ(゚、゚*ζ「たしかに御相伴にあずかりたいところではありますけど。
      ほら、今夜ばっかりは、家族水入らずみたいな、そういう……。
      あと嫌いになってないです」

川д川「ショボンがいる時点で水入らずではないわよお……」

ζ(゚ー゚;ζ「……そうですね」

(*゚ー゚)「食ってけ食ってけ!」

ヽ(#゚;;-゚)ノ

256 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:04:10 ID:MaozR4BUO
壁殴り代行の電話番号ってなんだったっけ?

257 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:05:03 ID:J3hGkSXcO

(´・_ゝ・`)「キュートさん……でいいんだよね? キュートさんはどうする?」

o川;*゚ー゚)o「お、お食事ですか? クックルさんと? お食事?」

(;゚∋゚)「何故俺が出てくる」

o川*゚ー゚)o「……あっ、そうだ、内藤さん! お話があります!
      これが目的で来たんだった!」

(*^ω^)「何だお、愛の告白かお?」

ξ゚听)ξ

(;^ω^)「冗談だってば! 冗談だってば!!」

 キュートが内藤に耳打ちする。
 作家達について教えてほしいと交渉しているのだろう。
 内藤が真剣な顔で頷いた。

(´・ω・`)「よしよし、今夜はブーンとツンの婚約パーティーだ」

( ・∀・)「あ、それいい」

ζ(゚、゚;ζ「1人で食事の準備するのも出来ないほど怠いんじゃなかったんですか、ショボンさん」

 迷惑になるのならば遠慮したいところだが、
 彼らの反応を見るに、歓迎してもらえているらしい。

258 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:05:04 ID:WKmnG2mQO
でぃかわいい

259 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:06:01 ID:N83eFIKE0

  / ̄ ̄ ̄ フ. /二二二/_ / ̄ ̄ ̄/  / ̄/  
   ̄ ̄./ / / __  /  ̄ .フ ./   /  ゙ー-;
  ___ノ /   ̄  __,ノ /   __/  (___ /  /ー--'゙
/____,./     /____,/ /___,.ノゝ_//_/ 
  /'''7     _ノ ̄,/ /__7 ./''7          / ̄/ /'''7          / ̄'/  / ̄'/
  / / ___ / ̄  ,/  /__7 / ./   /二二~~./   ̄  / ./  /' 7'7./''7  /  ./.   /  ./.
 / /_ノ /  ̄/ /    ___.ノ /  /二二.../ /  ____.ノ ./  _'__,'ノ /  /_/   /_/ 
/_____,.ノ  /__/   /____,../  /二二..___/  /______./  /____,./  /____./   /____./  
                             _,.-‐---‐''"¨τ三ミ
                         . _,.-‐-'´^ー<.... ,.._ 、,/'"π丿
                     _,,.._ ,/`‐、_'´´.._,,./  `ヽ', --'ゞ
                    ,.... ∧_∧" ,.-、 リ´ ,/´          ̄
              _,,.._-'" _,. (#´゚ω゚`) ..,,_ノ-''"
           _/´  `ーヽ、ヽ.`ニニ´.λ'´ .{
       ,. '´ '{′   ;  ,, ' _゙.`ーv''´ , ' ,|   
     _/〉-._,人,._,.,.'__≠''´  .',│ ,.. ' / 
    ,'´ ヽ_,ィ   /'"λ  `゙  } 、_, .ノ  
  /.'"`ー、ノー-‐へ ,ノ 《 ゙ヽ、.__.. ノ , ', リ
  ヽ. 、.  、!_,-'.ー. \ヽ._  - 、._, '",)ノ
   ヽ、ヽ,-'"ニ  ̄}  .ヾミ゙ヽ_,'"´ /,、_〃
     `ヽ._ ヽ '"〉  {ヘ, ,(`ー_,./,.-'/
       ``ー--''

260 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:06:18 ID:NFrqbv6MO
ええい、ニュッ君とデレのイチャイチャはまだか!!

261 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:06:36 ID:pp82UtB20
酒だけは……ショボンに酒だけは飲ませるよ……!

262 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:07:22 ID:J3hGkSXcO

ζ(゚、゚*ζ「……いい?」

ξ゚听)ξ「私は全然構わないけれど」

 ツンがデレの手を握った。
 照れくさそうに、呟く。

ξ゚ -゚)ξ「……ちゃ、ちゃんと、改めて仲良くなりたいし」

ζ(゚、゚*ζ「……」

ζ(゚ー゚*ζ「仲良くなってるつもりだったんだけどなあ」

ξ゚听)ξ「だって、……デレがブーンのこと持っていっちゃいそうで、
      何か、け、警戒してたんだもの、私」

ζ(゚ー゚*ζ「持ってかないよ」

ξ*゚听)ξ「……うん」

(*゚ー゚)「だいだんえーん!!
     さあ、演じさせられてる最中に何があったのか詳しく聞かせてもらうからね」

(#゚;;-゚)) コクコク

263 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:07:22 ID:7lttErJY0
>>259
あんたはまた違うだろwwwwwwwwwww

264 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:09:18 ID:J3hGkSXcO

( ^ω^)「さて、とりあえず2階行くおー。デレちゃん達、一応荷物持っておいで」

ζ(゚ー゚*ζ「はあい。あ、ニュッさん、本」

( ^ν^)「ん」

(´・ω・`)「ブーン、代わりに僕の荷物運んでくれる気遣いくらい見せろよ」

( ^ω^)「本っ当にお前だけ今から帰れ」

( ゚∋゚)「ああ、キュート、万年筆ありがとうな。あれ持ちやすくて気に入ったぞ。
     でも高かったんじゃないのか」

(´・_ゝ・`)「万年筆?」

o川;*゚ー゚)o「ああああああ余りもん! 余りものだよ! 処分に困ってたの! うん!!
       たまたまクックルさんにケーキもらったから、お礼に丁度いいかなって!
       きっ、昨日から用意してたわけじゃないからね違うからね」

( ゚∋゚)「余りものでも嬉しかった」

o川;* д )o「ああああああああああ!
       ごめんなさい余りものじゃないです買いましたお小遣い叩いて買いました」

(;゚∋゚)「何で一回嘘ついたんだ」

川д川「……キュートちゃん見てると思うんだけど、私の忠告って意味なかったのかしらあ……」

ハハ ロ -ロ)ハ「なかったと思いマスヨ。アレだけ惚れてちゃ……」

265 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:11:04 ID:WKmnG2mQO
クックルもにぶちんだな

266 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:11:11 ID:ab/qYy7c0
ブーンとツンの婚約祝いに唄を置いていきますね
ttp://www.youtube.com/watch?v=bij6WOl49WM&feature=related

267 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:11:45 ID:J3hGkSXcO

( ^ν^)「……おせえよ」

ζ(゚、゚;ζ「ニュッさん待って待って」

( ^ν^)「早くしろ」

ζ(゚、゚;ζ「わあっ!」

 手が滑る。
 鞄の中身が床に散らばった。

( ^"ν^)「何してんだお前は」

ζ(゚、゚;ζ「ごめんなさい……あっ、わ、私やりますよ」

( ^"ν^)「うるせえ」

 ニュッはノートや筆記用具を手早く拾い上げると鞄に詰め直し、
 そのままデレの鞄とコートを抱えた。
 本をデレに渡し、行くぞ、とぶっきらぼうに言い捨てる。

268 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:12:41 ID:J3hGkSXcO

ζ(゚、゚*ζ

ζ(゚ー゚*ζ「……ニュッさん」

( ^"ν^)

ζ(^ー^*ζ「ありがとう」

( ^"ν^)

( ^ν^)

( ^ν^)「ふん」

269 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:13:07 ID:qJvLJAY20
ニヤニヤニヤニヤ

270 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:13:27 ID:6Id0FcCw0
ニュッ君のデレ期きたー!!

271 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:13:47 ID:NFrqbv6MO
ニヤニヤニヤニヤ

272 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:13:47 ID:EIfvQKR2O
まさしくツンデレ

273 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:14:07 ID:D2Fbe9760
やっぱそこ名シーンだよな!

274 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:14:45 ID:J3hGkSXcO

 2人が階段へと向かう。
 去り際にニュッが蛍光灯のスイッチを切った。

 やがてドアが閉まり、1階、VIP図書館内は暗闇と静寂に包まれる。


 間もなく――2階から、賑やかな声が聞こえ始めた。





最終話 終わり

275 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:15:39 ID:ps4wqwmwO
終わったああああああああ!!!
エピローグ期待!乙!!!

276 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:16:04 ID:D2Fbe9760
よかった。とにかくよかった
乙!

277 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:16:17 ID:8apNoxk.0
感動した
乙!

278 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:16:19 ID:J3hGkSXcO



エピローグ



.

279 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:16:21 ID:d/Zs6XjIO
乙!!

280 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:16:31 ID:bmzMn9G6C
おつかれー!涙と鼻水止まらなすぎてやべえwwwww

281 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:16:41 ID:/45m87OwO


282 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:16:42 ID:PS1rmBOA0


283 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:17:16 ID:6Id0FcCw0


284 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:17:50 ID:pp82UtB20
かっはああああああああああ乙!!!

285 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:18:01 ID:qJvLJAY20
乙!エピローグ!

286 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:18:05 ID:7lttErJY0
エピローーーーグ!!!!

287 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:18:26 ID:EqJADzso0
乙ぅううううう!!!!

288 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:18:34 ID:NFrqbv6MO
EPカモンカモーン!!

289 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:18:43 ID:AyfQfYnw0
乙ん

290 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:18:52 ID:D4xEYqC.O
乙、わっふるわっふる〜

291 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:19:03 ID:J3hGkSXcO

(;*゚ー゚)「あっつい」

(;´;;-`)

 夏。8月に入った、まさに真夏。
 しぃとでぃは、自室から這いずるように脱出した。
 汗だくである。

 そこへデミタスが通りかかる。

(´・_ゝ・`)「どうしたの2人共」

(;*゚ー゚)「冷房が、うんともすんとも言わないの……」

(;´;;-`)) コクリ

(;´・_ゝ・`)「あれま、お気の毒に」

(;*゚ー゚)「……ん? デミタス、新作書き終わったの?」

(´・_ゝ・`)「いや、トイレしに出てきただけ。
        まだ序盤しか書けてないよ」

(;*゚ー゚)「ああそう……今年も、夏の間は外出するデミタスを見れそうにないね。
     ……ああ! 暑い! 1階行くか1階!」

292 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:19:20 ID:FL.F97oc0
うわああああああああああああああああああああああああ乙
とうとうエピローか畜生

293 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:20:00 ID:UxBWc.WY0
おっつおつ

294 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:20:57 ID:J3hGkSXcO

(;´・_ゝ・`)「こらこら、そんな格好で行ったらお客さんがびっくりするでしょうが。
        ほとんど下着じゃないか、その服」

(;´;;-`)ノシ

(;*゚ー゚)「何だよ2人して止めやがって……客なんてどうせ来てないだろ!」

川д川「来てるわよお……」

(;*゚ー゚)「うおおおっ!! いきなり出てくんな!」

 しぃの後ろから、ぬっと現れた貞子。
 幽霊顔負けだ。

川д川「夏だし、しばらくは暑い日が続きそうだし……クックルいわく、案外盛況らしいわあ……」

(´・_ゝ・`)「看板娘がいるしね」

川д川「それに加えて、8月中は看板息子もいるから……上手くいけば男も女も大漁大漁……」

(;*゚ー゚)「ふうん……。……だああっ、もう! 貞子の髪見てると暑苦しい!」

川д川「……うふふ、うふふう……夏っていいわよね……。
    ホラー……幽霊……お化け……うふふふ……腕が鳴るわあ……」

 不気味に笑いながら、ゆらゆらと貞子は部屋へ戻っていった。
 心なしか、しぃの汗が引いている。

295 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:21:57 ID:60CEISuQ0
ありがとう


296 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:22:28 ID:J3hGkSXcO

(*゚ー゚)「夏の貞子は恐いわ……セクハラする勇気も出ん」

(;゚;;-゚) ブルブル

(;´・_ゝ・`)「ほんと夏になると活き活きするよね、貞子。
        ……じゃあね。トイレ行ってくる」

(*゚ー゚)「おう」

(;*゚ー゚)「……あーつーいー!! そうだハロー! ハロー!!」

ハハ ロ -ロ)ハ「何デスカ、騒がしい」

 銀色の猫のシールが貼られたドアを叩くと、ハローが顰めっ面で現れた。
 暑いから部屋に入れろ、としぃが喚く。

ハハ ロ -ロ)ハ「しぃは部屋荒らすから嫌デス」

(;*゚ー゚)「荒らさんから入れろ! ついでに入れさせろ! 勿論性的な意味で!!」

ハハ ロ -ロ)ハ「ナニを入れるんデスカ……。
      それヨリ、一緒に食堂行きマセン? ホットケーキ食べようと思ってるんデスガ」

(;*゚;;-゚)「!」

(;*゚ー゚)「食堂! その手があった! 行くぞ!!
     冷やしてたゼリー食うゼリー!!」

ヽ(*´;;-`)ノ

297 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:23:08 ID:J3hGkSXcO

ハハ ロ -ロ)ハ「ゼリーにするノ? ホットケーキにアイス添えたヤツ食べマセン?」

(;*゚ー゚)「ぐおっ……や、やめろ、誘惑するな! ゼリー……アイス……両方……。
     畜生、食べても太らない設定のツンが羨ましい!
     ええい、とにかく食堂行ってから決める!!」

 ばたばた駆けていく椎出姉妹の後をゆっくり追いながら、
 ハローは、ふと階段の方を見遣った。

ハハ ロ -ロ)ハ「下は、どんな調子デスかね」



*****

298 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:25:20 ID:J3hGkSXcO


o川*゚ー゚)o「その作家の本でしたら、そちらの……」

 1階、VIP図書館。
 キュートは、男性からの質問に笑顔で答えた。
 ありがとう、という礼に、どういたしましてと返す。

 本を抱えたクックルが傍を通りかかり、キュートに声をかけた。

( ゚∋゚)「悪いな、キュート。折角の夏休みなのに手伝わせて」

o川;*゚ー゚)o「ぎゃばっ!! ……た、たたたっ、ただのお小遣い稼ぎだから!
       お給料出ないんだったら手伝ってなかったっつうの!!」

( ゚∋゚)「? 給料はいらないって言うキュートに、
     それじゃあ悪いからって館長が強引に払ったって聞いたが」

o川;*゚д゚)o「やかましいいいいいいあああああああ!!」

(;゚∋゚)「何で怒る……」

(*;∀;)「うわああああああああああ!!」

o川;*゚ー゚)o「あ」

 キュートを上回る絶叫。
 見ると、3人ほどの女性がモララーを囲んでいた。

 クックルが呆れながら近付いていく。

299 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:26:01 ID:EqJADzso0
ああ・・・

300 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:26:37 ID:J3hGkSXcO

(;゚∋゚)「ええと、司書への無用なお触りは御遠慮願います……それと館内ではお静かに」

(*;∀;)「クックルぅうううう!!」

(;゚∋゚)「お前が一番静かにしろ」

 大柄で強面なクックルに恐れをなしたか、女性達はそそくさと離れていった。
 それを見届けたキュートは、辺りを眺め回した。

 館内には、ちらほら、「客」の姿が見られる。
 テーブルで勉強する学生、本棚付近に最近設置されたソファで本を読む男女、
 クックルに構われたがる子供、などなど。

301 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:28:52 ID:UxBWc.WY0
行きたい読みたい

302 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:32:47 ID:N83eFIKE0
ねむいよおおおおおおおお

303 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:34:15 ID:PHQQpURUO
はぁ、エピローグかぁ

304 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:34:21 ID:7lttErJY0
しえええええええん

305 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:34:25 ID:J3hGkSXcO

o川*゚ー゚)o(思ったより来てるなあ)


 ――今年の春先、VIP図書館が開館した。

 割合のほとんどが小説、残りは作家達が資料として所持していた専門書や専門雑誌という
 偏りきったラインナップに加え、林の中なんて変わった場所に位置しているため、
 「誰も来ないんじゃないか」とキュートは危惧していた。

 だが、物好きや物見高い連中もいるにはいるようで、日に数人程度は来館する。
 誰も来ない日もあるが、館長である内藤も、作家達も、そんなもんだろうと気楽なものだ。

 夏である今は特に、涼を求め、連日それなりの数の利用者がやって来る。
 おかげで先日、10人超えという「快挙」を成し遂げた。

   ( ^ω^)『まあ、続けられるまで続けて、続けられなくなったらやめるお』

 春、内藤がのんびり言い放った「開館を祝しての挨拶」を思い出す。
 館長自体がこんな調子なので、キュートが心配することもなかろう。

 図書館開館をそれとなく内藤に勧めた張本人も、

   ζ(゚ー゚*ζ『上手くいったらいいねえ』

 なんて他人事だし。

306 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:36:24 ID:J3hGkSXcO

 ちなみに、作家達が交代で司書のような役割をこなしている。
 モララーとクックルは先日新作を書き終えたばかりの身なので、
 次回作を書き始めるまでの間、図書館で働くこととなる。

 モララーがいれば女性客が増えそうだ。
 というか増えた。先月より確実に増えた。リピーターもいる。
 何ならモララーは作家業をやめたらどうかと、昨日、内藤が本気で呟いていた。

(;゚∋゚)「お前ら夏休みの宿題やりに来たんじゃなかったのか?
     ちゃんと読書感想文書いたのか、おい。
     あと、他の人の迷惑になるから静かにしろ」

 遊べ遊べと付き纏う子供達をクックルが追い払う。
 巨体、力持ち、面倒見がいい――ともなれば、子供からすれば格好の遊び相手だ。

 結局クックルが折れ、後で外に行って少しだけ遊んでやることになった。
 キュートとしては微笑ましくもあり、心配でもある。

 そっと近寄り、クックルの服を軽く引っ張る。

307 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:37:30 ID:J3hGkSXcO

o川*゚ー゚)o「怪我したら駄目だよ」

( ゚∋゚)「ん?」

o川*゚ー゚)o「すぐに傷が塞がるとこ見たら、びっくりしちゃうでしょ」

( ゚∋゚)「ああ。うん、用心する」

o川*゚ー゚)o「簡単に死なないからって無茶しないでよね。
      木に上って落ちるとか論外だから」

(;゚∋゚)「誰がするか」

o川*゚ー゚)o「この間落ちたじゃん」

(;゚∋゚)「いや、あれは野良猫が降りられなくなってだな」

o川*゚ー゚)o「何にせよ、気を付けてね」

( ゚∋゚)「……分かってる。ありがとう」

o川*゚ー゚)o

o川;*゚ー゚)o「ぽまああああっ、あ、ああ、『ありがとう』って何さ『ありがとう』って!!
       私はクックルさんの心配してんじゃないからね!?
       面倒なことになるのを避けてもらいたいだけだって!! なあ!!」

(;゚∋゚)「お、おお。落ち着け、俺が悪かった」

 クックル相手に突然奇声を発する。
 そんな自分が図書館の一種の名物になっていることを、キュートは知らない。



.

308 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:38:35 ID:qJvLJAY20
キュートめんどくさ可愛い

309 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:39:25 ID:EIfvQKR2O
キュートが踏み出せる日は来るんだろうかwww

310 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:40:40 ID:J3hGkSXcO


 一方、カウンター。

ξ゚听)ξ「私、みんなに比べて何もしてない気がするんだけれど」

(*^ω^)「ツンは、そこに座ってくれてるだけでいいんだお」

 じっと椅子に座るツン、その隣で随時業務を行う館長、内藤。

 内藤は相変わらず「本」の回収に奔走しているが、
 以前に比べれば、館内に留まれる時間も増えた。
 彼が図書館にいる日は、ツンの仕事がなくなる。内藤が全て引き受けてしまうからだ。

ξ゚听)ξ「でも、暇だわ」

(*^ω^)「じゃあ、笑顔の練習するお。ほれほれ」

ξ゚−゚)ξ「んむむむ」

 内藤がツンの頬を指先で持ち上げる。
 やはり数年のブランクは長く、ツンの顔は未だ表情に乏しい。
 内藤は内藤で、依然血が苦手だし。

 ただ、それも「2人で乗り越える壁」だと思えば、悪い気はしないと彼は考えている。
 何と鬱陶しい思考だろう。

311 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:41:50 ID:UxBWc.WY0
支援

312 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:44:29 ID:J3hGkSXcO

(´・ω・`)「いちゃついてないで仕事しろ馬鹿夫婦」

( ^ω^)「お前こそ仕事しろお糞探偵」

(´・ω・`)「してますうー。30分後に依頼者に中間報告した後は別件の調査がありますうー」

 カウンターに凭れ掛かり、白い目で内藤達を見つめるショボン。
 この八の字眉は、暇さえあれば図書館の様子を覗きに来る。
 内藤にしてみれば邪魔くさいことこの上ない。

( ^ω^)「合間を縫ってまで来んなお」

(´・ω・`)「ここを宣伝して回ってやった遮木探偵様に何つう口の聞き方だい。
      僕の機転で『本に関する相談受け付けます』って付け足したら、
      先々月、早速デミタスの本を取り戻すのに成功したよね?」

(;^ω^)「くっ……!」

ξ゚听)ξ「ねえ、ショボン、ニュッ君どう?」

 内藤の手を頬から離し、ツンが問う。
 2人の左手、薬指に嵌められた指輪が、きらりと光った。

313 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:45:48 ID:J3hGkSXcO

(´・ω・`)「どうって、何が?」

ξ゚听)ξ「お仕事出来てる?」

(´・ω・`)「ああ、まあ。ほとんどデスクワークだし。心ゆくまでこき使わせてもらってるよ。
      今日は――『本』の方に行ってるけど」

(;^ω^)(……ニュッ君がショボンに過労死させられませんように……)

 内藤は、日差しの照りつける窓を見て、心の中で手を合わせた。



*****

314 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:46:43 ID:UxBWc.WY0
なるほど

315 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:46:54 ID:cP6kdBGc0
(´゚ω゚`)紫煙だ

316 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:47:01 ID:J3hGkSXcO


 蝉が鳴いている。

 樹に手をついて、デレは立ち止まった。
 後方へ振り返る。

ζ(゚、゚;ζ「……ニュッさあん、置いてっちゃいますよ」

( ^ν^)「……もう、お前だけで行ってきて……」

ζ(゚、゚;ζ「駄目ですって! ほら、もうちょっともうちょっと」

( ^ν^)「無理」

 とある町、とある山中、緩やかな傾斜の上。
 デレとニュッの距離は開いていくばかり。

 熱中症になられても厄介だ。
 デレは日陰を見付けると、ニュッを誘導し、そこに2人並んで腰を下ろした。
 先程までの暑さが嘘のように――とは言い過ぎにしても、そこそこ涼しい。

 鞄からスポーツドリンクを取り出し、ニュッに手渡した。

317 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:48:40 ID:J3hGkSXcO

ζ(゚、゚*ζ「はい、どうぞ」

( ^ν^)「んー……」

 ニュッはネクタイを緩め、ワイシャツの襟元のボタンを外した。
 ぼうっとした顔でスポーツドリンクを飲む。

ζ(゚、゚*ζ「目的地に着くときは、ちゃんとネクタイ締め直してくださいね」

( ^ν^)「んー……」

ζ(゚、゚*ζ「社会人ですからね。きちっとしましょう」

( ^ν^)「んー……」

ζ(゚、゚;ζ(大丈夫かな……)


 ――今年の始め、ツンの暴走による事件が解決した後。
 ニュッは、半ば強制的に、遮木探偵事務所に入社させられた。

 ショボンときたら、あの事件での自分の行いは全て仕事の一環だと主張したのだ。
 結果、デレの「4500円分」などでは足りない――どころの話でない――額を請求してきた。

 デレに払える金額ではない。
 内藤が立て替えると言ってくれたが、請求書を見て目玉が飛び出した。
 法外だ、無視しろ、踏み倒せと喚くものの、相手はショボン。そうはいかない。

318 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:49:34 ID:ZzElFFas0
まだやってんすか

319 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:51:26 ID:6Id0FcCw0
紫煙

320 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:51:58 ID:J3hGkSXcO

   (´・ω・`)『なら、うちの事務所、人手が足りてないんだ。労働力が欲しい。
         お前の従兄弟貸せよ。給料も出してやっから』

 というわけで、内藤は喜んで生け贄、もといニュッを差し出したのであった。

 基本的には事務仕事をしつつ、「本」の情報が入り次第、回収に取りかかるという業務内容。
 読書の時間が減ったとニュッが愚痴っていたものの、文句を言いながらも従っている。


( ^ν^)「何で山に家建てんだよ……」

ζ(゚、゚;ζ「ニュッさんだって林の中の家に住んでるじゃないですか」

 今日は本のためにわざわざ遠くまでやって来たのだ。
 何でも、この山奥に住む老人は珍しい書物を集めるのが趣味だとかで、
 近辺の病院に置かれていた「本」を買い取ってしまったらしい。

 その回収に向かうというニュッに、デレがついてきたのである。
 邪魔だ、来なくていいと言ったニュッだったが、
 現状、デレの方がしっかり動けているという皮肉な話。

321 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:52:45 ID:60CEISuQ0
だめだもう眠気が限界だ
最後に心からの乙を

322 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:53:38 ID:J3hGkSXcO

( ^ν^)「……お前、何でついてきたんだよ」

ζ(゚、゚*ζ「何でって……ニュッさんのお手伝いしたくて」

( ^ν^)「散々危険な目に遭ってきてるくせに懲りねえ奴だな。
       首突っ込みすぎだろ」

ζ(゚、゚*ζ「んー……」

ζ(゚ー゚*ζ「……だって好きですもん」

( ^ν^)

( ^ν^)「何が」

ζ(゚ー゚*ζ「本」

( ^ν^)「本。ああ。本……。
       ……お前、本好きだったっけ」

ζ(゚ー゚*ζ「VIP図書館の本が好きです。
      本だけじゃなくて、内藤さんやツンちゃんも、ニュッさんも、作家の人達も
      みんな好きですよ」

ζ(^ー^*ζ「だから、首突っ込むの、楽しいです」

 笑顔を向ける。

 ニュッはペットボトルの蓋を閉めると、デレに返した。
 それを受け取り、鞄にしまう。

323 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:54:18 ID:c52Wln.U0
デレだしなぁ・・・うん

324 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:54:56 ID:4hg8WquA0
ニュッ君ちょっと残念そうだな

325 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:55:02 ID:J3hGkSXcO

( ^ν^)「ばーか」

ζ(゚、゚;ζ「なっ、何でっ」

 ニュッが腰を上げた。
 デレに手を差しのべる。

ζ(゚、゚*ζ「?」

( ^ν^)「立てよ。歩くぞ」

 彼と初めて会った日のことを思い出す。
 あのときは手を貸してもくれなかったくせに。
 よくまあ成長したものだ。

ζ(゚ー゚*ζ「……はい!」

 デレは、ニュッの手を握った。


.

326 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:55:16 ID:6Id0FcCw0
紫煙

327 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:55:20 ID:7lttErJY0
そういや5時から9時間ほぼ投下しっぱなんだよな
支援

328 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:56:37 ID:J3hGkSXcO


 VIP図書館の本が好き。
 先程の言葉に偽りはない。

 作家達がニュッのために書いた話に、
 モナーが賛美の意を込めて命を与えた。

 これほど愛情に満ちた本が、他にあるだろうか。


 たしかに恐ろしい話だってある。危なっかしくてはらはらするし、
 気難しい本や主人公に遭遇すれば参ってしまう。
 悲しい結末に終わり、息苦しささえ覚えることもある。

 けれど反対に、馬鹿らしくて可笑しくて、終わってみれば笑い話になる事件も多い。
 何より、人の優しさなど、見た目の話だけではない美しさに触れられることが嬉しい。

 その度に、「彼ら」が愛しく思えて堪らない。

329 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:56:38 ID:qJvLJAY20
もうすぐ終わるのか

330 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:57:54 ID:J3hGkSXcO


( ^ν^)「腹減った……」

ζ(゚ー゚*ζ「これ終わったら、チキンライス作りますよ」





 ああ、なんて素晴らしい――



.

331 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:58:24 ID:ig32QMi6O
終わって欲しくないけど支援

332 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:58:37 ID:J3hGkSXcO










 ――生きた、本。










.

333 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:59:30 ID:J3hGkSXcO





ζ(゚ー゚*ζ あな素晴らしや、生きた本 のようです





334 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:59:36 ID:60CEISuQ0
おぉ

335 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:59:45 ID:FdKu8y2s0
乙だあああああああああああ!!

336 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:59:47 ID:AyfQfYnw0
乙だああ

337 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:59:54 ID:qJvLJAY20
おつうううううううううううう!
最高だった!

338 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 01:59:57 ID:wAGGEuis0
おつおつおつおつうううう!!!、

339 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:00:14 ID:D4xEYqC.O
乙ぅぅううっっ!

340 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:00:16 ID:LGm0vdmk0
乙!

341 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:00:36 ID:vX2cQgX.O
乙!

342 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:00:44 ID:pp82UtB20
終わったか……乙だった
そうとしか言えない

343 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:00:48 ID:dG6V4qnAO
乙っしたあああああああ!!

344 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:00:50 ID:0qmnFBeAO
心の底から乙

345 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:00:51 ID:FL.F97oc0

うわああああああああああああああああああああああ本当にお疲れさまでしたああああああああああああああああああああ

346 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:01:01 ID:EqJADzso0
乙!!乙!!!!!

347 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:01:15 ID:juB85drQO
おおお 乙!

348 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:01:22 ID:R/BL8is2O
乙!ずっと読めて良かった!!

349 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:01:22 ID:tlCjGUdkO
あああああ終わっちゃったあああああ乙うううっふう!!

350 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:01:38 ID:ab/qYy7c0
長時間お疲れ様です
最高に楽しい時間をありがとうぅぅ!!
乙おつ

351 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:01:46 ID:H8Wk7RukO
いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

352 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:02:05 ID:/45m87OwO
乙!!

353 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:02:21 ID:4hg8WquA0
今まで読んだ中でもかなり面白かった
>>1超乙!

354 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:02:32 ID:3TNogQGYO
乙!!(´;∀;`)

355 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:02:41 ID:f1DyaUg.O
乙です!素晴らしい

356 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:02:43 ID:7lttErJY0
ぶわああああああああああああああああああああああおつうううううううううううううう
これで思い残すことなく眠れるうううううううううううう

357 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:02:57 ID:6Id0FcCw0
乙です!

358 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:03:21 ID:PS1rmBOA0
乙!最後まで面白かった

359 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:03:26 ID:H/Xd3N3s0


360 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:03:56 ID:0VfCXdrc0
乙だよぅ
まとめ方も良いな

361 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:04:01 ID:xXFVfiFAO
おつ!

362 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:05:18 ID:564Ux4fwO
作者乙!!!
長時間の投下&完結本当に乙!

363 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:06:37 ID:7fkVxcg20
乙!面白かった

364 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:06:45 ID:UQIZB49M0
おつ!

365 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:07:01 ID:UxBWc.WY0
お疲れ様です
素晴らしや

366 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:08:11 ID:FL.F97oc0
いつもハッピーエンドで上手く締めてるし作者マジ俺の憧れだわ

367 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:09:18 ID:J3hGkSXcO
なげえええええええええええ
でも終わった! 終わった!

読んでくれた方、支援してくれた方、ありがとうございます!
もしも最初から最後まで投下に付き合ってくれた人がいたら、俺以上にお疲れ様でした!!

そしてまとめてくださったブーン芸VIPさん、ちょいといっぷくさん、
感謝してもしきれません。まとめていただきありがとうございました!!

皆さん本当に、本っっっ当に、ありがとうございました!!
お礼をいくら言っても言い足りない



質問・指摘等ありましたらお願いします
小話形式での返事は多分無理ですごめんなさい

368 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:10:10 ID:pp82UtB20
おっつかれえええええええええ
やっと、やっと寝れる……おやすみ

369 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:11:15 ID:R/BL8is2O
乙!!最高だった!!
今はゆっくりお休み!次回作あれば期待してるよ!!

370 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:11:17 ID:iMNIvH4w0

淋しくなるなあ
楽しみが減ってしまった

371 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:12:04 ID:qJvLJAY20
まだスレは残ってるんだぜ

372 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:12:38 ID:8uagdwlcO
最上級の乙!
クックルさんとキュートは最終的に結婚すんの?

373 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:12:59 ID:ZvneMyUwO
超絶乙!
大好き!

374 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:13:18 ID:mrt9aafo0
長時間おつおつ!
デレとニュッくん、キュートとクックルはどうなるのかだけ気になるなぁ

375 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:13:20 ID:EIfvQKR2O
乙、長時間投下も超乙
こういう作品があるからブーン系はやめられないね

376 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:14:02 ID:MaozR4BUO
乙!
次回作の予定はある?

377 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:16:12 ID:M7NGASIM0
圧倒的乙

378 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:17:27 ID:J3hGkSXcO
>>372 >>374
魔法の言葉「ご想像にお任せします」


>>376
あるような、ないような、微妙なライン

379 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:19:49 ID:ab/qYy7c0
乙乙ー!

ニュッ君の探偵事務所でのお給料は?
ついでに請求された金額は一体いくら?億?

380 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:20:58 ID:f5vLNXGcO
乙!乙!乙!

何時か、何時でもいいから番外編が見たい!
後、ブーン系以外にも書いてる作品とかあったら教えて欲しい!

381 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:22:41 ID:mrt9aafo0
くそうだれかそげぶさん呼んで作者の魔法ぶち殺してあげてー!

最終話の本の中のモナーはモナーが加筆して元いるキャラから人格を上書きして挟み込んだとかですか?

382 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:24:53 ID:MaozR4BUO
>>378
そうか、書くかもしれないと。しかし超良作終わらせたばかりなのにすぐに次回作の事とか聞いて申し訳ない。
とにかく乙!ゆっくり休んでくれ

383 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:24:55 ID:UxBWc.WY0
>>381
作者じゃないけど違うと思う

384 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:26:19 ID:STgWlvH6O
うわぁぁああ読み終わったぁぁあああ
作者さん乙!まじ面白かったぁぁあ終わってしまった辛い

終始ニヤニヤしたわ
まじ可愛い皆好きだわ寂しいなぁ

385 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:36:26 ID:J3hGkSXcO
>>379
( ^ν^)「本屋のバイトやってたときよりはいくらかいい」

億までではないけど完全に法外
本気で支払わせる気はなく、ニュッか内藤を下僕として雇うのが目的で吹っ掛けました

>>380
実は一個、書きたいエピソードが思いつきまして
それをね、書き上げたらね、番外編としてね、投下したいなとかね、ちょっとね、思ってるんですよね

ブーン系以外じゃ書いてないです


>>381
この辺あんま明確にはせず、ぼやかした方がいいかなあ、と思ったんですが


以下少し改行して、ふわっとネタばらしするので注意










( ´∀`)「ちょっと出張してきたわ」

|゚ノ ^∀^)「おかえりなさい」

386 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:38:04 ID:A2NR6P.kO
最高に面白かった
作者さん、長時間乙でしたっ!!

387 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:39:59 ID:PHQQpURUO
モナー本物だったのかよwwww
乙でした、長い間楽しませてもらった

388 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:40:51 ID:kmU89D6UO

ずっと追っかけてきたよ!本当にツンとブーンが幸せになれて良かったぁぁぁぁぁぁぁぁ!

389 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:47:05 ID:s5NFCf2Q0
乙!最後の文に鳥肌が立ったスゲエ!

390 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:52:36 ID:d/Zs6XjIO

一話投下時からずっと見てた
面白かったよ

391 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 02:56:39 ID:6kaStZ16O
お疲れ様です!最高でした。

392 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 03:01:34 ID:btrsw5OoO
最高。情景が自然と浮かんでくるもんなー。デレとのキスシーンは燃えた。
楽しみをありがとう!激しく乙!

393 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 03:16:02 ID:F6VLCm8M0
やっと読めた!
まさにタイトル通りの気持ちですわ、乙!!!!

394 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 03:17:19 ID:H8Wk7RukO
最後の文に全部の作品のタイトル入ってて鳥肌たったわ乙

395 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 03:22:22 ID:ehxsz21wO
乙 ファンタスティック超かわいかった

396 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 03:32:55 ID:dwel2gC.0


397 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 03:38:11 ID:Ra77oojs0
乙!
番外編チラッチラッ

398 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 04:04:36 ID:dzGcjnqc0
始まってから追いかけ続けてはや七ヶ月
今楽しみが一つ減ってしまった
この穴はどうして埋めてくれようか・・・
次回作待ってるぜwwwwwww乙!

399 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 04:08:20 ID:dwel2gC.0
>>397
今日はもう作者寝たんじゃね?

400 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 06:26:45 ID:YAq6s.rcO
寝落ちしたああああ
乙!すごく面白かった!
デレとニュッの割り切らない関係が好きだー

401 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 06:26:54 ID:uaK9kl620

楽しかった

402 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 06:38:48 ID:1SjWTv1A0

本当に面白かった

403 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 07:11:37 ID:Ox0p1arcO
乙。素敵な物語でした。
ニュッ君がんばれ。鈍感相手にヘタレてるといつまでも届かないぞw

404 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 07:41:08 ID:T9k63PmI0
iPhone握りしめたまま寝てた……

作者超乙
ブーン系の連載をこんなに心待ちにしたのはほんとうに久しぶり
バッドエンドで終わるんじゃないかとハラハラしてたけど、実に気持ちのいい終わり方でした。楽しませてくれてありがとう。
ニュッ君とデレちゃんの関係が凄く好きです。

405 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 07:48:29 ID:rOuzfOKc0
とうとう終わったかぁ…
ブーン系に限らずここまでワクワクしながら待った作品はなかった
ブーン系読んでよかったよ

406 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 07:58:06 ID:AVvTc7vk0

これから読むぜ

407 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 08:10:04 ID:4R3oPok.O
乙乙!
本当に楽しかった!わくわくをありがとう。

408 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 08:47:35 ID:AH8lzHhw0
遅くなったけど乙!!
本当に面白かった

409 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 08:54:30 ID:vYA2qSMYO
ブーン系に戻ってくるきっかけになったいい作品でした


410 名前:sage:2011/10/30(日) 08:59:19 ID:60CEISuQ0
ある意味ブーン系小説も生きてるね

乙乙

411 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 09:11:57 ID:RmTaQrqY0
遅ればせながら乙
こんなに引きこまれたブーン系初めてだったわ
次回作も期待!

412 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 09:13:09 ID:rzQlItm20
遅くなりましたが乙!
初めて一話を読んだときから面白いと思ってました!

413 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 09:41:41 ID:wUQE.DhM0
乙乙!
気が向いたらまた書いてくれお

414 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 09:44:06 ID:R/BL8is2O
また>>1のスレ立て代理してもらっての即興短編が読みたいな

415 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 10:17:36 ID:w4W6KaQI0
こんな図書館あったらいいなー行きたいなーと思いました!
乙!!

416 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 10:26:13 ID:uVR4SnEUO
遅くなったけど乙!
毎回ドキドキしながら楽しんで読めて幸せでした。
次回作も楽しみにしてます。

417 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 11:10:33 ID:avdZauP6O
この胸いっぱいの乙を!

こんなに面白い話を読ませてくれてありがとう

みんな幸せな未来しかみえないぜー

418 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 11:18:31 ID:0I3GY3gE0
乙!盛大に乙!

419 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 11:25:09 ID:9C29iA96O
乙!!寂しくなるなぁ…

420 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 12:59:29 ID:31jzjJ/60
おつ!
すごくおもしろかった!けど終わってしまってさみしいww
次回作と番外編期待してる!

421 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 14:52:16 ID:LLxCQDVYO
何度も泣いた… 良かったよぅ(;_;)


乙っしたあ!

422 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 17:20:57 ID:eHVobH6.O
素敵だった。
終わるのは淋しいが、仕方ない。ありがとうございました。

423 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 17:25:25 ID:qD/gbJb.0
乙です!
さて、今からでも遅くない。読もう

424 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 17:56:02 ID:WKmnG2mQO
あな名残おしや

425 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 18:01:38 ID:2rk/S1W.0
遅くなったが乙!!
よかった本当によかった
ありがとう

426 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 18:25:01 ID:rc3GOaRgO
うわあああああ!!!!!
乙でしたあぁぁぁ!!!!!


ツン
http://imepic.jp/20111030/656130
ニュッ君
http://imepic.jp/20111030/656540
ブーン
http://imepic.jp/20111030/657680

427 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 19:05:38 ID:U2d9/QoE0
乙でした!!本が読みたくなった…
デレとニュッくんの子はどっち似かなとか想像してニヤニヤした。すみませんでした。

428 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 19:13:16 ID:pkjCAzro0
>>427
ζ(^ν^*ζ

429 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 19:14:31 ID:pp82UtB20
>>428
うわぁ…………

430 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 19:31:30 ID:G1fyzyOA0
(゚ー゚*)
逆だとこうなるわけか
誰かに似ているような……

431 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 19:35:50 ID:atoQSnD20
500レスに及ぶビコーズ先生のありがたいお説教マダー?

432 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 20:24:07 ID:Oqy/HW86O
いつもロム専だったが、ここで一言だけ言わせて貰う。
乙!

433 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 20:27:27 ID:a377s6g6O
>>431
容易に想像できて吹いた

434 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 20:29:01 ID:8uagdwlcO
>>427
ζ(゚ν゚*ζ
ちょっと可愛いとこうだな


生徒会コラボ見てレモナと妹者は気が合いそうだなと思った
精神年齢的な意味で

435 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 20:37:48 ID:J3hGkSXcO
>>426
いつもありがとうございます!
ニュッがいかにも細身で非力そうで、これはどう見てもニュッ
笑顔のツンに涙腺が刺激された。本当にありがとうございます!

436 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 20:48:20 ID:hEPqWhKM0
読み終わった
素晴らしかった
乙!!

437 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 20:59:34 ID:s2QXbFAo0
主人公から脇役まですべての登場人物が愛おしい
あな素晴らしき作品に乙を!!

438 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 21:27:30 ID:FuzsaNZwO
寂しくなるな…
乙!

439 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 21:49:26 ID:AVvTc7vk0
ああ、なんて素晴らしいーー

440 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 22:08:41 ID:k4cG859U0
おもしろかった
続きはよ次回作はよ

441 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 22:23:21 ID:N5w/wyhw0
昨日からまとめで見たが、このジャンルで鳥肌来るとは思わなかった。

乙!感動してる!ありがとう。

442 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 22:38:04 ID:VdLngtvMO
毎回わくわくして読んでたよ!

乙!

443 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 22:52:59 ID:vX2cQgX.O
本当に乙!

ツンさん好きだー!
http://imepic.jp/20111030/820630

444 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 23:31:44 ID:7zQgsFSkO
読むのが遅くなっていまさらかもしれないがそれでも言おう



445 名前:名も無きAAのようです:2011/10/30(日) 23:39:34 ID:hWWOtMEI0
>>430
(*゚ー゚)「呼ばれたきがした」

446 名前:名も無きAAのようです:2011/10/31(月) 00:02:00 ID:9BGZpT8EO
>>443
わあああああありがとうございます!!
笑顔! 指輪! 幸せな気分になったけどブーン爆発しろ
ツン可愛いけどブーン爆発しろ

447 名前:名も無きAAのようです:2011/10/31(月) 12:27:49 ID:gesZVKlUO
作者盛大に乙でした!
面白かったなあホントに 久々にハマった作品だったよ
ありがとう

448 名前:名も無きAAのようです:2011/10/31(月) 15:11:56 ID:iH5H2FRs0
作者さん乙!
本当に好きな作品だったよ!

449 名前:名も無きAAのようです:2011/10/31(月) 17:00:46 ID:GWAzdya60
作者さん本当に乙です!
最後まで読めてうれしかったけど終わってほしくなかったよ!
また作者さんのブーン系小説が読める日を楽しみにしてます。

450 名前:名も無きAAのようです:2011/10/31(月) 18:42:10 ID:q9jEEhmYO
面白かったです!!
作者様、お疲れ様でした

451 名前:名も無きAAのようです:2011/10/31(月) 19:16:31 ID:KUCcBuCk0
16歳の処女まんを死ぬまで堪能できるブーン△

452 名前:名も無きAAのようです:2011/10/31(月) 23:49:19 ID:S22UW0TMO
乙です!
物語に引き込まれて、大好きです。
終わってしまったのは残念だけど、次があるとポジティブに、勝手に、待ってます!

453 名前:名も無きAAのようです:2011/11/01(火) 00:23:06 ID:F3Xj0sb.O
乙でした!
めちゃくちゃ好きだったので終わるのは寂しいけど最後まで楽しかったです!

454 名前:名も無きAAのようです:2011/11/01(火) 01:23:09 ID:X8z9ms0Y0
初めて書き込む!ほんとに乙でした!

455 名前:名も無きAAのようです:2011/11/01(火) 10:04:16 ID:glDvy3GA0
乙!

456 名前:名も無きAAのようです:2011/11/01(火) 12:37:44 ID:i5bg4bMY0
ブーンとツンの新婚初夜はどうなったんだろうか…

457 名前:名も無きAAのようです:2011/11/01(火) 13:00:35 ID:EU5UC1hIO
>>456
ツンがずっとブーン見てて眠れないブーンが見えた

458 名前:名も無きAAのようです:2011/11/01(火) 14:01:54 ID:jvVJVNiY0
(*゚ー゚)「約束!!」
しぃまでもが立ち上がる。
ぎらぎらとした目でデレを舐め回すように見つめながら、何かを揉み しだくような動きをした。

誰か最後にこれを描いてくれ

459 名前:名も無きAAのようです:2011/11/01(火) 15:11:44 ID:i5bg4bMY0
そんで、しぃはハアハア言いながら部屋の扉に耳当ててるわけか

460 名前:名も無きAAのようです:2011/11/01(火) 17:21:38 ID:04ok5ijEO
行為中にモララーが間違えて部屋入ってほぎゃああああ
まで浮かんだ

461 名前:名も無きAAのようです:2011/11/02(水) 16:06:20 ID:96LzbLYI0
うわああああああああああネット回線切れてた間に最終話投下きてたあああああああ
まじ乙です!(;ω;)
遅まきながら描き貯め支援!http://imepic.jp/20111102/576880
http://imepic.jp/20111102/577390

462 名前:名も無きAAのようです:2011/11/02(水) 16:36:55 ID:eilYv01k0
かあいい

463 名前:名も無きAAのようです:2011/11/02(水) 20:29:06 ID:5O85yS9s0
せいとかいとのコラボもう一つ書いて下さい!

464 名前:名も無きAAのようです:2011/11/02(水) 21:10:46 ID:OX9OMyHs0
相変わらずモララーがいい役し過ぎてたまらん

465 名前:名も無きAAのようです:2011/11/02(水) 22:54:15 ID:cxCk5s5YO
>>461
おい画像足らんぞ

466 名前:名も無きAAのようです:2011/11/02(水) 23:03:18 ID:TnQ7btXY0
>>461
可愛いすぎて今までの全部保存してる!!
モララーもぜひ!

467 名前:名も無きAAのようです:2011/11/02(水) 23:29:55 ID:S5DbN78EO
>>461
ありがとうございます!
ニュッの背景の色合いが禍々しいwwwこれはきっとデレつねられる直前
そんで落ち着きと節操のない29歳の方はのほほんとしてて、何この陰と陽

468 名前:名も無きAAのようです:2011/11/03(木) 00:17:06 ID:nnwOGCLY0
いまさらだけど乙!
ずっと見てた。そして久しぶりに泣いた

469 名前:名も無きAAのようです:2011/11/03(木) 11:28:27 ID:PQUR2kAIO
ブーンもうちょいでま…やめておこう

470 名前:名も無きAAのようです:2011/11/03(木) 13:14:27 ID:u03GvP5k0
貞子かわいいよ貞子 http://imepic.jp/20111103/475810

471 名前:名も無きAAのようです:2011/11/03(木) 15:53:20 ID:bPqIC/hIO
その調子で全員をば

472 名前:名も無きAAのようです:2011/11/03(木) 20:28:40 ID:u03GvP5k0
イケメンなんて…イケメンなんて…!!! 無理…orz
http://imepic.jp/20111103/729290

473 名前:名も無きAAのようです:2011/11/03(木) 20:38:11 ID:jw6sMVAQO
うがああああああ心なしかJKたちにちゅっちゅされてにやついてるように見えるぞおおおおおお
その調子で次なる絵をば

474 名前:名も無きAAのようです:2011/11/03(木) 21:11:28 ID:l9tBh3NgO
>>470>>472
ありがとうございます!
この貞子が好みすぎて生きるのが辛い
モララーwwwww イケメンだ、紛うことなきイケメンだ

475 名前:名も無きAAのようです:2011/11/03(木) 21:26:25 ID:LLcnlKUkO
モララーのイケメン具合に絶望した

476 名前:名も無きAAのようです:2011/11/03(木) 22:16:16 ID:PQUR2kAIO
本当にイケメンなのは穴本ならショボンじゃないのか。もは顔いいだけだろ

477 名前:名も無きAAのようです:2011/11/03(木) 22:45:19 ID:cxmeGMhI0
モララーイケメンwwwxww可愛いなwwwありがとうございます!

478 名前:名も無きAAのようです:2011/11/04(金) 00:20:07 ID:vLjnMg46O
そういやショボンの絵あんま見ないな

479 名前:名も無きAAのようです:2011/11/04(金) 00:27:26 ID:EiN9gRK6O
ショボンは隠れイケメンだと信じてる

480 名前:名も無きAAのようです:2011/11/04(金) 00:59:09 ID:/2cWZ9Jg0
個人的には田村正和を若くしたのを想像

481 名前:名も無きAAのようです:2011/11/04(金) 00:59:44 ID:AzqFOy7.0
見た目は気弱そうなんじゃね?

482 名前:名も無きAAのようです:2011/11/04(金) 01:28:04 ID:ZlTifLMwO
中身はドロッドロのコールタールのような男なのにね…

483 名前:名も無きAAのようです:2011/11/04(金) 02:12:03 ID:.zrB.TdAO
コールタールワロタ

484 名前:名も無きAAのようです:2011/11/04(金) 10:39:53 ID:nkkhdMo.0
コールタールつか底無し沼だろ

尻の毛までむしりとられるんだから

485 名前:名も無きAAのようです:2011/11/04(金) 13:16:14 ID:rPh86WQ.O
AA体で考えてるのはやはり少数派なのか

486 名前:名も無きAAのようです:2011/11/04(金) 13:24:08 ID:WrlP6C.Y0
>>485
AA体と絵の中間くらいで考えてる
基本AAで描写から足してく感じ

487 名前:名も無きAAのようです:2011/11/04(金) 19:11:50 ID:g0lSu.kU0
俺はわりと擬人化よりで考えてる

488 名前:名も無きAAのようです:2011/11/06(日) 04:02:25 ID:boNeAqko0
ブーン小説だけじゃなく物語で終わってしまったことに寂しさを感じたのは久しぶりだわ
めっちゃ面白かった 乙

489 名前:名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 02:07:27 ID:qr46RM0M0
うぁぁぁもう終わってたのか・・・
作者乙!ありがとう!

490 名前:名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 20:53:19 ID:YvovMs4s0
みくしーで我が物顔で全文コピペしてるバカがいるけど作者さんいいんすか?

491 名前:名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 21:52:53 ID:EqZiUGOAO
モバゲーにせいとかいのコペピもあったね

492 名前:名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 22:14:38 ID:Yeqhud3c0
あのへんはどうしようもないね
そういうの見つけたら有志がこのスレやまとめさんのURL貼ればいいんでね

493 名前:名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 22:52:16 ID:EqZiUGOAO
以前この話題になったとき 
自分の作品が広く読んでもらえるなら 
特に咎め立てはしないと誰かは覚えてないけど 
作者のかたが言ってたような気がする

494 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/11/07(月) 22:57:35 ID:wE1suFC6O
>>490
確認しようにも、見付けられんかった
「我が物顔で」がどれくらいの程度なのか分からないので、何とも言えないです

>>491
見てみました
作者を騙るわけでなく一種のまとめとしてやっているようだったので、
文句をつける必要はないかなと判断しました
その方のプロフィール?にも、コピペだと書かれているようでしたし

とりあえず感想コメントだけ読んで満足して帰ってきた

495 名前:名も無きAAのようです:2011/11/07(月) 23:24:48 ID:hHPC0gUY0
>>490
URLクレ、見てみたい

496 名前:名も無きAAのようです:2011/11/08(火) 00:01:22 ID:eeY8apFw0
>>490
コピペの館とやらではないん?

497 名前:名も無きAAのようです:2011/11/08(火) 04:22:09 ID:ns.0oTNU0
>>496
そうです
我が物顔でもないですね
コメントの臭さに我を忘れてしまったよ

498 名前:名も無きAAのようです:2011/11/08(火) 04:49:54 ID:jXFR9lxIO
「我が物顔」に感じるのは、「コメント(メッセージ)ありがとう」発言のせいかな?
他意はないようだけどね

499 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/11/08(火) 08:04:51 ID:dYyh.yvwO
>>496
なるほどなるほど

コピペだと明言されているし、こちらもモバゲー同様、文句などはありません
まとめサイトからの丸々転載とかだったらちょっと気になってしまいますが、
あれは、ちゃんとスレから引っ張ってきてるようですし(見た限りでは)。
場所が特殊なだけで、まとめの一つみたいなもんだと思います

とりあえずやっぱり感想コメント読んで帰ってきた

500 名前:名も無きAAのようです:2011/11/08(火) 14:08:01 ID:GoIXASxs0
ぐう聖

501 名前:名も無きAAのようです:2011/11/08(火) 15:11:32 ID:Pj4h7ChM0
◆c9sFVHJv2E兄貴は人間の鑑

502 名前:名も無きAAのようです:2011/11/09(水) 11:41:41 ID:rXfShQZs0
>>385から察するに、あの時の( ´∀`)は本物?

503 名前:名も無きAAのようです:2011/11/09(水) 13:15:15 ID:yOoB/y020
無粋なやつだな
どっちだっていいじゃないか

504 名前:名も無きAAのようです:2011/11/09(水) 16:04:05 ID:Mf55olFA0
番外編wktk

505 名前:名も無きAAのようです:2011/11/09(水) 19:36:26 ID:6OTE1eE.0
>>502
それぐらい分かれよ…

506 名前:名も無きAAのようです:2011/11/10(木) 00:40:26 ID:xhofTr3E0
あくまでも話の登場人物の一人でしかないのに何故あんな事を言ったのか

これでわかるだろ

507 名前:名も無きAAのようです:2011/11/17(木) 11:41:24 ID:lHQY5i5IO
番外編はいつ来ますかー…。

508 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/11/17(木) 17:58:00 ID:OGT2gZb6O
>>507
今月中には投下したいなあと考えていますが、
最終話投下の賢者タイムが思いのほか長引いてて、書き溜めがなかなか進まない現実

ごめんなさい頑張ります

509 名前:名も無きAAのようです:2011/11/17(木) 19:21:29 ID:ZbZ5jb3Y0
1年くらいは悠々と待ちます

510 名前:名も無きAAのようです:2011/11/17(木) 19:28:00 ID:R.oEHP2.0
イチャイチャパラダイスみたいなの期待してます

511 名前:名も無きAAのようです:2011/11/17(木) 20:35:03 ID:lHQY5i5IO
>>508
ありがとうありがとう。そのコメント頂けただけでいつまでも待てます、待ちます!

512 名前:名も無きAAのようです:2011/11/19(土) 23:21:21 ID:FydRMhZI0

面白かったです

513 名前:名も無きAAのようです:2011/11/25(金) 09:05:50 ID:5xQGjqaAO
もうないと思ってたから嬉しい
待つ!

514 名前:名も無きAAのようです:2011/11/27(日) 17:14:35 ID:TZanjdikO
まだ?

515 名前:名も無きAAのようです:2011/11/27(日) 18:09:16 ID:EbhWpwa.O
急かしてんじゃねぇよ
何様だよwww

516 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/11/27(日) 19:44:25 ID:0kd2EUhsO
>>514
今月中、遅くても今週末には! 何とか! 出来たら! いいな

気付いたら最終話投下してから一ヶ月経ちそうですね
その場のノリで祭に参加表明してる場合じゃなかったですね
気持ちいいですね

517 名前:名も無きAAのようです:2011/11/27(日) 20:52:37 ID:kOYGpTBk0
>>516
把握した
wktkしながら待ってる

518 名前:名も無きAAのようです:2011/11/27(日) 21:55:54 ID:TZanjdikO
ありがとう
そわそわしながら待つよ

519 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 18:23:37 ID:.pfHXs12O
そわそわすんな、静まれ

520 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 18:49:01 ID:E9GQvkegO
ひかえおろう

521 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 21:25:20 ID:ScUp/rjIO

そわ…

そわ…

522 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 22:19:03 ID:F.OxoI4.0
 さわ…

    さわ…

523 名前:名も無きAAのようです:2011/11/28(月) 22:31:45 ID:dsNJyYe20
カサ


カサ

524 名前:名も無きAAのようです:2011/11/30(水) 23:16:39 ID:chCRXvQUO
ζ(^ν^*ζ の出番はあるのか楽しみだ

525 名前:名も無きAAのようです:2011/12/01(木) 22:19:41 ID:jnrz3sZsO
サンタさんまだかなー

526 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/12/02(金) 17:51:31 ID:LFLp0LwEO
ああああああああああああ
ああああああああああああああ
書き溜め一部消えああああああああああああああ
あああああああああああああああああ
消えたああああああああああああああああ

ああああああああああああああああああああああああああああああ

今日中に書き直せたら明日投下します
今日中に終わらなかったら明後日投下にずれ込みますごめんなさい


>>524
ζ(^ν^*ζ (゚ー゚*) ζ(゚ν゚*ζ (^ζ^*)
好きなクソガキを選ぶドン

527 名前:名も無きAAのようです:2011/12/02(金) 18:26:24 ID:skk7hug6O
ν(゚ー゚*ν

528 名前:名も無きAAのようです:2011/12/02(金) 18:27:11 ID:t1Dli.yM0
> >>524
> ζ(^ν^*ζ (゚ー゚*) ζ(゚ν゚*ζ (^ζ^*)
> 好きなクソガキを選ぶドン

○田どんさん乙

529 名前:名も無きAAのようです:2011/12/02(金) 19:53:39 ID:4zw4FFT60
(゚ー゚*)がいいザウルス

和○ドンじゃなくて剣山の方を思い浮かべてしまったドン

530 名前:名も無きAAのようです:2011/12/02(金) 20:03:46 ID:EhO0s5LA0
ζ(゚ν゚*ζがいいドン

531 名前:名も無きAAのようです:2011/12/02(金) 20:49:46 ID:qR338pik0
(゚ー゚*)がいいカッ!

532 名前:名も無きAAのようです:2011/12/02(金) 21:16:09 ID:wcgJgzB20
(゚ー゚*)はどっかの痴女に似てるし他のはどうしようもなくキモいドン!
逃げ場が無いドン!

533 名前:名も無きAAのようです:2011/12/02(金) 21:48:57 ID:OEuDGqpEO
(゚ー゚*)で遊ぶドン!

534 名前:名も無きAAのようです:2011/12/02(金) 23:20:34 ID:Y9e9fpvwO
なんなんだこの流れwwww

535 名前:名も無きAAのようです:2011/12/03(土) 13:42:08 ID:IjOPpPoU0
>>528
クソガキったら(*゚ー゚)の子供しか浮かばねぇ

536 名前:名も無きAAのようです:2011/12/03(土) 20:58:00 ID:iZGDRCn6O
>>526

ζ(゚ν゚*ζがいいダダダダ
おとこなら(^ー^)

537 名前:名も無きAAのようです:2011/12/03(土) 21:29:40 ID:KKXy0r8A0
ビーンさん何してはるんですか

538 名前:名も無きAAのようです:2011/12/03(土) 22:53:06 ID:VObfUnr.O
ζ(゚ν゚*ζがいいドン

ζ(^ν^*ζ
http://imepic.jp/20111203/815990
(゚−゚*)
http://imepic.jp/20111203/816440
ζ(゚ν゚*ζ
http://imepic.jp/20111203/816910
(^ζ^)
http://imepic.jp/20111203/817440

539 名前:名も無きAAのようです:2011/12/03(土) 23:06:56 ID:FSvVu2NU0
>>538

やだ、みんなかわいいじゃない……


って鼻フックやめろwww

540 名前:名も無きAAのようです:2011/12/03(土) 23:22:26 ID:L.joYPmYO
(^ζ^)は水木しげる的な口と鼻を想像してたわ…

541 名前:名も無きAAのようです:2011/12/03(土) 23:28:46 ID:Vxkwad5wO
>>538
全員にアメちゃんあげたいわあ

542 名前:名も無きAAのようです:2011/12/03(土) 23:31:59 ID:V6VYZXRwO
(゚ー゚*)には間違いなくしぃの血が混じってる

543 名前:名も無きAAのようです:2011/12/04(日) 00:34:13 ID:BzOxXShMC
>>526
気長に待ってる!
何気に自分提案の子供AAが入ってて嬉しかったありがとう!!


>>538
みんなかわゆしさんだなぁ
どの子でも二人が親バカになりそうw
どうせなら四人兄弟になれば面白いなw

544 名前:名も無きAAのようです:2011/12/04(日) 00:42:03 ID:cwQQfUVwO
>>538
超超乙

やだ、みんな可愛い…

どの子でも作家一同はじめ館長夫妻やら祖父母に猫っ可愛がりされそうだね!

子連れの時に高校時代の恩師にバッタリ会ったら楽しいナァ

545 名前:名も無きAAのようです:2011/12/04(日) 00:43:22 ID:wtyFvd8YO
4人兄弟……ニュッ君過労死のお知らせか。

546 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/12/04(日) 00:52:10 ID:G0VWaDggO
>>538
あれ? みんな可愛いんじゃないの? これ全然クソガキじゃないんじゃないの?
もしかして一番目はパンツ見えてるんじゃないの? 特に三番目の可愛さが常軌を逸してるんじゃないの?
と思ったが確実に二番目には奴の血が入ってる
まさかコレを絵にしてもらえるとは思わなかった。ありがとうございます!!



書き溜め、9割ほど復旧しました。思いのほか消えてた。しかもやっぱりすごく長い
多分今日投下出来ると思いますが、投下来なかったら察してください

以前、よいわるいふつうのスレで「書き溜め消えたときの対処法オナシャス」とか書いたんですけど
言霊ってやつの存在を信じてみようと思います。クリスマス中止

547 名前:名も無きAAのようです:2011/12/04(日) 00:57:08 ID:A0yGEHH20
>>546
シベリアで書き溜め消えて死にたがってた人?

548 名前:名も無きAAのようです:2011/12/04(日) 01:06:39 ID:ZMpQ3Y0w0
>>546
あれ書いたのお前さんだったのかwwww

549 名前:名も無きAAのようです:2011/12/04(日) 10:04:57 ID:eOcMWXXU0
>>546
何してるww

550 名前:名も無きAAのようです:2011/12/04(日) 10:28:51 ID:JtlGaqmY0
お題を出したってことじゃねえの

551 名前:名も無きAAのようです:2011/12/04(日) 20:57:59 ID:CCnr.4oU0
そう言ってるじゃねぇか

552 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/12/04(日) 21:51:30 ID:G0VWaDggO
ちょっと色々と用事がごたついてて投下が深夜になりそうです
あとすごく長いので、深夜に前半投下→明日(か明後日)の夜に後半投下という形になると思います

宣言した予定日からどんどんズレていって本当にごめんなさい
尻をぶってください

553 名前:名も無きAAのようです:2011/12/04(日) 22:09:46 ID:m2FhDAx60
wktk

554 名前:名も無きAAのようです:2011/12/04(日) 22:35:55 ID:ZMpQ3Y0w0
       ____,....
  ,. ‐';ニ"´ニイ:i!:、ヽ:.:`ヽ、_
/.:///:.イ:.|:|:|i:.:ヽ:.、ヽ:、ヽ、
:.:/:/./://:|:.:|:!:|:|i:.:.:゙,:.:.:.リ:.ヽ\
./:.:/:/:.:.//ハ:.:i:.:l:.:.i:.:.:i:.ヽ`:|:!:.:ヽヽ
:.:/.:/:.:./:.l!::.:.ハ:.V:.;、:i:.:.|:.:.ヽ|:.i:.i:.:.',:.゙:,
/l!:/.:.:/|!.|:.:./ハ:',:|:ヽ:、|!:.:.:.ハ:.||:.',:.i:、:',
!|l,:!:.:.:.:|.| |レ/∧:l:メ!:.ヽ:.:|:.|/:.i:.リ:、',:|:.i:.i
:|l.|:.:.:.:|!.:|:.//¬i:.{‐、.:|.ト、:l:|、:.!:.:.i:ヽ|:.|:|
i:.:| |:.:.|l:.:.l/ィ示ヽミ !.メ| 〉ヽ!:|_!:.|:i.:N:.|
:.:.l!:l、.:.:l、:l`ヽ::ノ_, ' リ |i |.,.ィl、.|::!||:.メ:リ
、:.l!.N、:い!.        !く:::ソ } |:.:|/:/
!:i、.i!リ ヽ!         , `~ /|:ノ:/
:.i|:iN  `      .: ノ  /:!レ/′
:、l:|ハ     、____    /::i/'′
小| ヽ     `''ー‐`''  /|/l
:.:トヽ  \       /                      r‐-、r‐-、r‐-、r‐-、
N|`ヽ   ヽ、    , '´      ┌───────┤  ||  ||  ||_..._|‐───────┐
``'''‐- ..,_   iT"´           | ー──────‐ |_...._||  ||_...._|ヽ_,ノ. ─────── |
、_    ``''‐N、           | DEATH NOTE .ヽ_,.ノ|.-‐.|ヽ_,ノ                   |
 `ヽ、      i          | ─────────. `ー' ー‐─────────‐ |
、   `ヽ、   |           | ◆c9sFVHJv2E        :                 |
、`ヽ、   \  |          | ──────────‐ :. ──────────‐ |
 \ \   ヽ.|ヽ         | 死因:変態読者どもに尻 :を嬲られ快感の余り死亡 |
   ヽ ヽ   |  \          | ──────────‐ :. ──────────‐

555 名前:名も無きAAのようです:2011/12/04(日) 22:48:54 ID:.cBavQ1c0


556 名前:名も無きAAのようです:2011/12/04(日) 22:59:44 ID:pIJK7qwoO
ζ(^ν^*ζ人(゚ー゚*)人ζ(゚ν゚*ζ人(^ζ^*)

557 名前:名も無きAAのようです:2011/12/04(日) 23:13:57 ID:2vjcqwD6O
ζが口になるならνが髪になったっていいじゃない(゚ー゚*ν

558 名前:名も無きAAのようです:2011/12/04(日) 23:18:01 ID:A0yGEHH20
ちょwwwwかわいい

モッズガールっぽい

559 名前:名も無きAAのようです:2011/12/04(日) 23:58:53 ID:pNQtKgDs0
親戚には瀬川が居そうな感じだ

560 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 00:26:22 ID:65bzj5BMO
ζ^ν^*ζ

561 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 00:35:09 ID:Tsilj4egO
>>559
確かいたぞ
おまけに出てた
モナーの息子で

562 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:22:48 ID:G.mUN/LwO
>>559
は瀬川がブーンの父親、
ニューソ君がニュッの父親という割とどうでもいい裏設定


だいぶ遅れてすみません、番外編投下しマイケルムーア監督
切りのいいとこまで投下、残りは後で

563 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:28:42 ID:G.mUN/LwO
念のため

※最終話未読の人は色々と注意

564 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:29:27 ID:G.mUN/LwO

川 ゚ 々゚)

 暗い部屋の中、ささやかな明かりが一つ。
 その光源、携帯電話を見つめる少女が1人。

 埴谷くるう。
 高校2年生だ。

 少々雑音の混じった音声が響き渡る。
 小さな画面には、彼女と同年代の少女や少年が映されていた。
 何かを探すように、カメラは忙しなくあちこちを映していく。


   o川*゚ー゚)o『ぶいぶい!』


 ひょいと横から現れた少女が、こちらに向かって満面の笑みを浮かべ、ピースサインをした。
 くるうの頬が緩む。

川*゚ 々゚)

 少女はすぐに背を向けた。
 ある人物を見付けるなり、「デレちゃん」と名前を呼んで、その人のもとへ駆ける。
 くるうの眉間に皺が寄った。

565 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:30:33 ID:G.mUN/LwO

   o川*゚ー゚)o『――に、見て……の?
         ……あ、かわい……』

   ζ(゚ー゚*ζ『ねえ、これ、……さんに、……――』

   o川*^ー^)o『……あはは! たしかに! ……ッく……似て……』


 土産屋らしき店の前で、2人が談笑している。
 カメラから遠ざかってしまったため、会話の内容は満足に聞き取れない。
 しかし楽しそうなのは伝わった。

 腹立たしい。


川#゚ 々゚)


 映像が途切れるのと、くるうが携帯電話を閉じたのは同時。
 たしか、あれを撮影したときも同じタイミングで苛立って、カメラ機能をオフにしたのだった。

 唯一の明かりも消えた部屋。
 不意に、くるうの後ろ、部屋の隅から声がした。

566 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:31:52 ID:m5c1i2Hw0
こんな時間に見てる奴いねーだろw
支援

567 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:32:44 ID:G.mUN/LwO

【+  】ゞ゚)「あの子を撮れたのか?」

川 ゚ 々゚)「……うん」

 40代半ばほどの中年。
 不気味な男だ。

 「不気味」だという印象を与える要素は、いくつかあった。
 暗闇に溶けそうな真っ黒な服と、対称的に青白い不健康な肌。
 目の縁に出来た隈。

 極めつけは、顔の右半分を覆う、十字の模様が入った仮面である。
 男は音も立てず、くるうの傍へ近付いた。

川 ゚ 々゚)「キューちゃん、あんまり話せなかった。
      折角の修学旅行だったのに」

【+  】ゞ゚)「それは残念だったな」

川 ゚ 々゚)「班も一緒になれなかったし」

【+  】ゞ゚)「ああ、旅行に行く前からも愚痴ってたな」

 くるうは携帯電話を開き、再び動画を見始めた。

 先程と同じ場面で閉じる。
 それからもう一度開く。

568 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:33:35 ID:G.mUN/LwO

 何度繰り返しても、少女はカメラに背を向け、あの人のところへ行ってしまう。

 そっちに行っては駄目だ。
 その人は駄目だ。

川 ゚ 々゚)

 ふと、くるうは動画の途中で一時停止させた。


   [o川*゚ー゚)o]


 少女がピースサインをしたまま、画面が止まる。
 良かった。もう離れていかない。

川*゚ 々゚)

 くるうは、満足げに溜め息をついた。
 そう。それでいい。

569 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:33:39 ID:oQRDHQagO
見てるよ
つ支援

570 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:35:27 ID:G.mUN/LwO

【+  】ゞ゚)「くるう」

川*゚ 々゚)「なあに、オサム」

【+  】ゞ゚)「幸せか」

川 ゚ 々゚)「……んんー」

 どうだろう。少しだけ幸せな気持ちにはなった。だが、少しだけだ。
 なかなか答えないくるうに、オサムと呼ばれた男は首を傾げた。

川 ゚ 々゚)「まだ、ちょっと足りない」

【+  】ゞ゚)「足りない?」

川 ゚ 々゚)「うん」

【+  】ゞ゚)「何が足りないんだ? 足りないものなら俺が――」

 そのとき、玄関のチャイムが鳴った。
 「お兄ちゃんだ」。くるうが呟く。

 くるうは携帯電話を閉じて立ち上がると、明かりをつけ、部屋を出た。
 残されたオサムは眩しそうに顔を顰めながら、室内を見渡す。

 彼の横には、花柄の本が落ちていた。


.

571 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:35:51 ID:Ng4Y2Pug0
しえわん

572 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:35:58 ID:G.mUN/LwO



番外編 あな狂おしや、児童文学



.

573 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:37:59 ID:G.mUN/LwO

( ФωФ)「ううむ……」

 1人の男が、一枚のコピー用紙を眺め、難しい顔で唸った。
 紙は、とあるホームページを印刷したものだ。

 「VIP図書館」。
 一番上に、そう書かれている。

( ФωФ)「林の中らしいが……どこから入ればいいのだ、これは」

 呟き、目の前の林と、自分が立つ道を区切っているフェンスを見上げた。
 それから左右を確認する。
 その拍子に、右腕に引っ掛けている袋が揺れ、がさりと鳴った。

 フェンスは、ずっと向こうまで続いている。
 これに沿って歩けば、いずれ入り口に着くだろうか。

 男は、左手を己の腰の高さまで下ろした。
 外側へ掌を向ける。

( ФωФ)「ブーム、行くである」

( ФωФ)

( ФωФ)「……ブーム?」

 息子の名前を呼ぶが、返事がない。
 慌てて辺りを見回したが、自分以外には誰もいなかった。



*****

574 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:39:51 ID:G.mUN/LwO


 長岡デレがVIP図書館と関わるようになってから、もう一年が経った。

 小さな事件や大きな事件を繰り返し、危険な目にも遭いつつ、
 騒がしい日々を送っている。


 今日も今日とて図書館にやって来たデレは、
 「開館日」の札が下がった扉を開けた。

ζ(゚ー゚*ζ「こんにちはー」

(*^ω^)「あ、デレちゃん」

ξ゚听)ξ「こんにちは」

 カウンターの向こうに並んで座っているのは、
 館長である内藤ホライゾンと、その妻ツン。

 館内を見渡してみると、2、3人ほどの利用者がいた。
 日頃、誰も来ないまま数時間が経過するという事態が平気で起こるので、
 これだけでも充分「賑わっている」方だろう。

575 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:41:29 ID:G.mUN/LwO

( ^ω^)「修学旅行はどうだったかお?」

ζ(゚ー゚*ζ「楽しかったです!」

 内藤の問いに、笑顔一杯で返す。
 修学旅行から昨日帰ってきたばかりだ。
 たしかに楽しかったが、やはり、この図書館でのんびりする方が性に合っている。

ζ(゚ー゚*ζ「今日はお土産渡しに来ました」

ξ゚听)ξ「あら、気を遣わなくていいって言ったのに」

 紙袋をカウンターに乗せる。
 旅行先の名産品がいくつか入っているものだ。

 本当は図書館の住人それぞれに別々の土産を買いたかったが、
 気に入ってもらえるか分からないし、何より金の問題もあるので、
 せめてみんなで食べられそうなものを選んだ。

(*^ω^)「おっおー、ありがとうお」

ξ゚听)ξ「ありがとう、デレ」

( ^ω^)「はいツンちゃん笑顔」

ξ゚−゚)ξ「あいがふぉう」

 内藤がツンの口角を無理矢理上げさせる。
 今のところ、リハビリの効果はあまり見られない。

576 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:42:44 ID:G.mUN/LwO

ζ(゚ー゚*ζ「どういたしまして。あ、早めに冷蔵庫に入れた方がいいのもあるから……」

ξ゚听)ξ「分かったわ」

 袋を持って、ツンが立ち上がる。
 くるりと振り返って後ろのドアを開け、2階へ上がっていった。

 それを見送る内藤の顔に、デレは苦笑した。

(*^ω^)「あれ、僕の嫁だお。信じられるかおデレちゃん」

ζ(゚ー゚;ζ「はあ」

(*^ω^)「可愛いおね」

ζ(゚ー゚;ζ「そうですね」

(*^ω^)「同じベッドで寝てるんだお。
       起きたときにツンが隣にいる感動ときたら」

ζ(゚ー゚;ζ「聞きました。何回も聞きました」

 もう何度惚気られたやら。
 彼の従兄弟をして「最近兄ちゃんがうざったい」と言わしめるだけのことはある。
 仲睦まじいのは結構だが、こちらにまで絡まないでいただきたい。

577 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:45:55 ID:G.mUN/LwO

 内藤の言葉を聞き流していると、本棚の陰から現れた人物が2人、
 デレに元気よく声をかけた。

o川*゚ー゚)o「やっほ。デレちゃん」

ハハ ロ -ロ)ハ「デレ、オカエリ!」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、キュートちゃん来てたんだ。
      ただいまハローさん」

 友人の素直キュートと、「作家」ハロー・サン。
 修学旅行直前の時点では、ハローはまだ執筆に勤しんでいた筈。
 この数日の内に書き上げたのだろう。

 土産を渡したかと問うキュートに、デレは頷いた。

( ^ω^)「さっき、キュートちゃんからもお土産もらったお」

ζ(゚ー゚*ζ「そういえばクックルさんのために選んだお土産は渡せた?
      どれにするか、すっごく悩んでたよね」

o川;*゚ー゚)o「なななななななななな何を言うの何を言うのデレちゃん何を言うの!!
       あんなもん即決だから! どうでもいいから全然悩んでないから!!」

( ^ω^)「どんぐらい悩んでたんだお?」

ζ(゚ー゚*ζ「ええっと、どれくらいでしょう。
      行く先々で考えてましたし……全部の時間合わせたら、かなりの時間になりますよ。
      内藤さん達にあげる分は、すぐに決めてましたけど」

o川;*゚ー゚)o「喋るな! 喋るな!!」

578 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:46:10 ID:Tsilj4egO
穴本投下予告あったのに寝るわけないわな
支援

579 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:47:17 ID:G.mUN/LwO

ハハ ロ -ロ)ハ「ワタシが代わりに渡すコトになりマシタヨ」

ζ(゚、゚*ζ「何だ、そうなんですか」

o川;*゚ー゚)o「……ちゃんと渡してくださいよ」

ハハ ロ -ロ)ハ「モチロン」

o川;*゚ー゚)o「ハローさんが食べないようにね!」

ハハ ロ -ロ)ハ「分かってマスッテ」

 悩みに悩んだ末、結局、その土地限定のチョコレート菓子にしたのだったか。
 土産屋では、


   ζ(゚、゚*ζ『どうせなら形に残るものがいいんじゃない?』

   o川;* ー )o『いや……私があげた万年筆を使ってるのを見る度にね、
          心臓が飛び散りそうになるの……』


 というようなやり取りもあった。

 学生が手を出すにはなかなか高いものだったと記憶している。
 それに見合った立派な容器だったので、
 もしかしたら容れ物は捨てられずに取っておかれるかもしれない。

 だとしたら、キュートはやはり、心臓が飛び散りそうな思いをする羽目になるのだろう。

580 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:48:42 ID:G.mUN/LwO

 彼女の将来の心配をしながら、デレは柱に掛けられた時計を見上げた。
 午後2時を回ろうとしている。

ζ(゚ー゚*ζ「――じゃあ、そろそろ失礼しますね」

( ^ω^)「もう行くのかお?」

ハハ ロ -ロ)ハ「エー。モット構ってってクダサイ」

ζ(゚ー゚*ζ「ショボンさんのところにお土産持っていかなきゃいけないので」

o川*゚ー゚)o「あっ、じゃあ私の分も渡してきてくれない?」

ζ(゚ー゚*ζ「いいよー」

o川*゚ー゚)o「ありがと! ちょっと待って、持ってくる!」

 キュートが2階へ駆けていく。

 車で送るかと言う内藤に、デレは、勤務中でしょうと返した。

( ^ω^)「とは言っても、今は退屈で仕方ないお」

ζ(゚、゚*ζ「それでもお仕事はお仕事です。
      こうしてお話してるのも、内藤さんの邪魔しちゃってるようなものなんですから」

 そのとき、2階から奇声が聞こえた。
 大方、クックルとでも遭遇したのだろう。

 数分後に下りてきたキュートの顔が真っ赤だったので、間違ってはいないと思う。



*****

581 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:52:45 ID:G.mUN/LwO


 遮木探偵事務所。
 プレートが下がっているドアの前で、デレは耳を欹てた。

 男性の、ぼそぼそと話す低い声以外には何も聞こえない。
 客人はいなさそうだ。

 ノックをして、ドアをそっと開ける。

ζ(゚ー゚*ζ「こんにちは」

(´・ω・`)「いらっしゃ――何だ、デレちゃんか」

( ^ν^)「……よう」

 応接用のソファに座っているのは、この事務所の所長、遮木ショボン。
 デレに気付くと、片手を挙げた。

 後方にある机で、内藤ニュッがパソコンと向かい合っている。
 こちらはデレに短く声をかけただけで、それきり黙ってしまった。

 見たところ、室内には彼らしかいない。
 他の所員は調査に出ているのだろう。

582 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:54:59 ID:G.mUN/LwO

ζ(゚ー゚*ζ「あのう、今、お邪魔してもよろしいですか?」

(´・ω・`)「もう少しで客が来る予定だから、それまでなら」

ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫です、すぐ済みます!」

(´・ω・`)「そう。で、何の用?」

 事務所に足を踏み入れる。
 ショボンの向かいに腰を下ろし、土産をガラステーブルに乗せた。

ζ(゚ー゚*ζ「修学旅行のお土産を」

(´・ω・`)「ああ、そっか。待ってました待ってました」

ζ(゚ー゚*ζ「えっと、皆さんで食べてくださいね。独り占めしちゃ駄目ですよ。
      こっちはキュートちゃんから」

(´・ω・`)「よしよし、悪くないチョイスだ。ありがとう。
      あのナルシストにもお礼言っといて」

ζ(゚ー゚*ζ「分かりました。あ、これ、ショボンさんに頼まれてたものです。お漬物」

(´・ω・`)「第一希望だった地酒は?」

ζ(゚ー゚;ζ「買えませんし」

583 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 03:57:29 ID:G.mUN/LwO

(´・ω・`)「ちぇっ。
      ……懐かしいなあ、修学旅行。ホテル抜け出して夜の街に繰り出したっけか」

ζ(゚、゚*ζ「先生にバレなかったんですか?」

(´・ω・`)「見付かったけど、一緒にいたブーンや他の友人を囮にして僕だけ助かった」

ζ(゚、゚*ζ「内藤さん達可哀想……」

(´・ω・`)「ブーン達はホテルの廊下に正座させられたよ。
      何度も僕が主犯であることを教師に訴えていたけれど、
      ホテルに先回りしてアリバイ工作をしていた僕はまったく疑われなかった……」

ζ(゚、゚*ζ「本当に可哀想……」

 ショボンの思い出話を聞いても、彼の周囲にいた人間への哀れみしか感じない。
 仕方がない。ショボンと関わったのが運の尽きなのだ。

 さっさと帰ってしまおう。
 渡し忘れたものはないかと鞄の中を漁る。

ζ(゚ー゚*ζ(……ん)

 あった。
 小袋から中身を取り出して、腰を上げる。

584 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:01:18 ID:G.mUN/LwO

ζ(゚ー゚*ζ「ニュッさんニュッさん」

( ^ν^)「あ?」

ζ(゚ー゚*ζ「どっちがいい?」

 パソコンに黙々と文字を打ち込んでいたニュッのもとへ行き、彼の眼前へ両手を突きつけた。
 紐の先に球体がぶら下がったものが2つ。
 ニュッの目が、デレの顔と手元を交互に見遣った。

( ^ν^)「何」

ζ(゚ー゚*ζ「お土産。ストラップ」

( ^ν^)「……あっそう」

 キーボードを打つ手を止めないままに、どっちでもいい、と答えるニュッ。
 デレからすれば、それではつまらない。
 旅先で「これ」と出会ってからというもの、早くニュッに見せたくて堪らなかったのだ。

 正直、彼が気に入るだろうとは1ミリも思っていない。

ζ(゚ー゚*ζ「まあまあまあ、ちょっと見てくださいよ」

( ^ν^)「俺仕事してるんだが」

ζ(゚ー゚*ζ「見るだけですから。ねっ」

( ^"ν^)

 当てつけがましく溜め息をついて、ニュッは作業を中断した。

 そう来なくては。
 デレは目を輝かせ、さらにニュッへ両手を近付けた。

585 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:01:50 ID:Ng4Y2Pug0
ああもういいなあ

586 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:02:52 ID:G.mUN/LwO

( ^ν^)「……」

ζ(゚ー゚*ζ「猫ですよ。可愛いでしょ!」

 球体に、猫らしき耳や顔が描かれたもの。
 可愛いというよりも、何と言えば良いのか――とりあえず、味のある表情をしている。

 後ろから覗き込んできたショボンが、喉の奥で笑った。

(´・ω・`)「いい歳した男にあげるものかな、それ。
      そっちなんか、あからさまに口元の線も歪んでるし」

ζ(゚ー゚*ζ「お店で聞いたところによると、一つ一つ手作りらしいんですよ。
      だから、みんな顔が違うんですけど……見てください、これ。ほら。右の。
      ニュッさんに似てる!」

( ^ν^)「は?」

 一瞬の沈黙。

 ショボンが吹き出し、顔を背けた。

587 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:06:21 ID:YKHKEpLo0
四人のクソガキの誰かフラグ

588 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:07:30 ID:G.mUN/LwO

(´・ω・`)「……ああ。うん。うん。似てるね。たしかに。写メ撮っていい?」

ζ(゚ー゚*ζ「どうぞー」

 左手の猫は割と整っている――それでも若干気の抜けた感じはする――が、
 右の猫はミスでもしたのかと思うほど変わった顔をしている。
 それが、どこかニュッに似ているのだ。

 携帯電話のカメラでストラップを撮影し、ショボンはニュッと画面を見比べた。

(´・ω・`)「うわあ見れば見るほど似てる……」

ζ(゚ー゚*ζ「ですよね。私、見付けた瞬間に『ニュッさんだ』って言っちゃいましたもん。
      ニュッさんが気に入る気に入らないは二の次で、
      とにかく本人に見せなきゃと思って買いました」

( ^ν^)「……」

ζ(゚ー゚*ζ「この捻くれたような、人を小馬鹿にしたような面構えが本当にそっくりで……」

 デレの説明を聞き、ショボンがさらに笑う。
 そういえば、キュートに見せたときも似たような反応が返ってきたのだった。

 一方のニュッはといえば、しょっぱい顔をしてストラップを睨んでいる。

589 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:09:03 ID:G.mUN/LwO

ζ(゚ー゚*ζ「で、どっちにします?」

( ^ν^)「……自分に似てるって言われた方を欲しがると思うか」

ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ普通の方ですね。ぶっちゃけ比較用として買ったものですが。
      ニュッさん似は私がもらいますね!」

 結局、ニュッは不本意極まりない様子でストラップをポケットにしまった。

 ――丁度そのとき、事務所のドアが叩かれた。
 それから、「すみません」と男の声。

 立ち上がろうとしたニュッを押し止め、ショボンが返事をしてドアに向かう。

ζ(゚、゚*ζ「お客さんでしょうか」

( ^ν^)「だろうな」

 客が来るのだと、先程ショボンが言っていた。
 恐らくそれだろう。

 ショボンの手で、ドアが開けられる。

590 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:13:17 ID:G.mUN/LwO

(´・ω・`)「ようこそ、遮木探偵事務所へ」

(,,゚Д゚)「……っす」

 客人は、1人の男だった。

 ニュッと同じ年の頃であろう、若い男。
 きりっとした顔立ちをしていて、どこか爽やかな感じを受けた。

(´・ω・`)「お電話くださった埴谷さんですね。どうぞ、お掛けになってください」

(,,゚Д゚)「お邪魔します」

 ショボンがソファを手で示し、埴谷と呼ばれた男がそこに腰掛ける。
 男とデレの目が合い、互いに一礼した。

ζ(゚、゚*ζ(はにや……)

 耳に馴染みのある響き。
 クラスメートに同じ苗字の生徒がいる。
 あちらは女子生徒だが。

(´・ω・`)「ニュッ君、コーヒー入れて。僕の分も」

( ^ν^)「ん」

 ショボンに指示され、ニュッが棚の前へ移動した。
 コーヒーカップを2つ並べ、インスタントコーヒーの準備をする。

 デレはソファに置きっぱなしだった鞄を拾い上げた。
 ここにいては、仕事の邪魔になってしまう。

ζ(゚ー゚*ζ「あの、私はこれで失礼します」

(´・ω・`)「うん、またね」

ζ(゚ー゚*ζ「はい。ニュッさんもさようなら」

( ^ν^)「ん」

591 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:15:39 ID:G.mUN/LwO

 事務所を出て、階段を下りる。
 ビルを後にしたところで、携帯電話が鳴った。

ζ(゚、゚*ζ(キュートちゃん?)

 発信者はキュート。
 電話に出た瞬間、切羽詰まった声が飛んできた。



*****

592 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:17:14 ID:G.mUN/LwO


(´・ω・`)「――妹?」

(,,゚Д゚)「はあ。今、高2で」

(´・ω・`)「高校生で一人暮らし?」

(,,゚Д゚)「っす」

 埴谷ギコの相談は、
 「一人暮らしをしている妹の様子がおかしい」――という内容だった。

 先程事務所を出ていったデレも、たしか両親と離れて暮らしている。

(,,゚Д゚)「実家からあんまり離れてないアパートに住んでるんです。
     特に理由はないんすけど」

(´・ω・`)「……どういうことでしょう?」

(,,゚Д゚)「今年、妹がいきなり『一人暮らしがしたい』って言い出したんすよ。
     両親も妹にゃ甘いもんだから、ほいほい金出しやがって」

(´・ω・`)「なるほど。
      ……それで、妹さんの様子がおかしくなったのは
      一人暮らしを始めてからなんですね」

 ギコが頷いた。
 猫舌なのか、コーヒーカップを顔の前に掲げ、ふうふうと何度も息を吹き掛けている。

 まだ大学生らしいが、実家は裕福な方なのだという。
 大事な大事なお客様だ。

593 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:18:38 ID:G.mUN/LwO

(,,゚Д゚)「初めの2ヶ月くらいは普通だったんすけど、
     ある日から、部屋に入れてくれなくなって。
     俺だろうと両親だろうと、玄関でちょっと話すぐらいしか出来ないんです」

(´・ω・`)「失礼ですが、家族仲が悪いということは――」

(,,゚Д゚)「悪いってことはないと思います。喧嘩もないし」

(´・ω・`)「ふむ」

 かたかた、ニュッがキーボードを打つ音が響く。
 ショボンはソファの背もたれに寄り掛かった。

 彼は仲が悪くないと思っていても、実際は妹に嫌われている――という可能性もある。
 それなら簡単でいいのだが。

(,,゚Д゚)「……そんで、他にも気になることがあって」

(´・ω・`)「他にも?」

(,,゚Д゚)「――誰かが、妹の部屋にいるみたいなんです」



*****

594 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:20:07 ID:G.mUN/LwO


ζ(゚、゚*ζ

 内藤が大変なことになっている、早く図書館に戻ってきてほしい――

 焦りに焦ったキュートからの電話に、泡を食って図書館へと走ったデレ。

 辿り着いた先に待ち構えていた光景は、何とも――意味が分からないものだった。


ξ゚ -゚)ξ

(;^ω^)「僕は知らないお! 無実だお!」

ハハ ロ -ロ)ハ「館長……」

 じっと内藤を睨むツンとハロー、ぶんぶんと首を振る内藤。
 彼の傍らには、

|  ^o^ |

 少年がいた。
 小学低学年ほどであろうか。

 内藤のスーツの裾を握っている。

595 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:20:41 ID:Ng4Y2Pug0
明けたら月曜だぞ
どうしてくれるんだ

596 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:22:00 ID:G.mUN/LwO

o川;゚ー゚)o「お騒がせしてすみません、どうぞお気になさらず!
      ……あ、デレちゃん来た!」

 利用者へ頭を下げていたキュートが、デレに気付いて駆け寄ってきた。
 一体全体、何事だ。

ζ(゚、゚;ζ「どうしたの?」

o川;゚ー゚)o「な、何と言っていいか……」

ハハ ロ -ロ)ハ「ンー。浮気?」

ζ(゚、゚;ζ「うわき!?」

(;^ω^)「ちっ、違う、誤解だお! 分かってくれるおね、ツン!」

ξ゚ -゚)ξ

(;^ω^)「お願い何か言ってぇえっ!!」

 一向に伝わってこない。

 そうこうしていると、件の少年が、握り締めていた裾を引っ張った。
 内藤の顔を真っ直ぐに見つめる。

 そして一言。

597 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:23:25 ID:G.mUN/LwO

|  ^o^ |「お父さん」

ζ(゚、゚;ζ

 おとうさん。
 お父さん。

 内藤に向かって。「お父さん」と来た。

ξ゚ -゚)ξ

 目の前の嫁は、内藤の青ざめた顔から、一瞬たりとも視線を外さなかった。

(;^ω^)「だ、だから、違う……違うってば……」

|  ^o^ |「お父さん」

(;゚ω゚)「ええい、お前にお父さんと呼ばれる筋合いはない!!」

 内藤が手を振りほどいても逃げても、少年はついていってしまう。

 衝撃に頭を抱えながら、デレは呻いた。

598 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:24:50 ID:G.mUN/LwO

ζ(゚、゚;ζ「……お父さんってどういうこと……」

o川;゚ー゚)o「あの子、いきなり図書館に駆け込んできたかと思うと、
      内藤さんを見るなり『お父さん』って」

ζ(゚、゚;ζ「人違いじゃないの?」

ハハ ロ -ロ)ハ「デモ、顔をよく見てクダサイ。特に目元」

ζ(゚、゚;ζ「顔?」


(;^ω^)「僕は父親になった覚えはないお……」

|  ^o^ |「お父さん は お父さん です」


ζ(゚、゚;ζ「……う、ううんと……」

 似ているような気もする。
 言われてみれば、といった程度だが。

o川;゚ー゚)o「名前訊いたんだけどね、ブーム君っていうらしいの」

ζ(゚、゚;ζ「ぶーむ」

 内藤のあだ名は『ブーン』だ。
 ブーン。ブーム。
 まあ。似ている。かも。

 だが彼の実名はホライゾンであって、ブーンではない。
 仮に父親からとった名前をつけるにしても、あだ名の方に倣うものなのだろうか。

599 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:26:52 ID:G.mUN/LwO

ζ(゚、゚;ζ「……で、でも、ほら、目元が似てるって言うなら、ニュッさんにも多少……」

(;^ω^)「そうだお! ツン一筋の僕よりニュッ君を疑えお!」

ハハ ロ -ロ)ハ「アッ! あんなトコロに絶世の美少女が!」

(*^ω^)「えっ、どこ、どこだお」

o川*゚ー゚)o「『一筋』、ね……」

ハハ ロ -ロ)ハ「信憑性の欠片もありマセンネ」

ξ゚ -゚)ξ

ζ(゚、゚;ζ(ひええ、ツンちゃんがカウンターの端をもぎ取る勢いで握っている……)

 どうしようもない。内藤はどうしようもない。

 ツンが掴んでいるカウンターから、みしみしと不吉な音がし始めた頃。
 ばん、と扉が激しく開いた。

(;ФωФ)「ブーム、いるであるか!?」

ζ(゚、゚;ζ「ほわあっ!」

(;^ω^)「おっ!?」

 30代と思しき男が、少年の名前を叫ぶ。
 ブームは彼を見ると、内藤の後ろに隠れた。

 しかし、男がブームを見付ける方が早かった。
 右手に提げた袋を揺らしながら、こちらに駆け寄ってくる。

600 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:30:09 ID:G.mUN/LwO

(;ФωФ)「勝手に我輩から離れるなと言っただろう!」

 男はブームの前にしゃがみ込み、怒鳴るように言った。
 ブームはといえば、顔を逸らし、内藤のスーツを一層強い力で握り締めている。

|  ^o^ |「あなたなんか 知りません」

(;ФωФ)「ブーム!」

|  ^o^ |「僕は この人の 子です」

(;^ω^)「だから違うっつってるだろうがお!」

 ぱきん。
 ツンの手元から、何かが砕ける小さな音がした。
 まずい。そろそろカウンターが壊れる。

 内藤とカウンターのどっちを心配すればいいのかデレが決めかねていると、
 男は呆れたような――あるいは疲れたような――表情で、溜め息をついた。

(;ФωФ)「……お前の父親は我輩だろうが」

(;^ω^)「――え」

ξ゚ -゚)ξ

601 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:33:03 ID:G.mUN/LwO

(;ФωФ)「あ……――ああっ、すまないのである。
       こいつ、見知らぬ大人を『お父さん』と呼ぶのが癖で」

 ようやく内藤にまで意識を巡らせた男は、立ち上がると、ぺこぺこと頭を下げ始めた。
 その合間に、ブームの頭をこつんと叩く。

 対する内藤は、心の底からほっとした表情を浮かべてツンに振り返った。

(;^ω^)「ほら!」

ξ゚听)ξ「……ごめんなさい」

ハハ ロ -ロ)ハ「ワタシはアナタを信じてマシタ」

( ^ω^)「浮気だの僕に似てるだのと真っ先に騒いだ奴が何言ってんだお」

(;ФωФ)「ブーム、謝りなさい」

|  ^o^ |「……」

 男によって内藤から引き剥がされたブームだったが、
 依然、父親へ顔を向けようとはしない。
 ぶすっとしながら明後日の方向を見つめている。

602 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:36:07 ID:G.mUN/LwO

o川*゚ー゚)o「……わけあり?」

ζ(゚、゚*ζ「どうだろ……」

(;ФωФ)「こら、ブーム!」

(;^ω^)「ああ、いいですお。ブーム君も悪気があったわけじゃないし……多分」

 もう一度頭を下げてから、男は館内に目を遣った。
 ポケットから、折り畳まれた紙を引っ張り出す。

( ФωФ)「……ここがVIP図書館であるな」

ξ゚听)ξ「ええ」

ハハ ロ -ロ)ハ「ナニか御用デモ?」

( ФωФ)「うむ。――本に関する相談を受け付けているらしいが、本当であるか」

 男は、その紙を広げて内藤に手渡した。
 デレとキュートが横から覗き込む。

 VIP図書館のホームページ。
 パソコンの操作に長けているという椎出しぃが、
 ショボンのアドバイスを受けて作ったものだ。

 余談ではあるが、当初、ページ内を反転させると
 卑猥な文章が現れるという不要この上ない細工を施していたらしい。
 それに気付いた双子の姉、椎出でぃにこってり絞られたとか何とか。

603 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:39:35 ID:G.mUN/LwO

( ^ω^)「……はいお。僕達が応えられるものなら、何でも」

 内藤の周囲の空気が僅かに引き締まる。

 「本の相談受け付けます」。
 この謳い文句に釣られて来た人間を、デレも、これまでに何度か見たことがある。

 そのどれもが、ショボンの宣伝を聞いた者ばかりだった。
 こうしてホームページを頼りにやって来たのは、彼が初めてだ。

 こちらの望む「本」の話ならばいいのだが、
 大抵の相談事は、こことは無関係なものばかりである。

( ФωФ)「では、少し、相談したいことがある」

 男は右手の袋から本を一冊取り出した。
 それを見た内藤とハローが、「あ」と声を漏らす。

( ФωФ)「妻が知人からもらったものなのであるが……」

 男が気味悪そうに見下ろした本。
 淡黄色のハードカバーに、銀色の猫のシールが貼られている。

 ――ハロー・サン、と、著者名が記されていた。



*****

604 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:41:29 ID:G.mUN/LwO


|  ^o^ |「おじさん なんです」

 図書館の雑誌コーナー。その近くに備えられたソファ。
 そこに座って雑誌を開いていたブームは、
 子供らしからぬ淡々とした、そして間延びした声でそう言った。

ζ(゚、゚*ζ「おじさん?」

 内藤と男――杉浦ロマネスクというらしい――が話をする間、
 ブームの子守りをするように頼まれたデレ。

 適当に本でも読ませながら雑談をしていたのだが、
 何とはなしに父親の話題を出してみたところ、ブームは突然前述のように発言した。

 視線は、手元の雑誌の、奇怪な生物のイラストに向けられている。
 たしか山村貞子が資料として使っていたオカルト雑誌だったか。

 文章自体は大して理解していないようだが、
 それにしたって子供に見せるような本ではなかったかもしれない。

605 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:44:09 ID:G.mUN/LwO

ζ(゚、゚*ζ「『おじさん』って、親戚ってこと?」

 伯父か叔父か。
 何にせよ、実の父ではないということだ。

 デレの問いに、ブームは首を振る。

|  ^o^ |「お父さんじゃない から」

 だから、おじさん。

ζ(゚、゚*ζ「……」

 その言葉を、どう受け止めればいいのか。
 図りかね、デレは押し黙る。

 血が繋がっていない、と言いたいのならば、
 他人に向ける呼称という意味での「おじさん」なのだろうか。

|  ^o^ |「だって 僕 生まれるわけないって 聞きました」

ζ(゚、゚*ζ「……ん?」

|  ^o^ |「よく わからないけど。
       あの人 子供 できない って。 作れない って。
       近所の おばさん 言いました」

|  ^o^ |「だから 僕の『お父さん』 他にいる らしいです」

606 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:46:24 ID:G.mUN/LwO

 そこまで話すと、ブームは首を傾げた。
 隣に座っているデレの顔を見上げる。

|  ^o^ |「子供って 作るものなんですか」

ζ(゚、゚;ζ「……さあ」

 その質問は、困る。
 デレが答えあぐねていると、興味をなくしたか、ブームは雑誌に集中した。
 ぱらぱらとページをめくり、イラストや写真の多い箇所で手を止め、それらを眺める。

 デレはブームから目を逸らした。
 彼の話について深く考えるのが何だか失礼な気がして、別のことに意識を向ける。

ζ(゚、゚*ζ(あ)

 ある本棚の前へ、キュートが誰かを案内していた。
 デレも知っている人物だ。

川*゚ 々゚)

 埴谷くるう。
 今年のクラス替えで、同じクラスになった女子生徒。

 デレとキュートが図書館に出入りしているのを秋口に知ってからというもの、
 時折訪ねてくるようになった。

 1人でいることが多いのだが、キュートには懐いているようだった。

607 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:48:40 ID:G.mUN/LwO

o川*゚ー゚)o「じゃ、ごゆっくり」

川*゚ 々゚)「う、うん」

 笑顔で言って、キュートがくるうの傍を離れる。

 ふと、キュートがデレに小さく手を振った。
 彼女の視線を追って、くるうがこちらを見遣る。
 デレは微笑んで、2人に軽く会釈した。

|  ^o^ |「お姉さん これ 何て読むんですか」

ζ(゚ー゚*ζ「ん? どれどれ?」

 ブームに呼ばれ、デレがくるうから視線を外す。

 故に。

川 ゚ 々゚)

 表情を消したくるうが、じとりと睨みつけてきたことに、
 デレは少しも気付けなかった。



*****

608 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:51:49 ID:G.mUN/LwO


 ちっとも読書に集中出来なくて、くるうは10分も経たぬ内に図書館を飛び出した。

 折角キュートがいたのに、あいつのせいで台無しだ。

川#゚ 々゚)「今日はいないと思ったのに! いないと思ったのに!」

 コートの襟を掻き合わせ、ぶつぶつと呟きながら林の中を早足で進む。

 寒い。
 キュートを眺めているときは暖かかったのに、あの女を見た途端、
 一気に心も体も冷えてしまった。

【+  】ゞ゚)「どうしたんだ、くるう」

 どこからか現れたオサムが、くるうの後ろに寄り添うようにして歩いている。
 耳元で囁かれる声に、乱暴に返した。

川#゚ 々゚)「私はキューちゃんを見に来たの! キューちゃんだけいれば良かったの!」

【+  】ゞ゚)「あの女の子もいたのか」

川#゚ 々゚)「どうしていつもキューちゃんの傍にいるの!?
      どうしていつもキューちゃんの邪魔するの!!」

609 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:54:55 ID:G.mUN/LwO

【+  】ゞ゚)「……くるう、幸せか?」

川#゚ 々゚)「全然幸せじゃない!」

 オサムがくるうの肩を抱く。
 抱く、というより、優しく触れる程度の力だ。

【+  】ゞ゚)「何が足りないんだ?
        どうしてほしい? どうしたらいい?」

川 ゚ 々゚)「……」

 足を止める。
 くるうは沈黙した。

【+  】ゞ゚)「くるう?」

川 ゚ 々゚)「どうしよっか」

 オサムが顔を近付ける。
 くるうはオサムの仮面をぼうっと眺め、思案を巡らせた。

 少しばかり時間が経過した頃、くるうは再び足を動かした。

川 ゚ 々゚)「もうちょっと、考える」

【+  】ゞ゚)「……そうか」

 オサムの声に、残念そうな響きが滲む。

 「願い事」を言えば、きっと彼は叶えてくれる。
 そうすれば――彼の望みも叶うのだ。

川 ゚ 々゚)「ごめんね、オサム。もう少し、時間ちょうだい」

【+  】ゞ゚)「いいさ。……いくらでも待つよ」



*****

610 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:56:37 ID:G.mUN/LwO



( ^ω^)「――大したことじゃなかったお」

 夜。VIP図書館2階、食堂。
 カレーライスが盛られた皿を前に、内藤はあっさり言い捨てた。

 話題は杉浦ロマネスクが持ってきた、ハローの本について。

ハハ ロ -ロ)ハ「モウ演じ終わってたみたいダシ、
      大きな事件も起こらナイ話デシタから、コレといってフォローするコトもなく。
      アッ、ツン、ワタシのカレーにはチーズ入れてクダサイ」

( ・∀・)「へえー」

 カレーに温泉卵を乗せ、茂等モララーが気の抜けた声を出す。
 いかにも興味なさげな返事だ。

(*゚ー゚)「こっちにはエビフライちょうだい!」

(#゚;;-゚) トンカツ

ξ゚听)ξ「はいはい。揚げたてだから気を付けてね」

 椎出しぃと椎出でぃに至っては、話を聞いてすらいない。
 皿を運んでくるツンに、トッピングの要求をしている。

611 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 04:59:47 ID:G.mUN/LwO

(´・_ゝ・`)「まあ、何事もなく回収出来て良かったね。
        ……あれ、福神漬けは?」

川д川「毎回そんな感じだといいんだけどねえ……。
    はい、福神漬け……。……あ、ニュッ君、らっきょう取って……」

( ^ν^)「ん」

 盛岡デミタス、山村貞子も、本よりカレーが気になっている様子。
 どうやら各自、食い気の方を優先させているようだ。

 準備を済ませてツンも席に着き、いただきます、と皆が手を合わせる。

ハハ ロ -ロ)ハ「クックル、キュートからお土産預かってマス」

( ゚∋゚)「ん? 俺にか?」

 付け合わせのサラダを口に運んでいた堂々クックルは、
 隣席のハローの言葉に、一旦手を止めた。

ハハ*ロ -ロ)ハ「ハイ。クックルに『ダケ』、『特別』に。
      チョコのお菓子らしいデスヨ。クックルの好きそうな」

 にやにや笑いながら、ハローは肘でクックルをつついた。
 クックルは怪訝そうな顔をして、首を傾げる。

612 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:02:25 ID:G.mUN/LwO

( ・∀・)「えー。何でクックルだけ?」

川д川「あんたまで分かってないの……?」

(;・∀・)「えっ、どういうこと!?」

(#゚;;-゚) ウルサイ

(*゚ー゚)「デミタス見て見て、今からエビフライをいやらしく食べるよ!」

(;´・_ゝ・`)「やめなさい!」

( ^ω^)「今後エビフライが食べづらくなるようなことをするなお」

ξ゚听)ξ「食べ物で遊ばないの」

 あちこちから、しぃにブーイングが飛ぶ。
 しぃは「冗談なのに」と肩を竦めた。
 冗談だから許されるわけでもない。

(´・_ゝ・`)「――そういえば」

( ゚∋゚)「どうした?」

(´・_ゝ・`)「ニュッ君には、デレさんから何かお土産あった?」

( ^ν^)「……」

 デミタスの質問に、ニュッはスプーンをくわえたまま顔を上げた。

 自室のクローゼットにしまってきたスーツを思い出す。
 ポケットにストラップを入れっぱなしだった。

613 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:05:38 ID:G.mUN/LwO

( ^ν^)「ストラップ」

ξ゚听)ξ「ストラップ?」

(*^ω^)「まあ! 僕達にはまとめて名産品くれただけだったのに!
       ニュッ君にはストラップですって! 贔屓よ贔屓!」

( ^ν^)「ふうん」

( ^ω^)「反応うっすいわあ……もっと、何かさ、照れるとか嬉しがるとかあるじゃん……」

(*゚ー゚)「期待するだけ無駄無駄」

( ^ν^)「ストラップごときに照れる要素も喜ぶ要素もねえし」

川д川「ニュッ君つまんなあい……。
    ……だからってキュートちゃんレベルにまでなれとは言わないけどお……」

ハハ ロ -ロ)ハ「キュートといえば、あの子、マタ来てマシタネ」

 チーズが程よく溶ける頃合いを見計らっていたハローが、
 スプーンをくるりと回した。
 隣のモララーの鼻に、スプーンの先が勢いよくぶつかる。

614 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:10:42 ID:G.mUN/LwO

( ゚∋゚)「あの子って」

ハハ ロ -ロ)ハ「くるうチャン」

 ニュッの手が止まる。
 くるう。
 聞いた名前だ。どこで聞いたのだったか。

川д川「あの子、キュートちゃんがいない日はすぐに帰るわよねえ……」

( ;∀;)「そうだっけ?
      ……ていうか、ごつって……スプーンが鼻にごつって……
      お、折れてない? 鼻折れてない?」

(*゚ー゚)「折れてもすぐ治んだろうが無限イケメン。
     あの子は何ていうか、あれだよね。キュートちゃんに会いに来てる感じ」

(#゚;;-゚)) コクコク

ξ゚听)ξ「でも今日は早めに帰ってたわ」

( ゚∋゚)「誰だ? キュートの友達か?」

( ^ω^)「デレちゃん達のクラスメートだお」

(´・_ゝ・`)「へえ」

615 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:13:03 ID:G.mUN/LwO

 ニュッは、眉根を寄せた。
 クックルとデミタス以外は、皆、くるうを知っているらしい。

 そしてようやく思い出す。

( ^ν^)(埴谷くるう……)

 ――依頼者のギコが言っていた「妹」の名だ。

 高校2年生だったような。
 そういえばデレと同じ歳ではないか。

ξ゚听)ξ「ニュッ君、どうしたの? 美味しくなかった?」

( ^ν^)「……いや。違う。考えごと」

 ショボンに伝えるべきか。
 しかしあのショボンなら、こちらから言うまでもなさそうだなと思い直し、
 ニュッは食事を再開させた。



*****

616 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:14:11 ID:G.mUN/LwO



 一番奥、左手の部屋。
 元はツンの自室だったそこは、今では夫婦の寝室となっている。

 明かりを消して、内藤はベッドの中に潜り込んだ。

( ^ω^)「おやすみお」

ξ゚听)ξ「おやすみなさい」

 ツンに声をかけ、頭を撫でる。
 何も文句を言われないので、思いきって抱き締めてみた。
 初めの1ヶ月は、少し触れるだけで叩かれていたものだ。

 いい夢が見れそうだと内藤が笑う。
 ツンは寝返りをうって、背を向けてしまった。

( ^ω^)「照れ屋さん」

ξ゚听)ξ「言ってなさい」

 手の甲を抓られる。
 無意味なじゃれ合いがとても楽しい。
 また笑って、内藤は目を閉じた。

 静かに時間が過ぎていく。

617 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:19:49 ID:G.mUN/LwO

( ‐ω‐)

ξ゚听)ξ「……ブーン」

( ‐ω^)「……何だお?」

 ツンに呼ばれ、落ちかけていた意識は掬い上げられた。
 内藤の手に彼女の手が重ねられている。

ξ゚听)ξ「あのね」

( ^ω^)「うん?」

ξ゚听)ξ「ブーンは、……」

 言い淀む。
 内藤は、黙って言葉の続きを待った。

ξ゚听)ξ「……子供欲しくないの?」

 そう言うと共に、指先に力が込められた。
 上下の手を入れ替え、彼女の手を握る。

( ^ω^)「子供?」

 ツンは子供を生めない。
 内藤の祖父により、そういう「設定」にされているからだ。

 そのことについて、ツンは以前から引け目を感じているらしかった。
 夫婦になって、子供を生んで、家族が増える。
 そんな一般的な、多くイメージされる家庭という光景を築くことが、自分には不可能なのだと。

618 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:21:24 ID:G.mUN/LwO

( ^ω^)「ツンがいてくれればいいって、言ったじゃないかお」

ξ゚听)ξ「……うん」

( ^ω^)「子供がいなくても幸せな夫婦なんて、たくさんいるお」

ξ゚听)ξ「そうだけど」

( ^ω^)「僕は、今のままで充分だお」

 嘘など欠片もない。
 それが原因でツンから離れるなど以ての外だ。
 ただ、ツン本人はどうなのだろう。

 内藤は、昼のことを思い出していた。



*****

619 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:22:12 ID:G.mUN/LwO


 本の中の出来事が、現実にも起こってしまう。

 ロマネスクが相談した内容は、内藤の想像通りのものだった。
 しかし、彼の話と物語を照らし合わせてみるに、どうやら既に結末を迎えたらしい。

( ^ω^)『――それなら、もう大丈夫ですお』

(;ФωФ)『そ、そうであるか?』

ハハ ロ -ロ)ハ『間違いありマセン』

(;ФωФ)『……むう』

( ^ω^)『ちょっとオイタしちゃっただけですお。
       なので、もう御安心を』

 館内、一番奥のテーブル。
 淡黄色の本をこつこつと小突き、内藤は首を振った。

( ^ω^)『この本は、こちらで引き取らせていただきますお』

(;ФωФ)『まあ……そうしてくれると、ありがたいが』

 良かった。この男、深入りはしないたちのようだ。
 内藤とハローが、テーブルの下で互いにガッツポーズをする。

 いつもこんな風に簡単に済ませられたらいいのだが。

620 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:24:08 ID:G.mUN/LwO

( ^ω^)『もし、また似たようなことがありましたら』

( ФωФ)『うむ……』

 言葉と共に名刺を差し出す。
 ロマネスクはそれを財布にしまうと、ほっと息をついた。

( ФωФ)『……こういう、手書きの本というものは、よくあるものなのであるか?』

ハハ ロ -ロ)ハ『エ?』

( ФωФ)『他にも3冊ほど押しつけられたのである』

( ^ω^)

 がたり。内藤が身動ぎし、椅子が声をあげる。
 危うく、漫画のようにずっこけるところだった。

(;^ω^)『えっ……こ、これと同じものですかお?』

( ФωФ)『いいや。
       内2冊は薄紫っぽい色の……何といったか、椎出……でぃ? という作家だった。
       もう一冊は、黒色の、』

ハハ ロ -ロ)ハ『山村貞子』

( ФωФ)『そうそう、それである』

 内藤とハローが顔を見合わせる。
 それからロマネスクから教わったタイトルをメモし、携帯電話でニュッの番号にかけた。

 ニュッに訊ねてみると、3冊共、生きている本ではないとの答えが返ってきた。
 礼を言い、電話を切る。

 演じさせられる心配はないが、ニュッのために、そちらも回収した方がいいだろう。

621 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:28:40 ID:G.mUN/LwO

(;^ω^)『……杉浦さん。その本達も引き取りたいんですが』

( ФωФ)『我輩は構わんのである』

(;^ω^)『すみません、ありがとうございますお』

 本を宅配便で送らせることで話は落ち着いた。
 念のため、ロマネスクの連絡先を聞いておく。

( ^ω^)『その、本を譲ってくださった方はどんな人なんですかお?』

( ФωФ)『さあ……。我輩の妻が少し前から入院しているのであるが、
       同じ病室にいた患者と仲良くなったそうでな。
       その人が退院する際に、仲良くしてくれたお礼に、と妻に』

( ^ω^)『奥様、入院なさってるんですかお』

( ФωФ)『大した病気ではない。来月には退院出来るのである』

ハハ ロ -ロ)ハ『ジャア今はブーム君と2人で生活を?』

( ФωФ)『ああ。料理とはなかなか大変であるな』

ハハ ロ -ロ)ハ『奥サンの偉大さが身にしみるデショウ』

 朗笑し、ハローが伸びをする。
 デレ達がいるであろう方向を見て、小首を傾げた。

622 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:30:32 ID:G.mUN/LwO

ハハ ロ -ロ)ハ『ブーム君のアレって、反抗期みたいなモノなんデスカネ』

( ФωФ)『7歳児にも反抗期はあるものなのであろうか』

( ^ω^)『……どうでしょうかお』

 父親だというロマネスクに対し、それを否定するような発言をしていた。
 想像力が刺激されるが、他人が首を突っ込む問題でもないだろう。
 内藤は、こっそりハローの足を軽く蹴った。すぐさま蹴り返される。

 ロマネスクは宙へ視線をやっていたかと思うと、
 内藤に顔を向けて、口を開いた。

( ФωФ)『――我輩は子供を作れないらしい』

 唐突な告白に、内藤もハローもしばらくぽかんとしていた。
 ゆっくりと理解していったが、そうなったらそうなったで、
 何を言えばいいか分からなくなるだけだった。

(;^ω^)『……そ、そうなんですかお……』

( ФωФ)『結婚してから3年経っても子供が出来ないので検査をしてみたらば、
       まあ――それが発覚した』

( ФωФ)『手術をするという手もあったが、必ず成功するわけではないと言われた。
       時間もかかる。仕事が忙しい時期だったのもあって、
       手術に関しては見合わせていたのである』

623 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:32:11 ID:G.mUN/LwO

 妻の方も、「しばらくは夫婦2人でゆっくりしようか」と受け入れてくれたそうだ。
 だが――


( ФωФ)『それから間もなく、妻は妊娠した』

(;^ω^)『……それは、あの、』

( ФωФ)『言いたいことは分かる。
       我輩の母親も、真っ先に妻に怒鳴ったのである。
       「浮気してるんだろう」とか何とか』

 内藤は、いつぞやにテレビで見たドラマを思い返していた。
 同じような状況に陥った夫婦が主人公の、非常にどろどろしたストーリーのものだ。
 あのドラマでは、妻が浮気を認めていたが。

ハハ ロ -ロ)ハ『奥サンは?』

( ФωФ)『否定していたよ。
       逆に、堂々とした態度で我輩の子だと宣言したくらいである』

( ФωФ)『世の中、何が起こるか分からん。
       絶対に有り得ないとも言い切れぬだろうと、我輩は妻を信じることにした』

(;^ω^)『……はあ』

 それは、まあ、何とも。
 返事のしようもなくて、内藤は小さく頷く。

 ロマネスクは、困ったように微笑んだ。

624 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:35:18 ID:G.mUN/LwO

( ФωФ)『そしてブームが生まれたのである。
       7年、実の子として育ててきたが――』


 妻の懐妊を知った際にロマネスクの母が騒ぎ立てたことで、
 近所の間でもブームに対する「疑惑」は噂になっていたらしい。

 小学生になったブームに、知り合いが余計なことを吹き込んだのだという。

 お前の父親はロマネスクではないだの何だの。


( ФωФ)『母までもが、それに便乗した。……あの人は孫が可愛くないのであろうか』

( ФωФ)『以来、ブームは我輩のことを「おじさん」と呼ぶようになった。
       挙げ句には見知らぬ大人をお父さんと呼ぶ始末。
       ……まあ、それだけの話である』

(;^ω^)『た、……大変でしたおね』

 重い。
 重すぎる。

 今日会ったばかりの自分に、そんな話をするなと言いたい。
 正しいリアクションが分からない。本気で困る。
 本の相談なら聞くといったが、人生相談など受け付けていない。

( ФωФ)『すまないのである。
       ちょっと聞いてほしかっただけだ』

ハハ ロ -ロ)ハ『構いマセンヨ。下手に近しい人に話すヨリ、気が楽デショウ』

( ФωФ)『……ありがとう』

 沈黙。

 やがて、ロマネスクが腰を上げた。

( ФωФ)『それでは、失礼する――』



*****

625 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:39:33 ID:OIBK5T1AO
しえ

626 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:41:20 ID:G.mUN/LwO



 翌日。VIP図書館。

 現時点で、本日の利用者は2人。
 その2人というのも、

ζ(゚、゚;ζ「んー。んー」

o川*゚ー゚)o「怠ーい」

 テーブルで書き物をしているデレとキュートである。

 彼女らは、修学旅行に関するレポートを書いていた。
 明日提出しなければならないものだ。

 キュートは旅行中の空いた時間に書き進めていたので、後はまとめるだけ。
 一方のデレは今朝になるまでレポートの存在を忘れていたという体たらくであった。

ζ(゚、゚;ζ「一枚目はこんな感じでどうでしょうか!」

(´・_ゝ・`)「同じ誤字が頻発してるね。これとか」

( ・∀・)「それも」

ζ(゚、゚;ζ「あう……」

(´・_ゝ・`)「あと慣用句の間違いも目につくよ」

( ・∀・)「うん。ちゃんと辞書引こうね」

ζ(゚、゚;ζ「ひぎい……」

(´・_ゝ・`)「こことそこ、あとあっちとこっちとそっちと、ああ、それも直そう」

( ・∀・)「ここの順番入れ換えたら? このままじゃ分かりづらいよ。
      そっちのも逆にした方がいいかな」

ζ(゚、゚;ζ「ほ、ほぼ書き直しじゃないですか!?」

 退屈していたデミタスとモララーが校正役を申し出てくれたのは、まあ、いいのだが。
 文章を書くのが生き甲斐な――存在意義でもある――彼らの目は、
 とても、とてもとても厳しかった。

627 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:42:44 ID:G.mUN/LwO

(´・_ゝ・`)「言い回しも、ちょっと工夫してみたらどうだろう」

( ・∀・)「だねえ。面白味が足りないかも」

o川*゚ー゚)o「あのう、別に、何かのコンクールとかに出すわけではないですし」

(´・_ゝ・`)「でも、どうせならさ……」

( ・∀・)「いい出来のものにした方が評価上がるんじゃない?」

o川*゚ー゚)o「デレちゃんがいきなりプロレベルの文章書いてきたら代筆疑われますよ」

(´・_ゝ・`)

( ・∀・)

(´・_ゝ・`)「ごめんデレさん。好きに書いていいよ」

( ・∀・)「余計な口出ししてごめんね。
      デレちゃんらしさを残しつつ訂正するのは、俺達には無理だ」

ζ(゚、゚*ζ「何ですかそれ。何ですかそれは」

ξ゚听)ξ「いいから、書くだけ書いちゃいなさい。後でまとめて直せばいいでしょ」

ζ(゚、゚;ζ「げ、現国の成績はそれほど悪くないのにぃい……。
      他に比べればですけど……」

 カウンターにいるツンに言われ、デレは用紙に向き直った。
 それと同時に、キュートが「出来た!」と声をあげる。

628 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:44:40 ID:G.mUN/LwO

o川*゚ー゚)o「かんせーい」

ζ(゚、゚*ζ「いいなあ……」

o川*゚ー゚)o「ふふふ、羨ましかろう。盛岡さん、チェックしてください!」

 デミタスがキュートのレポートを受け取り、ざっと目を通す。
 いくつか訂正箇所の指摘があったが、二つ三つ程度。

 片やデレは。

( ・∀・)「あ、デレちゃんまた間違ってる」

ζ(゚、゚;ζ「モララーさんに言われると何か悔しい……」

(;・∀・)「何で!?」

 こんな調子だ。
 仕方がない。出来が違うのだから。

o川*゚ー゚)o「……よし、っと。これでいいですか?」

(´・_ゝ・`)「うん、オッケー」

o川*゚ー゚)o「やった!」

 完成したレポートをファイルに挟み、キュートは席を立った。
 デレが顔を上げる。

629 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:46:39 ID:G.mUN/LwO

ζ(゚、゚*ζ「もう帰っちゃうの?」

o川*゚ー゚)o「お姉ちゃんが午後から空いてるから、一緒に出掛けるの」

ζ(゚ー゚*ζ「そっか。じゃあ、またね」

(´・_ゝ・`)「気を付けて」

( ・∀・)「ばいばーい」

ξ゚听)ξ「さようなら」

o川*゚ー゚)o「また今度ー」

 鞄を肩に引っ掛け、扉へと歩く。
 キュートは一旦足を止め、デレ達に手を振った。

 ――同時に、向こう側から扉が開けられる。

川 ゚ 々゚)「……あ」

o川*゚ー゚)o「ん? あ、くるうちゃんだ」

 扉を開けたのは、くるう。

 キュートを凝視し、わあ、と驚いたような声を漏らして後ずさった。
 見る見る内に頬が赤くなっていく。

630 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:47:52 ID:G.mUN/LwO

ζ(゚ー゚*ζ「埴谷さん、こんにちは」

o川*゚ー゚)o「こんにちは! 本読みに来たの?」

川*゚ 々゚)「ん、ん。うん」

 こくこく、何度も首を縦に振るくるう。
 キュートはくすくす笑って、図書館を出た。
 くるうの横を過ぎる。

川 ゚ 々゚)「……キュ、素直さん、帰るの?」

o川*゚ー゚)o「帰るよー」

川 ゚ 々゚)「ふうん……」

 どことなく不満げだ。
 数秒ほど俯き、それから、踵を返した。

o川*゚ー゚)o「くるうちゃん?」

川 ゚ 々゚)「用事思い出したから、帰る」

o川*゚ー゚)o「そう? じゃあ、途中まで一緒に行こ」

川*゚ 々゚)「! うん!」

 キュートの提案に、ぱっと表情を明るくさせる。
 残念そうにしたり喜んだり、忙しい人だ。

631 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:50:34 ID:G.mUN/LwO

 扉が閉まる。
 デレ達は、顔を見交わした。

(´・_ゝ・`)「……あの子がくるうちゃん?」

( ・∀・)「そうそう」

ζ(゚、゚*ζ「デミタスさんは会ったことなかったんですっけ」

(´・_ゝ・`)「うん……。分かりやすいようで、よく分かんない子だね、あれは」

ξ゚听)ξ「完全にキュート目当てで来てるわね」

ζ(゚ー゚*ζ「キュートちゃん人気者だから」

 キュートがここの常連だと知れば、きっと他の生徒も顔を見に来るだろう。
 へらりと笑って、デレはペンを持ち直した。



*****

632 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:51:56 ID:G.mUN/LwO


 会えた。
 キュートに会えた。

o川*゚ー゚)o「くるうちゃん、レポート終わった?」

川*゚ 々゚)「うん」

 2人きりで歩いている。
 何て勿体ない。でも嬉しい。

 近くで見ると、本当に綺麗な顔をしている。
 目が大きくて、肌が白くて、口が小さくて。

 きっと本人は自覚していない。絶対にそうだ。嫌みなところが全然ないのだ。

川*゚ 々゚)(素敵)

 くるうは、ぽうっとキュートに見とれた。

 林の中、訪れる者の少ない図書館。どこか風変わりな司書達。
 そんな「特別」な空間に出入りする美少女。
 まるで映画か何かのようで、キュートに似つかわしい。

633 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:53:29 ID:G.mUN/LwO

 館内にいた、和服姿のモララーという男。
 あれとキュートが並んだときなど、もう最高だ。
 美男美女。あの男ならキュートの相手も務まるだろう。

 ツンといったか、いつもカウンターにいる少女も、キュートの友達としては悪くない。
 あちらはあちらで綺麗すぎる感もあるが、物静かだからキュートの邪魔にはならないし。

o川*゚ー゚)o「じゃあね!」

川*゚ 々゚)「あ」

 我に返ると、既に林を離れた場所にいた。
 キュートが手を振っている。

 しまった、キュートの話をあまり聞けなかった。
 話しかけられても無視していたかもしれない。
 嫌われていないか。どうしよう。

川 ゚ 々゚)「……ば、ばいばい」

o川*゚ー゚)o「また明日ねー」

川 ゚ 々゚)

 ぱたぱた、キュートが駆けていく。
 くるうは、しばらくその場に留まっていた。

川 ゚ 々゚)(……『また明日』……)

川 ゚ 々゚)

川*゚ 々゚)「うふう」

634 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:54:23 ID:G.mUN/LwO

【+  】ゞ゚)「――くるう」

川*゚ 々゚)「うふ。ふふふ。ふ、うふふ」

【+  】ゞ゚)「くるう。楽しそうだな」

川*゚ 々゚)「オサムう。オサム。んんふ」

 気付くと、オサムが後ろに立っていた。
 背中に体温を感じるほど近い。
 オサムに寄り掛かる。

【+  】ゞ゚)「幸せか?」

川*^ 々^)「うん。うん。ふふ」

【+  】ゞ゚)「足りないものはないか?」

川*^ 々^)「ないよ。なあい。幸せ」

【+  】ゞ゚)「……そうか」

 オサムがくるうの頬を撫でる。
 帰ろう、と囁いた。



*****

635 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:56:06 ID:G.mUN/LwO



|  ^o^ |「……お母さん」

lw´‐ _‐ノv「ん?」

 病院、6人部屋。
 窓際のベッドに、ブームの母が座っている。

|  ^o^ |「僕の お父さん どこですか」

lw´‐ _‐ノv「んー、今は会社行ってるね。夜になりゃ家に帰ってくるさ」

|  ^o^ |「……そうじゃなくて」

lw´‐ _‐ノv「あのねえ、あの人以外にブームの父親はいないんだよ」

|  ^o^ |「どうして」

lw´‐ _‐ノv「どうしてって言われても」

|  ^o^ |「だって 父親になれないって」

lw´‐ _‐ノv「うーん……」

|  ^o^ |「……」

 ブームの頭を、母が優しく撫でた。
 そんなことをされたって、質問の答えにはなっていない。
 俯き、ブームはぽつりと声を落とした。

|  ^o^ |「……僕のお父さん だれですか……」



.

636 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:56:45 ID:G.mUN/LwO



 ――特に、何事もなく日々は過ぎる。

 何事も、とはいっても、少しずつ物事は積み重なり、
 後の「事件」へと歩みを進めていた。



.

637 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:57:47 ID:G.mUN/LwO



(,,゚Д゚)「くるう」

 ある日の夜。
 ギコは、妹のもとを訪れた。

 いつものように、くるうは玄関で応対するだけ。

川 ゚ 々゚)「お兄ちゃん、どうしたの?」

(,,゚Д゚)「昨日、母さん来ただろ? また部屋に入れてやらなかったらしいな」

川 ゚ 々゚)「……」

(,,゚Д゚)「……上がっていいか?」

川 ゚ 々゚)「……だめ」

(,,゚Д゚)「何でだよ」

川 ゚ 々゚)「散らかってるから」

 その言い訳も聞き飽きた。
 また来るから片付けておけと言っても、何の意味もない。

638 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:58:46 ID:G.mUN/LwO

(,,゚Д゚)「いいよ。俺の部屋も散らかってるし、気になんねえ」

川 ゚ 々゚)「……」

(,,゚Д゚)「……。俺や母さんが部屋に入ったら、何か困んのか?」

川 ゚ 々゚)「違う……」

 苛々が募る。
 家族を入れたがらない理由など、見当はついていた。

 ――誰かいる。
 奥の部屋に、家族に知られたくないような誰かが隠れているのだ。

 今は探偵に任せているから自制出来ているが、そうでなかったら怒鳴っていただろう。
 父も母も甘いからって、親の金で一人暮らしをしてまで、何をしているのだと。

(,,゚Д゚)「……また来るよ。おやすみ」

川 ゚ 々゚)「うん、おやすみなさい」

 アパートを出て、溜め息をつく。
 転がっていた小石を蹴り飛ばし、ギコは振り返った。
 妹の部屋のドアは、既に閉まっていた。



.

639 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 05:59:40 ID:G.mUN/LwO



 ――それぞれがそれぞれの日常を送り、
 徐々に、徐々に、展開していく。



.

640 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 06:01:22 ID:G.mUN/LwO



(´・ω・`)「……あんまり外出しないんだよなあ……」

(゚A゚* )「例の女子高生?」

(´・ω・`)「うん」

 遮木探偵事務所。
 ギコから頼まれた調査により得た情報をまとめながら、ショボンは頭を掻いた。
 ソファに寝転がる。

<ヽ`∀´>「親の監視がないのをいいことに羽目を外すような奴よりはマシじゃないニカ?」

(´・ω・`)「それはお前だろ」

(゚A゚* )「他人の出入りは確認出来たん?」

(´・ω・`)「ああ。だが、ちょっと妙――」

( ^ν^)「ショボン」

(´・ω・`)「ん?」

 そこへ、至極真面目な表情を浮かべたニュッがやって来た。
 どうしたのだろう。

641 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 06:05:10 ID:G.mUN/LwO

 上半身を起こしたショボンの前に立ち、ニュッは、ある男を指差した。
 その先にいるのは、阿部という所員だ。
 それだけで事情が大体読めてしまった。

( ^ν^)「こいつクビにしろ」

N| "゚'` {"゚`lリ「何だ、いきなり酷いな」

(´・ω・`)「おっさん何かした?」

N| "゚'` {"゚`lリ「ちょっと尻を触っただけだ」

(´・ω・`)「お前まじでクビにすんぞ」

 まともな所員がいないなんて、何と嘆かわしい。

 ――と、憂いに浸るショボンが一番まともではないことは、もはや周知の事実である。



*****

642 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 06:06:16 ID:G.mUN/LwO



 そうして、デレが修学旅行から帰ってきて、一週間ほど経った頃。
 ついに、それが起きてしまった。



.

643 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 06:08:34 ID:G.mUN/LwO

ζ(゚、゚;ζ「うう……」

 放課後。高校の廊下。
 プリントの束を抱え、デレはとぼとぼと教室に向かっていた。

 修学旅行前に行われた中間テストの結果が例によって残念なものだったため、
 数学の課題が出てしまったのだ。
 英語はぎりぎりで平均点に滑り込めたので、あの鬼教師に狙われずに済んだことが唯一の救いか。

ζ(゚、゚;ζ(数学は何とかなるだろうと油断して英語ばっかり勉強した報い……)

( ∵)「長岡さんはお勉強大好きですねえ」

ζ( д ;ζ「あばばばばばばば英語赤点とってません平均点いきました大丈夫です!!」

 言ってるそばから、「鬼教師」こと奈良場ビコーズがデレの肩を叩いた。
 思わず絶叫しながらビコーズから逃げる。

 分かってますよ、と、ビコーズはいつもの無表情で答えた。

644 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 06:12:53 ID:G.mUN/LwO

( ∵)「今から教室行くところですか?」

ζ(゚、゚;ζ「は、はい、そうですけど……何ですか……?」

( ∵)「そこまで警戒されると先生興奮しちゃいますね。
    ――教室に埴谷さんがいたら、先生のところに来るよう言っておいてくれませんかね」

ζ(゚、゚;ζ「埴谷さんですか?」

( ∵)「ええ。補習のお話です」

 補習か。
 少し、親近感を覚えた。

 最近長岡さん頑張ってるから先生寂しいです、と言うビコーズに、
 デレは精一杯の愛想笑いを返す。

( ∵)「……それにしても、あの人があの成績をとるとは思えないんですけどねえ……」

ζ(゚、゚*ζ「?」

( ∵)「ところで長岡さんもいかがです?」

ζ(゚ー゚;ζ「結構です!!」

 絶対に嫌だ。
 全力でお断りして、逃げ出した。

645 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 06:15:12 ID:G.mUN/LwO

 角を曲がり、教室に入る。
 クラスメートが何人か残っていた。

 その内の1人が、デレに気付いて手を挙げる。
 キュートだ。

o川*゚ー゚)o「デレちゃんおかえりー」

ζ(゚、゚;ζ「ただいま」

o川*゚ー゚)o「それ全部課題?」

ζ(-、-;ζ「課題です……」

 どんまい、とキュートがデレに笑いかける。
 見ると、キュートの向かいにくるうが座っていた。
 デレを待つ間、くるうと話していたのだろう。

ζ(゚、゚*ζ「埴谷さん、ビコーズ先生が呼んでたよ」

川 ゚ 々゚)「……ん、分かった」

o川;゚ー゚)o「うわあ、ビコーズ先生か……。頑張ってね、くるうちゃん」

 ビコーズの名を聞いたクラスメート数人が、気の毒そうな目を向けてくる。
 デレも何度か受けたことのある視線。
 その哀れみが、ますます惨めな思いにさせてくれるのだ。

646 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 06:16:54 ID:G.mUN/LwO

o川*゚ー゚)o「さて、行こっか」

ζ(゚ー゚*ζ「うん。ばいばい埴谷さん」

川 ゚ 々゚)「ばいばい」

o川*゚ー゚)o「じゃあね! ありがと、お話に付き合ってくれて」

 ぴょんと跳ねるように立ち上がり、キュートはくるうに礼を言った。
 くるうはぎこちなく口角を上げ、胸の前で手を振る。

川 ゚ 々゚)「待ってる人って、長岡さんだったんだ」

o川*゚ー゚)o「うん。ちょっと、2人で行かなきゃいけないところがあるの」

川 ゚ 々゚)「そう……」

 もう一度、じゃあね、と別れの言葉を口にして、デレとキュートは共に教室を後にした。

 別に、デレもキュートも、悪いことはしていない。
 誰かを傷付けるつもりなど勿論なかった。

 ただ、こんな何気ないやり取りが、決定的な「きっかけ」になってしまっただけのこと。



*****

647 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 06:18:04 ID:G.mUN/LwO



 キュートから話し掛けてくれた。
 人を待っているのだと。

 自分で時間を潰せるのなら、と喜んで話し相手になってやった。

 キュートと話すのは、とても楽しい。
 話さなくたって、見るだけでも。
 楽しくて楽しくて、幸せだった。

 だって、1年生の頃から気になっていたのだ。
 同じクラスになって彼女の性格を知ってからは、ますます夢中になった。
 近くにいてくれるだけで、近くで眺めさせてくれるだけで嬉しくなるのも当然だろう。

 なのに、またあいつが邪魔をする。


.

648 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 06:19:41 ID:G.mUN/LwO

【+  】ゞ゚)「おかえり、くるう」

川#; 々;)「オサム! オサム、オサムう!」

 家に帰るなり、くるうはオサムに縋りついた。
 涙がオサムの黒い服に染み込む。

【+  】ゞ゚)「どうしたんだ」

川#; 々;)「キューちゃんが可哀想!
      何であの子がキューちゃんと一緒にいなきゃいけないの!?
      あの子と一緒じゃキューちゃん勿体ないの! 駄目なの!!」

 オサムに頭や背中を撫でられる。
 くるうはしばらく何かを喚いていたが、嗚咽が激しくなるにつれ、
 言葉は意味を為さなくなっていった。

川#; 々;)「うう、あうっ、ううう!」

【+  】ゞ゚)「……よしよし」


 ――あれでは駄目だ。

 キュートが「真ん中」でなければ駄目だ。

 あんなに綺麗で、あんなに優しくて、あんなに明るいのだから。
 彼女が全ての中心でなければ駄目だ。

649 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 06:21:08 ID:G.mUN/LwO

 クラスだけでなく校内の人気者。
 そんなキュートが、くるうは大好きだった。
 物語の中のヒロインみたいで。

 それを長岡デレが邪魔している。

 VIP図書館。最高の「舞台」だ。いかにもミステリアスな場所。
 あそこでキュートが中心になれれば、これ以上はないほど素晴らしい空間になる筈。

 なのに、長岡デレがいると、どうしてかキュートが真ん中から外れてしまう。

 あの図書館の人達と仲がいいのは、キュートだけでいい。
 長岡デレはいらない。いらない。いらないのだ。

.

650 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 06:27:36 ID:G.mUN/LwO

【+  】ゞ゚)「……なあ、くるう」

 オサムの声が耳元に落ちてくる。

【+  】ゞ゚)「幸せか?」

川 ; 々;)「……」

 そんなわけないだろう。
 首を横に振る。

 くるうを抱くオサムの腕の力が、強くなった。

【+  】ゞ゚)「何が足りない? どうしたら、くるうは幸せになる?」

川 ; 々;)

 不気味で、不思議な男だ。
 突然自分の前に現れて、願いを叶えてくれると言った。
 くるうの願いを叶えれば、彼の望みも叶うらしい。

 だから、彼はくるうの願いを叶えてくれる。



.

651 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 06:29:34 ID:G.mUN/LwO


川 ; 々;)「……あの子が、いなくなれば幸せ……」


 オサムが薄く笑う。


 部屋の隅、花柄の本だけが、2人の会話を聞いていた。



*****

652 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 06:34:02 ID:G.mUN/LwO

とりあえずここまで

残りは今日の夜か、明日の夜に

読んでくれた方、支援してくれた方、ド深夜に付き合ってくれた方々、皆さんありがとうございました!


しおり的な目次的な

番外編前半戦 >>564

653 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 08:13:14 ID:Tsilj4egO
乙!
くるうの件とブーム君の件どう絡めて解決するのか楽しみだ
俺もニュッ君の尻触りたい

654 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 08:20:31 ID:iP7X8u6QO
読み終えた乙っ

これで半分か…読みごたえあるボリュームで嬉しいぜっ!

655 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 08:39:47 ID:ICLqdAb.O
投下乙
今日続きが見れるなら残業せずにとっとと帰って全裸で待ってる

656 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 09:08:30 ID:O8xCwIeYO
劇場版観てる気分だ


657 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 09:53:31 ID:Zb2qsdF.0
乙!
不穏な空気が・・・

658 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 10:32:17 ID:9mYt5mW6O
乙!
くるうとオサムの組み合わせか……あの名作を思い出すな

659 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 10:56:58 ID:O8xCwIeYO
そういやあれでもシュールは母親だったな
こっちはまともそうだが

660 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 13:25:59 ID:6ntFdGv6O
待ってました!乙です!

661 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 16:31:46 ID:YKHKEpLo0
これ本編で出してもよかったんじゃね

662 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 17:36:25 ID:FJDBSRh6O
くるうとオサムのってなんだっけか…覚えがあるような感じはあるが思い出せん

663 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 18:03:34 ID:dbGYSUg.O
>>662【+ 】ゞ゚)は異世界で出会ったようです
だな。

664 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 18:37:31 ID:ICLqdAb.O
ここにいる全裸待機中の青森県民が、凍死しないうちに来てくれるといいな

665 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 20:34:49 ID:inRW03L.0
>>664
おまおれ

666 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 20:52:06 ID:SENkLLoAC
>>664
隣の県だがおれおま

667 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 20:54:23 ID:O8xCwIeYO
マフラーぐらいしろよ

668 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 21:01:03 ID:9mYt5mW6O
東北多いな。俺もだが

669 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 21:06:30 ID:dwvyK72M0
>>664
2個下の県だがおまおれ

670 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 21:15:46 ID:/./Y5Az60
待つほうがつらいかね・・・それとも待たせるほうがつらいかね・・

671 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 21:57:18 ID:ChD1kGUcO
どちらも

672 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 22:16:50 ID:BRAqX3e.O
>>664

真上の道だがおまおれ

673 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 22:48:17 ID:HZnte0IAO
なんだこの雪国率w

674 名前:名も無きAAのようです:2011/12/05(月) 23:48:55 ID:gnBzcG6.0
>>664 
>>672 おまおれ

675 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 00:20:26 ID:mDU7QBoQ0
>>673
区分的には東北からも中部からも北陸からもハブられてる日本有数の雪国で全裸待機しております

676 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 00:33:53 ID:PnlUqvM2O
>>675
おまおれ

677 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 06:34:36 ID:G3lBhHOwO
>>669

同県おまおれ

678 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 08:07:30 ID:SOivbbcI0
乙でした
番外編ってもっと軽い感じかと思ってたから、ガッツリ読めて嬉しいわぁ

679 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 08:35:12 ID:DE4LZVlo0
あな素晴らしや、生きた東北民

680 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 09:01:52 ID:BG7TF/GY0
>>675
本州から離れてる独立国家ですね
おまおれ

681 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 11:28:50 ID:ZsVdFD5cO
あな本のスレを開くと雪国であった。

682 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 14:55:47 ID:X4bFIp16O
いま読み終えた乙 本編並みのボリュームで嬉しい
関東から時々ハブられる甲斐の隅で全裸待機しておきます

683 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 18:33:20 ID:/tG4nKTwO
青森の全裸紳士は今日も待ち続ける

684 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 18:35:43 ID:5WVIuat60
九州だから全裸待機余裕だし

685 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 20:27:56 ID:jWcanPsI0
痛々しいな

686 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 20:30:56 ID:mDU7QBoQ0
>>680
ハブられてるってレベルじゃねーぞ!
http://www.hardoff.co.jp/

スクショ
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira059241.jpg

この独立国家に限らず寒い地域で全裸待機なされている紳士諸兄はお互い風邪には注意しましょうな
おっと、もちろん暖かい地方の方々も

687 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 20:31:18 ID:yqWtgWw60
規制されるぞ

688 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 20:42:17 ID:jWcanPsI0
痛々しすぎるしスレ内に関係ないだろ

689 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 20:43:56 ID:iVmhRP1kO
>>678
番外編ってより、特別編って言った方が、それっぽかったかなと今更ながら思ったり


残り投下しマクラメレース
なっっっがい

690 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 20:44:49 ID:vcD7G1Qk0
ktkr

691 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 20:45:21 ID:iVmhRP1kO

ζ(゚、゚*ζ「埴谷さんですか」

(´・ω・`)「うん。クラスメートなんでしょ?」

 遮木探偵事務所。
 ソファに並んで座らされたデレとキュートは、向かいのショボンに訝しげな視線を送った。

 キュートがくるうに言った「2人で行かなきゃいけないところ」は、この事務所であった。

 今朝、デレの携帯電話にショボンから連絡が入ったのだ。
 訊きたいことがあるから、放課後に事務所に来てほしい、と。

 いざ来てみれば、質問の内容は、クラスメートの埴谷くるうについて。

ζ(゚、゚*ζ「んー、私は、すごく仲がいいってわけじゃないと思います。
      キュートちゃんと埴谷さんが話してるところに、たまに入るくらいで。
      ごく普通のクラスメート同士です」

( ^ν^)「友達少ねえもんなお前」

ζ(゚、゚#ζ「ニュッさんに言われたくありません!」

 机で作業していたニュッに、小声で嫌味を言われた。
 本日も、他の所員は外出中だ。

692 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 20:47:17 ID:iVmhRP1kO

(´・ω・`)「キュートちゃんは仲いいの?」

o川*゚ー゚)o「どうなんでしょ。お話する程度の仲ですし、まあ悪くはないかなあ。
      やたら好かれてるとは思いますけど」

(´・ω・`)「好かれてる?」

o川*゚ー゚)o「はい。かなり。
      もしかしたら、恋愛的な意味で好かれてたりして」

ζ(゚、゚;ζ「ええっ」

 ぎょっとして、デレはキュートに顔を向けた。
 表情を窺ってみるに、冗談を言っているつもりはなさそうだ。

o川*゚ー゚)o「私と2人だとね、すっごく嬉しそうなんですよ。
      でもデレちゃんが混ざると、ちょっとテンション下がるの」

(´・ω・`)「それは単純にデレちゃんが嫌いなんじゃないの?」

ζ(゚、゚;ζ「えええっ」

( ^ν^)「お前何したんだよ」

ζ(゚、゚;ζ「何もしてませんよ!」

o川*゚ー゚)o「まあ、たとえデレちゃんを嫌ってたとしてもですよ。
      私に対する態度は普通の友達とかクラスメートの域を越えてます」

 そこまで言うと、キュートは自分の体を抱き締めた。
 身をくねらせ、わざとらしく哀れっぽい声を出す。

693 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 20:48:50 ID:iVmhRP1kO

o川*>ー<)o「ああっ、同性さえも魅了する己の美しさが恐い!」

( ^ν^)「言ってろ」

(´・ω・`)「この本性知らないんでしょ? 埴谷くるうさんは」

ζ(゚、゚*ζ「ええ、まあ、
      『キュートちゃん可愛いね』『そっ、そういうこと言うのやめてよー』
      みたいなキャラですからね、学校じゃ……」

( ^ν^)「『キュートちゃん可愛いね』」

o川*゚ー゚)o「可愛いどころの話じゃない」

( ^ν^)「本性こんななのにな……」

(´・ω・`)「可哀想に」

 気の毒そうに呟き、ショボンは腰を上げた。
 机に置いていたノートパソコンを持ってくる。

 その直後、ドアを控えめにノックする音がした。

(´・ω・`)「どうぞー」

 ショボンが返事をし、一拍おいてからドアが開かれる。

694 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 20:50:22 ID:iVmhRP1kO

(,,゚Д゚)「……どうも」

ζ(゚、゚*ζ「あ」

 先週、ここに来た男だ。
 ショボンに紹介してもらう。
 埴谷ギコ。くるうの兄らしい。

 対するギコには、デレ達がくるうのクラスメートであることを説明した。
 ギコが瞠目し、「妹がお世話に」と頭を下げる。

(´・ω・`)「どうぞ、そちらに」

(,,゚Д゚)「はあ」

 ショボンはソファを指した。
 デレが端に寄る。キュートもデレの方へ詰めて、ギコが充分に座れるスペースを確保した。

ζ(゚、゚*ζ「あの、私達、席を外した方が――」

(´・ω・`)「いや、もしかしたら君達にも協力してもらうことがあるかもしれないから、
      話を聞いてもらえないかな。
      ――いいですか? 埴谷さん」

(,,゚Д゚)「……まあ、それで調査が捗るんなら」

(´・ω・`)「ありがとうございます。ニュッ君、お茶」

 ニュッが全員に紅茶を出し終えるのを待ってから、ショボンは口を開いた。
 「最初から説明しよう」、と前置き。

695 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 20:52:32 ID:iVmhRP1kO

(´・ω・`)「埴谷くるうは7月に入る直前、突然一人暮らしを始めた。
      アパートの一室でね」

o川*゚ー゚)o「え、そうなんだ」

(´・ω・`)「それから2ヶ月ほどして、様子がおかしくなったらしい。
      家族を一切部屋に入れてくれなくなった。
      いつ行っても、何度行っても、何かしらの理由をつけて断られる」

(´・ω・`)「そして先月。埴谷さんがいつものように玄関先で妹さんと話していると、
      部屋の奥から、物音と誰かの気配を感じたそうだ」


 ――その日以降ギコは、部屋を訪れる度、玄関から確認出来る範囲で
 「何者か」の様子を窺ってみたのだという。

 すると、時折、明らかに人間が発するものであろう音がする。
 誰かがくるうの部屋にいるのは、ほぼ確定した。


(´・ω・`)「ただの友達なら家族に紹介すればいいのに、妹さんはひたすら隠そうとする。
      これは怪しいぞということで、埴谷さんは僕に調査を依頼した。
      ですよね?」

(,,゚Д゚)「っす。
     結果によっては、両親に話して、無理にでも実家に戻させようかと」

696 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 20:54:19 ID:iVmhRP1kO

ζ(゚、゚*ζ「その『誰か』って、同居人なんでしょうか」

( ^ν^)「あるいは同棲か」

(;,゚Д゚)「……それが一番厄介かもしんねえ」

 自分のカップに紅茶を注いでいるニュッの言葉に、ギコが複雑そうな顔をする。

 ショボンは、ノートパソコンを起動させた。
 マウスで何か操作をする。

(´・ω・`)「その辺についてなんですけど。
      埴谷さん、怖い話って好きですか?」

(;,゚Д゚)「は?」

(´・ω・`)「おばけとか信じます? 幽霊とか妖怪とか」

o川;゚ー゚)o「何言ってんですか急に」

(´・ω・`)「いやね、妹さんの部屋の前で張り込みしてたら、妙なのが録れちゃいまして」

 ショボンがパソコンをこちらへ向ける。
 興味をそそられたのか、ティーカップを持ったまま、
 ニュッがデレ達のソファの後ろに回り込んだ。

 4人で画面を注視する。

697 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 20:58:15 ID:iVmhRP1kO

 物陰から、向かいのアパートらしき建物を収めている映像が流れていた。
 2階建てで、各階に2つずつドアが並んでいる。

(,,゚Д゚)「……妹の住んでるアパートっすね」

(´・ω・`)「ええ。妹さんは2階の手前の部屋ですね?」

o川*゚ー゚)o「あ、ドア開いた」

 今まさにショボンが言った、2階手前のドアが開いた。
 一旦止めて、というショボンの指示に、キュートがいち早く応えた。
 カーソルを動かし、「一時停止」をクリックする。

(´・ω・`)「よく見ていただけますか。
      人がいますね」

(;,゚Д゚)「……何だこいつ」

 身を乗り出させたギコが、呆然と呟いた。
 デレも、口を半開きにさせて硬直してしまう。
 2人共、その人物の存在より、出で立ちの方に驚いていた。

ζ(゚、゚;ζ「お面ですかね……?」

( ^ν^)「だな」

 くるうを見送るかのように玄関に立っている男。
 カメラの角度と男の立ち位置から、彼の右半身くらいしか満足に見えないのだが――

 黒ずくめの服装に、顔半分を隠す奇妙な仮面。
 何とも目立つ、仮装じみた格好をしていた。

698 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 20:59:24 ID:iVmhRP1kO

(´・ω・`)「はい、再生して」

o川;゚ー゚)o「は、はあ」

 クリック。
 固まっていた映像が動き出す。

 くるうが男に手を振り、ドアを閉めた。

(´・ω・`)「男は部屋に残りましたね」

(;,゚Д゚)「……あいつ、こんな変なのと一緒に暮らしてんのか……?」

(´・ω・`)「ところがどっこい、変なのは格好だけじゃない。
      この後、妹さんが帰ってくるんですが……――キュートちゃん、
      25分30秒くらいのところまで早送りしてくれるかな」

o川;゚ー゚)o「分かりました」

 しばらく、何の変哲もない光景が流れた。
 アパートから他の住人が出ていったり、前を車や通行人が通ったり。
 その間、くるうの部屋のドアは一度も開かなかった。

 画面下のバーが25分30秒を示したタイミングで、キュートが早送りを解く。

699 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:01:18 ID:iVmhRP1kO

o川*゚ー゚)o「……帰ってきた」

(;,゚Д゚)「あれ……?」

 コンビニの袋を提げたくるうがアパートに戻ってくる。
 その隣に、先程の男が寄り添っていた。

ζ(゚、゚;ζ「え。ちょ、」

( ^ν^)「……」

 映像の途中、ドアは開かなかった。
 男は外出していない。

 ――なのに、何故、そこにいるのだ。

 デレは、反射的にキュートの袖を掴んだ。

(´・ω・`)「おかしいですね。
      この男、外には出ていないのに何故か妹さんと一緒に帰ってきた」

(;,゚Д゚)「……」

 ギコが絶句する。
 ショボンとパソコンを交互に見て、それからティーカップを持ち上げた。
 紅茶を口に含み、熱かったのか、慌ててカップを離す。

 けほけほと咳き込むギコから、充分に動揺が伝わってきた。

700 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:03:20 ID:iVmhRP1kO

(;,゚Д゚)「ど、どういう……」

(´・ω・`)「数日に渡って、同様の現象が何度も確認出来ました。
      別の調査員に協力してもらってアパートの前後から見張ってみましたが、
      彼は窓からも出ていません」

(´・ω・`)「さらに、一日の内に二度も同じことが起きた日もあります」

 考えられる可能性は三つ。
 そう言って、ショボンは右手の指を3本立てた。

(´・ω・`)「一つ目。どこかに隠し通路がある。
      二つ目。男は三つ子である。
      三つ目。普通の人間ではない」

(;,゚Д゚)「……んなこと……」

(´・ω・`)「間違いなく現実での出来事なんです。
      この男の正体がとんでもないものだとしたら、
      妹さんが隠したがるのも無理はないかと」

 信用するかは埴谷さん次第ですけど。

 そう締め括り、ショボンはパソコンを閉じた。
 紅茶を一口飲んで、眉間に皺を寄せる。

701 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:04:37 ID:iVmhRP1kO

(´・ω・`)「どうします。まだ調査を続けますか?」

 額を押さえ、ギコが唸る。
 悩んでいるようだ。

 デレだって、同じ状況になったら、気味が悪くて関わるのを躊躇ってしまうだろう。
 あるいはショボンの悪質ないたずらだと思うかもしれない。

 たっぷり考えて、ようやくギコは答えた。

(;,゚Д゚)「……お願いします」

(´・ω・`)「了解」

 では、と、ショボンは大判の封筒を差し出した。
 それをギコが受け取る。

(´・ω・`)「男の名は、オサムというようです。
      妹さんがそう呼んでいました。
      本名なのか偽名なのか、彼女がつけた名前なのかは分かりませんが」

( ^ν^)「おさむ」

 ショボンの言葉に、ニュッが反応した。
 紅茶を飲み干し、自分の机に戻る。
 椅子に腰掛けたニュッは、何をするでもなく、難しい顔をして黙り込んでいた。

702 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:07:00 ID:iVmhRP1kO

(´・ω・`)「見たところ、歳は……40歳以上でしょうかね」

(;,゚Д゚)「40っすか……」

 仮にオサムとやらが普通の人間だったとしても、
 そんな中年が他人の女子高生と暮らしている時点で色々と怪しい。
 兄のギコの心中たるや、とても穏やかとは言えないだろう。

(´・ω・`)「妹さんに対し、少々馴れ馴れしいといいますか、
      やけにべたべた触れる節があります。
      しかし、どういった関係かまでは、まだ判断がつきません」

(´・ω・`)「近隣の住民に聞き込みもしましたが、そもそも男の存在を知らないようでした。
      もし――妹さんの様子が変わった頃から彼があの部屋にいたのだとしたら、
      これまでの2ヶ月以上、誰ひとりとして男に気付かなかったということになります」

 こんな目立つ姿の男に、誰も気付かないものなのだろうか。
 下手をすれば親子ほど歳の離れた男女ならば、尚更。

(´・ω・`)「……まあ、詳しくは、そちらの書類に」

 話を聞けば聞くほど、現実味が薄れていく。

 封筒を見下ろし、ギコは苦々しい表情で頷いた。
 今回の報告は以上です、とショボンが話を結ぶ。

703 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:08:58 ID:iVmhRP1kO

(´・ω・`)「デレちゃん、キュートちゃん。
      クラスメートってことで、くるうさんの普段の振る舞いに注意しておいてくれるかな。
      何か気づいたことがあれば、僕に教えて」

ζ(゚、゚;ζ「はい……」

o川*゚ー゚)o「任せてください」

(´・ω・`)「では。ギコさん、今日のところは、お帰りになってくださって結構です。
      お疲れ様でした」

(;,゚Д゚)「えっと……――じゃあ、あの、失礼します」

(´・ω・`)「書類に関して訊きたいことなどありましたら、
      お電話でも何でも、気軽に連絡してください」

(;,゚Д゚)「はい、……ありがとうございました」

 そそくさと、ギコが逃げるように事務所を出ていく。
 階段を下りる音が遠ざかると、ショボンはニュッへ振り返った。

(´・ω・`)「心当たりは?」

( ^ν^)「ある」

ζ(゚、゚;ζ「はへ?」

 ごくごく短い会話だった。
 きょとんとするデレを他所に、キュートもそこに加わる。

704 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:10:41 ID:VPFSLs4M0
妹がこんなんなったら心配どころじゃないな

705 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:11:44 ID:iVmhRP1kO

o川*゚ー゚)o「やっぱ、『本』なんですか?」

( ^ν^)「十中八九」

(´・ω・`)「詳しく話しなさい」

ζ(゚、゚;ζ「え? 本? え?」

 ニュッからデレへ、ショボンの視線が移る。
 ひどく見下しきった目だ。
 君は本当に馬鹿だな、とでも言いたげな。

(´・ω・`)「非現実的なことが起きていて、
      かつ、ニュッ君は『オサム』という男について引っ掛かってる。
      となれば、もう想像つくでしょ?」

ζ(゚、゚;ζ「……あ」

 ――なるほど、「本」の仕業か。
 ようやく分かった。

 キュートが生暖かい笑みをデレに向けてくる。
 何だその表情は。

706 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:12:45 ID:BG7TF/GY0
デレやっぱり気付いてなかった…

707 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:13:05 ID:iVmhRP1kO

(´・ω・`)「で、どんな話?」

( ^ν^)「クックルが書いた児童文学」

ζ(゚、゚*ζ「童話みたいなものですか?」

( ^ν^)「まあ内容は大体そんな感じだった。
       試験的な作品らしかったが、随所にイラストも描いてあって凝ってたな」

o川*゚ー゚)o「本当に器用な人だね」

( ^ν^)「物語では、その『オサム』が主人公なんだ。
       とある悪人――オサムが不慮の事故で亡くなって、地獄に落ちかける。
       だが、悪人はチャンスを与えられた」

(´・ω・`)「チャンスって?」


 ――たくさんの人間の願いを叶えて幸せにすれば、天国に行くことが出来る。
 ただし何か悪さをすれば、たちまち地獄行きの条件付き。

 持ちかけられた話に、オサムは喜んで飛びついた。
 彼は事故で傷付いた顔を隠すために仮面をつけ、下界に降りる。


ζ(゚、゚*ζ「たしかに仮面つけてましたね」

o川*゚ー゚)o「趣味悪いけどね」

708 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:16:11 ID:iVmhRP1kO

 不思議な力を与えられたオサムは、何年もかけて多くの願いを叶えて回った。
 あと1人を幸せにすれば天国に行ける、というところで、
 予想外なことに、最後の1人である少女に手間取ってしまう。


( ^ν^)「少女は『してほしいことは特にない』なんて言いやがるが、
       一度ターゲットを決めた以上、そいつの願いを叶えなきゃならない。
       オサムはしばらくそいつのもとに身を置くことになる」

(´・ω・`)「身を置く、ね」

( ^ν^)「やがて数ヵ月が経った頃、少女はようやく願いを口にした。
       『嫌いな奴を消してほしい』」

o川*゚ー゚)o「うわあ、過激だ」


 お安い御用とばかりに悪人は願いを叶えてやる。
 さあ待っていろ天国――と喜び勇んでいたオサムは、ふと気付く。
 自分が人殺しをしてしまったことに。


( ^ν^)「なかなか願いを決めてくれない少女に焦れていた悪人は、
       地獄行きの条件をすっかり忘れてたんだ。
       そんでバッドエンド」

o川;゚ー゚)o「後味悪っ。子供向けの話なんだよね?」

( ^ν^)「これを書いた当時、『児童文学は少しでも希望のある終わり方にするべき派』と
       『バッドエンドも認めるべき派』に分かれて、みんなが議論したこともあったな」

ζ(゚、゚*ζ「ニュッさんどっちですか?」

( ^ν^)「面白けりゃ何でもいい」

(´・ω・`)「まあ、君とあのジジイは読めさえすれば気にしないよね」

 そこまで話すと、ニュッは溜め息をついた。
 ひどく面倒くさそうに顔を顰める。
 どうしたのだろう。

709 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:18:48 ID:iVmhRP1kO

ζ(゚、゚*ζ「ニュッさん?」

( ^ν^)「……これは、もしかしたら厄介なパターンかもしれねえ」

ζ(゚、゚*ζ「何がですか」

( ^ν^)「本に演じさせられてきた奴らだって、結局は『人間』だ。
       通常、普通の人間に不可能なことまで可能になる例は今までなかった」

ζ(゚、゚*ζ「?」

 やはりデレには分からない。
 今回ばかりはキュートも首を傾げている。

(´・ω・`)「つまり、本によって一時的に筋力や視力などがアップさせられることはあっても、
      あのオサムのように、瞬間移動か何かが使えるようになるのは有り得ないんだね」

 ニュッが首肯する。
 だが、事実、オサムは部屋から出ないまま、くるうと共に帰宅したではないか。
 ならば有り得ないこともないだろう。

 そのことをデレが指摘すると、ニュッは首を横に振った。

( ^ν^)「あの作品には絵が描いてあるっつったよな」

ζ(゚、゚*ζ「ええ」

( ^ν^)「そこに描かれていた絵と、さっきの映像のオサムは――
       あまりにも似すぎてる」

 ここまでくると、何となくだがデレにも想像がついてきた。
 原作同様に不思議な力を持ち、イラストとそっくりな姿をしたオサム。
 まるで、「本の中から出てきたような」。



( ^ν^)「本は、主人公そのものを作り出したんだ」



*****

710 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:20:06 ID:iVmhRP1kO



 マンションの前で、車が停まる。
 後部座席のドアを開け、キュートは運転席の男に声をかけた。

o川*゚ー゚)o「ありがとうございました、ニュッ君さん」

( ^ν^)「別に」

 ハンドルを握っているニュッは、前方を見つめたまま、無愛想に返事をする。

 「どういたしまして」くらい言えないのかと、デレは嘆息した。
 鞄に付けたストラップを指先で転がす。

o川*゚ー゚)o「じゃあね、キュートちゃん、ニュッ君さん。また明日」

ζ(゚ー゚*ζ「うん。また明日ね」

 ドアを閉め、キュートがマンションの中に入っていく。
 それを後部座席から見届け、デレは顔を前に向けた。

 ――すっかり暗くなってしまったので、デレとキュートを送り届けるようにと
 ショボンがニュッに言いつけたのだ。

 とはいっても、少女に夜道を歩かせないように、なんて紳士的な理由ではない。
 もっと差し迫った問題がある。

 デレは、事務所での会話を思い出し、膝の上で拳を握った。

711 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:22:42 ID:iVmhRP1kO



   (´・ω・`)『――埴谷くるうって、デレちゃん達以外に、よく関わる人はいるの?』

   ζ(゚、゚*ζ『急に何ですか。……ちょっと、分かんないです』

   o川*゚ー゚)o『特別仲がいい人も悪い人もいないかな』

   (´・ω・`)『じゃあ、デレちゃん危ないかもね』

   ζ(゚、゚*ζ『え?』

   (´・ω・`)『オサムは埴谷くるうのところにいる。
         「少女」役はくるうってわけだね』

   ( ^ν^)『……ああ』

   ζ(゚、゚*ζ『それと私に何の関係が……』

   (´・ω・`)『あのね、ニュッ君が言ってたストーリーを聞いてただろ?』


   (´・ω・`)『……少女の願い事は、「嫌いな奴を消してほしい」、だよ――』



.

712 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:24:02 ID:VPFSLs4M0
ニュッ君運転なんかできたのか

713 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:24:51 ID:C34yvmIc0
ニュッ君免許持ってたのね

714 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:25:38 ID:iVmhRP1kO


ζ(゚、゚*ζ「……」

 話し合った結果、ショボンとニュッが明日くるうのもとを訪れることになった。
 だが、いつオサムが行動に出るか分からない。

 デレが狙われると限ったわけではないが、念のため、
 ひとまず今晩はデレをVIP図書館に匿うことにしたのである。

 車を停めたまま、ニュッは携帯電話を手にすると電話を掛け始めた。
 恐らく図書館に。

 数秒してからニュッが話し出す。
 相手はツンらしい。
 大まかに事情を説明している。

ζ(゚、゚*ζ(……ツンちゃん達と一緒なら、大丈夫だよね……)

 沸き上がる不安を誤魔化すため、車内を見渡した。

 通勤のために免許をとって中古車も買ったニュッだったが、
 こうして彼の運転する車に乗せてもらう機会はなかなかない。

 バックミラーに交通安全のお守りが括りつけられていた。
 ニュッが免許をとった日に、ハローとモララーが神社で買ってきたのだと聞いた覚えがある。

 ニュッも内藤も、それぞれの両親を交通事故で亡くしている。
 ふと親について考えると、あのブームという少年の姿が脳裏を掠めていった。

715 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:28:36 ID:iVmhRP1kO

( ^ν^)「――デレ」

ζ(゚、゚*ζ「ふひゃ」

 ニュッに呼び掛けられて、デレは我に返った。
 携帯電話が差し出されている。

( ^ν^)「電話」

ζ(゚、゚;ζ「は、はいっ! もしもしっ」

『もしもし、デレ?』

 携帯電話を受け取ると、ツンの声が返ってきた。
 夕飯の希望を訊かれる。何でもいいと答えておいた。

『じゃあ、お鍋にするけれど。こっちに来る前に、着替えとか持ってきなさいね』

ζ(゚ー゚*ζ「うん、一回うちに寄ってもらうから大丈夫」

『それと、寝る部屋は――』

 瞬間、電話の向こうでがたがたと激しい物音がした。
 デレは驚き、ツンの名を呼ぶ。

ζ(゚、゚;ζ「ツンちゃん、どうし――」

『デレちゃん泊まんの!? 泊まんの!? 私の部屋で寝る!? ねえ!』

ζ(゚、゚*ζ

716 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:30:57 ID:iVmhRP1kO

『優しくするから大丈夫だよ! あっ、それともニュッちゃんの部屋がいいのかな!?
 ついに一線越えちゃうのかな!?』

ζ(゚、゚*ζ

『邪魔しないから、邪魔しないから見てていい? 邪魔しないから!
 本当に邪魔だけはしないから!』

ζ(゚、゚*ζ

『足の傷跡ぺろぺろプレイとかすんだろ? お? そうなんだろ?
 ニュッちゃんそういうの好きそうだもんな!
 別に私がやりたいわけじゃないよ、本当に私がやりたいわけじゃn』

 デレは、そっと携帯電話を閉じた。

ζ(゚、゚*ζ「行きましょうか」

( ^ν^)「ああ」

ζ(゚、゚*ζ「しぃさん縛っといてくださいね」

( ^ν^)「でぃがやってくれると思う」



*****

717 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:32:20 ID:BG7TF/GY0
しぃwwwwwwwww

718 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:34:37 ID:iVmhRP1kO


( ФωФ)「――ただいま」

 仕事から帰ったロマネスクは、リビングにいたブームに声をかけた。
 以前は「おかえりなさい」と返してくれたものだが、
 今や、ちらりとロマネスクを一瞥するだけだ。

|  ^o^ |

( ФωФ)「……」

 ブームの態度に苛立ってしまうのは確かだ。

 自分や妻がどんなに話しても、ロマネスクは父親ではないのだと言って聞かない。
 両親よりも、他人や祖母の方を信じるのかと、
 物悲しさと怒りを覚える。

 自分は妻を信じたいと思っているし、実際、彼女を信用している。
 その一方で、信用している「つもり」なだけではないかとも考えてしまう。

 いや、きっとそうなのだ。
 己の精神衛生のために、疑うのを避けているだけ。

719 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:35:18 ID:iVmhRP1kO

( ФωФ)「……飯の支度をするである」

 結局自分も、周りと同じように、妻とブームに対する疑惑を抱いていて。
 それを見て見ぬふりをして、日々をやり過ごしている。

 ――DNA鑑定でもしてみたらどうかと父に勧められたことがある。

 しかし、未だ、その勇気はロマネスクにはない。

 妻もブームも愛おしい。
 なのに、万が一、本当にブームが他人の子供であったら。
 全てが、無くなってしまう。



*****

720 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:35:41 ID:VPFSLs4M0
辛いな

721 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:36:50 ID:iVmhRP1kO



 あくる朝。校門前。
 デレは、ニュッの車から降りた。

ζ(゚ー゚*ζ「ありがとうございました!」

( ^ν^)「ん」

ζ(゚ー゚*ζ「放課後はどうしたらいいでしょうか」

( ^ν^)「兄ちゃんが迎えに行くから、それまでキュートとでも一緒にいろ」

 あの後、図書館で一晩過ごしたデレ。
 解決するまで学校に行くのも控えたらどうかという内藤の案を断って、
 ニュッの通勤ついでに学校まで送ってもらったのである。

 彼が家を出る時間に合わせた結果、普段よりも随分早く到着してしまった。
 こういうのもなかなか新鮮だ。

722 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:38:52 ID:iVmhRP1kO

 「それにしても」と、ニュッが辺りを見回す。

( ^ν^)「誰もいねえな」

ζ(゚ー゚*ζ「まだちょっと早い時間ですからね。
      まあ学校の中なら、誰かいるでしょうから大丈夫ですよ」

( ^ν^)「なるべく1人になんなよ」

ζ(゚ー゚*ζ「分かってますって」

 行ってきます、と言って、デレは校舎へ向かった。
 昇降口に入り、クラスの下駄箱の前に立つ。
 校門の方を見ると、ニュッの車が離れていくところだった。

ζ(゚ー゚*ζ(行ってらっしゃーい)

 頭の中で言いながら、デレが靴を脱ぎかけた。

 その、一瞬。


【+  】ゞ゚)「思ったより早いんだな」


 デレの視界が、真っ暗になった。



*****

723 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:40:21 ID:scRJN1nwO
あばば

724 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:40:58 ID:iVmhRP1kO





 冷たいものが頬を撫でている。
 指だろうか。

 デレは、瞼を持ち上げた。

ζ(-、゚*ζ(……?)

 見知らぬ部屋だ。
 どうやら自分は横たわっているらしい。

 目の前には低めのテーブルと、白と黒のクッション。
 壁にかかっているハンガーに、見覚えのある制服が吊るされている。
 デレが着ているのと同じ。

【+  】ゞ゚)「起きた」

ζ(゚、゚;ζ「っ!!」

 真上から声。
 すぐ傍に、男が座っていた。
 黒い服に不気味な仮面。――昨日ショボンに見せられた映像にもいた。

 オサム。

725 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:42:45 ID:iVmhRP1kO

ζ(゚、゚;ζ「あの」

 オサムはデレを見下ろしながら、頬に指を這わせている。

 彼は、物語の設定通りであるならば「悪人」だ。
 自らが天国に行くために人々の願いを叶えていたわけであって、
 決して善人ではない。

 デレは慌てて身を起こし、オサムと距離をとった。

 太股に何かが当たる。

ζ(゚、゚;ζ(あ……)

 本。

 花柄。紺色のタイトルと著者名。
 咄嗟に、それを手にしていた。

 堂々クックル、と作者の名前が書かれている。

ζ(゚、゚;ζ(や、やっぱり……)

 ニュッとショボンの推測通り、「本」による事件だったのだ。

 オサムを睨む。
 彼はその場に座ったまま、じっとデレを見つめていた。

726 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:46:36 ID:iVmhRP1kO

川 ゚ 々゚)「――おはよう」

ζ(゚、゚;ζ「ほわっ」

 肩を跳ねさせる。
 振り返ると、部屋の入り口に立っているくるうと目が合った。

【+  】ゞ゚)「くるう」

ζ(゚、゚;ζ「は、埴谷さん……」

川 ゚ 々゚)「学校行かなきゃ」

 デレが呼ぶのを無視して、くるうはいきなり服を脱ぎ出した。
 平然とした顔で下着姿になり、制服を身に着ける。

 この状況で淡々と着替えを済ませるくるうに、背筋が寒くなった。

【+  】ゞ゚)「くるう、この子はどうしたらいい? 今すぐにでも――」

川 ゚ 々゚)「んん? んー……私が帰るまで、そのままにしといて。
      自分がどんなに悪い子か教えてあげなきゃ……」

 この子、とデレを指差したオサムに、くるうは身嗜みを整えながら答えた。
 オサムが不満そうに頷く。

 彼は、さっさと願いを叶えてしまいたいのだろう。

727 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:47:50 ID:iVmhRP1kO

川 ゚ 々゚)「外に出しちゃ駄目だよ」

【+  】ゞ゚)「ああ」

川 ゚ 々゚)「電話も使わせちゃ駄目だからね」

【+  】ゞ゚)「分かってるさ」

川 ゚ 々゚)「じゃあ、行ってきます」

ζ(゚、゚;ζ「埴谷さん!」

 ぱたぱた。
 くるうが部屋を出ていく。

 それから、玄関のものであろうドアが閉まる音と、鍵のかかる音が響いた。

 静寂。

ζ(゚、゚;ζ「……」

 恐々、オサムに振り返る。

ζ(゚、゚;ζ「……帰ってもいいですか……?」

【+  】ゞ゚)「駄目だ」

ζ(゚、゚;ζ「ですよね」

728 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:49:16 ID:iVmhRP1kO

 本を床に置いた。

 拘束されているわけではない。
 オサムとも若干の距離がある。
 デレの方がドアに近い。

 逃げられないこともないだろう。

ζ(゚、゚;ζ

 今更ながら気付いたが、靴を履いたままだった。
 どうやら学校から連れてこられて、そのままここに転がされていたらしい。

 きょろきょろ、室内を見回す。
 鞄がない。

 昇降口に残っていれば、キュート辺りが察してくれるかもしれないが。
 あくまで希望的観測だ。

 オサムの様子を窺う。
 意外にも、彼はあっさりとデレから視線を外していた。

ζ(゚、゚;ζ(……)

 身じろぎする。
 こちらには気付いていない。

729 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:51:18 ID:iVmhRP1kO

ζ(>、<;ζ(――ええいっ!!)

 思いきって立ち上がり、部屋を飛び出した。
 キッチンを抜ける。真正面に玄関。

 ドアの前にデレの鞄が落ちていた。
 鍵を捻りながら後ろを確認したが、何故だか追ってくる気配はなかった。

 鞄を拾い上げ、外に逃げ出す。


【+  】ゞ゚)

 ――目の前に、オサムが立っていた。


.

730 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:56:00 ID:iVmhRP1kO

ζ(゚、゚;ζ「ひっ……!」

 いつの間に。
 凍りつきかけた思考で、何とか昨日の記憶を引っ張り出す。
 この男は、好きなように移動出来る――

ζ(゚、゚;ζ「っ!」

 突き飛ばされた。
 手から離れた鞄が、外の通路に落ちる。

 オサムは後ろ手にドアを閉めた。
 がちゃり、鍵が鳴る。

【+  】ゞ゚)「無駄だぞ」

ζ(゚、゚;ζ「いっ、痛、っ――」

 引きずられるようにキッチンを進んで、奥の部屋に放り込まれた。
 テーブルに背中からぶつかり、呼吸が一瞬止まる。苦しい。痛い。

 オサムは、わざわざ元の場所に腰を下ろした。
 デレの動きを封じることもしない。
 彼女が何をしようと、すぐに捕まえられるという意味だろう。

731 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:58:23 ID:iVmhRP1kO

 おとなしくしていた方がいい。
 少なくとも、くるうが帰ってくるまでは安全な筈。

ζ(゚、゚;ζ「……」

 デレも元の位置に戻る。
 膝を抱えて丸まった。



.

732 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 21:58:27 ID:G3lBhHOwO
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733 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:00:33 ID:iVmhRP1kO


ζ(゚、゚;ζ「……何で、私、埴谷さんに嫌われてるんですか……?」

 静まり返った部屋の中、十数分が経過する。
 沈黙に耐えきれず、おずおずとオサムに質問してみた。

 オサムは小首を傾げる。

【+  】ゞ゚)「――素直キュートの邪魔をするから」

ζ(゚、゚;ζ「邪魔?」

 そんなもの、した覚えはない。

【+  】ゞ゚)「素直キュートはヒロインであるべきだと、くるうは思っている」

 抑揚のない声で言い、オサムは視線をずらした。
 それを追うと、本棚がデレの目に入った。
 少女漫画や小説、DVDのケースが並んでいる。

 いくつか知っているタイトルがあったが、どれも、美少女が主人公のものだ。

734 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:02:13 ID:iVmhRP1kO

【+  】ゞ゚)「くるうの理想のヒロインなんだそうだ」

ζ(゚、゚;ζ「……キュートちゃんが?」

【+  】ゞ゚)「ああ」

ζ(゚、゚;ζ「それで私が邪魔って、どういうことですか?」

【+  】ゞ゚)「君がいると、素直キュートが図書館の中でヒロインらしくあれないらしい」

ζ(゚、゚;ζ「……」

【+  】ゞ゚)「くるうは、理想のヒロインである素直キュートを近くで見ていたい。
        そのためには、君にいられると邪魔なんだ」

 それはまた。何とも。

 キュートが言ったように恋愛感情でも抱いていたのなら、まだ分かる。

 だが、自分の中のイメージをキュートに押しつけ、
 そのイメージを阻害するからという理由で――「邪魔者」に消えてほしいと願うなど。
 デレが想像出来る範囲を越えている。

 そもそも、全てがくるうの頭の中でのみ展開されている話なわけで。

735 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:03:39 ID:BG7TF/GY0
お前の勝手なイメージを押し付けるな!

736 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:05:07 ID:iVmhRP1kO

ζ(゚、゚;ζ「そ、そうですか……」

 棚から目を逸らし、デレは俯いた。
 足元に本がある。

ζ(゚、゚*ζ「これ、読んでいいですか?」

【+  】ゞ゚)「おとなしくしてられるなら、何しても構わないさ」

ζ(゚、゚*ζ「……ありがとうございます」

 礼を言い、本を開いた。
 大まかに斜め読みをする。

 主人公の名前はオサム。
 悪行を働いてきた主人公は、死後、天国に行くための指令を下される。
 ニュッが話していたのと同じ流れだ。

 主人公は傷を隠すための仮面をつけ、下界へ。
 まずは、飼い犬が逃げてしまって悲しんでいるという人に出会った。
 主人公が犬を連れ戻し、まずは1人を幸せにしてやる。

 合間合間に、イラストが混じっていた。
 細かいところまで描き込まれていて、思わず感心する。

737 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:05:18 ID:ceXtzxaYO
>>735
櫂くんこんな所で何してるの?

738 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:06:23 ID:iVmhRP1kO

ζ(゚、゚*ζ「……迷子になった犬を、飼い主さんのもとに帰してあげたことありますか?」

【+  】ゞ゚)「ああ。どうして知ってるんだ?」

ζ(゚、゚*ζ「えっと、……何となく」

 オサムは、この本の中身を知らないようだ。

 デレはページをめくっていった。
 次々と願いを叶えていく主人公が、簡素に描写されている。

 今のところ、起承転結の「起」の辺りだろう。
 少女と出会ってからが物語の主要な部分なのだ。

ζ(゚、゚*ζ

 ページを繰るデレの手が、止まる。

 ある単語に目が釘付けになった。
 恐る恐る、前後の文章をじっくり読み込んでいく。

 まさか。
 偶然だろう。
 偶然。

739 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:07:53 ID:iVmhRP1kO

ζ(゚、゚;ζ

 ――主人公は、ある夫婦のもとを訪れていた。
 今、幸せか。何か足りないものはないか。してほしいことはないか。
 訊ねる主人公に、妻は答える。

 「なかなか子宝に恵まれないの。だから子供が欲しい」。

 主人公の力で、夫婦の間に男の子が生まれた。

 子供は、「ブーム」と名付けられる――

ζ(゚、゚;ζ(……ブーム君……?)

740 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:10:22 ID:iVmhRP1kO


   |  ^o^ |『あの人 子供 できない って。 作れない って』――


 杉浦ブームの、ゆったりとした声が耳の奥で再生される。

 子供が出来ない。
 なのに生まれたブーム。

ζ(゚、゚;ζ「あの……」

【+  】ゞ゚)「ん?」

ζ(゚、゚;ζ「す、杉浦さんって方、ご存知ですか?」

【+  】ゞ゚)「杉浦?」

ζ(゚、゚;ζ「はい。ご夫婦の」

【+  】ゞ゚)「……ああ――」


【+  】ゞ゚)「何年か前に、会った気がするな。
        子供が出来ないって悩んでた」


.

741 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:13:15 ID:iVmhRP1kO

 ぐるぐる、色々な思いが頭の中を巡る。

 次のページに、成長した「ブーム」の姿がイラストで描かれている。
 それは、デレが会ったブームとまったく同じ姿だった。
 違うのは、親の容姿や名前。

 そして気付く。ブーム。ブーン。
 大方、クックルは内藤をブームのモデルにしたのだろう。
 名前も顔も似ているわけだ。

 それ以降、夫婦も子供も登場することはなかった。
 物語が終わり、白紙のページが僅かばかり残っている。

ζ(゚、゚;ζ(……これは)

 鼓動が速まる。
 嫌な考えが浮かんで止まない。

 夫婦の間に子供が出来た理由について、詳しくは書かれていなかった。
 主人公が力を使い、妻の腹に子を宿らせた、とあるだけ。

 もし。
 オサムが、不思議な能力でもって、「ブーム」を作り出し。
 ロマネスクの妻の体に、彼を忍び込ませたのなら。

 この場合、ブームは、「本の登場人物」と「現実世界の人間」の、
 どちらになるのだろう。

742 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:14:50 ID:iVmhRP1kO

ζ(゚、゚;ζ「……」

 思い出すのは、一年前。
 貞子の小説の主人公にされたときのこと。

 本から生まれた女は、演じ終わると共に消え去った。

 ここにいるオサムも、恐らく、結末を迎えれば消える。
 ならば。

ζ(゚、゚;ζ(ブーム君も……?)



*****

743 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:15:14 ID:YWT2hSyI0
これは……

744 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:17:36 ID:iVmhRP1kO


lw´‐ _‐ノv「ブーム、学校はどうしたのかね」

|  ^o^ |「……今日は おやすみ です」

lw´‐ _‐ノv「この間も休みじゃなかった?」

|  ^o^ |「……」

 病室。
 ベッドの脇にある椅子に座り、ブームはぶらぶらと両足を揺らした。

 母は小さく息をつき、ブームの頭を撫でる。

lw´‐ _‐ノv「お父さんに怒られるよ」

|  ^o^ |「……お父さんじゃ ありません」

 学校に行きたくない理由は、その「お父さん」。

 クラスメートから、ブームの父親は誰なのかと言われる。
 からかいではなく、純粋な疑問として訊かれるのだ。
 それに答えられなくて、とても悲しくて、息が詰まる。

 だから、あまり学校には行きたくない。

lw´‐ _‐ノv「そんなこと言ったら、お父さん悲しむよ」

 悲しんでいるのは、こっちだ。



*****

745 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:19:04 ID:iVmhRP1kO


o川*゚ー゚)o「もしもし、内藤さん?」

『こんにちは、キュートちゃん』

 2時限目が終わって、休み時間。
 女子トイレの中で、キュートは内藤に電話を掛けていた。

o川*゚ー゚)o「こんにちは。デレちゃんいますか?」

『デレちゃん? 朝、ニュッ君が学校まで乗せていったお?』

o川*゚ー゚)o「学校来てないんです」

『……お?』

o川*゚ー゚)o「無断欠席になってますよ、デレちゃん」

『――まさかニュッ君と2人でサボりデート!?』

o川*゚ー゚)o

『……』

o川*゚ー゚)o「デレちゃんが行方不明なことについて、
      真面目に考えるべきだと思っていたのは私だけなんですかね?」

『ごめん……デートだったらいいなって……2人が進展したらいいなって……』

 舌打ちしそうになるのを何とか堪える。
 この三十路め。
 状況が状況だけに、ふざけている場合ではないだろうに。

746 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:21:33 ID:iVmhRP1kO

o川*゚ー゚)o「本当にそうだったら平和なんですけど。
      ニュッ君さんから話聞いてますよね? デレちゃんが危ないかもって」

『聞いてるお。クックルの本だおね?』

o川*゚ー゚)o「はい。さっきからデレちゃんの携帯に電話掛けても繋がらないんです。
      至急ニュッ君さんに確認とってもらえますか?」

『……分かったお』

 内藤の声に、真剣な色が混じる。
 キュートは、何か分かったら連絡してほしいと告げて、携帯電話を閉じた。

 壁に寄り掛かる。
 そろそろ次の授業が始まる。
 優等生として、授業をサボるのは避けるべきだ。

 しかし、今はデレの安否を優先させたい。
 キュートが主人公になったとき、デレは、学校を飛び出して家まで来てくれた。
 あの頃は然程仲がいいわけでもなかったのに。

747 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:23:05 ID:iVmhRP1kO

 本鈴が鳴った。
 直後、内藤から着信。

 デレが無事なら教室に戻ろう。
 何かあったら――授業なんて知るか。

o川*゚ー゚)o「どうでした?」

『ニュッ君は学校でデレちゃんを降ろしたって言ってたお』

 眉根を寄せる。
 デレは学校に来た。だが、こちらでは欠席になっている。

『キュートちゃん』

o川*゚−゚)o「……私は何をしたらいいですか?」

『くるうちゃんは学校に来てるかお?』

o川*゚−゚)o「はい」

『今すぐ接触することは――』

o川*゚−゚)o「出来ます」

 電話の向こうで、ばたりと何かの閉まる音がした。
 続いてエンジンのかかる音。

748 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:25:20 ID:iVmhRP1kO

『今からそっちに行くお。
 くるうちゃんを何とか連れ出してきてくれないかお?』

o川*゚−゚)o「了解しました」

 通話を切る。

 くるうは教室だろう。
 教師やクラスメートにどう思われるかは分からないが、ともかく、無理矢理連れ出してしまえ。

 そんなことを考えながらトイレを出たキュートだったが、
 予想外の出来事に、面喰らってしまった。

川 ゚ 々゚)「素直さん」

o川;゚ー゚)o「くぁっ!!」

 くるうが、トイレの前に立っていたのだ。
 ぎょっとして、思わず後ずさる。

749 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:26:57 ID:iVmhRP1kO

川 ゚ 々゚)「あの、だ、大丈夫……?」

o川;゚ー゚)o「へ」

川 ゚ 々゚)「なかなか戻ってこないから、心配しちゃった」

 でも元気そうだね、と笑う。

 キュートが戻ってこないという理由だけで、ここに来たのか。
 そもそもキュートがトイレにいるのを知っていたらしい。

o川;゚ー゚)o(……す、ストーカーじみてない……?)

 こんなときにも「モテる女は大変だ」などと考えていたが、
 内藤の言葉を思い出し、ぶんぶん首を振った。

 引き攣りそうな口元を、何とか柔らかく曲げる。

o川*゚ー゚)o「……くるうちゃん」

川*゚ 々゚)「な、なあに?」

o川*゚ー゚)o「ちょっと――2人で、出掛けない?」



*****

750 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:31:02 ID:C34yvmIc0
キュートちゃんかっこいい

751 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:32:03 ID:iVmhRP1kO


(´・ω・`)「はい、着きましたよっと」

( ^ν^)「……」

 ショボンは、くるうの住むアパートの前で停車した。
 ニュッが助手席から飛び出して、2階への階段を早足で上る。

 彼がデレを1人にさせたのが原因だ、と運転中にショボンが散々嫌みを言ったのだが、
 一度も反論されなかった。
 余程こたえたらしい。

(´・ω・`)「お、どうした?」

 ニュッに追いつく。
 彼はドアの前にしゃがみ込んでいた。
 そこに落ちている鞄を見つめていたかと思うと、いきなり立ち上がる。

( ^ν^)「デレの鞄だ」

(´・ω・`)「ほう」

 と、なれば。答えは一つ。

 たしか、この時間帯、アパート内は大体の住人が出掛けている筈。
 数日かけて張り込んだショボンには分かる。

 だから、何かあったとしても、「多少」騒いだところで問題はない。
 多分。

752 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:33:28 ID:iVmhRP1kO
すみません、ちょっと用事が

どれくらいで戻れるか分かりませんが、一旦空けます

753 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:35:02 ID:VPFSLs4M0
一旦乙
正座で待っていよう

754 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:35:21 ID:G3lBhHOwO
やだやだ行っちゃやだよう!

755 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:38:29 ID:FnnERbo20
いくらでも待ちますぜ!!

756 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:39:07 ID:m3GrM6v60
また全裸にならな

757 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:39:27 ID:3au01NG2O
待ってる!!!

758 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:39:52 ID:ZsVdFD5cO
お前一々服着てんのかよ

759 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:41:29 ID:YWT2hSyI0
風邪ひいた

760 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:46:16 ID:cms.DOvk0
室内温度一桁全裸待機

761 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:46:48 ID:iVmhRP1kO

(´・ω・`)「埴谷さあん」

 チャイムを鳴らす。
 耳を澄ませる。物音はしない。

 事務所を出る前に内藤から届いたメールによれば、くるうは登校しているとのことだった。
 ならば、本来なら、この部屋は現在無人であるべきなのだ。

(´・ω・`)「埴谷さん、水道のことで話があるんですけどお。埴谷さあん?」

 もっと大きな声を出す。

 ――かたり。
 ほんの僅かだが、何かの動く音がした。

(´・ω・`)「誰かいるね」

 小声でニュッに言う。
 彼の形相に、ショボンは苦笑した。

(´・ω・`)「『誰か』がオサムなら、恐らくデレちゃんは無事だ。
      でなきゃ、とっくにオサムは消えているからね」

( ^"ν^)「……」

(´・ω・`)「やだニュッ君、顔恐い」

 ドアスコープから外れた位置に立ち、腕を組む。

 道路を見下ろしていると、やがて、見慣れた車が近付いてきた。



*****

762 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:48:01 ID:iVmhRP1kO


 何が起きている。
 どうして、こんなことに。

( ^ω^)「……そこの角を曲がればいいのかお?」

ξ゚听)ξ「ショボンから聞いた住所が合ってるのなら、そうね」

川;゚ 々゚)「……」

 キュートに誘われるまま学校を出たら、例の図書館の館長が運転する車に乗せられた。
 助手席にはカウンターの少女がいる。

 そして後部座席に、自分を挟む形で座っているキュートと、

( ゚∋゚)「悪いな、狭いだろ」

o川;*゚ー゚)o「ほほほほほ本当だよ! 筋肉減らしたら!?」

 見知らぬ大男。

 わけが分からない。
 大男を前にしてから、キュートの様子がおかしい。
 こんな子ではないのに。

 いや、理解出来ないことは他にもある。
 何故――自分のアパートに近付いているのだ。

763 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:48:21 ID:ITw2dMak0
おっと、寒いと思ったら服を着るのを忘れてた

764 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:49:48 ID:iVmhRP1kO

 そうこうする内、アパートが見えてきた。
 今は駄目だ。
 長岡デレが、部屋に。

川;゚ 々゚)「す、素直さん……」

o川*゚ー゚)o「……くるうちゃん。デレちゃん、どこにいるか知らない?」

川;゚ 々゚)「――っ」

 これは、ばれている。

 どこまでだ。
 どこまで気付いている。

 ああ、やっぱり、キュートは凄い。
 何でもお見通しだ。

 車が停まる。カウンターの少女と大男が降車し、
 次にキュートがくるうの腕を引っ張って外に出た。
 館長は車に残っている。

 アパートを見上げると、部屋の前に男が2人いた。

o川*゚ー゚)o「行こ」

川 ゚ 々゚)「……」

765 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:51:33 ID:iVmhRP1kO

 キュートに腕を掴まれたまま、2階に行く。
 こんなに綺麗な手に触れられているなんて。
 ああ、確かな感触。ここにいる。自分の理想通りの女の子が、現実に存在している。

 ついつい頬が緩んでしまう。

o川*゚−゚)o「――くるうちゃんってば」

川*゚ 々゚)「んう?」

 きつい声。我に返る。
 キュートが険しい顔をしていた。
 またキュートの言葉を聞いていなかったようだ。

 周りにはキュートを含めた5人の男女。
 狭い通路に計6人も集まると、さすがに密度が高い。

 その内の1人、トレンチコートを着た男が微笑んだ。

(´・ω・`)「こんにちは、埴谷くるうさん」

川 ゚ 々゚)「……こんにちは」

766 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:53:15 ID:iVmhRP1kO

(´・ω・`)「単刀直入に訊くけど――長岡デレはどこかな」

 ――何だ。
 何なのだ、みんなして。
 長岡デレ、長岡デレ。あいつばかり。

 ここにもっと可愛い子がいるではないか。
 どうしてキュートに構わないのだろう。

川 ゚ 々゚)「知らない」

( ^ν^)「あ?」

ξ゚听)ξ「ニュッ君」

 別の男が高圧的な声を出し、少女が窘めた。
 ニュッ。名前は知っている。館長の従兄弟か何か。
 どんな人かと気になっていたが、キュートには似合わない。

 やはりモララーくらいでないと――


( ゚∋゚)「……じゃあ、オサムはどこだ?」

川 ゚ 々゚)「……え」


 ――大男が、オサムの名を口にした。

 思考が停止する。
 どうして知ってるの、と問おうとしたが、唇が動いてくれなかった。

 まさか全部知っているのか。

767 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:54:56 ID:iVmhRP1kO

o川*゚ー゚)o「ねえ、くるうちゃん。お願い。
      デレちゃんに会わせてよ」

川 ゚ 々゚)

川 ゚ 々゚)「し」

川 ゚ 々゚)「知らないもん」

o川*゚ー゚)o「くるうちゃん」

川 ゚ 々゚)「知らない――」

( ^ν^)「いい加減にしろよ」

 ニュッが前に出た。

 そして、足元に転がっていたものを拾い上げる。
 鞄だ。

 ざわり、肌が粟立つ。
 デレの鞄。
 何故ここに。

 まさか玄関の鍵が開いていた?
 いや、ならば、とっくに部屋に入っている筈だ。

768 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:56:28 ID:iVmhRP1kO

川;゚ 々゚)「あ、あ、」

 予想外のことが多すぎて、頭がこんがらがる。
 取り繕い方が分からない。
 気付けば、ニュッから鞄を奪っていた。

 一歩、下がる。

川;゚ 々゚)「私の……」

( ^ν^)「そのストラップもか?」

 ニュッが、垂れ下がっているストラップを指差した。

 真ん丸。
 味のある顔の、猫。

川;゚ 々゚)「そ――そう」

o川*゚ー゚)o「……デレちゃんがそれ買うの、私見たよ」

川;゚ 々゚)「私も買ったの! 似たようなやつなんて、いくらでもあるじゃない!」

(´・ω・`)「往生際が悪いなあ」

 顔を背けるくるうに、ニュッが再び近寄った。
 スーツのポケットに手を突っ込み――何かを取り出す。

769 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:57:36 ID:yqWtgWw60
まんじゅうのショボンを思い出してしまう

770 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:58:29 ID:iVmhRP1kO

( ^ν^)「残念だったな」

 ストラップ。
 鞄に付いているのと同じような造りである。

川 ゚ 々゚)「……何?」

( ^ν^)「このストラップ、それぞれ顔が違うんだ」

 ぽかんとして、くるうは、ストラップを見比べた。
 ニュッの言葉を反芻する。

 ――間もなく、自分の顔から血の気が引いていくのを感じた。

(´・ω・`)「僕の携帯に、その鞄のやつとまったく同じストラップの写真が入ってる。
      デレちゃんが持ってたものだよ。見るかい?」

川;゚ 々゚)「……!!」

(´・ω・`)「おっと」

 くるうが階段に向かって走り出す。
 しかし、真っ先に腕を伸ばしてきた男によって取り押さえられた。

 男は、口元だけで笑う。

(´・ω・`)「クックルとツンにドアぶっ壊されんのと、自分で開けるの、どっちにする?」



*****

771 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 22:59:54 ID:scRJN1nwO
しえーん

772 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:00:20 ID:xLSSN2w2O
dkdk

773 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:00:28 ID:ITw2dMak0
ツンも破壊役にカウントw

774 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:01:09 ID:iVmhRP1kO


 玄関からショボンの声がして、騒がしくなったかと思うと、
 突然ドアの開く音が響いた。

 どかどか、複数の人間が上がり込んでくる足音と気配。

( ^ν^)「デレ!」

ζ(゚、゚;ζ「あっ、にゅっ、ニュッさん!」

 最初に奥の部屋に入ってきたのはニュッ。
 デレを見るなり、顰めっ面が俄に和らいだ。

 キュート、ツン、クックルまでやって来た。
 少し遅れて、ショボンとくるうも。

 夕方になればショボン達が来るだろうと思っていたが、
 こんなに早く、しかも大勢で来るとは。

o川;゚ー゚)o「大丈夫!?」

ζ(゚、゚;ζ「う、うん」

 キュートが駆け寄る。
 後ろで、くるうが苦々しげに顔を歪ませた。
 オサムから彼女の目的を聞いた後だと、何だか、くるうが恐ろしい。

 物語の中の「少女」は、あのような倒錯した欲求は抱いていなかった。
 くるうの本来の性質というわけだ。

775 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:02:56 ID:iVmhRP1kO

 近付いてきたクックルが、デレの手を引いて立ち上がらせた。
 はっとして、もう一方の腕で抱えていた本をクックルに渡す。

ζ(゚、゚;ζ「クックルさん」

( ゚∋゚)「……たしかに俺の本だな」

ξ゚听)ξ「あの人が主人公ね」

 ツンの呟きで、ほぼ全員の目が一点に向けられた。

 視線の先、オサムが腰を上げる。
 はあ、と溜め息を零した。

【+  】ゞ゚)「……だから、早く始末しておけば良かったんだ。くるう」

川;゚ 々゚)「だ、だって……」

 「始末」。不穏な響きに、空気が張り詰める。
 ニュッが庇うようにデレの前に出た。
 クックルは本を開き、胸ポケットから万年筆を取る。

 燃やした方が早い、とショボンがライターを手渡したが、
 結局、それは使われなかった。

776 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:06:01 ID:iVmhRP1kO

(´・ω・`)「本に情けをかけるかね。
      ……全部主人公の夢だったってオチにでもしとけ。
      現実には誰とも関わってないって」

( ゚∋゚)「ああ」

 くるうは、クックルの行動に首を傾げている。

 あの万年筆で、結末を書き加えるのだろう。
 何事もなく、安全に終わるための。


 ――終わる、ための。


ζ(゚、゚;ζ「駄目!!」

 デレは、クックルにしがみついた。
 クックルが目を丸くさせる。

(;゚∋゚)「デレ?」

ζ(゚、゚;ζ「だ、駄目です、待ってください!
      まだ――お、終わらせないで……」

( ^ν^)「何言ってんだよ」

ζ(゚、゚;ζ「えっと……と、とにかく、待って!」

 必死なデレに気圧されたか、クックルは本を開いたまま、万年筆をしまった。
 万年筆を見たキュートが真っ赤になっていたが、無視しておく。
 今はそちらに構っている暇はない。

777 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:07:36 ID:iVmhRP1kO

ζ(゚、゚;ζ「もしかしたらオサムさん以外にもいるかもしれないんです!」

( ^ν^)「はあ?」

【+  】ゞ゚)「……状況が読めないな」

 ツンに振り返る。
 彼女がここにいるなら、内藤もいるのではないか。

ζ(゚、゚;ζ「内藤さんは?」

ξ゚听)ξ「外で待機してるけれど。どうかしたの?」

ζ(゚、゚;ζ「ブーム君――ブーム君が!」

ξ゚听)ξ「ブーム君? この間の子?」

 ブームという名に、クックルとニュッが反応する。
 彼らなら、よく知っている名前だろう。

( ゚∋゚)「この間?」

ξ゚听)ξ「うちに来たのよ。小学生の子」

ζ(゚、゚;ζ「あの本の中にブーム君が出てたの!
      名前も見た目もそのままで!」

 あの本、とクックルの手元を指す。
 ツンは数秒間デレを見つめていたが、やがて、踵を返した。
 理解が早い。

778 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:09:21 ID:iVmhRP1kO

ζ(゚、゚;ζ「まだ――決まったわけじゃないけど……。もしかしたら……」

ξ゚听)ξ「……なるべく時間を稼いでおいて」

 駆け足気味にツンが出ていく。
 時間を稼げと言われても、どうしろと。

( ^ν^)「……本の中の人間がもう1人いんのか」

ζ(゚、゚;ζ「……ただの偶然だったらいいんですけど」

779 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:19:18 ID:se7apm5MO
支援支援

早くしないと風邪ひくぜぇ!…俺が!

780 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:20:56 ID:iVmhRP1kO

【+  】ゞ゚)「くるう、どうする? 今からやるか?」

川 ゚ 々゚)「待って」

 くるうは、焦れた様子のオサムを制止した。
 万年筆ショックから回復してきたキュートの手を、いきなり握る。

 キュートがびくりと体を竦ませ、クックルが身構えた。

川 ゚ 々゚)「……素直さん、私のこと、嫌いになった?」

o川*゚ー゚)o「……何で」

川 ゚ 々゚)「こんなことしちゃったもん……」

 こんなこと、と言った際、デレを視界に収めた。
 悪事であるのは自覚していたようで何よりだ。
 良心の呵責なんてものがあれば、尚いいのだが。

 握ったキュートの手を顔の前まで持ち上げ、両手で挟む。
 撫でさすり、ふ、と息を吐き出した。

川*゚ 々゚)「……肌綺麗……」

o川;゚ー゚)o

(´・ω・`)「うわ恐っ」

 隠すつもりもなく、ショボンが冷ややかな声で言い捨てる。
 だが、くるうの耳には届いていない。

 クックルが、くるうをキュートから離すべきか迷っていた。

781 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:22:02 ID:iVmhRP1kO

川*゚ 々゚)「やっぱり素直さん、……キューちゃん、素敵……」

o川;゚ー゚)o「……くるうちゃん?」

川*゚ 々゚)「私ね、キューちゃんのためにね、やってるんだよ」

川*゚ 々゚)「キューちゃんが、みんなの中で一番になれるように……」

 キュートが仰け反る。
 怯えきった表情で、デレを見た。
 正直、デレもなるべく関わりたくないのだが。

ζ(゚、゚;ζ「……埴谷さん、キュートちゃんが思ってるのとちょっと違うみたい」

 仕方無しに、オサムから聞いたことを掻い摘まんで説明した。

 くるうのキュートに対する感情は、キュートが思うようなタイプの好意ではない。
 もっと別の次元のものだ。

 全て聞き終えたキュートは、別の生き物を見るような眼差しをくるうに注いだ。

o川;゚−゚)o「……」

川 ゚ 々゚)「……だって、それが一番キューちゃんに似合ってるじゃない」

 はっきりと見て取れる無言の拒絶に、むっとしながら、くるうが反論した。
 彼女の瞳は、どこまでも真っ直ぐだ。
 真っ直ぐすぎて――もはや、ずっとずっと向こう、遠く離れた場所にいる。

782 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:22:06 ID:scRJN1nwO
>>779
貴様はもう…引いている…

783 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:23:54 ID:iVmhRP1kO

川 ゚ 々゚)「キューちゃんがヒロインなのが正しいんだよ。それが一番いいんだよ」

川 ゚ 々゚)「なのに長岡さんが邪魔するでしょ?」

川 ゚ 々゚)「私なら邪魔しないよ。
      キューちゃんの傍にいても、私は出しゃばらないよ。
      私はちゃんとキューちゃんを立ててあげるよ」

【+  】ゞ-)「……」

 オサムが目を閉じる。
 彼は、くるうの考えに対して何とも思わないのだろうか。
 願い事さえ言ってくれれば、それでいいのか。

川 ゚ 々゚)「何でかな、キューちゃんは長岡さん好きみたいだから、長岡さんから離れないよね。
      長岡さんのどこが好きなのかな」

川 ゚ 々゚)「私、なるべく長岡さんの真似してみたんだよ。
      一人暮らししたし、頭悪そうに振る舞ったし、
      趣味じゃなくても丈の長い靴下履いたよ」

o川;゚−゚)o「は……?」

 寒気がした。
 それと同時に、じくりとデレの胸が痛む。

 一人暮らしも、頭の悪さも、足を隠すのも。
 どれも、キュートを惹きつける魅力でも何でもない。

784 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:25:29 ID:iVmhRP1kO

( ^ν^)「こいつ本気で危ねえぞ」

(´・ω・`)「末恐ろしいね」

( ゚∋゚)「……」

 いよいよもって警戒心がピークに達したか、クックルがくるうの隙を窺い始めた。
 目付きが厳しくなる。

川 ゚ 々゚)「なのにキューちゃん、全然私を選んでくれない。
      私を選べば、キューちゃん一番でいられるのに。真ん中でいられるのに。
      変なの」

川 ゚ 々゚)「きっとキューちゃん、自覚ないんだね。自分が一番になれる自覚。
      欲もないんだ。とってもいい子だから、長岡さんが邪魔者なの気付いてないんだ」

川 ゚ 々゚)「だから私が代わりに長岡さんをね――」

o川;゚−゚)o「――やめてよ!」

 上擦った声で叫び、キュートが手を振り払った。

 ぽかんとしながら、くるうは、後ずさりをするキュートを見た。

785 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:27:53 ID:iVmhRP1kO

o川;゚д゚)o「『代わりに』? そんなの望んでないっつうの!」

川 ゚ 々゚)「キューちゃん」

o川;゚д゚)o「自覚!? あるわ! 世界で一番私が可愛いわ!
      せいぜいツンちゃんがちょっと、ちょっとだけ私より可愛いかなってくらいで!
      あんたに何かしてもらうまでもなく私は世界の中心ですから!!」

 くるうの瞳が揺れる。
 歪んだ笑みを浮かべた。

川;゚ 々゚)「どうしたの、キューちゃん。
      キューちゃん、そんなこと言う子じゃない……」

o川;゚д゚)o「言うわ!! 普段は猫被ってんだよ!
      夢壊して悪いけどね、私は性格いい方じゃないの!」

(´・ω・`)「あ、自覚あるんだ」

( ^ν^)「意外」

o川#゚д゚)o「うるせえ!!」

 キュートは怒鳴るのをやめ、くるうを睨みつけた。
 顔一杯に広がる嫌悪。
 肩で息をして、吐き捨てるように言う。

786 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:29:38 ID:iVmhRP1kO

o川#゚−゚)o「……何がヒロインだよ。
      おままごとなら1人でやって」

川 ゚ 々゚)

川 ゚ 々゚)「……あ……」

 くるうの唇が、ひくついた。
 震えた声が落ちる。

 ぽろりと涙が零れ。
 そして、部屋の隅に座ったままだったオサムに、駆け寄った。

川 ; 々;)「……あああああ!! オサム! オサムう!!」

【+  】ゞ゚)「……大丈夫か、くるう」

川 ; 々;)「やだ、やだあ、あんなキューちゃん、ち、違う、やだやだやだ!!
      きらい、嫌いぃいっ!」

 子供のように泣き喚き――くるうは、キュートを指差した。

787 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:30:24 ID:iVmhRP1kO


川 ; 々;)「キューちゃんなんか、消しちゃってよお!!」


ζ(゚、゚;ζ(……消し、)

 一瞬、室内が無音になったように感じた。

 「嫌い」。
 「消して」。


 標的が、変わった。


.

788 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:32:17 ID:iVmhRP1kO

ζ(゚、゚;ζ「キュートちゃん!」

【+  】ゞ゚)「分かったよ、くるう」

o川;゚−゚)o「!」

 デレがキュートに手を伸ばす。
 その瞬間には、もう、オサムがキュートの眼前に迫っていた。

 デレよりも早く、オサムの手が、キュートに触れる――





 ――何かの裂ける音が響いた。



.

789 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:33:38 ID:iVmhRP1kO

 皆が、音の方向を見る。

( ゚∋゚)「……」

 数枚の紙の束に、クックルがショボンのライターで火をつけていた。

 どうやら先程のは、本のページを破り取った音らしい。

o川;゚ー゚)o「……な……」

 見る見る内に紙が燃えていく。
 最後に炎を握り潰し、クックルは手を開いた。

 灰がぱらぱらと落ちる。
 掌に火傷を負っていたが、すぐに跡形もなく消えた。

790 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:34:34 ID:G3lBhHOwO
さすがクックルさん!

791 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:34:54 ID:se7apm5MO
うおう…

792 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:35:20 ID:YWT2hSyI0
抱かれてもいい

793 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:35:39 ID:iVmhRP1kO

川 ; 々;)「オサム……?」

 硬直するオサムに、くるうが声をかける。
 オサムは静かに一歩退いた。
 首を傾け、くるうを見遣る。

【+  】ゞ゚)「――くるう。足りないものはないか」

川 ; 々;)「……え?」

【+  】ゞ゚)「どうした、何で泣いてるんだ、くるう」

 キュートを無視し、オサムがくるうのもとに戻る。
 くるうを抱き、よしよし、と慰め始めた。

794 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:37:29 ID:iVmhRP1kO

ζ(゚、゚;ζ

( ^ν^)

 デレとニュッが顔を見合わせる。
 お互い、事態を把握しきれていない。

 ニュッの方は、少し考えると、すぐに答えを出せたようだが。

(´・ω・`)「こんなのも有りなんだ。割と何でもありだね」

( ゚∋゚)「……そうらしい」

ζ(゚、゚;ζ「あの……何したんですか……?」

( ^ν^)「一部だけ燃やしたのか」

( ゚∋゚)「ああ。ちょっとな、前から気になってたんだ」

 本そのものが燃え尽きてしまえば、その時点で「演劇」は終了する。
 では、一部のページだけが燃えれば、どうなるか。

( ゚∋゚)「燃えたページの『展開』は、なかったことになるみたいだな」

 今さっき燃やしたのは、少女が主人公に願い事を告げてから
 結末までが書かれたページだったそうだ。

 オサムの記憶は、それ以前の状態まで巻き戻った――のだろう、多分。

795 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:40:06 ID:Gp0eXYH.O
こりゃ確かに番外だな
本編でやったら色々と元も子も無くなりそうだww

796 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:40:42 ID:iVmhRP1kO

(´・ω・`)「何だったら丸ごと燃やせば良かったのに」

( ゚∋゚)「いや。
     ……今すぐ終わらせるのは、駄目なんだろう? デレ」

ζ(゚、゚*ζ「……クックルさん……」

o川*゚−゚)o「おい。見つめ合うな」

 改めて万年筆を取り出し、クックルはその場に腰を下ろした。
 白紙のページを開く。

( ゚∋゚)「ゆっくり結末を書き直そう。
     ――俺の意思を無視して何かしたら燃やすぞ」

 最後の一言は、本への脅しだった。
 凄みを利かせた声に、無関係のデレまで思わず震えてしまう。

 くるうは色々なことを処理しきれなくなったのか、
 ついにはオサムに凭れ掛かったまま、静かに泣き続けた。

797 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:42:15 ID:i0ExTlGUO
ブームくんといい、ストラップといい 
伏線の回収すごいな 
支援

798 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:42:35 ID:BG7TF/GY0
クックルさんに掘られたい

799 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:42:58 ID:G3lBhHOwO
クックルさんイケメン過ぎて惚れた

抱いてくれ

800 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:42:59 ID:iVmhRP1kO

o川*゚−゚)o「……」

(´・ω・`)「外行く? あの子と同じ場所にいて大丈夫?」

o川*゚−゚)o「いえ。全部終わるまで待ちます」

(´・ω・`)「そう。くるうさん、ちょっと座らせてもらうよ」

 ショボンがオサムとくるうに近い位置に座る。
 キュートはクックルの隣に。

 デレは少し迷って、ショボンと同じように、くるうの傍に落ち着いた。
 おい、とニュッが咎めるような声を出したが、微笑みだけを返しておいた。
 クックルのおかげで、今のオサムには害はない。筈。

 ニュッは溜め息をつき、デレの後ろに陣取った。

ζ(゚、゚*ζ「……ニュッさんかショボンさん、携帯貸してもらえませんか?
      内藤さんに電話したいんですけど」

(´・ω・`)「はいよ」

ζ(゚、゚*ζ「ありがとうございます」

 自分の携帯電話と勝手が違うので手間取ったが、何とか内藤の番号を見付けた。
 電話を掛ける。

 数回のコールの後、ツンの声が返ってきた。

801 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:44:35 ID:pPNwczugO
本当話が作り込まれ過ぎてて感動する

802 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:44:54 ID:iVmhRP1kO

『はい』

ζ(゚、゚*ζ「ツンちゃん」

『あら、デレ? ショボンかと思ったわ』

ζ(゚、゚*ζ「今どこ?」

『ブーンの車。杉浦さんに会いに行くところよ』

 デレは手短に、作中での夫婦と子供の描写、ブームが言っていた内容を話した。
 先程、クックルが何とかしてくれたことも。

『……ブーンからも、杉浦さんの話を聞いたわ。
 もしも彼らが本当に「役者」にされたのなら、オサムと接触したのは奥さんだけみたいね。
 杉浦さんは何も知らないようだから』

 ロマネスクの体について、ツンは内藤から聞いた話を伝えてくれた。
 苦い思いが、デレの胸に染み入る。

 事実を知ったブームも、彼に拒絶されるようになったロマネスクも、
 どんな気持ちを抱いたか。

803 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:45:49 ID:se7apm5MO
>>799
o川*゚Д゚)o「なななななにを言っとんじゃゴルァ!!」

804 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:46:01 ID:mDU7QBoQ0
切ねぇ……

805 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:48:05 ID:iVmhRP1kO

『今の段階では、ブーム君の正体は分からないわ。
 ……こちらの世界の人間だといいんだけれど』

ζ(゚、゚*ζ「……うん」

『とにかく杉浦さんに会わないことにはどうにもならないわね。
 ――また何かあったら連絡ちょうだい』

 電話が切れる。
 デレは、ショボンに携帯電話を返した。

(´・ω・`)「そのブーム君とやらが、本の世界から来たかもしれないってこと?」

 話を聞いていたのだろう、ショボンが訊ねる。
 デレは、こくりと首肯した。
 出来れば、あってほしくないことだ。

( ^ν^)「……」

( ゚∋゚)「……終わらせないのが一番いいのかもしれないが」

 本に目を落としていたクックルが、呟く。

( ゚∋゚)「多分、このまま長く持たせることは出来ない」

o川*゚−゚)o「何で?」

806 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:50:07 ID:iVmhRP1kO

( ゚∋゚)「オサムは7年前にその夫婦の願いを叶えたんだったな。
     恐らく、この本は図書館から離れた後、すぐに主人公を作り出し、
     じっくり時間をかけて演じさせてきたんだ。図書館に帰るための道筋を辿りながら」

( ゚∋゚)「だが、あと少しで結末を迎えられるってとこまで来て、この状況だ。
     フラストレーションも溜まるさ。
     長引かせようものなら暴走するかもしれん」

 俺の脅しだってどこまで効くか分からないし、と付け足して、
 クックルは口を閉じた。
 ニュッが続く。

( ^ν^)「せいぜい、今日の内までだ」

ζ(゚、゚;ζ「……そんな」



*****

807 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:52:16 ID:iVmhRP1kO



 日が暮れた頃、内藤とツンは、遠く離れた町の病院に到着した。

 入り口の前で待っていたロマネスクが、2人に手を振る。

( ^ω^)「……ブーム君、ここに来てるんですかお?」

( ФωФ)「うむ。昼に、ブームが登校していないと学校から連絡が入った。
       ――そういう日は、いつも妻の病室に来ているのである」

 ロマネスクには、まだ、本について説明していない。
 ブームのいる場所で話したいことがあるのだとしか伝えなかった。

 病院に入り、3人はロマネスクの妻がいる病室へ向かった。
 ある部屋の前でロマネスクが立ち止まる。

 杉浦シュール。
 6人分のネームプレートが並んでいる中に、ロマネスクと同じ苗字を見付けた。

808 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:53:55 ID:iVmhRP1kO

( ФωФ)「――シュー。体調はどうだ」

lw´‐ _‐ノv「やあ、ロマ。いつも通りだよ」

 右手側、窓辺のベッド。
 ロマネスクと同年代らしき女性が、そこに座っていた。
 傍の椅子にはブームが腰掛けている。

( ФωФ)「ブーム、また学校をサボったな」

|  ^o^ |「……」

 ブームはそっぽを向いた。
 ロマネスクは呆れ顔で叱りかけたが、周囲に目をやると、何も言わずに嘆息した。

lw´‐ _‐ノv「そちらの方々は?」

( ФωФ)「図書館の人達である。この間、話したであろう。
       あの――妙な本の」

lw´‐ _‐ノv「ああ」

 お世話になりました、と、杉浦シュールが頭を下げる。
 内藤とツンも手短に挨拶した。

lw´‐ _‐ノv「誰も旦那の言うこと信じてくれないから、旦那も困ってたんだ。
       本を引き取ってくれてありがとう」

ξ゚听)ξ「……いえ。こちらも助かりました」

809 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:56:48 ID:iVmhRP1kO

( ФωФ)「して、内藤さん、話したいこととは何であるか?」

( ^ω^)「……ええと」

ξ゚听)ξ「奥様」

 ツンがシュールのもとに近付き、抑えた声で訊ねる。
 抑えたといっても、内藤やロマネスクには充分届く声だ。

ξ゚听)ξ「――オサムという名の男性をご存知でしょうか」

 シュールの肩が、揺れた。
 え、と発した声は、僅かに掠れている。

 これで知らぬ筈がない。

ξ゚听)ξ「黒い服を来て、十字の模様が入った仮面をつけた男です」

lw´;‐ _‐ノv「……おさむ」

( ФωФ)「シュー?」

 ロマネスクが、訝るように眉間に皺を寄せる。

 内藤は、ツンと視線を交わした。
 ひとまずロマネスクにだけ話して、妻への対応は、彼と共に決めよう。

 とにかく、急がねば。
 あまり長くは持たせられないと、ニュッから警告があった。

810 名前:名も無きAAのようです:2011/12/06(火) 23:58:46 ID:iVmhRP1kO

( ^ω^)「杉浦さん、ちょっと僕と一緒に来てくださいお」

( ФωФ)「うむ……?」

ξ゚听)ξ「私はここに残っていいでしょうか?」

lw´;‐ _‐ノv「……うん」

 内藤とロマネスクが病室を出る。
 入れ替わりになった看護師が、ブームに明るく挨拶していた。



*****

811 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:00:54 ID:IhZ7TvwUO


ζ(゚、゚*ζ「――私は、素のキュートちゃん好きだよ」

川 ゚ 々゚)「……」

ζ(゚、゚*ζ「たしかにかなりのナルシストだし可愛さを意識しすぎだし、
      猫被ってないときは沸点低いけど」

o川*゚ー゚)o「デレちゃんは説教するふりして喧嘩売ってるの?」

 デレは、くるうに懇懇と「素直キュートについて」を説いていた。
 好きなだけ泣いて疲れたのかすっきりしたのか、くるうはおとなしく聞いてくれている。

ζ(゚、゚*ζ「でも本当にいい子だし、自意識過剰で情緒不安定なこと以外は、
      学校にいるときと大差ないよ」

o川*゚ー゚)o「やっぱり喧嘩売ってるでしょ? ねえ?」

(´・ω・`)「デレちゃんは間違ってないね」

( ^ν^)「だな」

o川*゚ー゚)o「あ?」

 デレの名誉のために言っておくが、彼女はこれでも精一杯フォローしているつもりだ。
 言い方が下手なだけ。悪気はない。

812 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:02:57 ID:IhZ7TvwUO

ζ(゚、゚*ζ「こういうキュートちゃんの方が、面白くて好きだな、私は」

川 ゚ 々゚)「でも……」

ζ(゚、゚*ζ「こんな人がいたらいいな、って思うのは勝手だけど、
      それを誰かに押しつけちゃ駄目だよ」

ζ(゚ー゚*ζ「世の中、色んな人がいるからね。
      自分の想像外のことも受け入れなきゃ、やってらんないよ」

(´・ω・`)「そうそう。色んな人がいるんだよ。
      想像出来ないほど頭の悪い女子高生とか」

ζ(゚、゚*ζ「うん。想像出来ないほど捻くれてて何考えてるか全っっっ然分かんない本の虫とか」

( ^ν^)「想像出来ないほど金にがめつくて性根の腐りきった探偵とかな」

o川*゚ー゚)o「やだ、急に空気がぎすぎすし始めた」

813 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:06:23 ID:IhZ7TvwUO

ζ(゚、゚*ζ「……まあ、そういうわけでね。
      可愛いキュートちゃんも優しいキュートちゃんも恐いキュートちゃんも、
      みんな集まってのキュートちゃんだから」

ζ(゚、゚*ζ「埴谷さんの頭の中にいるキュートちゃんとは違うって、分かってあげてね」

川 ゚ 々゚)

川 ゚ 々゚)「……ん」

 納得しきってはいないのだろう。
 眉を曇らせながら、しかしそれでも、くるうは頷いた。

ζ(゚ー゚*ζ「ありがと」

 デレが微笑む。
 くるうを抱き締めていたオサムが、幸せか、と問う。

川 ゚ 々゚)「……分かんない」

【+  】ゞ゚)「……そうか」

 デレは、本に万年筆を走らせているクックルを見た。
 書き進めてはいるが、主人公の些末なモノローグで時間を稼いでいるだけだ。

 果たして、あとどれほど持つか。



*****

814 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:06:43 ID:wLzU7ZMoO
三人共www

815 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:08:27 ID:nUKNbu2k0
この三人wwww

816 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:08:29 ID:IhZ7TvwUO


lw´‐ _‐ノv「……さっきの内藤さんって、旦那さん?」

ξ゚听)ξ「え?」

lw´‐ _‐ノv「指輪」

 しばし無言を貫いていたシュールだったが、唐突に、ツンの左手を見つめながら口を開いた。
 薬指に嵌められた指輪を軽く撫で、ツンは頷く。

|  ^o^ |「お姉さん けっこん してるんですか」

ξ゚听)ξ「ええ」

lw´‐ _‐ノv「失礼だけど、何歳?」

ξ゚听)ξ「……16です」

 じゅうろく、と呟き、シュールは何度も頷いた。

lw´‐ _‐ノv「子供は?」

ξ゚听)ξ「いません」

ξ゚ -゚)ξ「……出来ません」

lw´‐ _‐ノv

lw´‐ _‐ノv「……そう。ごめんね」

 沈黙。

 シュールが差し出してくれた菓子を一つ受け取り、ツンは包みを開けた。

817 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:09:32 ID:IhZ7TvwUO

|  ^o^ |「……お母さん のど かわきました」

 空気の重さに耐え兼ねたようで、ブームは椅子から下りて、そう言った。
 シュールが財布を取り、小銭をブームに手渡す。

lw´‐ _‐ノv「自販機で何か買っておいで」

|  ^o^ |「はい」

 小走りでドアへ向かうブーム。
 走ったら駄目だぞとシュールに言われ、スピードを緩めた。



.

818 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:09:45 ID:nazitB/Q0
どんな状況下でも頭が真っピンクなヤツもいるな





(*゚ー゚)を嫁に下さい

819 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:11:48 ID:IhZ7TvwUO



|  ^o^ |

 ブームはロビーへ向かっていた。
 ロビーを抜けた先に売店がある。
 アイスクリームでも買って、母と分け合って食べよう。

 人影の疎らなロビー。

 いくつも並んだソファの中、隣り合って座る内藤とロマネスクを見付けた。
 こちらに背を向けている。

|  ^o^ |(……)

 何を話しているのだろう。
 ブームは、そっと忍び寄った。
 徐々に声が耳に届き始める。

( ^ω^)「――……お、……」

(;ФωФ)「……――ム……」

( ^ω^)「――ですので、」

820 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:12:42 ID:IhZ7TvwUO



( ^ω^)「ブーム君は、今日、消えてしまうかもしれないんですお」



*****

821 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:14:34 ID:P3xN28Lo0
うおおおお今日だったのか!追いついたぞ!支援

822 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:14:40 ID:IhZ7TvwUO


(;゚∋゚)「もうちょっと堪えてくれないか」

 新しいページをめくり、クックルは本に言った。

 ――そろそろ限界らしい、とクックルが呟いたのが、つい数分前。
 何が、とは言わなかったが、彼の様子を見れば、何のことだか大体分かる。

(´・ω・`)「本当にもう無理なの?」

(;゚∋゚)「物凄く嫌な感じがする」

ζ(゚、゚;ζ「……ううーっ」

 デレは携帯電話を睨みつけた。
 内藤が出ないのだ。

 もうブーム達には会えただろうか。
 まだだったらどうしよう。

(;゚∋゚)「……ああ、もう――結末まで行くぞ」

(´・ω・`)「行っちまえ。本にキレられる方が厄介だ」

o川;゚ー゚)o「ショボンさんは薄情すぎです」

(´・ω・`)「一度会っただけの他人に、そこまで気を遣う方が理解出来ないね」

823 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:17:42 ID:IhZ7TvwUO

川 ゚ 々゚)「……何してるの……?」

ζ(゚、゚;ζ「んんと、ね」

 どう説明すればいい。
 ニュッに視線で助けを求めたが、放っておけ、と返された。

ζ(゚、゚;ζ「ごめん、とりあえず、今はまだ何も言えないや」

川 ゚ 々゚)「……ふうん」

 デレは、膝の上で両手を握り合わせた。

 ――どうか、皆が悲しむだけの結果にはならないでほしい。



*****

824 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:20:15 ID:IhZ7TvwUO


 ロマネスクは唖然とし、信じられない思いで内藤を凝視した。

(;ФωФ)「――何を……馬鹿な」

( ^ω^)「……『本』が不可思議なことを起こすのは、
       既に身をもって体験済みでしょう」

(;ФωФ)「それは、そうだが……しかし」

 人間に演じさせる「本」。
 その本から生まれた男と――ブーム。

 今日の内に物語が終われば、2人共消えてしまうなどと。

 突然そんなことを言われて、誰が信じるというのか。

( ^ω^)「勿論確定はしていませんお。
       ただ、可能性を否定出来ないのも事実」

( ^ω^)「何より、奥様は『オサム』に覚えがある様子でしたお」

(;ФωФ)「では、……では!
       その場合、ブームは誰の子供なのであるか!」

( ^ω^)「母親に関しては、奥様で間違いないと思いますお」

(;ФωФ)「……父親は……?」

( ^ω^)「……」

825 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:24:26 ID:IhZ7TvwUO

 恐らく、と、内藤が答える。

( ^ω^)「誰でもない、ということになるかと」

 ――誰でもない。
 父親がいない。
 自分とブームには、血の繋がりがない。

 ロマネスクは頭を押さえた。

 いや。それよりも。
 ブームがいなくなってしまうかもしれないことの方が、遥かに大きな問題だ。

(; ω )「……っ」

( ^ω^)「……杉浦さん」

 何が本だ。

 ブームという名前は、自分と妻が2人で考えたものだ。
 自分と妻の子供だ。
 他の何者でもない。

 しかし、ならばどうして、妻はツンの言葉に動揺したのだろう。

 どうして。

 どうして、この男の話を、一蹴出来ないのだろう。

826 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:25:58 ID:LqHGNxFoO
読んでて辛いわ…

827 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:26:43 ID:IhZ7TvwUO

( ^ω^)「……奥様に全てを訊くのが一番手っ取り早いですが」

(;ФωФ)「ならば今すぐ訊けばいいだろう!?」

( ^ω^)「奥様はご病気でいらっしゃいますお。
       いきなり我が子が消えるかもしれないと聞かされて、平気でいられるか」

(;ФωФ)「もう退院も近い! そもそも――本当に消えてしまうなら、
       悠長に構えている暇など、」

 怒鳴り、立ち上がる。

 視界に、見慣れた顔が入った。


|  ^o^ |


(;ФωФ)

 ブームと、目が合う。

 内藤がロマネスクの視線を追い、ぎょっとした。

828 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:27:22 ID:wtqHH9X6O
うあああああああ、

829 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:27:23 ID:HhD1g.k6O
支援。気になって寝られん

830 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:28:10 ID:IhZ7TvwUO

(;^ω^)「ぶ……っ」

|  ^o^ |「僕 いなくなっちゃうんですか」

(;^ω^)「ブーム君、いつから――」

|  ^o^ |「……僕 お父さん いないんですか」

 3人の間から、声が消える。

 ブームが踵を返し、駆け出した。
 ロマネスクも慌てて後を追う。

(;ФωФ)「ブーム!!」

(;^ω^)「あっ、待っ……――杉浦さん!」



*****

831 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:29:23 ID:IhZ7TvwUO


lw´‐ _‐ノv「楽をしすぎたんだよなあ……」

 不意に。
 シュールは言葉を零した。

 窓の外を眺めていたツンは、シュールに向き直る

ξ゚听)ξ「楽?」

lw´‐ _‐ノv「旦那の子が欲しかったんだ。
       仕事が落ち着くまで待つ、なんて殊勝なこと言ったけど。
       本当は、すぐにでも手術をしてほしかった」

lw´‐ _‐ノv「私の両親からも、種無しなんて捨ててしまえって迫られててね。
       早く妊娠して、誰にも文句を言わせたくなかったんだ」

ξ゚听)ξ「……」

ξ゚听)ξ「それで、オサムに願いを叶えてもらったんですか」

 ちらりとシュールがツンを一瞥する。
 視線が流れ、毛布の上で止まった。

lw´‐ _‐ノv「うん」

832 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:31:26 ID:IhZ7TvwUO

 シュールは、自分の腹を摩った。

 ロマネスクが手術をしても必ずしも成功するとは限らない。
 成果がなかったら、親から何を言われるか分からない。

 だから、突然現れた妙な男なんかに縋ってしまったのだと、
 シュールは自嘲気味に言った。

 どうしてか、「絶対に叶えてくれる」と確信していたそうだ。
 本の仕業であろう。

lw´‐ _‐ノv「本当に願いが叶って、嬉しかった。
       浮気を疑われても幸せだった」

lw´‐ _‐ノv「でも――段々、不安で堪らなくなったよ」

ξ゚听)ξ「……不安って?」

lw´‐ _‐ノv「あっさり手に入っちゃったから。
       何か、あっさりいなくなっちゃいそうでさ。分かる?」

 本来なら、生まれる筈がない。
 ここにいるべきではない。
 そんな存在。

 それ故に、いつか排除されてしまうのではないかと、不安が募る。
 綺麗さっぱり、何一つ残らないくらいに消えてしまうのではないか。

833 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:34:02 ID:IhZ7TvwUO

lw´‐ _‐ノv「ブームが旦那を父親だって認めなくなって、
       いよいよ、どこかに離れていっちゃいそうな気がしてきた」

lw´‐ _‐ノv「恐いんだ。
       自分の我が侭で楽な道を選んだせいで、
       後で、それ相応の辛いことがあるんじゃないかって」

 シュールは、上半身を前に倒した。
 毛布を握る。
 あまりにも力が込められすぎた手は、微かに震えていた。

lw´  _ ノv「最近、毎日、恐くて恐くて堪らないよ。
       不安で、もう、辛くて、悲しい。……狂いそう」

lw´  _ ノv「でも。でもね。
       だからって、ブームを生まなきゃ良かったなんて、全然思えないんだ」

lw´  _ ノv「やっぱり、ブームがいてくれると幸せなんだよ」

 シュールの手に、ツンが触れる。
 かける言葉が見付からない。

 そろそろと、シュールは顔を上げた。

834 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:34:38 ID:9A/4RElQ0
うああ…切ない…

835 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:34:40 ID:IhZ7TvwUO


lw´‐ _‐ノv「――ブームのこと、連れていっちゃうの……?」

ξ゚ -゚)ξ


 ツンは、やはり、彼女に何も言えなかった。



*****

836 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:37:27 ID:IhZ7TvwUO



 走らないでください、と通りすがりの看護師に一喝される。
 謝りはするものの、内藤は足を止めずにロマネスク達を追った。

 廊下を進み、曲がり、また進み。

 人気のない、薄暗い階段の踊り場で、ようやくブームとロマネスクは対峙した。


.

837 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:39:33 ID:IhZ7TvwUO

|  ^o^ |「……」

(;ФωФ)「……ブーム」

|  ^o^ |「やっぱり おじさん 僕のお父さんじゃ ありませんでした」

(;ФωФ)「……っ」

|  ^o^ |「他人 でした」

 僕は間違ってなかったじゃないか、と。
 抑揚のない声で、言い放つ。

 ロマネスクよりもあっさり内藤の話を信じたのは、彼が7歳児だからなのか、
 それとも――彼自身、無意識の内に自覚している部分があったからなのか。

(;^ω^)「あのう、ブーム君。そういうことをね、言われちゃうと。お父さんも悲し――」

|  ^o^ |「お父さんじゃ ありません」

 内藤の説得は、簡単に遮られた。
 子供特有の高い声なのに、その奥底に、ずしりと重たい何かがある。

838 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:45:37 ID:IhZ7TvwUO

|  ^o^ |「……この人 お父さんじゃないし
       そもそも 僕のお父さん どこにもいないんでしょう」

|  ^o^ |「どこにも……」

 ブームが俯く。
 内藤は必死に頭の中で台詞を捏ね回したが、それらは相応しい形になってくれない。

 最悪だ。
 こんなことなら、ロマネスク1人を図書館にでも呼び出して説明すれば良かった。
 あるいは、関わり合いにすらならなければ。

 内藤が頭を抱えていると、ロマネスクがブームに近付いた。

( ФωФ)

 先までの、困惑した表情はどこへやら。
 何か決意でもしたような、得心したような、すっきりとした顔つきに変わっている。

 彼の中で――結論でも出たのか。

839 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:46:55 ID:IhZ7TvwUO

 そうして、一言。

( ФωФ)「――良かったである」

|  ^o^ |「……よかった ですか」

( ФωФ)「うむ。父親が決まっていないのなら、良かった」

 膝をつく。
 ブームと視線を合わせ、ロマネスクは彼の頭を撫でた。

( ФωФ)「それなら、ブーム」



( ФωФ)「我輩をお前の父親にしてくれないか」



|  ^o^ |

(;^ω^)「……お?」

840 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:48:27 ID:IhZ7TvwUO

( ФωФ)「お前に『父』がいないのなら、
       ブームの『父親』の席が空いていると言うのなら」

( ФωФ)「我輩を、そこに座らせてくれ」

( ФωФ)「そうすれば、我輩はお前の父だ」

|  ^o^ |

 ――他の男には務まるまいよ。

 ロマネスクが自信たっぷりに囁く。
 ブームは、じっと固まっていた。

841 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:50:07 ID:IhZ7TvwUO

|  ^o^ |

|  ^o^ |「お父さん ですか」

( ФωФ)「うむ」

|  ^o^ |「お父さん なれるんですか」

( ФωФ)「お前が認めてくれればな」

 ブームの腕が持ち上がる。
 控えめに、ロマネスクのスーツを握った。

 それから、


|  ^o^ |

|  ^o^ |「……お父さん」


 そう、呼んだ。

842 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:51:56 ID:r57dvxtYO
憎いねぇ!この!

843 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:52:19 ID:IhZ7TvwUO

 ロマネスクが、ブームを抱き締める。
 応えるように、ブームの小さな手が、精一杯、ロマネスクの広い背中にしがみついた。

 しばらく、2人共無言だった。
 ブームが何度も瞬きを繰り返す。

 すると、じわりと滲んだ涙が、ぽつぽつ、静かに落ちていった。

|  ;o; |「……お父さん ご、ごめんなさい、 お父さん」

|  ;o; |「……いや だったんです」

( ФωФ)「何がであるか」

|  ;o; |「お父さんが お父さんじゃないって言われて いやだったんです」

|  ;o; |「お父さんも お母さんも 大好きだから
       お父さんが違うの いやだったんです」

844 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:52:31 ID:0LiVjQ/60
胸倉掴んでお父さんと言っているブームを想像してしまった

845 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:54:31 ID:IhZ7TvwUO

 平坦だった声は、今や、震えて、揺れて。
 そこかしこで、しゃくり上げる音が混じる。

|  ;o; |「――僕が おじさんって呼んだら
       『お父さんだろ』って お父さんもお母さんも 怒ってくれました」

|  ;o; |「い、いっぱい いっぱい 僕のお父さんなんだって 怒られたかったんです」

|  ;o; |「だって お父さんじゃなきゃ お父さんじゃなきゃ、 いやなんです」

|  ;o; |「……お父さんが いいんです」

 それ以上は、ブームの口から言葉は出てこなかった。
 ひたすら泣きじゃくる声が、踊り場に谺する。

846 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:56:17 ID:IhZ7TvwUO

( ФωФ)「ああ。我輩も、ブームが大好きである」

( ФωФ)「……こんなに、狂おしいほど愛しいのだ」

 ロマネスクが微笑む。

 彼の目からも、雫が伝った。


.

847 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:59:27 ID:IhZ7TvwUO


( 。ФωФ)「だから、正真正銘、我輩の子であるよ」



 腕に力を込めた、そのときには――もう。



( 。ФωФ)

( 。ФωФ)「……ブーム?」



 誰もいなくなっていた。



.

848 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:59:37 ID:wtqHH9X6O
おおぅ……

849 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 00:59:43 ID:cKJj.86QO
涙で画面が見えない…。

850 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:01:07 ID:l8HrmiRQ0
やはり本の子か…

851 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:01:30 ID:IhZ7TvwUO

( ^ω^)「……」

( ФωФ)「ブーム……」

 答える者はいない。

 ――長いこと、ロマネスクはその場に座り込んでいた。
 内藤も何も言わず、ただそこに佇む。

( ФωФ)「……」

 やがて、ロマネスクが立ち上がった。
 埃を払い、内藤に顔を向け、問いかける。

( ФωФ)「……我輩は、父親らしくあれたであるか」

( ^ω^)「――この上ないほどですお」

 そうか、と言って、ロマネスクは穏やかに笑った。

 悲哀の念も、きっとあるだろう。
 しかしそれ以上に、どうしてだか、満足そうに見えた。

 内藤は十数年前のことを思い返す。
 気付けば物言わなくなっていた、自分の父。

 それを考えれば、杉浦親子のような別れは、よっぽど幸せな部類なのかもしれない。



*****

852 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:04:09 ID:IhZ7TvwUO


 クックルは本を閉じた。

 部屋の隅で、くるうが立ち尽くしている。
 彼女は、顔を僅かに上へ傾けていた。

 それを見つめる、デレとキュート、ショボン、ニュッ。

 オサムはいない。

( ゚∋゚)(――終わったか)

 幸せか。
 足りないものはないか。
 してほしいことは。

 何度目かも分からぬほど繰り返されたオサムの質問。
 それに、先程、くるうが答えてやった。


   川 ゚ 々゚)『――オサムに、天国に行ってほしい』


 今更、バッドエンドに出来る筈もなかった。
 作家のクックルとして考えれば、この結末では納得がいかない。
 だが、結果そのものは悪くないと思える。

 消え行く瞬間、ありがとうと、オサムがくるうに囁いていた。
 そんな台詞は書いていない。
 彼自身の、心からの言葉だったのだ。

 面白みのない結末でも、彼にとっては、正しい終わり方だったということだろう。

853 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:06:22 ID:IhZ7TvwUO

川 ゚ 々゚)「……オサム、天国行った?」

 くるうが、誰へともつかない質問を落とす。
 その問いに、ニュッがぶっきらぼうに返した。

( ^ν^)「ああ」

 天国になど行っていない。
 役割を終えて、本の中に戻っただけだ。

 そうは分かっていても、ニュッもクックルも、否定の言葉は口にしなかった。

 それでいい。

川*゚ 々゚)「そっか」

 ハッピーエンドに水を差すほど無粋なことはない。



*****

854 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:09:11 ID:IhZ7TvwUO


lw´‐ _‐ノv「おかえり」

( ФωФ)「……シュー」

 内藤とロマネスクが病室に戻ると、シュールが手を挙げて出迎えた。
 ロマネスクはシュールの傍らに立ち、ひどく言いづらそうに口をもごもごと動かした。
 ブームのことを、どう説明すればいいか悩んでいるのだろう。

 ロマネスクが深呼吸をした瞬間、シュールはロマネスクの手を握った。

lw´‐ _‐ノv「退院したらさ、ちょっと、子供について話し合ってみない?」

( ФωФ)「――子供?」

lw´‐ _‐ノv「さっき、ツンさんと子供のこと話してたんだけど――
       あれ、どんなん話したっけ?」

ξ゚听)ξ「……どんな、って」

lw´‐ _‐ノv「まあいいか。ともかく、無性に子供欲しくなってきたんだ。
       もう一回、改めて検査してさ。
       手術のこととかも確かめて、考えてみようよ」


 ――「充分、2人きりでゆっくり出来たし」。


 シュールは、顔を綻ばせた。

855 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:09:51 ID:IhZ7TvwUO

( ФωФ)「……シュー」

lw´‐ _‐ノv「なに?」

( ФωФ)「ブームの、ことであるが」

lw´‐ _‐ノv「ブーム?」

lw´‐ _‐ノv「――誰、それ?」

 内藤とツンは同時に互いを見た。
 そして、同時に首を振る。
 2人共、何が起きたかまったく分かっていない。

( ФωФ)

( ФωФ)「……何でもないであるよ、シュー」

lw´‐ _‐ノv「? 変なの」

( ФωФ)「ああ。……変であるな」



 数人の看護師に訊ねたが、誰1人、
 シュールの見舞いに子供が来たことを知っている者はいなかった。



*****

856 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:10:36 ID:DFFZkrngO
支援

857 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:11:41 ID:IhZ7TvwUO





ξ゚听)ξ「――何で、本は杉浦さん以外の人間からブーム君の記憶を消したのかしら」

 数日後。VIP図書館。
 定位置に座っているツンは、そんな疑問を口にした。

o川*゚ー゚)o「近所の人もみんな忘れちゃってたんだって?」

ξ゚听)ξ「ええ。小学校には、彼が在籍した記録すら残ってなかったそうよ」

ハハ ロ -ロ)ハ「ソリャ、下手に覚えてタラ色々と厄介デショウ。
      子供が丸ごと1人消えたんデスカラ」

( ・∀・)「しっかり後始末する本もなかなか珍しいね」

( ゚∋゚)「大抵の本は投げっぱなしだもんな」

ξ゚听)ξ「……質問を逆にしましょう。
      どうして杉浦さんだけ覚えてたのかしら」

 キュート、ハロー、モララー、クックルの4人がカウンターに集まっているが、サボりと言うなかれ。
 今日も今日とてサービスする対象が0人なのである。

858 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:11:43 ID:HN4QDascO
あああ…

859 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:13:15 ID:IhZ7TvwUO

( ^ω^)「そりゃあ」

 内藤が、雑誌を読みながら口を開く。

( ^ω^)「どうしても覚えていたいことがあったからじゃないかお」

ξ゚听)ξ「……ふうん」

 首を傾げつつも、ツンは一応それで納得したらしい。

 ――そこへ、ようやく本日1人目の客がやって来た。
 内藤が雑誌を閉じ、作家達がカウンターから離れる。

川*゚ 々゚)「……こんにちは」

o川;゚ー゚)o「げ」

ハハ ロ -ロ)ハ「アラ」

 埴谷くるう。
 キュートを見付けるなり、嬉しそうに駆け寄っていった。

860 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:14:48 ID:DoJspd6EO
クオリティの高さにはただただ頭が下がる…支援

861 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:18:17 ID:IhZ7TvwUO

川*゚ 々゚)「キューちゃん、今日も可愛い!」

o川;゚ー゚)o「うん……まあ、私だからね。ていうか、あの、ごめん。私あなた苦手」

川*゚ 々゚)「自信満々なとこも可愛い!!」

(;・∀・)「……何、どうしたの、あれ」

ハハ ロ -ロ)ハ「ナンカ、デレがオ説教? したトカ何トカ」

(;・∀・)「お説教? 何でそれがああなるの?」

( ゚∋゚)「妙な方向に捩じ曲げて解釈したらしい」

(;・∀・)「どんな解釈だよ……」

川*゚ 々゚)「デレちゃんはいないの?」

o川;゚ー゚)o「来てないよ。だから帰ってよ」

川*゚ 々゚)「そっかあ、残念……」

(;・∀・)「……あれは?」

( ゚∋゚)「この間、デレに似た感じの子が主役の恋愛映画を見てハマったとか言ってた気がする」

ハハ ロ -ロ)ハ「ブッチャケ誰でもイイんじゃないデスカ、あのコ」

862 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:19:49 ID:wtqHH9X6O
くるうさん…

863 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:21:29 ID:IhZ7TvwUO

川*゚ 々゚)「ねえねえ、キューちゃんとモララーさんの2ショット撮らせて」

o川;゚ー゚)o「えっ、モララーさんと……?」

( ;∀;)「何でそんな嫌そうなの!?」

o川;゚ー゚)o「ていうか帰れってば! あの事件のこと、まだ許してないんだからね!」

川*゚ 々゚)「根に持つキューちゃん可愛い!」

o川;゚ー゚)o「うぜえええええ!!」

864 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:22:06 ID:9A/4RElQ0
くるう駄目だこの子wwww

865 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:23:31 ID:IhZ7TvwUO


 カメラ片手に喚くくるうを、キュートが蹴り飛ばさん勢いで外に押し出している。
 その光景を眺め、内藤がぼんやりと呟いた。

( ^ω^)「今日も騒がしいおー……」

 見てる分には面白いけど、と付け足す。

 そうね、と相槌を打ったツンは、二度三度深呼吸をして、内藤の手を掴んだ。
 どうしても、訊きたいことがある。

ξ゚听)ξ「ねえ、ブーン」

( ^ω^)「お?」

ξ゚听)ξ「ブーンは子供欲しくない?」

( ^ω^)「またそれかお」

ξ゚听)ξ「……だって」

866 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:28:04 ID:IhZ7TvwUO

 ――幸せだと。
 シュールが言っていた。

 あのとき、ツンは、シュールがひどく羨ましかったのだ。

ξ゚ -゚)ξ

( ^ω^)「僕は、ツンといられれば幸せだお」

 ぐしゃぐしゃ、内藤がツンの金髪を掻き混ぜる。
 かと思えば、乱れた髪を優しく直し始めた。

ξ゚ -゚)ξ「……ほんとに?」

(*^ω^)「本当だお。もうツンちゃんの気にしい。可愛いんだから」

ξ゚ -゚)ξ∩

(;^ω^)「おっ、おおっおお……。
       問答無用で手が出る癖が抑えられてきたのはいいことだけど、
       脅すように拳を構えるのやめてくれお……」

 内藤が両手を挙げて、降伏のポーズ。
 すぐにふざけるから、おちおち真面目な話もしてられない。

 もういい、と、ツンは不貞腐れたように言った。
 内藤が顔を覗き込んでくる。

867 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:29:37 ID:wtqHH9X6O
うひょー甘々タイム入りましたー

868 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:29:40 ID:IhZ7TvwUO

( ^ω^)「……あのねツン、本当の本当の本当に、僕はツンだけで満足してるんだお」

( ^ω^)「ツンの方は、今のままじゃ足りないのかお?」

ξ゚ -゚)ξ


 何を今更、馬鹿なことを。
 そんなの。


.

869 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:31:39 ID:IhZ7TvwUO



ξ*゚ー゚)ξ「――ブーンが幸せだって言ってくれるなら、もう、充分すぎるくらい足りてるわよ」





*****

870 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:32:47 ID:9A/4RElQ0
ツンちゃんが笑った…!

871 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:33:25 ID:IhZ7TvwUO


川д川「……今日、やけに人が少なくなあい……?」

(´・_ゝ・`)「クックル、ハロー、モララーは1階。ニュッ君は買い物」

川д川「ああ、そっか……なるほどねえ……」

(*゚ー゚)「ハローとモララーがいないと、ほんと静かだわ」

(#゚;;-゚)) コクコク

川д川「あんたがいなきゃ、もっといいんだけどお……」

(*゚ー゚)「酷くね?」

 2階、食堂。
 デミタスと貞子、椎出姉妹の4人で、少し早めの昼食をとっていた。

872 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:34:31 ID:IhZ7TvwUO

 日頃から物静かな3人が揃っているだけあって、
 とてもゆったりとしたランチタイムであった。
 しぃも、彼らに合わせているのか、普段よりは大人しい。

(*゚ー゚)「……はあ。たまには、こういう日があってもいいね」

川д川「毎日毎日うるさいものねえ……」

(´・_ゝ・`)「特に昨日なんかショボン君が夕飯食べに来て大変だったし」

川д川「あいつはもう『食べに来る』じゃなくて『荒らしに来る』だもの……」

(#゚;;-゚) タシカニ

 のんびり。まったり。
 4人が至福のときを味わっていると――



 ――階下から、内藤の絶叫が轟いた。



*****

873 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:34:49 ID:r57dvxtYO
ξ*゚ー゚)ξ人ζ(゚ー゚*ζイェーイ

874 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:36:21 ID:IhZ7TvwUO


(,,゚Д゚)「ありがとうございました」

(´・ω・`)「いえいえ」

 遮木探偵事務所。
 埴谷ギコは、深々と頭を下げた。

 あの事件後、くるうは実家に戻ったらしい。
 デレとキュートの説得の賜物だが、ショボンはちゃっかり己の手柄として
 ギコに報告していた。

 ちなみに報告書には、もっともらしく、かつ、いい加減な出鱈目を書き連ねておいた。
 部外者に「本」のことを話すわけにもいかない。
 オサムに関しても、同様に出任せで誤魔化した。

 これで騙されるのだから、いやはや、このギコという男もなかなかに単純だ。

(´・ω・`)「それでですね、埴谷さん。依頼料のことなんですが」

(,,゚Д゚)「はい、いくらでも払います!」

(´^ω^`)「ええ、ええ、そうこなくっちゃあねえ」

 さて。
 今日は、これが終われば数時間の空きが出来る。
 親愛なる金づるがいる図書館にでも、お邪魔するとしよう。



*****

875 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:37:24 ID:IhZ7TvwUO


 交通安全のお守りに寄り添うように、球体の猫がぶら下がっている。
 それを助手席から眺めながら、デレは呟いた。

ζ(゚、゚*ζ「……幸せって何なんでしょう」

( ^ν^)「馬鹿に哲学は似合わねえぞ」

ζ(゚、゚;ζ「べっ、別に哲学とかじゃなくて!」

 人が真剣に考えているというのに、この男は。
 デレは溜め息をつき、窓の外を見た。

 現在、2人で駅前の百貨店に向かっている。
 休暇をとって部屋でごろごろしていたニュッに、内藤がお使いを言い渡したのだ。
 そこへ、偶然図書館に来たところだったデレが手伝いを申し出たのである。

876 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:38:32 ID:IhZ7TvwUO

ζ(゚、゚*ζ「今回もまた、濃い事件でしたね」

( ^ν^)「誰かさんは危うく殺されかけるしな」

ζ(゚、゚;ζ「私は悪くないですよ?
      自分から首突っ込んだわけじゃありません」

( ^ν^)「はいはい」

ζ(゚、゚*ζ「……ブーム君の方は、ああいう終わり方で良かったんでしょうか。
      杉浦さんは幸せだったのかな……」

 ニュッからは、「さあ」との答え。
 何とまあ素っ気ない。

 文句を言おうとすると、ニュッが再び喋り出した。

( ^ν^)「いいかどうかは分かんねえけど、悪くはなかったんじゃねえの」

ζ(゚、゚*ζ「……そうですかね」

( ^ν^)「少なくともお前が気付かなかったら、
       杉浦って男とブームは和解出来なかった」

 赤信号に引っ掛かる。

 悪いことをしたと思っているか、という問いに、デレは首を横に振った。
 内藤から聞いた話だから真偽のほどは定かではないが、
 彼らは、決して不幸ではなさそうだったらしい。

877 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:38:41 ID:HhD1g.k6O
ショボンwwww

878 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:39:32 ID:IhZ7TvwUO

( ^ν^)「じゃあ、それでいいんじゃねえか」

ζ(゚、゚*ζ「……ですかね」

 着信音が響いた。
 デレのものではない。
 ニュッが携帯電話を取り出し、発信者名を確認した。

 そして、デレに手渡す。

( ^ν^)「兄ちゃんからだから出といて」

ζ(゚、゚*ζ「はあい」

 通話ボタンを押す。
 ほぼ同時に信号が青に変わり、車が動き出した。

ζ(゚ー゚*ζ「もしも」

『ニュッくぅううううううううん!!!!!』

ζ(゚ー゚;ζ「うるさっ!!」

 初っ端から、凄まじい叫び声が耳に飛び込んできた。
 その声量たるや、車内全体に響き渡るほど。

879 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:40:57 ID:wtqHH9X6O
内藤落ち着けwwww

880 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:42:04 ID:IhZ7TvwUO

『あ、あれ、デレちゃん? まあデレちゃんでもいいお、ニュッ君いるおね!?』

ζ(゚ー゚;ζ「はあ。運転中です」

『今すぐ帰ってくるお!! ツンが、ツンがツンがツンが!!』

ζ(゚、゚;ζ「……何かあったんですか?」

 デレの声が、僅かに鋭くなる。
 まさか緊急事態か、と思えば。


『めっちゃくちゃ綺麗に、綺麗に、わ、わらっ、わ、笑ったんだおおおおお!!』


ζ(゚、゚*ζ

ζ(゚、゚*ζ「へえ……」

『何その反応!? 全然ぎこちない笑顔じゃないんだお! 綺麗なんだお!
 ツンはどんな顔も綺麗だけれども!!』

ζ(゚、゚*ζ「まあ喜ばしいことなんですけど、内藤さんのテンションのせいでですね……」

『ああもう、いいから帰ってきてくれお! ツンが笑えるようになったから写真撮るお!』

ζ(゚、゚;ζ「しゃ、写真ですか?」

881 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:44:10 ID:IhZ7TvwUO

『12年ぶりの集合写真だお、デレちゃんも是非!』

ζ(゚、゚;ζ「私も入っていいんですかね、それ」

『キュートちゃんも入るから! とにかく待ってるおー!!』

 通話が切れる。
 デレは携帯電話を見下ろした後、ニュッに視線をやった。
 どうせ聞こえていただろう。

ζ(゚、゚*ζ「ですって」

( ^ν^)「面倒くせえ……」

 そうは言いつつ、Uターン出来る場所を探している。
 デレはくすくすと笑って、髪を手櫛で整えた。

882 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:44:16 ID:r57dvxtYO
まあ数年来の悲願だったしなwww

883 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:47:02 ID:IhZ7TvwUO

ζ(゚ー゚*ζ「ショボンさんも呼びます?」

( ^ν^)「絶対酷いことになるだろ」

ζ(゚ー゚*ζ「だって仲間外れにしたら、それこそ後で酷いことになりそうじゃないですか」

( ^ν^)「あー……」

ζ(゚ー゚*ζ「それに、どうせなら、いつものメンバーがみんな揃ってる方がいいです」

( ^ν^)「……まあ、兄ちゃんに相談しろ」

ζ(^ー^*ζ「はあい」

 誰がどの位置に写るか、誰が誰の隣になるかで、また騒がしくなるだろう。
 そのことを思うと、面倒なような、でも楽しみなような、ふわふわした気持ちになる。

884 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:50:00 ID:IhZ7TvwUO



 これも一つの「幸せ」ってものなのだろうと、デレは笑みを深くさせた。





番外編 終わり

885 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:51:28 ID:faumouvAO
おつかれ!

886 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:51:41 ID:vK2bOmucO


887 名前: ◆kB11BI8NVE:2011/12/07(水) 01:52:07 ID:gAqG8vSIO
乙!最高だった!

888 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:52:15 ID:wtqHH9X6O
ぎゃああああああお疲れ様でしたああああああ!!


………え?あれ?毎度恒例のデレとニュッの甘酸っぱいイチャイチャは?あれ?

889 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:52:16 ID:6ahe/GA.O
面白かった!

890 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:52:26 ID:7MqXaCZ6O
乙です!!!
すげぇとしか言えない
ツン良かったなぁ

891 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:52:57 ID:VmK0ncRY0
乙でした!

892 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:53:04 ID:gAqG8vSIO
やべ、間違えて酉付けちゃった

893 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:53:42 ID:Ym7YUH..O
乙でした!

894 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:54:12 ID:GM3eHid2O
乙です
貴方はいつも素晴らしい

895 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:54:44 ID:/oLUaSvI0
乙!
良い番外編だった

896 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:54:52 ID:HN4QDascO
乙でした!
最後まで追っかけられてよかった!

897 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:55:37 ID:HhD1g.k6O
乙!ブームくんのくだりで泣いた

898 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:56:26 ID:Pq27ljAM0
お疲れってまだ言いたくない
でもお疲れ、これでホントに終わりなんだな…

899 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:56:27 ID:ImMQ3TJUO
乙でした!!ニュッとデレのイチャイチャは……

900 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:57:05 ID:VmK0ncRY0
あな素晴らしやブーン系小説でした。
本当に乙でした。

901 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:58:34 ID:MziNPkacO
お疲れ様でした。
凄く面白かったです。
数あるブーン系小説の中でこの作品が一番好きです。
キューちゃんを僕にください。

902 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 01:59:59 ID:IhZ7TvwUO
終わりー

読んでくれた方、支援してくれた方、絵を描いてくれた方、
まとめてくださったブーン芸さん、ちょいといっぷくさん、皆さんありがとうございました!!

これで完全完結ってことで、
この作品の設定使って何か書くことはもう無いです! 多分
本当にありがとうございました!


しおり的な目次的な

番外編前半戦 >>564

番外編後半戦 >>691


質問・指摘等ありましたらお願いします

903 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 02:02:18 ID:wtqHH9X6O
ニュッ君とデレの子供がまだ出てないようですが!

904 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 02:09:50 ID:nO.39/1.O

泣けたわ
また書いてくれたら嬉しい

905 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 02:11:07 ID:tiwhrcMI0
乙でした!
>>710のキュートがデレに対してキュートちゃんと言ってたような…私の勘違いならすみません

906 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 02:11:24 ID:ocj97p4YO
どうしても覚えておきたいことって 
本がロマネスクとブームのことを覚えておきたいってこと 
それともロマネスクのブームへの思いが勝って 
本がロマネスクのブームの記憶を消しきれなかったってこと

907 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 02:14:41 ID:BaaUdOlw0
完結乙

908 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 02:17:36 ID:IhZ7TvwUO
>>903
え? 何? 聞こえない


>>905
自己との決別。これまでの自分を捨て去り、新たな「自分」を手に入れることで
新しい世界を拓こうとしている、キュートの成長がよく表れている名シーンです

すいません「デレちゃん」の間違いです


>>906
後者
だけど前者は前者で何かロマンチックでいいなあと思った

909 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 02:29:39 ID:TYzrQOQ.0


910 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 02:54:55 ID:Wwmou6p.0
おつ!!!
本当に好きな作品!ツン可愛いなあ!

911 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 03:11:31 ID:JVPuCrU60
乙としか言えない

912 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 06:48:13 ID:.RkxT0gA0


子供の本を書いてもダメなんだろうなー
そこまで力無いのかな

913 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 07:10:11 ID:ZvdNNhI.O
おつかれさまでした
朝っぱらから泣かせやがってこの

914 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 07:40:12 ID:MzUpwqbgO
畜生寝ちまった…

この作品に会えてよかった!乙!!

915 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 07:51:28 ID:loYci8DY0
あれ? 
特別番外編・あないやらしや、足の傷跡ぺろぺろプレイはまだ?

916 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 08:12:45 ID:4tJnJZ4.0
ついに完結か…

ひそかに第二部みたいなの期待してまつ

917 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 08:17:35 ID:qgKcKTHM0

面白かったとしか言えない

918 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 09:13:33 ID:nUKNbu2k0
寝落ちしてしまった・・・
作者乙!やっぱ凄いわ

919 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 09:17:18 ID:cKJj.86QO
乙!
次に書く作品も期待してます!

920 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 09:36:20 ID:wcOSsMTQ0
今回も予想の遥か上をいくクオリティだった
次回作に期待せざるをえんな!

921 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 14:47:44 ID:wLzU7ZMoO
乙でした!
凄く楽しかったです!

922 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 17:42:30 ID:oRzyrbXI0
乙です!!
終わってしまうと思うとさみしいよ!!
ニュッ君がモナーと同じ力を得るんじゃないかと思ってたがそんな事なかったよ!!

923 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 19:59:55 ID:HgIUId42O
本当に乙!!
面白かったよ!

くるう川 ゚々゚)
http://imepic.jp/20111207/716670?guid=ON

※若干ネタバレ注意?

924 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 20:20:07 ID:PRc2s5kA0
( ゚∀゚)o彡°おっぱい!おっぱい!

925 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 20:21:59 ID:gAqG8vSIO
>>923
さり気なくオサム異世界のキャラのぬいぐるみとかあるのが何かいいな

926 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 20:47:25 ID:9A/4RElQ0
>>923
やだかわいい…おっぱいでかい…

927 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 21:37:44 ID:IhZ7TvwUO
>>923
ありがとうおっぱいございます!!
くるう可愛いおっぱい
ぬいぐるみに感おっぱい動しましたおっぱい

928 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 21:51:41 ID:UP6rOZEUO
>>923
このカワイコちゃんが、やだやだあんなキューちゃんなんか嫌いーって泣き叫んでるところ想像したら興奮してきた
おっぱい揉みたいふとももペロペロしたいしぃさん愛してます

929 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 22:03:54 ID:wpWSuEnU0
>>923
       _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.
     ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡
     (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡
    _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.     _ _∩.
  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡  ( ゚∀゚)彡
  (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.   (  ⊂彡.
   |   |     |   |     |   |     |   |    |   |     |   |     |   |
   し ⌒J.    し ⌒J.    し ⌒J.    し ⌒J.   し ⌒J.    し ⌒J.    し ⌒J

930 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 22:48:49 ID:lYyfxFYwO
おっぱいたちお前お前言いすぎww動揺しすぎやろwww

931 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 22:56:38 ID:oHPwk1HMO
もはや第2部スタートって言える番外編だったな

実際このまま続けてほしいです

932 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 23:32:53 ID:C8qO0naEO
>>930

ワロタwww
お前がおちけつwww

933 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 23:36:48 ID:HgIUId42O
下書き段階ではそんなに大きくなかったんだぜ…?>おっぱい

おっぱ…じゃないくるうの他にも
ロマ&ブーム
http://imepic.jp/20111207/847810?guid=ON

934 名前:名も無きAAのようです:2011/12/07(水) 23:44:10 ID:WQWiLTOw0


綺麗な終わり方がとても素晴らしい
次回作も待ってますが、まずはゆっくりお休みになってください

935 名前:名も無きAAのようです:2011/12/08(木) 01:17:32 ID:kyggZPR.O
とりあえずは紅白の短編書くのが先だろう 
書き溜めするのかな、それとも当日ながらかな?

936 名前:名も無きAAのようです:2011/12/08(木) 02:22:17 ID:e.p8gOQMO
>>933
またもやありがとうございます! 下書きより大きくなったことも含めてありがとうございます!
ロマネスクかっけえ。ブームかわいらしい
すごく親子っぽくて、何だか、とてもいい

937 名前:名も無きAAのようです:2011/12/08(木) 15:59:23 ID:Ft8meQ.gO
紅白楽しみだなー

938 名前:名も無きAAのようです:2011/12/08(木) 17:16:37 ID:FKDWZGvY0
今読み終えましたー
……ずるい!!どうすればこんな文才が手に入るんですか!!!?
涙が止まらないじゃないですか作者ばk乙ううぅぅぅぅぅぅぅ!!!!

939 名前:名も無きAAのようです:2011/12/08(木) 17:22:32 ID:1urLm6Mg0
>>938
落ち着け

940 名前:名も無きAAのようです:2011/12/08(木) 18:57:57 ID:w6Okxu3s0
今やっと読んだ
胸がいっぱいになった
紛れもない名作をありがとう! 乙です!!

941 名前:名も無きAAのようです:2011/12/08(木) 20:18:30 ID:vYtn6NaoO
凄く面白かったです
いつになるかわからないし、あるかもわからないけど次回作期待してるよ




心からの乙を貴方に

942 名前:名も無きAAのようです:2011/12/08(木) 21:39:01 ID:8wAGQguMO
乙でした!!!
みんな末永く幸せでありますように!!!

ブーン&ツン
http://imepic.jp/20111208/750720
ニュッ君&デレ
http://imepic.jp/20111208/770130
クックル&キュート
http://imepic.jp/20111208/752600

943 名前:名も無きAAのようです:2011/12/08(木) 21:52:17 ID:YQPv1sFIO
>>942
ほんぎゃあああああああ!

944 名前:名も無きAAのようです:2011/12/08(木) 22:00:53 ID:1urLm6Mg0
>>942
クソ

945 名前:名も無きAAのようです:2011/12/08(木) 22:01:02 ID:CkJHXdFQO
>>942
ヒューッ!超乙!
三組それぞれ特徴があるのう
ニュッ君は晴れの日に顔歪めるなwww
キュートとクックルは美少女と野獣萌え

946 名前:名も無きAAのようです:2011/12/08(木) 22:02:04 ID:1urLm6Mg0
>>944を途中で送信しちまったorz

>>942
クソっリア充どもがぁああああああああ……

947 名前:名も無きAAのようです:2011/12/09(金) 00:05:47 ID:3OHemHm6O
>>942
あががががががが
すげえ嬉しいけど若干妬ましあががががががが
でもやっぱり幸せ。ありがとうございます!!

948 名前:名も無きAAのようです:2011/12/09(金) 00:07:05 ID:aDLQ/1PkO
>>942
ちくしょう……ちくしょう…!!

しかし結婚までいったにも関わらずクックルに対するキュートのこの態度の安定感は異常。ニヤニヤしちまった。

949 名前:名も無きAAのようです:2011/12/09(金) 07:58:35 ID:G6Ji5iIUO
>>942
うひょおおhおおおおっ!
kあいいいいいいいいい

朝から幸せだ!

950 名前:名も無きAAのようです:2011/12/09(金) 18:31:39 ID:wEwbaJ0.0
乙!!
せいとかいも含めてもう全部面白かった!
次回作楽しみにしてます!

951 名前:名も無きAAのようです:2011/12/09(金) 21:20:45 ID:zMbFtBdMO
3日読むの耐えて今読み終わった〜 ありがとう

今まで感じた事がない感情が何回もきた

すげえ! 俺ずっと応援汁から!

952 名前:名も無きAAのようです:2011/12/14(水) 22:22:47 ID:DN7P89R2O
|
|*゚ー゚) ダレモイナイ
|⊂ノデレチャンノムネ モムナラ イマノウチ…
|

      ζ*゚ー゚)ζ



(*゚ー゚)〜♪
(   つつ
(_ ⌒ヽ
 )ノ`J

953 名前:名も無きAAのようです:2011/12/14(水) 22:24:09 ID:8hPgBRQE0
阻止

954 名前:名も無きAAのようです:2011/12/14(水) 22:28:42 ID:DN7P89R2O
ガー(;゚ー゚)ーン

955 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/12/24(土) 23:58:24 ID:l/y7XP5oO

第六話で使おうと思ってて結局忘れてたネタの( ^ω^)と(´・ω・`)。漫画もどき
http://imepic.jp/20111224/856750

鉛筆描きなので見辛かったらごめんなさい
まあ何だ、メリクリ


ブーン芸さんとちょいといっぷくさん、
もしこのレスに気付いても、まとめのページには載せないでくださると嬉しいです

956 名前:名も無きAAのようです:2011/12/25(日) 00:08:48 ID:KNgtAw2EO
文章よくて絵上手くて字綺麗ってはんぱないなすげえ

957 名前:名も無きAAのようです:2011/12/25(日) 00:20:39 ID:dgYVYhmY0
ショボンwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww流石

958 名前:名も無きAAのようです:2011/12/25(日) 00:23:57 ID:TBoRNqB20
聖夜であってもショボンの外道っぷりは相変わらずで安心したwwww

959 名前:名も無きAAのようです:2011/12/25(日) 02:17:48 ID:3osCBjdI0
いろいろ言いたいがショボンwwwwwwwwwwwww

960 名前:名も無きAAのようです:2011/12/25(日) 19:14:31 ID:YOhj7UqI0
>>955
吹いたwww

> もしこのレスに気付いても、まとめのページには載せないでくださると嬉しいです
なん、だと……

961 名前:名も無きAAのようです:2011/12/29(木) 10:50:24 ID:obzgOencO
少々遅れたが、気付けた幸せ。
ショボンはぶれないな……w

まとめに載せたくないのはクリスマスプレゼント的なあれかしら。
しかし字が綺麗や。

962 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/01(日) 10:13:43 ID:7rXFXAMwO

( ^ν^)と(*゚ー゚) 漫画もどき。鉛筆描き
読み辛いかもしれんけど一コマ目の台詞は「ニュッちゃんお年玉ちょーだい」です
http://imepic.jp/20120101/355480


ζ(゚ー゚*ζと( ^ν^)とハハ ロ -ロ)ハ 漫画もどき鉛筆
http://imepic.jp/20120101/355660
http://imepic.jp/20120101/355821


あけましておめっとうございます!


ブーン芸さんとちょいといっぷくさん、このレスもやっぱりまとめには載せないでいただけると嬉しいです

963 名前:名も無きAAのようです:2012/01/01(日) 10:23:22 ID:MGet56rEO
ひゃっほぉいい!!
あけおめぇぇええ!!
相変わらずニュッくんは可愛いな。

964 名前:名も無きAAのようです:2012/01/01(日) 10:25:14 ID:yIsiBiG6O
えだまめ!

965 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/01(日) 10:29:28 ID:7rXFXAMwO
あ、想像してたキャラの髪形が作者のものと食い違ってるわ、ってことがあると思いますが、
こちらに合わせず、どうか、ご自分の中のイメージをそのまま置いといてください
イメージの違いを比べるのが楽しいので

966 名前:名も無きAAのようです:2012/01/01(日) 10:35:41 ID:79B6pwi60
可愛すぎ

967 名前:名も無きAAのようです:2012/01/01(日) 10:52:09 ID:lRynmwW6O

素晴らしい!

えだまめ

あけましておめでとうございます

968 名前:名も無きAAのようです:2012/01/01(日) 11:21:28 ID:lFqY9C1AO
えだまめ乙!

969 名前:名も無きAAのようです:2012/01/01(日) 13:00:13 ID:o.ijDZr60
>>962
あけおめ乙
えだまめwwwwwwwww

970 名前:名も無きAAのようです:2012/01/01(日) 17:14:29 ID:DbYHJFEw0
ハローがやけに気合入っててワロタ

971 名前:名も無きAAのようです:2012/01/01(日) 22:27:52 ID:rf7jsjLMO
えだまめwww

972 名前:名も無きAAのようです:2012/01/02(月) 21:18:48 ID:FfOHshOsO
なんちゅうもん描いてくれたんじゃ……なんちゅうもんを……

973 名前:名も無きAAのようです:2012/01/02(月) 23:08:06 ID:wvXqZOCAO
デレの胸が結構大きいと思いました

974 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:16:56 ID:ffDbR2JwO
年越しちゃったしログ送り依頼したいけど折角だから1000まで行きたい

ので、>>902みたいなこと書いといて申し訳ないのですが、短めの話投下します

ブーン芸さん、ちょいといっぷくさん、この話も作者のイラスト同様、まとめないでいただけると嬉しいです



スレ埋め番外 あな楽しや、すごろく大会

975 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:17:26 ID:ffDbR2JwO

( ^ω^)「第一回、VIP図書館チーム対抗すごろく大会ー!!」

ξ゚听)ξ ドンドンパフパフ

ζ(゚ー゚*ζ「わーわー。あ、あけましておめでとうございます」

o川*゚ー゚)o「あけおめー」

(´・ω・`)「ことよろ」

( ^ω^)「お前は呼んでないんだけど何で来てるかとかはもう聞く気も起きない」

( ^ν^) ゲンナリ

ハハ ロ -ロ)ハ「アア、元旦早々人口密度が高すぎてニュッ君がゲンナリしてマス」

川д川「図書館の人間10人に加え、デレちゃんキュートちゃんショボンの計13人だものねえ……」

( ゚∋゚)「で、何だって? すごろくするのか?」

( ・∀・)「チーム対抗?」

( ^ω^)「だおー。人数多いから3人一組のチーム戦にするお」

(´・_ゝ・`)「13人で、3人一組……?」

(*゚ー゚)「1人余りますな」

(#゚;;-゚)) コクリ

(´・ω・`)「何だよ、ちゃんと分けられる人数にしろよな」

( ^ω^)「だからお前呼んでねえっつったろ、お前が来たせいだっつのお前がよ」

(´・_ゝ・`)「なら僕は傍観してるよ。みんなが遊んでるのを見てるだけでも楽しいしね」

(*゚ー゚)「よっ、さすが最年長! 無個性地味野郎!」

(;´・_ゝ・`)「嫌な言い草だなあ、もう……」

(´・_ゝ・`)(どうせ碌なゲームにならないだろうから蚊帳の外の方が楽そうだよね)

( ^ω^)「ごめんおデミタス。……じゃ、チーム分けのためにクジを引いてくれお。
       この紙の先に、チーム別に色が塗ってあるから。はい、まずはデレちゃんから」

ζ(゚ー゚*ζ「はあい」


*****

976 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:17:58 ID:ffDbR2JwO

(´・_ゝ・`)「組分け発表ー」


青チーム  ζ(゚ー゚*ζ ( ^ω^) (´・ω・`)

緑チーム  ( ^ν^) ハハ ロ -ロ)ハ ( ・∀・)

赤チーム  ξ゚听)ξ ( ゚∋゚) (#゚;;-゚)

白チーム  o川*゚ー゚)o 川д川 (*゚ー゚)


(;^ω^)「何でショボンと一緒なんだおおおおお!! もうやだあああああ!!」

(´・ω・`)「この僕と一緒だなんて、ブーンとデレちゃんの今年の運勢は大吉だね」

ζ(゚ー゚;ζ(大凶の間違いでは……)


ハハ ロ -ロ)ハ「ナンか新鮮味に欠けマスネ、ウチのチーム」

( ・∀・)「だね」

( ^ν^)「モララーと別チームの誰かトレードするか」

(;・∀・)「何で!? 何で俺なの!?」


ξ゚听)ξ「よろしくね」

( ゚∋゚)「ああ、頑張ろう」

ヾ(#゚;;-゚)ノシ


o川* ー )o「女に囲まれてにやにやしてんじゃねえぞ筋肉達磨が……」

(*゚ー゚)「まあまあ落ち着いてキュートちゃん。とりあえず結束を固めるために脱ごう? 2人共脱ごう?」

川д川「寄らないでくれるう……?」


(´・_ゝ・`)(まともなの赤組だけだな……)

977 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:18:39 ID:ffDbR2JwO

(;^ω^)「正月くらいは……正月くらいはショボンに苦しめられずに過ごしたかったのに……。
       ……デミタス、すごろく広げてくれお」

(´・_ゝ・`)「はいはい」ガサガサ

ζ(゚、゚*ζ「内藤さん内藤さん、このクジ、数字が書いてあるんですけど。私のは1って」

o川*゚ー゚)o「あ、それ私も気になってた。私は2番」

( ・∀・)「俺も2番」

( ^ω^)「チーム毎にサイコロを振る順だけど、他にも──……まあ、それは後で分かるお」

( ^ν^)(しょうもねえこと考えてんだろうなあ)

(´・ω・`)「そんで、これって優勝チームに景品とかないの? 現金は?」

( ^ω^)「トップ2チームは、おせちを食べる権利が与えられるお。デレちゃんと貞子お手製の」

ハハ ロ -ロ)ハ「オオ。料理上手2人が」

ζ(゚ー゚*ζ「あれってこのためだったんですか。足りるのか心配だったんですけど」

( ・∀・)「全員分ないの?」

( ^ω^)「せいぜい6、7人分」

o川*゚ー゚)o「んー、家帰ってもおせちあるんだよなあ……」

( ^ω^)「そういやクックルも手伝ったんだっけ」

( ゚∋゚)「ちょっとだけな」

o川*゚ー゚)o「勝ちましょうね、貞子さん、しぃさん。別におせち食べたいとかじゃなくてね、
      折角の勝負なんだからどうせなら勝ちたいなっていうね、純粋な、あのね、」

川д川「ほんと分かりやすいわあ……」

(*゚ー゚)「可愛げがあってよろしい」

(´・ω・`)「んだよ、食いもんだけかよ。やる気失せた」

( ^ω^)「あと少額ながら、優勝チームにはお年玉を」

(´・ω・`)「やんぞオラさっさと始めっぞ!!」

ξ゚听)ξ(こっちは分かりやすくても可愛いげは皆無ね)

978 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:19:14 ID:ffDbR2JwO

( ^ω^)「駒は各チームにつき一つ。
       まずチームの内『1番』の人達がサイコロを転がして駒を進め、
       一巡したら次は『2番』の人が、さらに次は3番、そのまた次は1番……って感じだお」

o川*゚ー゚)oハハ*ロ -ロ)ハ(´・ω・`)「はーい」ζ(゚ー゚*ζ(・∀・*)(゚ー゚*)

ヽ(*゚;;-゚)ノ

(´・_ゝ・`)「長丁場になりそうだからお菓子と飲み物持ってきたよ」

( ^ν^)「コーヒーくれ」

川д川「お煎餅開けていい……?」

( ゚∋゚)「お前らやる気ないな」


〜すごろく開始〜

【一巡目】 青:ζ(゚ー゚*ζ 緑:ハハ ロ -ロ)ハ 赤:( ゚∋゚) 白:(*゚ー゚)


ζ(゚ー゚*ζ「えいっ」

コロコロ……

┌───┐
│     │
│  ●  │
│     │
└───┘   ピタッ

(´・ω・`)「1ってね、君」

ζ(゚、゚;ζ「でっ、出ちゃったものは仕方ないでしょうが!」

( ^ω^)「まだ序盤だから気にしない気にしない。ほい、1、と」トンッ

ハハ ロ -ロ)ハ「緑チームいきマース」コロコロ……

ハハ*ロ -ロ)ハ「ワオ! 6!」

(*・∀・)「ハローナイス!」

ハハ*ロ -ロ)ハ「ニュッ君褒めてー!」

( ^ν^)「スルメやるよ」

ハハ*ロ -ロ)ハ「ワーイ」モキュモキュ

979 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:20:03 ID:ffDbR2JwO

( ゚∋゚)「そらっ」コロコロ

( ゚∋゚)「ええと、赤チームは4か」

ξ゚听)ξ「まずまずね」

(#゚;;-゚) パチパチ

(*゚ー゚)「白チームの白は白濁液の白! しぃ、いっきまーす!」コロコロ

川д川「勝手にチームカラーに変な意味含ませないでよお……」

o川*゚ー゚)o「最低ですね……ん、5ですって」

o川*゚ー゚)o「いーち、にーい、さーん、しーい……」トントン……

o川*゚ー゚)o「……ご……?」

(´・_ゝ・`)「どうかしたのかい?」

o川*゚ー゚)o「内藤さあん、なんか、マスにシール貼ってあるんですけど」

(*^ω^)「! 来たかお、お楽しみタイム!!」

ζ(゚、゚*ζ「……おたのしみたいむ?」

(*^ω^)「シールの下には、僕が事前に書いておいた『命令』が隠れているんだお。
       さあ、早速剥がすおー!」ペリペリ


     『面白い話をする』


(´・ω・`)「地味ー」

( ^ω^)「命令の難易度はばらばらだお。これは簡単な方だおね」

(´・_ゝ・`)「サイコロを振った人がやるの?」

( ^ν^)「しぃが話しても猥談になるだけじゃねえか」

( ^ω^)「同じチームの人が代わりにやっても良しとするお」

(*゚ー゚)「んー。キュートちゃんと貞子、面白い話ある?」

o川*゚ー゚)o「『面白いこと話せ』って言われると、なかなか思い浮かびませんね」

980 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:21:01 ID:ffDbR2JwO

川д川「……じゃあ、私が話すわあ……」

(;・∀・)「貞子が!? 何か意外!」

(;゚;;-゚) エー

( ^ω^)「おっおっお、じゃあ聞かせてもらおうじゃないかお」


〜数分後〜

川д川「……以上でえす……」

チ-----(  ω )(  ∀ )o川* ー )o(* ー )ζ( 、 *ζ-----ン

川д川「……そこ5人、どうしたのよう」

ζ( 、 *ζ「貞子さん……何で……怖い話とかしちゃうの……?」

川д川「面白いじゃないの……」

(  ω )「僕が言った『面白い』っていうのはね、お笑い的な意味のやつでね……」

(; ∀ )「た、箪笥の裏、裏の隙間……っ!」

o川; ー )o「鏡が! 鏡があっ!!」

(* ー )「あぶねえ……脳内で幽霊にボンテージ着せてなかったらチビってたわ……」

( ^ν^)ハハ ロ -ロ)ハ(#゚;;-゚)(´・_ゝ・`)(´・ω・`) ←平気

( ^ν^)(どうせなら文章で読みたい話だった)

ξ゚听)ξ「数人に相当なダメージを負わせたようね」

(;゚∋゚)(ツンが無表情のまま凄い力で腕を握りしめてくる……)

(  ω )「再開するお……」


【二巡目】 青:( ^ω^) 緑:( ・∀・) 赤:(#゚;;-゚) 白:o川*゚ー゚)o


( ^ω^)「6よ出ろ!」コロコロ

( ^ω^)「……あ」

ζ(゚、゚*ζ「1……」

981 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:22:12 ID:ffDbR2JwO

(´・ω・`)「おいこら」

ζ(゚ー゚;ζ「ま、まあまあ……狙って出したわけじゃないし……」

(;^ω^)「ごめんお」

(´・ω・`)「まったく、使えない仲間達だな」

( ・∀・)「よっ」コロコロ

(*・∀・)「あ、また6!」

ハハ*ロ -ロ)ハ「イエイ! ワタシ達ノッてマス──って、アラ、『お楽しみ』デスヨ」

(;・∀・)「うげっ、マジ?」

( ^ν^)「変なもんだったら鼻にスルメ詰めんぞ」

(;・∀・)「やめてよ!! えっと……」ペリペリ

     『青の3番が青の2番に告白』

( ・∀・)「……って何これ」

o川*゚ー゚)o「青の3番……?」

( ^ω^)「くっくっく……来たお、このすごろくの醍醐味……!」

(´・ω・`)「はいはい解説お願いします」

( ^ω^)「いわば王様ゲーム、そして王様はすごろくの盤!!
       これだけ言えばもうお分かりであろう!」

ζ(゚、゚*ζ「あー……クジの番号って、このための」

( ^ω^)「イエス! 場合によっては、サイコロを振った当人とそのチームメイトではなく
       無関係の人間が餌食になり得る闇のゲームだお!」

( ゚∋゚)「で、青の3番と2番って誰だ?」


(´・ω・`)←青3番 ( ^ω^)←青2番


(^ω^ )rz

ξ゚听)ξ「自滅したわね」

(*゚ー゚)「アホだ」

982 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:23:05 ID:ffDbR2JwO

( ^ω^)「あのあれパスもあるからパスも出来るからパスもOKだから。
       パスした人間が所属してるチームは一回休みになるけどパスも出来るから」

(´・ω・`)「まだ2マスしか進んでないのに一回休みになるのは厄介だからやるよ」

( ^ω^)「すごく嫌な予感がします」

(´・ω・`) コホン


(´・ω・`)「昔、ブーンの部屋にツンの下着が落ちてた事件があったけど、あれ僕がやったんだ」

( ^ω^)「何してんの?」


( ^ω^)「え? なん、……いや、何してくれてんの本当に」

(´・ω・`)「洗濯物取り込んだツンが廊下を歩いてるときにパンツ落としたの見て、つい悪戯心が」

ξ゚听)ξ「ショボンの仕業だったの……」

( ^ν^)「あのとき一ヶ月くらい家の中が気まずい空気で一杯だったんだが」

ハハ ロ -ロ)ハ「そんなコトありマシタっけ?」

(´・_ゝ・`)「僕らが生まれる前の話のようだね」

ζ(゚、゚;ζ「ショボンさん謝った方がいいです! 内藤さんとツンちゃんに謝って!」

(´・ω・`)「命令は『告白』まででしょ? 謝罪は含まれてないよね」

( ^ω^)「死ね。今すぐ死ね」

ζ(゚、゚;ζ「ほら内藤さんがニュッさんみたいになってるから!!」

(;゚∋゚)「あ、あれだ、続き、すごろくの続きやるぞ。でぃ、振れ」

(;゚;;-゚)ノノ コロリンチョ

川д川「5……はあい、お楽しみタイムよお……」

     『白の2番が好きな人を発表』

( ^ν^)「修学旅行の夜か」

983 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:23:38 ID:ffDbR2JwO

(*・∀・)「白の2番だれー?」

o川*゚ー゚)o←白2

o川*゚ー゚)o

o川*゚ー゚)o「は?」

(*^ω^)(*゚ー゚)「ひゅーひゅー!!」

o川;*゚ー゚)o「いやいや、いやいやいやいやいや」

ζ(゚ー゚*ζ「ひゅーひゅー!」

(´・ω・`)「きゃあきゃあ」

ξ゚听)ξ「やんややんや」

( ^ν^)「キャー キュートチャン ダイターン」

o川;*゚ー゚)o「すっごく腹立つ!! ニュッ君さん一番腹立つ!!」

川д川「ほら早くう……」グイグイ

( ゚∋゚)(何故キュートが俺の前に押し出されてくるのか)

ハハ*ロ -ロ)ハ(*゚;;-゚) wktkwktk

( ・∀・)「キュートちゃん理想高そうだけど好きな人いるのかな。あ、お団子ちょうだい」

(´・_ゝ・`)(まだ気付いてない人間がクックル以外にもいたとは)

o川;*゚ー゚)o「……。……く、」

( ゚∋゚)「?」

o川;*゚ー゚)o「く、……くく、る、く……く……る……」

( ゚∋゚)「く? る?」

o川;* ー )o「く」


o川;*゚∀゚)o「くくくくく、くるうちゃんでぇえええええええええす!!!!!
       ヒィイイイイイヤッハァアアアアアアアア!!!!!」

( ^ω^)「あー」

ξ゚听)ξ「やっぱ駄目だったわね」

984 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:24:33 ID:ffDbR2JwO

( ゚∋゚)「ああ、人として好き、みたいな……仲直りしたのか」

o川*;∀;)o「そうだよバーカ! バァアアアアアカ!!」

(;゚∋゚)「何で泣いてるんだ」

(´・ω・`)「はあ、先が思いやられるね。次いこう次」

ζ(゚、゚*ζ「ですね」


o川*;∀;)o「白組キュート振りまーすwwwwwそいやwwwwwwwwww」コロコロ

( ^ω^)(ついに壊れた……)

o川*;∀;)o「2wwwwwwwwwwwwwwwただのマスでぇええすwwww」

(*゚ー゚)「うん。キュートちゃん、次の出番までゆっくり休んでな。ね」

o川*;∀;)o「うひひwwwwwwwジュースくだちいwwwwwwwww」

(;´・_ゝ・`)「は、はい」


【三巡目】 青:(´・ω・`) 緑:( ^ν^) 赤:ξ゚听)ξ 白:川д川


(´・ω・`)「さあてショボン様の黄金の右手よ、あの馬鹿2人に格の違いを見せつけるのだ」コロコロ

┌───┐
│     │
│  ●  │
│     │
└───┘    ピタッ

ζ(゚、゚*ζ「1です」

( ^ω^)「1じゃねえか」

(´>ω<`)「僕らって仲良しだね♪ お揃いだあ♪♪♪」

( ^ω^)「おっと僕の中の殺意ゲージがMAXに」

985 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:25:29 ID:ffDbR2JwO

ハハ ロ -ロ)ハ「ニュッ君ガンバレー」

( ^ν^)「ん」コロコロ

(*・∀・)「6! すごいよ俺ら独走だよ、おせち食べられるかも!!
      ……って、またお楽しみだ」ペリペリ

     『しぃにセクハラされる(5分)』

川д川「うわあ、最悪……5分って長っ……」

( ^ω^)「一番の外れマスだお。あと、10分コースと3分コースもどこかにあるお」

ζ(゚、゚;ζ「何でそんなマス作っちゃうんですか! 俄然スリルが出てきましたよ!?」

(;*゚ー゚)「館長ったらいい仕事するわ! さあ誰だ、お姉さんに触られたいのは誰だ!?」

(;・∀・)「そ、そりゃ、サイコロ振ったニュッく……」


( ^ν^) ──wwヘ√レvv── ハ(ロ- ロ ハハ

──このとき、親友であり幼馴染みであり家族である2人の間でテレパシー並みの意思疎通が行われた!──


( ^ν^)ハハ ロ -ロ)ハ「モララー」

( ・∀・)「え?」

( ^ν^)「モララーが行く」

( ・∀・)「え?」

ハハ ロ -ロ)ハ「多数決ー。モララーが行った方がイイと思うヒトー」

( ^ν^)∩ ハハ ロ -ロ)ハ∩   (・∀・ )

ハハ ロ -ロ)ハ「ハイ決定!」

(;・∀・)「待てえええええ!!
      いっ、いつも、いつもそうだ! 昔からニュッ君とハローは何かあるとすぐ俺に押しつける!!」

(*゚ー゚)「決まったもんは仕方ないんだからうだうだ言ってないで来いよ」

(;・∀・)「や、やだ男らしい!! いやああああ!!!!!」


〜あっはんうっふん〜

986 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:26:17 ID:ffDbR2JwO

( ;∀;)「お婿に行けない……」サメザメ

(*゚ー゚)「ふう」

(;゚∋゚)(恐ろしい……)

(´・_ゝ・`)「何事もなかったかのように進めよう」

ξ゚听)ξ「ええ」コロコロ

(*^ω^)「いよっ、ツンちゃんはサイコロを振る姿も麗しい!」

(´・ω・`)「こいつうぜえ」

ξ゚听)ξ「2ね。……あら、普通のマスだわ。つまらないの」

ζ(゚、゚;ζ(あ、ツンちゃんノリノリなんだ……)

川д川(この夫にしてこの妻ありね……)

( ゚∋゚)「次は貞子か」

川д川「いきまあす……」コロコロ

(*゚ー゚)「3! そしてお楽しみタイム!」ペリペリ

     『緑の3番が青の1番の犬になる』

(;゚;;-゚) イヌ……

(;´・_ゝ・`)「待てよ、緑の3番って……」

( ^ν^)←緑3 ζ(゚ー゚*ζ←青1

ζ(゚ー゚;ζ「……って私達ですか!?」

( ^ω^)(アチャー)

(´・ω・`)「ニュッ君がプスッ、デレちゃんのい、犬ってクッ、どういうククッことさプーックスクス」

( ^ω^)「お手、おかわり、おすわり、伏せをやりきったらクリアだお。
       人の組み合わせによって面白さが変わるネタだったけど、これは……」

ζ(゚ー゚;ζ「ど、どうします……? やります?」

( ^"ν^)「パス」

ハハ ロ -ロ)ハ「一回休みになっちゃうジャないデスカー」

987 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:26:57 ID:ffDbR2JwO

( ゚∋゚)「この場合、一回休みになるのは緑チームだけなのか?」

( ^ω^)「いや、うちのチームも」

(´・ω・`)「はあ? じゃあパスは許可出来ないな。
      緑はトップだから一回ぐらい休んでもいいだろうけど、こっちは今ビリなんだよ」

( ^"ν^)「パスったらパスだ」

(´・ω・`)「10年前の8月23日のことや13年前の5月1日のことをばらされたいのかい」

( ^"ν^)

( ^"ν^)「さっさとやるぞデレ」

ζ(゚、゚;ζ(な、何があったんだろう……)


ζ(゚、゚*ζ「……お手」

( ^ν^)つヽζ(゚、゚*ζ

ζ(゚、゚*ζ「おかわり」

( ^ν^)つヽζ(゚、゚*ζ

(´・_ゝ・`)(AA一緒だな……)

ζ(゚ー゚*ζ「おすわり」←楽しくなってきた

( ^ν^) シャガミッ

( ^ν^)ヾζ(^ー^*ζ「よーしよしよし、ニュッはいい子だねー!」ナデナデ

     パシィイイイン
( ^ν^)☆))ー^*ζ「バックギャモンッ!!」
   ⊂彡

(;^ω^)「デレちゃーん!!」

ξ゚听)ξ「今のはデレが悪いわ」

::ζ(;д;*ζ::

( ^ν^)「調子乗んな」

ζ(;д;*ζ「ごめんなしゃい……」

──青・緑チーム、一回休み──

988 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:27:41 ID:ffDbR2JwO

〜かくして〜

     『緑の1番が一発芸』

ハハ 3 -3)ハつ-ロ-ロ「のび太」

( ^ω^)ξ゚听)ξ(´・ω・`)o川*゚−゚)oζ(゚、゚*ζ

(;・∀・)「だからやめろって言ったじゃん! それウケたことないんだから!!」


〜多くの傷を残しながら〜

     『赤の1番と赤の2番がポッキーゲーム』

( ゚∋゚)←赤1 (#゚;;-゚)←赤2

(*ノ;;-ノ) キャッ

(*゚ー゚)「デミタスが持ってきたお菓子の中にポッキーが……」

o川#゚д゚)o「おおーっとうっかり手が滑ってポッキーが全部デミタスさんの口にぃいー!!!!!」メシャァアア

(;´ _ゝ `)「ほぐっ!!?」


〜すごろくは〜

     『赤の3番と青の3番は二巡後まで猫語で話す』

ξ゚听)ξ←赤3

(*^ω^)「うっひょおおおおおお!! キタキタキタァアアアア!!」

(´・ω・`)「猫語なんて恥ずかしいにゃん。あっ、猫語にゃんて恥ずかしいにゃん☆」

( ^ω^)「お前は喋るな。黙ってろ。わざわざ言い直すな」

(´・ω・`)「ブーンにゃん酷いにゃん」

( ^ω^)「僕がこのネクタイを貴様の首に掛けて引き絞る前に口を閉じろ」

(*^ω^)「さあツン、僕とお話をしよう!」

ξ゚听)ξ ナァア---オ

( ^ω^)

989 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:28:30 ID:ffDbR2JwO

ξ゚听)ξ ンヌァアア-----オ

( ^ω^)

ξ゚听)ξ ンマァ---

( ^ω^)「ちゃうねん。リアルに猫っぽく話せってことちゃうねん」


〜着々と進んでいった〜

     『しぃにセクハラされる(10分)』

(*゚ー゚)「今は白チームのターンだから、貞子かキュートちゃん! どっちが遊んでくれるんだい!?」

川д川「しぃで」

(*゚ー゚)

o川*゚ー゚)o「はい、サイコロ振ったのしぃさんですし」

(*゚ー゚)「とんだセルフサービスじゃねえか!!」


*****


(´・_ゝ・`)「現在トップはニュッ君率いる緑チーム、2番手はキュートさんたち白チーム、
        それから次がツンたち赤チームで、ビリは館長の青チームだね」

(;^ω^)「うぐぐ……随分と引き離されてるお……」

(*・∀・)「あと少しだ! もしかして俺ら一番に上がっちゃうんじゃない?」

ハハ*ロ -ロ)ハ「おせちーおせちー。伊達巻ーカマボコー」

( ^ν^)(海老……)

o川*゚ー゚)o(このまま2位で抜ければ、お年玉はなくてもクックルさんが手伝ったおせちは食べられる……!)

(*゚ー゚)「待ってろや鯛! 数の子!」

ξ゚听)ξ「栗きんとんはあるのかしら」

(*゚;;-゚)(昆布巻き)

(´・ω・`)「おせちよかお年玉だよお年玉あ……」

990 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:29:31 ID:ffDbR2JwO

川д川「……みんな、なかなか燃えてるわねえ……」

( ゚∋゚)「そうだな」

ζ(゚、゚*ζ「おせち、お口に合うといいんですけど」

(´・_ゝ・`)「さ、改めて士気も高まったところで、続きといこうか。青チームはデレさんの番」

ζ(゚ー゚;ζ「はい。……ううーん、私達のチーム、2位以上には食い込めないかもしれませんね」

(;^ω^)「小さい数字ばっか出たから……。逆転するには残り全部、5や6が出ないと」

ζ(゚、゚;ζ「無理そうですね」

(;^ω^)「だお……」

(´・ω・`)「──諦めてもらっちゃ困るな」

(;^ω^)「お?」

(´・ω・`)「さあ、振るんだデレちゃん」

ζ(゚、゚;ζ「分かりました……。……小さいのしか出なくても怒らないでくださいね?」

(´・ω・`)「大丈夫だとも」

 コロコロ……

(´・ω・`)「言っただろう。この僕と一緒のチームになれたんだから、君達の今年の運勢は──」

 コロ……

(´・ω・`)「──大吉なんだって」


┌───┐
│●  ●│
│●  ●│
│●  ●│
└───┘   ピタッ


ζ(゚ー゚*ζ「あ……6だ! 6ですよ!」

(*^ω^)「やったおデレちゃん!!」

(´・ω・`)「さあ、駒を進めようじゃないか」

991 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:30:21 ID:ffDbR2JwO

──その後も、青チームは6や5といった大きな目を連発し、

(*^ω^)「5だおー!」


(´・ω・`)「はい、6」


ζ(゚ー゚*ζ「やった、また6です!」

──そして、



トン、トン、トン……

コツリ


(´・ω・`)「上がり。……青チーム、一抜けだ」


*****



(´・ω・`)「お年玉ってこれだけ? しけてんなあ」

( ^ω^)「なら返せお」

ζ(゚、゚*ζ「あのう、こんなにもらっていいんですか……?」

(*^ω^)「いいのいいの、デレちゃんは去年も『本』を探すの頑張ってくれたから。
       それより、この煮しめ美味しいお!」

ζ(゚ー゚*ζ「本当ですか? 良かった、私が作ったんですよ」

ξ゚ー゚)ξ「黒豆も美味しいわ」

( ゚∋゚)「それは俺が作ったやつだな」

(*´;;-`)(昆布巻き)ホワーン

( ;∀;)「うう……おせち……おせち……」

( ^ω^)「3位とビリ共はお雑煮だけで我慢するお」

992 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:31:35 ID:ffDbR2JwO

( ;∀;)「ニュッ君がお楽しみタイムでパスばっかするからぁあ!」

( ^ν^) シカト

(´・_ゝ・`)「途中から変なのばかり引き当ててたからね、緑チーム。あ、なます美味しいな」

o川;゚ー゚)o「何でゲーム参加しなかった盛岡さんがおせち食べてるんですか! ずるい!」

川д川「私は調理の段階で色々味見したから、おせちは別にいいんだけどお……でもビリは悔しいわあ……」

(;*゚ー゚)「青チームの後半の追い上げ異常だろ! 何かしたんじゃないのか!?」

(´・ω・`)「ちょっくら勝利の女神を笑い転げさせただけさ」

ハハ ロ -ロ)ハ「デレー」

ζ(゚ー゚*ζ「はい?」

ハハ ロ -ロ)ハ「伊達巻クダサーイ」

ζ(゚ー゚*ζ「いいですよー」

(;・∀・)「ってハローずるっ!!」

ζ(゚ー゚*ζ「モララーさんも何か食べます?」

(*・∀・)「え……じゃあ焼き魚食べたいな」

(*゚ー゚)「なら私にも数の子よこせや! でぃちゃん数の子あんまり好きじゃないし!」

o川;*゚ー゚)o「あ、く、黒豆食べたい、何か急に黒豆食べたくなったなどうしようかな!!」

( ゚∋゚)「食うか? こっち来い」

o川;*゚ー゚)o「そそそそそそこまで言うなら!」

川д川「松風焼きちょうだい……」

ξ゚ー゚)ξ「いいわよ」

993 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:32:17 ID:ffDbR2JwO

ワイワイガヤガヤ

( ^ν^)(結局全員食ってんじゃねえか)

チョンチョン

( ^ν^)「あ?」

ζ(゚ー゚*ζ「海老食べます?」

( ^ν^)「……食う」

ζ(゚ー゚*ζ「どうぞ! あ、隣、失礼します」

( ^ν^) モシャモシャ

ζ(゚ー゚*ζ モグモグ

ζ(゚ー゚*ζ「ねえ、ニュッさん」

( ^ν^)「何だよ」

ζ(゚ー゚*ζ「今年もよろしくお願いしますね」

( ^ν^) モシャモシャ

( ^ν^)「ん」

ζ(^ー^*ζ「ん!」





おしまい

994 名前: ◆c9sFVHJv2E:2012/01/03(火) 12:34:51 ID:ffDbR2JwO

以上
今度こそ本当に、この作品でネタ書きません! はい!

あとは1000まで行くことを祈りつつ引っ込みます
何日か置いたらログ送りしてもらいます


ではでは、ありがとうございました!

995 名前:名も無きAAのようです:2012/01/03(火) 12:44:37 ID:gx29N7CY0
乙!次の作品も期待してるからな!!

996 名前:名も無きAAのようです:2012/01/03(火) 12:58:48 ID:a/5CSLSUO
乙!楽しかった!

997 名前:名も無きAAのようです:2012/01/03(火) 13:11:57 ID:XlRTv8Ro0
乙!
楽しかった

998 名前:名も無きAAのようです:2012/01/03(火) 13:21:59 ID:7ROL7Dmo0
乙!面白かった
バックギャモンwww

999 名前:名も無きAAのようです:2012/01/03(火) 13:24:14 ID:6fZieRgk0
乙なのです!!
良いお年玉だ~!!

1000 名前:名も無きAAのようです:2012/01/03(火) 13:24:25 ID:sVjDhrLkO
面白かった!終わってしまうのが寂しいけど、乙!!


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