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ζ(゚ー゚*ζ あな素晴らしや、生きた本 のようです

1 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/08/27(土) 18:35:39 ID:8EBaTv7QO
ゆーっくり投下

2 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 18:38:16 ID:EfC.EWno0
キター!!

3 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 18:41:56 ID:8EBaTv7QO

まとめ様

ブーン芸さん http://boonsoldier.web.fc2.com/ikitahon.htm

ちょいといっぷくさん http://boon.choitoippuku.com/

前スレ http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/37256/1307282421/


第九話前編投下しマイクロエレクトロニクス

毎度のことながら、長い&ゆっくりペース

4 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 18:42:50 ID:UAox.kdc0
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

5 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 18:44:23 ID:8EBaTv7QO

『あの2人、どうするんだ』

『どうしようもないわよ。2人も引き取れないんだから』

『別に両方引き取れってわけじゃ……』

『小さい子――ニュッ君が、ホライゾン君から離れたがらないのよ。
 みんなが声かけても無視するし、頭を撫でようとすると逃げるの。
 あの子、本当可愛くないわ。……ねえ、施設に預けられないの?』

『世間体ってもんがあるだろ』

『じゃあ兄さんがニュッ君の方を引き取ってよ。私がホライゾン君の面倒見るから』

『ホライゾンだって厄介なのは変わらないぞ。
 あれ見たかよ、「血の臭いがする」って言って必死に顔洗ってたんだ。気味悪い』

『……やだ、何それ。やっぱり施設に入れましょうよ、ねえ。
 そんなの引き取った方が世間体悪いわよ』

『そうは言ったって――』

『……あ』

『ん? どうした?』

『いるじゃない。2人引き取れるくらい生活に余裕があって、
 世間の目なんか全然気にしない人』



#####

6 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 18:48:50 ID:8EBaTv7QO


 交通事故が起きたとき、内藤ホライゾンは母の下敷きになっていた。

 それは咄嗟に息子を庇った母の愛ゆえの行動であったが、
 彼にトラウマを植えつける決定的な原因でもあった。

 彼女から溢れる血が、内藤に向かって流れ落ちていく。
 横転した車の中、即死だった母の下から這い出るのは非常に難しく、
 内藤は、自分の顔や体を染めていく母の血から逃げられなかった。

 後ろからは、従兄弟を抱えている叔母の声がする。
 痛い、苦しい、痛い――本当に辛そうな呟き。

 救助されるまでの間、内藤は動くことも気絶することも出来ず、
 口にまで入り込む生暖かい血液の感触と臭い、弱々しくなっていく叔母の悲痛な声を、
 ただただ受け入れるしかなかった。


 後日、警察から全てを聞いた彼が「良かった」と思えたのは、たった一つ。

 従兄弟は事故直後に気を失っており、
 あの光景を目の当たりにせずに済んだということだけだ。



.

7 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 18:50:54 ID:8EBaTv7QO


 ――それからは、ふとした拍子に血の臭いが内藤の鼻を掠めていくようになった。

 体をいくら洗おうとも気付けば臭いが漂い、
 その度に事故の光景が頭を過ぎる。

 誰に訴えても、そんな臭いはしないと答えられた。
 医者が言うには幻覚の一種らしい。
 事故のときに受けた精神的なショックが原因だろうとのことだった。



( ^ω^)(……臭いお)

 葬儀場の裏手。
 このときも、内藤は、ありもしない臭いに顔を顰めていた。

( ^ω^)『ニュッ君、変な臭いしないかお』

( ^ν^)『しない』

 手首を嗅ぎながら隣にいる従兄弟の内藤ニュッに訊ねてみると、
 ニュッはぶんぶんと首を横に振って否定した。

8 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 18:52:21 ID:8EBaTv7QO

 そうかお、と返し、手を下ろす。
 少し間をあけて、ニュッが内藤の手に顔を近付けた。

( ^ν^)『やっぱりしない』

( ^ω^)『……うん。ありがとうお』

 5歳児に気を遣わせてしまって、申し訳ないやら情けないやら。

 ニュッへ礼を告げた直後、後ろから足音がした。


( ´∀`)『こんなところで何してるモナ』

(;^ω^)『――祖父ちゃん』


 かけられた声に、内藤がぎょっとする。

 内藤モナー。彼らの祖父だ。
 腕を組み、2人をじろじろ眺め回している。

 一応は祖父と孫の関係であるが、内藤は彼のことをよく知らない。
 年に一度、正月に挨拶をしに行く程度の付き合いだ。
 父母の都合により正月の顔見せが出来なかった年すらある。

 13歳の内藤でこれだから、ニュッに至っては
 祖父との会話など片手で数えられるくらいしかないだろう。

9 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 18:53:26 ID:8EBaTv7QO

( ^ν^)『……』

 ニュッが内藤の足にしがみついた。
 先日、伯母と伯父が引き取り云々の話をしてからというもの、
 内藤以外の人間が近付くと逃げるようになってしまった。

 そんなニュッを見下ろし、モナーは首を右に傾ける。

( ´∀`)『なるほど、本当にホライゾンから離れないようモナね』

(;^ω^)『……人見知りなんだお』

( ´∀`)『モナモナ。まあ、安心するモナ』



( ´∀`)『お前らまとめて、うちに押しつけられたモナよ』



.

10 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 18:54:04 ID:8EBaTv7QO



第九話 あな悲しや、私小説・前編



.

11 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 18:57:40 ID:8EBaTv7QO


 ぱきり。
 内藤がペットボトルのキャップを回した。

 長岡デレは、サンドイッチにも紅茶にも手をつけず、彼の動きを目で追っている。

 ペットボトルを離し、内藤は口元を手の甲で拭った。

( ^ω^)「僕もニュッ君も祖父ちゃんも、親戚中から疎まれていたから。
       邪魔者は邪魔者同士、お似合いだったんだお」

ζ(゚、゚*ζ「……」

 何とも悲しい言い方だ。
 けれど、どうフォローしていいのか分からない。
 デレは口を結んで視線を逸らした。

( ^ω^)「それで、僕達は祖父ちゃんの家に引き取られたお」

ζ(゚、゚*ζ「お祖母さんは、いらっしゃったんですか?」

( ^ω^)「いいや。僕が生まれるより前に亡くなっていたらしいお」

ζ(゚、゚*ζ「それじゃあ、モナーさん、お一人で……?」

 内藤は顎を指先で叩き、首を横に振った。
 5秒間の沈黙。

( ^ω^)「2人暮らしだったお。
       ……ツンと、一緒に」





*****

12 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 18:58:43 ID:8EBaTv7QO



ξ゚听)ξ「はじめまして。ええと――ホライゾン君とニュッ君だっけ」

(;*^ω^)「……おー……」

 何とまあ。

 出迎えた少女を見て、内藤は硬直してしまった。
 2人分のボストンバッグが両肩から滑り落ち、片方の鞄が玄関に置かれた祖父の靴を潰す。

( ´∀`)「これはツンだモナ」

(;*^ω^)「つ、ツン、さん」

ξ゚听)ξ「呼び捨てでいいわよ」

 遠慮なんかしないで、と。
 ツンという名の少女は微笑んだ。

ξ゚ー゚)ξ「ね」

(;*^ω^)「は、はいお」

 高校生くらいに見える。
 内藤より僅かに背が高い。

 どこもかしこも綺麗だった。
 顔や体だけでなく、声も仕草も、何もかも。

 同じ人間とは思えないほど美しい。
 まるで作り物みたいだ。

13 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:01:26 ID:8EBaTv7QO

ξ゚ー゚)ξ「ニュッ君もよろしくね」

(*^ν^)「……ん」

 モナーから、身寄りのない少女をお手伝いとして住まわせているとは聞いていた。
 それが、こんな美少女だったなんて。

 ツンは笑みを深くさせると、落ちたままのボストンバッグに手を伸ばした。

ξ゚听)ξ「どっちがホライゾン君の?」

(;^ω^)「あ、青い方が僕ので、そっちの黒いのがニュッ君――って僕が持つお」

ξ゚听)ξ「いいわ、平気平気。遠くから来て疲れたでしょ」

(;^ω^)「物がいっぱい入ってるから、重……」

 両方の鞄を軽々と抱えて歩き出したツン。
 階段を上っていく彼女を、内藤は呆然と眺める。
 あの腕のどこに、そんな力が。

 階段の真ん中で立ち止まったツンは、何食わぬ顔で振り返った。

ξ゚听)ξ「おいで。案内するわ」

(;^ω^)「……はい」

( ´∀`)「モナモナ、あれは力持ちなんだモナ」



#####

14 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:02:45 ID:8EBaTv7QO


ξ゚听)ξ「基本的に、生活するのに使うのは2階だけなの。
      食堂とかお風呂場も2階にあるわ」

( ^ω^)「1階は?」

ξ゚听)ξ「客間とか――あとは、ほとんど物置みたいなものね。
      あ、でも1階のリビングにはテレビがあるのよ。他の部屋にはないわ」

 2階に上がると、まずは階段の真正面へ進んでいった。
 廊下を挟んで左右にそれぞれ5室ずつ。

( ´∀`)「それじゃあ、後は任せたモナ」

ξ゚听)ξ「はいはい。ご飯の時間になったら呼ぶわね」

 一番奥、右手の部屋にモナーが引っ込んだ。
 その向かいがツンの部屋だという。

ξ゚听)ξ「ホライゾン君の部屋はこっち。私の隣ね。ニュッ君はモナーさんの隣」

(;^ω^)「ツンさ、……ツンの隣かお」

ξ゚听)ξ「嫌?」

(;^ω^)「……嫌ではないけど」

 彼女からしてみれば自分などまだまだ子供なのだろうと、内藤は肩を落とした。
 意識しているのは自分だけだ。

15 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:04:19 ID:8EBaTv7QO

ξ゚听)ξ「ひとまず荷物は置いて……他のところも回りましょう」

 ドアの前に鞄を置き、ツンが踵を返す。
 それから、ニュッに手を伸ばした。

ξ゚ー゚)ξ「手、つなごっか」

(;*^ν^)「い、いらない」

ξ゚ー゚)ξ「いいからいいから」

 もごもごと曖昧に拒否していたニュッだったが、やがて観念したか、
 ツンの白い手をそっと握った。

(;^ω^)「ニュッ君ずるい!」

ξ゚听)ξ「ホライゾン君も繋ぐ?」

(;^ω^)「……いえ」

ξ゚听)ξ「そう。さ、行きましょ」

(;^ω^)(僕の馬鹿)

16 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:06:24 ID:8EBaTv7QO

 廊下を進む。

 残りの6室のドアを見渡し、内藤はツンに問い掛けた。

( ^ω^)「他の部屋は何の部屋なんだお?」

ξ゚听)ξ「……見る? びっくりするわよ」

(;^ω^)「びっくり?」

 いたずらっぽく笑って、ツンはある部屋の前で足を止めた。
 空いている方の手でドアを引く。

 中を覗き込んだ内藤とニュッは、思わず息を呑んだ。

(;^ω^)「……本」

 いくつも並んだ本棚。
 それぞれの棚の間には、人が通れる程度のスペースしかない。

ξ゚听)ξ「モナーさんのコレクションの一部よ。あの人、本好きなの。
      この部屋にあるのは――ほとんど、SFだったかしら。
      あっちの部屋はホラーが多いし、そっちはミステリ。部屋っていうか書庫ね」

(;^ω^)「……もしかして、6部屋全部書庫なのかお」

ξ゚听)ξ「1階にはもっとあるわ」

 溜め息が出た。
 いくら何でも多すぎる。

17 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:09:37 ID:8EBaTv7QO

 半ば呆れながら息を吸い込み、内藤は眉を寄せた。

 埃っぽさの中に混じる、血の臭い。

ξ゚听)ξ「奥にあるほど、モナーさんのお気に入りでね――」

(;^ω^)「っ!」

 身を乗り出させたツンが内藤と密着する。
 内藤は肩を跳ねさせ、ツンから離れた。

ξ゚听)ξ「……どうしたの?」

(;^ω^)「……いや、別に」

ξ;゚听)ξ「あ、ごめん、くっつかれるの嫌だった?」

(;^ω^)「違うお、あの、……えっと」

 俯き、鼻に腕を押しつける。
 やはり臭う。

 錯覚だとは分かっているが、それでも、「もしかしたら」という言葉が不安を煽る。

 もしかしたら、自分には本当に臭いが染みついているのだけれど、
 周りのみんなは気を遣って「臭わない」と言ってくれているのではないか――とか。

 そのせいで、人混みに入るのも億劫に感じてしまう。

18 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:11:40 ID:biEpu6OMO
やべぇ来てる支援

19 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:12:01 ID:8EBaTv7QO

( ^ν^)「……兄ちゃん……」

ξ;゚听)ξ「……あ。ごめん、あれだっけ。血の……」

(;^ω^)「知ってるのかお?」

ξ;゚听)ξ「モナーさんから聞いて……でも、全然そんな臭いしないよ?
      嘘とかじゃなくて、本当に!
      ……って、こう必死に言っちゃうとますます怪しいかな!?」

(;^ω^)

ξ;゚听)ξ

(;^ω^)「……案内続けてほしいお」

ξ;゚听)ξ「待って、どうしたら信じてくれる!?」

(;^ω^)「大丈夫大丈夫、もう臭わないから……」

 ニュッが、そっぽを向いて笑う。
 内藤とツンは顔を見合わせ、同時に吹き出した。



#####

20 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:12:58 ID:mCHMDnMEO
しえん

21 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:13:44 ID:8EBaTv7QO



( ^ω^)「はあ……」

 その日の夜。

 ベッドに飛び込み、内藤は室内を見渡した。

 必要最低限の家具しか置かれていない。
 欲しいものがあるなら買ってやると夕食のときにモナーから言われたが、
 いざ考えてみると、どうしても遠慮してしまって、「このままでいいか」なんて思えてくる。

( ^ω^)(……)

 シーツに顔を埋めた。

 ベッドからは真新しい匂いがする。
 内藤達を引き取ることが決まってから購入したのだろう。

22 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:15:42 ID:8EBaTv7QO


 ああ。
 他人の家だ。

 「内藤の物」なんて、ベッドの足元にあるボストンバッグの中身だけ。


( ^ω^)

( ^ω;)

( ;ω;)


 鼻の奥が痛み、目尻に涙が浮かんだ。
 震える歯で、弱々しく下唇を噛む。

 両親とは二度と食卓を囲めない。
 おはようやおやすみも言い合えないし、顔を見ることも出来ない。

 寂しい。悲しい。

 こんなに寂しいのなら、自分も一緒に死にたかった。
 家族と一緒にいたかった。

 生き残ってしまったばっかりに、独りぼっちになって。
 親戚中から厄介者扱いされて。
 孫になど関心のない祖父のもとに預けられて。


.

23 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:19:20 ID:M0EHlUBUO
わあぁ支援

24 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:19:27 ID:8EBaTv7QO



( ;ω;)「……おー……」



 迎えに来てほしい。
 父さん、母さん。
 迎えに来て、連れていってほしい。


 夜毎に沸き上がる願望。
 今日は、それがいつもよりも強かった。



.

25 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:20:17 ID:J/pXo2gkO
あな本来たぁぁあ!!

支援!

26 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:21:11 ID:8EBaTv7QO

 鼻水まで垂れてきた。
 起き上がり、ボストンバッグからポケットティッシュを引っ張り出す。

 鼻をかんで――


( ;ω;)「……!」


 内藤は、ベッドから飛び下りた。

 涙を流したまま部屋を出る。
 明かりがなく、静まり返った廊下。ツンやモナーはもう寝たのかもしれない。

 すぐに、向かいのドアを叩いた。

( ぅω;)「ニュッ君。入るお」

 返事は待たず、ドアノブを捻る。
 そのまま引くと、隙間から光が漏れた。

27 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:25:43 ID:8EBaTv7QO

( ;ν;)

 ベッドの上で、ニュッは蹲っていた。

 声は出ていないが、時折、しゃくり上げるかのように肩を跳ねさせている。

( ;ω;)「……ごめんお、ニュッ君」

 彼のことにまで気が回らなかった自分を恥じた。

 小さな体には広すぎる部屋。大きすぎるベッド。
 まだ、たったの5歳なのだ。

 内藤よりもずっと寂しくて、ずっと心細い筈ではないか。

( ;ω;)「一緒にいるお」

( ;ν;)「……」

 ベッドに腰掛けた内藤へ、ニュッがにじり寄る。

 彼も、自分のように、両親が迎えに来るのを望んでいたのだろうか。
 だとしたら――とても悲しいな、と。
 ニュッの背中を撫でながら、内藤は胸中で呟いた。



#####

28 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:27:11 ID:8EBaTv7QO



 一週間が経った。

 あれから毎晩、内藤はニュッの部屋で寝た。
 泣き疲れた頃にようやく眠りに落ちるといった日々。



ξ゚听)ξ「モナーさんは元々無神経なところがあるから仕方ないとして、
      私まで気付かなかったのは、本当にごめんなさい」

 2人が一緒に寝ているのを知ったツンに、何度も謝られた。
 そう頭を下げられても困る。誰が悪いわけでもない。

(;^ω^)「いいお、謝らなくて」

ξ;゚听)ξ「でも……ちょっと考えれば分かるじゃない。
      まだ5歳のニュッ君を、こんな慣れない場所で1人にするなんて酷いことよ。
      もーっ! 私の馬鹿!」

 内藤は苦笑し、ひらひらと右手を振った。
 ツンの隣で、むっとしているニュッ。
 子供扱いされたのが気に入らない御様子である。実際に子供のくせに。

29 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:30:53 ID:8EBaTv7QO

ξ;゚听)ξ「ニュッ君! 何なら私も一緒に寝てあげる!」

( ^ω^) ポブッ

 アイスティーを口に含んだ内藤は、勢いよく噴き出した。

 「も」って。
 3人で寝る気か。

(;*^ν^)「や、やだ……」

ξ;゚听)ξ「……『やだ』は傷付くなあ」

(;^ω^)(了承されても、こっちが困るお)

 ――現在、彼らはリビングでアイスティーとクッキーを飲み食いしながら雑談していた。

 夏も盛りな8月。
 リビングと客間にしかクーラーがないので、昼間は大体ここに集まっている。

 モナーだけは自分の部屋に篭りっぱなしだ。
 本でも読んでいるのだろう。

30 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:33:52 ID:M0EHlUBUO
ニュッ君が可愛い…だと…

31 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:34:55 ID:8EBaTv7QO

ξ゚听)ξ「そういえば、ブーン、どう? そろそろ覚えた?」

 クッキーを齧り、ツンが訊ねた。

 「ブーン」は、昔、内藤の同級生に付けられたあだ名だ。
 ブーンと言いながら飛行機を真似て駆け回ったのが理由だった筈。

( ^ω^)「何を?」

ξ゚听)ξ「学校への道順とか」

( ^ω^)「……おー……ううんと……」

 曖昧に返し、内藤はクッキーに手を伸ばした。

 今は夏休み中であるが、それが明ければ、内藤は転校生として
 こちらの中学校に通うことになる。

 新学期に備え、通学するための道筋を把握しようと何度か外にも出てみたが、
 未だに学校に辿り着けていない。

( ^ω^)「おーん……」

 アイスティーを飲むニュッに目をやった。
 彼が使うには少々グラスが大きいらしく、両手で挟むように持っている。危なっかしい。

32 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:37:41 ID:8EBaTv7QO

( ^ω^)(……ニュッ君が恐がっちゃうんだお)

 内藤が道を覚えられない理由は、ニュッにあった。

 長時間離ればなれになるのが嫌なのか、内藤が外出する度ついてくるニュッ。
 初めは普通に歩いているのだが、車を見た途端に帰りたがってしまうのである。

 そのため、ものの数分で帰宅する羽目になるのだ。

( ^ω^)(どうにか、留守番出来るようになってくれないかお……)

 何か――内藤が傍にいなくとも、ニュッが安心していられるようなものがあればいいのに。
 たとえば玩具だとか、あるいは、没頭出来る趣味だとか。



.

33 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:38:05 ID:C6OjG5os0
ツンがすごく活発なお姉さんっぽくて好みなんだが
ブーンとニュッ君の過去が辛いな
支援

34 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:39:15 ID:SmcgXQPI0
ニュッ君にも可愛い頃があったんだな…支援

35 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:40:39 ID:8EBaTv7QO



( ´∀`)「――2人共、来るモナ」

 ある蒸し暑い夜。2階の廊下。
 モナーが、内藤とニュッへ声をかけた。

 モナーの部屋の前で手招きしている。

( ^ω^)「何だお?」

( ´∀`)「いいからいいから」

(;^ν^)「んわっ!」

(;^ω^)「あ、誘拐」

 ニュッが抱え上げられた。
 そのまま部屋へと連れ去られていく。
 内藤は少し迷ってから、溜め息をついて後に続いた。

36 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:43:28 ID:8EBaTv7QO

( ´∀`)「ツンが、うるさいモナよ」

 ベッドに座らされた内藤とニュッ。
 モナーは本棚の前に立ち、そこに並ぶ本の背表紙を指先で撫でていった。
 どれを取るか迷っているかのような仕草だ。

(;^ω^)「ツン?」

( ´∀`)「『ブーンとニュッ君を寂しがらせないで!』とか。
       ……知ったこっちゃないモナ」

 不自然な裏声を出すモナー。物真似のつもりだろうか。
 そうかお、と返しながら、内藤はきょろきょろと視線を彷徨わせた。

 壁に、写真が3つ飾られている。
 その内2つは内藤とニュッの両親達。
 残る一つには、女性が写っていた。


     |゚ノ ^∀^)


 恐らく、50代前半。

 内藤達が生まれるよりも前に、モナーの妻――祖母は亡くなってしまったらしい。
 あの写真の女性が祖母なのだろう。
 目元などを見てみると、なるほど、内藤やニュッに似ていなくもない。

37 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:45:50 ID:8EBaTv7QO

( ´∀`)「何で1人で死ぬモナかね」

(;^ω^)「え」

 写真に見入っていた内藤は、モナーの声がすぐ傍で聞こえたことに驚いた。
 いつの間に近付いていたのか。

 モナーが懐から取り出した老眼鏡をかけると、かちゃりと小さな音が鳴った。

( ´∀`)「こっちの都合を無視して勝手に死ぬとは迷惑極まりないモナ。
       ――さあさ、寝た寝た」

(;^ω^)「何の話……おおっ」

(;^ν^)「あ」

 肩を押され、内藤はベッドに倒れ込んだ。
 ヘッドボードに頭を打ちつける。

 何をするのだと睨む内藤を意にも介さず、モナーはニュッも横にさせると
 天井からぶら下がる照明を消した。

38 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:50:42 ID:8EBaTv7QO

 真っ暗になった室内。
 一呼吸置いて、仄かな明かりが灯る。
 ベッドサイドテーブルに置かれた電気スタンドの、柔らかな橙色の光。

 モナーはベッドの傍に寄せたアームチェアに座り、抱えていた一冊の本を開いた。

( ´∀`)「毎日毎日家の中にばかりいて、退屈しないモナ?」

(;^ω^)「あんたが言うかお。……まあ、やることはないお」

( ´∀`)「この家の中で手っ取り早く暇を潰すなら、読書が一番モナ」

(;^ω^)「読書? 祖父ちゃんのコレクション、勝手に触っていいのかお?」

( ´∀`)「いや、好き勝手に触るのは控えた方がいいモナね。
       本が読みたくなったら、僕かツンに声をかけてほしいモナ」

 扉、前書き、目次。
 ページを繰っていき、咳払いを一つ。

( ´∀`)「……『小さな村に住んでいた、小さな男の子のお話』」

 モナーの朗読は、なだらかに進められた。

 この歳になって就寝前の読み聞かせというのも気恥ずかしいが、
 内藤は文句を飲み込み、目を閉じて耳に意識を集中させた。

39 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:52:09 ID:8EBaTv7QO

 細く開けられた窓。
 その隙間から忍び込んだ風が、内藤達を擽っていく。

 耳を澄ますと、時折、遠くから鳥や虫の鳴き声がするのに気付いた。
 朗読の邪魔になるほどの大きさではない。
 鳴き声も、モナーの声も、耳に心地いい。


( ´∀`)「――『そうして、彼は、母のために村を出たのでした』」


 本の内容は、少年が旅をして、色々な人物や動物に巡り会うという
 在り来たりな感もするものである。

 どうせニュッに合わせて幼児向けの話を選んだのだろうと
 あまり期待せずに聞いていた内藤だったが、
 次第に、モナーの口から流れてくる物語にのめり込んでいった。

( ´∀`)「『少年が狼を追い払ってやると、おばあさんは大層喜んで――』」

(*^ν^)

 そっと瞼を持ち上げると、微光に照らされたニュッの顔が視界に入った。
 眠たそうに目元を擦りながら、懸命にモナーの話を聞いている。

 楽しそうだ。

40 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:56:41 ID:8EBaTv7QO

 やがて睡魔に負けたか、ニュッは寝息をたて始めた。
 モナーが一旦テーブルに本を置き、2人にタオルケットをかける。
 ふと、内藤とモナーの目が合った。

( ´∀`)「続き、聞くモナ?」

( ^ω^)「……いいお」

( ´∀`)「そうモナか」

 頷いて、モナーがニュッの頭を撫でる。
 その仕草が、少し意外に思えた。

(*‐ν‐)

( ´∀`)「それじゃあ、おやすみ。ホライゾン」

 モナーの手が一瞬内藤に近付いたが、宙を彷徨った後、電気スタンドのスイッチを押した。
 頭を撫でられる歳ではないと判断したのだろう。

 暗闇の中、内藤は寝返りをうつ。
 ずるずると沈んでいく意識が途切れる直前、
 そういえばモナーはどこで寝るのだろうという疑問が頭の隅を掠めた。

 問い掛けようと口を開くよりも先に、夢の中へと潜り込む。



 ――この家に来てから、初めて泣かずに眠った夜だった。



#####

41 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 19:59:52 ID:8EBaTv7QO


( ‐ω‐)

 低い声が耳から侵入し、内藤を夢から引きずり出した。

 ぼうっとしている頭では何を言っているのかは掴めないが、妙に安らぐ声だ。


( ´∀`)「――『してみると、君は悪い狼ではないのだな』」

( ´∀`)「『ええ、ええ、ただの空き腹を抱えた痩せっぽちの狼でございます。
       おばあさんを襲う気力もありません』――」

( ^ν^)「『すきばら』って何?」

( ´∀`)「お腹が空いてるってことモナ」


 ゆっくり目を開ける。
 ニュッがモナーの膝の上に乗り、本を読んでもらっている最中だった。

 部屋の中が明るい。朝だ。
 唸りながら上半身を起こすと、モナーが片手を挙げた。

42 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:01:26 ID:8EBaTv7QO

( ´∀`)「モナ。ホライゾン、起きたモナか」

( ^ω^)「……おはようお」

 予想外だった。
 昨日まで内藤からなかなか離れなかったニュッが、こんなにもモナーに懐くとは。

 ニュッにも「おはよう」と挨拶した――そのとき。

 ぐう、と、内藤の腹が鳴った。

( ^ν^)「すきばら」

( ´∀`)「そうそう、そういう意味モナ」

(;*^ω^)「……うるさいお」



#####

43 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:06:50 ID:rWCh0mpAO
きたああ
支援

44 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:07:43 ID:8EBaTv7QO


ξ゚ー゚)ξ「ニュッ君、喜んでくれたのね」

 小一時間後。食堂。
 やけに広い部屋の中、不釣り合いなほど庶民的なサイズのテーブルと椅子だけが
 ぽつんと置かれている。

 食後の紅茶を飲みながら、ツンは満足そうに微笑んだ。
 その向かいで、内藤が首を傾げる。

( ^ω^)「祖父ちゃんがあんなことをしてくれるなんて思わなかったお」

ξ゚ー゚)ξ「やりたくないことは絶対にやらない人よ。
      やっぱり、孫は孫なのね」

 内藤は目の前に積み上がった5冊ほどの本を見下ろし、ふうん、と声を零した。

 先程、モナーが内藤のために持ってきてくれたものだ。
 そのモナーはニュッを連れて部屋に戻っている。
 どうやら、ニュッは朗読を大変お気に召したらしい。

( ^ω^)(……あとで、昨日の本も借りるかお)

 何とは無しに一番上の本を開く。
 ぼんやりと、羅列されている文字を追っていった。

45 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:09:19 ID:8EBaTv7QO

 小説に対して「堅苦しい」というイメージを抱いていた内藤であったが
 モナーが選んだ本は、どれも読みやすく、また、面白いものばかりだった。

 食堂で1人、扇風機の風を浴びながら一心不乱に読み耽る。
 意味を知らぬ単語なども出てくるが、前後の文脈からある程度の予想はついた。

 途中に挟んだ昼食もすぐに済ませ、また本を開く。

 ――夕飯の時間を迎えるまで、内藤は物語の世界に夢中になっていた。



.

46 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:11:31 ID:8EBaTv7QO


ξ゚听)ξ「随分気に入ったみたいね」

( ^ω^)「おー……小説って面白いもんだおね……」

 酷使した目をしょぼしょぼさせて、内藤はツンの言葉に頷いた。
 斜め前の席で肉じゃがをつついていたモナーが、勝ち誇ったような笑みを浮かべる。

( ´∀`)「僕がわざわざ選んでやったんだから、ガキだろうと楽しめるに決まってるモナ」

 かちんと来たが、本に馴染みのなかった自分でも満足出来たのは事実。
 味噌汁を飲み込んで、内藤は礼を言った。
 何だか癪だったので、小声で。

ξ゚听)ξ「ニュッ君は? 本、好きになれた?」

(*^ν^)「ん」

ξ゚ー゚)ξ「そう。私も好きよ。特にモナーさんが書いた話が好き。
      今度読んでもらいなさい」

( ´∀`)「ツン」

(;^ω^)「……え、祖父ちゃん、小説書くのかお」

ξ゚听)ξ「趣味でね。それに、一時期は作家業をやってたこともあるのよ。
      結構売れてたんだから」

(;^ω^)「えええええ!」

47 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:13:28 ID:8EBaTv7QO

 モナーは色々なことに手を出して、いずれもそれなりに成功してきたらしい。
 小説を書いたのも、その様々な経験の内の一つに過ぎないという。

(*^ν^)「すごい」

 ニュッがモナーに尊敬の眼差しを向ける。
 モナーにも恥ずかしいという感情はあるようで、
 彼は飯を掻き込むと、そそくさと食堂から逃げ出した。





*****

48 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:13:41 ID:0Fr65QD6O
キター
支援

49 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:18:32 ID:8EBaTv7QO


( ^ω^)「その日から、僕は1人で寝るようになったお。
       それに、寝る前に本を読んでると、あまり両親のことを考えずに済んだお」

( ^ω^)「どうしても、たまーに泣いちゃう日もあったけど、
       必要以上に落ち込むことはなかったように思うお」

ζ(゚、゚*ζ「……幼少時にはまだ可愛げがあったニュッさんは、どうしてたんですか?」

( ^ω^)「幼少時にはまだ可愛げがあったニュッ君は、
       毎日祖父ちゃんの部屋で寝てた筈だお。
       ……本だけじゃなく、両親の写真が飾ってあったのも理由かもしれないおね」

ζ(゚、゚*ζ「内藤さんも、幼少時にはまだ可愛げがあったニュッさんも、
      モナーさんと本のおかげで安眠出来るようになったんですね……」

 内藤は一旦話を中断し、サンドイッチに目をやった。
 早く食べないと美味しくなくなるお、とデレに促す。

 あまり食欲は湧かなかったが、デレは小さく頭を下げるとサンドイッチを手に取った。

 一口食べてみる。
 しゃきしゃきと小気味いい歯触りのレタスに、塩気の薄いハム。

 きっと、何でもないときに食べれば美味しかっただろう。
 だが――今のデレには、じっくり味わう余裕などなかった。
 ゆったりと、順々に過去を回想していく内藤に焦れているのかもしれない。

50 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:20:57 ID:8EBaTv7QO

( ^ω^)「前にも話したように、ニュッ君は本の魅力に取り憑かれたお。
       ……いやあ、読み聞かせる祖父ちゃんも大変だったろうお、毎日毎日。
       声が掠れてる日もあったし」

( ^ω^)「でも、そのおかげでニュッ君が僕から離れる時間が増えたお。
       僕も安心して外出が出来るようになって――
       ……デレちゃん、あんまり急いで食べたら喉に詰まるお」

ζ(゚、゚;ζ「わ、私のことは気にせず続けてください」

 サンドイッチを口に押し込め、紅茶を流し入れる。
 ハムスターみたい、と内藤が呟いた。

( ^ω^)「――で。
       夏休みも終わって、新学期を新しい中学校で迎えたお」

ζ(゚、゚*ζ「ここから通う中学校っていうと……あっちの方の、シベリア中学ですか」

( ^ω^)「そうそう、シベリア。
       ……ちょっと遠くても、別の中学に通えば良かったと何度も後悔したお。
       そしたらあの野郎に会わなかったのに」

ζ(゚、゚*ζ「あの野郎って?」

( ^ω^)「ショボン」

ζ(゚、゚;ζ「ああ……」

51 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:22:47 ID:8EBaTv7QO

( ^ω^)「あいつとの出会いについては割愛するけど、いいおね?」

ζ(゚、゚;ζ「ちょっと気になりますけど」

( ^ω^)「……簡単に言えば、奴の第一声は『君からお金の匂いがするね』だったお」

 そんな中学生は嫌だ。

ζ(゚、゚;ζ「昔からあんな感じだったんですね……」

( ^ω^)「しかも同じクラスだったのが運の尽き。
       学級委員長だったショボンは僕の世話をするという名目で付きまとい、
       気付けば、ここにしょっちゅう出入りするようになりやがったお」

( ^ω^)「この際、はっきり言うお。
       ニュッ君の性格がひん曲がった原因の一つは、あの野郎だと思ってるお」

ζ(゚、゚;ζ「まあ、子供にはちょっと悪影響を与えかねませんね」

( ^ω^)「……でもね、ショボンも、悪いことばかりするわけでもないんだお」

 内藤の視線が、デレから僅かに逸れた。
 自分の後方を見つめているのに気付き、デレは振り返る。

 あの写真立てが乗せられていた戸棚。
 2段目に、数種類の箱が等間隔で並べられていた。

 箱に記された文字は、いずれも英語かフランス語か、とにかく日本語ではなかったので
 デレは理解するのを諦めた。

ζ(゚、゚*ζ「あれは?」

( ^ω^)「僕の必需品。香水だお」





*****

52 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:25:03 ID:uJNHoO620
幼少期にはまだ可愛げがあったんだねニュッ君……

53 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:25:15 ID:8EBaTv7QO


(´・ω・`)「あげる」

( ^ω^)「お?」

 11月上旬の、帰り道でのこと。

 駄菓子屋で購入したガムを噛んでいた遮木ショボンは、
 たった今思い出したかのように黒い紙袋を内藤に突きつけた。

(;^ω^)「……また、開けたら犬の糞が入ってるとかじゃないおね」

(´・ω・`)「正直、あのイタズラは無意味すぎてつまんなかったからもうやらないよ」

 信用ならない。
 ショボンと袋を何度も見比べてから、内藤は慎重に袋の中を覗き込んだ。

 水色の小さな箱が入っている。

( ^ω^)「何だお?」

(´・ω・`)「香水」

(;^ω^)「香水?」

 ショボンが箱を引っ張り出し、乱暴に蓋を開けた。
 中から取り上げた瓶を、顔の前でゆるゆる揺らしてみせる。
 綺麗な瓶だ。

54 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:27:08 ID:8EBaTv7QO

(´・ω・`)「あんまり匂いは強くない筈だから、気休め程度にでも」

 試しに、と言って、ショボンは手首に一度振りかけた。
 その手を内藤の方へ伸ばしてくる。
 わけが分からぬまま、内藤は顔を近付けた。

 バニラのような香りがする。
 ツンが好きなクッキーの味が、脳裏を過ぎった。

( ^ω^)「これ、香水の匂いかお?」

(´・ω・`)「なまじっかフローラルな香り漂わせられてもムカつくからさあ、
      まあ、これぐらいがブーンには丁度いいかなって」

 内藤の掌に小瓶を乗せ、ショボンはシニカルに笑った。
 同年代とは思えない表情や言動をちょくちょく覗かせる少年である。
 モナーからは「クソガキ」と評されていた。

(´・ω・`)「……それ、つけたら、多少は気にならなくなるんじゃないの。
      『血の臭い』」

( ^ω^)「……お」

 ――何故、突然香水なんかをくれたのかと思ったら。

 咄嗟に、返事が出てこなかった。
 ショボンに対して「そんなこと」を言う機会など滅多になかったから。

( ^ω^)「……ありがとうお」

(´・ω・`)「ふふん、どういたしまして」

55 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:28:31 ID:8EBaTv7QO

 血の臭いについては、以前、ショボンに話したことがあった。
 あれが錯覚なのか実際に存在しているものなのか悩んでしまう、ということも。

(´・ω・`)「おっと。待ってくれ。
      もしかしたら、君は今、僕のことを何て心優しい人格者なんだと思ったかもしれない」

( ^ω^)「いや、そこまでは別に」

(´・ω・`)「でもね、それは誤解だよ」

( ^ω^)「話聞いて」

(´・ω・`)「君がいきなり具合悪そうにしたり、『変な臭いしないかお』とか訊いてきたり、
      人混みの中に入りたがらなかったりするのが
      僕からすれば本っ当に面倒臭いんだ」

(´・ω・`)「いわば僕自身のために、君に香水を与えたんだよ。
      そこら辺を取り違えてもらっちゃ困る」

 妙な早口で捲し立てられた。
 とりあえず照れ隠しだろうと解釈しておくことにする。

56 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:30:50 ID:8EBaTv7QO

(´・ω・`)「だからね」

( ^ω^)「?」

(´・ω・`)「香水代、プラス謝礼金を頂こうじゃないか」

( ^ω^)「生まれてこの方13年、これほどのクズがいるとは夢にも思わなかったお……」

 照れ隠しでも何でもなかった。

 まあ、今更彼に優しくされても気味が悪いだけだ。
 誰が払うかと吐き捨て、内藤は香水の瓶を持ち直した。

 香水には、何となく、大人の女性がつけるものだというイメージがあった。
 まさが自分がつけることになろうとは。

 むずむず、好奇心が沸き上がる。
 制服の襟元を緩め、5回ほど吹き掛けた。

(´・ω・`)「お前馬鹿じゃねえの」

( ^ω^)「え?」

(;^ω^)「……うわっ! くっさ!!」

 首を動かした瞬間、濃厚な匂いの塊が鼻を直撃した。

 頭がくらくらする。
 呼吸するのも辛い。鼻をつまんで、口から息を吸い込んだ。

57 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:35:31 ID:8EBaTv7QO

(;´・ω・`)「うわ……ちょ、寄るな寄るな。くっせえ! かけすぎだって!」

(;^ω^)「ぶえっふ……うえっ、おええええ……!」

(´・ω・`)「ブーン君涙目wwwww」

 距離をとったショボンが、指を差してげらげらと笑い出す。
 殺意を込めて睨みつけると、自業自得だろうと更に笑われた。
 ごもっともである。

(;^ω^)(……お)

 不意に。

 鼻の奥で、ちらりと血の臭いがした。

( ^ω^)「……」

 この、香水の匂いに苦しめられている最中に、だ。

( ^ω^)

(*^ω^)「……おっおっお」

(´・ω・`)「えっ、どうしたのかしらこの子急に笑い出したわ」

(*^ω^)「何でもないお。
       ……ショボン、今の僕、何の匂いがするお?」

(´・ω・`)「腹立つほど香水くさい」

(*^ω^)「ですよねー」

 何だ。
 やっぱり、自分の鼻がおかしかっただけか。

(*^ω^)「ショボン、ありがとうお」

(´・ω・`)「……さっき聞いたよ気持ち悪いな」

58 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:37:28 ID:8EBaTv7QO



 ――ショボンを連れて帰宅すると、案の定、臭いというお言葉をツン達から頂いた。
 ニュッがツンの後ろに隠れる。

 モナーなどは露骨に顔を顰め、匂いの正体が香水だと知るや否や
 「マセガキとクソガキのお帰りモナ」と皮肉たっぷりに言い放ってくれた。

 それでも、内藤の胸は重荷を一つ下ろしたかのように、
 ほんの少しだけ、すっきりしていたのであった。



#####

59 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:39:11 ID:8EBaTv7QO



 多少はマシになったとはいえ、内藤の「傷」が完全に癒えたわけではない。
 ふとしたときに両親について考えては胸が苦しくなるし、
 惨状を思い出して目眩を覚えることもある。

 それでも、迎えに来てほしい――死んでしまいたいという暗い願望は、
 すっかり消え去っていた。

 何だかんだ言っても、毎日楽しかったのだ。
 つくづく周りに恵まれていたと思う。



 だが。
 ニュッの方は、立ち直っていく自分自身に納得がいかないようだった。



.

60 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:42:14 ID:8EBaTv7QO

ξ゚听)ξ「――はあ……」

 雪がちらつき始めた、ある日の夜。
 食堂には内藤とツンの2人きり。

 3分の1も減っていないコロッケを眺め、ツンは嘆息した。
 ニュッの皿である。

 元々食が細い子供ではあったのだが、先月くらいから
 ますます口に入れる量が減ってきた。
 今日はいつもより食べていたものの、それでも、せいぜい全体の半分ほど。

 昨日に至っては、彼が口にしたのは煮物の竹の子と人参、
 それと三口程度の白米だけであった。

 どうして食べないのかと内藤が何度訊ねても、
 ニュッは首を振るばかりで答えてくれない。

ξ゚听)ξ「ニュッ君ってコロッケ好きじゃなかった?」

(;^ω^)「その筈だけど……」

ξ;゚听)ξ「もしかして、私の料理の腕落ちたのかしら」

(;^ω^)「そんなことないお! 僕はツンが作る料理好きだお」

ξ*゚听)ξ「……あ、ありがと」

 照れたのか、下を向いてしまったツン。
 しばらく経って、「照れてる場合じゃない!」と声をあげると箸を手に取った。

 ニュッが残した分を口に運んでいく。
 こういった残飯は、いつもツンが処理していた。

 毎日、少なくとも1.5人分は食べていることになるのだが、
 内藤が見た限りではツンが太る様子はない。
 体質だろうか。

61 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:44:35 ID:8EBaTv7QO

ξ;゚ -゚)ξ「んー、やっぱり、ストレスとかで食欲わかないのかなあ……?」

( ^ω^)「それも、ちょっと違う気がするお」

 ツンの言葉を否定する。

 食欲がないわけでもなさそうなのだ。
 幾度か、ニュッの腹が鳴っているのを聞いたことがある。

 元より空腹感を覚えないというならまだしも、
 腹を空かしていながら食事を我慢しているとなると――

( ^ω^)「ダイエットかお……?」

ξ;゚听)ξ「それは絶対にないと思うんだけど」

 念のために言っておくと、これでも内藤は真剣だ。
 内藤の鼻を小突き、ツンは物憂げな色を瞳に浮かべた。

ξ゚ -゚)ξ「……ニュッ君、一度病院で診てもらった方がいいのかしら……」



.

62 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:47:08 ID:8EBaTv7QO



( ´∀`)「病院行ったって無駄モナ、無駄」

 モナーにニュッのことを相談したところ、ばっさり切り捨てられた。
 それどころか、「そんな下らない話で読書の邪魔をするな」とさえ言われた。

(;^ω^)「だって原因も分からないんじゃ……」

( ´∀`)「遠慮してるらしいモナよ」

(;^ω^)「……は?」

ξ゚听)ξ「遠慮って?」

( ´∀`)「親が死んだってのに、元気に飯を食うなんて冷たい奴。
       ――みたいな。そういう風に考えてるみたいモナ」

( ^ω^)「……どうして分かるんだお」

( ´∀`)「前に読んでやった本に、そういう描写があったんだモナ。
       それを見て以来、あんな感じに」

ξ゚听)ξ

( ^ω^)

ξ゚听)ξ「おい」

( ^ω^)「あんたのせいじゃないかお」

( ´∀`)「迂闊だったわ」





*****

63 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:49:14 ID:8EBaTv7QO


( ^ω^)「きっと、自分が両親の死を悲しんでいないんじゃないかと思われるのが
       嫌だったんだおね、ニュッ君は」

( ^ω^)「僕には、幻嗅みたいに明確な『後遺症』があった。
       僕と自分を比べてみて、余計に自分が薄情な奴に感じられたのかもしれないお」

ζ(゚、゚;ζ「それで、どうしたんです?」

 デレは、ノートのページをめくった。
 作中では、そのことについて描写されていない。

( ^ω^)「トラウマやストレスで食欲不振になったんじゃなく、
       本人の意思で食べようとしてないだけだからねえ。
       『放っとけば、その内我慢出来なくなるだろう』って祖父は言ってたお」

ζ(゚、゚;ζ「放っとくって……」

( ^ω^)「まあ……そう言われても、黙って見てるわけにもいかないおね。
       どんどん痩せてっちゃうし、当然元気もなくなっていくし」

ζ(゚、゚;ζ「そりゃそうですよね」

 内藤の言葉に頷きながら、サンドイッチをもう一つ口に運んだ。
 中身は卵。マヨネーズの量が割合多い。

ζ(゚、゚*ζ「ニュッさん帰ってきたら、サンドイッチ詰め込んでやろう……」

(;^ω^)「昔の話だお、デレちゃん」





*****

64 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:55:37 ID:8EBaTv7QO


 モナーへの非難はさておき、ニュッのために何をしたらいいかを3人で話し合った。
 無理に行動する必要もないというモナーの意見に、ツンが真っ向から対抗する。

ξ゚听)ξ「体が出来上がってる大人ならともかく、ニュッ君は子供なのよ。
      放っておくのは危険すぎるわ」

(;^ω^)「……説得出来ないかお。食べてもいいんだぞって」

( ´∀`)「お前らが思ってる以上にニュッは聡いモナよ。
       ただ説得したところで、気を遣ってるだけなんだと悟られるのがオチだモナ」

ξ゚听)ξ「……何にせよひもじい気分のままじゃ思考もマイナス方向一直線だし、
      そしたらますます自己嫌悪に陥って意固地になっちゃいそうじゃない?
      まずは何か食べさせることから始めなきゃ」

(;^ω^)「でも食べてくれないんだおね」

ξ;゚ -゚)ξ「う。……ぜ、絶対に食べてくれるものとかない?」

( ´∀`)「……ガキといったら、お菓子モナ」

( ^ω^)「お菓子?」

( ´∀`)「いきなり飯を食えと押しつけても、今のニュッなら辟易するだけモナ。
       お菓子とか、簡単につまめるものなら気軽に手を出せるかもしれんモナね」

 なるほど、と内藤は感心した。

 とにかく栄養をとらせなければと考えていたが、
 それよりも何でもいいから食べさせることを優先すべきだ。

 もしかしたら、それがきっかけで食事に興味を持ってくれるかもしれないし。

65 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 20:57:30 ID:8EBaTv7QO


 ――そんなわけで。

 土曜日、午後3時。食堂。
 内藤とツンに呼ばれたニュッは、テーブルの上に溢れ返る皿や箱を前に、
 いまいち状況を理解していないのかきょとんとしていた。

(;^ω^)「……ニュッ君、どうだお!?
       このチョコはクラスの女の子達が美味しいって言ってたし、
       こっちのマシュマロは毎日売り切れるくらい人気らしいお!」

ξ;゚听)ξ「ゼリーいる? 味はいっぱいあるけど、りんご味がおすすめなんですって!
      あっ、和菓子は好き? 大福は?
      どっちが好きか分からなかったから、こしあんとつぶあん、両方用意したわ!」

(;^ω^)「甘いのが嫌なら、おかきとかお煎餅もあるお。
       そうだ、僕ホットケーキ焼いたんだお! ちょっと焦げたけど」

ξ;゚听)ξ「私はドーナツ揚げたの! ちょっと焦げたけど」

(;^ω^)ξ;゚听)ξ「どう!?」

 沈黙。
 様子を見に来たモナーが、呆れた風に息を吐き出した。

( ´∀`)「だいぶ買ってきたモナね」

 そうは言うが、これだけの量を買って余りあるほどの費用を出したのはモナーだ。
 10万円も渡されたときは、一体どんな高級品を買わせるつもりなのかと戦慄した。
 単にモナーの金銭感覚が狂っているだけだったが。

 結局、金の大半は使わずじまい。
 残りは小遣いとしてもらっていいのか、内藤はこっそり迷っている。

 いや、それは置いといて。

66 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:01:56 ID:8EBaTv7QO

( ^ν^)「……」

ξ;゚听)ξ「……や、やっぱり……」

(;^ω^)「いらないかお……?」

 内藤とツンの眉尻が下がる。
 ニュッはテーブルの縁に掴まって背伸びをし、そこに並ぶ菓子を凝視した。

 しばらくしてから、内藤達を見上げ、口を開く。

(*^ν^)「……食べる」

(*^ω^)ξ*゚听)ξ パァッ

 2人の顔が輝いた。
 ハイタッチを交わし、ぴょんぴょん跳ね回る。

 内藤はニュッを抱え、幼児用の椅子に座らせた。

ξ*゚听)ξ「ど、どれから食べる? ホットケーキは温かい内がいいかも!」

(*^ω^)「メープルシロップはどれぐらい欲しいんだお!?」

 喜色満面の2人に囲まれて、ニュッが怪訝な顔をする。
 ホットケーキを一口食べると、おお、という歓声が両サイドから上がった。

67 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:04:23 ID:8EBaTv7QO

(;^ν^)「な、何……?」

( ´∀`)「お前ら、はしゃぎすぎてニュッが怯えてるモナよ。
       ……チョコ一個もらうモナ」

 ニュッの頭を撫で、モナーは箱からチョコレートを一つ取り出した。
 包みを剥がし、中身を口に放り込む。

( ´∀`)「ニュッがご飯やおやつを美味しそうに食べてくれるのが、
       2人には嬉しいことなんだモナ」

( ^ν^)「……」

ξ*゚听)ξ「そうそう! ――ニュッ君、ホットケーキ美味しい?」

( ^ν^)「……美味しい」

ξ*゚ー゚)ξ「……良かった」

 ツンがニュッを抱きしめ、モナーが俯き気味に笑う。

 後ろから3人を眺めていた内藤は、モナーが優しい笑みを浮かべていることに驚いた。
 関心がないような発言をしておきながら、彼も、ニュッを気にかけていたのかもしれない。


 ちなみに、調子に乗ったツンが菓子を食べさせすぎたために、
 ニュッが腹を下したというオチがあったことも述べておこう。



#####

68 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:07:21 ID:8EBaTv7QO



 すぐに、とは行かないまでも、数日もすると
 ニュッは充分な量の食事をとるようになった。

 それは良しとして。

 彼に関する問題は、もう一つあった。
 車に――というより、交通事故に対する恐怖。

 しかも、ニュッは、自分ではなく内藤が事故に遭うことの方を恐れているらしかった。


.

69 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:09:22 ID:8EBaTv7QO

( ;ν;)つ

ξ;゚听)ξ「あのねニュッ君、ブーンはもう学校行く時間だから……」

 登校の準備をしている内藤の袖を掴んだまま放そうとしない日がある。
 頻度で言えば月に二、三回ほどだ。

 内藤が交通事故にでも遭って――両親のように「いなくなって」しまうのではないかと
 怯えているのだろう。

(;^ω^)「ほら、昨日も一昨日も、無事に帰ってきたじゃないかお。
       だから今日も大丈夫だおー。
       僕のことは心配しないで、祖父ちゃんに本でも読んでもらっておいで」

( ぅν;)

 物分かりはいい子である。
 内藤が困っているのを察すると一応は頷いてくれるものの、
 それでも不安は拭えないらしく、ツンと一緒にフェンスの前まで見送りに来る。

 ツンが言うには、内藤が角を曲がるまでは目を離さないそうだ。



.

70 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:11:57 ID:8EBaTv7QO



( ´∀`)「――馬鹿らしい」

(;^ω^)「ば、馬鹿らしい!?」

 で。
 例によって、このジジイは内藤とツンの相談を軽くあしらった。

ξ;゚听)ξ「ニュッ君にもブーンにも、精神的な負担があるし……。
      そもそもニュッ君の外嫌いを何とかしなきゃ、これから先、大変でしょう?
      今はまだしも、小学校に入学した後とか考えると――」

( ´∀`)「僕にどうしろって言うんだモナ。
       たとえばここに様々な事象の統計をまとめた本があるけれど、
       これを見せて、人間が交通事故に遭う確率について懇々と説明すればいいモナ?」

(;^ω^)「そういうこと言ってんじゃ……」

 結局、話はそこで打ち切られた。
 当のニュッがモナーに朗読を頼みに来たからだ。

 内藤とツンが部屋を出る。
 モナーさんも悪い人じゃないんだけど、とフォローするツンに、内藤は苦笑いで応えた。



#####

71 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:13:16 ID:8EBaTv7QO


 夜。

 風呂から上がった内藤が自室のドアを開けようとしたとき、
 丁度そこへ通り掛かったモナーに呼び止められた。

( ´∀`)「ホライゾン」

( ^ω^)「お?」

( ´∀`)「ほい」

 一冊のノートが差し出される。
 首を傾げつつ受け取ると、すぐに奪われた。

 意味が分からない。

(;^ω^)「? 何なんだお?」

( ´∀`)「これでいいモナ」

(;^ω^)「だから何が……祖父ちゃーん」

 用は済んだらしく、モナーはノートを脇に抱えて部屋に戻っていった。
 本気で理解出来ない。まさか、ぼけたのではあるまいな。

 薄気味悪く思いながら、内藤はドアノブを引いた。

72 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:19:20 ID:3mAJU0i.O
じいさんまさか………

73 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:19:49 ID:8EBaTv7QO


 そして翌日。

 支度を終えた内藤が玄関に向かうと、モナーとニュッ、ツンの3人が待っていた。
 何事かとたじろぐ内藤に、モナーが笑いかける。

( ´∀`)「ホライゾンのお見送りモナ」

(;^ω^)「……はあ?」

ξ;゚听)ξ「何か、フェンスのところまで一緒に行きたいんですって」



 いつもは「行ってらっしゃい」の一言もくれないモナーが見送りとは、
 どういった風の吹き回しだ。
 恐い。

 微妙な空気のまま4人で林の中を歩いていき、フェンスを開ける。
 きい、と甲高い音が鳴った。

74 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:22:20 ID:8EBaTv7QO

(;^ω^)「ええと……行ってきます」

ξ゚听)ξ「行ってらっしゃい」

( ^ν^)「……いってらっしゃい」

 ニュッが胸の前で右手を振る。
 すると、モナーが一歩前に出た。

( ´∀`)「いいモナか、ニュッ。ホライゾンは、とても運が強いモナよ」

( ^ν^)「?」

(;^ω^)「は? え? 何?」

( ´∀`)「絶対に、事故になんか遭わないモナ」

 平素より変な人ではあるが、昨夜からは輪をかけて変だ。
 何か、もう、逃げたい。

 さっさと学校へ行こうと内藤は歩道へ踏み出した。
 しかし、すぐに足が止まる。

 左の方から一台の車が走ってきたのだ。
 ここを通る者がいるとは珍しい。

75 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:23:19 ID:8EBaTv7QO

 内藤が反射的にニュッへ振り返ろうとした、



 瞬間。



( ´∀`)「よく見ておくモナ、ニュッ」

( ^ω^)「えっ」





 モナーは、内藤を道路へ蹴り飛ばした。




.

76 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:26:58 ID:8EBaTv7QO


 ――内藤には、直後の数秒間の記憶がない。

 気付くと道路の真ん中に座り込み、全開にした口で何度も荒い呼吸を繰り返していた。

 顔を横に向ける。
 数メートル先に停まっている車から、運転手が慌てた様子で飛び降りてきた。

ξ;゚听)ξ「……ブーン!」

(;^ν^)「兄ちゃん!」

 ツンとニュッが駆け寄ってくる。
 怪我はないかと問いながら、ツンは内藤の頭や背に触れた。
 痛むところはない。敢えて言うなら、さっきから激しく跳ねる心臓が痛い。

( ´∀`)「ああ、ぶつかってないし、怪我とか全然ないから。大丈夫大丈夫。
       急に飛び出した『あっち』が悪いモナ」

 モナーは何ともないという顔で、運転手に「気にするな」と告げた。
 どの口が言っているのだ、どの口が。

77 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:29:53 ID:8EBaTv7QO

 運転手は困惑しながらも、腕時計を見るなり焦り出し、
 何度も頭を下げてから車へ馳せ戻っていった。

 遠ざかっていく車を見届け、内藤は、鞄を道路に叩きつける。

(;#゚ω゚)「ジジイこらぁああああああ!!!!!」

( ´∀`)「ほら、ニュッも見たモナね? この通りだモナ」

(;^ν^)「う、うん……」

(;#゚ω゚)「ニュッ君よりも僕に言うことあるだろうがおぉおおお!!」

 これで放置するか、普通。

 ぎゃあぎゃあ喚く内藤の横で、ツンが呆れた表情を浮かべた。

ξ゚听)ξ「……モナーさん、もしかして――」

 何か言いかける。
 だが、モナーが首を振ると、ツンは口を噤んだ。

( ´∀`)「ニュッは賢い子だから、今のがどれだけ『有り得ない』光景だったか
       理解出来るモナね?」

(;^ν^)「……」

(#^ω^)「有り得ないって何がだお?
       祖父が孫を道路に突き飛ばす光景かお?」

( ´∀`)「あれは僕の足が滑っただけモナ」

 大変豪快な滑り方をしたものである。

 怒っている自分が馬鹿らしく思えて、内藤は溜め息をついた。

 先程の衝撃のせいか、血の臭いが鼻を刺激し始める。
 手首につけていた香水を嗅いで心を落ち着けた。

78 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:31:35 ID:8EBaTv7QO

( ´∀`)「――あんな奇跡が起きるくらい、ホライゾンは強運なんだモナ。
       だからニュッが心配する必要はないモナよ」

 モナーはニュッに何を言い聞かせているのだろう。
 内藤にはさっぱり分からないのだが、ニュッは納得したようであった。

( ^ν^)「……ほんとに?」

( ´∀`)「本当。何なら、もう一回試すモナ?」

(;^ω^)「勘弁してくれお!」



 ――ツンいわく。
 「物理的に有り得ない動きで」、車は内藤を避けていったらしい。


 この日以降、登校前の内藤をニュッが引き止めることはなくなった。





*****

79 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:33:17 ID:8EBaTv7QO


ζ(゚、゚*ζ「……それって……」

( ^ω^)「……」

 物理的に有り得ない、奇跡。

 そんなことを起こせるものは――


( ^ω^)「このときの僕には、何も分からなかったお。
       けれど、……たしか、それから3ヶ月くらい後の、春だったかお」





*****

80 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:35:27 ID:8EBaTv7QO



 唐突に本を読みたくなった内藤は、無断で書庫へと入った。

 本当ならば、これこれこういった話が読みたい、とモナーかツンに伝えて
 該当する本を持ってきてもらうのがルールとなっている。

 だが、このときのモナーはニュッに朗読をしていたし、ツンは夕飯の支度をしていたため
 手が空いていなかったのだ。

 どうせ、こっそり借りてこっそり返せば誰も気付かない。
 内藤はそう考えた。



( ^ω^)「ちょっとお借りしますおー」

 部屋の奥に仕舞われているものほどモナーのお気に入り。
 初めの頃に聞いた説明を覚えていた内藤は、迷うことなく奥へと進んでいった。

 本が日焼けするのを防ぐためか、真昼間でもカーテンが引かれた部屋の中は、ひどく暗い。
 目を凝らして、本の背表紙を眺める。

81 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:36:37 ID:8EBaTv7QO

( ^ω^)「……これにするかお」

 惹かれるタイトルを見付け、静かに本棚から抜き取った。
 表紙をめくる。





 内藤の視界から、色が消えた。

82 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:39:05 ID:8EBaTv7QO





     「――ん」

     「――ぶ」

     「――」


ξ;゚听)ξ「ブーン!」


 次に視覚が捉えたのは、真上から見下ろしてくるツンの顔だった。

 その後ろに天井。書庫の天井ではない。廊下だ。

(;^ω^)「おー……?」

 頭が痛い。
 何かで殴られたような。

 頭頂部に触れてみると、僅かに腫れていた。

( ´∀`)「終わったモナ」

 モナーの声。
 腕を引っ張られ、内藤が起き上がる。
 そこで、やっと自分が倒れていたことに気付いた。

83 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:42:03 ID:8EBaTv7QO

(;^ω^)「え? なん……」

( ;ν;)

(;^ω^)「あれえ!? 何でニュッ君泣いてんの!?」

 隅っこで、ニュッが泣きながら座り込んでいた。
 ツンが内藤から離れ、ニュッのもとに駆け寄る。

( ´∀`)「お前が泣かせたんだモナ」

(;^ω^)「僕!? おっ、覚えがないお――痛っ!!」

 モナーが内藤の頭を叩く。
 丁度こぶの部分に当たり、内藤は顔を歪めた。

( ´∀`)「僕らに断りなく書庫の本を触ったモナね」

(;^ω^)

 ぎくり。
 肩を跳ねさせる。

(;^ω^)「……ごめんなさいお」

 おずおずと謝罪する内藤に、モナーは溜め息をついた。
 見ると、彼の手には先程――と言っても、どれくらい前なのか――
 内藤が棚から出した本があった。

( ´∀`)「だから勝手に触るなと言ったモナ」

(;^ω^)「……え?」

 モナーが踵を返す。

 説明するから来い、と言って歩き出すモナーの後を、急いで追った。


.

84 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:43:27 ID:8EBaTv7QO



(;^ω^)「いのち?」

( ´∀`)「あくまで例えモナよ。
       実際にこの現象がどういった分類に入るかは分からんモナ」

 食堂。

 モナーの話に、内藤は素っ頓狂な声をあげた。
 そうでもしなければ、やっていられないほど不可解な内容だった。


 「内藤が触った本には命が宿っていた」だの、
 「その本の欲求の赴くままに内藤は演じさせられた」だの。

 ――あまりにもファンタジーすぎる。


(;^ω^)「命って……だって、いや、……第一! どうやって本に命が宿るんだお!?」

 この場に内藤とモナーしかいなければ、からかわれているだけだと判断していただろう。

 しかし内藤の隣には、目を伏せて黙り込むツンがいる。
 彼女までこんな下らない冗談に付き合うとは思えない。

 まさか、真実だとでも言うのか。

85 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:47:28 ID:8EBaTv7QO

 焦りと苛立ちに、内藤の声が自然と大きくなった。
 斜向かいのニュッが、モナーの腕を掴む。

( ´∀`)「愛、かなあ……」

(;^ω^)「うわあああ急に気持ち悪いこと言い出した! やっぱり嘘かお!?」

 愛って。

 モナーは、首を捻りながら呻いた。

( ´∀`)「僕もよく知らんモナ。
       ただ、こう――」

 例の本を左手で持ち上げ、右手の人差し指を立てる。
 その指で、表紙を小突いた。

( ´∀`)「触って、……ううんと。そうモナね。
       念じると言うか。まあ何か意識を集中させると成功するモナ」

(;^ω^)「……、……」

 声も出ない。
 アバウトすぎる。
 誰がそれで納得するというのだ。

86 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:49:31 ID:8EBaTv7QO

(;^ω^)「――んじゃあ、僕でもやれるっつうのかお?」

ξ゚听)ξ「無理よ。モナーさんにしか出来ないわ」

(;^ω^)「……何で」

ξ--)ξ「だから『愛』なの。
      一般人よりも遥かに本を愛しているモナーさんだからこそ、
      本に関するそういう力が身に着いたんじゃないかしら」

ξ゚听)ξ「事実、本以外のものに同じことをしても何も起こらないわ」

(;^ω^)「そんな――曖昧な。……非常識だお……」

( ´∀`)「『不思議なこと』に常識や理屈を求めるなんて野暮モナよ、ホライゾン」

(;^ω^)「……ツンは信じてるのかお」

ξ゚听)ξ「信じざるを得ないもの」

(;^ω^)「ニュッ君は?」

( ^ν^)「……信じる」

(;^ω^)「……」

87 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:52:35 ID:8EBaTv7QO

( ´∀`)「まあ、ホライゾンが信じられないのも無理はないモナ。
       演じさせられてる最中のことを、ホライゾンだけ知らないんだし」

ξ゚听)ξ「逆に、全部見てたニュッ君は信じるしかないでしょうね。
      酷かったわよブーン。ニュッ君のこと叩くし怒鳴るし」

(;^ω^)「ええええええええええ!!」

 さっと血の気が引く。
 同時に、ニュッが泣いていた理由が分かった。

 内藤は即座にテーブルに手をつき、頭を下げた。

(;^ω^)「ごっ、ごめんなさいおニュッ君!!」

( ^ν^)「……兄ちゃんのせいじゃない」

( ´∀`)「いや、注意されてたにも関わらず書庫に侵入したホライゾンが悪いモナ」

 ぐさり、モナーの言葉が突き刺さった。

 やはりどうしても命だの何だのという話は信じられなかったが、
 そうでもなければ自分がニュッに暴力を振るう筈がない。
 だが、享受するのも難しい。いやいや。しかし。

 ――困惑する内藤を、モナーの手が撫でた。

88 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:53:39 ID:8EBaTv7QO

(;^ω^)「お……」

( ´∀`)「……無理に受け入れなくてもいいモナ」

 たんこぶが痛かったが、されるがままにしておいた。
 何だか落ち着く。

( ´∀`)「とりあえず、二度と無断で書庫に入らないように」

(;^ω^)「……はいお」





*****

89 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:55:39 ID:8EBaTv7QO



 祖父――モナーが使う、魔法。

 本に命を宿らせる。

 そんな、まるで神様のような。


ζ(゚、゚;ζ「……モナーさんの意思によるものだったんですか」

( ^ω^)「だお。祖父は、いたく気に入った本にだけ命を与えていたらしいお」

( ^ω^)「……ああ、あと、生活する上で『魔法』を役立てたりもしたんだっけ」

ζ(゚、゚;ζ「生活する上でって、たとえば?」

( ^ω^)「些細なことだお。落とし物を見付けたいときには、
       そのものずばり、落とし物を見付ける話をノートに書いて命を与え、
       自分が主人公になる。……用が済んだらノートを燃やす」

( ^ω^)「僕を車道に押し出したときにも同じことをしてたんだお。
       前日に渡されたノートには、車に轢かれそうになった僕が
       無傷で助かるっていう話でも書いてあったに違いないお」

ζ(゚、゚;ζ「……なるほど、そういう使い方も出来るんですね。
      私ならニュッさんやショボンさんが私に優しくしてくれる話を書きます」

( ^ω^)「デレちゃんの頭って、本当にすごく平和だおね。そこがいいんだけど」

 褒められている気がしない。
 というか多分褒めていない。

90 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 21:59:11 ID:8EBaTv7QO

( ^ω^)「……原理なんてものはさっぱり分からないけど――
       敢えて言うなら、やっぱり、愛だったんだろうおね」

( ^ω^)「大事にしたものには命が宿る。
       ……ホラーとかじゃ、よく見る話だお」

 その説明に、デレは何の抵抗も感じなかった。

 既に、いやというほど不思議な体験をしてきた。
 今更「現実的で論理的な説明を」などと騒ぎ立てる気もない。

( ^ω^)「……とはいえ、僕はなかなか信じきれなかったお。
       やっぱり嘘なんじゃないかとか、みんなで口裏合わせてるんじゃないかとか……」

ζ(゚、゚*ζ「それが当然だと思います」

( ^ω^)「うん、ありがとうお。
       ……さて、デレちゃん」

 内藤が、声を低めた。
 デレと視線を絡める。

91 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:03:29 ID:8EBaTv7QO


( ^ω^)「ここからが、君が一番知りたがっていたことで――
       僕らが一番知らせたくなかった、真実だお」


ζ(゚、゚;ζ「……!」

 体が強張った。
 ノートの上で、拳を握り締める。

 覚悟はした筈なのに、心臓が、どくどくと暴れ回っている。

( ^ω^)「やめるかお?」

ζ(゚、゚;ζ「……聞きます」

( ^ω^)「……」

 ――まあ、どうせ、見当はついてるだろうけど。

 そう囁き、内藤は微笑んだ。

92 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:05:16 ID:8EBaTv7QO

( ^ω^)「何だかんだで――ここで暮らし始めてから1年が経ったお」

 組んだ足の上で頬杖をつき、小指の先で唇を叩く。

 もう片方の手に持った写真を、ひらひら揺らした。

( ^ω^)「……いくつかの疑問は、見て見ぬふりをしてやり過ごしていたお。
       ツンはいつから祖父と一緒だったのか、とか、
       高校はともかく、中学校はどうしてたのか、とか」

( ^ω^)「デリケートな問題かもしれないから、なるべく触れないようにしたんだお。
       ……でも、『あること』に気付いてしまったお。
       どうしても無視出来ないようなこと」

ζ(゚、゚*ζ「……」

 写真。

 そこに写っていたツンの姿を思い返し、デレは俯いた。


( ^ω^)「僕は、ツンの髪や爪が伸びたところを見たことがなかったんだお」





*****

93 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:07:23 ID:8EBaTv7QO



(´・ω・`)「じゃあ直接訊いたらいいじゃない」

 事も無げに放たれた答えに、内藤は眉根を寄せた。
 随分と簡単に言ってくれる。

(;^ω^)「どう訊けって言うんだお」

(´・ω・`)「『本当に人間ですか』って」

(;^ω^)「やだもうコイツ今すぐ出ていってほしい」

 中学2年の夏休み。

 1階のリビングで宿題をしながら、内藤とショボンはツンの「正体」について話していた。
 他には誰もいないのだが、自然と小声になってしまう。

(´・ω・`)「そもそも、僕は最初から変だと思ってたんだよ。
      現実味が薄いっていうかさあ。
      人間っぽくない綺麗さっていうか。何て言うの、作り物?」

(;^ω^)「……」

 内藤は、一瞬びくりと体を揺らした。

 「作り物」。
 自分も、初対面のときに同じ感想を抱いたのだ。

94 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:11:02 ID:8EBaTv7QO

(´・ω・`)「まあ、どうだっていいけどね。僕に害がないなら」

( ^ω^)「……お前、大物になるお」

(´・ω・`)「何を分かりきってることを……ん、誰か来たよ」

 リビングのドアがノックされた。
 入るわよ、と、ツンの声。

(´・ω・`)「おっと、噂をすれば」

(;^ω^)「頼むから黙っててくれお」

(´・ω・`)「残念。ブーンに代わって訊いてあげようと思ったのに」

 ショボンの頭を叩く。
 丁度ドアを開けたところだったツンが、目を丸くさせた。

 彼女の手にはグラスとスイカの乗った盆がある。

ξ;゚听)ξ「喧嘩?」

(´・ω・`)「ブーンは、いつも人目のないところで僕を殴ったり蹴ったりするんだ」

(;^ω^)「してないお!」

ξ゚听)ξ「見損なったわ……」

(;^ω^)「だからしてないって!」

 テーブルに盆を置き、ツンは笑い声をあげた。
 分かってるわよ、と、麦茶の入ったグラスを内藤の前に移動させる。

95 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:13:11 ID:8EBaTv7QO

ξ゚ー゚)ξ「ブーンは優しいもの」

(;^ω^)「……そうかお」

ξ゚听)ξ「ショボン、スイカにお塩いる?」

(´・ω・`)「いるいる」

ξ゚听)ξ「分かる口ね。ブーンは絶対にいらないって言うのよ」

(;^ω^)「余計な味つけなんてするもんじゃないお」

(´・ω・`)「お前な、塩の偉大さは散々分かってるだろ、うちの店で」

ξ゚听)ξ「ああ、ラーメンの中じゃ塩ラーメンだけ美味しいんですって? ショボンのお家」

(´・ω・`)「そう。今度、ツンさんも食べにおいでよ」

ξ゚听)ξ「考えとくわ。……ブーン、ちょっとでいいから食べてごらん」

(;^ω^)「……」

 スイカに塩を散らし、ツンは内藤の口元に差し出した。

 ラーメンに胡椒だとか、スイカに塩だとか、そういった類の食べ方は何となく苦手だ。
 そのままで充分美味しいものに、さらに調味料を加えてどうするというのか。
 量の調節を間違えたら大惨事なのに。

96 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:14:51 ID:8EBaTv7QO

ξ゚听)ξ「美味しくなかったら私が食べるから」

(´・ω・`)「ここまで言ってるのに断るわけないよねブーン」

(;^ω^)「むむむ」

 内藤は渋い顔をしながら、恐る恐るスイカを齧った。
 しゃくり、と涼しげな音がする。

ξ゚听)ξ「どう?」

( ^ω^)「……」

( ^ω^)「美味しいお」

 もう一口。
 美味い。

 食わず嫌いほど損をしやすいものはないなと実感した。
 ツンの手からスイカを受け取り、しゃくしゃくと頬張っていく。
 用意されていた小皿に種を吐き出し、再び「美味しい」とツンに告げた。

 ツンが、嬉しそうに笑う。

ξ*゚ー゚)ξ「でしょう?」

(;*^ω^)

 きゅっと内藤の胸が痛み、
 ぎゅっと唇がとんがった。

97 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:16:08 ID:8EBaTv7QO

 頬の熱を誤魔化すために顔を逸らし、麦茶を呷る。
 グラスがかいた汗が、テーブルに水の円を描いていた。





 ――こんなに綺麗に笑える人が、作り物な筈がない。





 作り物であってほしくない。




.

98 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:17:06 ID:8EBaTv7QO










 そうだ。
 そんなわけないじゃないか。



( ´∀`)「――お前らが来てから1年になるし、隠すのもやめるモナ。
       どうせ、もう勘づいてきてたモナ?」


 絶対に。

99 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:17:57 ID:8EBaTv7QO


( ´∀`)「……ほら、これ、見てみるモナ。
       大丈夫、生きてる本だけど、ホライゾン達が演じさせられることはないモナ」



 だって。

 笑ってた。
 にこにこ、あんなに綺麗に。



( ´∀`)「前に話したモナね。『本』は、相応しい役者を見付けられなかった場合、
       直接自分の中から登場人物を外に出す――」


 綺麗すぎるくらい、綺麗に。

100 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:18:43 ID:8EBaTv7QO



( ´∀`)「……そうそう、その通り。
       やっぱりニュッは賢いモナね」





 ツン。





 やっぱり。
 やっぱり、ツンは。




.

101 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:20:30 ID:8EBaTv7QO





( ´∀`)「ツンは、本から生まれた子なんだモナ」





(  ω )




.

102 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:21:15 ID:8EBaTv7QO










 「作り物」なんだ。


.

103 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:22:06 ID:8EBaTv7QO





第九話 続く

104 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:24:27 ID:APsF7B7.0


105 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:24:53 ID:nAeEs8SI0
おつ

106 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:25:20 ID:QMLQVCRkO
乙でした

107 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:25:56 ID:SmcgXQPI0
続き気になる


108 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:26:43 ID:8EBaTv7QO
投下終わり!!
何か1レス1レスにスゲエ時間かかったごめんなさい

次回投下は多分再来週


支援してくれた方、読んでくれた方、まとめてくださってる芸さん、いっぷくさん、
皆さんありがとうございました!


ではでは

109 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:27:55 ID:EfC.EWno0
乙!!

110 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:32:29 ID:qO1Yci0A0
乙!
予想はしてたけどうおお……やっぱ続きが気になる

111 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:35:24 ID:UAox.kdc0
乙!!
早く続き読みたいな

112 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:36:21 ID:QAbdn1G2O
乙でした!

相変わらず読ませる文章ですな

続き楽しみにしてますお

113 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:37:27 ID:GnzXsyWg0
乙!
再来週まで待ってる

114 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:44:40 ID:rWCh0mpAO
せつねぇ

115 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 22:54:39 ID:3mAJU0i.O
今のクールなツンもかわいいし昔のツンもかわいい
そんな乙

116 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/27(土) 23:31:05 ID:rfIYqV6c0
一体どういう経歴でこんな静かなツンになったのか

117 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/28(日) 00:05:20 ID:C0.TZGf20

てっきり故人かと思ってたらそうでもなかったのかツン

118 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/28(日) 02:09:46 ID:BV06/Gnw0
くっそ面白いな
やっぱあなたの話はいい

119 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/28(日) 17:44:11 ID:jcidkB9c0
乙乙!

120 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/29(月) 00:15:29 ID:5eGN7CgU0
乙!

121 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/29(月) 01:34:43 ID:TccUkk2I0
ブーンとツンがどうやって
今の関係になってったのか、つづき楽しみだ
乙!

122 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/29(月) 09:34:25 ID:6OSsfEBMO

また祖父ちゃんの残酷なこと
正しいのかもしれないが

123 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/29(月) 16:59:20 ID:m1Y76gM.0

引き込まれるよ

124 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/29(月) 17:26:40 ID:TfCyYj1kO
モナーのキャラ好きだわ
wktkしてもwktkしきれんほどwktkしてる。乙!

125 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/30(火) 15:51:56 ID:LVU5B0hkO
地の文の量が多くもなく少なくもなく、まさに適量
この調節の妙には頭が下がる思いだわ

126 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/31(水) 22:01:55 ID:YLbrbqeM0
乙です。
いつもwktk読んでます。
ξ゚听)ξhttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_669.jpg

127 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/31(水) 22:03:06 ID:Zl5yHUVQO
>>126
なにこれすごい

128 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/31(水) 22:07:31 ID:HZOIkU2kO
>>126
いい意味でびびった

129 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/31(水) 22:43:33 ID:JJFbaSzMO
>>126
見れない…

130 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/31(水) 22:55:55 ID:eiGaF0IIO
>>126
ハイクオリティすぎてヨダレ出た

131 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/08/31(水) 23:45:37 ID:.njpJXpsO
>>126
うはほああああああ! ありがとうございます!!
すげえ。綺麗すぎてちびった
ツンちゃんマジ美少女

132 名前:29日・30日「納涼夏祭り」:2011/09/01(木) 01:40:06 ID:n6Ho.cD.O
>>126
すっげ

すっげ

ツンたんぺろぺろ

133 名前:名も無きAAのようです:2011/09/01(木) 16:32:08 ID:gHaOQZv.0
(*゚ー゚)「モララーが珍しくお茶の準備してたから何かと思えば、 デレちゃんが来るからだったのねん」

ζ(゚、゚;ζ「あ……モララーさん、どうしたんです?」

(*゚ー゚)「セクハラしてやったら泣きながら引きこもった」

ζ(゚、゚;ζ(ど、どんなレベルのセクハラされたんだろう……)



どんなセクハラかkwsk描いてくれる方はおらんかね

134 名前:名も無きAAのようです:2011/09/01(木) 18:19:41 ID:R.32eF/60
モララーがツボすぎてヤバい

135 名前:名も無きAAのようです:2011/09/06(火) 23:21:34 ID:PHj0v0AE0


o川*゚ー゚)o「失礼しまーす。ビコーズ先生、英語の課題プリント集めてきましたー」

( ∵)「ああ、ありがとうございます。この書類の上に置いといてください」

o川*゚ー゚)o「はーい、よいしょっと。それじゃあ失礼しまーす」

( ∵)「はい、ご苦労様でした。……ああそうだ、素直さん」

o川*゚ー゚)o「はい、なんですか?」

( ∵)「枯れてて悪かったですね」

o川;゚ー゚)o「!!!?」

o川;゚ー゚)o「え、そんな、ウソ……どこで、聞いて……」

( ∵)「はは、やっぱりですか。なんとなくそんな事思ってる気がしたんでカマかけてみただけなんですが」

o川;゚ー゚)o「あ、ああ、いやその、これはですね、」

( ∵)「いやいや、いいんですよ。先生これっぽっちも怒っちゃいません。それより素直さん、今日の放課後は時間ありますか?」

o川;゚ー゚)o「ふぇ?」

136 名前:名も無きAAのようです:2011/09/06(火) 23:22:21 ID:PHj0v0AE0

( ∵)「前々から素直さんとは是非一度ふたりっきりでお話ししたくてですね。お姉さんの件もありますし、実は落ち着けるようにもう部屋も取ってあるんです」

o川;゚ー゚)o「そ、それって」

( ∵)「良い部屋なんですよ。『生徒指導室』って言うんですけど。誰の邪魔も入らない、日光すら差し込まないムード満点の素晴らしい所です」

o川; ー )o「」

( ∵)「おやおや、どうかしましたか。顔が真っ青ですよ。先生とのお喋りが待ち遠しすぎて血流止まりましたか?」

o川 ー )o「……そんなところです」


こんな私でも、それなりに色々ある人生を送ってきたつもりだ。


( ∵)「はい、じゃあ大丈夫ですね。今日の放課後、16時30分までに生徒指導室に来て下さい。おうちの方に帰りが遅くなる旨の連絡も忘れずにね」


修羅場とか死線って奴も何度かくぐってきた。その経験がはっきりと告げている。


o川 ー )o「わかりました」



今日、私は、生きては帰れない。

137 名前:名も無きAAのようです:2011/09/06(火) 23:23:49 ID:PHj0v0AE0



ブーッ ブーッ ブーッ

川 ゚ -゚)「ん、メールだ。キュートからか」

川 ゚ -゚)「『今日はちょっと遅くなります。夕飯はいりません。もしかしたら、帰れないかもしれません。少なくとも、お姉ちゃんの知ってる私は。』」

川;゚ -゚)「……どういうことだ?」

138 名前:名も無きAAのようです:2011/09/06(火) 23:24:59 ID:PHj0v0AE0


('A`)「はー、バイトが長引いてすっかり遅くなっちゃった。早く帰ってクーさんにメールでもしようかな」


      ...o川 ´A`)o     ('A` )...

    ('A` )...          ...o川 ´A`)o


('A`)(今の娘、なんか俺に似てたなぁ)

('A`)(あれ? そういえばあの制服にあの髪型、割と身近で見たことあるような……)

(;'A`)「……まさか、いくらなんでもそれはないか」

139 名前:名も無きAAのようです:2011/09/06(火) 23:26:20 ID:PHj0v0AE0


ガチャッ バタン

タダイマ

川 ゚ -゚)「おお、おかえり。遅かったな、キュー……ト、だよ、な……?」

ウン ワタシダヨ
ドウシタノ? ヘンナオネエチャン

川;゚ -゚)「キュート、お前いったい何があったんだ……?」

ネェオネエチャン、キューチャンネ...

川;゚ -゚)「キュート……」

シキュウニカエリタイ

川;゚ -゚)「キュート……!!」

140 名前:名も無きAAのようです:2011/09/06(火) 23:27:43 ID:PHj0v0AE0

〜〜〜( ∵)先生の嘲る生徒指導のようでした〜〜〜

141 名前:名も無きAAのようです:2011/09/06(火) 23:31:55 ID:uTrAF8iM0
戦う生徒指導的なタイトルワロタ 乙

142 名前:名も無きAAのようです:2011/09/06(火) 23:36:49 ID:dipla0tgO
キューちゃんがww
おつおつ

143 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/09/07(水) 00:14:33 ID:x3cabGcYO
作者です
言った方がいいのか悪いのか迷ったけど、とりあえず>>135-140は俺じゃない

いや、面白かったけどwwww
しっかりキャラクター掴んでもらえてて嬉しいです
どれだけキャラ掴んでるかといえば無意識に自分が書き込んだのかと思ったくらい

面白かったし結構嬉しかったですが、せめて投下前か投下後のどっちかでも、一言欲しい
一瞬乗っ取りかとビックリしたんで



あ、第9話後編、土曜日投下予定です。ちょっと早まる可能性も有り

144 名前:名も無きAAのようです:2011/09/07(水) 00:21:55 ID:G65DAcf60
ビビったww

145 名前:名も無きAAのようです:2011/09/07(水) 00:30:39 ID:vSonQ/aoO
えっ 作者違ったのか
ビコーズ先生が完璧過ぎた


後編待ってます!

146 名前:名も無きAAのようです:2011/09/07(水) 01:49:25 ID:hZlTojLU0
おっ!土曜日か
楽しみすぎる

147 名前:名も無きAAのようです:2011/09/07(水) 13:38:54 ID:KLfkZDosO
よしこれで平日に勝つる(`・ω・´)

早まるなんてのはむしろご褒美ですわ

何にしろ楽しみにしてます

148 名前:名も無きAAのようです:2011/09/08(木) 16:16:21 ID:/ogc6t9wO
待ち遠しい

149 名前:名も無きAAのようです:2011/09/08(木) 18:40:19 ID:41jYlPCo0
土曜日とな
知り合いの体育祭とかぶるのか 残念!

150 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 11:41:30 ID:g3jpTBsEO
wktk

151 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 16:27:37 ID:gVtu.ys.0
わくわく

152 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 18:34:01 ID:NPb0Q65U0
この感じ…
見たい映画の前にあるCMを見ている感じだ…!

153 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 18:52:12 ID:cndbOmRIO
wktkが止まらない

154 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 19:50:45 ID:nEOQx7.k0
+   +
  ∧_∧  +
 (0゜・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゜∪ ∪ +        
 と__)__) +

155 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:10:37 ID:kr1tN4ckO
ゆっくりゆっくりペース、毎度毎度申し訳ないけど長い

では第九話後編投下しマイスター

156 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:12:03 ID:kr1tN4ckO


 ツン。本によって生み出された少女。

 彼女の体は成長しない。

 彼女の体は病気にかからない。

 彼女の体に付けられた傷はすぐに完治する。

 彼女が死ぬときは――





#####

157 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:14:10 ID:kr1tN4ckO


( ^ω^)「……うん。大丈夫だお。すっかり慣れたし。……ちゃんと食べてるお。
       お? ――悩み、は、……別に、ないお。
       ありがとうお。うん、……うん。それじゃあ、また」

 受話器を置き、内藤は溜め息をついた。

 電話の相手は母方の祖母。
 金銭的な問題を理由に内藤の引き取りを拒否したが、時折こうして電話をくれる。

 冷たいとか、悪い人だとかは思わない。

 彼女の夫――内藤にとって母方の祖父――は数年前に入院したきり、
 ずっと病院の世話になっている。
 義務教育中の孫を引き取ったところで、内藤のためにも祖父母のためにもならないのだ。

 それに、たまにでも連絡してくれるだけ有り難いというものである。
 ニュッの母親は所謂天涯孤独の身で、ニュッには「母方の親戚」がいない。
 彼のことを考えると、内藤は恵まれている方だ。


ξ゚听)ξ「終わった?」

 ――右手の指が小さく揺れた。

 振り返り、ツンに微笑みかける。

158 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:15:46 ID:kr1tN4ckO

( ^ω^)「……終わったお」

ξ゚听)ξ「そう。
      ごめんね、ご飯、先に食べてたわ。ニュッ君がお腹すかせてたから」

( ^ω^)「僕こそ、電話長引いちゃってごめんお」

ξ゚ー゚)ξ「あ、ううん。いいのよ、好きなだけ話して。
      お祖母さんだって、心配してるに決まってるんだから」

( ^ω^)「……お」

 食堂に向かうため、内藤は踵を返した。
 ツンの横を過ぎる。

ξ゚听)ξ「……ブーン」

( ^ω^)「何だお」

 返事はしたが、立ち止まりはしない。
 ツンはもう一度だけ内藤を呼び、それ以上何かを話すことはなかった。

 ――モナーにツンの正体を教えられてから、一週間。
 内藤は、ツンと、まともに会話出来ずにいた。

 あからさまな避け方をして、申し訳ないとは思っている。
 だが、何食わぬ顔で普段通りに接せられるほど、自分の中での整理がついていない。

 一年間共同生活を送ってきた相手が――本に作り出された存在だと知って、
 平然としていられる人間がどこにいる。

159 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:18:04 ID:kr1tN4ckO

( ^ω^)(……まあ、ニュッ君は普通に受け入れてたみたいだけど)

 ニュッは、まだ分別がつくような歳ではないからともかく。
 そんなことは気にしないと言い切るのは、内藤には難しかった。


 ――ツンに嫌悪感を抱いたわけではない。

 以前のように下らない話で笑い合いたいし、気軽にスキンシップをとりたいと考えている。

 けれど。
 自分でもよく分からない、裏切られたような――妙な苦しさと寂しさが、
 内藤を彼女から遠ざけさせていた。


(;^ω^)「……」

 モナーの話を反芻した瞬間、例の臭いが漂った。
 いつもより強い。

 胃袋を握られるような感覚がして、内藤は壁に凭れかかった。
 少し離れて歩いていたツンが、名前を呼びながら駆け寄ってくる。

ξ;゚听)ξ「ブーン、どうしたの? 大丈夫?」

(;^ω^)「……大丈夫」

160 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:20:06 ID:kr1tN4ckO


 別に、ツンもモナーも、内藤を裏切るようなことはしていない。
 それでも。



   ( ´∀`)『ああ、一番話したいことは、これからだモナ。
          最後のページを見てほしいモナ。……それ。そこ。
          そう遠い未来の話でもないだろうから、覚悟をしておいてほしいんだけど――』





 ――ツンが死ぬ(消える)のは、本が燃えたときか、内藤モナーが死んだとき。――





 あの文章を思い出すと、様々な感情がどろどろと縺れ合い、胸の底に溜まっていくのである。

161 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:20:39 ID:kr1tN4ckO



第九話 あな悲しや、私小説・後編



.

162 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:21:21 ID:kr1tN4ckO


( ´∀`)「空気が重い」

 昼飯時。

 モナーは唐突に箸を置き、ぼそりと呟いた。

ξ;゚听)ξ「えっ」

( ´∀`)「お前らだモナお前ら。ホライゾンとツン。
       ここ最近、目も合わさなければ最低限の会話しかしない」

( ´∀`)「互いを避けようが避けまいがどうだっていいモナが、
       こっちまで巻き込むのは勘弁してほしいモナ」

(;^ω^)(このジジイ……)

 お前のせいだ、という文句は素麺と共に飲み込む。
 ニュッが、困ったような表情を浮かべて皆の顔を窺った。

 モナーの言葉は聞こえなかったふりをして、内藤は素麺に箸を伸ばす。

ξ゚听)ξ「私は避けてるつもりないんだけどね」

(;^ω^)

 掬い上げた麺が、滑り落ちた。
 ツンの声が刺々しい。

163 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:22:22 ID:kr1tN4ckO

(;^ν^)「あ、あう」

( ´∀`)「構うんじゃないモナ、ニュッ。ろくなことにならんモナよ」

ξ゚听)ξ「2人共、モナーさんから聞いたんですって? 私のこと」

(;^ω^)「……はい」

ξ゚ -゚)ξ「それで避けてるの?」

(;^ω^)「……」

 黙秘。

 そっぽを向き、薬味を汁に投入していく。
 しばらくツンの視線を感じていたが、やがて彼女も食事の方に意識を移した。



#####

164 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:25:18 ID:kr1tN4ckO


(´・ω・`)「ああ、ツンさんが馬鹿力なのって、そういう『設定』だったからなんだね。
      謎が解けた」

ξ゚听)ξ「モナーさんは御老体だから、力持ちの方が何かと便利なの」

(´・ω・`)「それにしても……すごいなあモナーさん。
      普通、思いつきはしても、実行なんてしないだろうに」

ξ゚听)ξ「奥さんが亡くなった後、すぐに私を作ったらしいわ。
      1人で生活するのが大変だから、って。
      失敗したらお手伝いさんを雇うつもりだったみたい」

(´・ω・`)「で、無事に成功したわけだ。なるほど」

(;^ω^)(……こいつ、本当に自分さえ安全ならどうでもいいのかお……)

 夏休みも終わる頃。
 1階、リビング。

 内藤は、ショボンとツンの会話を聞いて唖然としていた。
 2人の会話に、ではなく、あっさり受け入れて感心すらしているショボンに。

 ストレスの少なそうな生き方で羨ましい限りである。

165 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:27:04 ID:kr1tN4ckO

ξ゚听)ξ「……あ、ごめんなさいね、長話しちゃって。ごゆっくり」

 ふと壁の時計を見たツンは、慌てて腰を上げた。
 茶菓子を運ぶのに使った盆を抱える。

(´・ω・`)「いいじゃない、ここにいたら。クーラーあるし」

ξ゚ー゚)ξ「……遠慮しとくわ」

 ショボンの提案を、ツンは寂しげな笑顔で断った。

 内藤が俯く。
 大体察したようで、ショボンが「ああ、そう」と声を落とした。

 リビングのドアが閉まる音。
 ツンは出ていったらしい。
 顔を上げた内藤の額に、ショボンの人差し指がぶつかった。

(;^ω^)「痛っ」

(´・ω・`)「酷い奴だね」

(;^ω^)「酷いって――」

(´・ω・`)「『君が何者だろうと構わない』って言ってやるのが、いい男の基本なのに」

(;^ω^)「……生憎、そんな余裕ないお」

166 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:27:44 ID:kr1tN4ckO

(´・ω・`)「別にさあ、何か問題あるわけじゃないじゃん。
      常に美人。性格悪くない。世話してくれる。
      ……君に危害を加えるでもなしに」

 ――害があるとかないとか。
 そういう問題ではないのだ。

 口を噤む内藤に、ショボンは溜め息をついて首を振った。

(´・ω・`)「――どうせ、じいさんが死ぬまでの何年か程度の付き合いでしょ。
      我慢したら?」

( ^ω^)「……下衆っていうかクズっていうか」

(´・ω・`)「そんなに褒めるな」

 デリカシーが致命的なレベルで欠落している。
 「こういう奴だから」と内藤は諦めているが、
 普通なら殴り合いの喧嘩になっていてもおかしくない発言だ。

 とりあえず、グラスから取り出した氷をショボンのシャツの中に突っ込んだ。



#####

167 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:28:51 ID:kr1tN4ckO


ξ゚听)ξ「ブーン」

(;^ω^)「お」

 数日後。
 モナーから本を借りようと廊下を歩いていた内藤は、ツンに腕を掴まれた。

 睨むような目付きで見つめられる。
 最近、内藤の身長が伸びてきたためか、視線の高さが近い。
 間もなくツンを超えるだろう。

ξ゚听)ξ「お夕飯作るの手伝って」

 内藤は口を開き、無言のまま閉じた。
 浅く頷く。

 ツンの瞳の鋭さが、少しだけ和らいだ。



.

168 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:29:53 ID:kr1tN4ckO

 ――厨房。

 とん、と、包丁がまな板を叩いた。

ξ゚听)ξ「皮剥いたら、そこ入れといて」

( ^ω^)「分かったお」

 ツンが、水を張ったボウルを包丁の先で指した。
 内藤はじゃがいもの皮をピーラーで剥きながら、何とはなしにツンの手元を見る。

 輪切りにされていく茄子。
 厚みは案外ばらばらだ。

 人間臭い。

 寸分の狂いもなく等間隔に切り分けられていれば。
 一挙手一投足に、人間離れした、無機的な正確さがあれば。
 彼女の真実に対して、抵抗を抱くことはなかったかもしれない。

ξ゚听)ξ「ねえ、ブーン」

( ^ω^)「何だお?」

ξ゚听)ξ「……」

( ^ω^)「……」

 とんとん、しゅるしゅる。

 包丁がまな板を打つ音と、ピーラーが皮を剥いていく音が、厨房の中に響く。

169 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:30:52 ID:kr1tN4ckO

ξ゚听)ξ「私のこと嫌い?」

(;^ω^)「はあ?」

 内藤の手が止まった。
 じゃがいもの皮が、中途半端な位置で垂れ下がる。

ξ゚听)ξ「人間じゃないから、恐くなった?」

(;^ω^)「……どうしてそんなこと言うんだお、ツン」

ξ゚ -゚)ξ「だって、ブーン、私のこと避けるじゃない」

(;^ω^)「……えっと……。あの。何か」

ξ゚ -゚)ξ「『なんか』、何よ」

(;^ω^)「信じられないっていうか……」

 ツンの、形のいい眉が歪んだ。
 咳払いをして、内藤は作業を再開させる。

 頭の中では、ツンにかけるべき言葉がぐるぐる回っている。
 嫌いじゃない。恐くない。
 そう言ってやらねばならないのに、手が動くばかりで、口は閉ざされたままだ。

 変に力をこめてしまったのか、ピーラーの刃がじゃがいもに食い込んだ。
 恐々、横目にツンを見る。
 我ながら分かりやすいくらいに動揺している。

170 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:33:19 ID:kr1tN4ckO

(;^ω^)「――え」

 ぽたり、シンクに雫が落ちた。
 赤い。

ξ゚听)ξ「……」

 ――ツンの親指に、切り傷が出来ていた。
 そこに宛がわれている、包丁。

(;^ω^)「……! 何してるんだおツン!!」

ξ゚听)ξ「……見て」

(;^ω^)「は――」

 ツンが、傷口を内藤へ向ける。

 赤い筋は、ゆっくりと消えていった。
 表面に付着した血液を軽く拭えば、そこには、もう何も残っていない。

(;^ω^)「……」

ξ゚听)ξ「信じてくれる?」

 ――びっくりさせてごめんね。

 囁き、ツンは手を下ろした。
 蛇口を捻る。
 ざあざあと流れる水に、包丁を触れさせた。

171 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:35:27 ID:kr1tN4ckO

ξ゚ -゚)ξ

(;^ω^)

 水を止め、まな板に包丁を置く。

 一呼吸の間をあけてから、ツンは内藤に視線を送った。

ξ゚ -゚)ξ「……しょうがないじゃない」

(;^ω^)「え?」

ξ゚ -゚)ξ「こういう風に作られたんだから、しょうがないじゃない」

ξ; -゚)ξ「ブーンが嫌でも恐くても、私、こんな体なんだもの」

 ぽたり。雫。
 今度は、透明な。

ξ; -;)ξ「か、変えようがないのよ。
      ……そりゃあ、私だっ、て、ブーンに……恐がられる、ぐらいなら、
      普通に歳をとって、……病気になったり、髪を伸ばしたり、し、したいわよ」

ξ;;)ξ「……でも、出来ないの! モナーさん、私をそういう設定にしてくれなかったもん!」

(;^ω^)「……ツン……」

ξ;;)ξ「せっ、性格とか、態度とか、そういうのが嫌だって言うなら、私、頑張って直すけど。
      存在そのものを否定されたって、……、ど、どうしようもないの……」

172 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:39:27 ID:kr1tN4ckO

 ツンは、子供のように泣いた。
 ひくひくと喉や肩を震わせる。

 内藤はピーラーが引っかかったままのじゃがいもをボウルに突っ込み、
 濡れた掌をズボンに擦りつけた。

 そして、ツンの手を掴む。

(;^ω^)「ツン、ごめんなさいお。
       嫌いじゃないから、泣かないでほしいお……」

ξ;;)ξ「……ほ、……ほんと?」

 笑った顔も怒った顔も、どんな表情も綺麗だというのに。

 泣いた顔ときたら、ぐしゃぐしゃだ。
 鼻水まで出ている。

 内藤は吹き出して、食器棚の引き手にかかっていたタオルでツンの鼻を拭った。

ξ;;)ξ「な、なに笑って……んぶぶ」

( ^ω^)「……おっおっおー」

 どうせなら、何もかも完璧であってほしかった。
 何もかも綺麗であってほしかった。

 そしたら、こんなに、ツンに好意を抱くこともなかったのに。

173 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:41:35 ID:kr1tN4ckO

ξ゚ -゚)ξ「……」

 涙も鼻水も拭き取ってやると、ツンは顔を逸らした。
 眉間に寄せられっぱなしの皺。真っ赤になった鼻。

 じっと見つめていると、「何よ」とツンが呟いた。
 どう返事をしたものか迷いながら、とりあえず、一言だけ口にする。

( ^ω^)「……ツンって、すごく綺麗だおね」


 綺麗だ。
 顔も仕草も。

 すごく綺麗なのに、たまに、崩れる。
 さっきの泣き顔みたいに。

 それが堪らなく愛しい。


 ツンはぽかんと放心して――急に、頬を真っ赤に染めた。

ξ;*゚听)ξ「――なっ……! はあ!? ばっ、なっ、き、急に、な、何、」

 今はそんなことを言う場面じゃないでしょう、と喚くツン。

 目を見開き、口元をひくつかせている。
 また、「綺麗じゃない」顔だ。

 可愛いなと、思った。

174 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:42:57 ID:kr1tN4ckO

( ^ω^)「おー。まっかっか」

ξ;*゚ -゚)ξ「……っ! ……っ! か、からかうなっ!!」

( ^ω^)「からかってるわけじゃないお。本当に綺麗だと思うお」

ξ;*゚听)ξ「嘘つき!」

( ^ω^)「……褒めてるのに、何で怒るんだお」

ξ;*゚听)ξ「お! ……怒ってるわけじゃ、ないけど……」

 どんどん赤くなる。
 怒ったような、困ったような、照れたような。
 複雑な表情を浮かべ、ツンはあちこちに視線をやった。

 先程は「からかっていない」と答えたが、正直楽しい。
 ここ最近はツンの寂しそうな顔ばかり見ていたし。まあ自分のせいなのだが。

 そういえば、最後に彼女の笑顔が自分に向けられたのは、いつだっただろうか。

 内藤は、ツンの頬を軽く抓った。

( ^ω^)「褒められたら、お礼言うんだお」

ξ;*゚听)ξ「あ、あう」

( ^ω^)「笑って『ありがとう』って言ってみるお?」

ξ;*゚听)ξ

ξ;*゚听)ξ「あ」

175 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:44:08 ID:kr1tN4ckO

   _,、_
ξ;*゚ー゚)ξ「……あ、りがと、う」

( ^ω^)「いや何か顔が必死すぎるお」

ξ;*゚听)ξ「ううううるっさいなぁあああ! もう――」

ξ;*><)ξ「――私よりガキのくせに!!」

 ばん、とツンがまな板を叩く。
 茄子が転がり、床に落ちた。

ξ;*><)ξ「出てけー! この女ったらし! スケベ! マセガキ!」

(;^ω^)「ちょ、ま、まだじゃがいも全部剥いてな……」

ξ;*><)ξ「知るか馬鹿!」

 ぐいぐい、厨房の外に押しやられる。
 ツンの怪力に敵うわけもなく、躓きそうになりながら食堂に出た。

 勢いよく閉められたドアを眺め、内藤は頭を掻く。
 調子に乗りすぎた。

176 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:45:02 ID:lXeD.CuQ0
このツンからあのツンへどう変化していくんだ

177 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:47:39 ID:kr1tN4ckO

 謝っておくべきだろうかと思案していると、ドアがゆっくり開いた。
 僅かな隙間からツンが覗き込んでくる。

ξ;*゚听)ξ「……け、結局、私のこと嫌いなの……?」

( ^ω^)「だから、嫌いじゃないってば。
       ……ごめんお。いきなりすぎて、どう接していいか分からなかったんだお」

 ツンの眉間の皺が消える。
 ドアが、今度はゆっくりと閉まった。

 その向こうから、か細い声。

    「……今まで通りでお願いします……」

( ^ω^)「今までって」

    「あっ、い、今までって言っても、最近みたいな冷たい感じじゃなくてっ。
     前みたいな、ふ、普通に。普通に……気軽に」

( ^ω^)「……分かったお」


 すうっと、胸の内の何かが溶けた。

 自分が否定しようと、事実が変わるわけでもない。

 沸き上がる不安をツン丸ごと拒んだって仕様がないし、
 ツンがあんなにも傷付いてしまうのは嫌だ。

178 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:47:44 ID:W9cb0BkU0
甘酸っぱ支援

179 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:49:21 ID:kr1tN4ckO


     (´・ω・`)『――どうせ、じいさんが死ぬまでの何年か程度の付き合いでしょ』


 「何年か程度」。
 「何年か程度」が過ぎたら。
 そのときは、そのときだ。


 ドア越しにもう一度謝って、内藤は椅子に腰掛けた。



#####

180 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:50:44 ID:g3jpTBsEO
きてた!しえん

181 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:51:36 ID:kr1tN4ckO



 それからは、取り立てて言うほどの大きな事件もなく。
 内藤家は平穏に日々を過ごしていった。



 時を、4年後、1999年の3月へと移そう。



( ^ν^)「何か物足りない」

 廊下。モナーの部屋の前。
 モナーに本を返しながら、ニュッはそう言った。

( ´∀`)「モナ? 最近発売された中でも、僕の一番のお気に入りだったモナが……」

( ^ω^)「おー、目が肥えてきたかお、ニュッく……」

 たまたま居合わせた内藤が頭を撫でてやると、ニュッは無言のまま手を振り払った。本で。
 可愛くない。非常に可愛くない。

( ;ω;)

( ´∀`)「んんー、ニュッの好みだと思ったのに」

( ^ν^)「面白かったけど、何か、足りない」

( ´∀`)「ふうむ」

 顎を摩り、モナーは首を傾げる。
 ニュッから受け取った本を、ぱらぱらめくった。

182 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:53:14 ID:kr1tN4ckO

( ´∀`)「じゃあ……最近読んだもので、何が一番面白かったモナ?
       参考にするモナ」

 ニュッは間を置かずに本のタイトルを告げた。
 聞き覚えがある。
 たしか、モナーがニュッのために書いた話だった筈。

 つい先日、内藤も読んだ。
 まあ面白いことは面白かったが、飛び抜けて出来がいいかと問われれば難しい。
 あれよりは、モナーが作家時代に書いたという話の方が内藤は好きである。

( ´∀`)「それモナか? 最近で一番?」

( ^ν^)「ん」

( ´∀`)「3ヶ月も前に書いた本モナよ。
       自分で言うのも癪モナが、然程面白くもないし」

( ^ν^)「でも、あれが一番好き」

 モナーは襟首を掻き、「そうモナか」と呟いた。
 照れているのか、居心地が悪そうな顔をしている。
 内藤は笑い出しそうになるのを堪えた。

 少し待て、と、モナーが部屋に引っ込む。

183 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:54:50 ID:kr1tN4ckO

 数十秒後。
 モナーは、新しく持ってきた本をニュッに手渡した。

( ´∀`)「内容的には、あれと同系統の本モナ。
       ニュッのお気に入りの作家だし、きっと楽しめるモナ」

 小声でありがとうと言い、ニュッが自室に戻る。
 ドアが閉まると、モナーは肩を竦めた。

( ´∀`)「ニュッの好みから言ったら、僕が書いたのよりも
       さっきの方を面白く感じる筈なのに……。変モナね」

( ^ω^)「祖父ちゃんがニュッ君のために書いてくれた、ってのが大きいんじゃないかおー。
       身内贔屓、身内贔屓」

 あまり考えずに発した内藤の答え。

 当たらずとも遠からず。
 あながち間違っているとは言えない意見だったのだが、
 このときの彼らが知る由もない。



.

184 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 20:58:55 ID:kr1tN4ckO


 ――翌朝。

( ^ν^)「やっぱり、足りない」

 内藤が食堂に行くと、ニュッがモナーに本の感想を話しているところだった。
 昨日の本もお気に召さなかったらしい。
 モナーが唸りながら腕を組む。

( ´∀`)「面白いとかつまらないとかじゃなく、『足りない』モナか……」

ξ゚听)ξ「何が足りないの? ストーリーの長さとか?
      あ、ブーン、おはよう」

( ^ω^)「おはようおー」

 皿を並べていくツンの隣に立ち、メニューを確認する。
 クロワッサンとスクランブルエッグ、付け合わせのサラダ。
 そして、かぼちゃのポタージュ。

( ^ω^)「おーん。米が食べたいおー。がっつり食べたいおー」

ξ゚听)ξ「だってニュッ君、朝ご飯が和食だとあんまり食べられないんだもの」

( ^ω^)「僕は食べ盛りなんだおー。ツンー。ツンちゃーん」

ξ;゚听)ξ「ああもう邪魔くさい」

 ツンの肩を揉みながら抗議すると、盆で鼻っ面を叩かれた。
 内藤の背丈や年齢がツンを越した頃から、扱いがぞんざいになってきた気がする。

185 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:00:07 ID:kr1tN4ckO

ξ゚听)ξ「後でおにぎり作ってあげるから、まず、こっち食べちゃってよ」

(*^ω^)「ツン大好き!」

ξ;*゚听)ξ「ぎゃあ!」

 抱きしめる。
 変態、と騒ぎ、ツンが内藤の頭をぶった。
 彼女の腕力なら、内藤を引き剥がすことぐらい訳無いだろうに。

(*^ω^)「可愛いおーツン可愛いおー」

ξ;*゚听)ξ「こ、こらっ!」

( ^ν^)「早くご飯食ったら?」

( ´∀`)「うわあ、ニュッがすごく冷めた目をしている。小3の目じゃないモナ」

(*^ω^)「ツン好きだおー」

ξ;*゚听)ξ「なっ……すっ、好きって」

( ^ν^)「学校でも女子生徒に同じこと言ってるくせに」

 クロワッサンを齧り、ニュッが一言。

 ツンの表情が消える。

186 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:02:01 ID:kr1tN4ckO

ξ゚听)ξ「は?」

(;^ω^)「え、やだニュッ君、急に何……」

( ^ν^)「クラスとか学年とか関係なく口説き回ってるって、ショボンから聞いた」

ξ゚听)ξ

(;^ω^)

( ´∀`)「引くわあ」

ξ゚听)ξ

ξ゚听)ξ「何でこんな風に育っちゃったのかしら……」

( ^ω^)「ツンさん、そういう言い方やめて。心に刺さる」

ξ゚听)ξ「昔は私より小さくて純粋で可愛かったのに……。
      今じゃ、『可愛い』だの『好き』だの軽々しく口にして……」

(;^ω^)「元はといえばツンのせいだお!?」

ξ#゚听)ξ「なっ、何で私のせいなのよ!?」

187 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:03:59 ID:kr1tN4ckO

 実際のところ、内藤が女好きになった原因の一端はツンにある。

 あの「仲直り」の日、照れたツンの様子に内藤は味を占めた。
 それからちょくちょく、ツンを褒めちぎっては恥ずかしがる彼女の可愛らしさを堪能し。
 いつしか対象はツンのみに限らなくなり――今に至る。

 これで内藤が男前であれば、さぞやモテていただろう。
 しかし良く言えば温容、悪く言えば締まりのない間抜け面である内藤がどんなに口説こうと、
 まともに相手をする者はいなかった。

ξ#゚听)ξ「まったく……。こんな軟派な子に食べさせるご飯はありません!
      来月から受験生でしょ、真面目に勉強しなさい!」

(;^ω^)「ちょっちょっちょっ、僕の分の食器下げないでえ!!」



#####

188 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:06:03 ID:kr1tN4ckO


(*^ν^)「これ好き」

 4月1日。
 内藤が高校3年生、ニュッは小学4年生になった日、食堂でのこと。

 本――分厚いノート――を抱えて、ニュッは、よく見なければ分からない程度に笑った。
 クッキーと紅茶を出し、ツンがニュッの頭を撫でる。

ξ゚ー゚)ξ「あら、やっと気に入るのがあった? 何の本?」

( ´∀`)「……先日、僕が書いた話モナ。
       敢えて前回のものとは趣向を変えてみたモナが」

( ^ω^)「何だお。やっぱり祖父ちゃんの本だから良かったんじゃないかお」

 ニュッがアーモンドクッキーを口に運ぶ。
 しばらく考え込む素振りを見せると、不意に、本をテーブルへ置いた。

( ^ν^)「……」

( ^ω^)「お? どうしたお、ニュッ君」

( ^ν^)「……俺だけの本が欲しい」

 本人も自分の心情を把握しきれていないのだろう。
 首を傾げ、手探りしているかのように、ぽつりと呟いた。

189 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:06:48 ID:FJiP8yD2O
皆可愛いいなあー

190 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:07:35 ID:kr1tN4ckO

 モナーとツンが顔を見合わせる。

( ´∀`)「どういうことモナ」

ξ゚听)ξ「モナーさんの本を借りるんじゃなくて、自分で本を買いたいってことかしら」

( ^ν^)「そうじゃなくて、……そうじゃなくて……」

 言い淀む。

 内藤達が疑問符を飛ばしていると、ニュッはテーブルに突っ伏した。
 ううん、と唸り、沈黙。

 それから待ちくたびれたモナーが紅茶が啜ると同時に、
 ニュッは、がばりと飛び起きた。

( ^ν^)「俺のために書かれた本がいい」

(;^ω^)「……ニュッ君のため?」

( ^ν^)「うん」

 言われてみれば、たしかに、ニュッが気に入ったという本は
 どちらもモナーが彼のために書いたものだ。

 モナーはティーカップを置き、息を吐き出した。

( ´∀`)「他の人間じゃなく、自分1人だけのための本モナね」

 こくり。ニュッが頷く。

 ――つまり、ある種の独占欲のような。
 そんな感情。

 まるで、異性に向けるそれだ。
 目眩がした。

191 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:08:00 ID:CHsn6CU2O
作者が一番かわいいよ
結婚してくれ

192 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:10:19 ID:kr1tN4ckO

(;^ω^)「ああ……祖父ちゃんのせいでニュッ君の性癖が歪んだ……本フェチって……」

( ^ν^)「フェチって言うな」

( ´∀`)「変態度合いで言ったらホライゾンの方が重症な気もするモナが」

(;^ω^)「僕は女の子好きなだけ!!」

(;^ω^)「……大体、僕は昔から心配してたんだお?
       保育園や幼稚園に入れもせず、ニュッ君に与えるものといったら本本本!
       人との交流ってもんが少なすぎたんだお! そりゃあ、こうもなるわ!」

( ^ν^)「今更そんなん言われても」

(;^ω^)「君の話だお!? 何でそこまで冷めてるの!?」

ξ;゚听)ξ「まあ、たしかに普通の環境ではなかったわね」

( ´∀`)「本好きに育つことの何が悪いモナ?」

(;^ω^)「本好きってレベルじゃなくなるのが恐いんだお!
       ニュッ君、今まで女の子に恋したことはあるかお?」

( ^ν^)

( ^ν^)「そういえば、ない気がする」

(;^ω^)「ほらぁああ!
       人は好きになれないけど本は大好きなんて、まんま祖父ちゃんだお!
       これじゃあ、ろくな大人にならないお!?」

( ´∀`)「おい」

193 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:13:20 ID:kr1tN4ckO

(;^ω^)「それというのも、祖父ちゃんがニュッ君を甘やかして洗脳するから……!
       ……そうだお、昔っからニュッ君ばっかり可愛がって僕には何も――」

( ´∀`)「えー。ホライゾンも可愛がってたつもりなんだけども」

( ^ω^)「車道に突き飛ばすのが可愛がってる内に入るとでも?」

( ´∀`)「こいつ、しつけえ……」

ξ゚听)ξ「話が逸れてるわよ」

( ´∀`)「ああ。まあ、大丈夫モナ。
       僕だって、いっぱしに恋ぐらいは出来たし。相手は1人だけだったけど」

 内藤が生まれるより前に亡くなったという祖母のことか。
 今になって考えてみると、このモナーを惚れさせるなんて、
 随分と凄い女性だったのではなかろうか。

( ´∀`)「何にせよ、ニュッが楽しければいいじゃないかモナ」

 それを言われると。

 口を閉じる内藤。
 その肩を、モナーがぽんぽんと叩いた。

( ´∀`)「だから、ホライゾン」

(;^ω^)「?」

( ´∀`)「ニュッのために小説、書いてくれるモナね?」

(;^ω^)

(;^ω^)「え?」



#####

194 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:15:24 ID:TJ9DmyQ20
>>191
作者は俺の物だ!

195 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:16:01 ID:kr1tN4ckO


 「だって僕1人じゃあ色々とキツいし」。

 モナーの言により、内藤まで作家の真似事をさせられることになった。
 何とか一夜で作り上げた小説は、素人丸出しの出来。
 それでも、ニュッは喜んでくれた。

( ^ν^)「普通に書けてるし面白いと思うけど」

(*∩ω∩)「やだもうお世辞とか! もう! もっと言って! もう!」

( ´∀`)「あくまで素人の範囲で、モナね」

( ^ω^)「ジジイてめえ」

 ニュッの部屋。

 内藤は室内を見渡し、こっそり溜め息をついた。
 モナーから譲り受けたのか自分で買ったのか、大量の本が机や床に置かれている。
 後で、本棚を買うようモナーに頼んでおこう。

196 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:18:06 ID:kr1tN4ckO

( ´∀`)「とりあえず、ひとまずは満足出来たモナ?」

( ^ν^)「……んー」

 モナーは、彼が書いた小説をニュッに手渡しながら訊ねた。
 肯定も否定もしないニュッ。
 満足はしていないだろう。

 内藤が何時間も費やして書き上げた小説を、ニュッは20分とかからずに読みきった。
 短い話だったせいもあるだろうが、元々彼は読むのが早い。

 それに、モナーが言うように、大した出来ではない。
 「自分のために小説を書いてもらう」という欲は満たされても、
 物語そのものは、ろくに楽しめなかった筈である。

( ^ω^)(ううむ……)

 何か、いい解決策はないものだろうか。



#####

197 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:19:32 ID:kr1tN4ckO


 春休みが終わると、ますますニュッの要望に応えるのが難しく思えてきた。
 今はともかく、数ヶ月もすれば受験だ何だと忙しくなるのだ。
 ニュッのために割く時間など限られてくる。

 そのことをモナーに伝えると、モナーも同意見だったらしく、
 「そうモナねえ」と声を漏らし、考え始めた。

( ´∀`)「雇うモナか」

(;^ω^)「……そこまでするかお?」

 冗談なのか本気なのか。
 どうせ前者だろうと内藤は取り合わなかった。

 まさか本気だとは思いもしなかったのだ。



.

198 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:21:43 ID:kr1tN4ckO



 ――そうして。

 4月10日、夕方。

( ^ω^)「ただいまおー」

 ショボンの家から帰宅した内藤は、食堂に向かった。
 特に理由はない。ただ単にツンに会いたかっただけである。

 だが。

(´・_ゝ・`)「――あ。おかえり」

川д川「おかえりなさい……」

( ^ω^)

 食堂には、見知らぬ男女がいた。

 男の方は30代、女の方は中学生から高校生くらいに見える。

 どちらも、テーブルの上に広げた分厚いノートに何か書き込んでいた。

( ^ω^)「えー……っと。……こんにちは……?」

 ドアノブを掴んだまま、中には入らずに挨拶する。
 モナーの客だろうか。

 今までにも訪ねてくる者は時折いたが、大抵は1階の客間で用事を済ませていた筈。
 何故ここにいるのだろう。親戚ではない。と、思う。

199 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:25:34 ID:kr1tN4ckO

ξ;゚听)ξ「……あ!」

 厨房のドアが開き、ツンが現れる。

 ツンは内藤を見るなり、ティーカップと皿をテーブルに置いて
 内藤の方へ駆け寄ってきた。

( ^ω^)「お客さんかお?」

ξ;゚听)ξ「違うの! モナーさんが! モナーさんが!」

(;^ω^)「ちょっ……落ち着くお、ツン」

 男女を指差し、唾を飛ばさん勢いで喚くツン。
 ただ事ではなさそうだ。

 内藤が宥めていると、後ろから声がした。

( ´∀`)「おや、ホライゾン、帰ってたモナ?」

( ^ν^)「おかえり」

( ^ω^)「あ、祖父ちゃん……とニュッ君。ただいま」

 丁度いい、と言って、モナーは内藤を食堂に押し込んだ。
 2冊の本を脇に抱えている。

( ´∀`)「紹介するモナ。
       こっちが盛岡デミタス、こっちは山村貞子モナ」

(´・_ゝ・`)「デミタスです。よろしく」

川д川「……貞子ですう……」

200 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:27:05 ID:kr1tN4ckO

( ^ω^)「はあ、盛岡さんと山村さん、よろしくですお。僕は内藤――」

(´・_ゝ・`)「内藤ホライゾン君でしょ。何で呼んだらいいかな?
        ホライゾン君とか、ホライゾンとか、あだ名のブーンとか」

川д川「私はブーンって呼ぶわあ……私のことは好きに呼んで……」

(;^ω^)「え?」

 どうしてあだ名まで。
 というか、何だ、この人達は。

 困惑した内藤がモナーを見遣った。
 モナーは何も言わずに、抱えていた本を内藤に差し出す。

 赤と黒の2色ずつ。
 赤い本に貼られたラベルには、「盛岡デミタス」と「内藤モナー」。
 黒い本に貼られたラベルには、「山村貞子」と、やはり「内藤モナー」

 内藤の背に、冷たいものが走る。

 嫌な予感。

(;^ω^)「……まさか」

( ´∀`)「モナモナ」


( ´∀`)「――ニュッのために、書き手、作ってみたモナ」



#####

201 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:29:25 ID:kr1tN4ckO


(;^ω^)「……マジかお……」

 黒い本を閉じ、内藤は頭を抱えた。

 生年月日、現在の身長体重、血液型から何から、びっしりと綴られている。

 ツンとは違う点がいくつか見られた。
 大きなところを挙げるならば、時間の経過と共に成長することと、
 それと――彼らの「死」のタイミングは、モナーではなくニュッ主体に考えられていること。

 モナーは内藤から赤と黒の本を受け取ると、ニュッへと持たせた。

( ´∀`)「ニュッのものだから、大切に持ってるモナ」

( ^ν^)「ん」

(;^ω^)(……ニュッ君の『もの』かお)

(´・_ゝ・`)「主にミステリ書くよ。ドーナツとコーヒーが好き」

川д川「主にホラー書きまあす……。お煎餅と焙じ茶が好き……」

(;^ω^)「ああ……そう……」

( ´∀`)「ニュッが、とりあえずミステリとホラーを読みたいって言うから」

 頭が痛い。
 隣では、私の誕生日なんか決めてくれなかったくせに、とツンが頬を膨らませていた。
 そんなことは大した問題ではないと思うのだが。

202 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:33:33 ID:kr1tN4ckO

(;^ω^)「何で、ツンと違って……あの、成長するようになってるんだお」

( ´∀`)「あいつらとニュッは長い付き合いになるモナ。
       それなら第三者との関わりも多くなる筈。
       見た目がまったく変化しないなんて、面倒なことになりかねんモナ」

( ´∀`)「とは言っても――あんまり年をとりすぎるのも厄介そうだから、
       40歳を超えたら成長のスピードを著しく遅らせるようにはしたモナけど」

 ずきずき、頭だけでなく胸まで痛み出した。

 デミタスや貞子とは、「長い付き合いになる」。
 ツンは――

 一度、深呼吸をする。
 本をモナーに返し、内藤はニュッの肩を引っ掴んだ。

(;^ω^)「ニュッ君は、これでいいのかお?」

( ^ν^)「……俺は、別に」

(;^ω^)「……」

 ちらとデミタス達を見る。
 ――ツンと同じだ。
 仕草や表情に、何の不自然さもない。

 たった数百ページの紙の束から生まれたのに、
 普通の人間との違いが見当たらないのだ。

203 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:36:03 ID:kr1tN4ckO

(;^ω^)「……どこに住まわせるんだお。空いてる部屋あったかお?」

( ´∀`)「ああ、それなら大丈夫。
       デミタスは……ほら、ミステリ小説をしまってる部屋があるモナ?」

( ^ω^)「ニュッ君の隣の」

( ´∀`)「明日にでも、あそこの本を1階に移して、ベッドやら何やら用意するモナ。
       貞子はホラー小説の部屋で。
       まあ今夜だけ、デミタスはニュッ君と、貞子はツンと一緒に寝てほしいモナ」

ξ;゚听)ξ「……はあ」

 ツンが溜め息をつく。
 呆れた、とモナーには聞こえない大きさで零した。

( ´∀`)「同居人が増えるだけモナ。何か問題あるモナ?」

(;^ω^)「問題しかないお!」

 内藤が反論すると、モナーはきょとんとした顔で首を傾げた。
 心の底から不思議そうだ。

( ´∀`)「どこに?」

(;^ω^)「は?」

( ´∀`)「どこに問題があるモナ」

(;^ω^)「そりゃ、……」

204 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:37:08 ID:kr1tN4ckO

 答えられなかった。

 生活費や諸々にかかる金なんて、モナーからすれば痛くも痒くもない。
 デミタスや貞子とは意思の疎通が可能だし、多分、無害である。
 人見知りのニュッも、彼らのことは既に受け入れている。

 あまりにも酷い考え方ではあるが、「何か」が起きても、
 彼らの命そのものである本を燃やしてしまえば簡単に処理出来る。

 唯一の問題は、内藤の胸中に溜まる、もやもやとした引っ掛かりだけだ。

(;^ω^)「……」

( ´∀`)「大丈夫モナよ、ホライゾン」

 モナーが内藤の背を叩く。

 何が大丈夫だというのだ。
 問い掛けられず、内藤は口を結んだ。



#####

205 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:38:53 ID:kr1tN4ckO


( ゚∋゚)

( ^ω^)


 増えた。

 デミタス達が来てから一週間が経った日。
 作家が増えた。


( ゚∋゚)「堂々クックルだ。よろしく頼む」

(;^ω^)「あ……うん、よろしく……」

( ゚∋゚)「ブーンでいいか?」

(;^ω^)「どうぞ、好きなように……ていうか、大きいね……」

 堂々クックルという少年――顔を見るに、内藤より年下だと思われる――が右手を差し出した。
 少し迷って、内藤が握り返す。
 大きい手だ。指も太い。その気になれば、内藤の手を潰せそうである。

206 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:40:32 ID:kr1tN4ckO

( ´∀`)「現時点で14歳の設定だから、これから先、もっと大きくなると思うモナ」

(;´・_ゝ・`)「14歳の体つきじゃないでしょ、これ……」

川д川「わあ……腕とか硬い……」

ξ゚听)ξ「で、クックルはどんなの書くの?」

( ^ν^)「恋愛小説だって」

(;^ω^)ξ;゚听)ξ「このナリで!?」

( ´∀`)「ちなみにチョコレートとミルクティーが好きモナ」

(;^ω^)ξ;゚听)ξ「このナリで!!?」



#####

207 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:42:47 ID:kr1tN4ckO


(´・ω・`)「――賑やかでいいじゃない」

(;^ω^)「たしかに、みんな悪くない……つうか寧ろいい人達ばかりだし……。
       ニュッ君も満足してるみたいだけど」

 5月になった。

 夕方、内藤とショボンは、内藤家へ向かう林の中を歩いていた。
 作家達のことを聞いたショボンが、会いたいと言い出したのだ。

(;^ω^)「でも! いきなり3人は増えすぎじゃないかお!?
       料理の量が変わってツンは困るしお風呂のタイミングも掴みづらいし!」

(´・ω・`)「嫌なことしかないわけ?」

(;^ω^)「……話し相手増えたし、みんなでゲームとかすると楽しいお。
       あと……みんなの書く小説、ニュッ君から貸してもらうけど、結構面白いお」

(´・ω・`)「じゃあ、いいじゃん」

(;^ω^)「けど、何か、何か……納得いかないお……」

208 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:46:07 ID:kr1tN4ckO

 玄関の扉を開ける。
 ショボンに向けていた顔を前方に正し――

(*゚ー゚)「おかえり!」

(#゚;;-゚)ノ

( ^ω^)

 ――扉を閉めた。

 何だか、少女が2人いた気がする。

(´・ω・`)「誰? どっちが貞子さん?」

(;^ω^)「知らないお……どっちも知らないお……!」

『何で閉めるのさ! 開けろー!』

(´・ω・`)「開けろって言ってるけど」

(;^ω^)「あああああっ、あのジジイイイイイイ!!」

 怒鳴り、把手を勢いよく引く。
 目の錯覚を期待したが、やはり、先程の少女達は消えることなくそこにいた。

209 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:48:03 ID:kr1tN4ckO

 どちらも高校生くらい。
 片方は妙に露出が激しく、もう片方は逆に丈の長い服をしっかり着込んでいる。

(*゚ー゚)「待ってたよブーン!」

ヽ(#゚;;-゚)ノ

(;^ω^)「……君達も『作家』かお……」

(*゚ー゚)「おうともさ。私は椎出しぃ、こっちは椎出でぃ!
     双子だよー。でぃちゃんの方が姉ね」

 椎出しぃに、椎出でぃ。

 内藤は、でぃから視線を外した。
 顔に、いくつも傷跡がある。

 作家は怪我をしてもすぐ治る筈だし、痕があまり新しくないので、
 そういう設定なのだろう。

(*゚ー゚)「SF書くのが好き! ゼリーと100%のりんごジュースが好き!
     でぃちゃんは家族もの書くのが好きで、マシュマロとココアが好きだ!」

(;^ω^)(うるさい子だお……)

 やたら元気いっぱいだ。
 今までの作家は、みんな、どちらかといえば物静かな方だったのに。

210 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:50:30 ID:kr1tN4ckO

(#゚;;-゚)σ

(*゚ー゚)「お。『そっちの人は誰?』ってさ」

 無言でショボンを指差すでぃ。
 その動作の意味をしぃが解説した。

 でぃはでぃで、静かすぎる。

(´・ω・`)「遮木ショボンです。よろしく」

(*゚ー゚)「おう、よろしくよろしく」

 しぃが、にこにこしながら歩み寄ってきた。
 その後をでぃがついてくる。

( ^ω^)「しぃちゃん――」

(*゚ー゚)「呼び捨てでいいよ。今日から家族だし、遠慮しないでね!」

( ^ω^)

(´・ω・`)

 ――とても気さくに、股間を掴まれた。

 掴まれるに留まらず、揉みしだかれた。



.

211 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:51:03 ID:NPb0Q65U0
うらやmけしからん

212 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:51:11 ID:CHsn6CU2O
じじいがしぃを痴女にしたのか

213 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:52:04 ID:kr1tN4ckO


(;^ω^)「こいつ何なんだおぉおおおおおお!!?」

 2階、食堂。
 内藤は、モナーの前にしぃを突き出した。

 デミタスとクックルが、何か察したような顔で苦笑している。

( ´∀`)「何を怒ってるモナ」

(*゚ー゚)「挨拶代わりにセクハラしただけなのに……」

(;^ω^)「こいつのキャラづけ、どうなってんだお!?」

( ´∀`)「……ああ。ホライゾン、喜ぶかと思って」

(;^ω^)「どこに気遣ってんの!?
       そりゃあ、色っぽい感じだったら僕だって大歓迎だけど!
       こんなん、中身おっさんじゃねえかお!!」

川д川「……色っぽければ大歓迎ですって……」

ξ゚听)ξ「最低」

(;^ω^)「いや、ちょっ……」

(´・ω・`)「しぃの本燃やしちゃえば?」

(;゚;;-゚)そ

(*゚ー゚)「やだショボン残虐」

214 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:52:07 ID:W9cb0BkU0
股間がキュンってなった

215 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:54:39 ID:kr1tN4ckO

(;^ω^)「……そ、それに、ニュッ君の教育に悪いお!!」

(*゚ー゚)「大丈夫、ニュッちゃんが思春期を迎えて頭の中がエロいことだらけになるまで
     セクハラは我慢するから!」

(;^ω^)「思春期になっても駄目!!」

川д川「……ニュッ君に思春期来ると思う……?」

(´・_ゝ・`)「ううーん、既に小学生とは思えない落ち着きっぷりだしなあ……」

(;゚∋゚)「そこは真剣に議論するところか?」

(;^ω^)(まともなのはクックルだけ……)

( ´∀`)「まあまあ、こんな奴がいた方が、面白いとは思わないモナ?」

(;^ω^)「……面白いって」

 脱力した。

 ニュッが帰ってきたら、しぃにはなるべく近付かないように言っておかなければ。



#####

216 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:57:13 ID:kr1tN4ckO


 5月下旬。


(メ#)ν^)

(;゚ω゚)

ξ;゚听)ξ

(´・ω・`)「わお」


 この日の夕方、ニュッの通う小学校からモナーに呼び出しがかかった。

 一体何事かと内藤がはらはらしながら待つこと小一時間。
 遊びに来ていたショボンに「落ち着け」とぶん殴られたのとほぼ同時に
 モナーとニュッは帰宅した。

 ニュッの顔を見て、内藤とツンは愕然とする。

 頬が腫れ、痣が出来ていたのだ。

217 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 21:58:19 ID:kr1tN4ckO

(;゚ω゚)「ニュッくぅうううん!?」

ξ;゚听)ξ「なっ、何があったの!?」

( ´∀`)「クラスメートと喧嘩したらしいモナ」

(*゚ー゚)「ニュッちゃーん、新作が出来……ほぎゃあああああああ!!」

 タイミング良く、あるいはタイミング悪く現れたしぃが、ニュッを見るなり絶叫する。
 その声に駆けつけたデミタスはぎょっとして、
 急いで近くの棚から救急箱を引っ張り出した。

 ツンがデミタスから救急箱を受け取り、ニュッの手当てを始める。

ξ;゚听)ξ「喧嘩って、何で?」

(メ#)ν^)「……」

(;´・_ゝ・`)「ニュッ君」

(*゚ー゚)「乳派か尻派で揉めたの? どっちも揉むの楽しいけど」

(´・ω・`)「お前は黙れ」

(*゚ー゚)「ショボンどっち派?」

(´・ω・`)「尻」

218 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:00:51 ID:kr1tN4ckO

 何も答えないニュッ。
 モナーがニュッからランドセルを奪い、その中から2冊の本を取り出した。

( ´∀`)「これが原因らしいモナ」

( ^ω^)「お……」

 赤色と藤色。

 デミタスとでぃの新作だ。
 2冊共、泥で汚れている。

( ´∀`)「クラスメートに本を捨てられそうになって、
       取り返すために喧嘩になった……ってところモナね」

(;^ω^)「相手は何人だったんだお?」

 ニュッは俯き、右手の指を立てた。
 3本。

(*゚ー゚)「ニュッちゃん、その3人の名前教えてごらん。
     大丈夫、ちょっと貞子に怖い話書いてもらって、そいつらに演じさせるだけだから」

(;´・_ゝ・`)「こらこら」

(*゚ー゚)「3人がかりでニュッちゃんに怪我させて、でぃちゃんの本汚したんだぜ。
     やるしかなかろう」

219 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:05:02 ID:kr1tN4ckO

ξ;゚听)ξ「……何で、ニュッ君、そんなことされたの?」

 ツンが恐々問い掛ける。
 ニュッは、やはり答えない。
 内藤の中で嫌な想像が膨らんだ。

(´・ω・`)「ニュッ君いじめられてんの?」

(;^ω^)「オブラート! ショボン君オブラート!!」

 こいつ、どうしようもない。

 とはいえショボンの言葉は内藤の予想と同じである。
 ニュッから学校の友達に関する話題が出たことはない。
 もしかして――いじめにでも遭っているのではないか。

 しかしニュッは、それを否定した。

(メ#)ν^)「……初めは、からかわれただけだった」


 ――いじめというほどではないものの、
 度々、両親がいないことをクラスメートの一部から冷やかされていたそうだ。

 相手をするべきではないとニュッは無視していたのだが、
 どうやら向こうは、つまらなくて仕方なかったらしい。

220 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:09:04 ID:kr1tN4ckO

(´・ω・`)「それで本を取った、ってわけか。
      あのねニュッ君、無反応を貫くのはいいことだけど、
      相手によっては、ますます調子に乗らせるだけの場合もあるんだよ」

(メ#)ν^)「……じゃあ、どうすりゃいいの」

(´・ω・`)「お兄さんが魔法の呪文を教えてあげよう。
      ニュッ君お得意の見下しきった目で、『死ね』って言えばいいんだよ。
      リピートアフターミー、『死ね』」

(;メ#)ν^)「し、しね?」

(´・ω・`)「そうそう。何を言われても何をされても『死ね』って一言だけ返し続けてごらん。
      気味悪がって近付いてこなくなる。かも」

(;メ#)ν^)「しね……」

( ^ω^)「うちの子に変な入れ知恵しないでくださる?」

( ´∀`)「――まあ、放っといても、もう意地悪されなくなるんじゃないモナ?」

ξ;゚听)ξ「何で言い切れるのよ」

( ´∀`)「ニュッの奴、執拗に人体の急所を狙って攻撃したらしいから。
       ぶっちゃけ、あっちの方が被害は上」

(*゚ー゚)「うわあ陰湿」

(;´・_ゝ・`)「転んでもただでは起きないね、ニュッ君……」

221 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:10:39 ID:kr1tN4ckO

 それだけじゃ足りないけどね、と憤るしぃをデミタスが宥める。

 2人を眺めた後、内藤は目を伏せた。

 ニュッが喧嘩をするなど、初めてだ。
 ――それほど、大事なのだろう。「作家」達の本が。

 彼らがいなくてはならないのだ。

( ^ω^)(……)


 羨ましい。

 ニュッが望む限り、デミタスやしぃ達は彼の傍にいる。

 けれど――内藤がどんなに望んだって。
 ツンは、モナーと共に、いなくなる。



.

222 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:10:51 ID:1IF6k51QO
陰湿すぎるw

223 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:13:18 ID:kr1tN4ckO


 日曜日、昼。
 昼食の時間だというツンの号令に、住人達が続々と部屋を出たときのこと。

( ´∀`)「ニュッ」

( ^ν^)「?」

 ニュッを呼び止めたモナー。

 彼の後ろから、少年がこっそりと顔を覗かせた。

(*・∀・)

 モナーに背を叩かれ、おずおずもじもじしながらニュッの前に出る。

 ニュッと同じ年頃。
 幼く、可愛らしい顔立ちをしている。憎らしいほど将来有望だ。
 着物姿なのが気になるが。

( ´∀`)「茂等モララー。新しい作家モナ」

(;^ω^)「さっ……」

ξ;゚听)ξ「作家!? 子供じゃない!」

( ´∀`)「能力はデミタス達と変わらないモナよ」

224 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:15:23 ID:NPb0Q65U0
モララーがかわ・・・いい・・・?

225 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:17:27 ID:kr1tN4ckO

(;゚∋゚)「……見た目だけとはいえ、子供と同レベルなのか、俺達」

川д川「何か複雑ねえ……」

(*゚ー゚)「私やでぃちゃんからすりゃ、クックルだって子供だし」

(#゚;;-゚)) コクコク

(´・_ゝ・`)「僕に比べればみんな子供だよ」

(*・∀・)「にゅ、ニュッ君、よろしくね」

(;^ν^)「ん……」

 ニュッも、新顔の幼さに動揺しているようである。
 茂等モララーはニュッの手を握り、ぶんぶん上下に振った。
 並んで立つと、モララーの方が少しばかり背が高い。

(*・∀・)「あのね、あのね、俺ね、大福とお茶とね、時代小説が好きだよ!
      ニュッ君は何が好き?」

(;^ν^)

(*・∀・)「ねえねえニュッ君、どんな話が好きなの? 俺頑張って書くよ!
      面白いの書けるように頑張る!
      もし面白くなくても、はっきり言わないでね! 泣くから!」

 ああ、駄目だ。
 ニュッが絡みづらいタイプの人種だ。

226 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:19:57 ID:lXeD.CuQ0
ニュッが死ねっていうようになったのショボンのせいじゃねぇか

227 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:20:40 ID:JKr/m1VI0
うざさは昔から変わらないんだなモララー

228 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:20:43 ID:PUC1KJR.O
支援

229 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:21:38 ID:kr1tN4ckO

(*・∀・)「俺ね、暗い話より明るい話の方がいいなあ。
      でもたまには暗いのも書くかも。どっちも読んでよね!
      あ、時代小説は、ちゃんばらと日常、どっちがいい? ねえねえ――」

(;^ν^)「えっと」


「おじいちゃん! モウ出てもいいデスか、ワタシもニュッ君会いたいデス!」


(;^ω^)「ん?」

 また聞き慣れぬ声がした――かと思うと。


ハハ*ロ -ロ)ハ「ニュッくーん!」

(;^ν^)「んぎゃっ!」

 モナーの部屋から飛び出してきた少女が、ニュッにタックルをかました。

 倒れそうになったニュッをクックルが支える。
 硬直するニュッに、少女はぎゅうぎゅうしがみついた。

230 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:24:36 ID:kr1tN4ckO

ハハ*ロ -ロ)ハ「ハロー・サンっていいマス! サスペンス書きマスヨ! ヨロシクー!」

ξ*゚听)ξ「あらまあ」

(;*^ν^)「ちょ、ちょっと……!」

 ニュッの頬に何度も唇を押しつけている。
 彼女もまたニュッと同年代のようなので、端から見る分には子供同士のじゃれ合いだ。

 可愛いね、とデミタスが呟く。
 ハロー・サンと名乗った少女は、ニュッを支えているクックルの鼻先にもキスをした。

(*・∀・) ドキドキ

ハハ ロ -ロ)ハ「イヤ、モララーにはしませんヨ」

( ;∀;)「酷い!!」

( ´∀`)「モララーもハローも、ニュッと同い年にしたモナ。
       遊び相手になれればいいかと思って」

(;^ω^)「……そうかお」

 廊下を見渡す。
 空いている部屋は2つのみ。
 それも、モララーとハローで埋まる。

 4人だった住人が、11人にまで増えてしまった。
 内藤は、後で写真でも撮るかと提案しているモナーの声を聞きながら
 痛む頭を押さえ、溜め息を飲み込んだ。



#####

231 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:26:03 ID:BfyY6bTA0
超支援

232 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:27:06 ID:kr1tN4ckO


 人間、時間が経てば何事にも慣れるもので。

 ご多分に漏れず、内藤も、作家達との生活に順応してきた。



( ^ω^)「お前らー、団子食うかお団子ー」

(*・∀・)「食べる!」

( ^ω^)「みたらしと、あんこと、ええと……ゴマがあるお」

(;・∀・)「やった、あんこ……あっ、ちょっニュッ君タンマタンマ!
      待ってってば――あーっ! 俺のキャラやられた!」

川д川「他所見するからよ……ブーン、熱い焙じ茶もちょうだい……」

( ^ω^)「冷たい麦茶で我慢してくれおー」

ハハ*ロ -ロ)ハ「おダンゴー」

 暑さも収まり始めた9月。
 リビングでテレビゲームをしていたニュッとモララー、ハロー、貞子の4人に
 おやつを差し入れ、ついでに自分も混ざろうと内藤はニュッの隣に座った。

233 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:28:26 ID:xI3xJ55o0
爺さん意外とお茶目

234 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:29:06 ID:kr1tN4ckO

( ^ω^)「みたらし4、あんこ3、ゴマ3で10本あるから、1人2本までだお」

( ・∀・)「えー。みたらしもあんこもゴマも食べたいよ」

川д川「私の分いる……? 私は一本だけでいいわあ……」

(*・∀・)「ほんと!?」

ハハ ロ -ロ)ハ「それならワタシだって3つ食べたい!」

( ・∀・)「むっ。じゃあゲームで勝負だハロー!」

ハハ ロ -ロ)ハ「望むところデス」

( ^ω^)「おっおっお、なら僕も争奪戦に加わらせてもらおうか」

(;・∀・)「やだよ、ブーン容赦しないじゃん」

ハハ ロ -ロ)ハ「大人げナーイ」

( ^ν^)「兄ちゃん、勉強しなくていいの?」

( ^ω^)「12月から本気出す」

ハハ ロ -ロ)ハ「遅ッ」

川д川「絶対泣きを見るわね……」

 空いているコントローラーを手に取り、身を乗り出させる。

 ――ふと、視線を感じた。
 振り返る。

ドア|*゚听)ξ

( ^ω^)「……お?」

 ツンがドアの陰からこちらを覗いていた。
 顔だけが出たり入ったりを繰り返している。

235 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:32:48 ID:0eFBKLVk0
ツンかわいいよツン

236 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:34:25 ID:kr1tN4ckO

( ^ω^)「ツン?」

ドア|*゚听)ξ「にゅ、ニュッ君……あの、あのう……わ、私が書いたやつ、あの……」

 もごもご、何か言っている。
 ニュッは「ああ」と頷いて、近くにあった椅子の上へ手を伸ばした。

 そこには、本が一冊。
 白地のハードカバーに施された、金色の装飾。

 一瞬、ぎくりとした。
 ツンを生み出したものと同じ外装のノートだったからだ。

 モナーが管理している筈の本が何故ここに、と動揺した内藤だったが、
 表紙を見て、肩透かしを喰らったような気分になった。

 幻想的なタイトルに、下にはツンの名前。
 どうやら、ツンもニュッのために小説を書いたらしい。

ξ;*゚听)ξ「よっ、読んだ!? どうだった!?」

 顔を真っ赤にさせて、つかつか、ツンが歩み寄る。
 ニュッの傍まで来ると、その場に正座した。

237 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:36:37 ID:kr1tN4ckO

( ^ν^)「……」

ξ;*゚听)ξ「……しょ、正直に言って……」

( ^ν^)「……」

( ^ν^)「あんまり」

ξ;* )ξそ ガーンッ

( ^ν^)「いや、内容じゃなくて……文章が、あんまり」

ξ;* )ξそ ガガーンッ

(;^ω^)「ニュッ君……」

 俯き、ぷるぷると震えるツン。
 可哀想になってきて、内藤はツンの肩に触れようとした。

 直後。

( ^ν^)「……ていうか、ツン、結構――思考が乙女だよな」

ξ;* )ξ

ξ;* Д )ξ「もぎゃばぁあああああああああああ!!?」

 謎の奇声を発し、ツンはニュッから本を奪い取った。
 わけの分からない叫びを一頻りあげて、リビングを飛び出していく。

238 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:39:22 ID:kr1tN4ckO

 残された面々は唖然とし、互いを見合った。

( ^ν^)「……でも話は面白いって言おうと思ってたんだけど」

川д川「……あの恥ずかしがり屋に、『乙女』は駄目よニュッ君……」

( ;∀;)

ハハ ロ -ロ)ハ「ビックリしたダケで泣かないでクダサイ、モララー」

(;^ω^)「……ちょっと、行ってくるお」

 内藤が我に返る。
 フォローした方がいいだろう。
 彼は、ツンの取り乱しっぷりの余韻が未だ残っているリビングから出た。



.

239 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:41:25 ID:kr1tN4ckO


 2階に行くと、廊下の隅っこにツンが蹲っていた。
 そっと近付き、肩を叩く。

ξ;*゚听)ξ「ぎゃっ!」

(;^ω^)「ツン、話は面白かったって言ってたお、ニュッ君」

ξ;*゚听)ξ「……うっ、嘘よ。こ、こっ、こんな、……お、乙女な話……」

(;^ω^)「乙女なのは悪いことじゃないお」

ξ;*゚ -゚)ξ「……ううう……」

 ツンが顔を伏せる。
 その隙に、内藤はツンの手から本を抜き取った。

ξ;*゚听)ξ「あっ――こら! み、見ないでよ!」

( ^ω^)「僕もツンが書いた話読みたいお」

ξ;*゚听)ξ「駄目! ブーンだけは駄目ぇええええ!!」

(;^ω^)「何で僕だけ……? いいじゃないかお、ちょっとぐらい」

ξ;*゚听)ξ「やだやだやだ、駄目、返せ!!」

(*^ω^)「おっおっお、ツン可愛いお。
       そういう反応されてもからかいたくなるだけだお」

ξ;*゚听)ξ「この馬鹿ぁあああっ!!」

240 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:42:45 ID:kr1tN4ckO

 ツンから逃げ回りながら本を開く。

 なるほど、ニュッの言うように、文章は然程上手くない。
 作家達と違って、ツンには小説を書くというスキルは与えられていないのだ。
 慣れていなくても仕方あるまい。

 しかし読めないほどでもないし、ストーリー自体は面白い。

( ^ω^)「おー。ファンタジーかお。絵本みたいな世界だおね」

ξ;*゚听)ξ「お願いだからストーリーを深く考えないで!
       何も考えずに流し読みして!!」

(;゚∋゚)「……何してんだ、お前ら」

(*゚ー゚)「2人共いちゃいちゃしてんじゃねえぞ、こちとら執筆中じゃい!」

(#゚;;-゚)ノシ

(*゚ー゚)「ほら、でぃちゃんもお怒りだ!」

(;´・_ゝ・`)「どうし――うわっ!」

(;゚ω゚)「エラリーッ!!」

 騒がしさに耐えかねてか、作家達が次から次へと部屋から出てきた。
 丁度デミタスが開けたドアに、内藤が顔面から激突する。

241 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:44:34 ID:kr1tN4ckO

 倒れ込んだ内藤。本が宙を舞い、廊下に落ちる。
 それを拾い上げる者がいた。

( ´∀`)「何モナ、これは」

ξ;*゚听)ξ「あ……」

 モナーが、まじまじと表紙を眺める。
 続いて中身に軽く目を通し、ふむ、と唸った。

( ´∀`)「……日記を書くからノートください、って言ったくせに、
       書いたのは小説だったモナ?」

ξ;*゚听)ξ「う。……だっ、だって、小説書くって言ったら、モナーさん冷やかすでしょ」

(*゚ー゚)「おう、ツンも小説書いたん? 見せて見せて」

ξ;*゚听)ξ「絶対嫌! ――モナーさん、返……」

( ´∀`)「折角モナ、暇潰しに読ませてもらうモナよ」

ξ;*゚Д゚)ξ「なっ……! か、返してってば!! ねえ!」

 ツンの叫びも虚しく、モナーはドアを閉めた。
 か細い呻き声が廊下に落ちる。

 そして、これ以上はないほど顔を真っ赤にさせたツンが、震えながら内藤に振り返った。
 半泣きだ。

242 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:45:31 ID:kr1tN4ckO

ξ;*///)ξ「……っ、……っ!!」

(;^ω^)「……僕は悪くないお……」

(´・_ゝ・`)「ブーンが悪いと思うなあ……ていうか鼻大丈夫? 思いっきりぶつけてたけど」

( ゚∋゚)「まあ事情はさっぱり分からないが、ブーンが悪いな」

(*゚ー゚)「ブーンが悪い」

(#゚;;-゚)) コクン

(;^ω^)「薄情者ぉおおおお!!」


 ――その日、ツンの凄まじい怒鳴り声が屋敷中に轟いたという。



#####

243 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:46:07 ID:1olSe3og0
爺さん容赦ないな

244 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:47:18 ID:kr1tN4ckO


 それから翌年の春、内藤は大学へ進む。
 ショボンはある探偵会社の調査員として就職した。
 適当に探偵業を学んだら独立するつもりらしい。

 「作家」達の個性――執筆ペースや作風――にも顕著に差が現れ、
 ますます人間らしくなっていき。

 彼らの日常は賑やかさを増していく。



 ――そして時は過ぎ行き、2002年。6月。


 内藤の母方の祖父母が亡くなった。
 祖父が病院で息を引き取ってから間もなく、
 後を追うように、祖母も心筋梗塞で眠りについたとのことだった。



.

245 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:50:50 ID:kr1tN4ckO


( ^ω^)「――何してるんだお?」

 内藤とモナーが葬式から帰った翌日。

 家の裏手で、モナーは数十冊もの本をまとめて燃やしていた。

( ´∀`)「本を、殺してるんだモナ」

 物騒な言い様に、内藤は顔を顰めた。

 命を与えられた本は、燃え尽きない限り死なないのだという。
 ならば、たしかにこの状況は本を「殺している」と言っても差し支えないだろうが、
 それにしたって――乱暴に過ぎる。

( ´∀`)「ああ、これは全部市販の本モナ。
       『あいつら』が書いた本の内で生きてるものは、
       いつか殺すべきだと思ったときに殺しておいてほしいモナ」

( ^ω^)「……分かったお」

 モナーは、デミタスら「作家」の作品においても、
 気に入ったものがあれば命を与えていた。

 何のために本に命をやるのだろう。

 生活に役立てたり、ツン達のような家族を増やしたりするためならまだしも、
 普通の本を生かす意味が分からない。
 定期的に演じてやらねばならないし、面倒なだけではないか。

246 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:54:27 ID:YZZ1FwTk0
しえ

247 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:54:36 ID:kr1tN4ckO

( ^ω^)「……、……」

 問い掛けようとして、あることに気付いた。

 作家達に対して、初めの頃に抱いていた抵抗感。
 てっきり、本から生まれた彼らを恐れているのだと思っていた。

 だが、違う。


 その存在の――「軽さ」に、何とも言えぬ不愉快さを感じていたのだ。


( ^ω^)「……祖父ちゃん」

( ´∀`)「何モナ」

 モナーは、昇っていく煙をじっと見つめている。

 あの火の中に、たった一冊、ノートを投げ込めば。
 作家は死ぬ。

 逆に、紙の束にインクを乗せて、モナーが手を触れさせれば、新たに誰かが誕生する。

 ひどく単純で、手軽な命。

248 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:56:38 ID:kr1tN4ckO

( ^ω^)「何で、本を生き物にしたがるんだお」

 真昼の空に、煙が溶けていく。

 本も熱がるのだろうか。
 彼らの声は聞こえない。

( ´∀`)「……そうモナねえ」

 モナーが額に浮かぶ汗を拭い、少し、火の傍を離れた。

( ´∀`)「寂しかったモナ」

( ^ω^)「……寂しい?」

( ´∀`)「僕は人が嫌いだったけれど、そのくせ、寂しがり屋だったモナ」

 ぱちぱち。
 爆ぜるような音が響く。
 もしかしたら、これが本の悲鳴なのかもしれない。

( ´∀`)「気を紛らわすのに、うってつけだったモナ。
       喋らないけれど、意思はある。僕の傍にいてくれる」

( ´∀`)「たまに演じてやるのも、
       大好きな本の我が儘を聞いていると考えれば苦じゃなかったモナ」

( ^ω^)「そういうもんかお」

( ´∀`)「そういうもんモナ」

249 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:57:49 ID:kr1tN4ckO

 炎の勢いが徐々に弱まり出した。
 あと何分かで、本は完全に死ぬ。

( ´∀`)「……ちょくちょく用済みになったノートを燃やすことはあったモナが、
       こうやってたくさんの本をまとめて殺すのは、これで二度目モナ」

( ^ω^)「一度目は?」

( ´∀`)「妻と、結婚したときモナ」


 何十年も前、孤独から解放されたモナーは
 もう本に慰められることもないのだと、「彼ら」を殺した。

 けれど。


( ´∀`)「けど、あいつ、随分早く死にやがったモナ」


 また、独りになって。
 寂しくて、再び本に命を与えるようになったという。

( ^ω^)「ツンを作るだけじゃ足りなかったのかお」

( ´∀`)「足りなかったモナ」

 自嘲の色を滲ませて笑い、モナーは視線を落とした。
 煙を吸い込んだのか、何度も咳をする。

 大丈夫かと内藤が声をかけようとした瞬間に顔を上げた。

250 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 22:59:38 ID:kr1tN4ckO

( ´∀`)「先に死ぬ方は、いいモナね」

( ^ω^)「お?」

( ´∀`)「残される立場に比べたら、ずっとずっと楽モナ」

 頭上で、クックルの声がした。
 2階の窓からクックルとニュッがこちらを見下ろしている。

 余分な本を燃やしているのだとモナーが返すと、2人は納得したように頷いた。
 興味がそそられたのだろう、そのまま、火が揺らめく様を目で追っている。

( ´∀`)「大事な人に先立たれるくらいなら、一緒に死んでしまった方がマシだモナ。
       ――ホライゾンも、そうは思わなかったモナか」

( ^ω^)「……まあ。初めは」

( ´∀`)「そうモナ。どうせ死ぬなら同時がいい。それが一番楽で寂しくないモナ」

( ´∀`)「けど、なかなか上手くはいかないモナね。
       妻は僕なんか置いてさっさと死ぬし、
       僕は自殺する勇気もなくて、こうしてのうのうと生き長らえてるモナ」

( ´∀`)「だから――せめて、本とだけは、一緒に死にたかったモナ。
       妻が僕を道連れにしてくれなかった腹いせに、僕は本を道連れにするんだモナ」

 内藤は、こっそりとクックル達を見上げた。
 彼らには聞こえていないようだ。

251 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:01:23 ID:kr1tN4ckO

( ^ω^)「それで、ツンは祖父ちゃんと一緒に死ぬことになってるのかお」

( ´∀`)「そういうことモナ」

( ^ω^)「……でも、今燃やしてる本達は何なんだお。先に殺してるけど」

( ´∀`)「本当は、僕が死んだら火葬するときに一緒に燃やさせるつもりだったモナ」

( ´∀`)「でも、よくよく考えてみると、結構高価な本も混じってるんだモナ。
       下手すりゃ、馬鹿娘と馬鹿息子が僕の言いつけを守らずに
       勝手に本を売り飛ばしてしまいそうな気がして」

( ^ω^)「……ああ。なるほど」

 たしかに、あの伯父と伯母なら有り得る。

 しかし、どうして今、このタイミングで燃やす必要があるのか。
 気にはなったが、結局、内藤は訊けなかった。

 答えを聞くのが恐かったのだ。
 自分の死期を察していたのであろうモナーの答えが。

( ^ω^)「――デミタス達がニュッ君と同時に死ぬっていうのも、やっぱり」

( ´∀`)「ニュッが死んで、あいつらだけ残るってのも、可哀想モナ。
       逆も然り」

 今更分かったが、モナーは、物凄く甘い。
 自分にも他人にも甘すぎる。
 それほど、孤独に対する恐怖が強いのだろう。

252 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:03:34 ID:kr1tN4ckO

( ´∀`)「ああ、そうそう」

( ^ω^)「?」

( ´∀`)「あいつら、ツン以外は、みんな子供作れる体だから。
       もし、貞子かハローか、しぃ、でぃの誰かとニュッ君が恋に落ちても問題なし。
       オールオッケー」

( ^ω^)

( ^ω^)「え、何言ってんの?」

 どこがオールオッケーだ。

( ´∀`)「戸籍やら何やらは後からどうとでもなるし。
       あいつらが結婚したいとか言い出したら、ホライゾン、サポート頼むモナ」

(;^ω^)「いやいやいやいやいや……ええー? ていうか本当に子供出来んの?」

( ´∀`)「多分」

(;^ω^)「多分かあ……」


 火は、初めの勢いを失っていた。
 本の命のように。
 少しずつ、消えていく。



 内藤とモナーが2人きりでこんなに話したのは、初めてだった。

 初めてで――最後でもあった。





*****

253 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:05:08 ID:kr1tN4ckO
すみません、10分くらい休憩します

254 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:06:06 ID:0eFBKLVk0
うむ

255 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:06:17 ID:BfyY6bTA0
うあ

256 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:06:27 ID:1IF6k51QO
>>253
ゆっくりやすんでくださいまし!

257 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:17:40 ID:kr1tN4ckO



ζ(゚、゚*ζ

( ^ω^)

 静寂。
 デレも、内藤も、感情の窺えぬ瞳で互いを見つめた。

 先に口を開いたのは内藤。

( ^ω^)「恐いかお」

 ――いいえ、と答えるデレの声は、掠れていた。
 デレは咳をして、紅茶を一口飲む。

( ^ω^)「気を遣わなくていいお」

ζ(゚、゚*ζ「恐くないです。本当に……」

( ^ω^)「……だって、普通じゃないんだお」

ζ(゚、゚*ζ「今更ですし――
      なら、当時の内藤さんは、逃げ出したいくらい恐かったんですか?」

( ^ω^)「――……」

258 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:19:33 ID:kr1tN4ckO



 本当に、恐くなどないのだ。
 内藤がツンを嫌いになれなかったように、デレも、彼らを嫌いになれなかった。

 驚きはしたが、覚悟は出来ていたし、予想もついていた。



 ――寧ろ。
 どうして、話し出す前の内藤があんなに怯えていたのかが、不可解で仕方なかった。



.

259 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:22:47 ID:kr1tN4ckO

ζ(゚、゚*ζ「……内藤さん」

( ^ω^)「……どうしたお」

ζ(゚、゚*ζ「もっと何か、別の話があるんじゃないですか」

 ノートを閉じる。

 物語は、ノートの途中、祖父が亡くなるところで終わった。

ζ(゚、゚*ζ「内藤さんが話したくないことって、別のことじゃないんですか?」

 内藤の口元が、一瞬だけ引き攣った。
 彼の細い目が僅かに見開かれる。

( ^ω^)「……やだデレちゃんったら。頭良くないくせに変なとこ鋭いんだから」

ζ(゚、゚;ζ「む」

 嫌味ったらしい。
 図星のようだ。

 話してくれませんかとデレが言うと、内藤は唸り、顎に手をやった。

260 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:25:06 ID:kr1tN4ckO

( ^ω^)「……そこまで言うんなら、最後の最後まで聞いてくれるのかお」

ζ(゚、゚*ζ「聞きますってば。しつこいですね、内藤さん」

( ^ω^)「……」

(;^ω^)「――、う、っ……」

 出し抜けに内藤は口元を押さえ、ベッドから下りた。
 部屋の隅へと這いずり、そこにあったごみ箱に顔を向ける。

 ぐう、と彼の喉から音がしたかと思うと、大きく開いた口から物が溢れ出た。

(; ω )「おえっ……」

ζ(゚、゚;ζ「なっ、内藤さん!?」

 デレは慌てて椅子から立ち上がり、内藤に駆け寄った。
 小刻みに震える背中を撫でる。

 先程食べたばかりのサンドイッチの具材が、原型を留めたままごみ箱へと落ちていく。

261 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:28:03 ID:kr1tN4ckO

ζ(゚、゚;ζ「大丈夫ですか!? ……つ、ツンちゃん呼んできます!」

(; ω )「デレちゃん!」

ζ(゚、゚;ζ「っ」

(; ω )「……待ってくれお……」

 内藤の手がデレの腕を掴んだ。
 痛むほどに、力が込められる。

(; ω )「大丈夫だから……。……すぐ、終わる話だお……。
       真実とか、関係なく――ただの、僕の懺悔みたいなもんだお……」

ζ(゚、゚;ζ「……内藤さん……」

 デレはその場に座り込んで、ポケットから出したハンカチで内藤の脂汗を拭った。
 内藤が小声で礼をし、ベッドに転がした紅茶を取るようデレに頼む。

 デレからペットボトルを受け取って、内藤は中身を一気に飲み干した。


(  ω )「――僕は、最低だお」

ζ(゚、゚;ζ「……どうして?」

(  ω )「……。ここからは君も知ってる話だおね。
       本が勿体ないから図書館を開こうって僕が提案して、準備も進んで、
       ――祖父が、急死したお」





*****

262 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:30:22 ID:kr1tN4ckO



 内藤とモナーが死にゆく本を前に会話を交わした日から、一年後。

 2003年、6月。

 よりによって、その日、その時間、モナーとツン以外の人間は外出していた。



.

263 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:32:51 ID:kr1tN4ckO


( ^ω^)「――……え」

(;゚∋゚)「……モナーさん!?」

 道中で合流したクックルと共に帰宅した内藤は、目の前の光景に、思考を止めた。


 廊下の真ん中。


 倒れるモナーと、その傍で膝をついているニュッ。

 モナーの顔の辺りには、赤黒い汚れ。


ξ;゚听)ξ「ブーン!」

 食堂の方からツンが駆けてくる。
 顔が真っ青だ。

( ^ω^)「……何だお、これ」

ξ;゚听)ξ「モナーさんが急に血を吐いて――今、救急車呼んだわ!
      私、救急車待たなきゃ……」

(;゚∋゚)「俺が行く」

ξ;゚听)ξ「あ……お、お願い。すぐ来るから」

(;゚∋゚)「ああ」

 クックルが、上がったばかりの階段を駆け下りる。
 ツンは慌ててモナーとニュッのもとに向かった。

 ゆっくりと、内藤も彼らに近付いていく。

264 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:34:38 ID:kr1tN4ckO

( ^ω^)「祖父ちゃん」

(  ∀ )

 声は、返ってこなかった。

 目を凝らしてみたが、モナーの体は、どこも微動だにしない。

( ^ν^)「……もう」

ξ;゚听)ξ「だ、……大丈夫に決まってるでしょ!?
      だって――私、まだ生きてるもの……」

 ニュッも、何が起きているのかよく分かっていないらしかった。
 どこか、ぼうっとした顔で、モナーを見下ろしている。

 モナーの顔や絨毯を染めている血。
 ツンが言ったことが真実なら、彼が吐いたもの。

( ^ω^)「……?」

 ――モナーの顔の傍に、本が落ちている。
 そして右手にはペン。

 何だろうと手を伸ばしかけたが、むせ返るような血の臭いに、内藤は顔を逸らした。

 これは、現実の臭いだろうか。
 それとも、錯覚の。


 次第に強くなる臭いに涙さえ浮かび始めた頃、遠くで、救急車のサイレンが聞こえた。



#####

265 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:36:52 ID:kr1tN4ckO


 ――結局、病院まで運ばれたものの、モナーの心臓は既に動きを止めていた。


 後から分かることだが、彼は何年も前から肺を患っていたのだそうだ。
 だというのに、ろくに病院に通わずにいたせいで、今回のような事態に至ったらしい。





( ^ω^)「……」

(*;−;)

(;゚;;-゚)

(´‐_ゝ‐`)

 ――内藤家、兼、図書館。
 1階。

 椅子の背もたれにぐったりと身を預け、内藤は本棚を見つめていた。

 2階では、伯母達が慌ただしく葬儀などの手配をしている。
 作家のことは居候だと説明しておいた。

266 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:40:04 ID:kr1tN4ckO

( ;∀;)「う、うあ……」

ハハ。ロ -ロ)ハ「……おじいちゃん」

川д川「……お茶、入れてきたわ……」

( ゚∋゚)「ああ、ありがとう、貞子」

 カウンターの奥のドアを開け、貞子がやって来る。
 皆に湯飲み茶碗を渡し、椅子に腰を下ろした。

 しぃやモララー、ハローの泣く声が響く。

 内藤は、奥のテーブルへ目をやった。


ξ゚听)ξ

( ^ν^)

 ツンとニュッが向かい合って座り、テーブルの上に広げた本を凝視している。

 モナーの傍に落ちていた本。

 ――ツンを作り出した本。


 内藤は湯飲みをテーブルに置くと、ツン達のもとへ行った。

267 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:42:05 ID:kr1tN4ckO

( ^ω^)「……ツン」

ξ゚听)ξ「あ……」

( ^ω^)「何か分かったかお?」

ξ;゚听)ξ「ううん……染みが酷くて、何も」

 モナーが死亡したにも関わらず、生き続けているツン。

 その理由を探ろうにも、
 ツンの死について記されている最後のページには、汚れ――血痕が広がっている。

( ^ω^)「ニュッ君は、何か知らないかお?」

( ^ν^)「……知らない」

( ^ω^)「?」

 ニュッの目が、僅かに揺らいだ。
 どうしたのかと問おうとしたが、思い直す。

 内藤は本を手元に引き寄せ、恐々、裏表紙側から開いた。

 ぷんと鼻をつく臭い。
 何秒と持たず、すぐに本を閉じた。

268 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:43:55 ID:kr1tN4ckO

 ふと。
 疑問が沸き上がる。

( ^ω^)「……ニュッ君は、祖父ちゃんが倒れるところ見たのかお」

( ^ν^)「――いや。
       俺が帰ってきたときには、あそこに倒れてた。
       ……そのときはまだ意識があったけど」

( ^ω^)「じゃあ、初めに気付いたのはツンだったのかお?」

ξ;゚听)ξ「……」

 ツンから、息を呑む気配がした。
 不審に思った内藤が、体ごとツンの方を向く。

( ^ω^)「どうしたお」

ξ;゚听)ξ「わ、私、……見たの。モナーさんが倒れるとこ……」

( ^ω^)「すぐに救急車を呼んだんだおね?」

ξ;゚听)ξ「……ニュッ君が、来て……救急車を呼ぶように言われたから、私……」

( ^ω^)「……ニュッ君が」

269 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:45:07 ID:kr1tN4ckO


 ニュッが来てから呼んだ?


( ^ω^)「ツン」

ξ;゚听)ξ

 ツンの肩が跳ねる。
 どうして――怯えているのだ。

 何か。
 後ろめたいことでも、あるのか。

( ^ω^)「祖父ちゃんが倒れてからニュッ君が来るまで、
       どれくらいの時間かかったんだお」

ξ;゚听)ξ

ξ;゚听)ξ「……じゅ、」



 ――10分、くらい。



(;^ω^)

 内藤の頭が、真っ白になった。

270 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:47:01 ID:kr1tN4ckO

(;^ω^)「……じゅっぷん……」

 人が倒れるのを見ておいて、10分もの間、黙っていたのか。
 ニュッに言われるまで、何もしなかったのか。


 首筋から頭の天辺に、熱が回る。

 把握しきれない激情が、胸を突き破りそうだった。


 悲しみや、怒りや、困惑や――様々な感情が混ざり合い、体中を巡り、
 内藤の口を開かせた。

 頬に生暖かい感触。
 それが涙だと、そのときには気付けなかった。

271 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:51:48 ID:kr1tN4ckO

( ;ω;)「それじゃあ――」

 何を言われるか察したのだろう。
 ツンは顔色をなくし、立ち上がった。

ξ;゚听)ξ「違うの! ブーン――」

( ;ω;)「お前が!」





 ――「お前がすぐに救急車を呼んでいれば、死なずに済んだんじゃないのか」。





ξ;゚听)ξ

( ;ω;)



 内藤の叫び声が、響き渡った。



.

272 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:54:49 ID:kr1tN4ckO

 直後、衝撃が襲いかかる。
 内藤は床に倒れ込んだ。

(;゚∋゚)「ニュッ君! やめろ!」

 クックルが駆けつけ、ニュッを押さえる。

 ニュッに殴られたのだと理解した途端、頬がじんじんと痛み始めた。

( ;ω;)「……あ……」

(#^ν^)「……っ」

 ニュッは内藤を睨みつけ――しかし何も言わず、クックルの手を振り払った。
 呆然としている貞子達のもとへ歩いていく。

 頭に上っていた血と、目尻を濡らす涙がじわじわと引いていった。

 自分の発言を思い返し、青ざめる。

273 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:55:49 ID:kr1tN4ckO

(;^ω^)「――ツン」

ξ゚听)ξ

(;^ω^)「ごめんお、僕――かっとなって……」

 ツンからは、表情が消えていた。

 瞳は内藤に向いているのに、内藤を見ていない。

ξ゚听)ξ「……私が悪いの」

(;^ω^)「そんなことないお! さっきのは、」

ξ゚听)ξ「ううん。私が悪いわ。……私が」



ξ゚听)ξ「私が、モナーさんを死なせたようなものだわ」





*****

274 名前:名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 23:57:31 ID:kr1tN4ckO



( ;ω;)「ツンが何もしなかったわけないんだお!
       あの子は優しいし賢いから……理由もなく祖父ちゃんを放っておく筈ないお。
       ニュッ君が来るまでの間、きっと祖父ちゃんとツンに何かあったんだお!」

( ;ω;)「なのに僕は、――ツンに八つ当たりしたんだお。
       色々なことで頭がぐちゃぐちゃで、わけが分からなくなって、
       全部、全部ツンにぶつけたんだお……」

 内藤が両手を床につき、指先に力を込めた。
 爪と床が擦れ合い、ぎしりと悲鳴をあげる。

ζ(゚、゚;ζ「……」

( ;ω;)「……あの10分間に何があったのか訊いても、
       ツンは謝るばかりで答えてくれなかったお」


 泣きじゃくりながら、内藤が切れ切れに話を続ける。
 デレは、聞き漏らすまいと必死に耳を傾けた。

275 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:02:19 ID:xmFXJXzE0
支援

276 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:02:26 ID:nvvGx6z6O

 ――葬儀が終わった後、遺品整理の名目で彼らは家を追い出される。
 家にいても気が滅入るだけだったため、誰も拒まなかった。

 数日分の着替え、それと各作家とツンについて書かれた本だけを持ち、
 内藤やニュッなどの男達はショボンが当時住んでいたアパートへ、
 ツンや貞子達はショボンの実家にそれぞれ泊まり込んだ。

 何日か別々に暮らしたことで、内藤とツンは仲直りするタイミングを完全に失ってしまう。

 その後、本の回収やら何やらでゆっくり話し合うことも出来ないまま、
 時間ばかりが過ぎていった。



( ;ω;)「せめて――以前のように接していれば、
       ツンも前みたいに戻ってくれるかと思ったのに……」

( ;ω;)「……ツンは笑わなくなった! 怒らなくなったし、泣かなくなったお!
       僕があんなことを言ったから!
       ツンの話を聞かずに、あんな、……っ……!」

ζ(゚、゚;ζ「内藤さん……」

 これ以上見ていられなくて、内藤を抱きしめた。

 内藤が、恐る恐るデレの背中に腕を回す。
 デレの肩に顔を押しつけ、彼は声を絞り出した。

277 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:07:18 ID:nvvGx6z6O

( ;ω;)「……そ、それから、僕、血が駄目になったお……。
       ほんのちょっとでも目にしたら、祖父ちゃんと両親の死体や、
       自分の言葉を思い出して、血の臭いがして、気持ち悪くなって……」

 言葉の端々で、しゃくり上げる。
 まるで子供のようで――可哀想で、悲しくて、
 デレは何度も頷きながら内藤の背を撫でた。

( ;ω;)「……気持ちを整理したくて過去を小説にして書いてみたけれど、
       どうしても気分が悪くなって、あの続きを書くことが出来ないんだお……」

 ツンや作家達の正体よりも、
 自分の仕出かしたことを振り返り、それをデレに知られる方が何倍も恐かったのだと。
 内藤は、くぐもった声で囁いた。

278 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:09:17 ID:nvvGx6z6O

( ;ω;)「……ツンは、僕をどう思ってるのかお……。
       嫌ってるかお。恨んでるかお」

ζ(゚、゚;ζ「ツンちゃんが内藤さんを嫌ってるとは思いません」

( ;ω;)「……僕、じ、自分が嫌になって……。
       みんなと家族でいるのが申し訳なくて、『館長』って呼ぶように頼んだお」

( ;ω;)「なのに、ツンだけは、ずっと『ブーン』って呼ぶんだお。
       その度に苦しくて――もしかしたらツンは僕のことが嫌いで、
       わざとブーンって呼んでるんじゃないかって思えてくるんだお……」

ζ(゚、゚;ζ「そんなことありませんよ。ツンちゃんは――」

279 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:09:50 ID:x5veptGg0
支援
しかし面白いな

280 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:10:44 ID:nvvGx6z6O

 ――ノックの音がした。
 デレが顔を上げる。

『入っていい?』

ζ(゚、゚;ζ「あ……」

 返事をする前に、ドアが開く。
 声の主とデレの目が合った。


ξ゚听)ξ

ζ(゚、゚;ζ「……ツンちゃん」


 内藤が、びくりと震える。
 振り返りかけたが、泣き顔を見せるわけにはいかないと思ったのか、
 顔を伏せたまま腕だけを下ろした。

281 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:11:58 ID:nvvGx6z6O

ξ゚听)ξ「……ごめんなさい。あんまりにも時間かかってるから、どうかしたのかと思って」

ζ(゚、゚;ζ「あの……内藤さん、具合悪くなったみたいで」

ξ゚听)ξ「そう。大丈夫?」

ζ(゚、゚;ζ「平気。……ちょっと、戻してたけど」

ξ゚听)ξ「……本当に大丈夫なの?」

(  ω )「大丈夫だお」

ξ゚听)ξ「ならいいけれど。
      ――ついさっき、ニュッ君とクックルが帰ってきたわ。ショボンが連れてきたの。
      何かあったみたい」

(  ω )「……今行くから、ちょっと待っててくれお」

ξ゚听)ξ「……ええ」

 ツンがドアを閉める。

 デレは、心臓がどくどくと激しく跳ねているのに気付いた。
 話題になっていた人物が突然現れたことに驚いたのか、
 内藤と抱き合っているところを見られたことに肝を冷やしたのか、自分でも分からない。

 内藤は鼻を啜ると、デレから離れた。

282 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:18:16 ID:nvvGx6z6O

( ^ω^)「デレちゃん、いい匂いがするお」

ζ(゚、゚;ζ「……もう!」

( ^ω^)「おっおっお。どの女の子も可愛いけど、やっぱり、ツンが一番だお」

 さっきまでの涙はどこに行ったのか。
 赤くなった目元と鼻を擦り、内藤は腰を上げた。

( ^ω^)「……すごいおねえ、デレちゃん」

ζ(゚、゚;ζ「なっ、何がですか」

( ^ω^)「今までにも、君みたいに好奇心で近付いてきたのは何人かいたけど、
       みんな、すぐに怯えて離れていったお。
       なのにデレちゃんったら」

 声と口調が軽い。
 戸惑うデレに、内藤が手を伸ばす。

 立てという意味だろうかとデレは首を傾げた。

( ^ω^)「もし、嫌になったなら、フェンスの鍵を返してほしいお」

ζ(゚、゚*ζ「……しつこいですね。嫌になんかなってませんってば。
      鍵も返しません!」

 べえ、と舌を出してみせる。
 彼がいつもの調子に戻るのなら、自分も合わせてやるべきだろうと思った。

 内藤は数秒ほど沈黙し、照れくさそうに笑った。

( ^ω^)「……ありがとうお、本当に」



.

283 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:19:47 ID:nvvGx6z6O

 ひとまず今日はもう帰っていいという内藤の言葉に甘え、
 デレは、住人達に軽く挨拶だけをして図書館を後にした。



*****



 夜。
 長岡家。

 夕食をとりながら、内藤の話を頭の中で繰り返す。

 すっきり半分、もやもや半分。

 皆の出自などが分かったのは良かった。
 ショボンの言葉や、ハローの「作家の全てはニュッのためにある」という発言、
 貞子がキュートにした忠告の意味が理解出来たし。

 だが――内藤とツンの関係や、モナーの死後も生きているツンなど、
 引っ掛かる部分はある。

ζ(゚、゚*ζ(内藤さんとツンちゃん、どうしたら和解出来るのかな)

284 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:23:51 ID:nvvGx6z6O

 考える。

 ツンが素直に自分の考えを話してくれれば――

 ――素直に。
 素直。

ζ(゚、゚;ζ「……あ、あれっ?」

 友人、素直キュートの姿が頭を過ぎった。
 そういえば、クックルとキュートはどうした。

 ツンは、ニュッとクックルが帰宅した旨を伝えていた。
 ニュッとクックルが一緒なのはともかく、何故ショボンが連れてきたのか。
 「何かあったみたい」とのことだが、一体何があったのか。

ζ(゚、゚;ζ(ええー! キュートちゃんどうしたのさ!!)

 気になる。
 気になるが、今の自分がキュートと連絡をとって、
 クックルの正体を話さずにいられるだろうか。

 携帯電話に伸びそうになる手を、無理矢理抑えた――瞬間。

ζ(゚、゚;ζ「ぴっ!!」

 着信音が盛大に鳴り響いた。
 発信者は、見覚えのない番号だ。

285 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:24:45 ID:nvvGx6z6O

ζ(゚、゚;ζ「……もしもし」

『……デレ』

ζ(゚、゚*ζ「あ。ニュッさん。どうしました?」

 相手はニュッ。
 そういえば彼と何度か電話で話したことはあったが、
 いずれも図書館か内藤の電話でのことだった。

 なら、この番号はニュッの携帯電話だろう。

『……』

ζ(゚、゚*ζ「?」

『……』

 ぷつん。

 通話が切れた。
 というか切られた。

ζ(゚、゚*ζ

ζ(゚、゚;ζ「む、無言電話……!?」

 何事だ。

 こちらから掛け直すと、2コールの内にニュッが出た。

286 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:25:05 ID:xmFXJXzE0
終わって欲しくない

287 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:27:05 ID:nvvGx6z6O

ζ(゚、゚;ζ「どうしたんですかニュッさん、ストーカーは駄目ですよ」

『誰がストーカーだ死ね』

ζ(゚、゚;ζ「……何か用があったんじゃないんですか?」

『……』

ζ(゚、゚;ζ「……」

『……』

ζ(゚、゚;ζ「……今度は切らないでくださいよ」

『――兄ちゃんが』

ζ(゚、゚;ζ「内藤さんが?」

『全部、話したっつってた』

 全部というと、まあ、状況から考えて「あれ」以外にはない。
 聞きましたよ、と返す。

『……』

ζ(゚、゚*ζ「……」

『……明日も来んのか』

ζ(゚、゚*ζ

 吹き出しそうになって、デレは口を押さえた。
 しかし、堪えきれずに息が漏れる。
 ニュッにも聞こえたかもしれない。

288 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:28:39 ID:ejo7kow.0
ニヤニヤ

289 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:29:17 ID:ibLt7rvYO
あらあらうふふ

290 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:29:19 ID:vePZAx3oO
にやにや

291 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:30:10 ID:u0r/BFYs0
甘酸っぱいですな

292 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:30:11 ID:U1zFK.YsO
ニヤニヤ

293 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:30:31 ID:nvvGx6z6O

『お前笑ったか今』

ζ(゚ー゚*ζ「いや……内藤さんもショボンさんもニュッさんも、みんな心配性だなあと」

『は?』

ζ(゚ー゚*ζ「行きますよ、勿論。皆さんと遊びたいです」

『……別に来なくていいけど。
 モララーがさっきから「絶対嫌われた」って泣いてんだよ。
 これ鬱陶しいから何とかしろ』

ζ(゚ー゚*ζ「はいはい。明日、お昼過ぎに行きますね。必ず行きます。
      幼少時にはまだ可愛げがあったニュッさんをからかわなきゃいけませんから」

『二度と来んな死ね』

ζ(゚、゚*ζ「……あ、切れた」

 番号をアドレス帳に登録し、デレは携帯電話を閉じた。
 また、笑みが零れる。

 内藤とツン、クックルとキュート。
 まだまだ問題はあるが、みんなでゆっくり、解決するための道を探そう。
 焦ることなど、何もない。

 誰も彼も、いい人なのだ。
 きっと、いつかは上手くいく。





*****

294 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:33:45 ID:nvvGx6z6O





 深夜。
 日付が変わった頃。

 ツンは、自室の隅、机の前に膝をついていた。

ξ゚听)ξ

 夕方の光景が脳裏に蘇る。
 内藤とデレが、抱き合っていた。

 ツンは、拳を握りしめる。

 ――晩飯の最中、内藤は、デレに全てを話したと皆に告げた。
 デレは受け入れてくれたらしい。

 ハローなどはあからさまに安堵してみせたが、ツンには大体の予想は出来ていた。
 デレなら、それのどこが問題なのかと平気な顔で言ってのけるに違いないのだ。

 そうして、これから先も図書館にやって来て。
 みんなと――内藤と親しくなって。

295 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:36:39 ID:nvvGx6z6O

ξ゚听)ξ「……」

 机に触れた。
 引き出し、一番下の段を開ける。

 一冊の本が入っていた。
 白地に、金色の模様。

 優しく拾い上げ――ツンは、そっと本を抱きしめた。



.

296 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:37:40 ID:nvvGx6z6O

ξ゚听)ξ「……あなたも、そろそろ、演じてもらいたいんじゃないかしら」





 一瞬。

 空気が震えた、気がした。





第九話 終わり

297 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:38:40 ID:ibLt7rvYO
長時間乙
大量投下には舌を巻くわ

298 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:38:46 ID:U1zFK.YsO
なん…だと…

乙!

299 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:38:57 ID:1/cleT8YO
毎回面白過ぎるわおつうううう!!!

300 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:39:59 ID:ejo7kow.0
乙!
ついにファンタジー小説が来るか…!!

301 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:40:25 ID:txhTkgtg0


302 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:40:34 ID:9XqbPfEg0
ふおぉぉ
乙でした。次も楽しみにしてます

303 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:41:28 ID:GS0815HMO
おもしろかった…
長時間おつです!続きも楽しみだ!

304 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:43:14 ID:CM0A7tKo0
久しぶりにリアルタイム遭遇
ブーンとツンのある意味すれ違いな状態が切ない

本日も素敵な物語有難うございました!

305 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:43:37 ID:E7Rmn0v20
・・・不穏
乙!

306 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:43:40 ID:xmFXJXzE0
ありがとう

307 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:43:44 ID:R9n7u5cQ0
長時間乙
とても面白かった。続き楽しみ

308 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:44:44 ID:6p0PmXXsO
乙!
デレは良い子だな

309 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:45:46 ID:nvvGx6z6O
今回の投下終わり! 我ながら長すぎる
次回は今週中に来れたらいいな。でもきっと無理なんだな


支援してくれた方、読んでくれた方、
ブーン芸さん、いっぷくさん、皆さんありがとうございました!!


そしてしおり的な目次的な

九話後 >>156


ではでは

310 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 00:47:46 ID:UZyiV.bk0

最後はあの本か

311 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 01:04:25 ID:/1wokLgM0
毎度読む度に思うけど地の文の量が絶妙で読みやすいよね

312 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 01:18:09 ID:gnW9ocMI0
乙です
続きが気になる終わり方だああ

313 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 01:26:50 ID:Cb9ABxPMO
読むのが楽しすぎて辛い
乙!!

314 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 01:39:20 ID:zn0yxAXMO
>>300
いや、きっと厨二小説だ

315 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 01:40:44 ID:XCXqAIbk0
今読み終わった乙!
電話のニュッ君が可愛すぎてどうしよう
終わりが近いのが怖すぎる

316 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 03:22:35 ID:qIFL1xxAO
ツン…( ;ω;)

次回が楽しみだが怖い…

乙でした

317 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 05:58:20 ID:b6Vq2cms0
圧倒的乙

318 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 06:26:58 ID:d7JiUE4QO
穴本とバローとドラクエが終わったら死ぬ

319 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 07:28:40 ID:OoEOe4KM0
>>318
アルファ完結まで待ちなさい

320 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 08:23:52 ID:kMDPGqFA0

ツンがヤンになるのか……?

321 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 08:54:05 ID:PZVH40OkO
不穏だ……乙

322 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 09:04:19 ID:OVrb9JnoO
素晴らしい、そして素晴らしい!

乙でした

まだ可愛いげのあった幼ニュッ君に、
物騒な口癖を教え込んだショボンは万死に値する( ;ω;)

323 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 09:48:01 ID:FIcGK2r20
まだ終わらないでくれよ

324 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 10:26:48 ID:UotIpRVoO
たまらなく面白かった ありがとう乙!!!

325 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 13:02:13 ID:al3cCSIo0
乙乙!

326 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 15:15:39 ID:hfwL2gtcO
大好きだ!乙!!

327 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 15:48:41 ID:kSHC1pfsO
これが完結したら樹海に旅行に行く
乙乙!

328 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 18:31:09 ID:NrdXZWS6O
乙です!!
続きが楽しみすぎる…!!

モナー
http://imepic.jp/20110911/659790

ニュッ君
http://imepic.jp/20110911/660730
ブーン
http://imepic.jp/20110911/661310

329 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 19:21:05 ID:nvvGx6z6O
>>328
おおお……ニュッから可愛げが溢れている……
ありがとうございます! 図書館住人全員揃った!
色合い的にブーンとツンが対になってる感じがしてニヤッとした

330 名前:名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 22:31:07 ID:xJgA5jQ2O
>>328
ニュッ君かわええぇっ

331 名前:名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 00:05:29 ID:sqHYws42O
奴隷のでれよりもすきだ

332 名前:名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 03:31:03 ID:GPqgT2pMO
乙!!!!あー気になるけど終わってほしくないー
しえんツン
http://imepic.jp/20110912/125490

333 名前:名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 04:06:40 ID:7Kv3XmrkO
いつも乙、毎回楽しみにしてるよ!

支援
http://imepic.jp/20110912/146480

334 名前:名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 05:01:10 ID:HSGiBoIc0
かわいい!!!

335 名前:名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 09:19:24 ID:dOlG9EaY0
上手すぎワロタww
みんな可愛いなー

336 名前:名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 10:54:08 ID:xTYhot/oO
乙ー
ツンとキュートがあの本でどう転ぶかな

337 名前:名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 12:32:55 ID:XWNlm1GUO
>>332
ふぉおおお! ツン! ありがとうございます!
何という美少女。特に目がすごく綺麗
そして髪もふもふしたい


>>333
何これ癒される。みんなめちゃくちゃ可愛い、ありがとうございます!
このデレも髪もふもふしたい。ショボンが下衆とは思えない可愛さ
あと右下の変態wwwww

338 名前:名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 16:09:24 ID:6Y89W5Oo0
ニュっくんの環境がエロゲ過ぎるよぉぉ
貞子たちが妊娠できるってことはクックルとかも生殖能力があるのか

339 名前:名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 18:56:51 ID:pCUjWJso0
環境がエロゲでもニュッ自体がフラグ破壊マシンだからなあ。

>>338
アーッ!

340 名前:名も無きAAのようです:2011/09/15(木) 01:54:22 ID:h1xhs33MO
ツンラスボスか…wktk

341 名前:名も無きAAのようです:2011/09/17(土) 12:41:36 ID:.yhbFiKc0
(*゚ー゚)の変態外伝が本気で読みたい


むしろ連載で

342 名前:名も無きAAのようです:2011/09/17(土) 17:41:56 ID:jsXyWmk60
今週中に投下くるかな?

343 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/09/17(土) 20:16:10 ID:uLgU4W4sO
やっぱり今週中は無理でしたうふふ ごめんなさい……
筆がノッてたから行けるかと思ってたんだ……


>>341

(*゚ー゚) 椎出しぃ変態外伝 〜第一話〜


ζ(゚ー゚*ζ「山手線ゲームしましょう!」

( ^ν^)「1人でやってろ」

(*゚ー゚)「いいじゃんいいじゃん、やろうよニュッちゃん」

ζ(゚ー゚*ζ「えっと、じゃあ、私→ニュッさん→しぃさんの順番で行きましょう。
      古今東西山手線ゲームー。『犬の種類』!」

ζ(゚ー゚*ζ「柴犬!」パンパン

(*゚ー゚)(『パンパン』って効果音だけだとエロいな……)

( ^ν^)「……ゴールデンレトリバー」パンパン


(*゚ー゚)「バター犬」ズギャァアアアン


ζ(゚ー゚*ζ

( ^ν^)

(*゚ー゚)

ζ(゚ー゚*ζ「……ニュッさん」

( ^ν^)「訊くな」

ζ(゚ー゚*ζ「バター犬って何ですか?」

( ^ν^)「俺に訊くな」

(*゚ー゚)「実践で教えてやれよ」

( ^ν^)「黙れ死ね」

344 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/09/17(土) 20:20:28 ID:uLgU4W4sO

(*゚ー゚) 椎出しぃ変態外伝 〜最終話〜


(*゚ー゚)「リアリティが必要なんだ! 頼むニュッちゃん、デレちゃん!!」

( ^ν^)「リアリティを追究する姿勢は認めるが嫌な予感しかしねえ」

ζ(゚、゚*ζ「右に同じ」

(*゚ー゚)「いや、ちょっと脱いでくれるだけでいいんだ。
     ちょっとズボンとパンツ脱いで横になってくれるだけでいいんだ。
     デレちゃんは折角の制服だしな……パンツ脱ぐだけでいいよ」

( ^ν^)「僕、用事あるんで家に帰りますね」

ζ(゚、゚;ζ「ここがニュッさんの家でしょうが。
      ……あ、私こそ用事あるんで帰ります」

( ^ν^)「自分だけ逃げる気かよふざけんな」

ζ(゚、゚;ζ「いやいや逃げるなんてそんな……おっとスーパーの割引タイムだ! さようなら!!」

(;*゚ー゚)「おおっと待った!
     ……くっ、私の3秒で亀甲縛り出来るという特技が役立つときが来たようだな!」

ζ(゚、゚;ζ「何その特技!? どこで得するの!?」

(;*゚ー゚)「今まさにここでだ!!」


  ボッコチャン!!
(#゚;;-゚) ☆))゚ー゚)「さあ観念しホシシンイチッ!!!」
  ⊂彡


(##)゚ー゚)

(#゚;;-゚) ヤメロ

(##)゚ー゚) ハイ

345 名前:名も無きAAのようです:2011/09/17(土) 21:17:13 ID:.7cTduRQ0
テラふりーだむwww

346 名前:名も無きAAのようです:2011/09/17(土) 21:31:08 ID:WWSpEJJQO
星新一www

347 名前:名も無きAAのようです:2011/09/17(土) 21:33:02 ID:ikhSh8AY0
どういう設定にしたらこんな風になんだよwwwwwwwww

348 名前:名も無きAAのようです:2011/09/17(土) 21:36:51 ID:MLhOHj820
エヌ氏wwwwww

349 名前:名も無きAAのようです:2011/09/17(土) 23:57:35 ID:axG.sFL2O
しぃさんマジ自由www
その後でぃちゃんに連行されて、残されたニュッ君とデレが何とも言えないふいんき(ry)になったら俺得すぎる。すぎるぞ作者よ。

350 名前:名も無きAAのようです:2011/09/18(日) 00:02:11 ID:Bxyu6oto0
じぃちゃんは性知識を全て覚えているとか3秒で亀甲縛りできるという設定にしたのか…

351 名前:名も無きAAのようです:2011/09/18(日) 22:02:32 ID:7v479aRIO
じいちゃん相当の変態だな

352 名前:名も無きAAのようです:2011/09/18(日) 22:35:22 ID:Rj/PMdjAO
レモナとの馴れ初めとか気になるわあ

353 名前:名も無きAAのようです:2011/09/18(日) 23:07:22 ID:m7E4vfcE0

一見、普通の女の子の日記ですが、
ある事をした後に更新しています。かなり中毒性が高いので注意が必要かもしれないです。

ttp://prof9pop.web.fc2.com/hrk/

354 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/09/19(月) 01:13:51 ID:nWTNrQnAO
>>350-351

( ´∀`)「物凄く不名誉なことを言われた気がする」

(*゚ー゚)「性知識や特技は独学によるものだよ!」

( ^ω^)「そんなことを独学で修得するような性格にしたのは祖父ちゃんなわけで」

(´∀` )(゚ー゚*)     (^ω^ )「こっち見ろ」


>>352

|゚ノ ^∀^)「お金目当てなんですが、結婚していただけないでしょうか」

( ´∀`)「やだ、すごく素直……。それとも馬鹿モナか?」

|゚ノ ^∀^)「本がお好きとのことなので、取り入るために私も色々読んでみました。
       けど、難しい字や言葉が多くて、ほとんど理解出来ませんでした……」

( ´∀`)「ただの馬鹿だったモナ」

|゚ノ ^∀^)「たとえば、ここ、よく分からなかったんですけど……」

( ´∀`)「……こんなのも分からないモナ? これこれこういう意味モナよ」

|゚ノ*^∀^)「すごい、内藤さんは頭がよろしいんですね! じゃあこれは?」

*****

|゚ノ*^∀^)「お勉強になりました! また明日訊きに来ますね!」

( ´∀`)「もう来なくていいモナ……」


*3ヵ月後*

|゚ノ*^∀^)「そんな深い意味が込められていたんですね……素敵なお話です」

( ´∀`)「……それより、君、結婚の話はどうでもよくなったモナか?」

|゚ノ ^∀^)「あっ、そういえばそうでした。お金目当てなんですが結婚してください」

( ´∀`)「嫌モナ」

355 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/09/19(月) 01:15:10 ID:nWTNrQnAO

*3年後*

|゚ノ*^∀^)「――という気持ちが、このときの主人公にはあったんだと思います」

( ´∀`)「うん、同感だモナ」

|゚ノ*^∀^)「本当ですか! 私1人で一晩かけて考えたんですよ!
       内藤さんと同意見ってことは正解ですね!」

( ´∀`)「いや、大半の小説には『正解』なんてものはないと思うモナが……。
       ……ところで、あの」

|゚ノ ^∀^)「?」

( ´∀`)「そろそろ結婚するモナ?」

|゚ノ ^∀^)「え……けど、私もう、お金より内藤さんの方が好きになってしまいましたから
       結婚する理由がなくなってしまいましたよ?」

( ´∀`)「いや、だから結婚するんだろうが。馬鹿かお前。……馬鹿だったモナね」



今考えたけど、多分こんな感じ

356 名前:名も無きAAのようです:2011/09/19(月) 01:36:36 ID:8KqzvWoE0

いい夫婦だな

357 名前:名も無きAAのようです:2011/09/19(月) 02:01:12 ID:lNVyyxbQ0
イイジャナイデスカァ

358 名前:名も無きAAのようです:2011/09/19(月) 03:43:02 ID:r6bPJEDg0
流石じいちゃん
プロポーズも迷いがないぜ

359 名前:名も無きAAのようです:2011/09/19(月) 10:34:01 ID:2RRKY0LoO
馴れ初めktkr!
言ってみてよかったああああああ

しかし3年も通ってたのかwww

やっぱりあのジジイの配偶者ともなると違うわあ
レモナなら作家やニュッ達ともなんなくやって行けそうだけど、彼女がいたら作家達は存在していないというジレンマ…

何にせよ乙

360 名前:名も無きAAのようです:2011/09/19(月) 10:45:46 ID:cyNYDu.s0
レモナとデレが馬鹿頂上決戦したらどうなるの?

361 名前:名も無きAAのようです:2011/09/19(月) 12:02:37 ID:1ShuJYqE0
モララーが一人で外に一日中探検するとどうなるのっと

362 名前:名も無きAAのようです:2011/09/19(月) 12:10:23 ID:PnEJJIyo0
渡辺さんとビコーズ様はどうなったのっと

363 名前:名も無きAAのようです:2011/09/19(月) 13:42:34 ID:g74nIF7k0
>>333が今後の絵師たちがデレを描くに当たっての一つの目標になると確信した

364 名前:名も無きAAのようです:2011/09/19(月) 17:07:07 ID:NoRB/xMAO
こういう小話的なのもっと見たいわ…

365 名前:名も無きAAのようです:2011/09/19(月) 17:51:54 ID:MEVMNoZkO
モナーにしろニュッ君にしろ頭いい分バカに惚れるのか

そういや関係ないけどビコーズ先生と阿部さんの対面はどうなったの?

366 名前:名も無きAAのようです:2011/09/19(月) 19:52:29 ID:cyNYDu.s0
>>362
そういや作者じゃない人がビコーズ先生もの書いて以来ビコーズ先生音沙汰無いな

367 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/09/19(月) 21:31:21 ID:nWTNrQnAO

>>360

|゚ノ ^∀^)「内藤さん内藤さん、聞いてください」

( ´∀`)「もうお前も『内藤さん』モナよ」

|゚ノ ^∀^)「あっ、そっか。モナーさん。
       私ね、多分、モナーさんのおかげで随分頭が良くなったと思うの」

( ´∀`)「はは、幻想的な話モナね……」

|゚ノ*^∀^)「そんなに褒められると恥ずかしい……」

( ´∀`)「この馬鹿が」

|゚ノ ^∀^)「ところで『げんそうてき』ってどういう意味なんでしょうか?」

( ´∀`)「この馬鹿が」


*****


          グリグリ
「ばーか」( ^ν^)σ))、;*ζ「う、ううう」

ζ(ぅ、;*ζ「言っときますが、私、みんなが言うほど馬鹿じゃありませんからね!」

( ^ν^)「みんなが言う以上に馬鹿だろ」

ζ(ぅ、;*ζ「ニュッさん酷い! 嫌い!
       ……いいです、じゃあいっぱい勉強しますから!
       それでニュッさんより頭良くなって見下してやる!」

( ^ν^)「何そのファンタスティック」

ζ(ぅ、;*ζ

ζ(ぅ、;*ζ「ファンタスティックってどういう意味ですか?
       炭酸ジュースを棒状に凍らせたものですか?」

( ^ν^)

ζ(ぅ、;*ζ「ごめんなさい……私馬鹿です……そんな生暖かい目で見ないでください……」

368 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/09/19(月) 21:32:58 ID:nWTNrQnAO
>>361

・昔

(*・∀・)「新作出来たー。でもニュッ君学校に行ってるや」

(*・∀・)「散歩してこよーっと」

*****

( ^ω^)「ただいまおー。モララー、モララーどこだおー?」

ξ゚听)ξ「おかえり。モララーがどうかした?」

( ^ω^)「学校の先生が豆大福くれたから、モララーにあげようかと」

( ;∀;)「わああああああああん!!」バタバタ

(;^ω^)「おおっ!? ど、どうしたおモララー!?」

ξ;゚听)ξ「見当たらないと思ったら外に行ってたの? ああ、着物よれよれじゃない」

( ;∀;)「お姉さん達に囲まれたぁああああ!
      可愛いとか言われて頭と頬っぺたいっぱい撫でられたぁああああ!!
      うわああああああああん!!」

( ^ω^)「えっ何、自慢? 自慢なの?」


・今

ζ(゚、゚*ζ「あっ、モララーさ……」

( ;∀;)「わあああああああ! ……あっ、デレちゃぁああああん! 助けて!!」

ζ(゚、゚*ζ

ζ(゚、゚*ζ(大量の犬と猫に囲まれている……)

( ;∀;)「そっ、そんなに顔舐めないで! ちょっ……着物に爪立てて登らないでえ!!」

ζ(゚、゚;ζ「首輪ついてない……みんな野良ですか? ほら、あっち行ったあっち行った」

( ;∀;)「ううう……人気のない道を歩けば大丈夫だと思ったのに……」

ζ(゚、゚;ζ「モララーさん、そんなに動物に好かれるんですか?」

( ;∀;)「多分、あれみんなメスだと思う……」

ζ(゚、゚;ζ「イケメンだからで許されるレベル超えてますよ……」

369 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/09/19(月) 21:34:22 ID:nWTNrQnAO

>>362

从'ー'从「何で私は『渡辺さん』なのに、この人は『ビコーズ様』なの?」

( ∵)「格が違うんですよ格が。
    ……どうなったって何がですか? どうもなりませんよ?
    どうもなりたくありませんよ」

从'ー'从「少なくとも前向きな方向にどうにかなることは絶対にないわね〜」

( ∵)「ええ。隣に住んでると、この女の糞っぷりがますます明らかになってきますからね。
    一番やめてほしいのは夜中に男連れ込むことです。
    気持ち悪い声で安眠妨害しないでいただきたい」

从'ー'从「だからって絶妙なタイミングで壁殴るのやめろよマジで。萎えっぷり半端ないから」

从'ー'从「前なんか私の声に合わせてテンポ良く壁殴ってきただろ。
     彼氏ちょっと笑っちゃったじゃねえか」

( ∵)「笑ったならいいじゃないですか」

从'ー'从「笑った直後に萎えて終了だよ。一ヶ月後に別れたいって言われたわ畜生」

( ∵)「……ふられた理由の大半はあなたの性格だと思うんですがねえ」

370 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/09/19(月) 21:36:11 ID:nWTNrQnAO
>>365

( ∵)白「あ、もしもし。ええ。はい。先生です。何をそんなに怯えてるんですか。
     すみませんが住所教えてください。え? どうだっていいじゃないですか。ほら早く」

( ∵)白「……うん。はい、はい。……本当にこれで合ってます? 疑うわけではありませんが。
     そうですか、ありがとうございました。痔の薬用意しておいた方がいいですよ」

( ∵)白 ピッ

( ∵)「はい。ここに書いてある住所に行けば、アサピーという男性に会えます。
    ノーマルな方ですが、お好きにどうぞ」

N| "゚'` {"゚`lリ「あんた、割と最低だな……」

( ∵)「突然押しかけてきて全裸になろうとするあなたよりはマシです」

N| "゚'` {"゚`lリ「で、このアサピーって奴はノンケなんだよな?」

( ∵)「ええ。ですが彼は二十余年恋人の出来た試しがない哀れなチェリーボーイです。
    きっと人肌が恋しい筈ですから、彼の寂しさを埋めてあげてください。
    あと先生より若いです」

N| "゚'` {"゚`lリ「……ほう……楽しめそうじゃないの……」

N| "゚'` {"゚`lリ ノシ

( ∵)ノシ

ガチャ バタン

( ∵)

( ∵)「どうして常識人な先生の周りには、変な人ばっかり集まるんでしょう。不思議ですね」

从'ー'从「類は友を呼ぶって知ってる〜?」ズルズル

( ∵)「さも当然のように居座って人のカップラーメン食べないでくれますか変人一号」


*****


(;-@∀@)「あっ、あの能面野郎! 何つうモン寄越してんだ!!
      早く引き取っ……うわああああ着拒されてるぅううう!!
      ……すいません僕は女の子が好きですごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」

N| "゚'` {"゚`lリ「俺はノンケだって構わず喰っちまう男なんだぜ」

(;-@∀@)「誰かぁああああああああ!!!!!」

371 名前:名も無きAAのようです:2011/09/19(月) 22:01:15 ID:CVRKaWus0
穴素晴らしやか…

372 名前:名も無きAAのようです:2011/09/19(月) 22:04:07 ID:/1KwutDg0
アッー!!

373 名前:名も無きAAのようです:2011/09/19(月) 23:53:59 ID:cyNYDu.s0

Q.レモナとデレが馬鹿頂上決戦したらどうなるの?
                                 ,.へ
  ___                             ム  i
 「 ヒ_i〉                            ゝ 〈
 ト ノ                           iニ(()
 i  {              ____           |  ヽ
 i  i           /__,  , ‐-\           i   }
 |   i         /(●)   ( ● )\       {、  λ
 ト−┤.      /    (__人__)    \    ,ノ  ̄ ,!
 i   ゝ、_     |     ´ ̄`       | ,. '´ハ   ,!
. ヽ、    `` 、,__\              /" \  ヽ/
   \ノ ノ   ハ ̄r/:::r―--―/::7   ノ    /
       ヽ.      ヽ::〈; . '::. :' |::/   /   ,. "
        `ー 、    \ヽ::. ;:::|/     r'"
     / ̄二二二二二二二二二二二二二二二二ヽ
     | 答 |    ど っ ち も 馬 鹿      │|
     \_二二二二二二二二二二二二二二二二ノ

ということか

374 名前:名も無きAAのようです:2011/09/20(火) 06:13:29 ID:TbJf7iqs0
この家系はバカな女に好かれるのか

375 名前:名も無きAAのようです:2011/09/20(火) 07:28:45 ID:c4GmIQ120
ξ゚?゚)ξ「おい」

376 名前:名も無きAAのようです:2011/09/20(火) 07:29:27 ID:c4GmIQ120
なんか文字化けしちまった

377 名前:名も無きAAのようです:2011/09/20(火) 08:38:46 ID:A8KiWhJs0
駄目だ楽し過ぎる

378 名前:名も無きAAのようです:2011/09/20(火) 13:25:59 ID:mZBlYrdkO
声に合わせて壁殴れるって相当相手の呼吸分かってないと出来なくね?

379 名前:名も無きAAのようです:2011/09/20(火) 14:00:38 ID:dX0kIdi2O
モララーがもっと見たい
モララーvsレモナ・デレも中々じゃね?

380 名前:名も無きAAのようです:2011/09/20(火) 15:02:22 ID:WXqC0N2IO
ファンタスティックwww


その発想は無かったわwww

381 名前:名も無きAAのようです:2011/09/20(火) 17:50:44 ID:d8rvarjE0
モララー悲惨だなwww

382 名前:名も無きAAのようです:2011/09/20(火) 19:47:06 ID:dwz4OuR.O
番外編も楽しすぎるwww

モララー
http://imepic.jp/20110920/705700

レモナ
http://imepic.jp/20110920/704970

383 名前:名も無きAAのようです:2011/09/20(火) 20:36:06 ID:BwW3PylMO
絵描きさんさらに上手くなってる気がするw
かわええ

384 名前:名も無きAAのようです:2011/09/20(火) 22:22:48 ID:6.9N3A5YO
>>382
この可愛らしい少年が成長してイケメンになるわけだな……ねじれろ
そういや>>329で住人全員〜と言ってしまったけど、ツンよりも先に住んでたレモナをすっかり忘れてた
今度こそ全員揃った! ありがとうございます!

385 名前:名も無きAAのようです:2011/09/20(火) 23:04:22 ID:Sllc7Bu6O
今日いっき読みしたけど無茶苦茶面白いなコレ!


ところでミルナが好きすぎるんだが異端かね。

386 名前:名も無きAAのようです:2011/09/21(水) 05:56:50 ID:EwEDOP8EO
>>385
ありだと思う

387 名前:名も無きAAのようです:2011/09/21(水) 07:10:12 ID:sz9FMiT6O
>>385
俺も好き

388 名前:名も無きAAのようです:2011/09/21(水) 18:03:04 ID:IUqu4R/o0
>>382のモララーがドツボだわ

389 名前:名も無きAAのようです:2011/09/22(木) 01:29:54 ID:QwwPYMzI0
>>388
どつぼとは深く落ち込んだ状態や最悪な状況を意味し、そういった状況になるという意味の「どつぼに嵌まる(はまる)」といった形で使われることが多い。
どつぼはもともと関西エリアで肥溜め(肥溜めは野にあることから野壷ともいい、それが音的に崩れたものか?)のことをいうが、関西芸人が最悪な状況を肥溜めにはまった状況に例え、楽屋言葉としてどつぼというようになったとされる(壷に閉じ込められ、落ち込む様をどつぼと言い出したのが最初という説もある)。
一般には1970年代末辺りからよく使われるようになる。

390 名前:名も無きAAのようです:2011/09/22(木) 03:15:20 ID:i3Tvc.bU0
ド(とても)ツボってことだろ
ドアホとか言うじゃん

391 名前:名も無きAAのようです:2011/09/22(木) 06:16:22 ID:Zo26SG.gO
>>388>>390の流れをみて浮かんだので
http://imepic.jp/20110922/224270

392 名前:名も無きAAのようです:2011/09/22(木) 08:17:56 ID:mHAzVyYI0
>>391
ワロタwww

393 名前:名も無きAAのようです:2011/09/22(木) 08:26:15 ID:WcMa69XsO
>>391
何これ可愛い
1コマ目のツンwww音が重いwwwww
ありがとうございます! ド(とても)ツボにはまった

394 名前:名も無きAAのようです:2011/09/22(木) 10:40:07 ID:064jiDHY0
オマケもまとめてくれてる所ないのかな?

395 名前:名も無きAAのようです:2011/09/22(木) 10:52:53 ID:Ab2XvyaIO
芸さんに期待している

396 名前:名も無きAAのようです:2011/09/22(木) 13:57:38 ID:eX/jW67A0
ちょいといっぷくさんがオマケもまとめてるはず

397 名前:名も無きAAのようです:2011/09/22(木) 19:19:05 ID:jhnTWzkI0
まさか>>388の一言でこんなことになるとは思わんかった

398 名前:名も無きAAのようです:2011/09/22(木) 23:19:20 ID:vlnRghOYO
>>391 すげー

399 名前:名も無きAAのようです:2011/09/22(木) 23:47:17 ID:MkOuE.hs0
>>391
かわいいなあ

400 名前:名も無きAAのようです:2011/09/23(金) 08:21:14 ID:0QPNeKpo0
今週にファンタジー小説来るかな?

401 名前:名も無きAAのようです:2011/09/23(金) 08:34:33 ID:J2nreWS6O
ブン芸さんおまけまとめてるね
ありがたや

402 名前:名も無きAAのようです:2011/09/23(金) 10:45:12 ID:gQkgpC520
仕事で暫くこれなかったけど>>341です



ありがとぉぉぉおおおおおおお



(*゚ー゚)あいしてるぅぅぅぅぅぅ

403 名前:名も無きAAのようです:2011/09/23(金) 20:11:29 ID:...AXmAg0
>>391
ど…つぼ…?

え?どつぼ?
どつぼ?
ど つ ぼ          ?

?????????

404 名前:名も無きAAのようです:2011/09/23(金) 20:57:59 ID:0QPNeKpo0
ウツボ…?

405 名前:名も無きAAのようです:2011/09/23(金) 22:37:20 ID:Xbx2r4e.O
ちゃつぼ?

406 名前:名も無きAAのようです:2011/09/23(金) 22:38:49 ID:gh08q2e60
におわれてとっぴんしゃん

ぬけたーら

ξ゚?゚)ξどこしょ

407 名前:名も無きAAのようです:2011/09/23(金) 22:39:35 ID:gh08q2e60
ツン口って文字化けするのね

408 名前:名も無きAAのようです:2011/09/24(土) 01:07:06 ID:Cncm0Mf2O
ξ゚听)ξ

409 名前:名も無きAAのようです:2011/09/24(土) 01:50:57 ID:QabCrXmo0
まとめブログでも口が?になってたりするね
なんか卑猥

410 名前:名も無きAAのようです:2011/09/24(土) 18:39:55 ID:9xUqvcgA0
上が鼻で舌が口に見えるな 外国人みたい
ξ゚?゚)ξ「オーマイガー」

これで何か番外編つくってくらはいおながいいたしまそる

411 名前:名も無きAAのようです:2011/09/24(土) 18:41:59 ID:oPF9OgKk0
読者様帰れや!
作者も大変だろうしいちいち要望に答えなくていいよ

412 名前:名も無きAAのようです:2011/09/24(土) 20:35:46 ID:EYhlqV860
オマケは嬉しいし面白いんだけど本編書く妨げになってないか心配だな。

へんな要求する読者様()は目障りだから自重してほしい。

413 名前:名も無きAAのようです:2011/09/24(土) 20:47:31 ID:/Nv96XC20
要求というかお願いくらいいいんジャマイカ?
作者さんが書きたくなければスルーすればいいだけの話だし
言ってるほうも駄目元だろうし
この程度で読者様()とか言い出してたらキリがないだろjk……

414 名前:名も無きAAのようです:2011/09/24(土) 20:51:48 ID:ToJ2SxJc0
スレチです本当にありがとうございました

415 名前:名も無きAAのようです:2011/09/24(土) 21:23:33 ID:blUps06I0
そんな言い合いしてると規制されるからやめとけ

416 名前:名も無きAAのようです:2011/09/25(日) 01:56:03 ID:jiKW4U7g0
今日投下来るかな

417 名前:名も無きAAのようです:2011/09/26(月) 20:54:10 ID:Doh1IZEkO
続きが気になるが終わってほしくないな

418 名前:名も無きAAのようです:2011/09/27(火) 11:17:41 ID:ty.XRFyc0
みんな可愛い

419 名前:名も無きAAのようです:2011/09/27(火) 18:03:30 ID:xGiiag6U0
今更だけど追いついたー!
支援!http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2073953.jpg

420 名前:名も無きAAのようです:2011/09/27(火) 18:14:26 ID:pbVQtNFw0
そのロダ流れるの早いから見れない人多くなると思うけど

421 名前:名も無きAAのようです:2011/09/27(火) 18:15:15 ID:/xIc7VI20
ニュッ君こんなことイチャイチャできんのか


もげろ

422 名前:名も無きAAのようです:2011/09/27(火) 18:59:27 ID:W/iv6YqwO
ちょっとニュッくんぶっ飛ばしてくるわ

423 名前:名も無きAAのようです:2011/09/27(火) 19:28:53 ID:xGiiag6U0
>>420 ありゃ、マジかサーセン;
じゃあこっちで!http://imepic.jp/20110927/697460
中身は419と同じです

424 名前:名も無きAAのようです:2011/09/27(火) 20:54:32 ID:7bbNDvg2O
ちょっと命吹き込んだ『人間失格』ニュッくんに触らせてくる

425 名前:名も無きAAのようです:2011/09/27(火) 22:42:06 ID:ltfEEyecO
>>424
ξ゚听)ξやめなさいブーン

426 名前:名も無きAAのようです:2011/09/27(火) 23:46:21 ID:T8PcnrkE0
支援 http://imepic.jp/20110927/854690

427 名前:名も無きAAのようです:2011/09/28(水) 00:48:18 ID:/tznu6E6O
>>423
デレぇええええわああああああ!! あああああ! 可愛い。ニュッはもげればいいのに
ツン至上主義の俺が揺らぎかけたほどの可愛さ。ニュッはもげればいいのに
ありがとうございます! ニュッはもげればいいのに

>>426
ひゃっはぁああハローさんだ! ありがとうございます! ハローさんにピアス似合うな
こんなに穏やかな顔してるのに、人が死にまくる話ばっかり書いてるんだぜ……
そして腰ら辺にただならぬ魅力を感じた。やっぱりニュッもげろ





次話は、後編をある程度書き終えてから前編を投下したいと思ってるんですけども、
だいぶ間があいてしまって申し訳ありません。いつものことだけど。いつものことだけど
何が何でも次の日曜か月曜には投下する。出来なかったら俺の尻をいたぶってください

428 名前:名も無きAAのようです:2011/09/28(水) 00:52:31 ID:bVK9yPCY0
待ってるぜ
むしろいたぶりたい

429 名前:名も無きAAのようです:2011/09/28(水) 01:39:34 ID:k1bPw.Eo0
問題は書いてて気持ちいいかどうかよ

430 名前:名も無きAAのようです:2011/09/28(水) 03:08:18 ID:bGhmTxZAO
いたぶる準備しときますね

431 名前:名も無きAAのようです:2011/09/28(水) 18:51:17 ID:FT1AsmtM0
ちょっとニュッくんの×××を××××で××してくるお

432 名前:名も無きAAのようです:2011/09/28(水) 20:04:34 ID:RK5..pSw0
一日一支援http://imepic.jp/20110928/716300

433 名前:名も無きAAのようです:2011/09/28(水) 20:12:38 ID:2ZiEbwX.0
>>432
やれやれ、これはブーンにケチャップ爆弾だな

434 名前:名も無きAAのようです:2011/09/28(水) 21:54:25 ID:y1nQYKAg0
くそっくそっこんなに可愛いなんて許せない

435 名前:名も無きAAのようです:2011/09/28(水) 23:30:56 ID:/tznu6E6O
>>432
ツンぁああああああ! ああああっ、ああっあああああああああああ!! んああ!
こんな美少女とブーンがあんな感じでこんな感じになってると思うと何かもう早くケチャップ爆弾されればいいのに
ありがとうございます! おかげで眠気吹っ飛んだ。書き溜め頑張ります

436 名前:名も無きAAのようです:2011/09/29(木) 07:47:37 ID:fAHLOjps0
(;^ω^)

437 名前:名も無きAAのようです:2011/09/29(木) 23:38:49 ID:leBneJF20
つC http://imepic.jp/20110929/652550

438 名前:名も無きAAのようです:2011/09/29(木) 23:53:50 ID:cwJKxHO6O
>>437すっげー!!!!

439 名前:名も無きAAのようです:2011/09/30(金) 00:27:23 ID:IeKlKu6g0
>>437マジで(*゚ー゚)惚れる

440 名前:名も無きAAのようです:2011/09/30(金) 02:25:32 ID:TZiDcJ6YO
>>437
今日もありがとうございます!!
この椎出姉妹、俺の色んなツボを突いてきやがる
こんな(*゚ー゚)にセクハラされるなんてもはやただのご褒美じゃないか羨ましい

441 名前:名も無きAAのようです:2011/09/30(金) 11:31:38 ID:.xvTxIK6O
>>437
こんなしぃにチンコ触られたら勃起通り越して射精するわ

442 名前:名も無きAAのようです:2011/09/30(金) 16:07:10 ID:2hNDVvu.0
下ネタ野郎消え失せろ

443 名前:名も無きAAのようです:2011/09/30(金) 17:04:50 ID:VBDkPnCE0
しぃが消え失せるぞ

444 名前:名も無きAAのようです:2011/09/30(金) 17:29:25 ID:X5YMPKcc0
>下ネタ野郎消え失せろ

 ̄- ̄=三ニ≡=-- ̄- ̄=三≡_- ̄- ̄ ̄=三- ̄==三 ̄- ̄ ̄―=三ニ≡=-- ̄- =三- ̄==三 ̄- ̄ ̄―=三ニ≡=--
── ─────   ──────  ────  ───  ─    ──   ── ─    ──   ── ─    ──
 ────   ──_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_─   ──   ───  ───
             >    ぐわあああああああああああああああああああ!!!   <__
 ───── ──  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄            _
                                 ∧ ∧_:;;,;;;;; ;;::::::::::.:.:.:.:.:.:.............
                                /(゚ー゚;) /:;;,;;;;; ;;::::::::::.:.:.:.:.:.:.............
                              /| ̄∪∪=三=_─ ___  ─
                                |  しぃ   :;;,;;;;; ;;::::::::::.:.:.:.:.:.:.............
                                  ̄ ̄ ̄=二二=三───    
           ─────                         _ ______
── ─────   ──────  ────  ───  ─    ──   ── ─    ──   ── ─    ──
 ────   ──  ─    ─────   ──   ───  ──────― ──   ──   ───  ───
 ̄- ̄=三ニ≡=-- ̄- ̄=三≡_- ̄- ̄ ̄=三- ̄==三 ̄- ̄ ̄―=三ニ≡=-- ̄- =三- ̄==三 ̄- ̄ ̄―=三ニ≡=--





 ̄- ̄=三ニ≡=-- ̄- ̄=三≡_- ̄- ̄ ̄=三- ̄==三 ̄- ̄ ̄―=三ニ≡=-- ̄- =三- ̄==三 ̄- ̄ ̄―=三ニ≡=--
── ─────   ──────  ────  ───  ─    ──   ── ─    ──   ── ─    ──
              ───_人人人人人人人人人人人人人人_― ──   ──   ───  ───
                  >    あああぁぁ……!!!   <_        _ ____
                   ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄ ─          _
                                                    _ ___
                  __   ボ    シ              _     ________
                          ,   .  ュ     ”
                               ::     ッ:.──=─
                  ─ ──  ;  :;   ;:    ・     ; .;・     ,           ’=── ───
                        ;         ・;'   ゙   ,─ ___ ___               _ _
                          ::::: .         .;
           ─────                         _ ______
───  ────  ───  ─    ──   ── ─    ──   ── ─    ──
 ────   ──  ─    ─────   ──   ───  ──────― ──   ──   ───  ───
 ̄- ̄=三ニ≡=-- ̄- ̄=三≡_- ̄- ̄ ̄=三- ̄==三 ̄- ̄ ̄―=三ニ≡=-- ̄- =三- ̄==三 ̄- ̄ ̄―=三ニ≡=--

445 名前:名も無きAAのようです:2011/09/30(金) 19:21:28 ID:dha8Eo7c0
くそっwwwwwこんなのでwwwwww

446 名前:名も無きAAのようです:2011/10/01(土) 10:40:31 ID:SV5S3Mcg0
寝落ちしてしまった…orz http://imepic.jp/20111001/382220

447 名前:名も無きAAのようです:2011/10/01(土) 10:54:50 ID:V5TLFyvU0
すげえ外国っぽいのに日本人なんだよな…設定上は…

  _  ∩
( ゚∀゚)彡 
 ⊂彡

448 名前:名も無きAAのようです:2011/10/01(土) 13:05:07 ID:Iq9PbHqYO
>>446
サスペンダーハローぺろぺろ

やっぱニュッ君もげろ

449 名前:名も無きAAのようです:2011/10/01(土) 13:32:27 ID:UdsqRCFsO
>>446
こういう感じのハローさん何か新しい! かわええ
胸元がはち切れそうじゃねえか……
ありがとうございます! 書き溜めが終わらなくて泣きながら尻を洗う覚悟をしていましたが、何とか頑張れそうです


>>448を見て、もしや>>446のハローさんは
サスペンス小説とサスペンダーを引っ掛けているのではないかと深読みした

450 名前:名も無きAAのようです:2011/10/01(土) 16:56:04 ID:5yCm1BrcO
ハローさん可愛すぎワロリーナ
作者さん無理しないでゆっくり頑張って下さい、遅れてもケツを掘るだけですから…

451 名前:名も無きAAのようです:2011/10/01(土) 17:31:25 ID:5NZ1bSJI0
>>1の尻をペロペロするまであと2日か

ウヒヒ

452 名前:名も無きAAのようです:2011/10/01(土) 17:35:37 ID:SV5S3Mcg0
>>449 あまりにもくだらないダジャレだったので言わないようにしたのに
    バレちゃって恥ずかしいwww

ほんとに無理のない程度にまったりと頑張って下さい><
作者さんのお尻ぺろぺろ

453 名前:名も無きAAのようです:2011/10/01(土) 18:08:59 ID:jYwJn9XEO
( ^ω^)ここはHENTAIの多いインターネッツですNE!


(* ^ω^)ペロペロ

454 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 00:05:56 ID:lPTsz1.YO
穴素晴らしやペロペロまであと24時間

455 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 12:34:38 ID:O4Jlj0GA0
>>442
てめえしぃを消したらマジでコンクリ抱かせて沈めんぞ

456 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 18:14:03 ID:qsLqePmo0
もう6時間経過したら同意の上で尻をいたぶれると聞いて飛んできました

457 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 18:45:48 ID:e6k6/AU2O
毎度のことすぎて、もはや書く必要があるのかも分からないけれど、
今回もやっぱり長い。やっぱりゆっくりペース

最終話前編投下しマトリックス
体調がちょっとアレなので、途中で休憩挟むかもしれない

458 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 18:47:28 ID:e0.OJjKI0
え?

459 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 18:47:38 ID:e6k6/AU2O


 『 あるところに、照れ屋な魔女がいました。 』

 『 魔女には好きな人がいたのですけれど、照れ屋なものですから
   何も伝えることが出来なくて、いつも彼を眺めているだけでした。 』

 『 だけど、誰にでも優しい彼を見ていると、独り占めしたくなって堪りません。 』

 『 「駄目よ。私は、彼のような普通の人間ではないから、
    私と一緒になっても彼は幸せになれないわ」 』

 『 そうは思っても、やっぱり、彼への想いは日毎に増すばかりです。 』

 『 だから魔女は、 』――



.

460 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 18:49:59 ID:e6k6/AU2O



最終話 あな愛しや、ファンタジー小説・前編



.

461 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 18:51:13 ID:e6k6/AU2O


ζ(゚、゚*ζ

( ∵)

ζ(゚、゚*ζ

( ∵)

( ∵)「長岡さーん」

 1月4日。学校。
 とある教室では、一週間ぶりの補習が行われている。

 上の空といった様子の長岡デレ。
 彼女の目の前で、英語教師、奈良場ビコーズは手を振った。

 無反応。

( ∵)「長岡さんってば」

ζ(゚、゚*ζ

( ∵)「長岡デレさん」

ζ(゚、゚*ζ

( ∵)「デレさん?」

ζ(゚、゚*ζ

462 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 18:52:15 ID:e6k6/AU2O

( ∵)「デレちゃーん」

ζ(゚、゚*ζ

( ∵)「デレたん。デレっち。デレぴょん」

ζ(゚、゚*ζ

( ∵)「おいお前」

\(;^o^)/(先生の機嫌が悪くなってきてる……!)

(;・∀ ・)(気付け……頼むから早く気付け……!!)

 補習仲間の必死なテレパシーの甲斐あってか、デレが我に返る。
 きょとんとした後、ビコーズを見遣り、首を傾げた。

ζ(゚、゚*ζ「呼びましたか?」

( ∵)「呼びましたよ。30回は呼びましたよ」

(;・∀ ・)(数を盛ってる……)

463 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 18:54:09 ID:e6k6/AU2O

ζ(゚、゚;ζ「ごっ、ごめんなさい! ぼうっとしてて……」

( ∵)「ええ、ええ、いいんです。先生、存在感ないですから。
    で、プリントに何書いてるんです? 『内藤さん ツンちゃん』……」

ζ(゚、゚;ζ「わーわーわー! 何でもないんです何でもないんです!」

 机にしがみついてプリントを隠し、デレはぶんぶんと頭を振った。

 昨日からずっと、VIP図書館のことばかりが思考を占めている。
 ビコーズの補習に集中出来ないくらいに。

( ∵)「……ちゃんと話聞いてくださいね。
    また先生のこと無視したら、それはそれは楽しい個人授業が待ってますよ」

ζ(゚、゚;ζ「はい……」

 ビコーズが教壇に向かう。
 ほっと息をつき、デレはプリントを見下ろした。

 内藤ホライゾン。ツン。



   ( ;ω;)『……ツンは、僕をどう思ってるのかお……』



ζ(゚、゚*ζ(……お互い、正直に話し合えれば一番いいんだけどなあ。
      ツンちゃんが難しそう)

 彼らのために自分が出来ることは何だろう。

464 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 18:55:14 ID:e6k6/AU2O



( ∵)「長岡さん」

ζ(゚、゚*ζ

ζ(゚、゚;ζ「……はいっ!!」

( ∵)「ぎりぎりですねー」



*****

465 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 18:56:53 ID:e6k6/AU2O


 補習を終えたデレは、1年A組の教室へ向かった。

 3年生らしき生徒が教師を相手に面接練習(だと思われる)をしていたので、
 大きな音を立てないよう気を付けながらロッカーを開け、そこに入れておいた紙袋を出した。

 中には、今朝早くから作ったホールケーキ。
 先月末、若菜家から帰ってきた際に遮木ショボンから要求された「タクシー代」だ。
 現金で支払った方が安くつく結果になったが、作るのが楽しかったので良しとする。

ζ(゚、゚*ζ(ショボンさんにケーキ渡して、図書館行って……)

ζ(゚、゚;ζ(……あちゃー。内藤さん達の分もケーキ作れば良かったかなあ。今度作ろう)

 鞄を肩に、袋を右手に引っ提げて歩き始めた。
 コートのポケットから携帯電話を取り出す。

ζ(゚、゚*ζ「ん」

 サブディスプレイのランプが点滅している。
 どうやら補習中に電話が掛かってきていたようだ。

ζ(゚、゚*ζ「誰だろ……」

 踊り場で立ち止まり、着信履歴を開く。
 「ニュッさん」という名前が表示されていた。着信があったのは10時半頃。

466 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 18:58:46 ID:e6k6/AU2O

ζ(゚、゚*ζ(ニュッさんだ)

 内藤ニュッの顔を思い浮かべる。
 昨日に引き続き、今日も彼から電話が掛かってくるとは。

 自分にどんな用があるのか、さっぱり想像がつかない。
 まさか暇すぎるあまり、デレを小馬鹿にするために掛けてきたのではなかろうか。
 奴なら有り得る。

 ニュッの番号を選び、決定ボタンを押した。
 携帯電話を耳に当てる。

ζ(゚、゚*ζ「……」

 ――繋がらなかった。

 コールすら鳴ることはなく、淡々とアナウンスが流れていく。
 アルバイトか何かのために電源を切っているのかもしれない。

 図書館の方に掛けようかとも思ったが、やめておいた。
 どうせ後で行くのだし、そこでニュッに会えたら直接訊ねよう。

 紙袋を揺らさぬように、ゆっくりと階段を下りた。



.

467 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:00:08 ID:e6k6/AU2O



ζ(゚、゚*ζ「――あ」

o川*゚−゚)o「あ……」

 昇降口に着くと、下駄箱の前に見知った顔がいた。
 素直キュート。
 デレを見付けるなり、強張っていた顔から力が抜けていった。

o川*;−;)o「……デレちゃぁあん……」

ζ(゚、゚;ζ「えっ? わ、ちょ、ど、どうしたの!?」

o川*;−;)o「デレちゃぁああああん!」

ζ(゚、゚;ζ「キュートちゃ……あ、待って、待って……」

 デレに抱き着いてくるキュート。
 慌てて紙袋を下駄箱の上に乗せ、デレは耳元で泣き声をあげるキュートの頭を撫でた。
 昨日の内藤を思い出してしまう。

468 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:01:44 ID:e6k6/AU2O

ζ(゚、゚;ζ「落ち着いて話して。ね?」

 少々強引にキュートを引き剥がし、瞳を見つめて宥める。

 実は、とキュートが口を開きかけたが、デレが続けて発した質問に、
 再び泣きじゃくり始めた。

ζ(゚、゚;ζ「昨日、何かあったの?」

o川*;−;)o「……わあああああん!!」

ζ(゚、゚;ζ「うわっ、余計泣いた! えっと……あ、け、ケーキ食べる!?
      人にあげるやつだけど、ちょっとぐらいなら……」

o川*;д;)o「あああああああん! ケーキぃいいい! クックルさぁああん!!」

ζ(゚、゚;ζ「ええー地雷踏んだ!?」

 とりあえず堂々クックルとの間に何かがあったのは間違いない。

 よく見ると、キュートの防寒着の裾からはみ出ているスカートは、制服のそれではない。
 学校に、ではなく、デレに用事があったらしい。

 放っておくわけにもいくまい。
 話を聞かねばならないが、どこに行ったら良いものか。

 ここからあまり遠くなく、かつ、人が少ない――出来れば誰もいない――場所。

ζ(゚、゚;ζ(……あそこなら、誰もいないかな)

 行こう、と言って、デレはキュートの手を握った。



*****

469 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:05:43 ID:e6k6/AU2O


 図書室――の隣、司書室。

 デレは、来る途中に自動販売機で購入してきた2つの缶を、自分の胸の前に掲げた。

ζ(゚、゚*ζ「ココアとミルクティー買ったけど、どっちがいい?」

o川*゚−゚)o「……ミルクティー」

ζ(゚ー゚*ζ「どうぞ」

o川*゚−゚)o「ありがとう。……あ、お金」

ζ(゚ー゚*ζ「いいよ、これぐらい」

 何故司書室にいるのかといえば、デレが話し合いの場に図書室を選んだことに起因する。

 図書室ならいつも通りに無人だろうと思っていたのに、
 予想に反し、受験を控えた3年生と教師で溢れ返っていた。

 そもそも1年生の教室すら利用されていたくらいなのだから、
 図書室ともなれば誰もいない方がおかしいのだと考えなくても分かりそうなものだが、
 生憎デレは頭が悪い。

470 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:06:02 ID:im3ZjE1EO
うはは 今から追っかける

支援ぬ!

471 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:07:48 ID:e6k6/AU2O

 そこへ声をかけてきた司書教諭、アサピーは、
 目を泣き腫らしたキュートに気付くと、すぐに司書室を提供してくれた。
 その上、

   (-@∀@)『僕がいたら話しづらいでしょ』

 なんて言って、図書室の蔵書点検に行ったのである。
 本当にありがたい。

 長岡さんは図書室を贔屓にしてくれるからね、とも言っていた。
 新学期になっても図書室に通い詰めようと決意し、今に至る。

ζ(゚、゚*ζ「それで……何を話しに来たの?」

 パイプ椅子に腰掛け、向かいに座るキュートに訊ねた。

 熱いくらいに温められたココアの缶を、手の中で転がす。
 足元に置いた紙袋を一瞥した。
 司書室は随分と暖房がきいている。ケーキが心配だ。

o川*゚−゚)o「……ごめんね。本当はメールか電話で話そうと思ったんだけど、
      1人だと、頭の中ぐちゃぐちゃになっちゃって……。
      デレちゃん、前に補習だって言ってたから、学校来たら会えるかと思ったの」

ζ(゚、゚*ζ「うん、それは全然構わないけど」

472 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:09:20 ID:e6k6/AU2O

o川*゚−゚)o「……」

 キュートは俯き、デレのように、ミルクティーの缶を弄んだ。
 彼女が話し出すのを待とうと思い、デレがプルタブを引く。
 ほんの少し、舌先で軽く掬うくらいの量のココアを口に含んだ。

 熱と甘みと、ささやかな苦みがじんわりと舌に染み込む。
 ふと空腹を覚えた。もう12時を回っている。

 キュートもケーキも心配だが、それに加えて時間が気になって仕方ない。
 ショボンと約束したのは1時。間に合わなかったらどうしよう。

o川*゚−゚)o「……昨日」

ζ(゚、゚*ζ「うん?」

 不意にキュートが口を開いた。
 視線は缶に向けられている。

o川*゚−゚)o「クックルさんが、車に轢かれて」

ζ(゚、゚;ζ「車!?」

 大丈夫だったのかと訊きそうになったが、思い直し、缶を唇に押し当てた。

 「作家」は、本が燃えるかニュッの傍にいる意味がなくならない限り、死にはしない。
 怪我をしても、すぐに治る。
 昨日、クックルはニュッと共に普通に帰ってきていたようだったし、無事だろう。

473 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:11:00 ID:e6k6/AU2O

o川*゚−゚)o「頭から血がいっぱい出てたし、どう見ても重傷だったんだけど」

ζ(゚、゚;ζ「う、うん……」

o川*゚−゚)o「ニュッ君さんと一緒に、どっか行っちゃった」

 キュートはプルタブに爪を引っ掛けた。
 しかし、開けないままに手を離す。

 ――それから、ぽつぽつと事の顛末を語り始めた。

 迷子の少女と出会ったこと、不可思議な現象が起こったこと、
 ニュッが妙な行動や言動を繰り返していたこと、その後の事故、クックル達の様子。

 話し終える頃には、彼女の声は涙声になっていた。

o川*;−;)o「……目の前であんなことが起きたのに、どうして放置されなきゃいけないの」

ζ(゚、゚;ζ「う、ううーんと……」

o川*;−;)o「リリちゃんなんか、ぽかんとしちゃって……私も何もフォロー出来ないし……。
      結局お互いに釈然としないまま別れたよ……」

 そのリリとかいう少女は、まず間違いなく「主人公」だったのだろう。
 ニュッの行動は、大方、本を回収するためのもの。

 クックルが事故現場から去ったのは、警察や病院の厄介になるのを恐れたか――
 すぐさま怪我が治っていく姿を、キュート達に見せたくなかったか。

474 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:13:19 ID:e6k6/AU2O

o川*;−;)o「……」

ζ(゚、゚;ζ「……えっと」

 今のデレなら全て理解出来るのだが、かといって、どう応対すればいいのやら。

 沈黙が流れる。

 鼻を啜り、キュートはデレから目を逸らした。

o川*;−;)o「――不思議な本って、クックルさんの以外にもあるんだよね?」

ζ(゚、゚;ζ「えっ」

o川*;−;)o「私の顔、変えたみたいに……おかしなことを起こす本。
      クックルさんのやつだけじゃないんでしょ?」

 キュートの言う「おかしなことを起こす本」は、要するに、「生きている本」だ。
 そういうことならば、たしかにクックルの本に限った話ではない。

o川*;−;)o「この間、お姉ちゃんのこと相談しに行ったときにも、
      ……しぃさんっていったっけ、しぃさん、本がどうのこうの言ってたし」

o川*;−;)o「昨日の事故の直前、ニュッ君さんが緑っぽい色の本持ってるの見たし……」

ζ(゚、゚;ζ「う」

475 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:15:46 ID:e6k6/AU2O

o川*;−;)o「……あの図書館、隠し事いっぱいあるよね。
      現実離れした話なんでしょ、どうせ」

ζ(゚、゚;ζ「あ、の、……あのね、……それはですね……」

 鋭いと言うか、何と言うか。
 まあ、それなりに付き合っていれば勘づいてくるようなものなのだろうが。

o川*;−;)o「誰も説明してくれないし、聞かなくても平気そうだったから知らないふりしてたよ。
      ……てっきり、『秘密』って、本に関することだけだと思ってたんだもん」

o川*;−;)o「でも――もしかして、あそこに住んでる人達自体にも、何かあるの?」

 ずばり、その通りだ。
 デレが詰まる。

o川*;−;)o「だってクックルさん変だったの。
      たくさん血が出てたのに、普通に歩いていったんだよ?」

o川*;−;)o「たしかにあの人、体とか大きくて丈夫そうだけど……だからって、
      数秒前まですごく辛そうだったくせに……」

 絶対おかしい、と、キュートが呟く。
 今度はデレの方が俯いてしまった。

 これほどまでに察しているのならば、もしかしたら、
 クックルが普通の人間ではないことを既に確信しているのかもしれない。

476 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:17:23 ID:e6k6/AU2O

o川*;−;)o「……本や図書館に関することなら、隠し事されたって、黙ってられるけどさ。
      クックルさん自身のことなら、知りたくなっちゃうじゃん……」

ζ(゚、゚;ζ「ん……まあ、そうだよね」

o川*;−;)o「デレちゃんは知ってるんでしょ。ずるいよ。
      何でデレちゃんは教えてもらえて、私は駄目なの?
      何で――クックルさんを好きになっちゃいけない理由すら教えてもらえないの?」





o川*;−;)o「……いや、別に好きなわけじゃないけど。好きにならないけど。
      この私があんな筋肉野郎に惚れるわけないけど」

ζ(゚、゚;ζ(キュートちゃん通常運転だった)

477 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:19:15 ID:e6k6/AU2O

o川*;−;)o「――……はあ」

 2人揃って黙り込む。

 デレは手元の缶を、キュートはデレの顔をじっと眺めた。

 そこへ、ドアをノックする音が割り込んだ。
 アサピーが入室する。
 キュートは慌てて涙を拭った。

(-@∀@)「あ、ごめんね、ペン取りに来ただけだから」

 そう言いながら、アサピーは机の上からボールペンを拾い上げた。
 すぐに、そそくさとドアに歩いていく。

(-@∀@)「ごゆっくり」

ζ(゚、゚*ζ「はい。……ありがとうございます、部屋貸してくださって」

(-@∀@)「いえいえ。――ああ、ごゆっくりなんて言っちゃったけど、
      あんまり長居しない方がいいかも。
      そろそろビコーズ先生来ると思うから」

ζ(゚、゚;ζ「びっ、ビコーズ先生?」

 アサピーの右手が、床に置かれた小振りの段ボール箱を指した。
 開いている。真新しい本が入っていた。

478 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:21:19 ID:e6k6/AU2O

(-@∀@)「新しく入れた本、何冊か取り置きしとくように頼まれたんだ。
      多分午後の補習が始まる前には借りに来るんじゃないかな」

 時計を見る。
 3年生が対象だという午後の補習は、何時からだったか。

(-@∀@)「おっとっと、邪魔してごめん。それじゃあね」

 アサピーが司書室を出る。
 デレは、おろおろとあちこちに顔を向けた。

 ビコーズが来てしまっては、まずい。
 今のキュートは私服姿。在校生が特別な理由なく私服で来るのは校則違反だ。
 目敏いビコーズが気付かぬ筈がない。

 場所を移さなければ。

ζ(゚、゚;ζ「……あのう、キュートちゃん……」

o川*゚−゚)o「デレちゃん」

ζ(゚、゚;ζ「はいっ」

o川*゚−゚)o「今日のこれからの予定は?」

ζ(゚、゚;ζ「よ、予定?」

479 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:23:15 ID:e6k6/AU2O

o川*゚−゚)o「図書館には行くの?」

 ――行く。昨日、ニュッと約束したし。

 うん、と小さく頷く。
 すると、キュートが勢いよく立ち上がった。

 缶を開け、ミルクティーを一気に飲み干す。
 いい飲みっぷりだ。ごくごく、豪快な音を立てている。

 空になった缶は、キュートの鞄へしまわれた。

o川*゚−゚)o「行くよ」

ζ(゚、゚;ζ「い、行くって……図書館?」

o川*゚−゚)o「うん。もう直接訊く。
      デレちゃんより可愛い私が、事情を知らされない理由がないもん」

ζ(゚、゚;ζ(可愛さは関係ないと思うけどなあ……)

 だが、その方が手っ取り早いかもしれない。
 いずれにしても、デレの独断で説明するわけにはいかないのだ。

 早くしろと言わんばかりにキュートがデレの腕を引っ張った。
 キュートを真似て、ココアを一気飲みする。
 昇降口に向かう途中の廊下に、空き缶用のごみ箱が置かれていた筈。そこに捨てよう。

480 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:23:21 ID:e0.OJjKI0
今更だけどツンもモナーの魔法が使えたんだな

481 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:24:04 ID:e6k6/AU2O

ζ(>、<;ζ「う、けほっ、けほっ」

o川*゚−゚)o「大丈夫?」

ζ(>、゚;ζ「うん……」

 噎せた。咳き込みながら荷物をまとめ、ドアを開ける。
 カウンターにいたアサピーに声をかけた。

ζ(゚ー゚*ζ「アサピー先生、ありがとうございました」

o川*゚−゚)o「ありがとうございます」

(-@∀@)「もういいの?」

ζ(゚ー゚*ζ「はい!」

 また今度、とアサピーに一礼する。
 顔を上げたデレは、図書室内を見渡した。

 自分もキュートも、ここで「本」を借りていなければ――
 VIP図書館の住人達と出会うことは、恐らく、なかった。

 そう思うと、何だかやけに感慨深かった。



*****

482 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:26:17 ID:e6k6/AU2O


ζ(゚、゚*ζ「ちょっと変な人だけど、気にしないでね」

o川*゚ー゚)o「今更変な人が増えたところで……」

ζ(゚、゚*ζ「うん、まあ、そうなんだけどさ」

 某所。4階建てのビル、その3階。

 「遮木探偵事務所」のプレートを眺め、デレは嘆息した。

 内藤に連絡しておくから先に図書館へ行ったらどうか、というデレの提案に、
 キュートは「1人で勝負する勇気はない」と首を振った。


   ζ(゚、゚*ζ『じゃあ、図書館行く前に私の用事に付き合ってくれる?』

   o川*゚ー゚)o『うん、付き合う付き合う』


 そんな流れで、キュートと一緒に遮木探偵事務所を訪れたのである。

483 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:27:25 ID:e6k6/AU2O

 現在12時55分。
 さっさとケーキを渡してしまいたい。

 が。

ζ(゚、゚*ζ「……何か」

o川*゚ー゚)o「声がするね」

 先程から、ぎゃあぎゃあと騒ぐ声がドアの向こうから聞こえてくる。
 中に入るのが恐い。

 意を決し、デレはノックをしようと手を上げた。

 と、同時。

<ヽ;∀;>「殺されるー!!」

ζ(゚、゚;ζ「わっ!?」

 ドアが開き、男が飛び出してきた。
 何故か泣いている。

 男はデレを目視するなり、腕を伸ばしてしがみついた。

484 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:28:36 ID:e6k6/AU2O

ζ(゚、゚;ζ「ちょっ……!」

<ヽ;∀;>「助けてニダー! 警察! 警察呼ぶニダ!」

o川;゚ー゚)o「なっ、何事!?」

 泣くのはまだしも、胸に顔を埋めるのをやめていただきたい。
 キュートに荷物を預け、両手で男を引っぺがそうと試みる。

 直後、今度は女性が現れた。

(゚A゚* )「今警察呼んだら、ニダやんが痴漢の容疑で捕まってまうわ」

<ヽ;∀;>「にぎゃあ!!」

 女性が「ニダやん」とやらの後頭部をスリッパで殴る。
 「ニダやん」は頭を押さえ、床に転がった。

485 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:28:36 ID:HvC7zc9QO
投下きてる!

ペロペロはお預けか…

486 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:31:19 ID:e6k6/AU2O

<ヽ;∀;>「のーちゃん痛いニダ!」

(´゚ω゚`)「もっと痛い目見せてやろうか? あ?」

<ヽ;∀;>「ひっ」

ζ(゚、゚;ζ「あ」

 ゆらり、不気味に揺れながら事務所から出てきたのは、
 デレの目的の人物である探偵――遮木ショボン。

 「ニダやん」の肩を踏んづける。

(´゚ω゚`)「ただ失敗するだけに留まらず、金……じゃねえや、客まで逃がしやがって……」

<ヽ;∀;>「だってウリ、現在受け持ってる分だけで精一杯で……。
      あっちにまで回す手も気もなかったニダ!!」

(#´゚ω゚`)「仕事ナメてんじゃねえぇえええぞ!!
      お前の都合なんざ知らねえよ、何が何でも依頼は遂行しろ!!
      たとえお前が倒れようと死のうとな!」

o川;゚ー゚)o「これが所謂ブラック……?」

487 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:32:44 ID:e6k6/AU2O

(#´゚ω゚`)「てめえのミスはこれで何度目だ? あ?
      信用第一の商売なんだぞ? どう落とし前つける気だよ。
      阿部の前でストリップショー開催してみるか?」

<ヽ;∀;>「ごめんなさいニダ、ごめんなさいニダ!」

(゚A゚* )「あんまニダやん苛めてやらんとって」

 いい歳をした男が泣きながら謝る姿は無性に物悲しい。
 デレは、ショボンの腕を掴んだ。

ζ(゚、゚;ζ「しょ、ショボンさん、ショボンさん」

(#´゚ω゚`)「あ?」

(´゚ω゚`)

(´・ω・`)「何だ。デレちゃんじゃない」

ζ(゚、゚;ζ「はい、デレです……。
      今朝電話しましたよね」

(´・ω・`)「うん……ああそうか、もう1時か」

 ショボンは白けたような顔をして、こくりと頷いた。
 未だ踏みつけられている「ニダやん」が、ほっと息をつく。

488 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:34:11 ID:e6k6/AU2O

(´・ω・`)「で、何の用なの? また相談事でもあるの?」

ζ(゚、゚;ζ「いえ……ケーキを渡しに。
      あの、お礼、一週間近くも遅れてすみませんでした」

o川;゚ー゚)o「あ。これ?」

 先程デレに押しつけられた紙袋をキュートが差し出すと、
 ショボンは「ニダやん」から足を離し、袋を奪った。
 踵を返す。

(´・ω・`)「もっと遅れたら追加料金取るとこだったよ」

 お茶でも飲んでいきな、とデレの肩を叩いた。
 怒りは収まったようだ。

 起き上がった「ニダやん」とデレの目が合う。

<ヽ;∀;>「……命の恩人ニダぁあああああ!!」

ζ(゚、゚;ζ「わっ! く、苦し……っ!」

(゚A゚* )「だから抱き着くなっちゅうに」



*****

489 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:35:26 ID:e6k6/AU2O

N| "゚'` {"゚`lリ「ほらよ」

ζ(゚、゚*ζ「あ、どうもありがとうございます」

o川*゚ー゚)o「いただきまーす」

 デレとキュートがソファに並んで座る。
 ガラステーブルを挟んだ向かいにはショボン。

 所員の1人である男――阿部という名前だと紹介された――が、
 煎茶の入った湯飲み茶碗を3つ、テーブルに置いた。

 長居する気はない。これを飲んだら図書館に行くとしよう。

<*ヽ`∀´>「女子高生ニダ……。この事務所に女子高生がいるニダ」

(゚A゚* )「この地球の歴史からしたら、10年なんて、差がないようなもんや。
     そう考えればウチかて女子高生やぞ」

<ヽ`∀´>「それは無理があるニダ……」

 「ニダやん」はニダー、スリッパで彼を叩いていた女性はのーというらしい。

 ショボンが紙袋から箱を取り出すと、
 ニダーは鼻をひくひくさせながら箱に顔を近付けた。

490 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:37:47 ID:5TPy9b3g0
ニダーがただの小物じゃない作品は好きだ

491 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:37:48 ID:e6k6/AU2O

<*ヽ`∀´>「さっき、ケーキって言ってたニダ」

ζ(゚ー゚*ζ「いちごのショートケーキです」

(´・ω・`)「どれ……。ん、結構大きいな」

ζ(゚ー゚*ζ「皆さんでどうぞ」

<*ヽ`∀´>「ケーキ! ケーキ! け……ぶべらっ」

(´゚ω゚`)「てめえに食わせるケーキはありませぇえええん」

 ニダーの顔面を足で押しやり、ショボンは箱を紙袋に戻した。
 出来れば味の感想が聞きたかったが、ゆっくり食べる時間がないのかもしれない。

(゚A゚* )「まあまあ所長、一応フォローさせてもらうとな、
     ニダやんもいっぱいいっぱいやったみたいやし……」

N| "゚'` {"゚`lリ「ニダーのキャパシティは軽く超えてたな」

<ヽ;∀;>「のーちゃん、阿部さん、もっと言ってやるニダ!!
      この鬼所長は本当にもう……!」

(´・ω・`)「鬼?」

<ヽ`∀´>「何でもありません」

492 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:40:34 ID:e6k6/AU2O

(゚A゚* )「せめて事務員でも雇えんやろか。
     ウチらは外での仕事のが多いし、ニダやん頭とパソコン使う作業弱いし」

(´・ω・`)「あー……? 面倒くせえな。
      ……デレちゃんバイトしてみない?」

ζ(゚、゚;ζ「いえ……体と心がいくつあっても足りなさそうなので……」

(´・ω・`)「キュートちゃんは?」

o川;゚ー゚)o「デレちゃんに同意しま……あれ? 私名乗ってませんよね?」

(´・ω・`)「お姉さんのクールさんは元気?」

o川;゚ー゚)o「どうして知ってんの!? ストーカーか何かなの!?」

 そういえば、キュートの姉が行方不明になった際に彼女の居場所を突き止めたのはショボンだ。
 下手をするとキュートにまで報酬を要求しかねない。
 デレは、「ああ!」と声をあげた。

ζ(゚、゚;ζ「あのですね!」

(´・ω・`)「何」

ζ(゚、゚;ζ「……えっと」

 あげたはいいが、話題が思いつかなかった。
 笑顔で誤魔化しながら煎茶を飲む。

 そして――重大なことを思い出した。

 考えてみれば、電話ででも何でも、ショボンに真っ先に報告するべきだった。

493 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:42:04 ID:e6k6/AU2O

ζ(゚、゚*ζ「……内藤さんから聞きましたよ、全部」

(´・ω・`)「……」

 ショボンの眉がぴくりと動いた。

 頭を掻き、低い声で唸る。
 ちらちら、所員達とキュートに視線を送っていた。
 詳しく話したいが、外野が気になる――といった様子だ。

 しかしデレの方は、改めて確認や話し合いをするつもりはない。

 ショボンの言いたいことなど聞かずとも分かる。
 内藤や作家達が案じていたものと同じだろう。
 恐くないか、気持ち悪くないか、嫌にならなかったか。そんなところ。

 だから、デレは、にこりと微笑んだ。

ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫ですよ。拒絶も否定も、一切しません」

(´・ω・`)

 ショボンの視点が、デレで止まる。
 数秒間見つめ合い、溜め息をついたショボンが顔を逸らした。

494 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:43:41 ID:e6k6/AU2O

(´-ω-`)「あっそう」

o川*゚ー゚)o「?」

<ヽ`∀´>「何の話ニカ?」

(´・ω・`)「口を開くな無能」

<ヽ;∀;>「ニダァンッ!」

(゚A゚* )「所長、さっきから蹴りすぎ蹴りすぎ」

N| "゚'` {"゚`lリ「悪いな、見苦しいもんを」

o川;゚ー゚)o「あ、大丈夫です、はい」

 友人である内藤、内藤の従兄弟のニュッ。
 そして彼らの家族とも言えるツンと作家。
 昔からの付き合いがある分、情も移っているのだろう。

 自分勝手で自己中心的な振る舞いが目立つショボンだが、
 彼の根底には、それなりの優しさが存在している。
 きっと。多分。恐らく。そうだったらいいな。

495 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:45:12 ID:e6k6/AU2O

ζ(゚ー゚*ζ

 再び煎茶を含みながら、デレは笑みを深くした。
 皆のことは好きだ。
 もっともっと仲良く出来たらいい。

 ただ、キュートは全てを受け入れられるだろうか。
 彼女は――拒絶するだろうか。否定するだろうか。

 一抹の不安はあるが、それでも、何とかなりそうな気がした。



*****

496 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:46:55 ID:e6k6/AU2O



( ‐ω‐)

 ――真っ白な空間の中に、ドアが一つ。

 そこに横たわる内藤。
 胸の上で両手を組み、目を閉じている様は、死人に似ている。

 彼の傍に、これまた真っ白な机があった。
 文机程度の低いものだ。

 その机の前で横座りをし、何か書き物をしている少女。
 彼女は金色のペンを握る手を止めると、空いている方の手で、
 隣に眠る内藤の頬をするりと撫でた。

 それに呼応するように、内藤の口がもごもごと動く。
 不明瞭な寝言が漏れた。

ξ゚听)ξ「……」

 少女――ツンが、内藤にしなだれかかる。
 目を伏せて、彼の額に自分の頬を擦りつけた。

ξ--)ξ「……ブーン」



*****

497 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:52:14 ID:e6k6/AU2O


 フェンスに掛かる錠前に鍵を差し込み、捻る。
 かちりと硬質な音が鳴ると共に錠が開いた。

ζ(゚、゚*ζ「行こっか」

o川*゚ー゚)o「……うん」

 デレはフェンスを見上げた。
 高い。上部には有刺鉄線。

 少し、寂しく思えた。

 内藤モナーが、あのような形で亡くならなければ。
 本が勝手に売り払われなければ。

 ここは開放され、図書館は図書館として機能し、誰の訪問も自由に受け入れていただろうに。

ζ(゚、゚*ζ(……もう、図書館を開く気はないのかな……)

 無理な話だとは思えない。
 昨日の大掃除。あれで、本棚は――さすがに全てとは言わないまでも――かなり埋まった筈だ。
 形だけは整えられただろう。

 まあ、こんなこと、デレの口出しが許される問題ではないか。

498 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:53:16 ID:e6k6/AU2O

o川*゚ー゚)o「……デレちゃん?」

ζ(゚ー゚*ζ「え……あっ、ごめん、ちょっと考えごとしてた」

 キュートの声で我に返る。

 苦笑しながら謝り、デレはフェンスを開けた。



ζ(゚ー゚*ζ「――……へ……」

 手から、鍵と南京錠が落ちる。

 口元が引き攣った。



.

499 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:54:44 ID:e6k6/AU2O

ζ(゚ー゚;ζ「……?」

 フェンスを閉め、デレは目を凝らした。

 粗い網目の向こうには、所々を雪に覆われた木々と道。
 見慣れた光景だ。

o川*゚ー゚)o「ねえデレちゃん」

ζ(゚ー゚;ζ「うん?」

o川*゚ー゚)o「何か今、変なの見えた」

ζ(゚ー゚;ζ「……だよね!?」

 幻覚ではない。

 デレは、再びフェンスを開けた。

500 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 19:58:31 ID:e6k6/AU2O

ζ(゚ー゚;ζ「……」

o川;゚ー゚)o「……何これ」


 ――そこは、もう、「外」ではなかった。


 真っ直ぐに伸びる、50メートルほどの廊下。
 向こうには扉がある。

 左右を壁に挟まれた廊下の幅は、5人並べるかどうかという広さだ。
 床には深緑色の絨毯。
 天井から等間隔に吊るされた電球が、柔らかな光を注いでいる。

 そして――絨毯の上に倒れている男。

 あれは。

ζ(゚、゚;ζ「……ニュッさん!!」

 男の名を呼び、デレが駆け寄った。
 この状況の不可解さを考えるより先に、ニュッの無事を確認したかった。

 膝をつく。何か硬いものが足に当たった。
 携帯電話だ。

501 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:04:16 ID:e6k6/AU2O

( ‐ν‐)

ζ(゚、゚;ζ「ニュッさん、大丈夫ですか? ニュッさん!」

 上半身を抱え起こし、ニュッの頬を叩く。
 反応がない。

o川;゚ー゚)o「……ニュッ君さーん」

 恐々近付いてきたキュートも声をかける。

 ――きい、と、何かの軋む音が後方から鳴った。
 はっとして、2人が振り返る。

ζ(゚、゚;ζ「あ……」

 フェンスが、ひとりでに閉じていく。
 止める間もなく、ぴったりと入口が閉まるや否や、
 すうっと溶けるように消えてしまった。

 代わりに、そこに壁が現れる。
 まるで、初めから「入口」など存在しなかったかのように。

o川;゚ー゚)o「ちょっ……嘘!」

 キュートが走り寄り、何度も壁を叩いた。
 開く気配も、壁が消える気配もない。

502 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:05:37 ID:e6k6/AU2O

( ‐ν‐)「……」

ζ(゚、゚;ζ「……ニュッさん」

 ニュッが、身じろぎした。
 眩しそうに眉根を寄せながらデレを見上げる。

( ^ν^)

ζ(゚、゚;ζ「一体どうし――おばまっ!!」

 顔を近付けた瞬間、突き飛ばされた。
 壁に頭をしたたか打ちつける。目の前を星が飛んだ。

ζ(;、;*ζ「いっ……痛いじゃないですか! 馬鹿になったらどうしてくれるんです!?」

( ^ν^)「もう既に馬鹿だから安心しろ」

 言いながら、ニュッがキュートを一瞥した。

 顔を顰め、舌打ち。

( ^"ν^)「……お前何で出なかったんだ」

ζ(゚、゚;ζ「え」

( ^"ν^)「電話」

ζ(゚、゚;ζ「……ああ、あれ。補習中だったんです」

 デレの答えに、ニュッは深く溜め息をついた。
 くそ、などと呟き、傍らの携帯電話を拾い上げる。
 倒れていた割に元気そうだ。デレは、少しだけ安心した。

503 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:08:59 ID:e6k6/AU2O

( ^ν^)「来んなって言おうとしたのに」

ζ(゚、゚*ζ「どうして?」

(#^ν^)「この状況見て分かるだろうが!」

ζ(゚、゚;ζ「ひゃっ!」

 急に怒鳴られ、デレは肩を跳ねさせた。
 壁に寄りかかる。

(#^ν^)「……何でここにいるんだよ、お前。どっから入ってきた」

ζ(゚、゚;ζ「ふぇっ、フェンス開けたら、ここに繋がってました」

(#^ν^)「じゃあ一目でおかしいの分かるだろ、何で入ってきてんだよ!
       お前いっつも警戒心ってもんが――」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、はい……」

(#^ν^)「笑ってんじゃねえよ……」

ζ(゚ε゚;ζ「ごべっ、ごべんなさっ、やめて、この顔恥ずかしいやめて」

 いつぞやのように顔面を鷲掴みにされた。ニュッの手を爪で引っ掻いて抗議する。
 お年頃の乙女にとって、これは割と精神的なダメージが大きい。
 デレは解放された頬を両手で押さえた。

504 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:12:12 ID:e6k6/AU2O

ζ(゚、゚∩ζ「すみません、叩かれたり意地悪言われたりは散々しましたけど、
       ああやって怒るニュッさん見るのは初めてだなあと思いまして……」

( ^ν^)「お前の不用心さに呆れてんだよ」

ζ(゚、゚*ζ「……心配してるって素直に言えばいいじゃないですか」

( ^"ν^)

ζ(゚ε゚;ζ「ごめんなさい、ごめんなさい、本当にごべんばばい」

o川;゚ー゚)o「ニュッ君さん起きた? 喧嘩してる場合じゃないよ」

 キュートが駆けてくる。壁の方は諦めたらしい。
 ニュッの前にしゃがみ込み、キュートは床を指差した。

o川;゚ー゚)o「ねえニュッ君さん、これ、どういうこと?
      ……また、何かの本がやらかしたの?」

( ^ν^)「……察しがよろしいことで」


.

505 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:13:20 ID:e6k6/AU2O

 溜め息を零したニュッは、一部始終を話し出した。


 ――朝、彼が目覚めたときには、普通だったという。

 いつものように皆で朝食をとり、その後、1階へと下りる。
 そして、昨日の大掃除の際に移動させていた本の整理を始めた。

 ニュッは、面倒だったので逃げるように図書館を出たそうだ。協調性の欠片もない。

 彼がフェンスの前へ辿り着いた直後に、異変は起こる。

 突然、辺りが真っ白な色に塗り潰されたのだ。

506 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:15:44 ID:e6k6/AU2O

( ^ν^)「何が起きたか分かんなかったけど――まあ、本の仕業だろうな」 


 掃除以上に厄介な事態になったとげんなりしたのと同時に、
 再び周囲の光景に変化が生じた。

 扉が現れ、壁が現れ、絨毯が現れる。

 咄嗟にデレのことを思い出したニュッは、携帯電話を手にした。


ζ(゚、゚;ζ「……それで、私に図書館に来るなって言おうとしたわけですね」

( ^ν^)「ニュッさんの厚意も虚しく、デレちゃんは電話を無視してくれやがったがな。
       ――もう一度掛けようとしたが、携帯、使えなくなってた」

o川*゚ー゚)o「壊れたの?」

 無言でキュートに携帯電話を手渡した。
 キュートが、受け取ったそれを慎重に眺める。デレも横から覗き込んだ。

 圏外だ。
 さらに、どのボタンを押しても無反応ときた。

ζ(゚、゚;ζ「……あらー……」

( ^ν^)「お前らの携帯もこんな感じになってると思うぞ」

o川;゚ー゚)o「ええっ!」

507 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:20:08 ID:e6k6/AU2O

 急いで確かめてみる。
 圏外、無反応。
 ニュッのものと、まったく同じ状態になっていた。

o川;゚ー゚)o「これじゃ、外に助け求めることすら出来ないじゃん……」

ζ(゚、゚;ζ「助けを求めたところで、どうにかなるか怪しいけどね……。
      ……どうして倒れてたんですか、ニュッさんは」

( ^ν^)「さあ。……お前らが来るまでの時間、眠らされたみたいだな」

o川;゚ー゚)o「で、私達が来て、ニュッ君さんが目覚めて、今に至る、ね」

ζ(゚、゚*ζ「ニュッさん、倒れた拍子に怪我とかしてません? 大丈夫ですか?
      どこか痛むところとか――」

o川;゚ー゚)o「……怪我!!」

 唐突にキュートが叫んだ。
 ニュッに掴みかからん勢いで詰め寄る。
 対するニュッは一瞬口元をひくつかせ、僅かに上体を後ろに反らせた。

508 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:22:12 ID:e6k6/AU2O

o川;゚ー゚)o「クックルさんは!?」

( ^ν^)「……質問の範囲が広すぎる」

o川;゚ー゚)o「……昨日の事故の怪我は? 元気なの?
      元気なら――今、どこにいるの!? 会える!?」

 矢継ぎ早に質問を浴びせかけるキュートの顔を押しのけ、ニュッはデレを睨んだ。
 助けを求めているのだろうか。
 デレがキュートの腕を引っ張り、ニュッから離す。

ζ(゚、゚;ζ「……あの、キュートちゃんがですね、作家さん……というか
      クックルさんの、その、何と言いますか。
      色々……――私が内藤さんから聞いたのと同じこと知りたいそうで」

 それで一緒に来たんです、と付け足す。

 ニュッは気怠そうに顔を歪め、腰を上げた。

( ^ν^)「……その辺は、『これ』が全部終わってから兄ちゃんに訊け。
       とりあえずクックルは元気だ。どこにいるかは分かんねえ」

 答えを聞いたキュートは息を吐き出した。
 その表情は、ひどく複雑だ。
 クックルが無事であることに安堵しつつも、それ自体に納得していないのだろう。

 デレは、ニュッに続いて立ち上がった。

509 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:23:50 ID:e6k6/AU2O

ζ(゚、゚*ζ「どんな本なんですか、これって」

( ^ν^)「今の段階で絞り込むのは難しいな。
       本も見当たんねえし」

ζ(゚、゚*ζ「ふむ」

ζ(゚、゚;ζ「――って、キュートちゃんの前ですけど、
      そういうのべらべら喋っていいんですか?」

( ^ν^)「どうせ大体分かってんだろ、さっきの発言からするに」

 ニュッが、しゃがんだままのキュートに首を捩じ向ける。
 キュートは「多分だけど」と頷いた。

o川*゚ー゚)o「本の内容が現実に干渉してくるんでしょ」

( ^ν^)「まあ、そういう解釈でいい。
       やっぱデレよりは賢いな」

 皮肉っぽく笑って、ニュッは歩き出した。
 向かう先は、廊下の奥にある扉。

 デレとキュートも後を追う。

510 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:25:57 ID:e6k6/AU2O

ζ(゚、゚;ζ「……ニュッさんは定期的に私に嫌味を言わないと気が済まないんですか」

( ^ν^)「褒めるところがないから、お前について喋ると必然的に嫌味っぽくなるんだ」

ζ(゚、゚#ζ「それ! そういうところ嫌味ったらしいったらありません!」

o川*゚ー゚)o「ねえデレちゃん、昨日も気になったんだけどさ……。
      何でニュッ君さんを『いい人』って言い切れるの。この有り様で」

ζ(゚、゚;ζ「え? だって優しいもん……たまにだけど……」

o川;゚ー゚)o「それDV夫と同じ手口じゃないの? 大丈夫なの?」

( ^ν^)「人聞き悪すぎるんですけど」

 話している内に、扉の前に着いた。
 木製の両開き。何の変哲もない作りだ。

 その脇に固定されている立て札。
 蚯蚓がのたくったような曲線が書かれている。

511 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:28:38 ID:e6k6/AU2O

ζ(゚、゚*ζ「……英語ですかね? えっと、える……あい?」

( ^ν^)「『ライブラリー』くらい、すっと読めてくれませんかねデレさん」

o川*゚ー゚)o「デレちゃん……」

ζ(゚、゚;ζ「ひっ、筆記体に慣れてないだけだもん!
      ゆっくり考えればちゃんと読めるもん!」

( ^ν^)「じゃあライブラリーの意味分かるか?」

ζ(゚、゚;ζ「と、……としょか、……ん?」

o川*゚ー゚)o「うわあ、すごく自信なさそう……」

ζ(゚、゚;ζ「とにかく! ……この扉、開くんですか?」

( ^ν^)「……んー」

 ニュッが取っ手を引いたり押したり、たまにノックをしてみたりと何度か挑戦したが、
 扉が開くことも、向こうから返事が来ることもなかった。

( ^ν^)「開かねえな」

o川*゚ー゚)o「扉は開かない、出口もない。……どうしようもないね」

512 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:31:50 ID:e6k6/AU2O

ζ(゚、゚;ζ「何とかして、演じさせてる本を特定出来ませんか?
      そしたら打開策も見付けられるかも……」

( ^ν^)「図書館が舞台の話なんて、いくつもあるしな。
       主人公が誰かも分かんねえから、どうにも。
       今の俺に出来るのはデレを馬鹿にして遊ぶことぐらいだ」

ζ(゚、゚;ζ「もっと他にあるでしょ出来ること!!」

o川*゚ー゚)o「仲いいね2人共」



*****

513 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:32:28 ID:e6k6/AU2O
すみません、ちょっと10分か15分くらい休憩します

514 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:34:47 ID:wNBEA9Jo0
待ってる

515 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:35:06 ID:5TPy9b3g0
ゆっくり休んで、どうぞ

516 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:37:42 ID:ano1f01Y0
風邪ひいて寝込んでたら投下きてた!!

>>1さんゆったりまったりでいいですよー(´ω`*)

517 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:38:39 ID:Nvy7bMGIO
支援だぃ

518 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:45:15 ID:e6k6/AU2O



( ´∀`)『まあ、面白くないことも、ないと思うモナ』

ξ;*゚听)ξ『……そ、そう……』

 ――ある日の夜。モナーの部屋。

 ツンが書いた小説を、モナーがぽんぽんと叩く。
 彼と向かい合う形で立っているツンは、小さな喜びと大きな恥ずかしさに顔を真っ赤にさせ、
 俯き気味にモナーの感想を聞いていた。

( ´∀`)『この――登場人物のモデルは』

ξ;*><)ξ『わー! やめて! 言わないで!!』

 耳を塞ぎ、見悶える。
 モナーの言いたいことは充分理解している。

 やはり、あからさますぎただろうか。
 ニュッにもバレていたようだったし。

 ――ということは、自分が「彼」をどう思っているのかも知られてしまったわけだ。

519 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:47:33 ID:e6k6/AU2O

ξ;////)ξ『あうあうあ』

( ´∀`)『今更「バレちゃった」みたいなリアクションされても……』

ξ;////)ξ『うあ?』

( ´∀`)『何でもないモナ。
       ……これ、ニュッ――じゃなくて、主人公。主人公の仲間が3人いるモナが』

ξ;*゚听)ξ『は、はい』

( ´∀`)『1人は誰だか分かったけど、あとの2人のモデルが分からんモナ』

ξ;*゚听)ξ『あ……それは、モデル、いないの。
       男2人だけより、女の子もいた方が……いいかなって』

( ´∀`)『なるほどなるほど。まあ、たしかに、あの2人だけでの冒険なんて
       ろくなものにならなそうだモナね。……で、ツン』

ξ;*゚听)ξ『何?』

520 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:49:53 ID:e6k6/AU2O

( ´∀`)『結末は、これでいいモナ?』

 モナーの親指が、タイトルをなぞる。

 ツンは口を開き、閉じて、また開いた。

ξ゚听)ξ『……駄目だった?』

( ´∀`)『いや。悪くはないモナ。物語としては』

ξ゚ー゚)ξ『そう? 良かった。書いてたら自然とそうなったの』

 微笑む。
 どうして笑ったのか、自分でも分からなかった。
 モナーに褒められたからだと思ったが、何だか納得がいかない。

 このとき胸に沸き上がった感情は、笑みとは無縁なものだった。
 なのに、何故、口角が上がったのだろう。
 自分は特に気にしていないのだ、とモナーを騙そうとしたのかもしれない。

( ´∀`)『……本当に、いいモナね』

ξ゚ー゚)ξ『うん』

521 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:50:40 ID:e6k6/AU2O

 モナーが、人差し指を表紙の中心に当てた。
 間をあけて、ぐるりと指先で円を描く。

( ´∀`)『――僕は、この話、好きだモナ』

 返された本を抱えた。
 暖かみというか、妙な存在感がある。

 本に命が与えられたのだ。

 これが、モナーにとって最大の称賛らしい。

( ´∀`)『また、何か新しい話を書くモナ? それならノートを用意するモナが』

ξ゚听)ξ『ううん。……やっぱり、これはデミタス達の仕事だわ』

 苦笑して右手を振る。
 残念がるモナーに「おやすみなさい」と告げ、ツンは部屋を出た。

 本に目を落とす。
 ニュッにもう一度渡すのは恥ずかしい。
 自分で保管しておくことにしよう。



*****

522 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:53:04 ID:e6k6/AU2O


 白い部屋。
 かりかりと響いていたペンの音が止む。

 ツンが溜め息をつくと同時に、内藤の目がうっすらと開いた。

( ^ω‐)「お……」

ξ゚听)ξ「……おはよう」

( ^ω^)「おー……」

 顔だけをツンに向け、内藤は、首を傾げた。
 へらりと笑う。

( ^ω^)「魔女さん」

ξ゚听)ξ「……ええ」

( ^ω^)「お久しぶりですお。この間のお祭り以来かお」

ξ゚听)ξ「そうね」

( ^ω^)「ところで、ここはどこだお?」

ξ゚听)ξ「あなたの部屋よ」

523 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:54:55 ID:e6k6/AU2O

( ^ω^)「僕の部屋は、こんな寂しいところじゃないお。
       柔らかいベッドがあって……」

ξ゚听)ξ「柔らかいでしょう?」

( ^ω^)「お……」

 内藤は寝転がったまま、足に力を込めた。
 踵が、ふんわりと沈み込む。

( ^ω^)「柔らかいお」

ξ゚听)ξ「でしょう。だから、あなたの部屋なのよ」

( ^ω^)「そうなのかお」

ξ゚听)ξ「ええ。……まだ眠いでしょう。おやすみなさい」

 ツンが内藤の目元を掌で覆った。
 いち、と囁く。

 ――に、さん。

( ‐ω‐)

 手を離すと、内藤は静かに寝入っていた。

524 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 20:59:17 ID:e6k6/AU2O

ξ゚听)ξ「……」


 物語が、進展した。
 どうやら役者が揃ったようだ。


 ツンはペンを口元へ持っていき、力を込めずに軽く噛んだ。


 ――早く、ここまで来い。



*****

525 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:00:13 ID:e0.OJjKI0
ツンの変貌が怖い支援

526 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:00:44 ID:e6k6/AU2O


(´・ω・`)「嫌だね」

 開け放した入り口に凭れかかり、ショボンは吐き捨てた。

ζ(゚、゚;ζ「だって……このままじゃ終わらないんですもん」

(´・ω・`)「僕以外の誰かに頼めよ」

ζ(゚、゚;ζ「頼むって、誰にですか!」

(´・ω・`)「だから僕以外の誰かだってば」

 ――数分前。
 突然、デレとキュートがやって来たときと同様にフェンスの入口が開いた。
 すわ何事かと驚いていると、そこに立っていたのはショボン。

 デレ達が事務所を出た後、ニュッに用があるのを思い出したので
 図書館に来たのだそうだ。

   (´・ω・`)『フェンスの鍵が落ちてたから、何かあったのかとは思ったけど……。
         面倒臭そうだねえ。ああ面倒臭そうだ』

 ショボンはデレほど軽率ではない。
 中に入らないまま、状況の説明を要求してきた。

 ニュッから事情を聞いた後のショボンの煩わしそうな顔ときたら。

 だが、ニュッが続けて述べた推論に、その表情は更に色濃いものとなる。

527 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:03:38 ID:e6k6/AU2O

 いわく、物語を進めるためにはショボンが必要である、と。

 もしも物語にとってショボンがいらない存在であるなら、
 彼がフェンスを開けたときにこの空間へ繋ぐことはないだろう、というのが根拠らしい。

 ならば是非ともショボンに協力を願いたいと言い出したデレの提案を
 躊躇なく無慈悲に切り捨てたのが、先の「嫌だね」の一言である。


o川*゚ー゚)o「ていうかさ、私のときみたいに、台詞読んで終わらせられないの?」

( ^ν^)「本が見付からねえんだから読みようがねえだろ。
       第一……ここまで現実に干渉してきてるとなると、朗読じゃ収まんねえよ」

ζ(゚、゚;ζ「あ……」

 ――本と現実が「混ざっている」状態なのだ。

 もはや、演じる演じないの域を越え、ここは、本の世界そのものになっている。

(´・ω・`)「そこなんだよね。
      もしも僕が危険な目に遭うような展開があったら、と思うとなあ。
      たとえばハローやデミタスが書いた話なら、絶対関わりたくないし」

528 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:05:01 ID:e6k6/AU2O

( ^ν^)「……そいつらじゃねえよ、多分」

(´・ω・`)「うん?」

( ^ν^)「今やっと気付いた。ツンの本だ」

ζ(゚、゚*ζ「ツンちゃん?」

( ^ν^)「図書館が舞台で、男女4人が必要ってことになると、ほぼ間違いない。
       だとすりゃ『主人公』は俺だ。……本はどっかに隠れてやがんな」

o川*゚ー゚)o「へえ、ツンちゃんも小説書くんだ」

( ^ν^)「これ以外に書いたのは見たことねえけど。
       ……っつうか、あの本、生きてたのか」

ζ(゚、゚*ζ「どういう話なんですか?」

 ニュッの服の袖を引く。

 すぐに答えが返ってくると予想していたが、ニュッは口ごもり、
 そっぽを向いてしまった。

529 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:11:47 ID:e6k6/AU2O

ζ(゚、゚*ζ「ニュッさん?」

( ^ν^)「……分かんねえ」

ζ(゚、゚*ζ「……え?」

( ^ν^)「ろくに覚えてない」

 沈黙。硬直。

 デレの頬が僅かに痙攣するる。

ζ(゚、゚;ζ「ちょっ……今まで、どんな本でも訊かれたらべらべら答えてたじゃないですか!
      ここに来て役立たずになるとかやめてくださいよ!」

( ^ν^)「昔に一回こっきり読んだだけなんだから仕方ねえだろ……。
       他の本は何べんも読み返してたから覚えてるけど」

ζ(゚、゚;ζ「何でこの本に限って読み返してないんですか!」

( ^ν^)「ツンが持ってったままだったんだよ」

(´・ω・`)「どうでもいいけど、『役立たず』ってデレちゃん随分な言い草だよね」

( ^ν^)「本当だ死ね」

ζ(゚、゚;ζ「いやちょっと口が滑って……あれ、おかしいな、
      この2人の方がよっぽど私に酷いこと言ってくるのに何で私だけ責められるんだろう」

530 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:13:32 ID:e6k6/AU2O

 参った。
 これでは、展開を見越しての対策や心構えも出来ない。

(´・ω・`)「……ま、そういうことなら、やっぱり僕は遠慮させてもらうよ。
      何が起きるか分からないんじゃあね」

ζ(゚、゚;ζ「ショボンさあん……」

o川*゚ー゚)o「でもさ、まさか死ぬわけじゃあるまいし――」

ζ(゚、゚;ζ「……いや……あのね、キュートちゃん。
      展開によっては死んじゃう可能性もあるよ」

o川*゚ー゚)o

o川*゚ー゚)o「またまたご冗談を」

ζ(゚、゚;ζ「冗談じゃないもん……。私も死にかけたし」

o川*゚ー゚)o

o川*゚ー゚)o「帰っていい?」

( ^ν^)「帰れ」

o川;゚ー゚)o「あいたっ!!」

 ニュッの手が、キュートとデレの背中を順番に押しやった。
 ショボンにぶつかったキュートが怒りながら振り返る。

531 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:15:07 ID:e6k6/AU2O

o川#゚ー゚)o「女の子に何すんのっ!」

( ^ν^)「いいから帰れよ」

o川#゚ー゚)o「はあ!?」

(´・ω・`)「『今なら外に出られるから、恐いなら早く帰りなさいお嬢さん』って意味だよ」

o川*゚ー゚)o「……分かりづらすぎ」

ζ(゚ー゚*ζ「ほらニュッさん優しいでしょ!」

o川*゚ー゚)o「何でデレちゃんが誇らしげなの」

( ^ν^)「いや、単純に、うるさくて邪魔だから帰ってほしい……」

o川;゚ー゚)o「言ってるそばからこんなこと仰ってるけど!?」

532 名前:>529 デレの頬が僅かに痙攣するる→ デレの頬が僅かに痙攣する:2011/10/03(月) 21:21:46 ID:e6k6/AU2O

 しかし、たしかに、帰るなら今の内だ。
 ショボンのおかげで入口は開いている。

ζ(゚、゚*ζ「……キュートちゃん、どうする?」

o川*゚ー゚)o「どうするって」

ζ(゚、゚*ζ「私は残るけど……」

 ちらりとニュッの顔を窺う。
 思いきり睨まれた。たじろぐ。

( ^ν^)「お前馬鹿じゃねえのか」

ζ(゚、゚*ζ「ご存知の通り馬鹿ですよ」

 ツン達を無視して帰れるものか。

 主張するため、ニュッの服を力強く掴む。
 振り払おうとしたのかニュッが腕を上げかけたが、すぐにそろそろと下ろした。
 馬鹿、と小声で貶される。もはや慣れてきたのが情けない。

o川*゚−゚)o「……私も残る」

 キュートへ顔を向けると、彼女は腕を組んで言い放った。
 若干不服そうな表情ではあるが。

o川*゚−゚)o「『可愛い女の子』は健気なのが基本だからね。
      出来る限りの協力はするよ」

533 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:24:02 ID:cOjnFHNs0
ツン以上のツンデレだなニュっさん
支援

534 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:25:06 ID:e6k6/AU2O

 クックルさんがどんな面白いことになってるか興味あるし。
 取って付けたような一言を零し、キュートが口を閉じる。

 デレはショボンを見た。

(´・ω・`)「何」

ζ(゚ー゚*ζ「……こう、流れで……『なら僕も行こう』みたいな、そういう」

(´・ω・`)「……」

ζ(゚ー゚;ζ「あ、いえ……何でもないです……」

 大変冷ややかな視線を注がれた。
 居た堪れなくて目を逸らす。

 自分なんかよりも、ショボンの方が頼りになる。出来れば手伝ってほしい。
 だが、これ以上お願いしたところで無駄だろう。

 デレがもじもじしていると、ショボンは長々と溜め息をついた。

(´・ω・`)「……ここに来る前にさあ、我慢出来なくて、ケーキ一口食べてきたよ」

ζ(゚、゚*ζ「――はあ」

535 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:26:28 ID:4g1OwxGs0
キュートも相当のツンデレだな
大好きだ支援

536 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:28:28 ID:Y69Kv09IO
ニュ×デレもいいけどショボ×デレもアリだな

537 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:29:19 ID:LuE4hUKYO
此処はツンデレの多い図書館ですね

538 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:29:42 ID:e6k6/AU2O

(´・ω・`)「美味しかった。あの味と大きさなら、5000円までは出せる」

ζ(゚、゚*ζ「ごせんえん……」

 素人が作ったものだし、せいぜい、行っても2000円くらいが妥当なところに思える。
 意外にも高評価だ。

 で、それが何だというのだろう。

(´・ω・`)「けど、僕が請求した乗車賃は500円だ」

 やれやれ、と肩を竦め、ショボンは入口を潜った。

 フェンスが閉まる。
 間もなく、そこは、ただの壁へと変化した。

(´・ω・`)「過払いの4500円分、働いてやろうじゃないか」

ζ(゚ー゚*ζ「……何て素直になれない人間の集まりなんでしょうねえ」

(´・ω・`)「うるさいよ」

 ショボンの右手を両手で握りしめる。
 対するショボンは、もう片方の手でデレを小突き、ニュッに向き直った。

539 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:29:54 ID:cOjnFHNs0
ニュ×デレ←ショボとかまじ俺得

540 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:31:44 ID:qsLqePmo0
なんだ来てるじゃねえか
せっかく尻を弄べると思ったのに……
しょうがないからこの滾ったエネルギーを支援に向けてやるよ しょうがなく、な

541 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:32:00 ID:e6k6/AU2O

(´・ω・`)「ニュッ君、覚えてる限りでいいから、中身について教えてくんない?」

( ^ν^)「教えられるほどの記憶がねえんだよ、本当に。
       とりあえず、俺とか兄ちゃんとか……
       みんなが登場人物のモデルになってたのは覚えてる」

( ^ν^)「ショボンがモデルっぽいキャラもいた。
       俺の――っつか、『主人公』の仲間って役で」

(´・ω・`)「へえ、そうなんだ。じゃあ、僕が僕の役をやらされるわけか」

 愉快そうに笑うショボン。
 しかし、徐々に笑みが消え、眉間に皺が寄っていった。

(´・ω・`)「……」

ζ(゚、゚*ζ「どうしました?」

(´・ω・`)「やられた」

o川*゚ー゚)o「……何がです?」

 ショボンの声のトーンが下がる。
 舌打ちをすると共に眼光が鋭くなり、不機嫌さが滲み出た。

 思わずデレが後ずさる。

542 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:35:11 ID:e6k6/AU2O

(´・ω・`)「僕はニュッ君に用があってここに来たって言ったよね」

ζ(゚、゚;ζ「は、はい、言ってました」

(´・ω・`)「ないよ用事なんか。……畜生」

o川;゚ー゚)o「え? え?」

(´・ω・`)「用があると思い込まされたんだ。
      ……ふっざけんなよ本の分際で……」

ζ(゚、゚;ζ

ζ(゚、゚;ζ「つまり――ショボンさん、まんまと本に誘き寄せられたんですか」

 ショボンは、デレのこめかみに手刀をぶち込んだ。



*****

543 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:37:10 ID:e6k6/AU2O


(´・ω・`)「確認をしよう」

 扉に寄りかかったショボンが、頭を掻いた。
 その向かいで、デレは涙目になりながらこめかみを擦っている。

(´・ω・`)「ブーン、もとい青年に恋をしたツン……魔女は、
      何とかして青年を独占したいと考える。
      そして青年を攫い、」

 言葉の途中で扉を横目で見る。
 手の甲で、こつんと叩いた。

(´・ω・`)「魔法使いの国の中で一番大きな図書館へと逃げ込む。
      強引な『逃避行』のために」

o川*゚ー゚)o「……で、青年の家族である主人公が、青年を取り返そうと、
      仲間と一緒に図書館へ乗り込みました、と。
      ニュッ君さんが思い出せたのは、ここまでだね」

 ね、とキュートがニュッに視線を向ける。
 必死に記憶を絞り出したニュッは、頭を押さえながら浅く頷いた。

544 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:42:41 ID:c6rLNZtA0
最終話とか信じられない支援

545 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:42:49 ID:e6k6/AU2O

( ^ν^)「たしか、……魔法使いの国の図書館だけあって、
       普通の図書館じゃねえんだよ」

o川*゚ー゚)o「まあ、逃避行の行き先にされるくらいだから、何かあるんだろうね。
      普通の図書館じゃ逃避行のしようがないもん」

ζ(゚、゚*ζ「魔法使いかあ……ファンタジーですねえ」

(´・ω・`)「不思議なお話なんて、現実で充分味わってきたよ。食傷気味だ」

 ショボンが首を振る。
 デレが苦笑を返すと、キュートが一歩前に出た。

o川*゚ー゚)o「……ほら、さっさと行きましょうよ。仲間も揃ったし、もう開くでしょ」

ζ(゚、゚*ζ「キュートちゃん積極的だね」

o川*゚ー゚)o「早く終わらせて、早く内藤さんからクックルさん達の話を聞きたいの」

(´・ω・`)「おやまあ、こんな状況で首を突っ込みたがる子がデレちゃん以外にもいるとはね」

 ショボンは、邪魔くさい、と呟いて、トレンチコートを脱ぎ捨てた。
 鞄も放り投げる。

 暖房は見当たらないが、ここは充分に暖かい。
 デレ達も防寒着を脱いでいくことにした。
 なるべく動きやすい格好の方がいいかもしれない。

546 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:44:28 ID:e6k6/AU2O

 丁寧に折り畳んだコートと鞄を廊下の隅に寄せたデレは、
 制服をぱたぱたと叩きながらキュートに問い掛けた。

ζ(゚、゚*ζ「キュートちゃん、それ持ってくの?」

o川*゚ー゚)o「ん? ……うん、一応」

 キュートは鞄を持ったままだ。
 意味ありげに鞄を見下ろし、首肯する。

(´・ω・`)「さて、行くか」

( ^ν^)「ん」

 ニュッが扉に触れた。
 これで開かなかったら、どうしよう。
 デレは深呼吸をして、ニュッの手元を注視した。

 向こう側へ、取っ手が押される。

 ぎい、と、扉が呻いた。

o川*゚ー゚)o「開いた」

 キュートがデレの傍に寄り、制服を握る。
 先程は乗り気のような振る舞いをしていたが、やはり不安なのだろう。

 デレだって、少し――恐い。

547 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:45:50 ID:NlJpuFNgO
最終話かあ……。
名残惜しいが致し方ない。
今はただ支援しよう。

548 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:46:16 ID:e6k6/AU2O

( ^ν^)「デレ」

ζ(゚、゚*ζ「……はい」

 開いていく扉についていく形で、ニュッが歩き出す。

 呼ばれるままに返事をして、デレは慌ててニュッを追った。
 デレから手を離したキュートが、ごくり、喉を鳴らす。

(´・ω・`)「さあ、キュートちゃん」

o川*゚ー゚)o「はーい……」



*****

549 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:47:46 ID:e6k6/AU2O


 デレは、あんぐりと口を開けた。


ζ(゚、゚;ζ「……おっきい……」


 扉から一直線上には何の遮蔽物もない。
 深緑色の絨毯が真っ直ぐ敷かれているだけだ。

 だが、その左右が凄かった。

 二階建ての家ほどはあろうかという高さの本棚。
 隙間がないくらいに本が詰め込まれた大量のそれが、ずらりとドミノのように並んでいる。

 顔を上向ける。
 天井が遠い。

 照明が少なく、全体的に薄暗い。
 そのせいなのか、絨毯の先に何があるのかさえ満足に見えなかった。

 今度はデレがキュートに近付き、手を握りしめる。
 キュートも、しっかりと握り返してくれた。

550 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:48:34 ID:esgaaDRE0
最大級の支援

551 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:51:29 ID:e6k6/AU2O

(´・ω・`)「こりゃあ万が一にも下敷きにされようものなら、余裕で死ねるね」

ζ(゚、゚;ζ「こ、恐いこと言わないでください」

( ^ν^)「……」

ζ(゚、゚;ζ「――で、ニュッさんは何を恍惚としてるんですか!
      そんなに本が大量にあるのが嬉しいんで……」


   「――よくぞいらっしゃいましたあ……」


o川;゚ー゚)o「ぎゃあああああ!!」ζ(゚、゚;ζ

 唐突に声をかけられ、デレとキュートは飛び上がった。

 声の方を向く。
 こつこつと靴を鳴らし、棚と棚の間から女性が現れた。

552 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:52:20 ID:e6k6/AU2O


川д川「……ようこそ、我が国自慢の図書館へ……」


o川;゚ー゚)o「……あっ」

ζ(゚、゚;ζ「さっ、貞子さん!」

 4人の前で立ち止まり、山村貞子がお辞儀をする。
 彼女の長い黒髪が、するすると前に流れた。

 我が国、と言ったが、状況からして所謂「魔法使いの国」のことだろう。
 であるならば、今の貞子の言葉は、登場人物の台詞だ。

(´・ω・`)「何だい、やけに他人行儀だな」

川д川「……?」

 貞子は首を傾げた。また髪が揺れる。

 そして、咳払いをし、両手を広げた。

553 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:52:22 ID:qsLqePmo0
>
> デレは、あんぐりと口を開けた。
>
>
>ζ(゚、゚;ζ「……おっきい……」

なんかエロい

554 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:52:25 ID:e0.OJjKI0
貞子ktkr

555 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:52:48 ID:ran6yO9Q0
おおおきてた

556 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:53:49 ID:gJ0rJcLY0
やっぱこういう展開が

557 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:54:32 ID:e6k6/AU2O

川д川「……ようこそ、我が国自慢の図書館へ……」

ζ(゚、゚;ζ(仕切り直した)

川д川「私めは、1号館の司書でございます……。
    今日はどのような本をお求めで……?」

( ^ν^)「――おい、貞子」

川д川「……どなたかと、勘違いされておいででは……」

o川;゚ー゚)o「……どうしちゃったの」

(´・ω・`)「役になりきってるようだね。
      分かりやすく言うなら、本に操られてるって感じ」

 はあ、とキュートが気の抜けた声をあげる。
 しばらく考え込み、得心したように頷いた。

 彼女が「主人公」にされたときにも、
 クラスメートや姉が、本の登場人物と同じ行動をしていたのを思い出したのだろう。

 さて、それはそれとして、物語を進めるためには何をすればいいのやら。

558 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:57:15 ID:lPTsz1.YO
第1幕の最終話の間違いだろ?来週もまた見てくださいねだろ?なあ、おい

しえんぬ

559 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:57:18 ID:e6k6/AU2O

川д川「私は『さだこ』ではなく、司書でありますよ……。
    皆様に館内を案内させていただくための職員です……」

ζ(゚、゚;ζ「あのですね……えっと、」

(´・ω・`)「本じゃなくて人を探しに来たんだ」

 言って、ショボンは「これでいいかな」とニュッに訊ねた。
 ニュッが首を縦に振る。

 主人公の目的は、図書館に逃げ込んだ魔女を探すことだ。

川д川「……人……?」

( ^ν^)「ええと、あー……。……男と女の2人組がここに来なかったか。
       女が魔女で、男は人間だ」

川д川「……ええ、たしかに来ましたねえ……。
    魔女が連れていた男性は、ぐっすりと眠っていらっしゃったような……」

o川*゚ー゚)o「その人達は、今ここにいるの?」

川д川「いいえ、いませんよ……。
    ご希望の品がないと分かるや、すぐに2号館へ向かわれました……」

(´・ω・`)「2号館ってのはどこだい」

 キュートもショボンも順応してきたのか、とんとんと話が進んでいく。

 貞子は左側へと退き、デレ達から見て前方へ手を伸ばした。

560 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 21:58:47 ID:e6k6/AU2O

川д川「この絨毯の上を真っ直ぐ行った先が2号館でございます……」

( ^ν^)「分かった」

 ニュッとショボンが先頭を歩き、その後ろをデレとキュートがついていく。
 歩きながら振り向くと、貞子が初めのようにお辞儀をしていた。



.

561 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:02:06 ID:e6k6/AU2O



ζ(゚、゚*ζ「――冷えますね」

 しばらく進み、貞子が見えなくなった頃、デレは呟いた。
 周囲の空気が冷たい。

(´・ω・`)「だね。まあ、寒いってほどじゃないさ」

ζ(゚、゚*ζ「そうですけど……何か、急に気温が下がったと言いますか」

 辺りを見渡した。

 間近に本棚を見ると、圧倒される。
 やはり、かなり大きい。
 高さだけでなく幅も相当なものだ。果てが見えない。

ζ(゚、゚*ζ(――あれ?)

 前、後ろ、左右。
 足は動かしたまま、四方を確認する。

 ほんの数分前には「薄暗い」と感じていたが――今や、薄暗いどころの話ではない。
 闇に覆われた部分が増えている。

562 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:04:03 ID:e6k6/AU2O

ζ(゚、゚*ζ「……ねえ、キュートちゃ……」


 瞬間。

 足元の床がなくなった。ように、見えた。


ζ(゚、゚;ζ「ん」

 暗い――いや、黒い。

 四方八方に闇が広がり、本棚も絨毯もニュッ達も、何もかもが消え去った。


.

563 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:06:16 ID:e6k6/AU2O

ζ(゚、゚;ζ「は?」

 困惑したデレは、足を止めた。
 寒い。

ζ(゚、゚;ζ「……ニュッさあん」

 呼んでも、自分の声が響くだけ。
 落ちる感覚がないので、視認出来ないだけで、床は存在しているようである。

ζ(゚、゚;ζ「キュートちゃん?」

 誰もいない。
 不安がのし掛かる。

ζ(゚、゚;ζ「……ショボンさ……――っ」

 どこか遠くで、泣き声がした。
 赤ん坊が無茶苦茶に張り上げたような泣き声。

 得も言われぬ恐怖が体中を這い回った。

564 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:08:08 ID:e6k6/AU2O

 泣き声が近付く。
 あちこちから足音やら何かを引きずるような音が忍び寄ってくる。

 早く逃げろと思いはするが、足が竦んでしまう。

 震える手を握り込み、ぎゅっと目を閉じた。

 それに伴い、音が消える。

 数秒待って、デレは瞼を引き上げた。

ζ(゚、゚;ζ

 相も変わらず真っ黒な世界。

 既視感。
 そういえば、デレが内藤達と出会った日にも似たようなことがあった。

 あのときも真っ暗になった室内にいて、
 音が消えたことに油断したデレが顔を上げると、目の前に「女」がいたのだ。

 今は何もいない。

565 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:11:39 ID:e6k6/AU2O

ζ(゚、゚;ζ「……」

 安堵の息を漏らす。
 何気なく後ろを見た。


 熟れ腐ったトマトのようなものが、視界に広がった。

 思考が止まる。
 生臭い息が顔にかかり、「それ」が、潰れた人間の頭部なのだと気付いた。

566 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:13:16 ID:e6k6/AU2O

 自分は悲鳴をあげただろうか。
 分からないが、口を目一杯開き、走り出していた。

 また泣き声がする。足音がする。引きずるような音がする。

 足や腕、頬に、何かが触れては離れていく。


 怖い。


ζ( 、 ;ζ「――」



 足が揺れる。
 膝が曲がる。
 座り込んだ。

 肩を、誰かの手が掴む。





      「デレ」


.

567 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:13:56 ID:QlUYyH6o0
うわあああああ 支援

568 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:14:54 ID:4g1OwxGs0
こういうのが書ける人間になりてえ支援

569 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:16:21 ID:e6k6/AU2O

ζ(;、;*ζ「……あ、う……」

( ^ν^)「……デレ」

 ニュッがデレの肩を掴み、顔を覗き込んでいた。

 彼の後ろには木製の扉。
 視線を落とすと絨毯があった。

o川;゚ー゚)o「大丈夫?」

ζ(;、;*ζ「……きゅ、きゅーとちゃん……」

(´・ω・`)「あらあら、ぼろ泣きだ」

 キュートが可愛らしいハンカチで涙を拭い、ニュッが頭や背中を撫でてくれた。

 2人に礼を言って立ち上がる。
 そのとき、後ろから声が飛んできた。

川д川「――皆様、もしかして全員普通の人間ですかあ……?」

o川;゚ー゚)o「わっ!!」

(´・ω・`)「いきなり出てくるなよ。……人間だけど、それが何か?」

 貞子だ。

 ショボンの答えに、低く唸る。

570 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:20:22 ID:e6k6/AU2O

川д川「じゃあ、この図書館のことも知らないでしょう……。
    ……ここは、本を読むのではなく、本の世界に入るための図書館なんですよお……」

ζ(゚、゚*ζ「……入る?」

川д川「本の中の登場人物になって楽しむんです……。
    魔法使いなら、どの本に入るかは自分の意思で決められますけど……
    弱っちい人間なんかじゃ、すぐに本に取り込まれちゃいますよ……」

川д川「……あなた方は、何とか無事に戻ってこれたみたいですけど……」

 まるで、貞子達の書いた「本」のようだ。
 先程の出来事は、デレが本の世界に取り込まれかけていたということだろう。

o川*゚ー゚)o「じゃあ、さっき話してた『魔女』は、どんな本を探しに来たんですか?」

(´・ω・`)「お、ナイス質問。
      キュートちゃんは順応が早ければ頭の回転も速いね。誰かさんに比べて」

ζ(゚、゚*ζ「ショボンさんもニュッさんも嫌い」

( ^ν^)「まだ何も言ってねえだろ俺は」

571 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:23:27 ID:e6k6/AU2O

川д川「そうですねえ……たしか……」

 顎に手をやり、貞子は考え込む仕草をした。
 ううん、と呻く。

川д川「……1人の魔女と1人の人間が、共に、幸せに暮らしていく物語でしたかねえ……」

(´・ω・`)「……なるほどね」

( ^ν^)「その通りの本がなかったから、2号館に行ったんだな」

川д川「ええ……。……ここにあるのは、恐怖を提供するためのものばかりですからあ……。
    人間と人間以外のものが共に生きていくのとは、まったく真逆な本達です……」

 にたり、貞子が笑う。

川д川「1号館の本を求める者なんて、滅多に来やしません……。
    普通に物語の世界を楽しみたい人には、不要な場所なんですよお……。
    ……それでも私は、ここが好きですけどね……」

 するする、頭を下げる。
 するする、髪が垂れる。

川д川「……本に取り込まれる前に、探し人、見付かるといいですねえ……」

 ニュッは何か言いたげにしていたが、ああ、とだけ返し、
 扉に付いている黒い取っ手を握った。

572 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:25:55 ID:e6k6/AU2O

 ゆっくりと扉を開き、その先へ向かう。
 ショボン、キュートが後に続いて、デレも足を前に出した。

 だが、思い直し――貞子に振り返る。

ζ(゚、゚*ζ「私、貞子さんの書いたホラー小説好きですよ。
      一回しか読んだことないですけど」

 貞子が顔を上げた。
 ぽかんとして――髪のせいで表情はよく分からないが、そのような印象を受けた――、
 デレに視線を向けながら立ち尽くしている。

ζ(゚ー゚*ζ「また今度、読ませてくださいね」

 1号館を出る。
 ニュッ達に追いつくと、自然に、扉は閉まった。



*****

573 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:27:23 ID:e6k6/AU2O



 ――何故自分は生きているのだろう。



ξ゚听)ξ

 哲学的な疑問などではなく、単純に、自分が生き長らえている理由が分からなかった。


 内藤モナーの死、イコール、ツンの死であった筈だ。
 なのに、モナーが死んだ後、何秒、何分、何時間――何日経っても、
 ツンが消える気配は一向に訪れない。

 「あのとき」にモナーが何かをしたのは間違いない。
 だが、その内容がさっぱり分からないのだ。



.

574 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:28:32 ID:e6k6/AU2O


(`・ω・´)『――ラーメン食べるかい』

ξ゚听)ξ『……あ、いただきます』

 ショボンの実家、ラーメン屋。
 その奥にある遮木家の居間で1人ぼうっとしていたツンは、
 店主の遮木シャキンが持ってきてくれた丼を受け取った。

 現在、遺品の整理を内藤の親戚に任せ、
 住人達は男女に分かれてショボンの自宅と実家に泊まらせてもらっている。

 あのまま図書館にいたところで辛くなるだけだったし、
 何より絨毯や床に染み込んだ血痕のせいで内藤が体調を悪くしてしまうので、
 丁度良かったといえば丁度良かった。

ξ゚听)ξ『塩ラーメンですか?』

(`・ω・´)『おう。醤油にしようと思ったんだけど、家内に止められちまったよ。
      昨日も塩ラーメンだったから、今日は別のにしたかったんだけどなあ』

 「うちの店のラーメンは塩以外食うな」。
 ショボンから散々言って聞かされた。よほど不味いらしい。それはそれで気になる。

575 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:31:49 ID:e6k6/AU2O

 時計を見ると、午後3時を回っていた。
 昼食をとっていなかったことに今更気付く。

ξ゚听)ξ『……貞子達は?』

(`・ω・´)『ああ、昼から店の手伝いしてくれてたよ。
      今は店の方で飯食ってる。ツンちゃんも、あっちに移動するかい?』

ξ゚听)ξ『いえ、ここでいいです。……ごめんなさい、私だけ手伝わずに――』

(`・ω・´)『いいよいいよ、急なことで、まだ落ち着かないんだろ。じっくり休んでな』

ξ゚听)ξ『……ありがとうございます。――いただきます』

 割り箸が、ぱきんと音を立てた。
 掬い上げた麺に二、三度息を吹きかけ、啜る。

(`・ω・´)『どうだい』

ξ゚ー゚)ξ『美味しいです』

 微笑む。
 違和感が頬に走った。

(*`・ω・´)『おおう、そうかい』

ξ゚ー゚)ξ『ええ』

576 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:33:11 ID:e6k6/AU2O


 何故自分は生きているのだろう。
 何を笑っているのだろう。



 ――お前がすぐに救急車を呼んでいれば――



 内藤の言う通りだ。
 もっと処置が速かったら、モナーは助かっていたかもしれない。

 あれだけ病状が悪化していたのだから治すことは不可能だったとしても、
 命を取り留めるくらいは出来ていたのではないか。


 「あのとき」。
 自分が、モナーの言うことを聞かないでいれば良かったのだ。

577 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:35:26 ID:e6k6/AU2O

ξ゚ -゚)ξ『……』

(*`・ω・´)『いやあ、しかしツンちゃんは美人さんだねえ』

ξ゚听)ξ『……え?』

(*`・ω・´)『今でも充分すぎるくらい綺麗だけど、こりゃあ成長したときが楽しみだな』

ξ゚ー゚)ξ『……。そうでしょうか』

(*`・ω・´)『そうだよ。ああ、おじさんがもっと若かったらなあ』

 ははは、と朗らかに笑って、シャキンは腰を上げた。
 店に戻るらしい。

(`・ω・´)『食べ終わったら、悪いけど、丼を厨房まで下げに来てくれるかい』

ξ゚ー゚)ξ『はい』

 シャキンが居間を出ていく。
 ツンは表情を消すと、黙々と食事を続けた。

578 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:36:43 ID:e6k6/AU2O


 モナーを見殺しにした。

 内藤とニュッから、家族を奪った。

 彼らには親がいない。親戚からは愛情をもらえない。
 唯一彼らを愛してくれる血縁者であったモナーを、自分が見殺しにした。


 なのにどうして、シャキンに向かって笑みなど見せられるのだろう。

 もしかして反省していないのだろうか。
 自分の行いに対する後悔が足りないのだろうか。

 モナーはもう笑わない。
 内藤達はもう、あの笑顔を見られない。

 彼らにとって、自分なんかより、モナーの笑顔の方が、ずっとずっと必要である。

579 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:39:51 ID:e6k6/AU2O

ξ;;)ξ

 スープに涙が落ちる。

 自分よりも内藤やニュッの方が悲しいだろうに、よくもまあ泣けるものだ。

 割り箸を取り落とす。

 悠長に食事などして、呑気極まりない。


ξ;;)ξ『ひぐ、う……』


 自分が憎らしい。己の何もかもが憎たらしい。

 一挙手一投足、全てに嫌悪を覚える。

 この思考も、いかにも悲劇のヒロイン気取りで、それがまた忌々しい。


 どうしてモナーは道連れにしてくれなかったのだ。
 どうしてモナーは、感情なんてものまで与えたのだ。
 おかげで、こんなに苦しい。

580 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:41:34 ID:bbAUNPdkO
やっとこさ帰宅したらまだやってて良かった。
じゃ読み直してくる

581 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:42:24 ID:e6k6/AU2O

ξぅ;)ξ『……っ、……、……』

 自分は、どうしたら死ぬだろうか。
 死に方が分からない。

 居間を見渡す。
 鋏が目に入った。
 衝動に任せ、鋏を手に取る。

 試しに、手首に刃先を強く押しつけた。

 ぶつりと皮膚が裂ける。
 しかし、すぐに塞がってしまう。
 やはり怪我や病気で死ぬのは無理だ。

 確実に死ぬとなると――

ξ;;)ξ

 ツンは、よろよろと居間から出た。

 2階に上がり、寝泊まりさせてもらっている部屋に入る。

 隅に並べられている皆の鞄から、貞子のものを探した。

 念のために、ニュッが作家達の命である本を館から持ち出したのだが、
 内藤のことを慮り、血まみれだったツンの本だけは貞子に預けていた。

582 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:44:01 ID:e6k6/AU2O

ξ゚ -゚)ξ『あった』

 鞄の底に、白色の本を見付けた。所々に血痕がある。

 それを抱え、居間に戻る。
 たしかライターがあった筈。



ξ゚ -゚)ξ

 棚を漁ると、何本かのライターが出てきた。
 適当なものを引っ掴み、正座する。

 ちゃんと火がつくのを確認して、本に近付けた。

583 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:46:21 ID:e6k6/AU2O

 ――かたりと、物音がした。


(#゚;;-゚)

ξ゚听)ξ『あ……』


 振り返ると、椎出でぃと目が合った。
 食べかけの炒飯が盛られた皿を持っている。

 大方、ツンと一緒に食事をしようと思って来たのだろう。
 気など遣わなくていいのに。

(;゚;;-゚)『……!』

 ライターを見て、でぃは皿を置くとツンに突進してきた。
 後ずさった拍子にライターから手が離れる。火が消えた。

ξ;゚听)ξ『つっ……!』

 押し倒される。
 頭を打ち、ツンは呻いた。

(*゚ー゚)『でぃちゃん、お水――って、うわっ』

 グラスを持った椎出しぃがやって来る。
 彼女はぎょっとして、どうしたのかと問いながら駆け寄ってきた。

584 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:49:14 ID:e6k6/AU2O

 でぃが、本とライターを指差し、次にツンを指差した。
 それで理解したのだろう、しぃが瞠目する。

 そして、グラスの中の水をツンにぶちまけた。
 でぃにまで被害が及んだが、でぃ本人は気にする素振りもなく、ツンの上から退いた。

 しぃがツンの胸ぐらを掴み上げる。

(#゚ー゚)『この……っ! 馬鹿!』

ξ゚听)ξ『だって』

(#゚ー゚)『ブーンの言ったこと、やっぱりまだ気にしてたの?
     あれはブーンが間違ってたし、ブーンも反省してたじゃんか!』

ξ゚听)ξ『ブーンは間違ってない』

(#゚ー゚)『……っ』

 しぃが右手を振り上げる。
 でぃは、慌てた様子でしぃの服を引っ張った。
 結局、しぃの手はツンを叩くことなく、静かに下ろされる。

585 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:51:39 ID:e6k6/AU2O

(*゚ー゚)『……ごめん、ちょっと怒りすぎたかなあ』

 言って、ツンの本を持ち上げる。

(*゚ー゚)『タオルと着替え持ってくるね。ツンさん、ちょいとセクシーなことになってるから』

 しぃは一瞬泣きそうに顔を歪めたが、
 ずぶ濡れになっているツンの服を見て、無理矢理に笑った。
 本を抱えたまま、気まずそうに退室する。

ξ゚听)ξ『……』

(#゚;;-゚)

 でぃが、ツンの頬に掌を当てた。

(#゚;;-゚)『……ツン、ちゃん、悪くないよ……』

 か細い、消え入りそうな声。
 滅多に出さないせいなのか、あるいは別の理由か、その声は微かに震えていた。



.

586 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:57:18 ID:e6k6/AU2O


 ――それからシャキンの家にいる間、ツンの傍にはずっと誰かが付き添うようになった。
 慰めるためというより、監視の意味が強い。


 自ら死ぬのも駄目なら、どうしたらいい。


 でぃやしぃは止めてくれたが、本心はどうなのだろう。
 陰では、ツンのせいでモナーが死んだのだと言っているかもしれない。

 そう考えると、笑ったり泣いたりするのが恐くなった。
 「モナーを見殺しにしたくせに」と思われそうで。

 それに――もしかしたら、そうすることで、
 内藤が可愛げを感じてくれるのではないかという打算的で薄暗い願望もあった。



ξ゚听)ξ



 感情はある。
 けれども表情は消えていく。

587 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:58:05 ID:c6rLNZtA0
ツン…

588 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 22:58:36 ID:e6k6/AU2O



 まるで、ゆっくり死んでいっているようだと思った。





*****

589 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:01:01 ID:e6k6/AU2O


( ^ω‐)「……」

ξ゚听)ξ「……また起きちゃったの?」

 内藤が身じろぎする。

 ――ニュッ達は、どうやら無事に1号館を出たらしい。

( ^ω^)「魔女さん……」

ξ゚听)ξ「なあに?」

( ^ω^)「やっぱり、ここは僕の部屋じゃないお。
       僕の部屋には、木目の綺麗な、まあるいテーブルがあるんだお」

ξ゚听)ξ「何だ、そんなこと」

 大した問題ではないといった風に答え、金色のペンを顔の高さまで上げた。
 静かに、緩やかに、ペン先を空中に滑らせる。

590 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:02:15 ID:e6k6/AU2O


#####

 『 魔女がペンを振ると、どこからか、まあるいテーブルが落ちてきました。 』

#####


 丸テーブルが、ふわりと着地する。
 ツンはテーブルを指差した。

ξ゚听)ξ「ほら、あれでしょう」

( ^ω^)「おー。そうだお、僕のテーブルだお」

ξ゚听)ξ「でしょう。だから、あなたの部屋なのよ」

( ^ω^)「そうなのかお」

 先と同じやり取りをして、内藤は安心したように瞼を閉じた。

( ‐ω‐)「それなら、良かったお……」

591 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:02:34 ID:CORFFA42O
真面目なときはとことん真面目なしぃさんが大好きです
支援

592 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:03:03 ID:e6k6/AU2O


#####

 『魔女が魔法で出したテーブルは、長い時間は持ちません。
  青年も、いつかは完全に眠りから覚めてしまいます。
  魔女は焦りながらペンを走らせました。 』

#####


( ‐ω‐)

 すうすうと寝息を立てる内藤。
 ツンは、そっと目を伏せた。



*****

593 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:04:22 ID:F3XbSl32O
作者頑張るねぇ
好きだよ支援

594 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:05:20 ID:sr.zGw.E0
支援だわっしょい

595 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:05:45 ID:e6k6/AU2O


 1号館を出た先は、渡り廊下になっていた。
 長い。絨毯が途切れることなく続いている。

 上には天井があるが、横に壁はなく、柱が規則的に並んでいるだけ。
 柱と柱の間から外が見える。庭か何かだろうか、たくさんの木や花がある。
 どれも見たことのない種類のものばかりだ。

ζ(゚、゚*ζ「……そういえば」

( ^ν^)「あ?」

ζ(゚、゚*ζ「ニュッさん達も、さっき、本に取り込まれそうになったんですか?」

 前を行くニュッに質問する。
 彼の隣で、ショボンが頭を揺らした。

(´・ω・`)「そうだね。僕、ニュッ君、キュートちゃんの順に抜け出したっぽい」

ζ(゚、゚*ζ「怖くなかったですか?」

(´・ω・`)「血まみれの子供が抱き着いてきたから殴った」

( ^ν^)「わけ分かんねえ気持ち悪い生き物が出てきたから蹴った」

o川*゚ー゚)o「何か女の人っぽいのに話しかけられて、びっくりして鞄で叩いちゃった」

ζ(゚、゚;ζ「そっ、そんな力業で解決したの!? それで良かったの!?
      必死で逃げた私は何だったの!?」

( ^ν^)「うるせえ」

596 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:07:19 ID:e6k6/AU2O

 話している内に、2号館の扉に辿り着いた。
 作りは1号館のものと大体同じ。

 一旦立ち止まる。

(´・ω・`)「……もしかしてさあ、作家全員分、さっきみたいなの繰り返すの?」

( ^ν^)「たしかそんな感じ」

 ショボンが額に手をやった。
 眉間をぐりぐりとマッサージしながら、大息をつく。

(´・ω・`)「わあ、気が遠くなるね。やっぱりやめていい?」

( ^ν^)「今更遅い」

(´・ω・`)「……はあ……そうですか、っと」

 やる気の感じられない声で言って、ショボンはさっさと取っ手を押した。
 自棄になったようだ。

 ぎい、と扉が悲鳴をあげる。

597 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:08:40 ID:e0.OJjKI0
今までやらなかった100超えをやらかしただと

598 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:09:16 ID:e6k6/AU2O

o川*゚ー゚)o「次、誰かな」

ζ(゚、゚*ζ「さあ……。……誰だろうと、厄介なのに変わりなさそうだけどね」

 扉はゆるゆると、その大きな口を開いた。
 1号館よりも明るく感じる。

 4人は、淡い緑色の光に照らされる2号館へと足を踏み入れた。





最終話 続く

599 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:10:08 ID:e0.OJjKI0

あまり進展ないし後編で一気に進むのかな

600 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:12:47 ID:8FafLAPoO
やっぱ面白いわ、書籍化して欲しいわ

支援

601 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:12:48 ID:CORFFA42O
乙、もう最終回…
おもしろかった

602 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:13:10 ID:esgaaDRE0


603 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:13:42 ID:tdvQsAKI0
乙!!

604 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:14:24 ID:qsLqePmo0


俺のIDの発言をふと見てみたら下ネタばっかでじゃっかん死にたくなったよ

605 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:16:31 ID:3HY2gzOoO
おつおつ

606 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:16:59 ID:e6k6/AU2O
投下終わったぁあああああんああああああ
尻は守れた

読んでくれた方、支援してくれた方、まとめてくださってるブーン芸さん、いっぷくさん、
皆さんありがとうございました!!


次回の最終話後編投下は、日取りが決まり次第、このスレと予告スレに予告します


質問、指摘などありましたらじゃんじゃんお願いします


しおり的な目次的な

九話後 >>156

十話前 >>459

607 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:22:23 ID:wNBEA9Jo0
乙です

608 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:22:25 ID:MxMmpgKE0
乙!面白い
かぜお大事に

609 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:22:34 ID:JwCY4MlAO
>>606乙!超乙!
今回も面白かった
続きが気になるけど、体第一にしろよ

610 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:23:07 ID:5TPy9b3g0
乙でする

611 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:23:49 ID:yPLBprHQO
乙!
いつもながら続きが気になるわあ

612 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:27:49 ID:/mJNrjwEO
乙でした!面白かった。

613 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:27:52 ID:c6rLNZtA0
乙!
これ終わったら生きる楽しみがまたひとつ減るわけか…

614 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:28:14 ID:QlUYyH6o0
乙です!
ワクワクするけど終わってしまうのも寂しいなぁ

615 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:33:02 ID:pTOSFwBs0
乙乙!

616 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:37:43 ID:NyV8mpwQ0
この曲がすごいマッチしてる気がしなくもなかった
http://www.youtube.com/watch?v=zxVi7ortToM

617 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:39:55 ID:gQ/Ubfd20
乙!
次で終わりとかマジかよ・・・

618 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:49:07 ID:gNf2d/hAO
乙ううああああ
最終話見たいけど見たくねええええええ

619 名前:名も無きAAのようです:2011/10/03(月) 23:54:13 ID:LuE4hUKYO
乙!
終わっちゃうのが淋しいわー

620 名前:名も無きAAのようです:2011/10/04(火) 00:02:49 ID:T1B.YfsY0
いままで見たブーン小説で一番好き!続きは気になるけど終ってほしくない!

621 名前:名も無きAAのようです:2011/10/04(火) 00:27:15 ID:aGPR70Wk0
ゆっくりでええんやで
納得いくまでやってくれ

622 名前:名も無きAAのようです:2011/10/04(火) 00:27:50 ID:HHs9hc2.0

やっぱりすげえな

623 名前:名も無きAAのようです:2011/10/04(火) 00:37:12 ID:rlPObs7o0
乙!
このSSが終わったら今後どう生きれば良いんだ…

624 名前:名も無きAAのようです:2011/10/04(火) 01:21:41 ID:BOW3mJuwO
本編投下延びても良いからオマケ的な話を沢山みたい…

625 名前:名も無きAAのようです:2011/10/04(火) 06:11:26 ID:P4ffb4.IO
いや、早く本編が見たいわ

626 名前:名も無きAAのようです:2011/10/04(火) 07:22:37 ID:UFFo6tos0
乙!
これ終わったらまた長編書きますか?

627 名前:名も無きAAのようです:2011/10/04(火) 10:03:38 ID:KIXbFK.M0
へんにグダグダやらずきっかり終わらせたほうがより面白い作品だなと思った。

ショボンの毒舌とデレちゃんのおバカがシリアスを緩和してて読後感に憂鬱なモヤモヤがない。後編楽しみ。

628 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/04(火) 18:18:36 ID:n6WYVYVkO
>>626
どうだろうなあ

元々書きたい長編が別にあって、でも最初の二、三話を書き溜めてる内に行き詰まって
何ヵ月も書き溜めが進まなくて、息抜きに新しい妄想してたら思いついたのがこの作品だったわけで

その行き詰まってた方の作品を書き進められたら、それを投下するかもしれないし
また新たに別の話が浮かんだら、そっちを投下するかもしれないし、
何も書けなかったら何も投下しないかもしれない

要するに、未定です

629 名前:名も無きAAのようです:2011/10/04(火) 18:19:50 ID:uuZ.plGI0
モララーが楽しみ過ぎて泣けるわ

630 名前:名も無きAAのようです:2011/10/04(火) 19:08:29 ID:756DpVFYO
ツンが切ねぇ・・・

631 名前:名も無きAAのようです:2011/10/04(火) 20:03:15 ID:PUVl7sbw0
結局惜しくも間に合ってしまったけど、ニアミス賞ってことで作者さんのケツをいたぶってもいいですか?

632 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/04(火) 22:22:57 ID:n6WYVYVkO
>>631
そのりくつはおかしい



ニアミス賞なので、こちらの尻で我慢してください

.. /⌒ヽ
 ( ^ω^)
 /,   つ
(_(_, )
  しし'

633 名前:名も無きAAのようです:2011/10/04(火) 23:46:44 ID:bwhVhYkwO
モララーが可愛すぎてやばい
弟にしたい

634 名前:名も無きAAのようです:2011/10/05(水) 01:05:23 ID:rl6PEIlYO
作家全員分の本の世界に、か……って、しぃ様の官能小sあれこんな夜中に誰だろう

635 名前:名も無きAAのようです:2011/10/05(水) 01:45:26 ID:WKPwTm62O
ショボン好きすぎるわ掘りてえ

636 名前:名も無きAAのようです:2011/10/05(水) 10:17:47 ID:.83B.EeM0
ほもしね

637 名前:名も無きAAのようです:2011/10/05(水) 13:23:00 ID:PZVrwyvIO
ホモはバローにでも詰まってろ

638 名前:名も無きAAのようです:2011/10/05(水) 15:10:45 ID:zBRBQBZk0
      (______________ J
 そ 君  (__          ┌―‐―┐    ) き
 ん !  (_             |`l TT了|     }  ゃ
 な     (_           j .| .|:| .l |     /  あ
 か 待  (_            | | .|j .j |     イ  |
. っ ち  (,_             |.| .|l .|:|  ,. -‐ /_.  っ
 こ  た  (               |.|. |! |/     / !
 う  ま  (`           `ー /..:::::\≧,,,、:::7___
 で え  (―――――――――(:::::::>'´ == \::⌒l^⌒
_     (⌒ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ノ く彡/// ∪,ノ   ;|
.レ⌒Y^'⌒`\________ く:::::∧ '_,. -、 く/::::::::/
   |:::| \xく    _,,,...,_       \:::::l、ヽ ,ノ  \,,∠,,__
 \|:::| _,....!,,_ \  iれ__,.、ヽ      lF〒`ヾ.\,,..イ    |::::::::,
   `7´ _,,.ィ  ヽ{|iュ ェッリ      | ||  _,..-/7゙h _|:::::://
 \.{n|.ィァ it}    ', _'_ j)    r'"三¨7´\|    |´.|:::://
   |:::トl、 rュj .    ト ニ イl、  / ゚`.|n./  .イl   ,∧ |:://
   |::,|  'ーケトr'TTlイ  /_`ヾtっ r'l゙    /⌒`lくミV /
 ,r1´|`'六´ //` ̄´ `Y´     |└┬シj  ./ 7ヽ〈  /ヾ)<
./ | ∨|::|∨ ! { r  ,、 _,シ /゙丁〈 /      } { { \
  |   ',|::|/ !  ,ゝ-< (   /   .| |/     ∧ \|
   l  .Y。 .|  |`  〃 ̄ ̄⌒  / 〈     /! ', __,,....::-‐
  .∧.  |。 {  ゙爪` ' ‐- 、..,,,...イ   '、   / .|  `|::::::::::::::::
\/  l  |。./  ,l | l,  .|  .  ||    `'ー' i |  j:::::::::::::::::
ヽ、`'::、L.∧/  / |.{  u   〈.|        イ 〈  /::::/:::::::::::
::::::::`ヽ、 ∨  / ̄| | 、   /  l:l.       | j /::::/:::::::::::::
:::::\::::.....  ̄`|   l |  鬱鬱  .l:l//    l| ∨:::/::::::::::::::::

639 名前:名も無きAAのようです:2011/10/07(金) 12:29:44 ID:tLQbd0ugO
>>637
ハ"ロ -ロ)"ハ

640 名前:名も無きAAのようです:2011/10/07(金) 18:41:04 ID:xxtH7A0QO
最終話投下までに蝶ネクタイクリーニングせないかんな

641 名前:名も無きAAのようです:2011/10/09(日) 15:13:24 ID:g4WOKeQA0
あぁ終わって欲しくないが、早く続きみたい(^ ^)

642 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/09(日) 18:47:59 ID:5OL7DqSMO
携帯の下書きボックス(通称書き溜めボックス)眺めてて絶望したので言い訳しに来ました

こちらとしても早く投下したい気持ちは充分にあるんだけれども
なかなか進まねええええええええええ

ごめんなさい、今の内に言っておく。まだまだ時間がかかってしまいそう
今しばらくお待ちください。少なくとも今月中に投下するのは確定的明らか


ぱぱっと前編投下してささっと後編投下してちゃちゃっと終わらせたかったのに畜生
怪獣症候群のような筆の速さと絶倫さが欲しい

643 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/09(日) 18:50:10 ID:5OL7DqSMO

>>379

(;・∀・)「俺別に頭悪くないからね! 知識とかはそれなりにあるよ!」

(*゚ー゚)「そうだよ、モララーは馬鹿じゃなくて鬱陶しいだけだ」

( ;∀;)「それフォローじゃない!!」

(#゚;;-゚)ノ■

(*゚ー゚)「でぃちゃん、どうした? 辞書? このページを読めって?」

( ^ω^)「ええっと。馬鹿……1・頭の働きが鈍いこと。阿呆。
       2・つまらないこと。無益なこと。
       3・損をすること。4・機能を果たさないこと。……以下略」

( ^ω^)「1番に関しては、デレちゃんと祖母ちゃんが当てはまるおね。
       祖母ちゃんがどれくらいのレベルだったか知らないけど」

(*゚ー゚)「でもデレちゃんは、つまらなくないし無益でもないよ。
     損もしない。寧ろあのおっぱいは、こちらからすれば得しかない」

( ^ω^)「同感だお。……祖母ちゃんも、祖父ちゃんを惚れさせるような人だから、
       つまらなかったり無益だったりってことはないと思うお」

(;・∀・)「そ、それなら俺なんか、1番も2番も3番も4番も当てはまんないよ!!」

(#゚;;-゚)「……?」

(;・∀・)「『そうかなあ……?』みたいな顔しないで!」

( ^ω^)「そもそも4番の『機能』って、どういった意味合いで受け取ればいいんだお?」

(*゚ー゚)「……そりゃあ、男性にとっての『機能』っつったら」


(#゚;;-゚)(*゚ー゚)( ^ω^)  (・∀・ )


(;・∀・)「股間凝視するなよ!! やめてよ本当に!
      何でもかんでも下ネタに持っていくなよ! あと機能してるよ!!」

644 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/09(日) 18:51:23 ID:5OL7DqSMO

>410

【ξ゚?゚)ξ】

ζ(゚ー゚*ζ「何ですか、この外国人っぽい顔したツンちゃんの写真」

( ^ω^)「昔、住人総勢でトランプ大会やったときに、ツンが最下位になって……。
       罰ゲームに、漫画とかで見るような外国人の物真似をすることになって」

ζ(゚ー゚*ζ「そんな愉快な大会やってたんですか……。
      ていうかツンちゃん意外にノリノリですね……。
      顔芸なんてニュッさんだけで充分なのに」

( ^ν^)「俺がいつ顔芸したよ」

ζ(゚、゚*ζ「え、第九話辺りで、(*^ν^) ←こんなのとか ( ;ν;) ←こんなのとか……」

( ^ν^)「顔芸じゃねえよ死ね」

645 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/09(日) 18:52:56 ID:5OL7DqSMO

>>431

> ちょっとニュッくんの×××を××××で××してくるお


( ^ω^)「……『ちょっとニュッくんのお部屋をライターで燃やしてくるお』?」

( ^ν^)「やめろ」

ξ゚听)ξ「『ちょっとニュッくんのおかずを腐った物で調理してくるお』……?」

( ^ν^)「やめろ」

(´・ω・`)「『ちょっとニュッくんの有り金を一括払いで頂戴してくるお』」

( ^ν^)「やめろ」

(*゚ー゚)「『ちょっとニュッくんのちんk( ^ν^)「やめろ」

ζ(゚、゚*ζ「えっと、ちょ、『ちょっとニュッくんの人間性を理屈詰めで否定してくるお』……」

( ^ν^)「何でお前が一番シビアな回答してんだよ」

646 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/09(日) 18:55:51 ID:5OL7DqSMO

書き溜めが行き詰まったときにおまけみたいなのを書くと、いい息抜きになる

とりあえず本編の書き溜めの方を優先させてるので、
おまけのせいで本編が進まないってことはないです

というわけで、もし、質問あるいは「こんな話が見たい」って要望があったら
軽ーい気持ちで書き込んでみてください

質問は、答えたくない・答えられないもの以外なら、なるべく答えます
小話の要望に関しては息抜きがしたくなったとき、暇が出来たときに多分書く
必ず書くわけではないし、「書けない」と思ったネタはスルーしそうだけども

そんな感じで良ければ、是非お願いします

647 名前:名も無きAAのようです:2011/10/09(日) 19:10:06 ID:.c2vWaZEO
デレが可愛すぎる
デレの小さい頃とかどんなんだったんだろうか

648 名前:名も無きAAのようです:2011/10/09(日) 19:24:21 ID:NLPv1m0A0
救われろデルタとトソンよ
そうじゃなきゃ許さんぞ!

649 名前:名も無きAAのようです:2011/10/09(日) 19:47:58 ID:MkGH/B/2O
デレと補習仲間のオワタ、またんきの会話とか見てみたい

650 名前:名も無きAAのようです:2011/10/09(日) 20:07:13 ID:Qfzfk0O.O
(*゚ー゚)の逆逆レイプを見てみたい気がしないでもない

651 名前:名も無きAAのようです:2011/10/09(日) 20:12:53 ID:yUoJ3vlMO
ビコーズと渡辺がラブラブだった時期を読んでみたいな

652 名前:名も無きAAのようです:2011/10/09(日) 20:23:34 ID:jwvYJWt2O
ニュッ君とデレを天国的なとこから見てるレモナさんに一言頂きたい

653 名前:名も無きAAのようです:2011/10/09(日) 20:55:17 ID:znO70h3.O
モララーのいい話が見てみたいです
モララー可愛いよモララー
あわよくば幼少時のまだかわいげがあったニュッくんとハローたんとモララーのやりとりも

654 名前:名も無きAAのようです:2011/10/09(日) 21:15:17 ID:S5s0HGkM0

そもそもデレの知力でニュッくんを理屈詰めで論破できるのか

655 名前:名も無きAAのようです:2011/10/09(日) 22:45:50 ID:QrY4TwQMO
あな恥ずかしや、厨二小説

656 名前:名も無きAAのようです:2011/10/09(日) 22:46:14 ID:PFsW1yWIO
ショボンとデレの絡みを…

657 名前:名も無きAAのようです:2011/10/09(日) 22:50:43 ID:8wgn0JTEO
>>655
が割と本気で気になるなww

658 名前:名も無きAAのようです:2011/10/09(日) 23:34:23 ID:IY/oTWlU0
>>655
演じるほうも見るほうもきついなw

659 名前:sage:2011/10/09(日) 23:53:58 ID:24xruZfk0
モナーとレモナの結婚生活が見てみたい

660 名前:名も無きAAのようです:2011/10/10(月) 06:52:52 ID:WPE2QtIU0
>>655
本の色は漆黒だろう

661 名前:名も無きAAのようです:2011/10/10(月) 10:34:56 ID:yZVROMSo0
>>660
題字は銀もしくは金の筆記体でな

662 名前:名も無きAAのようです:2011/10/10(月) 11:08:21 ID:JUdueHJc0
>>661
いや書体はブラックレターも捨てがたい

663 名前:名も無きAAのようです:2011/10/10(月) 11:37:48 ID:JuRLXZEoO
この中の何人かは枕に顔を沈めてバタバタともがく姿が目に浮かぶ…

664 名前:名も無きAAのようです:2011/10/10(月) 12:23:37 ID:qRzxbAlo0
作家は若き頃のビコーズ様だな

665 名前:※作者さんじゃないです 不快だったらごめんなさい:2011/10/10(月) 12:27:26 ID:JUdueHJc0
>あな恥ずかしや、厨二小説

ζ(゚、゚*ζ「あれ、ニュッさんが市販の本読んでる。珍しい」

( ^ν^)「あ? 読んでちゃ悪いかよ」

ζ(゚、゚*ζ「いや、なんか久しぶりだなー、と。どんな本なんです?」

( ^ν^)「あーそうだな、一言で言うと『モロ厨二』」

ζ(゚、゚;ζ「へ?」

( ^ν^)「『能力と魔法と言葉遊びと珍名と萌えキャラが飛び交う、大人になって本棚から出て来たらうああってなるタイプ』だな」

ζ(゚、゚;ζ「へ、へ〜……」

( ^ν^)「タイトルは『血華美人は夜開く』と『ディスティニー・ブラックシュガー』、及びその続編『ディスティニー・メレンゲホイpp」

( ^ω^)「おいそれ以上はやめろ。マジでシャレにならない勢いで各方面から怒られる」

666 名前:名も無きAAのようです:2011/10/10(月) 12:31:43 ID:LIUsctpMO
>>655
まさかのコラボwwwwwwwwww
たしかに俺もそれ考えたけどwwwwwwww

667 名前:名も無きAAのようです:2011/10/10(月) 13:04:35 ID:AjCxASYY0
生徒指導www

ホントにコラボしたら面白そうだけどな

668 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/10(月) 14:46:28 ID:562vf.fYO
>>665
おや、どこからか花園の麗騎士の香りがしてくる……
テルマ・ヒファーチェ・リッピラポッポ

669 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/10(月) 14:47:47 ID:562vf.fYO

>>647


〜デレ3歳・我が家にて〜


('、`*川「デレさん、いくつですか?」

ζ(゚ー゚*ζ「みっつー」
  _
(*゚∀゚)「おおおおっ! そうだぞ、デレは3歳だ! 天才だな!
     さすがペニサスさんの娘だ!」

('、`*川「あらあら。お母さん、デレさんの歳じゃなくて、
     この積み木の数を訊いたんですよ。ちなみに5個ですね。いつつですよー」

ζ(゚ー゚*ζ「? みっつ……」

('、`*川「えっと……じゃあ、このクレヨン、いくつですか?」

ζ(゚ー゚*ζ「でれ、みっつ」
  _
(*゚∀゚)「わあああ! 何てことだ! デレはたしかに3歳だ! すごいぞ!!
     さすがペニサスさんの娘だ!」

ζ(゚ー゚*ζ「わー」

('、`*川「……クレヨンは2本ですよう……」

('、`*川「じゃあ、じゃあ、お母さんの鼻、いくつありますか?」

ζ(゚ー゚*ζ「みっつ」
  _
(*゚∀゚)「その通りデレは3歳だ! えらいぞデレ!
     さすがペニサスさんの娘だ! 3歳なのにこんなに頭いい!
     デレとペニサスさん大好きぃいいいいいい!!」

ζ(^ー^*ζ「んー」

('、`*川「ジョルジュさんのせいですかね……」
  _
(*゚∀゚)「え? 何が? デレの頭の良さが?」

('、`*川「『いくつ』って質問に『みっつ』って答えれば喜ばれると学習してしまったことです」

670 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/10(月) 14:48:49 ID:562vf.fYO

〜デレ5歳・公園にて〜


ζ(゚ー゚*ζ ジー

('、`*川「……」

('、`*川(他の子達と遊ばずに、ずっと砂場の砂を眺めている……)

ζ(゚ー゚*ζ ナニ?

('、`*川(あ、男の子に話しかけられた)

ζ(゚ー゚*ζ ココラヘンノ スナツブ カゾエテタ

('、`*川(砂を数えてたんだ……無理だよデレさん……)

('、`*川(あら。一緒に遊ぼうって誘われてる)

ζ(^ー^*ζ カゾエオワッタラ アソボ

('、`*川(遊べないよ……いつまでも遊べないよデレさん……)

Σζ(゚ー゚*ζ

('、`*川(あ)

('、`*川(他の子が砂遊びに使ってたお水が、デレさんのテリトリーに流れた)

ζ(゚ー゚*ζ

('、`*川

ζ(゚ー゚*ζ

('、`*川

ζ(゚ー゚*ζ

('、`*川(呆然としてる……)

671 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/10(月) 14:49:31 ID:562vf.fYO

〜デレ7歳・授業参観にて〜


ζ(゚ー゚*ζ「『わたしのかぞく 1ねん2くみ ながおかデレ』」

ζ(゚ー゚*ζ「わたしには、お、おとうさんと、おかあさんがいます。
      おかあさんは、おとうさんのことを、じょるじゅさんと、よんで、
      おとうさんは、おかあさんのことを、ぺに、すさんと、よびます」

< ザワ……ザワ……

('、`*川(デレさん……)

672 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/10(月) 14:49:58 ID:562vf.fYO

〜デレ9歳・我が家にて〜


('、`*川「デレさん、お料理をしましょう」

ζ(゚ー゚*ζ「ん? いいよー」
  _
( ゚∀゚)「最近、やけにデレに手伝わせるね」

('、`*川「デレさんは可愛いし明るいし、とってもいい子だけど、
     残念ながら頭があんまり良くありません」

ζ(゚ー゚;ζ「!?」ガーン

('、`*川「私もジョルジュさんもお勉強を教えたり手伝ったりしてきましたけど、
     どうやらデレさんは根本的な部分で、……何だろうね、ぼやぼやっとしてますね」
  _
( ゚∀゚)(ペニサスさんには言われたくないだろうな……ぼやぼやって……)

('、`*川「なので、お勉強が苦手なら、他に得意なことを増やしてカバーしていってほしくて」

ζ(゚ー゚;ζ(はっきりと親から頭悪いって言われた……)ガーン

673 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/10(月) 14:51:02 ID:562vf.fYO

〜現在(第四話後編>>584の後辺り)・我が家にて〜


('、`*川「――という感じの子でしたねえ……」

(*^ω^)「おっおっお、それは可愛らしいお話で」

ξ゚听)ξ「デレは昔からデレなのね」

ζ(゚、゚*ζ(自分の昔の話とかやめてほしい……話にどうやって入っていいか分からない……。
      ていうか恥ずかしいだけでしかない……)
  _
( ゚∀゚)「モララー君、うどんのおかわりは?」

(*・∀・)「あ、いただきます!」

('、`*川「麺の量、どうします?」

(*・∀・)「さっきの半分くらいで」

('、`*川「分かりました」

(;^ω^)「ごめんなさいお、こいつ遠慮しない馬鹿で」

('ー`*川「いいんですよ」
  _
( ゚∀゚)「美味しいからね、遠慮しなくていいよ!」

ξ゚听)ξ「ええ、本当に、とっても美味しい」

ζ(゚、゚*ζ(やっと話題が変わった……)
  _
( ゚∀゚)「……そういえば、4歳のときのデレがね」

ζ( 、 ;ζ(もうやめてぇええええええ!!)

674 名前:名も無きAAのようです:2011/10/10(月) 15:16:45 ID:JrhobajU0
デレ可愛いよデレええええええ

675 名前:名も無きAAのようです:2011/10/10(月) 16:11:26 ID:.I6aubvgO
不覚にもデレにガチで萌えた
おとうさん、デレさんをボクにください!

676 名前:名も無きAAのようです:2011/10/10(月) 16:13:52 ID:K2SyL9dwO
リクエストまだ受け付けてるなら泥棒三人組のその後見てみたい

677 名前:名も無きAAのようです:2011/10/10(月) 16:19:50 ID:y0TRlaIQ0
お祖父さんが本に目覚めた理由をだな・・・

678 名前:名も無きAAのようです:2011/10/10(月) 17:36:44 ID:LIUsctpMO
なんでレモナはモナーに目を付けたの?人伝?

679 名前:名も無きAAのようです:2011/10/10(月) 18:02:35 ID:0SARlxP2O
>>1まじリク返ありがとう。
デレかわいすぎて頭ぶつけたイテェ
デレくださいニュッ君とセットで

680 名前:名も無きAAのようです:2011/10/10(月) 18:18:08 ID:JrhobajU0
いつぞやのモララーとデレのお着替えばったりハプニングを詳しく

681 名前:名も無きAAのようです:2011/10/10(月) 18:20:04 ID:0SARlxP2O
過去ログみて思ったんだが>>1が前書いてたブーン系小説読みたいんだが、誰か詳細キボンヌ

682 名前:名も無きAAのようです:2011/10/10(月) 19:14:33 ID:wnvozwpsO
>>681
1の酉で検索すれば酉別のまとめ出てくるよ

683 名前:名も無きAAのようです:2011/10/11(火) 03:54:34 ID:mTXsrpZsO
とそんなんてでてたっけ

684 名前:名も無きAAのようです:2011/10/11(火) 07:02:49 ID:tSGqVHSUO
デルタの嫁

685 名前:名も無きAAのようです:2011/10/11(火) 08:37:57 ID:K1d6GNy.O
>>681 
ここにほぼ全てまとめてある 
閲覧はモシモシでも大丈夫 
http://www.google.co.jp/gwt/x?guid=on&output=xhtml1_0&source=m&u=http%3A%2F%2Fboon.choitoippuku.com/index3.html&wsi=e6ecec63e4e27b5a&ei=3UKATt3BHoLakAWgkZWuCg&wsc=tb&ct=pg1&whp=30

686 名前:名も無きAAのようです:2011/10/11(火) 10:12:42 ID:mTXsrpZsO
でる…た…?最近記憶力が酷いらしい

687 名前:名も無きAAのようです:2011/10/11(火) 15:06:05 ID:LyrmHI9E0
そういやお題でほぼ即興で書くとかやってらっしゃったなぁ
すごいわほんま

688 名前:名も無きAAのようです:2011/10/11(火) 19:24:41 ID:R5i3U9ngO
>>686
でぃが書いた家族小説の回、兄者ことデルタの妻がトソンだよ

689 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/12(水) 22:05:59 ID:TYR3U/SEO

>>649

〜12月22日(冬休み補習初日)・10時半〜

(・∀ ・)「みんな帰っちまったな」

\(^o^)/「ビコーズ先生がいないからね。またんきは帰らないの?
      さっきからずっと問題集やってるけど」

(・∀ ・)「とりあえず本来の補習が終わる時間までは勉強しとくわ。
      俺は勉強するために来たわけだし」

\(;^o^)/「え……真面目……。この子ったら夏までの不真面目さはどこに行ったの……。
      遅刻サボりを繰り返して担任を困らせてたまたんき君はどこに行ったの……」

(・∀ ・)「うるせえやい。
      そういやお前、赤点とらなかったんじゃなかった? 補習希望したの?」

\(^o^)/「またんきじゃあるまいし。
      昨日ね、階段で捕まった。さっさと帰っときゃ良かった」

(・∀ ・)「ドンマイwwwww」

\(^o^)/「笑うなー」

(・∀ ・)「しっかし、みんな正直者だなあ。俺とオワタしか残ってないじゃん」

\(^o^)/「僕だって帰りたいけど、もしも後で先生が来たらと思うと、恐いじゃん……。
      あと、まだもう1人いるよ!」

(・∀ ・)「え? ……あ」

"ζ(゚、゚*ζ ペコリ

(・∀ ・)゙ ペコリ

(・∀ ・)(何さんだっけ。なんとか岡……。何組だったっけな。A組?)

(・∀ ・)(たまに図書室とかで見かけるけど、いっつも1人だよな。
      人付き合いとか苦手なんかな。……あ、でもアサピーとは楽しそうに話してたっけ。
      単純に友達いないだけ? ……そうだそうだ、長岡さんだ。アサピーがそう呼んでた)

(・∀ ・)(……そういや素直キュートと一緒のとこ何回か見たな。友達いないわけじゃないのか)

(・∀ ・)(素直キュートと仲いいなら、他にもたくさん仲間いそうなもんだけどなあ。
      結構可愛いし、喋ってるときは明るそうだったのに)

690 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/12(水) 22:07:09 ID:TYR3U/SEO

(・∀ ・)(あれか。『友達は選びます』ってタイプ?)

(・∀ ・)(わざわざ職員室まで行って先生の不在を確かめてきてくれたし、真面目な人だ。
      物凄く真面目で、そのせいでプライドが高かったりして。
      頭いい奴としか話したくありません、みたいな)

(・∀ ・)(ちょっと恐い人なのかも)

\(^o^)/「長岡さんは帰るの?」

ζ(゚ー゚*ζ「ううん。学校には残るけど、ここにいてもやることないから図書室行くよ。
      お勉強の邪魔しちゃっても悪いし」

(・∀ ・)(あれっ、オワタとは普通に話すんだ)

\(^o^)/「もし先生が来たら、呼びに行くよ」

ζ(゚ー゚*ζ「そう? お願いしちゃおうかな。それじゃあね」

\(^o^)/「はいはーい」

ガラガラ ピシャン

\(^o^)/「……またんき、何でずっと長岡さんにガン飛ばしてたの?」

(・∀ ・)「ガン? ――いやいや、違う違う。気になったから見てただけ。
      ほら、あの人、何かミステリアスじゃん」

\(^o^)/「え……」

(・∀ ・)「あの人も自分から補習に参加しに来たんかな」

\(^o^)/「長岡さんがミステリアス……? 自分から参加……?」

\(^o^)/(ああ、こいつ、中間の補習のときはいなかったんだっけ……。
      あれは赤点とった生徒だけが対象だったから……)

691 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/12(水) 22:07:42 ID:TYR3U/SEO

〜12月23日〜

(・∀ ・)「今日も来てない」

\(^o^)/「そして今日も僕ら以外帰っちゃったね」

ζ(゚、゚*ζ ガタン

\(^o^)/「長岡さんは図書室行くの? あ、今日も職員室見に行ってくれてありがとうね!」

ζ(゚ー゚*ζ「ううん、気にしないで」

(・∀ ・)(いい人なのか……?)

692 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/12(水) 22:10:59 ID:TYR3U/SEO

〜12月24日〜

(・∀ ・)「クリスマスー」

\(^o^)/「イーブ」

(・∀ ・)「そんでもって先生来てないー」

\(^o^)/「例によって僕らしか残ってなーい」

(・∀ ・)「今日に至っては5分経ったら即帰った奴すらいたー」

\(^o^)/「神をも恐れぬ所業ー」

(・∀ ・)「『君ね、5分しか待てないんですか? 躾の行き届いた犬だってもっと待てますよ。
      犬以下ですか? お手出来ます? おすわりは?』」

\(^o^)/「言いそうwwwww」

ζ(゚ー゚*ζ クスクス

Σ(・∀ ・)(俺らのやり取りで笑った……!?)

\(^o^)/「長岡さん、今日も?」

ζ(゚ー゚*ζ「うん、図書室。……そうだ、ありがとう、代わりに職員室行ってきてくれて」

\(^o^)/「女の子にばっかり行かせるのも申し訳ないしね!」

ζ(゚ー゚*ζ「気にしなくていいってば。じゃあ、一旦ばいばい」

\(^o^)/「一旦さよならー」

(・∀ ・)(……ははーん)

(・∀ ・)(あれだな? 照れ屋なんだな?)

(・∀ ・)(内気な性格で、馴れた人にだけは明るく話せるんだな?)

(・∀ ・)(なるほどなるほど。恋愛もののヒロインみたいだな)

693 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/12(水) 22:13:05 ID:TYR3U/SEO

〜12月25日〜

( ∵)「長岡さん、どういうつもりですか?
    赤点とって仕方なしに補習受けに来た生徒より遥かに間違いが多いですよ?
    何が起きたんですか?」

ζ(;、;*ζ「だって、だって、」

( ∵)「言い訳するんじゃありませんよ。
    まあ論理的に、かつ納得のいくように説明出来るものならしてごらんなさい。
    はいどうぞ」

ζ(;、;*ζ「ご、ごめんなさい、論理的とか無理です、頭悪いんです、
      言い訳しようとしてごめんなさいぃいい」

( ∵)「そういえば今日はクリスマスですが例の彼氏さんとはデートするんですか?
    今日も鼻フックプレイを楽しむんですか?」

ζ(;、;*ζ「プレイじゃないし楽しんでないしそもそも彼氏じゃないですぅううう」

\(^o^)/「やべえ……先生もしかして病み上がりなのかと思ってたけど、相変わらずじゃん……。
      寧ろ普段より若干ねちっこくなってるじゃん……。
      次は僕の番だよ恐いよ破裂しそうティウンティウンしそうオワタ」

(・∀ ・)「ああ、うん」

(・∀ ・)(めっちゃ泣いてるよ長岡さん。ていうか、かなり頭悪いんだ)

(・∀ ・)(そんで恋人いるんだ。鼻フックプレイとか随分マニアックだな。
      先生が知ってるくらいだから、かなりオープンなのか……?)

(・∀ ・)(……俺の中での長岡さんイメージが崩れていく……)



今気付いた。またんきとデレが会話してない

694 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/12(水) 22:14:57 ID:TYR3U/SEO

>>650

(*゚ー゚)「逆逆レイプ……?」

(*゚ー゚)「それは、その、何だ、私がいつものように……そうだな、例としてニュッちゃんを挙げよう」

(*゚ー゚)「いつものようにニュッちゃんにセクハラかましてたらニュッちゃんに反撃されて
     『ナメんじゃねえよ』とか言われてあっはんうっふんほにゃららら、
     な流れになるという、そういう……そういう……そういう……!」

( ^ν^)「このひときもちわるい」

(*゚ー゚)「でもニュッちゃんは腕力とか体力的に期待出来んな……。
     いくら男といえど、この貧弱っぷりはなあ。
     その辺の女よりは少しばかり強い『設定』にされてるしね、私」

(*゚ー゚)「腕力……クックルかな……? いや、あいつはどうあっても酷いことしそうにないし……」


キュピ----(*゚ー゚)----ン


(;*゚ー゚)「私がな! 館長にセクハラしてな!!
     それをツンに見付かってな!!」

(;*゚ー゚)「ぶっちぎれたツンにな!! 『同じ目に遭えば分かるのかしら』とか言われてな!!
     あの冷たい瞳と言葉でな!!!!!
     おいニュッちゃんどこ行くんだ最後まで聞けよ!! おい!!」

695 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/12(水) 22:15:40 ID:TYR3U/SEO

>>651

从'ー'从「奈良場くうん」

( ∵)「何ですか、渡辺さん」

从'ー'从「ドライブ行きたいなあ」

( ∵)「今からですか?」

从'ー'从「駄目?」

( ∵)「……まあ、いいですよ。行きましょうか」

从'ー'从「あっ、お買い物もしたいかも〜。いい?」

( ∵)「はあ」

从'ー'从「それとね、あそこにも行きたいし、あっ、あれ食べてみたいの、それとそれと〜……」

( ∵)「……」

从'ー'从「でね、でね」

从*'ー'从「最後は、奈良場君のお部屋に泊まっていきたいな……」

( ∵)「ええー……」

从'ー'从

从'ー'从(あ? 今、面倒臭そうな反応しやがったか?)

从'ー'从(餌ちらつかせてやったのに、こいつ……この私が泊まってやるっつってんだぞ)

从'ー'从(……清純派が好みなのか?)

696 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/12(水) 22:16:28 ID:TYR3U/SEO

从'ー'从「……ご、ごめん、ちょっと、急すぎたかな……」

( ∵)「ああ、お気になさらず」

从'ー'从「私ね、もっと奈良場君と仲良くなりたくて……焦っちゃったみたい」

从'ー'从「ちゃんと、ゆっくり付き合っていかなきゃね」

从*'ー'从「だから……ビコーズ君、って呼んでいい……?」

( ∵)「お好きなように」

从'ー'从

( ∵)

从'ー'从(こいつマジか。そのリアクションの薄さマジか。
     ていうかまさか、こっちの考えバレてるんじゃ……)

( ∵)(積極的に攻めたのが駄目と分かると、いきなり手を変えてきましたね。
    もしやもしやとは思ってましたが、これは……)

从'ー'从

( ∵)

( ∵)(面倒な奴と付き合っちまったなあ……)从'ー'从



ラブラブな時期なんてなかったんや

697 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/12(水) 22:18:13 ID:TYR3U/SEO

>>652

|゚ノ ^∀^)「あの女の子、ちょっと、お馬鹿さんね」

( ´∀`)(オマエモナー……)

|゚ノ ^∀^)「でもニュッ君が退屈じゃなさそうだし、いいんじゃないでしょうか」



>>678
人伝

貧乏な村に生まれ、仕事の手伝いやら何やらでちゃんとした教育を受けられずに育ち、
「お前は頭が悪いから、頭のいい人と結婚しなさい」「頭が良くて金のある人と結婚しなさい」
と親から散々言われてきた

ある日、「大量の本と一緒に暮らしている金持ち」の話を聞いて

本をいっぱい持ってる

頭いい

と解釈。モナーのもとに押しかける


というのを今考えた
小話形式で書く気力がなかった

698 名前:名も無きAAのようです:2011/10/12(水) 22:34:04 ID:7QkhWlW60
ああもう良い

699 名前:名も無きAAのようです:2011/10/12(水) 22:38:14 ID:Au3pURUY0
しぃの暴走がもうねwww

700 名前:名も無きAAのようです:2011/10/12(水) 22:59:18 ID:EJSmO8CQO
みんな良いキャラ過ぎてつらい

701 名前:名も無きAAのようです:2011/10/12(水) 23:21:44 ID:aErUmU/c0
頭悪いってのが可愛く思えるようになったな、これ読んでから。

702 名前:名も無きAAのようです:2011/10/12(水) 23:32:03 ID:4frtX/0kO
ビコーズと渡辺wwwww

703 名前:名も無きAAのようです:2011/10/13(木) 00:21:36 ID:CJNtCmpAO
(´・ω・`)あなる素晴らしや、生きた本のようです

704 名前:名も無きAAのようです:2011/10/14(金) 11:35:23 ID:quTAGqAA0
>>703
     ハ,,,,ハ
  (>=◎( ゚ω゚#) ぬーすんだバイクでおこーとわりー
  /_./ 〉⊂_ノ`  (´⌒(´≡
 〈/ )/__,ミ ≡≡≡(´⌒;;;≡≡
 (_/^´  (´⌒(´⌒   キーキキキキキッ

705 名前:名も無きAAのようです:2011/10/14(金) 14:13:34 ID:PHAlHIi.O
N| "゚'` {"゚`lリ あなる素晴らしや、男娼小説

706 名前:名も無きAAのようです:2011/10/14(金) 15:23:23 ID:7m9YF4AA0
N| "゚'` {"゚`lリ ( -◎∀◎)

        Σ(◎∀◎-;)彡 N| "゚'` {"゚`lリ

N| "゚'` {"゚`lリ ミ(;-◎∀◎)て

    N| "゚'` {"゚`lリ∀◎-;)彡

707 名前:名も無きAAのようです:2011/10/14(金) 17:19:01 ID:zuVl3Cmw0



( ∵)「…………」

( ∵)「ゴエェ……」

( ∵)「ゴエェェェェ」

( ∵)「ゴエェェェェ! ゴエェェェェェェ!」

( ∵)( ∵)「「ゴエェェェェ! カッハゴエェェェェェェ! ゴエゴエェェェェ! ゴエェェェェェェ!」」

( ∵)( ∵)( ∵)( ∵)( ∵)『ゴエェェェェ! ゴエェェェェェェ! ゴエェェェェェェ! ゴエェェェェ!! ゴエェェェェェェ!!!』(∵ )(∵ )(∵ )(∵ )(∵ )(∵ )






( -◎∀◎)「………という夢を見たんだが」

ζ(゚ー゚;ζ「モルd……じゃなくてアサピー先生、あなた疲れてるんですよ……」

(・∀ ・)(そろそろやべーなこのおっさん)

708 名前:名も無きAAのようです:2011/10/14(金) 18:21:22 ID:DqGK64soO
( ^ω^)「まさか……図書館の皆でカラオケとは……」

(*゚ー゚)「私いっちばーん!『エロティカ・セブン』歌います!」

ζ(゚、゚;ζ「古っ! 選曲古っ!」



 〜♪ 〜〜♪

(*゚ー゚)「んだよこれ……大して歌詞エロくねーじゃねぇか!」

( ^ν^)「しかも原曲を知らんという始末」

(*゚ー゚)「じゃあ『マンPの

ζ(゚ー゚;ζ「させるかァァ!」

(;゚ー゚)「あ! リモコン返せ!」

ζ(゚ー゚*ζ「えっと……なに歌おうかな……」

( ^ω^)「もうハロー歌ってるおー」

(*゚ー゚)「歌詞にセックスが入ってるやつな!」

ζ(゚、゚;ζ「ぜッたい、ヤダ!」

( ^ω^)「おーい」

709 名前:名も無きAAのようです:2011/10/14(金) 18:22:17 ID:DqGK64soO
(*゚ー゚)「隙あり!とうっ!」

ζ(゚ー゚;ζ「きゃッ!」

(*゚ー゚)「うっしっし、なに歌おうかしらねぇ…」



ハハ ロ -ロ)ハ「絶え間なく注ぐ愛の名をォー 永遠と呼ぶ事ができたならァァ〜…」


ζ(゚ー゚*ζ「残念、既にとられてます」

(;゚ー゚)「チキショォォォォォおおおおおお!!」

( ^ω^)「うっわすげぇハローらしい選曲」




 〜♪ 〜〜♪

ζ(゚ー゚*ζ「あ、これ聞いたことある!」

川*д川「誰かしら……」



(*・∀・)「マルマルモリモリみんな食べるよ〜♪」


( ^ν^)「うわ」

(*゚ー゚)「うわ」

ξ゚听)ξ「ないわ」

(*・∀・)「〜〜……」

( ・∀・)「……」

( ;∀;)

710 名前:名も無きAAのようです:2011/10/14(金) 19:41:26 ID:eH5RDkVgO
作者じゃないなら勝手に創作して書かない方がいい

711 名前:名も無きAAのようです:2011/10/14(金) 20:49:24 ID:dIJgXU72O
二次創作は他所でやりたまえ

712 名前:名も無きAAのようです:2011/10/14(金) 20:54:54 ID:gs0JvvIA0
昔は作者以外が作品投下することはよくあったのに…変わったなぁ

713 名前:名も無きAAのようです:2011/10/14(金) 21:30:54 ID:XIvCRXpUO
別に二次創作なんぞ気にせんが
作者に許可とるくらいの礼儀はあるんじゃないか?

714 名前:名も無きAAのようです:2011/10/14(金) 21:53:51 ID:eEHUL7Ns0
キャラが少しでも違うと違和感を感じるんだよなあ
やめろとは言わないがせめて本人に確認取ってからにしてほしい

715 名前:名も無きAAのようです:2011/10/14(金) 23:25:23 ID:BXquzA8AO
絵だって勝手に擬人化して投下するんだ
SSだってイイジャナイカ お堅くなりなさんな

716 名前:名も無きAAのようです:2011/10/14(金) 23:40:55 ID:DqGK64soO
なんか俺のせいですまん

717 名前:名も無きAAのようです:2011/10/14(金) 23:55:34 ID:6IfdAo660
モララー可愛いから許しちゃう

718 名前:名も無きAAのようです:2011/10/15(土) 00:13:48 ID:gsJgK.0E0
別に作者さんじゃないのは一目見ればわかることだし目くじら立てることもないんでねーの

719 名前:名も無きAAのようです:2011/10/15(土) 01:26:00 ID:Uzf2ReF6O
まぁ、二次創作程度なら別に怒るほどでもないな。
ただのっとりかと思ってビックリしちゃうから、>>665みたいに断りを入れた方がいい。
もちろん作者さんの意志が一番だけど。

720 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/15(土) 02:16:41 ID:ANVQpctUO
初期(?)の頃は、一つのスレに色んな人が書く、って形式の作品が多かったですね
とはいえ今はやっぱり勝手が多少は違ってきてまして

長かったり、乗っ取ったり、本編と同じ扱いにしたり、別にスレ立てちゃったり、
他者に著しい不快感を与えたり、ってのでなければ、あまり気にしません
>>665のように、作者でないことを一応明記していただけるとありがたいです

頻度が高くて二次創作のレスばかりになられると、それはそれで、ちょっと困ってしまいますが。
ていうか、こういうのも二次創作って言うんだろうか?

まあ要するに、何でしょうね、真面目な話とか苦手なんで一旦うんこ漏らします



うんこ漏らしたところで本題に戻りますが、
節度を守ってくれる範囲の内容・頻度ならば、書いちゃってもいいです

ただしリアクションに困っちゃうのも事実なので、スルーしてしまうかもしれません

本当は、ゆるーくゆるーく行きたいところではありますが、
あまり緩くしすぎると、また何かしらの問題が発生してしまいそうで恐い
なので、これくらいの結論でいかがでしょうか

結局は皆さんの良識ある判断に任せる形になってしまいます
締まりのない作者で申し訳ありません。態度的にも肛門的にも

721 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/15(土) 02:19:38 ID:ANVQpctUO

>>653

〜10年前〜

(;*^ν^) ケホ、ケホッ

ξ゚听)ξ「おかゆ食べる? いるなら作ってくるけど」

(;*^ν^)「いらない……」

(;^ω^)「ちゃんとご飯食べなきゃ駄目だおー」

(;*^ν^)「食欲ない……」

ξ;゚听)ξ「……ううーん」


 |ロ -ロ)ハ
 |・∀・)  ジーッ


ξ゚听)ξ「……あ。こらっ、ハロー、モララー。来るなって言ったじゃない」

 |ロ -ロ)ハ「ワタシもニュッ君の看病シタイー」

 |・∀・)「俺もー」

ξ゚听)ξ「あんた達、おとなしくしてらんないでしょ」

( ^ω^)「病人の傍で騒がれても困るお」

 |ロ -ロ)ハ ケチンボ
 |・∀・)  チェーッ

722 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/15(土) 02:20:32 ID:ANVQpctUO

パタン


ハハ ロ -ロ)ハ「風邪ッテ、どれくらい辛いんデショウ」

( ・∀・)「さあ……。どんな風になってどんな風に苦しいかは知ってるけど、
      実際に体験したことはないからなあ……」

ハハ ロ -ロ)ハ「そうデスネ……。デモ、ワタシにだって、看病くらい出来マス」

( ・∀・)「俺だって出来るよ。なのにツンとブーンばっかり……」

( ´∀`)「最年少共、ニュッの部屋の前で、何をこそこそしてるモナ」

ハハ ロ -ロ)ハ「ア、おじいちゃん」

( ・∀・)「あのね、あのね、」

( ´∀`)「まあ、どうせニュッの様子を見に来て、ツンにでも追い出されたモナね」

( ・∀・)「……うん」

( ´∀`)「ツンが正しいモナ。お前らはただでさえ喧しいのに、
       2人揃ったら、うるさいどころの騒ぎじゃないモナ」

(´・∀・)ハハ´ロ -ロ)ハ シューン

723 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/15(土) 02:21:20 ID:ANVQpctUO

< ギャアギャア


( ・∀・)「?」

( ´∀`)「……言ってるそばからニュッの部屋で騒いでるのは誰モナか」

バタン!!

ξ;゚听)ξ「どいたどいた!」

ハハ ロ -ロ)ハ「ツン、どうしたノ?」

ξ;゚听)ξ「嫌な予感がしたからブーンにも熱測らせたら、38℃もあったの!」

(;^ω^)「ああっ、熱があるのを自覚したら急に具合が悪く……」

( ・∀・)「風邪?」

ξ;゚听)ξ「多分そうだけど……念のため、お医者様に診てもらわなきゃ」

( ´∀`)「車出すモナ?」

ξ;゚听)ξ「モナーさんはニュッ君とブーンの近くにいちゃ駄目! 歳が歳なんだから」

( ´∀`)「はいはい」

724 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/15(土) 02:22:08 ID:ANVQpctUO

ξ;゚听)ξ「ショボンって免許とってたっけ? 呼べる?」

(;^ω^)「あいつかお……あっ、ちょっとツンさん、そんな男らしく担ぐの? 僕歩けるお?」

ξ;゚听)ξ「ニュッ君の方は――誰か、手が空いてる人いる?」

(*・∀・)ノ ハハ*ロ -ロ)ハノ

ξ;゚听)ξ「あんたら以外!」

( ´∀`)「しぃとでぃは買い出し、デミタスは執筆で篭ってるモナ」

ξ;゚听)ξ「じゃあ貞子とクックルね」


バタバタ……

< 貞子ー、クックルー!


( ・∀・)「……ブーンも風邪かあ……」

( ´∀`)「季節の変わり目だから――、っけほ」

( ´∀`) ゴホッ、コホン

ハハ ロ -ロ)ハ「おじいちゃんモ風邪?」

( ´∀`)「……いや、違うモナ。ただの咳払いだから、気にしなくていいモナよ」

ハハ ロ -ロ)ハ「ふうん……」


*****

725 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/15(土) 02:22:38 ID:ANVQpctUO

〜厨房〜

川д川 グツグツ

( ・∀・)「雑炊? いっぱいだね」

川д川「ブーンとニュッ君で2人分だからねえ……」

ハハ ロ -ロ)ハ「ニュッ君、食欲ないッテ言ってた」

川д川「もしかしたら、後でお腹すくかもしれないでしょ……。
    ……もう、ちょろちょろしないでよお、邪魔くさい……」

( ・∀・)「何か手伝うー」

川д川「じゃあ、お味噌とって……」

( ・∀・)「はい!」

川д川「生姜湯も作ろうかしらあ……それともレモネード……」

( ゚∋゚)「貞子ー」

川д川「はあい……」

( ゚∋゚)「今ツンから電話があったんだが、
     病院がなかなか込んでて、まだ時間がかかりそうなんだと。
     それでだな、みんなの分の昼食と洗濯、済ませておいてくれないかって」

川д川「分かったわあ……」

( ゚∋゚)「洗濯、俺がやっとこうか」

川д川「クックルはニュッ君についててあげて……。……あんた達、お昼ご飯、何がいい……?」

ハハ ロ -ロ)ハ「簡単なのでいいデスヨ。……ブーン、大丈夫カナ」

川д川「どうかしらねえ……」

( ・∀・)「あ」

シトシト……

( ・∀・)「雨……」


*****

726 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/15(土) 02:23:13 ID:ANVQpctUO


( -∋-) ウツラウツラ

(;*^ν^) ケホケホ

(;*^ν^)(額のタオル、ぬるくなった……)

( -∋-)

(;*^ν^)(……新作書き上げたばっかで、まだ疲れてんのかな)


ザァ----……


(;*^ν^)(雨強くなってきた)

(;*^ν^)(……なんか寂しい……)

(;*^ν^)(何か、足りない……)


カチャッ

 |ロ -ロ)ハ
 |・∀・)  ヒョコッ


(;*^ν^)「あ」

727 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/15(土) 02:23:54 ID:ANVQpctUO

 |・∀・)「……クックルは?」

(;*^ν^)「寝てる」

 |ロ -ロ)ハ「あややや。してほしいコトありマスカ?」

(;*^ν^)「……タオル冷やして」

 |≡≡ハハ*ロ -ロ)ハ「よしキタ!」

 |≡≡(*・∀・)「俺達の出番!」

(;゚∋-)「……んっ?」

ハハ ロ -ロ)ハ「アッ、起きちゃった」

(*・∀・)「構うもんか! やれー!」

(;゚∋゚)「おおっ。何だお前ら、騒ぐな騒ぐな」

ハハ ロ -ロ)ハ「洗濯物の量が多くて貞子が手間取ってるカラ、クックル手伝ってキテ!
      ニュッ君はワタシ達が見るカラ!」

(;゚∋゚)「あ、ああ……うん?」

( ・∀・)「ほらほらー」グイグイ

(;゚∋゚)「わ、分かった分かった、押すな。……ニュッ君の前でうるさくするなよ?」

ハハ ロ -ロ)ハ「シーマーセーンー」グイグイ

(;゚∋゚)「何かあったら呼べよ」

( ・∀・)「わーかってるってー。はい行ってらっしゃい!」

バタンッ

(*・∀・)「タオル絞るー!」

ハハ ロ -ロ)ハ「モララー、しーっ」

(*・∀・)「はあーい」

ハハ ロ -ロ)ハ「そしてワタシが絞りマス」

(;・∀・)「ずるいっ!」

(;*^ν^)(もう既にうるさい……)

728 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/15(土) 02:24:29 ID:ANVQpctUO

ハハ ロ -ロ)ハ∽ ギューッ

ハハ ロ -ロ)ハつ□「ハイ、ニュッ君」

(;*^ν^)「ん」

(*・∀・) ソワソワ

ハハ*ロ -ロ)ハ ソワソワ

(;*^ν^)「……なに?」

(*・∀・)「他にすることある?」

(;*^ν^)「別に」

ハハ ロ -ロ)ハ「エー」

ハハ ロ -ロ)ハ「……そうだ、アノネ、ゼリー持ってきマシタ!
      お雑炊は食べられなかったケド、ゼリーならどうデスカ?」

(;*^ν^)「……いる」

ハハ*ロ -ロ)ハ「ホント!? 待ってネ、待ってネ、――ハイ、アーン!」

(;*^ν^)「自分で食べれる」

ハハ*ロ -ロ)ハ「いいカラいいカラ」

(;・∀・)「ハローばっかり看病っぽいことしてる!」

ハハ ロ -ロ)ハ「アナタとワタシの差デス」

(;・∀・)「出来の違いだとでも言いたいのか……!? 俺とハロー、大して違わないからな!」

729 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/15(土) 02:25:24 ID:ANVQpctUO

ザァ----…… カッ

(;・∀・)「わっ、光った」

ハハ ロ -ロ)ハ「雷デスネ」

ゴロゴロ……

( ;∀;)「ちょ、恐、うわあっ! 恐い! ハロー、手握って!」

ハハ ロ -ロ)ハ「今両手トモ塞がってマス」

( ;∀;)「じゃあニュッ君!」ギュッ

(;*^ν^)(こいつ何しに来たんだろう)

(;*^ν^)(……あ)


     ――大丈夫大丈夫、お薬飲んだから、寝たらすぐ治るよ

     ――ニュッが起きるまで、お母さんが手握っててあげるからね……


(;*^ν^)(……)

ハハ ロ -ロ)ハ「ワタシもニュッ君と手繋ぎターイ! ニュッ君早くゼリー食べて早く」

(;*^ν^)「むぐ、んぐぐぐ」

( ;∀;)「詰め込むなよ……」

(;*^ν^) ゲホッゲホッ

ハハ;ロ -ロ)ハ「噎せた! ごっ、ゴメンナサイ、ゴメンね、ニュッ君」

(;*^ν^)「……」

(;*^ν^)「ありがとう……」

( ;∀;)ハハ ロ -ロ)ハ「?」

( ;∀;)「今、何にお礼言ったの?」

ハハ ロ -ロ)ハ「サア……」


*****

730 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/15(土) 02:26:36 ID:ANVQpctUO


カチャ

( ´∀`)(もしやモララー達、ニュッのところに押しかけてるんじゃ……)

( ´∀`)「……」


(*-∀-)(*‐ν‐)ハ(ロ- ロ*ハハ スヤスヤ


( ´∀`)「ガキ共、仲良く手なんか握ってお昼寝モナか」

( ´∀`)「随分と平和なことで」

( ´∀`) ゴホッ、ゴホッ……

( ´∀`) ハァ

( ´∀`)(――最近、咳の量が増えてきたモナ)

( ´∀`)(……僕は、いつまで、こいつらを見ていられるモナかね)


バタバタ

< クックルー、ブーン運ぶの手伝ってー!


( ´∀`)「おや、あっちのガキ共のお帰りモナね」


キィ

パタン



終わり


何か調子乗って長くなった
そして然程モララーのいい話なわけでもない

731 名前:名も無きAAのようです:2011/10/15(土) 02:41:26 ID:3yQ4lVCA0
3人とも可愛いなぁ

732 名前:名も無きAAのようです:2011/10/15(土) 07:54:07 ID:gsJgK.0E0
こんなニュッくんがどうして今のニュッくんに……













ああ、(´・ω・`) ←こいつのせいだった

733 名前:名も無きAAのようです:2011/10/15(土) 08:25:53 ID:KUPiIApQO
>>721>>730
ありがとうまじでありがとう
うおおおお最年少組可愛えええええええええええええええええ

734 名前:名も無きAAのようです:2011/10/15(土) 08:39:34 ID:P5WtWerg0
あな恥ずかしや、厨二小説 はまだかい?

735 名前:名も無きAAのようです:2011/10/15(土) 09:32:14 ID:.KrfvIHkO
あな可愛らしや、幼き頃の三人

736 名前:名も無きAAのようです:2011/10/15(土) 12:05:17 ID:J1pkVmUsO
ツンさんならクックルに手伝ってもらわなくても一人で運べるじゃないですか力持ちですしハハハあれちょ

737 名前:名も無きAAのようです:2011/10/15(土) 13:32:39 ID:eAoJY7jM0
やっぱりキレが全然違うな

738 名前:名も無きAAのようです:2011/10/15(土) 14:00:34 ID:0n4e9fRk0
まあ作者がこういってんだし、あんまり騒ぐなよお前ら
あんまり作者以外が書きはじめても、見てる側には微妙だが

まあなんだ、とりあえず作者のケツから節度守れよww

739 名前:名も無きAAのようです:2011/10/15(土) 14:38:05 ID:UwWJSX7Y0
実力差が如実に表れてるな

740 名前:名も無きAAのようです:2011/10/15(土) 21:59:01 ID:8AL3vcdo0
こんなにほっこりできるなんて幸せ。ありがとう

741 名前:名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 16:01:09 ID:HobEZG6I0
たまにはこう、デレとニュッくんの立場が逆転してるのとか見てみたいなぁ

742 名前:名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 16:12:06 ID:N4MEp5EQO
>>471
人格が入れ替わったーなら面白そう

743 名前:名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 16:33:04 ID:xeCCy9xEO
デレの姿したニュッくんに兄ちゃんキモいとか言われて興奮するブーンの姿しか見えんな

744 名前:名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 17:32:37 ID:hdyBebysO
だったらこう、しぃがデレと入れ替わってニュッ君をさ……。

……ハッ! そうか、しぃとキュートが入れ替わった結果が、
あの伝説の嘘、「あないやらしや、官能小説」……!!

745 名前:名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 17:36:26 ID:HobEZG6I0
違うんだよそーじゃなくてさ
流石の俺でもこれはマジで悪かったと思ってる→じゃあとりあえず土下座でも→!?
みたいなさ そーいうんだよ
中身入れ替わるもの面白そうだけどさ

746 名前:名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 17:40:06 ID:4pWP8F2k0
>>529でショボンのつっこみがなく、更にデレが追い打ちをかける感じか

747 名前:名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 20:43:55 ID:CcW8fT860
ショボンとデレが入れ替わって
頭が悪いショボンと下劣なデレが出来るのか・・・

748 名前:名も無きAAのようです:2011/10/16(日) 23:05:15 ID:Bh6YsN2gO
>>747
ニュッ君がショボンに鼻フックか

749 名前:名も無きAAのようです:2011/10/17(月) 08:04:59 ID:Aiw/tEW60
>>748
誰得

750 名前:名も無きAAのようです:2011/10/17(月) 13:01:41 ID:m8Y592LY0
>>749
俺徳

751 名前:名も無きAAのようです:2011/10/17(月) 15:09:53 ID:.0r5AM2A0
ミステリーとか恋愛とかサスペンスなど色々有ったけど

ブーン系は無いのか・・・('・ω・`)

752 名前:名も無きAAのようです:2011/10/17(月) 15:41:34 ID:kxX8R5tE0
あな素晴らしや、ブーン系小説

753 名前:名も無きAAのようです:2011/10/18(火) 10:05:11 ID:vA/.IBAYO
たまにはデミタスのオマケも

754 名前:名も無きAAのようです:2011/10/18(火) 21:47:57 ID:lwVxoOnE0
待ってる間にせいとかい読んできた
すごく面白かったよ
結局ジョルジュはノーマルに
戻れたんだろうか…

755 名前:名も無きAAのようです:2011/10/19(水) 01:09:56 ID:K48zu0TcO
またせいとかいとのコラボ読みたいなー

756 名前:名も無きAAのようです:2011/10/19(水) 13:18:17 ID:5/xI4n.2O
急かすつもりはないけど、進捗状況はどんなもんなんだろ。
楽しみにしてるぜ。

757 名前:名も無きAAのようです:2011/10/19(水) 18:18:09 ID:zj0chBq.O
>>756
割とさくさく書けてます
本編の書き溜めが捗ると小話が書けなくなって、書き溜めが滞ると小話の投下が増えるという分かりやすさ

今週中は難しそうですが、来週には最終話後編投下出来そうな予感
投下が遅れてしまってすみません

758 名前:名も無きAAのようです:2011/10/19(水) 18:44:00 ID:ZvF.pIBwO
来週には終わってしまうのか…
楽しみだけど悲しいなぁ

759 名前:名も無きAAのようです:2011/10/19(水) 18:50:44 ID:7qkj7RKY0
次回作があるさ

760 名前:名も無きAAのようです:2011/10/19(水) 19:33:39 ID:.tSTjVCk0
エピローグと番外編があるって信じてる

761 名前:名も無きAAのようです:2011/10/19(水) 20:07:00 ID:R9/Eiol20
何を言っているんだ
やっとプロローグが終わるんだろ?

762 名前:名も無きAAのようです:2011/10/19(水) 20:21:17 ID:5/xI4n.2O
>>757
多少時間かかっても、納得行くまで推敲してくれ。
頑張って下さいな。
番外編には俺も期待しようw

763 名前:名も無きAAのようです:2011/10/19(水) 23:54:49 ID:Z1kk.ow.0
早く投下きてほしい!
でも来たら終わっちゃうから来てほしくない! ふしぎ!

764 名前:名も無きAAのようです:2011/10/20(木) 23:23:15 ID:fnHnnsys0
音声化したいわー

765 名前:名も無きAAのようです:2011/10/21(金) 19:15:02 ID:4v1aO6GY0
>>764
まじでやめてくれ。この作品の良さが損なわれる

766 名前:名も無きAAのようです:2011/10/21(金) 20:37:00 ID:3qO6u8JsO
必ず現れる一種の社交辞令みたいなもんだから、過剰反応するなよ

767 名前:名も無きAAのようです:2011/10/21(金) 22:27:29 ID:37kZfsmM0
ゲーム化したい音声化したいアニメ化したいって言い出す輩があんまりいないのがブーン系の良いとこだよな
SSだとすこーし面白いとすぐ大勢言い出していろいろとおかしくなる
漫画化みたいに一人で完成するのはいいけど

768 名前:名も無きAAのようです:2011/10/21(金) 23:03:42 ID:xVtA9yfU0
>>767
SSの場合それでガチで書籍化とかしちゃったりもするからあながち悪いことでもないんだけどね
土壌の違いという他はないか

769 名前:名も無きAAのようです:2011/10/21(金) 23:14:06 ID:LyUbs8oMO
まおゆうのことかー

770 名前:名も無きAAのようです:2011/10/21(金) 23:19:11 ID:37kZfsmM0
ブーン系も書籍化したらそれなりに売れるだろうし
書き手も増えるだろうしウハウハなのになー
〇らチーみたいにニワカが増えて大変なことにもなりそうだけど

771 名前:名も無きAAのようです:2011/10/22(土) 00:28:14 ID:dltACqCgO
たらチー食べたい

772 名前:名も無きAAのようです:2011/10/22(土) 08:39:30 ID:k.v2B5f60
何か荒れそうな予感だからもうその話は終わっとけ

773 名前:名も無きAAのようです:2011/10/22(土) 09:11:23 ID:zpG80cPAO
終わっても番外編とかで長く続いてくれたらな…

774 名前:名も無きAAのようです:2011/10/22(土) 12:44:33 ID:4Es9uhCkO
有終の美

775 名前:名も無きAAのようです:2011/10/22(土) 13:32:43 ID:yDvkUxqgO
せいとかいもそうだったけどキャラに個性を持たせるのが本当に上手いな
だからこの作品が終わってもまた新作を書いてほしいわ、ゆっくりでいいから

776 名前:名も無きAAのようです:2011/10/24(月) 19:00:28 ID:M3KfBBEgO
せいとかい読んできたよ
主の小説、惹き付ける面白さがあるな
読んでて辛くならない

777 名前:名も無きAAのようです:2011/10/25(火) 09:07:57 ID:XGuSot1.0
主(笑)

778 名前:名も無きAAのようです:2011/10/25(火) 09:34:51 ID:ZkQsDxUAO
あな素晴らしや、主のブーン系小説

ですね、わかります

779 名前:名も無きAAのようです:2011/10/25(火) 19:59:56 ID:uMIVaBgc0
くさいな

780 名前:名も無きAAのようです:2011/10/25(火) 20:01:03 ID:4/mi4V320
ごめん屁したわ

781 名前:名も無きAAのようです:2011/10/25(火) 21:35:20 ID:BwbQnZH.O
>>780
( ^ν^)「死ね」

782 名前:名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 17:02:06 ID:.YKatrsQ0
今週中に終わるかもしれない訳だが

783 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/26(水) 18:18:37 ID:luFfT2LwO

最終話後編&エピローグ、土曜日の17:00頃から投下予定

時間は早まったり遅くなったりする可能性有り
場合によっては投下日が改められる可能性も

くっっっそ長くて読む方が大変だと思うので、ふと気付いたときに覗きに来るくらいが丁度いいかと
ふらっと来て、ちらっと支援とか置いていってくれると嬉しいです


どれくらい長いかっつったら、分量で言えば、第六話の前中後編全部合わせたのより少し多いくらい
推敲の段階で減らそうと思ったのにどんどん増える絶対おかしい

もしかしたら、切りのいいところで一旦区切って、翌日の夜に残りを投下って形になるかもしれません

784 名前:名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 18:23:01 ID:oFIMl0860
長い分には大歓迎だ
今週で終わるのか…。嬉しいような悲しいような…

785 名前:名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 18:53:51 ID:fQvp9lBs0
そうか終わるのか寂しくなるな
いくらでも支援してやんよ

786 名前:名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 18:58:52 ID:5.I01ZK6O
めちゃくちゃ長くなっていいよ
その文沢山支援するわ

787 名前:名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 19:07:29 ID:5ohoAmysO
週末で楽しみが減ると思うと悲しくて眠れん
延長してもらってかまわないよ全然、寧ろ引っ張ってくれ

788 名前:名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 19:32:26 ID:UK48mpoE0
把握した
全力で支援するお

789 名前:名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 21:44:28 ID:x0yAjtoA0
スレ内に終わらんな

790 名前:名も無きAAのようです:2011/10/26(水) 22:06:29 ID:lGCGt6NsO
待ってる
長い分には当方一向に構わんぜよ
ただ、投下で無理はしないでな

791 名前:名も無きAAのようです:2011/10/27(木) 08:19:37 ID:SW4ornTo0
このスレで終わるかな……

792 名前:名も無きAAのようです:2011/10/27(木) 14:16:11 ID:0JIWqmNY0
力の限り支援!

793 名前:名も無きAAのようです:2011/10/27(木) 16:19:08 ID:SyouwpqQO
長くなる分にはいいが、寂しくなるな
土曜日またくるよ

794 名前:名も無きAAのようです:2011/10/28(金) 00:07:53 ID:t3ke2LfMO
楽しみがまた一つ減るのは残念だなー
全力で支援

795 名前:名も無きAAのようです:2011/10/28(金) 00:30:42 ID:q7z/8L2YO
支援込みだとスレ内じゃ終わらないだろうなー
楽しみ

796 名前:名も無きAAのようです:2011/10/28(金) 05:20:45 ID:UAHBv5es0
次スレまで行く→スレ余る→オマケ投下!

797 名前:名も無きAAのようです:2011/10/28(金) 11:22:14 ID:jlK7CGdQO
楽しみすぎて眠れん

798 名前:名も無きAAのようです:2011/10/28(金) 11:22:37 ID:HP2vwgyY0
乙を言わせず1000ピッタリで完結するレジェンド

799 名前:名も無きAAのようです:2011/10/28(金) 11:58:58 ID:ffTHuAygO
明日忙しいから今の内に記念カキコ

800 名前:名も無きAAのようです:2011/10/28(金) 12:06:52 ID:RhtEZjLQ0
>>796
そんな感じになるんじゃね
オマケはともかく言いたいこともあるだろうし

なんだかんだで次スレも埋まるだろ

801 名前:名も無きAAのようです:2011/10/28(金) 15:50:55 ID:SEe/fHWg0
いよいよ明日か
終わるのは残念でもあるが、楽しみ

802 名前:名も無きAAのようです:2011/10/28(金) 23:35:24 ID:soTiVh0MO
スレ埋まる→次スレ→おまけ→おまけ途中で次スレ埋まる→さらに次スレ

無限ループって怖くね?

803 名前:名も無きAAのようです:2011/10/28(金) 23:39:23 ID:ULILeNXo0
あんまりプレッシャーかけんなよ

804 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 00:34:10 ID:Zg/h4Gmw0
ついに今日くるぞー( ´ ▽ ` )
wltk

805 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 06:36:59 ID:3F/uDnRQO
今日かー…
さみしくなるな。

806 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 08:41:34 ID:6JQ5aZqwO
今日に限って深夜まで仕事…
今のうちに支援

807 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 10:21:36 ID:mKOr4iJIO
今日に限ってバイトだ…
今日やっと投下か、最終話とか寂しくなるな

808 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 11:42:14 ID:BmINyCJI0
リアルタイムで見れないのが残念だ…

809 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/29(土) 11:58:51 ID:7KP.TRzkO

>>654

ζ(゚ー゚;ζ「えっと、その、……」

( ^ν^)

ζ(゚ー゚;ζ「……」

( ^ν^)

ζ(゚ー゚;ζ「ニュッさんは意地悪です……」

( ^ν^)「で?」

ζ(゚ー゚;ζ

( ^ν^)

ζ(゚、゚;ζ

( ^ν^)

ζ(;、;*ζ

(;^ω^)「こら、デレちゃん苛めないの!」

( ^ν^)「そっちから喧嘩売ってきたんだが」

810 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/29(土) 11:59:28 ID:7KP.TRzkO

>>655

(;^ω^)「っぐわ! ……くそ、また暴れ出しやがった……!」

ξ゚听)ξ

(;^ω^)「奴らがまた近付いてきたみたいだな……」

ξ゚听)ξ

(;^ω^)「こんなときにまで……しつこい奴らだ」

ξ゚听)ξ「何してるの」

( ^ω^)「っふ……邪気眼を持たぬ者には分かるまい……」

ξ;゚听)ξ

( ´∀`)「ちょっと、『本』に触っちゃったんだモナ。
       面白いから放っとけモナ」

ξ;゚听)ξ「どんな本に演じさせられたらこんなことに……」

( ´∀`)「前にも思ったけど、こいつ、演じさせられるときは
       とことん役になりきってしまうみたいモナね」

(;^ν^)「兄ちゃん……」

(;^ω^)「が……あ……離れろ……死にたくなかったら早く俺から離れろ!!」


*****


( ^ν^)「――ということがあったな、昔」

ζ(゚、゚;ζ「へ、へえ……」

ξ゚听)ξ「3日間くらいそのままだったわね。勿論学校でも」

(  ω )「あああああ! ああああああああ!! あああああああああああああああ!!!!!」

811 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/29(土) 12:00:05 ID:7KP.TRzkO

>>656

(*´゚ω゚`)「げひゃひゃひゃひゃひゃひゃwwwwwww
      デレちゃああああん。デぇえええレちゃああああああああああんwwwwwwwwww」

ζ(゚、゚;ζ「ひぃいいい、酔ってらっしゃる!!」

(*´゚ω゚`)「しゃぶれよ! おら!! しゃぶれよ!!!!!」

ζ(;、;*ζ「や、やめてください、焼き鳥を押しつけないでください!!」

(*´゚ω゚`)「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

ζ(;、;*ζ「うっ、ううっ、顔面が……顔面が焼き鳥のタレまみれに……」

(*´゚ω゚`)「王w様wゲームwww」

ζ(;、;*ζ「何か始まった……」

(*´゚ω゚`)「割り箸引いて割り箸wwwww」

ζ(;、;*ζ「2人だけで王様ゲームって……」

(*´゚ω゚`)「右のが当たりだから引くなよ? 引くなよ? 分かってるよな?」

ζ(;、;*ζ「しかも圧力かけられた」

(*´゚ω゚`)「王様おーれだ!!」

ζ(;、;*ζ「でしょうね」

(*´゚ω゚`)「しかも裸の王様でした!!」

ζ(;、;*ζ「意外な新事実とかいいから……うわっ脱ぎ始めた!
      やめっ……いやいやいやいや裸の王様もパンツは履いてましたって!!
      脱ぐな! 脱っ……、……ツンちゃーん! ツンちゃん助けてぇえええ!!」

812 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/29(土) 12:00:53 ID:7KP.TRzkO

>>659

( ´∀`)「何十年も共に暮らしてきたモナが」

|゚ノ ^∀^)「なあに?」

( ´∀`)「ちっとも料理が上達しないモナね、お前は」

|゚ノ ^∀^)「そうですねえ」

( ´∀`)「『そうですねえ』じゃないモナ。
       10回作ってやっと一回上手くいく程度だなんて話にならないモナよ。
       本当、僕がいなかったら嫁の貰い手もなかったんじゃないモナか」

|゚ノ ^∀^)「逆に言えば、お料理が下手だったからモナーさんの妻になれたということに」

( ´∀`)「ならん」

( ´∀`)「……ああ、もう、何モナ、この目玉焼き。白身と黄身の区別がつかんモナ」

{´┴`}「僕、料理が上手い人と結婚する……。
     それで息子が生まれたら、料理上手な人を嫁にしろって言い聞かせるんだ……」

( ^^ω)「僕もそうするホマ……」

|゚ノ*^∀^)「それは、とてもいいことね!」

( ´∀`)「遠回しに嫌味言われてるのに気付けモナ」

{´┴`}「でも父さんって、お金有り余ってるくせにお手伝いさんとか雇わないよね」ヒソヒソ

( ^^ω)「たしかに……。誰か雇えって姉さんが散々言ってるのに」ヒソヒソ

|゚ノ ^∀^)「おかわりは?」

( ´∀`)「いる」



>>677

・小さな頃から周りに碌な人間いない
・1人で静かに時間潰したい→本見て過ごす
・いつの間にやら、人間嫌いの本好きに

みたいな。何か。うん
細かい部分も思いついたけど、いざ小話にしようとしたら、小話どころじゃなくなりそうだった
だからといって、これはこれで大雑把すぎた

813 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/29(土) 12:01:43 ID:7KP.TRzkO

>>676

ス---( ´ー`)---ツ

(*;∀;)「何度見ても似w合wわwねwえwwwww」

(#´ー`)「笑うんじゃネーヨ!! いいから面接練習付き合えヨ!」

( `ハ´)「たしか明日が面接日だったアルか? 頑張るアル」

(;´ー`)「くっそ、シナーから溢れ出る余裕が半端ネーヨ」

( `ハ´)+「来週初出勤アル」

(*゚∀゚)「シナーは決まるの早かったなあ。
     俺らの中で一番まともなだけあるな!」

( ´ー`)「一方、俺とつーは……」

(*゚∀゚)「俺今日決まった」

( ´ー`)

( `ハ´)「おめでとうアル」

(*゚∀゚)=3 エッヘン

(;´ー`)「嘘だぁあああああ!?
      このクズよりは先に抜け出せると思ったのに! 思ったのに!!」

(*゚∀゚)「クズだと」

( `ハ´)「諦めるんじゃないアルヨ」

(#´ー`)「誰が諦めっか!! おら、面接官になったつもりで俺に質問しろ!」

(*゚∀゚)「その意気だシナネーヨ!」

(#´ー`)「混ぜんな! 気に入ったのかそれ!」

814 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/29(土) 12:02:08 ID:7KP.TRzkO

>>680

ζ(゚ー゚*ζ「お風呂のお湯入りましたよー」

( ・∀・)「はーい」

ζ(゚ー゚*ζ「モララーさん、お先にどうぞ」

( ・∀・)「はーい」

ζ(゚ー゚*ζ「……モララーさん?」

( ・∀・)「はーい」

ζ(゚ー゚*ζ(漫画に夢中だ……)

ζ(゚ー゚*ζ「……私が先に入っていいですか?」

( ・∀・)「はーい」


〜数十分後〜


( ・∀・) ←読み終わった

( ・∀・)(……何か、お風呂がどうとか言ってた気がする)

( ・∀・)(入れってこと?)ガチャッ

( ・∀・)(お風呂場どこだろ)テクテク

( ・∀・)(あ。あそこかな)テクテク

( ・∀・) ガララッ

ζ(゚ー゚*ζ

( ・∀・)

ζ(゚ー゚*ζ

( ・∀・)

(;*・∀・)「ぎゃああああああああああああああああ!!!!!」ζ(゚д゚;ζ

815 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/29(土) 12:02:48 ID:7KP.TRzkO

(;*∩∀∩)「み、見てない! あんまり見てない!!」

ζ(゚、゚;ζ「『あんまり』って正直な!! 閉めて! 早く閉めて!!」


*****


(;・∀・)「――って感じでさあ。参った参った」

( ^ω^)「早く死ねよお前」

( ;∀;)「今度は館長が酷いんだけど!?」

816 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/29(土) 12:03:32 ID:7KP.TRzkO

>>741

ζ(;、;*ζ グスグス

ζ(;、;*ζ「ニュッさんの馬鹿」

( ^ν^)「……」

ζ(;、;*ζ「ニュッさんなんか嫌いです……」

( ^ω^)「説明しよう! ニュッ君が足を引っ掛けてデレちゃんを転ばせたところ、
       デレちゃんが持ってたブルーベリーパイがぐちゃぐちゃになってしまったのだ!
       ちなみに、デレちゃんが貞子と一緒に作ったものである!」

( ^ν^)

( ^ω^)「ニュッ君が足を引っ掛けて!」

( ^ν^)

( ^ω^)「ニュッ君が! 足を!!」

( ^ν^)「悪かったってば」

ξ゚听)ξ「こってり絞られてたわね、貞子に」

川д川「こってり絞ってやったわあ……」

ζ(;、;*ζ「わ、私1人で作ったんならまだしも、貞子さんと一緒に作ったやつなのに……。
      時間かかったのに……」

川д川「……ニュッ君ったら酷いわねえ……」

ζ(;、;*ζ「ニュッさんの馬鹿……阿呆……屑野郎……」

( ^ν^)「くっ……」

ξ゚听)ξ(屑野郎って)

(;^ω^)(ああ、マジ泣きされてる手前、ニュッ君も怒るに怒れないっぽい……)

817 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/29(土) 12:04:28 ID:7KP.TRzkO

ζ(;、;*ζ「口もききたくありません、視界に入れたくもありません」

ξ゚听)ξ「でもニュッ君も反省してるみたいよ」

ζ(;、;*ζ「それなりの誠意を見せてもらわない限り許さない」

( ^ν^)「……」

( ^ν^) ゴソゴソ

( ^ν^)つ○「……ん」

ζ(;、;*ζ「飴玉一個ですか。人のことどれだけ単純だと思ってるんですか」

(;^ω^)(ニュッ君があそこまでして謝るなんて滅多にないのに……)ハラハラ

ζ(;、;*ζ ツーン

( ^ν^)「……どうしろっつうんだよ」

ζ(;、;*ζ「……お、落ちたやつ、全部食べたら許してあげなくもありません……」

( ^"ν^)

(;^ω^)(ああ、それはキレる、ニュッ君そろそろ逆ギレする……)ハラハラハラ

( ^"ν^)「お前あんま調子に――」

ζ(;、;*ζ エグエグ

( ^"ν^)

(;^ω^) ハラハラハラハラ

( ^"ν^)「……食ったら本当に許すんだろうな」

(;゚ω゚)「ええ――――――!!!??」

川д川「……ニュッ君必死……」

(;゚ω゚)「ええ――――――!!!??」

ξ゚听)ξ「お腹壊すから駄目よニュッ君」

(;^ω^)「そういう問題じゃない気がする! そういう問題じゃない気がする!!」

ζ(;、;*ζ「あ、いや、いいです、食べなくていいです!! 許します許しますからぁああ!!」

818 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/29(土) 12:05:10 ID:7KP.TRzkO

>>742 >>747

ζ(゚ー゚*ζ「内藤さん内藤さん」

(*^ω^)「何だおデレちゃーん」

ζ(゚、゚*ζ「ちょ、ちょっと恥ずかしい話だから、耳貸してください……」モジモジ

(*^ω^)「そんな可愛らしく照れられたらお兄さんいくらでも耳貸しちゃうお」

ζ(゚、゚*ζ「あのですね……」

(*^ω^)「はいお」


(*^ω^)ζ(゚、゚*ζ「デレのパンツ買いませんか……」ボソリ


(*^ω^)

ζ(゚、゚*ζ

( ^ω^)

ζ(゚、゚*ζ

( ^ω^)

ζ(^ー^*ζ ニッコリ

(*^ω^) ニッコリ

(;^ω^)「――どなたか! どなたか、この中にお医者様はいらっしゃいませんか!? 頭の!!」

ξ゚听)ξ「いないわよ」

ζ(゚、゚*ζ「おい何だよ買えよ、てめえは人に金払うしか能がねえんだからよ」

(;^ω^)「デレちゃんがグレたぁあああああ!!」

(*゚ー゚)「今日からグレちゃんと呼ぼう」


*****

819 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/29(土) 12:05:53 ID:7KP.TRzkO

(;´・ω・`)「ニュッさあああん!」

( ^ν^)「……あ?」

(;´・ω・`)「ショボンさん見ませんでした!?」

( ^ν^)

( ^ν^)「え、何」

(;´・ω・`)「ショボンさ……――あっ、違う違う!
      えっと、あの、わ、私! 私を見ませんでしたか!!」

( ^ν^)

(;´・ω・`)「いや、違うんです、頭は正常です、怯えた目を向けないでください」

( ^ν^)「……酒飲んでんのかよ」

(;´・ω・`)「飲んでません!
      ……デレ……長岡デレが来ませんでしたか?」

( ^ν^)「さっき2階に行った」

(;´・ω・`)「あわわ……」

( ^ν^)(29歳で『あわわ』はないわ……)


*****

820 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/29(土) 12:06:31 ID:7KP.TRzkO

(;^ω^)「――入れ替わったとか、そんな馬鹿な」

(´;ω;`)「でも本当なんです、気付いたらこんなことになってたんですう……」メソメソ

ζ(゚、゚*ζ「僕の顔して女々しく泣くんじゃないよ」ホジホジ

(;^ω^)「デレちゃんの顔して鼻ほじんなお」

ξ゚听)ξ「……何か本当っぽいわね」

(*゚ー゚)「ショボン、いやらしいこと言って」

ζ(>、<*ζ「鼻以外の穴もほじっちゃうぞ☆」

(;*゚ー゚)「うひょおおおおおおおおああああああ!!
     これは! これはいい!!」

( ^ν^)「早速満喫すんな」

(;*゚ー゚)「今日のデレちゃんの下着は何色かな!?」

ζ(゚、゚*ζ「ええっと……」

(´;ω;`)「やめてー!! 内藤さん、あれ止めてください!」

( ^ω^)「何かショボンに泣きつかれても助ける気が起きないお……」

ζ(゚、゚*ζ「酷い奴だね、君は」

( ^ω^)「そして中身がショボンだと思うと、いくら見た目がデレちゃんでも可愛さが半減する……」

ξ゚听)ξ「どれだけショボンのこと嫌いなのよ」


続かない

821 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/29(土) 12:07:43 ID:7KP.TRzkO

>>753

ζ(゚ー゚*ζ「デミタスさんって、普通ですよね」

(;´・_ゝ・`)「ど、どういうこと?」

ζ(゚ー゚*ζ「悪い意味じゃなくて。
      まともですよね、ってことで」

(´・_ゝ・`)「まあ……しぃとかモララーに比べたらね」

ζ(゚ー゚*ζ「ですよねえ」

(´・ω・`)「四六時中、人間の殺害方法と隠蔽工作の仕方を考えてるような男だけどね」

ζ(゚ー゚*ζ

ζ(゚ー゚*ζ「……デミタスさん……」

(;´・_ゝ・`)「ミステリ小説を語弊のある言い方で表現するのやめてくれるかな!」


*****


ζ(゚ー゚*ζ(あ)


(´・_ゝ・`) ハ(ロ- ロ ハハ


ζ(゚ー゚*ζ(デミタスさんとハローさんだ)

ζ(゚ー゚*ζ(何話してるんだろ)


(´・_ゝ・`)「――……それでさ、ハロー」

ハハ ロ -ロ)ハ「ハイ?」

(´・_ゝ・`)「使えそうな殺し方とかないかなあ」

ハハ ロ -ロ)ハ「ウーン……ン? あっ、デレ」

ζ(゚ー゚*ζ「ああ……はい、どうも……」

(;´・_ゝ・`)「いや、次回作のネタ集めとして訊いただけだから!
        そんな凶悪犯を見るような目つきしないでよ!!」

822 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/29(土) 12:08:50 ID:7KP.TRzkO

>>755

〜聖徒会室〜

(*^ω^)「何これ超えろいんだけど何この美少女」

川 ゚ -゚)「どうしたブーン、私はそんな反応望んでないぞ。
     私が求めてるのは恥じらうブーンだ本物寄越せ本物」

ξ;;)ξ「ブーンが……汚れた……」

(;'A`)「あれじゃあ中身が俺になったようなもんじゃねえか……」

<_プー゚)フ「それは最悪だな……」

( ФωФ)「教会の息子たる聖徒会長とは思えぬ体たらくである」


〜数分後〜

(;゚д゚ )「ぎゃああああ! ブーンの様子見に来たら変態に捕まった!!」

ξ*゚听)ξ「ミルナったらブーンを口実にして私に会いに来たんでしょ?
      可愛いわあ本当に可愛い美少年だわあ。お姉さんとデート行きましょう。
      ああん可愛いちゅっちゅちゅっちゅ」

(;゚д゚ )「やめっ……いやあああ!!」

<_プー゚)フ「あっちはいつも通りだな」

( ;ω;)「見たくない……あんなツン見たくない……」

('A`)「こっちは何なんだ本当に」


*****

823 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/29(土) 12:10:00 ID:7KP.TRzkO


(;^ω^)「あ、あのう、ツンなんだおね……?」

ξ゚听)ξ「ええ」

(;^ω^)(いつもより綺麗な気がする……元から綺麗だけど)

(;^ω^)「で……」

( ^ν^)

(;^ω^)「……誰だお?」

ξ゚听)ξ「……本に演じさせられてるのかしら」

( ^ν^)「でもツンのことは認識してるぞ」

ξ゚听)ξ「そうね。どうしたんでしょう、一体」

ζ(゚、゚;ζ「ニュッさん、ツンちゃん!」

ξ゚听)ξ「あら、デレ」

ζ(゚、゚;ζ「内藤さんの様子が変なんだって?」

ξ゚听)ξ「そうなのよ」

ζ(゚、゚;ζ「変って、どんな風に――」

(;^ω^)「あっ。ツンの曾お祖母さん」

ζ(゚、゚;ζ

ξ゚听)ξ

( ^ν^)

824 名前: ◆c9sFVHJv2E:2011/10/29(土) 12:10:46 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚;ζ「……ひい……?」

( ^ν^)「お前そんな歳だったのか……」

ζ(゚、゚;ζ「何でそこに乗っかっちゃったの!?」

(;^ω^)「エクストはどこですかお? ドクオや理事長も――」

ζ(゚、゚;ζ「えっ、エクストさんがどうかしたんですか?」

(;^ω^)「あれ、いつもは『エクスト様』って……」

ζ(゚、゚;ζ「さささささ様!!? 内藤さんの脳内で私とエクストさんに何が起こったの!?」



やっぱり続かない

825 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 12:21:09 ID:q/hK2k1M0
もうちょっとで投下の時間だろ?
じっくり休んでくれ( ノД`)…

投下中支援するから今は休んでー

826 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 13:09:35 ID:eHEESQWM0

ニュッ君必死すぎワロタwww

827 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 13:16:00 ID:6JQ5aZqwO
そわそわしすぎて仕事が手につかない件
おまけありがとう!!午後も頑張れる!!

828 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 14:08:16 ID:taYu3oMg0
乙おつ

829 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 15:31:59 ID:KgxIfz7s0
やっぱ面白い

830 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 15:34:20 ID:2sNhYqS2O
凄く面白いけどこれがもう終わると考えると…ζ(;、;*ζ

831 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 16:02:09 ID:KgxIfz7s0
ぐああああああああもうすぐ投下の時間だってのに専ブラがイカれただとおおおおおおおおおおおお
普通のブラウザはフォントがメイリオだからブーン系見づらいってのに
ちくしょう…………へっ上等じゃねーか、投下までの一時間内に直したらぁあああああああああああああああああい

832 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 16:29:07 ID:wpsLHC5M0
やかましい静かに待たぬか

833 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:04:28 ID:7KP.TRzkO
なっがい。そしてゆっくりペース
お付き合いいただけると幸いです

では、最終話後編&エピローグ投下します

834 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:05:37 ID:taYu3oMg0
支援っ

835 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:05:43 ID:7KP.TRzkO

川д川『笑ってみて……』

ξ゚听)ξ『……』

川д川『……にこりとも出来ないの……?』

ハハ ロ -ロ)ハ『ブーンのせいデスネ。とっちめてきマス』

(;゚∋゚)『待て待て』

 ツンが表情を変えなくなったことに対し、皆、すぐに違和感を覚えたようだった。
 内藤とニュッは触れるのを避けたが、作家達は進んで反応を示してくれた。

 原因についても気付いているらしく、一様に慰め顔で声をかける。

川д川『私達は、ツンが悪いとは思ってないからね……』

(´・_ゝ・`)『そうだよ。気に病んじゃ駄目だ』

ξ゚听)ξ『……うん』

 どれが彼らの本音なのか、判別出来ない。

 死にたいという衝動は、徐々に、なりを潜めていく。
 ただ、居心地の悪さは消えやしない。
 何もかも誤魔化して、やり過ごして、時間ばかりが積み上がる。

 少しの刺激で崩れてしまいそうな、飴細工のように不安定な日々。

836 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:06:22 ID:7KP.TRzkO



   ζ(゚ー゚*ζ



 果たして、それは、崩された。



.

837 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:07:22 ID:7KP.TRzkO



最終話 あな愛しや、ファンタジー小説・後編



.

838 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:09:01 ID:7KP.TRzkO

 長い絨毯や巨大な本棚など、1号館と2号館の内装には大差がなかった。

 目に見えて分かる違いといえば、明るさと、照明の色くらいなものだ。
 絨毯の色合いの深さとは対称的に、ふんわりと注がれる薄緑の光。

 遠く前方には扉がある。

 そして。


(*・∀・)「2号館の司書です、以後お見知りおきを!」


 元気いっぱいに頭を下げる和服姿の男、茂等モララー。

 彼は顔を上げると、4人と順番に握手していった。
 弾けんばかりの笑顔だ。

(´・ω・`)「2号館はモララーか」

( ・∀・)「もららー?」

(´・ω・`)「ああ、いや、何でもないよ」

 モララーは、ショボンが口にした己の名前に首を傾げた。
 貞子同様「なりきっている」ようだ。

839 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:10:07 ID:7KP.TRzkO

o川*゚ー゚)o「相変わらずイケメンだ……」

(*・∀・)「それで、どんな本にする?
      お客様の要望には出来る限り応えるよ!」

ζ(゚、゚*ζ「いえ、その……ひ、人を」

(*・∀・)「この2号館はね、愉快で、ほのぼのとした本がいっぱいあるんだ。
      中には一部例外もあるけど、それも一興!」

ζ(゚、゚;ζ「……すみません、聞いてます?」

 流されてばかりだった自分を反省し、今度はデレの方から話を進めてみようとしたが。

 モララーは腕を広げ、天井を見上げて大仰な仕草で一回転してみせた。
 鬱陶しい。

(*・∀・)「数十、いや数百年も前の時代が舞台ってのも特色の一つかな。
      いいと思わない? え、昔なんて不便なだけだって? とんでもない!」

ζ(゚、゚;ζ「……何か、いつにも増してテンション高くないですか」

( ^ν^)「ツンがこの話を書いたとき、俺もモララーも
       9歳だか10歳だか、そんぐらいだったからな」

ζ(゚、゚;ζ「ああ、当時のテンションなんですね……。
      今以上に落ち着きなかったんだ……」

(*・∀・)「何もかもが発展してしまった現代に比べたら、
      たしかに不自由に思えるかもしれないね。
      だけど! それ故に得られるものが数多くある筈!」

o川;゚ー゚)o「わっ」

 手近なところにいたせいか、キュートにモララーが詰め寄った。
 美男美女が至近距離で見つめ合う光景、何というか、異様にきらきらして目のやり場に困る。

 キュートの肩に掛けられた鞄が、ずるりとずり落ちた。

840 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:11:21 ID:7KP.TRzkO

(*・∀・)「不自由の中の自由、素晴らしいことじゃないか! ね? ね?」

o川;゚ー゚)o「私に言われましても……」

(´・ω・`)「そんなもん、今はどうだっていいんだよ」

(;・∀・)「ぐえっ!」

 ついに痺れを切らしたようで、ショボンがモララーの襟を引っ張った。
 モララーは首を押さえ、涙目で咳き込む。

(;・∀・)「どうでもいいって」

ζ(゚、゚*ζ「人を探しに来たんです」

( ・∀・)「えー、人探し?」

ζ(゚、゚*ζ「ツンちゃんと内藤さん――じゃなくて、」

o川*゚ー゚)o「魔女と人間の2人組を知りませんか?」

ζ(゚、゚;ζ「そ、それ、それです」

( ・∀・)「……ああ、来た来た。
      すぐに3号館に行っちゃったけどね」

 つまらなそうに言って、モララーは襟元を直した。
 あっち、と向こうの扉の方へ顎をしゃくる。

 ニュッは「ああ」とだけ返すと、早速歩き出した。
 愛想の欠片もない。

841 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:12:33 ID:7KP.TRzkO

(;・∀・)「ちょっと、もう行っちゃうの!?」

(´・ω・`)「じゃあね」

o川*゚ー゚)o「さようならー」

(;・∀・)「わああああ! あっさりしてる! 何かあっさりしてる!!」

 ショボンはモララーの肩を叩き、キュートに至っては一瞥もくれぬまま、
 すたすたとその場を離れていった。

 モララーの扱いなど、こんなものである。

 デレはフォローすべきか否か迷ったものの、ニュッ達がどんどん進んでいくので
 彼らを追いかける方を選んだ。


 のだが。


( ・∀・)「――待ってよ」

 モララーに、肩を掴まれた。

 引き寄せられる。

842 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:14:21 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚;ζ「な、」

( ・∀・)「君達、人間でしょう。
      ついさっき、1号館の司書から情報が回ってきたよ。
      人間が図書館にやって来た、って」

 背中にモララーの体温を感じるほどの距離。近い。
 先の喧しさはどこへやら、落ち着き払った声音で囁きかける。

( ・∀・)「――たくさんの人間を『食べた』本はね、その分、質が上がるんだ」

ζ(゚、゚;ζ「……モララーさん?」

 ニュッやショボン達は、こちらに気付くことなく、デレとの距離をあけていく。
 呼びかけようとしたデレの口を、モララーの右手が塞いだ。

ζ(゚、゚;ζ「もあ」

( ・∀・)「だから、出来るなら、僕も本も、人間が欲しい。
      本の質を上げて、もっと、より良い図書館にしたい」

( ・∀・)「どの司書も、どの本も、君達を狙っているよ。
      果たして探し人を見付けるまで、無事でいられるかな?」

 モララーが、左手をデレの顔の前に上げる。
 いつの間に出したのか、一冊の本を持っていた。

 片手で本を開き、器用に、ぱらぱらとページをめくる。

( ・∀・)「これから先、危険な本の餌食になってしまう可能性は充分にある。
      だったら、今の内に、平和で幸せな本に取り込まれた方がいいかもしれない」

ζ(゚、゚;ζ「……む、ぐ」

 1号館での出来事が脳裏を過ぎる。
 あのときは逃げ切れたが、もし完全に捕まっていたら、どうなっていたのだろう。


 あの泣き声や音に追いつかれていたら。

 どんな、恐ろしい目に。

843 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:15:22 ID:7KP.TRzkO

( ・∀・)「この現代より、過去の世界に行ってみたくはない?」

 モララーの言葉が耳に流れ込む。
 頭の中を、ぐるりと巡る。

( ・∀・)「不自由で、自由な世界を楽しみたくはない?」

 ぱらり。
 ページがめくられる。

 デレはニュッの背中が遠ざかっていくのを視認したが、そのまま、本に目を移した。

( ・∀・)「これは所謂、市井小説ってやつだよ。庶民が主人公の話。
      ちゃんばらみたいな危険な展開なんてない。
      町の中の、人情に重きを置いた作品さ」

( ・∀・)「……きっと、気に入るよ」

ζ(゚、゚*ζ「……」

 視界が狭まる。

 足元に妙な浮遊感が絡んだ。

844 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:16:46 ID:7KP.TRzkO

( ・∀・)「人々の暖かみを味わえる、忙しくも伸びやかな暮らしを。
      夜になれば暗く、朝になれば明るい、自然のままの暮らしを。
      この本の中でなら、存分に楽しめるんだよ」

( ・∀・)「面白そうじゃない?」


 それは。
 とても、魅力的に思えて。

 デレが頷きかけた――


ζ( 、 *ζ


 瞬間。



( ・∀・)「フジサワッ!!」


 奇妙な悲鳴をあげ、モララーが吹っ飛んだ。

845 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:17:54 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚*ζ

ζ(゚、゚;ζ「はっ!?」

 我に返る。
 顔を上げると、真横にニュッが立っていた。

 モララーに蹴りでも喰らわせたのか、ニュッは中途半端な位置に上げていた足を下ろす。
 そこへショボンとキュートが戻ってきた。

o川;゚ー゚)o「ごっ、ごめんねデレちゃん、置いてっちゃって。気付かなかった!」

ζ(゚、゚;ζ「……ううん、私が油断したのが悪いから……」

( ^ν^)「本当にな。モララーごときに籠絡されそうになってんじゃねえよ」

(´・ω・`)「そうだよ、モララーごときに」

( ;∀;)「何故か体よりも心が痛い……あっ、ちょっ、お客様。
      お客様そんな御無体な! シュウヘイッ!!」

 ニュッがモララーを蹴り転がし、本棚へ思いきり衝突させる。
 棚から落ちてきた本達がモララーの頭や背中にぶつかり、鈍い音を立てた。

846 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:18:41 ID:7KP.TRzkO

( ;∀;) シクシク

(´・ω・`)「さ、行くよデレちゃん」

ζ(゚、゚;ζ「あっ、あの、いいんですか……?」

(´・ω・`)「何が」

ζ(゚、゚;ζ「まだ2号館なのに早速物語が破綻してません!?」

o川*゚ー゚)o「絶対もうちょっとちゃんとした展開あったよね、これ」

(´・ω・`)「演じさせてる『本』からの邪魔が入らないから、許容範囲なんじゃないの」

 ショボンが踵を返す。
 ニュッは少し迷うような仕草をすると、本に埋もれたモララーを引っ張り上げた。

( ^ν^)「おい」

( ;∀;)「?」

( ^ν^)「あっちの扉まで俺らを案内しろ。
       お前が一緒なら、ここの本は何もしてこねえだろ」

( ;∀;)「は、はいいい……。
      ……え? 待って、それなら何で俺はあんなに蹴られたの?」

( ^ν^)「気分」

( ;∀;)「恐い! お客様恐い! 恐いけど謎の安定感がある何これ!!」

 やはり、モララーの扱いはこんなものだった。



*****

847 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:19:48 ID:7KP.TRzkO


( ^ν^)(――2号館はこれで終わりか)

 無事に扉へ到着する。
 ニュッは、柳色のカバーか被せられたドアハンドルを握った。

 振り返る。

( ^ν^)「じゃあな」

( ;∀;)「うう……本に取り込めないし蹴られるし利用されるし……酷い……」

ζ(゚、゚;ζ「いつまで泣いてるんですか……」

 和服の袖を涙で濡らすモララー。
 宥めるためか、デレが背中をぽんぽんと叩いてやっていた。

 放っておけばいいものを。
 先程、モララーのせいで本の中に引きずり込まれそうになったのを忘れたのだろうか。

( ^ν^)(どんだけ馬鹿なんだ)

 ――どうせ訊いたところで、
 「モララーだって演じさせられていたのだから仕方ない」とでも答えるのだ。

 作家達のことを恐れる気配もないし、根っからのお人よしというか。
 いや、ただ単純に、呑気が過ぎるだけとも言える。

 今、彼女はモララーのことをいつものように慰めてやっているが、
 もしもモララーが演じさせられている最中でなかったら、
 その「いつも」の振る舞いだけで感涙していただろう。

 昨夜の狼狽ぶりから、容易に想像出来る。

848 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:21:01 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚*ζ「ティッシュあったっけ……あ、はい、モララーさん、鼻かんでください」

( ;∀;)「あぶぶぶ……」

o川*゚ー゚)o「デレちゃんお母さんみたい」

( ^ν^)「……もういいから、早く来いよ」

 2号館を出て、ニュッは溜め息混じりにデレ達を呼んだ。
 ショボンがデレの右腕を、キュートが左腕を掴んで進む。

ζ(゚、゚;ζ「わ、待っ、何、」

(´・ω・`)「また油断してさっきみたいになられても困る」

o川*゚ー゚)o「同じく」

( ;∀;)「もう何もしないよ!」

ζ(゚、゚;ζ「こっ、転ぶ――……あっ。
      モラ……じゃなくて、司書さん! 会ったら言おうと思ってたんですけど、」

( ;∀;)「?」

ζ(゚、゚;ζ「あの、……嫌いになってませんからね!」

( ;∀;)「……へ?」

 ニュッが昨日の電話で伝えたことに対する言葉だろうか。
 それを今のモララーに言ったって意味がないだろうに。

849 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:22:32 ID:7KP.TRzkO

( ;∀;)「……うん?」

 ほら、モララーがきょとんと、

( ;∀;)「あ、……ありがとう……?」

ζ(゚ー゚*ζ「んっ」

 ――きょとんとして、それでも、ほっとしたような表情を浮かべ。
 彼は、首を捻りながら礼を言った。

 その声を最後に、扉が閉まる。
 それを確認すると、ショボンはデレを突き飛ばすように放した。
 デレとキュートが危うく転びかける。

ζ(゚、゚;ζ「もっと優しく扱ってください!」

o川;゚ー゚)o「私が顔面から転んだらどうしてくれるんですか! 世界規模の損害ですよ!」

(´・ω・`)「何、じゃあ、べったべたに甘やかしてやろうか?」

ζ(゚、゚;ζ「……それはそれで、何か嫌ですね……」

 デレが引き気味に答える。
 ニュッは正面に向き直り、顔を顰めた。

 ――「何か嫌」。

 1号館を後にした辺りから、そんな感覚がニュッの中にじわじわと滲み始めたのだ。

 この先の展開を、ろくに思い出せない。
 だが、何となく、嫌な予感がする。

850 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:24:03 ID:7KP.TRzkO

( ^ν^)(……結末は、どんなだったっけ……)

 額に指を押し当てる。

 たしか――本を渡された当時。
 読後、ニュッは複雑な気分になった。
 これでいいのかと、ほろ苦い後味を覚えた筈。

 ただ、その内容は?

 思い出せない。
 思い出せないせいで、足が重い。
 最悪な想像が沸き上がり、それを否定することが出来ない。

ζ(゚、゚*ζ「……ニュッさん、考え事ですか」

( ^ν^)「あ?」

ζ(゚、゚*ζ「難しい顔してる」

( ^ν^)「お前と比べりゃ、誰だって考え事してるように見えるだろうよ」

ζ(゚、゚;ζ「どっ、どういう意味ですか!」

 本と現実が混ざっている以上、避けなければならない展開がある。

 たとえば。
 誰かの命に関わるものだとか。

o川*゚ー゚)o「ほら、きびきび歩くー」

( ^ν^)「……指図すんな」



*****

851 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:25:53 ID:7KP.TRzkO


 ――モナーが亡くなってから、何ヵ月経った頃だったろうか。
 たしか、木の葉の赤色に渋みが増してきた、秋だった気がする。

ξ゚听)ξ(……大丈夫かしら)

 ツンは、内藤が心配で堪らなかった。
 ひどく忙しそうなのだ。

 処理しきれなかった遺品や、遺産の相続についてのあれこれ。
 大学はほとんど卒業を待つだけの身だとはいえ、論文なども書かなければいけない。

 それだけなら、まだマシだろう。
 彼が一番時間をとられているのは、「本」の回収だった。

 親戚から聞き出した情報を頼りに、様々な場所を訪問して回る。
 空いた時間には、新聞やインターネットで、本が関わっていそうな事件を探す。

 家で何もせずに休んでいるところを見ない。

 あれでは内定先に勤めたところで、すぐに辞めてしまうだろうなと、
 いつだったか、ショボンが言っていた。


.

852 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:26:11 ID:bPt9G4yw0
藤沢周平ワロタwww

853 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:27:15 ID:NnkiULe.0
しあーん

854 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:27:17 ID:7KP.TRzkO


 そんな中での、ある日。

(´・ω・`)『ただいま』

(; ω )『……っ』

ξ゚听)ξ『――ブーン、どうしたの』

 本の回収から戻ってきた内藤とショボン。
 内藤は、ショボンに支えられる形で歩いていた。

 玄関で出迎えたツンは、ぎょっとした。
 内藤の顔が、あちこち腫れている。赤い痣が痛々しい。

(´・ω・`)『「主人公」の家族に、洗いざらい話したんだ。
      今回は、事が事だから、ってね』

 たしか、2人が取り戻しに行ったのは、ハロー・サンの本だ。

 ニュースで見た殺人事件の概容にニュッとハローが反応したのがきっかけだった。
 残忍な殺害方法、加害者と被害者の特徴などがハローの書いた小説と一致していたとかで。

(´・ω・`)『両親は信じなかったけど、兄の方は信じてくれやがってね。
      おかげでブーンが恨まれて、結果、こんな感じ。
      だからやめておけっつったのになあ』

ハハ ロ -ロ)ハ『ブーン、帰りマシタ?』

( ^ν^)『……兄ちゃん、大丈夫か』

 ハローとニュッが2階から下りてきた。
 内藤はショボンから離れ、壁に手をついて歩き始める。

 足でも悪くしたのかと、ニュッはショボンに説明を求めた。

855 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:27:55 ID:/k2VmDE.0
支援

856 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:28:21 ID:7KP.TRzkO

(´・ω・`)『殴られて口の中切っただけだよ。まあ要するに、血がね、口の中に広がっちゃって。
      ブーンにとっちゃ、殴られたのよりそっちの方が辛かったんだろうね。
      今、僕の車、すっげえ酸っぱい臭いしてるよ。人間ってあんなに吐けるんだ』

ハハ;ロ -ロ)ハ『……ブーン』

 まるで笑い話でもするかのようなショボンの軽い口調に反し、
 ハローは罪悪感を抱いたようで、眉根を寄せると恐る恐る内藤に触れた。

 内藤が、その手をやんわりと退ける。

(; ω )『……気にするなお……』

 咳き込み、大きく口を開けた内藤は俯いた。
 もう出るものもないのか、涎だけが床に落ちる。

ハハ;ロ -ロ)ハ『デモ』

 内藤が顔を上げる。
 ツンと目が合うと、彼はまた俯き、背中を痙攣させ、唾液を零した。

(´・ω・`)『これこれブーン君、汚いからさっさと上に行きなさいな』

 ショボンが溜め息をつき、内藤に肩を貸す。
 そして、2階へと内藤を連れていった。

 ツンとハロー、ニュッの3人が残される。

857 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:28:29 ID:TCjl4TG20
おぉ来てる

858 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:29:18 ID:7KP.TRzkO

ハハ ロ -ロ)ハ『……ワタシのせいデス』

( ^ν^)『……違う』

ハハ ロ -ロ)ハ『ダッテ、ワタシが、あんなの――書かなかっタラ』

ハハ。ロ -ロ)ハ『……わ、ワタシの本、ミンナの本より、たくさん、人が死にマス。
      残酷な殺し方、イッパイ……』

 ハローがニュッに凭れかかった。
 どうしよう、ごめんなさい――誰へとも分からない呟きを漏らし、ハローは泣きじゃくる。

 本のせいで人間が命を落としたのは、今回が初めてだ。
 少なくともツン達が把握している限りでは。

 きっと、これから先、もっと被害者は増える。
 その「これから」を思い、ハローは恐怖しているのだろう。


 それに比べたら。
 自分の罪はまだマシな方なのではないか。

ξ゚听)ξ『……』

 無意識に逃げ道を探す己に気付き、ツンは頭を抱えた。



#####

859 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:30:37 ID:7KP.TRzkO


( ^ω^)『いいのかお?』

ξ゚听)ξ『……ええ』

 その2日後。

 新たに「本」の情報を得た内藤が回収しに行こうとしたのを留め、
 ツンは、自分も連れていってほしいと願い出た。

 嫌がられるのではないかと内心びくびくしていたが、
 内藤はあっさりと頷いてくれた。

( ^ω^)『僕は構わないけど……。結構面倒なことも多いお?』

ξ゚听)ξ『いいわ。じゃあ、行きましょう』

(*^ω^)『おっお。こんな顔の男が1人で行くより、
       ツンみたいに綺麗な子が一緒の方が捗りそうだおね』

 湿布が貼られた頬を押さえ、内藤が笑う。

 ――笑った。
 綺麗だと、言った。

 どうしてだろう。
 極論、自分はモナーの仇みたいなものではないか。
 どうして、以前と同じように振る舞うのだろう。

 直接訊ねたい。話し合いたい。

 けれど、もし、内藤が例の件について忘れようとしているのだとしたら。
 ツンへの糾弾を堪えているのだとしたら。

 その可能性がある内は、自分から切り出すことは出来ない。
 黙ってさえいれば、きっと、今まで通り、内藤の傍にいられる。
 彼の真意はどうあれ。

860 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:31:30 ID:7KP.TRzkO

ξ゚听)ξ『車で行くの?』

( ^ω^)『そうするおー。……ツン、どうして急についてこようなんて思ったんだお』

ξ゚听)ξ『……1人じゃ、大変そうだから』

 前から、手伝おうとは思っていた。
 だが、共に行動するのが――あるいはそれを拒まれるのが――恐かった。

 今日、こうして決心したのは、内藤が件の「主人公」の兄に殴られたことにある。

 また似たようなことが起きるかもしれない。
 自分がいれば、内藤を守れる。



*****

861 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:32:47 ID:7KP.TRzkO


( ‐ω^)「……」

 内藤が瞼を上げる。

 ということは、彼らは2号館も通過したのか。

 ニュッの仲間を演じているのが誰なのか、ツンは知らない。
 図書館に来ると言っていたらしいから、1人はデレだろう。
 もう1人は――登場人物のモデルにしたショボンが、本に呼ばれて来るかもしれない。

 あとの1人は、さっぱりだ。
 面識のある人物か、あるいは近くにいた人間を無作為に選んだ恐れもある。
 だとしたら気の毒極まりない。

( ^ω^)「……魔女さん」

ξ゚听)ξ「今度は何かしら」

( ^ω^)「椅子が足りないお。綺麗な木目で、真っ赤な布が敷かれた、まあるい椅子。
       あれがないなら、ここは僕の部屋じゃないお」

ξ゚听)ξ「椅子? ちゃんとあるじゃないの」

 金色のペンを振る。
 内藤が言った通りの椅子が、テーブルの傍に現れた。

862 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:33:42 ID:7KP.TRzkO

( ^ω^)「おー……本当だお」

ξ゚听)ξ「でしょう。だから、あなたの部屋なのよ」

( ^ω^)「そうなのかお」

ξ゚听)ξ「……安心して寝てていいわよ」

 首を揺らし、内藤が目を閉じる。
 ツンは沈黙すると、ペン先を紙へと触れさせた。



*****

863 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:34:59 ID:7KP.TRzkO


 やはり、1号館や2号館と、新たに足を踏み入れた3号館との違いは、照明のみだった。
 クリーム色。

ζ(゚、゚*ζ「……あれえ……」

o川*゚ー゚)o「誰も出てこないね」

 きょろきょろ、4人は辺りを見渡す。

 貞子やモララーのときと違い、一向に「司書」が現れない。

(´・ω・`)「……待ってても仕方ないね」

 ショボンの呟きに頷き、ニュッが一歩踏み出した。
 やはり、誰もやって来ない。

o川;゚ー゚)o「ちょっ、ちょっと、さっきはモララーさんが一緒だったから平気だったけどさ……」

ζ(゚、゚;ζ「あっ、そうですよ! 司書さんの付き添いなしで歩いたら危ないんじゃ」

( ^ν^)「だからって何もしないでいたら、展開進まねえぞ」

(´・ω・`)「じっとしてれば安全、なんて保証もないしね」

ζ(゚、゚;ζ「まあ、そうですけど……」

( ^ν^)「置いてかれたいなら、そこにいろ」

ζ(゚、゚;ζ「……」

ζ(゚、゚;ζ「……もーっ!」



*****

864 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:35:47 ID:7KP.TRzkO

 ――ちかちかする。
 デレは眉間を押さえた。

 出口まで、まだ半分ほどある。

ζ(゚、゚;ζ(これは……やばい……)

 思考がぼやけ、度々、視界が淡黄色に覆われる。

 本に引っ張られているようだ。

 「何かあったら、とにかく全力で逃げろ」と大雑把すぎる助言をショボンから頂いたが、
 これはもしかすると、全力で逃げる羽目になるかもしれない。

 歩みを止めず、デレは、隣のキュートに手を伸ばした。


ζ(-、゚;ζ「ん?」


 反対側から肩を叩かれる。
 直後、ぐいと引っ張られ、デレの足が縺れた。

865 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:37:19 ID:7KP.TRzkO

 横へ転ぶように座り込む。

 視界と思考が晴れた。

 目の前には、たくさんの本。
 本棚と本棚の間に連れてこられたようだ。

ζ(゚、゚;ζ「あ……」

ハハ ロ -ロ)ハ「ハジメマシテ。3号館の司書デス」

 手を引かれて、無理矢理立たされる。

 そこには、眼鏡をかけた長身の女――ハロー・サンがいた。
 彼女の隣にはニュッも。

ζ(゚、゚;ζ「ニュッさん! ……って、キュートちゃんとショボンさんは?」

( ^ν^)「……知らねえ。俺はハローに引っ張ってこられた」

 ハローを見る。
 彼女は、小首を傾げてみせた。

ハハ ロ -ロ)ハ「ナニか?」

ζ(゚、゚;ζ「ハローさん――司書さん、私達の他に、もう2人いたでしょう」

ハハ ロ -ロ)ハ「アア、その人達ナラ、本の中デスヨ」

866 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:38:19 ID:7KP.TRzkO

 デレの眼差しから逃れるように、ハローは本棚の前へぴょんと跳ね、
 そこに並ぶ本へと寄り掛かった。
 背表紙を撫でる。

ハハ ロ -ロ)ハ「3号館の本は、スリルを味わうのに打ってつけデス。
      多種多様の『危機』に震えたり、打開したり。
      1号館の本に近いモノもあれば、5号館の本に近いモノもありマス」

ハハ ロ -ロ)ハ「最も重要な要素は、さっきも言いマシタ、『スリル』。
      恐怖、不安デス。……ソンナ本の世界に、アナタ、入りタイ?
      ワタシはサスペンス好きだケド。普通の人間は、避けたがるデショウ」

ζ(゚、゚;ζ「……入りたくはないです」

ハハ*ロ -ロ)ハ「デショウ!?」

 ぱっと表情を明るくさせたハローが、デレに詰め寄った。
 両手を握りしめられ、デレは思わず仰け反る。

 ハローがずんずん前に進み、デレが本棚に押しつけられるような体勢になってしまった。

ハハ*ロ -ロ)ハ「ダッタラ、ワタシの『オ友達』になってクダサイ!」

867 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:39:52 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚;ζ「……お、おともだち……?」

( ^ν^)「――ハローも、モララーと同い年だから」

ζ(゚、゚;ζ「ああ、……子供なんですね、当時の年齢で言えば」

ハハ*ロ -ロ)ハ「ネッ、ネッ。いいデショ?」

 上から覗き込むように、ハローがデレに顔を近付ける。
 レンズの向こう側で輝く瞳を見ていると、何だか頷いてしまいそうになって、
 デレは慌てて俯いた。

ζ(゚、゚;ζ「……あのですね」

 言い淀む。
 すると、ハローの声に不機嫌そうな色が乗せられた。

ハハ ロ -ロ)ハ「――セッカク、本に取り込まれそうなトコロを助けてあげたノニ」

ζ(゚、゚;ζ「えっ」

868 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:42:02 ID:7KP.TRzkO

ハハ ロ -ロ)ハ「アナタ達ダケは、助けてあげたノニ。
      オ友達になってくれないナラ、また、さっきの本の中に戻しマスヨ。
      他の2人みたいに、恐い思いをするコトになるんデスからネ」

ζ(゚、゚;ζ「……」

 他の2人。未だ出てこない、ショボンとキュート。
 要するに、脅迫ではないか。

( ^ν^)「……『お友達』って、具体的に何すりゃいいんだよ」

ハハ ロ -ロ)ハ「ココにいて、ワタシとお話ししたり、遊んだり、一緒に本読んだり……。
      色んなコト」

ζ(゚、゚;ζ「それは――あっ」

 ハローは素早く一冊の本を抜き取り、それをデレの頬に触れさせた。

 じくじく、妙な熱が本から頬へと伝わる。
 その熱は、ゆっくりと頭にまで広がっていった。

 ハローが顔を横へ向け、ニュッを睨む。

869 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:43:15 ID:7KP.TRzkO

ハハ ロ -ロ)ハ「モウ、ソッチの男の子に訊きマスネ。
      アナタがオ友達になってくれるって言うナラ許してアゲル。
      なってくれないナラ、今スグこの女の子を本に閉じ込めマス」

( ^ν^)「また、面倒くせえことを……」

ζ(゚、゚;ζ「にゅ、ニュッさあん……」

 情けない声でニュッを呼ぶ。

 熱が脳の中にまで染み渡っていくような感覚に、デレの足から力が抜けそうになった。

ハハ ロ -ロ)ハ「コレは、殺人鬼に執拗に狙われた少女が、怯えナガラ何度も逃げては隠れ――
      最終的には、あまりニモ無惨な手段で殺されてしまう話デス。
      ……恐くッテ、痛くッテ、とっても嫌な思いをするデショウね」

ハハ ロ -ロ)ハ「それに、人間なんかが本の中で殺されようものナラ、
      絶対絶対、コッチの世界に戻ってこれなくなっちゃいマス。
      殺されなくても帰ってこれないだろうケド……どうする?」

( ^ν^)「……そんな子に育てた覚えはねえぞ、ハロー」

 状況の打開策を探しているのか、軽口をたたきながら、ニュッは頭を掻いた。
 ハローの手に力が篭る。

870 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:45:52 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚;ζ(――ショボンさんとキュートちゃん、大丈夫かな……)

 このときデレの思考がショボン達へと向かったのは、別に、現実逃避などの類ではない。
 ハローの説明したあらすじを聞いて、彼らが心配になっただけだ。

 2人がどんな内容の世界へ入ったかは知らないが、ジャンルがジャンルなだけに、
 平穏無事でいられることはないだろう。

 「お友達」云々よりも、まず、そちらをどうにかしなければ。
 ショボンらが自力で逃げ出せれば御の字ではあるものの、
 1号館のように、そう簡単にいくかどうかは怪しい。

ζ(゚、゚;ζ「ニュッさん、ショボンさん達が――」

( ^ν^)「分かってる。……ハロー」

ハハ ロ -ロ)ハ「さっきカラ、その『ハロー』って誰デスカ」

( ^ν^)「……じゃあ、司書3号殿。
       『お友達』になったら、例の2人も解放してくれるか?」

ハハ ロ -ロ)ハ「駄目」

( ^ν^)「即答か」

ハハ ロ -ロ)ハ「4人になった途端、反撃するつもりカモしれないデショ」

ζ(゚、゚;ζ「そんなことしません!」

ハハ ロ -ロ)ハ「ナラ、4人共、ワタシと……ずっと一緒にいてくれるノ?
      ずうっとずうっと、ココに?」

ζ(゚、゚;ζ「……」

ハハ ロ -ロ)ハ「……ホラ、答えられナイ」

 本を、首元に滑らせる。
 ナイフを突きつけられているような、嫌な緊張感を覚えた。

871 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:47:10 ID:NnkiULe.0
しえしえ

872 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:47:58 ID:7KP.TRzkO

ハハ ロ -ロ)ハ「アナタ達2人だけナラ、ワタシ1人デモ何とかなりマス。
      早く、オ返事、クダサイ」

 ニュッの方から聞こえた、舌打ち。

 彼がどんな答えを出そうが、展開の邪魔にならない限り、ツンの「本」は妨害をしない。
 たとえば先程のモララーへの仕打ちのように。

 だが――問題の、物語そのものの内容が分からないから、ニュッは迷っているのだろう。

 現在望まれている展開は、恐らく、「3号館から4号館へ進む」こと。
 それさえクリア出来るならばデレ達の犠牲など厭わない、なんて「本」が考えているなら、
 安易に答えを出すわけにはいかない。

 そもそも彼女達の犠牲こそが、初めから物語に組み込まれている要素の可能性だってある。

( ^ν^)「……どうすっかなあ……」

ハハ ロ -ロ)ハ「……」

 ハローが眉を顰める。

 ――デレは、何とはなしに、ハローと電話で話したときのことを思い返した。

 ヒッキーとエクストという少年、そしてデレが巻き込まれた事件が解決した後。
 ハローは、自分のせいでだの何だのと思い悩んでいた。

873 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:50:12 ID:bPt9G4yw0
ニュッ君の主人公っぷり

874 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:50:30 ID:7KP.TRzkO

 彼女は明るくて、天真爛漫といった言葉がよく似合う、
 どこか楽天的に見える人だ。

 だが、その実、誰よりも繊細なように思える。

 繊細というか、そう、彼女が好むような、
 「恐怖」や「不安」に敏感で、そして、とても弱い。


ハハ ロ -ロ)ハ「――?」

 ニュッを見つめていたハローは、デレへと視線を移した。

 突然頭を撫でられれば、そんな反応を返すのも当然だろう。

ハハ ロ -ロ)ハ「……何デスカ」

ζ(゚、゚*ζ「あの2人、本の中から出してあげてください」


 臆病者なハロー。
 電話でデレが伝えた内容に、喜んでいた。

 だから、きっと、彼女が欲しいのは、不安を取り除いてくれる言葉。


ζ(゚、゚*ζ「私達ね、やらなきゃいけないことがあるんです。
      それが終わったら――」

875 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:52:58 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚ー゚*ζ「いっぱいお話しして、遊びましょうね」

ハハ ロ -ロ)ハ


 怪訝な顔をされる。

 それでも、本は首から離れた。
 熱が引いていく。

ハハ ロ -ロ)ハ「……ホント?」

ζ(゚ー゚*ζ「本当」

ハハ ロ -ロ)ハ「約束デスヨ、約束……」

ζ(゚ー゚*ζ「約束です」

ハハ ロ -ロ)ハ「絶対」

ζ(゚ー゚*ζ「絶対」

ハハ ロ -ロ)ハ「……」

 ハローは躊躇いがちに一歩退くと、本を棚に戻し、両手を宙に伸ばした。

 それから何かを掴む仕草をして、腕を引く。

876 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:54:36 ID:7KP.TRzkO

(´・ω・`)「うわっ」

o川;゚ー゚)o「ああああ――ぎゃっ!?」

( ^ν^)「あ」

ζ(゚、゚;ζ「ショボンさん、キュートちゃん!」

 その掴んだ「何か」を放り投げるような動作を終えた直後、
 どこからともなく、ショボンとキュートが転がり出てきた。

 キュートは軽い錯乱状態で、辺りを見回しながら、妙な奇声をあげている。

ζ(゚、゚;ζ「キュートちゃん、どうしたの」

o川;゚ー゚)o「いっ、犬の死体抱えた人と目が合ってっ、いきなり追いかけられてっ、
      家に逃げたんだけど、その人がずっと家の周りうろうろしててっ」

ζ(゚、゚;ζ「おっ、おおっ……事細かな説明ありがとう……ありがとう?
      とりあえず落ち着いて……。大丈夫だよ、もう、その人いないから」

o川*;ー;)o「……デレちゃぁああああん!!」

(´・ω・`)「何だよ、ナイフ持った男と楽しく死闘を繰り広げてたところだったのに」

( ^ν^)「死闘に楽しいも何もねえよ」

 ショボンの方は満喫していたらしい。
 何とも神経の太い男だ。

877 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:56:08 ID:7KP.TRzkO

 キュートは一頻り泣きじゃくると、はっとして鞄の中を確認した。
 何かの様子を窺い、「良かった」と安堵する。

 それからようやく、2人はハローに気付いた。
 警戒しているのか、ハローはじりじりと距離をとっている。

(´・ω・`)「あら、やっぱりハローだったんだ、ここの司書」

o川*゚ー゚)o「あ、こんにちは」

ハハ ロ -ロ)ハ「……ドウモ」

ζ(゚ー゚*ζ「お願い聞いてくれてありがとうございます、司書さん」

 駆け寄り、ハローの手を握る。
 ハローは数秒の沈黙を経て、こくりと頷いた。

ハハ ロ -ロ)ハ「約束、忘れないでネ。
      アナタ、何だかあったかいカラ、ワタシ信用したんデスヨ。裏切っちゃ嫌デス」

ζ(゚ー゚*ζ「勿論」

o川*゚ー゚)o「約束?」

( ^ν^)「……デレのおかげで、お前ら助かったんだぞ」

(´・ω・`)「ええー、うっそマジでえー? 何か癪ー」

ζ(゚、゚;ζ「癪って何ですか癪って!」



.

878 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:56:36 ID:bPt9G4yw0
バトルマニアショボン

879 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:57:45 ID:VL3Gq1DMO
しえん

880 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 17:57:55 ID:7KP.TRzkO


 ――その後ハローに案内を頼んだ4人は、何事もなく扉の前へ到着した。

 聞くところによると、魔女と青年は次の4号館へ向かったとのことだ。



 扉には銀色の猫型の装飾が施されており、尻尾の部分が取っ手になっていた。

 その尻尾を握り、キュートが扉を開ける。

o川;゚ー゚)o「早く行こ。何かさっきの余韻が残ってて、まだちょっと恐い」

ζ(゚ー゚*ζ「はいはい。……それじゃあ、また後で」

ハハ*ロ -ロ)ハ「マタネ」

(´・ω・`)「約束って、どんな約束したのさ」

ζ(゚ー゚*ζ「んーとですね……」

( ^ν^)「一緒に遊ぶっつっただけだ」

(´・ω・`)「それだけ? たった? ……ますます癪だね」

ζ(゚ー゚;ζ「だから癪ってどういうことですか!」


 3号館を後にする。

 扉が閉まりきるまで、ハローは手を振っていた。



*****

881 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:00:03 ID:7KP.TRzkO


( ^ω^)『――館長って呼んでくれお』

 ツンが同行するようになってから、1ヶ月ほど経った頃。

 朝食の時間、スーツ姿で食堂に現れた内藤は、唐突にそう言った。

 食堂にはまだ住人の半分も集まっていなかったのだが、
 その場にいた全員が全員ぽかんと口を開け、内藤を注視した。

川д川『館長……?』

(*゚ー゚)『どうしたの、急に。てか何でスーツ』

( ^ω^)『ラフな格好の学生がいきなり押しかけていって、
       本がどうのこうのって言ってもなかなか信用されないんだお。
       昨日ようやく悟った』

( ゚∋゚)『ああ、それでスーツか』

川д川『こんな若いのに「館長」って、逆に怪しまれない……?』

( ^ω^)『でも、まあ、何の肩書きもないよりはマシだお。
       館長っつっても、仮の、だけど』

 内藤は、くるりと回り、黙り込んでいたツンに微笑みかけた。
 スーツの襟元をこれ見よがしに引っ張ってみせる。

882 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:01:19 ID:7KP.TRzkO

(*^ω^)『どうだお、ツン』

ξ゚听)ξ『どうって』

(*^ω^)『似合うかお? 新鮮じゃないかお?』

ξ゚听)ξ『……スーツ着たブーンなんて、就活してたときに散々見たわよ』

(;^ω^)『まあ、そうだけど……』

(*゚ー゚)『そんで? 「館長」さん、今日の御予定は?』

( ^ω^)『何か、隣町の古本屋に本があるらしいんだお。花柄って言ってたから――』

( ゚∋゚)『俺の本だな、館長』

(*^ω^)『だお。……おおお、むずむずするお。もっと呼んで』

川д川『館長……』

(*^ω^)『それ、もう一回! もう一回!』

(*゚ー゚)『どんなテンションだ。館長ー』

(*^ω^)『おっおっお、何これ気持ちいい。
       これからは「ブーン」じゃなく「館長」って呼ぶように』

川д川『随分気に入ったのねえ……』

ξ゚听)ξ『……』

 嬉しそうに笑う内藤。

 ――何故、「館長」と呼ばせたがるのだ。
 自分達が彼をそう呼ぶことに、何の意味がある。

883 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:01:29 ID:.QgyfHQAO
モララーのコメディっぷりとハローのスリルよ
しっえん

884 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:02:11 ID:7KP.TRzkO

(*^ω^)『ツン、呼んでくれお』

ξ゚听)ξ

ξ゚听)ξ『……ブーン』

 内藤の笑顔が、僅かに歪んだ。

 折角綺麗に結んだリボンが、片側だけ引っ張られて、歪に乱れてしまったような。
 そんなイメージが、ツンの脳裏を過ぎった。

( ^ω^)『そうじゃなくて』

ξ゚听)ξ『ブーンはブーンよ』

( ^ω^)『……ツンに一番呼んでほしかったのに』

 目を逸らす。

 内藤が浮かべた――寂しそうで、ほっとしたようで、戸惑いにも似た表情の意味は、
 ツンには分からなかった。

 ただ、呼び名の違いが、得も言われぬ「距離」を生み出してしまいそうなのが嫌だった。



*****

885 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:04:32 ID:vpF.eqFk0
   _, ,_
( ・∀・)正座で紫煙
( ∪ ∪    
と__)__)

886 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:05:01 ID:bPt9G4yw0
ブーンもまどろっこしいな

887 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:05:27 ID:7KP.TRzkO


( ^ω^)「……ねえ、魔女さん」

 また起きた。
 思ったより早い。

ξ゚听)ξ「はいはい」

( ^ω^)「おかしいお、戸棚がないお。
       僕のお気に入りの服や大事なものがしまってあるんだお」

ξ゚听)ξ「どんな戸棚だったかしら?」

( ^ω^)「木製で、胡桃色で……ガラスの戸がついてて、下には引き出しがあって……」

ξ゚听)ξ「ああ、それね」

 ペンを一振り。

 品のいい戸棚が、見た目通り、品よく音も立てずに降り立った。
 ペン先で棚を指す。

ξ゚听)ξ「ごめんなさい、移動させてたの。あれで間違いないわよね?」

( ^ω^)「あ、たしかに僕の戸棚だお」

ξ゚听)ξ「でしょう。だから、あなたの部屋なのよ」

( ^ω^)「そうなのかお」

 内藤は安心したように息をついた。
 起き上がろうとしたのを、ツンが制止する。

888 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:06:31 ID:7KP.TRzkO

ξ゚听)ξ「まだ寝てなさい」

( ^ω^)「でも、僕、寝てばかりだお……」

ξ゚听)ξ「たくさん寝てるように感じるかもしれないけど、
      あなたってばすぐに起きちゃうから、あんまり長くは眠ってないのよ」

( ^ω^)「本当かお」

ξ゚听)ξ「ええ」

( ^ω^)「じゃあ、もう少しだけ……」

ξ゚听)ξ「そうね、もう少しだけ」

( ‐ω‐)「……おやすみなさいお」

ξ゚听)ξ「おやすみなさい」

 ツンが口を噤む。
 やがて、そこには内藤の寝息だけが聞こえ始めた。



*****

889 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:07:48 ID:7KP.TRzkO


(*゚ー゚)「お初にお目にかかります、我ら、4号館の司書でございます」

(#゚;;-゚)) ペコリ


 右側から差す薄桃色の光と、左側から差す薄紫色の光が中央で交わる4号館。

 その混ざり合った光の中で同時に頭を下げる双子。
 椎出しぃと椎出でぃ。

(´・ω・`)「双子まとめて、ね」

o川*゚ー゚)o「双子なんだ」

ζ(゚、゚*ζ「左側の人が椎出でぃさん。しぃさんの双子のお姉さん」

 そういえばキュートはでぃと会ったことがなかったか。
 デレが紹介してやると、キュートは、でぃに「はじめまして」と一礼した。

(*゚ー゚)「そちらのお客様、私には挨拶してくださらない」

o川;゚ー゚)o「だって会ったことあるし……いや、まあ、ううん……はじめまして」

(*゚ー゚)「はじめまして!」

890 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:10:41 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚*ζ「……しぃさんがセクハラしてきませんね」

( ^ν^)「この話を書いたのはツンだ」

(´・ω・`)「ツンには、下ネタばんばん吐き出すキャラは書けないか」

ζ(゚、゚*ζ「ああ、そっか」

 しぃが目に入った瞬間からデレはショボンの後ろに隠れていたのだが、
 本に操られているのなら安全そうだ。
 ショボンの背後から移動する。

(*゚ー゚)「2号館も3号館も無事に潜り抜けるとは、何とまあ珍しい」

ヾ(#゚;;-゚)ノシ

(*゚ー゚)「私の姉も驚いています」

(´・ω・`)「それはどうも」

( ^ν^)「出来ればここも無事に潜り抜けさせてほしいんだがな」

(*゚ー゚)「どうしましょうかねえ」

 しぃが腕を組む。
 隣で、でぃも腕を組み、わざとらしく首を傾げた。

891 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:12:21 ID:7KP.TRzkO

(*゚ー゚)「大抵の人間は、ここに来るまでの間に本に食べられてしまいます。
     あなた方のような客は本当に珍しい。
     そんな折角の『餌』を、みすみす逃してしまうのは――」

ζ(゚、゚;ζ「え、餌……」

(#゚;;-゚)ノシ

(*゚ー゚)「どうしたの、お姉さん」

ヽ(#゚;;-゚)ノ

(*゚ー゚)「……ふむ、たしかに、まずはそれを訊かないとね。
    お客様方、どうしてこの図書館に来たんですか?」

o川*゚ー゚)o「人を探しに来ました」

(*゚ー゚)「人」

( ^ν^)「魔女と人間が来ただろ。人間の方は眠ってたって聞いた」

(*゚ー゚)「――ああ、はいはい。来ました来ました。ね」

(#゚;;-゚)) コクリ

(*゚ー゚)「『2人で幸せに暮らしていける話』を探してらっしゃいましたね」

(´・ω・`)「ここにいるのかい?」

(*゚ー゚)「――さあ?」

 椎出姉妹は、同時に足を動かした。

 ダンスのステップでも踏むかのごとく、軽やかな足取りでデレ達に近付く。

892 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:13:44 ID:7KP.TRzkO

(*゚ー゚)「ここには、大まかに分けて、2つのジャンルの本がございます。
     科学のお話と、」

(#゚;;-゚)「……家族の、お話……」

ζ(゚、゚;ζ(でぃさん喋った)

 しぃはキュートとニュッの腕を引くと、2人を自分の横に並ばせた。
 でぃはデレとショボンの間に入り込む。

(*゚ー゚)「あなた方のお探しの魔女は、どちらを選んだと思います?」

o川*゚ー゚)o「どちら、って……どっちかを選んだんですか?」

 キュートの問いには答えず、しぃは、くすくす笑った。

 ――科学と家族。
 魔女と人間が、共に、幸せに暮らせるのは。

ζ(゚、゚;ζ「……か、家族、かな?」

(*゚ー゚)「そうでしょうか?
     たしかに、『暮らす』、となると……家族のお話が適しているかもしれません」

(*゚ー゚)「ですが、彼らは、片方が魔女、片方が人間です」

( ^ν^)「それが?」

(*゚ー゚)「魔法なんて不要な、科学に支配された世界ならば――
     彼女が魔女だろうと何だろうと、関係ないではありませんか」

893 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:15:06 ID:bPt9G4yw0
あな珍しや、落ち着きのあるしぃ

894 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:17:13 ID:7KP.TRzkO

(´・ω・`)「じゃあ、魔女は科学の方を選んだのかい」

(#゚;;-゚)「……さあ……?」

 小声で、先のしぃと同じ返事をするでぃ。
 ショボンは溜め息をついた。

(*゚ー゚)「お客様方ならば、どちらにします?」

ζ(-、゚;ζ(……あ)

 ちかちか。
 目が痛む。

 まずい。
 でぃから離れようとしたが、がっちりと腕を挟み込まれ、逃げられない。

 ニュッ達を見ると、彼らも、腰の辺りをしぃに抱えられていた。

895 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:19:14 ID:NnkiULe.0
いいなあほんと

896 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:20:42 ID:7KP.TRzkO

(*゚ー゚)「家族と、科学――」

 声が意識を侵食する。

 混ざったことで毒々しささえ感じられる色合いに変化した光が、
 視界に潜り込み、広がり、思考を満たす。

 その思考の中で、紫の色が濃くなった。

ζ( 、 ;ζ(あ……――)



     「――うわああああああ!!?」



ζ(゚、゚;ζ「ふへっ!!」

 絶叫が谺する。
 頭の中を巡っていた色が消え失せ、デレは顔を上げた。

897 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:21:39 ID:7KP.TRzkO

 今のはキュートの声だ。
 彼女の方を見る、と。


(*゚ー゚) サワサワ

o川;゚ー゚)o「お尻! 離せ!!」

ζ(゚、゚*ζ


 しぃが、キュートの尻を撫でていた。

898 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:22:51 ID:.QgyfHQAO
性欲が本の支配に打ち勝った……だと……

899 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:23:08 ID:zcTUemEsO
まともだと思ったらwww

900 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:24:08 ID:7KP.TRzkO

 いや、デレからはキュートもしぃも正面の姿しか見えないので、
 しぃの手がどのような動きをしているのか、正しくは分からない。
 キュートの言葉と、辛うじて確認出来るしぃの腕の位置から「尻を撫でている」と判断した。

(*゚ー゚)「……おや、これはどうしたことか。手が勝手に」

ζ(゚、゚;ζ「本能なんだ。もう本能なんだそれ」

(´・ω・`)「しぃはしぃだったか」

o川;゚ー゚)o「ぎゃあっ、揉むな! 抓るな!!」

(*゚ー゚)「おっと」

 腰を掴まれるよりは、尻を触られる方が拘束としては弱い。
 そもそもそれは拘束ではなくセクハラである。
 キュートはしぃから逃れ、デレへしがみついた。

 一方、逃げ遅れたニュッは、しぃに両腕で抱え込まれてしまう。

(*゚ー゚)「いやはや、失礼いたしましたお客様。
     もうあのような真似はいたしません故、ご安心を」

( ^ν^)「どっちにしろ本に閉じ込めるつもりなら安心出来ねえよ。
       あと言ってるそばからまさぐるな。やめてくださいお願いします」

(*゚ー゚)「あれえー?」

901 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:26:31 ID:3F/uDnRQO
来てんじゃねぇか!
全力支援

902 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:26:45 ID:7KP.TRzkO

(;゚;;-゚) オロオロ

o川;゚ー゚)o「照明の色も相俟って、あそこの空間だけやたらピンクすぎる……!」

(´・ω・`)「見てても何も楽しくないんだけどね」

(*゚ー゚)「ええっと……手が止まらないので、諦めて話の続きをしましょう」

o川;゚ー゚)o「そのまま!?」

(*゚ー゚)「喜びも悲しみも分かち合いそして耳舐めたい与え合う家族の話と
     まるで魔法のような機械や道具に耳の穴に舌捩じ込みたい囲まれた科学の話、
     どちらがより舐めしゃぶりたい幸せなんでしょうね?」

ζ(゚、゚;ζ「所々バグってますよ」

(´・ω・`)「ニュッ君耳狙われてる、耳」

(*゚ー゚)「参った……こんな調子では本に引きずり込めない……」

ζ(゚、゚;ζ「しぃさんの習性に感謝すべきか否か……」

( ^ν^)「助けてください」

(´・ω・`)「いかん、ニュッ君が色々限界だ」

903 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:27:34 ID:bPt9G4yw0
結局しぃはエロから離れられなかったか

904 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:29:13 ID:7KP.TRzkO

 妹の突然の乱心――いつものしぃではあるが、本に操られている彼女達からすれば
 乱心もいいところだろう――に慌てふためくでぃの腕から摺り抜け、
 ショボンはニュッに歩み寄った。

 しぃを引き剥がす。

(´・ω・`)「悪いんだけど、くだらないことやってないで、さっさと進みたいんだよね。
      どうせ、魔女は科学も家族も選んでないんでしょ」

(*゚ー゚)「……ええ。まあ、仰る通り。
     しかし我ながら己の行動が理解出来ませんが、くだらないと言われるのは心外です」

( ^ν^)「……後で」

 よろけるように後ずさり、ニュッは、デレを指差した。

( ^ν^)「あいつを好きにしていいから、ここは見逃してくれ」

ζ(゚、゚;ζ「……なっ、ニュッさっ……、……はあ!?」

(*゚ー゚)「……好きに、って、本の餌にしてもよろしいということで?」

( ^ν^)「いや。触るなり撫で回すなり何なり。
       今はまだ用があるから駄目だが、後でなら、いくらでも」

ζ(゚、゚;ζ「ふざけんな! 年上だけどお前ふざけんな!!」

905 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:30:43 ID:7KP.TRzkO

(*゚ー゚)「……ほう……?」

(;゚;;-゚)「!?」

 「なら見逃しちゃおっかな」とでも言いたげな妹、
 「えっ見逃しちゃうの」とでも言いたげな姉。

 どちらの意見が勝つかといえば、

(*゚ー゚)「何故だか、とても魅力的な取り引きに思えます。応じようではありませんか」

 こちらだった。

ζ(゚、゚;ζ「応じるな!!」

o川*゚ー゚)o「ドンマイ」

ζ(゚、゚;ζ「他人事だからってキュートちゃん軽い!」

(´・ω・`)「さっきといい今回といい、デレちゃん大活躍だね格好いいー」

ζ(゚、゚;ζ「こんな活躍したくない、したくないです……」

(*゚ー゚)「どうしましょう、涎が止まりません」

ζ(;、;*ζ「うわあああん! 終わらなければいい! 演じ終わらなければいい!!」

(;゚;;-゚) ゲンキ ダシテ

 デレに残された希望は、この物語を演じ終えたときに、
 今の取り引きをしぃが忘れてくれることのみである。



*****

906 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:32:02 ID:37lYifdcO
人身御供wwww

907 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:33:34 ID:oG5oKFOE0
しえん

908 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:33:49 ID:7KP.TRzkO


(*゚ー゚)「お待ちしてますよ!」

(#゚;;-゚)ノシ

ζ(;、;*ζ「待つな!!」

 扉の右のハンドルには桜色、左には藤色のカバーが被せられていた。
 それをショボンが押しやる。

 扉が開くと、真っ先にデレが飛び出していった。

(´・ω・`)「あらあら、ニュッ君のせいだよ」

( ^ν^)「俺のおかげであっさりクリア出来たんだろ」

 意地の悪い声で囁きかけるショボン。
 彼の嫌味につっけんどんに返し、ニュッはデレの後に続いた。

 くつくつ、ショボンが笑う。

(´・ω・`)「本当、あっさりだったね」

 ショボンとキュートも渡り廊下へ出るや、扉は音もなく閉まった。
 ニュッさんの馬鹿、と責めてくるデレをいなし、ニュッは5号館を目指す。

909 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:35:26 ID:7KP.TRzkO

( ^ν^)(『あっさり』か)

 たしかに、1号館からこれまでは、随分あっさり済ませてきた気がする。

 4号館に至っては、「本」の内容などほとんど無視する結果になった筈だ。
 しぃのセクハラだの、主人公の味方をあんな形で差し出すだの、
 どう間違ってもツンが書くわけがない。

 今のところ、台本通りには進んでいないだろう。
 ツンが書いた本なら、彼女に似て、きっちり進めたがりそうなものだが。

( ^ν^)(……ただ演じさせたいだけじゃねえのか?)

 もしかして、他に何か目的が――

ζ(>、<;ζ「あぶっ」

(´・ω・`)「ニュッ君?」

o川*゚ー゚)o「どうしました?」

 ニュッの足が止まる。
 背中にデレの顔面が衝突した。

 ――やはり、変だ。

( ^ν^)「……ショボン」

(´・ω・`)「何」

910 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:37:38 ID:7KP.TRzkO

( ^ν^)「ツンは自分が書いた本に命が宿ったのは知ってただろうし、
       この10年以上、何の音沙汰もなかったってことは
       ツンが定期的に朗読するか何かして、本の欲求を満たしてやってた……筈だ」

(´・ω・`)「まあ、そうだろうね」

( ^ν^)「なら、どうして今、こんな風に俺らに演じさせてんだ?
       ツンが、本が我慢の限界を迎えるほど放っておくとは思えねえ」

 問いと視線をショボンに投げると、ショボンは「ふむ」と唸った。
 デレとキュートは疑問符を浮かべている。

(´・ω・`)「――本に対して、演じさせる許しが出た。あるいは、……命令した」

( ^ν^)「誰が」

(´・ω・`)「何だよ、ニュッ君も見当ついてるんだろ」

( ^ν^)「同じ考えかどうか確認したい」

(´・ω・`)「する必要ないと思うけど……そりゃ、ツンさ」

( ^ν^)「……だよな」

ζ(゚、゚;ζ「? 何なんです?」

o川*゚ー゚)o「ツンちゃんが『本』に、この状況を作り出すように言ったってこと?」

(´・ω・`)「おいおい、ろくに事情を知らないキュートちゃんの方がデレちゃんより鋭いじゃないか」

ζ(゚、゚;ζ「キュートちゃんは私より頭いいんです!」

(´・ω・`)「ついに開き直っちゃった」

911 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:39:39 ID:bPt9G4yw0
まあそうなんだろうな

912 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:40:17 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚;ζ「……でも、ニュッさん、何でツンちゃんがそんなことするんですか?
      誰も得しなさそうですけど」

( ^ν^)「得するかもしんねえ」

ζ(゚、゚;ζ「へ? 誰が?」

(´・ω・`)「自分で考える素振りも見せないね、デレちゃん。
      ……これは、青年と逃避行したがっている魔女を、主人公が追いかけるストーリーだよ。
      青年はブーン、魔女はツンでね」

ζ(゚、゚;ζ「……んー?」

 デレが黙り込んだ。
 眉間に皺を刻み、床の一点を睨んでいる。

 ニュッが脳内で10を数え終わると同時に、デレはショボンを見上げた。

ζ(゚、゚*ζ「ツンちゃんと内藤さんが結ばれるオチなら、ツンちゃんは確実に得しますね。
      内藤さんも喜ぶとは思いますが」

o川*゚ー゚)o「でもさ」

 キュートが口を開く。
 デレがようやく一つの結論を出した頃には、キュートの思考は既にその先まで及んでいる。
 これが知能の差か。

913 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:42:19 ID:NnkiULe.0
わくわく

914 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:42:25 ID:7KP.TRzkO

o川*゚ー゚)o「これ、……演じ終わる? って表現でいいの?
      演じ終わったら、結局何もかも現実に戻っちゃうんでしょ?
      だったら、魔女と青年が結ばれようと、意味ないんじゃないの」

(´・ω・`)「そう。演じ終われば、この奇妙な図書館は消えるし、作家達もいつもの彼らに戻る。
      全て元通りだ。――ある例外を除けばね。
      さてデレちゃん、君は今『例外って何ですか』と阿呆面で訊こうとしただろ」

ζ(゚、゚;ζ「あ、阿呆面とは失礼な……たしかに訊こうとしましたけど……」

(´・ω・`)「『あること』が起きてしまったら、それは、演じ終わった後も
      事実として現実世界に反映され、継続されていく。これは君も知ってることだ」

ζ(゚、゚;ζ「ショボンさんの言い方遠回しすぎてむずむずする……」

o川;゚ー゚)o「……あっ、そっか……」

ζ(゚、゚;ζ「そして例によって私だけ分かってないパターン」

 ショボンからの説明は望めないと判断したらしく、デレはニュッに視線を移した。
 己の不甲斐なさが悔しいのか仲間外れなのが寂しいのか、涙目だ。

( ^ν^)「『あること』は、たとえば――」


( ^ν^)「――死亡する、だとか」


ζ(゚、゚;ζ

ζ(゚、゚;ζ「……そう、でしたね……」

 デレが青ざめる。
 頬を両手で押さえ、瞳をきょときょと動かした。

915 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:44:19 ID:7KP.TRzkO

(´・ω・`)「ツンはブーンが好きだ。
      こんな――ブーンと一緒になる方法を模索するような話を書いちゃうくらいに」

ζ(゚、゚;ζ「……一緒に、なる……」

(´・ω・`)「よくあるよね。
      お前を殺して俺も死ぬー、っての。簡単に言えば心中」

o川;゚ー゚)o「心中ってオチなら……しかも、それをツンちゃんが望んでるなら」

(´・ω・`)「この状況に至った説明がつく。あるいは、そうだね……
      もし、この図書館の本に取り込まれる、ってのも死亡みたいな扱いになるとすれば」

o川;゚ー゚)o「魔女と青年が、本の中に行ったまま戻ってこないオチの可能性もありますね」

(´・ω・`)「どっちにしろ主人公からすりゃバッドエンドだ。
      ニュッ君、やっぱり物語の結末は思い出せないままかい?」

( ^ν^)「思い出せねえけど――読後感があんまり良くなかったのは覚えてる」

 デレが、口をぱくぱくと開閉させた。
 ツンちゃんがそんなこと、と呟き、沈黙する。

 何故か右手を撫でて、デレは項垂れた。

916 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:45:48 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚;ζ「……私のせいでしょうか」

( ^ν^)「……何で」

ζ(゚、゚;ζ「前に、ツンちゃん、私に訊いたんです。内藤さんのこと好きか、って。
      やきもち焼いてたんだと思います」

o川*゚ー゚)o「やきもちって言ったって……内藤さん女の子好きな人だし、
      いちいち妬いてたら、きりないでしょ」

ζ(゚、゚;ζ「でも、昨日。私、その、……内藤さんのこと抱き締めちゃいまして。
      ……で、それ、ツンちゃんに見られて……」

( ^ν^)「は?」

(´・ω・`)「わお、デレちゃん大胆」

ζ(゚、゚;ζ「いやっ、昔の話をしてたら内藤さんが泣き出したから!
      それがあんまりにも可哀想で、慰めなきゃって、思わずっ」

o川;゚ー゚)o「あちゃあ……それがきっかけになったのかな」

ζ(゚、゚;ζ「……そう、かな。やっぱり」

 ごめんなさいと漏らし、デレが縮こまった。

 キュートの言うように、その出来事がツンの嫉妬心と独占欲を刺激した可能性は大いにある。
 だが、デレに悪気があったわけではないようだし、責めたところで仕方がない。

( ^ν^)「気にすんな」

ζ(゚、゚*ζ「ニュッさん……」

(´・ω・`)「甘やかすなよ、デレちゃんのせいなのは変わりないじゃないか」

ζ(;、;*ζ「ご、ごめんなさい、ごめんなさい……」

( ^ν^)「おい」

917 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:47:48 ID:bPt9G4yw0
ニュッ君微妙に嫉妬してないかこれ

918 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:48:10 ID:7KP.TRzkO

(´・ω・`)「それはともかく、これからどうする?
      心中説が濃厚な今、下手に進むのは控えたいところだけど」

o川*゚ー゚)o「そうです、」

 「ね」とキュートが言い切る前に。

 突然、ニュッ達の足が動いた。

ζ(ぅ、;*ζ「えっ」

 次なる目的地、5号館へ向かい、4人が歩き出す。
 一歩一歩、寸分の狂いもなく、ぴったりと揃えられた足並みで。

o川;゚ー゚)o「なっ……なに、何これ!? 足が勝手に……」

(´・ω・`)「ついに『本』からの妨害が入ったね」

ζ(゚、゚;ζ「さっさと次のシーンに行けってことですか!?」

( ^ν^)「多分な」

 「本」は、とにかく物語を進めたがっている。

 ――結末を迎えたがっている。

 恐らく、本というよりはツンの意向だ。

( ^ν^)(……どうすりゃいいんだ)

 止まらぬ足を睨みつけ、ニュッは嘆息した。



*****

919 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:51:04 ID:7KP.TRzkO


(*^ω^)『ツン、あのテーブルの子、見てみるお。
       そっち……そうそう、あれ、コーヒー飲んでる子。綺麗な子だおー』

ξ゚听)ξ『……』

(*^ω^)『ああ、ツンの方が可愛いけど。ツンが一番綺麗だけど』

 ツンは、内藤の考えていることがまったく分からなかった。

 以前と同じなのだ。
 女好きで、ツンにべったりくっついてきて、明るく笑う――以前の内藤と、まるで同じ。
 今も、休憩と称して入った喫茶店の中で、他の女性客に見とれている。

 それが理解出来ない。

(*^ω^)『おお……今通り過ぎてったウエイトレスさん、スタイルいいお……』

 モナーの件に関して一切触れてこないし、ツンに構ってくれる。
 もしかしたら、ツンのことは許してくれたのかもしれない。

 そんな希望がちらつくが、しかし、呼び名を変えたがったように、
 距離をとろうとしている節もある。

 分からない。何も。

920 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:52:42 ID:7KP.TRzkO

(*^ω^)『ツン、ツン、ほら、あの席の子――』

 声を潜め、身を乗り出し、内藤が話しかける。

 胸が痛い。

 自分を置いて、内藤だけは、「いつも通り」へと戻っていく。

 自分の後悔は無駄なのか。
 死んでしまいたいとさえ思った、あの苦しさは何だったのだ。

 どうして他の女を見る。
 自分が一番綺麗だと言うのなら、どうして、他の女にもでれでれするのだろう。

 悔恨、嫉妬、不安――他にも、色々。
 脈絡なく浮かび上がっては、胸中で綯い交ぜになって、何だか、無性に。

 苛立って堪らない。



ξ゚ -゚)ξ



 ――乾いた音がした。

 掌が、じんと痺れる。
 向かいの内藤が頬を押さえている。

921 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:54:22 ID:7KP.TRzkO

(∩^ω^)『……お……』

ξ゚听)ξ『――あ』

 内藤を叩いてしまったことに、気が付いた。

ξ゚听)ξ『……ごめんなさい』

 言い訳が出てこず、とにかく謝った。
 頭の中がぐちゃぐちゃだ。

 驚いたように固まっていた内藤だったが、不意に頬から手を離して、にやつき出した。

( ^ω^)『……いいお』

ξ゚听)ξ『え?』

( ^ω^)『怒ったときは叩いてくれお、ツン。
       これなら分かりやすいお』

 内藤の笑みに、寂しそうな色が滲んだ。

 そういえば、言葉も表情も隠すようになったあの日から、
 初めて感情らしい感情を表に出した気がする。
 褒められた方法ではないが。

ξ゚听)ξ『……』

 暴力よりも。
 言葉で、顔で、気持ちを伝えたい。

 けれども、ツンには、まだ――その勇気がない。


 罪悪感を伴って掌に広がる熱を持て余しながら、ツンは頷いた。



*****

922 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:57:48 ID:7KP.TRzkO


( ‐ω‐)

 内藤の頬を、そっと指先でつつく。

 怒りを乱暴な方法で表現するようになってからしばらく経った頃、
 「叩けとは言ったけど殴れとは言ってない」と抗議されたが、
 結局、内藤はツンの拳を甘んじて受け続けた。

 さらにしばらく後に「ちょっと気持ちよくなってきた」と言われたときは、さすがに引いたが。

ξ゚听)ξ「……これが終わったら、もう、痛いことは何もないからね」

 囁きかける。

 内藤が唸り、目を覚ました。

( ^ω^)「……おはようお……」

ξ゚听)ξ「――おはよう」

( ^ω^)「ところで魔女さん、一つ思い出したんだお」

ξ゚听)ξ「どんなこと?」

( ^ω^)「時計が、ないんだお。
       テーブルの上に置いておいた筈なんだけど」

ξ゚听)ξ「時計?」

923 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 18:59:56 ID:.QgyfHQAO
時計なんかほっとけい

924 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:00:27 ID:7KP.TRzkO

( ^ω^)「柱時計を小さな模型にしたような置時計だお。
       深いチョコレート色で、素敵な時計なんだお。
       あれがないなら、やっぱり、ここは僕の部屋じゃないお」

ξ゚听)ξ「それなら……」

 ツンは内藤に見えぬよう、後ろに回した手で、ペンを軽く振った。

 そこに現れた時計を持ち上げ、内藤へ見せる。

ξ゚听)ξ「ごめんなさい。時間を確認したくて、勝手に持ってきてしまっていたの」

( ^ω^)「なあんだ、そういうことだったのかお」

ξ゚听)ξ「この時計で間違いないわよね?」

( ^ω^)「間違いないおー」

ξ゚听)ξ「でしょう。だから、あなたの部屋なのよ」

( ^ω^)「そうなのかお」

ξ゚听)ξ「……ほら、時間を見て。まだ夜なの。
      朝になるまで、眠っていたら?」

( ^ω^)「それじゃあ、そうするお……」

 ツンが机に時計を置くのと、内藤が目を閉じるのは、同時。

 かちり、時計の針が鳴る。

 ツンは、机の上、ノートの真っ白なページを見下ろした。

ξ゚听)ξ(……ニュッ君達が来るまで、あと少しね……)

 待ち遠しい。



*****

925 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:01:52 ID:7KP.TRzkO
すみませんが、10分ほど休憩します

926 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:02:36 ID:/k2VmDE.0
全然おk
待ってる

927 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:02:58 ID:.QgyfHQAO
お疲れ様

928 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:10:20 ID:0uUuZJcY0
待つぜ乙だぜ

929 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:12:05 ID:7KP.TRzkO


 5号館へ入ると、皆の足は一斉に止まった。

 巨大な本棚。赤い照明。
 淡い光ではあるが、真っ赤ともなると、少々目に痛い。
 デレは目頭を抓んだ。

 中央には相変わらず深緑色の絨毯が敷かれている。
 その上に佇む漆黒の机。
 こちら、入り口側を向いて座る男が1人。


(´・_ゝ・`)「やあ。ようこそ。僕は5号館の司書だ」


 盛岡デミタス。

o川*゚ー゚)o「……この人は?」

ζ(゚、゚*ζ「盛岡デミタスさん」

o川*゚ー゚)o「盛岡さん。素直キュートです、よろしくお願いします」

(´・_ゝ・`)「もりおかという人は知らないけど、よろしく」

 デミタスと向かい合う形で、机同様に真っ黒い椅子が一つ置かれている。
 肘掛けに、ベルトらしきものが付いているのが確認出来た。
 あからさまに意味ありげだ。

930 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:14:59 ID:7KP.TRzkO

( ^ν^)「……魔女と男が来なかったか」

(´・_ゝ・`)「唐突だね」

(´・ω・`)「いいから答えろよ」

 デミタスは、口元にうっすらと笑みを浮かべた。
 ショボンに似た八の字眉のせいで、苦笑しているように見える。

(´・_ゝ・`)「来たよ。
        『魔女と人間が平和に一生を添い遂げる話はないか』って言われたな。
        そんなの、ここにはないよと答えたら、さっさと6号館へ行ってしまった」

(´・ω・`)「そう。――僕らもさっさと6号館に行きたいんだけど、
      これまでの流れからすると、そうは問屋が卸さないってか? あ?」

 対し、ショボンは性格の悪さが滲み出た笑顔で返した。
 いつもの余裕が欠けているように感じられる。
 渡り廊下での会話から、彼も多少は焦っているのだろうか。

(´・_ゝ・`)「別に、行ってもいいよ」

ζ(゚、゚;ζ「――へ?」

 ショボンの様子を観察していたデレは、デミタスの返答に、
 気の抜けきった声をあげてしまった。

 行ってもいい、と言ったか。今。

931 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:17:41 ID:7KP.TRzkO

o川;゚ー゚)o「え……本当に? いくら何でもイージーモードすぎない?」

(´・ω・`)「へえ。さすがは作家の中でも個性の薄いデミタス氏だ。ありがたいや」

(´・_ゝ・`)「よく分からないけど、褒めてくれたのかな」

(´・ω・`)「地味っつってんだよ」

(;´・_ゝ・`)「やっぱりよく分からないけど、酷いね」

( ^ν^)「……」

 デレは、黙りこくるニュッの顔を覗き込んだ。
 顎に手をやり、デミタスを睨むように眺めている。
 いかにも疑っている表情だ。

( ^ν^)「何を企んでんだ」

(;´・_ゝ・`)「企むって……信用ないなあ。
        まあ、そう訊いてくれると手っ取り早い」

 乾いた笑いを落とし、デミタスが頭を掻く。
 そして、ゆっくりと立ち上がった。

932 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:18:03 ID:i8RoXdZs0
支援

933 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:20:29 ID:NnkiULe.0
支援だよう

934 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:22:27 ID:8hNYzghIO
うは 追っかける!!

支援〜

935 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:22:30 ID:7KP.TRzkO

(´・_ゝ・`)「――君達の内3人だけ、6号館へ行ってもいい」

ζ(゚、゚;ζ「さ」

 3人だけ。

 デレは、1人ずつ数えていった。
 そんなことをするまでもなく、自分を入れて4人だ。

o川*゚ー゚)o「1人は?」

(´・_ゝ・`)「ここに残って、僕と本達の相手をしてもらう。
        そのために机を用意したんだよ」

(´・ω・`)「あーあ。ついにか。
      いつ来るかいつ来るかと思ってたよ、仲間喪失イベント」

 大仰に溜め息をつき、ショボンが後ずさりをする。

 どんな相手をすればいいのかとニュッが訊ねた。

936 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:24:29 ID:63.c2iZk0
支援ったら支援

937 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:24:44 ID:xe3o0M4w0
>デレは、1人ずつ数えていった。

デレは大丈夫なのかwww

938 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:24:57 ID:7KP.TRzkO

(´・_ゝ・`)「ここは、謎解きを楽しみたい魔法使いがやって来る場所だ。
        けれど、みんな、一度謎を解いちゃうと満足してしまう。
        僕としても本としても、もっと遊んでいってほしいのに」

(´・ω・`)「……あれかい。あんたと本のために、推理ごっこをしろってこと?」

(´・_ゝ・`)「そういうこと。でも、君ら人間は魔法使いと違って、
        本の世界と現実を自由に行き来することは出来ない。
        好きなところで始めて好きなところで終わるってのが不可能なんだ」

ζ(゚、゚;ζ「それどころか、取り込まれちゃいますもんね」

(´・_ゝ・`)「ん。まあ、それは僕が上手いことコントロールすれば、取り込まれずに済むけど。
        何にせよ、謎解きのシーンに行くまで時間がかかってしまう」

 3号館で、ハローはデレ達を本の中から引きずり出した。
 司書ならば、その「コントロール」とやらが可能なのだろう。

(´・_ゝ・`)「だから、そこの椅子に座って、
        僕から出される問題にどんどん答えていってほしい。
        間違えたら、その瞬間、本の養分になってもらおう」

o川;゚ー゚)o「……餌だの養分だの、嫌な表現するわ」

( ^ν^)「間違えなかったら?」

(´・_ゝ・`)「次の問題を出すよ」

( ^ν^)「それじゃあ、いつ解放されんだよ」

(´・_ゝ・`)「そうだなあ……ここにある全ての謎を解けたらかな」

 ――解放する気はないということか。

 演じさせられているからとはいえ、デミタスを「嫌な人」と思う日が来ようとは。

939 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:27:34 ID:7KP.TRzkO

(´・_ゝ・`)「出来れば頭のいい人に残ってもらいたいね。
        さすがに1問目で脱落されると、つまらない」

 ニュッ、ショボン、キュートの目がデレに向けられる。
 こいつは論外だな、と、眼差しが物語っていた。

(´・ω・`)「良かったねデレちゃん、頭悪くて」

ζ(゚、゚;ζ「ぐおお……」

( ^ν^)「……どうしても1人残らなきゃ駄目か?」

(´・_ゝ・`)「嫌?」

o川;゚ー゚)o「そりゃあ嫌に決まってるじゃないですか」

(´・_ゝ・`)「断るつもりなら――今すぐ、全員を本に閉じ込めるけど」

 キュートが口を噤む。
 仲間の中から1人抜けるのは決定事項らしい。

940 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:30:29 ID:7KP.TRzkO

(´・_ゝ・`)「……さあ、誰にする?」

 当然と言うべきか、誰も名乗り出ない。

 廊下でショボンが言っていた。
 「この図書館の本に取り込まれる、ってのも死亡みたいな扱いになるとすれば」。

 もしも、それが認められるなら――ここに残るのは、自ら死にに行くようなものだ。

ζ(゚、゚;ζ「……」

 ニュッは主人公である。デレ以上に論外だ。

 ショボンとキュートは、2人とも頭がいい。
 デミタスの要求に応えられるとすれば、この2人のどちらかになる。

 だが――今ここで考慮するべきなのは、「デミタスに必要とされる人物」ではない。

 これから先、不要な人物だ。
 いなくても問題ない。そういう。

ζ(゚、゚;ζ(私だ……)

 頭が悪い。察しも悪い。
 先程の話し合いの際も、つくづく実感した。
 自分は、彼らについていけていない。

 役に立てたことといえば、ハローを説得したときだけで。
 あれだって、ハローの聞き分けが良かったおかげでしかない。

941 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:32:20 ID:7KP.TRzkO

 ショボンとキュートには、ニュッのサポートとなる価値が充分にある。
 たとえそうでなかったとしても、彼らを犠牲にするのは嫌だ。

 自分なら嫌ではないのかと問われれば、そりゃあ嫌だが、そちらの方がマシ。

ζ(゚、゚;ζ「……あの」

 デレは、手を挙げようとした。


 ――が。


(´-ω-`)「ああ、やめやめ。疲れた」


 デレの肩に手を乗せたショボンに、後方へ押しやられてしまった。

942 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:35:06 ID:NnkiULe.0
かっこいいいいいい

943 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:35:46 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚;ζ「わっ……」

 よろける。
 キュートに支えられて体勢を立て直し、机に目を遣った。

 丁度、ショボンが椅子に腰掛けるところだった。

ζ(゚、゚;ζ「ショボンさん!?」

(´・_ゝ・`)「君が残るの?」

(´・ω・`)「文句ある?」

(´・_ゝ・`)「いいや」

 デレ達が机へ駆け寄る。
 ショボンは顔を擡げ、ニュッを一瞥した。

944 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:36:25 ID:AArCLIzE0
支援
出てない司書からこうなるだろうと思ってたがマジで読ませ方うまいな

945 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:38:24 ID:7KP.TRzkO

(´・ω・`)「行ってらっしゃい。頑張ってね」

( ^ν^)「……本当に残んのか」

ζ(゚、゚;ζ「駄目です、私が残ります!」

(´・ω・`)「おいおい、まさか僕が自己犠牲の精神でここに座ってると思ってるの?
      気持ちの悪い誤解をしないでほしいな」

o川;゚ー゚)o「た、たしかに遮木さんがそんな精神持ち合わせてるようには思えないけど」

(´・ω・`)「知り合って一日も経ってないのに、そこまで言うかい。
      ……だからね、疲れたんだってば。もう動きたくないや」

(´・ω・`)「第一、とっくに4500円分の仕事は終わってるんだよ。
      これ以上僕を働かせたいなら、追加料金を取ろうじゃないか」

ζ(゚、゚;ζ「……払います」

(´・ω・`)「僕は疲れてる。腹も減ったな。
      こんな状態で仕事をしろってんなら、かなりの額になるよ」

 にやりと笑い、ショボンは足を組んだ。
 背もたれに寄り掛かる。

 絶対に動いてやらないぞと、態度で示された。

946 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:40:50 ID:7KP.TRzkO

(´・ω・`)「僕が一歩進むごとに100万だ。10歩で一千万。
      君に払える? 物や体での支払いは受け付けないよ。現金一括」

ζ(゚、゚;ζ「そんな――子供みたいな数字出して、誤魔化されると思ってるんですか。
      ……ショボンさんも言ったでしょ、私のせいでこんなことになってるんです!
      私が責任とりますから!」

(´・ω・`)「うるさいなあ……」

(´・_ゝ・`)「どうするの、交代するの?」

(´・ω・`)「しない」

(´・_ゝ・`)「そうか」

 デミタスは、ショボンへ肘掛けに腕を乗せるよう指示した。
 言われた通りにしたショボンの手首にベルトを巻きつけ、固定する。

(´・_ゝ・`)「そっちの3人は僕についてきて。出口まで案内しよう」

ζ(゚、゚;ζ「……ショボンさん……」

(´・ω・`)「今生の別れみたいな顔しないでよ。
      だから、僕は自己犠牲なんて真っ平ごめんだっつうの。
      誰が君達なんかのために死んでやるかよ」

947 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:44:53 ID:bPt9G4yw0
まあ探偵だしな
うってつけだな

948 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:45:23 ID:eVwBBFOA0
この物語のオチはツンが最後に皆助かるエンドを書き加えるだな

949 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:45:46 ID:7KP.TRzkO

(´・ω・`)「早く行って、早くツン達をどうにかして、早く演じ終わらせてきて。
      それまで僕は、クイズを解きながら遊んでるから。
      ……間違えなきゃいい話でしょ?

(´・ω・`)「これ以上働かず、君達が勝手に解決するのを待つだけの身だ。楽なことこの上ない」

ζ(゚、゚;ζ「……っ」

( ^ν^)「行くぞ」

 ニュッがデレの腕を引っ張り、既に歩き出しているデミタスを追った。
 キュートはショボンに会釈し、ニュッの後に続く。

ζ(゚、゚;ζ「ニュッさん、止まっ……」

( ^ν^)「残るならショボンが一番いい。
       上手くいけば、あいつの言うように、演じ終わるまで無事でいられるかもしんねえ」

ζ(゚、゚;ζ「上手くいかなかったら? 途中で間違えたら、」

o川*゚ー゚)o「……でも、デレちゃんや私が残るよりは、成功する可能性は高いんじゃない?」

ζ(゚、゚;ζ「そ、そうだけど……」

(´・_ゝ・`)「今更ごちゃごちゃ言ったって遅いよ」

 諦め悪く食い下がろうとしたデレだったが、
 デミタスの呟きで、何も言えなくなってしまった。

 俯き、また顔を上げて。
 後ろに振り返る。

ζ(゚、゚;ζ「ショボンさん、頑張ってください! すぐ終わらせますから!」

 だだっ広い館内に、声が響き渡った。
 もう随分と離れてしまったショボンが返事をしたかどうか、デレには分からなかった。



.

950 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:47:40 ID:xe3o0M4w0
>>948
本の養分にされちまえ

951 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:48:09 ID:UxqyD.KgO
>>948
予想厨は帰れよ

952 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:48:43 ID:7KP.TRzkO



(´・_ゝ・`)「――さあ、どうぞ」

 赤い革のカバーが嵌められたハンドルを引き、デミタスは一礼した。
 ニュッ、キュートが足早に出ていく。

ζ(゚、゚*ζ「……問題出すの、お手柔らかにお願いしますね」

 去り際、デレがそう言うと、デミタスは少しだけ笑った。
 了承したのか嘲笑したのか、どちらだろう。



*****

953 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:50:41 ID:7KP.TRzkO


(´・_ゝ・`)「待たせたね。始めよう」

 ショボンが待ちくたびれて欠伸を漏らした頃、
 何冊もの本を抱えたデミタスがようやく戻ってきた。
 本を机に置き、向かいに座る。

(´・ω・`)「逃げる気はないんだけど、このベルト、外してもらえないのかな?」

(´・_ゝ・`)「念のためね」

(´・ω・`)「あっそう。はは、こんな姿、ブーンが見たらさぞかし笑うだろうね」

 デミタスは積まれた本の中から一冊選ぶと、それを机の中心へ寝かせた。

(´・_ゝ・`)「まずは、この本からにしよう。
        ストーリーの概要は僕が説明する。君は、そこから推理してくれ。
        手掛かりは全て出すよ」

(´・ω・`)「分かった」

 足を組み替える。

 ふんぞり返り、ショボンは冷笑した。

(´・ω・`)「さあ、僕の暇潰しに付き合ってもらおうか」



*****

954 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:51:19 ID:CWW.JpvIO
間に合った
支援

955 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:52:00 ID:7KP.TRzkO


 ――遮木ショボンは冷静な人間である。

 嫌な言い方をすれば、冷淡でもあった。

 友人だから。知人だから。そんな理由だけで他人を心から信用することは滅多にない。

 たとえば誰かが首を絞められて殺されたとする。
 その場に内藤がいたとしたら、ショボンは躊躇なく内藤を容疑者として挙げるだろう。

 逆に、殺され方が刺殺か何かだったら、しかも犯行に計画性が見られたなら、
 内藤を容疑者から外すかもしれない。
 血が苦手なのを知っているからだ。

 彼が無条件で信じるものなど、己と金くらいではなかろうか。


 だから。


(´・ω・`)『――ツンはさあ、自分が死にたくないから救急車を呼ばなかったんじゃないの?』


 こんな結論だって、平気で口にする。


.

956 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:54:05 ID:7KP.TRzkO

( ^ω^)『……何言ってんだお』

(´・ω・`)『普通、真っ先に考えつかない? 前から言おう言おうとは思ってたけど』

 その日は、夏だった。
 モナーが亡くなってから1年と2ヶ月が経過した日。

 じいじい、蝉がうるさい真夏。

 たしか、行方不明だった本の手掛かりを得たショボンが、内藤に報告しに来たのだったか。
 1階のテーブルで、内藤とショボン、ニュッの3人が話していた、筈。

 このとき、ツンは2階から用意したアイスティーを運んできたのだが、
 先のショボンの言葉を聞いてしまい、出るに出られなくなったのだ。

 カウンターの奥のドアを一枚挟んで、ツンは、彼らの会話を立ち聞きする形となった。

ξ゚听)ξ『……』

(´・ω・`)『例の「10分間」、あの場にはツンと爺さんしかいなかった。
      爺さんの傍には、ツンの本とペンがあった。
      ……ってなったら、ねえ? ニュッ君、分かるでしょ?』

( ^ν^)『――……言いたいことは、分かる』

( ^ω^)『僕には分からないお』

(´・ω・`)『お前なあ、ニュッ君ですら分かってるんだよ。中学生以下か。
      ……っていうか、甘いんだね。性格も考えも』

 早く言えと内藤が苛立った声をショボンにぶつける。

 からん、と、グラスの中で氷が音を立てて、ツンは肩を竦めた。
 様子を窺ったが、内藤達には聞こえなかったようだ。

957 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:55:18 ID:7KP.TRzkO

(´・ω・`)『目の前で虫の息になった爺さんを見て、ツンは恐くなった。
      彼が死ねば、自分も死んでしまうんだから』

(´・ω・`)『それで、本とペンを持ってきて、爺さんに書かせた。
      他の作家のように――自分の死亡条件を、ニュッ君主体のもの、
      あるいは別の……とにかくもっと長生き出来るような条件に変えるような内容をさ』


ξ゚听)ξ


 一瞬。
 蝉の鳴き声や、自分の息遣いが、聞こえなくなった。

958 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:57:18 ID:7KP.TRzkO

( ^ω^)『……本の内容は書き換えられないお』

(´・ω・`)『でも書き加えることは出来るんでしょ?
      それなら、どうとでもなる。
      ツンは「本の子」第一号だから、記述にはいくつも穴がありそうだしね』

(´・ω・`)『書かなければ救急車を呼ばないぞと脅して、爺さんに書き加えさせる。
      書き終えたところで爺さんは力尽きた。
      ……これなら筋は通るでしょ。あの状況も、今ツンが生きてる理由も』

( ^ω^)『そんな面倒なことをするくらいなら、早く救急車を呼べば――』

(´・ω・`)『呼んだところで助からないかもしれないじゃない。
      いや、まあ、これは憶測に過ぎないよ。
      別に、絶対にそうだと言い切るつもりはない』

(´・ω・`)『たとえ僕の推理が正しかろうと、ツンを責めもしないしね。
      僕が彼女の立場なら、そういう行動に出るもの。
      ……ね、ニュッ君』

( ^ν^)『……』

(´・ω・`)『ニュッ君?』



 ――その後の彼らの会話は、聞いていない。

 足音を立てぬように階段を上り、ツンは食堂のテーブルにアイスティーを置いた。
 椅子に座り込み、突っ伏す。

959 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 19:58:40 ID:7KP.TRzkO

ξ )ξ『……、……』

 ショボンの話は、第三者からすれば充分信用するに足りるものだ。

 勿論自分は、そんなことなどしていない。
 していない。けれど。

 証明する術がない。

 早い内に言っておけば良かった。
 内藤に責められたときに、みっともない言い訳だと思われてもいいから、話せば良かった。
 「あのとき」に何があったか、話せば良かった。

 だが、もう遅い。
 内藤はショボンの言葉をどう受け止めるだろう。

 信じないでくれるだろうか。
 「それもそうだ」と納得してしまうだろうか。

ξ )ξ『ぶ……ん……』

 少なくとも。
 疑惑の種は蒔かれてしまった。

 後で、夕食のときにでもいいから、会ったときに何か言ってほしい。
 訊いてほしい。
 そうしたら答えられるから。そうしたら、信じる如何は置いておいても、否定は出来るから。

 しかし否定したところで何になる。

 真実がどうであれ、自分が見殺しにした事実は変わらない。
 でも。
 だって。

960 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:00:42 ID:7KP.TRzkO

 ――そういえば、幾度、自分を責めてきただろう。

 モナーを殺した、内藤に恨まれた、と嘆き続けて、結局、何もしてこなかった。
 それでは、こんな風に、全てが手遅れになるのも当たり前だ。

 今更そのことに気付いても、どうすればいいか分からない。
 何をしても悪い方向にしか進まぬように思える。



ξ )ξ


 ああ。何てことだ。



 こんなに苦しいのに、涙すら出ないではないか。



.

961 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:01:27 ID:7KP.TRzkO










#####

962 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:02:19 ID:7KP.TRzkO



 内藤モナーが亡くなった日。

 彼が血を吐いて倒れ、ツンが救急車を呼ぶまで。

 ――内藤達が知らぬ、「10分間」。



.

963 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:03:06 ID:bPt9G4yw0
一応責任感じてはいるのかショボン

964 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:03:38 ID:7KP.TRzkO


 ツンは、その日の夕飯を何にするべきか迷っていた。
 1人で考えていても埒が明かない。
 モナーに訊こうと、食堂を出る。


ξ゚听)ξ『――モナーさん、何してるの?』

 住人の部屋が並ぶ廊下。

 真ん中に、モナーが立ち尽くしていた。
 右手が口を、左手が胸元を押さえている。

 モナーはツンの問いに答えない。
 不審に思ったツンは、小走りでモナーに近寄った。

ξ゚听)ξ『モナーさ……』

 腕に触れる。

 その瞬間、モナーが咳き込み――右手の指の隙間から、血液が散った。

ξ;゚听)ξ『……どっ』

 どうしたの、と声をかける前に、彼は床に膝をついた。
 背を丸め、何度も咳をする。
 びちゃり、水音が響いた。

965 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:05:11 ID:7KP.TRzkO

(; ∀ )『う……――っ』

ξ;゚听)ξ『モナーさん!』

 救急車。
 救急車を呼ばなくては。

 踵を返しかけたツンだったが、モナーの声に、足が止まった。

(;´∀`)『……ツン……』

ξ;゚听)ξ『な、何? 早く救急車呼ばなきゃ――』

(;´∀`)『それより、先に……頼みがあるモナ……』

 語調が弱々しい。
 ツンは屈み込み、耳をそばだてた。

(;´∀`)『……ペンと、お前の本を持ってきてほしいモナ』

ξ;゚听)ξ『私の?』

(;´∀`)『お前を生んだ本……』

ξ;゚听)ξ『何でそんなもの……ねえ、先に救急車を呼んでからでもいいでしょう?』

(;#´∀`)『――早く持ってこいと言っているモナ!』

ξ;゚听)ξ『っ!』

 モナーが、床を叩いた。
 息を荒げ、脂汗を滲ませて。普段は温厚そうに見える目でツンを睨みつける。

 その必死の形相に気圧され、こくこくと頷き、モナーの部屋へと走った。

966 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:07:36 ID:7KP.TRzkO

ξ;゚听)ξ『……本……!』

 いくつもある本棚から、自身の、白い本を探す。
 見付からない。

 焦れば焦るほど手が震え、何冊かが床に落ちた。

ξ;゚听)ξ『どこよ、――どこにあるのよ!』

 机に飛びつき、積まれている本やノートをどかしていく。
 そこも駄目だと分かると、引き出しに手をかけた。

 引っこ抜く勢いで開ける。
 1段目、2段目、3段目。

ξ;゚听)ξ『あ……』

 あった。
 3段目の奥。

 ようやく見付けた本を抱え、ドアに駆ける。
 が、突然振り返ると、すぐさま机へと戻った。

 机上のペン立てから適当にボールペンを取り、今度こそ部屋から出る。

967 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:09:55 ID:7KP.TRzkO

ξ;゚听)ξ『モナーさん!』

 モナーは、変わらぬ体勢でそこにいた。
 本を探す間に少しでも回復してくれることを願っていたが、それは叶わなかったようだ。

ξ;゚听)ξ『ごめんなさい、なかなか見付けられなくて……』

 本とボールペンを手渡そうとすると、モナーは引ったくるような勢いで受け取った。
 すっかり青ざめ、口元が血に汚れている。

 血まみれの手でペンを握るモナー。
 本の最後のページを開き、床に突っ伏すような姿勢で、何かを書き始めた。

 何を書くのだろう。

 目を凝らそうとして、思い出した。

ξ;゚听)ξ『……電話……!』

 血を吐いてから、既に結構な時間が経っている。
 急がなくては、本当に危ない。

 ――なのに、モナーは、またしても「行くな」と邪魔をした。

(;´∀`)『書き終わる前に、救急車が到着したら、意味がない、から……』

ξ;゚听)ξ『……何なのよ! そんな場合じゃないでしょ!?』

(;´∀`)『そんな場合モナ……』

968 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:11:45 ID:7KP.TRzkO

( ^ν^)『――ツン?』

ξ;゚听)ξ『あ……ニュッ君!』

 後ろから声。
 ニュッだ。学校から帰ったのだろう。

 ツン達の方へ走り寄ってくる。
 彼は一瞬硬直したが、すぐに、ツンへ指示を出した。

( ^ν^)『救急車』

ξ;゚听)ξ『……う、うん』

 電話をかけるため、食堂へ走る。

 モナーは、今度は止めなかった。



*****

969 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:13:25 ID:bPt9G4yw0
冷静だなニュッ君

970 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:14:50 ID:F4SriVjE0
支援

971 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:16:15 ID:7KP.TRzkO


 ツンはペンを止めた。
 それまで文字を書き込んでいたページを破り取り、ぐしゃぐしゃに丸める。

( ^ω^)「……さっきから、魔女さんは、何をしてるんだお……?」

ξ゚听)ξ「……おはよう。何でもないわ。気にしないで」

 5号館も突破した。
 ならば、主人公の仲間は1人減っている筈。

 物語通りだとすれば、5号館に残ったのは、デレか、もう1人の少女役の人物だろう。
 だが、その辺りに関しては、彼らの選択を優先させるように「本」に言っておいたから、
 案外ショボンでも残ったかもしれない。

 何にせよ、その人物には申し訳ないことをした。
 この図書館の本に取り込まれた場合、現実世界に帰ってこられるか分からない。
 別に彼らの命まで奪いたいわけではないから、5号館に残った者には是非粘ってほしい。

ξ゚听)ξ「また何か足りないものがあった?」

( ^ω^)「だお……暖炉がないお。あれがないと、寒くて大変だお」

ξ゚听)ξ「暖炉ね」

 ペン先が空中に真一文字を描く。

 真っ白な空間の一部に、煉瓦で出来た暖炉が組み立てられた。
 その周囲にだけ、煉瓦と同色の壁が広がる。

972 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:17:28 ID:7KP.TRzkO

ξ゚听)ξ「よく御覧、あるじゃない」

( ^ω^)「おっ! ごめんなさいお、ぼうっとしてたみたいだお。
       たしかに暖炉があるお」

ξ゚听)ξ「でしょう。だから、あなたの部屋なのよ」

( ^ω^)「そうなのかお」

ξ゚听)ξ「ええ。……さあ、まだまだ夜よ。ゆっくりおやすみなさい」

( ‐ω^)「おーん……」

( ‐ω‐)「……」

ξ゚听)ξ「……えらいわね」

 もう少し。

 もう少しで、結末を迎えられる。

 そしたら。



*****

973 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:18:27 ID:F4SriVjE0
あわあわ

974 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:19:06 ID:7KP.TRzkO


o川;*゚ー゚)o「ちょっと待って本当にちょっと待って深呼吸させて」

( ^ν^)「こうしてる間にもショボンがだな」

o川;*゚ー゚)o「分かってる! 分かってるけど!」

 6号館の前。

 扉を開けようとするニュッの手を押さえ、キュートは何度も深呼吸を繰り返した。

 原因は、「残ってる作家はクックルさんだけですよね」というデレの一言である。

ζ(゚、゚;ζ「キュートちゃん、どうせ、いつものクックルさんとは違うんだし……」

o川;*゚ー゚)o「なっ、何!? クックルさんとか関係ないし!
       ちょっと深呼吸したくなっただけだし! 深呼吸が趣味なだけだし!!」

( ^ν^)「仮に趣味だとして、何故このタイミングで」

o川;*゚ー゚)o「やかましい!!」

975 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:23:47 ID:7KP.TRzkO

 鞄を抱え直し、キュートは最後に一度深呼吸をすると、ニュッから手を離した。

 いいですよ、と一言。

ζ(゚、゚*ζ「……図書館は、これで最後なんでしょうか」

( ^ν^)「多分」

ζ(゚、゚*ζ「なら、ツンちゃん、いますかね」

( ^ν^)「……分かんねえ」

 扉を開ける。

 3人は、6号館へ足を乗り込んだ。

 目が眩み、デレは、頻りに瞬きをする。
 明るい。

 照明は特に変わった色をしていない。
 ただ、館内のあちこちに台があり、花瓶が乗せられていた。
 見たことのない種類だ。

 花の匂いが漂っている。

976 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:24:24 ID:bPt9G4yw0
深呼吸が趣味とか無理があるwww

977 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:25:26 ID:7KP.TRzkO

( ゚∋゚)「――よくここまで来れたな」

o川;*゚д゚)o「ほわあっ!!」

 左方から低い声が飛んできた。
 見れば、堂々クックル。

( ゚∋゚)「俺は6号館の司書だ」

ζ(゚、゚*ζ「どうも……。キュートちゃん、深呼吸深呼吸。趣味の」

o川;*゚д゚)o スーハースーハー

( ゚∋゚)「……大丈夫か、その子は」

( ^ν^)「気にすんな」

o川;*゚д゚)o「け。怪我の具合、は」

( ゚∋゚)「怪我?」

o川;*゚−゚)o「……いえ、何でもないです」

978 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:27:17 ID:7KP.TRzkO

( ^ν^)「時間がないから本題に入るが、魔女と男はどこだ」

( ゚∋゚)「……魔女と人間が、永遠に一緒にいられる本を探してるって奴か?」

( ^ν^)「そいつ」

( ゚∋゚)「ここは、恋愛に関する本を扱ってるからな。
     希望に応えられそうなものも、あるにはあったんだが……。
     如何せん、『永遠に』の部分がネックだった」

ζ(゚、゚*ζ「……どうして?」

( ゚∋゚)「お互いに想いを寄せ合いキスをしてハッピーエンド、な話ばかりなんだ、ここの本は。
     『終わってしまうのならキスが出来ない、キスが出来ないのなら意味がない』って
     文句を言われてしまった。キスしたら魔女だけ帰ってきちまうからな」

o川;*゚ー゚)o「き、きす」

 クックルの口から放たれたのが問題だったのか、そのたった二文字に顔を真っ赤にさせ、
 キュートは宙へ視線を彷徨わせた。

 戻ってきて、とデレがキュートの肩を揺さぶる。

979 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:29:25 ID:7KP.TRzkO

( ^ν^)「……なら、魔女達はどこに行ったんだ」

( ゚∋゚)「あっちに」

 クックルが、絨毯が伸びる先を指差した。

ζ(゚、゚*ζ「図書館って、ここで終わりじゃないんですか?」

( ゚∋゚)「本が収められてるのは、1号館から6号館までだけだが……。
     まあ、行けば分かる」

( ^ν^)「簡単に行かせてくれんのかよ」

( ゚∋゚)「そうだなあ……」

 クックルが右手を後ろに回す。
 かと思うと、その手を再び前へ出した。

( ゚∋゚)「難しいな」

ζ(゚、゚;ζ「あ――」

 本が突きつけられたのを知覚した、瞬間。


 視界が白くなり、花の香りが強くなった。



.

980 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:30:35 ID:7KP.TRzkO



ζ(-、-;ζ

ζ(-、-;ζ「う……」

 喧騒。
 掌と膝に硬い感触。いつの間にやら座り込んでいた。

ζ(-、゚;ζ「……」

 目を開ける。
 見知った顔がいた。

( ^ν^)「……」

ζ(゚、゚;ζ「ニュッさん」

 ニュッは返事をせずに、視線を下にやり、それから左にやった。
 デレも真似る。まずは下。
 床は、赤褐色の煉瓦で舗装されている。

 床というか。

ζ(゚、゚;ζ(地面……?)

 顔を左に向ける。
 がくりと、デレの顎が下がった。

981 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:31:56 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚、゚;ζ「どこ!?」

 大勢の人が、あちらこちらへ歩いている。
 喧騒は彼らの話し声。

 民族衣装のような、日本では馴染みのない服装をしていて――まるで異国である。

 上には青空。外だ。どう見てもここは外だ。

 四方八方を見渡す。

 右側、すぐ目の前に壁があった。これまた煉瓦造り。
 何かの建物のようだ。上方の窓から少年が身を乗り出させ、誰かに手を振っている。

 どうやらデレ達は、往来の端っこにいるらしい。

 聞き慣れぬ硬質な音がして、もう一度左を見遣ると、
 馬車らしきものが通り過ぎていった。馬車って。

ζ(゚、゚;ζ「何これ……何これ……」

( ^ν^)「本の世界らしいな」

ζ(゚、゚;ζ「本の……」

( ^ν^)「6号館の」

ζ(゚、゚;ζ「――あ。そっか」

982 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:33:30 ID:7KP.TRzkO

 クックルが突きつけた本。
 あの本の中だと考えれば、突然わけの分からない場所に放り込まれたのも納得がいく。

ζ(゚、゚;ζ「ニュッさんも一緒なんだ」

( ^ν^)「男と女、1人ずつで丁度よかったんじゃねえの」

ζ(゚ー゚;ζ「じゃあ私とニュッさんのラブストーリーってわけですね。あはは……」

ζ(゚ー゚;ζ

ζ(゚、゚;ζ「笑ってる場合かぁあっ!!」

( ^ν^)「セルフつっこみか」

ζ(゚、゚;ζ「どうするんですか! どうやって脱出すれば……!」

( ^ν^)「さあな。1号館じゃ、化け物から逃げ切るなり化け物をぶっ飛ばすなりすれば
       脱出できたみたいだが」

ζ(゚、゚;ζ「何から逃げ切ればいいんですか。何をぶっ飛ばせばいいんですか。ニュッさんですか」

( ^ν^)「お前をぶっ飛ばすぞ。
       ……この話じゃ、逃げたりぶん殴ったりする対象がいなさそうなんだよな」

 ニュッが壁に手をつき、立ち上がる。
 デレも腰を上げた。

983 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:34:38 ID:7KP.TRzkO

( ^ν^)「――今は、俺とお前が出会ったっつうシーンか?」

ζ(゚、゚;ζ「これから親睦を深めつつ、すれ違っちゃったり喧嘩しちゃったりして
      色々あった末に結ばれるわけですね。展開上は」

( ^ν^)「面白みの欠片もねえな。お前が相手な時点で」

ζ(゚、゚;ζ「こっ、こっちの台詞です!
      ……どうします? ニュッさん。何したらいいんでしょう」

 壁に寄りかかり、空を見上げる。

 早く脱出しなければ、完全に取り込まれてしまう。
 それとも、既に――

( ^ν^)「……とりあえず、終わらせるか」

ζ(゚、゚;ζ「へ?」

( ^ν^)「一気に結末まで持ち込めば、出られるかもしれねえだろ。
       幸いなことに、俺達はオチを知ってる」

ζ(゚、゚;ζ「オチ……」

 オチ。結末。

984 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:35:40 ID:7KP.TRzkO


   ( ゚∋゚)『お互いに想いを寄せ合いキスをしてハッピーエンド』――


ζ(゚、゚;ζ

ζ(゚、゚;ζ「ちょ……おま……」

 顔を赤くさせればいいのか、青くさせればいいのか。

 デレはニュッを凝視した。
 すると見つめ返されたものだから、慌てて目を逸らす。

 気まずい。
 意識がどうしても唇に集中してしまう。
 誤魔化すため、おかしくも何ともないのに、口だけで笑顔を作った。

985 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:37:24 ID:7KP.TRzkO
気付いたら980超えてた
ちょっと早いかもしれないですが、先に新スレ立ててきます

986 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:38:24 ID:oG5oKFOE0
緊迫してるはずなのになぜかニヤニヤがとまらん
支援

987 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:38:49 ID:FQtehczg0
ふおおおテンション上がってきた

988 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:39:10 ID:yeTwJCSg0
お疲れ様です。無理せずキスふひぃ頑張ってください

989 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:40:19 ID:20xrrgC6O
まさか…

990 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:43:44 ID:3F/uDnRQO
追いついた!
支援

991 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:44:36 ID:7KP.TRzkO
新スレ

ζ(゚ー゚*ζ あな素晴らしや、生きた本 のようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1319888583/

このスレ使い切ってから、↑に移動します

992 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:46:00 ID:7KP.TRzkO

ζ(゚ー゚;ζ「いやいやいや……きっ、ききっ、キスですか……?」

( ^ν^)「ツンは、話が終わっちまうからキスが出来ないって言ったらしいじゃねえか。
       なら、やっちまえば話は終わるんだ」

ζ(゚ー゚;ζ「でも。キスですよ。せ、接吻とか、口づけとか。ちゅーですよ。
      そんな……ひいっ!!」

 ニュッの手が、デレの頬に触れた。触れたというか、鷲掴みにされた。
 乱暴な手つきで、顔を無理矢理ニュッの方へ向けられる。

( ^ν^)「嫌か」

ζ(゚ー゚;ζ「嫌って……嫌じゃな……あっ、いえ、ニュッさんが嫌いなわけじゃないって意味で。
      ていうか何ですかニュッさん! やる気満々ですか!?
      ニュッさんらしくない!!」

( ^ν^)「もたもたしてらんねえだろ」

ζ(゚ー゚;ζ「そ、そう、です、けど!
      ……ニュッさんは! ニュッさんは、いいんですか、……私なんかで……」

( ^ν^)「お前が嫌じゃなければ」

ζ(゚ー゚;ζ

993 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:47:44 ID:7KP.TRzkO

 本当に、ニュッらしくない。

 少し迷って、デレは、

ζ(゚ー゚;ζ「……じゃあ、どうぞ……こんなもんで良ければ……」

 頷いた。

 ニュッの手から、僅かに力が抜ける。
 先程とは打って変わって、指先が慎重に頬を撫でた。
 耳の方へ滑っていく。

 今になって、鼓動が激しくなり始めた。

 ニュッの顔が近付き、デレは、ぎゅっと口を引き結ぶ。

994 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:47:46 ID:AtcWULWM0
萌しにそう支援

995 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:48:47 ID:7KP.TRzkO


( ^ν^)「馬鹿」

ζ(゚、゚;ζ「は」


 デレの髪を掬い上げ、ニュッは、一瞬だけ毛先を唇に触れさせた。



.

996 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:50:23 ID:7KP.TRzkO

 また、視界が真っ白になった。
 花の香り。

 瞬きをすると、あの街並みは消えていた。


( ゚∋゚)「……早かったな」

( ^ν^)「終わらせるヒントはもらったからな」

( ゚∋゚)「ああ……ああ、そうか。言っちまってたか。しまった」

ζ(゚、゚*ζ

ζ(゚、゚*ζ「も」

ζ(゚、゚;ζ「弄んだ! 弄んだ!!」

( ^ν^)「別に、どこにするかは指定されてなかっただろ。
       このドスケベが」

ζ(゚、゚;ζ「あんな誤解させるような言い方と触り方するニュッさんがスケベじゃい!!
      時間がないだのもたもたしてられないだの言っといて、
      よくもまあ人をからかう余裕がありますね!!」

 何というお約束。

 キスならば、どこでも良かったのか。
 緊張した自分が馬鹿らしくて、デレは唇を噛み締めた。
 怒りやら照れやらが顔に熱を運ぶ。

997 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:51:29 ID:37lYifdcO
ほうふぁふぁふ何とも恥ずかしい

998 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:51:56 ID:3F/uDnRQO
爆発しろ

999 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:51:56 ID:7KP.TRzkO

o川;* ー )o スーハースーハー

ζ(゚、゚;ζ「……えっ、どうしたのキュートちゃん。壁に凭れて」

(;゚∋゚)「何か突然『急に2人きり!』って叫んで壁に逃げてったんだが。
     本当に大丈夫なのか、そいつ」

( ^ν^)「色々と駄目かもしんねえな」

o川;* ー )o「不意打ちは……いかんよ……不意打ちは……」

ζ(゚、゚;ζ「ご、ごめん……私が悪いわけではないけど……」

 キュートの背中を叩いて宥める。
 もはや一種の病気だ。恋の病とはよく言ったものである。

1000 名前:名も無きAAのようです:2011/10/29(土) 20:53:26 ID:TYEJyqQ60
1000ならクリスマス中止


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