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物語のページが( ^ω^)´・ω・)゚听)ξ 川 ゚ -゚)応えるようです

1 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 20:11:15.52 ID:Twdb6DKR0
こんばんは
合作投下十三日目になります

まとめさん・ブーン芸VIPさん
http://boonsoldier.web.fc2.com/page.htm


今夜もよろしくお願いします


2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:12:36.55 ID:JZ3lqh5GO
きたきた

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:12:39.14 ID:BhvMlaMi0
こんばんは、俺やで!
支援は任せろ―

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:17:36.79 ID:Mfo/otBO0
待ってた!

5 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 20:18:50.23 ID:Twdb6DKR0
 
 時間は少し、遡る。
 
川 ゚ -゚)「おお、ここは……」
 
( ^ω^)「ぴったり、最初に着いたとこだおね」
 
 城の地下深くから転送されたのは、ブーンとクー、そして。
 
( ФωФ)「ふむ……こんな城を建てたのか」
 
 千年の時を超え、再びこの地に蘇った魔王、ロマネスクだった。
 かつての居城の真上に建てられた城の内部を、興味深げに見つめている。
 建国者である吟遊詩人の顔がふと、彼の脳裏に過ぎった。
 
川 ゚ -゚)「さて、あの扉の向こうにアンノウンがいるということだが……」
 
( ФωФ)「…………」
 
(;^ω^)「……ショボンさんとツンは大丈夫かお?」
 
川 ゚ -゚)「わからんな……だが、あの向こうにいくつかの気配を感じる」
 
( ^ω^)「うーん……どれどれ」
 
( ФωФ)(この禍々しい気、一つは、間違いないだろう……)
 

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:19:21.09 ID:P8EOnCuQ0
支援

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:20:05.07 ID:Mfo/otBO0
支援

8 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 20:21:44.21 ID:Twdb6DKR0
 
 扉から滲み出る異様な“気”には、誰もがすぐに気づいていた。
 ブーンの網膜に様々なデータが踊る。それを高速で読み取り、分析。
 鉄を隔てた向こう側に何があるのかを、調べていた。
 
( ^ω^)「生体反応が……二つと……後はよくわかんねーお」
 
川 ゚ -゚)「この気配、感じた事があるぞ。頭のおかしい爺様が使っていたな」
 
川 ゚ -゚)「だが……一際禍々しい気を放っている奴がいるな……」
 
( ^ω^)「それが、多分」
 
川 ゚ -゚)「アンノウンとやらで、間違いなさそうだ」
 
( ФωФ)「…………」
 
( ^ω^)「……お?」
 
 ブーンが扉に向けた視線を、少し落とした。
 床に転がる物が、目についたからだ。
 BLACK DOGから降り、それへと歩み寄る。クー達も、その後に続いた。
 
( ^ω^)「……」
 
川 ゚ -゚)「あのマッチョが斬り落とした、石像の首だな」
 

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:23:19.98 ID:Mfo/otBO0
しえん

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:24:10.91 ID:P8EOnCuQ0
支援

11 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 20:24:13.69 ID:Twdb6DKR0
 
( ^ω^)「下に何かあるお」
 
川 ゚ -゚)「どれどれ」
 
 ブーンが首を持ち上げ、クーがその下にある紙切れを拾い上げる。
 ツンが二人の為にと書き残した、書き置きだった。
 
川 ゚ -゚)「先に行っています、か。どうやら二人は、先に行っているようだ」
 
( ^ω^)「なるほど。じゃあ中の生体反応は……」
 
川 ゚ -゚)「間違いないな」
 
( ФωФ)「少し静かなのが気になるが……。
       お前達の仲間は、既に戦っているのだな?」
 
川 ゚ -゚)「そのようだ」
 
 言葉と同時、クーが懐から一本の魔封管を取り出した。
 それを額に寄せ念じると、淡い緑色の光と共に封魔管から“仲魔”が召喚される。
 
ノ)) - 从「…………」
 
川 ゚ -゚)「さて、ノーマン。どうやら決戦が近いようだ。もう一踏ん張りよろしく頼む」
 
 召喚されたノーマンは、僅かに首を動かすだけで応えた。
 第三者から見れば無愛想に映るが、絶対の信頼関係で結ばれた二人には、それだけで充分だ。
 

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:24:51.66 ID:P8EOnCuQ0
支援

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:26:20.51 ID:BhvMlaMi0
支援

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:27:43.30 ID:mZjniEqi0
しえ

15 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 20:28:28.15 ID:Twdb6DKR0
 
( ФωФ)(仲“魔”、か……性質は違うが、魔をそのように呼んでくれるとはな)
 
( ФωФ)(異世界の戦士……余が思う以上に、特異な存在なのかも知れぬ)
 
川 ゚ -゚)「ノーマン。私達の仲間に、私の世界のツンそっくりの女子高生がいる。
     まぁ、別世界のツンなんだが、つまりツンのそっくりさんのツンだ」
 
ノ)); - 从「主よ……非常に分かりづらいぞ」
 
川 ゚ -゚)「そうか? とりあえずお前には、ツンのボディガードを頼みたい」
 
ノ)) - 从「……了解だ」
 
川 ゚ -゚)「……頼んだぞ」
 
 仲魔にとって、デビルサマナーである主の命は絶対だ。
 それがどんな不条理なものであろうとも、命を賭して遂行することが役割である。
 しかし、この局面でクーが無駄な命令をすることなどないと、ノーマンは知っていた。
 
 治癒という重要な役割を持つツンを保護する事は、必然と言えるだろう。
 
( ^ω^)「さて……行くかお」
 
( ФωФ)「うむ」
 
(#^ω^)「個人的に、アンノウンには借りもあるし……」
 
川 ゚ -゚)「そういえばお前は、ヤツをひどく恨んでいるようだが……なんだ、ヤツと一度会ってたのか?」
 

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:32:05.72 ID:BhvMlaMi0
おっさん……

17 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 20:32:33.36 ID:Twdb6DKR0
 
( ^ω^)「……ちょっと、嫌な事を思い出させられたんだお」
 
川 ゚ -゚)「そうか。まぁ、あんなヤツは百害あって一利なしだ。ブッ倒そうぜ」
 
( ^ω^)「それには大賛成」
 
( ФωФ)「…………」
 
川 ゚ -゚)「あ、そうだ。ノーマン」
 
ノ)) - 从「?」
 
川 ゚ -゚)「おいブーン、その石像、ノーマンへ渡してくれ」
 
 ブーンは少しだけ首を傾げた後に、石像の首をノーマンに手渡した。
 人の頭よりも少し大きい石塊だが、彼が持つと重い石を持っている様にまるで見えない。
 ノーマンは渡された石像を片手に乗せ、何事かと主の言葉を待っている。
 
川 ゚ -゚)「部屋に入ったら、それをアンノウンに向かって投げてやれ」
 
ノ)) - 从「……全力で?」
 
川 ゚ -゚)「全力でおk」
 
ノ)) - 从「…………」
 
 またも、小さな頷きで了解した。
 
( ^ω^)「それになんか意味が?」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:34:38.22 ID:P8EOnCuQ0
支援

19 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 20:35:10.12 ID:Twdb6DKR0
 
川 ゚ -゚)「わかんないの? 宣戦布告だよ」
 
( ^ω^)「?」
 
川 ゚ -゚)「その昔、決闘を申し込む際に敵へ手袋を投げつける風習があったと聞く。
     ここは正義の味方として、紳士的に行くのが、ほら、主人公っぽいじゃないか」
 
(;^ω^)「よくわからんし……手袋じゃねーし……」
 
川 ゚ -゚)「細かい事は気にするな。いいな? ノーマン。全力でだぞ?」
 
ノ)); - 从「……」
 
(;ФωФ)「……」
 
 いまいち、緊張感が感じられない。
 クーを除く一同が、そう思った時────
 
 
 王の間から、大きな力が発せられた。
 
 
川 ゚ -゚)「これは……!」
 
( ^ω^)「戦況に変化があったかもしれないお!」
 
( ФωФ)「妙な気配が二つ、消えたようだな」
 

20 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 20:37:47.85 ID:Twdb6DKR0
 
川 ゚ -゚)「よし、行くぜ!」
 
(#^ω^)「ちょ、抜け駆けかお!?」
 
川 ゚ -゚)「すぐそこじゃないか。とっとと来い」
 
(;ФωФ)(やれやれ……)
 
ノ)) - 从「……」
 
(#^ω^)「チッ! BLACK DOG!!」
 
 ブーンの指示に呼応して、BLACK DOGのエンジンが呻りを上げる。
 即座にブーンが搭乗した瞬間、主を待っていたかのように黒狗は次の動作に移行した。
 高速で回転を始めた車輪が石廊を削り、瞬く間にクーを追い抜いた。
 
川;゚ -゚)「うおっ!?」
 
(#^ω^)「上品に扉なんか開けてられっか! ぶち抜くお!!」
 
 叫ぶと同時、右腕を前方に掲げると、右手首が折れ、大筒の砲口が現れる。
 センサーで扉の逆側周辺に人がいないことが分かっている。迷うことなく、そのまま砲撃を開始した。
 
( ФωФ)(魔法とは違う異世界の力……不思議なものだな)
 
 けたたましい音を立て、巨大な鉄の扉はその身を無残に飛び散らせながら、吹き飛んだ。
 BLACK DOGは入り口手前で急停止。ブーンが飛び降りた頃に、クー達がまた追いついた。
 

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:40:43.27 ID:P8EOnCuQ0
支援

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:40:46.33 ID:mZjniEqi0
しぇーん

23 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 20:41:08.22 ID:Twdb6DKR0
 
 二人はブーンに何か言いたげだったが、王の間の内部を確認し、それを呑む。
 白煙が立ちこめる先に、三人分のシルエットが浮かんでいた。
 
 常人では、まだ内部を目視することは不可能だろう。
 だが、ブーンの“目”には、明瞭に見えていた。
 
 ショボンと、ツンと。
 
 倒すべき敵、アンノウンの姿が。
 
(#^ω^)「ッ────」
 
 再びBLACK DOGに指示を出し、ブーンが先行しようとした、瞬間。
 その横を、空気を切り裂く音を立て猛スピードで駆け抜ける物があった。
 
ノ)) - 从
 
 ブーンが振り向けば、何かを投げ終えた体勢をしていたノーマンがいた。
 見えていたのは、ブーンだけではない。
 夜の主たる吸血鬼を滅する存在、ダンピール・ノーマンにも、はっきりと見えていたのだ。
 
 
 そして戦士達は、遂に集結を見た。
 後はもう、振り返らずに。眼前の敵を、倒すのみ。
 
 
 もう二度と見ることはない後方では。
 
 クーの手から落ちた書き置きが、ひらひらと宙を漂い、地に落ちていた。

24 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 20:43:33.99 ID:Twdb6DKR0
 
 
 
 
 
 
 .物語のページが────
 
 
 
 
 
    ( ^ω^)ξ゚听)ξ(´・ω・`)川 ゚ -゚)
 
 
        【Cross part:Unknown】
 
 
 
 
 
                  ────応えるようです
 
 
 
 


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:44:01.90 ID:P8EOnCuQ0
支援

26 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 20:44:27.95 ID:Twdb6DKR0
 
 

 
 
(´・ω・`)「終わらせるぞ。この戦いを」
 
ξ゚听)ξ「はいっ!」
 
(#^ω^)「オーケー! そんでもってとっとと帰るお!」
 
川 ゚ -゚)「うむ。大人しく殺されろ、妖怪ウナギ男め」
 
ノ)) - 从「…………」
 
( ФωФ)「一度は落とした命だ。余も協力してやろう」
 
 ショボンがZを向けた先。
 アンノウンを強く睨み、それぞれが応えた。
 
爪 ゚W〉《(ふん……千年前の古き魔王が……小賢しくも再び舞台に上がるとは……)》
 
 ロマネスクの参戦は、アンノウンにとって計算外だった。
 あくまで彼は、ブーンとクーの実力を見る為の捨て駒だった。
 用が済めば片付けるだけの、存在だったのだ。
 
 ショボン達が偽物と戦っている間に、アンノウンはブーンとクーの戦いを見ていた。
 雌雄を決し、ロマネスクの利用価値はこれ以上無しと判断した時、
 アンノウンはフォックスにしたように彼を抹殺しようとした。
 

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:44:57.46 ID:GieIzdBbO
きてれぅ〜

さぁ支援だ!

28 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 20:47:11.87 ID:Twdb6DKR0
 
 だがそれは、避けられた。完全に、誤算だった。
 ロマネスクの実力を、甘く見ていたのだ。
 
爪 ゚W〉《……まぁ、いい》
 
 元より彼ら四人全員が集うことは、予定の範疇だったのだ。
 そこへ主人公格から外れた者が何人加わろうが、同じ事だ。
 思考を即座に、そう切り替えた。
 
爪 ゚W〉《誰一人欠けること無く、よくぞここまで、辿り着いた》
 
(#^ω^)「ッ!」
 
川 ゚ -゚)「…………」
 
 その言葉に、二人が僅かに反応を見せる。
 
 “誰一人欠けること無く”。
 彼らにとって、それは大きな間違いだ。
 
(#^ω^)「ざけんなお……この世界のツン達をどうしたんだお!?」
 
川 ゚ -゚)(ウナギはショボン達が消えた事を知らないのか……?
     まるで、自分では何もしていないと言った言い種じゃないか……)
 
爪 ゚W〉《運命、だよ》
 
(´・ω・`)「…………」
 

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:49:12.78 ID:Mfo/otBO0
しえーん

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:49:26.86 ID:GieIzdBbO
スネーク……

31 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 20:49:31.89 ID:Twdb6DKR0
 
爪 ゚W〉《あの者達が消え去ったのは、運命であり、必然なのだ》
 
川 ゚ -゚)(知っていたか……なら、必然とは……)
 
爪 ゚W〉《当然のことだ。そういうふうに、出来ている。この世界はな》
 
( ФωФ)(何の話だ……?)
 
(#^ω^)「…………」
 
爪 ゚W〉《我は何も、していない。なぜならば……》
 
 
爪 ゚W〉《あの者達を消したのは、他ならぬ貴様達なのだから》
 
 
(´・ω・`)「ッ……」
 
ξ;゚听)ξ「どういう……こと……?」
 
川 ゚ -゚)「出し惜しみするヤツだな……流石ラスボス」
 
 
(  ω )「……わ……」
 
 
( ゚ω゚)「わけわかんねーこと言ってんじゃ……ねーおッッ!!」
 
( ゚ω゚)「BLACK DOG!!」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:50:02.89 ID:Mfo/otBO0
むう

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:52:24.14 ID:BhvMlaMi0
おちけつ

34 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 20:52:29.43 ID:Twdb6DKR0
 
 主の呼びかけに応え、英知の結晶たる黒狗が轟音を駆り立てて上昇する。
 突如作動した近未来兵器が巻き起こした衝撃に、戦士達は身を固めることしかできなかった。
 
 ブーン、以外は。
 
(#゚ω゚)「一気にカタをつけてやるッ!」
 
 先手必勝。最後の敵は、眼前だ。
 今まで抑えたエネルギーを使う事も、怒りに身を委ねる事も、厭わない。
 最大最強の形態で、討ち滅ぼすのみだ。
 
ィ'トー-ィ、
以,[l゚疲i7 「アンノウンッッ!! 死ねお!!」
 
 アーマー装着と同時に腕にもたれたのは、45cmBlueBulletGun。
 耳を劈く爆音を立て、大口径から蒼い光弾が次々に放たれる。
 室内であろうと、お構い無しだ。この城もろとも消し去ってやると言わんばかりに。
 
(´・ω・`)「凄まじいな……」
 
 ショボンは前線から下がり、クー達の位置にいた。
 自身の世界では有り得ない砲撃に加え、ブーンは本気だ。
 連携を取り攻め立てるなどといったことは、誰の目にも不可能に思えた。
 
(´・ω・`)(怒り狂ってはいるが、無駄な射撃をしていないあたり、流石と言うべきか)
 
 アンノウンの後方の壁に光弾が当たることはない。
 全てアンノウンの周辺に着弾し、爆発している。
 そこはやはり、威力も含め近未来兵器の成せる業であった。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:53:16.02 ID:Mfo/otBO0
いきなりか

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:53:38.64 ID:P8EOnCuQ0
支援

37 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 20:54:37.83 ID:Twdb6DKR0
 
 砲撃、停止。
 扉を破壊した時よりも数倍厚い煙が立ちこめ、アンノウンの姿は目視できない。
 だが、ブーンのセンサーであれば煙幕などあってないような物だ。
 
ィ'トー-ィ、
以,[l゚疲i7 (チッ……反応はまだある……)
 
 中規模のセカンドなら、今の砲撃で抹殺できたであろう。
 だが、センサーは未だアンノウンの生存を、報せていた。
 
ィ'トー-ィ、
以,[l゚疲i7 「それなら!」
 
ィ'トー-ィ、
以,[l゚疲i7 「BBBlade!!」
 
 45cmBlueBulletGunを収納し、代わりにグリップを取り出すと蒼の刃が生まれた。
 斬撃も投擲も放てる、中近距離用のBBBladeを構え、煙の中へ飛び込んでいった。
 
(´・ω・`)「ッ! ブーン! 奴の持つ剣に気をつけろ!」
 
 最早ショボン達には、部屋の三割を覆い尽くす煙幕しか見えていない。
 助言を聞き入れたかどうか判断することも、叶わなかった。
 
ξ;゚听)ξ「す、すごいですね……」
 
川 ゚ -゚)「派手な奴だよな。もうちょっとこう、オサレにできないのかしら」
 
 短い時間だったが共に戦い、ブーンの力を見ていたクーは楽観モードだ。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:55:23.12 ID:GieIzdBbO
支援

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:56:01.73 ID:P8EOnCuQ0
支援

40 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 20:56:39.93 ID:Twdb6DKR0
 
(´・ω・`)(助太刀してやりたいが、ブーンのあの武器と俺のアルファベットでは、とてもじゃないが連携など取れそうにないな)
 
(´・ω・`)(元よりあの視界の中では、同士討ちの危険性もある)
 
(´・ω・`)(……しかし……)
 
 ショボンは静かに、戦況を分析していた。
 これでブーンがアンノウンを討ってくれても構わないと思っていたが、
 聖剣の力を考えると、恐らく戦いはまだ続くという漠然とした予感が、彼の心に漂っていた。
 
川 ゚ -゚)「ツン、大丈夫だったか? ちょっと疲れてるみたいだが」
 
ξ゚听)ξ「あ、うん……でも、ショボンさんにたくさん助けてもらったから……」
 
川 ゚ -゚)「そうか、伊達にショボンしてないな。やっぱ男はそうじゃないと」
 
ξ;゚听)ξ「あ、あはは……」
 
川 ゚ -゚)「というわけで、ノーマン。この子を全力で護衛しろ」
 
ノ)) - 从「……」
 
ξ;゚听)ξ「あ……えと、すみません、よろしくお願いします」
 
ノ)) - 从「……」
 
川 ゚ -゚)「ムスっとしてるが、根は良い奴だ。安心していいぞ?」
 
ξ゚ー゚)ξ「……うん。なんとなく、わかる」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:57:50.11 ID:P8EOnCuQ0
支援

42 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 20:58:40.34 ID:Twdb6DKR0
 
ξ゚听)ξ「それで、その……」
 
 ちらと、ツンはロマネスクに顔を向けた。
 彼の出で立ちは誰が見ても悪魔的で、普通の人間とは思えない。
 説明をしてくれ、とクーに求めたのだった。
 
(´・ω・`)「そいつも、お前の仲魔とやらか?」
 
 ショボンが煙幕から視線を外さずに言う。
 戦いを見つめながらも、会話には耳を傾けていた。
 
川 ゚ -゚)「あぁ、こいつはあれだ。この城の地下で千年も氷漬けになっていた魔王だ」
 
ξ;゚听)ξ「ま、魔王?」
 
( ФωФ)「ロマネスクと言う。よろしく頼む」
 
ξ;゚听)ξ「え、あ、ツンです」
 
(´・ω・`)「ショボン=ルージアルだ。好きに呼んでくれていい」
 
ξ゚听)ξ(氷漬け……魔王、ロマネスク……?)
 
ξ;゚听)ξ(え? あの絵本……実話?)
 
( ФωФ)「かつては人間と敵対していたが……思うところがあってな。
        どうやら、倒すべき敵は共通しているようだから、協力してやる」
 
(´・ω・`)「……お前は、この世界の住人なのか?」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 20:59:04.42 ID:Mfo/otBO0
支援だ

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:00:10.19 ID:GieIzdBbO
ノーマンはいい奴だよ

45 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:00:42.88 ID:Twdb6DKR0
 
( ФωФ)「そうだ。お前達は、異世界の人間のようだな」
 
ξ゚听)ξ「はい……アンノウンを倒すために、呼ばれました」
 
( ФωФ)「事情は概ね、聞いている。長年魔族をやっているが、こんな事態は初めてだ」
 
( ФωФ)「アンノウン……彼奴は一体何者なのだ?」
 
川 ゚ -゚)「知らん。こっちが聞きたいくらいだ」
 
(´・ω・`)「俺を連れてきた人間が、こう言っていた。“存在することのできなかった存在”と。
       ロマネスク、何か心当たりはないのか?」
 
( ФωФ)「むぅ……すまんが、余にも全く見当がつかん」
 
(´・ω・`)「……そうか。まぁ、あいつの正体はどうでもいいんだが」
 
 アンノウンの出生は、さしたる問題ではない。
 敵の能力やこの世界のブーン達が消えた理由など、分からないことはまだ多い。
 気になることはアンノウンが言っていたが、それらの答えを導くには、遠すぎた。
 
 ショボンが出生を訊いたのは、自身の推測を確定づける、ついでだ。
 望んだ返答は得られなかったが、特に気に留めずに考えを告げる。
 
(´・ω・`)「この世界の住人なら、気をつけろ。あいつは恐らく、お前の力を扱える」
 
( ФωФ)「……なんだと?」
 
(´・ω・`)「アンノウンと戦って、少しだけあいつの力が掴めてきた」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:02:21.70 ID:BhvMlaMi0
※ブーンさんは交戦中

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:02:28.16 ID:GieIzdBbO
支援

48 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:02:44.00 ID:Twdb6DKR0
 
(´・ω・`)「あいつは、この世界の力を扱うことが出来ると見て、間違いない」
 
( ФωФ)「……それは確かなのか?」
 
(´・ω・`)「そう思う。尤も、それ以上がある可能性も、否定できないが」
 
ξ゚听)ξ「それ以上……?」
 
(´・ω・`)「言葉のまま、それ以上だ。もしかしたら、お前達の力をも扱えるのかもしれん」
 
ξ;゚听)ξ「ッ!」
 
川 ゚ -゚)「おいおい……人のお株を奪う気かよ」
 
(´・ω・`)「可能性の一つとしてだ。実際、それを見たわけじゃないからな」
 
(´・ω・`)「……そうだ、ロマネスク。異世界の住人を擬似的に具現化させる力を知っているか?」
 
( ФωФ)「ふむ……昔、人間達の中でそんな類の召喚術師がいるとは聞いたが……。
       具現化となると、召喚とは少し性質が違うかもしれぬ」
 
(´・ω・`)「そうか」
 
 ショボンは期待通りの回答を得られなかったが、気になることが新たに生まれていた。
 ロマネスクの話に出た召喚術師が、何か今回の事と関係しているのではないか、と。
 尤も、それ以上のことは知る術が無く、心に留めておくだけだったのだが。
 
川 ゚ -゚)「その力、もしかしたら私が見たものかもしれん」
 

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:04:23.32 ID:Mfo/otBO0
しえしえ

50 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:05:41.39 ID:Twdb6DKR0
 
(´・ω・`)「お前がか?」
 
川 ゚ -゚)「この場所に来る前、この世界へ来た時に面倒事があってな。
     そこにいた爺様が、そんな力を使っていた」
 
(´・ω・`)「何かを媒介に使い、お前の世界の人間を具現化させたのか?」
 
川 ゚ -゚)「正しく、その通りだ。実際出てきた奴の実力は、本物に遠く及ばなかったけどな」
 
ξ゚听)ξ「私達の時と同じ……ですね」
 
(´・ω・`)「ああ。アンノウンも老骨の力、と言っていた。恐らくその老人が扱う力だったんだろう」
 
川 ゚ -゚)「ふむ……まぁ、覚えておくか」
 
(´・ω・`)「それにしても……」
 
 じっと見つめる先は、未だ煙に覆われていた。
 天井に大穴が開いてはいるが、風が入りこむ窓がない為に、晴れる気配がない。
 大量の爆煙が、ブーンの銃器が如何に強力だったかを物語っている。
 
 灰色と黒の煙幕の中、時々雷のような閃光が走っていたのだが、内部はやはり、不明瞭のままだ。
 
川 ゚ -゚)「しかし、煙たいってレベルじゃないな。吹き飛ばすか」
 
(´・ω・`)「できるのか?」
 
川 ゚ -゚)「任せておけ」
 

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:06:09.97 ID:GieIzdBbO
クーの逆鱗に触れたアレか

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:06:22.03 ID:P8EOnCuQ0
支援

53 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:07:53.53 ID:Twdb6DKR0
 
 クーは一歩前に出ると、ホルダーから葛葉伝来のコルトライニングを取り出す。
 充填されていた弾丸を抜き、新しく取り出した弾丸を装填した。
 
川 ゚ -゚)「少し、煙が多い気もするが、いけるだろう」
 
 煙の、僅かに下方向へ向け、発砲。
 弾丸は高速で回転し一直線に飛ぶ、だけではなかった。
 風を、纏っている。
 
川 ゚ -゚)「疾風弾だ」
 
 弾丸周囲に取り巻く疾風は煙を切り裂き、巻き込み、人の頭ほどの穴を開けていく。
 数発撃つと、複数の風が交わり、煙を巻き込む範囲も増えていった。
 下方向から煙は押し上げられ、気流に乗り天井の穴へと逃げていく。
 
 やがて、アンノウンが立っていたであろう周辺の煙が、晴れてきた。
 
(´・ω・`)「便利だが……ブーンに当たることはなかったのか?」
 
川 ゚ -゚)「考えてなかったwwwwww キカイダーだし、まぁ大丈夫だろう」
 
(´・ω・`)(やれやれ……)
 
ξ;゚听)ξ「ブ、ブーンさんは……?」
 
 完全に煙が消えたわけではなかったが、姿を確認することができた。
 ブーンはBBBladeを振り下ろす体勢で、止まっている。
 アンノウンは聖剣を頭上に掲げ、それを受け止める体勢を取っていた。
 

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:08:31.80 ID:fJbraoiD0
支援だ!

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:09:13.96 ID:Mfo/otBO0
しえん

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:09:55.17 ID:GieIzdBbO
クーさんマジ適当w

57 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:10:20.60 ID:Twdb6DKR0
ィ'トー-ィ、
以,[l゚疲i7 (なんだお……この武器は……?)
 
爪 ゚W〉《ククッ。勇んで来たわりには、この程度なのか?》
 
 ブーンがその挑発に乗ることはなかった。
 怒りに任せたアーマーシステム状態の45cmBlueBulletGunを防ぎ、
 今もこうして、BBBladeの剣撃、投擲を、全て防がれていた。
 
 だが、圧倒的不利というわけではない。
 暗闇の中の戦いだったが、押し切れないという感じは、しなかったのだ。
 それが逆に、彼の怒りを沈ませて冷静さを取り戻させていた。
 
ィ'トー-ィ、
以,[l゚疲i7 (この剣……この剣が、厄介すぎる……!)
 
 打つ手は、まだある。
 BOON-D1が誇る最強の一撃は、遠距離射撃にある。
 だが、それを使うには少々の間を要するのだ。
 
 勿論他の手も、幾つか残されている。
 
ィ'トー-ィ、
以,[l゚疲i7 「ッ!?」
 
爪 ゚W〉《ッ!!》
 
 突如、ブーンの後方から現れた影があった。
 アンノウンは聖剣を押し上げ、バックステップ。ブーンとの距離を開く。
 現れた影は、そのままアンノウンに向かっていった。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:12:20.47 ID:P8EOnCuQ0
誰だ支援

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:13:08.00 ID:GieIzdBbO
防がれたか支援

60 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:13:09.75 ID:Twdb6DKR0
 
川 ゚ -゚)「おいブーン。一旦下がれ」
 
|||゚ - ゚||「その長髪、似合っていませんよ。切り裂いてあげましょう。
     てかキャラ被ってんだよロンゲ野郎が!!」
 
川 ゚ -゚)「自虐じゃねぇか」
 
ィ'トー-ィ、
以,[l゚疲i7 「……」
 
 横合いから現れたのはクーの仲魔、クー・フーリンだった。
 魔槍、ゲイボルグを携えてアンノウンを刺殺せんと突貫する。
 ブーンは意外にもクーの言葉に従い、ショボン達の元へ下がっていた。
 
 BLACK DOGUにパージの指示を出し、アーマー状態を解除する。
 あの状態にあるだけで、エネルギーを消費するからだ。
 通常の状態に戻ると、がっくりと膝を折って、座り込んだ。
 
(;^ω^)「ハァッ……ハァッ……!」
 
ξ;゚听)ξ「だ、大丈夫?」
 
 外傷は見られないが、体内には少々のダメージがあった。
 ツンが咄嗟にディアラハンを使い、治療を施す。
 一瞬で引いた痛みに驚きつつ、ブーンは礼を言って立ち上がった。
 
川 ゚ -゚)「ノーマン、お前も行け。次は私が行ってみよう」
 
ノ)) - 从「……」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:13:26.21 ID:buNstU/x0
支援!

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:14:46.30 ID:BhvMlaMi0
ツンさんのMPは53万です支援

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:14:53.53 ID:fJbraoiD0
支援!

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:14:54.30 ID:Mfo/otBO0
支援

65 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:16:24.26 ID:Twdb6DKR0
 
 クーの指示を聞くや否や、ノーマンは大剣を担ぎ、駆けた。
 アンノウンはクー・フーリンの槍を巧みに躱し続けている。
 
(;^ω^)「クーさん……気をつけるんだお……」
 
川 ゚ -゚)「あぁ、無理をするつもりはない」
 
 振り向かずに、手をひらひらとさせてクーは答えた。
 ショボンはその背をじっと見つめている。
 彼女の力を確認する意味も込め、この場は任せようと判断したのだった。
 
(´・ω・`)(あいつなりにアンノウンの力を確かめようとしているのか)
 
(´・ω・`)(口は悪いが、頭は切れるようだ。その辺りは俺の世界のクー=ミリシアに似た物があるか)
 
川 ゚ -゚)「オルトロス」
 
∧_∧  ∧_∧
(叉)゚,, >|<,,゚(叉)「「アオオオオン!!」」
 
川 ゚ -゚)「ケルベロス」
 
 ,/i/i、
ミ,,゚(叉)「呼んだか、ライドウ」
 
 歩みつつ、全ての仲魔を召喚し終える。
 空の封魔管を仕舞い、右手にコルトライニングを持ち、左手には赤光葛葉を携えている。
 ブーンと同じく、クーも万全な態勢で、アンノウンに臨もうとしていた。
 

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:16:32.03 ID:buNstU/x0
支援

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:16:46.94 ID:GieIzdBbO
ツンにチューインソウルかチャクラドロップを支援

68 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:18:49.60 ID:Twdb6DKR0
 
ξ;゚听)ξ「う……」
 
(´・ω・`)「ツン、少し休んでいろ」
 
ξ;゚听)ξ「……すみません」
 
(´・ω・`)「気にするな。お前は前の戦いでも、よくやってくれた」
 
ξ;゚听)ξ「…………」
 
 ツンの疲労は、限界に近かった。
 回復の力を使う事すら、大きく負担がかかる程になっている。
 あの力はあくまで傷を癒すものであり、心身の疲弊を補うことはできないのだ。
 
(;^ω^)「……ごめんお。僕が後先考えずに突っ込んだせいで……」
 
ξ;゚ー゚)ξ「ううん、いいの。元々疲れてきてたから……」
 
(;^ω^)「……」
 
(´・ω・`)(攻撃面では、申し分ない戦力だ。万が一の為に、ツンは回復に努めてもらった方がよさそうだ)
 
 労いつつも冷静に戦況を見るショボンは、流石と言えよう。
 攻め手は、増えた。問題は、そこからどう詰めていくかだ。
 
(´・ω・`)「ブーン、アンノウンを攻めてみて、お前はあいつをどう見た?」
 
( ^ω^)「どうもこうも、つえーのかすらよく分かんなかったお……」
 

69 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:21:07.70 ID:Twdb6DKR0
 
( ^ω^)「手応えはあるけど、なかなか届かない……なんかツンと同じような雷出すし」
 
(´・ω・`)「それは、この世界のツンのことか?」
 
( ^ω^)「そうだお。同じ魔法? みたいなの使ってたお。雷の剣とか」
 
(´・ω・`)「あぁ、やはりか」
 
( ^ω^)「やはり?」
 
(´・ω・`)「アンノウンはな────……」
 
 同じ説明を、ブーンにも。
 戦いを有利にする為に、情報の共有は重要だ。
 実の所、クーが一人で向かったのは、その時間を作る為でもあった。
 
 
川 ゚ -゚)「ふむ……」
 
 クーはただ、見ていた。
 仲魔達の攻撃を避ている、或いは聖剣を使い受け止めている、アンノウンを。
 クー・フーリンとノーマンが接近戦を挑み、二匹の魔獣はクーを挟むように立っていた。
 
川 ゚ -゚)「ブーンのあの攻撃に、未だ無傷だったか。
     物理攻撃に耐性があるのか……?」
 
川 ゚ -゚)「オルトロス、ケルベロス。ちょっと火吐いてやれ」
 

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:21:12.12 ID:fJbraoiD0


71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:23:26.41 ID:GieIzdBbO
ライドウ2におけるブレス系特技の強さは異常支援

72 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:23:30.73 ID:Twdb6DKR0
 
∧_∧  ∧_∧
(叉)゚,, >|<,,゚(叉)「「ワカッタ デモアイツ マズソウダナ」」
 
 ,/i/i、
ミ,,゚(叉)「仔僧は黙って言う事を聞いていろ」
 
川 ゚ -゚)「お前ら!」
 
|||゚ - ゚||「!」
 
ノ)) - 从「……」
 
 クーの声に、すぐさま攻撃の手を止め、前線の二人が後方へ下がる。
 その時には既に、二匹の魔獣が前方へ駆け出していた。
 獰猛な牙の隙間から、赤い炎の切れ端が覗いている。
 
爪 ゚W〉《ッ!》
 
 魔獣の眷属たる存在を象徴する地獄の業火が、三つの口から吐き出された。
 空気をも焼き付かせんと呻りを上げ、炎の波がアンノウンに迫る。
 
爪 ゚W〉《ふん……!》
 
 広範囲に拡がるように伸びる火炎を避ける事は、困難だ。
 だが、アンノウンは避けようとする動作を一切見せない。
 ツンの力を断った時と同じように、聖剣を高々と振り上げた。
 
 その、逆手。聖剣を持たぬ左手に、白い粒子が集い始める。
 白の正体は、冷気。左手周辺の空気中の水分が急速に凍り付いていく。

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:24:12.14 ID:buNstU/x0
支援

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:24:19.09 ID:P8EOnCuQ0
支援

75 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:26:22.84 ID:Twdb6DKR0
 
川 ゚ -゚)(冷気……ロマネスクの力か?)
 
爪 ゚W〉《シィッ!》
 
 アンノウンが左手を、薙いだ。
 扇状に放出された絶対零度の白波がうねり狂い、オルトロスの炎を包み込む。
∧_∧  ∧_∧
(叉)゚,, >|<,,゚(叉)「「ウホッ 喰イゴタエ アリソウダナ」」
 
 炎と冷気は相殺し、水蒸気となって周囲に拡がる。
 しかしまだ、もう一つ。ケルベロスの業火がそれを突き破り、アンノウンに迫っていた。
 
 接触の、直前。
 
 風を断ち切りながら、聖剣が一瞬で振り下ろされた。
 刀身で、炎を斬ったのだ。
 それだけで、ケルベロスが放った業火が、消え去っていた。
 ,/i/i、
ミ,,゚(叉)「ライドウ。あの武器、何かあるぞ」
 
川 ゚ -゚)「そうだな」
 
|||゚ - ゚||「私の槍も、あの剣を貫くに至りませんでした。
     何か、特別な力があるとしか」
 
川 ゚ -゚)「フーム……」
 
川 ゚ -゚)(一筋縄でいかんのは予想していたが……厄介そうなのはあの剣か。
     攻撃は防がれたが、防ぐということは当たれば痛いってことだよね)

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:27:04.59 ID:buNstU/x0
支援

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:27:23.27 ID:fJbraoiD0
アノウンコTUEEEEEEEEEEE

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:27:57.25 ID:nyBccp3R0
ヒローイ支援

79 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:28:44.52 ID:Twdb6DKR0
 
(´・ω・`)「────……そして、あれだ」
 
 アンノウンがこの世界の力を扱える事を説明し終えた後。
 魔獣の炎を完全に防いだアンノウンを見、ショボンが言った。
 “あれ”とは、この世界に属する力を使用したことと別。もう一つの力である、聖剣を指している。
 
(;^ω^)「そう……あの剣がうざすぎる……」
 
( ФωФ)「余も見たことがない剣だな」
 
 人よりも遥かに永い時を生きた魔王、ロマネスクも、聖剣に見覚えはない。
 彼らが知る由もないが、それは当然のことだった。
 
(´・ω・`)「あれが恐らく、この世界の俺達が話していた、聖剣だ」
 
 会話を円滑に進める為に、ショボンは「この世界の俺達」と表現した。
 その言葉が示すのは、消え去ったこの世界のブーン達の事だ。
 
 ブーンが聖剣の話を聞いているかショボンは知らなかったが、
 自分と同じ様に、この世界へ訪れる時にある程度の経緯は訊いていたであろうと判断していた。
 ショボンの予想は正しく、ブーンは言葉の意味を解し、口を開く。
 
(;^ω^)「あれが聖剣……僕をこの世界に連れてきたツンも話してたけど、強力というか、強力すぎるというか……」
 
 戦闘中、彼の特殊な『目』にも、聖剣と照合するデータは、皆無だった。
 この世界のブーン達を救い、自身達を巡り合わせることの発端となった聖剣であればと、納得がいったようだ。
 だが、納得できたのは“厄介であること”だけだ。問題の解決は、一切されていない。
 
(;^ω^)「つーか聖剣って、世界を移動するだけじゃなかったのかお……」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:28:59.94 ID:GieIzdBbO
単純明快だなw

81 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:31:05.52 ID:Twdb6DKR0
 
(´・ω・`)「世界を移動する?」
 
( ^ω^)「ツンが言ってたお。アンノウンは別の世界へ飛ぶ為に聖剣の力を蓄えてるって」
 
(´・ω・`)「力を、蓄える……」
 
 ショボンは聞いていないことだ。
 彼が聞いていた内容は、聖剣は願いを叶えることが出来るが、エネルギーが残っていない、ということだけだった。
 しかし、エネルギーの摂取方法までは、訊いていなかった。
 
ξ゚听)ξ「……私が聞いたのは、聖剣は願いを叶える事ができるってことだったけど……」
 
(;^ω^)「願いを? どんなチートだおそれ。勝てるわけねーお」
 
ξ゚听)ξ「でも、今は聖剣に力が残っていないから、使えないみたい」
 
( ^ω^)「そうなのかお。じゃあ、今のよくわからん力は、聖剣特有の能力みたいなもんか……」
 
( ^ω^)「てっきり聖剣は異世界へジャンプするだけのアイテムだと思ってたけど、全然違ってたみ……」
 
(´・ω・`)「力の摂取方法は、聞いているか?」
 
 言い終える前に、切り出した。
 彼を知る者にしたら、珍しい事だ。
 自身を急かす程に、ショボンの心に何かが、見え始めていた。
 
( ^ω^)「たしか……力を持つ人間の生命、って言ってたお」
 
(´・ω・`)「力を持つ人間の、生命……」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:31:31.83 ID:Mfo/otBO0
しえん

83 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:34:10.50 ID:Twdb6DKR0
 
 見えなかった物が、ショボンの中で形を成していく。
 アンノウンが何度も口にした、あの鍵語と、ブーンの話を合わせることで。
 思考の間も、彼が戦いから目を離すことは、なかった。
 
 
川 ゚ -゚)「お前たち」
 
 最初は単純に、行けとしか言わなかった。
 ならばと、クーは次の攻め方を仲魔に下す。
 
川 ゚ -゚)「なんとかしてあの剣をヤツから離せ」
 
ノ)) - 从「心得た」
 
|||゚ - ゚||「やってみせましょう」
 
 自信に満ちた返事を残し、二人がまた駆けた。
 
 『魔』をも断ち切る巨大にして強靱な鉄剣を肩に担ぐ黒い影は、ダンピール・ノーマン。
 幾多の敵を穿ち、尚も血を求む魔槍を両手に携えた白い影は、クランの番犬クー・フーリン。
 主たるデビルサマナーの命を受け、対極の風を撒きアンノウンに襲いかかる。
 
川 ゚ -゚)「お前らは隙あれば噛みつけ。腹壊すなよ」
∧_∧  ∧_∧
(叉)゚,, >|<,,゚(叉)「「ワカッタゾ 隙アレバ 喰ッテヤル」」
 ,/i/i、
ミ,,゚(叉)「あんな物は喰わん。仔僧と一緒にしないでくれ」
 
 魔獣とてあっさりと攻撃を無効化されたのだから、当然の如くフラストレーションが溜まっていた。

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:36:03.50 ID:buNstU/x0
支援

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:36:18.30 ID:fJbraoiD0
支援

86 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:36:45.65 ID:Twdb6DKR0
 
ノ)) - 从「ふっ!」
 
 体を捻り、真後ろまできた大剣を、一気に前方へ振り抜く。
 ノーマンを頭上から見たならば、黒い半月が見えたであろう。
 
爪 ゚W〉《ふん!》
 
ノ)) - 从「……!?」
 
 防がれようとも、体ごと弾き飛ばす。
 そのつもりで放ったノーマンの剣撃は、聖剣を立てただけで止められた。
 そこから更に力を籠めるも、彼の鉄剣は微動だにしない。
 
|||゚ - ゚||「はぁっ!!」
 
 刃を交えた膠着状態の所に、クー・フーリンがゲイボルグの刺突を放つ。
 一瞬で三十の槍撃が生まれ、アンノウンを穿たんと迫る、が、
 
爪 ゚W〉《シィッ!》
 
 アンノウンが空いた左手を、起こす。
 石床から長方形の分厚い岩盤が現れ、刺突はそれに阻まれる。
 十二の刺突で岩を砕くに至ったが、既にアンノウンは間合いから離れていた。
 
 だがノーマンが、食らいつく。
 豪快に巨剣を振り回す様は、さながら黒い竜巻だ。
 その暴風も、聖剣は微風を受けるが如く、受け流していた。
∧_∧  ∧_∧
(叉)゚,, >|<,,゚(叉)「「ガァッ!」」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:37:33.05 ID:GieIzdBbO
アンノウンって、AAからして不味そうだなw

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:38:10.73 ID:Mfo/otBO0
しえ

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:38:10.98 ID:Xc8NS6z/0
支援

90 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:39:34.03 ID:Twdb6DKR0
 
 またもノーマンの剣を聖剣で受けた、瞬間。
 オルトロスがアンノウンの足目掛け、二つの大顎を開き突進していた。
 
爪 ゚W〉《ッ!》
 
 ノーマンは執拗に聖剣を持つ右腕を攻めている。
 後方にも、横方向にも避ける事はできない。
 
ノ)) - 从
 
 ノーマンが、そうさせているのだ。
 
 そして生まれたのは、閃光だった。
∧_∧  ∧_∧
(叉)゚,, >|<,,゚(叉)「「GYAW!?」」
 
 最後の一足を跳んだ所で、アンノウンの左手から放たれた光が、オルトロスを直撃した。
 光の筋は魔獣の右足を貫通し、遥か後方の石壁さえも貫き、掻き消える。
 
(;ФωФ)(あれは……シースルーの光魔法……!)
 
 かつてロマネスクを倒す為に立ち上がった、勇者シースルーが使っていた力だった。
 “レイ”という、光の魔力を圧縮させ高出力で発射する、貫通力に優れた光魔法だ。
 オルトロスは右足を庇って着地し、後方へ下がる為に再び跳躍し……。
 
 アンノウンはそれを、見逃さなかった。
 
爪 ゚W〉《ふん!》
 

91 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:42:13.35 ID:Twdb6DKR0
 
 声と共に放たれたのは、ブーンが使う魔術である、人の頭程の大きさをした火球。
∧_∧  ∧_∧
(叉)゚,, >|<,,゚(叉)「「ヤベ!」」
 
 オルトロスの着地点に、放たれた。
 
 直撃必至。
 
 だが、オルトロスの眼前を一陣の風が通り過ぎる。
 
 ,/i/i、
ミ,,゚(叉)「仔僧が、世話を焼かすな。結局、つまらん物を喰ってしまった……」
 
 風の正体は、ケルベロス。
 そう言った彼の口端からは、小さな炎が溢れて見える。
 なんとケルベロスはアンノウンが放った火球を、通過する途中で喰ったのだ。
 
 炎に耐性のある彼だからこそ出来る芸当だった。
 
ノ)) - 从「シッ!」
 
 その間も、ノーマンの猛攻は止むことはない。
 この暴風は主人の命が下されるか、自身の命尽きるまで止まらないのだ。
 アンノウンが火球を放った隙をついて、咄嗟に彼は攻撃に変化を見せた。
 
 執拗に攻めていた右腕から、再度急所へと狙いをシフトさせる。
 巨大な鉄剣にも拘わらず、最小限の動作で眉間へと突きを放った。
 
爪 ゚W〉《────ッ!》

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:42:48.09 ID:GieIzdBbO
オルちゃん!?

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:44:22.81 ID:iXtxNhrd0
支援

94 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:45:17.17 ID:Twdb6DKR0
 
 刀身が幅広い巨剣ということが、逆に災いしてしまった。
 アンノウンは聖剣を突き上げ、ノーマンの突きを刃の下側から押し上げて上方に受け流した。
 そのまま前方へと、踏み込む。
 
 アンノウンの体勢は、聖剣を右肩に担ぐような体勢だ。
 ノーマンの鉄剣を横へ押すようにして、側面をスライドさせていく。
 そのまま更に踏み込み、振り下ろせば、ノーマンの脳天を両断する形に────
 
|||゚ - ゚||「ハァッ!」
 
 そうはさせない、クー・フーリン。
 完全に、死角。ノーマンの巨躯を壁にし、彼のマントを突き破って刺突を放った。
 ノーマンがいる為に、三十の刺突を放つ事はできなかったが、絶好の機であることに変わりはない。
 
爪 ゚W〉《ふッ!》
 
 聖剣を振り下ろす手を、止めた。
 クー・フーリンの槍撃は、右の手首に向かっている。
 アンノウンは聖剣を持つ右腕を、小さく、前へと押し出した。
 
 そうすることで、聖剣の刃はノーマンの剣を止めたまま後方へ流れていき、
 “柄の底側が前方へ向けられる”形となる。
 
|||゚ - ゚||「……視界が悪い分、こちらも狙いを定めることができなかった事が、仇になったか……」
 
 ゲイボルグの刺突は、聖剣の柄の底面で、止められていた。
 恐るべしはアンノウンの反応速度と、それに。
 
|||゚ - ゚||(一体なんだこの武器は……柄で私の槍を止めただと……?)

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:45:32.76 ID:Mfo/otBO0
支援

96 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:47:38.45 ID:Twdb6DKR0
 
ノ)) - 从「…………」
 
 柄部分でゲイボルグを受け止めたことに加え、更に。
 
|||゚ - ゚||(私と馬鹿力のノーマンの剣撃を、片手で受けて尚、拮抗している……)
 
 ショボンの時も、そうだった。
 左右のZによる多重攻撃も、至近距離からのWも、片手に持つ聖剣だけで、防いだ。
 体はおろか、腕と聖剣すら微動だにせずに。
 
 刹那の最中、攻め立てた二人の脳裏に疑問が浮上するが……。
 
 
 好機はまだ、終わっていない。
 
 
爪 ゚W〉《ッ!?》
 
 アンノウンに駆ける、違和感。
 左足が、石床を巻き込み凍り付いていた。
 
川 ゚ -゚)「葛葉の名を継ぐこの私が、魔を使役するだけの存在だと思うなよ」
 
 鋭い眼光放ち言ったクーの右手には、コルトライニング。
 それから放たれた弾丸はデビルサマナーが扱う特殊な弾丸、氷結弾だ。
 聖剣は、二人の戦士が止めている。軸足は、凍り付いている。
 
 規模の大きな攻撃では、仲魔を巻き込んでしまう可能性がある。
 その状況で、一切の躊躇をせずに動いた者がクーと、もう一人。

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:49:03.19 ID:buNstU/x0
支援

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:49:37.15 ID:GieIzdBbO
やっぱチートだこいつ

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:50:07.29 ID:fJbraoiD0
クー△!

100 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:50:11.00 ID:Twdb6DKR0
川 ゚ -゚)「トドメはこの手で確実に、なッ!」
 
 その手には一族伝来の名刀、赤光葛葉を従えて。
 駆けるはデビルサマナー・十八代目葛葉ライドウ、クーと。
 
(´・ω・`)「これ以上無い機だ。よくやってくれた」
 
 もう一人は、自世界最強のアルファベットZを駆る、ショボン=ルージアルだ。
 
爪 ゚W〉《チィッ……!》
 
 獲物を受け止めている聖剣で二人を弾けば、追撃は必至。
 逃れようにも、軸足の凍結が隙を生み出すであろう。
 アンノウンに残されたものは、左手だけの、字の如く唯、一手のみ。
 
 
 その、左腕が。
 
 
爪 ゚W〉《があぁぁッッ!?》
 
 どさりと音を立てて、床に転がった。
 どす黒い体液が、離れた体と腕を求めるように、二つの切断面から吹き出している。
 
 射出速度は、音よりも速く。気が付けばそれは、終わっているのだ。
 そんな無慈悲な一撃を放てるのは、近代兵器の成せる業でしかない。
 
( ^ω^)「ロックに時間がかかるから、次は期待しないでくれお」
 
 アンノウンの腕を落としたのはBOON-D1が誇る狙撃兵器、Sniperであった。

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:51:13.54 ID:buNstU/x0
支援!!

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:51:48.49 ID:zP1vpgvB0
すげぇ、でも再生しちゃいそう!

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:52:08.99 ID:GieIzdBbO
なんという連携技……!!

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:52:41.74 ID:9LMLTrpF0
こういう連携こそが合作の醍醐味だな

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:53:03.15 ID:HPvK4uSq0
やりおる

106 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:53:35.65 ID:Twdb6DKR0
 
 オルトロスが狙われた時に、ブーンは既に左腕に照準を合わせていた。
 距離は近いが、発射する際のロックオンにはそれでも時間を要する為に、このタイミングになった。
 
 念のためにと、ブーンは再度ロックオンを開始する。
 次はショボンやノーマン達がいた為に狙えなかった、頭を狙って。
 
 内心では、戦いは終わったと思いながら。
 
 
川 ゚ -゚)「終わりだッ!」
 
 
(´・ω・`)「さらば!」
 
 
 二人ともに、上段へ武器を振り上げ。
 
 この戦いを生み出した、謎深き破壊者を、滅する為に。
 
 
川 ゚ -゚)「はぁッ!」
 
 
(´・ω・`)「むんッ!」
 
 
 弧を描き、二つの刃が双月を描く。
 
 そして刃は、断ち切った。

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:54:11.02 ID:P8EOnCuQ0
やったか!?

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:54:36.08 ID:9LMLTrpF0
やったか!?

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:55:28.45 ID:HPvK4uSq0
>>107それ言うなwww

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:56:04.40 ID:GieIzdBbO
>>107
フラグ立てんなw

111 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:56:09.23 ID:Twdb6DKR0
 
(´・ω・`)「…………」
 
川#゚ -゚)「…………チッ」
 
|||゚ - ゚||「面倒な……」
 
ノ)) - 从「……」
 
 四人が横列し、一点を見つめて、言葉を呟き或いは思考する。
 突如足元から現れた異物を避ける為に後方へと下がり、距離を取っていた。
 
 ショボンとクーが断ち斬ったのは、アンノウンではなかった。
 斬ったのは、先と同じ様に出でた、長方形の岩盤だったのだ。
 下方から押し上げられた形になり、ノーマンとクー・フーリンはそれに獲物を弾かれた。
 
 ショボンとクーは、岩盤が現れたから下がったのではない。
 この場の全員が見つめる一点。そこに浮かんでいる異質な物が、現れたからだ。
 
  《……流石だ……》
 
 岩盤の向こう側から、アンノウンの声が一同に届く。
 だが、彼らの目にはアンノウンが喋っているように見えてはいない。
 それは決して、岩盤がある所為ではなく────
 
ξ;゚听)ξ「な……な……」
 
(;^ω^)「まじかお……」
 
 見つめる一点に浮遊しているのは、ブーンの射撃によって切断されたはずの、左腕だった。

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:56:35.97 ID:Mfo/otBO0
おまえらwww

113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:57:03.05 ID:buNstU/x0
支援

114 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 21:58:34.20 ID:Twdb6DKR0
 
 彼らには、まるで腕が言葉を発しているように見えていた。
 勿論そんなことが有り得るはずがないのだが。
 切断された腕は宙を浮遊し、あまつさえ岩盤を出現させる召喚術を使用したのだ。
 
( ФωФ)(アンノウンとやらは、魔族なのか……?)
 
 魔王たるロマネスクであろうとも、そんな真似は再現不可能である。
 一同が困惑する中、しかし一人だけ、冷静に現状を理解している者がいた。
 
(´・ω・`)「……そうだったな。あれもお前の、部下だったか」
 
  《……そういうことだ。ショボン=ルージアル》
 
川 ゚ -゚)「おい。どういうことだ?」
 
(´・ω・`)「俺がこの世界に来た時に、ある敵から襲撃を受けた」
 
(´・ω・`)「名前も知らん敵だったが、そいつの手首を落としたら、今の状況と同じになった」
 
  《貴様は、先程から気付いていたようだな》
 
(´・ω・`)「あぁ。お前は、使えるんだろう。この世界の力、全てを」
 
  《クク……その通りだ》
 
 ショボンの予想はやはり、当たっていた。
 だからと言って、彼らにとって喜ばしい事でもなく。
 
(´・ω・`)「あれだけ見せつけられれば、嫌でもわかる」

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:58:54.57 ID:GieIzdBbO
左腕が本体!?

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 21:59:38.29 ID:nyBccp3R0
支援

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:00:01.85 ID:buNstU/x0
支援

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:00:29.69 ID:HPvK4uSq0
なんと

119 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:01:10.16 ID:Twdb6DKR0
 
  《……そうだな。少し、遊びすぎたようだ》
 
川 ゚ -゚)「遊びだと? 余裕をかますのも大概にしろ」
 
( ФωФ)「どうみても、貴様は追いつめられていたようにしか見えなかったが?」
 
  《ああ、そうだ。そうでなくては、ならないのだ》
 
( ФωФ)「……どういうことだ?」
 
  《貴様には関係のないことだ》
 
(´・ω・`)(何故、まだこんなに余裕を保っていられるんだ……?)
 
川 ゚ -゚)「おいウナギ。遊ぶのはいいが、お前は自分の状況がわかっているのか?」
 
( ^ω^)「…………」
 
ξ;゚听)ξ「……」
 
(´・ω・`)(そうだ。状況だけを見れば、俺達に分があることは間違いない)
 
(´・ω・`)(となると、まだ奥の手を隠している可能性があるか)
 
(´・ω・`)(だが、それは俺達も同じ事だ)
 
 クーとブーンがまだ全ての力を示していない事には、気が付いていた。
 勿論、ショボン自身も奥の手は未だ残してあるのだ。
 それに加え、ロマネスクもいる。

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:02:29.18 ID:+bhf4UrmO
ペンを持つ手

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:02:39.20 ID:buNstU/x0
支援

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:02:39.92 ID:GieIzdBbO
支援

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:02:40.25 ID:9LMLTrpF0
ショボンの奥の手ってペルソナか?

124 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:04:09.56 ID:Twdb6DKR0
 
 ショボンはロマネスクの実力を知らないが、クー達が味方にする程なら、
 最低でも足を引っ張らない程度の実力はあるのだろうと見ていた。
 
(´・ω・`)(もし、奥の手が聖剣だった場合……)
 
 ショボン達に、勝ち目はない。
 願うだけで、いつでも殺されてしまうのだ。
 この世界のクーが言っていた様に、聖剣にはエネルギーが残っていないとは思っていたが、万が一の、場合は。
 
 恐らくは間違った情報ではないと思ってはいても、絶対と言い切れないのが、現実だった。
 
(´・ω・`)「何を隠しているかは知らんが……」
 
 一歩、歩み出る。
 
(´・ω・`)「何かするなら、したらどうだ。俺達は、次で確実にお前を討つぞ」
 
  《ククク……最初の威勢を、思い出すな?》
 
  《まだ、我の首は繋がっているが……》
 
 安い挑発に、ショボンが乗ることはない。
 それを無視して、自身の言葉を続けた。
 
(´・ω・`)「聖剣の力も、大方の予想はついている」
 
  《ほう……?》
 
(´・ω・`)「いや、違うな。聖剣には願いを叶える以外の力は、ない」

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:05:13.46 ID:buNstU/x0
支援

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:05:54.26 ID:GieIzdBbO
ふむ……

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:06:29.81 ID:Mfo/otBO0
ふむ

128 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:06:39.24 ID:Twdb6DKR0
 
 予想がついている。
 そう言った彼の次の言葉は、矛盾していた。
 仲間達は一斉に怪訝な顔をする。だが、ツンだけはすぐに表情を戻した。
 
ξ゚听)ξ(ショボンさんが変な事を言うはずがない……きっと何か分かったんだ)
 
 同じ時を過ごしたツンだからこそ、そう思えていた。
 ブーンなどはSniperの照準を睨みつつも、早く次を言えと言わんばかりの顔をしている。
 クーはというと、ショボンの言葉にある本質を掴もうと、思考していた。
 
  《…………》
 
(´・ω・`)「別の力があるということに、捕らわれすぎていた」
 
 聖剣には別の力がある。ショボン自ら発した言葉だ。
 彼は当然の事、自世界で異能を扱う者達ですら、此度の事象には困惑していた。
 加えて、召喚術と言った見慣れない力達も在った。
 
 それが、思考の道を無数に枝分かれさせていたのだ。
 理屈で解決しないのならば、未知の能力を扱っている。
 自然とそう考えてしまう、言うなれば必然的なミスリードに、誘い込まれていたという事だ。
 
(´・ω・`)「敢えて力と表現するのなら、“絶対に破壊できない力”とでも呼べばいいか」
 
川 ゚ -゚)(“絶対に破壊できない力”……どういうことだ?)
 
 クーの疑問は、尤もであった。
 破壊できないというだけで、ケルベロスの炎を打ち破った理由にはならないからだ。
 ゲイボルグも、ノーマンの剣も、ブーンの銃器すらも完璧に防がれている事は、誰もが見た筈だ。

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:07:12.97 ID:haPEJghn0
支援

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:07:42.38 ID:Mfo/otBO0
ほうほう

131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:07:58.37 ID:buNstU/x0
支援

132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:08:32.65 ID:9LMLTrpF0
支援

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:08:38.17 ID:HPvK4uSq0
ん?

134 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:09:14.70 ID:Twdb6DKR0
 
(;^ω^)「それが、僕の攻撃を防いだことに何の関係が……」
 
 実際に刃を交えたブーンの質問は、必然と言える。
 
(´・ω・`)「聖剣には、あらゆる力が通用しないんだ」
 
(;^ω^)「え……」
 
川 ゚ -゚)「それは私も感じていた。だが、それがお前の結論に至るとは思えない」
 
( ФωФ)「いや……」
 
 ショボンの意図に気が付いたのは、ロマネスクだった。
 永き時を生きた彼だからこそ持ち得る豊富な知識が、それが可能性の一つであると導いた。
 
( ФωФ)「あらゆる力が通用しない。その延長が、破壊できないと言うことだな?」
 
(´・ω・`)「そういうことだ」
 
(;^ω^)「??」
 
(´・ω・`)「俺と戦った時も、クー。お前の仲魔が戦っていた時も。
      アンノウンは両手で聖剣を握ることをしなかった」
 
川 ゚ -゚)「そう言われてみれば……だが、それが……?」
 
(´・ω・`)「両手で聖剣に触れていると、非常時に異能の力を扱えなくなるからだ」
 
ξ;゚听)ξ「ッ……!」

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:11:09.64 ID:Mfo/otBO0
支援

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:11:12.52 ID:9LMLTrpF0
ルージアルさん知力マジパネエ

137 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:12:09.58 ID:Twdb6DKR0
 
(´・ω・`)「奴とて、俺達を嘲笑うかのように相手をしていたが……」
 
(´・ω・`)「実際の所、侮ってはいなかった」
 
(´・ω・`)「左手は、万一に備えいつでも力を使えるように、あけていたんだ」
 
 余裕綽々で迎え撃つアンノウンだったが、侮ってはいなかったと見た、と言う。
 その理由は、フィレンクトとラストスノーにあった。
 あの刺客達は、“相応しいかどうかを見極める”ことが、目的と言っていた。
 
 刺客を倒したことで、そしてアンノウン自ら剣を取ったことで、認められた証しになる。
 実力を認めたという事ならば、少なくとも油断はないであろうと考えていたのだ。
 
(´・ω・`)(尤も、最初から力を使わなかった理由は、分からないままだが)
 
 一息を挟んだ、思考。
 不気味な光景は、そのままに。
 変化があるとすれば、浮遊している左腕から溢れる体液が、いつのまにか消えていたことか。
 
 岩盤の裏に隠れたアンノウンは、ショボンの考察を静かに聴いていた。
 アンノウンがそこにいることは、全員が知っている。
 話に耳を傾けながらも、視線は移していないのだから。
 
 左腕を打ち抜かれた直後こそは、苦痛に声を上げていたが、その後喘ぐ様子もない。
 そのことに懸念を抱きつつ、ショボンがまた切り出した。
 
(´・ω・`)「俺は最初、頑なに左手で聖剣を握らない姿勢を見て、"左手に何かある"と考えていた」
 
(´・ω・`)「実際、奴は左手で異能の力を使った。やはりと思ったが、聖剣に触れなかった理由とは言い難い」

138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:13:24.66 ID:buNstU/x0
支援

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:13:44.80 ID:GieIzdBbO
触れてると特殊能力を発動できなくなるのか?

140 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:14:27.74 ID:Twdb6DKR0
 
(´・ω・`)「"他に何か理由があるのか"と考えた末の答えが、『アンノウンは聖剣による無効化能力を制御できない』だ」
 
川 ゚ -゚)「……そういうことか」
 
(´・ω・`)「あぁ。聖剣に触れている手で異能の力を使おうとしても、聖剣に無効化されてしまうんだ」
 
川 ゚ -゚)「だから咄嗟の防御のために、左手を離していたんだな」
 
(´・ω・`)「恐らく、そうだろう。俺が二刀であることを始め、こちらは攻撃の手が多い」
 
(´・ω・`)「左手を聖剣から離す、という一瞬の動作が致命的になる場合を、危惧していたんだ」
 
(´・ω・`)「……しかし、今の状況を見るに、左手以外でも異能の力を扱えるようだな」
 
  《……ククク……戦いの中で、よくぞそこまで見抜いたものよ……!》
 
(;^ω^)(この反応……当たってんのかお……)
 
川 ゚ -゚)「あっさり認めやがったぞ」
 
(´・ω・`)(……ということは、あの違和感も的を射ていた、ということか)
 
 彼の言う違和感とは、聖剣に力が残されていないという点だ。
 扱う能力の性質は違えど、区別のできるものなのかと、ショボンは疑問を抱いていた。
 エネルギーは残されていないが、無効化の力は使用できるという条件では、些か都合が良すぎる。
 
 加えて、フィレンクトの“二つの力”を見破った時と、同じ。
 アンノウンは不意の攻撃にも咄嗟に聖剣で対処し、防いでいた。
 正に一瞬の攻撃ですらもだ。明らかに、意志とは違う別の何かが作用しているとしか、彼には思えなかった。

141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:14:51.91 ID:HPvK4uSq0
あらゆる力は掴む手にも影響する…?

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:15:47.31 ID:Mfo/otBO0
むずかしいお

143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:16:33.20 ID:buNstU/x0
支援

144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:18:25.72 ID:GieIzdBbO
やっぱチートだこいつ

145 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:18:27.30 ID:Twdb6DKR0
 
川 ゚ -゚)「アンノウンが願いを叶え、聖剣に無効化能力を付加したのか……それとも、元々そういうふうにできているのか?」
 
川 ゚ -゚)「この世界のショボンが言っていた。聖剣は全ての世界を見守る存在だと……。
     言うなれば、神に近い存在だ。人の手では破壊できないよう、そう創られていたとしてもおかしくはないな」
 
(´・ω・`)「まぁ、既に付加されている力だ。どうやって得たのかということは、たいした問題じゃない」
 
ξ;゚听)ξ「すごい剣ってことは分かってたけど……そこまでだなんて……」
 
(;^ω^)「規格外にもほどがあるお……」
 
(´・ω・`)「更に厄介なのは、あの形状だ」
 
(;^ω^)「形状?」
 
(´・ω・`)「聖剣を破壊することは不可能であり、その力が制御できないということは、聖剣で破壊することもまた、不可能ということだ」
 
(;^ω^)「……どういうことだお?」
 
(´・ω・`)「そのままだ。剣である姿に惑わされたが、形状が剣なだけで、剣としての役割は持たん」
 
(;^ω^)「でも、僕の攻撃は防がれたし、クーさんの仲魔の炎とか斬ってたのは……」
 
(´・ω・`)「それは無効化の効果だろう? 剣という武器の根本的な役割を、考えてみろ」
 
( ^ω^)「……そういうことかお」
 

146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:20:38.90 ID:buNstU/x0
支援

147 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:21:03.64 ID:Twdb6DKR0
 
 斬る。突く。叩く。
 
 敵の獲物次第では、それを防ぐ役割も持つ。
 あくまで防御は応用であり、剣に求められる効果は殺傷能力にある。
 形状が剣である以上は、それだけで物理的な効果が得られる武器だと考えるであろう。
 
 それ自体がまたも招いた、ミスリード。
 
 だが、ショボンがこれまでの総括を述べようとした、矢先。
 
ξ;><)ξ「くしゅっ」
 
 ツンがくしゃみをした。
 
 緊張感のない奴だ。
 平時であれば、ショボンはそう思っていたはずだ。
 
 しかし、自身の体が感じた感覚が、そう思わせることをさせなかった。
 
(´・ω・`)(なんだ……急に冷えてきた……?)
 
 ツンが気付かせた、違和感。
 
( ФωФ)「……む?」
 
 皮切りに、違和が伝染していく。
 一歩遅れて、ブーンのサーモグラフィーが、気温の急激な下降を報せた。
 尚も下降は、止まる所を知らない。
 

148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:22:14.30 ID:Mfo/otBO0
むむっ

149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:22:25.29 ID:GieIzdBbO
ロマの能力か!?

150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:23:36.40 ID:buNstU/x0
支援

151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:23:42.30 ID:MKuLWRDr0
なんか支援の反応が寒い

152 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:23:51.45 ID:Twdb6DKR0
 
(;^ω^)「これは……ロマネスク!」
 
( ФωФ)「余の魔力ではないな。とすれば、アンノウンか」
 
川 ゚ -゚)「チッ……」
 
 機械の体であるブーンが平然としていられるのは、先の戦闘で立証済み。
 クーもこの世界のショボンが施した耐寒魔法の恩恵がある。
 
川 ゚ -゚)「オルトロス。ツンを温めてやれ」
 
 アンノウンの方を睨みつつ、命じた。
 魔獣はしゃがみ込んだツンの背後から覆い被さり、自身の体温を分け与える。
 
ξ;--)ξ「あ……ありが、とう……」
 
 言葉は白の吐息となり、掻き消える。
 もはや常人では耐えられない程の冷気が、部屋全体に行き渡っていた。
 
(´・ω・`)「……こんな力が……!」
 
 ショボンですらも、あまりの寒さに膝をついた。
 周辺の気温を低下させ、生けるもの全ての体温を奪い死滅させる、魔王の冷気。
 使用者は、勿論────
 
(#^ω^)「このッ……!」
 
 Sniper、発射。
 既に照準は、浮遊する左腕に合わされていた。

153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:24:27.34 ID:HPvK4uSq0
まさか

154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:25:55.46 ID:9LMLTrpF0
ルージアルさんも温めてやれよwww

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:26:00.67 ID:GieIzdBbO
紅蓮属が2体いるんだから、発火能力で温めればいいのに……

156 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:26:07.27 ID:Twdb6DKR0
 
(;^ω^)「……え?」
 
 しかし、突如消えた。
 切断されたアンノウンの、左腕が。
 
川;゚ -゚)「なんだ? いきなり……」
 
( ^ω^)「ッ────!」
 
 ブーンの“目”だけが、それを捉えていた。
 Sniperを無造作に投げ捨てると、BBBladeのグリップを持ちクーの前に立つ。
 彼の視界に広がる前方は、青一色。その中に、熱反応が見られる箇所が、一点だけ。
 
  《ほう……見破るか》
 
(#^ω^)「透明化! 原理は知らんけど僕の目は誤魔化せねーお!」
 
(´・ω・`)(あいつと……同じか……)
 
 またもあの刺客と、同じ力を使用しているようだ。
 それならば、弱点も同一であるとショボンは思いかけたが。
 
(´・ω・`)(奴は複数の力を一度に使えなかったが……)
 
 アンノウンにその欠点がないということを悟る。
 ブーンの動きを見れば、左腕が空中を浮遊していることが分かる。
 加え、気温の急激な下降が未だ続いていたからだ。
 
(´・ω・`)(いくつもの力を同時に使用できるのか……!)

157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:27:41.11 ID:Mfo/otBO0
どうすんだこいつ

158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:28:48.24 ID:GieIzdBbO
支援

159 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:29:15.84 ID:Twdb6DKR0
(´・ω・`)(しかし……この冷気は、アンノウン本体が放っているはずだ……)
 
(´・ω・`)(ならば今、奴は聖剣から手を離している……)
 
(´・ω・`)「クー! アンノウンを討て!」
 
川 ゚ -゚)「ブーン! 見えん奴は任せた! 行くぞ!!」
 
 赤光葛葉を抜き身で従え、疾駆。
 行くぞ、の一声で二人の仲魔もそれに追従する。
 
(#^ω^)「せいっ!」
 
 何も無い空間、実際には左腕が浮いている箇所へ、BBBladeの蒼刃を投擲。
 透明化が無駄と悟ったアンノウンはそれを解除し、光の飛礫を放ち迎撃した。
 
(´・ω・`)(……まずいな……この気温の下がり方は……呼吸が……)
 
(´・ω・`)(じっとしていたら余計に体温が下がる……しかし、三人以上で同時に突っ込めば同士討ちの危険性も……)
 
 急激な気温の下降は、容赦なくショボンの体力を奪っていった。
 それを早めていたのが、先の戦いで熱を帯びた肌に滲んだ、汗だ。
 極寒の世界において、汗をかくという生理現象は絶対に避けなければならない。
 
 汗は身体を冷やす、最も大きな要因となるからだ。
 
(´・ω・`)「……?」
 
 ふと、気温の下降が止まり、ショボンは逆に気温が上昇していくことを感じた。
 体の機能が徐々に戻り、そこで初めて、ショボンは自身に触れる者を知る。

160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:30:23.55 ID:buNstU/x0
支援

161 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:31:21.71 ID:Twdb6DKR0
 
( ФωФ)「人間とは、難儀なものだな」
 
 ショボンの背に触れていたのは、ロマネスクだった。
 魔力でショボン周辺の冷気を遮断させたのだ。
 
(´・ω・`)「……すまんな」
 
( ФωФ)「気にするでない。お前程の男、こんな死に方は似合わんよ」
 
 どうやらロマネスクも、ショボンの力を認めていたようだ。
 その言葉にショボンは何も返さなかったが、再び立ち上がる事で、意思を示した。
 
|||゚ - ゚||「はぁッ!」
 
 一方、クー・フーリンが放つ強烈無比な三十の刺突が、アンノウンを隠す岩盤を砕いた。
 
爪 ゚W〉《…………》
 
 アンノウンはただ、立っていた。
 右手に聖剣は持たれていない。
 ショボンの読み通り、魔王の冷気を生み出す為に離さざるをえなかったようだ。
 
川 ゚ -゚)「終わりだ……アンノウンッッ!!」
 
 躊躇わず、駆け抜ける。
 ノーマン、クー・フーリンと共に。
 
 クーの刀が赤光を煌めかせ。ノーマンの剣が黒の線を引き。
 クー・フーリンの槍が三十の白い流星を生み出した。

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:32:35.06 ID:GieIzdBbO
ロマ△

163 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:33:23.86 ID:Twdb6DKR0
 
(#^ω^)「にゃろう……ちょこまかと……!」
 
 ブーンは縦横無尽に飛翔する左腕に、手を焼いていた。
 素早いだけなら然したる問題はないが、手の届かない空域まで逃れられると、撃ち落とすしかない。
 そうなると今度は、身の軽さが厄介になる。BBBladeの投擲など簡単に避けられてしまうからだ。
 
(;^ω^)「ッ!?」
 
 投擲を避け終えた後。遥か頭上で浮遊していた左腕が、突如高速で移動した。
 ブーンの高性能センサーはその動きを捉え続けている。
 それなのに戸惑ったのは、自身とは逆方向に移動したからだった。
 
 つまり、クー達の方へ。
 
(;^ω^)「まておっ!」
 
 投擲を繰り出しながら、追い掛ける。
 
(´・ω・`)「なんだ……?」
 
( ФωФ)「……あれは……」
 
ξ;゚听)ξ「え……どういう……こと……?」
 
 既に冷気は消え去り、室内は元の室温を目指しまた急激に上昇し始めていた。
 つまりはアンノウンが力を停止したということだったのだが……。
 
 彼らはそんなことよりも、目の前の事象が、理解できなかった。
 

164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:33:37.04 ID:buNstU/x0
支援

165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:33:58.10 ID:Mfo/otBO0
しえん

166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:35:03.69 ID:GieIzdBbO
なんだ?

167 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:35:27.35 ID:Twdb6DKR0
 
川 ゚ -゚)(手応え有り……!)
 
 アンノウンとすれ違う形で、クーは斬撃を放った。
 ノーマンも、クー・フーリンもそうだ。
 今までそうしてきた敵達と同じ感覚、手応えを、それぞれの武器を通して感じていた。
 
 振り返る、と。
 
川;゚ -゚)「……あ?」
 
ノ)) - 从「…………」
 
|||゚ - ゚||「これは……!」
 
 ノーマンとクー・フーリンが、無意識の内にクーの前に立つ。
 本能が、そうさせていた。主を守る為に、自身を障壁とせねばらぬと。
 
 何故、そう思ったのか。仲魔達自身でも、分からなかった。
 
爪 W〉《…………》
 
 破壊者は変わらずに、佇立している。
 しかしその姿は、違っていた。
 
 クーが斬り落とした右腕。
 ノーマンが袈裟切りに両断した体。
 クー・フーリンが貫いた、体。
 
 その全ての傷痕を残し、尚も直立しているのである。

168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:36:55.35 ID:GieIzdBbO
なん……だと……?

169 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:37:39.57 ID:Twdb6DKR0
 
 どう考えても、おかしい。
 あんな傷で、立っていられるわけがない。
 もしかして、もう死んでいるのでは。
 
 様々な疑問が一同の脳裏に過ぎる。
 
(´・ω・`)「俺が戦った敵も、頭を貫いても少しの間、まだ生きていた」
 
(´・ω・`)「この世界ではそれが普通なのか? 常軌を逸している……」
 
( ФωФ)「魔族の中でも、あそこまでされて死なないのは、思い出すのが難しいな」
 
ξ;゚听)ξ「さすがに……もう死んでるんじゃ……?」
 
(´・ω・`)「そう、思いたいんだが……」
 
 右腕は、切断されている。
 体も斜めに、両断されている。
 だが、それが崩れ落ちることはない。
 
 明らかに、不自然。
 何かの力が働いていることは、間違いない。
 それが分からないから、一同は困惑していた。
 
 そして、その空気を打ち破る者がいた。
 
(#^ω^)「グレネード!!」
 
 右腕の発射口から、豪快な発射音と共に強烈な弾丸が撃ち出される。

170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:39:28.92 ID:GieIzdBbO
支援

171 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:39:55.37 ID:Twdb6DKR0
 
 異獣……蔓延するセカンドウィルスによって化け物が徘徊する彼の世界。
 圧倒的生命力を持つ異形を相手にすることが日常だった彼にとって、
 アンノウンの状態はさして珍しいことではなかった。
 
 大口径から放たれた弾丸が、アンノウンへ触れる、直前。
 
(;^ω^)「ッ!?」
 
 聖剣が、その前に突如として現れた。
 まるでアンノウンを、庇うように。
 
 弾丸はそのまま聖剣に着弾。
 爆音と煙を巻き上げて、グレネードは自身の役割を終える。
 ターゲットにダメージがないことは、今までの戦いで明らかだ。
 
(´・ω・`)「やはり……生きているのか」
 
爪 W〉《素晴らしいぞ……異世界の主人公格達よ》
 
ノ)) - 从「主、下がれ。何か危険な予感がしてならない」
 
川 ゚ -゚)「……腹立たしいが、そうしておこう」
 
 アンノウンの後方にいたクー達は更に距離を取り、迂回するようにショボン達と合流した。
 気にも留めず、黒の破壊者は言葉を紡ぐ。
 
爪 W〉《よもやここまでの力を示すとは、誤算だ。完全に、誤算だった》
 
爪 W〉《勿論、良い方向への誤算だが……この喜悦……抑えられずにいられん程だ……》

172 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:42:11.05 ID:Twdb6DKR0
 
川 ゚ -゚)「なんだ? 変態か?」
 
 相も変わらぬ、唯我独尊なクーはさておき。
 
(´・ω・`)「アンノウンは戦いを愉しんでいた節がある。そういうことだろう」
 
(#^ω^)「愉しんでた……?」
 
 彼の胸懐に、沸々と怒気が沸き起こる。
 遡ればアンノウンがもたらした、自身の世界と同名の街の崩壊。
 あれすらも、そうだったのかと。
 
 自身の世界を思い出させたのも、再び人間を殺させたのも、全て────
 
(#゚ω゚)「ざっけんじゃ……ねーおッ!」
 
 出でる三本の砲身、BlueLazerCannon。
 情報処理システムとの同期を開始。照準座標を計算の後、青のエネルギーが充填されていく。
 ブーンのセンサーに浮かんだ、出力を表す数値は、50%と表示されていた。
 
 
 だが────
 
 
(;゚ω゚)「…………!?」
 
 BlueLazerCannonが咆哮を上げることは、なかった。
 完全に、意識が殺がれた。あまりに唐突で、異様な変化によって。
 

173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:42:15.75 ID:GieIzdBbO
C

174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:43:35.19 ID:buNstU/x0
支援

175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:43:40.49 ID:Mfo/otBO0
支援

176 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:45:46.38 ID:Twdb6DKR0
 
 アンノウンの体が、溶けてゆく。
 左腕を切断した時に溢れたものと、同じ様な液体に成って。
 溶けゆく黒はクー・フーリンがあけた穴を塞ぎ、切断された右腕、左腕も繋ぐ。
 
 だが、繋いだ後も液体化が止まる様子はない。
 髪の末端も体から広がった黒と交わり、首だけを残して形を崩していく。
 それはさながら、水風船を地に叩きつけた時の放射線を描いているような。
 
 ただ、その色は、漆黒。
 一同には仮面の下に闇が広がり、はためいているように映っていた。
 
川 ゚ -゚)「なんだありゃ……」
 
(;^ω^)「液体化……セカンドウィルスでも、こんな変化は……」
 
(´・ω・`)(……本体は液状なのか……? だとすれば、斬ったところで何の意味も成さないということになるが……)
 
ξ;゚听)ξ(なんて深い闇……デレのペルソナよりも、もっと……)
 
( ФωФ)「面妖な……」
 
 相次ぐ、異。
 つい先程まで人の姿をしていたものが、今ではそれが信じられない程だ。
 誰しも理解が、及ばない。一見すれば、好機ともとれるはずなのに。
 
 踏み出せないのは、それに加えて。
 
 その前に浮遊する、聖剣の存在。
 

177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:46:57.25 ID:Mfo/otBO0
ほほう

178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:48:25.45 ID:GieIzdBbO
もはやホラーの域だな支援

179 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:48:52.75 ID:Twdb6DKR0
 
 全ての力を無にすると立証されたその存在が。
 主人公格達に見えない足枷を、作り出していた。
 
爪 W〉《…………醜いだろう》
 
川 ゚ -゚)「……?」
 
 異様な光景、異質な雰囲気の中で。
 重く悲しげな声が、反響し余韻を残して、彼らの耳を通り抜けてゆく。
 
爪 W〉《これが、我だ。形を持たず、保てず、ただこのまま……》
 
爪 W〉《あまりに眩しい光を、見つめ続け、漂い続けていた……》
 
(;^ω^)「……急に何を……?」
 
(´・ω・`)「…………」
 
爪 W〉《……貴様達だ。光とは、貴様達なのだ》
 
爪 W〉《等しくあった、はずなのだ。生まれるということ。生きるということ》
 
爪 W〉《なのに、我だけがそれ叶わず……姿も、名も与えられず……ただ、蠢くのみだった》
 
ξ;゚听)ξ「どういうこと……?」
 
爪 W〉《────しかし我は、手に入れたのだ!》
 
( ФωФ)「ッ!」

180 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:51:21.42 ID:Twdb6DKR0
 
 アンノウンの声に力が籠もる。
 同時に発せられた覇気が、放射状に広がり彼らを撃ちつけた。
 瞬間的な強風を受けたような感覚が走り、一同は思わず顎を引き、身を固める。
 
爪 ゚W〉《肉体を! 力を! 聖剣という神の如き存在を!》
 
(´・ω・`)「!!」
 
 ただの闇と化したアンノウンの体が、大きく波打つ。
 一回り程その面積を広げ、端を伸ばし、前方へと更に広がる。
 
 そして、覆い尽くした。
 
 前方。つまり、聖剣を。
 
川 ゚ -゚)「……もしかして、あれやべぇんじゃないの?」
 
ξ;゚听)ξ「聖剣を……呑み込んだ……?」
 
(;^ω^)「まさか……」
 
 聖剣を呑み込んだ闇はまた面積を縮小し、元の体の位置へと戻った。
 少しして、液体のように見えたそれが、徐々に硬質化していく。
 
爪 ゚W〉《全ての世界を構築する存在の力……よくぞ見破った》
 
爪 ゚W〉《だがそれも、我にとっては何の問題もない》
 
爪 ゚W〉《寧ろ見破ることで、貴様達に更なる絶望を与えられるのだから!》

181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:51:26.73 ID:Mfo/otBO0
なるほど…

182 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:53:24.45 ID:Twdb6DKR0
 
 首の下。体と呼ぶにはあまりにかけ離れた物が不気味に隆起する。
 そこから突如、内側から突き破るように生えた突起物が、硬い石床に突き刺さった。
 
 足だ。
 
(;^ω^)「…………」
 
 形状こそは、獣の後ろ足のそれだ。
 
川 ゚ -゚)「……おいおい……」
 
 だが、そのサイズはあまりに、規格外。
 今までの姿でも、ショボンに勝るとも劣らない体格をしていた。
 しかし、今生まれた足のように見えるものは、柱と呼んでも違和感がない程の。
 
ξ;゚听)ξ「あれが……足だとしたら……」
 
 嘲笑うかのように、予感は当たる。
 次に生まれたものも、同じ様に内側を突き破り、今度は前方へ突き出された。
 そのまま前へと、落下する。
 
 石床が割れ、地と立ち尽くす彼らの体を揺らした。
 見た目に違わぬ質量も、やはり持ち合わせているようだ。
 
(´・ω・`)「四足獣……」
 
 それも、獰猛な肉食獣を彷彿とさせる。
 強靱な四肢の先端には、しかと大地を掴む為の鋭利な爪が生えていた。
 

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:53:45.25 ID:1b5epyir0
倒せないだろ…

184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:54:14.96 ID:zP1vpgvB0
ケロちゃん出番です

185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:54:47.83 ID:GieIzdBbO
うへぇ……支援

186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:54:47.85 ID:+bhf4UrmO
いのるほかない

187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:55:16.04 ID:buNstU/x0
支援

188 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:55:27.74 ID:Twdb6DKR0
 
 四肢が生えた本体の闇も、足に相応しい体を形成していく。
 光沢放つ黒の体のそれは、毛並みと呼ぶには程遠い。
 容姿は獣だが、その体表はあまりに機械的であった。
 
 獣の足と、あちこちに尖鋭的な突起物が見える機械の体を生み出して。
 アンノウンの首は、もはやショボン達が見上げなければ確認できない程の位置にあった。
 
(;^ω^)「……バケモンめ……」
 
 BLACK DOGすら凌駕する巨躯に、そう呟くことしかできない。
 全高は、五メートル以上あるだろうか。全長も、それに見合うだけのサイズだ。
 
( ФωФ)(ふむ……)
 
 動く事すら忘れてしまったかのように佇立していた一同の中、一人。
 ロマネスクが一歩、前へ出た。
 
( ФωФ)「どれ……試してみるか」
 
 言葉を発した直後。全身から放出された魔力が立ち上り、中空で集う。
 台風の様に渦を巻き、中心の比喩的な目が狙い澄ますように、アンノウンを見下ろしていた。
 
( ФωФ)「いけ」
 
 渦を形成していた数百の帯が、拡散。
 白い流星となり、アンノウン目掛け駆ける。
 圧縮した魔力を硬質化させた全てを貫く魔氷の雨が、降り注いだ。
 

189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:55:52.73 ID:Ax4MWp/Z0
わけの分からん怪物化してこそラスボスだよなwwwwwwwww

190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:56:22.54 ID:zP1vpgvB0
でか過ぎだろう

191 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 22:57:36.26 ID:Twdb6DKR0
 
 そのどれもが、石床に落ちることがない。
 的は確かに大きいが、数百の雨全てが、的確にアンノウンを狙い撃つ。
 
 獣はただ、その中に立っていた。
 ただ、それだけ。
 まるで、何事も起きなかったかのように────
 
( ФωФ)「やれやれ……予想通りというか……」
 
 放った本人も、あまり期待をしていなかったようだ。
 そしてその予想は、全員が思い浮かべていた事だった。
 
(´・ω・`)「やはり、聖剣を取り込んだ、ということか……」
 
川 ゚ -゚)「待て、ならばこちらの攻撃は効かないってことか?」
 
( ФωФ)「今のでそれを証明したことになるが……」
 
ξ;゚听)ξ「そ、そんな……じゃあどうやって倒せば……」
 
(;^ω^)「…………」
 
(´・ω・`)「……聖剣を取り込んだとするならば、奴も力を使えないはずだ」
 
川 ゚ -゚)「あ、そうか」
 
(´・ω・`)「尤も、あの姿ならそれだけで殺傷力は高そうだが……」
 
(´・ω・`)「それに、こちらの力が通用しないことには変わりない」

192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:58:22.75 ID:GieIzdBbO
最終的にはダンターグみたいになるのかも支援

193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 22:58:32.44 ID:Mfo/otBO0
王道だな

194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:00:26.70 ID:buNstU/x0
支援

195 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:00:44.81 ID:Twdb6DKR0
 
(´・ω・`)「だが……聖剣を取り込んだからと言って、全てが適用されるとも限らない」
 
川 ゚ -゚)「そういえば、何かを言いかけていたな?」
 
(´・ω・`)「ああ。破壊することもできない、か」
 
川 ゚ -゚)「それだ。どういう意味だ?」
 
(´・ω・`)「最初に違和を感じたのは、俺の武器だ」
 
(´・ω・`)「Wを使ったんだが、矢として放ったFが、聖剣に防がれた」
 
(´・ω・`)「普通なら、Fは自身の威力で折れるはずだが、形状をそのまま保っていた」
 
 ベルを生み出す媒介にされたFのことを言っていた。
 あの時浮かび上がったFはどこも欠けている様子はなかった。
 それは無効化の力を考えれば説明がつく事象だったのだが。
 
(´・ω・`)「それを確定付けたのが、あの石像の首だ」
 
川 ゚ -゚)「あれが?」
 
(´・ω・`)「あれはただの、彫刻用の石だ。何の変哲も無い」
 
(´・ω・`)「あの勢いで投げられたただの石を、聖剣で叩き落とした」
 
(´・ω・`)「刃を向けて、だ」
 
川 ゚ -゚)「なるほど……」

196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:01:12.30 ID:GieIzdBbO
誰か攻略法知らない?

197 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:03:37.22 ID:Twdb6DKR0
 
 そこでクーは、ショボンが言わんとしていることに気が付いた。
 他の者はアンノウンを見つめながら、耳を傾いている。
 
川 ゚ -゚)「普通なら両断、或いは粉砕されるはずだ、と言いたいわけか」
 
(´・ω・`)「そうだ。同時にそれが、異能の力だけではなく、あらゆる力を無効化することにも繋がる」
 
川 ゚ -゚)「ただの石の慣性をも無効化する……この世界に在るが、しかし干渉されないということか」
 
(´・ω・`)「刃を交えそこに圧力をかけても、まるで押せる気がしなかった」
 
(´・ω・`)「お前の仲魔達も、心当たりがあるだろう?」
 
川 ゚ -゚)「ふむ、どうだ?」
 
ノ)) - 从「……確かに、ただ頑丈というだけなら、剣ごと叩き折るつもりだった」
 
ノ)) - 从「両腕で振ったオレの剣を、片手で受け止められるとは思えん」
 
川 ゚ -゚)「ああ。そりゃ無理だ」
 
|||゚ - ゚||「加えて、ノーマンの剣を止めながら私の槍も止め、膠着状態になりました。
     我ら二人の武器を受けて尚拮抗するなど、何か特別な力が働いているとしか思えません」
 
川 ゚ -゚)「たしかにな……」
 
 極端な話、聖剣と交わればアルファベットZであろうが、木刀と変わらないと言うことだ。
 逆に言えば、聖剣はその木刀すら折ることができない。
 強力無比であり、同時に無力である。それが、聖剣の全てであった。

198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:04:05.02 ID:zP1vpgvB0
ちょっと大技林開いてくる

199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:05:17.24 ID:Mfo/otBO0
支援

200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:05:51.14 ID:GieIzdBbO
支援

201 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:05:51.66 ID:Twdb6DKR0
 
|||゚ - ゚||「しかし……かなり厄介ですね。
     大それた武器持ちやがってあの野郎……」
 
川 ゚ -゚)「まぁいいじゃないか。ラスボスっぽくて」
 
|||;゚ - ゚||「ライドウ様……そんな暢気な……」
 
川 ゚ -゚)「それを倒すのが、正義の味方だ」
 
川 ゚ -゚)「つまり────……私達だろう?」
 
 確固たる意思を乗せた眼光を、アンノウンへと向けた。
 敵の力を見ても、彼女の心が折れることはない。
 
ノ)) - 从「……その通りだ。主よ」
 ,/i/i、
ミ,,゚(叉)「当然だ。ライドウ」
∧_∧  ∧_∧
(叉)゚,, >|<,,゚(叉)「「トットト アイツ マル囓リ!!」」
 
|||*゚ - ゚||「……そう、ですね。私としたことが、弱気」
 
川 ゚ -゚)「さぁ、構えろ。デビルサマナー葛葉ライドウの名を刻んでやろうじゃないか」
 
|||;゚ - ゚||「ちょ……私のセリフ途中ですよ!? ライドウ様ぁ〜!」
 
 縋るような情けない声を出しながらも、魔槍を握る拳は固い。
 どれ程に強大な敵であっても、主たるデビルサマナーの矛と成り、盾と成る。
 それが仲魔としての盟約であり、自身の誇りなのだ。

202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:07:04.21 ID:+bhf4UrmO
ベクトルが0に

203 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:08:27.22 ID:Twdb6DKR0
 
川 ゚ -゚)「そういえばオルトロス、怪我は大丈夫か?」
∧_∧  ∧_∧
(叉)゚,, >|<,,゚(叉)「「ヘイキダ アノ娘ガ 治シテクレタゾ」」
 
川 ゚ -゚)「おお。すまないな、ツン」
 
ξ゚听)ξ「ううん。このくらいはできるから……」
 
 アルテミスの使用は、今のツンにとって負担がかかりすぎる。
 オルトロスの回復には、スアデラを充てていた。
 
 そして、アンノウンの異形化が、止まる。
 
( ^ω^)「…………」
 
 聳える足は、当初のままに。
 
川 ゚ -゚)(どことなくライオンっぽいが……悪魔合体を失敗したようなヤツだな)
 
 胴体は、そんな印象を与える姿をしていた。
 尤も、形だけだったが。
 獅子には有り得ぬ突起物が、所々に見られた。
 
 その奧に蠢く、体より長い四本の尾。
 それぞれが意思を持つように、ゆらゆらと。
 尾と言っても、胴と同じく決して動物的とは言い難かった。
 
( ^ω^)(足以外は機械……? でも、どこか違う……外見だけでの判断は難しいお……)
 

204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:09:27.77 ID:GieIzdBbO
クー△

草葉の影で、14代目とゴウトが誇らしげに頷いてるぜ

205 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:10:32.63 ID:Twdb6DKR0
 
 異形化は止まったが、常識を外れた一箇所。
 決定的に欠如しているものがあった。
 
 それは、首だ。
 あるべき位置には、切断されたように丸い跡だけが窺える。
 鏡のように、滑らかな断面が。
 
 
 そして、彼らの耳に、それが聞こえた。
 
 
  《……考察はもう、終わりか?》
 
 変わらず、首はない。
 元々あった仮面を付けた首は、いつのまにか体を形成する闇と同化していた。
 しかし声は、確実に一同の耳に届く。
 
  《この世界の主人公格は、聖剣だけで捻じ伏せたが……》
 
  《流石と言うべきか。複数の世界から集った貴様達……見事と言えよう》
 
 遡れば、この場にいる彼らを連れてきた主人公格達。
 彼らは聖剣の本質に辿り着く事できず、読み違えていた。
 自身達の魔術や禁呪を破ったのは、紛れもなく聖剣の力であったのだ。
 
  《貴様達の姿を真似たままでは、相手をすることが難しいようだ》
 
  《光栄に思え。対するに相応しい姿で、蹂躙してやろう》
 

206 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:12:45.30 ID:Twdb6DKR0
 
(;^ω^)(まぁ、今までの敵に比べたらインパクトに欠けるとは思ってたけど……)
 
(;^ω^)(流石にこれは、逆にインパクトありすぎるお……)
 
 ブーンの思いも、尤もだ。
 人の姿をしている以上、相手をする人数には限界がある。
 いくら聖剣が強力であろうとも、数は一つだけなのだから。
 
 その対策として異形化をいう手を取ったのかは、アンノウンのみぞ知る。
 
(´・ω・`)「……お前の目的は、俺達を討つことじゃないのか?」
 
  《…………》
 
(´・ω・`)「何故、戦いを長引かせる必要がある?」
 
(´・ω・`)「何度も危機に陥った場面が、あったはずだ。何故、危うい橋を渡ろうとする」
 
  《……簡単なことだ》
 
  《貴様等の絶望を、味わう為。ただ、それだけだ》
 
(´・ω・`)「なんだと?」
 
  《我を追いつめる都度、勝利への希望が生まれ、それを我が更に潰す》
 
  《それを繰り返し、やがて道筋が見えなくなった時に生まれる、絶望》
 
  《我にはそれが、何よりも味わい深き愉悦となるのだ》

207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:13:08.71 ID:GieIzdBbO
支援

208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:13:40.45 ID:buNstU/x0
支援

209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:14:12.83 ID:Mfo/otBO0
ふーむ

210 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:14:47.42 ID:Twdb6DKR0
 
(´・ω・`)「……そういうことか。やはり、理解できんな」
 
  《完全に手の届かぬ光だった主人公格を、絶望の淵に落とし、抹消する……》
 
  《我にしかわかるまい。永遠とも思える闇を漂っていた、我にしか……!》
 
(´・ω・`)(……この世界のクーの話を聞いて、『アンノウンは亡霊なのか?』と最初に思ったが……)
 
(´・ω・`)("存在することのできなかった存在"……そういうことか)
 
川 ゚ -゚)「なんだ? つまり嫉妬か? みっともねぇ」
 
  《なんとでも言え……あの中で、我は肉体を求めた。力を求めた。光を、求めた……》
 
  《そして遂に、我はここにこうして存在するに至ったのだ……!》
 
( ^ω^)「……その欲望の果てに、お前は世界の崩壊を望むのかお……?」
 
  《そうだ! その通りだ! 我が望むことは貴様等の絶望、そして死だけだ!!》
 
  《後には何も残さぬ……何も、貴様等の影すらも、この世界から抹消してやろう……》
 
ξ;゚听)ξ「そこまで……なんで、そこまでするの……?」
 
  《……全ては、憤怒。我を突き動かすものは、沸き起こる怒りのみだ》
 
  《こうしているだけでも、湯水が如く溢れ出る……この、怒りが……全て……!》
 
  《……全ての……殺意の、契機と成るのだ────》

211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:15:26.65 ID:xHNjxQmx0
∋・Д・) ゚パ)´ё`) ‘е)@・д・)*・∀・)「・ω・)「ω・)

212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:16:11.27 ID:zP1vpgvB0
ちくわ大明神

213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:17:17.92 ID:hMpdiSpY0
支援

214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:17:50.40 ID:GieIzdBbO
そのしっとパワー、悪のアベック狩りに使いませんか?

我がしっと団はアンノウンの入団を心より歓迎します

215 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:17:52.77 ID:Twdb6DKR0
 
 破砕音。
 
 巨大な硝子板を、盛大に叩き割ったような音がした。
 直後飛び散る欠片達も、硝子片と同じ様に、周囲へ降り注ぐ。
 
 硝子と異なる点は、その色。
 
 降り注ぐのは、黒の雪。
 
 割れた物の正体は、本来頭が生えているはずの断面部だ。
 足と同じく、内側から突き破るようにして現れたのは、まさに獣の頭部だった。
 ただ、自然界では決して見ることはないだろう、悪魔的な頭と呼んだ方が適切だ。
 
 体にかかる鬣は獅子を連想させるが、動物的と言えるのはそれだけだ。
 頭頂部に左右から前方へ巻き込むように生えている二つの角は、獲物を求めるように雄々しく。
 噛み付くという行為に特化させた口、大顎は、人など軽く呑み込んでしまえる程に巨大だ。
 
 耳はない。鬣に隠れているのか、例え上空から見下ろしても確認できないであろう。
 
 そして、それよりも。
 
 本来在るべき場所に、目がなかった。
 少しして、目があるとすれば恐らくそこだろうと思われる箇所の、中間点。
 眉間と取れる場所の肉が渦巻き、黒き肉が迫り上がっていった。
 
 すぐに、皆が気付いた。それが何かを。
 人の姿を、形成したからだ。
 
 真紅の眼と仮面は、健在。上半身だけを現したのは、謎深き破壊者、アンノウンだった。

216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:20:37.71 ID:GieIzdBbO
支援

217 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:20:49.31 ID:Twdb6DKR0
 
 アンノウンは、変わらずに。
 その下にある四足四尾の異獣も、黒、黒、黒。
 
川 ゚ -゚)「……ウナギと呼ぶには、少々でかすぎるな……」
 
 巨躯が生む存在感。覇気が生む圧迫感。
 二つが交わり、烈々な威圧感となって彼らに襲いかかる。
 全身の毛穴の底がちりちりと焼き付くような感覚を、必死に押さえ付けて、見上げる。
 
 決して、気圧されるものか。
 そう言わんばかりに。
 
(´・ω・`)「随分と、大袈裟な格好になったものだ」
 
爪 ゚W〉《…………》
 
 上半身だけの破壊者は、虚空を見つめていた。
 次に、首を左右に振った。ゆっくり、ゆっくりと。
 頼りない足場に降りる時の様に、静かに、慎重に、確かめるように。
 
爪 ゚W〉《────な》
 
( ^ω^)「……?」
 
爪 ゚W〉《この姿では少し、狭いな》
 
 言い終えた瞬間、四つの尾が天に向かい急激に伸びた。
 扇状に伸びた尾は、天井に突き刺さってもその勢いを止めることはない。
 獣の巨躯を軽く凌駕する長さの尾が、王の間を破壊しながら縦横無尽に駆け巡る。

218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:21:04.66 ID:buNstU/x0
支援

219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:21:52.89 ID:cKDFZRp40
つまり、ボツネタってことですかい?

220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:22:13.88 ID:Mfo/otBO0
しえん

221 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:23:31.58 ID:Twdb6DKR0
 
(;^ω^)「ちょっ! トチ狂ったのかお!?」
 
(´・ω・`)「頭上に注意しろ!」
 
ξ;゚听)ξ「わ、わわわっ!」
 
 拳程度から人よりも遥かに大きなサイズの石が、雨の如く降り注ぐ。
 それぞれが自身の武器で粉砕、或いは躱している。
 
 やがて尾が止まった頃、天井は全て崩壊し、その代わりに星空が広がっていた。
 尾はそのままのサイズを保ち、ブーン達を挟むようにして落下した。
 左右に、二本ずつ。このまま押し潰す気かと、全員がそれに注視する。
 
 だが、尾は彼らと反対方向に動いた。
 地を滑らせ、落下した瓦礫を巻き込みながら、大きく開く。
 当然それは、最後には壁に激突する、が、その壁すらも、破砕した。
 
 『室内』は瞬く間に、『屋上』へと姿を変えてしまっていた。
 
爪 ゚W〉《まだ少し狭いが……致し方あるまい》
 
 自身が存分に動けるように、力を発揮できるように。
 アンノウンにとっては、ただそれだけの行為。
 異能の力も使わず、物理的な力のみで起こした事象だ。
 
川 ゚ -゚)「色々大味になったな……」
 
(;^ω^)「大味どころの騒ぎじゃねーお!」
 

222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:23:51.62 ID:GieIzdBbO
>>219
放置されてそのままになった作品とかも含むんじゃね?

223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:24:16.61 ID:hMpdiSpY0
支援

224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:24:35.53 ID:9LMLTrpF0
そういやノーマンをボディガードにするとか言ってたけど、普通に攻撃に使ってるな

225 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:25:58.04 ID:Twdb6DKR0
 
爪 ゚W〉《さて……》
 
 赤い眼光が、彼らに向けられる。
 異形化を終えたアンノウンが、初めて主人公格たちを視界に捉えた。
 
爪 ゚W〉《……ふむ》
 
 その中に、彼は異物を見つけ出す。
 自身が変貌を以て相手すると定めた敵達、即ち主人公格の中にある、異物を。
 
( ФωФ)「?」
 
 ロマネスクが、それに気付いた。
 自身に向けられている、視線に。
 
爪 ゚W〉《……ここより先は、選ばれし者の領域》
 
 尾の一つが、鎌首をもたげた蛇のように動いた。
 壁を破砕した尾達は、いつの間にか当初のサイズに戻っている。
 
爪 ゚W〉《貴様には、過ぎた場よ》
 
( ФωФ)「ッ!!」
 
 刹那、空気を裂く音。
 尾の一つが、ロマネスクめがけ直進する。
 その威力は既に見ている。人間など、まともに受ければ確実に死に至るであろう。
 
 だが、ロマネスクは避ける素振りを見せなかった。

226 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:28:50.20 ID:Twdb6DKR0
 
 彼とて、かつて数万の魔を束ねた魔族の王である。
 相応の力もあれば、それに基づく矜恃もあるのだ。
 
 そして何よりも、今向けられた言葉により沸いた怒り、以前に。
 アンノウンに封印を解かれ、手先とされたことが、深く心に触れていた。
 
(# ФωФ)「あまり余を嘗めるなよ」
 
 両腕を持ち上げる。
 次々に印を組み替え、眼前に自身の体ほどの魔方陣が浮かび上がった。
 青の魔方陣は印と言霊が進むに連れ、輝きを増してゆく。
 
 尾が魔方陣に触れたと、同時。
 術式が、完成する。
 
ξ;゚听)ξ「ッ!?」
 
川;゚ -゚)「うおっ!」
 
 突如起きた地鳴りに驚き、彼女らは強く地を踏む。
 アンノウンの足が、尾が地に着いた時よりも強烈な揺れが起きた。
 それはまだ、続いている。
 
 ロマネスクが生み出した魔方陣から止めどなく溢れる、雪崩が、そうさせていた。
 
(# ФωФ)「全てを呑み込めッ! 魔界の雪よ!!」
 
 迫っていた尾を押し続け、大質量の雪群は尚も勢いは衰えない。
 当然だ。佇立する黒の獣ごと呑み込み、圧死させるつもりなのだから。

227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:28:59.44 ID:U+kYwyY7O
シェンムー

228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:29:27.78 ID:GieIzdBbO
>>224
ツンがターゲットにならなければ遊撃隊みたいな扱いなんじゃね?

229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:30:04.69 ID:Mfo/otBO0
インフレしてるな

230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:31:11.32 ID:9LMLTrpF0
しえん

231 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:31:39.17 ID:Twdb6DKR0
爪 ゚W〉《…………ほう》
 
 何かに、気付いた。
 その瞬間、アンノウンの視界は白に覆われる。
 魔雪の雪崩が、直撃した。
 
(;^ω^)「あ、あんなの使えたんかお……」
 
川;゚ -゚)「あーぶったまげた」
 
 ロマネスクと戦った二人の背に、冷たい汗が流れた。
 改めて魔王の力を思い知ったが、今はまだ、心強い味方だ。
 
ξ;゚听)ξ「す、すごい……」
 
(´・ω・`)「……」
 
( ФωФ)「……」
 
 戦いが終われば、ロマネスクがどうでるか、それは分からない。
 人間と対立し、魔族の世界を創る為に戦争をもたらせたことを、ブーンとクーは知っている。
 
 だが、まだ分からなくて、いいことだ。
 無駄なことは、考えなくていい。
 眼前の敵をどう倒すかだけを、考えなくてはならぬのだから。
 
爪 ゚W〉
 
 魔方陣が消えた後に、すぐ雪が消えた。
 周辺の瓦礫に傷痕だけを残し、しかしアンノウンには、傷を与えるに至らない。

232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:32:26.76 ID:cKDFZRp40
>>222
ウッチキリもか……
ごめんねアンノウン

233 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:34:01.81 ID:Twdb6DKR0
 
(´・ω・`)(やはり、聖剣の無効化能力を兼ね備えたと見て間違いない)
 
(´・ω・`)(だが────)
 
 壮絶たるロマネスクの魔術に、尚も無傷で立っている。
 それは聖剣の力を推し量れば、自ずと答えは出るであろう。
 しかしその中に在る物は、決して絶望ではない。
 
 ショボンに見えていたのは、間違いなく勝利への光明のみだ。
 
爪 ゚W〉《(……もしや、この男……)》
 
 アンノウンの視界の中心には、変わらずにロマネスクがいた。
 尾の一つで抹消すると、思っていた。できると思っていた。
 実際には軽く押し返し、剰え反撃に転じてみせたのだ。
 
 それらが与えた、違和感が。
 
爪 ゚W〉《(クク……面白い)》
 
 アンノウンを、動かした。
 
爪 ゚W〉《────……》
 
川 ゚ -゚)「む……?」
 
 彼女らに初めて見せる動きだ。
 アンノウンは如何なる力も初動を見せずに放ってきた。
 複雑に動作する手、指はクーが知る自世界の呪印に近い物だった。

234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:35:04.92 ID:zP1vpgvB0
ルージアルさんブレずにかっこいい

235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:35:25.40 ID:buNstU/x0
支援

236 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:37:06.18 ID:Twdb6DKR0
 
(#^ω^)「やらせるかお!」
 
 BlueMachingunを構え、挙動を阻止せんと銃器が咆哮を上げる。
 つい先程のロマネスクと同じ様な動きを警戒してのことだった。
 殺傷力は他に劣るが、SniperやBlueBulletGunよりも速射性に優れているそれを選んだ。
 
 青の散弾がアンノウンに向かい────……止まる。
 
(;^ω^)「チッ……」
 
 アンノウンが術式に集中している事で、届くかと思っていた。
 しかし、奇しくも悪い方向に予想通りの結果となる。
 あの雪崩ですら無傷だったのだ。こんな小さな散弾ではどうにもならないだろうと。
 
 けれどもそこで、疑問が浮上した。
 
( ^ω^)「……力が無効化……でも、アンノウンは力を使おうとしてるけど……」
 
(´・ω・`)「……」
 
 ショボンも、その違和を感じていた。
 もしかしたらそれが、アンノウン打倒への突破口になるかもしれない。
 と、彼が思考した時、破壊者の手が止まる。
 
爪 ゚W〉《見極めてやろう。千の時を超えた魔王よ》
 
( ФωФ)「ッ!!」
 

237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:37:15.33 ID:GieIzdBbO
支援

238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:39:47.71 ID:buNstU/x0
支援

239 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:40:10.52 ID:Twdb6DKR0
 
 声、同時。
 
 ロマネスクの足元に、黒い穴が突如として出現した。
 ブーン達を飲み込み、何処へかと相手を飛ばす力だ。
 
(;^ω^)「ロマネスク!」
 
(;ФωФ)「む……!」
 
 気配が生まれた時には、既に地を蹴っていた。
 だが、黒の波が即座にそれを追う。
 つま先に触れただけで、彼の体は急激に黒い穴へと引っ張られてしまう。
 
 彼らを呑み込んだ時よりも急激にロマネスクを引き込み、急速に穴が閉じてゆく。
 
爪 ゚W〉《貴様が資格ある者であるなら、這い上がれ。証明してみせろ》
 
 言い終えると、黒の穴は閉じ、消え去った。
 
(#^ω^)「ロマネスクをどこへ……!」
 
爪 ゚W〉《そんなことはどうでも良いだろう? 自身を憂慮したらどうだ?》
 
(´・ω・`)「…………」
 
 ロマネスクが呑み込まれた黒い穴は、四人を別空間へと転移させたものと同じだ。
 聖剣の次に、ショボンが危惧していた力だった。
 

240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:41:13.83 ID:GieIzdBbO
寝るぽ支援おやすみ

241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:41:56.11 ID:buNstU/x0
支援

242 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:42:28.70 ID:Twdb6DKR0
 
 アンノウンが窮地に陥った時、あの力を使えばいつでも退避する事が出来てしまう。
 逆にショボン達を、何処へと飛ばすことも出来るのだ。
 
(´・ω・`)(やはりあれを使われたら、どうにもならん……)
 
 土の中。遥か上空。海の底。
 単純にそれらへ飛ばされるだけで、どうしようもない。抗いようが無く、死に至る。
 如何に強力であろうとも、まだ物理的な攻撃の方が防ぎようがあるのだ。
 
(´・ω・`)(どうやら使用する時は、少しだが時間があるようだ。そこを突くしかないか)
 
 もしかしたら、室内など予め用意した空間へしか飛ばせないのかもしれない。
 ショボンはそう思ったが、不確定な期待をするものではないと、即座にそれを却下した。
 
(#^ω^)「お前は……なんでそんなに人の命を玩具みたいに……!」
 
(´・ω・`)「ブーン、落ち着け」
 
(#^ω^)「ッ! 落ち着けってアンタ、仮にも仲間が!」
 
(´・ω・`)「あの口調、恐らく俺達にしたことと同じだろう」
 
(´・ω・`)「どういうわけか知らんが、力を見る為にロマネスクは飛ばされた。そう見て間違いない」
 
(´・ω・`)「だから信じろ。簡単にやられるような奴でないことは、お前もよく分かっているはずだろう?」
 
(#^ω^)「…………」
 

243 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:45:31.94 ID:Twdb6DKR0
 
(´・ω・`)「冷静になれ。怒りで我を忘れていたら────」
 
(´・ω・`)「────勝てる戦も、勝てなくなるぞ」
 
( ^ω^)「!」
 
 そう強く言い放ったショボンの瞳に浮かぶ光を、ブーンは見た。
 確かに異形と化したアンノウンの力は、強力だ。
 力の片鱗を、否。片鱗すら、まだ見せていないのかもしれない。
 
 だが、諦めない。諦めていない。
 そう思える、確信できる、眩い光を。
 
ξ゚听)ξ「ブーンさん……ショボンさんの言う通り、落ち着いて」
 
ξ゚听)ξ「必ず、必ず勝つ為に。その為には、みんなの息を合わせないと」
 
 瞳にそれを宿すのは、果たしてショボンだけではない。
 
川 ゚ -゚)「ブーン、お前は直情的でイカン。そんなわけで、私の世界にある“定説”をお前に教えてやろう」
 
川 ゚ -゚)「最後に巨大化したボスは……必ず負けるのだ」
 
 ツンも、クーもそうだ。
 元より戦うしかない。この世界に来た時から、決めていたことだ。
 そして自身の世界でまた、戦わなくてはならないのだ。
 
 その先にある物は違う。
 平和であり、他の為であり、結末に描く絵は、個々により様々だ。

244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:46:58.81 ID:Mfo/otBO0
しえ

245 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:48:23.19 ID:Twdb6DKR0
 
 皆がそれを追い求め、戦っている。
 勝たなくてはならない。自身達の世界の為にも。
 
 半ば強引とも言える。仕組まれたとも、取れる。
 
(´・ω・`)「怒りを覚える事は、決して悪いことじゃない」
 
(´・ω・`)「燻らせるんだ。静かに、心の内に」
 
(´・ω・`)「そして最後に、燃え上がらせろ。力に換えろ。その時は、躊躇うな」
 
 それでも。
 
( ^ω^)「…………」
 
 それでも────
 
( ^ω^)「そう、だおね」
 
 今ここにいる者達は、仲間と呼び合える。信頼し合える。
 決して長い時を過ごしたわけではない。
 それでも、信じられる。力も、意思も、全てを。
 
 普通であれば有り得もしない事象。出会う事のなかったはずの、仲間達。
 
( ^ω^)(……不思議だお)
 
 受け入れている。いつの間にか、彼らを。
 それは間違いなく、ブーン以外の者達も、同じだ。

246 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:50:30.15 ID:Twdb6DKR0
 
 立ち塞がる、アンノウン。
 全ての元凶である、倒すべき敵。
 
( ^ω^)「……」
 
ξ゚听)ξ「……」
 
 その後方には、果てしなく広がる星空がある。
 自身達の世界にもある、無数の輝き達が、生きている。
 
(´・ω・`)「……」
 
川 ゚ -゚)「……」
 
 夜空だけを見上げれば、ここが別世界であることを忘れてしまいそうだ。
 けれども、その直下には変わらず、倒さねばならぬ敵がいる。
 景色とあまりに不釣り合いな、異形の姿がある。
 
 黒獣が、口を開けた。
 震える空気。鼓膜を突く振動。肌に刺す威圧。
 
 即ち、咆哮。
 
 押し退けるように、四人は決意に満ちた眼光を以て対抗する。
 
 負けない。負けられない。負けるわけには、いかない。
 
 認めるものは、勝利の二文字だけなのだから。
 

247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:50:41.92 ID:Mfo/otBO0
うむうむ!

248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:50:52.88 ID:hMpdiSpY0
しえ

249 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/22(水) 23:56:00.39 ID:Twdb6DKR0
 
 
 消えてしまった、この世界の住人に。
 
 
 応える、為に────
 
 
( ^ω^)
 
(´・ω・`)
 
ξ゚听)ξ
 
川 ゚ -゚)
 
 
 ────物語のページ達は、ここにいる。
 

 
                      【Cross part:Unknown⇒end】
 
                      【Next⇒Cross part:Pages】

250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:56:40.12 ID:hMpdiSpY0
乙!

251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:56:46.88 ID:+bhf4UrmO
ちえん

252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:58:37.43 ID:Mfo/otBO0
乙乙!

253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/22(水) 23:58:55.97 ID:nyBccp3R0


254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/23(木) 00:05:24.37 ID:j5n4UCGFP

燃える

255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/23(木) 00:05:54.45 ID:+bhf4UrmO
乙っす
次はいつなのかしら

256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/23(木) 00:07:14.23 ID:jg3zuSz60


257 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/23(木) 00:11:04.35 ID:prr/2uzL0
たくさんの支援ありがとうございました
次回、ラストパートは25日です
時間はちょっと考え中ですが、今日よりも早い時間だと思います

25日、26日と二日にわたり投下する予定です
残すところあと少しです、よろしくお願いします

何か質問あれば答えさせてください


258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/23(木) 00:13:19.64 ID:8bAHySwDO
乙!テンションが上がりすぎて眠れないんですがどうすれば眠れますか?

259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/23(木) 00:15:33.80 ID:3vgTvz/u0
もうラストか早いもんだな

260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/23(木) 00:17:00.59 ID:HcLkku4R0
あんのうんといっしょに
くりすますもたおしてください
おねがいします

32さい にーと

261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/23(木) 00:17:16.07 ID:M3/brtgoO
目玉焼きには何をかけて食べますか?

262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/23(木) 00:25:04.85 ID:jg3zuSz60
クリスマスにVIPなんていて彼女は怒りませんか?

263 名前: ◆iAiA/QCRIM :2010/12/23(木) 00:29:57.69 ID:prr/2uzL0
できればwwwwwwwwww作品の質問をwwwwwwwwwそこんとこwwwwwwww

264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/23(木) 00:39:07.88 ID:M3/brtgoO
質問する隙がねぇってことだよ言わせんな恥ずかしい


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