( ^ω^)ゴッドイーターのようです
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:32:50.24 ID:XNFafIcX0
- 某ゲームとは関係ありません
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:33:52.11 ID:ifpH524sO
- せうですか
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:34:12.42 ID:XNFafIcX0
- 「―――おにいちゃん」
鼻腔を擽る、甘く優しい、瑞々しい乙女にも似た薔薇の香り。
夕日に照らされて頬を染めた、咲き誇るピンク色の薔薇の花々。
手折った一輪を、豊かな薔薇色の髪に挿して少女が振り向く。
そのあどけない柔和な微笑みは、きっと老若男女、誰しも虜にするだろう。
「おにいちゃんの目の色って、お日様みたいに金色ね」
可愛らしい鈴のような声が心地よく響く。
どこまでも続く、薔薇畑の間を歩く少女の姿は、危なっかしく愛おしい。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:35:11.27 ID:XNFafIcX0
- 耳鳴り。
眩暈。
まどろむように緩慢に、しかし其れは唐突に訪れた。
茜色の空を強引に蝕んで夜の帳を下ろす、闇。
それが、どろりと触手を伸ばすように少女の首へと絡みつく。
細い腕を掴む。華奢な腰を飲み込む。
輝く星ぼしが囚われた、濃紺の夜空が彼女を覆い隠す。
悲鳴のように名を呼ぶ。叫ぶ。
少年は手を伸ばす。少女の伸ばす小さな手が、震える指先を爪で微かに引っ掻いた。
そして、完全に、夜に呑まれた。
(;゙゚'ω゚')「うわあああああああああ!! 」
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:37:09.04 ID:XNFafIcX0
- 堅いベッドの上。少年は酷い有様で薄い毛布を押し退け跳ね起きた。
筋肉質だが痩せた身体。汗でぐっしょり濡れて顔に張り付いた金髪。
日焼けした肌の上には、手入れもされていない無精ひげがそぞろに伸びている。
暗い灰色の眼の下には深い隈が刻まれ、実際の年齢よりもずっと老けて見えた。
( ^ω^)「……。くそっ」
忌々しげに拳でベッドの脇の壁を殴る。
ひなびた安宿の部屋はそれだけで軽く軋む。
次の瞬間、突如部屋の扉が乱暴に開け放たれる。
バンッ
「なるほど貴様かい、さっきから隣で五月蠅いのは」
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:37:59.36 ID:XNFafIcX0
- .@@@
@# _、_@
(# ノ`)
__〃` ^ 〈_
γ´⌒´-−ヾvーヽ⌒ヽ
/⌒ ィ `i´ ); `ヽ
/ ノ^ 、★__¥★_人 |
! ,,,ノ爻\_ _人 ノr;^ > )
( <_ \ヘ、,, __,+、__rノ/ /
ヽ_ \ )ゝ、__,+、_ア〃 / 「……いい度胸だ」
ヽ、___ ヽ.=┬─┬〈 ソ、
〈J .〉、| 母|, |ヽ-´
/"" | |: |
レ :|: 者| リ
/ ノ|__| |
| ,, ソ ヽ )
.,ゝ ) イ ヽ ノ
y `レl 〈´ リ
/ ノ | |
l / l;; |
〉 〈 〉 |
/ ::| (_ヽ \、
(。mnノ `ヽnm
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:38:55.19 ID:XNFafIcX0
- ( ^ω^)「……」
( ^ω^)「どうも初めまして、ブーンで」
『すおおおお落ち着いてえええええええええ』
( ^ω^)ゴッドイーターのようです!
第一章 『 La Belle au bois dormant 』
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:40:12.60 ID:XNFafIcX0
- 第一話 王様と墓荒らしの少年
( #)ω`)「やれやれだぜ」
一晩銅貨三枚という安宿で、隣の部屋の屈強なレディに失礼を働いてしまった所為で、
ブーンは身体中の痛みに耐えながら、半日街道を歩かねばならなかった。
魔物避けの仕掛けがされた外灯が立ち並ぶ道。外灯がある、というのはもう街が近い証拠だ。
頭から被った鼠色の襤褸衣をずらし、見渡せば程近くに白色の建物が並ぶ都が見えた。
広大な神秘の森に囲まれた都、ユッセ。それが彼の今回の目的地である。
湿地帯であるユッセ周辺は霧も出やすく、それ故に魔物も多い。
あまり他国との交流は芳しくなく、ミステリアスな都だが、
白亜の街並みは有数の美しさで訪れる者の心を奪う。
霧に紛れて森から侵入する魔物を防ぐための、街をぐるりと囲う巨大な外壁を壁伝いに歩く。
間もなく、蒼く輝く魔除け銀で縁取られた、城門と見紛う街の入り口にさしかかった。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:41:22.13 ID:bWq4CeWr0
- ,_,..,ィヽ,、 |
/;;::r‐〜-ミ、 | ウ ェ ル カ ム
4~/へi::::::;/,ヘミ7 | W E L C O M E !
'-l|<>|:::::|<フ1|i' ノ ( よ う こ そ )
l! '" |::::l、~`リ へ
/`ー、 ハー;";::i:::ヾイl! ,r'~`ヽ、 \
,.ィ" ri l i ト、 1:|`丶:;;;:イ' ill!7、 、 y; ヽ、_` ー―――――
,. -‐''" 、 くゝソノリ~i | - 、 , -‐'7ハ ヾニト- ~` ー- 、_
, ィ ´ ,ゝ、_ `r' l | 、レ // `テ三..ノく _ ` ヽ、
/ , -' ,、 `、_) l,i, i // (/ ...,,;;;;:` 、 ヽ
;' '" ノ ;;;;:::: i ! : // .....:::::;;イ、_、_\ _ _ノ
l ..,, __,ィ"-‐´ ̄`i::::: ゙゙゙= ...,,,,,. l | ,// - = ""::;; :/ ` '''' '"
ヾ :;;;,, ,i l,// ,,..," / _,,.....,_
,. -- .,_ \ :;,. ;' V ;! `; /;: ノ ,.ィ'"XXXXヽ
/XXX;iXXミ;:-,、 ヾ '" ''' /./! ヾ / ,. - '"XXXXXXXX;i!
,!XXXXi!XXXXX;`iー;,、 i 、. / ;:::゙i ;: , | ,. r'"XXXXXXi!XXXXXX:l!
|XXXXX;|XXXXX;|::::::::|`ヽ、 ,! ,': : :| ,.レ"::::|XXXXXXX|XXXXXXX;l!
!XXXXX;|XXXXX:|:::::::::i ` ;! : : i! / !:::::::::|XXXXXXX|!XXXXXXX|
XXXXXx|XXXXX;!:::::::::::! `. /:: | '" l:::::::::::|XXXXXXX|XXXXXXX |
XXXXXx!XXXXxリ:::::::::::! |:: | i:::::::::::ゞXXXXXツ1XXXXXXX|
XXXXX/ \XXソ::::::::::/ i!:: ノ i!::::::::::::ゞXX:/ lXXXXXXX|
XXXX:/ `ヾ::;;;;;:ツ ヾ;::: ; ノ ヾ:;;:::::::ゝ'" ヾXXXXX |
XXX/ `ヽ 、 _ゝく _,,. -`''" i!XXXXX:|
XXX7 `'''''''''''" `'''''''''''´ |XXXXX !
XXX| |XXXXX|
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:41:48.89 ID:XNFafIcX0
-
ブーンは首にぶらさげた真っ黒な五芒星のペンダントを衣の内側から取り出した。
訝しげに見遣る門番達の鼻先に吊るす。
と、途端に僅かに後ずさり、右手で行け、とゴーサインを出された。
三人組の門番は街へと入るブーンの後姿を、馬鹿にしたようにせせら笑った。
Ω「おい、見たか、今の……」
Ω「ああ、随分間抜けそうな面だな」
Ω「よせよ、呪われちまうぜ」
( ^ω^)(聞こえてるっつーの)
さらに酷い侮蔑の言葉まで後から聞こえてきたが、気にする風でもなく歩く。
彼の人間性が、聖人君子のように特別に出来ているとかではない。「慣れ」というやつだ。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:42:37.75 ID:Eg9NUsTAO
- ふむ
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:43:30.20 ID:XNFafIcX0
- 暗い巨大な門の下を潜りながら、ペンダントを仕舞いこむ。
門の先に見える眩い光を抜ける。
白亜の都ユッセの美しい光景が、目の前に広がった。
殆ど統一された、白の壁に青の屋根のコントラスト。丁寧に敷かれた白い石畳。
そして、一定区画ごとに備え付けられた、オブジェと見紛う廃棄物の集積所。
おそらく一日に何度も収集するのだろう。街にはゴミ一つ落ちていない。
ブーンは様々な集落や街を歩いてきたが、ここまで整備された都は数えるほどだ。
領主の人となりが窺い知れる。
だが、このユッセに観光で訪れる者は少ない。
先も述べたが、森に囲まれたユッセには霧に紛れて特有の魔物が多く出没する。
その危険性は、街を囲む巨大な防壁が物語っている。故にユッセは閉じられた都だ。
森から溢れる豊富な資源と、希少価値の高い白亜の石の工芸品、
そして素晴らしい力を誇る古来よりの魔除銀の輸出が、この都の経済を支えている。
( ^ω^)「なんという結界がいっぱい。クソ高い魔除銀のバーゲンセールみたいだお」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:43:39.97 ID:bjXx3c9v0
- ほお
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:44:38.42 ID:XNFafIcX0
- ( ^ω^)「お?」
不意に、行く手を塞がれた。
|::━◎┥「ゴッドイーター、ブーンだな?」
( ^ω^)「甲冑がしゃべったお」
ブーンを見下ろすプレートアーマー。
頭からつま先まで、全身を覆う銀の鎧の主。
|::━◎┥「……私はユッセの騎士、名はエンリコフだ」
( ^ω^)「よろすこ」
|::━◎┥「……ゴッドイーター、ブーンでいいんだな?」
( ^ω^)b「おいすー」
|::━◎┥「……いや、もういい」
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:45:53.67 ID:XNFafIcX0
- エンリコフと名乗った騎士は疑い深い様子で鎧を軋ませる。
高価な魔除銀製の全身鎧には腕と胸部に、領主家直属の紋章が描かれている。
名乗られずともブーンには、彼が今回の依頼者の関係に深いことは理解できたろう。
最も、彼はブーンを見て失望を禁じ得ないようだったが。
( ^ω^)「んじゃエンリコフさんとやら」
( ^ω^)「今着いたばかりでまだ宿をとってないから、少し待っててほしいお」
|::━◎┥「この街には、忌み人なんぞを泊めてくれる宿はない」
Σ( ^ω^)「なんという差別の徹底した街」
|::━◎┥「口を慎め」
男は素っ気なく言い捨ててから、問答無用でついて来いとばかりに武骨な甲冑の背を見せた。
甲冑の歩き出す音に続いて、ブーンは肩を竦ませて後ろを付いてゆく。
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:46:14.44 ID:Eg9NUsTAO
- 支援
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:46:54.91 ID:XNFafIcX0
- |::━◎┥「差別ではない、警戒だ。お前の宿は城で用意がある。」
|::━◎┥「……私もあまり忌み人に慣れていない。無礼は赦せ」
( ^ω^)「ま、慣れたもんだお」
目覚ましく進化しゆく剣と魔術の文明が広がり続けるこの世界。
今必要とされているのは強力な古代の叡智、そして歴史だ。
あらゆる国と機関が我先にそれを欲する。
なぜならそれは、このユッセの魔除銀のように、自国の軍事力、防衛力に直接繁栄されるからだ。
だが、国々は単なる対人戦争の為に力を欲するにとどまらない。
人間が脅かされているのは、この世界では人間だけではない。
人と共に広く分布する魔物達も近年、急速に進化しつつある。
それまで長く平和を保っていたにも関わらず、
魔物たちに食い潰された土地は、今や一つや二つではなくなった。
この世界に、「何か」が起きていることを告げる警鐘が、ここ百年間で鳴らされ始めた。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:47:41.38 ID:bjXx3c9v0
- 支援!
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:48:10.30 ID:XNFafIcX0
- そんな中、必要とされたのが歴史の裏側の仕入れ屋。
神の守る聖域を畏れることなく踏みしだき、幾数多の呪いをその身に受けようと怯まず、あるいは破壊し、
強大な力を持つ墓守を打ち倒すことに長けた者たち。
――――「墓荒らし」。
『ゴッドイーター』とは、ブーンだけを特定する呼称ではない。
ある特定の目的を持った者たちから依頼を請け負い、
古代遺跡や王墓など、多くは聖地、禁域と言われる地を暴く者たちのことを指す。
彼らはその職業柄、あらゆる人々に忌み嫌われる生活を送ることを余儀なくされる。
ゴッドイーター(神を喰らう者)。
彼らは神をも畏れぬ不埒者を差別する意を込めて、そう呼ばれるのだ。
ちなみに、『忌み人』は悪魔崇拝者や墓荒らし全般をそう呼ぶ蔑称で、
単に副葬品、コレクター目的やカニバリストのような、『グール』『グーラー』と呼ばれる者たちをも包括する。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:48:57.71 ID:uEjfIk4A0
- どん引きです
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:48:57.43 ID:Eg9NUsTAO
- ふむふむ
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:49:31.92 ID:XNFafIcX0
- ( ^ω^)「あれっ〜♪お城なんかちょっと小さめ〜〜♪」
中庭に面した回廊。先を案内する騎士の後をついて歩く。
都の中央に配置された、ユッセの領主の城。内装も庭も美しく、展示された調度品も数多い。
が、近隣の貴族廷とそう変わらぬ大きさだ。
世界一の魔除銀の輸出国の領主の城にしては、確かに少々規模が狭い。
|::━◎┥「口を慎めといった筈だが」
Σ( ^ω^)「鼻歌もかお」
|::━◎┥「問題は歌詞だ」
( *^ω^)「ブーンのはマグナム級だお」
|::━◎┥「まともに話は出来んのか貴様」
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:50:33.95 ID:bjXx3c9v0
- 支援
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:50:58.51 ID:XNFafIcX0
- それまで、大理石の床を重々しく叩いていた甲冑男の足音がとまる。
ブーンも数歩後ろでとどまり、男が振り返るのを眺めている。
ちょうど、謁見の間の扉の前にたどり着いたところだった。
( ^ω^)「結界のせいかお?」
騎士の肩が思わずびくりと震えた。兜の奥からその顔を凝視する。…間抜けな微笑み顔。
初めて会う者たちは大抵、ブーンのことを間抜けで鈍そうな男だと第一印象を抱く。
さらには、屈強で凶悪な忌み人のイメージからはかけ離れているが故に、
畏れられることは珍しい。殆ど、野良犬や鼠のように軽視される。
騎士もそれに漏れず、ブーンを侮っていた。
|::━◎┥「何を」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:52:20.40 ID:XNFafIcX0
- ( ^ω^)「巧妙に調度品でカモフラされてるけど、城の外、城の内部に2重の結界を張ってるお」
( ^ω^)「さらに外壁を含めたら、この城には3重の分厚い結界が張られていることになるお」
( ^ω^)「大規模結界の所為で、城は小さくせざるを得なかったんだおね」
|::━◎┥「城、ひいては国を守る対策の優先は当たり前のことだろう。何が言いたい」
( ^ω^)「……」
エンリコフは最早、その笑顔を間抜けとは思わなくなっていた。
だが別に印象が良い方に傾いたわけでもない。
危機的意識が、腰に吊り下げた剣の柄へと手を伸ばさせる。
( ^ω^)「ところでエンリコフ。なんで兜を脱がないんだお?」
|::━◎┥「……」
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:54:01.89 ID:XNFafIcX0
- 甲冑男は以前として表情を、銀の兜の中に仕舞い込んでいた。
城の中に入ってまで兜をとらないのは、騎士として忠義と礼節を欠いた行為だ。
紋章の入った魔除銀の甲冑を身に着けることを許されているところを見ると、
騎士への王の信頼は厚いのだろう。なおさら不自然さをぬぐえない。
緊迫した空気が流れる。
静寂。静寂。……静寂。
|::━◎┥「どこまで知らされている?」
( ^ω^)「刮目して見よ、さらば与えられん」
|::━◎┥「では。どこまで分かった?」
( ^ω^)「結界は実は城の内側に向かって掛けられてるお。
んで、あんたのエンリコフは偽名、おそらく」
( ^ω^)「ユッセ王はあんただお」
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:55:07.14 ID:XNFafIcX0
- |::━◎┥「……なるほど。ただの間抜けではないようだな」
|::━◎┥ノ 「扉を開けよ」
ギ、ィ、ィ、ィ、……
王の合図で、紋章の彫られた謁見の間の扉がゆっくりと開かれた。
―――――謁見の間―――――
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:55:08.97 ID:Eg9NUsTAO
- しえしえ
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:55:41.47 ID:QqCT2eZlO
- しえ
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:55:55.88 ID:bjXx3c9v0
- こういう世界観を待ってた支援
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:56:30.68 ID:XNFafIcX0
- 謁見の間、と呼ぶには随分仰々しい魔法陣がその床を覆い尽くしていた。
広間は円状に広がり、壁には強力な魔除銀が六ヶ所に配置されている。
硬質なクリスタルで出来たドーム状の天井は、鉄の枠組みが影を落とし、
丁度魔法陣と重なり2重の陣を形成している。
|::━◎┥「なぜ私が王だと分かった?」
広間の奥の王座に坐する、ユッセ王の、低く厳かな声が響く。
( ^ω^)「王が自分の城で兜を取らなくても、誰にも無礼にならないお。
おまけに、そのプレートアーマーはマクシミリアン式をさらに開発したユッセオリジナルの超高級魔除銀製。
一介の騎士が身に着けるには高すぎて手の出ない代物だお」
入口付近で扉を背に立つブーンの両脇には、衛兵が一名ずつ配置されている。
無論、二人とも兜はしていない。
その二人の兵に、王は手で払う仕草を見せる。
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:58:27.33 ID:XNFafIcX0
- |::━◎┥「……ブーンよ」
兵士が退場するのを見届けると、王は切り出した。
|::━◎┥「忌み人は信用ならない。
だが、今回は、実に鼻もちならない話だが、それに頼らざるを得ない」
|::━◎┥「間に入るものは出来るだけ少なく、顔を知るものはいない方がいい」
( ^ω^)「なるほど、それほどに隠したい、と」
|::━◎┥「そうだ。その秘密を託すお前を、この眼で試したかった」
厳かさを増す声の中に、僅かな怯えともとれる響きがあるのをブーンは感じた。
頬を掻きながらそらとぼけたように王へと声を投げかえす。
( ^ω^)「依頼が終わってもブーンを殺さないでくれお」
|::━◎┥「……」
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:59:19.73 ID:Eg9NUsTAO
- しえん
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/07(日) 23:59:45.44 ID:XNFafIcX0
- |::━◎┥「ハッハッハッハ! 安心したまえ。君たちを敵に回す程、私は馬鹿ではない」
( ^ω^)「……なら、いいお。お話を聞かせていただくお」
豪奢な椅子に坐した鎧の王は、指先まで覆う銀の手を擦り合せながら咳払いをした。
|::━◎┥「我が都が、広大な森に囲まれているのは知っているな」
( ^ω^)「その森から現れる、特殊な魔物から都を守る為に巨大な外壁を設けたと言われてるお」
|::━◎┥「そうだ。その通りだが、それだけではない。
お前が気付いたように、外壁、街の外灯、全てこの城の結界をより強力にする為の布陣だ。
そして結界はこの広間の丁度真下―――地下に最も強く作用している。」
|::━◎┥「この城の地下に、とある場所への転送装置が封印されているからだ」
( ^ω^)「とある場所?」
|::━◎┥「……我が都より北、最も古き森の奥深く眠る、呪われた遺跡だ」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:01:05.69 ID:GoXRo1Ng0
- ( ^ω^)ノ ピンポン♪
|::━◎┥σ「はい、ブーンさん」
m9( ^ω^)ビシッ「墓だお!」
|::━◎┥ブーッ「惜しい!」
( ;^ω^)「意外とノリの良いおっさんだな」
|::━◎┥「口を慎め」
|::━◎┥「正確に言うと墓ではない。その姿は巨大な古城だと聞く」
( ^ω^)「王様は見たことないのかお」
|::━◎┥「代々何人も立ち入ることは愚か、存在を口にすることも禁じられている」
( ^ω^)「……」
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:01:50.17 ID:GoXRo1Ng0
- ――――キナ臭い話だ。
ブーンは脳裏に過ぎった疑わしさを、間抜けな仮面に仕舞いこむ。
( ^ω^)「で、その遺跡で僕は何をすればいいんだお?」
|::━◎┥「無論、その遺跡の調査だ」
( ^ω^)「何故今更?」
間合いも入れぬブーンの問いに、王はピクリと一瞬眉を顰めた。
沈黙が答えを促す。
|::━◎┥「それは」
( ^ω^)< ぐうぅぅぅ
間抜けな音が謁見の間の重苦しい空気をぶち壊した。
|::━◎┥「……」
( *^ω^)「その前にちょっとお腹減っちゃったんですけど」
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:02:49.51 ID:GoXRo1Ng0
- 厨房では宮廷料理長の怒号が響いていた。
料理人たちが忙しく動き回り、次々に料理を作っては出す。
それを慌ただしげな足取りで、使用人が次々に運んでいく。
ブーンはちゃっかり、王城の食卓に案内されていた。
( ^ω^)「もしゃもしゃバクバク、ゴクゴクプハァ」
長方形の広いテーブルに所狭しと並べられた豪華な料理の群れ。
恐ろしいスピードで空になる皿の群れ。
( ^ω^)「モリモリゴックンムシャムシャアグアグ」
遠く向かいの関に坐す鎧の領主。
本来ならば優雅な王侯貴族たちの会食がなされる筈の素晴らしい食卓が、
たった一人の若い男に貪り尽くされるその様を眺めながら、
もう幾度目かの吐き気を口元に翳したハンカチで堪えていた。
|::━◎┥「その、食事中すまないが」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:03:24.33 ID:IZwdL3EFO
- 支援
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:03:57.76 ID:GoXRo1Ng0
- ( ^ω^)「モシャ?」
|::━◎┥「君たちは皆、そんなによく食べるのかね」
( ^ω^)「ひゃ、はんまひひらはいほ」
|::━◎┥「……」
|::━◎┥「は?」
( ^ω^)「ハフハフズルズル」
|::━◎┥「食うのかよ」
数十分後。
( ^ω^)「ゲェェェェエプ」
厨房の料理人、給仕たちがすっかり疲れ果てたころ、
漸く、少年の人並み外れて旺盛な食欲は満足したらしい。
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:05:00.76 ID:GoXRo1Ng0
- ( ^ω^)「ごちそうさまでした。お陰で久しぶりに腹いっぱいだお」
|::━◎┥「うっぷ、それは良かった。私は胸やけがする」
( ^ω^)「何にも食べてないのに?おかしな王様だお」
|::━◎┥「何十人前も目の前で平らげられたからな。10人前は食った気分だ」
食後の紅茶が二人の前に差し出される。
( ^ω^)「で、さっきの話の続きだお」
優雅にティーカップを持ちあげながら、ブーンが切り出した。
( ^ω^)「……他のゴッドイーターが食う量なんて知らn」
|::━◎┥「そっちかよ」
( ^ω^)「あれ?」
|::━◎┥「……」
( *^ω^)「フヒヒ、じょーくじょーく」
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:05:24.98 ID:IZwdL3EFO
- しえん
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:06:22.97 ID:GoXRo1Ng0
- ユッセの王が大仰な溜息を、甲冑の向こう側で吐き終わるのを待ってから、
ブーンは静かに仕切りなおした。
( ^ω^)「で、なんで今更、軽蔑するゴッドイーターを雇ってまで、調査する必要があるんだお?」
|::━◎┥「……魔物の進化が、今、我が国の周囲で起こっているからだ」
( ;^ω^)「!」
|::━◎┥「森の魔物が活気づき、街への脅威が大きくなりつつある。
実際に被害が増え、街道の外灯に設置した魔除銀も、何度か破壊された。
……永く王を務めるが、こんなことは初めてだ。
このままでは、いずれ貿易も出来なくなるだろう」
収入の大部分を輸出に頼るユッセにとって、それは致命的だ。
魔除銀がいくらあっても、物資のない貧弱な城は簡単に落とされる。
相手が、魔物でも人間でも、だ。
国家存続の為には、忌々しき事態と言っていい。
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:07:17.08 ID:qO1zcB/O0
- しえん
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:07:36.46 ID:Ovw1bPIY0
- しえんぬ
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:07:37.86 ID:GoXRo1Ng0
- |::━◎┥「遺跡のある北の森から、進化した魔物どもはやってくるらしい」
( ^ω^)「遺跡の呪いの所為で、魔物が進化したと?」
|::━◎┥「おそらく。何かが起きているのは確かだろう」
( ^ω^)「ふむ」
|::━◎┥「東の国は魔物によって滅びたという。私は我が国を、私の代で滅ぼすわけにはいかない」
王の怯えといら立ちが、鈍く甲冑を震わせて伝わる。
その感情を、腹の下に無理やり抑えこむように、長い息を吐く。
|::━◎┥「民を護るためだ。忌み人のお前に言ってもわかるまいが」
( ^ω^)「ブーンはゴッドイーターだお。約束の報酬さえ貰えば、依頼は果たすお」
|::━◎┥「……報奨金は金貨1000枚。
遺跡で見つけた物はなんなりと持って行け」
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:08:33.90 ID:GoXRo1Ng0
- ( ^ω^)「商談成立だお。我らが盟約により、」
( ^ω^)「叡智は須らく押収し尽くすべし。しかして事情は墓より深く冥府の底に持ち去らん」
ブーンが述べた口上は、ゴッドイーターが依頼を受理する際に必ず述べる。
それは依頼主の秘密を守る絶対の約束であり、
依頼主は遺跡の謎を全て彼らに託す契約をすることを意味する。
|::━◎┥「結構だ」
|::━◎┥「明日の朝発ってもらう。城の離れに用意した部屋に案内させよう」
( ^ω^)「ちッ、厩かよ」
|::━◎┥「口を慎めというのに。安心しろ、客室だ」
( ^ω^)「ひゃっほー」
ブーンがあらかたの話を終えて食卓を出た後。
王はすっかり冷めた紅茶を一口啜る。
|::━◎┥「神よ、許したまえ……」
兜の中から呻くように、小さく漏らした。
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:09:23.75 ID:t4XzvmHQO
- なんだ関係無いのか……
だが面白いから支援
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:09:33.31 ID:GoXRo1Ng0
- 以上第一話
以下第二話を投下します
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:09:40.29 ID:IZwdL3EFO
- しえーん
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:12:03.49 ID:GoXRo1Ng0
- どんなに美しい都でも、人が暮らすならば闇はある。
美しければ尚、影は濃い。
ユッセは実際、貧富の差の激しい都でもあった。
『工房区』と呼ばれるこの場所は、所謂貧民窟だ。
流れ者を蔑視する風習のある都で、唯一彼らを受け入れる吹き溜まり。
工房区と呼ばれるのは、過去、銀細工工房があったことに由来する。
――――なぁぁお。
打ち砕かれた民家の壁や、散乱する硝子の破片。
街灯も無い路地裏の闇に紛れて、一匹の黒猫が在る。
(゜д゜@「あらやだ。薄汚い猫だね、しっ、しっ!」
一人の年老いた娼婦が、通りがかりに彼を見つけた。
暗闇の中で、二つのお日様のような金色の眼だけが、ぱちぱちと瞬く。
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:13:00.03 ID:GoXRo1Ng0
- (゜д゜@「……あらやだ、お前、随分珍しくて、綺麗な眼をしてるじゃないかい?」
眼の下に深く刻まれた皺と隈が歪み、口端を上げて嗤う。
おぞましい考えが、孤独と貧しさに生きて来た老女の脳裏に浮かんだ。
(゜д゜@「ほうら、こっちにおいで、餌をあげるよ」
左手を差し出して、優しい声で猫を呼ぶ。
利き手はそっと懐の果物ナイフに触れさせた。
(゜д゜@「ひひひ、お前の眼玉は幾らで売れるかねぇ」
(゜д゜@「肉は食えるし、毛皮は小さくて使い物にならないけど」
(゜д゜@「さぁおいで、目玉を綺麗に繰り抜いて、急いで保存液に着けなくちゃあ」
優雅な歩みですり寄って来た黒猫の後首を、老女は瞬く間に掴んだ。
利き手に持ったナイフを振りあげて、猫の腹に突き立てる。
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:14:45.53 ID:IZwdL3EFO
- ふむ
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:15:40.54 ID:GoXRo1Ng0
- (゜д゜@「?」
ふと、娼婦は違和感に眉を顰めた。
肉を刺した感触がしない。それどころか、血の一滴すら出ていない。
その生き物は呻くこともせず、悲鳴もあげなかった。
訝しげにまじまじと見つめると、彼もその美しい黄金色の眼で老女を見ている。
眼が合った途端、女は全身を冷たいものが通り過ぎていくのを感じた。
黒猫は嗤っていた。
真っ赤な口を開けてげらげら嗤う。女は益々怯えた。
怯えきった表情を見て、猫がまた嗤う。
怖くなって刺した。何度も刺した。けれど何も感じない。猫は嗤い続ける。
女はもう気が狂いそうだった。けたたましい嗤い声が止まった。
女は息をのんだ。
真っ赤な大きな口を開けると、無数の白い牙が羅列していた。
猫は女を呑んだ。
「助けて、許して、たすけて、ゆるして」
繰り返す女を頭から呑み込んでいった。
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:17:05.01 ID:GoXRo1Ng0
- ( ФωФ)「婆は不味いのである」
舌舐めずりをしながら猫が言った。
青白い三日月が見下ろす、夜の貧民窟。
第一章 『 La Behlle au bois dormant 』
第二話 呪われた古城へ
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:18:03.68 ID:hNqsdFQK0
- こえぇ…支援
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:18:32.89 ID:GoXRo1Ng0
- *^ω^)「だ、だめだお!」
( *^ω^)「兄妹はそんなことしちゃ、あふん、おろろろろーん」
Σ( ^ω^)「はッ!?」
( ^ω^)「……知らない天井だ」
ブーンの為に用意された城の離れの客室。
久しぶりのふかふかのベッドで、何時になく素晴らしい夢を見た気がする。
愚息も元気だ。掛け布団を撥ね退けて、身体を起こす。
( ^ω^)「おはよう、マイ・サン」
脚の間の愚息に声をかける。
折角だから一発抜くことにした。
コンコン ガチャ
( ゚д゚ )「食事の用意が――――」
( ^ω^)「あ」
( ゚д゚ )「あ…」
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:19:42.59 ID:GoXRo1Ng0
- *^ω^)「だ、だめだお!」
( *^ω^)「兄妹はそんなことしちゃ、あふん、おろろろろーん」
Σ( ^ω^)「はッ!?」
( ^ω^)「……知らない天井だ」
ブーンの為に用意された城の離れの客室。
久しぶりのふかふかのベッドで、何時になく素晴らしい夢を見た気がする。
愚息も元気だ。掛け布団を撥ね退けて、身体を起こす。
( ^ω^)「おはよう、マイ・サン」
脚の間の愚息に声をかける。
折角だから一発抜くことにした。
コンコン ガチャ
( ゚д゚ )「食事の用意が――――」
( ^ω^)「あ」
( ゚д゚ )「あ…」
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:20:34.90 ID:GoXRo1Ng0
- ( ゚д゚ )
( ゚д゚ ) <プッ
Σ( ^ω^) ↓シュゥゥゥン
( ゚д゚ ) 「食事の用意ができやがりました」
( ;^ω^)「今行くから早く閉めろ」
( ゚д゚ ) 「いや、あの、それとさ…」
( ゚д゚ )
( ゚д゚ ) <プッ
( #^ω^)「早く閉めろお!! 」
気持ちのいい朝は台無しになったようだ。仕方なく着替えて移動する。
今朝は怒りで食欲が旺盛になっていたのか、軽く20人前は平らげた。
|::━◎┥「朝でもそんなに食べるのか」
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:20:43.62 ID:ot22UfPW0
- 時を巻き戻した…人間じゃあない能力
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:20:52.69 ID:IZwdL3EFO
- ( ゚д゚ )
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:21:17.29 ID:GoXRo1Ng0
- 王はすでに食事を終えていた。
が、矢張り胸やけが抑えられないのか、口元にシルクを宛がっている。
( ^ω^)「別に、もともと大食いなわけではないお」
最後のパンケーキを口に放り込んでから、王に答える。
ブーンの手にしたカップにミルクが注がれる。
|::━◎┥「ほう?とても元小食には見えないが」
( ^ω^)「食事を出してもらって感謝してるお」
ブーンはそれ以上、話すつもりはなかった。
ミルクを一気に呑みほして言った。
( ^ω^)「さて、地下に案内してもらうお」
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:21:20.87 ID:hNqsdFQK0
- 支援
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:22:31.61 ID:GoXRo1Ng0
- あ、すみません、コピペミスしました。改めて失礼します。
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:23:50.58 ID:GoXRo1Ng0
- ――――謁見の間――――
円状の床を覆い尽くす魔法陣。
ドーム状のクリスタル天井から落ちる梁の影が、
さらなる複雑な文様を魔法陣に描き出す、およそ謁見の間らしからぬ空間。
( ^ω^)「……やはり、この真下かお」
|::━◎┥「その通りだ。おい、ミルナを呼べ」
( ゚д゚ ) 「もうここに控えております」
気配も感じさせず、広間の奥に青年は立っていた。
ユッセの紋章の入った銀の留め具でマントを留め、
腰には短剣と長剣をクロスさせ下げている。
そして、肩に一匹の黒猫を乗せていた。
ブーンはその姿を見るや、眉間にあからさまな皺を寄せる。
|::━◎┥「居たか。これは私の腹心の騎士、ミルナだ。
案内役として、同行してもらうぞ」
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:24:28.51 ID:IZwdL3EFO
- しえしえ
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:25:01.80 ID:GoXRo1Ng0
- ( ゚д゚ ) 「おっと、今朝は失礼したな」
騎士が歩み寄ると、黒猫が肩からするりと降りてブーンの足元へ向かう。
( ^ω^)「……ロマ」
( ゚д゚ ) 「その猫、やっぱお前の猫だったか。
朝からお前の部屋の扉を引っ掻き続けてたぞ」
( ^ω^)「それを言いかけてたのかお」
黒猫は慣れたように、ブーンの肩へひと飛びに乗った。
( ФωФ)「なぁーお」
|::━◎┥「……その猫も連れていくつもりかね?」
( ^ω^)「気にすんな」
少年の肩の上で毛づくろいをする猫を、王は呆れたように見る。
|::━◎┥「まあいいだろう。ではミルナよ、地下への扉を開け」
( ゚д゚ ) 「御意」
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:26:09.03 ID:GoXRo1Ng0
- ミルナは言うなり、ブーンと王に魔法陣の外側へ下がるように促す。
己は魔法陣の中心部、五芒星の上に立った。
( ^ω^)「彼が扉を開くのかお」
|::━◎┥「彼でなければこの結界は開けられん」
彼でなければ開けられない?
表情にこそ出さぬものの、いくつかの疑問符が脳裏をよぎる。
ミルナは騎士だと言う。果たして騎士がこんな大がかりな魔術を使うものか?
未だにブーンは他に術師らしきものに会っていない。
宮廷魔術師が聖地や禁域の管理に当たることはあっても、
騎士が直接管理するなど、聞いたことがない。
( ゚д゚ ) 「リヒト イル グラン」
五芒星の中で片膝立ちになり、刀剣を胸の前に翳して抜き放つ。
外側の円陣が淡く青色の光を帯びる。
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:26:33.69 ID:IZwdL3EFO
- 支援
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:27:29.50 ID:GoXRo1Ng0
- ( ゚д゚ ) 「古えよりの盟約に従い 汝が斧 ミルナ・リヒトが扉を叩く」
立ちあがり、刀剣を天井に翳す。
内側の文字が生きたように中央へ向かって光を帯びてゆく。
その光は中央の五芒星を介してミルナの身体を登り、剣先に収束する。
( ゚д゚ ) 「答えよ!!!! 」
持ち手を変えて一気に振り下ろされる光の剣。
甲高い音がして五芒星の中央に突き立てられた瞬間、
一斉に魔法陣から術式が光の雨となって立ち上る。
( ^ω^)(……これは……)
ブーンがミルナの一言一句を脳裏で反芻する。
その肩で、猫は欠伸をした。
|::━◎┥「……」
王はブーンの様子を眺め、兜の奥で眼を細めている。
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:28:30.68 ID:GoXRo1Ng0
- 地中で何かが蠢くような、地響きに近い音。
魔法陣が、ミルナの居る五芒星のみを残して、落ちてゆく。
地下へと続く、巨大な螺旋階段が姿を現した。
( ;^ω^)「思ってたより全然大がかりじゃーん」
一歩踏み出て、螺旋階段を覗き込む。
深く闇の底に続くかのようだ。
( ゚д゚ ) 「俺も最初みた時はそりゃあびっくr」
|::━◎┥「!、ミルナ」
ミルナが王に呼ばれて、ほんの僅かの間、動揺を顔に出した。
が、ブーンはその仕掛けに夢中で降りてゆく。
( ^ω^)「おほー!すごいおー!」
( ^ω^)「早く降りるおー!暗いお!怖いおー!フヒヒ」
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:29:25.34 ID:GoXRo1Ng0
- ( ゚д゚ ) 「……はしゃいでやがる」
|::━◎┥「……流石とでもいうべきか」
ハッとしたように、ミルナがおそるおそる後に続く。
( ゚д゚ ) 「お、おいマテ!何か仕掛けがあったらどうすんだ!」
( ^ω^)「んなもんないお」
(;゚д゚ ) 「なんでそんなのお前に分かるんだよ!」
( ^ω^)「てか本当にお前もくんの?」
( ゚д゚ ) 「あ、当たり前だろ!転送装置も動かせるのは俺なんだぞ!!11」
( ^ω^)「ビビってたくせにー」
( ФωФ)「なーうー。」
遠ざかってゆく二人(と一匹)を見下ろしながら、王は憂いに満ちた溜息を洩らす。
|::━◎┥「……」
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:29:39.83 ID:IZwdL3EFO
- しえん
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:31:35.13 ID:hNqsdFQK0
- 支援
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:32:39.47 ID:GoXRo1Ng0
-
( ゚д゚ ) 「……おい」
( ^ω^)「何だお?」
かびのような香りのする、真っ暗な階段を下りる足音が続く。
ブーンは慣れたようにどんどんと進んでいく。
( ゚д゚ ) 「お前、こんな暗闇で、見えてるのか?」
疑問。
灯りも無い、得体のしれない階段を。
ブーンは鼻歌すら歌いそうな様子で降りていく。
( ^ω^)「そこらへんをよく見るお」
( ゚д゚ ) 「ん?」
石壁、階段。ミルナは眼を凝らして眺める。
本当に僅かだが、ぼんやりとその輪郭が見えてきた。
( ゚д゚ ) 「……あれ?」
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:34:02.82 ID:IZwdL3EFO
- しえ
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:34:42.42 ID:GoXRo1Ng0
- ( ^ω^)「光苔だお。燃料も魔力も必要としない、天然の灯りが繁殖してるお」
( ゚д゚ ) 「お前、よくこんな頼りない光気付いたな」
( ^ω^)「暗闇に眼が慣れないと気付かないお」
あやすように言われて、ミルナはバツが悪そうに唇を尖らせた。
それもそうだ。自分よりも年下の少年に諭されているのだから、バツが悪い。
しばし沈黙。石段を降りる足音が続く。
( ゚д゚ ) 「うおッ!?」
( ^ω^)「どうしたお?」
突然奇声を上げたミルナに、ブーンが振り向く。
(;゚д゚ ) 「い、いま、足に何か……」
( ^ω^)「……」
ブーンが歩み寄って、ミルナの足元からひょいと黒く蠢く何かを摘みあげる。
- 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:35:50.23 ID:IZwdL3EFO
- 支援
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:36:05.62 ID:GoXRo1Ng0
- (;゚д゚ ) 「お、おい!だいじょう……」
( ^ω^)「……甲虫だお」
( ゚д゚ ) 「甲虫?」
( *^ω^)「ゴキたん」
( ゚д゚ )
( ^ω^)
( ^ω^)<プッ
( ФωФ)<プッ
Σ(#゚д゚ )
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:37:11.22 ID:GoXRo1Ng0
- ( #゚д゚ ) 「猫! お前、その猫も笑ったろ! 今!!!!11」
( ^ω^)「猫に話は通じないお。恥ずかしいはくちだお」
( #゚д゚ ) 「猫ともども覚悟してろよ」
再び足音が暫し続く。
( ゚д゚ ) 「……なぁ」
( ^ω^)「今度は何だお」
( ゚д゚ ) 「この階段まだ続くの?」
( ^ω^)「おまwww仮にもお前が案内役だろうがwwww」
( ゚д゚ ) 「だってもう間に耐えられないんだけど」
( ^ω^)「知るかおwwww」
- 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:38:00.19 ID:GoXRo1Ng0
- ( ゚д゚ ) 「……大体さー、何でお前ゴッドイーターとかやってんの?差別されね?」
( ^ω^)「何だお、暇潰しかお」
( ゚д゚ ) 「うんまぁそうなんだけど」
( #^ω^)「自重すれ」
( ゚д゚ ) 「いいじゃねーか、減るもんじゃなし」
屈託ない騎士の様子に、肩を竦めて零す。
( ^ω^)「……取り戻す為だお」
( ゚д゚ ) 「何を?」
( ^ω^)「大切なものだお」
( ゚д゚ ) 「だから何を?」
( #^ω^)「教える義理はないお!」
- 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:39:15.79 ID:GoXRo1Ng0
- ブーンは、あまり年の近い同性に慣れていない。
無遠慮に聞いてくるミルナに、多少の苛立ちを隠せず、突っぱねた。
ミルナは眼を瞬いて、へぇ、と声に出して横に並ぶ。
どうやら逆に好奇心を誘ってしまったようだ。
ナァナァ、教えろよ >( ゚д゚ ) ( ;^ω^)。○( メンドクサ )
( ゚д゚ ) 「おk、恋人だな!?」
( ;^ω^)「ち、違うお!」
( ゚д゚ ) 「おっ、ムキになる所があっやすぃー」
( ;^ω^)「い、妹だお」
案内役の同行は、墓や遺跡の調査の重要度に応じて珍しくない。
が、こんなに絡んでくるタイプは初めてだ。
実際、普通仕事相手のプライベートに踏み込むことは先ずしないのがマナーだ。
一つか二つは年上の筈のこの青年が、ブーンには随分幼く見える。
(;゚д゚ ) 「お前のいもうとぉ!?かわいくな・・・」
- 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:39:47.28 ID:IZwdL3EFO
- しえん
- 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:40:36.74 ID:GoXRo1Ng0
-
ブゥ*^ω^)ン < お兄ちゃん。.:*:・'゜
\_________________/
ο
゚ ポワァン
( ゚д゚ )
(*゚д゚ ) 「いこともない」
( ;^ω^) ゾクゥッ!?
そこから更に数十数分後――――
( ^ω^)「どうやら着いたようだお」
( ゚д゚ ) 「うおっ、まぶしッ」
- 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:41:03.80 ID:ot22UfPW0
- パァニ
パァニ
- 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:41:58.48 ID:GoXRo1Ng0
- アーチ状の出口から光苔の群生地が開ける。
腰までの高さの細長い土台の上に、円盤状の装置が乗っているが、
殆ど使われた形跡の無い其れは、ヒカリゴケに覆われてしまっていた。
( ^ω^)「どうやら本当に誰も通ったことがないらしいお」
円盤を調べながら、独り呟く。
( ゚д゚ ) 「たりめーだ、禁域だからな」
( ^ω^)「呪いの所為で?」
( ゚д゚ ) 「……」
あんなに饒舌だったというのに、途端に押し黙った。
この青年は、あの王の腹心の騎士と言う割に、王のような強かさは持ち合わせていないようだ。
何か、まだ隠しているのだろうが、口止めされていることがバレバレだ。
ミルナはどうにも、腹心の騎士というには違和感が拭えなかった。
嘘がなく純粋だというだけで、務まる稼業ではないことを、年下ながらにブーンはよく知っている。
- 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:42:33.47 ID:H7nfqpo70
- しえん
- 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:44:55.04 ID:GoXRo1Ng0
- ^ω^)「まぁいいお、百聞は一見にしかずだお」
( ゚д゚ ) 「……転送装置を動かすぞ」
ミルナが円盤の上の苔を払い落とす。
( ゚д゚ ) 「えっと、……あった、これか」
( ゚д゚ ) 「リヒト イル グラン」
円盤に手を翳して、呪を唱えた。
( ゚д゚ ) 「……」
( ^ω^)「……」
( ゚д゚ ) 「あれ?」
円盤は沈黙したまま、何らかの作用が起きた様子もない。
ミルナは小首を傾げて円盤の下を覗いたり、自分の手のひらを振ったりしている。
無論、それでどうにかなるとも思えないが。
- 88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:46:15.67 ID:GoXRo1Ng0
- ( ^ω^)「何にも起こらないお」
( ゚д゚ ) 「っかしーなー、円盤に右手を着いて、呪文を唱えて……」
( ^ω^)「何か忘れてないかお?」
( ゚д゚ ) 「王様に聞いた手順は間違ってねー筈なんだが」
( ФωФ)「血の証を立てろ、愚か者め」
( ゚д゚)「あ、そっか、指を切って手を着くんだったわりーわりーわすれt……」
( ゚д゚) <愚か者め?
(__つ
< ̄ ̄ ̄ ̄ ̄>
 ̄|| ̄
( ゚д゚ )
(__つ
< ̄ ̄ ̄ ̄ ̄>
 ̄|| ̄
- 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:46:43.27 ID:IZwdL3EFO
- しえんた
- 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:47:30.88 ID:GoXRo1Ng0
- ( ;^ω^)「こっちみんなwwww早くやれ愚か者め」
( ゚д゚ ) 「へ? 今のお前?」
( ;^ω^)「そうだ愚か者め、いいから早くやれお愚か者めwwww」
( #^ω^)(クソ猫がぶち殺すお!!!!11)
( ФωФ)「なぁーお」
ミルナは訝しげながらも、掌に短剣で切り傷をつける。
( ゚д゚ ) 「リヒト イル グラン …!」
今度こそ、円盤に手を翳して、呪を唱えた!
ヒカリゴケとは比べ物にならない眩い光が、石室を覆う。
二人と一匹の姿は、光の中に呑みこまれていった。
( ^ω^)「シュゥゥゥウウウンwwwwww」
- 91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:49:09.72 ID:GoXRo1Ng0
- 息を吸うと、空気の匂いが変わった。
カビくさい湿った香りから、森の、木々の香りがする。
そして、瘴気が漂っているのを肌で感じ取る。
二人と一匹は、漸く眼を開けた。
( ^ω^)「……これはすごいお」
( ゚д゚ ) 「で、でけぇ……!」
青空の下、巨大な白亜の城が、眼前に聳え立っていた。
城の規模はユッセ城の敷地二つ分を納めてまだ余るだろう。
深い森に囲まれた小高い丘の上に立ち、遠くユッセの都を見下ろしている。
幾つもの様式が取り入れられた優雅な姿は、芸術にも等しい。
( ゚д゚ ) 「ユッセ城があんなに小さく見えるぜ」
( ^ω^)「直進距離にしておよそ2日分はあるお」
( ゚д゚ ) 「うへー、そんなのを一瞬で来ちまったわけか」
( ^ω^)「さらに進化した魔物が徘徊していれば、森を抜けるのは不可能に近いお」
- 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:50:22.06 ID:3BQJxQm80
- しえーーん
- 93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:50:59.97 ID:IZwdL3EFO
- ほほう
- 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:51:37.19 ID:GoXRo1Ng0
- ( ゚д゚ ) 「……」
( ^ω^)「だからもちろん帰りも頼むお」
( ゚д゚)
( #^ω^)「おいこっちみろ」
(;゚д゚ ) 「落ち着け、冗談だ。ちゃんと城の中に帰りの転送装置があるはずだ」
( ^ω^)「まあどっちにしろ、王の言うとおり城の呪いが原因なら、城の中に進化した魔物がいる可能性もあるお」
(;゚д゚ ) 「mjd」
( ^ω^)「ぶっちゃけ、そんなに楽観出来ない状況だから」
( ゚д゚ ) 「お前の顔が緊張感無くしてるわけか」
( #^ω^)「黙れ小僧」
( ФωФ)「なぁう」
( ゚д゚ )ジー 「……」
( ;^ω^)「ちゃっちゃと城に入って調査して帰るお!!!!!1111」
- 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:53:28.86 ID:IZwdL3EFO
- 支援
- 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:53:40.80 ID:GoXRo1Ng0
- 二人と一匹は塀を超え、堀を超える。
直ぐに広い庭園に出た。その庭は素晴らしかった。
色とりどりの薔薇が丁寧に植えられ、白亜の城のある景観がさらに映えるよう計算されていた。
枝先の一本まで整えられた緑のアーチを潜りながら、噴水の横を通り過ぎる。
(;゚д゚ ) 「綺麗だな……」
呆気にとられているミルナを離れて、ブーンが噴水の傍へ寄る。
( ^ω^)「水が、震えてるお」
噴水から噴き出す水、地に落ちる筈の水飛沫。
だが、まるで一枚の写真のように宙に留まっているまま、ぶるぶると震えている。
( ^ω^)「ミルナ、この城はいつからあるんだお?」
(;゚д゚ ) 「ユッセの都がある前から建ってたって話だから、千年近くある筈だぜ?」
( ^ω^)「……恐らく呪いが掛けられた時の、当時のまんまなんだお」
( ゚д゚ ) 「誰にも見てもらえないのにな。…なんだか空しいな」
- 97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:56:00.02 ID:IZwdL3EFO
- しえん
- 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:57:23.32 ID:GoXRo1Ng0
- そして、とうとう居館へと繋がる、大きな構えの野外階段の前に出た。
ブーンが再び立ち止まり、頭上、居館への豪奢な大扉に向かって伸びる幅広い階段を見上げる。
( ^ω^)「やっぱり、おかしいお」
( ゚д゚ ) 「だから何が?」
( ^ω^)「ブーン達は正門から入って、居館の前まで一気に来たお」
( ゚д゚ ) 「おう」
( ^ω^)「瘴気が薄いお」
( ゚д゚ ) 「だから?」
( ^ω^)「魔物も全然いないし」
( ゚д゚ ) 「で?」
( ^ω^)「ミルナ、都を襲った進化した魔物を見たお?」
- 99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 00:59:17.72 ID:GoXRo1Ng0
- ( ゚д゚ ) 「・・・。ああ。街灯を襲った奴か?」
( ^ω^)「どんな姿をしてるんだお?」
( ゚д゚ ) 「俺はその時非番だったからな。ただ、霧のようなものを纏っていたとしか…」
( ^ω^)「ふむ…もし本当にそうなら、昼間は出ないのかお」
だが霧の魔物となれば厄介だ。物理攻撃が利かない可能性もある。
ブーンは己の中の釈然としない疑念を抱えたまま、
昼のうちに調査を急ぐにこしたことはないと、彼らは先を急ぐことする。
居館に入ると、先ず巨大な大広間に出た。
ブーンはランタンに火を灯す。城の内部は昼間でも薄暗い。
宮廷らしき広間には、この城の持ち主の権力が窺い知れる、高価な丁度品が並ぶ。
( ゚д゚ ) 「なんだか、豪華なものを見れば見るほど空しくなるぜ」
( ^ω^)「…もう少し奥に進んで見るお」
( ゚д゚ ) 「あ、おい……」
( д ) 「 ・・・・。」
- 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:01:11.11 ID:GoXRo1Ng0
- 居館を抜けて、主塔へと向かう。
主塔とは、本来その城の中で最も堅牢に造られる、防衛上の目的で作られる搭だ。
それがあるということは、この城は城攻めにも耐えうるよう、元々城砦として造られたものだったのだろう。
( ФωФ)「ふむ。元々城砦であったものが、後々に宮廷として造りかえられたようであるな」
( ;^ω^)「げッ、お前さっきから不用意に喋りすぎだお」
( ФωФ)「あの小僧はもう追ってきていないのである」
黒猫は耳の裏を後ろ脚で掻きながら、静かな壮年の声で答えた。
ブーンは元来た道を振り返る。確かにミルナは居ない。
( ;^ω^)「しまったお……」
( ФωФ)「不用意なのはお前である」
ミルナが居なければ、帰ることが出来ない。
- 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:01:58.91 ID:IZwdL3EFO
- しえ
- 102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:02:15.22 ID:GoXRo1Ng0
- 此処は兎に角主塔に昇り、上から騎士を探すことにした。
カンテラを腰に引っかけ、主塔への入り口である梯子を登る。
( ^ω^)「どう思うお?」
肩にしがみ付く黒猫に、ブーンは問いかけた。
( ФωФ)「瘴気は薄いが、呪いが掛けられていた形跡はある。噴水の水に気付いたな?」
( ^ω^)「震えていたお。呪いが解け始めているお」
( ФωФ)「時を止める類の呪いである。この城丸ごと掛けられていたようである」
( ^ω^)「時間軸に関係した呪いが、魔物の生態系に影響を及ぼしたのかお?」
( ФωФ)「あり得なくなくなくはない」
( ^ω^)「む、何だおその言い方」
- 103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:03:50.52 ID:GoXRo1Ng0
- ( ФωФ)「そういう特異な現象が起きた場合、もっと強い痕を残すものである」
( ^ω^)「……進化した魔物はいないと?」
( ФωФ)「少なくともここにはな」
( ^ω^)「益々キナ臭くなってきたお」
( ФωФ)「そもそも、こんな大それた呪いが人の手で千年も掛け続けられたのが驚きである」
( ФωФ)「これは相当の人間の人生を犠牲にしているぞ」
( *ФωФ)「ジュルリ」
( ^ω^)「えげつない野郎だお、涎仕舞えお」
( *ФωФ)「時にあの小僧は実に美味そうなのである」
( ^ω^)「…ミルナが?」
- 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:05:16.03 ID:GoXRo1Ng0
- ( ФωФ)「―――! 搭から人と呪の気配がするのである」
黒猫がフーッ、と毛を逆立てる。
梯子を登り切ると共に勢いよく外壁を蹴って、
男一人漸く入れる程度の入り口に身体を滑り込ませた。
( ;^ω^)「うぇ、呪いの中枢はここだったようだお」
噎ぶような呪気に、全身に鳥肌が立つ。
腰から外したランタンを、暗闇に翳して様子を窺う。
短い階段が上に続いていて、その先に木の扉が見えた。
( ФωФ)「これももう残骸であるな」
解けかけた呪いだ、と黒猫は呟いて、ブーンの肩から降りた。
( ФωФ)「中の奴喰っていいか?」
( ^ω^)「だめだお」
- 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:05:26.32 ID:07nVCFsU0
- タイトルに釣られて開いたのに気がついたらここまで読んでいたでござる
- 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:05:35.17 ID:IZwdL3EFO
- 支援
- 107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:07:08.43 ID:GoXRo1Ng0
- 黒猫の前を制して、階段を上る。
ドアノブに手を掛ける。が開かない。しかし鍵穴も見当たらない。
( ^ω^)「む、ここにも呪がかけられてるのかお」
( ФωФ)「ふむ、面倒だな。小僧の言葉でも使ってみたらどうだ?」
( ^ω^)「リヒト イル グラン―――っていぎゃっ!?」
唱えた途端、風船が弾け飛ぶような音がして、ブーンの掌に傷が着いた。
ドアノブが、ぱたぱたと滴る血で濡れる。
ガチャ
(; ^ω^)「い、痛いお、でも空いたお……」
( ФωФ)「血の確認なくて良かったな」
木の扉を開け放った先に、思いもよらない光景が飛び込んできた。
- 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:09:35.31 ID:GoXRo1Ng0
- 赤子をあやすようなオルゴールの音。桃色の魔法灯の光。
並んだクマやウサギの縫い包みたち。
可愛らしい内装の女の子の部屋。
( ;^ω^)「な、なんだおこれ!?」
呆気にとられていると、奥の窓辺にベッドがあるのに気付いた。
揺れる天蓋のシフォンの向こう、寝息を立てる人の気配がする。
( ;^ω^)「人食い王女でも閉じ込めてたのかお」
( ФωФ)「だったら喰っていいだろう、吾輩wktk」
おそるおそる近寄って、そっと天蓋をあげる。
( ^ω^)
( ФωФ)「?」
( ФωФ)「どうしたのである?」
- 109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:11:03.54 ID:GoXRo1Ng0
-
( ゚ω゚)「……デレ」
あの毎晩のように悪夢で見る、少女の姿がそこにあった。
ブーンの頭の中で、鈴のような声が木霊する。
『―――――おにいちゃん』
第三話へと続く
- 110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:11:41.23 ID:B48bHeZ7O
- 支援
- 111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:14:46.14 ID:GoXRo1Ng0
- 暖かい支援が私のオカズです。
ちょっとお風呂に入ってご飯を食べたら、第三話投下したいと思います。
- 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:15:38.15 ID:Ovw1bPIY0
- ほしゅー
- 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:15:57.62 ID:IZwdL3EFO
- 保守
- 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:16:16.60 ID:GoXRo1Ng0
- あ、あと、タイトル紛らわしくてすみません。
すみません、いってきます、すみません。
- 115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:18:09.08 ID:hNqsdFQK0
- こんな絶倫作者がいるスレにこれ以上付き合っていられるか!
俺はもう寝るほ!
- 116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:34:22.83 ID:JqxELe8VO
- おもすれー
- 117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 01:39:55.28 ID:w/0fRIjc0
- いいんじゃなーい
- 118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:07:00.48 ID:JqxELe8VO
- ∧_∧
( ・∀・) ドキドキ
( ∪ ∪
と__)__)
- 119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:09:41.52 ID:GoXRo1Ng0
- >>9には、僕の小さな味玉がぎゅってなりました。
保守ありがとうございます。少し投下速度が下がりますが、
よろしければ第三話、投下いたします。
- 120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:13:27.09 ID:IZwdL3EFO
- ほいほい
- 121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:14:53.48 ID:JqxELe8VO
- ∧_∧
( ・∀・ )
( ∪ ∪
と__)__)
- 122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:17:58.48 ID:GoXRo1Ng0
- ( д ) 『リヒト イル グラン …!』
言霊は悠久の時を越えても、尚その力を発揮した。
例えそれを行使する者の声がどれだけ暗く淀んでいようと、古く交わされた盟約は決して違うことはない。
苔の頼りない光が淡く照らすほの暗い冷たい石の広間に、魔力が嬉々と溢れ出す。
( д ) 『我は汝が斧 永劫の忠誠を誓いし 主の眠りを守護する守人なり』
円盤の上に翳した手が、逡巡する。
少し震えながら、確かめるように手のひらを眺めた。一指し指に、小さな切り傷がまだ新しい。
- 123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:18:26.62 ID:AC2btk030
- なかなかのお手前で
起きたら読みますがんばってちょ という支援
- 124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:19:32.13 ID:GoXRo1Ng0
- ( д ) ブチィッ!
人差し指の傷の上から一息に噛み切る。躊躇いは憤りに変わる。
一つ、息をすると、身体の震えが静まった。滴り落ちて鮮血が円盤を濡らす。
いくら迷っても、彼に後戻りする道などない。
彼にしては冷静すぎる、怜悧な声が、最後の言葉を唱えた。
( д ) 『血の盟約に答え その務めの終わりを告げる』
円盤から、一斉に青白い光の筋が噴き出し、石の床の魔法陣を描き出す。
魔力がさざ波のようなうねりを持って、幾重にも広がり始めた。
( ゚д゚ ) 「……悪いな」
誰にともなく、青年は呻く様に呟く。
巨大な古城が、悲鳴を上げ始めた――――。
- 125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:21:03.24 ID:IZwdL3EFO
- ふむふむ
- 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:21:05.18 ID:GoXRo1Ng0
-
( ^ω^)ゴッドイーターのようです!
第一章 『 La Belle au bois dormant 』
第三話 眠り姫の目覚め
- 127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:23:03.18 ID:Mws9WVn3O
- タイトルに惹かれてきました
- 128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:23:07.01 ID:GoXRo1Ng0
- ( ^ω^)「――――デレ……」
ξ‐凵])ξ …
そこに横たわる乙女は、見れば見るほど、夢の中の少女に似ていた。
ブーンのよく知る、たった一人の肉親である、妹に。
( ФωФ)「む、この娘の時はまだ止まっているのである」
( ;^ω^)「ど、どうしてデレが此処に、これはどういうことだお」
( ;^ω^)「何かの罠かお?いくらなんでもおかしいお、大体、300年も眠ってるはずが……」
( ФωФ)「何をごちゃごちゃ言ってるのである、もう喰っていいか?」
( #^ω^)「さっきから喰う喰ううっせー、このブタネコ!」
(#ФωФ)「口の利き方に気を着けるのである!この下等な溝鼠め!」
ヽ( #^ω^)ノ「なんだとー!」
- 129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:24:40.11 ID:GoXRo1Ng0
- Σ(;゙゚'ω゚')ノノ <グキッ「おお!?」
( ФωФ)「あ、コケた」
( ^ω)听)ξ ちゅっ★
ξ゚听)ξ パチリ
ξ゚听)ξ「……」
( ;^ω^)「……うわッ、酷い安易な展開」
我ながら作者もそう思った。
- 130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:25:12.88 ID:sf23Q52GO
- 某ゲームで書こうかなと思っていたらまさかまさか支援
- 131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:25:36.82 ID:GoXRo1Ng0
- ξ゚听)ξ おうじさま?
ξ゚听)ξ またこれは幾度目かの夢なのかしら
ξ゚听)ξ えいえんとも思われた眠りの時
ξ゚听)ξ おうじさまが現れて
ξ゚听)ξ この私を悪夢からお救い下さる夢
ξ゚听)ξ ろうそくの火のように吹き消せば
ξ゚听)ξ すぐに消えてしまう夢なのかしら
( ^ω^)「!」
( ;ω;)ブワッ
( つ;ω;)つ 「デレ!おにーちゃんだよおおおおおおおお!」
ξ゚听)ξ「縦読み」
( つ;ω;)つ「へ?」
ξ#゚听)ξ「私のファーストキスを返せこのキモオタ野郎おおおおおおおお!!」
Σ( ゙゚ω゚)「ごふッ!?」
- 132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:25:40.44 ID:IZwdL3EFO
- し
- 133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:27:36.73 ID:GoXRo1Ng0
- 細く白いツンの脚がドレスの裾から肌蹴る。
次の瞬間ブーンの鳩尾にクリーンヒットした。
激痛と共に彼は確信した。人違いだ。こんな乱暴な女は断じてデレじゃない。
デレはこんなコミカルなクマのパンツとか履かない。
ξ#゚听)ξ「ちッ、胸糞悪い目覚めだぜ」
ナイトドレスの裾を直しながら、お姫様は忌々しげに毒づいた。
( #)ω`)「うう、デレ、デレ……」
ξ゚听)ξ「デレって誰よ? 私はツン。ツン・ヴィップ・デレ・テラワロス。
この城の王、ユッセ王の娘よ」
( ФωФ)(む、この娘……)
( ^ω^)「……テラワロス、って、随分昔に滅びた王族の名だお」
ξ゚听)ξ「滅びた?何を言ってるの?テラワロスは正統なユッセの継承者。
大陸を最も多く統べる国の王族よ?そんな簡単に滅びるわけ……」
( ^ω^)「千年ほど前に滅びてるお」
- 134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:29:56.68 ID:GoXRo1Ng0
- ξ゚听)ξ「は?」
( ^ω^)「我々の歴史では、テラワロスは約千年も前に滅びた伝説の名だお」
ξ;゚听)ξ「でん…せつ?何を言ってるの?」
( ^ω^)「ユッセの王だとされる記述もないし、ユッセの都は今もユッセ王が治めてるお」
ξ;゚听)ξ「だから!ユッセ王は私のお父様よ!
この城の主、ユッセ・ヴィップ・ド・テラワロス!」
( ;^ω^)「と、言われましても…」
ξ#゚听)ξ「もういいわ!兎に角、王女の寝室に無断で入ったこと、
お父様に言いつけてやるから!」
( ;^ω^)「え、ちょ、起きぬけでそんなあーた」
- 135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:31:21.22 ID:GoXRo1Ng0
- 言うが早いか、お姫様は寝巻のまま、つかつかと勇み足で扉を出て行く。
ブーン達が入って来た搭の入り口ににまで辿り着いたところで、悲鳴が聞こえて来た。
( ;^ω^)「言わんこっちゃないお」
猫をひょいと肩に乗せてブーンが後を追う。
小さな入り口の前に、姫は茫然と立っていた。
ξ゚听)ξ「なに…」
ξ )ξ「そん…な…」
ぐにゃりと揺らめいて倒れるツンを、ブーンが後から抱き抱える。
余りのショックに気を失ってしまったようだ。
( ^ω^)「!」
- 136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:31:53.53 ID:IZwdL3EFO
- しえ
- 137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:46:25.68 ID:Mws9WVn3O
- うむ面白い
- 138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 02:46:33.57 ID:IZwdL3EFO
- さるかな
- 139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:08:05.83 ID:SbemlTM9O
- ネタ被ったと思ったら違った件
ただ読んでて自分のSSの出来が酷すぎて消したったwwwwwwww
- 140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:15:12.42 ID:GoXRo1Ng0
-
「ウキキキ! ウキキキギャッ!!!」
ダンッ ! ダンッ !
「ウキキ!キギャッ!ギャアッ!」
荒廃したスレに溢れる阿鼻叫喚、立ち込める火薬の匂い。
そして獣の臭いを撒き散らして、そいつらは、猛威を振るった。
( ;^ω^)「おいッ!弾が足りんおッ!」
( ;゚Д゚)「ふっざくんな!!11 まだこいつら一発目だぞッ!?」
( ;^ω^)「なんというさる、これが、これが本当に人間の作り出したものなのか・・・」
―――――――Bye×Bye Monkey ッッ!!
- 141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:16:13.39 ID:GoXRo1Ng0
- >>139
楽しみに待ってます
すみませんでした、では投下します
- 142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:17:52.22 ID:IZwdL3EFO
- さるよけ
- 143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:18:46.69 ID:GoXRo1Ng0
- ツン王女を抱きかかえたブーンが其処から見たもの。
広がりゆく廃墟の様相。
あの美しい城が、浸食されるように、みるみる荒廃した廃墟と化してゆく。
( ;^ω^)「これは…何が起きてるんだお?」
( ФωФ)「ふむ、どうやら小僧に一杯喰わされたようである。ここは危険であるぞ」
( ;^ω^)「ミルナを探すお!」
気絶したツンを抱えたまま、梯子を転げ落ちるように降りてゆく。
床に足が着いた瞬間に梯子が腐食して崩れ落ちた。
( ;^ω^)「くそ、ミルナ―ッ!どこだお!」
不意に、傍を歩いていた黒猫が耳をそばだてる。
- 144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:19:45.29 ID:IZwdL3EFO
- しえん
- 145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:20:48.86 ID:GoXRo1Ng0
- ( ФωФ)「地下か」
( ;^ω^)「何?」
( ФωФ)「地下に、あの小僧のと同じ魔力の反応が」
( ;^ω^)「まじかよッッッ!!!!1111」
黒猫に案内しろと叫ぶや走り出す。急がなければならなかった。
ミルナがもしも一人で転送してしまえば、もうブーン達に帰る手立てはない。
しかも、この城の急速に朽ちてゆく様子は、ただごとではない。
迷路のような巨城だったが、ブーンは一度通った道は全て覚えていた。
空間把握はこの稼業の基本中の基本だ。
(;;^ω^)「ハァッ……ハァッ…!」
娘一人を抱え、下へ下へと階段を走り抜ける。
広い敷地が、曲がり角が、とてつもなくもどかしいが、最早息継ぎさえ構っている場合ではない。
身が小さく機敏で小回りの利く猫のその後を、必死に追う。
( ФωФ)ピン ! 「その扉の奥である」
(;゙゚'ω゚')「だらっしゃああああああああッ!」
- 146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:21:41.20 ID:IZwdL3EFO
- しえしえ
- 147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:24:16.76 ID:XGqj5lly0
- 頑張るなしえ
- 148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:27:02.55 ID:GoXRo1Ng0
- その勢いのまま扉に身体ごとスライディングして破壊し、滑り込んだ。
儀式用に造られた広間には、青白い光が―――魔力が、充満している。
(;゙゚'ω゚')「ハッ……ゼイゼイ…ハァッ、み、ミルナッ!」
( ゚д゚ ) 「……よぉ」
青白く光りを発する魔法陣の中央……ユッセ城の地下にもあった円盤の傍らに、
騎士の格好をした青年が立っていた。
( ゚д゚ )「来ちまったか…ご丁寧にそいつを連れて」
ミルナはブーンが抱えている少女を見るなり、双眸を見開いて強張らせた。
唇を噛む様子は、ひどくバツが悪そうだ。
ブーンはずり落ちそうなツンを抱えなおしながら、上がる息を押さえつけて青年を詰問する。
- 149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:27:56.62 ID:IZwdL3EFO
- し
- 150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:29:22.87 ID:GoXRo1Ng0
- ( ;^ω^)「ハァッ…ハァッ…ミルナ……何を、してるお?」
( ゚д゚ ) 「何って…、俺の使命を全うしてるんだよ」
電撃のように、パリパリと、ミルナが手を翳した円盤から稲妻が飛んでいる。
明らかに、前回の転送とは違う様相を呈していた。
( ゚д゚ ) 「俺は、この城を永遠に葬り去る為に来たんだ」
( ;^ω^)「最初から、そうする気だったお……」
( ゚д゚ ) 「そうだ」
( ゚д゚ ) 「そいつに、今更生きて城を出られたら困るんだ」
( ^ω^)「ユッセの正統な王位継承者だからかお」
(#゚д゚ ) 「現王以外に、ユッセに王はいないッ!」
ミルナの怒声が石室に響き渡る。
- 151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:34:16.95 ID:IZwdL3EFO
- え
- 152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:35:20.35 ID:nyb+M1d60
- んッ
- 153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:36:43.39 ID:GoXRo1Ng0
- ( ゚д゚ ) 「あんなに民の為に尽くす王以外に…!どこに王が居るというんだ!!」
( ゚д゚ ) 「あの美しい都を見たろ?あれを作りあげたのは誰だ?」
( ゚д゚ ) 「民を想い、国を想い、政治をしてきたのは誰だよ?」
( ゚д゚ ) 「千年、いや、たった一秒だって…そいつが都に何をしてやれた?」
( ゚д゚ ) 「血だけが…たかが血だけが王の血だってだけじゃねぇかッ!」
頭の上で轟音が鳴り響き始めた。パラパラと瓦礫が降り注いでくる。
千年の間、ただ眠り続け、守り続けられた古城が、悲鳴をあげている。
滅びの魔力の力は既に噴水を枯らし、庭園を死の庭にした。その波は次々に訪れ、
次々に美しき古城を蝕み続けている。
ξ‐凵])ξ「……」
- 154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:37:45.67 ID:IZwdL3EFO
- む?
- 155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:43:06.95 ID:GoXRo1Ng0
- ( ^ω^)「……」
(;゚д゚ )「関係ないッ!」
ブーンの視線を振り解くように拳で空気を切り裂く。
担がれるままの乙女を睨み抜き、脅すような声色で語りかけた。
( ゚д゚ ) 「その女を其処に置いて来い。別にお前まで殺そうとは思わん」
( ゚д゚ ) 「お前には王家の事情を秘匿する盟約があるしな」
( ^ω^)「そうだお」
ミルナの声色に臆することなく、静かに息を吐いて、墓荒らしは青年を見据えた。
( ^ω^)「そして、『叡智は余すことなく押収する』、義務があるお」
( ゚д゚ ) 「……何?」
- 156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:45:11.49 ID:GoXRo1Ng0
- ( ^ω^)「このツン・ヴィップ・デレ・テラワロスは、滅びたテラワロス王家の生き残り。
三百年の時を超えた、最早生きた歴史と叡智だお」
(; ゚д゚ ) 「馬鹿なことを! 人間を押収するってのか!」
( ^ω^)「盟約に従うお・・・!」
( ゚д゚ ) 「くッ、それだけは出来んッ!」
崩壊の音が轟く中、ミルナが勢いよく剣を抜く。
青白い光を反射して、ブーンの抱えた姫に向かって振り下ろされた。
( ;^ω^)「ミルナ!もう時間がないお!脱出するお!」
ターンして横に身を翻す。剣戟が冷たい風と共に鼻先とすれ違う。
( ゚д゚ ) 「五月蠅い! その女だけは…出すわけにいかねーんだッ! 例え俺が死んでもなッ!!」
間髪入れずに繰りだす横薙ぎ。計ったように身を低く屈めて避ける。
ツンの金色の髪がひとふさ、宙を舞う。
- 157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:46:44.39 ID:Ovw1bPIY0
- 眠くなってきた
最後の支援
- 158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:47:03.80 ID:IZwdL3EFO
- 支援
- 159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:48:02.44 ID:GoXRo1Ng0
- ( ゚д゚ ) 「くそ! ちょこまかと!」
( ;^ω^)「やめるお! この子だって被害者だお、殺していいわけないお!」
( ゚д゚ ) 「そいつが居なけりゃ全部丸く収まるんだよ!」
( ;^ω^)「そんなの単なる人殺しだお!!」
(#゚д゚ ) 「黙れ黙れェェッ!!お前に何が分かるッ!」
赤ん坊大の瓦礫が真横に落ちてくるのを避けた先に、剣先が突っ込んでくる。
女とはいえ一人を背負いながら避け切ることは不可能と見るや、ツンを庇う形で肩を向けた。
(;゙゚ω゚)「ぐッ!」
肩に剣先が突き刺さる。真っ赤な液体が柄へと伝い降りてゆく。
(;゚д゚ ) 「お前・・・なんでそこまで・・!?」
( ; ω )「あ、」
- 160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 03:51:10.99 ID:IZwdL3EFO
- しえん
- 161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 04:05:58.14 ID:bZuYswvm0
- なにさるったの?
- 162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 04:11:17.79 ID:IZwdL3EFO
- 寝る支援
- 163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 04:11:25.70 ID:GoXRo1Ng0
- そのスレは既に焼け野が原と化していた。
ぼろぼろになった教会の跡地。屋根もなければ顔もないマリア像の傍らで、祈る乙女は最早最期の一人だ。
川 ゚ -゚)「奴らの前に、成す術は、・・・・ないというのかッ!神よッ!」
三話はもう1レスで終わりだというのにッ!俺はッ!さるり続けてもッ!投下するのをッ!やめないッ!
本当にすみません。
- 164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 04:15:46.06 ID:Z+OlDCxpO
- さるよけ
- 165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 04:15:49.55 ID:GoXRo1Ng0
- ( ;^ω^)「・・・主を手に掛けるとは墓守失格だおッッ!!」
(;゙゚д゚ ) 「―――なッ!?貴様何故それを」
一瞬のその隙を突いて、屈んだ体制から二人分の体重を乗せて間合いに踏み込む。
( д ) 「ぐッ!?」
鳩尾に重い蹴りを喰らい、ミルナは床に崩れ落ちた。
( ;^ω^)「やっぱりかお……」
姫を抱えなおして、意識を手放したミルナを引き摺り、円盤の前に立つ。
がらがらと崩れ落ちる音が、もう留まることはない。地下の揺れは酷くなっていくばかりだ。
( ФωФ)「くくく。どうするんだ?その小僧が起きないと機動出来んぞ」
- 166 名前:1レスは無理でした・・・:2010/11/08(月) 04:16:36.51 ID:GoXRo1Ng0
- やたら嬉しそうに、酷く粘着質な声色で、黒猫が話しかけて来た。
( ФωФ)「最も、起きても機動してくれないだろうなー、ひひ」
気味の悪い笑いを、抑えきれないといった様子で赤い口をだらしなく広げる。
ブーンの足元に纏わりつき、垂れる血の匂いに舌舐めずりをした。
( ^ω^)「……ロマネスク」
名を呼ばれると、三日月のように金色の瞳を細めて、踊るように落ちて来た瓦礫を避ける。
( ФωФ)「なんだ?いひひ。吾輩の力を借りたいのか?脆弱な人間よ。ふっふふふ」
( ^ω^)「胸糞悪い猫野郎だお」
ブーンは、黒猫に向かって一歩を踏み出した――――
第四話に続く
- 167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 04:16:55.89 ID:Z+OlDCxpO
- もいっちょオラァ!
- 168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 04:20:30.66 ID:GoXRo1Ng0
- うわあああああああああああああありがとうございましたああああああ
以上で3話は終了です。次回は
^ω^)ゴッドイーターのようです!
第一章 『 La Belle au bois dormant 』
第四話 墓守の一族
をお送りする予定です。
- 169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 04:27:01.16 ID:YVzKZTIEO
- 面白い。絶対完結させてくれ。乙。
- 170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 04:30:30.81 ID:Z+OlDCxpO
- いつ頃かな?楽しみにしてる
- 171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 04:31:55.26 ID:GoXRo1Ng0
- 第一章は5話までで、起きたらまた投下します。
皆さんの暖かい言葉をオカズにして今日は寝ます。
長くお付き合いいただきありがとうございました。
- 172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 05:27:17.91 ID:nyb+M1d60
- 乙乙! 続きがきになるんだぜ
- 173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 06:09:58.82 ID:xRkp8dqHO
- 支援
- 174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 07:38:09.90 ID:t4XzvmHQO
- 紫煙
- 175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 09:12:56.23 ID:Mws9WVn3O
- 残ってた
- 176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 09:17:48.52 ID:mFc40GnfO
- 続きが気になる支援
- 177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 11:10:08.33 ID:Mws9WVn3O
- ほし
- 178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 12:16:10.13 ID:Mws9WVn3O
- ★
- 179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 12:16:45.54 ID:IZwdL3EFO
- 後2レスだったか、もう少しがんばるんだった保守
- 180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 13:51:47.60 ID:SbemlTM9O
- 続きが気になる
- 181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 13:55:09.11 ID:l339DKUUO
- ほし
- 182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 15:14:25.60 ID:Q12FqJJ80
- はやく起きろ
- 183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 16:10:28.92 ID:Mws9WVn3O
- まだ来てないのか
- 184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 16:24:11.79 ID:GoXRo1Ng0
- おはようございます。
あまり時間がないので恐縮ですが、第四話投下します。
途中までになったらすみません。
- 185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 16:25:03.61 ID:Q12FqJJ80
- どんびきです
- 186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 16:26:39.55 ID:GoXRo1Ng0
-
――――――約千年前。
古代テラワロス文明が栄えていたとされる時代。
がしかし、その時代の全容は以前として明らかではない。
千年の間に起きた大災厄により、殆どの記述がされた重要な歴史書や文献は、葬り去られたとされる。
故に、事実と伝説はしばしば混同され、テラワロスを納めていた王族の存在を疑う学者の声もある。
事実、その王族の居城は見つかっておらず、何処に王族の拠点があったかも定かでない。
伝承によれば彼らは大災厄を予見し、今も世界の果てでひっそりと息づいており、
混沌の時代が訪れた時、再び現れるという。よくある救世主伝説の主軸となっている。
- 187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 16:27:37.72 ID:GoXRo1Ng0
- 悠久の時を眠り続けた古城は、主の目覚めの時とともに瓦解してゆく。
美しい装飾や芸術品で埋め尽くされる宮廷の天井が崩れ落ちて、青空が覗き込む。
貴重な財宝の全てが、灰色の瓦礫の下に埋もれてゆく。
最も堅牢に作られた主塔は、根元から大きな皹が幾重にも入り、土煙をあげて沈下しゆく。
眠り続ける王女を見守り続けた縫いぐるみたちにも終焉の波は訪れた。
その古城の断末魔は森を超えて轟き、大規模な崩落は地を揺るがしてユッセへと届く。
ユッセ城の搭から見張りの兵が望遠レンズ越しに、遠く森の向こうに見えるものに目を疑った。
- 188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 16:32:45.95 ID:GoXRo1Ng0
- 「なんだアレは……」
禁域の森の向こう。濛々と空へ立ち上る粉塵にまぎれて、城の姿は捉えられない。
森からは鳥たちが一斉に飛び立ち、悲鳴をあげて怯えている。
望遠レンズを通さずとも、最早肉眼で確認できた。
「北の森で何が起きたんだ」
若き見張りは、言い知れぬ不安を抱いてしばし呆然と立ち尽くしその光景を凝視した。
誰かに知らせなければならない、と、彼が己の任務に気づいて、大声をあげる。
「お、おい――――!」
その光景からなかなか目が離せないまま。
- 189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 16:33:34.45 ID:GoXRo1Ng0
-
王室の出窓の前に佇んで、地の震えを感じ、王も見張りが見ているのと同じ光景を眺めていた。
|::━◎┥「・・・・・」
俯き、震える両手を眺める。
大罪を犯した罪人のように、王は震え続ける。
┏━┓
.┃ ┃ ┃┃
┃ ┃
.┃ ┗━┓ ┏━━┓ ┏━┓
┃ ┏━┛ ┗━━┛ ┃ ┃
┃ ┃ ┃ ┃
┗━┛ ┏━┛ ┃ ┏┓
┗━━━ ┃┃ ┃┃
┃┃
.┛
城が揺れた。
- 190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 16:41:42.94 ID:GoXRo1Ng0
- |::━◎┥「な…!」
雷が落ちたにしては雲ひとつない。
突然の地鳴りによろけた身体を、家具に支えられる。
思いもしなかった自分の城での異変に、動揺を隠し切れず漏らす。
|::━◎┥「な、何だ、これは…」
回廊の向こうから、慌しく走る足音が近づくなり、許しの文句もなく王室の扉が勢いよく開かれた。
( ;∵)「きッ、緊急に申し上げますッ!」
兵士は酷く狼狽した様子で、息をするのも忘れたように王を確認するなり叫ぶ。
( ;∵)「謁見の間にッ!」
|::━◎┥「・・・!!」
言葉の端を捉えるや否や、王が駆け出す。
( ;∵)「へッ、陛下ッ!?」
兵を押し退け、謁見の間へと走る。思いがけない王の反応に、兵士は驚愕に見開いた目で王の後ろ姿を追う。
- 191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 16:43:03.97 ID:GoXRo1Ng0
- |::━◎┥「ええい、邪魔だッ! 道を開けよッ!」
( ;∴)「い、いけませんッ!陛下ッ!危険でございますッ!」
扉の前に群がる兵士達に止められ、怒声を飛ばした。
|::━◎┥「――――!」
謁見の間から濛々と立ち起こる、瘴気混じりの土煙。
上空のクリスタル天井は梁ごと無残に破壊され、魔法陣の床は抉られていた。
その、中央から、人影がふらりと揺れた。
|::━◎┥「……みる、」
兵たちが警戒と畏れと、驚愕に眼を見張る。
王がその人影に声をかけようとしたその時。兵たちが慌ててそれを制そうとした刹那。
影は土煙から、ゆっくりと、歩幅を確かめるように進み出た。
- 192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 16:50:57.51 ID:GoXRo1Ng0
- その光景に、誰もが息をするのを忘れた一瞬があった。
戸惑いと驚愕の視線の中。
身体中に酷い傷を負った満身創痍の少年が、二人の人間を引き摺って歩いてくる。
ゆっくりと、酷くブレた動線で、酷く緩慢に。
そして漸く、膝から折れて倒れ込んだ。
最も早く己を取り戻したのは、誰あろうユッセの王だった。
|::━◎┥「私を置いて全員、この場を退け」
( ;∵)「はッ!?いや、しかし…」
|::━◎┥「案ずるな。皆も騒がせたな。どうかこれは今少し私に預けてくれ」
( ;∴)「へ、陛下…?」
有無を言わせぬ厳かな口調に、兵たちは益々困惑を見せる。
だが、その中にある一種懇願にも似た響きに、兵士たちはそれ以上の言葉を紡げず、
その指示を仰ぐことにとどまった。
- 193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 16:56:01.26 ID:GoXRo1Ng0
- |::━◎┥「手当の用意を。扉は閉めておけ。医師が着いたら知らせろ」
( ∵)( ∴)『は、ハッ!』
重き余韻を持って扉が閉じられた。
王は倒れ込んだ者を見下ろす。
|::━◎┥「意識はあるか」
( ´ω )「・・・・・」
見下ろされるまま、答えが返ってきた。
( ´ω )「何とかお」
|::━◎┥「・・・そうか」
ブーンの抱えた二人にも、息のある様子を確認すると、王はついに安堵のため息をこぼす。
騎士にも、少女にも、外傷はうかがえなかった。
|::━◎┥「医療師を呼んだ。それまでに、報告は出来るか?」
( ´ω )「まぁ、少しならいいお」
- 194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 17:01:10.42 ID:GoXRo1Ng0
- |::━◎┥「・・・二度目の問いになるが」
|::━◎┥「どこまで分かった?」
( ´ω )「進化した魔物の話は嘘だったお」
( ´ω )「進化した魔物は愚か、そんな形跡もどこにもなかったお」
|::━◎┥「・・・・」
沈黙。やはり、王はそれを知っていたようだ。
答えがないのにも構わず、ブーンは続けた。それまでの口調とは一変して、
強く、非難するように、ユッセの王に向かい臆面もなく、
( ´ω )「それと、あんたが、利己的で」
( ´ω )「最低のッ」
( ´ω )「クソ親父だッ・・・ってことは、分かったお」
叱り飛ばした。
|::━◎┥「……。」
|::━◎┥「なぜ、私がミルナの父親だと、分かった」
- 195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 17:04:28.11 ID:GoXRo1Ng0
- ああああああ!
すみません、仕事にいってきます。
また夜まで残ってたら、4話、5話を投下したいと思います。
- 196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 17:08:56.60 ID:UAejBD2D0
- wktkしてまってるからな!
- 197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 17:11:02.60 ID:9TFeE6Ee0
- wktk
- 198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 17:41:02.37 ID:ot22UfPW0
-
- 199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 18:31:33.43 ID:ZbFDPyvbO
- ほし
- 200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 18:59:50.16 ID:IZwdL3EFO
- ほいほい
- 201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 19:57:01.09 ID:IZwdL3EFO
- ほほ
- 202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 20:23:40.60 ID:ot22UfPW0
- おめぇは一人でよく頑張ったよ…
- 203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 20:54:12.89 ID:u5UpAyXkO
- よろしい、ならば支援だ
- 204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 21:02:23.96 ID:IZwdL3EFO
- あげ
- 205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 21:20:28.29 ID:3BQJxQm80
- しえん
- 206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 21:23:51.25 ID:t4XzvmHQO
- 今日も今日とて支援
- 207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 21:26:20.42 ID:Urm9Y2vQO
- 支援
- 208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 22:11:46.20 ID:6LeoBPnk0
- wkwktktk
- 209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 22:24:58.98 ID:IZwdL3EFO
- 今日も同じくらいからかな
- 210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 22:27:55.90 ID:qO1zcB/O0
- 支援
- 211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:17:44.66 ID:IZwdL3EFO
- 眠げ
- 212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:18:51.82 ID:3BQJxQm80
- 私怨
- 213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:34:26.99 ID:jeMYIS2A0
- 残ってた・・・!
支援&保守ありがとうございます。
ID変わってますが僕だよ母さん投下します
- 214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:36:30.31 ID:Q12FqJJ80
- どんびきです
- 215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:38:37.00 ID:jeMYIS2A0
- 人払いされた謁見の間。
砕け散った天井の下、無残に抉られた床の上。
( ´ω )「『リヒト イル グラン』。古代テラワロスの言葉で、王を眠らせる者、という意味だお。
おまけに、『斧』は昔から、鎌や大槍とともに墓守が好んで使う武器だお…」
( ´ω )「血の証を立てたミルナは、間違いなくリヒトの墓守の末裔だお…。
でも別にミルナだけなら隠す必要がないのに、わざわざ『腹心の騎士』と言ったお」
( ´ω )「ミルナは腹心の騎士にしては、若すぎだお」
|::━◎┥「それだけで親子だと?」
( ´ω )「…」
ブーンは脇に抱えたツンを、少しだけ庇うようにやっと腕を動かす。
( ´ω )「正統な王位継承者が、城で眠っていたお」
- 216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:39:49.52 ID:3BQJxQm80
- おかえりー
- 217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:40:32.19 ID:jeMYIS2A0
- ( ´ω`)「では現王は何者か?」
( ´ω`)「何故、墓守のミルナが正統な王位継承者を、殺そうとしたのか?」
|::━◎┥「……。やはり、その娘が…」
( ^ω^)「あんたが墓守だからだお。ミルナは父親の為に人殺しになろうとしたんだお」
( #^ω^)「王が自分の息子に何をさせてんだおッッ!!」
( д )「よせ…」
( д )「やめろ、お前に何が分かる…」
|::━◎┥「――――ミルナ」
( ゚д゚ ) 「来るなッ!」
王が駆け寄る。青年は、それを制するように叫んだ。
- 218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:41:53.19 ID:jeMYIS2A0
-
( ^ω^)ゴッドイーターのようです!
第一章 『 La Belle au bois dormant 』
第四話 墓守の一族
- 219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:43:45.06 ID:jeMYIS2A0
- ――――――約千年前。
古代テラワロス文明が栄えていたとされる時代。
がしかし、その時代の全容は以前として明らかではない。
千年の間に起きた大災厄により、殆どの記述がされた重要な歴史書や文献は、葬り去られたとされる。
故に、事実と伝説はしばしば混同され、テラワロスを納めていた王族の存在を疑う学者の声もある。
事実、その王族の居城は見つかっておらず、何処に王族の拠点があったかも定かでない。
伝承によれば彼らは大災厄を予見し、今も世界の果てでひっそりと息づいており、
混沌の時代が訪れた時、再び現れるという。よくある救世主伝説の主軸となっている。
- 220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:46:45.95 ID:jeMYIS2A0
- 悠久の時を眠り続けた古城は、主の目覚めの時とともに瓦解してゆく。
美しい装飾や芸術品で埋め尽くされる宮廷の天井が崩れ落ちて、青空が覗き込む。
貴重な財宝の全てが、灰色の瓦礫の下に埋もれてゆく。
最も堅牢に作られた主塔は、根元から大きな皹が幾重にも入り、土煙をあげて沈下しゆく。
眠り続ける王女を見守り続けた縫いぐるみたちにも終焉の波は訪れた。
その古城の断末魔は森を超えて轟き、大規模な崩落は地を揺るがしてユッセへと届く。
ユッセ城の搭から見張りの兵が望遠レンズ越しに、遠く森の向こうに見えるものに目を疑った。
- 221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:46:58.89 ID:hNqsdFQK0
- 支援
- 222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:48:41.65 ID:jeMYIS2A0
-
「なんだアレは……」
禁域の森の向こう。濛々と空へ立ち上る粉塵にまぎれて、城の姿は捉えられない。
森からは鳥たちが一斉に飛び立ち、悲鳴をあげて怯えている。
望遠レンズを通さずとも、最早肉眼で確認できた。
「北の森で何が起きたんだ」
若き見張りは、言い知れぬ不安を抱いてしばし呆然と立ち尽くしその光景を凝視した。
誰かに知らせなければならない、と、彼が己の任務に気づいて、大声をあげる。
「お、おい――――!」
その光景からなかなか目が離せないまま。
- 223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:50:12.48 ID:Q12FqJJ80
- デジャブ
- 224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:50:36.91 ID:IZwdL3EFO
- おかえり支援
- 225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:50:53.72 ID:jeMYIS2A0
- しまったあああああああああッ!コピペミスったッ!!!!!!
すみませんすみませんすみません、前の続きから投下します
- 226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:51:06.47 ID:hNqsdFQK0
- 四話最初から再投下するの?
- 227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:53:56.99 ID:jeMYIS2A0
- 以下、
|::━◎┥「――――ミルナ」
( ゚д゚ ) 「来るなッ!」
王が駆け寄る。青年は、それを制するように叫んだ。
( ^ω^)ゴッドイーターのようです!
第一章 『 La Belle au bois dormant 』
第四話 墓守の末裔
の続きからです、。
- 228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:56:16.92 ID:jeMYIS2A0
- 王の誕生祭。群集が城の前で沸き立っている。
青空に白い鳩と色とりどりの風船が放たれ、都のあちこちが歓喜の表情に染まっている。
俺は初めてみる祭り特有のハレの雰囲気に魅了されていた。
無骨で大きな手が、しっかりと俺の手を握っている。
それは本当の父親のものじゃないことを、俺は幼いながらに知っていた。
唐突に耳に響く聞きなれないトランペットの音に驚いて、身を竦ませた。
俺の手を握る無骨な手の主が、俺の両肩を掴んで誇らしげにある方向を向かせた。
城の上のバルコニー。
立派な格好をして、堂々と群集に微笑みかけている一人の男性。
その男性が片手を挙げると、群集の歓声が一際大きくなった。うねるような歓喜の波。
俺はその男性から目を離すことが出来なかった。
こんなにも沢山の大衆から、誕生を祝われる、王の威厳ある姿。
今も目に焼き付いている、俺がまだ5歳の頃に見た父親の姿。
( ゚д゚ )
- 229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/08(月) 23:56:56.37 ID:hNqsdFQK0
- しえん
- 230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:00:04.15 ID:oxANWrk1O
- しえ
- 231 名前:さるってました:2010/11/09(火) 00:05:21.96 ID:Ncp3lByk0
- 俺は、16になるまで、父の元を離れて育てられた。
育ての親は父の腹心の騎士で、事あるごとに父の武勇伝を寝物語に聞かせてくれた。
一度もまともに会ったことがなかったが、父は素晴らしい王だ。
誰よりも誠実に、民を思い国の為に尽くしてきた。
そんな父を、育ての父とともに俺は誇らしく、尊敬していた。
俺も父のような王になろう。民の為に全身全霊を尽くそう。
子どもの頃から、本当にずっとそう思っていた。それが俺の夢だった。
俺にとって、父は英雄だった。
俺が成人の儀を迎えた日。俺は新米騎士として城に迎えられた。
ようやくまともに父に会い、話すことが出来る。何から話せばいいのか、俺の心は緊張し、浮足立っていた。
だが父はその日、全身を甲冑で覆っていた。王室で二人きりの、物々しく流れる重苦しい空気が、
それまで浮かれていた俺の気持ちを一蹴する。何も話しかけることが出来なかった。
そんな俺の内心を知ってか知らずか、顔も見えないまま、父はひとつの秘密を俺に打ち明けた。
『我々は王族ではない』
- 232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:07:30.03 ID:oxANWrk1O
- 支援
- 233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:08:07.01 ID:BisGHikJ0
- しえん
- 234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:09:40.97 ID:Ncp3lByk0
- ( ゚д゚ ) 「父上…?」
|::━◎┥「よく聞け。我々が堅く護り継いできた真実を、お前にも話す時がきた」
( ゚д゚ ) 「真実?」
父の声色が、酷く落ち込んでいたのを覚えている。
自分が告げられた時を思い出し、俺にもその思いをさせることを、憂えていたのだろう。
|::━◎┥「本当のユッセの王位継承者は、別に居る」
( ゚д゚ ) 「……父上、一体何を」
|::━◎┥「我々は、王を護る為にこの地に残った、墓守の末裔だ」
俺は、父が何を言っているのか、上手く呑み込むことが出来なかった。
この時、きっと酷く間抜けな顔で話を聞いていたんだろう。
|::━◎┥「貴族でも何でもない、使用人の末裔なのだ」
(; ゚д゚ ) 「そんなこと、どう信じろと?大体、その王はどこにいるんです」
- 235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:12:26.11 ID:Ncp3lByk0
- 冷静なふりをして、俺はまくしたてた。
言葉を切ると、父は俺の腕を掴んだ。強く食い込むほど力が入っていた。
|::━◎┥「来い、ミルナ」
王である男の厳しい声音に、俺はすっかり委縮した。
引き摺られるように謁見の間に連れていかれて、地下へ通じる螺旋階段を開けるのを見せられた。
俺の目の前で、王が魔法を使ったのは、其れが最初で最後だ。初めて見るものだった。
広間の床に口を開けた螺旋階段を見て、酷く恐ろしくなった。
これを見てしまっては、俺の中で何か、もう戻れないような気がしたからだ。
|::━◎┥「この下に、本当の王の城へと続く転移装置がある。それは、墓守の血がなければ起動しない。」
|::━◎┥「お前は、この墓守の血を継いでいる」
(;゚д゚ ) 「……」
(;゚д゚ ) 「お、お待ちください…」
(;゚д゚ ) 「我々が墓守で、王が他に居るというなら、なぜ?」
(;゚д゚ ) 「何故、その王は父上に王職を務めさせるのです?」
- 236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:15:00.04 ID:Qtj/Z/6dO
- 支援
- 237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:15:36.82 ID:oxANWrk1O
- しえしえ
- 238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:15:50.38 ID:BisGHikJ0
- 支援!
- 239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:16:21.09 ID:Ncp3lByk0
- |::━◎┥「王が私を王たらしめているのではない」
父の表情は銀色の兜に阻まれて見えなかった。声音にすら、父の感情を感じ取れなかった。
ただ淡々と、語られたことのない、ユッセの歴史の裏側を、俺に話した。
|::━◎┥「――――我々が王を裏切ったのだ」
|::━◎┥「どういう理由かは今となっては分からん。
我が国の王は忽然と消え去り、一人の王女だけが城に取り残された。
その王女も倒れ、眠りについたまま目覚めなくなった。
祖先の墓守は、当時の宮廷魔術師の提案で城に呪いをかけ、時を留めて守り続けることを誓った。
我らの祖先は何代も、その血を絶やさず王女の眠る王の城を守り続けた。
また、王の国と民をも護る為に、墓守が王族として務めを代わることになったのだ。
その時に、それを記す歴史資料の全てが燃やされた。」
- 240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:18:03.78 ID:oxANWrk1O
- 支援
- 241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:18:25.05 ID:Ncp3lByk0
- (;゚д゚ )
俺に語られているのは、にわかには信じがたい歴史の裏側。
背筋を冷たいものが駆け降りていく。
|::━◎┥「何代にも渡り都を統治するうちに、墓守の心に一つの疑念が生まれた」
|::━◎┥「王女は永遠に目覚めないのではないか?」
|::━◎┥「そんな折、一人の乞食が訪れて祖先にこう告げた」
―――――( )m9『王女は千年の後、眠りから覚めて偽りのユッセを滅ぼすだろう!』
(;゚д゚ ) 「ば、ばかな」
|::━◎┥「何人も知らぬ筈の王女の存在を、乞食は知っていたのだ。祖先の心は尚掻き乱された」
|::━◎┥「そして、一番疑ってはならぬものを疑った」
(;゚д゚ ) 「疑ってはならないもの?」
|::━◎┥「王への忠誠心だ」
- 242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:20:09.15 ID:oxANWrk1O
- し
- 243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:20:34.32 ID:Ncp3lByk0
- (;゚д゚ ) 「そんな……」
|::━◎┥「墓守は恐れたのだ」
|::━◎┥「己の人生を捧げた国の民に、騙したなと蔑まれるのを」
|::━◎┥「ただの使用人である墓守が、王族と偽り続けてその上に君臨していたことを糾弾されるのを」
|::━◎┥「心の奥底で、王女が目覚めないことを願っていた醜い姿が明るみに晒されるのを…!」
|::━◎┥「そうして畏れ、怯え、隠し続けて、千年が立とうとしている」
( ゚д゚ ) 「え……」
( ゚д゚ ) 「そんな、まさか……父上の代の、今…?」
|::━◎┥「これも宿命だ」
( ゚д゚ ) 「そんな、だって、あなたは、私が知る中で、最も王に相応しい方です」
- 244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:21:06.66 ID:Qtj/Z/6dO
- しえんぬ
- 245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:23:21.89 ID:oxANWrk1O
- え
- 246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:24:03.48 ID:Ncp3lByk0
- |::━◎┥「…ミルナ」
( ゚д゚ ) 「そんなあなたを、民が、糾弾などするはずが……」
|::━◎┥「王となり、国を治めるからには、民にとって辛い選択を強いることも必要な時がある」
( ゚д゚ ) 「し、しかし…」
|::━◎┥「貴族の中にも、私を良く思わない者もいる。恐らく、私が王族でないと分かれば、ユッセは荒れるだろう」
( ゚д゚ ) 「で、でも…!」
|::━◎┥「抗おうなどと思うな、これはリヒトの血の業だ」
( ゚д゚ ) 「う、うそだ…そんなの、あまりに理不尽です…」
|::━◎┥「……」
( д ) 「こんな…、父上があんまりにも可哀そうだ…」
- 247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:25:15.70 ID:Ncp3lByk0
- |::━◎┥「お前を、騎士の息子として育て、息子ではなく騎士として城に迎え入れたのは、
この血の業からお前を逃がせるようにだ」
|::━◎┥「この都を出るのだ。出て、ただの人として生きてくれ」
|::━◎┥「頼む」
( д ) 「出来ません」
|::━◎┥「…ミルナ」
(#゚д゚ ) 「出来ないッッ!!」
( ゚д゚ ) 「親父だけ不幸にして、俺だけ逃げるなんて出来るわけがないッ!」
|::━◎┥「・・・・!」
( ゚д゚ ) 「頼むよ、父さん……」
|::━◎┥「ミルナ……」
|::━◎┥―――――この愚かな父と、命を共にしてくれるか?
- 248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:26:52.00 ID:Qtj/Z/6dO
- 気管支炎
- 249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:28:33.20 ID:Ncp3lByk0
- 幼い頃にみた、忘れ得ないあの父の雄大な姿が、
父に歓声を送る群衆の姿が、俺の中でフラッシュバックされる。
俺はこの時、知らないでいたことは罪だったのだと悟った。
知ることは、無知に守られていた俺への罰なのだ。
父は、俺が何も知らない間も、ずっと戦っていた。この終わりのない苦悩と。
俺は、この罰を受けなければならない。
俺が、・・・・・父の守ってきたものを、守らなければならない。
第五話へ続く
- 250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:29:42.14 ID:oxANWrk1O
- ん
- 251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:31:03.70 ID:Ncp3lByk0
- 支援と保守に果てしない感謝と僕の愛液をたっぷりと。
次の5話で1章は終わりです。長いですよねすいません。
- 252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:32:45.92 ID:B9WptIJ0O
- 期待してる
- 253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:33:59.99 ID:oxANWrk1O
- 今日は支援も何人かいるし、がんばれー
- 254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:34:28.19 ID:Hjtg4XZD0
- がんばー
- 255 名前:ありがとうございます、投下します。:2010/11/09(火) 00:36:30.22 ID:Ncp3lByk0
- 何故それはやってきたのだろう
あんなにも明るい昼間に、それは突然訪れて、
私に永遠の夜を齎した
世界が一度に真っ暗になって、
抗うことも許されず、
まどろみの中に落とされた
涙を流すことも出来ないまま
悠久の時が流れていった
だから私はなんにもしらない
- 256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:37:17.85 ID:Ncp3lByk0
- でも
知らないことは罪だったのかもしれない
知ることは私の無知に対する罰かもしれない
これは、私への罰なのだ
( ^ω^)ゴッドイーターのようです!
第一章 『 La Belle au bois dormant 』
第五話 事情は墓より深く冥府の底に
- 257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:38:55.95 ID:oxANWrk1O
- 支援
- 258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:39:02.35 ID:MWDmyy/nO
- もしもしから支援、続きが気になって寝れない
- 259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:39:06.18 ID:Ncp3lByk0
- ( ゚д゚ )「王に息子などいない」
ブーンの腕をどけ、立ちあがり様に、剣を抜く。
( ゚д゚ ) 「王女殺しも、禁域の破壊も、腹心の騎士の俺が、国の為にと独断でやったことだ…」
( ;^ω^)「ミルナ、もうやめるお……」
( ゚д゚ ) 「王に魔物が進化したと嘯いて、禁域に行かせろと言ったんだ」
( ゚д゚ ) 「まぁ、お陰で忌み人なんて余計なもんを呼ばれちまったが」
( #^ω^)「王がブーンを呼んだのは、お前を救う為だお」
( ゚д゚ ) 「何を訳の分らんことを……」
ブーンがツンの身体を覆うように抱き寄せる。が、無傷のミルナに、満身創痍のブーン。
僅かな抵抗も空しく、引きずり出されてしまう。
- 260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:40:55.31 ID:oxANWrk1O
- ふむふむ
- 261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:42:02.49 ID:Qtj/Z/6dO
- 支援
- 262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:42:56.67 ID:BisGHikJ0
- しえん
- 263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:45:04.31 ID:Ncp3lByk0
- ξ;‐凵])ξ「……」
( ゚д゚ ) 「まぁ、ここでこいつを殺してしまえば、問題はないさ」
うつ伏せに転がる王女のその首に向かって、剣を振りあげる。
( ;゚ ω゚ )「だめだお――――!!」
ギィンッ
鈍やかなる金属音が響く。
高貴な光を放つ銀の兜が、剣を正面から受けて綻びた。
カラン、と顔を覆う部分が地に落ちる。
顕わになった顔は、ミルナと瓜二つの壮年の顔。紛うことなき王の顔だ。
( ゚д゚ ) 「・・・なんでだよ」
- 264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:47:04.05 ID:oxANWrk1O
- しえん
- 265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:47:28.47 ID:Ncp3lByk0
- 墓守の青年の身体が、ガタガタと震え出す。
苛立ちと驚きがないまぜになった表情で、
余りの動揺に、両手に掴んだ刀剣を持っていられず取り落とす。
嗚咽を噛みちぎるように唇から血を滲ませた。
( ゚д゚ ) 「なんなんだよ!!!何故!!」
( ;д;) 「―――どうして父上が庇うんですか!!!!」
( ゚'д゚')「ミルナ。もう良い……もう、良いんだ」
偽りのユッセの王が、息子をあやす様に抱きしめた。
( ゚'ー゚')「ああ…、大きくなったな」
( ゚'ー゚')「子どもを抱きしめるというのは・・・、こんなにも、心が安らぐものなのだな」
( ;д;)「・・・・!」
顔を直に見合わせ、抱き締められることも、ミルナにとって産まれて十六年、初めてだった。
そしてそれは、父も同じことだった。
- 266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:48:40.86 ID:Ncp3lByk0
- ( ;^ω^)「だから顔をずっと隠してたのかお…」
( ゚'д゚')「…これでは、私と親子だと一目瞭然だからな」
( ;д;) 「いいわけがない!ユッセはどうなるのです!」
( ゚'д゚')「終わったのだ・・・お前は、この都を出なさい」
( ;д;) 「そんな・・・・」
( ゚'д゚')「ゴッドイーターよ、救護班が来たようだ。速やかに治療に入らせよう。
無論、ツン陛下も御連れする。陛下の調子が優れ次第、正統な王家の存在を発表しよう」
( ゚д゚ ) 「父上・・・」
( ^ω^)「……分かったお」
ξ )ξ「その必要はありません」
- 267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:49:58.13 ID:Qtj/Z/6dO
- しえ
- 268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:50:27.80 ID:Ncp3lByk0
- 凛とした鈴のような声が鳴り響いた。一斉に、その声の主に視線が集中する。
ξ゚听)ξ「何を勘違いしているのか知りませんが、私はユッセの王女などではありません」
大義そうに上半身を起こしながら、ツン・ヴィップ・デレ・テラワロスは厳かに告げた。
( ;^ω^)「いやいやいやいや、いきなり何をいいd」
ξ#゚听)ξ―――スッ
- 269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:50:32.91 ID:oxANWrk1O
- 支援
- 270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:52:18.76 ID:BisGHikJ0
- しえん
- 271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:52:24.80 ID:Ncp3lByk0
-
ξ#゚听)ξっ <黙りなさい下郎!
(っ /´
/ '⌒) ゲシゲシ
,,( / ̄U
/⌒ヽ
⊂⌒(;゙゚'ω゚') < ギャー
`ヽ_つ__つ ∧_∧ ∧_∧ !?
( ι ) ( ι )
/ ヽ / ヽ
- 272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:53:29.65 ID:oxANWrk1O
- あふん
- 273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:53:36.56 ID:Ncp3lByk0
- ξ゚听)ξペッ「死に損ないが出しゃばりやがって」
( ゚'д゚')「へ、陛下……」
王はふらふらと歩み出て、ツンの前で跪く。そして床に着ける程に頭を垂れた。
( ゚'д゚')「どうか……どうか、一族の不忠を、いや、許しを請うことすら最早…」
ξ゚听)ξ「……」
ξ゚听)ξ「どうか御顔を御上げ下さい、正統なるユッセの王よ」
( ゚'д゚')「?!」
ξ゚听)ξ「千年もの永い間、私を護ってくれたこと、感謝しています」
ξ゚听)ξ「我が国、テラワロスは、どうやら千年前に滅んだようです」
跪くユッセの王の前に膝をつき、ほんの少し震える手を差し伸べて、ツン・ヴィップ・デレ・テラワロスが微笑む。
ツンは精一杯王女らしく、強かに微笑んでみせた。
ξ゚ー゚)ξ「貴方も、もう良いのです。・・・陛下」
( ゚'д゚')「…あ、あぁ・・・」
( д;)「も、勿体ない、御言葉に御座います―――」
- 274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:55:00.26 ID:Ncp3lByk0
-
< スイマセン…
< イイトコスイマセン…
( ´ω )ガクッ < モウダメポ
- 275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:55:00.11 ID:oxANWrk1O
- ふむ
- 276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:56:45.33 ID:Ncp3lByk0
-
…………………
………
…
Σ( ^ω^)「はッ!?」
( ^ω^)「……知らない天井だ」
ブーンの為に用意された城の離れの客室。
久しぶりのふかふかのベッドで、全身の痛みに襲われながら眼が覚めた。
だかしかし、なぜか愚息が元気だ。無理やり悲鳴を上げる身体を起こす。
( ;^ω^)「あいつつつ、いててて、……おはよう、マイ・サン」
脚の間の愚息に声をかける。
折角だから一発抜くことにした。
と、思ったが、身体の痛みでどんどん萎びていく。
( #^ω^)「お前の力はそんなものかお」
- 277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:57:34.60 ID:Qtj/Z/6dO
- し
- 278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 00:58:31.70 ID:oxANWrk1O
- しえ
- 279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:00:43.43 ID:Ncp3lByk0
- ガチャ
ξ゚听)ξ「あ、眼が覚めたn――――」
( ^ω^)「あ」
ξ゚听)ξ「え?」
ξ////)ξ「!?」
バタンッ
< へ、変態ッ!あんたが服着てたら殴ってるんだからッ!
( ;^ω^)「せめて服を着ている時は普通に接してほしいお・・・」
|゚)ξ「ふ、服来た?」
( ^ω^)「おk、装着完了したお」
|听)ξ「……」
|听)ξ「今度変なもん見せたらヌッ殺す」
( ^ω^)「ノックして入ればいいと思うお」
- 280 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:01:50.32 ID:Ncp3lByk0
- ξ゚听)ξ「起きてると思わなかったのよ、貴方丸三日も寝てたから」
ドレスの裾を翻して、ブーンの居るベッドの前の椅子に腰かける。
優雅な所作は本当に姫君のようだ。いや、実際そうなのだが。
( ^ω^)「今回は三日かお」
ξ゚听)ξ「今回は……って、貴方いつもそんななの?」
ξ゚听)ξ「や、っていうか何でそんな大怪我したわけ?」
眉間に皺を寄せたり、不思議そうな顔をしたり。金色のウェーブの髪が、表情を変える度に揺れる。
真っ青な澄んだ、少し上がり眼な瞳が、強気な印象を持たせる。
( ^ω^)(本当に似てるけど、少し違うお……)
つい見入って、妹と違う部分を探してしまう。
こうして落ち着いて観察すれば、妹とは髪の色も、目元も、どことなく違いがあった。
だが、やはりよく似ている。
- 281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:02:59.00 ID:oxANWrk1O
- 支援
- 282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:03:46.17 ID:Ncp3lByk0
- ξ゚听)ξ「……って、聞いてるの?」
( ^ω^)「え?あ、ああ、すまんお」
( ^ω^)「・・・王様とミルナはどうなったんだお?」
ξ゚听)ξ「陛下たちなら大丈夫よ。ミルナを王の息子として発表するには、まだ時間がかかりそうだけど」
( ^ω^)「そうかお…。ユッセはこれからだおね」
ξ゚听)ξ「で?その怪我は何なの?」
( ^ω^)
( ^ω^)「滑って転んだお」
ξ#゚听)ξ「なめてんのか」
ξ゚听)ξ「もう。いいわ。でも名前くらいは教えてくれるわね?
あたしはあの時名乗ったけど、貴方の名前は聞いてないもの」
( ^ω^)「名前?ブーンだお」
- 283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:04:31.41 ID:BisGHikJ0
- 支援
- 284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:05:14.00 ID:FceN7Zyn0
- やーっと追いついた支援
- 285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:05:28.44 ID:oxANWrk1O
- しえん
- 286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:05:32.55 ID:Ncp3lByk0
- ξ゚ー゚)ξ「ブーン。助けてくれてありがとう」
( ^ω^)「へ?」
( ;^ω^)「いや、あの、一体どこから起きてたんだお?」
ξ゚听)ξ「身体がっくんがっくんされたから、断片的に」
ξ゚听)ξ「でも、何となく呑み込めたわ」
ξ )ξ「私の存在が、あの一族をどれだけ苦しめたかも」
( ^ω^)「……」
この少女は、あの状況で。
千年の眠りから覚めたばかりの、困惑した思考に入ってくる、残酷で不確かな情報を整理し、
己の持っていた概念やら信念と鑑みて、その上、自分よりも他人の苦しみを拭い去る術を導き出した。
それは王女であるツンにしか出来ないことだった。
だが、そんな気丈さは、どれだけ少女の胸を張り裂いているのだろう。
- 287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:07:19.76 ID:Ncp3lByk0
- ( ^ω^)「ツンはすごいお……」
ξ )ξ「な、何がよ!?」
ごし、とブーンのベッドのシーツを摘んで、瞳の下を拭いながら唇を尖らせた。
ξ゚听)ξ「そんなことより、これからよろしく頼むわよ」
( ;^ω^)「え」
ξ゚听)ξ「え、じゃないわよ、あたしの目を覚ましたのはあんたなのよ?」
( ;^ω^)「ブーンに着いて来る気かお?」
ξ゚听)ξ「当たり前じゃない。この城に居るわけにはいかないし、私の城はもうないし」
( ;^ω^)「で、でも、ブーンの旅はかなり危険だし、女の子には向かないお」
ものすっげぇ差別されるし、とブーンは己の旅を思い返す。
いくら強い女性でも、御姫様に耐えられるとは思えない。
- 288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:07:28.86 ID:oxANWrk1O
- しえ
- 289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:08:37.60 ID:Ncp3lByk0
- ξ#゚听)ξ「あんた私が生半可な気持ちで言ってるとでも?」
( ;^ω^)「そういうわけじゃないけど」
ξ#゚听)ξ「これでも魔法が使えるんだから!それに」
ξ゚听)ξ「私が、今を生きる私であるために、探さなくちゃいけないのよ。
私がなぜ、あの城で眠っていたのか、どうしてテラワロスがこうなったのか・・・。
テラワロスの血があたしを置いてもし完全に滅びているのだとしても、顛末を知らないと納得できない。」
( ^ω^)「し、しかし千年も昔だお?文献も少なすぎて、当てもないんじゃ・・・」
ξ゚听)ξ「当てならあるわ。あいつにはきっと時なんて関係ない。
真昼の空に唐突に夜闇の帳を下ろし、私を眠らせたモノ…」
( ;^ω^)「え…」
ξ゚听)ξ「蒼き亡霊の王(ロードオブファントム)を」
(;゙゚'ω゚')「 ! 」
今に目覚めた、千年も古の王女の口から出た単語。
それは、ブーンが探し求めている妹への、ただひとつの手がかりだった―――
第二章へ続く
- 290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:12:17.11 ID:B9WptIJ0O
- 5話終わり?
乙
- 291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:12:26.84 ID:oxANWrk1O
- ほほう
乙!
- 292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:13:12.96 ID:W860iJWvO
- ババァツン
- 293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:13:13.04 ID:BisGHikJ0
- 乙
- 294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:13:31.68 ID:Ncp3lByk0
- ( ^ω^)ゴッドイーターのようです!
第一章 『 La Belle au bois dormant 』 完
読んで頂いた方々ありがとうございました。一先ずここまでとさせていただきます。
第二章はあらかた構想が出来ているので、書き終わり次第また投下したいです。
- 295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:13:59.96 ID:Qtj/Z/6dO
- とりあえず乙!
- 296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:15:09.29 ID:H+h7xoIpO
- 知ってた
- 297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:15:43.55 ID:FceN7Zyn0
- 散りばめられた厨オーラがたまんねぇぜ
超乙、次回も期待してる
- 298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:18:22.99 ID:Ncp3lByk0
- >>297
自分完全に厨二病です。不治の病です。
- 299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:23:19.88 ID:Ncp3lByk0
- では、そろそろ熊の縫い包みを抱きしめて眠りたいと思います。
多分眠れないと思いますが。
何度もすみませんが、ありがとうございました。
- 300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:48:50.59 ID:MWDmyy/nO
- 乙でしたこれで寝れます、次の投下楽しみに待ってます。
- 301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 01:51:16.78 ID:QAN0rtgf0
- >>299乙
ゆっくり休んでくれ
続きを楽しみにしてる
- 302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 02:03:29.04 ID:7bdBQU52O
- 乙
スレは落とした方がいいのかな
- 303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 02:21:48.51 ID:Uj5P0p6BO
- 乙
どこかまとめ付かないかな?
- 304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 03:38:00.26 ID:eeVRlldMO
- よむほ
- 305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 06:43:58.81 ID:hKaEAAdk0
- 乙、面白かった!
続き待ってるぜ!
- 306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 08:08:41.59 ID:Im5/NKfhO ?2BP(1002)
- sssp://img.2ch.net/ico/samekimusume16.gif
>>299
ふわふわ時間
- 307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 08:41:11.65 ID:NnhycMYTO
- おちゅ
- 308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 08:54:36.60 ID:7z38CyAlO
- 乙。おもひろひ
- 309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 11:39:40.64 ID:7bdBQU52O
- 保守した方がいいのか?
- 310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 11:41:01.35 ID:gmw0EgHJ0
- 某ゲームかと思って開いたのは俺だけじゃないよな?
- 311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 11:42:50.72 ID:89JHptjnO
- >>310
俺は戦続ドクオの人かと……
- 312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 13:23:20.99 ID:jpdt56uoO
- よむほ
- 313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 14:21:14.57 ID:gmw0EgHJ0
- はやく起きろ
- 314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 15:25:35.95 ID:7bdBQU52O
- 保守しとくか
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