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('A`)の悪意は、勇者も魔王も巻き込んで巡るようです

1 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:07:44 ID:RbYedIHQ0
立ったらやるよ。

2 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:08:42 ID:RbYedIHQ0
むかしむかしの、あるところ。
そんな枕詞ではじめられる世界に、ひとりの若者がおりました。



名前はブーン。
当時の2ch大陸を治めていた3大国のひとつ、ユトリ王国で生まれた青年です。

東の果ての島で、慎ましく暮らす農家の息子として生まれた彼。
本当なら、両親から農地を譲り受けて、やはり農民として生きるはずだった彼。
しかし彼には、特別な勇気がありました。

ブーンは16歳になった日の朝、旅に出ました。
20年の眠りから目覚めた魔王を倒すために。

――世界を救う、勇者となるために――。

3 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:09:30 ID:RbYedIHQ0




( ^ω^)は、世界の敵を倒しに往くようでs_
   カタカタカタカタ……

4 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:10:19 ID:RbYedIHQ0
――東の果ての島・グー とある家 ブーンの旅立ちより2ヵ月後――





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5 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:11:06 ID:RbYedIHQ0
いきなりでアレだが、ウチのトイレのドアは決して丈夫じゃない。
普通に安い建売住宅の、普通に安い合板のドアだ。丈夫なわけがない。

だがしかしそれでも、今の俺にはこのドアだけが頼りだった。俺にとっちゃイージスの盾だった。
なぜなら、


J( 'ー`)し「いい加減にここ開けなさい! カーチャン怒らないから!」


この薄っぺらいドア1枚隔てた向こうには、相変わらず自分の言葉に責任を持つ気がまったくない
ババァが立っているからなのだった。
あのクソババァの年季の入ったネチい怒りが収まるまで、俺はここを出るわけにはいかない。
味方はこのドアただ1枚。だから頼む、もってくれよ……!


J( 'ー`)し「開けなさいったら! カーチャンともう一回話そ、ね! ドクオ!」


そう、俺の名はドクオ。
今はトイレに引きこもる、(俺のための)正義と(俺のための)自由の戦士だ。メモっとけ。

6 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:11:51 ID:RbYedIHQ0
('A`)「くそっ……なんなんだ今日のババァの執念は……!」


ひとりごちる。きっかけは、いつものように職のことだ。
自慢だが、俺は働いていない。当然だ。
今は親の金で食っていけている。ならどうして働く必要がある?

だから俺は、ババァの「ねぇドックン、港でね、バイト募集してるんだって」などというふざけた言葉に、
「ん? バイト増やすのか? まぁ家を支えるために頑張ってくれよな」と返した。
だのに、たったそれだけの軽いジョークにババァはマジギレしやがった。

女という生き物は、干上がると冗談も理解できなくなるらしい。ああ、度し難い無能。
しかも今日に至っては、それを俺のせいと勘違いして……この有様だ。


J( 'A`)し「ドックン! 開けなさい! 開けなさいぃぃぃっ!」


ついにババァは扉に手をかけ、ガタガタと扉を揺すり始める。
俺も必死で扉に体重を預けて対抗するが、必要がなければ外に出ないせいで40キロを切ったこの体では、
それも空しい抵抗なようだった。ババァのクソ力にまったく対抗できていない。

7 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:12:38 ID:RbYedIHQ0
俺は叫ぶ。


(゚A゚)「うおおおおお! 冗談じゃねぇ! 俺の自由は俺が守る! ここは絶対に通さねぇ!」


しかし悲しいかな、扉の蝶番の限界はすぐそこまで来ていた。
四隅を留める木ネジが緩んできてしまっている。やがては耐え切れずに吹き飛んでしまうだろう。


(゚A゚)(ダメだ…終わる……! 何物にも代えられない、俺の平和な生活が……!)


こういうとき、神は絶対に人を助けない。もう16年も生きてるんだ、それぐらいは知ってる。
だから俺は祈らない。今まではそうだった。

しかし、扉の外のババァの獣じみた声はどうだ。あれじゃまるでモンスターだ。
さすがの俺も、(俺のための)この世の終わりに天を仰ぎそうになった、その時――、


ミセ*゚ー゚)リ「こんにちは! 私はあなたの妖精! 神さまがダメなら私に祈ってよ!」

8 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:13:21 ID:RbYedIHQ0
ウチのトイレには、ちっこい窓がある。これは一戸建ての特権だと思う。
ああ、快晴の空を眺めながらする爽やかなウンコは素晴らしいからな。
ちなみに窓は風呂にもある。降りしきる雪を眺めながら(略)風呂も、やはり素晴らしい。

ともかく、そのふざけた何か(とりあえず人ではない、サイズ的に)は、
無作法にもその窓から頭だけを突っ込んで語りかけているのだった。――論外だ。


('A`)「ふざけんな非日常ファクター! 今俺は現実のために戦ってんだ! 口出すな!」


体重を使って何とかドアを破られないよう踏ん張りながら、腕を伸ばして窓を叩きつけるように閉める。


ミセ;>A<)リ「ぶぎゃあぁっ!?」


当然、そいつの顔は窓に挟まれてエラいことになるが、残念ながら知ったことじゃない。
今の俺に、そんなもんを気遣う余裕はないのだ。何か……何か手はないか。

9 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:14:16 ID:RbYedIHQ0
窓からの脱出を考える。
ダメだ。小さすぎる。とても人間が脱出できるサイズじゃない。

となれば、強行犯に対抗する手段は今も昔もただ一つ。ネゴシエーションだ。
問題は交渉相手がヒグマのように怒り狂っていることだが、そこはババァの良心に期待するしかない。


('A`)「待て! ババァ聞け! このままではオヤジが遺してくれた大切な家が壊れてしまう!」

J( 'A`)し「その大切な遺産を食い潰している人間がなんだい!? 壊したくなきゃさっさと出てきな!」

('A`)「待て待て! 大切な遺産だからこそ、俺は家族の生活のために使うべきだと思う!
    ヘタな有形資産に替えてしまうより、その身でオヤジの暖かさを感じて生きるべきだと思う!」


その瞬間、震度7の地震でも来たようにガタガタ揺すられていたドアが、ピタリと止まった。
――俺のハートフルな完璧理論が、ババァの更年期丸出しの感情論を論破した――?


J( 'ー`)し「…………」

('∀`)「な、そうだろ!? ババァもそう思うよな!?」

10 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:14:59 ID:RbYedIHQ0
J( 'A`)し「…………。
      この子は……なんて……情けない……! いいよドクオ! あんたを殺してあたしも死ぬ!」

(゚A゚)「何でそういう結論になるんだよ!?」


今までのとは一味違う、扉を蹴破る気満々の激しい衝撃がきた。
扉にぺったりと体をくっつけていた俺が、吹っ飛ばされるほどの激しい一発だった。
見る。扉の一部が割れてささくれている。こいつをモロに受けたなら、間違いなくそのアホはあの世行きだ。


J( 'A`)し「ああ! どうしてだい!? あのブーンちゃんとあんたは何が違うんだい!?
     あたしはどこであんたの育て方を間違えたんだい!?」

('A`)「結局本音はそれか! 安心しろババァ、立派な人間はほっといても立派になる!
    あんたは何も間違っちゃいない、ただ俺様が飛びぬけてクズなだけだ!」

J( '-`)し「ドッくん……可哀想に……!」


さらに一発。扉は完全に破れて、人の腕ほどなら入るくらいの穴が開いた。
ああ、これはもう無理だ。俺はここで死ぬのだと思う。

11 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:15:54 ID:RbYedIHQ0
全てを諦めてトイレの隅に座り込んだ俺の、もう何日も洗濯していないシャツを引っ張る者がいる。


ミセ*゚ー゚)リ「……ねぇねぇ、ドクオさん。やっぱりこれって、ちょっとヤバいんじゃない?」

('A`)「……見て分からねぇのか池沼。なら説明してやる、俺は今まさに自由に殉死する直前だ。
   分かったらさっさと失せろ。俺の死に際は俺だけが知っていればいい」


ヤツだった。ああ、やっぱりこいつは妖精なのだ。身長が、俺の膝くらいまでしかないから。
扉に、追加の一発。もう何かがどうこうなりようがないほど、扉は変形してしまっている。
そして目の前には妖精ときた。この世の終わりのような光景だと思う。


ミセ*゚ー゚)リ「さすがドクオさん、カッコいい! でもでも、その前に祈ってみてもいいと思わない?」

('A`)「たとえば祈れば何となる?」

ミセ*゚ー゚)リ「いいこと聞いてくれました! ――ミセリはね、あなたをここから連れ出してあげられるよ!」


ミセリと名乗る妖精は、笑った。

12 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:16:38 ID:RbYedIHQ0
そういえば、まだ神学校に行っていた頃に、そんなことを聞いたことがあるような気がする。
死者の魂は、妖精の手によって天国か地獄に送られる、とかなんとか。
当時6歳だった俺でも分かる、子供だましの話だった。
オチはもちろん、だから天国に行けるように清い生活をしましょうね、だった。

だが…ああ、悪かったと思ってるよ。ハゲの牧師先生。
あんたの言ったことはどうやら本当だ。俺のような不信心な人間も、神のリストにゃバッチリ入っているらしい。


('A`)「ああ……いいぜ。なら俺を連れて行け。そこはいいところなんだろうな?」

ミセ*゚ー゚)リ「んー、それはドクオさん次第かな?」


笑う。なるほど、天国か地獄かは、俺の行い次第というわけか。


('∀`)「なら天国に決まってるな。何しろ犯罪を犯しようがないほど外出しねーしな、俺」

ミセ*゚ー゚)リ「んふふっ、傲岸不遜なトコロもステキ! じゃあちゃっちゃと祈ってね!」

('∀`)「よし……妖精ミセリ! 俺をここから出してくれ!」

ミセ*゚ー゚)リ「ミセリ、かしこまりー!」

13 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:17:29 ID:RbYedIHQ0
頭の軽いホストのような答えを返して、ミセリはその手をこっちに差し出した。
取る。ベタベタなことに、どこから沸いてきたとも知れない光に包まれる。


ミセ*゚ー゚)リ「簡易呪文の特急詠唱で参ります! 危ないですから黄色い線の内側まで下がってお待ちください!」


ミセリが何か言ったように思う。けれど、その声は薄ぼんやりとして俺の耳には届かない。
唐突に、ほんの少し、そう、高いところから落ちるような感覚を味わう。
それは、呪文による転送の影響だったろうか。いや違う、これはもっと別の――、


意識はそこで途切れた。

14 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:18:11 ID:RbYedIHQ0
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15 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:18:57 ID:RbYedIHQ0



さらに数回、無慈悲な攻撃を受けた後、扉は完全に破壊された。
母の行動は迅く、躊躇いがなかった。まず突き入ってきたのは腕で――その手には、包丁が握られていた。

刃が、誰もいない空間を切って壁に根元まで突き刺さる。
家を外から見たならきっと、突然に外壁から包丁が生えたように見えたろう。




J( '-`)し「……ドックン……?」




呆然と立ち尽くす、取り残された母の姿。

16 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:19:41 ID:RbYedIHQ0
――????――


何かに揺すられて目が覚めた。
頭の中が判然としない。えーと、僕はどうなったんだっけか?

確か家の中にいた。狭いところだったと思う。
えーっとなんだ。どうだった? 僕は何をしていた?

思い出せ。思い出せ……。
そうだ、その部屋は白い陶器の椅子のようなものがあって、柔らかな紙が置かれていて、



思い出した。
扉は怪力でガタガタ揺すられていて、窓からは妖精が頭を突っ込んでいた。



('A`)「天国!?」

ミセ*゚ー゚)リ「わ、起きたー。寝顔もステキだったよ、ドクオさん」

17 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:20:21 ID:RbYedIHQ0
光に群がる虫と大差ない反射で、ぼけぇーっと声のした方を見る。


ミセ*゚ー゚)リ


ミセリがいた。ああ、やっぱりそうだ。天国だここは。


('A`)「よーし、俺という偉大な住人を迎える宴はどこでやってるんだ?」

ミセ*゚ー゚)リ「え、ドクオさんここに住むの?」

('A`)「当たり前だろ。安心しろ、ワガママは言わんぞ。
    俺は好きなだけ寝れて好きなだけ食えて好きなだけ遊べればそれでいい」

ミセ*゚ー゚)リ「んー……まぁ、住めば都って言うけど……もうちょっと周りを見てみた方がいいかもですよ?」

('A`)「は?」


俺の優秀な脳は、迅速にミセリとの話に妙な齟齬があることに勘付いた。
確認する。


('A`)「……おい、ここは天国なんだろ?」

ミセ*゚ー゚)リ「何言ってるのドクオさん! ここはあなたの家から100メートルくらい離れた森の中だよ!」

18 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:21:04 ID:RbYedIHQ0
そうか、天国は案外近くにあったんだ! 青い鳥だ!


('A`)「……とか考えられるほど、俺の頭はポジティブでもお祭り騒ぎでもないんだが」

ミセ*゚ー゚)リ「十分オメデタイと思うけど? 私一言も天国に連れてくとか言ってないし」

('A`)「それマジで言ったん? ソースあんならすぐ出せ。マジなら総力を挙げて潰すが」

ミセ*゚ー゚)リ「ここまでの全レスにわたって、そんなことは言ってません!」


らしい。くそっ、ということは俺は勝手な早とちりで間違えたというわけか?
……いや落ち着け。落ち着くんだ俺。真犯人は別にいる。


('A`)「そうだ……悪いのはハゲ牧師の野郎だ……! お布施だの免罪符だのっつって詐欺った上に
   平然とこんなウソまでつきやがるのか、あのカス野郎……! 人として終わってんな!」

ミセ*゚ー゚)リ「何のこと言ってんのか全然分かんないけど、逆ギレに燃えまくるドクオさんもカッコいい!」

('A`)「そうと決まれば話は早い。さよならだなミセリ。俺は教会に火をつける作業で忙しい」

19 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:21:55 ID:RbYedIHQ0
ミセ*゚ー゚)リ「ちょぉ〜っと待った! ストップ! ドクオさんストップ!」

('A`)「ええい、薄汚い妖精フゼイがまとわりつくな! 何だ!? 金でもむしろうってのかコジキ妖精!」

ミセ*゚ー゚)リ「ああっ、ドクオさんに理不尽になじられるの気持ちいい……でも待って! ダメなの!」


全身を使って足にしがみついてくる妖精を、何の遠慮もなく蹴飛ばした。
もう俺の進路を阻む者は誰もいない。さぁ、猖獗極まるペイバックタイムだ――、


ミセ*゚−゚)リ「……チッ、やるしかない! 攻法・イシツブテ!」


背後から、何か声がしたと思う。
いきなりだった。颯爽と駆ける俺の前に、どこからともなくこぶし大の石が飛んできて、


(゚A゚)「ぎゃああああっ!?」


その石は、まったく勢いを殺さぬままに俺の腕を打ち砕いた。……文字通りに。


(゚A゚)「痛い!? 痛ぃよぉ!? 腕から白いものが飛び出してる!? こ、これまさか骨!? 死んじゃう!」

ミセ*゚ー゚)リ「ごめんねドクオさん。でも、あなたには使命があるんです」

20 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:22:35 ID:RbYedIHQ0
(゚A゚)「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!
    助けて! お願いです! 殺さないで! ぎゃああああ痛いよぉぉ痛いよぉぉぉぉぉぉ!!」

ミセ*゚ー゚)リ「そう、重大な使命なんです……世界を救う、そんな使命」

(゚A゚)「血が! 血が止まらないよぉぉ! ねぇ死ぬの!? 俺やっぱりこのまま死ぬの!?」

ミセ*゚ー゚)リ「あなたにはこれから、過酷な運命が待ち構えていることでしょう。
     でも……きっと困難に打ち勝って。あなたなら、この世界を変えられる。信じてます」

(゚A゚)「もう悪いことしませんから! お母さんにも迷惑かけません! ちゃんと働きます!
    毎月家にお金だって入れます! ご飯を残したりしません! だから……だからぁ……っ!」

ミセ*゚ー゚)リ「……あなたがもし、この運命を受け入れてくれるならば。もう一度、この手を取ってください」



(゚A゚)「…………そ、」

(゚A゚)「そうすれば助けてくれるの!? 痛いのやめてくれるの!?」

ミセ*゚ー゚)リ「ええ、もちろん。そして私と契約してくれたならば。その手を離さないでいてくれたならば」

(゚A゚)「しますぅ! 何でもしますぅ! 手、手ですね! はい握りました! もう二度と離しません!!」

ミセ*゚ー゚)リ「……では、契約を。アニシダリマスイレガイソワカ、ニニギニギリナルホナルベナルヤ。
      イダイ、ミセリ。ナハダ、ドクオ。イガリヤソダマルシ、ユベキワカニソダシソワカ」

21 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:23:15 ID:RbYedIHQ0



昼なお暗い森に、突如光が沸き出でた。
全てを照らし、照らしつくしてかき消してしまいそうな、強い光だった。

光の中心には、チビな妖精がいる。
顔の穴という穴から、出るもの出ないもの全てを滴らせ、ブランブランの腕で必死に妖精の手を取る男がいる。


それがはじまり。
それは、勇者として旅立った彼の伝説とともに、確かに在った物語の。
もう二度と語られることのない、彼とは違う、尋常でない者の物語の。


魔王を倒す、世界を救う、そんな、もうひとつの物語の。

22 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:23:58 ID:RbYedIHQ0


     ( ^ω^;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;......................................
             ザァァァァァァァァァ……





        ('A`)の悪意は、勇者も魔王も巻き込んで巡るようです

         序幕 トイレから出て、はじまりの契約を。_
                              カタカタカタカタ…カタッ!







                      「じゃ、さっそく……ヒール!」
                      「な、治った!? 治ったあああああよっしゃああああ!!」

23 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:24:50 ID:RbYedIHQ0
――グーの港町 夕方――


Σξ;゚听)ξ 「信じらんない! お母さんにそんなこと言ったの!?」

('A`)「おうよ。言ってやったね。そしたらババァがキレやがってよ、まったく低脳はこれだから……」

ξ゚听)ξ 「低脳はあんただ! もうおにぃなんか死んじゃえ!」


数時間後、俺は暮れなずむ港町にいた。
実は俺には妹がいる。まぁ見ての通り、俺に死んじゃえとかぬかす頭の足りないアホだ。
アホなのはそれだけじゃない。信じがたいことに、こいつは定職に就いているのだ。


ξ゚听)ξ 「で、仕事帰りの私を捕まえて何の用……って、知れきってるけど」


そしてこいつの労働時間(人生浪費時間と言い換えてもいい)はキッチリ把握している、賢い俺だった。
汗まみれの汚臭にも我慢して(俺だってそれくらいの社交性はある)、汚らしい喫茶店に連れ込んだのだ。


('A`)「無論、たまには妹の住む家を確認しようと思ってな。 男でも連れ込んでいたらコトだろ?」

ξ゚听)ξ 「おにぃのやらかしたことの方が、よっぽどコトだと思うけど」

('A`)「才ある者の行為は高尚すぎて一般人には理解されかねるからな、そういうことだ」

24 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:25:33 ID:RbYedIHQ0
ξ゚听)ξ 「要は派手に家出して行くところ無いから泊めて、ってことでしょ? ……まぁいいけどさ、」

('A`)「おうそうか! じゃあ早速」

ξ゚听)ξ 「いいけど、その前に説明してよ。……このチビな妖精、なに?」


ミセ*゚ー゚)リ「どうも〜」


('A`)「ば、バカ何言ってんだお前、ミセリさんを怒らすようなこと言うなよ!」

ξ゚听)ξ 「ミセリっていうの?」

('A`)「『さん』を付けろよデコ助野郎! このお方が本気になったらお前、お前なんかアレだぞ!」

ξ゚听)ξ 「ワケ分かんない……し、何で妖精なんかにそんなビビッてんのよ」

('A`)「うわあああああすいませんすいませんこいつバカでクズなんですすいませんミセリさん!」

ミセ*゚ー゚)リ「ん〜、苦しゅうないですよドクオさん」

ξ;゚听)ξ 「……何なのこれ……妖精って、法術を使うための媒介でしょ、ただの……」

25 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:26:18 ID:RbYedIHQ0
('A`)「バカ、ミセリさんをその辺の妖精どもと一緒にすんな! すげぇんだぞミセリさんは!」

ξ;゚听)ξ 「……どの辺が?」

('A`)「なんと、妖精なのに自分で法術を使うんだ! それも超強力なヤツな!」

ξ゚听)ξ 「……そうなの?」

ミセ*゚ー゚)リ「ええ、そう『でした』、って感じですけど」

ξ゚听)ξ 「へぇ、それはちょっと凄いわね? 500年くらい生きてると、そういう妖精もいるんだっけ?
      でもなんで過去形なの?」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、ドクオさんと契約しましたので。私はもう、ドクオさんの意思なしに法術は使えません」


椅子から下りて地べたに頭をこすりつけていた俺の耳に、そんな言葉が聞こえた。
使えない? 法術を? この押しかけ誘拐妖精は、今そんなことを言ったか?


('A`)「……マジか?」

ミセ*゚ー゚)リ「マジですよ、したでしょ、契約」

ξ゚听)ξ 「……うへぇ、あんたセンス悪いわね、何でこんなのと契約なんて……」


ツンの超絶失礼な物言いも、今は耳に入らない。

26 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:27:02 ID:RbYedIHQ0
(゚A゚)「ンだとテメェ、じゃ今まで俺は無駄にお前なんかにへりくだってたのか?」

ミセ*゚ー゚)リ「んー、まぁ見方によってはって感じ?」

(゚A゚)「はじめてですよ……ここまで俺様をコケにしたおバカさんは……!」

ξ゚听)ξ 「あ、なんか事情が見えてきた。やるじゃん、このバカの乗りこなし方がよく分かってるわね」

ミセ*゚ー゚)リ「お褒めにあずかり光栄です、何しろ私はドクオさんの妖精ですので」

(゚A゚)「何テメェら和やかに談笑してんだコラ! ってことは何だ、今の俺様は法術使い放題なんだろ!?」

ミセ*゚ー゚)リ「ええまぁ、私は地属性の妖精だから、地属性の法術だけだけど」


そういうことなら話は早い。罪の報いは針の尖という。
この、人を傷つけることをなんとも思わない鬼畜妖精に教育を施してやる必要があった。


('∀`)「はぁっはっはっは! 妖精ミセリ! 俺様への非道をあの世で詫びろ!
    正義の礫に砕け散れ! 攻法・イシツブテ!」



……………。
しかし なにもおこらなかった!

27 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:27:42 ID:RbYedIHQ0
(;'A`)「あ、あれ? イントネーション違ったか? 攻法・イシツブテ……」

ξ--)ξ 「……つくづく、おにぃのアホさ加減が嫌になってきた……っていうか、モノ知らなさすぎ……」

(;'A`)「な、なんだどういうことだ!? どうしてイシツブテが出ない!?」

ミセ*゚ー゚)リ「そっかー、ドクオさんはこれから法術師さんになるんだもんね。じゃあ私から説明するね。
     法術というのは、人には出来ない奇跡を起こすものです。これは知ってるでしょ?」

('A`)「もちろんだ、お前俺をバカにしてんのか」

ξ--)ξ 「バカだから説明されてるんだけどね」

ミセ*゚ー゚)リ「で、法術っていうのは2つのプロセスで成り立ってるんだよ。
     ひとつ、人間さんが妖精に奇跡を祈ること。ふたつ、妖精が世界から奇跡を呼び出すこと」

ξ゚听)ξ 「ちなみにこれ、神学校の1年のときに習ったからね」

ミセ*゚ー゚)リ「だから、逆に言えば法術師さんの周りに妖精がいないと、法術は使えないの」

('A`)「……お前がいるからいいんじゃないの?」

ミセ*゚ー゚)リ「私がいたぐらいじゃ、どうにもならないよ。
     人間さんたちが妖精の密度を表す指標で言えば、私だけいても0.1%も変わらないんじゃない?」

28 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:28:54 ID:RbYedIHQ0
('A`)「……じゃあたとえば、イシツブテを使おうと思うとどれぐらいの密度がいるの?」

ミセ*゚ー゚)リ「最低でも30%くらいかなー」

('A`)「世の中はどんだけ妖精に満ち溢れてるんだよ!?」

ミセ*゚ー゚)リ「まぁ、普通の妖精は私よりもっとずっとちっちゃいし、姿も見えないしねー」

ξ゚听)ξ 「ちなみにここの妖精密度は0ね。漁協がトラブル防止のために妖精を入れないようにしてるから」

ミセ*゚ー゚)リ「人間さんの町の中は大抵そうなってるんですよね。
      法術を使ったケンカなんか起きたら、普通に人が死んじゃうし」

(;'A`)「ふ、ふん! なら町を出てお前をぶっ倒せばいいんだろ!」

ミセ*゚ー゚)リ「ううん? ドクオさんの場合は私に祈って法術を使うワケだし。
      ……そういうプレイもいい感じだけど、やっぱり痛いのはちょっとヤ」

ξ;゚听)ξ (こいつも大概ネジ飛んでるわね……)

ミセ*゚ー゚)リ「あと、妖精には属性があるよ。法術に対応する妖精がいなければ、やっぱり奇跡は起こせないの」

ξ゚听)ξ 「まぁそういうわけで、町中で法術使おうとするの恥ずかしいからやめてね」

29 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:29:34 ID:RbYedIHQ0
そして2人は、超・上から目線で俺を見つめるのだった。
……くそ、俺は家から出ないタイプなんだぞ? そんなことを知らないのは当たり前じゃないか!
そんな人間にこんな冷たい物言いをして勝ったような気になる……なんて低俗なことだろう。

だがまぁ、俺は分別のある大人なので、その辺の怒りはぐっとこらえることにする。
別に、これ以上余計なことを言ってボロを出して恥をかくのがイヤとかじゃない。念のため。

30 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:30:17 ID:RbYedIHQ0
だがしかし、ミセリの話には、決定的な矛盾があるように思う。それはつまり、


('A`)「……さっきの話じゃ、妖精はここに入れないんじゃないのか?」

ミセ*゚ー゚)リ「んー、私はまぁ、ちょっと特別だから。さっきツンさんも言ってたけど。
      あ、ツンさん、私もお茶頼んでもいいですか? いい匂いで……」

ξ゚听)ξ 「あら、紅茶好きなの? いいわよ、あんたのこと気に入ったし」

ミセ*゚ー゚)リ「やったぁ!」

(;'A`)「ま、まだあるぞ! お前そもそも、何で俺に法術なんて力を与えたんだ!?」


俺の言葉に、手を挙げて店員を呼び止めようとしていたミセリが凍った。


ミセ;゚ー゚)リ「……ど、ドクオさん聞いてなかったの? 契約のときに言ったよ?」

(゚A゚)「あんな状態でマトモに聞けるワケねーだろ! 押し売りよっかタチ悪ぃじゃねーか!
    話によっちゃクーリングオフすっからな! 今どき、あんなヤクザみてーなやり口が通用するか!」

ミセ;゚ー゚)リ「ま、まぁ妖精との契約は布団の訪問販売じゃないから、そう簡単には解除できないけど」

(゚A゚)「御託はいい! で、俺に近づいた目的は何だ!? やっぱりアレか、資産パクって練炭自殺を装っ、」

ξ;゚听)ξ 「わー待った待った待った待った! ちょっと待った! それ不謹慎すぎ!」

(゚A゚)「フーッ! フーッ!」

31 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:31:07 ID:RbYedIHQ0
ミセ*゚ー゚)リ「…………」

ξ゚听)ξ 「ご、ごめんね。おにぃってほら、ニート童貞ヒッキーブサイクにネクラがついて三倍満、
      って感じだからさ。ちょっと被害妄想と思い込みが激しいのよ」

('A`)「おいちょっと待て、何だその喩え。そして最底辺に低いな俺の評価」

ξ゚听)ξ 「おにぃは黙ってて! 話がこんがらがるから!
      ……こほん。えっと、ミセリ。確認するんだけど、確かにしたのね? おにぃと、契約を」

ミセ*゚ー゚)リ「ええ。ついさっき」

ξ゚听)ξ 「……まずからしてそこが信じられないんだけど、まぁいいわ。そこは置いとく。
      おにぃの言い分も分からなくはないかもね。ずいぶん強引な手を使ったんでしょ?」

ミセ*゚ー゚)リ「〜♪」

ξ゚听)ξ 「おにぃが、妖精と契約なんて面倒くさいこと、ホイホイ受け入れるはずないもんね。
      一度交わされた妖精との契約は、妖精の望みを叶える以外に解除する方法はないし」

(゚A゚)「ないの!?」

ξ゚听)ξ 「私の知る限りはね。でもまぁ正直、おにぃが何されようが、別にどうでもいいのよ」

(゚A゚)「いいの!?」

ξ゚听)ξ 「だから黙っててってば!」

32 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:31:49 ID:RbYedIHQ0
ξ゚听)ξ 「ただね、一応こんなでもおにぃはおにぃだからさ。私としてもちょっと気にはなる、かな?
      ねぇミセリ、あなたは、おにぃに何をさせるつもりなの?」


ツンが問う。その横顔は俺も見たことがないくらいにマジメで、茶々を入れるのは何となく躊躇われた。
そんな顔しないでくれよ、とはちょっと思った。なんだか俺が重大事に巻き込まれているみたいじゃないか。
イヤだイヤだ。そんなのは全然ガラじゃない。

あの時は本当に必死で、ミセリの声など何も聞こえちゃいなかったけれど、どうせ大したことなんか――、





ミセ*゚ー゚)リ「えーっと、簡単に言うとですね、ちゃっちゃと魔王ブッ殺して世界を平和にしてほしいんです」


;:゙;`('A`)
         「ブ―――ッ!?」
ξ゚听)ξ `;:゙;

33 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:32:33 ID:RbYedIHQ0
ミセ*゚ー゚)リ「やだなぁもう、息ピッタリじゃないですか。やっぱり兄妹なんですねぇ」

ξ;゚听)ξ 「いやいやいやいや、やだなぁもう、じゃないでしょ!? は!? 今なんて!?」

ミセ*゚ー゚)リ「でーすからー、ちょっとドクオさんには魔王を倒す旅に出てもらいます」

ξ;゚听)ξ 「……あんたバカぁ?」

(;'A`)「いやいや待て待てツン。魔王っつってもアレだろ? あっちの魔王だろ? なんかこう、なぁ?」

ミセ*゚ー゚)リ「最近20年ぶりに目を覚ましたりして話題もちきりのあの魔王だけど?」

ξ;゚听)ξ 「…………」

(;'A`)「…………」

ミセ*゚ー゚)リ「あれー、2人とも黙っちゃって、どうしたのかなー?
      勇者のパーティー誕生! って瞬間なんだから、ほらもっとスマイルスマイルー」

ξ;゚听)ξ 「冗談でしょ? 冗談よね? だったら笑ってあげる」

ミセ*゚ー゚)リ「大マジですよ?」

ξ;゚听)ξ 「…………じゃあ笑えない」

(;'A`)「…………まったくだ」

34 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:33:13 ID:RbYedIHQ0
ξ;゚听)ξ 「……ひとつ聞くけど、あんた視力いくつ?」

ミセ*゚ー゚)リ「? 人間さんで言うと、4.0くらいだと思いますけど?」

ξ;゚听)ξ 「そのファンタジーなおめめなら、ちょっと見るだけでよぉっく分かると思うんだけど」

ミセ*゚ー゚)リ「なにがです?」

ξ;゚听)ξ 「分かんないなら、あんたの問題はアタマの方かもね。
       ……あのね、おにぃにそんな大それたことが出来るって、あんた本当にそう思う?」

ミセ*゚ー゚)リ「もちろん! ドクオさんにしか出来ないことですよ!」

ξ;゚听)ξ 「分かった。もういい。質問を変えるわ。あんた、ブーンさんって知らない?
       この島に住んでたんだけど。2ヶ月くらい前まで」

ミセ*゚ー゚)リ「ええ、存じてますよ?
      平民の分際で、魔王を倒すとか妄言吐いて出てった夢見がちな男の子でしょ?」

ξ;--)ξ 「…………おにぃ、バトンタッチ」

(;'A`)「え、俺ぇ!? ヤだよこんな電波の相手なんて!」

ξ#゚听)ξ 「元はと言えばあんたが連れてきた野良電波さんでしょーが! 責任持って!」

(;'A`)「うう……俺のせいじゃないのに……。
    あー……まぁなんだ、とにかく俺にはそんなんムリだから。っていうかやっぱギャグだろそれ?」

35 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:34:00 ID:RbYedIHQ0
ミセ*゚ー゚)リ「もう、さっきからどうしたの? ドクオさんらしくないよそんなの!」

(;'A`)「いやだから、もうブーンも行ってるからさ……魔王を倒すとかそういうヤツは」

ミセ*゚ー゚)リ「それがダメなんだってば! あの子じゃダメなの、絶対ダメ!」

('A`)「? なんで?」

ミセ*゚ー゚)リ「だって、私が選んだのはドクオさんだもん! だからあの子じゃダメなの!」


あー、なんだ。帰っていい? 俺帰っていいよな? そうだほら俺、鍵とか財布とか家に忘れてきたし。


ξ#゚听)ξ 「ちょっ、何ナチュラルに席立とうとしてんのよおにぃ!」

(#'A`)「ンなこと言ったって無理だよ! 魔王とか以前にまずコイツが倒せねぇよ!」

ミセ*゚ー゚)リ「だからそんなことないって! ドクオさんならできるの!」


(#'A`)        お前       ろや
『ちょっと     は黙って   !』
ξ#゚听)ξ      アンタ      て


ミセ*゚ー゚)リ「いやん♪ やっぱり息ピッタリ! ちょっと嫉けちゃうなー」

36 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:34:43 ID:RbYedIHQ0
ツンと目線を交わすこと1秒、無言の了解でもって、俺たちは同時に席を立つ。


ミセ*゚ー゚)リ「?」


なぁんも考えてなさそうな電波妖精の目線はとりあえず無視して、2人だけで店の隅っこに場所を移した。
ツンは、観葉植物で周囲の目線が遮れる一角に乱暴に腰を下ろすなり、絵に書いたような三角目で、


ξ゚听)ξ 「何なのよアレ! おにぃ、あんなのとホントに契約しちゃったの!?」
      っていうか、おにぃがお母さんとケンカしたのが全部悪いんでしょ! どうすんのよ!?」

(;'A`)「今さらそんなこと言ってもしょーがねーだろーが! こうなっちまったモンはよぉ!」

ξ゚听)ξ 「とにかく、私はこれ以上関わるのパスだから。おにぃが何とかしてね」

(;'A`)「つめてーなー! たった2人の兄妹だろ!? ここは手と手を取り合ってだな、」

ξ゚听)ξ 「……今まで、一度だってそんなことあった?」

(;'A`)「…………ないけどさぁ!」


勝ち誇ったようにツンが笑って、それで話はおしまいだった。
長い髪をはためかせてきびすを返し、イヤミったらしい陽気さで戻っていく。

いやもう、それは実に見事な「エンガチョ切った」だった。
さすが俺の妹。褒めてやりたいくらいだ。エンガチョ切られた当事者が俺でなければな。

37 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:35:36 ID:RbYedIHQ0
('A`)(…………)


何とか、あの電波妖精との契約を解除する方法を考えて、考えて、考えて、


('A`)(……アホらしくなってきた……)


集中力のない俺だった。ものの30秒ももたなかった。
もう何もかもがめんどくさくなってしまって、


('A`)(……トイレ)


さすがは飲食店、もちろんトイレは完備されているのだった。
とりあえずは、アレだ。ここで篭城戦といこうじゃないの。ヤツの気力が折れるまで。

38 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:36:17 ID:RbYedIHQ0




ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさん、遅いですね? どこ行ってるんでしょ?」

ξ゚ー゚)ξ 「さぁ? 何しろこれから世界を救わないとだもんねぇ。多分出発前のトイレにでも、」


ξ;゚听)ξ 「はっ……トイレ……まさか!?」

39 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:36:59 ID:RbYedIHQ0
やっぱりというか何と言うか、俺の行動などツンにはお見通しなのだった。
篭城をはじめて5分も経たずに感付かれた。

扉がドンドン容赦なく叩かれてる。あ、なんか既視感。そして店の人に迷惑だぞ。俺が言うのもなんだが。


ξ#゚听)ξ 「バカにぃ! さっさと出て来い! 外でまでトイレに篭るってどういう神経してんの!?」


扉越しに、ちょっと曇ったツンの声。


('A`)「うるせー。俺様はいついかなる時も手段を選ばんのだ」

ξ#゚听)ξ 「黙れ真性! いっつもいっつも、困ったことがあったらそれっきゃできないのね!」

('A`)「何とでも言え。この世のありとあらゆるトイレは俺様の聖域なんじゃ」

ξ#゚听)ξ 「家でなら幾らでも篭ってくれて構わないけどね、私の世間体のためにやめろってのよ!
       私、この港で働いてんのよ!? ヘンなウワサ立ったらどーすんの!?」

('A`)「お前の言い分など知ったことかー。いっそお前も職を失ってしまえー。一緒に不幸になれー」

ξ#゚听)ξ 「殺す! 殺すから出て来い!」


そんな、生産性のない押し問答をする。

40 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:37:44 ID:RbYedIHQ0
('A`)「とにかく、俺はそこのタチの悪いスカウトみたいな妖精の言いなりにはならん。
    ああもう、いっそここに住もうかな。水は出るし灯りはあるし、意外と快適かも」

ξ#゚听)ξ 「や――め――ろ――!!」


ついにツンは叫び出してしまった。自身の行動もよっぽど耳目を集めているだろうに。
この分だと、どの道あいつ、今の職場、もう長くないな。ざまぁみやがれ労働厨め。


('A`)「トイレの中楽っしー! 何しろ面倒なことが何一つねーからな!
    きゃっほー! 俺もう便器と結婚す……ん?」


そのとき、俺の言葉にいちいち反応してギャンギャン吼えていたツンの声が、いきなり途切れた。
その代わりに、静かな足音が徐々に近づいてきて……多分、扉の前で止まった。

声。


ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさん、聞いて下さい」


ミセリだった。


('A`)「な、なんだよ。言っとくが、お前が何と言おうと俺は行かないぞ。説得は無駄だ」

41 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:38:43 ID:RbYedIHQ0
ミセ*゚ー゚)リ「んー。じゃあまず、ね、ドクオさん、彼が魔王を倒せると思う?」

('A`)「彼……って、ブーンだろ。いや、そりゃ分からんよ。っていうかまぁ、確かにそうさ。ムリだわな。
   アイツは特別強くもない。何か運命とかがあるわけじゃない。普通のヤツだしな。そりゃまぁ、ムリさ」

ミセ*゚ー゚)リ「でしょ? 私もそう思う。あの子にはムリなの。だから――」

('A`)「その『だから』がおかしいんだよ。なんで『だから』って俺が行くってことになる?
   ムリとは言ったがね、それでも俺なんかに比べりゃ1兆倍も可能性はあるだろうよ」

ミセ*゚ー゚)リ「…………」

('A`)「なぁそうだ。もしお前、本当に魔王を倒したいんならさ、それこそブーンと契約したらどうだ。
    根性だけはあるからな。宝くじより分は悪いが、もしかしたらラッキーヒットが出るかもよ」

ミセ*゚ー゚)リ「ねえ、ドクオさん? 自分を変えたい、って思ったことない?」

('A`)「ないね。ましてやヒーローなんてさらさらない。ウチじゃ勇気とやる気はいつも品切れなんだ」

ミセ*゚ー゚)リ「そうかー……」

42 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:39:28 ID:RbYedIHQ0
('A`)「そうだ。お前は人選を間違えたよ。法術師って滅茶苦茶儲かるからな。未練はあるけど、」


ミセ*゚ー゚)リ「……ごめんね、ドクオさん。ごめんなさい」


('∀`)「お、なんだ、ようやく分かってくれたか?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん。私はドクオさんにとってお騒がせな貧乏神。そうでしょ?」

('∀`)「そうそう。だからとっとといなくなってくれ。頼むよ」

43 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:40:11 ID:RbYedIHQ0
ミセ*゚ー゚)リ「ねぇドクオさん? そこにも窓あるでしょ? ちょっと、開けてみて?」

('A`)「何だよ藪から棒に。ビックリ箱よろしく何か飛び出すってか?」

ミセ*゚ー゚)リ「いいから」

('A`)「ったくしょうがね……え?」


換気用の、小さな窓を開けた。窓は港の通りに面していて、そこには夕方の、生活感溢れるいつもの景色が、

なかった。


(;'A`)「な、何だよコレ!?」


いや、景色そのものはいつも通りなのだ。
船員が車座に座って賭けポーカーをしている。市場帰りのおっちゃんが、デカい荷車を引いている。
空にはカモメが飛んでいるし、港には漁船が幾つも係留されている。それは、まったくいつもの光景だ。

ただ、彼らは動かない。まるで1枚の絵画のように、船の帆までが、風を孕んで膨らんだまま……静止していた。


('A`)「おい何だよ!? これお前がやったのか!?」


返事は、肯定を孕んだ沈黙。
現実に理解が追いついてようやく、異様に静かになってしまった世界に気付く。海鳴りすらも死んでいる。

44 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:40:56 ID:RbYedIHQ0
ミセ*゚ー゚)リ「そ。私」

('A`)「だ、だって、お前法術は……だいたい、そうだ。ここじゃ使えないんだろ!?」

ミセ*゚ー゚)リ「……ふふ」


ミセリが薄く笑う声。剃刀の刃で心臓を撫でられたような気がした。


ミセ*゚ー゚)リ「これはね、法術じゃないんだ。――魔法。
      それよりごめんねドクオさん。実はドクオさんに選択肢なんて無いの」


胃の辺りをこう、酸っぱい感じのするモノがこみ上げてくる。
即答した。なんだかもう、逆に頭が冷えて冷静な声になった。


('A`)「イヤだ」


即答された。ハナから即答されるだろうなと思っていた。


ミセ*゚ー゚)リ「ごめんね」

45 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:41:39 ID:RbYedIHQ0
会話はそれだけで、後はもう、何を話しかけてもミセリは返事をしない。
ただ何かボソボソ言っている押し殺した声だけが扉越しにも微かに聞こえて、

トイレのドアの隙間から、強烈に白い例の光が漏れた。


ああ……やっぱりさよならだ、俺の平穏な生活。
いつかは終わるんだろうなと思ってはいた。けどこう、出来ることならもうちょっとマシな形がよかった。
なんだってよりにもよって、ああくそ、やっぱりムリだムリ! っていうかイヤだ!


('A`)「イヤだあああああああああぁぁぁぁぁぁぁ........」


俺の叫びすらもかき消す、強い強い光。

46 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:42:22 ID:RbYedIHQ0
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47 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:43:05 ID:RbYedIHQ0



      The malice of Dokuo goes around the world ;with drag in The HERO and The Devil.

------------------------------boon side.

48 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:43:59 ID:RbYedIHQ0
――ジモットの町 酒場――


いやまったく実際、参った。この町でゆっくり腰を下ろせる場所といえば、どうやらこんな酒場しかないらしい。
いやいいよ。僕だけならいい。けれど今はクーを連れているわけで、となるとどうにも酒場っていうのはなぁ、と思う。

とはいえ、まぁそれでも贅沢ではあるか。
旅慣れない頃は、こうして町にたどり着くことすら出来ずに野宿、なんてこともたくさんあったんだから。


(;^ω^)「いやーホントごめんだお。こんな騒がしい場所しかなくて」

川 ゚ー゚)「そんなことない。たまにはいいんじゃないか、にぎやかなのも」

(;^ω^)「そう言ってくれるとありがたいけど……ほら、タバコの煙とか。大丈夫かお?」

川 ゚ -゚)「……まったく、ブーンはそうやってすぐ私を過保護にする」

(;^ω^)「そうは言うけど……」


ここジモットは、炭鉱の町、労働者の町だ。そういう町の義務として、ここの空気はとても埃っぽい。
そりゃグーだって似たような町だったけど、やっぱり海と山とじゃ全然違うし。


川 ゚ー゚)「そんなことより、何か食べよう? お腹が減った」

( ^ω^)「そ、そうかお。じゃあ……ってうわぁ、何だこのメニュー。ソーセージしかないお……」

49 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:44:44 ID:RbYedIHQ0
( ^ω^)「しっかしもー、うんざりだおー。何か陰謀すら感じるおー」

川 ゚ -゚)「……確かに、今日のモンスター狩りは大変だった」

( ^ω^)「行く先々で都合よくトラブってんじゃねー、って言いたくなるお。
    本当なら鉱石を売ってもらってプララに帰るだけのはずだったのに……」

川 ゚ー゚)「まぁ、ブーンは魔王を倒す勇者だもんな。これくらいの人助けは当たり前だ」

(;^ω^)「とはいえ、炎の洞窟で妖精と契約するためだけに、もう1ヶ月くらいたらい回しだお……。
     アクトビラの村長のお使いとか、ハイホーのトロル退治とか……」

川 ゚ー゚)「着々と力も上がってきてる。文句ばっかりはよくないよ、ブーン」

(;^ω^)「はいはい、だおー……」


一緒に着いてきてるクーだって相当に疲れているはずなのに、こういうところはさすがだな、と思う。
彼女が弱音を吐いているところを見たことがない。今までも、何度も心の支えになってもらっている。

やがて注文の山盛りウインナーがやってきて、料理としてはあまりにも雑なその外見に
若干げんなりしながら、それでも手を伸ばそうと思ったそのとき、

 _、_
( ,_ノ` )y━・~「おう……コイツは本日のMVPじゃねーか。
        いつの間にかいなくなってたと思ってたら、なんだい? こんなトコでチチくりあってたのか?」


炭鉱の、渋沢主任と呼ばれていた作業夫だった。

50 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:45:26 ID:RbYedIHQ0
(;^ω^)「おわっ、別にチチくり合ってたワケじゃないですお!」
 _、_
( ,_ノ` )y━・~「いいねぇ……若いってのは。だがほれ、ちょっとはこっちにも顔出してくれよ。
        今日は俺たちにおごらせてくれ。何しろアンタはヒーローなんだからな」

(;^ω^)「わっ、わっ! 腕引っ張らないで! 分かった行きます、行きますから!」
 _、_
( ,_ノ` )y━・~「そうこなくちゃな。ほら、そっちの嬢ちゃんもだ。なに、酌をしろなんて言うヤツはいねーよ」

川;゚ -゚)「う、わ、」

(;^ω^)「わぁちょっと!? クーは体が弱いんですお!? そんな乱暴に」
 _、_
( ,_ノ` )y━・~「はっはっは、ソイツは面白い冗談だな。こんな強いお嬢ちゃんが何だって?
        やめてくれよな、俺たちの面目がなくなっちまう」

(;^ω^)「ちょっ、ホントなんですお! クーは生まれつき体が、」

川 ゚ -゚)「ブーン、しっ」

( ^ω^)「く、クー?」

川 ゚ー゚)「私は大丈夫。水を差すのはよくない。ご相判に預かろう。たまには悪くない」

(;^ω^)「おっおー……ムリしちゃダメだお?」

51 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:45:37 ID:3vKFS5C60
投下の邪魔してやるよ
はっはっは

52 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:46:16 ID:RbYedIHQ0
炭鉱の町のとある酒場から、男たちの大合唱が聞こえてくる。実にムサい。
だが歌声は力強く、いつまでも衰える気配がない。

それは、炭鉱を救った新たな英雄の誕生を喜ぶ歌。
2ヶ月前にグーから飛び出したブーンたちを、勇敢に送り出す歌。


酒場の中には、体育会系の地獄そのものがある。

半裸の男2人が、テーブルの上で決闘を始めていた。その周りで巻き起こる足踏み。飛び交う賭け金。
また別のテーブルでは、べろんべろんの酔っ払いどもがカードに興じている。ディーラーまでもが前後不覚で、
勝負は泥沼ゲロ沼底なし沼の様相を呈している。
どこからかギターを引っ張り出してきて、ひたすらにかき鳴らす男がいる。
何を勘違いしたのか、いきなり脱いだブーツに酒を注いでいる男がいる。


その中心には、むちゃくちゃな歌声とムキムキの筋肉にもみくちゃにされているブーンがいる。
嫌がってはいるが、その顔に浮かんでいる笑みをクーは見逃さない。


クーは、こっそり店を出た。夜は更けつつあって、それでも町は熱気に包まれている。
この熱は多分、明日の夜明けまで引くことはないのだろう。
男たちは明日も、二日酔いに死にかけの形相で炭鉱に向かうのだろう。

月がきれいだ。

――ドクオ、どうしてるかな。

53 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:47:50 ID:RbYedIHQ0





――大陸 アクトビラの町外れ――



ミセ*゚ー゚)リ「…………はい、はい。ええ、強引ではありましたが、なんとか連れ出しました」

ミセ*゚ー゚)リ「異分子は1名おりますが。はい。問題は無いはずです。むしろ好都合かと」


だだっ広い草原が広がっている。王国本土とはいえ、アクトビラのあたりはまだまだ田舎だ。
その草原の、割と突拍子も無いところに、チビな妖精が立っていた。
チビはブツブツ独り言を言っている。何も無い眼前を、遠い目で見つめながら。


ミセ*゚ー゚)リ「ええ。イヤでも彼は強くならなくてはいけないですから。彼女のために」

ミセ*゚ー゚)リ「はい。まずはアクトビラ……ですね。おそらく、ちょうど頃合でしょう」


言っちゃなんだが、怪しい。実に怪しい。

54 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:48:39 ID:RbYedIHQ0
ミセ*゚ー゚)リ「ブーンがこの町を去ってから、もう2週間は経っているはずですから。ええ」

ミセ*゚ー゚)リ「はい。いよいよ、ですね」


感慨深げに、妖精は深いため息をひとつ。


ミセ*゚ー゚)リ「はい。では交信を終わります。次は……ハイホーあたりになりそうです」


よく見れば妖精の傍らには、2つの死体のようなものが転がっている。
目を覚ます気配が無い、どころか、呼吸すら危ういレベルでピクリとも動かない。

妖精がようやく、その2つの――兄妹を顧みた。
呟く。


ミセ*゚ー゚)リ「……信じてますからね。世界を救ってくださいね、ドクオさん」


呟きは風に乗って、ついに誰の耳にも届くことはなく。

55 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:49:35 ID:RbYedIHQ0



懐かしい夢を見た。
あれはまだ、そうだ。俺が、あのクソ妖精ほどの背丈くらいしかなかった頃の話だ。


( ^ω^)


俺とブーンはその頃、まるで友だちのように遊んでいた。
ああそうさ。グーみたいなクソ狭い島にさえ生まれなければ、あんな島民総お隣さんみたいなトコじゃなければ。
もっと選択肢があったなら、誰が好き好んであんなヤツと遊んだりするものか。


('A`)


だがともかく、俺とヤツは一緒に遊んでいた。でも俺は心底ヤツのことが嫌いだった。
ヤツも俺のことを見下しきっていた。断言するね。アレは絶対、友だちなんかじゃなかった。


( ^ω^)「ドクオ、キミは将来なんになるんだお?」

('A`)「将来? ブーンはそんなこと考えてるのか」

( ^ω^)「おっおっおっ、当たり前だお? 大事なことだお、人として。まさかドクオは考えてないの?」

(;'A`)「ば、ばか、そんなわけないだろ! 考えてるよ、もちろん!」

56 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:50:18 ID:RbYedIHQ0
実にイヤミったらしい野郎だ。
今なら断言できるが、そんなことを言うブーンだって絶対、あんなことを言い出す前日までは、
そんなこと考えたこともなかったに決まっている。

だが俺は焦った。うそ、マジで? コイツそんなこと考えてるの? あれ、オトナじゃね?
そんな風に、焦りに焦った。


( ^ω^)「じゃあ言ってみろー。どうせまたドクオのウソだおー?」

(;'A`)「だ、だからそんなことねぇって! 考えてるよ……考えてる!」

( ^ω^)「ふーん。で? ドクオはなんになるんだお?」

(;'A`)「ま、まだ考え中なんだよ! まだ悩んでるの! 俺たちにはムゲンのカノウセイがあるんだ!」


それでもブーンは、俺のことなんかまるで信じちゃいない目でジロジロ見やがった挙句、こう言った。


( ^ω^)「まぁいいお。じゃあ、ドクオの未来が決まったら、その時教えっこするお!」


…………。
あれから何年も経ったけど、結局その話はその場限りだった。
だから俺は、あの時、本当にブーンが自分の将来を決めていたのかを知らない。


なぁブーン、デベソの泣き虫バカブーン、お前はやっぱり、あの時から決めてたのか?
今はそれが、少し知りたい。

57 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:51:01 ID:RbYedIHQ0






      ...to be continued

58 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 03:53:18 ID:RbYedIHQ0
じゃあまあ、今日のとこは以上で。

59 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 04:41:04 ID:3vKFS5C60
乙!

俺の好きな題材だ
ゆっくり早く書いてくれ

60 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/07(火) 12:38:28 ID:Qj/6VKrw0
乙乙!
続きをwktkして待ってるぜ

61 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/10(金) 01:01:15 ID:dfLxKAIw0
丸一日パンツ脱いで投下待ってるんだけど、そろそろ風邪ひきそう

62 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/11(土) 14:10:27 ID:eWaHuL2g0
面白い
続きに期待

63 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/11(土) 23:06:00 ID:Rd1OKQ9I0
おまたせしてます1です。
この話は全22話。で、1年くらいかけてゆーっくりやる予定なので、ヒマになったら観に来る、くらいのつもりでいてもらえれば。
いつの間にか投下しておきますので。現在、2話が25%くらいできてる状態です。ではまた。

64 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/13(月) 17:35:17 ID:vEtaCnXs0
>>63
おー期待してる。がんばれ

65 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/13(月) 23:44:09 ID:9qfPbKWEO
まとめられてたよ 
http://boonsoldier.web.fc2.com/akui.htm

http://naitoutekiseikatu.blog31.fc2.com/blog-entry-69.html

66 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/14(火) 21:21:41 ID:WX6EBAR.0
面白いね

67 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/14(火) 21:58:59 ID:tcOjTKt6O
面白い。続きに期待。
がんばって。

68 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/09/16(木) 07:24:45 ID:DT4CLgi60
期待

69 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/10/07(木) 02:03:55 ID:BnBYoLIs0
続き期待してるぜ?

70 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/10/08(金) 22:21:54 ID:GDA5gar2o
逃亡か面白かっただけに残念

71 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/10/09(土) 00:29:07 ID:zQRh9qAwo
えっ

72 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/08(月) 03:25:00 ID:O4hQNzdo0
まだかあああああああああ!?

73 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/09(火) 12:16:06 ID:R7yyDDlo0
俺は待っているぞ・・・・・・
>>1をずっと待っているぞ・・・・・・ずっとな
帰ってこいよ?

74 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/24(水) 22:19:08 ID:Dk8fOfVg0
早く投下

75 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/01/06(木) 09:32:27 ID:SYcyKna20
待ってるぞ

76 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/24(木) 09:55:22 ID:/wK54u6k0
待ってる

77 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/24(木) 19:54:42 ID:.g4N8GhQO
避難所投下だったのか。続き読みたいな

78 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/25(金) 00:36:20 ID:Q98sCQ7.0
おもしろい好きなジャンルだ期待してまってます

79 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/27(日) 23:48:11 ID:N62PBn4A0
期待


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