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从 ゚∀从は鋼鉄の処女のようです

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 19:58:42.27 ID:g+Jx5pjG0
代理


2 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:02:26.33 ID:K6n7isFS0
>>1

↓初北産業↓
サイバーパンク
オムニバス
ノワール

まとめサイト(ブーン芸VIPさん)
http://boonsoldier.web.fc2.com/maiden.htm

いっきまーす

3 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:05:18.67 ID:K6n7isFS0
track-ξ

――機関砲の掃射音とアラブ人達の断末魔を聞きながら、焔の赤に染まる格納庫内を見回す。
150ミリ戦車砲の一撃で、ボディの損傷率は30パーセントを切っていた。

从 ゚∀从「“大凶”か。さもありなん、だな」

格納庫の中央で虐殺に興じる多脚型戦車。
先に勇壮な一撃を披露してくれた渡辺の秘書官も、戦車砲の爆風で向うの壁際まで吹き飛ばされている。
彼女が見せたあの手刀の一撃は、恐らく右手の五指に仕込んだ光学兵器か何かによるものだろう。
格納式の暗器に部類されるとして、その出力やバッテリー規模は決して大きなものではない。
至近距離でなければ、その真価は発揮されない。
残念ながら、こうも銃弾の雨が激しくては、もう一度あの一撃を期待することは出来そうも無かった。

从 ゚∀从「…とすれば、やはり“これ”を使うしかないのか」

手の中の黒く巨大な銃身を見つめる。
バッテリー残量から見て、撃てるのは後二回…もしくは一回。
シャッターを破るだけで、まさかこれほど消費するとは思わなかった。


4 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:07:34.61 ID:K6n7isFS0
多脚型戦車の装甲を抜くには申し分無い威力なのは証明済みだが、問題はその後。
ざっと見渡した限り、格納庫内に多脚型戦車はあと二機残っている。
運の悪いことに、それらは全て整備の為にネットに繋がっているようだ。
目の前の“化け蜘蛛”一匹を退治したところで終了、とはいきそうもない。
理想はハッカー自身を叩く事だが、相手が何処に居るのかも見当が着かない現状では、それは現実的ではないだろう。

从 ゚∀从「…最近は随分“窮地”と縁がある。いよいよヒーローらしくなってきたということか」

戯言を口の端に上らせると同時、脳核回線がコール音を鳴らした。

('A`)『オレだ』

柄にもなく表情を引き締めた主の顔が、視覚野の隅に映る。

从 -∀从『…貴様か』

何故だろうか。それだけのことなのに、なんとなく、「なんとかなるのではないか」、という気がしてくるのだから不思議だ。
状況の説明を求める奴に、ひとしきり現在の積み将棋のような現状を説明する。
奴はそれを黙って聞き終えると、似合わない真面目な顔で。

('A`)『じゃあ、オレが多脚型戦車の結線ケーブルを全部抜けばいい』

奴らしい、無謀な策を口にした。


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 20:08:03.67 ID:mmyxVaYF0
支援
もう一つのほうはなんだ?

6 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:09:44.70 ID:K6n7isFS0
从 ゚∀从『それで、私があれの相手をすると、そういうことか?』

('A`)『そういうことだ』

从 ゚∀从『配役に異議を唱える。流れ弾に当たったら、貴様では豆腐の失敗作になるぞ』

('A`)『位置的にもこれが理想だ。それに、君も随分と酷い有様だぜ』

主の台詞に、思わず周りを見回す。
炎と硝煙の格納庫に、奴の姿は見当たらない。

从 ゚∀从『今、どこに?』

('A`)『君の心の中だ』

从 ゚∀从『不法侵入で訴えるぞ』

('∀`)『ふひひwwwさーせんwww』

何時もの下らない戯言の応収。
これでいい。私達はこうでなければならない。

从 ゚∀从『…精々、原型が残る様に死ね。葬儀の時面倒だからな』

('A`)『オレも、君のネジぐらいは拾ってやるよ』

通信を切る。
随分と生意気な口を効くようになった主に、頬の人工筋肉が僅かに緩んだ。


7 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:13:43.65 ID:K6n7isFS0
  _
( ゚∀゚)「この状況で嬉しそうな顔をするってどういうことよ。何か、秘策でも?」

从 ゚∀从「まあな」

ジョルジュの戯言を聞き流しながら、“化け蜘蛛”を見据える。
後は主の成功を待つばかりだが、私も何かしないわけにはいかないだろう。

从 ゚∀从「おい!そこのお喋り戦車!」
  _
( ;゚∀゚)「ちょっ――!」从'ー';从

【=-∴-】《あぁん?》

私の上げた声に、“化け蜘蛛”が機関砲の掃射を中止してこちらを振り返る。
狙い通り、だ。

从 ゚∀从「随分と楽しそうだな!今の気分はどうだ?」

出来るだけ奴の注意を引くように、その場で跳びあがり、手を振る。
弱冠わざとらしいが、これぐらいが丁度いいだろう。


8 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:16:00.66 ID:K6n7isFS0
“化け蜘蛛”はその複眼のようなカメラアイを何度も収縮させて私を凝視していたが。

【=-∴-】《あらあらあらあら!なんて可愛らしいお人形さんかと思ったら、ショボンの所のメイデンちゃんじゃなぁい!》

突然素っ頓狂な声を上げると、不可解なことを口にした。

【=-∴-】《あいつがくたばったから、貴女もスクラップにされたと思ってたけど、無事だったのねぇん♪ちょっとぉー、今まで何処に行ってたのよぉん。元気だったぁん?》

从 ゚∀从「…何の事だ?」

【=-∴-】《あ、ガイノイドに元気だった?はないか。あたしったら、OBAKAさん☆》

マニュピレータ―で器用に自らの頭部を小突く“化け蜘蛛”に、私は身構える。
こいつは、私の再起動前の事を知っているというのか?

【=-∴-】《で、今何やってんのよぅ。昔のよしみで教えなさいよぉ》

从 ゚∀从「…私も教えて欲しい。私は、以前、誰の下に仕えていたのだ?」

【=-∴-】《……は?》

从 ゚∀从「以前の私は、どんな私だったのだ?」


9 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:18:20.98 ID:K6n7isFS0
【=-∴-】《……これはこれは。成程、そういうこと。あんた、あたしのことも覚えてないのねん。淋しいわぁ》

思わせぶりな言葉に、私は身を乗り出す。
一瞬相手の策略か何かではないかという考えが過ったが、それすらも凌駕するほど、私は奴の言葉の先を切望していた。

从 ゚∀从「教えてくれ。私は、一体……」

('A`)『ハイン、準備が終わったぞ』

割り込むように映し出される主の顔。
電脳核が急速に冷えていく。
私は今、何を考えていた?
私は今、何をすべきか、思い出せ。

('A`)『後は君が…どうした?』

从 ゚∀从『何でもない。…感謝する』

('A`)『は?あ、ああ、いや、君がやっこさんを引きつけてくれたから……』

从 ゚∀从『矢張り、貴様こそが私の主だな』

('A`)『それはどういう……』


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 20:20:29.72 ID:CKqiwd410
支援

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 20:22:44.39 ID:YzTLw+jgO
支援

12 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:24:31.69 ID:K6n7isFS0
手の中の堅い感触を構えると、その銃口を“化け蜘蛛”に向ける。

从 ゚∀从「気が変わった。悪いがお喋りはここまでにしよう」

【=-∴-】《あらやだ。そんな物騒なもん、昔の同僚に向けないでよ。お股、ヒュンッってなるじゃない》

“化け蜘蛛”が、機関砲を構える。
  _
( ;゚∀゚)「え?え?え?」从'ー';从

从 ゚∀从「積もる話は、また次の機会に聞こう」

(;'A`)『おいハイン、何を……』

引き金は、同時に引かれた。

从 ゚∀从「――」

エメラルドの輝きを放つ銃口。反動に仰け反る上半身。
開発途上で未完成のプラズマキャノンは、携行火器には不相応な出力を今一度再現してくれる。


13 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:27:06.81 ID:K6n7isFS0
足を踏ん張り反動を殺す私に、殺到する銃弾の嵐。

かわせない。
  _
( ;゚∀゚)「馬鹿野郎ぉぉぉぉぉお!」

怒号と同時、横合いから押し倒される私の体。髪を、頬を掠める銃弾。
直撃は、免れた。
  _
( ;゚∀゚)「はぁ…はぁ……何を…考えてるんだ、君は……」

珍しく焦った風に言いながら、ジョルジュが立ち上がる。
どうやら、彼も被弾はしなかったようだ。

从 ゚∀从「貴様なら、目の前の“女の子”を見殺しにするような真似はしないと思ってな」
  _
( ;゚∀゚)「……全く、敵わないね」

頭をかくジョルジュから視線を外し、“化け蜘蛛”を睨む。
プラズマキャノンはちゃんと着弾していた。
少なくとも、着弾は。

【=-∴-】《あぁん!もう、どうなってるの!?前が見えないじゃなぁい!》

飴細工のように溶解した頭部を振り叫ぶ“化け蜘蛛”。
カメラアイを失った奴は、機関砲を四方八方に向けて出鱈目に乱射している。
事態は、好転したとも悪化したとも言えた。


14 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:29:21.32 ID:K6n7isFS0
从 ゚∀从「さて、ここでトドメと行きたいところだが……」

銃弾の暴風に頭を下げ、プラズマキャノンのバッテリー残量を確認する。
無理をすればもう一発撃てるだろうが、あの“化け蜘蛛”にはトドメとならないだろう。
矢張り、先の秘書官と同様に至近距離からの極点集中でなければあの装甲は抜けない、ということか。

(゚、゚トソン「……」

向うの壁際では、件の秘書が銃弾の暴風の突破点を探るように身構えている。
私としても彼女があの“化け蜘蛛”をもう一度駆除してくれれば言う事は無いのだが、そうも言ってられない。

(;'A`)『おい、ハイン!』

从 ゚∀从『貴様か。他の多脚型戦車はちゃんと全部スタンドアローンにしたんだろうな』

(;'A`)『そんなことより何をやってるんだよ君は!冷や冷やさせるんじゃない!』

从 ゚∀从『今ので貴様も、私が何時もどんな思いで貴様のお守をしているかがわかっただろう?』

(;'A`)『ったく、屁理屈を……で、どうする?あの“お喋り戦車”、まだピンピンしてるぜ』

从 ゚∀从『ダメもとでもう一度プラズマキャノンを叩きこんでみようと思う』

('A`)『ダメだね。倒しきれなかったら、奴に位置がバレて今度こそハチの巣だ』


15 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:31:40.64 ID:K6n7isFS0
从 ゚∀从『ならば、貴様の策は?』

('A`)『まぁ見てろ』

不敵な笑みを浮かべて通信を切る主。
そういう表情は似合わないと言おうとして、私は視界の隅を横切った影に反射的に振り向く。

从 ゚∀从「ん……?」

一瞬、本当に一瞬のことで上手く見えなかった。
何が横切ったのかは分らない。
それでも、その影は私の電脳核内に、「不安材料」として記録された。

【=-∴-】《何処よ?何処に居るのよぉぉぉぉぉ?》

相変わらず、目暗撃ちに機関砲を乱射する“化け蜘蛛”。
火線が、一瞬、途切れた、その刹那。

(゚、゚トソン「――」

戦闘秘書が、飛び出した。

音もなく地を駆け、“化け蜘蛛”へ迫ると、跳躍。
構える右手の先に光る白光。
彼女は“化け蜘蛛”の頭頂部に――。

【=-∴-】《なぁんちゃって♪》

――秘書の頭を、エメラルドの光条が、直撃した。


16 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:34:02.83 ID:K6n7isFS0
( 、 トソン「ギッ――」

跳躍の恰好のまま、彼女は宙を舞い、無残に地に堕ちる。

【=-∴-】《ぶわっかじゃないのぉ!ウケるぅぅぅ!超ウケるんですけどぉぉぉ!ぶひゃひゃひゃひゃ!》

耳障りな哄笑を上げる“化け蜘蛛”。
リニア内、先の執務室内で目にした“あの光”による狙撃に、間違いなかった。

【=-∴-】《あたしがアイカメラを潰されたぐらいでおたおたする馬鹿に見えるのぉ?だとしたら心外だわぁん》

狙撃点を探して、視線を左右させる。
威力から見て、そんなに大きな口径の兵器では無い。
歩兵が携行出来る程度の光学兵器なのだろうが、肝心の狙撃手の姿は今回も見当たらなかった。
サーモセンサーが使えれば分るかもしれないが、燃え盛る炎の中では無理な話だ。

【=-∴-】《ちゃあんと見えてんのよ。あんたらが、どこにいるのか。どれだけ絶望的な顔をしてるのかもねん♪》

嘲るように言ってのけ、“化け蜘蛛”が両腕の機関砲を私達の方へ向ける。
マニュピレータ―の内部からは、弾倉を交換する給弾ベルトの音。
今度こそは、逃げられないようだ。


17 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:36:25.92 ID:K6n7isFS0
从 ゚∀从「さて、それじゃあ白馬の王子様に期待といこうじゃないか」

顔面の人工筋肉を、“不敵な笑み”の形に歪める。

同時、“化け蜘蛛”のマニュピレータから壮絶な火花が上がった。

【=-∴-】《え?ちょ、ちょっと、何事!?》

今度こそ、本心から慌てふためく“化け蜘蛛”。
奴の焦燥を余所に、マニュピレータは橙の火花と共に二つとも主の身から転げ落ちる。
硬質な落下音。
間髪いれず、今度はその頭部が火花を吹き始めた。

【=-∴-】《何よ!?何よ!?何なのよぉぉぉぉぉお!?》

“化け蜘蛛”の悲鳴と共に、格納庫のあちこちからエメラルドの光条が迸る。
火花は“化け蜘蛛”の頭部を縦に走り、やがて。

【=-∴-】《グギッ――》

拍子抜けするような断末魔を残し、“化け蜘蛛”が機能を停止すると共に、エメラルドの光条も収まった。


18 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:38:57.35 ID:K6n7isFS0
「タランチュラの生け作り、いっちょあがりってとこかね」

虚空から、聞き慣れたあの声が木霊する。
視線をやれば、“白馬の王子様”が、今まさに光学迷彩を解除するところだった。

〈ヽ÷〉「しっかし、どんだけ堅いんだこいつは。おかげで手が痺れて敵わんね」

白銀の甲冑が如きフォルムは、渡辺の新型強化外骨格。
騎士が握るのは、回転刃を備えた対装甲用ブレード。
圧縮空気が解放されると共に露わになった仮面の下は。

('A`)「ドクオ騎士団長、只今馳せ参じました、ってか?」

あの、つぶれたヒキガエルのような、“私の主”の間抜け面だった。

从 ゚ー从「……姫は誰だ?」

強張っていた肩が、自然と緩む。
肺があれば、安堵のため息でもついているところだった。

('A`)「えーと……君?」

从 ゚∀从「何故疑問形なのかはこの際不問に処そう。よくやった、大義であった」

('A`)「えーと、身に余るお言葉です?」

お互い、顔を見合わせシニカルに笑う。
矢張り私の居るべき場所は、ここなのだ。


19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 20:40:38.25 ID:eXqrxgAF0
支援

20 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:41:45.64 ID:K6n7isFS0
「おいおい騎士さん!本当のお姫様はこっちだっつーの!」

響き渡る声に、私達は振り返る。

o川;゚ー゚)o「どっくん……」

(*゚∀゚)「これはこれは、白馬の王子様はドジっ子属性なのかにゃあ?」

あの化け物が、そこに居た。


21 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:43:39.83 ID:K6n7isFS0
※ ※ ※ ※

――飛び出しそうになる身を抑え、オレは舌打ちする。
悔しいが、奴の言葉通り、オレは守るべき姫君を間違えていたようだ。

o川;゚ー゚)o「……」

シャッターの向うから現れた奇怪な女の腕の中に居るのは、オレがついさっき守ると誓った依頼人に他ならない。
彼女の首筋に突き付けられた単分子ナイフは、オレの軽率さを嘲うように鈍く光っていた。

(*゚∀゚)「楽しい楽しいパーティーに夢中で、気付かなかったのかにゃ〜?それともぉー、夢中だったのはそっちの“女官”の方かにゃあ?」

白目と黒目が逆になった奇怪な女が、無邪気に笑う。
拘束衣やら包帯やらに身を包んだその格好は、とても正気には見えない。

(*゚∀゚)「まぁ、つーちゃんとしてはぁ、どっちでもいいんだけどぉ」

(;'A`)「……」

(* ∀ )「お前らみたいなケダモノどもは、吐き気がするから死ね、とだ言っときますねぇー」

案の定、その狂気は、至極わかりやすい形で、オレの背筋を凍えさせた。


22 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:45:54.20 ID:K6n7isFS0
(*゚∀゚)「オス、メス、オス、メス、オス、メス。どいつもこいつも腰振りやがってそんなに交尾が大好きですかいやいやそれって生物の本能じゃん仕方ないよ仕方ないよね」

(*゚∀゚)「でもでもそれってどうなのお父さんに怒られない?大丈夫?大丈夫じゃないんじゃない?エイズ?エイズこわぁい病気はやだわ病気はやだにゃあ」

(*゚∀゚)「手術しなきゃ摘出しなきゃお腹切り開いて悪いとこ切り取って治さなきゃ」

うわ言のようにまくし立てると、女は手にした単分子ナイフをキュートの下腹部にあてがい。

o川;゚ー゚)o「ひっ――!」

(*゚∀゚)「メスにゅーとー」

(;'A`)「やめろぉぉぉぉぉお!」

刃を、引かなかった。

(*゚∀゚)「…あん?何だよ、今オペの最中なんだ。邪魔すんじゃねえよ」

剣呑な目つきになり、女はぶつぶつと呟き始める。

(*゚∀゚)「ざけんなよ。こっちはもう十時間以上も人肌に爪を立ててねぇんだ。我慢の限界なんだよ」

一体誰と喋っているのだろう。
不機嫌そうな顔で罵詈雑言をまき散らす彼女は、完全にイカレてしまっているのか。


23 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:48:22.47 ID:K6n7isFS0
(*゚∀゚)「…あ?……本当か?本当なんだな?約束するか?」

やがて、彼女は何か納得のいったような表情で笑うと、オレ達を見据え。

(*゚∀゚)「なぁ、“ヴォルフの尻尾”って知ってるかよ?」

聞き慣れない単語を口にした。

从;'ー'从「……」

ワタナベ達の間に僅かな動揺が走る。
彼女達は“ヴォルフの尻尾”について知っているのだろうか。

(*゚∀゚)「お前ら、それ、持ってんだろ?悪いけど、渡してくんねーかな?」

一体どういうことなのか。
オレに分るのは、この化け物染みた格好の女が、キュートを人質にその“ヴォルフの尻尾”とやらを要求しているということだけだ。

(;'A`)『なぁハイン、“ヴォルフの尻尾”ってなんだ?』

从 ゚∀从『ジョルジュに依頼されて、彼と“それ”を守ってここまで来たのだが…私も“それ”が掌大の小箱の中に入ってるということ以外に、詳しくは知らない』

脳核回線で相棒に聞いても、返ってくるのは要領を得ない言葉。


24 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:50:17.08 ID:K6n7isFS0
从 ゚∀从『何でも、世界を動かすだけの力があるそうで、それを渡辺グループの手に渡すのが私がジョルジュに依頼された仕事なのだが……』

結局よくは分らない。
重要なのは、それがハインの受けた仕事の護衛対象である以上、オレにも無関係ではないということだ。

(*゚∀゚)「おい、早く渡せって言ってんだろう?でないと…」

o川;゚ー゚)o「うっ――!」

化け物染みた女が、単分子ナイフでキュートの肌の薄皮を裂く。
鮮やかな血の筋が、彼女の幼い頬をゆっくりと伝った。

(*゚∀゚)「わかってんだろ?な?」

(;'A`)「……」

正直な話、その“ヴォルフの尻尾”がどんなもので、誰の手にあろうとオレには関係ない。
世界を手に入れられる程の力が秘められていようが、オレにとってはキュートの命に代えられるものではないのだ。
  _
( ;゚∀゚)「…こいつは、最後の最後に面倒な事になっちまったな」

それでも、ここでオレが「そんなもの渡しちまえ」と言うことは、きっと許されない。
これはオレ一人が答えを出していい問題では無いと、そう思うのだ。


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 20:50:59.78 ID:5IJH9n0w0
私怨

26 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:52:26.94 ID:K6n7isFS0
依頼主であるジョルジュさん、彼をここまで護衛してきたハイン、そして、気に入らないがワタナベ、それぞれにそれぞれの思惑がある。

(;'A`)「……」

悔しさが込み上げる。
これじゃあ、「あの冬の日」から何も進歩していない。
やっと、自分から手を差し伸べられるようになったのに。
絶対に守ると、彼女に誓ったのに。
オレは、結局、口先だけのまま終わるしかないのか。

(;'A`)「くそったれ……」

“死力を尽くせ”。あの時彼はそう言った。
けれども今は、その尽くすべき“死力”を押さえ込まなければいけない。
皮肉なものだ。
オレは、ここで何も出来ずに立ち往生するしか……。
  _
( ゚∀゚)「何を、迷ってるんだよ」

('A`)「……え?」
  _
( ゚∀゚)「助けたいんだろ?何で、助けないって聞いている」

(;'A`)「それは……」


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 20:52:35.13 ID:eXqrxgAF0
sienn

28 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:54:25.18 ID:K6n7isFS0
  _
( ゚∀゚)「オレ達に、遠慮してるっていうのかい?」

(;'A`)「……」

答えに窮するオレに彼はため息をつくと。
  _
( ゚∀゚)「ハインちゃん。渡してやれ」

オレの迷いなど馬鹿らしいと言わんばかりに、そう、言い切った。

从 ゚∀从「……依頼主の命ならば、仕方あるまい」

ハインが、腹部装甲の中から小箱を取り出す。

从;'ー'从「ちょっと、どういうつもり!?」

ワタナベが、珍しく取り乱す。
  _
( ゚∀゚)「女の子を見殺しにしてまで、僕はあんたの下で働きたいとは思わないんでね」

いいのか?このまま、小箱を渡して、キュートが解放されて、それでオレは満足なのか?
確かに物事は解決する。
オレの望み通りの、理想の形で、解決する。

だが、それでいいのか?本当に、それでいいのか?

“おい、ドクオ。お前に聞いているんだ。お前は、本当に、それで、いいのか?”


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 20:55:13.59 ID:mx7o7h5n0
支援

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 20:55:49.87 ID:yJZ5CIOj0
しえんえ

31 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:56:57.04 ID:K6n7isFS0
(;'A`)「オレは…オレは……」

(*゚∀゚)「おおおお、物分かりがいいじゃん?それじゃあ、有り難く……」

ハインの差し出した手に、化け物女の手が伸びる。
奴の口元が、その一瞬、怖気がするほど不吉な形に歪むのをオレは見て。

初めから、こいつは、キュートを、生かしておくつもりなんかないと、分って。

(#'A`)「いいわけねぇだろぉがよぉぉぉぉおおお!」

気付けばオレは、強化外骨格の人工筋肉のリミッタ―を解除し、跳び出していた。

(*゚∀゚)「なんだ、おめえ?」

色素の逆転した瞳が、胡乱な形に歪む。
単分子ナイフが、キュートの首筋にあてがわれる。
オレは、対装甲用ブレードを構える。
大剣と、ナイフと、どっちが速いか、なんて考えは無い。

“全てを守るつもりで、死力を尽くせ”。

“振り返るな。ただ、嵐の夜を往け”。

頭にあるのは、“砂漠の荒鷲”が教えてくれたその言葉だけ。


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 20:57:40.33 ID:eXqrxgAF0
支援

33 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 20:59:53.21 ID:K6n7isFS0
(#'A`)「その手を離せええええ!」

(*゚∀゚)「そんなにあたしと遊びたいのかにゃ?しょうがないにゃ〜♪」

化け物女が、キュートを突き飛ばし前へと踏み出す。
策も何も無い、我武者羅なオレの特攻は、結果的にいい方向に傾いた。

从 ;゚∀从「馬鹿!何を考え……」

〈ヽ÷〉「うぉぉぉぉお!」

彼我の距離は目測10メートル。
面頬を下ろし、腕部の人工筋肉のパワーアシストを最大に。
大剣を上段に振り上げた、その瞬間。

(*゚∀゚)「遅いにゃ♪」

胸板に、鈍い衝撃。
見下ろす。
“化け物”の右手刀が、胸郭装甲を、浅く貫いていた。

〈ヽ÷〉「あッ――」

(*゚∀゚)「あ?」

〈ヽ÷〉「ああああああ!」

吠えると同時、足蹴りを繰りだす。下腹部を蹴られた“化け物”は、砲弾のように吹き飛び、背後の壁に激突。その身を、めり込ませた。


34 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 21:04:16.43 ID:K6n7isFS0
(*゚∀゚)「にゃにゃ、ちょこっと撫でただけなのに、大げさなリアクションだにゃ〜」

ひび割れた壁面から尻を抜き、“化け物”はあっけらかんとした口調で嘯く。
素手で強化外骨格の装甲を貫く人間など、聞いたことも見たことも無い。
オレは、夢でも見ているのか?

〈ヽ÷〉「冗談じゃ…ねえ…」

尻を叩きながら、散歩でもするようにふらふらと近づいてくる“化け物”。
こんな攻撃をまともに食らったら、今度こそ完全に装甲を抜かれる。
冷たい感触が、背筋を伝うのがわかった。

〈ヽ÷〉「だが、引くわけにゃあいかんよなぁ……」

再び大剣を構えなおし、“化け物”を正面から見据える。
先の一撃は、肉眼では追う事が出来なかった。
強化外骨格を素手で抜く膂力とも相まって、彼我の実力差は歴然としている。
本来なら、とてもオレが敵うような相手では無い。
皮肉だが、今は渡辺の新型強化外骨格が、オレの唯一の命綱と言えた。

(*゚∀゚)「さてさて、お次は〜?」

“化け物”の姿が、視界から消失する。
とっさに大剣を盾に。
全身を伝う激震。踏ん張る両足。人工筋肉が上げる悲鳴が、骨身に響いた。


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 21:04:58.78 ID:eXqrxgAF0
しえん

36 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 21:11:53.84 ID:K6n7isFS0
(*゚∀゚)「ほぉらほら、俯いてばっかじゃ希望は見つからないよ?さぁ、顔を上げて!」

大剣を翳して縮込まるオレの身を、四方八方から幾度となく衝撃が襲う。
肩を、腿を、背中を、腹を、断続的に駆け抜ける激痛。
強化外骨格を着ていても尚、殺しきれないダメージに、オレは歯を食いしばった。

(*゚∀゚)「ほぉら、お兄ちゃん起きてよぉ!遅刻しちゃうぞオ♪」

手加減されている。こいつは、オレを痛ぶるのを楽しんでいやがる。
でなければ、今頃オレは強化外骨格ごと内臓を貫かれ死んでいる。

〈ヽ÷〉「…舐めてくれるじゃねえか」

強がりを吐くも、掠れて上手く音にならない。
今はただ、この痛みに意識が飛ばないよう集中するだけで精いっぱいだった。

見極めろ。
見極める事なんか出来ないが、見極めろ。
耳をすませろ。
血液の流れしか聞こえないが、耳をすませろ。
全神経を針のように尖らせ、その“痛み”に集中しろ。
“痛み”こそが、オレを導くただ一つの道しるべ。

(*゚∀゚)「起きないとぉ……」

〈ヽ÷〉「そこか」


37 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 21:14:13.42 ID:K6n7isFS0
張り詰めていた神経が、脳に“それ”を命令する。
振り薙ぐ大剣。一陣の虞風。
チェーンソーの原理を応用した回転式刃が、火花を上げた。

(*゚∀゚)「え」

大剣を握る手に、凄まじい重さが掛る。
手応え有り。
人工筋肉の稼働率を140パーセントでオーバードライブさせ、思い切り振り抜いた。

(*゚∀゚)「な――」

直後。

「---------------」

言葉では表現しようもない程おぞましい絶叫が、格納庫を震わせた。

〈ヽ÷〉「……」

大剣を下ろし、床の上でのたうつそいつを見下ろす。

(;*゚∀゚)「ありえない…ありえちゃいけない…こんな事、あり得ちゃいけないんだ……」

膝から下が無くなった右足を凝視し、“化け物”は口をわななかせていた。
放心状態、と言ったところか。自分の右足をオレなんかに切断されたのがよっぽどショックだったのだろう。
オレは“赤黒い絵の具”が付着した対装甲ブレードを振りかぶり、がら空きになった“化け物”のうなじに狙いをすませる。


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 21:15:38.37 ID:eXqrxgAF0
支援

39 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 21:16:21.11 ID:K6n7isFS0
トドメの一撃は、躊躇いなく振り下ろされた。
少なくとも、振り下ろされは、した。

〈ヽ÷〉「!?」

遠くで響く銃声。同時、大剣を伝う、小さな衝撃。
対装甲ブレードの軌道が、僅かにずれる。
回転式刃の先に、“化け物”の首は無い。
ブレードは、格納庫の床を噛み砕き、その微細な刃の回転を止めた。

(*;∀;)「う、うぅ…やだ…こんなのやだ…こわい…こわいよギコぉ……」

へたり込み、幼子の様に泣き始める“化け物”。
銃声の聞こえた方角を振り返る。
炎に照らされた格納庫の中二階。闇の中に、金色の影が、一瞬翻った気がした。

〈ヽ÷〉「……まさか、な」

頭の中をよぎった考えを振り払い、今一度“化け物”を見下ろす。

(*;∀;)「う…ぐすっ…くらい…くらいよぉ…あついよぉ…ここ、どこぉ…?」

涙と鼻水でしわくちゃになったその顔は、最早ただの幼子のようにすら見えた。


40 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 21:18:52.48 ID:K6n7isFS0
〈ヽ÷〉「……」

数秒前までのあの狂気はどこにいったのか。
最早、この“少女”に立ち上がる意思は見てとれない。
踵を返すと、強化外骨格のヘッドギアを外す。
数分ぶりに吸う格納庫の空気は、火薬と血の臭いに溢れていて。
それでも、心なしか、旨かった。

从 ゚∀从「やれやれ、これで葬式代を出さなくても済みそうだな」

ゆらめく炎の向うから、“相棒”が何時もの仏頂面を覗かせる。

('A`)「天国に銀行は無いからな。迂闊に借金は出来ないさ」

从 ゚∀从「あったとしても、貴様に貸してくれる程頭の悪い銀行は無いさ」

何時も通りの減らず口に、苦笑が漏れた。

「どっく〜ん!」

('A`)「ん?」

“相棒”の後ろから近づいてくる声。
顔を覗かせた瞬間、柔らかい感触が胸に飛び込んできた。


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 21:22:21.93 ID:eXqrxgAF0
しえん

42 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 21:24:22.31 ID:K6n7isFS0
(;'A`)「のわっ!」

o川;゚ー゚)o「怪我は無い?血は出てない?どこか痛いところは?大丈夫?ねぇ大丈夫?」

すがりつき、眉を八の字にして矢継ぎ早に問いかけてくるキュート。
今にも泣き出しそうなその顔に少し戸惑ったが、オレは。

('-`)「ああ、おかげさまでこの通り無事さ」

その小さな頭に手を置き、微笑んでみせた。

o川;゚ー゚)o「そ…っか……」

安心したのか、彼女は束の間その顔に柔らかい笑みを浮かべると。

o川*;ー;)o「良かった…良かった…本当に良かったよぅ……」

栗色の双眸から涙を流し、再びその顔をくしゃくしゃに歪めてしまった。

(;'A`)「お、おいおい!泣くな!泣くなったら!」

o川*;ー;)o「だって…どっくんが死んじゃったらって思うと…あたし…あたし……」

嗚咽に呑みこまれ、その先はもう聞こえない。
胸の中で声を押し殺して泣きじゃくるキュートに、その時のオレは何も出来なくて。

从 ゚ー从「……」

口の端を歪めてこちらを遠目に見る“相棒”の、その表情が、ただ、ただ、憎らしかった。


43 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 21:31:54.65 ID:K6n7isFS0
※ ※ ※ ※

――キャリーケースにドラグノフをしまいながら、私は先に見た光景を思い出す。

ξ;゚參)ξ「…そんな…そんな筈は…」

炎と硝煙に煙る格納庫内。スコープ越しに見た、あの一幕。
強化外骨格を相手に狂気の笑みを浮かべていたのは、六年前、突然音信不通になった“あの子”にそっくりだった。

ξ;゚參)ξ「見間違い…そう、見間違いに違いないわ……」

アシンメトリーのブロンドヘアを振り乱し、殺戮に酔いしれた目をした“化け物”の白い顔。
少し馬鹿で、それでも純粋な夢を見る乙女。
二つの顔が、頭の中で交錯する。
白く濁った瞳孔。
猫のように悪戯っぽい瞳。
二組の双眸が、シンクロする。

ξ;゚參)ξ「“あれ”が、つーなわけ……」

本当にそうじゃないと、言い切れるのか?
それならどうして私は、あの時引き金を引いた?
つーじゃないのなら、“あれ”が死のうが関係ない筈。

……そう。そしておまけにあなたは、あろうことか、大剣を撃った。

ツン、あなたは、“あいつ”も殺せなかった。


44 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 21:37:20.00 ID:K6n7isFS0
ξ;゚參)ξ「…違う。あれは、ただ、狙いを外しただけ……わざとじゃない…」

本当か?本当にそうだと言い切れるのか?
狙撃手が、あの棒立ちの強化外骨格の頭を、撃ち損ねた、と?
本当に?本当にお前は……。

ξ#;參)ξ「うるさい!うるさい!うるさい!知らない!知らないわよ!知らないったら!」

ζ(゚ー゚*ζ「お姉様?どうか、なさいましたか?」

連絡通路の壁にもたれたデレが、小首を傾げる。
慌てて立ち上がると、私は努めて堅い表情で振り返った。

ξ゚參)ξ「…いえ、なんでも…ありません」

ζ(゚ー゚*ζ「……そうですか。間もなく、この工場も“崩れ”ます。私達も、早々に引き揚げましょう」

何時もの穏やかな口調でそう言うと、彼女は歩きだす。
よりによってこの女に気を遣われた事が、悔しかった。

ξ゚參)ξ「……」

奥歯を噛みしめ、彼女の背中に続く。
視覚野の隅に表示されるカウントダウンの数字に足を速めようとした時、前を行く背中が、振り返らずに言った。

ζ( ー *ζ「……無理、しないで下さいね」

私は、ただ、ただ、歯を食いしばるしかなかった。


45 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 21:40:41.36 ID:K6n7isFS0
※ ※ ※ ※

――ようやく泣きやんだキュートを引き剥がすと、その足音がオレの耳朶を打った。

从'ー'从「ごくろーさまー。すごいねぇ、強化外骨格を着ていたとはいえ、あんな“化け物”に勝っちゃうなんて。カッコよかったよぉ♪」

('A`)「……」

ハイヒールの音を高圧的に響かせ、女悪魔がオレ達の前で立ち止まる。

从'ー'从「じゃ、“ヴォルフの尻尾”をちょーだい?」

差し出されたその白い掌。
オレは無言で“相棒”に顎で合図する。
袖口から出した小箱を握り、ハインが女悪魔の前まで歩み出た。

从 ゚∀从「渡す前に、一つだけ聞いていいか?」

从'ー'从「なにかなぁ?」

从 ゚∀从「一体、この小箱の中身は…“ヴォルフの尻尾”とは、何なのだ?」

ハインの質問に、女悪魔は意味深な笑みを浮かべる。
何時もの、人を小馬鹿にしたような薄笑いに、虫唾が走った。


46 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 21:43:23.32 ID:K6n7isFS0
从'ー'从「ヴォルフって、日本語でどういう意味か分る?」

从 ゚∀从「狼、だったか」

从'ー'从「そう。その小箱の中にはね、“高貴なる狼”の“尻尾”が入ってるの」

謎かけのような女悪魔の物言い。
答えになっていない、と言おうとして、ハインが得心のいったように目を細めるのを見た。

从 ゚∀从「……なるほど。確かに、それは世界を動かしかねないな」

从'ー'从「でしょ?だから、絶対に他の人たちなんかには渡せないの」

女悪魔はハインの手から小箱を受け取ると、中身を確認し満足げにほくそ笑む。

从'ー'从「うん、確かに受け取ったよ。ご苦労様」
  _
( ゚∀゚)「いえいえ、大したことじゃありませんよ」

('A`)「……」

人好きのする笑みを浮かべるジョルジュを見て、オレはどういう表情をしていいのかわからなくなった。


47 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 21:50:05.40 ID:K6n7isFS0
从'ー'从「…というわけで、貴方の役職なんかは追々、相談していきましょう」
  _
( ゚∀゚)「身に余る計らいに感謝します、ミスワタナベ」

今後の方針を話し合う二人を、まんじりともしない気持ちで眺めていると、焔の向うから見覚えのある姿が歩いてくるのが見えた。

(゚、゚トソン「…アヤカ様」

从'ー'从「あらあら、ぼろぼろじゃない。これはボディの換装が必要かしら」

(゚、゚トソン「いえ、それには及びません」

ボロ雑巾のような体の戦闘秘書は、ワタナベの下まで来ると無表情に首を振る。
同じアイアンメイデンでも、うちのハインとは随分と違う雰囲気だな、なんて考えた時だ。

(゚、゚トソン「それより、シラヒーゲ氏から通信が入っております」

オレの耳に、聞き覚えのある名前が飛び込んできた。

从'ー'从「あぁ…うん…わかった」

(゚、゚トソン「どうぞ」

トソンが懐から出した携帯端末(ハンディターミナル)を受け取ると、ワタナベはつまらなそうな顔で耳に当てる。


48 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 21:52:44.61 ID:K6n7isFS0
从'ー'从】「はいはいワタナベアヤカです。……ええ、ええ。…問題無く済みましたよ」

从'ー'从】「…ええ、そっちの方のデータは後でマニュアルと一緒に送付いたしますわ」

从'ー'从】「――こちらこそ、何時もテスト戦闘に付き合って頂いて恐縮ですわ。…では」

通話を終えて携帯端末をトソンに返す渡辺。
胸糞の悪くなるような予感に、オレは口を開いた。

('A`)「……今の通信の相手は?」

ワタナベは。いや、女悪魔は、最早定番となったあの冷笑を浮かべると。

从'ー'从「ビジネスパートナーなんだけど、それがどうかしたぁ?」

オレの考えなど何もかも知っていると言うような口ぶりで、そう言った。

('A`)「ビジネス…パートナー…って、言ったのか」

从'ー'从「そっ。シラヒーゲさんは、何時もうちの開発した兵器のテスト戦闘に付き合ってくれてる、アラブの富豪さん…っていうのが、マスコミ向けの答え」

(;'A`)「……マスコミ向けじゃない方は?」

从'ー'从「過激派テロリスト、ウヒッブ派の内部事情を定期的に教えてくれる、便利なパイプさん、かな」


49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 21:53:20.23 ID:mx7o7h5n0
支援

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 21:53:42.95 ID:eXqrxgAF0
sienn

51 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 21:54:32.23 ID:K6n7isFS0
从'ー'从「私から“お礼”をする代わりに、シラヒーゲさんには“ウヒッブ派”の作戦行動にちょっと口出しをしてもらってね」

…何だ。

从'ー'从「私達の兵器のテスト戦闘の相手として、ゲリラの皆さんに相手してもらってたの」

…何だそれ。

从'ー'从「所詮物資不足なゲリラだから、“的”としては少し貧弱過ぎるんだけどね」

…それって。

从'ー'从「よく言うでしょ?“農民は生かさず殺さず”。そこはシラヒーゲさんを通して補給物資とか補充要員を送ったりして、ギリギリ全滅しないように維持してたってわけ」

…それって、つまり。

从'ー'从「ゲリラを養殖するのも、これで骨が折れるんだけどね〜。まぁ、確度の高いデータを採るには、やっぱり実戦が一番だから」

(#'A`)「てめえぇぇぇぇええ!」

人工筋肉のパワーアシストを持って、拳を振りかぶる。
コンクリートを砕く一撃は、しかし、割り込んできた戦闘秘書の細い腕に受け止められた。


52 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 21:57:23.69 ID:K6n7isFS0
(゚、゚トソン「警告します。今すぐ腕を下ろしなさい。でなければ、敵対行動とみなし貴方を排除させていただきます」

(#'A`)「……やれるもんなら、やってみろよ」
  _
( ゚∀゚)「止めておくんだドクオ君。君は、敵を見誤ってる」

(#'A`)「知った事かよ!オレはこいつのやり方が心底気に食わない!だから殴る!」
  _
( ゚∀゚)「気に入らないから殴る、か。それは子供の理論だな」

(#'A`)「長いものに巻かれるのが大人なら、オレは子供で結構だ!なあ、“大人なジョルジュさん”よ!」
  _
( ゚∀゚)「……そうだな。僕も、出来るなら大人にはなりたくなかったよ」

オレの墳怒に歪んだ視線を真正面から見据え、ジョルジュは悲しそうに眼を伏せる。
  _
( ゚∀゚)「だがな、ここで彼女を殴ったら、君は、君の相棒のここまでの尽力を全て無駄にする事になるんだぞ」

堅い声音で呟かれたその言葉は、悔しい事に正論だった。

(#'A`)「……」

人工筋肉のパワーアシストを緩める。
トソンの腕が離れたのを確認し、オレはその拳をゆっくりと下ろした。


53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 21:58:15.33 ID:eXqrxgAF0
支援

54 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 21:59:24.01 ID:K6n7isFS0
  _
( ゚∀゚)「…それでいい。折角ハインちゃんがここまで体を張って頑張ってくれたんだ。それを白紙にしてしまうのは、あんまりだからね」

(#'A`)「はっ、よく言うぜ。どうせあんたは、自分の保身の事しか考えていないんだろう?」
  _
( ゚∀゚)「……反論は、しないよ」

苦々しい表情のジョルジュに背を向けると、ハイン達の方に向かって歩き出す。

('A`)「…あんただけは、違うと思ったんだけどな」
  _
( ゚∀゚)「僕は、もともとこういう人間さ」

背中越しに聞こえた声に、虚しさと憤りが胸の底に蟠るのを感じた。

从 ゚∀从「ドクオ、私は……」

何かを言おうとする相棒を無視し、オレはどこまでも歩く。

从'ー'从「ねぇ、日本までは私達が送ってあげるよぉ?」

女悪魔の戯言に、オレは背中で答えた。


55 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 22:02:40.54 ID:K6n7isFS0
epilogue

――大深度リニアの改札を抜けると、人の波が押し寄せてくる。
スーツ姿のビジネスマン、サイケデリックな格好をした若者達。
数日ぶりに戻ってきたVIPは、何時もと変わらない無関心さでオレ達を迎えた。

o川*゚ー゚)o「……」

スーツケースを引きずり、人混みの中を駅の出口まで三人、歩く。
ここに至るまで、誰一人として口を開くことは無かった。

('A`)「……さ、着いたぜ」

駅のロビーまで来て、オレは立ち止まる。
目の前には、ニューソク区へと続く自動ドア。
これを抜ければ、オレの仕事はそこまでだ。
護衛対象は健在。ハインの方の報酬とも合わせれば、ここ最近の平均収入を二桁も上回る程の儲けになるが、オレはそれに対して何ら感慨がわく事は無かった。

o川*゚ー゚)o「……」

隣に立つ依頼人も、オレと思うところは同じなのだろう。
無表情でスーツケースを握る彼女の心は、まだあの灼熱の太陽の下にあるに違いない。


56 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 22:04:40.63 ID:K6n7isFS0
o川*゚ー゚)o「ねえ、どっくん」

('A`)「ん?」

o川*゚ー゚)o「やっぱり、私、こんなのは間違ってると思う」

思いつめた表情で、彼女は力強く呟く。

o川*゚ー゚)o「一部の、力を持った人たちだけが得をするなんて、こんなの絶対に間違ってる」

「渡辺の遣り方」を初めて目にした事で、彼女の中の決意はより強く固まったのだろうか。

o川*゚ー゚)o「こんなの、絶対に許しちゃいけないんだよ」

甘い、と切って捨てるのは簡単だ。君一人でどうにか出来るものじゃない、と言い切るのは簡単だ。

('A`)「……そうか」

だが、キュートには、今のままのキュートで居て欲しいから。
オレは何も言わずに、その横顔を横目に見るだけに留めた。


57 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 22:07:35.14 ID:K6n7isFS0
駅を出てすぐのロータリーでタクシーを拾うと、オレ達は向き合う。

o川*゚ー゚)o「…この数日間、本当にお疲れ様」

('A`)「ん、ああ」

気の利いた言葉もかけられず、オレはただ、途切れる事の無い人波のうねりの中で馬鹿みたいに立ち尽くしていた。

o川*゚ー゚)o「報酬は、今、口座の方に振り込んでおいたから」

('A`)「……ん」

o川*゚ー゚)o「……」

所詮、依頼人と何でも屋の関係。
タクシーの扉が閉まれば、オレ達は明日から別々の道を歩き始める。
どうしてだろう。それなのにオレは、何かを期待していて。
元から住む世界が違う筈の、彼女を前にして、オレは自分でもわからない「焦り」に戸惑っていた。

o川*゚ー゚)o「……それじゃ、お元気で」

('A`)「……ああ、そっちも」

名残惜しげにキュートがドアを閉める。
その寸前。


58 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 22:09:26.76 ID:K6n7isFS0
o川*゚ー゚)o「…また、会えるかな?」

本当に、彼女がそう言ったのかどうかはわからない。

('A`)「ああ、多分な」

だからオレも、不確かな答えを、去っていくタクシーに向かって返した。

从 ゚ー从「……」

相棒が、どこか嬉しそうな顔でオレを見つめている。
急に恥ずかしくなったオレは、スーツケースの取っ手を掴んで歩きだした。

从 ゚∀从「不思議なこともあるものだ」

('A`)「何が?」

从 ゚∀从「それともこれが、俗に言う“人生に三度あるモテ期”とやらだろうか」

('A`)「はぁ?」

从 ゚∀从「だとしたら、このチャンスを逃すなよ。貴様の低すぎるステータスを補う為に、三という回数は一度のモテ期を形成するのに全てつぎ込まれている可能性が高い。恐らく、次は無いだろう」

('A`)「どういう計算式だよそれ」

从 ゚∀从「貴様のステータスはマイナスだから、先ずはそれをゼロにまで持ってくるのに一つ。ゼロから世間一般標準まで持ってくるのに更に一つ。最後の一つの後押しで、やっとモテ期到来というわけだ」


59 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 22:11:19.51 ID:K6n7isFS0
何を言い出すと思えば、このロボ娘は。

(*'A`)「……そういうんじゃねーよ」

从 ゚∀从「そうか?いや、そうだろうな。貴様が女性から好意を寄せられるには、モテ期が十回有っても足らんだろう」

(#'A`)「……」

相変わらずの毒舌に閉口しつつも、オレはふと、気になる事を思い出して相棒を振り返った。

('A`)「そう言えば、結局“ヴォルフの尻尾”って何だったんだよ?なんか一人で納得してたみたいだけど……」

从 ゚∀从「ん?ああ……そうだったな」

珍しく歯切れの悪い相棒に、オレは首を傾げる。
今となってはそれが何なのか知ったところでどうしようもないが、こういう反応をされるとどうしても聞きたくなってしまう。

('A`)「なぁ、何なんだ?」

从 ゚∀从「“高貴なる狼”を、ドイツ語で何というかわかるか?」

('A`)「分るわけないだろうが。底辺高卒なめんな」


60 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 22:13:38.99 ID:K6n7isFS0
从 ゚∀从「……アドルフ。“高貴なる狼”をドイツ語に訳すと、そうなる」

('A`)「ふーん…それで……?」

从 ゚∀从「ここまで言って、貴様はまだわからんのか?ドイツでアドルフと聞いて、何も思いつかんのか?」

鋭い眼光に睨まれ、オレは慌てて頭の中の引き出しを引っかき回す。

('A`)「えーと、アドルフ、アドルフ……!?」

記憶の中を捜すまでも無い。
その名前は、世界中の誰もが知っている程の、有名人のそれだ。

从 ゚∀从「データベースによると、“ヴォルフ”とは、一時期彼が使っていた偽名だそうだ」

(;'A`)「じゃあ、あの小箱の中身は……」

从 ゚∀从「恐らくは、彼の遺伝子情報か何か、だろう」

世界を動かすだけの力、とジョルジュは言ったらしい。
“彼”の遺伝子情報などが残っているとして、それの使い道は限られている。

即ち、“カリスマの再臨”か、“カリスマの量産”か。


61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 22:14:24.32 ID:eXqrxgAF0
しうぇん

62 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 22:15:58.40 ID:K6n7isFS0
(;'A`)「…オレ達は、とんでもねえものを、とんでもねえ奴に渡しちまったんじゃないのか?」

从 ゚∀从「どう、だろうな」

渡辺が、何を企み“彼”の遺伝子情報を欲したのかは分からない。
オレに言えるのは、間違いなく碌な事じゃない、という憶測だけだ。

(#'A`)「くそったれ…こうなるって分ってれば……」

自分の迂闊さに、歯噛みする。
何時だってオレは、奴の掌の上で踊るだけの道化なのだ。
世界は何時もオレの知らない所で動いていて、歯車が噛みあう音を聞いた時には、何時も手遅れで。
無知で無力なオレは、握りしめた拳を、ただ、力無く下ろすことしか出来なくて。

从 ゚∀从「まぁ、私達には関係の無い事だ。今更どうにも出来る事など――」

今までのオレなら、そう言って項垂れていただろう。

( A )「……許せねぇ」

从 ゚∀从「…ドクオ?」

(#'A`)「こんなの、許していいわけねぇだろ!」

オレは、握りしめた拳を更に強く握った。


63 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 22:18:27.76 ID:K6n7isFS0
(#'A`)「これ以上、あの女狐の好き勝手にさせてたまるかよ!許せねぇ…絶対に、許しちゃいけねえ……」

非力なオレに、無知なオレに、何が出来ると言われても、この怒りは収まらない。
あのおめでたいくらいに甘ちゃんな女の影響だろうか。
気付けば、長年を連れ添った「諦め癖」は、どこかへとなりを潜めていて。

(#'A`)「……ぶん殴る。絶対に」

世界がどうなろうと、知った事ではない。
あくまでオレは、オレの怒りのままにあの女をぶん殴る。ただ、それだけだ。

('A`)「何時か…近いうちに、必ず、その面に一発かましてやる」

遠く、ラウンジの空に聳える渡辺のアーコロージーを睨み、歩きだす。

从 ゚∀从「ドクオ……」

相棒が、淋しげにオレの名を呼んだ事を、その時のオレは、知る由も無かった。



‐fin‐


64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 22:19:25.20 ID:eXqrxgAF0



65 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 22:22:36.16 ID:K6n7isFS0
キャラクタープロフィール

( ^ω^)

氏名:内藤ホライゾン
年齢:24歳(AD;2150年現在)
性別:♂
誕生日:5月7日
血液型:A+
人種:モンゴロイド
現住所:日本国 VIP特別政令指定市ニーソク区 66番街 17-09
本籍:同上
所属:フリーランス
病歴:無し
術歴:脳核置換手術、ソフトウェアインストールソケットの挿入手術、両手首両足首に追加ニューロジャックの施術
頭髪:だらしなく伸ばした黒髪
瞳:黒
好きなもの:プログラミング、ドクターペッパー、コテコテの少年漫画
嫌いなもの:爬虫類、ビール(嫌いというか苦手)、ピザ(あくまで本人はそう言い張っている)、

━━ドクオの知り合いのスーパーハカー。自他共に認める凄腕。「電子の王」。
クラッキング技術もさることながら、自分でプログラムを作ることが得意で、彼が作った違法プログラムにはドクオも度々お世話になっている。
ピザで引きこもりで無職だが、その昔はモテたらしい。死ねばいいのに。


66 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 22:25:11.50 ID:K6n7isFS0
=index=

【disc 10. ヴォルフの尻尾】

story…ジャーナリストの護衛としてアラブ圏のムズリーマ共和国へと飛んだドクオ。事務所で留守番をしていたハインを訪れた懐かしい人物。
熱砂の下で渦巻く陰謀。動き出した未知の勢力。ヴォルフの尻尾とは、一体何なのか。
新たな出会いと別れの、砂漠での一幕。

tips…新キャラ登場。アラブ圏と日本の侵略戦争が残した爪後に触れる話し。長い。

↓成分表↓
バトル…★★★★★
罵詈雑言…★★★☆☆
サスペンス…★★☆☆☆
サイバーパンク…★★★★☆
萌え…★★☆☆☆
田所さん…☆☆☆☆☆


67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 22:28:04.33 ID:y215nTrnO
ヒトラーか……

68 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 22:28:51.69 ID:K6n7isFS0
というわけでアラブ編、やっと完結です

お付き合いいただいた皆さん、乙です

これからしばらくは「赤い雨」の方の執筆にうつるので、しばらく鋼鉄処女の方はお休みさせて頂きます

ご迷惑をおかけしますが、気長に待っていただければ幸いです

質問があれば、どうぞお気軽に

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 22:28:53.00 ID:mx7o7h5n0
乙、ドクオかっこよくなりすぎ最高
てかブーンwwww

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 22:41:55.45 ID:Vd/e9qDOQ
乙、赤い雨ってどこでまとめられてますか?

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 22:45:20.57 ID:21jMSYqJ0


・・・・・・マトマトさん・・・

72 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 22:47:03.66 ID:K6n7isFS0
というわけで自主CM

“先輩、「赤い雨」って……信じます?”

暮れなずむ夕日を背にして、彼女が言ったその言葉。

きっと、その瞬間なのだろう。

――僕が、恋に落ちたのは。

“赤い雨が降ってる中で、一緒にあいあい傘すると、そのカップルは絶対別れない、って話”

近づきつつある秋の気配と、遠ざかっていく夏の熱気の中、僕たちの小さな冒険が始まる。

“A組の素直さん、最近見ないよね。…なんか、病気らしいよ”

確かな絆が欲しくて、駆け抜けた、あの季節。

“やだよ!あたし、死にたくなんかないよ…!”

雨の中を、僕らは、ただ、がむしゃらに走り抜けた。

“絶対!絶対忘れないから!おっさんになっても!じじいになっても!クーのこと、絶対忘れないから!”

――赤い雨、絶賛連載中
http://boonbunmaru.web.fc2.com/rensai/red_rain/red_rain.htm
http://boonsoldier.web.fc2.com/akaiame.htm
http://vipmain.sakura.ne.jp/698-top.html

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 22:50:09.31 ID:Vd/e9qDOQ
>>72
ありがとうございます、今度読みます

74 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2010/02/06(土) 22:54:39.00 ID:K6n7isFS0
マトマトさんはもう二度と出てくる事はありません

何故なら総合のテンプレに彼女の名前が載っていないからです
これはつまり、マトマトというAAなど初めからいなかったという事にほかなりません

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 23:02:31.59 ID:21jMSYqJ0
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... ..:(   )ゝ (   )ゝ(   )ゝ(   )ゝ忘れないぜ… ...............
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76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 23:15:01.57 ID:mx7o7h5n0
マトマト…

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/06(土) 23:21:00.93 ID:+jiuXATj0

前回ワタナベが憎めないとか書いたが取り消す
ワタナベ苦しめ


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