从 ゚∀从は鋼鉄の処女のようです
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 20:57:48.66 ID:HnUfEU+00
- 代理
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 21:01:36.60 ID:3TANNwAsO
- まってたよー
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 21:04:23.28 ID:5nnP3iNpO
- 超支援
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 21:07:14.85 ID:6Oskbm4BO
- 待ってた
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 21:08:00.16 ID:CnBN4aV3O
- 早いな
- 6 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 21:10:52.26 ID:tiFvSi1FO
- >>1乙 仕事早えwww
まとめサイトさん(ブーン芸vipさん)
http://boonsoldier.web.fc2.com/maiden.htm
↓初北産業↓
サイバーパンク
オムニバス
ノワール
クリスマスは今年も中止だざ!ひゃっはー!そんなtrackβ
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 21:18:59.81 ID:nYu+IJ8ZO
- しえしえ待ってたぜ
- 8 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 21:24:35.33 ID:tiFvSi1FO
- track-β
──申し訳ないが紅茶の買い置きが無かった、と私が言うと、彼はその特徴的な眉を潜めてこう言った。
_
( ゚∀゚)「コーヒーは酒と混ぜるものだ。少なくとも、僕の国ではそうだった」
酒に混ぜるなんて初耳だ。私のデータベースにはそのような情報は載っていない、と私は返す。
_
( ゚∀゚)「コーヒーカクテルを知らないのか?そいつは人生の半分くらいを損してるな」
生憎、私は酒を飲めない。主も主で、コーヒーは豆とお湯だけで飲む主義だから、と答えると、彼は手元のコーヒーカップから一口啜って尋ねた。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 21:26:10.65 ID:Sfc/IQg8O
- あそこまで見事な死亡フラグたててたのに生きてやがる……
- 10 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 21:27:00.43 ID:tiFvSi1FO
- _
( ゚∀゚)「──で、その“主さん”は今どこにいるんだ?」
私は所長椅子から立ち上がると、背後のブラインドを開けて窓の外に目を向ける。
混沌とした昼下がりのニーソクから目を上げ、見上げる空。
廃棄ガスと光化学スモッグでどんよりと濁ったそれとはまた違った空を、“奴”は見ているのだろうか。
从 ゚∀从「ムズリーマ共和国は知ってるか?」
_
( ゚∀゚)「これまた物議を醸すような地名が出て来たね。彼は今、そこに?」
从 ゚∀从「ちょっとした出張のようなものだそうだ」
_
( ゚∀゚)「それで君は、ここの留守を任されていると言うわけか」
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 21:29:56.05 ID:Sfc/IQg8O
- 特徴的な眉毛だな
C
- 12 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 21:30:20.68 ID:tiFvSi1FO
- _
( ゚∀゚)「──で、その“主さん”は今どこにいるんだ?」
私は所長椅子から立ち上がると、背後のブラインドを開けて窓の外に目を向ける。
混沌とした昼下がりのニーソクから目を上げ、見上げる空。
廃棄ガスと光化学スモッグでどんよりと濁ったそれとはまた違った空を、“奴”は見ているのだろうか。
从 ゚∀从「ムズリーマ共和国は知ってるか?」
_
( ゚∀゚)「これまた物議を醸すような地名が出て来たね。彼は今、そこに?」
从 ゚∀从「ちょっとした出張のようなものだそうだ」
_
( ゚∀゚)「それで君は、ここの留守を任されていると言うわけか」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 21:31:02.85 ID:Sfc/IQg8O
- C
- 14 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 21:31:46.42 ID:tiFvSi1FO
- 私が無言で頷くと、彼は難しい顔をしてコーヒーカップを下ろして言った。
_
( ゚∀゚)「──どうして止めなかったんだい?」
从 ゚∀从「……止めなかったわけではない」
_
( ゚∀゚)「彼が、向こうで別の女の子を見つけてしまうんじゃないか…なんては思わなかったのかい?」
从 ゚∀从「……」
成る程。何も知らない部外者には、私たちは“そういった関係”にあると思われているのか。
これはまた、冗談としてはなかなか秀逸な部類に入るのではなかろうか。
- 15 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 21:33:14.60 ID:tiFvSi1FO
- 从 ゚∀从「他の女か…奴にそれだけの甲斐性があれば、私も安心なのだがな」
_
( ゚∀゚)「ははっ、君は気丈だね」
从 ゚∀从「本当のことだ、ミスタージョルジュ。私も奴の出立に際しては最大限の労力を割いて止めた。だが、私の心配ごとはそこには無い」
_
( ゚∀゚)「──というと?」
从 ゚∀从「見知らぬ異国の地で、依頼人と二人きり。奴は上手く立ち回れるだろうか。
病気か何かを罹らないだろうか。通訳として自分が同行すべきだったのでは?」
_
( ゚∀゚)「ふむふむ」
从 ゚∀从「加えてムズリーマ共和国は世界有数の紛争地域だ。奴が地雷を踏んで下半身不随になったらと思うと、気が気じゃなかった」
- 16 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 21:34:57.35 ID:tiFvSi1FO
- _
( ゚∀゚)「君は随分と姐さん女房だね。そんなもんは君が心配するようなことじゃないさ」
未だに彼は“そこ”に固執しているようだった。
私は“苦笑”を作って顔面に浮かべると、頷いた。
从 ゚∀从「私が止めても、奴は“大丈夫だ”の一点張りで譲らなかった。それがあまりに頑なでな」
スーツケースで綱引きしながら、奴と交わした遣り取りを思い浮かべる。
“君が心配するべきは事務所の衛星状況だけだ”
ダメ人間の癖に、言ってくれるものだ。
从 ゚∀从「言葉には出さなかったが、“奴”も私にばかり頼っていてはダメだと思っていたのだろう。今更過ぎるがな」
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 21:35:44.31 ID:nYu+IJ8ZO
- し
- 18 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 21:38:26.14 ID:tiFvSi1FO
- _
( ゚∀゚)「男ってもんにはそういう時期が遅かれ早かれ必ず訪れるもんさ。そこから真の意味で自立出来る奴は、本当に少ないがね」
訳知り顔でジョルジュはほくそ笑むと、背広の内ポケットから煙草を取り出して火を点ける。
_
( ゚∀゚)y-~「だが、それでいいと僕は思うね。何もかも自分で出来る奴っていうのは、それ自体がある種の悲劇だ」
从 ゚∀从「というと?」
_
( ゚∀゚)y-~「下手に何でもかんでも出来る奴は、他人を頼る術を知らないものだ。自分で全てを解決出来ると思っちまってね。
気付けば、ありとあらゆる重荷を背負っちまって、ぶっ潰れてる」
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 21:39:09.70 ID:Sfc/IQg8O
- し
- 20 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 21:40:37.53 ID:tiFvSi1FO
- この街にはそんな奴らがごまんと溢れてる。そう言って彼は苦笑を浮かべると、紫煙を吐き出した。
_
( ゚∀゚)y-~「君も、彼にそうなって欲しくは無いだろう?」
私の製造理念は、所有者の命を守ること。広義の意味で言えば、主のバックアップ。
だとすれば、何にもかもあの主が一人でこなせたとすると、私の存在する理由は……?
从 ゚∀从「……」
_
( ゚∀゚)y-~「ははっ、そんなに怖い顔をしなさるな。大丈夫。真に自立した男なんて早々居るもんじゃないさ。
どんなにタフガイぶってても、大抵の奴は女がいなけりゃ何も出来ない赤ん坊だ」
私の思考を読んだとばかりに笑ってみせると、彼は顔を近付けてウインクしてみせた。
- 21 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 21:42:35.08 ID:tiFvSi1FO
- _
( ゚∀゚)y-~「本当に可愛いね、君は。ドクオ君が入れ込むのも頷けるというものだ」
从 ゚∀从「先から聞いていれば、貴殿は随分と知った風な口をきくが、貴殿に主の何が分かるというのだ?」
_
( ゚∀゚)y-~「わかるさ。わかるとも。痛いほど、彼のことはわかる」
从 ゚∀从「ほう。その根拠は?」
_
( ゚∀゚)y-~「そっくりなんだよ。不器用な所も、基本的にダメ人間な所も、全部全部、どこかの誰かさんの若い頃に、そっくりなのさ」
煙を吐き出しながら目を細めるジョルジュ。
要領を得ない会話を繰り返す彼に、私は“やりにくさ”を覚えた。
- 22 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 21:44:17.25 ID:tiFvSi1FO
- 从 ゚∀从「……それで、今日はどういった用件で?」
向こうに会話の主導権を握られる前に、私は話題の転換を図る。
彼はその締まらない笑みを口の端に残しながら煙草を携帯灰皿に落とすと、口を開いた。
_
( ゚∀゚)「ドクオ君が居たなら、先ずは一勝負つけてから……と思ったんだがね。どうにも、運命の女神様はことのほかせっかちらしい」
从 ゚∀从「下らない皮肉はいい。戯れ言は主との遣り取りで十分間に合っている」
_
( ゚∀゚)「これは差し出がましい真似を失礼。それじゃあ本題に移ろうか」
飄々とした仕草で肩を竦めると、彼は懐から手のひら大の小箱を取り出しローテーブルの上に置いた。
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 21:44:33.68 ID:dw+rNfYF0
- ひゃっはー
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 21:45:14.80 ID:Sfc/IQg8O
- し
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 21:45:33.92 ID:l07TVyDWO
- 超待ってた
支援
- 26 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 21:46:04.26 ID:tiFvSi1FO
- _
( ゚∀゚)「君にこの箱と僕を、“あるところ”まで運んで欲しい」
箱を手に取り眺める。
材質は象牙だろうか。ずっしりとした重みは、中身の重要性を示しているようにも思えた。
从 ゚∀从「あるところとは?」
_
( ゚∀゚)「正確に言えば、ある人物の下までなんだが……奇遇なことにその人物は、どうも君の相棒(バディ)と同じ空の下に居るらしい」
楽しそうに語るジョルジュ。
私は箱をテーブルの上に戻すと、そのにやけ面を真正面から見据えた。
从 ゚∀从「ミスタージョルジュ。さっきも言ったはずだ。下らない戯れ言なら間に合ってるとな。
誰かをからかいたいのなら、外に出てそこらのタフガイ気取りに相手をしてもらうといい」
- 27 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 21:47:31.71 ID:tiFvSi1FO
- _
( ゚∀゚)「まぁ待ちなさいよ。こっちだってどうして“彼女”がこの時期にあの“地雷原”を訪れているのか見当もつかないんだ。不振だと言っても過言じゃあない」
从 ゚∀从「……彼女?」
_
( ゚∀゚)「ミスワタナベ。渡辺グループの現総帥で遣り手の魔女だ」
从 ゚∀从「そんなことは知っている。彼女が今、ムズリーマ共和国に滞在しているというのか?」
_
( ゚∀゚)「本社に渡りをつけようとしたら、どうもそうらしい。向こうの工場やアーコロジーの査察という面目らしいが、どうもきな臭い」
- 28 名前:屁 ◆Xmn8ckLy9w :2009/12/21(月) 21:47:55.71 ID:IHPXgU1WO ?PLT(33336)
- sssp://img.2ch.net/ico/anime_saitama01.gif
初遭遇
すっかりメタルが好きになりました付き合ってください
- 29 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 21:48:53.61 ID:tiFvSi1FO
- ニュースホロで報道されている限りでは、現在渡辺グループはブラウナウバイオニクスと二社合同でオービタルコロニー──つまるところの大気圏外居住用コロニー──の開発に取り組んでいるとのことだった。
宇宙開発事業と言えば、自社どころか国家の威信にも関わってくる重要なプロジェクトだ。
そんな大切な時期に、総帥である彼女が本社をほったらかして工場査察など行っている場合だろうか……と考えた場合、確かに彼女の行動は不振なものと写る。
だが、敢えて言うなら、だ。
- 30 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 21:50:26.61 ID:tiFvSi1FO
- 从 ゚∀从「渡辺グループの黒い噂など、今に始まったことでは無いだろう。現に、私達は彼女の“遣り方”をこの目で見てきている。
真っ黒どころじゃない。あれは、日本という国の“闇そのもの”だ」
_
( ゚∀゚)「君の言うとおりだ。僕自身も、彼女が裏でどんな事をしてようが一向に構わない。重要なのは、それが露見するかどうかだ」
そう言って彼は再び小箱を手に取ると、顔の横に並べる。
_
( ゚∀゚)「君を信頼して言うがね、こいつは、そうは見えないが世界を動かせる程の可能性を秘めたパンドラの箱だ。誰の手に渡るかで、歴史が大きく変わる」
从 ゚∀从「吹くじゃあないか。それが核の発射スイッチだとでも言うのか?」
- 31 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 21:51:50.45 ID:tiFvSi1FO
- _
( ゚∀゚)「そういうわかりやすいものじゃない。だが、中身を聞けば君も頷かざるを得ないものだ、とだけ言おう」
从 ゚∀从「どうでもいい。私はただそれを運ぶだけなのだからな」
_
( ゚∀゚)「おっと、忘れてもらっちゃ困るが、君に届けて貰いたいのはこの箱と僕自身だ。オーケー?」
从 ゚∀从「……成る程。それを手土産にワタナベに取り入ろうという寸法か」
_
( ゚∀゚)「僕の見立てでは、後援者にするにはあそこほど心強い組織は無いからね」
- 32 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 21:53:16.11 ID:tiFvSi1FO
- そう言って肩を竦めるジョルジュ。
シベリアの下を追われてから、彼がどのような生活を送って来たかは定かではない。
だが、懸賞金を掛けられた身の彼が身を寄せる場所としては、渡辺グループは最適な選択と言えよう。つくづく世渡りが上手い男だ。
从 ゚∀从「それで、報酬は?」
_
( ゚∀゚)「前の職場から頂戴した“退職金”がまだ残ってる。逃亡生活のうちにある程度削れたが、前金として君を動かす分に充分な額は有る筈さ」
言いながら彼は携帯端末を取り出すと、ボタンを弄ってから私に見せる。
私がそれに無言で頷くと、彼は満足気に頬を緩めた。
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 21:53:21.64 ID:AWBijciJO
- 支援
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:00:35.33 ID:Sfc/IQg8O
- モンキー?
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:00:50.30 ID:/qBpODDiO
- さるったか?
- 36 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 22:00:58.23 ID:tiFvSi1FO
- _
( ゚∀゚)「オーケー、商談成立だ。成功報酬の方はきっと渡辺の方からも入る筈だ。期待してくれ」
薄ら笑いを浮かべて彼は右手を差し出す。
从 ゚∀从「あぁ。よろしく頼む…前にっ!」
私はその手を握ると間髪入れずに彼を引き吊り倒してその上に覆い被さった。
_
( ;゚∀゚)「おおい!随分情熱的なお誘い……」
優男崩れが言い終わらぬうち、銃声。
同時、入り口のドアの窓ガラスが砕け散る。
弾丸は私たちの頭上を通過、背後の大窓を叩き割って向のビルの壁面にめり込んだことだろう。
舌打ちを残し、事務所のドアの前から立ち去る人影が見えた。
从 ゚∀从「……貴殿に死なれる訳にはいかない。そこで大人しくしていてもらおう」
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:03:05.10 ID:5WoMnod2O
- 来てた! 支援
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:03:42.44 ID:Sfc/IQg8O
- >>35 DIO乙!
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:03:53.26 ID:6xDAVs5a0
- このスレ初めて開いたがどういう内容なんだ?
モテないのか貞淑なのか、それとも戦士とか?
- 40 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 22:04:20.94 ID:tiFvSi1FO
- _
( ;゚∀゚)「やれやれ…この街でゆっくり出来る所は無いものかね…」
減らず口を叩く優男崩れを残して私は即座に立ち上がる。
人工筋肉の稼働率を上げてスタートダッシュを切ると室外へ。
踊場に飛び出した瞬間、金髪の頭が下っていくのを発見。襲撃者と判断。追跡を開始。場末の雑居ビルにやかましく響く靴音。
从 ゚∀从「速いな…義体か?」
追いつけないままビルの一階へ。揺れる玄関ドアのその先、溢れかえる雑踏を睨みつける。
从 ゚∀从「……逃がしたか」
記録できた相手の特徴は、小柄で金髪という二点のみ。この人混みでは見分けがつかない。諦めるしかなかった。
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:06:01.50 ID:Sfc/IQg8O
- >>39
↓初北産業↓
サイバーパンク
オムニバス
ノワール
ってこった。
- 42 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 22:06:06.13 ID:tiFvSi1FO
- _
( ゚∀゚)「いやいや、お見事。歴戦のお手並みといったところかな?」
背後からかけられた軽薄な声に振り返る。
从 ゚∀从「貴殿もなかなか慣れたものではないか。ミスタージゴロ?」
_
( ゚∀゚)「ドンパチの無いカジノには生憎勤めた事が無くてね」
相変わらずの締まらない笑みを張り付けたまま、彼は手を差し出した。
_
( ゚∀゚)「流石はアイアンメイデン。これなら道中もわりかし快適に過ごせそうだ」
从 ゚∀从「……知っていたのか」
_
( ゚∀゚)「女の子の手は握りなれてるんでね。あんなに硬いのは君が初めてだ」
その一言で、私は彼に対する認識を改める事となる。
掴み所の無い男から、“油断ならない人物”へと。
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:07:28.97 ID:6xDAVs5a0
- ノワール以外意味が分からないや
二度とこのスレに来るなってことか
- 44 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 22:07:49.07 ID:tiFvSi1FO
- ──スコープから目を離すと、私は隣に降り立った“彼女”を振り返った。
ξ゚听)ξ「随分と荒っぽいやり方ですね。“チルドレン”の皆さんはみんなそうなんですか?」
精一杯の皮肉を込めて吐き出す。
私と鏡写しのような姿をしたデレ・ツヴァイ嬢は、どこ吹く風といった様子で後ろ髪をかき上げた。
ξ゚听)ξ「失礼を承知で進言させて頂ければ、今回の場合、わざわざ対象に接近する必要は無かったと思われますが?」
ビル風が吹き付けるニーソクのとある雑居ビルの、その屋上。
超長距離用狙撃銃を担いだ私を、無手のデレはどこから出したのかタオルで首筋を拭いながら見つめている。
切れ長で、“蒼色の双眸”。嫌な目だ。
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:09:39.21 ID:Sfc/IQg8O
- >>43 まぁそう言わず、まとめでも読んでみなよ。
- 46 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 22:10:13.54 ID:tiFvSi1FO
- ζ(゚ー゚*ζ「お姉様はそうお考えですか」
ξ゚ー゚)ξ「私が、というよりは常識が、と言った方が宜しいでしょうか」
薄く笑みを浮かべて彼女を見やる。
気に食わないことに、彼女も私と同じ表情を浮かべていた。
ζ(゚ー゚*ζ「御助言有り難う御座います。ですが、今回の任務の指揮権限は全て私にあります。お姉様が心配していただく事はありませんわ」
懇切丁寧な断り。
ζ(゚ー゚*ζ「……今回の任務は“お父様”からの直命。お姉様にとっては最大のチャンスでしょうし、功を急く気持ちも分かります。分かりますが……」
そして、慇懃な嫌み。
ζ(゚ー^*ζ「私もその“お父様”に現場指揮を任されていると言うことを、お忘れなきよう、お願いしますね?」
ビジネスパートナーとしてこれ以上にそりの合わない相手と、私は未だかつて会ったことがなかった。
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:12:09.17 ID:Sfc/IQg8O
- 支援
- 48 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 22:12:12.25 ID:tiFvSi1FO
- ξ#゚ー゚)ξ「……そうですね。差し出がましい真似を失礼しました」
怒鳴り散らしたくなるのを辛うじてこらえて、私は頭を下げる。
ζ(^ー^*ζ「いえ、こちらこそお姉様に御苦労をお掛けしてしまい恐縮です。
これからもお姉様には何かと不自由な思いを強いてしまうかも知れませんが、何卒御理解頂けると助かりますわ」
満面の笑みで手を振るその顔に、私はもう少しで拳を叩きつけるところだった。
ξ; ー )ξ「……それで、これからの行動プランはどうなっているのでしょうか?」
ζ(゚ー゚*ζ「そうですねぇ…」
人差し指を顎に当てると、思案するようにデレは小首を傾げる。
- 49 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 22:13:52.66 ID:tiFvSi1FO
- ζ(゚ー゚*ζ「……こうして狼煙も上げた事ですし、取り敢えずは目標の出方を窺いましょう」
ξ;゚听)ξ「なっ…!」
その呑気な物言いに、私はまたも激昂を押さえる努力をせねばならなかった。
ξ;゚听)ξ「お言葉ですが、そのような暇は無いと思われます」
ζ(゚ー゚*ζ「何故です?」
ξ;゚听)ξ「何故って……」
涼しげな顔で首を傾げるデレ。
まるで私の反論を予想していたようなその表情に、「しまった」と思いながらも私はその先を続ける。
ξ; )ξ「その……“ヴォルフの尻尾”は、我が社が…お父様が人生をかけてお探しになっている程の代物ですし…それに…」
ζ(^ー^*ζ「それに?」
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:14:47.80 ID:5WoMnod2O
- 支援
- 51 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 22:15:17.24 ID:tiFvSi1FO
- ξ; )ξ「それに…他の国家にとっても、あれは喉から手が出るほど手に入れたい物に違いありません」
ζ(゚ー゚*ζ「確かに、他国の諜報機関が動いたという情報も、あくまで噂の域を出ませんが耳にしますね」
ξ;゚听)ξ「それならっ…!」
ζ(゚ー゚*ζ「ですから」
思わず身を乗り出した私に、デレはあの気に食わない微笑を浮かべると。
ζ(゚ー゚*ζ「我々は、その動き出した組織というのが、どこの国の賊なのかというのを突き止める必要があります。そして」
それを一転させ。
ζ( ー *ζ「その賊共から、我が国が生んだ至宝を何としても守り抜かなければなりません」
同じ顔をしている私にさえ、どうすれば浮かべられるのかわからない程、残忍な笑みを浮かべた。
- 52 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 22:17:01.67 ID:tiFvSi1FO
- ──乾いた風が頬を打つ。火薬の匂いを孕んだその中を、オレ達は時速70キロで駆け抜けていた。
(▼A▼)「ヘイ、女流ジャーナリストさんよ。オレ達ぁ一体どこに向かってるんだ?」
サングラスでぼやけた視界。バックミラー越しに見える依頼人様に尋ねる。
ハンドルを握っているのにはっきりとした行き先も分からないとは、実に滑稽なことだ。
o川*゚口゚)o「一つだけ言うなら──」
髪を抑え、目を細めながら彼女は大声で叫ぶ。
格安レンタルのジープには幌すら着いていない。おまけにガソリンまで自腹ときた。実に至れり尽くせりなオープンカーではないか。
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:18:46.26 ID:Sfc/IQg8O
- C
- 54 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 22:18:51.28 ID:tiFvSi1FO
- o川*゚口゚)o「あなたのそのサングラス!ビックリするほど似合ってないよ!」
(▼A▼)「……」
視界いっぱいに広がる、砂と岩の荒野。
“道”らしい“道”の存在しないそこで方向を見失ったらどうなるのか。
オレは唐突に気になって、ハンドルを限界まで切った。
o川*><)o「キャー!ちょっと!何よー!」
砂煙を立て、ジープは独楽のように旋回する。
後部座席からの何とも可愛らしい悲鳴に、胸は幾分かすっきりした。
('A`)「で、オレ達は何処へ向かってるんだ?」
サングラスを外すと、オレは後部座席を振り返り再び尋ねる。
o川;゚ー゚)o「ちょっと!今のは何よ!説明してよ!」
犬のように喚く彼女を手で制し。
('A`)「先に質問したのはオレだ」
我ながらクールに言ってのけた。
- 55 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 22:22:00.16 ID:tiFvSi1FO
- o川;゚ー゚)o「ちょっと冗談で言っただけなのに…」
('A`)「オレは傷つきやすい。言葉には気をつけてくれ。で、行き先は?」
オレの質問に、彼女は膨れっ面を一転、意味有り気にほくそ笑むと。
o川*゚ー゚)o「ワタナベ社長に直接インタビューをしに行くの」
随分とイカレた事を抜かした。
('A`)「ヘイ、ヘイミスキュート。よく聞こえなかった。悪いがもう一度頼む」
o川*゚ー゚)o「だからぁ、ワタナベ社長に……」
('A`)「君はこの砂漠が目に入らないのか?ワタナベの宿泊しているホテルは首都に有るって言ったのはどこのどいつだ?え?」
- 56 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 22:23:25.53 ID:tiFvSi1FO
- 首都とは真逆に位置するムバラク砂漠。そのど真ん中で、オレは叫ぶ。
暑さと喉の渇きとで、オレの怒りは“有頂天”だった。
(#'A`)「この砂と岩山しかない死の世界の何処に、あの女狐が居るって言うんだ?勘弁してくれ」
o川*゚ー゚)o「ふふふ……そう思うよねぇ…?」
(#'A`)「そういう焦らしのテクニックはもっとオレの心に余裕がある時にしてくれないかなぁ」
o川*^ー゚)o「ちっちっち!それが居るんだなぁ!」
(#'A`)「いいから要点だけを言えってんだよファッキンジャアァァップ!」
拝啓ハインリッヒ嬢。心から謝ります。私ドクオはもう二度と、あなたの前で戯れ言を垂れないことをここに誓います。
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:25:09.03 ID:Sfc/IQg8O
- 支援
- 58 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 22:25:18.91 ID:tiFvSi1FO
- o川*゚ー゚)o「さて問題。あなたはある都市の市長です。もし工場を建てるとして、あなたなら何処に建てますか?」
(#'A`)「いいから……」
o川*゚ー゚)o「何処に建てますか?」
(#'A`)「何処って……」
苛立ちを顕にしつつも、少し前にエミュレーターで遊んだ大昔の街造りシミュレーションゲームのノウハウをオレは口にする。
('A`)「騒音だとか公害だとかを考えたら、郊外だろうな」
o川*゚ー゚)o「“公害だけに”」
(#'A`)「……」
o川*゚ー゚)o「さてさて、それじゃあその工場で作っている物が軍需品だとしたらぁ……」
('A`)「砂漠は新兵器の実験場としても使える。兵器工場としてはこれほどうってつけの場所は無いだろうな」
で、渡辺の兵器工場がこのムバラク砂漠の中にあると。つまりはそう言いたいのか。
- 59 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 22:26:55.39 ID:tiFvSi1FO
- o川*^ー゚)o「イエース!どっくん鋭いねぇ!」
('A`)「何でだろうこいつ凄くムカつく」
o川*゚ー゚)o「今日、その兵器工場にかのワタナベアヤカ総帥が視察に向かうという情報を耳にしましてね」
('A`)「オレ達はその兵器工場を目指していると」
o川*^ー゚)o「イエース!流石どっくん!阿吽の呼吸だね!」
('A`)「マジこいつ殺したい」
明朗快活に笑う“現相棒”に背を向け、オレはハンドルを握る。兵器工場ときたか。
('A`)「随分と穏やかじゃないな」
- 60 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 22:28:19.23 ID:tiFvSi1FO
- 今回の総裁選で宇宙開発推進派のプギャー総理が就任してから数ヶ月。
政府の飼い犬たる渡部グループは、ドイツのブラウナウバイオニクス社と合同で軌道上でのオービタルコロニーの開発に取り掛かっている。
国家の維新が掛かった大事なこの時期に、総帥自らが植民地の兵器工場を査察。怪しいと言えば怪しい。
o川*゚ー゚)o「ね?スキャンダルとか、陰謀とか、そんな感じの匂いがするでしょ?」
('A`)「それで、君はその兵器工場にマイクとテープレコーダーを持って行くわけだ」
o川*゚ー゚)o「まさか。一般人が一国の軍事面を支える会社の工場に正面玄関から入れるわけないでしょ」
('A`)「じゃあどうするんだ?」
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:29:30.43 ID:Sfc/IQg8O
- 支援
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:30:24.39 ID:5WoMnod2O
- しえん
- 63 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 22:30:51.92 ID:tiFvSi1FO
- 嫌な予感に気付かないフリをしながらオレは訊く。
案の定、自信あり気な笑みを浮かべて彼女はこう言った。
o川*゚ー゚)o「正面がダメなら裏口から、って相場が決まってるじゃない!」
('A`)「……もう何も言うまい」
コンパスを確認し、オレはアクセルを踏み込む。砂煙の向こうに、一瞬何かが光った。
それが希望の光だったらどれだけ良かったか。
その時のオレは、そんなことをぼんやりと考えていたのだった。
next track coming soon...
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:31:35.33 ID:+RAtJ7FSO
- >>61
IDがスーファミ
- 65 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 22:33:08.29 ID:tiFvSi1FO
- きょうのとーかおしまい
みんなたち ありがとう
しつもん が あるひとは きがねなく いってくださいね
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:35:17.11 ID:tiFvSi1FO
- >>61
おまけにIQが80ときた
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:38:11.03 ID:5DVLF/yyO
- 乙
次の投下はいつ頃?
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:38:42.60 ID:Sfc/IQg8O
- しいて いうなら つぎのとうかは いつ ですか?
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:44:51.42 ID:5WoMnod2O
- おつ
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 22:45:45.49 ID:uRCiRJU7O
- さんたさんは ぼくのところに きてくれますか?
- 71 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 22:47:44.04 ID:tiFvSi1FO
- >>67-68
あえて いうなら そう クリスマス までには とうか したいです
>>70
ばかめ サンタ は しんだわ
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 23:01:35.49 ID:l07TVyDWO
- 乙
次も楽しみ
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 23:09:04.08 ID:haSkVKJNP
- ぼくのところにかのじょはきてくれますか
- 74 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/21(月) 23:11:26.43 ID:tiFvSi1FO
- >>73
やくそく の き の した で まちなさい
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 23:15:24.37 ID:5WoMnod2O
- くりすます の よてい は ありますか
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 23:19:10.20 ID:ZZWgIug90
- いつも たのしませて いただいて おります
ぎじんか ちゅうい です
http://uproda11.2ch-library.com/216115IQF/11216115.gif
- 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/21(月) 23:25:11.71 ID:Sfc/IQg8O
- >>76 きあいはいりすぎ
くそわろた
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/22(火) 00:12:35.95 ID:vaw/5VFXO
- リアルタイムひゃっほぉぉぉぉぉぉい!!!!!!
ハインは俺のよmくぁwせdrftgyふじこlp
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/22(火) 00:26:42.39 ID:anlTI7QTO
- 毎回読んでるよー
作者がんばー
- 80 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/12/22(火) 01:20:59.31 ID:XPDMwZvMO
- まだ おちていない とは
>>75
りあじゅうがり に さんせん します
>>76
しょけん で まちうけ とうろく よゆう でした
全部
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