从 ゚∀从は鋼鉄の処女のようです
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:08:06.48 ID:S9oyw6330
- 代理
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:12:01.10 ID:kvn4XbaqO
- 支援
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:12:47.63 ID:hangFmPb0
- 初遭遇ktkr
- 4 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/06(日) 23:18:04.15 ID:BgXPaO92O
- >>1乙です
まとめ
http://boonsoldier.web.fc2.com/maiden.htm
↓初北産業↓
サイバーパンク
オムニバス
エンターテイメント
週刊連載から月刊連載ってまるでどこかの萩原みたいだね!
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:18:55.21 ID:FuEvn8jX0
- >>4
酉バレしてたけどその酉使うの?
- 6 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/06(日) 23:19:14.65 ID:BgXPaO92O
- track-δ
──彼の言葉は、ある程度予測出来ていた。
( ^ω^)「ジョーカーは、僕が昔所属していたハッカーチームのメンバーの誰か…らしいお」
だから、彼が断言しなかったことが、ひっかかった。
从 ゚∀从「…らしいとは?」
( ^ω^)「シュール先輩は、ただ、“ジョーカーはあのメンバーの中に居る”としか言わなかったんだお。どうしてそれを知ってるのかも、何も言わず…ただ、それだけを僕に伝えたんだお」
从 ゚∀从「それが、彼女の推論でしかないという可能性は」
( ^ω^)「無いお」
きっぱりとした口調で、彼は断言した。
( ^ω^)「あれから僕も何回かシュール先輩と会って話したんだけど、シュール先輩は絶対にその理由を教えてはくれなかったお」
从 ゚∀从「ならば何故……」
( ^ω^)「後輩の堪、だお」
堪、とはまた随分当てにならないものを持ち出すものだ。その時はそう思った。
( ^ω^)「確かに根拠として薄いのは解ってるお。でも、長い付き合いだから解るんだお。先輩が、嘘をついてるかどうかなんて」
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:19:55.70 ID:PXMzA5a1O
- 支援
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:20:12.78 ID:FuEvn8jX0
- 人違いでした
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:21:15.90 ID:VNHbRCXsO
- 今頃来たんかよ
- 10 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/06(日) 23:21:34.55 ID:BgXPaO92O
- ( ^ω^)「先輩は何時もあんなふざけた調子だけど、あの話をする時だけは雰囲気が変わったお。何て言ったらいいか……」
言葉を探すよう逡巡し、彼は呟いた。
( ^ω^)「凄く…悲しそうな目をするんだお」
从 ゚∀从「……」
悲しそうな、と彼は言う。
全く持って不甲斐ないことであるが、あのシュールという人物の感情の動きは、この私でさえ完全に把握出来ない所が有る。
ポーカーフェイスと言おうか。
常に最新版の心理学アプリケーションを更新ダウンロードしていても、彼女は情動をめったに表に出さない為、その解析が困難なのだ。
( ^ω^)「後悔しているようにも見えたお。結局、理由はわからないんだけど…ただ、先輩が何の根拠も無しに言ってるんじゃないってことだけは、確かだお」
彼女の言ったことが嘘か真実かは判らない。
しかし、目の前の塩豚の言葉の真偽ぐらいは判断出来る。
少なくとも、彼は嘘をついていない。
だから、私はこの話の確度を78パーセントと認定した。
- 11 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/06(日) 23:23:44.22 ID:BgXPaO92O
- ( ^ω^)「“黒山羊のサーカス”の噂を聞いたのは、それから少ししてからだったお。でも、その時は、本当にただの噂で…実在してたなんて思いも……」
“ハッカーの間で流行る、一過性の都市伝説の類だと思っていた”
ブーンはそう語る。
( ^ω^)「ジョーカーが率いているハッカー集団……と聞いて、少し興味は湧いたけど」
( ^ω^)「僕自身、ハッカーの世界から身を引いていたし、昔のつてを頼ろうにも同期に潜っていた奴らはみんな足を洗ってて、その噂についてはノータッチだったんだお」
アングラカルチャーというのだろうか。ハッカーの間にもコミュニティと呼べるものがあり、情報交換やたわいもない雑談に興じる為の大手の私設チャットルームなどが存在するという。
かつては彼もそこによく出入りしては業界の情報を仕入れていたそうだ。
が、チーム解散後はハッキング行為そのものから遠ざかっていたことも有り、殆ど訪れることも無かったらしい。
- 12 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/06(日) 23:25:24.73 ID:BgXPaO92O
- 从 ゚∀从「聞こえてくる情報は、どれも不確かな物ばかり、というわけか」
( ^ω^)「だから僕も、動くに動けなかったんだお」
でも。
( ^ω^)「さっきの襲撃で、黒山羊のサーカスが実在することがわかったお」
重々しく呟く彼の表情は、何時になく堅い。
噂でしか無かった筈の虚像が、確かな存在感という輪郭を形作っていく。
彼は一体、この現状にどういった想いを馳せているのか。
从 ゚∀从「……で、これから貴様はどうするのだ?」
分かりきっていることだが、敢えて尋ねる。
彼は、予測通り、眉間に皺を寄せて顔をあげると言った。
( ^ω^)「黒山羊のサーカスについて、調べてみるお。シュール先輩の言ったことが本当なら、僕は、かつての仲間が、今、何をしようとしているのか知らなきゃいけないお」
从 ゚∀从「そう言うと思っていた」
( ^ω^)「そういう訳だから、今日はもう帰ってくれお」
从 ゚∀从「残念ながら、その提案は却下だ」
( ;^ω^)「は?」
- 13 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/06(日) 23:27:06.55 ID:BgXPaO92O
- 从 ゚∀从「私も、貴様に同行させてもらう」
( ;^ω^)「えぇと…その…話が見えないんだけど……」
目を白黒させて狼狽えるブーン。やはり、理由は必要なようだった。
从 ゚∀从「ジョーカーには私も聞きたいことが有るのでな。シュール嬢の言葉が真実かどうかは判断の付かない所だが、貴様の弁に嘘は無かった。だから、私も調査に同行する」
( ^ω^)「ジョーカーに聞きたいことって…?」
ここでは随分と迷った。
果たして、彼にこちらの情報を全て話してしまって良いものかと。
だが、情報収集においては自らの手札を出し惜しみすることで、損をする事がなきにしもあらずだ。
私は、“ヒト”が打ち明け話をするときのようにもったいを付けると、口を開いた。
从 ゚∀从「ツクバ電脳中枢構造体でのことは覚えているか?」
( ^ω^)「おっおっ。生のジョーカーを見たのはあの時が初めてだお」
从 ゚∀从「その時、奴は私に向かってこう言った」
“連れないなぁ。今日で会うのは三度目なのに”
- 14 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/06(日) 23:28:58.29 ID:BgXPaO92O
- 从 ゚∀从「私はそれ以前に奴とは一度しか会ってない。ニーソクの駅前で、ドロイドを通した奴と一度撃ち合いをしただけだ」
( ^ω^)「確かに…数が合わないお」
从 ゚∀从「奴の言葉を信じるなら、私はそれ以前にも奴と会ったことが有る、ということだが……」
( ^ω^)「だけどハインちゃんには覚えが無いんだお?」
从 ゚∀从「一つだけ、思い当たる節が有る」
( ^ω^)「……それは?」
从 ゚∀从「私が、ドクオに拾われる以前に、私が奴と会った可能性だ」
それは。それは、結論から言うと確かな事ではない。
あまりにも根拠が薄弱過ぎて、自分ですらこんな思考は馬鹿げていると思う。
だが、それを否定するだけの根拠が無いのも事実だった。
現在の我が主の言質によれば、私はニーソクのとあるスクラップ置き場に投棄されていたのだそうだ。
それを、四年前の主が拾い、修理して再起動させたという。
私には、再起動以前の記録が無い。
何処で、何をしていたのか。
誰の下に仕え、それがどんな人物だったのか。
何も、覚えていない。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:30:41.78 ID:m4kY0OFZO
- しおん
- 16 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/06(日) 23:34:58.96 ID:BgXPaO92O
- 从 ゚∀从「私の最古の記録は、目覚めた時、目の前にあった主の小汚い残念顔。それ以前の記録は完全に欠落している」
( ^ω^)「……」
从 ゚∀从「しかし私が以前どんな環境の下、どんな主に仕えていたのかは今の主の下ではどうでもいいことだ」
スクラップの山、その中で朽ち果てるままの私を、彼は拾いあげてくれた。
それだけ。その事実だけ。
その事実だけがあれば、私には他の何も要らないと。
そう、思っていた。
- 17 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/06(日) 23:36:09.84 ID:BgXPaO92O
- 从 ゚∀从「ブーン……」
( ;^ω^)「お、お?」
从 ∀从「それでも私が、自分のルーツを知りたいと思うのは、いけないことだろうか?」
( ;^ω^)「そ、それは……」
从 ∀从「ジョーカー。奴が何か知っているのかもしれない。知らないのかもしれない」
知らないなら、知らないでいい。
むしろ、私はそれを願う。
从 ∀从「なぁ、ブーン。貴様だから話すがな」
( ^ω^)「……」
从 ∀从「私は、今の主の下で暮らすこの生活が、存外に気に入っているのだ」
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:38:07.20 ID:BgXPaO92O
- 一日放っておくと、次の日には野垂れ死んでしまいそうな程に情けない主。
望むと望まざるとに関わらず、トラブルの中に巻き込まれる我が主。
護る為に製造された私にとって、これほど相応しい主人が他に居るだろうか。
私の存在の証明。それは、彼という存在そのものに他ならない。
从 ∀从「だから、私は今の暮らしを。主との下らない日常にイレギュラーが介入するのを断じて許さない。絶対にだ」
……本当にそれだけなのだろうか。私は、本当にそれだけの理由でジョーカーに会おうとしているのか。私は、もしかしたら……。
※警告※警告※考えるな※それ以上は考えるな※それ以上の思考は主への反抗とみなす※
三原則が警鐘を鳴らす。絶対の戒律が、私の思考を強制的に中断させた。
( ^ω^)「ハインちゃん…?」
从 ゚∀从「だから、私は、ジョーカーに会わなければならない。あって、真実を確かめなければならない」
そうだ。これは、れっきとした護衛行為だ。“主の平穏を護る”。そのために私は動くのだ。
( ^ω^)「……」
从 ゚∀从「同行させて、くれるな?」
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:39:17.81 ID:l4393C2H0
- しえんです!!
- 20 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/06(日) 23:40:06.09 ID:BgXPaO92O
- 暫くの逡巡があった。彼は複雑な面持ちで私を見つめると、小さく頷いた。
( ^ω^)「でも、さっき話した事は、ドクオには言わないでくれお」
从 ゚∀从「何故だ?」
( ^ω^)「……これは、僕一人の問題だお。無関係な人を巻き込む訳にはいかないお。特に、ドクオだけは、絶対に」
ドクオだけは、と強調し、彼は寂しそうな、それでもどこか嬉しそうな目をする。
( ^ω^)「……ドクオは、僕にとって、恩人みたいなものだから。絶望と孤独の中に居た僕を救ってくれた、“親友”だから……」
从 ゚∀从「親友……か」
( ^ω^)「ドクオが、僕のことをどう思ってるのかは知らないお。それでも、僕があいつを親友だと思うのは僕の勝手だお」
“ただ、嬉しかったんだお。あいつが、あの時人を信じることを諦めていた僕に、意味もなく、ただ、声を掛けてくれたのが。ただ、ただ、嬉しかったんだお”
( ^ω^)「だから、あいつは僕の親友。だから、絶対に巻き込む訳にはいかないんだお」
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:42:03.88 ID:FPkYvsAJO
- ktkr
支援
- 22 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/06(日) 23:42:08.23 ID:BgXPaO92O
- 从 ゚∀从「親友なら、助力を請えばいいじゃないか」
( ^ω^)「それは、ダメだお」
从 ゚∀从「確かに、あの社会的生ゴミに何が出来るかと聞かれれば、私もフォローのしようがないが……」
( ^ω^)「そうじゃないお。そうじゃないんだお。……頼りにならないのは確かだけど」
主が何処かでくしゃみをしたような気がした。
( ^ω^)「ジョーカーに近付くということは、それだけで命の危険を伴うお。それはこないだのツクバ電脳中枢構造体でもわかってることだお」
从 ゚∀从「確かに」
( ^ω^)「ドクオを、もう一度あんな目に合わせる訳にはいかないお。だから、この事は……」
从 ゚∀从「わかった。約束しよう。かわりというか、私が先に話した事も主には黙っていてくれないか?」
( ^ω^)「何故?」
从 ゚∀从「奴をつけあがらせるだけだからな」
( ^ω^)「なる程」
そこで、私たちは顔を見合わせて頷く。
数時間前のことだった。
- 23 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/06(日) 23:44:26.16 ID:BgXPaO92O
- ※ ※ ※ ※
──溢れる涙を、止められなかった。
( ;ω;)「ドクオ…頼みがあるお。聞いてくれるかお?」
掠れる声はどうしようもなく上擦った。
(;'A`)「あぁ、あぁ、聞く。聞くよ。聞くともさ。だから……」
嗚呼、どうして、何時も僕はこうなんだ。
どうして僕はこうも、周りが見えてないんだ。
何がドクオを巻き込むわけにはいかないだ。変わってない。僕はあの時からなに一つ成長してないじゃないか。
“あんま、一人で背負い込むなよ”
かつての親友の言葉がリフレインする。あの時から僕は、一人で勝手に突っ走ってばかりで。
他人に迷惑をかけない?
笑わせる。
それはつまり、自分以外の人間を信用していないということじゃないか。
( ;ω;)「ジョーカーを…止めて欲しいんだお……」
“信じる”なんて、軽々しく使える言葉じゃない。
最も信頼していた友は逝き、愛 していた筈の“彼女”すら信じられなかった僕には、もうそんな相手は現れないと思っていた。
- 24 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/06(日) 23:46:11.62 ID:BgXPaO92O
- 思っていたけれど。
僕は何処を見ていたのだろう。
僕はこの五年間、誰に感謝していたのだろう。
( #;ω;)「これが落ち着いてられるかお!」
(;'A`)「のわっ!」
本当に、“親友”だと思うなら、信じてやらなければ。
それこそが、僕に出来る、ただ一つの。
( ;ω;)「ジョーカーを……僕の仲間を止めてくれお!」
“親友”の証明なのだから。
- 25 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/06(日) 23:47:32.94 ID:BgXPaO92O
- ※ ※ ※ ※
──群青色をした電子の海を、白い情報流(ストリーム)の波が渡っていく。
何時もなら、それはただのキラキラした星屑のようにしか見えないのだが、今はそれを構成する零と一までもがはっきりと知覚出来た。
('A`)「こりゃ、電子の王(笑)からかっこ笑いをとらにゃいかんかもな」
ブーン自作のブラウザの性能に舌を巻きつつ、オレは先の奴とのやり取りを思い出す。
( ;ω;)『ジョーカーを……僕の仲間を止めてくれお!』
涙ながらに訴えてくる奴に、事情が飲み込めないオレは当惑するしかなかった。
(;'A`)『ちょっと待てよ。何でいきなりジョーカーが出てくるんだ?順を追って説明してくれ』
混乱するオレ。生暖かい目線を送るハイン。鼻を啜りながら事の顛末を語り出すブーン。
全てを奴の口から聞き出したとき、オレはこの一連の騒動において自分が完全に部外者であるということを改めて実感した。
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:48:37.06 ID:1iwVrUCbO
- あふん
- 27 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/06(日) 23:49:45.24 ID:BgXPaO92O
- (;'A`)『……』
助けてくれ、とブーンは言ったが、正直、オレに何が出来るのかと思った。
電脳に強い訳ではない。ジョーカーに特別な因縁が有るわけでは無い。
オレなんかがでしゃばる幕じゃない。そう思った。
( ^ω^)『ジョーカーを、説得して欲しいんだお』
“シベリア”はパーナルが率いる氷の旅団。その日本での拠点となっている貸しビルを襲う計画を、“黒山羊のサーカス”は立てているという。
“ジョーカーの代弁者”が語る所によれば、奴らはネット班とリアルでの実働班とに別れてその貸しビルを襲撃する手はずを整えているらしい。
“黒山羊のサーカス”がどれだけの力を有しているかは分からない。
だが、氷の旅団のやり方を実際に目にしているオレからすれば、それは余りにも無謀な計画に思えた。
ブーンもオレと思う所は同じで、奴らが取り返しのつかない事をする前に止めて欲しいとの事だったが……。
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:50:24.92 ID:0i5BsfdBO
- 支援します
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:51:30.37 ID:m+xEkUHc0
- おいィ?お前それでいいわけ?
- 30 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/06(日) 23:51:57.72 ID:BgXPaO92O
- ('A`)『説得するんだったら、オレなんかよりも昔つるんでたお前の方が向いてるだろ』
( ^ω^)『僕は、他にしなきゃいけない事があるんだお』
('A`)『他にって……』
( ^ω^)『……頼むお』
結局、ブーンの真剣な顔にオレはその役を受けて、今、“サーカス”の“テント”を目指して居るわけだ。
('A`)「……本当にオレなんかで大丈夫なのかよ」
从 ゚∀从「人手不足の末の苦肉の策というやつだろう」
横に並んだ毒舌の処女がさもありなんとした口調で言う。相変わらずだ。
('A`)「君はフォローする気すらないんだね」
从 ゚∀从「そう卑屈になるな。彼も、貴様を信頼しているからこそ任せたんだろう」
('A`)「さっきと言ってることが真逆な上に棒読みで言われても」
从 ゚∀从「ガイノイドらしいだろう。ロボ娘萌えだろう」
('A`)「けっ、よく言うぜ」
吐き捨て、前を見据える。
“絆”だとか“信頼”なんてフィクションを信じるつもりはさらさらないが、それに近いものは何となく手に入ったような気がした。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:54:49.07 ID:GW+CDDhh0
- ktkr! 支援支援
- 32 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/06(日) 23:55:03.84 ID:BgXPaO92O
- ('A`)「……ところで、さ」
一つ前に進んだところで、嫌なことを思い出したオレは隣の相棒を振り返る。
自分の幼稚な行動は、取りあえず精算せねば。
('A`)「さっきは…その…」
从 ゚∀从「反省なら後で聞く」
('A`)「いや、でも……」
食い下がろうとするオレの言葉を遮ると、彼女は仏頂面のまま。
从 ゚∀从「今回は、得失点差で大目に見てやる」
それでも、何処か優しげに呟いた。
- 33 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/06(日) 23:56:49.82 ID:BgXPaO92O
- ※ ※ ※ ※
──煤けたコンクリート壁を見上げて、溜め息をつく。
( ^ω^)「……七年ぶりかお」
ニューソク区の住宅街。街灯がともり始めた街並みの中、そこだけが置き去りにされたようにして闇の中に沈んでいた。
( ^ω^)「まさか、また来るとは思ってもみなかったお」
傾いた標札には、「コーポ 浅井」の五文字。
取り壊し決定の看板と、侵入禁止の札が下がったロープに、僕は、かつての親友が生きた証までもが無くなることをしった。
( ^ω^)「……ふぅ」
感傷的な溜め息をまた一つつくと、ロープを跨いで廃アパートの階段を登っていく。
七年前、この階段を企業警察の刑事に先導されて初めて登った時のことが鮮明に思い出された。
“こんな早朝にすまないね”
“なにしろ、ガイシャの知り合いっていうのが君ぐらいしかいなくてさ”
“確認だけで済むからさ”
二階の廊下を渡りながら、暗闇に目を凝らして部屋番号を一つ一つ確認していく。
203号室。
あれ以来、新しい住人が入ることは無かったそうだ。
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:57:35.02 ID:9FqWMCyzO
- 通りすがりの支援
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/06(日) 23:59:06.80 ID:0i5BsfdBO
- 支援だ!
- 36 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/07(月) 00:00:02.01 ID:5rE7KuejO
- ( ^ω^)「……」
目的の部屋を見つけ、立ち止まる。
203号室。
ぃょぅが、脳死状態で発見された部屋だ。
( ^ω^)「……」
“どうだい。本人で間違いないかい?”
“おい、どうした?大丈夫か?”
“……無理もないか。ああ、吐くならこの袋を使いなさい”
(; ω )「うっ…うぅ……」
扉を開けると狭い玄関がありその先は六畳一間のフローリング部屋に一つだけの窓に向かって置かれた情報端末(ターミナル)に腰掛けた“あいつ”は頭をこちらに向けてだらりと垂らして
(; ω )「ああ…っあぁ……」
白く濁った瞳だらしなく開いた口からはやけに長い舌が伸びていて真っ青な顔首筋のニューロジャックに繋がったままの結線ケーブルが
( ;ω;)「おぇっ…!」
頭を抱えてうずくまる。目眩と、胸を押し破りそうなまでの吐き気。溢れる涙。
喉元までせり上がってきた酸っぱい唾液を嚥下し、よろよろと立ち上がった。
( うω;)「……ぃ…ょぅ」
負けてなどいられるか。こんなところでへこたれてたまるか。
- 37 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/07(月) 00:02:03.56 ID:5rE7KuejO
- 乗り越えなければならない。僕は、あの忌まわしい過去を乗り越えなければならないのだ。
( ^ω^)「負ける…もんかお」
震える手でノブを掴む。
過去への扉を、力いっぱいに開いた。
next track coming soon...
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/07(月) 00:06:56.45 ID:4Ta3vq0tO
- おつ
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/07(月) 00:10:48.17 ID:y7DocTRL0
- 今日もう終わり!?
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/07(月) 00:11:32.97 ID:KnF9FRL1O
- 乙
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/07(月) 00:13:16.18 ID:o9Oaq1vdO
- 乙!
- 42 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/07(月) 00:14:14.66 ID:5rE7KuejO
- ええ!?今回で完結じゃなかったのかよ!しかも短っ!とお思いの読者諸賢の皆様、申し訳有りません。
書いてるうちに思いの外、文章が肥大化してしまいましてやむなくこういう形で区切る事となってしまいました。
だが逆に考えるんだ!ここで区切ったということは、残りは殆ど書き終えているということ!即ち、数日のうちに続きが読めるのだということを!
そんでもって投下が月刊ペースになって来てて、ウルトラジャンプかこの野郎って感じですけど違いますよ少年エースです。
いやね、そろそろやりますよ、僕。ふふふ。週刊連載ってやつをね。
あまり期待しないでふうん、へえ、そう、とあしらってあげておくんなましよ。
質問とかあればご自由にドゾ
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/07(月) 00:29:17.00 ID:Zz+B0dIl0
- 乙
ぃょぅ'sベストは次回はあるかい?
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/07(月) 00:30:16.70 ID:999HvJvB0
- これいつまでやってんの
このスレタイ1ヶ月前にも見た気がするんだが
いい加減パー速行けよ
vipじゃなきゃヤダヤダーってか?氏ね
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/07(月) 00:31:41.08 ID:UTP31jDIO
- >>44 宇宙に旅立ってろよ
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/07(月) 00:32:56.04 ID:6aLROcmMO
- なんだかんだで完結も名残惜しいなあ…でもいつか終わりは来るしなあ……
と、たそがれてしまう。乙でした
- 47 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/07(月) 00:40:16.59 ID:5rE7KuejO
- >>43
星に祈るんだ!
>>43
多分、Disc 15くらいで終わると思います。最悪でも20より行くことは無いと思います
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/07(月) 00:43:23.20 ID:KVWn5BzGP
- ウルジャンもヤンジャンもエースもヤングエースも好きです
乙です
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/07(月) 00:47:41.21 ID:Zz+B0dIl0
- >>47
ハイン過去編はありますか?
- 50 名前: ◆fkFC0hkKyQ :2009/09/07(月) 00:57:11.38 ID:5rE7KuejO
- >>49
無論です
ギコ、ニダー、ハイン、パの人、渡辺は外伝という名の本編みたいな感じで書くことが決まっています
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/07(月) 00:57:32.08 ID:Su8DDWLiO
- 乙
全部
最新50