以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 22:33:02.60 ID:aZPsNN8h0<> ┌| ∵|┘まとめサイトさま┌| ∵|┘

http://boonsoldier.web.fc2.com/hosi.htm
http://nanabatu.web.fc2.com/boon/becouse_hosi_wo_sagasu.html

第二十二話を投下します <>( ∵)はξ゚听)ξと星を探すようです 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 22:33:25.49 ID:Z4da7cBL0<> ししし支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 22:35:44.83 ID:aZPsNN8h0<> 第二十二話 さあさあお代は見てのお帰り




暗い。


いや、今俺が歩いている場所が闇に閉ざされているわけではない。
目隠しを、されている。
そして、腕は後ろでしっかりと拘束されている。


痒い。


この不自由な感覚。たまらなく不快だ。
背中の真ん中あたりで、電気がぱちぱちと走っている。
ここは何処だ? そして俺は何故こんなことに?
頭の中を黒く大きなモノが蠢いている。上手く思い出せない。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 22:38:28.95 ID:Q/Frt8NoO<> 最近頑張ってるな
しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 22:39:07.35 ID:aZPsNN8h0<> ( ´_ゝ`)「着いた」


扉が軋む音がする。とても大きな扉だと推定できる。


( ´_ゝ`)「真っ直ぐ歩け。そして 止まれ と言ったらその場に跪け」


ネコミミ族は、そんな指図は…… 受けない。


(´<_` )「動かないよ、兄者」

( ´_ゝ`)「ふん。ハイン、頼む」



   VIP帝の脇にいたハインが、髪を掻き揚げてフサをのほうを向く。
   小石でも投げるように、彼に向かって右手を横に振った。


ミ,, Д 彡「……!」


   一瞬、フサは体中の体毛が逆立つような震えを覚える。
   そしてハインが人差し指をクイッと曲げれば、もはや彼の身体は操り人形に過ぎなかった。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>age<>2009/03/12(木) 22:39:44.35 ID:mpMVIRy7O BE:1409908875-2BP(1113)<> sssp://img.2ch.net/ico/tinpopo2.gif
ほう… <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 22:40:31.79 ID:DR8RWEA7O<> し支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 22:41:31.43 ID:aZPsNN8h0<> 体が、俺の言うことを聞かない。
足が、勝手に前へ進む。

 
  ハインは握っていた拳を開いた。


数十歩目で、それがぴたりと止まる。
お次は、両肩へ何か重いものを背負わされているような感覚が襲った。
俺はその場に跪く。奥歯を、軋ませた。



「何だ。こいつは」


( ´_ゝ`)「はっ。 こやつはモールマイスにいた邪魔者です」

(´<_` )「目的自体は達成できたのですが、こやつの性でモール族から逃げられ……」

「まあ良い。労働力などどうにでもなる」

「私が問いたいのは、なぜこいつを私の元へと連れてきたか ということだ」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 22:44:41.03 ID:aZPsNN8h0<> 何故か苛立ちを感じる二つの声。
ああ。記憶を段々と取り戻してきた。俺は、モール族の住処で……


……ん


ミ,, Д 彡「やめろっ!! ターバンに触れるなっ!」


从 ゚∀从(ほう…… ネコミミ族か。尻尾が怒りで立っている)

( ´_ゝ`)「ご覧ください」

ミ,, Д 彡「……」

从 ゚∀从(!? 耳がないじゃないか)



   闇は蠢く。 体勢を変えたようだ。
   やや前傾姿勢になり、フサの頭部を興味深く見つめている。


「どうやらネコミミ族のようだな。だがしかし、耳が削がれている」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 22:45:38.60 ID:Q/Frt8NoO<> しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 22:49:11.10 ID:aZPsNN8h0<> 「貴様。どうして耳がない? 答えろ」



ミ,, Д 彡「……」



从 ゚∀从「答えないな。私も興味があるのだが」

( ´_ゝ`)「心配無用。想像の範囲内だ」

从 ゚∀从「む。そのキノコは?」

(´<_` )「ペラペラダケです。 この茸から噴出される煙を吸うと、なんでも自白するのです。
       色んな国で、重罪人に秘密を言わせるために用いられています」

( ´_ゝ`)「ハインリヒ。勉強不足だな。ちなみに食べるとカツドンの味がする」

从 ゚∀从「す、すまない……」

(´<_` )「しかし、カツドンとはなんだ? 砂漠に巣くうモンスターの一種か?」

( ´_ゝ`)「東方の料理らしい。まあ、どうでもいいさ」



ふん。そんな小細工に俺は屈しない。
ペラペラダケが眼前に置かれたと察したら、呼吸を止めてやる。
しかし、先程から続くこの頭のだるさは何だろうか。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 22:52:09.35 ID:Q/Frt8NoO<> しえんっ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 22:52:11.45 ID:aZPsNN8h0<> 从 ゚∀从(……? なぜキノコをしまう)

( ´_ゝ`)(ただ見せて説明しただけだ。もうキノコの煙はこやつが昏睡しているときに吸わせた)

( ´_ゝ`)(強情を張っていても、直に効果が表れてくるはずだ)



ミ,, Д 彡「……」

――頭の中を蠢くモヤが、その全域に一気に拡張される。

ミ,, Д 彡「!!??」



( ´_ゝ`)(今、一瞬おかしな動きをしたな)

( ´_ゝ`)(マスター。どうぞ) <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 22:55:06.59 ID:aZPsNN8h0<> 「ではもう一度聞こう」

「貴様は何故、耳がない?」


ミ,, Д 彡「そ、それは……」





※ ※ ※ ※ ※





( ´_ゝ`)「どうでしよう? 使い方によっては、かなり大きな戦力になると思われます」

「ふっ…… 耳のないネコミミ…… 面白いじゃないか」

「そして…… こんな奴を私の前へ連れてきたお前のセンスも、中々キレているな」

( ´_ゝ`)「有難きお言葉」
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 22:55:35.83 ID:Q/Frt8NoO<> しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 22:58:34.72 ID:aZPsNN8h0<> 頭の中からモヤがすっと抜け出たとき。
既に取り返しのつかないことになってしまったと、野性の勘が知らせた。
俺は真っ先に里を思い浮かべる。

俺が俺でなくなる前に、
俺が俺であった証拠を脳裏に刻み付けるのだ。



(フサって強いんだねー!)

ミ,, Д 彡(……!!)

ミ,, Д 彡(ビコーズ。人間になれよ……)




「”使い方”は貴様らに任せる。さあ、用が済んだら去れ」



( ´_ゝ`)「はっ」





   また、闇が蠢いた。 エルダー達に背を向け、天井の輝きを見つめる。
   蒼い輝きは命を与える。 そして闇は、命を覆い、消し去っていく――― <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:01:41.85 ID:aZPsNN8h0<> ※




「いーーっ くしゅん」




(´・ω・`) 「風邪でも引いたか、ギコ殿」

(,,゚Д゚)「いや、なんでもないよ」

/ ,' 3 「……」

(´・ω・`) 「やけにそわそわしているな、アラマキ。」

/ ,' 3 「う、うむ」

(´・ω・`) 「やけに発言も少ないし、今日の会議は失敗だな」

(,,゚Д゚)「今日はもう終わりか? ちょっと用事があるから帰りたいんだが」


アラマキはゆっくりと頷く。


(,,゚Д゚)「そうかい。悪いな。じゃあ俺は退席させてもらうよ」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:01:59.69 ID:Q/Frt8NoO<> しえーん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:03:32.93 ID:Q/Frt8NoO<> しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:04:38.95 ID:aZPsNN8h0<> 出口へと向かうギコの背中に、アラマキは一言を投げた。



/ ,' 3 「ギコ殿。この町は住みやすいかの? 何か困ったことはないかの?」


ギコは朗らかな笑顔で答える。


(,,゚Д゚)「ああ。とってもいい町だぜ」


それを聞き、アラマキはほっと胸をなで下ろす。
だが、それよりももっと大きな心配が、すぐ気持ちに栓をする。
今まで以上に、表情を暗くさせる。


(´・ω・`) 「何かあったな?」

(´・ω・`) 「嫁さんに逃げられた…… あ、もう死んでるか」

(´・ω・`) 「じゃあ娘」

/    ,' 3 びよーん

(´・ω・`) 「アタリか…… ふっ」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:07:29.58 ID:Q/Frt8NoO<> しえーん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:08:03.09 ID:aZPsNN8h0<> (´・ω・`) 「前から予測はできていたんだろう」

/ ,' 3 「……うむ」

(´・ω・`) 「なら特別警備でもなんでもやれば良かったじゃないか」

/ ,' 3 「……」

/ ,' 3 「い、今となっては何もかもが遅いわい」

(´・ω・`) 「まっ、若い頃は冒険の一つや二つしておくもんだ
      ツンにとっていい経験になるはずだ」

/ ,' 3 「時代を考えろ! 時代を!」


(´・ω・`) 「ふむ。だが彼女の目的地はモラだ。 モラへの道ならばそれほど危険はあるまい
      モンスターに遭遇しても、なんやかんやで上手く切り抜けるんじゃないか?」

/ ,' 3 「そうかのお……」

(´・ω・`) 「レジスタンスへの道でもサンドワームに出くわしたが、上手く退散させた と誇らしげに言っていたぞ」

/ ,' 3 (あの細い腕が砂漠の掃除屋を!? うーむ……) <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:10:07.18 ID:Q/Frt8NoO<> しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:10:53.99 ID:aZPsNN8h0<> / ,' 3 「うーむ…… ううううむ……」

(´・ω・`) 「そんなに悩んでいると、VIPとの本戦の前にくたばってしまうぞ
      心配するな。あの子は大丈夫。私が保証する」

/ ,' 3 「なんでお前が保証できるんじゃ!」

(´・ω・`) 「なんでもさ なんでも」



そう言って、悩み心頭のアラマキを尻目にショボンも退室した。
向かう先は、鳥や犬を飼育している舎だ。窓から射す太陽の光が、眩しかった。
ツンとブーンが熱射病になっていないかと、小さな心配も抱く。


※ ※ ※


(´・ω・`) 「やあ」

「うぃーっす……」

適当にあしらう若い兵を見て、奥からもう一人がすっ飛んできた。
彼は、ショボンよりも数年遅く入隊した。だから、ショボンの黄金期をよく知っているはずだ。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:11:31.80 ID:u5ThzRjTO<> wktk <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:14:52.47 ID:aZPsNN8h0<> ――ポカリ!


「いってぇ〜 何するんすか」

  「口を改めろ! 貴様の前にいるお人は誰だか分かってるのか!」

「……んえ? 汚いオッサン…… だけどヒゲは立派ですね」

(´・ω・`) 「ははは。ありがとう 私もそこさえ褒めてくれれば別にいいや」

ショボンは顎鬚をさすり、にやけながら喋る。
そのやり取りを見て、中年の兵は顔を真っ赤にさせる。

  「何をおっしゃりますか!」

  「おい若造! よーく頭に叩き込んどけ! 
   この方はかつてレイラを繁栄に導いた騎士団”エーデルリッター”の団長……」

「え!? あの騎士団の団長は……」

  「この……」
  
「ショボン・サマ・サ!!」


若造でも、エーデルリッターという伝説の騎士団の存在は覚えていた。
そして、それを率いたというサーバ砂漠一の剣士、ショボンの名前も同時に引っ張り出される。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:18:34.51 ID:Q/Frt8NoO<> また懐かしいネタをwwww
しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:19:10.28 ID:aZPsNN8h0<> 「ギエピー!!! 申し訳ありませんショボン様!! 無礼な態度をお許しください!!」

(´・ω・`) 「いやいや。大丈夫さ」

(´・ω・`) 「それより、伝書鳥を一匹貸してくれないか」

「伝書鳥!? は、はい畏まりましたー!!」



若者は急いで奥へと駆ける。中年はほくそ笑みながら茶の用意をしていた。
ショボンは窓から見える空を眺めていた。





砂漠の空は、今日もひたすらに青い。
こんなに晴れ晴れとした空なのに、ショボンには何故か一点の陰りを伴って見えるのだった。
それは、平和が訪れない限りは外せないフィルターが、彼の眼に差し込まれているからである―― <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:21:54.88 ID:aZPsNN8h0<> ※



(,,゚Д゚)「いい町、ねえ……」

(,,゚Д゚)「思わずああ言っちまったが、うーん」

(,,゚Д゚)「まあ、確かにあの穴っぽこよりは住み易いけど」



「うぇ〜ん!」



(,,゚Д゚)「……ほら」



聞き覚えのある声だった。 恐らく、三毛のニャムだ。
ギコは、町の子供たちがよく遊ぶ公園へと駆ける。

鼻も良ければ耳も良い。 身体能力は人間よりも遥かに勝っているはずである。
それなのに人間の子にいじめられるとは情けない とは思いつつも、心配で仕方がなかった。
ネコミミは青年になって初めて筋力などが発達する場合が多い。 幼年期は逆に人間よりも脆いこともある。

そしてこの環境。 隠し切れない長い尻尾は、人間の子供にとって「他者排斥」の感情を動かすには十分の材料である。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:22:50.02 ID:Q/Frt8NoO<> しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:23:46.97 ID:J50ta/67O<> 支援する <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:25:15.97 ID:aZPsNN8h0<> 「おい! 何だよこの尻尾〜」

「うぇーーん ふにゃぁあああん!!!」

「にゃーん だってさ。 こいつ猫なんだよ。ネコミミ!!」

「そういや居住区が与えられたんだっけ?」


(,,゚Д゚)9m「みいいいいいつけたあああああああ!!!!!!」

「うあぁあああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」

(,,゚Д゚)「ゴォオォォオオオルァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」

「ぎゃあぁああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」


人間の子供達は慄き、一目散に逃げていく。
捨て台詞を吐いて。


「ね、ネコミミはネコミミの居住区で遊んでろ! 出てくるな!」


(,,゚Д゚)「――!」
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:26:48.88 ID:Q/Frt8NoO<> しえーん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:27:49.85 ID:aZPsNN8h0<>
ギコ達は今回レイラへの転移を認められた。しかし、それは町の中に「居住区」を設けてそこに住ませる という形式。
居住区を設けるということは、猫と人間の線引きを明確にする。完全に猫が人間の社会に溶け込んでいるとは言えない。
だから、逆に差別になるのでは? という不安がギコの中にあった。
そして、その不安はやはり本当であると、今の台詞で強く感じ取ったのだ。
フサのような人間嫌いの孤立主義者は、かえってそのほうが楽かもしれない。 
しかし、居住区という縛りは、子供のような存在にとっては、苦だろう。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:28:30.31 ID:aZPsNN8h0<> 「う、うう…… ギコ〜」

(,,゚Д゚)「よしよし。大丈夫だ。帰ろうな」


ギコはニャムを肩に乗せ、帰路を辿る。


「あの場所から僕たちは出ていけないの?」

「自由に走っていけないの?」

「だったら僕、地面の下で暮らしてたほうが良かったよ……」


(,,゚Д゚)「そんなことねぇさ」

(,,゚Д゚)「どこを走ろうが、それはお前の自由だ!!」

「ほんと?」



(,, Д )「…………本当さ」



<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:31:23.44 ID:aZPsNN8h0<> ※






「……あさあ」

「………は、なん…び……り!」

「世に珍しい動く………だよ!!」



ここはどこだろう? 分からない。思い出せない。
モール族の住処に辿り着いた。 ヴィップの奴等が来た。 そして、フサと別れて……




( ∵)「んー?」



「うわーーー!!!!」

「起き上がった!!!!!」

「喋った!!! よな!????」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:33:32.08 ID:Q/Frt8NoO<> しえん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:33:51.25 ID:aZPsNN8h0<> 目の前には15人くらいの人の壁。
人……? 僕は人間の前にいるんだ! 人間と会うのは久しぶりだ。
喋りたい! 色々と教えて欲しい! 特に、僕がなんでここにいるか!


( ∵)「あのー!」

「ほ、本当に喋ってるぜ……」

( ∵)「ぼ、僕はなんでここにいるんでしょう……」

「えー? 分からないよ〜www かわいいっwwww」

( ∵)「わ、わかりませんか…… そうですか……」

さっきから僕の横にいる、髭面のおじさんが僕をにっこりと見下ろしてこう言う。

('e')「さあ、サボテン君? 自己紹介をしてみようか?」

僕はおじさんの笑顔が本当の笑顔じゃないと分かる。
じゃあ、本当の笑顔って何? と訊かれたら困るけど、とりあえず、偽物なんだ。
でも、ここは従わなくちゃ って、僕の勘が囁く。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:36:37.18 ID:aZPsNN8h0<> ( ∵)「ぼ、僕は…… サボテンのビコーズです」

「ビコーズだってよ!!」

(’e’)「ふふふ。ビコーズ君、もう少し何か喋ってみてくれるかい?」

( ∵)「はい。わかりました!」

「素直だなあwww」

( ∵)「えっと…… 僕の夢は、人間になることです」

「きゃーwwww かわいいwwwwww」


さっきから真ん前で僕を見つめる人の一人。長い髪の毛に厚い唇。きっと女の人だ。
その人の嬌声で、場が包まれる。 何故か、あまりいい気分はしない。
「かわいい」って言葉が、嫌いになったのかな?


( ∵)「……」

(’e’)「それじゃあビコーズ君。これからお客さんが君に質問をするから、それに答えてね?」

( ∵)「……」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:37:53.20 ID:Q/Frt8NoO<> しえーん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:38:56.09 ID:aZPsNN8h0<>
「はいっ! それじゃ前の女性の方!」

「えー!? 私ぃー!? んとねー それじゃーねー」

「どぉしてビコーズ君は人間になりたいのっ?」

( ∵)「……」

「あれれ? おっさん! 答えないよ!? ビコーズ君」

(’e’)「おかしいなー☆ こら! ビコーズ君! 答えなさい!」


絶対に答えない。 答える価値がないんだ。
僕はヘソを曲げた。サボテンにヘソはないけど。


(’e’)「(…っち) ハーイ! 残念! サボテン君はもう眠っちゃったみたいだ! ごめんね♪」

「えーっ!? 何よそれー!」

「やっぱりインチキだろwww 裏で何か細工したんだろ? サボテンが喋ったり動くはずないもんな!」


違う! 僕はサボテンだけど喋ったり動くことができるんだ!
……と、喉元まで出たけど、ぐっと堪えて、飲み込んだ。
しゃっくりが出そうになった。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:42:01.54 ID:aZPsNN8h0<>
(’e’)「さーて、お次は遥か東方からやって来たサーベル・デス・タイガーだ!!!!」

「「「うおおおお!!!!!」」」


( ∵)「……」



フサとも、ツンとも、……あとそれから、ディガーとも別れちゃった。
一人ぼっちは独りぼっち。そう、一人になると独りを知って悲しくなった。
あの日ツンと出会うまではずっと孤独だった。だけど、あの頃とはまるで桁違いの寂しさ。
どうしてだろう? 僕は空に浮かぶ布みたいな雲を見つめてみる。
フサはヴィップに勝ったかな。 ツンはまだ悲しんでるのかな。 

僕は…… 僕は


(’e’)「ジョーンズの見世物小屋一番の目玉! カモン! サーベル・デス・タイガー!!」


見せ物にされてるよ……


( ∵)(え!? 見せ物!?) <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:44:09.13 ID:aZPsNN8h0<> ギコと初めて出会った日を思い出す。
ギコは僕を見世物小屋へと売っぱらうって言った。じゃあ僕をここへ連れてきたのはギコ?
いいや、そんなはずない。


「ガオオオーーーーーッ!!!」

「こ、こいつぁすげぇ迫力だー!!」

「いやーん! かっこいい!!」



( ∵)(どうしよう……)

( ∵)(考えろ。考えるんだビコーズ! そのための頭だろっ!)

( ∵)(……でも、なんだか、考えれば考えるほど……)





眠たくなってきちゃった…………

<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:46:30.69 ID:aZPsNN8h0<> ※

一方、ディガーたちは近場の地下集落に身を寄せていた。
エルダー達に潰された住処だけが住処ではない。 地下には地下の、モール族のためのネットワークがある。
とはいえ、ディガー達が住んでいた”モールマイス”はモール族のネットワークの中心、いわば首都のようなものだった。
これからどうするか、各集落から長が集まり会議が続いていた。


(×○ш○)「うーむ。第二候補はやはりモールダインか?」

(p○ш○)「冗談はやめてくれ。パンクしちゃうよ」

(’○ш○)「既に”モールランス”はパンク寸前だ! モールマイスのモール達が押し寄せたせいで食料が……」

(;○ш○)「も、申し訳ないズラ」



”モールマイス”の長は勿論長老。モールマイスが中心地だったという所以は、長老が住んでいたということもある。
今日は睡眠の日。ディガーが代わりに会議に出ていた。
問題に頭を悩ますそのとき、急ぎ足で部屋へと駆けてきた一人のモールが、彼の視界に入る。


( ○ш○)「あっ、スケサン。どうしたズラ?」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:48:06.33 ID:aZPsNN8h0<> 「あのサボテンの消息が分かったぜ!!」

( ○ш○)「むむ!! ごめんズラ! ちょっと抜ける!!」

(p○ш○)「あっ、待てっ!!」

(×○ш○)「やれやれ。どこの集落が原因だか分かってるのかよ」



会議を放り出してディガーは駆ける。
息を切らしながら、スケサンに詳細を訊いた。


「モールランス東ゲート付近の見世物小屋に捕まっていた! 
 早く行かないと、キャラバンの行方が分からなくなるぜ!」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:49:38.29 ID:X159hGDsO<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:50:22.36 ID:aZPsNN8h0<> ( ○ш○)「見世物小屋!? そりゃあ難儀ズラ! 待ってなさいサボテン君!
       僕が助けてやるズラー!」


(;○ш○)(というか…… 数日前、この集落まで逃げ出したあと。サボテン君が勝手に”陽に当たりたい”って外へ出たズラ
       危ないからよせって止めたのに…… まあいいズラ)


( ○ш○)「次回! 僕はサボテン君を悪の手から救い出すことが果たしてできるのか!?」

( ○ш○)「第二十三話 『戦えディガー!! それゆけディガー!! モール族の勇者ディガー!!』 」


( ○ш○ )v  「みんな!! 来週もまた見てくれズラ!!!」



多分そうはならないと思われる。しかし、ディガーは暗闇のトンネルを駆けていく。
昨日の晩、ディガーはモールマイスの様子を窺いに戻った。
そこには、既にVIPの厳重な警備が敷かれていた。 そう、彼は悟ったのだ。


――フサは負けた。


ビコーズは自分が守らなければいけない。
そんな責任感が彼の巨大な体躯を突き動かしていた。 背中には、鋼鉄のツルハシ。


(続く) <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:55:53.83 ID:aZPsNN8h0<> 投下終わりです。
こないだの絵スレで絵くれた人ありがとうございます。とても嬉しかった。
あとブーン芸のしたらばにスレ立ててくれた人も。

>>1に何か言いたいことがある人はなまめかしくお願いします <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/12(木) 23:57:37.74 ID:BS2ZOlDRO<> ぅぉつー
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/13(金) 00:02:50.43 ID:W+wsJwOOO<> 乙! <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/13(金) 00:03:03.27 ID:odvUFTos0<> 来てたと思ったら終わってた
今から読むけど先に乙 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/03/13(金) 00:04:17.62 ID:qgKlKyuxO<> 乙! <>