( ∵)はξ゚听)ξと星を探すようです
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:04:31.45 ID:OBeEal1u0
- ┌| ∵|┘まとめサイトさま┌| ∵|┘
http://boonsoldier.web.fc2.com/hosi.htm
http://nanabatu.web.fc2.com/boon/becouse_hosi_wo_sagasu.html
第二十話と二十一話を投下します
- 2 名前:ジェラートin抹茶ん ◆GREENTEAnQ :2009/03/06(金) 22:05:14.41 ID:nsZeYMpGP
- >>1代理dクス(^^ω)下がってていいお
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:05:55.57 ID:xcHm9vJwO
- ほう…
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:08:05.56 ID:OBeEal1u0
- 第二十話 犬と猫
敵の襲来。騒然となるモール族の住処。
ディガーは入り口から駆けつけた門番の一人に話を訊く。
門番は息を切らし、湿った鼻をひくひくとさせながら答えた。
( ●ш●)「ど、どうしたズラ。タロウ」
「し、侵入者だ。今、ジロウが食い止めている!」
( ●ш●)「なぜ侵入者と判断したズラ?」
「鎧に、”V”の文字が……!」
ミ,,゚Д゚彡「VIPの野郎だと……!?」
( ∵)「ヴぃっぷ!」
VIPが悪者だという認識は、砂漠のどこを訪ねても同じらしい。
僕は少し慄いた。ここは明かりが弱いから、思いっきり走ることはできないからだ。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:08:09.26 ID:N+IKJJiFO
- エラい更新頻度上がったな
支援
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:11:52.95 ID:OBeEal1u0
- ( ∵)(うぅ。恐いなぁ)
僕は身震いをする。足元の細かい砂が、波紋のように揺れた。
ミ,,゚Д゚彡「どうしてVIPがこんなところに?」
(@●ш●)「VIPは以前からここを狙っていた…… 何度か襲撃されたこともある」
( ●ш●)「長老! 起きていたズラ? 危険だからここから逃げるズラ!」
長老は半身を起こし、機械のようにぎこちない動作でベッドを降りた。
非常事態にも関わらず、大欠伸と共に伸びをして、皺だらけの口元をうにゃうにゃさせている。
(@●ш●)「むおーっ。それでは、久方ぶりのランニングといこうか」
( ●ш●)「よし! スケサン! カクサン! 長老と共に奥へ!」
「「あいよ!」」
長老たちが去っていくのを見届けると、ディガーはその場にいたモールの一人から、スコップを借りる。
それで戦うつもりなんだ。長くて、硬そうで、叩かれたらヴィップの兵士でも痛いんじゃないかな。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:13:32.29 ID:1nxfoYfeO
- 最近絶倫だな。支援
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:13:36.48 ID:MuFR1HFoO
- 最近速いな。支援
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:15:41.77 ID:OBeEal1u0
- ミ,,゚Д゚彡「俺一人に任せな」
( ●ш●)「えっ?」
ミ,,゚Д゚彡「数時間前に野性に戻った性か、なんだか今も身体を動かしたくてしょうがないんだ」
( ●ш●)「しかし一人で行かせるのは…… しかも君は客人ズラ」
ミ,,゚Д゚彡「いいのさ。お前こそ、この集落の若いリーダーだろ? ここで死んだら誰が皆を束ねるんだ」
( ●ш●)「ううむ……」
ミ,,゚Д゚彡「俺には守るモノや失うモノが何もねぇ。いつ死んでもおかしくない一匹狼なのさ。いや、一匹猫か?」
フサは長老の家の入り口へと駆ける。
僕は、ディガーの困った横顔を見てこう言った。
( ∵)「大丈夫だよ。フサはとっても強いんだ」
( ●ш●)「しかしズラ。今まで退散させてきたヴィップの連中は、みな雑魚の一般兵ばかりだったズラ」
(;●ш●)「そろそろ真打が登場してくるような気配ズラ……!!」
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:18:28.50 ID:OBeEal1u0
- 逃げ惑うモール達の中、その場を動かない幾人かの男達をフサは見つける。
スコップが、通路の照明で光っていた。頬には、冷や汗が流れている。
その中の一人に、彼は話しかけた。
ミ,,゚Д゚彡「おい、お前。明かりを全て消してくれ」
「むっ? どうしてだ」
ミ,,゚Д゚彡「この明かりは歓迎のしるしだろ? VIPの兵士になんか、歓迎を示さなくてもいいじゃないか」
「そ、そうだな……」
ミ,,゚Д゚彡(それに、暗闇の戦いなら俺が圧倒的に有利さ……!!)
話しかけられたモールは、自分の背後にあった岩の壁をゆっくりと開いた。
ちょうど彼のところに、照明を制御する部屋が設けられていたのだ。
「消すどー!」
ミ,,゚Д゚彡「よし!」
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:22:27.81 ID:OBeEal1u0
- 瞬時にしてモール族の住処は真っ暗闇に包まれる。
猫形態になると瞳が光ってしまい、相手に存在を悟られてしまうかもしれない。
だからフサはまだ人間の姿のままでいた。入り口へと、駆ける。
※ ※ ※
( ∵)「わぁ! 真っ暗になっちゃった!」
( ○ш○)「サボテン君。僕らも早く逃げなきゃ」
( ∵)「やだ! ここでフサが戻ってくるのを待つんだ」
フサと離れ離れになりたくないという感情もあったし、
本当のところ、真っ暗な場所ではあまり動きたくないんだ。
( ○ш○)「そんなこと言ってもサボテン君! 強情を張っていても得るのは損ばかりズラ」
( ○ш○)「猫ちゃんはとても強いんズラ? だったら彼を信じて僕らは逃げるズラ」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:24:52.61 ID:OBeEal1u0
- ( ∵)「……」
( ∵)「僕、サボテンだから暗闇の中だと動きが鈍くなっちゃうんだ」
( ∵)「だからさっきみたいに背負ってってくれるかい?」
ディガーはにっこりと笑い、大きな胸板を叩く。
( ○ш○)「任せておけズラ! よっしゃ、行くズラよ!」
僕はディガーの肩に乗せられ、その場所を後にした。
目を瞑って、フサの無事を願う。
でも、負けたって勝ったって、また会えるんだ。だって二人は友達だもの。
まっ、猫になったフサは、誰からも負けないって、信じているけどね――
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:25:43.70 ID:MuFR1HFoO
- wktk支援
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:29:44.07 ID:OBeEal1u0
- ミ,,゚Д゚彡(気配を感じる…… 居るな)
門の前に着いたフサ。 慎重に敵の存在を探っていく。
暗闇の中でもフサの目は効くが、どうやらその姿を確認できない。
どこかに隠れているのだろうと、彼の警戒心はいっそう強くなる。
ミ,,゚Д゚彡「……」
ミ,,゚Д゚彡「むっ」
足が何かに当たった。石の感触ではない。フサは屈んでその正体を見る。
モール族だ。きっと、侵入を食い止めていたというもう一人の門番だ。
ミ,,゚Д゚彡「ジロウか……? 俺だ。ネコミミのフサだ」
「うう……」
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:32:10.25 ID:2Ed5J4+R0
- しえーん
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:32:10.48 ID:OBeEal1u0
- 「目が、目が痛いよ……」
ミ,,゚Д゚彡「目?」
フサは前方で無造作に転がるゴーグルを発見した。そして、目の前で蹲(うずくま)るジロウ。
ミ,,゚Д゚彡「VIPめ。ゲスな真似しやがる」
「痛い…… 目が開けない……」
ミ,,゚Д゚彡「大丈夫だよ。もう照明は消した」
「うう……」
ゴーグルへと歩み寄り、それを拾おうとする。
しかし、それに手を伸ばした瞬間。ゴーグルはフサから逃げていった。
ミ,,゚Д゚彡「!?」
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:34:26.38 ID:OBeEal1u0
- 「これが欲しいのか?」
ミ,,゚Д゚彡「……!」
その言葉と共に、ゴーグルは人間の胸元あたりまで上昇した。
フサは、仕舞っていた爪をあらわにする。
ミ,,゚Д゚彡「オラッッ!!」
ゴーグルを持つ姿に向かって一閃。
エルダーが羽織っていた黒いマントが、細切れになって地に落ちた。
フサは振り返る。戦いの始まりだ。
双方、改めて敵と対峙したが、互いにその姿は完全な人間ではないと気付く。
∧_∧
( ´_ゝ`)「その素早い動き。愚鈍なモール族ではないな
しかし、このマントを切り裂いた爪を人間のものと考えるのも可笑しい」
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:36:36.42 ID:QjZDSLs0O
- 最近、精力的だな。
wktk
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:37:01.51 ID:OBeEal1u0
- ミ,,゚Д゚彡(兜から耳が突き出ている!! そして後ろ姿から伸びるのは尻尾……)
ミ,,゚Д゚彡「猫……」
ミ,,゚Д゚彡「いやっ」
ミ,,゚Д゚彡「イヌミミ族か!?」
エルダーはその言葉に応えるように耳をピクピクと震わす。
そして鞘からその刀身を現すは、黒曜石の剣。
( ´_ゝ`)「そういう貴様はどうやら薄汚いネコミミのようだな」
( ´_ゝ`)「差別と迫害を受けながら人間と群れ合っていればいいものを、なぜこんな辺鄙なところに」
ミ,,゚Д゚彡「黙れェェエ!!!」
飛び上がるフサの体躯。そして空中で一回転をし、エルダーへの顔面に目掛けて飛び掛る。
しかし、剣を持っていない左手のガントレットで、いとも簡単に弾き飛ばされた。
感情が先行した一打。速さと正確さが欠けていたのだ。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:39:32.85 ID:OBeEal1u0
- ミ,,゚Д゚彡「イヌミミなら暗闇でも楽勝だろう…… ケッ、別に得策でもなんでもなかったな」
ミ,,゚Д゚彡「しかしそれなら話は早い!」
いきり立つ体毛。破られる衣服。鋭さを増す牙と爪。
漆黒の空間に光るは、獣人と化したフサの眼球のみ。
ミ,,ΦДΦ彡「てめぇも犬になりな。その姿じゃ一分も持たずに死んじまうぜ」
( ´_ゝ`)「クッ。そんな野蛮な姿にわざわざ変身する必要など…… ないっ!!」
エルダー、技を繰り出す構えに入る。それが迎え撃つ類のものとは知らず、フサは突っ込む。
間合いを定め、剣は肉を絶つ。しかし、フサの一連の動きも疾風の如く。頬の肉を斬るに留まった。
ふとじわりと広がる痛みに気付くエルダー。首元から血が流れていた。
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:44:16.62 ID:OBeEal1u0
-
ミ,,ΦДΦ彡「フーッ。フーッ」
ネコミミの武術は「一撃必殺」 その鋭い爪で、相手の急所を的確に狙う。
頬を伝い、唇に辿り着いた血をぺろりと舐める。
鉄の味がした。 戦の味だ。 フサは自分の中の野性がどんどん解放されていくことを感じていた。
( ´_ゝ`)「ふん」
( ´_ゝ`)(あと少しまともに入っていたら頚動脈だったッ!)
カウンター技で自分のほうが痛手を負うとは。
エルダーはフサの実力を正確に測りつつある。繰り出す陣を相応にする必要があった。
剣を両手に持ち直し、じりじりと間合いを詰めていく。
( ´_ゝ`)「……」
ミ,,ΦДΦ彡「……」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:45:35.59 ID:MuFR1HFoO
- 支援
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:46:45.03 ID:OBeEal1u0
- 靴を破り捨て、露わになっていた猫の足。その爪先が一寸前に出る。
そのとき、エルダーの体勢は既に前のめり。斬撃の応酬だ。
( ´_ゝ`)「入ったァ!!」
ミ,,ΦДΦ彡「ぬあっ!!!」
後ずさりするフサ。肩をぱっくりとやられていた。
血は流れる。一滴、一滴、物凄い速さで地へ落ちていく。
一撃必殺で殺すか、幾多の傷を付け殺すか。犬と猫の戦法の違いが現れていた。
フサはよろけながらもその身を立て、獰猛な獣の瞳をぎろりと輝かせる。
ミ,,ΦДΦ彡「ふん。こんなもの、なんともないぜっ!!」
( ´_ゝ`)(虚勢!発声! どれもが戦には無駄なアクション! 死ね!)
エルダーの二打目が入る。 しかし、フサは虚勢を張っておきながら、その行動を囮にしていたのだ。
太刀を見抜き、横の動きでそれを回避する。
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:49:21.85 ID:OBeEal1u0
- ( ´_ゝ`)「なっ……!」
大振りの一撃だった。 これで止めを刺そうとしていたのだろう。
しかし、回避されたことによりサイドががら空きになる。
フサはエルダーの鎧と鎧の隙間、皮膚が露わになっているところを目掛けて鉄拳を食らわす。
(;´_ゝ`)「ぐおっ!」
ミ,,ΦДΦ彡「爪の相乗効果で致命傷だ!」
( ´_ゝ`)「なんのっ!」
エルダーは水平に剣を振る。フサはたやすくジャンプでそれを回避。
そこからまた飛び掛るようにムーンサルト攻撃を繰り出すが、やはり逆に反撃される。
太刀は胴をとらえ、フサは血を垂れ流しながら行動するのとなんら変わりなくなった。
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:52:00.61 ID:OBeEal1u0
- ミ,,ΦДΦ彡「うーっ……」
( ´_ゝ`)(どうだ? いくらタフといえど、それだけの出血では立っていられないだろう)
ミ,,ΦДΦ彡「も、もう駄目だ」
フサはその場に倒れ、大の字になる。
とどめを刺してくれと言わんばかりに、闘気を鎮めていた。
エルダーほどの武将ならば、これは罠かどうかという判断を必ず思考する。
――降参だと、判断した。
ミ,,-Д-彡「……」
( ´_ゝ`)「ふっ」
エルダーは沈んだ体躯に歩み寄る。攻撃を仕掛けてくる気配は、微塵も感じられない。
やや苦戦したが、それでも自分の相手ではなかったと、安堵の気分が身体を駆け巡る。
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:54:24.88 ID:OBeEal1u0
- ( ´_ゝ`)「死ねっ!」
剣を体躯へと垂直に突き刺そうとする。
……だがしかし、フサは間一髪でそれを転がり避けた。
ここまでは、エルダーの想定の範囲内。すぐに次の手を用意しようとする。
しかし、それよりも速く――
( ´_ゝ`)「飛んだ!?」
ネコミミ族の利点は身の軽やかさにもあった。
元々身体能力が高く、そしてそれを最大限に引き出せるような体の仕組みが出来ている。
伏せた状態から、瞬時に飛び上がることなど朝飯前であった。
ミ,,ΦДΦ彡「今度こそ喰らえ!!!!」
三度目のムーンサルト。今度は確実にエルダーを捕らえた。吹き飛ばされる白銀の体躯。
吐血するエルダー。動揺を隠し切れず、頬には一筋の汗が流れる。
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:57:01.36 ID:MuFR1HFoO
- 戦闘シーン支援
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:57:33.08 ID:OBeEal1u0
- ( ´_ゝ`)(……っち。甘く見過ぎていたか?)
手を口元にやり、血を拭うふりをしてエルダーは口笛を吹く。
ミ,,ΦДΦ彡「……?」
――影が、蠢く。
「兄者。いい戦い振りだったよ」
ミ,,ΦДΦ彡「!!!! ……ウッ」
ミ,, Д 彡「……」
何者かに後頭部を強打された。
ただでさえ体力を消耗していたフサは、今度こそ完全に地に伏せる。
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 22:59:15.59 ID:OBeEal1u0
- ( ´_ゝ`)「それ、嫌味か?」
(´<_` )「まさか」
背後に浮かび上がる第二の剣士。
そう、ヤンガだ。 フサは彼の存在を見抜けずに、エルダーとの戦いに集中していた。
その時点で敗北は決定していたのかもしれない。
悔しさが、薄れていく意識の中でいっぱいになる。涙はでないが、眉間に皺は出来た。
強張った表情のまま、昏睡状態となった。
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:02:31.33 ID:OBeEal1u0
-
エルダーは剣についた血を拭き、鞘に収めると、フサを見下しながら一言呟く。
( ´_ゝ`)「そいつ、まだ生きてるか?」
(´<_` )「ああ。僅かに息がある」
( ´_ゝ`)「……VIPに連れていこう。面白いことを思いついたんだ」
(´<_` )「え?」
( ´_ゝ`)「頭部をよく見てみな」
(´<_` )「耳がないね……」
( ´_ゝ`)「無理に人間と同じ位置につこうとするからこうなるのさ。
やはり亜人は自己の強さを持ち、それよりももっと強い存在に付き従うのが一番正しい生き方だ。
見てみなこの哀れな姿。ふふ。こいつは利用できそうだ……」
暗闇の空間で、エルダーの不敵な笑みが響く。
”従属”の亜人、イヌミミ。一人ではなく、いつもタッグや群れをなして戦いを行うのも特徴の一つか。
(続く)
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:05:26.52 ID:OBeEal1u0
- 第二十一話 STAND BY ME (YOU)
( ω )「……」
( ´ω`)
( つω^)「むにゃ」
( ^ω^)「おしっこ」
ブーンはふと目覚めた。
夜中になり、宴会場は静まり返った…… 訳ではない。
秋の夜長の鈴虫のように、いや、そんな風情のあるものではないが、四方八方から…… という点では似ている。
兵士たちの寝息があちこちから響き渡っていた。
(;^ω^)「うるさいお」
「ごがぁああああああ ごがぁあああああ」
(^ω^;)(あっ、この人壇上にあがってきた人だお。こわいこわい…… 起こさないようにしよっと)
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:08:05.90 ID:OBeEal1u0
- ※
抜き足差し足忍び足で入り口へ辿り着いたブーン。昼間とは、門番が交代している。
( ^ω^)「こんな夜中にお疲れ様ですお。通してくださいお」
「おお。通りな」
( ^ω^)「ありがとうございますお」
ブーンの頼りない背中に、門番は一言を投げる。
「しっかしなぁ、お前、このサーバ砂漠のこと、少しは知っといたほうがいいぜ」
(;^ω^)「勉強しておきますお」
「でも、天文学徒なんだろ?」
(;^ω^)「はい」
「なら、”レイ”って知ってるか? ……まあいいや、今日の夜空に出てる、あの星座はなんていうんだ?」
門番とブーンは五歩前に出る。
外では砂漠といえども涼しげな風が流れていた。ブーンはゆっくりと深呼吸をする。
砂漠の空気を思い切り吸い込むと、彼は自分が完全なサーバの住人になったと思い込んでしまう。
そんな優しさが、夜の砂漠にはあった。
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:10:23.46 ID:MuFR1HFoO
- 支援
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:10:39.36 ID:OBeEal1u0
- ( ^ω^)「えーっと」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「白鳥座」
「ふーん。白鳥座か」
「……少なくとも鳥には見えないな。まっ、星座なんてそんなもんか。ありがとよ」
門番と別れ、ブーンは岩陰を探す。
手ごろなそれが見つかると、ブーンは用を足し、アジトへ戻ろうとした。
ここで、ある重大なことを思い出す。
( ^ω^)「……あ」
(ξ゚听)ξ「とりあえずウシミツの刻に東尖塔の下に来て。私、窓辺で待ってるから、顔見えるはずよ」 )
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:12:38.06 ID:OBeEal1u0
- ( ^ω^)「門番さーん」
「なんだ?」
( ^ω^)「今、何時くらいですお?」
「えーっと。あ、これお前がやってきたニコ王国製の時計なんだぜ。かっこいいだろ
今はな、ニの刻だ」
( ^ω^)「それはちょうどよかった…… ほっ」
「こんな夜中に何かあるのか?」
(;^ω^)「あ、いいえ。なんでもありませんお!」
ちょうど約束の時間に目覚めたと安堵するも、次なる問題がブーンの脳裏を過る。
この暗闇の中、どうやって何里か離れた場所へ行くか だ。
半日かけ、この足で行きは歩いてきた。それを思い返すと、太腿がじんじんと痛む。
( ^ω^)(とりあえず馬小屋に行くお)
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:12:39.82 ID:4pUnLXMK0
- 支援
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:15:45.16 ID:OBeEal1u0
- 手に持っていたカンテラに火を灯してもらい、ブーンは入り口から少し離れた小屋へと進む。
なるべく音を立てないように戸を引き、馬の足音や寝息を聞く。
どうやらここが馬小屋で間違いないようだ。
( ^ω^)「えーっと…… よし、君に決めたお」
大きくも小さくもない、手頃で従順そうな若馬の前に立つ。
彼はこの夜にも目が冴えていて、鼻息を荒くしてブーンの搭乗を受け入れたようだった。
ブーンは馬を舎に括りつけていた金具を外し、手綱を持って彼を入り口へ誘導させる。
そのとき、様子を遠くから発見する人影が一つ。
(´・ω・`) (むっ。馬泥棒か……?)
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:17:39.35 ID:q51LgsbU0
- wktk
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:18:27.56 ID:OBeEal1u0
- ショボンもまた夜風に吹かれようと外へ出ていた。
カンテラを眼前に上げ、目を凝らす。
馬泥棒にしては柔和な顔つき。どうやら手綱を引っ張っているのはブーンのようだ。
(´・ω・`) 「なぁにをしてるんだアイツは」
( ^ω^)「馬術は一応嗜んでるお! よし、とにかくあっちへ一直線! 全速力で頼むお!」
「ヒヒーン!!」
(;^ω^)「ちょwww わっwww そんなに声を荒げなくていいお! 誰かにばれちゃうお!」
ブーンはアジトから早々と遠ざかっていく。中々上手い馬の扱い方だ。
……などと感心も束の間、ショボンはブーンの後をつけようと馬小屋へと向かった。
(´・ω・`) (思えばあいつは謎が多いんだよなぁ)
(´・ω・`) (うーむ)
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:20:42.93 ID:QjZDSLs0O
- 支援
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:21:13.53 ID:OBeEal1u0
- ※
ξ゚听)ξ「……」
一方レイラの町。東尖塔からツンは城下町を見下ろしていた。
普段と変わらぬ夜の町の姿。明かりを付けるのは酒屋と宿屋のロビーだけである。
確かに平和な顔を取り戻したのは嬉しい。だが、この屋根の連なりはもう見飽きてしまった。
ξ゚听)ξ「遅いなぁ……」
ふと胸に手を当てると、心臓がすごい速さで波打っている。
夜特有の高揚感も合わさって、ツンの拍動は今までにないくらいペースを上げていた。
この感情。ワクワクでも、ドキドキでもない。
ξ゚听)ξ「……」
空には綺麗な月が浮かんでいた。今宵の月に浮かぶ影は、なんとビコーズに見える。
彼は、今頃何をしているのだろうか。
早く、あの子に近づきたい。 ツンは、そんなことを考えていた。
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:23:22.06 ID:VnfLyxNdO
- 支援
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:23:39.46 ID:OBeEal1u0
- 服の裏ポケットに忍ばせたロケットを開き見る。
姉の穏やかな笑顔。これを見るたびに胸を締め付けられて仕方がないのだった。
いつか…… 体が弱りきって…… 笑顔さえ浮かばせることができなくなったら。
姉の病は治ると、床に伏せた日からずっとずっと祈っている。
それでも、そんな懸命な気持ちの隙間には、不安や憤りがどうしても生じてしまう。
夜とは感傷的になってしまう時間帯である。
ツンは、思わず睫毛を少しだけ濡らしてしまった。
ほんの数滴の涙を拭い、ふと下を見る。
涙などというものに無縁そうな笑顔の少年が、そこに到着していた。
( ^ω^)ノシ
ξ゚听)ξ「あ、あんたっ! 遅いわよっ! 一体どれくらい待ったと思ってるの!?
朝が来ちゃうわよー!!」
ξ;゚听)ξ(めそめそしてるの見られちゃったかなあ?)
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:26:18.89 ID:OBeEal1u0
-
上から下へと声を落とすのは簡単。
では、下から上へ声を届けるのは?
大声を出すことなく、かつ塔にいるツンに話しかけるのは、中々難しいとブーンは感じた。
( ^ω^)ひそひそ……
( ^ω^)(遅れてごめんおー。今からロープを投げるからねー)
留めた馬の元へ戻る。 ここで単純かつ致命的なミスに気付くブーン。
( ゚ω゚)「……」
ξ゚听)ξ(何固まってるのかしら?)
( ゚ω゚)(ロープ忘れたwwwwwwwwwwww)
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:28:20.92 ID:OBeEal1u0
- ブーンは手に何も持たず、再び尖塔の下へ戻る。
嫌な予感がツンの脳裏を過る。
ξ;゚听)ξ「……」
(;^ω^)(ごめーん! ロープ忘れた!!!!)
ξ#゚听)ξ「バッ、バカ!!! ほんと使えないわね!!!」
罵詈雑言の乱れうち、垂直落下。
ブーンも、ツンも、心の中で色んな感情が行き交って大騒ぎである。
( ^ω^)「ピコーン!」
ξ゚听)ξ「何よ! ふざけないで!」
( ^ω^)「そこから飛び降りるお! 僕が受け止めるから!」
ξ゚听)ξ「はぁ?」
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:28:23.87 ID:MuFR1HFoO
- しえんしえん
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:29:45.05 ID:VnfLyxNdO
- 支援www
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:31:30.86 ID:4pUnLXMK0
- 支援
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:31:32.69 ID:OBeEal1u0
-
ツンは半身を乗り出して地面を見る。
一定の高さはある。飛び降りるのにためらうくらいの。
そして、ブーンの体躯。華奢な腕、頼りない表情。
駄目だ。とてもじゃないが飛び降りれない。
ξ;゚听)ξ「むっ、無理! 信用できない!」
(;^ω^)「大丈夫だおっ! さあ!」
――そのとき、草葉の陰から双方にとって聞き覚えがある声が。
「なるほど。そういうことだったのか」
( ;゚ω゚)「!? その声は!」
(´・ω・`) 「よっこらせっと」
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:34:22.98 ID:OBeEal1u0
- ツンもブーンも、予想外の人物の出現に、目を丸くする。
特にツンは、鎧を脱いだショボンの姿を初めて目にしたのだった。
( ^ω^)「しょ、ショボンさん」
(´・ω・`) 「ロープならここにあるぞ。しかも鉤爪付き」
( ^ω^)「あ、ありがとうございますお……」
(;^ω^)(こんなに素直に受け取っていいのかな?)
ブーンはロープを手渡され、爪の付いているほうを垂らし、ひゅんひゅんと回す。
そして勢いよく尖塔の窓へと放った。運よく、一度で爪が石壁の縁に噛み付く。
ロープをピンと張り、ツンにゆっくり降りるよう指示した。
(´・ω・`) 「おー。馬の扱いも上手かったがロープの使い方もいいな」
( ^ω^)「そ、そうですか? ありがとうございますお」
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:36:20.35 ID:OBeEal1u0
- ξ゚听)ξ「んしょ……」
ξ゚听)ξ「よっし!」
ツンは地に足を着ける。
そのときの足裏の感触が、非常に新鮮なものに覚えた。
そして、夜の町の澄んだ空気も。
ξ゚听)ξ「……」
向こうに見える町の出口から、一面に広がる水平線を見渡す。
自分は、今この瞬間から、あの向こうへと駆ける自由を、手に入れたのだ。
そう思うと、温い空気の中でも、身震いがする。
(;^ω^)「う、馬を勝手に使ってごめんなさいですお」
(´・ω・`) 「追放だ」
( ^ω^)「……」
( ゚ω゚)
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:37:47.19 ID:QjZDSLs0O
- 支援をするよ
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:38:48.07 ID:OBeEal1u0
- (;^ω^)「そ、そんなあ!! 土下座しますお! いっぱい雑用しますお!
だからそれだけはー!!」
(´・ω・`) 「ならば、一つ条件がある」
( ^ω^)「な、なんですお!?」
ブーンとの会話を一旦保留し、ショボンはツンの方を向いた。
(´・ω・`) 「姫。若さゆえの挑戦、その目的地は?」
そんな言い方をされて、少し腹も立つ。
しかし、年長者に対しては落ち着いた口調で会話するツンであった。
ξ゚听)ξ「お姉さまのいるモラ皇国ですわ。一人で、お見舞いに行くのです」
ばっさりと切り捨てるショボン。
(´・ω・`) 「無理だ。無謀すぎる」
ξ;゚听)ξ「……」
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:41:46.80 ID:OBeEal1u0
- 「しかしもう決断したこと」と、次なる言葉を放とうとする。
だが、それよりも早くショボンがブーンの肩を叩いた。
(´・ω・`) 「ブーン。姫をお守りするのだ。
お前は今この瞬間から、ツン王女のプリンセスガードだ」
(;^ω^)「えっ……」
芯を持った声で、ツンは返答する。
「――嫌です」
(´・ω・`) 「むん?」
ξ )ξ「この旅は、自分一人の力でやり抜くと決めました。
だから、プリンセスガードなんか、いらないんです」
しかし、その言葉をもショボンは勿論切り捨てる。
この姿勢の裏側には、年長者としての見解の確かさがあった。
(´・ω・`) 「無茶無謀は、必ずしも勇気に結びつかない」
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:42:22.19 ID:2Ed5J4+R0
- しえん
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:43:47.83 ID:OBeEal1u0
- ξ゚听)ξ「……」
(´・ω・`) 「どうせ自分の娘じゃないさ。冒険の一つや二つ、好きにすればいい
だけど、君はただの女の子じゃない。背負っているものが違う
今、君が道中で何かあったら、アラマキや、国民はどうなる? そのくらいの思考の深さもないのか?」
ξ )ξ「わかって…… いますわ……」
ξ )ξ「だけど……」
ツンの声が微かに震える。
こんなに強い口調で窘められたのは、生まれて初めてかもしれなかった。
(;^ω^)(おーこわ。 っつーか、姫様のお守りとして旅立つなら、
それって追放と同じではwwwww)
ξ;゚听)ξ「だけどっ! 私は自分を試したいのです!」
ショボンに背を向け、踏み出す。
しかし、数歩歩いたところで、小石につまづき、盛大に転んでしまった。
ずでーん と。
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:45:48.17 ID:OBeEal1u0
- (;^ω^)(あらら)
(´・ω・`) 「言わんこっちゃない。はじめの一歩で既に挫けているではないか」
ξ;;)ξ「う、う゛っ……」
その場に崩れるツンの元へ、ブーンが急いで駆け寄る。
――手を、差し伸べた。
( ^ω^)「ほら、立つんだお。ツン」
しかし、ツンはその手を払いのけた。
ξ;;)ξ「ばっ、馬鹿にしないでよ! 一人で立てるよ!! 子供じゃあるまいし!!」
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:47:56.39 ID:vQwq+y6LO
- 抜いた
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:48:08.21 ID:OBeEal1u0
- ξ )ξ「……」
(;^ω^)「……」
ブーンが、思い出したようにポケットから何かを取り出す。
それは、ハンカチだった。紋様は、ニコ王国特有の様式で、ここらでは見られない。
( ^ω^)つ□ 「涙、拭けお! 僕は人の泣き顔を見るのが嫌いなんだおっ」
ξ )ξ「……」
ツンは物凄い勢いでハンカチをブーンからもぎ取る。
そして、涙を拭った。 鼻もかんだ。
やはり自分は弱い存在だと思い知らされ、だが、それ以上に……
ショボン、ブーンの配慮が、心の支柱を揺らした。
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:49:15.86 ID:MuFR1HFoO
- 支援
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:50:27.04 ID:OBeEal1u0
- (´・ω・`) 「中々有能なプリンセスガードじゃないか」
(´・ω・`) 「そんなお前にこれをやるよ」
ショボンは腰に携えた剣の鞘を解き、ブーンに手渡した。
ブーンはそれを受け取る。様々な意味を含んだ”重み”がブーンに伝わる。
( ^ω^)「これは……」
(´・ω・`) 「鋼の剣だ。私が若い頃使ったものだ。振り回すだけかもしれないが、持ってないよりはマシだろう?
道中で何かしらに遭遇したとき、最後の手段として何かがないとな」
( ^ω^)「でも僕は、剣なんて……」
次に、ショボンは小冊子のようなものをブーンの胸に押し当てる。
(;^ω^)「うわっぷ!」
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:52:58.71 ID:OBeEal1u0
- (´・ω・`) 「剣の基本が記してある。
それを読んで理解して実戦で使えるほど…… 剣の道は甘くないがな。
これもまた、やはり、ないよりマシってやつだ」
(;^ω^)(剣かぁ…… 自信ないお)
ξ゚听)ξ「……」
泣きべそを拭った瞳で、ツンは青みがかかってきた空を見上げる。
その空は、「行ってらっしゃい」と、自分に語りかけてきたような気がした。
小さな声で、彼女は「行ってきます」と呟く。旅の、始まりだった。
自分の弱さを、知るために。そして、その弱さを、超える為に。
(続く)
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:55:54.22 ID:QjZDSLs0O
- 乙!
とうとう舞台が動き出したな。期待。
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 23:59:44.82 ID:MuFR1HFoO
- ついに本格的に始動か。乙
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/07(土) 00:02:43.27 ID:02CD9mkVO
- いちもつ
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/07(土) 00:05:39.57 ID:F2dyXyzzO
- 乙
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/07(土) 00:06:21.87 ID:UskdytvP0
- 今人物テンプレかいてます
質問や感想などある人はその間にどぞ
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/07(土) 00:11:07.63 ID:b2/qMAhC0
- ひとまず乙
最近は更新スピード速くて嬉しいな
次も楽しみにしている
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/07(土) 00:17:07.05 ID:UskdytvP0
- そんじゃ人物紹介
・最新話時点のテンプレなので、未読の人は注意
・「おまえ、ネーミング適当だろwwww」と思いますが、これが>>1の精一杯です。
>>1はファンタジーを書き溜めているくせに、こういうのが苦手なのです。
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/07(土) 00:18:21.75 ID:UskdytvP0
- <人物紹介 第20話時点>
( ∵) ビコーズ
とある日知性を手に入れたサボテン。
自我が育つあまり、自分のサボテンという身分に不満に思うようになる。
その末に人間に憧れ、「レイ」の力で人間になるためにフサと旅へ出る。
(レイラ王国)
ξ゚听)ξ ツン・デ・レイラ
レイラ国第二王女。レイラ奪還では、レジスタンスと国のパイプラインとして活躍した。
しかし、自分の無力さと、王女というゆりかごに包まれた立場が許さなくなり、
城を抜け出しモラ皇国へと旅立つことを画策する。
大人たちに混じっている時はすました態度を取っているが、父や同年代の人物に対しては女の子に戻ってしまう。
ショボン曰くVIPを倒す鍵を握っているらしい。
デレ・デ・レイラ
レイラ国第一王女。病に倒れ、中立国であるモラ皇国で療養している。
/ ,' 3 アラマキ・デ・レイラ
レイラ国王。豪傑と呼ばれるほどの剣さばきや、ネコミミ族の差別無き共存を容認するなど、
様々な面で治世者としての才気は十分である。
レイラ占領時は意識を操られていたが、現在はニコ王国から天文学徒を招き、VIPの所有する「レイ」の謎を解き明かそうとしている。
VIPに次ぐ心配の種はやはり二人の娘か。
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/07(土) 00:24:06.24 ID:UskdytvP0
- (´・ω・`) ショボン・サマ・サ
反VIP共同体「レジスタンス」のリーダー。
過去はレイラに仕え、アラマキと少なからずの交友関係がある。
サーバ砂漠に名を馳せるほどの武将だったが、なぜ今は泡沫の組織に身を寄せているか、
どうしてレイラとの同盟にこだわるかは、不明。
川 ゚ -゚) クー・スナオ
雇われの傭兵だったが、レイラ奪還作戦を経て正式なレジスタンスの一員となる。
魔法という概念が絵空事であるこの世界において、魔法使いを名乗る謎の存在。やはり”レイ”が関係しているらしい。
故郷をVIPに滅ぼされ、復讐を誓う。
('A`) ドクオ・ボッチ
クーと同じく、レイラ奪還を経てレジスタンスの一員となる。
寡黙な態度は、VIPとの戦いで、耳と口が効けなくなったため。
しかし、その紅蓮の鎧から繰り出される炎の剣は少しも衰えていない。
( ^ω^) ブーン
サーバ砂漠の東方、”ニコ王国”からの来訪者。身分は星を研究する”天文学徒”である。
無邪気、天然、能天気の三拍子が揃ったような少年だが、その柔和な顔の通り性格は優しさに満ちている。
王女のツンデレ要素を上手い具合に引き出す。実際、初対面のときから仄かな恋心を抱いているのだ。
宿場がないという理由から、レジスタンスに身を寄せる。しかし、すぐさま離脱。
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/07(土) 00:28:53.50 ID:UskdytvP0
- (VIP帝国)
VIP帝
謎に包まれた支配者。”レイ”の力を用いてサーバ砂漠を掌中に収めようとする。
(-@∀@) アサピー・スウィン・ブン
魔法兵精製施設「VIPSTAR」の責任者。
魔法兵を造る技術を持つ傍ら、それ故の苦悩に日々苦しんでいる。
(・∀ ・) マタンキ・タマ・キーン
「VIPSTAR」の副責任者。アサピーを蹴落とし自分がトップに立とうと画策している。
顔≒性格を廃した魔法兵「鉄仮面」を考案。
魔法兵を戦いの道具としか捉えない。
从 ゚∀从 ハインリヒ・ハイネ・ソングブック
帝王直属の”魔法使い”
クーが纏う赤の法衣と対になるような、青の法衣を着ているが、関係は不明。
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/07(土) 00:34:27.47 ID:UskdytvP0
- ( ´_ゝ`) エルダー・サスガ・ァ
帝王直属の”騎士”
従属こそが亜人の本分と考え、自分の中の理論通り、世界で一番強いと認めたVIP帝に仕える。
武器は黒曜石の剣。
(´<_` ) ヤンガ・サスガ・ァ
同じく帝王直属の”騎士”
兄を敬愛し、行動を共にする。武器は金剛石の剣。
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/07(土) 00:38:55.77 ID:UskdytvP0
- (亜人) ※亜人として人間社会で生きる場合、サードネームは「ァ」となる。
これは亜人の紙面(戸籍)上での証のようなもので、名乗る時には発音しない(できない)
ネコミミ族…”共存”の種族。人間社会に溶け込み日々を過ごすが、差別や迫害を受ける場面も多々ある。
(,,゚Д゚) ギコ・ゴル・ァ
義賊集団”銀猫団”の長。ちなみに、銀猫団はアラマキの計らいでレイラに移住することが許された。
長として皆を束ねる気丈さと分別があるが、猫としての気ままな本性があるのか、フサを羨む感情も無いわけではない。
ミ,,゚Д゚彡 フサ・ゴル・ァ
銀猫団の副団長だったが、人間を忌み嫌い、自由を求め、離脱。
過去に人間となんらかの因縁があり、ネコミミ族の証しである耳を失くす。
粗暴な態度の裏には、弱きを助け悪を挫く心がある。モール族の住処にて、サスガ兄弟に敗北。
(*゚ー゚) シータ・ハニ・ァ
ギコの妻であり、一子を授かる。慈愛に満ちた団の母的存在。
ギコとフサとシータは昔からの幼馴染である。
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/07(土) 00:41:39.51 ID:UskdytvP0
- イヌミミ族…”従属”の種族。”共存”と同じく人間社会で生きる。違いは、堅い忠誠を誓う「マスター」の存在がいることだ。
( ´_ゝ`) エルダー・サスガ・ァ
(´<_` ) ヤンガ・サスガ・ァ
(省略)
モール族…”別離”の種族。人間の共同体から離れ、自分達の完全な社会を形成する。
( ○ш○) ディガー
気さくなモール族の一人。語尾に「〜ズラ」とつける。
(@○ш○) モール族の長老
モール族の長。彼が勉学のため土の中に篭もったのが”別離”の発端らしい。
豊富な知識に”レイ”の項目はあるのだろうか。 人の名前を覚えようとしない。現在は三日に一回起きる。
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/07(土) 00:42:04.26 ID:galayjahO
- (´・ω・`)のフルネームバロスwwwwww
- 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/07(土) 00:43:20.46 ID:UskdytvP0
- <サーバ砂漠簡易マップ(二十話時点)>
(大まかに南北に分けると南が”フタバ地区” 北が”ニチャン地区”)
北
西 東
南
VIP
VIPSTAR
モラ皇国
モール族の住処
レジスタンスアジト
レイラ 銀猫団アジト
スイーツ
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/07(土) 00:52:49.63 ID:UskdytvP0
- <用語(二十話時点)>
「レイ」
サーバ砂漠に輝くという謎の星々。
おとぎばなしの域を出なかったが、VIPはこれを手に入れ戦力を増したことにより、砂漠の関心が強まる。
二種類あり、赤の輝きは力を与え、青の輝きは命を与えると伝承されている。
「亜人」
サーバ砂漠には多種多様な亜人がいる。
その生活形態は様々で、人間と上手くコミュニケーションを取る者もいれば、悲劇を背負う者もいる。
「ニコ王国」
サーバ砂漠の東方に位置していると言われる王国。
砂漠が中国なら、ニコ王国は日本みたいな位置関係にあるとイメージすればおk
「天文学徒」
天体について研究する人々。ニコ王国では天文学が盛んなので、彼らの数が多い。
ブーンも天文学徒としてレイラに招かれた。
「レジスタンス」
いつからその組織が存在していて、古には何の勢力に「抵抗」していたかはもはや知る人はいない。
ただ、時代に抗う者たちの共同体として、アジト自体は遥か昔から存在していた。
勿論この物語の舞台では、「ショボン」が「VIP」に抗うべくレジスタンスを束ねている。
「魔法兵」
”レイ”の力によって動く魔法生命体。VIPの主力。
レイラ城地下にいた「G-2031」のように、自我を持つケースもあるようだ。
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/07(土) 00:54:31.37 ID:UskdytvP0
- ふぅ・・・ こんなもんで今日の投下は全部終了です。
初期テンプレートは三つ目か四つ目あたりのスレで投下したので、芸さんのとこで見てください。
この設定集をふまえた質問とか、あと>>1に申したいこととか、
なんかあったら携帯から答えることにします。おやすみなさい
- 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/07(土) 00:59:33.02 ID:gRKCLnAiO
- テンプレおつかれ
改めて乙
- 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/07(土) 01:15:50.26 ID:FjzLj4OdO
- 終わったか、乙
投下スピードと投下量が多くてちんちんおっきおっき
- 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/07(土) 01:22:21.75 ID:+eZF5diJO
- 乙
次も期待してるよ
全部
最新50