◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 22:31:02.59 ID:tqSJG5RB0<> ブーン芸さんにまとめていただいています。感謝!
http://boonsoldier.web.fc2.com/nakama.htm

Boon Novelさんにまとめていただいています。もっかい感謝!
http://booooonovel.web.fc2.com/trip/trip.html


第三話目を投下します。 <>( ^ω^)彼らは旅の仲間のようです 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/28(土) 22:38:22.80 ID:jDzeQJCJO<> キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!

支援 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 22:38:29.82 ID:tqSJG5RB0<> 「だが、グローインの息子、ギムリよ。わたしはあんたを果報者と思う。
 なぜならあんたが失ったのは、他の選び方もできたかもしれないのに、
 あんたが進んで選んだことだからだよ。

 しかしあんたは仲間を見捨てなかった。
 そのせめてもの報いに、ロスロリアンの思い出は、あんたの心の中にいつまでも
 鮮やかに汚れることなく留まり、色褪せることもなければ魅力を失うこともないだろう。」



J・R・R・トールキン/指輪物語  「旅の仲間」より <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/28(土) 22:39:00.40 ID:pgPivT0a0<> しえんしえん <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 22:41:51.45 ID:tqSJG5RB0<>
第三話 白の丘陵 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/28(土) 22:44:25.14 ID:VgHsow2FO<> ( ^ω^)はいきたー支援 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 22:45:12.67 ID:tqSJG5RB0<> ブーンが旅を始めてから、11日間が過ぎました。

村を囲んでいた森を抜け、風の平原を越え。
そしてガラクタの街を後にしたのが二日前のこと。
  _
( ゚∀゚)「いいか?亜獣ってのは、毛むくじゃらの獣ばかりってわけじゃない」

モララー、ジョルジュの二人と共に旅を続けるブーンは今、白の丘陵にいました。
たくさんの丘が存在するこの土地は、旅人達に嫌われている旅の難所でもあります。

(; ω )「ゼェ・・・ゼェ・・・」

亜獣が多く生息し、歩きづらい上り坂や下り坂が連続しているため、体力を消耗しやすいのです。
  _
( ゚∀゚)「人型亜獣なんてのもいる。見た目は人間みたいで、馬鹿みたいな力と知性を兼ね備えた奴らだ」

まだ体の出来ていない子供であるブーンとモララーにとって、そこはまさに地獄のような場所でした。
昼間の強い日差しに汗をかき、夜の寒さに彼らは震えるのでした。

(;・∀・)「・・・」

緩やかな丘を登る三人の足音。ジョルジュが先頭を歩き、その後ろをモララー、しんがりのブーンと続きます。
午後の太陽が彼らを照りつけるなか、ジョルジュは得意げに話をしていました。 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 22:50:17.74 ID:tqSJG5RB0<>   _
( ゚∀゚)「人型亜獣は珍しくてな、めったに遭遇することはない。俺は一度、霧の森で見たことがあるんだが。
     大陸の西のはずれにある、広い森さ」
  _
( ゚∀゚)「いやにでかい奴がいるなぁ、と思ったら、亜獣だったわけよ。霧のせいですぐに見失っちまったんだけどな」

(; ω )「・・・」

(;・∀・)「・・・なんで・・・亜獣だと・・・分かったんだ・・・?人間かも、しれ・・・ないだろ」

息を切らしながら、モララーが聞きます。
  _
( ゚∀゚)「そりゃあお前、見ればわかるさ。何も着てねえし、顔には口じゃなくて、嘴がついてたんだぜ?
     嘴だよ、嘴」

(;・∀・)「・・・へ・・・へぇ・・・」
  _
( ゚∀゚)「しかし最近、亜獣の奴らをとんと見ねえな。白の丘陵で二日も襲われないなんて、こりゃあちょっとおかしな話だぜ」

ジョルジュは言います。

(;・∀・)「確かに・・・風の平原を一週間彷徨って・・・一度しか・・・みてないな・・・」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/28(土) 22:52:33.44 ID:VgHsow2FO<> 支援 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 22:56:04.36 ID:tqSJG5RB0<>   _
( ゚∀゚)「だろ?少し前までは、三歩進むたびに襲われたもんだぜ。まあ、こっちにしちゃあありがたいけどな」
  _
( ゚∀゚)「何せ急ぎの旅だ。宝は待っちゃくれねえ」

(;・∀・)「・・・そうだな・・・」
  _
( ゚∀゚)「話は変わるが、モララー」

(;・∀・)「・・・なんだよ」
  _
( ゚∀゚)「ブーンには恋人がいるのかい?」

ジョルジュはにやにやしながら聞きました。

(;・∀・)「・・・知らないし、知りたくもない・・・」

それに、モララーは顔をしかめて答えます。
  _
( ゚∀゚)「ツンとか言ってたな。巨乳か?巨乳なのか?」

(;・∀・)「知らねえって・・・言ってるだろ」
  _
( ゚∀゚)「そうかい?本人に聞けば分かるか・・・」 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 23:01:25.68 ID:tqSJG5RB0<> ジョルジュは振り向きざま、ブーンに声をかけました。
  _
( ゚∀゚)「ブーン、お前の・・・・・ブーン?おい、ブーン!」

見ると、遥か後方、丘の中腹で、ブーンはうつ伏せに倒れていました。
疲労がピークに達したのでしょう。体じゅうから汗を流し、眼は力なく閉じられています。

ジョルジュは慌てて来た道を引き返し、ブーンに駆け寄りました。
  _
(;゚∀゚)「おい!こんなところで寝るな!何考えてんだ!」

(;・∀・)「ほっとけ・・・盾がひとつ、減るだけだ・・・」

モララーはそう呟きましたが、ジョルジュは言いました。
  _
(;゚∀゚)「馬鹿野郎!お前がいなくなったら・・・俺たちは・・・俺たちは!」

(; ω )「う・・・・・ジョルジュ」

こぼれおちる涙と共に、ジョルジュは叫びました。

  _
( ;∀;)「食料が尽きたとき、何を食えばいいんだよ!」 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 23:05:27.53 ID:tqSJG5RB0<> この日は、丘を一つ越えたところで休むことにしました。
力尽きたブーンは、ジョルジュが背負いました。

ぐったりとした背中の少年を見る盗人の目は、優しいものでした。
それはなんとなく、家畜の成長を見守る飼い主の眼差しのようでもありました。

  _
( ;∀;)「立派に育ってくれよ・・・脂がのった、良い肉に・・・」




焚き火を囲んで、夜の闇に背を向ける旅人たち。
ブーンはすでに、寝袋に入って寝息を立てていました。

ジョルジュは煙管の煙を吸い、吐きだしながらモララーに言いました。
  _
( ゚∀゚)「お前らに、教えておかなければならないことがある」
  _
( ゚∀゚)「たくさんある。なにしろお前らは旅人として、あまりに無知だからな」

( ・∀・)「・・・ふん。そうかよ」
<>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 23:09:13.22 ID:tqSJG5RB0<> 火を見つめたまま、モララーは鼻を鳴らしました。
無知と言われたのが気に入らないのでしょう。

ジョルジュは軽く笑い、続けます。
  _
( ゚∀゚)「いじけるなよ。この世界で生きるためには、知っておかなければならないことさ」

( ・∀・)「・・・言ってみろよ」
  _
( ゚∀゚)「それじゃ、問題だ」

炎が弱い風で揺れ動き、彼らの顔に影を作りだしています。
  _
( ゚∀゚)「亜獣の群れに囲まれた時、お前は生き残るため、どう行動する?」

( ・∀・)「・・・」

( ・∀・)「・・・・・ブタをデコイにして、隙を見て逃げる」
  _
(;゚∀゚)「・・・お前ってやつは・・・」

( ・∀・)「ふん」

ジョルジュの煙管から立ち上る煙が、焚き火の明かりから離れ、夜空へ消えていきます。
また一口吸い、吐きだします。 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 23:14:17.36 ID:tqSJG5RB0<>   _
( ゚∀゚)「いいか?実際、奴らはそれほど人間の肉を食いたいわけじゃない」
  _
( ゚∀゚)「人間を恐れているんだ。だから襲ってくる。危険なものは排除しようとするんだ」

( ・∀・)「・・・」
  _
( ゚∀゚)「だから囮を使った所で、意味がない。群れには役割分担があるからな。
     お前らはあの人間を、俺たちはこの人間を、って感じでな」

( ・∀・)「じゃあ・・・」
  _
( ゚∀゚)「逃げ切れる場合もある。運が良ければな。だが運ってやつは、毎回味方をしてくれるわけじゃない」
  _
( ゚∀゚)「戦わなければならないときがあるんだ。相手は多数、こっちは少数。こういう状況に陥った場合は・・・」
  _
( ゚∀゚)「頭を叩け。基本中の基本だ。群れの中で、一番偉い奴を潰すのさ。それで大抵の群れは崩れる」
  _
( ゚∀゚)「が、そうじゃない時もある。各々が優秀で、しっかりとした個体ばかりだった場合」

( ・∀・)「・・・」
  _
( ゚∀゚)「地形を利用する。こっちが多数で、相手が少数にならざるを得ない、有利な状況に持ち込むのさ」 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 23:17:13.77 ID:tqSJG5RB0<> ( ・∀・)「・・・そのぐらい」
 _
( ゚∀゚)「ん?」

( ・∀・)「知ってるさ。それに、あんただって、俺たちに負けたじゃねえか。偉そうにうんちく垂れやがって」
 _
( ゚∀゚)「ははっ!いや、あれには参ったよ。お前らは人間の一番の弱点を突いてきやがったからな」

( ・∀・)「一番の・・・弱点」
 _
( ゚∀゚)「油断ってやつさ。人間にしかありえない、最大の弱点だ。俺はお前らが子供だと思って油断し、玉を潰されかけた」
 _
( ゚∀゚)「油断。それこそが一番狙いやすく、同時に狙われやすい、人間の弱点だ。覚えとけよ」

( ^ω-)「お・・・?」

ブーンが寝袋の中でもぞもぞと動き、声を出しました。
目をこすり、暗闇の方を向きます。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/28(土) 23:18:36.67 ID:VgHsow2FO<> 支援 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 23:22:19.52 ID:tqSJG5RB0<>   _
( ゚∀゚)「おっと、ブーン、起きちまったか?悪いな」

( ^ω^)「・・・なんだお?」

( ・∀・)「あ?」

焚き火の光の届かない、暗い空間。
ブーンはじっと、そちらを見ていました。

( ^ω^)「・・・お」

( ・∀・)「なんだよ。なに見てんだ?そっちにはなにも・・・」
  _
( ゚∀゚)「モララー。亜獣の対処法はもう分かったな?」

( ・∀・)「・・・?」
  _
( ゚∀゚)「同種族同士の戦いも同じなんだ。亜獣の群れと人間の群れ。対処法はたいして違わない」
  _
( ゚∀゚)「人間同士の戦い。これも、旅をする上で避けては通れないことだ。わかるだろ?」

(;^ω^)「ジョルジュ・・・」
  _
( ゚∀゚)「今からお前らに教えてやるよ」 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 23:27:40.24 ID:tqSJG5RB0<> ジョルジュはゆっくりと立ち上がり、暗闇の向こうを見つめながら言いました。
煙管の火を消し、懐にしまいこみます。
  _
( ゚∀゚)「いいかげん出てこいよ。こっちは子供が二人、大人は俺だけだ。こそこそと様子を窺ったって、俺は眠らねえぞ」

( ・∀・)「・・・」

モララーも状況を把握したのか、ナイフを抜いて立ち上がりました。
  _
( ゚∀゚)「ブーン、俺のそばに寄れ」

(;^ω^)「おっ・・・」

すると、ジョルジュの視線の先、暗闇の中から、一人の男が現れました。

ミ ゚‐メ)「ちっ・・・気づいてたか・・・」

男は手に短剣を握り、鋭い目つきでこちらを睨んでいました。
彼は三人から距離を置いて、立ち止まりました。

( ・∀・)「なんだこいつ・・・変質者か?」
  _
( ゚∀゚)「賊だよ。似たようなもんだがな。俺たちが白の丘陵に入ったころから、ずっとつけてやがったんだ」

( ・∀・)「へぇ・・・ご苦労なことで」
  _
( ゚∀゚)「まったく、昼間にブーンが倒れた時は肝を冷やしたぜ。コイツらにやられたのかと思ったよ」
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/28(土) 23:29:44.37 ID:VgHsow2FO<> 支援 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 23:31:41.58 ID:tqSJG5RB0<> 賊は一歩進み出て、短剣を構えて言います。

ミ ゚ ‐メ)「寝込みを襲うつもりだったんだが・・・お前がなかなか眠らないんでな。我慢も限界だ。
さあ、持っている物すべて置いて行ってもらおうか・・・・さもないと」

焚き火の光を受けて、ギラリと光る剣。

ミ ゚ ‐メ)「お前らの死体からはぎ取ることになるぞ」

ブーンは体を震わせて、ジョルジュにしがみつきました。

(;^ω^)「こ、こわいお・・・ジョルジュ」

しかしジョルジュは高らかに笑い、賊を睨みつけて言いました。
  _
( ゚∀゚)「はっ、戯言ぬかすな!盗みに暴力を使うとは情けない!紳士のように、静かに、そして優雅に盗む!
     それが盗人ってやつだ!てめえは人間の風上にも置けない、ただの臆病者さ!
     ここで震えてるブーンのほうがよっぽど強いぜ!」
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/28(土) 23:32:53.98 ID:xQxP1Sx7O<> wktk <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 23:35:26.46 ID:tqSJG5RB0<> ミ ゚ ‐メ)「・・・自分の置かれている状況を、分かっているんだろう?」

ミ ゚ ‐メ)「お前ら!出て来い!」

賊が叫ぶと、三人の周囲から、武器を持った男たちが次々と現れました。
どの男も人相が悪く、にやにやと薄笑いを浮かべていました。

(;・∀・)「くそ・・・囲まれてたか・・・うかつだったぜ」
_
( ゚∀゚)「なに、心配するな。こんなビチクソ共、おっぱいに比べればただの童貞だ」

(;・∀・)「何言ってるのかわかんねえけど・・・」

(;・∀・)「・・・やるしかないな」

そう言ってモララーもナイフを構えます。とはいってもやはり子供。
武装した大勢の大人を前に、にじみ出る汗を隠すことができませんでした。

ミ ゚ ‐メ)「ククク・・・まずはガキから殺すか・・・」 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 23:40:42.20 ID:tqSJG5RB0<> 賊の輪が、三人に向かって狭くなっていきます。
ブーンは何も武器を持っておらず、ただジョルジュとモララーにすがるだけでした。

(;^ω^)「どうするんだお・・・?こわいお・・・逃げられないお・・・」
  _
( ゚∀゚)「モララー」

(;・∀・)「分かってる・・・頭だろ?」
  _
( ゚∀゚)「俺が先に行く。ブーンと荷物を頼むぞ!」

ジョルジュは動きました。
地面を這うほどに姿勢を低くし、顔に傷のある男へ向かって疾走します。

ミ;゚ ‐メ)「ぬぁっ!?」
  _
( ゚∀゚)「ヒャッホゥ!」

ジョルジュの動きに対して、賊の反応はあまりに遅いものでした。
気づいた時にはジョルジュはすでに彼の脇を通り過ぎ、賊の輪の外に抜け出していました。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/28(土) 23:41:43.77 ID:VgHsow2FO<> 支援 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 23:43:29.36 ID:tqSJG5RB0<> ミ;゚ ‐メ)「お、お前ら・・・・あぁ?」

崩れ落ちる男。ジョルジュの目にもとまらぬ掌底が、彼の顎を打ち抜いていたのです。

賊「お、お頭!」
  _
( ゚∀゚)「ブーン!モララー!今だ!」

そのジョルジュの声がかけられる前に、モララーはブーンの首根っこを掴み、動いていました。

(#・∀・)「おらっ、走れブタ!」

(;^ω^)「おぉっ!?」

リーダーを倒され、戸惑う賊たちにできた穴。
二人はその穴を駆け抜けます。
  _
( ゚∀゚)「よし!行くぞ!ついてこい!」

三人は賊たちに中指を突き立て、逃げて行きました。 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 23:47:55.61 ID:tqSJG5RB0<> ミ;゚ ‐メ)「く・・・お前ら・・・逃がすなよ・・・絶対に!」

賊「お頭、大丈夫ですか!」

ミ#゚ ‐メ)「早く追え!逃げられたら、ただじゃおかねえぞ!」

賊「は、はい!」

怒鳴られて、三人のあとを追う賊たち。
残されたのは、顔に傷のある男と、小さくなった焚き火だけでした。

ミ#゚ ‐メ)「・・・くそっ!奴ら、道具もしっかり持って逃げやがった・・・抜け目がねえな」

(  ・ω・)「・・・・・どうした?」

顔に傷のある男、もといお頭に話しかけたのは、一人の大柄な男でした。
肩にかついだ巨大なハンマーを揺らし、這いつくばるお頭に手を貸します。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/28(土) 23:49:27.48 ID:VgHsow2FO<> 支援 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 23:51:04.96 ID:tqSJG5RB0<> ミ ゚ ‐メ)「お、お前・・・どこに行ってたんだ?」

(  ・ω・)「うんこしてました」

ミ#゚ ‐メ)「馬鹿野郎!さっさと三人を追え!初めからお前がいれば、こんなに手がかからずに済んだんだ!」

(  ・ω・)「逃げられたのか?」

ミ#゚ ‐メ)「う、うるせえ!いいか、絶対逃がすなよ!あの野郎、俺をコケにしやがって・・・」

(  ・ω・)「・・・任せてくれ」

(  ・ω・)「ボコボコにしてやんよ」

歩き出す男。その影は旅人達が逃げて行った方向へ消えていきました。


ミ#゚ ‐メ)「くそ・・・この間の騎士といい・・・」

ミ#゚ ‐メ)「子連れで旅をするのが流行っているのか・・・?忌々しい奴らだ・・・」
<>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 23:56:00.37 ID:tqSJG5RB0<> ( ΘーΘ)「へへ、追い詰めたぜ・・・追いかけっこは終わりだ」

笑う賊たちを前に、三人の旅人は立ち尽くしていました。

左右後方を小高い丘に囲まれた、袋小路。
その小路は長く細いもので、大人が二人、何とか並べるほどの幅しかありません。

三人はその行き止まりに逃げ込んだのです。
ジョルジュは言いました。
  _
( ゚∀゚)「な?」

( ・∀・)「・・・なるほどね」
  _
( ゚∀゚)「ここまでくれば、馬鹿でも分かる。相手を一列に並ばせて、順番に倒していく。
     後ろを取らせなければ、何人いても戦う相手は一人ずつ、ってな」

( ΘーΘ)「テメエら、今なら金目のものを置いて泣いて謝れば、命だけは助けてやるぜ?」

賊の一人が言いました。
その後ろには、大勢の賊の仲間たちが控えています。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/02/28(土) 23:57:05.97 ID:b8WvI+KFO<> さるさんふせぎしえん <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/02/28(土) 23:59:33.34 ID:tqSJG5RB0<>   _
( ゚∀゚)「別にここじゃなくてもよかったんだけどよ」

( ΘーΘ)「あぁ?」
  _
( ゚∀゚)「お前らの今後のためにも、実践経験があったほうがいいと思ってな」
  _
( ゚∀゚)「本来ならこんなダニ共」

( ΘーΘ)「なんだって?おい、今何て言った?」

( ・∀・)「・・・けっ」
  _
( ゚∀゚)「何人いようと、マッチが燃え尽きる前にぶち殺せるんだ・・・それと」

(#ΘーΘ)「ぶち殺すだと?お前、自分が何言ってるかわかt」

ジョルジュの蹴りが、目の前の賊の顎にめり込み、その口を閉じさせました。
折れた歯と反吐が舞い飛び、憐れな賊と共に地に落ちます。
  _
(#゚∀゚)「てめえに話してんじゃねえんだよ。くせえ口閉じてろ、ゴミ虫が」 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 00:04:13.76 ID:SS4sUs6h0<> 後ろの賊たちにどよめきが走ります。
しかしジョルジュはおかまいなしに、彼らを挑発しました。
  _
(#゚∀゚)「さあて、次に蹴り殺されるのはどいつだ?」


「ぐっ・・・」

「お、お前行けよ・・・」

「ふざけんな!テメエがいけばいいだろ!」

「だってよう・・・みただろ?あの蹴り・・・」


混乱する集団。リーダーのいない群れは、確かに脆いものでした。
  _
( ゚∀゚)「ところで君たち」

ジョルジュは後ずさりする集団につめ寄り、言いました。
  _
( ゚∀゚)「何か臭わないか?」

賊「ヒィッ、く、くるな!」
  _
( ゚∀゚)「俺のウンコよりはマシな臭いだけど・・・」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/01(日) 00:06:46.88 ID:V5M1ZbBk0<> ジョルジュかっけー <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 00:07:48.77 ID:SS4sUs6h0<> ジョルジュは、手に持っているのをかざして見せます。それは小さな箱で、振るとシャカシャカと音がしました。
  _
( ゚∀゚)「長い旅だからな。必要になるだろうと思って、うんざりするほど持って来たんだ」
  _
( ゚∀゚)「ここへ逃げてくるときに、君たちの足元に撒いておいた油だよ。ランプの油」

賊「・・・!」

ジョルジュの手に持った箱の正体に気づいた賊の顔から、血の気が引きます。

賊「ま、まさか――――」
  _
( ゚∀゚)「足もとに油。俺の手にはマッチ。さてさて・・・」

賊「お、お前ら、引き返せ!早く!この野郎、とんでもないことを・・・!」

後ろを向いて小路から逃げだそうともがく賊。
しかしこの小路には、たくさんの賊たちが列をなして並んでいました。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/01(日) 00:10:54.88 ID:RVcWFjf3O<> これがちんこ潰されかけた男の真の姿か… <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 00:12:15.11 ID:SS4sUs6h0<> 「なんだなんだ?」

「どうなってる!?」

「どけ!狭いんだよ!」

「前が見えねえ!どうなった!?」

「火だ!燃やされるぞ!」

「なんだと!?」

「押すなよ!馬鹿、倒れるだろ!」

一人の賊が転び、その前にいた賊にぶつかり、彼も転び。
そうやって次々と、賊たちは倒れていきました。

うめき声に叫び声、怒鳴り声が、夜の丘陵地帯に響き渡ります。
行く手を塞ぐ者たちがあらかた這いつくばったころ、ジョルジュは唸りました。
  _
( ゚∀゚)「ふぅーむ、ここまで阿呆ぞろいだったとはね・・・」

(;・∀・)「・・・」

(;^ω^)「・・・」

三人の前に伸びる、賊の絨毯。
踏み心地はそれほどよさそうなものではありませんでした。 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 00:17:13.88 ID:SS4sUs6h0<>   _
( ゚∀゚)「おい」

ジョルジュは一番手前でうつ伏せに倒れている賊に話しかけました。

賊「ぐぅ・・・」
  _
( ゚∀゚)「俺の屍を越えてゆけ、って言え」

賊「・・・」
  _
( ゚∀゚)「言えよ。さもないと燃やすぞ」

マッチをチラつかせて言います。

賊「・・・俺の屍を・・・越えてゆけ」
  _
( ゚∀゚)「じゃあ遠慮なく」

賊「ぐぇっ!」

ジョルジュは賊の絨毯の上を堂々と渡っていきました。
途中で唾を吐きかけることも忘れませんでした。 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 00:27:45.61 ID:SS4sUs6h0<> 次にモララーが鼻を鳴らしながら渡り、最後にブーンが申し訳なさそうに踏みつけていきました。

(;^ω^)「ごめんなさいお・・・」

賊「うう・・・」

(;^ω^)「実は油なんて、無かったんだお・・・」

賊「・・・」

(;^ω^)「それじゃあ・・・」

賊「・・・」



賊「・・・」

賊「・・・ちくしょおぉぉ!」
<>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 00:32:36.87 ID:SS4sUs6h0<> 賊の襲撃を逃れた旅の仲間たちは、ジョルジュを先頭に暗い丘の上を歩いていました。
まだ夜明けまで随分と時間があります。

しかしこの辺りが安全ではないと知った二人の少年は、どうしてもこの白の丘陵で眠る気分にはなれませんでした。

夜空に浮かぶ月は、彼らに暗い中でも歩ける程度の明かりをもたらしています。
三人が今いる丘は、この丘陵地帯でもひときわ高い丘でもありました。
  _
( ゚∀゚)「もう少し歩けば、川がある。緑の山脈から流れ出る、綺麗で甘い水を含んだ川だ。
     そこまで歩けば、もう賊は追ってこねえだろ」
  _
( ゚∀゚)「今日はそこで眠るとしようぜ」

( ^ω^)「お・・・」

( ・∀・)「俺は寝ないぞ。寝込みを襲われるのはもううんざりだからな」
  _
( ゚∀゚)「安心しろ。俺が見張りをするから」
  _
( ゚∀゚)「子供はよく食べ、よく眠るもんだ!な?」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/03/01(日) 00:33:44.18 ID:KnIhSP/yO<> 支援 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/01(日) 00:35:12.06 ID:3w2m/S970<> 支援 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 00:35:13.75 ID:SS4sUs6h0<> 後ろを歩く二人に、盗人は快活に笑いかけました。
その時です。

「ボコボコに―――」

(;・∀・)「ジョルジュ!前だ!」

( #・ω・)「してやんよ!!」
  _
(; ∀ )「ぐぁっ!?」

突然の攻撃。それをまともに肩で受けたジョルジュは、まるで人形のように吹き飛んで行きました。
静かに丘をよじ登り、三人の旅の仲間を狙う巨漢の存在に、彼は気づいていなかったのです。

(;^ω^)「ジョルジュ!」

ジョルジュは地面を数回転がり、太い一本の樹にぶつかって止まりました。
それきり、彼はピクリとも動きません。 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 00:38:37.72 ID:SS4sUs6h0<> ( ;ω;)「そんな!ジョルジュ!」

ブーンは彼に呼びかけますが、それでもジョルジュは返事を返しませんでした。
少年の目には、彼が死んでしまったように見えてなりませんでした。

( ;ω;)「いやだお!返事をしてくれお!ジョルジュ!」

(;・∀・)「とまれ!ブタ野郎!」

ジョルジュに駆け寄ろうとしたブーンの前に、少年の三倍はあろうかという男が立ちはだかりました。
まるで大木のようなその男の手に握られた、巨大な鉄製のハンマー。ジョルジュはそれで一撃されたのです。

( ;ω;)「おっ・・・!」

(;・∀・)「くそっ・・・!何なんだよ、テメエは!」

( #・ω・)「お頭をよくもやってくれたな・・・ボコボコにしてやんよ」 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 00:42:09.35 ID:SS4sUs6h0<> (;・∀・)「あいつらの・・・仲間か!」

ゆっくりとハンマーを振り上げ、足元のブーンに狙いを定める男。
その姿はあまりに大きく、凶悪なものでした。

( ;ω;)「うあ・・・あぁあ」

(;・∀・)「ブタ!逃げろ!叩き潰されるぞ!」

しかしブーンの足は竦み、立っているのも精一杯でした。
目からは涙があふれ、ジョルジュが吹き飛ばされた光景が、頭の中をいっぱいに埋め尽くします。

( ;ω;)「死にたくない・・・死にたくないお・・・」

(;・∀・)「だったら逃げろ!おい、聞いてるのか!?」

ブーンはついに膝を折り、地面に座り込んでしまいました。
もはや彼には、死の足音以外、何も聞こえていませんでした。

頂点に達したハンマーが、ブーンの頭を砕こうと、振り下ろされる寸前。 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 00:45:32.95 ID:SS4sUs6h0<> (;・∀・)「馬鹿が・・・!」

モララーは駆け出しました。

(;・∀・)「・・・っ!」

( ;ω;)「うあっ!」

自分より重いブーンを抱えこみ、すばやく横に跳躍します。

直後に、轟音を立てて地面にハンマーがめり込みました。
立ちのぼる砂埃の中に、硬い殺意が見え隠れしています。

( #・ω・)「ほう・・・避けたか・・・・だが」

地面を削り取るように、横薙ぎにハンマーが振るわれました。
あまりのそのスピードに、少年が反応できるはずもなく。

(; ∀ )「うぐぅっ!?」

モララーの腹に直撃しました。
そのまますくいあげられるように、振り切る男。
モララーは宙に飛び、そしてうつ伏せに地面に落ちました。 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 00:48:11.02 ID:SS4sUs6h0<> (; ∀ )「ぐっ・・・!」

(; ∀ )「・・・うぅ・・・おえっ・・・」

そのあまりの衝撃に、モララーは胃の中のものを地面にぶちまけました。

( #・ω・)「あと一人。覚悟しろ」

( ;ω;)「あううぅぅ・・・モララー・・・ジョルジュ」

( #・ω・)「ボコボコにされる、覚悟だ」

( ;ω;)「助けてお・・・だれか・・・僕を・・・」

泣きわめくブーンを前に、男は再びハンマーを掲げます。
月の明かりに、その凶悪な鉄の塊が光りました。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/01(日) 00:50:31.35 ID:3w2m/S970<> 支援 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 00:51:29.55 ID:SS4sUs6h0<> ( #・ω・)「まだ他人にすがるか?臆病者め」

( ;ω;)「だれか・・・僕を・・・助けてくれお・・・」

( ;ω;)「死にたくないお・・・」

( #・ω・)「お前のようなガキは」

( #・ω・)「この俺が、ボコボコにしてやんよ!」

( ;ω;)「うあぁぁぁああ・・・・」

その時コツン、と、男の頭に石がぶつけられました。
そしてか細い少年の声が聞こえました。

(; ∀ )「待て・・・よ・・・」

男が視線を移すと、モララーが苦しげに起き上がるところでした。
お腹を押さえ、吐きだしたものを袖で拭いながら、彼は言います。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/01(日) 00:54:28.69 ID:v2HJmQxXO<> 支援 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 00:54:29.82 ID:SS4sUs6h0<> (; ∀ )「俺はまだ・・・倒れちゃいねー・・・そんなんで俺が」

(; ∀ )「・・・殺せるかよ・・・バーカ・・・」

( #・ω・)「命だけは助けてやろうと思ったが・・・」

( #・ω・)「その覚悟、子供にしては上出来だ。次は手加減しない」

言葉が終わると同時に、悪魔の鉄鎚が振り下ろされました。
モララーは満身創痍で、それでも一歩、前へ足を踏み出します。

(#・∀・)「オ・・・ラァッ!」

モララーが振るったのは、魔法のナイフ。
それを握る者が願えば、どんなものでも切ることができるナイフでした。

( ;・ω・)「なに!?」

ハンマーを掻い潜ったモララーは、その鉄の柄を切断したのです。
勢いに乗って、遠くへ転がっていくハンマーの頭。 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 00:58:13.39 ID:SS4sUs6h0<> 半分残った柄の部分を握りしめ、呆然とする男にむけて、モララーはほくそ笑みました。

(#・∀・)「へっ・・・人間にしかありえない、最大の弱点・・・」

(#・∀・)「それが油断・・・あんたは俺が子供で」

(#・∀・)「もう動けないだろうと、油断したのさ」

( #・ω・)「ふん、武器がなくとも、お前なんぞ・・・」

( ・∀・)「もう一つ」

巨漢の後ろに潜む、一つの影。
その気配に気づき、男が振り返った時には、もう手遅れでした。
<>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 01:01:11.66 ID:SS4sUs6h0<> ( ;・ω・)「お前・・・!」

( ・∀・)「ウチの盗人がもう動けないだろうという・・・」

( ;・ω・)「――――っ!」


  _
(#゚∀゚)「カモン、サンドバッグ!!」

瞬間、ジョルジュの渾身の蹴りが、巨漢の顎を砕きました。

( ・∀・)「・・・油断さ。仲間のところへ戻って、俺たちの恐ろしさを教えとけ」

地に倒れ意識を失った襲撃者を残し、彼らは体を引きずりながら、丘の向こうへ消えていきました。
<> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/03/01(日) 01:02:05.53 ID:QHP9D0MBO<> 眉毛かっこええwww <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 01:04:43.89 ID:SS4sUs6h0<> 川に近付くにつれ、周囲に立つ木々の数は増えていきました。

丘から転げ落ちないように注意し、ボロボロの身体を引きずる旅人たち。
彼らは白の丘陵を横切る川を目指し、慎重に足を進めていました。
  _
(;゚∀゚)「くそぅ・・・油断するなと教えておいて、自分が油断してたら・・・世話ねえな」

痛む肩を押さえ、ジョルジュは呟きます。
歩くことに支障はないようですが、それでも不安定な足場と相まって、行進ははかどりません。

( ・∀・)「ふん・・・今回は貸しだからな・・・俺がいなかったら、いまごろ全員ぺちゃんこだったぜ」

( ^ω^)「・・・」

減らず口を叩くモララーに肩を貸すブーンは、何もしゃべりません。
居心地悪そうに、黙々と足を運んでいます。 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 01:08:32.68 ID:SS4sUs6h0<>   _
( ゚∀゚)「まあ、お前らはよくやってくれたよ。俺だけじゃあ、きっとやられてた。礼を言うぜ」

( ・∀・)「本気でそう言っているのか?」
  _
( ゚∀゚)「ん?」

( ・∀・)「お前ら、って言い方には、語弊があるんじゃないのか?」

( ・∀・)「なあ・・・?」

( ・∀・)「臆病者のブーン」

( ^ω^)「お・・・」

モララーは冷たい声で、ブーンに囁きます。

( ・∀・)「まさか、お前があそこまで使えないとは思ってなかったよ」

( ^ω^)「・・・」

( ・∀・)「ガラクタの街では調子に乗ってたくせに、身を守るものがなければ、泣くことしかできないんだな」 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 01:11:27.36 ID:SS4sUs6h0<>   _
( ゚∀゚)「やめろ、モララー」

( ・∀・)「このクソブタが。お前が肩を貸してくれること自体、奇跡に近いんじゃないのか?」
  _
(;゚∀゚)「おい!」

( ^ω^)「・・・」

( ・∀・)「村にいる時もそうだったな。学校へ行くわけでもなく、仕事をするわけでもなく。
毎日くだらない一人遊びをして、何も生み出さなかった。お前は」
  _
(;゚∀゚)「モララー!」

( ・∀・)「叱られれば泣く。いじめられれば泣く。男のくせに、ツンとかいう女にすがりつく」

( ・∀・)「お前みたいな下種、助けなければよかったぜ。あのままハンマーの下敷きになってくれれば・・・」

  _
( ゚∀゚)「やめろ」

川の近くの森の中に、ジョルジュの静かな、しかし深い感情の込められた声が響きました。 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 01:14:55.94 ID:SS4sUs6h0<>   _
( ゚∀゚)「それ以上言うな」

その声色にモララーは思わず口を閉じ、先を続けることができませんでした。

(;・∀・)「・・・」

ジョルジュは言います。
  _
( ゚∀゚)「モララーはよくやった。俺の教えをよく理解してくれた」
  _
( ゚∀゚)「ブーンもよくやった。地面に油を撒いたと脅す作戦を、考えてくれた」
  _
( ゚∀゚)「そしてもちろん・・・」

( ・∀・)「・・・」
  _
( ゚∀゚)「俺が一番グッジョブだった!言うまでもなく!ナイス、俺!」
  _
( ゚∀゚)「見たか?俺の蹴りを。あのデカブツ、ひと月はまともに飯が食えねえぜ!」

ジョルジュはもう、いつもの陽気な盗人の声に戻っていました。
丘の傾斜はいつの間にか緩やかになっていて、辺りは完全に森の様相を呈していました。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/01(日) 01:17:02.43 ID:lsbA5W6EO<> 期待の新作だ

支援支援 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 01:18:31.79 ID:SS4sUs6h0<>   _
( ゚∀゚)「というわけだ!俺たちは予想以上に相性が良いみたいだ!なぁ?」
  _
( ゚∀゚)「最高の旅の仲間、ここにあり!ははっ!」

彼が声高に叫んだところで、森は途切れ、水の流れる音が聞こえてきました。
川にたどり着いたのです。
  _
( ゚∀゚)「だからブーン。もう泣くな。男だろう?」

( ;ω;)「・・・お・・・だって・・・」

ブーンは顔をくしゃくしゃにして、大粒の涙を流していました。
我慢していたものが弾け、それはとまる様子がありません。

ジョルジュは言います。
  _
( ゚∀゚)「誰だって怖いもんだ。あんな大男がハンマー振りかぶってたら」

( ;ω;)「僕は・・・何も・・・」

( ;ω;)「できたはず・・・だお・・・何か・・・」 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 01:21:30.34 ID:SS4sUs6h0<> 川原に座り込み、ブーンは泣きじゃくりました。
自分の弱さ、情けなさ、そしてなにより、死を意識したあの瞬間。
旅の仲間の命より、自分の命が助かることだけを望んだ己の不甲斐なさが、許せなかったのです。

( ;ω;)「僕は、最低な・・・奴だお・・・あの盗賊たちと、何も、変わらないお・・・」

( ;ω;)「自分のことばかり考えて・・・仲間に迷惑かけて・・・」

( ;ω;)「・・・モララーの言うとおりだお・・・僕なんか・・・いない方が・・・」
  _
( ゚∀゚)「いいか、ブーン」

ジョルジュはブーンの隣に座り、夜空を見上げて言いました。
星は瞬き、月は輝いています。流れ星が流れ、消えていきました。
  _
( ゚∀゚)「大切なのは・・・」
  _
( ゚∀゚)「勇気を振り絞ることだ」

( ;ω;)「・・・お?」
  _
( ゚∀゚)「勇気を出すんじゃない。振り絞るのさ。体じゅうから一滴残さず出し切って、恐怖に立ち向かうこと。
     それが大事なんだ」 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 01:24:22.80 ID:SS4sUs6h0<>   _
( ゚∀゚)「なかなかできるもんじゃない。俺だって、今までに何回勇気を振り絞ったかって聞かれたら、悩むさ。もしかしたら一度もないかもしれない」

( ;ω;)「でも・・・」
  _
( ゚∀゚)「勇気ってのはな、ブーン。溜めるもんなんだ。そうそう出していいもんじゃない。耐えて耐えて、ここぞという時にありったけ振り絞ってやる。
     それが本物の勇気だ」
  _
( ゚∀゚)「お前は今、勇気を溜めている最中なんだ。いつか振り絞るその時のために。だから落ち込むな。
     お前にも、勇気を振り絞る時が必ず来る。俺はそう信じてるよ」

ブーンの肩に手を置いて、ジョルジュは立ち上がりました。
振り返って、野宿の準備をしているモララーに声をかけます。
  _
( ゚∀゚)「そういうことだ!おい、モララー!聞いてたか?俺の名言を!」 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 01:28:44.45 ID:SS4sUs6h0<> ( ・∀・)「あんたのためにならない説教は聞き飽きた。無駄口叩いてないでテント張るの手伝えよ」
  _
(#゚∀゚)「んだと?俺のおっぱい哲学を否定するのか?」

(;・∀・)「そんな話してたのか?」
  _
( ゚∀゚)「してねーよ!バーカ!」

(#・∀・)「殺すぞ!」
  _
( ゚∀゚)「殺すな!ひゃひゃwww」


( ;ω;)「・・・」

( うω;)「ぼ、僕も・・・テント張るの、手伝うお!」

瞼をこすって、ブーンが言いました。
まだ少し涙声でしたが、また泣いてしまうことはないでしょう。

そんなブーンを、モララーは睨みつけます。

( ・∀・)「何言ってんだ?お前」

(;^ω^)「お・・・」 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/01(日) 01:30:49.98 ID:fbB+9mYJO<> 支援 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 01:31:12.25 ID:SS4sUs6h0<> ( ・∀・)「・・・」

(#・∀・)「手伝うのは当たり前だろうが!このブタ!」

(#・∀・)「さっさとこっち来い!」

( ^ω^)「・・・おっ!」



白の丘陵の、川沿いの森でのことです。
川の流れる静かで心地よい音を聞きながら、旅の仲間は体を休めました。

( -ω-)「zzz」

( -∀-)「・・・zzz」

二人の少年はすぐに眠りに落ち、短い夢の中を漂いました。
その傍らでは盗人が火に薪をくべ、岩の上に座って煙草をふかしています。 <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 01:34:17.76 ID:SS4sUs6h0<>   _
( ゚∀゚)「・・・ふう」

彼はまだ少し痛む肩に手をやり、夜空を見上げました。
  _
( ゚∀゚)「・・・手間のかかる」
  _
( ゚∀゚)「旅の仲間だな・・・まったく」

彼の顔は、影を残しながらも、どこか嬉しそうなものでした。
夜明けまでの短い時間を、彼は少年たちを見守って過ごしました。






第三話 白の丘陵   終わり <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/01(日) 01:35:11.08 ID:3E4qdoYuO<> おつ <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/01(日) 01:35:19.52 ID:WLtOV3EeO<> しぃえーん <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<>sage<>2009/03/01(日) 01:38:53.79 ID:8+JoXfD+O<> 追いついたらオワタw乙!
相変わらずのスローペースだがな <>
◆qgx/y7SlMM <><>2009/03/01(日) 01:39:03.68 ID:SS4sUs6h0<> 支援してくれた方、読んでくれた方、ありがとうございました。

もっと文章力がほしい・・・鋼鉄処女おもしろいよ鋼鉄処女・・・

ではまた。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/01(日) 01:42:03.53 ID:d2jK17VHO<> ホントすっごく良い <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/01(日) 01:42:11.78 ID:3w2m/S970<> 乙 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/01(日) 01:42:14.05 ID:c/yXWBGLO<> 乙!面白い。 <> 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします<><>2009/03/01(日) 01:53:25.73 ID:8hDlX8uFO<> 乙!
<>