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( ∵)はξ゚听)ξと星を探すようです

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 16:27:55.67 ID:ebAh74690
┌| ∵|┘まとめサイトさま┌| ∵|┘

http://boonsoldier.web.fc2.com/hosi.htm
http://nanabatu.web.fc2.com/boon/becouse_hosi_wo_sagasu.html

連日投下とかするわけないじゃん

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 16:31:53.89 ID:ebAh74690
第十六話 また会えるかな



フタバ地区を放浪していた旅烏。
幾つかの夜と昼を越えて、ニチャン地区に辿り着いた。
とある建物の尖塔に、その足を置く。今日も砂漠の空は青い。
小さく開いた窓から、二人の男の話し声が聞こえた。


※ ※ ※ ※ ※


(・∀ ・)「やぁ、アサピー君。調子はどうかな?」

(;@∀@)「や、やあマタンキ。調子? ぼちぼちかな……」

(・∀ ・)「そうだ、聞いたかい? レイラの占領が解かれてしまったって」

(;@∀@)「――!!」

(・∀ ・)「なんだ! 知らなかったのかい? ふふ。君はいつもここに篭って研究しているからね」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 16:35:43.26 ID:ebAh74690
嫌味たらしく、またんきと呼ばれた男は喋り続ける。

(・∀ ・)「レイラに配置された魔法兵は何だったかな?」

(;@∀@)「そ、それは……」

(・∀ ・)「ああ、思い出した。君の造り出したG-2031だったね!」

(・∀ ・)「君はアイツが出来あがったとき、鼻息を荒くして言ったね。最高傑作だって」

アサピーと呼ばれた男は、力なく笑い、眉を下げて言った。

(-@∀@)「いや……。今思い返してみれば、あいつは駄作さ。最低の駄作だ」

(・∀ ・)「なんだい急に。どうしてだい? 理由を知りたいねえ。くふふ」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 16:37:10.27 ID:qJgpy52KO
支援

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 16:37:59.38 ID:ebAh74690
アサピーは歯軋りをした。またんきの、見下げた態度が心に突き刺さる。
同時に、G-2031が別れるときに見せた、痛烈に寂しそうな”顔”を想いだす。
胸が、締め付けられた。


(- ∀ )「あ、あいつは…… 感情を持っていたんだ」

(・∀ ・)「感情? あの殺戮の野獣に感情なんかあったのか?」

アサピーは声を荒げ、テーブルを叩いた。



(#@∀@)「あったんだよ!!!!」





6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 16:40:34.80 ID:ebAh74690
アサピーの激昂に、マタンキは少しも動じない。淡々と口を開いていく。


(・∀ ・)「おお怖い…… それで? 魔法兵に感情なんて珍しいし、素晴らしい技術の進歩じゃないか」

(-@∀@)「か、感情を持った者が殺戮なんか犯してはいけないんだ! あいつは人を殺すために造られたんじゃない!」

そこでまたんきは、「待ってました」と言わんばかりに、表情を冷徹なそれに替える。

(・へ ・)「阿呆が」

彼は、吸っていた葉巻をアサピーの左掌に押し当てた。

(;@∀@)「うがああっ!!」



(・へ ・)「人を殺すために造られたんじゃない……?」

(・へ ・)「何の為に我々はこの軍事施設”VIPSTAR”のトップに配属されたと思っているんだ」

(・へ ・)「ここで造られるものは、銃や、剣と同じなんだ。私達は、VIPの繁栄のために、人殺しの道具を造ればいいのだ!」

(・へ ・)「感情だと? そんなものは魔法兵に要らぬ!」

(・へ ・)「……個人の技師的欲求と、仕事を履き違えるなよ。貴様」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 16:43:58.84 ID:ebAh74690
一通り弁を終えると、マタンキはまた機械のように表情を切り替える。
実に穏やかな顔で、抱えていた書類を机に置いた。


(-@∀@)「なんだ、これは……」

(・∀ ・)「私が考えた新規魔法常軍の案だ。目を通してくれたまえ」

(-@∀@)「それでは私は用事がある。さらば」


そう言ってマタンキは部屋から消えた。
アサピーは大きな溜息をつき、マタンキに付けられた火傷を消毒する。苦渋の表情だ。
そのついでに、おもむろに書類を手にした。


(-@∀@)「”鉄仮面団”……?」

(-@∀@)「ふん。感情と密接に結びつく”顔”を根本からシャットアウトした兵士ということか」

(-@∀@)「まさに殺しの道具以外の何物でもない」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 16:45:45.46 ID:rIAtWRQhO
支援するんだよ

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 16:45:48.60 ID:ebAh74690
(-@∀@)「G-2031……。 容貌は酷いものだったが、1番しっかりとした人格を持つやつだった」

(-@∀@)「人を殺すたびに、私に懺悔を求めてきた」

(-@∀@)「……」


(ここで造られるものは、銃や、剣と同じなんだ。私達は、VIPの繁栄のために、人殺しの道具を造ればいいのだ!)


(-@∀@)「本当にそうか? そうなのか?」

(;@∀@)「いや、違う。違うはずなんだ……」

(-@∀@)「VIP帝は、何を考えておられるのか。あの野心はどこから突然涌き出たのか……」


アサピーは自分のしわがれた掌を見つめた。
この二つの手で造ったモノが、人々の命を次々と奪っていく。
それを考えると、いつでも彼は、脳天からつま先まで、震えあがってしまうのだった。


窓の外をぼんやりと見つめる。
尖塔に停まっていた旅烏が、今飛び立った。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 16:47:55.91 ID:ebAh74690



レイラ城。謁見の間。 王は髭を撫でて来客が訪れるのを待っていた。
勿論、隣にはツンが座っている。


/ ,' 3「ツン。そんなつまらなさそうな顔はやめんか」

ξ゚听)ξ「そんなにふてくされて見える?」


王は小さく頷いた。それを見て、さらに突っぱねた表情を示すツン。
「困ったものだ」と頭を掻いていると、扉の付近にいる兵がトランペットを吹いた。


「ニコ王国からの使節団がお目見えになられました」

/ ,' 3「通せ!」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 16:49:52.11 ID:ebAh74690
使節団は絨毯の上を縦列で真っ直ぐに進む。
そして、王の所まで辿り着いたら、先頭が一礼。
今度は横列になる。そして全員で一礼。 最後にゆっくりと跪いた。

/ ,' 3「ようこそサーバ砂漠へ。ワシがレイラ王。アラマキ・デ・レイラじゃ」

/ ,' 3「こちらが第二王女のツン・デ・レイラ」

ξ゚听)ξ「……初めまして。以後御見知り置きを」


次は使節団が次々と自己紹介を始める。
一連のやりとりが終わると、ツンは立ちあがった。


/ ,' 3(こりゃ、ツン。ここにいなさい)

ξ゚听)ξ「すみません。私は用事があるのでここで失礼します」

/ ,' 3(まったく……)

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 16:50:11.66 ID:qJgpy52KO
支援

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 16:53:34.13 ID:ebAh74690


廊下に出るツン。生温かい昼の空気が流れていた。
窓から塀の外を見つめると、ビコーズが蝶を追いかけてぴょこぴょこと跳ねていた。


ξ゚听)ξ「はーっ……」

ξ--)ξ「……」


※ ※ ※ ※ ※

――人間に、なりたい?


( ∵)「そうだよ!」

( ∵)「……僕、何かおかしいこと言った?」

ξ゚听)ξ「ん、ううん……」


その言葉を聞いたとき、ツンは一瞬言葉に詰ってしまった。
ほんの少し別れただけなのに、こんなにも思考が発達したのか という驚きがあった。
出会った頃は、まるで幼児を相手にするようなものだったのに。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 16:57:19.48 ID:ebAh74690
ξ゚听)ξ「どうして?」

( ∵)「え?」

ξ゚听)ξ「どうしてビコーズは人間になりたいって思ったの?」

( ∵)「それは……」



ツンと別れて、僕は色んな光景を見た。

それで僕は思ったんだ。”サボテンのままじゃいられない”って

僕がこのままサボテンだったら、そのうち暴れてしまう!

”僕”という意識が、サボテンの厚い皮をも突き破ってしまいそうなんだ!

ツン。僕はね。ツン達みたいに……




( ∵)「笑いたい! 走りたい! 食べたい! 話したいんだ!」

ξ;゚听)ξ「……そう」

ξ゚听)ξ「でも…… どうやって?」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 16:59:25.10 ID:W6zskcEm0
支援

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 16:59:32.14 ID:ebAh74690
( ∵)「”アテ”ならあるんだ!」

ξ゚听)ξ「へえ、何?」

( ∵)「レイ だよ!」


ツンは、ふとビコーズと初めて明かした夜のことを思い出す。
そして、ショボンがアジトで言った言葉も。


ξ゚听)ξ(蒼い光…… 命を与える輝き。 紅い光…… 力を与える輝き)

( ∵)「僕はレイを見つけだすんだ! そしてお願いする!」

ξ゚听)ξ「人間にしてください って……?」

( ∵)「うん!」


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:02:15.42 ID:ebAh74690
( ∵)「……」


ビコーズの顔は、ただの節穴が三つ開いているだけだから、変化は起こらない。
しかし、ツンは感じとっていた。
その裏にある、自信満々の勇壮な表情を。


ξ゚听)ξ「で、でもね? レイっていうのは、おとぎ話かもしれないのよ? 迷信かもしれないのよ?」

( ∵)「じゃあ僕は? 僕みたいな喋るサボテンだっておとぎ話なんでしょ、ツン達にとっては」

ξ゚听)ξ「う、うん……」

( ∵)「僕はそれが辛いんだよ。僕だって街の人たちと色々お話をしたいのに。だから、人間になりたいんだ……」


”自分は何もできない、無力な存在だ” と落ち込む傍らで、
目の前にいる…… サボテンは…… こんなにも大きな決断と、自分の考えを、巡らしている。
そんな劣等感が、ゾクゾクとツンの体を突き刺す。
そしてそれは、刺々しい言葉へと変質して、吐き出された。


ξ;゚听)ξ「レ… レイなんて、あるはずないよ!!」


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:04:19.69 ID:ebAh74690
( ∵)「どうしてそんなこと言うの?」

ξ゚听)ξ「私は君より何年も生きているの。そんなことくらい分かるわ」

ξ゚听)ξ「それにサボテンが人間になることなんて絶対できない ってこともね」

( ∵)「僕は信じてる。レイの伝説を」

ξ゚听)ξ「無駄よ」

( ∵)「……」

ξ゚听)ξ「サボテンはサボテンのままよ。 いくら喋れたって動けたって」





ビコーズがサボテンであることに変わりはないのよ!







19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:07:01.25 ID:ebAh74690
( ∵)「……ち」

( ∵)「…………違うもん!!」


ビコーズは思いきり砂塵を巻き上げ、ツンに背を向けた。
そして、今までにないスピードで、ぴょこぴょこと去っていく。
その後姿を、彼女はずっと見つめていた。
幼少の頃、友達と喧嘩をしたときのあの複雑な感情が、巻き戻った気がした。








※ ※ ※ ※ ※


ξ゚听)ξ「はぁ〜」

ξ゚听)ξ(どうしてあんなこと口走ってしまったんだろ?)

そして現在。
後悔の念が、彼女の背中を曲げさせていた。
出るのは溜息ばかり。窓辺によりかかり、まだ出発はしていないビコーズを目で追う。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:07:50.99 ID:qJgpy52KO
支援

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:09:19.51 ID:ebAh74690
「いやー。これが砂漠の国の建築様式かあ」

「なかなか面白いセンスしてるお」

「ん? これはなんの絵だお?」


ξ゚听)ξ(誰かしら? あっ、あの装束……)


ツンの目にとある人物が留まった。なにやら、城の中を楽しそうに散策している。
興味本位で、近付いてみる。


――月並みな表現で言えば、これもまた、運命の出会いであった。


ξ゚听)ξ「あの」

ビクッ(;^ω^)「は、はいwwww」



ξ゚听)ξ(あら、白くて綺麗なお肌。さすが東の国から来た人ね)

(;^ω^)(ちょwwwww 砂漠の女の子かわEEEEEEEwwwwwwww)

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:10:48.88 ID:ebAh74690
ξ゚听)ξ「貴方、東の国から来た使節団の一員でしょう」

( ^ω^)「は、はい。そうですお!」

ξ゚听)ξ「はぐれてしまったの? 皆さん、謁見の間で王と話していらっしゃるわよ」

( ^ω^)「そ、そうなんですか」

ξ゚听)ξ「案内してあげます。さ、行きましょう」


ツンは十歩歩く。しかし少年は動かない。
振りかえるツン。不思議そうな顔をして尋ねた。


ξ゚听)ξ「……? さあ、行きましょうよ」

(;^ω^)「ぼ、僕は謁見しなくてもいいんですお」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:12:20.88 ID:ebAh74690
ξ゚听)ξ「……どうして?」

(;^ω^)「いや、それは、そのぅ……」

ξ゚听)ξ「一度は謁見しないと後々面倒ですよ。さあ、行きましょう」


ツンは少年の装束を、ぐいっと引っ張る。
反射的に、少年はそれを強く払いのけてしまった。


(;^ω^)「ご、強引に連れていくんじゃねー!」

ξ゚听)ξ「つれて…… いくんじゃ…… ねぇ?」

(#^ω^)「このイッチョーラが破けたりしたらどうするんだお!」

ξ#゚听)ξ「そ、その口の聞き方はなによ!! 貴方、私が誰だか分かってんの!?」


ツンも、思わず丁寧な喋り方を忘れてしまったようだ。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:15:34.85 ID:ebAh74690
(;^ω^)「え!? だ、誰だか?」

(;^ω^)「そ、そりゃあ……」

ポクポクポクポクポク( ^ω^)ポクポクポクポクポク


チーン


( ^ω^)b「町娘っしょ」


ガーーーーーーーーー ξ;゚听)ξーーーーーーーーン


ξ;゚听)ξ(な、なめとんのかコイツ!)

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:17:33.90 ID:ebAh74690
もはや言葉を交わす気にもなれないと、ツンは後ろを向けてその場を去ってしまった。
それを呆然と見つめる少年。頬には冷や汗が伝っていた。




(;^ω^)(あーあ、行ってしまったお)

(;^ω^)(なんかキツそうな性格の女の子だお)



……でも、すごく、可愛かったな。




26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:18:49.98 ID:ebAh74690
※ 


(,,゚Д゚)「……行ってしまうのか」

ミ,,゚Д゚彡「ああ、行くよ。元気でな、兄貴」


フサはとある決断をしていた。
それは、群れからの脱却。孤高を貫くということ。
家族を捨て、代わりに与えられたものは、兄のお下がりであるホバーボート。

既にエンジンは唸っている。
シィとギコ、そしてフサの間にはこれの鳴声しか轟かない。


(*゚ー゚)「私たちと一緒にレイラに住みましょうよ。あそこでは私たちが差別無しに生きられるのよ」


フサは、押し黙って首を横に振る。


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:21:28.90 ID:ebAh74690
ミ,,゚Д゚彡「俺には耐えられないよ。人間と一緒に住むなんて」

(*゚ー゚)「……そう」

(,,゚Д゚)「これからどこに行くんだ。フサ」

ミ,,゚Д゚彡「そうだな。とりあえずはモール族のところを尋ねてみるか」

(,,゚Д゚)「亜人のもとを転々とするつもりか」

ミ,,゚Д゚彡「そうなるかもな」


兄は弟を決して非難していたわけではない。
むしろ、羨望が僅かにあったかもしれない。
獣人として生まれてきたことにより、背負うことになったいくつものしがらみ――
弟は、それらを、今一気に振り解こうとしている。
いくら集団の長を務めていても、彼もまた、根本は、猫だ。


ミ,,゚Д゚彡「……それじゃあな」

(,,゚Д゚)「ターバンは、外していかないのか」

それには羨望からくる、ちょっとした皮肉も込められていた。

ミ,,゚Д゚彡「……」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:22:52.70 ID:W6zskcEm0
ブーンktkr

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:23:54.36 ID:ebAh74690
フサは答えずに、思いきりアクセルを踏み込んだ。
黒い煙を吐き、勢い良くホバーボートは飛び出した――




妻は夫に寄り掛かる。

(*゚ー゚)「ねえ、あなた」

(,,゚Д゚)「なんだ」

(*゚ー゚)「ホバーボートが無くなって、移動には何を使えばいいの?」

(,,゚Д゚)「ふっ、レイラの街に越せば、長距離移動なんて、しなくても済むさ」

(* ー )「そうね……」


シィは昨日と同じように、地平線の彼方までを見つめていた。
生まれたときから、三人一緒に歩んできたはずなのに、遂にそれが欠けてしまった。
それを思うと、睫毛はほんのりと濡れてしまった。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:24:24.89 ID:ReAkMlwT0

http://academy6.2ch.net/test/read.cgi/kobun/1006330708/l50

住人〈自治厨)に見つからずに10個書き込めた奴が優勝!!!

最下層のスレッドだから、ageたら駄目だよ・・・

ageんなよ! バレルだろ!



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:25:50.52 ID:ebAh74690




( ∵)「あーあ。ツンと喧嘩しちゃった」

( ∵)「これが喧嘩ってものかー。なんだか嫌な気持ちだね」

( ∵)「ツンに謝りたいなあ。謝らないと出発できないよ」


そう口では言いつつも、本心では、僕は旅立ちの機会を待っていた。
ぴょこぴょこ進んでいたんじゃ、いつまで経ってもどこにも行けない。
だから…… どうするか。 それが当面の問題だった。


( ∵)「あー。このままじゃ出発以前の問題だよ」

( ∵)「ん。あれは……」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:27:15.10 ID:ebAh74690
ミ,,゚Д゚彡「食料詰めろ。丁寧に、沢山入れられるように、上手に詰めろよ」

「へい」


砂色のホバーボート。深く被ったターバン。そこからはみ出た長い髪の毛。
あれは間違いない。でも、近くに人間もいるから、僕は岩陰から名前を呼んでみた。


「フサ!」

ミ,,゚Д゚彡「おい、そこ、もうちょっと詰められるだろ。どけ、下手糞」

「フサっ!」

ミ,,゚Д゚彡(ガキの声だ。なんだ、もうアジトの一部は引越ししたのか?)

ミ,,゚Д゚彡「なんだ…… ん」

ミ,,゚Д゚彡「ビコーズじゃねえか!」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:28:47.72 ID:ebAh74690
ミ,,゚Д゚彡「やっぱりお前詰めとけ」

「へい」


フサがこちらに駆け寄ってくる。よかった、気付いたみたいだ。


ミ,,゚Д゚彡「へっ、久しぶりだな。何してたんだい」

( ∵)「何もしてない! ずっとこの街にいたんだ。フサは?」

ミ,,゚Д゚彡「俺か? 俺は…… 長い旅に出るんだ」

長い旅? 僕の頭の中、サボテン的閃きが舞い降りた。

( ∵)「あのね、フサ、お願いがあるんだ」

ミ,,゚Д゚彡「何だよ」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:28:55.85 ID:rIAtWRQhO
支援

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:31:31.74 ID:ebAh74690
――旅に連れてって欲しい?


( ∵)「うん! ダメ?」

ミ,,゚Д゚彡「ふむ…… まあ、理由を言ってみろ」

( ∵)「人間になるためさ」

ミ,,゚Д゚彡「!!」

ミ,,゚Д゚彡「なんだと?」

( ∵)「おかしい?」

ミ,,゚Д゚彡「旅の理由におかしいもおかしくないもねえ」


フサの表情が強張る。そこで僕はふと思い出す。彼が人間嫌いだってことを。
でも、僕はまだサボテンだから、許してくれないかなぁ。
よし、もうひと押しだ。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:33:29.10 ID:ebAh74690
僕は、ツンに言ったようなことをもう一度フサに話した。
フサは獣人。だから、捉え方も違ってくるはず。
良いほうに傾くと、いいんだけど。


ミ,,゚Д゚彡「けっ、人間になりたいだと? よせ、人間なんて」

ミ,,゚Д゚彡「てめぇはサボテンのままでいい」

ああ、傾かなかったようだ。だけど僕は負けない。

( ∵)「どうして!?」

ミ,,゚Д゚彡「サボテンのままのほうが幸せだからさ」

( ∵)「幸せ? 僕は今、ちっとも幸せじゃない」


サボテンなのになまじ喋れたり動けたりするなら、人間になったほうがいいじゃないか!!!


ミ,,゚Д゚彡「―――!!!」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:34:59.01 ID:ebAh74690
ミ,,゚Д゚彡「……」

(よし、こっちだ。一歩ずつ静かに歩け)

(その長い耳を切り落とせば、お前も人間と同じ容貌さ)

(その長い耳を切り落とせば)

(その長い耳を……)


フサの表情がリセットした。
怒りも、疑心も、優しさも、全て取り除かれて白紙になった顔。
そう、全くの無表情で、僕にこう言ったんだ。




「乗れよ」





( ∵)「あ、ありがとう!」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:35:18.46 ID:eVwWjMduO
連日投下だと!?
支援

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:36:08.53 ID:UoO7o9JmO
ホイミン「・・・」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:37:17.64 ID:ebAh74690



フサは、ビコーズの最後の言葉に、肯定も否定も示せなかった。

ただ一つだけ言えるのは、忌まわしい過去を僅かに引き出された ということ。

しかし、フサはこのサボテンに不思議な何かを感じている。

こいつなら、自分をどこか、「正しい答え」のようなものがある場所へ、導いてくれると。





41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:39:53.03 ID:7zht6YKL0


ホバーボートの乗り心地は好き。 自分が物凄く早い馬になった気分だ。
少し表情が平常に戻ってきたフサに、僕は話しかける。



( ∵)「ねえフサ」

ミ,,゚Д゚彡「なんだ」

( ∵)「前に言ったよね、どんなに離れ離れになっても友達は友達だって」

ミ,,゚Д゚彡「まあ…… 似たようなことは言ったな」

( ∵)「ふふっ」

( ∵)(また会えるよね、ツン……)

( ∵)(今度会うときは、人間だよ)



こうして僕は旅立った。 レイラの国がどんどん遠ざかる。
僕はそれが地平線に埋もれてしまうまで、ずっと見ていた。
ずっとずっと、見ていた…………。


(続く)

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:42:26.07 ID:UoO7o9JmO
妖怪人間

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:43:09.33 ID:7zht6YKL0
今回の投下は1話のみです。すいません。
何か>>1に言いたいことがある方はモンペアばりにどうぞ。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:51:39.58 ID:UoO7o9JmO
次はいつくるんですか?息子が早く見たいって騒いでるんです!
あなたのせいですよ

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:57:12.17 ID:eVwWjMduO
乙!

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 17:57:13.63 ID:RWs8JpV6O
携帯からですいません

>>44
あの子が笑ったら

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/15(日) 18:05:55.46 ID:nhBvrrCe0
ワラタ



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